JP2004023876A - 零相差動リレ−システム - Google Patents
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Abstract
【課題】外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起。
【解決手段】零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設け、この短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにしたもので、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる。
【選択図】 図1
【解決手段】零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設け、この短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにしたもので、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有し、電力系統保護、変圧器保護、等に適用される零相差動リレ−システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の零相差動リレ−システムを示すシステム構成図で、同図において、1は電力線、CT1は電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2dは前記計器用変流器CT1の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、7は時限既協調用のタイマ−、8は遮断器である。
【0003】
9は前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。図は主として前記被保護変圧器6の保護であり、変圧器保護用の零相差動リレ−システムの事例である。なお、この保護区間9外の事故は外部事故と言う。10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流である。
【0004】
次に動作について説明する。従来においては零相差動継電器4には電力線側計器用変流器CT1の2次側電流2dは用いず、中性点側計器用変流器CT2の2次側電流5と、前記電力線側計器用変流器CT1の3次側電流3dとが零相差動継電器4に入力されている。そして、前記零相差動継電器4は前記入力される電流の総和が整定値より大きければ動作となり、前記遮断器8をトリップする。即ち、前記零相差動継電器4は、前記中性点側計器用変流器CT2の2次側電流5と前記電力線側計器用変流器CT1の3次側電流3dとの総和が整定値より大きければ動作となり、前記遮断器8をトリップする。
【0005】
電力系統が健全であれば、前記中性点側計器用変流器CT2の2次側電流5も前記電力線側計器用変流器CT1の3次側電流3dも夫々零でるので、その総和も零であり、前記零相差動継電器4は動作しない。従って、前記遮断器8は投入(ON)状態を維持する。
【0006】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、この零相電流10による前記中性点側計器用変流器CT2の2次側電流5と前記電力線側計器用変流器CT1の3次側電流3dとは同じ大きさの電流であって電流の向きが逆なので、それら2次側電流5と3次側電流3dとの総和は零となり、前記零相差動継電器4はやはり動作しない。従って、前記遮断器8は投入(ON)状態を依然として維持し、前記保護区間9は充電状態を維持する。
【0007】
また、前記保護区間9内部の地絡事故の場合は、地絡電流は地絡事故点に流入するので、地絡事故点が前記前記中性点側計器用変流器CT2と前記電力線側計器用変流器CT1との間であれば、前記中性点側計器用変流器CT2の2次側電流5と前記電力線側計器用変流器CT1の3次側電流3dとは電流の向きが逆となるので、両者の電流の総和が整定値を超えれば前記零相差動継電器4は動作し、この動作が継続すればタイマ−7のカウントが進みカウント数が所定値を超えれば、当該タイマ−7が出力して、前記遮断器8をトリップし、この保護区間9を充電系統から切り離し、この保護区間9を保護する。即ち、変圧器6は保護される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような電力線側CT1の3次側電流3dを使った従来の零相差動リレ−システムでは、外部の地絡事故に短絡事故が重なったとき、例えば外部の2線地絡の場合、短絡電流のために計器用変流器CTが飽和すれば、前記計器用変流器CT1の3次側電流3dが正規の値より減少し、外部の地絡事故であるにも拘わらず、前記零相差動継電器4の見る前記総和の電流は零にはならず、前記遮断器8のトリップに至る(即ち誤動作に至る)場合が生じる。
【0009】
電力系統の安定したエネルギ−供給の観点で、従来の零相差動リレ−システムでは、前述のような遮断器8の不用意なトリップが起こり得ることから、エネルギ−安定供給の信頼度が低下する。また、これを避けるために、前記タイマ−7の設定値を伸ばして前記計器用変流器CT1の飽和の回復を待つことは、地絡事故のみの場合における他の保護装置との協調上、問題がある。
【0010】
この発明は前述のような課題を解決するためになされたものであり、電力系統のエネルギ−安定供給のため、前述のような不用意な遮断器のトリップを生起しないように、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作を防止することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設け、この短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするものである。
【0012】
請求項2に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、請求項1に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器の出力を、前記短絡検出リレ−機能の入力とするものである。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、請求項1に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器とは別の計器用変流器CTの出力を、前記短絡検出リレ−機能の入力とするものである。
【0014】
請求項4に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、請求項1〜請求項3の何れか一に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とを各々別の継電器としたものである。
【0015】
請求項5に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、請求項1〜請求項3の何れか一に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とを各々同一ユニットに設けたものである。
【0016】
請求項6に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、比率差動リレ−機能を設け、この比率差動リレ−機能の抑制量の出力により前記トリップ信号をロックするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図である。
【0018】
図1において、1は電力系統の電力線、CT1はこの電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2dは前記計器用変流器CT1の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、71は時限協調用のタイマ−で、入力が所定時間続くと出力ONとなる。72は出力制限用タイマ−で、入力がなくなると所定時間後に出力OFFとなる。
【0019】
8は遮断器、9は前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。なお、この保護区間9外における地絡事故、短絡事故は一般的に、外部地絡、外部短絡と言い、広義には外部事故と言う。
【0020】
10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流、11は短絡検出リレ−機能を有する継電器で、前記零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4とは別体の継電器が当該零相差動継電器4と独立して設けられている。12はロック回路で、前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の動作出力をロックする。
【0021】
13はAND回路で、前記出力制限用タイマ−72からの入力側がインヒビットとなっており、前記零相差動継電器4からの入力があっても前記出力制限用タイマ−72からの入力があれば動作出力はなく、前記零相差動継電器4からの入力があり且つ前記出力制限用タイマ−72からの入力が無ければ動作出力を出す。尚、前記ロック回路12は、前記出力制限用タイマ−72と前記AND回路13とで構成されている。
【0022】
次に図1の動作について説明する。図1において、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとを、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4に入力し、且つ、前記電力線側の計器用変流器CT1の2次側の電流2dを、別の短絡検出リレ−機能を有する継電器11に入力する。
【0023】
このような入力構成において、電力系統が健全であれば、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5も、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dも、それぞれ零であるので、両電流5,3dの総和は零であり、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4は動作しない。
【0024】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となり、やはり零相差動継電器4は動作しない。
【0025】
また、内部の地絡事故の場合は、保護区間9内の地絡点に流れ込む電流により、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ向きであり、両電流5,3dの総和が整定値を超えれば零相差動継電器4は動作し、動作が継続すれば、時限協調用タイマ71はカウントし続け、所定量カウントした結果としてトリップ信号を遮断器8に送り、遮断器8はトリップ(開放)する。
【0026】
更に、外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(例えば2相地絡時など)は、保護区管9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となる筈である。しかしながら、短絡電流も重なっているために電力線側の計器用変流器CT1が飽和することで、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dが正規の値(CT飽和が無い場合の値)より減少し、外部事故であるにも拘わらず、零相差動継電器4の見る前記両電流5,3dの総和が零でなくなる場合、零相差動継電器4は動作(不要動作)することがある。
【0027】
そこで短絡検出機能を有する短絡検出継電器11において、前記計器用変流器CT1が飽和した原因となる短絡電流を検出動作しその動作出力を、ロック回路12に送ることで、前記零相差動継電器4の動作信号が継続して時限協調用タイマ71をカウントアップし遮断器8をトリップ(開放)するル−トを、一定の時間(前記出力制限用タイマ−72の機能)、ロックする。その結果、遮断器8は不要なトリップ(開放)には至らなく、全体として零相差動リレ−システムとして誤動作防止対策がなされる。なお、前述のロックする時間は、変圧器6が破壊するまでの時間との時限協調によるが、短絡事故に比べては、地絡事故時のエネルギ−の流入は小さく一般に協調はとりやすい。
【0028】
このようにして、保護区間9の外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(2相地絡事故時など)にも遮断器8の不要なトリップ(開放)には至らなく、零相差動リレ−システムによる誤動作防止対策が実現できる。
【0029】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図である。図2において、1は電力系統の電力線、CT1はこの電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、CT3は電力送電線1側に前記計器用変流器CT1とは別に設けられた短絡検出用の計器用変流器、1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2dは前記短絡検出用の計器用変流器CT3の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、71は時限協調用のタイマ−で、入力が所定時間続くと出力ONとなる。72は出力制限用タイマ−で、入力がなくなると所定時間後に出力OFFとなる。
【0030】
8は遮断器、9は前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。なお、この保護区間9外における地絡事故、短絡事故は一般的に、外部地絡、外部短絡と言い、広義には外部事故と言う。
【0031】
10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流、11は短絡検出リレ−機能を有する継電器で、前記零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4とは別体の継電器が当該零相差動継電器4と独立して設けられている。12はロック回路で、前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の動作出力をロックする。
【0032】
13はAND回路で、前記出力制限用タイマ−72からの入力側がインヒビットとなっており、前記零相差動継電器4からの入力があっても前記出力制限用タイマ−72からの入力があれば動作出力はなく、前記零相差動継電器4からの入力があり且つ前記出力制限用タイマ−72からの入力が無ければ動作出力を出す。尚、前記ロック回路12は、前記出力制限用タイマ−72と前記AND回路13とで構成されている。
【0033】
次に図2の動作について説明する。図2において、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとを、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4に入力し、且つ、前記電力線側の短絡検出用の計器用変流器CT3の2次側の電流2dを、別の短絡検出リレ−機能を有する継電器11に入力する。
【0034】
このような入力構成において、電力系統が健全であれば、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5も、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dも、それぞれ零であるので、両電流5,3dの総和は零であり、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4は動作しない。
【0035】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となり、やはり零相差動継電器4は動作しない。
【0036】
また、内部の地絡事故の場合は、保護区間9内の地絡点に流れ込む電流により、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ向きであり、両電流5,3dの総和が整定値を超えれば零相差動継電器4は動作し、動作が継続すれば、時限協調用タイマ71はカウントし続け、所定量カウントした結果としてトリップ信号を遮断器8に送り、遮断器8はトリップ(開放)する。
【0037】
更に、外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(例えば2相地絡時など)は、保護区管9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となる筈である。しかしながら、短絡電流も重なっているために送電線側の計器用変流器CT1が飽和することで、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dが正規の値(CT飽和が無い場合の値)より減少し、外部事故であるにも拘わらず、零相差動継電器4の見る前記両電流5,3dの総和が零でなくなる場合、零相差動継電器4は動作(不要動作)することがある。
【0038】
そこで短絡検出機能を有する短絡検出継電器11において、前記計器用変流器CT1が飽和した原因となる短絡電流を検出動作しその動作出力を、ロック回路12に送ることで、前記零相差動継電器4の動作信号が継続して時限協調用タイマ71をカウントアップし遮断器8をトリップ(開放)するル−トを、一定の時間(前記出力制限用タイマ−72の機能)、ロックする。その結果、遮断器8は不要なトリップ(開放)には至らなく、全体として零相差動リレ−システムとして誤動作防止対策がなされる。なお、変圧器6の保護の場合に限らず、電力線1に3次巻線付の計器用変流器を複数個設置し、各計器用変流器の夫々の3次側電流を零相差動継電器4に導入した構成にこの実施の形態3を適用してもよく、その場合も、複数個の計器用変流器のうちの何れかのCT飽和で零相差動継電器4が前記不要動作をする場合でも、前述と同様な誤動作防止対策効果を呈する。
【0039】
このようにして、短絡検出に地絡検出用の計器用変流器とは別の計器用変流器を使っても、保護区間9の外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(2相地絡事故時など)に遮断器8の不要なトリップ(開放)には至らなく、零相差動リレ−システムによる誤動作防止対策が実現できる。
【0040】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図である。図1において、1は電力系統の電力線、CT1はこの電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2dは前記計器用変流器CT1の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、71は時限協調用のタイマ−で、入力が所定時間続くと出力ONとなる。72は出力制限用タイマ−で、入力がなくなると所定時間後に出力OFFとなる。
【0041】
8は遮断器、9は前記零相差動リレ−機能4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。なお、この保護区間9外における地絡事故、短絡事故は一般的に、外部地絡、外部短絡と言い、広義には外部事故と言う。
【0042】
10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流、11は短絡検出リレ−機能、12はロック回路機能で、前記零相差動リレ−機能4の動作出力をロックする。13はAND回路機能で、前記出力制限用タイマ−72からの入力側がインヒビットとなっており、前記零相差動リレ−機能4からの入力があっても前記出力制限用タイマ−72からの入力があれば動作出力はなく、前記零相差動リレ−機能4からの入力があり且つ前記出力制限用タイマ−72からの入力が無ければ動作出力を出す。尚、前記ロック回路機能12は、前記出力制限用タイマ−72と前記AND回路機能13とで構成されている。14はディジタルリレ−機能ユニットで、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12を、単一ユニットとして有している。
【0043】
次に図3の動作について説明する。図3において、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとを、零相差動リレ−機能4に入力し、且つ、前記電力線側の計器用変流器CT1の2次側の電流2dを、別の短絡検出リレ−機能11に入力する。
【0044】
このような入力構成において、電力系統が健全であれば、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5も、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dも、それぞれ零であるので、両電流5,3dの総和は零であり、零相差動リレ−機能4は動作しない。
【0045】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となり、やはり零相差動リレ−機能4は動作しない。
【0046】
また、内部の地絡事故の場合は、保護区間9内の地絡点に流れ込む電流により、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ向きであり、両電流5,3dの総和が整定値を超えれば零相差動リレ−機能4は動作し、動作が継続すれば、時限協調用タイマ71はカウントし続け、所定量カウントした結果としてトリップ信号を遮断器8に送り、遮断器8はトリップ(開放)する。
【0047】
更に、外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(例えば2相地絡時など)は、保護区管9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となる筈である。しかしながら、短絡電流も重なっているために電力線側の計器用変流器CT1が飽和することで、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dが正規の値(CT飽和が無い場合の値)より減少し、外部事故であるにも拘わらず、零相差動リレ−機能4の見る前記両電流5,3dの総和が零でなくなる場合、零相差動リレ−機能4は動作(不要動作)することがある。
【0048】
そこで短絡検出リレ−機能11において、前記計器用変流器CT1が飽和した原因となる短絡電流を検出動作しその動作出力を、ロック回路機能12に送ることで、前記零相差動リレ−機能4の動作信号が継続して時限協調用タイマ71をカウントアップし遮断器8をトリップ(開放)するル−トを、一定の時間(前記出力制限用タイマ−72の機能)、ロックする。その結果、遮断器8は不要なトリップ(開放)には至らなく、全体として零相差動リレ−システムとして誤動作防止対策がなされる。なお、前述のロックする時間は、変圧器6が破壊するまでの時間との時限協調によるが、短絡事故に比べては、地絡事故時のエネルギ−の流入は小さく一般に協調はとりやすい。
【0049】
このようにして、零相差動リレ−機能4、短絡検出リレ−機能11、及びロック回路機能12を、単一の同一のディジタルリレ−機能ユニット上に設けた零相差動リレ−システムにおいて、保護区間9の外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(2相地絡事故時など)にも遮断器8の不要なトリップ(開放)には至らなく、零相差動リレ−システムによる誤動作防止対策が実現できる。
【0050】
なお、前述のディジタルリレ−機能ユニット14は、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12をハ−ドウェアとして有していても良い。また、このディジタルリレ−機能ユニット14は、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12の各々の処理アルゴリズムをソフトウェアで実行するようにしても良く、その場合は、前記ディジタルリレ−機能ユニット14は、マイクロプロセッサ等に前記各機能のソフトを搭載したものとなる。
【0051】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図である。図4において、1は電力系統の電力線、CT1はこの電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、CT3は電力線1側に前記計器用変流器CT1とは別に設けられた短絡検出用の計器用変流器、1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2dは前記短絡検出用の計器用変流器CT3の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、71は時限協調用のタイマ−で、入力が所定時間続くと出力ONとなる。72は出力制限用タイマ−で、入力がなくなると所定時間後に出力OFFとなる。
【0052】
8は遮断器、9は前記零相差動リレ−機能4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。なお、この保護区間9外における地絡事故、短絡事故は一般的に、外部地絡、外部短絡と言い、広義には外部事故と言う。
【0053】
10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流、11は短絡検出リレ−機能、12はロック回路機能で、前記零相差動リレ−機能4の動作出力をロックする。13はAND回路機能で、前記出力制限用タイマ−72からの入力側がインヒビットとなっており、前記零相差動リレ−機能4からの入力があっても前記出力制限用タイマ−72からの入力があれば動作出力はなく、前記零相差動リレ−機能4からの入力があり且つ前記出力制限用タイマ−72からの入力が無ければ動作出力を出す。尚、前記ロック回路機能12は、前記出力制限用タイマ−72と前記AND回路機能13とで構成されている。14はディジタルリレ−機能ユニットで、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12を、単一ユニットとして有している。
【0054】
次に図4の動作について説明する。図4において、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとを、零相差動リレ−機能4に入力し、且つ、前記電力線側の短絡検出用の計器用変流器CT3の2次側の電流2dを、別の短絡検出リレ−機能11に入力する。
【0055】
このような入力構成において、電力系統が健全であれば、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5も、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dも、それぞれ零であるので、両電流5,3dの総和は零であり、零相差動リレ−機能4は動作しない。
【0056】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となり、やはり零相差動動リレ−機能4は動作しない。
【0057】
また、内部の地絡事故の場合は、保護区間9内の地絡点に流れ込む電流により、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ向きであり、両電流5,3dの総和が整定値を超えれば零相差動動リレ−機能4は動作し、動作が継続すれば、時限協調用タイマ71はカウントし続け、所定量カウントした結果としてトリップ信号を遮断器8に送り、遮断器8はトリップ(開放)する。
【0058】
更に、外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(例えば2相地絡時など)は、保護区管9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となる筈である。しかしながら、短絡電流も重なっているために電力線側の計器用変流器CT1が飽和することで、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dが正規の値(CT飽和が無い場合の値)より減少し、外部事故であるにも拘わらず、零相差動動リレ−機能4の見る前記両電流5,3dの総和が零でなくなる場合、零相差動動リレ−機能4は動作(不要動作)することがある。
【0059】
そこで短絡検出機能を有する短絡検出動リレ−機能11において、前記計器用変流器CT1が飽和した原因となる短絡電流を検出動作しその動作出力を、ロック回路12に送ることで、前記零相差動動リレ−機能4の動作信号が継続して時限協調用タイマ71をカウントアップし遮断器8をトリップ(開放)するル−トを、一定の時間(前記出力制限用タイマ−72の機能)、ロックする。その結果、遮断器8は不要なトリップ(開放)には至らなく、全体として零相差動リレ−システムとして誤動作防止対策がなされる。なお、変圧器6の保護の場合に限らず、電力線1に3次巻線付の計器用変流器を複数個設置し、各計器用変流器の夫々の3次側電流を零相差動動リレ−機能4に導入した構成にこの実施の形態3を適用してもよく、その場合も、複数個の計器用変流器のうちの何れかのCT飽和で零相差動動リレ−機能4が前記不要動作をする場合でも、前述と同様な誤動作防止対策効果を呈する。
【0060】
このようにして、零相差動リレ−機能4、短絡検出リレ−機能11、及びロック回路機能12を、単一の同一のディジタルリレ−機能ユニット上に設けた零相差動リレ−システムとし、且つ、前記短絡検出に地絡検出用の計器用変流器とは別の計器用変流器を使っても、保護区間9の外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(2相地絡事故時など)に遮断器8の不要なトリップ(開放)には至らなく、零相差動リレ−システムによる誤動作防止対策が実現できる。
【0061】
なお、前述のディジタルリレ−機能ユニット14は、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12をハ−ドウェアとして有していても良い。また、このディジタルリレ−機能ユニット14は、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12の各々の処理アルゴリズムをソフトウェアで実行するようにしても良く、その場合は、前記ディジタルリレ−機能ユニット14は、マイクロプロセッサ等に前記各機能のソフトを搭載したものとなる。
【0062】
実施の形態5.
図5はこの発明の実施の形態5における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図である。図5において、1は電力系統の電力線、CT1はこの電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、CT31及びCT32は電力線1側に前記計器用変流器CT1とは別に設けられた計器用変流器で、後述の比率差動継電器用である。1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2d1及び2d2は前記比率差動継電器用の計器用変流器CT31及びCT32の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、71は時限協調用のタイマ−で、入力が所定時間続くと出力ONとなる。72は出力制限用タイマ−で、入力がなくなると所定時間後に出力OFFとなる。
【0063】
8は遮断器、9は前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。なお、この保護区間9外における地絡事故、短絡事故は一般的に、外部地絡、外部短絡と言い、広義には外部事故と言う。
【0064】
10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流、11は短絡検出リレ−機能を有する継電器で、前記零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4とは別体の継電器が当該零相差動継電器4と独立して設けられている。12はロック回路で、前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の動作出力をロックする。
【0065】
13はAND回路で、前記出力制限用タイマ−72からの入力側がインヒビットとなっており、前記零相差動継電器4からの入力があっても前記出力制限用タイマ−72からの入力があれば動作出力はなく、前記零相差動継電器4からの入力があり且つ前記出力制限用タイマ−72からの入力が無ければ動作出力を出す。尚、前記ロック回路12は、前記出力制限用タイマ−72と前記AND回路13とで構成されている。15は比率差動リレ−機能を有する比率差動継電器で、前記比率差動継電器用の計器用変流器CT31及びCT32の2次側の電流2d1及び2d2を入力し、出力(抑制量)を前記出力制限用タイマ−72へ送出する。
【0066】
次に図5の動作について説明する。図5において、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとを、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4に入力し、且つ、前記電力線側の計器用変流器CT31及びCT32の2次側の電流2d1及び2d2を、別の比率差動リレ−機能を有する比率差動継電器15に入力する。
【0067】
このような入力構成において、電力系統が健全であれば、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5も、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dも、それぞれ零であるので、両電流5,3dの総和は零であり、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4は動作しない。
【0068】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となり、やはり零相差動継電器4は動作しない。
【0069】
また、内部の地絡事故の場合は、保護区間9内の地絡点に流れ込む電流により、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ向きであり、両電流5,3dの総和が整定値を超えれば零相差動継電器4は動作し、動作が継続すれば、時限協調用タイマ71はカウントし続け、所定量カウントした結果としてトリップ信号を遮断器8に送り、遮断器8はトリップ(開放)する。
【0070】
更に、外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(例えば2相地絡時など)は、保護区管9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となる筈である。しかしながら、短絡電流も重なっているために電力線側の計器用変流器CT1が飽和することで、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dが正規の値(CT飽和が無い場合の値)より減少し、外部事故であるにも拘わらず、零相差動継電器4の見る前記両電流5,3dの総和が零でなくなる場合、零相差動継電器4は動作(不要動作)することがある。
【0071】
そこで比率差動リレ−機能を有する比率差動継電器15の抑制量出力をもって当該比率差動継電器15の外部の短絡事故を知り、前記計器用変流器CT1が飽和した原因となる短絡電流を検出する。そして零相差動継電器4の動作出力をロックするロック回路12に、比率差動継電器15の抑制量出力があることを示す信号を送ることで、前記零相差動継電器4の動作信号が継続して時限協調用タイマ71をカウントアップし遮断器8をトリップ(開放)するル−トを、一定の時間(前記出力制限用タイマ−72の機能)、ロックする。その結果、遮断器8は不要なトリップ(開放)には至らなく、全体として零相差動リレ−システムとして誤動作防止対策がなされる。
【0072】
このようにして、零相差動継電器4とは別の継電器として比率差動継電器15を使っても、保護区間9の外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(2相地絡事故時など)に遮断器8の不要なトリップ(開放)には至らなく、零相差動リレ−システムによる誤動作防止対策が実現できる。
【0073】
なお、この発明の実施の形態5において、前述の実施の形態3及び実施の形態4の場合と同様に、前記零相差動継電器(零相差動リレ−機能)4、比率差動継電器(比率差動リレ−機能)15、及び前記ロック回路(ロック回路機能)12を同一ユニット上に、ハ−ドウェアとして設けてもよい。また、前記零相差動リレ−機能4、前記比率差動リレ−機能15、及び前記ロック回路機能12の各々の処理アルゴリズムをソフトウェアで実行するようにしてもよく、その場合は、前記ディジタルリレ−機能ユニット14は、マイクロプロセッサ等に前記各機能のソフトを搭載したものとなる。
【0074】
【発明の効果】
請求項1に記載の零相差動リレ−システムの発明は、零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設け、この短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにしたので、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【0075】
請求項2に記載の零相差動リレ−システムの発明は、請求項1に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器の出力を、前記短絡検出リレ−機能の入力とするようにしたので、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設けこの短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにすることに併せ、単に、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器を利用してその出力を前記短絡検出リレ−機能の入力とすることで、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【0076】
請求項3に記載の零相差動リレ−システムの発明は、請求項1に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器とは別の計器用変流器CTの出力を、前記短絡検出リレ−機能の入力とするようにしたので、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設けこの短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにすることに併せ、単に、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器とは別に前記短絡検出リレ−機能用の別の計器用変流器を設けることで、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【0077】
請求項4に記載の零相差動リレ−システムの発明は、請求項1〜請求項3の何れか一に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とを各々別の継電器としたので、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設けこの短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにすることに併せ、単に、既存の零相差動継電器以外に短絡検出継電器を追加設置してその出力により、既存の零相差動継電器による前記トリップ信号をロックすることで、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【0078】
請求項5に記載の零相差動リレ−システムの発明は、請求項1〜請求項3の何れか一に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とを各々同一ユニットに設けたので、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設けこの短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにすることに併せ、前記前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とをディジタル化且つ単一ユニット化して小形軽量化もすることで、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【0079】
請求項6に記載の零相差動リレ−システムの発明は、零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、比率差動リレ−機能を設け、この比率差動リレ−機能の抑制量の出力により前記トリップ信号をロックするようにしたので、請求項1の発明における短絡検出リレ−機能に代え、比率差動リレ−機能を利用することで、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図。
【図2】この発明の実施の形態2における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図。
【図3】この発明の実施の形態3における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図。
【図4】この発明の実施の形態4における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図。
【図5】この発明の実施の形態5における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図。
【図6】従来の零相差動リレ−システムを示す回路図。
【符号の説明】
1 電力線、
CT1,CT2,CT3,CT31,CT32 計器用変流器、
1d CT1の1次電流、 2d CT3の2次電流、
2d1,2d2 CT31,CT32の2次電流、
3d CT1の3次電流、 4 零相差動リレ−機能、
5 CT2の2次電流、 6 変圧器、
8 遮断器、 9 保護区間、
10 地絡電流、 11 短絡検出リレ−機能、
12 ロック回路機能、 13 AND回路機能、
14 ディジタルリレ−機能ユニット、 15 比率差動リレ−機能。
【発明の属する技術分野】
この発明は、零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有し、電力系統保護、変圧器保護、等に適用される零相差動リレ−システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の零相差動リレ−システムを示すシステム構成図で、同図において、1は電力線、CT1は電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2dは前記計器用変流器CT1の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、7は時限既協調用のタイマ−、8は遮断器である。
【0003】
9は前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。図は主として前記被保護変圧器6の保護であり、変圧器保護用の零相差動リレ−システムの事例である。なお、この保護区間9外の事故は外部事故と言う。10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流である。
【0004】
次に動作について説明する。従来においては零相差動継電器4には電力線側計器用変流器CT1の2次側電流2dは用いず、中性点側計器用変流器CT2の2次側電流5と、前記電力線側計器用変流器CT1の3次側電流3dとが零相差動継電器4に入力されている。そして、前記零相差動継電器4は前記入力される電流の総和が整定値より大きければ動作となり、前記遮断器8をトリップする。即ち、前記零相差動継電器4は、前記中性点側計器用変流器CT2の2次側電流5と前記電力線側計器用変流器CT1の3次側電流3dとの総和が整定値より大きければ動作となり、前記遮断器8をトリップする。
【0005】
電力系統が健全であれば、前記中性点側計器用変流器CT2の2次側電流5も前記電力線側計器用変流器CT1の3次側電流3dも夫々零でるので、その総和も零であり、前記零相差動継電器4は動作しない。従って、前記遮断器8は投入(ON)状態を維持する。
【0006】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、この零相電流10による前記中性点側計器用変流器CT2の2次側電流5と前記電力線側計器用変流器CT1の3次側電流3dとは同じ大きさの電流であって電流の向きが逆なので、それら2次側電流5と3次側電流3dとの総和は零となり、前記零相差動継電器4はやはり動作しない。従って、前記遮断器8は投入(ON)状態を依然として維持し、前記保護区間9は充電状態を維持する。
【0007】
また、前記保護区間9内部の地絡事故の場合は、地絡電流は地絡事故点に流入するので、地絡事故点が前記前記中性点側計器用変流器CT2と前記電力線側計器用変流器CT1との間であれば、前記中性点側計器用変流器CT2の2次側電流5と前記電力線側計器用変流器CT1の3次側電流3dとは電流の向きが逆となるので、両者の電流の総和が整定値を超えれば前記零相差動継電器4は動作し、この動作が継続すればタイマ−7のカウントが進みカウント数が所定値を超えれば、当該タイマ−7が出力して、前記遮断器8をトリップし、この保護区間9を充電系統から切り離し、この保護区間9を保護する。即ち、変圧器6は保護される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような電力線側CT1の3次側電流3dを使った従来の零相差動リレ−システムでは、外部の地絡事故に短絡事故が重なったとき、例えば外部の2線地絡の場合、短絡電流のために計器用変流器CTが飽和すれば、前記計器用変流器CT1の3次側電流3dが正規の値より減少し、外部の地絡事故であるにも拘わらず、前記零相差動継電器4の見る前記総和の電流は零にはならず、前記遮断器8のトリップに至る(即ち誤動作に至る)場合が生じる。
【0009】
電力系統の安定したエネルギ−供給の観点で、従来の零相差動リレ−システムでは、前述のような遮断器8の不用意なトリップが起こり得ることから、エネルギ−安定供給の信頼度が低下する。また、これを避けるために、前記タイマ−7の設定値を伸ばして前記計器用変流器CT1の飽和の回復を待つことは、地絡事故のみの場合における他の保護装置との協調上、問題がある。
【0010】
この発明は前述のような課題を解決するためになされたものであり、電力系統のエネルギ−安定供給のため、前述のような不用意な遮断器のトリップを生起しないように、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作を防止することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設け、この短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするものである。
【0012】
請求項2に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、請求項1に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器の出力を、前記短絡検出リレ−機能の入力とするものである。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、請求項1に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器とは別の計器用変流器CTの出力を、前記短絡検出リレ−機能の入力とするものである。
【0014】
請求項4に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、請求項1〜請求項3の何れか一に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とを各々別の継電器としたものである。
【0015】
請求項5に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、請求項1〜請求項3の何れか一に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とを各々同一ユニットに設けたものである。
【0016】
請求項6に記載の発明に係る零相差動リレ−システムは、零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、比率差動リレ−機能を設け、この比率差動リレ−機能の抑制量の出力により前記トリップ信号をロックするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図である。
【0018】
図1において、1は電力系統の電力線、CT1はこの電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2dは前記計器用変流器CT1の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、71は時限協調用のタイマ−で、入力が所定時間続くと出力ONとなる。72は出力制限用タイマ−で、入力がなくなると所定時間後に出力OFFとなる。
【0019】
8は遮断器、9は前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。なお、この保護区間9外における地絡事故、短絡事故は一般的に、外部地絡、外部短絡と言い、広義には外部事故と言う。
【0020】
10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流、11は短絡検出リレ−機能を有する継電器で、前記零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4とは別体の継電器が当該零相差動継電器4と独立して設けられている。12はロック回路で、前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の動作出力をロックする。
【0021】
13はAND回路で、前記出力制限用タイマ−72からの入力側がインヒビットとなっており、前記零相差動継電器4からの入力があっても前記出力制限用タイマ−72からの入力があれば動作出力はなく、前記零相差動継電器4からの入力があり且つ前記出力制限用タイマ−72からの入力が無ければ動作出力を出す。尚、前記ロック回路12は、前記出力制限用タイマ−72と前記AND回路13とで構成されている。
【0022】
次に図1の動作について説明する。図1において、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとを、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4に入力し、且つ、前記電力線側の計器用変流器CT1の2次側の電流2dを、別の短絡検出リレ−機能を有する継電器11に入力する。
【0023】
このような入力構成において、電力系統が健全であれば、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5も、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dも、それぞれ零であるので、両電流5,3dの総和は零であり、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4は動作しない。
【0024】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となり、やはり零相差動継電器4は動作しない。
【0025】
また、内部の地絡事故の場合は、保護区間9内の地絡点に流れ込む電流により、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ向きであり、両電流5,3dの総和が整定値を超えれば零相差動継電器4は動作し、動作が継続すれば、時限協調用タイマ71はカウントし続け、所定量カウントした結果としてトリップ信号を遮断器8に送り、遮断器8はトリップ(開放)する。
【0026】
更に、外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(例えば2相地絡時など)は、保護区管9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となる筈である。しかしながら、短絡電流も重なっているために電力線側の計器用変流器CT1が飽和することで、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dが正規の値(CT飽和が無い場合の値)より減少し、外部事故であるにも拘わらず、零相差動継電器4の見る前記両電流5,3dの総和が零でなくなる場合、零相差動継電器4は動作(不要動作)することがある。
【0027】
そこで短絡検出機能を有する短絡検出継電器11において、前記計器用変流器CT1が飽和した原因となる短絡電流を検出動作しその動作出力を、ロック回路12に送ることで、前記零相差動継電器4の動作信号が継続して時限協調用タイマ71をカウントアップし遮断器8をトリップ(開放)するル−トを、一定の時間(前記出力制限用タイマ−72の機能)、ロックする。その結果、遮断器8は不要なトリップ(開放)には至らなく、全体として零相差動リレ−システムとして誤動作防止対策がなされる。なお、前述のロックする時間は、変圧器6が破壊するまでの時間との時限協調によるが、短絡事故に比べては、地絡事故時のエネルギ−の流入は小さく一般に協調はとりやすい。
【0028】
このようにして、保護区間9の外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(2相地絡事故時など)にも遮断器8の不要なトリップ(開放)には至らなく、零相差動リレ−システムによる誤動作防止対策が実現できる。
【0029】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図である。図2において、1は電力系統の電力線、CT1はこの電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、CT3は電力送電線1側に前記計器用変流器CT1とは別に設けられた短絡検出用の計器用変流器、1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2dは前記短絡検出用の計器用変流器CT3の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、71は時限協調用のタイマ−で、入力が所定時間続くと出力ONとなる。72は出力制限用タイマ−で、入力がなくなると所定時間後に出力OFFとなる。
【0030】
8は遮断器、9は前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。なお、この保護区間9外における地絡事故、短絡事故は一般的に、外部地絡、外部短絡と言い、広義には外部事故と言う。
【0031】
10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流、11は短絡検出リレ−機能を有する継電器で、前記零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4とは別体の継電器が当該零相差動継電器4と独立して設けられている。12はロック回路で、前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の動作出力をロックする。
【0032】
13はAND回路で、前記出力制限用タイマ−72からの入力側がインヒビットとなっており、前記零相差動継電器4からの入力があっても前記出力制限用タイマ−72からの入力があれば動作出力はなく、前記零相差動継電器4からの入力があり且つ前記出力制限用タイマ−72からの入力が無ければ動作出力を出す。尚、前記ロック回路12は、前記出力制限用タイマ−72と前記AND回路13とで構成されている。
【0033】
次に図2の動作について説明する。図2において、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとを、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4に入力し、且つ、前記電力線側の短絡検出用の計器用変流器CT3の2次側の電流2dを、別の短絡検出リレ−機能を有する継電器11に入力する。
【0034】
このような入力構成において、電力系統が健全であれば、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5も、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dも、それぞれ零であるので、両電流5,3dの総和は零であり、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4は動作しない。
【0035】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となり、やはり零相差動継電器4は動作しない。
【0036】
また、内部の地絡事故の場合は、保護区間9内の地絡点に流れ込む電流により、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ向きであり、両電流5,3dの総和が整定値を超えれば零相差動継電器4は動作し、動作が継続すれば、時限協調用タイマ71はカウントし続け、所定量カウントした結果としてトリップ信号を遮断器8に送り、遮断器8はトリップ(開放)する。
【0037】
更に、外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(例えば2相地絡時など)は、保護区管9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となる筈である。しかしながら、短絡電流も重なっているために送電線側の計器用変流器CT1が飽和することで、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dが正規の値(CT飽和が無い場合の値)より減少し、外部事故であるにも拘わらず、零相差動継電器4の見る前記両電流5,3dの総和が零でなくなる場合、零相差動継電器4は動作(不要動作)することがある。
【0038】
そこで短絡検出機能を有する短絡検出継電器11において、前記計器用変流器CT1が飽和した原因となる短絡電流を検出動作しその動作出力を、ロック回路12に送ることで、前記零相差動継電器4の動作信号が継続して時限協調用タイマ71をカウントアップし遮断器8をトリップ(開放)するル−トを、一定の時間(前記出力制限用タイマ−72の機能)、ロックする。その結果、遮断器8は不要なトリップ(開放)には至らなく、全体として零相差動リレ−システムとして誤動作防止対策がなされる。なお、変圧器6の保護の場合に限らず、電力線1に3次巻線付の計器用変流器を複数個設置し、各計器用変流器の夫々の3次側電流を零相差動継電器4に導入した構成にこの実施の形態3を適用してもよく、その場合も、複数個の計器用変流器のうちの何れかのCT飽和で零相差動継電器4が前記不要動作をする場合でも、前述と同様な誤動作防止対策効果を呈する。
【0039】
このようにして、短絡検出に地絡検出用の計器用変流器とは別の計器用変流器を使っても、保護区間9の外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(2相地絡事故時など)に遮断器8の不要なトリップ(開放)には至らなく、零相差動リレ−システムによる誤動作防止対策が実現できる。
【0040】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図である。図1において、1は電力系統の電力線、CT1はこの電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2dは前記計器用変流器CT1の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、71は時限協調用のタイマ−で、入力が所定時間続くと出力ONとなる。72は出力制限用タイマ−で、入力がなくなると所定時間後に出力OFFとなる。
【0041】
8は遮断器、9は前記零相差動リレ−機能4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。なお、この保護区間9外における地絡事故、短絡事故は一般的に、外部地絡、外部短絡と言い、広義には外部事故と言う。
【0042】
10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流、11は短絡検出リレ−機能、12はロック回路機能で、前記零相差動リレ−機能4の動作出力をロックする。13はAND回路機能で、前記出力制限用タイマ−72からの入力側がインヒビットとなっており、前記零相差動リレ−機能4からの入力があっても前記出力制限用タイマ−72からの入力があれば動作出力はなく、前記零相差動リレ−機能4からの入力があり且つ前記出力制限用タイマ−72からの入力が無ければ動作出力を出す。尚、前記ロック回路機能12は、前記出力制限用タイマ−72と前記AND回路機能13とで構成されている。14はディジタルリレ−機能ユニットで、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12を、単一ユニットとして有している。
【0043】
次に図3の動作について説明する。図3において、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとを、零相差動リレ−機能4に入力し、且つ、前記電力線側の計器用変流器CT1の2次側の電流2dを、別の短絡検出リレ−機能11に入力する。
【0044】
このような入力構成において、電力系統が健全であれば、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5も、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dも、それぞれ零であるので、両電流5,3dの総和は零であり、零相差動リレ−機能4は動作しない。
【0045】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となり、やはり零相差動リレ−機能4は動作しない。
【0046】
また、内部の地絡事故の場合は、保護区間9内の地絡点に流れ込む電流により、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ向きであり、両電流5,3dの総和が整定値を超えれば零相差動リレ−機能4は動作し、動作が継続すれば、時限協調用タイマ71はカウントし続け、所定量カウントした結果としてトリップ信号を遮断器8に送り、遮断器8はトリップ(開放)する。
【0047】
更に、外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(例えば2相地絡時など)は、保護区管9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となる筈である。しかしながら、短絡電流も重なっているために電力線側の計器用変流器CT1が飽和することで、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dが正規の値(CT飽和が無い場合の値)より減少し、外部事故であるにも拘わらず、零相差動リレ−機能4の見る前記両電流5,3dの総和が零でなくなる場合、零相差動リレ−機能4は動作(不要動作)することがある。
【0048】
そこで短絡検出リレ−機能11において、前記計器用変流器CT1が飽和した原因となる短絡電流を検出動作しその動作出力を、ロック回路機能12に送ることで、前記零相差動リレ−機能4の動作信号が継続して時限協調用タイマ71をカウントアップし遮断器8をトリップ(開放)するル−トを、一定の時間(前記出力制限用タイマ−72の機能)、ロックする。その結果、遮断器8は不要なトリップ(開放)には至らなく、全体として零相差動リレ−システムとして誤動作防止対策がなされる。なお、前述のロックする時間は、変圧器6が破壊するまでの時間との時限協調によるが、短絡事故に比べては、地絡事故時のエネルギ−の流入は小さく一般に協調はとりやすい。
【0049】
このようにして、零相差動リレ−機能4、短絡検出リレ−機能11、及びロック回路機能12を、単一の同一のディジタルリレ−機能ユニット上に設けた零相差動リレ−システムにおいて、保護区間9の外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(2相地絡事故時など)にも遮断器8の不要なトリップ(開放)には至らなく、零相差動リレ−システムによる誤動作防止対策が実現できる。
【0050】
なお、前述のディジタルリレ−機能ユニット14は、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12をハ−ドウェアとして有していても良い。また、このディジタルリレ−機能ユニット14は、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12の各々の処理アルゴリズムをソフトウェアで実行するようにしても良く、その場合は、前記ディジタルリレ−機能ユニット14は、マイクロプロセッサ等に前記各機能のソフトを搭載したものとなる。
【0051】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図である。図4において、1は電力系統の電力線、CT1はこの電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、CT3は電力線1側に前記計器用変流器CT1とは別に設けられた短絡検出用の計器用変流器、1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2dは前記短絡検出用の計器用変流器CT3の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、71は時限協調用のタイマ−で、入力が所定時間続くと出力ONとなる。72は出力制限用タイマ−で、入力がなくなると所定時間後に出力OFFとなる。
【0052】
8は遮断器、9は前記零相差動リレ−機能4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。なお、この保護区間9外における地絡事故、短絡事故は一般的に、外部地絡、外部短絡と言い、広義には外部事故と言う。
【0053】
10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流、11は短絡検出リレ−機能、12はロック回路機能で、前記零相差動リレ−機能4の動作出力をロックする。13はAND回路機能で、前記出力制限用タイマ−72からの入力側がインヒビットとなっており、前記零相差動リレ−機能4からの入力があっても前記出力制限用タイマ−72からの入力があれば動作出力はなく、前記零相差動リレ−機能4からの入力があり且つ前記出力制限用タイマ−72からの入力が無ければ動作出力を出す。尚、前記ロック回路機能12は、前記出力制限用タイマ−72と前記AND回路機能13とで構成されている。14はディジタルリレ−機能ユニットで、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12を、単一ユニットとして有している。
【0054】
次に図4の動作について説明する。図4において、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとを、零相差動リレ−機能4に入力し、且つ、前記電力線側の短絡検出用の計器用変流器CT3の2次側の電流2dを、別の短絡検出リレ−機能11に入力する。
【0055】
このような入力構成において、電力系統が健全であれば、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5も、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dも、それぞれ零であるので、両電流5,3dの総和は零であり、零相差動リレ−機能4は動作しない。
【0056】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となり、やはり零相差動動リレ−機能4は動作しない。
【0057】
また、内部の地絡事故の場合は、保護区間9内の地絡点に流れ込む電流により、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ向きであり、両電流5,3dの総和が整定値を超えれば零相差動動リレ−機能4は動作し、動作が継続すれば、時限協調用タイマ71はカウントし続け、所定量カウントした結果としてトリップ信号を遮断器8に送り、遮断器8はトリップ(開放)する。
【0058】
更に、外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(例えば2相地絡時など)は、保護区管9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となる筈である。しかしながら、短絡電流も重なっているために電力線側の計器用変流器CT1が飽和することで、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dが正規の値(CT飽和が無い場合の値)より減少し、外部事故であるにも拘わらず、零相差動動リレ−機能4の見る前記両電流5,3dの総和が零でなくなる場合、零相差動動リレ−機能4は動作(不要動作)することがある。
【0059】
そこで短絡検出機能を有する短絡検出動リレ−機能11において、前記計器用変流器CT1が飽和した原因となる短絡電流を検出動作しその動作出力を、ロック回路12に送ることで、前記零相差動動リレ−機能4の動作信号が継続して時限協調用タイマ71をカウントアップし遮断器8をトリップ(開放)するル−トを、一定の時間(前記出力制限用タイマ−72の機能)、ロックする。その結果、遮断器8は不要なトリップ(開放)には至らなく、全体として零相差動リレ−システムとして誤動作防止対策がなされる。なお、変圧器6の保護の場合に限らず、電力線1に3次巻線付の計器用変流器を複数個設置し、各計器用変流器の夫々の3次側電流を零相差動動リレ−機能4に導入した構成にこの実施の形態3を適用してもよく、その場合も、複数個の計器用変流器のうちの何れかのCT飽和で零相差動動リレ−機能4が前記不要動作をする場合でも、前述と同様な誤動作防止対策効果を呈する。
【0060】
このようにして、零相差動リレ−機能4、短絡検出リレ−機能11、及びロック回路機能12を、単一の同一のディジタルリレ−機能ユニット上に設けた零相差動リレ−システムとし、且つ、前記短絡検出に地絡検出用の計器用変流器とは別の計器用変流器を使っても、保護区間9の外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(2相地絡事故時など)に遮断器8の不要なトリップ(開放)には至らなく、零相差動リレ−システムによる誤動作防止対策が実現できる。
【0061】
なお、前述のディジタルリレ−機能ユニット14は、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12をハ−ドウェアとして有していても良い。また、このディジタルリレ−機能ユニット14は、前記零相差動リレ−機能4、前記短絡検出リレ−機能11、及び前記ロック回路機能12の各々の処理アルゴリズムをソフトウェアで実行するようにしても良く、その場合は、前記ディジタルリレ−機能ユニット14は、マイクロプロセッサ等に前記各機能のソフトを搭載したものとなる。
【0062】
実施の形態5.
図5はこの発明の実施の形態5における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図である。図5において、1は電力系統の電力線、CT1はこの電力線1側の計器用変流器、CT2は後述の中性点接地線61側の計器用変流器、CT31及びCT32は電力線1側に前記計器用変流器CT1とは別に設けられた計器用変流器で、後述の比率差動継電器用である。1dは前記計器用変流器CT1の1次側の電流、即ち前記電力線1の電流である。2d1及び2d2は前記比率差動継電器用の計器用変流器CT31及びCT32の2次側の電流、3dは前記計器用変流器CT1の3次側の電流、4は零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器、5は前記中性点接地線61側の計器用変流器CT2の2次側の電流、6は被保護変圧器、61はこの変圧器の中性点接地線、71は時限協調用のタイマ−で、入力が所定時間続くと出力ONとなる。72は出力制限用タイマ−で、入力がなくなると所定時間後に出力OFFとなる。
【0063】
8は遮断器、9は前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の保護区間で、この区間内での地絡事故(内部事故)を前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4が検出して前記遮断器8をトリップし、この保護区間を充電系統から切り離し、この保護区間を保護する。なお、この保護区間9外における地絡事故、短絡事故は一般的に、外部地絡、外部短絡と言い、広義には外部事故と言う。
【0064】
10は前記保護区間9を貫通する外部地絡時の事故電流、11は短絡検出リレ−機能を有する継電器で、前記零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4とは別体の継電器が当該零相差動継電器4と独立して設けられている。12はロック回路で、前記零相差動リレ−機能を有した零相差動継電器4の動作出力をロックする。
【0065】
13はAND回路で、前記出力制限用タイマ−72からの入力側がインヒビットとなっており、前記零相差動継電器4からの入力があっても前記出力制限用タイマ−72からの入力があれば動作出力はなく、前記零相差動継電器4からの入力があり且つ前記出力制限用タイマ−72からの入力が無ければ動作出力を出す。尚、前記ロック回路12は、前記出力制限用タイマ−72と前記AND回路13とで構成されている。15は比率差動リレ−機能を有する比率差動継電器で、前記比率差動継電器用の計器用変流器CT31及びCT32の2次側の電流2d1及び2d2を入力し、出力(抑制量)を前記出力制限用タイマ−72へ送出する。
【0066】
次に図5の動作について説明する。図5において、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとを、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4に入力し、且つ、前記電力線側の計器用変流器CT31及びCT32の2次側の電流2d1及び2d2を、別の比率差動リレ−機能を有する比率差動継電器15に入力する。
【0067】
このような入力構成において、電力系統が健全であれば、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5も、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dも、それぞれ零であるので、両電流5,3dの総和は零であり、零相差動リレ−機能を有する零相差動継電器4は動作しない。
【0068】
次に外部の地絡事故の場合は、保護区間9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となり、やはり零相差動継電器4は動作しない。
【0069】
また、内部の地絡事故の場合は、保護区間9内の地絡点に流れ込む電流により、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ向きであり、両電流5,3dの総和が整定値を超えれば零相差動継電器4は動作し、動作が継続すれば、時限協調用タイマ71はカウントし続け、所定量カウントした結果としてトリップ信号を遮断器8に送り、遮断器8はトリップ(開放)する。
【0070】
更に、外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(例えば2相地絡時など)は、保護区管9に同じ大きさの零相電流10が貫通し、中性点側の計器用変流器CT2の2次電流5と電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dとは同じ大きさの電流でその向きが逆であるので、両電流5,3dの総和は零となる筈である。しかしながら、短絡電流も重なっているために電力線側の計器用変流器CT1が飽和することで、電力線側の計器用変流器CT1の3次側の電流3dが正規の値(CT飽和が無い場合の値)より減少し、外部事故であるにも拘わらず、零相差動継電器4の見る前記両電流5,3dの総和が零でなくなる場合、零相差動継電器4は動作(不要動作)することがある。
【0071】
そこで比率差動リレ−機能を有する比率差動継電器15の抑制量出力をもって当該比率差動継電器15の外部の短絡事故を知り、前記計器用変流器CT1が飽和した原因となる短絡電流を検出する。そして零相差動継電器4の動作出力をロックするロック回路12に、比率差動継電器15の抑制量出力があることを示す信号を送ることで、前記零相差動継電器4の動作信号が継続して時限協調用タイマ71をカウントアップし遮断器8をトリップ(開放)するル−トを、一定の時間(前記出力制限用タイマ−72の機能)、ロックする。その結果、遮断器8は不要なトリップ(開放)には至らなく、全体として零相差動リレ−システムとして誤動作防止対策がなされる。
【0072】
このようにして、零相差動継電器4とは別の継電器として比率差動継電器15を使っても、保護区間9の外部で短絡事故と地絡事故とが同時に起こった場合(2相地絡事故時など)に遮断器8の不要なトリップ(開放)には至らなく、零相差動リレ−システムによる誤動作防止対策が実現できる。
【0073】
なお、この発明の実施の形態5において、前述の実施の形態3及び実施の形態4の場合と同様に、前記零相差動継電器(零相差動リレ−機能)4、比率差動継電器(比率差動リレ−機能)15、及び前記ロック回路(ロック回路機能)12を同一ユニット上に、ハ−ドウェアとして設けてもよい。また、前記零相差動リレ−機能4、前記比率差動リレ−機能15、及び前記ロック回路機能12の各々の処理アルゴリズムをソフトウェアで実行するようにしてもよく、その場合は、前記ディジタルリレ−機能ユニット14は、マイクロプロセッサ等に前記各機能のソフトを搭載したものとなる。
【0074】
【発明の効果】
請求項1に記載の零相差動リレ−システムの発明は、零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設け、この短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにしたので、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【0075】
請求項2に記載の零相差動リレ−システムの発明は、請求項1に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器の出力を、前記短絡検出リレ−機能の入力とするようにしたので、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設けこの短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにすることに併せ、単に、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器を利用してその出力を前記短絡検出リレ−機能の入力とすることで、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【0076】
請求項3に記載の零相差動リレ−システムの発明は、請求項1に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器とは別の計器用変流器CTの出力を、前記短絡検出リレ−機能の入力とするようにしたので、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設けこの短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにすることに併せ、単に、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器とは別に前記短絡検出リレ−機能用の別の計器用変流器を設けることで、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【0077】
請求項4に記載の零相差動リレ−システムの発明は、請求項1〜請求項3の何れか一に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とを各々別の継電器としたので、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設けこの短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにすることに併せ、単に、既存の零相差動継電器以外に短絡検出継電器を追加設置してその出力により、既存の零相差動継電器による前記トリップ信号をロックすることで、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【0078】
請求項5に記載の零相差動リレ−システムの発明は、請求項1〜請求項3の何れか一に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とを各々同一ユニットに設けたので、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設けこの短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックするようにすることに併せ、前記前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とをディジタル化且つ単一ユニット化して小形軽量化もすることで、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【0079】
請求項6に記載の零相差動リレ−システムの発明は、零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、比率差動リレ−機能を設け、この比率差動リレ−機能の抑制量の出力により前記トリップ信号をロックするようにしたので、請求項1の発明における短絡検出リレ−機能に代え、比率差動リレ−機能を利用することで、外部の地絡事故時における短絡事故に付随して起こる零相差動リレ−システムの誤動作により不用意な遮断器のトリップを生起しないようにでき、電力系統のエネルギ−安定供給に寄与できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図。
【図2】この発明の実施の形態2における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図。
【図3】この発明の実施の形態3における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図。
【図4】この発明の実施の形態4における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図。
【図5】この発明の実施の形態5における零相差動リレ−システムを変圧器の保護に適用した場合の一例を示す回路図。
【図6】従来の零相差動リレ−システムを示す回路図。
【符号の説明】
1 電力線、
CT1,CT2,CT3,CT31,CT32 計器用変流器、
1d CT1の1次電流、 2d CT3の2次電流、
2d1,2d2 CT31,CT32の2次電流、
3d CT1の3次電流、 4 零相差動リレ−機能、
5 CT2の2次電流、 6 変圧器、
8 遮断器、 9 保護区間、
10 地絡電流、 11 短絡検出リレ−機能、
12 ロック回路機能、 13 AND回路機能、
14 ディジタルリレ−機能ユニット、 15 比率差動リレ−機能。
Claims (6)
- 零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、短絡事故を検出する短絡検出リレ−機能を設け、この短絡検出リレ−機能の出力により前記トリップ信号をロックすることを特徴とする零相差動リレ−システム。
- 請求項1に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器の出力を、前記短絡検出リレ−機能の入力とすることを特徴とする零相差動リレ−システム。
- 請求項1に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能の入力となる出力を出す計器用変流器とは別の計器用変流器CTの出力を、前記短絡検出リレ−機能の入力とすることを特徴とする零相差動リレ−システム。
- 請求項1〜請求項3の何れか一に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とが各々別の継電器であることを特徴とする零相差動リレ−システム。
- 請求項1〜請求項3の何れか一に記載の零相差動リレ−システムにおいて、前記零相差動リレ−機能と前記短絡検出リレ−機能とが各々同一ユニットに設けられていることを特徴とする零相差動リレ−システム。
- 零相電流を入力し対象保護区間内の地絡事故時に対応遮断器へのトリップ信号を出力する零相差動リレ−機能を有する零相差動リレ−システムにおいて、比率差動リレ−機能を設け、この比率差動リレ−機能の抑制量の出力により前記トリップ信号をロックすることを特徴とする零相差動リレ−システム。
Priority Applications (1)
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JP2002174712A JP2004023876A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | 零相差動リレ−システム |
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JP2002174712A JP2004023876A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | 零相差動リレ−システム |
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JP (1) | JP2004023876A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011029464A1 (de) * | 2009-09-09 | 2011-03-17 | Siemens Aktiengesellschaft | Fehlererkennung in energieversorgungsnetzen mit ungeerdetem oder gelöschtem sternpunkt |
-
2002
- 2002-06-14 JP JP2002174712A patent/JP2004023876A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011029464A1 (de) * | 2009-09-09 | 2011-03-17 | Siemens Aktiengesellschaft | Fehlererkennung in energieversorgungsnetzen mit ungeerdetem oder gelöschtem sternpunkt |
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