JP2004023819A - 電源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単相交流電源1に対してリアクトル2を介して整流回路3を接続し、整流回路3の出力端子間に、1対のコンデンサ4a、4bの直列回路と、1つの平滑コンデンサ4cとを互いに並列接続し、平滑コンデンサ4cの端子間電圧を負荷5に供給し、1対のコンデンサ4a、4bの接続点と整流回路3の一方の入力端子との間にスイッチング素子6を接続し、電源電圧のゼロクロスを検出する電源ゼロクロス検出回路7と、電流センサ8aからの出力を入力として整流回路3の入力電流を検出する電流検出回路8と、電源ゼロクロス検出回路7からのゼロクロス検出信号、および電流検出回路8からの入力電流検出値を入力としてスイッチング素子制御信号を出力するスイッチング素子制御部9とを有している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、交流電源の交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、交流電源と整流回路の入力端子との間に挿入されたリアクトルと、整流回路の出力端子間に直列に接続された1対のコンデンサと、整流回路の入力端子と直列接続された1対のコンデンサの接続点との間を短絡するためのスイッチング手段を有する電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電源装置としてアクティブコンバータが提案されている(例えば、特許第3170571号公報参照)。
【0003】
このアクティブコンバータは、例えば図31中(a)に示すように6個のスイッチング素子を用いたものであり、入力電流を高周波スイッチングで制御するため、入力電流に高調波成分を含まないように、しかも入力力率を1に制御することが可能である。具体的には、このPWMコンバータの各相の等価回路は図31中(c)に示すようになるので、コンバータ入力電圧vuを正弦波状にすれば、入力電流iuに高調波成分が含まれなくなる。すなわち、電圧ベクトル図は図31中(d)に示すようになる。したがって、例えば、「三相PWMコンバータのパラメータ変動を考慮した電流制御法」、竹下隆晴、岩崎誠、松井信行、電学論D,107巻11号,昭62に示されているような方式で、コンバータ入力電圧のPWMパターンを作成し、コンバータ入力電圧を正弦波状の波形として入力電流の高調波成分の低減を達成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図31中(a)に示す構成のPWMコンバータ回路を採用した場合には、図31中(b)に入力電流波形および入力電圧波形を示すように、高周波スイッチングに伴う効率の低下、ノイズの増加を招くとともに、制御の複雑化、コストの増加を招くという不都合がある。
【0005】
また、交流電源に接続されたコンバータからは、スイッチング動作によって生じるサージ電圧が大きくなるとともに、発生ノイズも大きくなるため、ノイズフィルタが大型化し、高価になってしまう。
【0006】
【発明の目的】
この発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、発生ノイズの対策部品を簡素化してコストダウンを達成するとともに、入力力率の改善および高調波規制を満足することができる電源装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の電源装置は、単相交流電源と整流回路の入力端子との間に挿入されたリアクトルと、前記整流回路の出力端子間に直列に接続された複数のコンデンサと、前記整流回路の入力端子と前記複数のコンデンサの接続点との間に接続されたスイッチング手段とを有するものであって、
負荷状態に応じて予め設定されたタイミングで前記スイッチング手段をオン・オフ動作させる制御手段を含むものである。
【0008】
請求項2の電源装置は、前記制御手段として、前記スイッチング手段をオン・オフ動作させるタイミングを、前記単相交流電源の周波数に応じて設定するものを採用するものである。
【0009】
請求項3の電源装置は、前記制御手段として、前記スイッチング手段をオン・オフ動作させるタイミングを、前記単相交流電源の電圧に応じて補正するものを採用するものである。
【0010】
請求項4の電源装置は、単相交流電源と整流回路の入力端子との間に挿入されたリアクトルと、前記整流回路の出力端子間に直列に接続された複数のコンデンサと、前記整流回路の入力端子と前記複数のコンデンサの接続点との間に接続されたスイッチング手段とを有するものであって、
直流電圧を検出する直流電圧検出手段と、
負荷状態に応じて予め設定された直流電圧設定値を保持する直流電圧設定値保持手段と、
検出した直流電圧値が負荷状態に応じて予め設定された直流電圧設定値となるように、前記スイッチング手段をオン・オフ動作させる制御手段と
を含むものである。
【0011】
請求項5の電源装置は、前記直流電圧設定値保持手段として、前記単相交流電源の周波数に応じて設定された直流電圧設定値を保持するものを採用するものである。
【0012】
請求項6の電源装置は、前記直流電圧設定値保持手段として、前記単相交流電源の電圧に応じて直流電圧設定値を補正するものを採用するものである。
【0013】
請求項7の電源装置は、単相交流電源と整流回路の入力端子との間に挿入されたリアクトルと、前記整流回路の出力端子間に直列に接続された複数のコンデンサと、前記整流回路の入力端子と前記複数のコンデンサの接続点との間に接続されたスイッチング手段とを有するものであって、
前記直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、
該インバータによって駆動される電動機と、
該電動機の実回転数から前記スイッチング手段をオン・オフするタイミングを設定する制御手段と
を含むものである。
【0014】
請求項8の電源装置は、電源電圧の極性を検出する極性検出手段と、直列に接続された各コンデンサ電圧を検出するコンデンサ電圧検出手段とをさらに含み、前記制御手段として、上下のコンデンサ電圧が平衡するように、電源電圧の極性によって、前記スイッチング手段のオン時間を補正するものを採用するものである。
【0015】
請求項9の電源装置は、直流電圧の過電圧停止レベルよりも低い第1のレベルと、不足電圧停止レベルよりも高い第2レベルが設定されるレベル設定手段をさらに含み、前記制御手段として、直流電圧が第1のレベル以上かつ過電圧停止レベル未満または、第2のレベル以下かつ不足電圧停止レベルよりも大きいことに応答して、前記スイッチング素子のオン時間を補正するものを採用するものである。
【0016】
請求項10の電源装置は、前記制御手段として、入力電流が第1のレベル以下であることに応答して前記スイッチング素子の動作を停止し、入力電流が第1のレベルよりも高い第2のレベル以上であることに応答して、前記スイッチング素子のスイッチング動作を開始するものを採用するものである。
【0017】
【作用】
請求項1の電源装置であれば、単相交流電源と整流回路の入力端子との間に挿入されたリアクトルと、前記整流回路の出力端子間に直列に接続された複数のコンデンサと、前記整流回路の入力端子と前記複数のコンデンサの接続点との間に接続されたスイッチング手段とを有する電源装置に対して、
制御手段によって、負荷状態に応じて予め設定されたタイミングで前記スイッチング手段をオン・オフ動作させることができる。
【0018】
したがって、高周波スイッチングに伴う回路効率の低下や発生ノイズの増加を引き起こすことなく、安価に高入力力率化、および低高調波電流化を実現することができる。そして、入力電流検出値等の負荷情報に応じてスイッチング手段をオン・オフするタイミングを変化させて、負荷によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができる。
【0019】
請求項2の電源装置であれば、前記制御手段として、前記スイッチング手段をオン・オフ動作させるタイミングを、前記単相交流電源の周波数に応じて設定するものを採用するのであるから、電源周波数によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができる。
【0020】
請求項3の電源装置であれば、前記制御手段として、前記スイッチング手段をオン・オフ動作させるタイミングを、前記単相交流電源の電圧に応じて補正するものを採用するのであるから、電源電圧によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができる。
【0021】
請求項4の電源装置であれば、単相交流電源と整流回路の入力端子との間に挿入されたリアクトルと、前記整流回路の出力端子間に直列に接続された複数のコンデンサと、前記整流回路の入力端子と前記複数のコンデンサの接続点との間に接続されたスイッチング手段とを有する電源装置に対して、
直流電圧検出手段によって直流電圧を検出し、
直流電圧設定値保持手段によって、負荷状態に応じて予め設定された直流電圧設定値を保持し、
制御手段によって、検出した直流電圧値が負荷状態に応じて予め設定された直流電圧設定値となるように、前記スイッチング手段をオン・オフ動作させることができる。
【0022】
したがって、入力電流検出値等の負荷情報に応じてスイッチング手段をオン・オフするタイミングを変化させて、負荷によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができる。
【0023】
請求項5の電源装置であれば、前記直流電圧設定値保持手段として、前記単相交流電源の周波数に応じて設定された直流電圧設定値を保持するものを採用するのであるから、電源周波数によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができる。
【0024】
請求項6の電源装置であれば、前記直流電圧設定値保持手段として、前記単相交流電源の電圧に応じて直流電圧設定値を補正するものを採用するのであるから、電源電圧によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができる。
【0025】
請求項7の電源装置であれば、単相交流電源と整流回路の入力端子との間に挿入されたリアクトルと、前記整流回路の出力端子間に直列に接続された複数のコンデンサと、前記整流回路の入力端子と前記複数のコンデンサの接続点との間に接続されたスイッチング手段とを有する電源装置により得られた前記直流電圧をインバータにより交流電圧に変換し、電動機を駆動することができる。そして、制御手段によって、前記電動機の実回転数から前記スイッチング手段をオン・オフするタイミングを設定することができる。
【0026】
したがって、モータの効率改善を達成することができる。
【0027】
請求項8の電源装置であれば、電源電圧の極性を検出する極性検出手段と、直列に接続された各コンデンサ電圧を検出するコンデンサ電圧検出手段とをさらに含み、前記制御手段として、上下のコンデンサ電圧が平衡するように、電源電圧の極性によって、前記スイッチング手段のオン時間を補正するものを採用するのであるから、電源電圧が歪んでいる場合やコンデンサ容量のばらつきが存在する場合であっても、両コンデンサの電圧が不平衡となるのを防止することができる。
【0028】
請求項9の電源装置であれば、直流電圧の過電圧停止レベルよりも低い第1のレベルと、不足電圧停止レベルよりも高い第2レベルが設定されるレベル設定手段をさらに含み、前記制御手段として、直流電圧が第1のレベル以上かつ過電圧停止レベル未満または、第2のレベル以下かつ不足電圧停止レベルよりも大きいことに応答して、前記スイッチング素子のオン時間を補正するものを採用するのであるから、過電圧、もしくは不足電圧による異常停止を防止することができる。
【0029】
請求項10の電源装置であれば、前記制御手段として、入力電流が第1のレベル以下であることに応答して前記スイッチング素子の動作を停止し、入力電流が第1のレベルよりも高い第2のレベル以上であることに応答して、前記スイッチング素子のスイッチング動作を開始するものを採用するのであるから、スイッチング動作のチャタリングを防止することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、この発明の電源装置の実施の態様を詳細に説明する。
【0031】
図1はこの発明の電源装置の一実施態様を示すブロック図である。
【0032】
この電源装置は、単相交流電源1に対してリアクトル2を介して整流回路3を接続している。この整流回路3は、例えば、ダイオードブリッジからなる全波整流回路である。そして、整流回路3の出力端子間に、1対のコンデンサ4a、4bの直列回路と、1つの平滑コンデンサ4cとを互いに並列接続している。そして、平滑コンデンサ4cの端子間電圧を負荷5に供給している。また、1対のコンデンサ4a、4bの接続点と整流回路3の一方の入力端子との間にスイッチング素子6を接続している。
【0033】
さらに、電源電圧のゼロクロスを検出する電源ゼロクロス検出回路7と、電流センサ8aからの出力を入力として整流回路3の入力電流を検出する電流検出回路8と、電源ゼロクロス検出回路7からのゼロクロス検出信号、および電流検出回路8からの入力電流検出値を入力としてスイッチング素子制御信号を出力するスイッチング素子制御部9とを有している。
【0034】
前記スイッチング素子制御部9は、電源電圧のゼロクロスから所定時間遅延したタイミングtdから所定期間tonだけスイッチング素子6をオン動作させるべくスイッチング素子制御信号を出力するものである。なお、ここで、および以下の実施態様において、タイミングtd、および所定期間tonは、負荷状態(入力電流)および電源周波数に応じて、最も入力力率や変換効率がよくなるように設定される。また、後述の直流電圧設定値についても、同様に設定される。
【0035】
上記の構成の電源装置の作用は次のとおりである。
【0036】
単相交流電源1の電圧が図2中(a)に示すように与えられる場合に、電源ゼロクロス検出回路7からのゼロクロス検出信号を入力とし、かつ負荷情報を表すことができる電流検出回路8からの入力電流検出値を入力として、ゼロクロスからスイッチング素子6をオンさせるまでの時間td、およびその後にオン状態を継続させる時間tonをスイッチング素子制御部9において算出してスイッチング素子制御信号{図2中(c)参照}を出力することにより、スイッチング素子6を制御する。
【0037】
前記整流回路3においては、交流電源電圧が直列に接続されたコンデンサの電圧よりも高くなるまでダイオードが導通しないのであるから、図2中(b)に示すように、ゼロクロスから時間tdが経過した時点から入力電流が流れ始める。
【0038】
そして、入力電流の流れ始めから時間tonだけスイッチング素子6をオンさせることによって、高周波スイッチングに伴う回路効率の低下や発生ノイズの増加を引き起こすことなく、安価に高入力力率化、および低高調波電流化(図3参照)を実現することができる。
【0039】
また、負荷情報を表す入力電流検出値に応じて、スイッチング素子6をオン・オフするタイミングを変化させることができるので、負荷によらず、入力力率の低下や直流電圧の変動を抑制することができる。もちろん、負荷情報を表す値であれば、入力電流検出値以外のものを採用することができる。
【0040】
図4はこの発明の電源装置の他の実施態様を示すブロック図である。
【0041】
この電源装置が図1の電源装置と異なる点は、コンデンサ4cを省略した点、電源ゼロクロス検出回路7からのゼロクロス検出信号を入力として電源周波数を検出する電源周波数検出部10をさらに設けた点、およびスイッチング素子制御部9として、電源ゼロクロス検出回路7からのゼロクロス検出信号、電流検出回路8からの入力電流検出値、および電源周波数検出部10からの電源周波数検出信号を入力としてスイッチング素子制御信号を出力するものを採用した点のみである。
【0042】
この場合には、図5中(a)に示すように、時間tdを電源周波数および入力電流に応じて設定することができるとともに、図5中(b)に示すように、時間tonを電源周波数および入力電流に応じて設定することができるので、電源周波数によらず、入力力率の低下を抑制できる(図6参照)とともに、直流電圧の変動を抑制することができる。
【0043】
図7はこの発明の電源装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【0044】
この電源装置が図4の電源装置と異なる点は、1対のコンデンサ4a、4bの直列回路と並列にコンデンサ4cを接続した点、電源電圧を検出する電源電圧検出回路11をさらに設けた点、およびスイッチング素子制御部9として、電源ゼロクロス検出回路7からのゼロクロス検出信号、電流検出回路8からの入力電流検出値、電源周波数検出部10からの電源周波数検出信号、および電源電圧検出回路11からの電源電圧検出信号を入力としてスイッチング素子制御信号を出力するものを採用した点のみである。
【0045】
この場合には、電源電圧に応じてスイッチング素子6をオン・オフするタイミングを変化させることができ、電源電圧によらず、入力力率の低下を抑制できる(図8参照)とともに、直流電圧の変動を抑制することができる。
【0046】
図9はこの発明の電源装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【0047】
この電源装置が図7の電源装置と異なる点は、直流電圧(コンデンサ4cの端子間電圧)を検出する直流電圧検出回路12をさらに設けた点、およびスイッチング素子制御部9として、電源ゼロクロス検出回路7からのゼロクロス検出信号、電流検出回路8からの入力電流検出値、電源周波数検出部10からの電源周波数検出信号、電源電圧検出回路11からの電源電圧検出信号、および直流電圧検出回路12からの直流電圧検出信号を入力として、直流電圧検出値が負荷、電源電圧、電源周波数に応じた設定値(直流電圧設定値)となるように(例えば、図10参照)スイッチング素子制御信号を出力するものを採用した点のみである。
【0048】
この場合には、直流電圧検出値が負荷、電源電圧、電源周波数に応じた設定値となるようにスイッチング素子6をオン・オフするタイミングを変化させることができ、ひいては、負荷、電源電圧、電源周波数によらず、入力力率の低下を抑制できるとともに、直流電圧の変動を抑制することができる。
【0049】
具体的には、例えば、負荷が大きい場合には、直流電圧が小さくなるので、スイッチング素子6のオン時間を長くすればよい。
【0050】
図11はこの発明の電源装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【0051】
この電源装置が図4の電源装置と異なる点は、負荷としてインバータ5aおよびインバータ5aにより駆動されるモータ5bを採用した点、1対のコンデンサ4a、4bの端子間電圧を検出する直流電圧検出回路13をさらに設けた点、インバータ5aを制御するインバータ制御部14をさらに設けた点、およびスイッチング素子制御部9として、電源ゼロクロス検出回路7からのゼロクロス検出信号、電流検出回路8からの入力電流検出値、電源周波数検出部10からの電源周波数検出信号、直流電圧検出回路13からの直流電圧検出信号、およびインバータ制御部14からのモータ回転数を入力としてスイッチング素子制御信号を出力するものを採用した点のみである。
【0052】
前記スイッチング素子制御部9は、例えば図12に示すように、モータ回転数が所定の閾値未満の力率優先領域と所定の閾値以上の昇圧領域とに区分しておき、力率優先領域においてはインバータデューティー比、直流電圧(1対のコンデンサ4a、4bの直列回路の端子間電圧)、および時間tonを回転数の増加に伴って増加させ、昇圧領域においてはインバータデューティー比を100%に維持し、直流電圧および時間tonの増加率を大きくするように、スイッチング素子6をオン・オフするスイッチング素子制御信号を出力するものである。
【0053】
したがって、スイッチング素子制御部9によって上記のようにスイッチング素子6をオン・オフするタイミングを変化させることができ、ひいては、モータの効率改善を達成することができる。
【0054】
図13はこの発明の電源装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【0055】
この電源装置が図11の電源装置と異なる点は、1対のコンデンサ4a、4bの直列回路と並列にコンデンサ4cを接続した点、インバータおよびモータに限定されない負荷5を採用した点、インバータ制御部14を省略した点、電源周波数検出部10に代えて電源極性判定部15を設けた点、およびスイッチング素子制御部9として、電源ゼロクロス検出回路7からのゼロクロス検出信号、電流検出回路8からの入力電流検出値、電源極性判定部15からの電源極性判定信号、および直流電圧検出回路13からの直流電圧検出信号を入力としてスイッチング素子制御信号を出力するものを採用した点のみである。
【0056】
したがって、1対のコンデンサ4a、4bのそれぞれの端子間電圧を直流電圧検出回路13によって検出し、電源電圧の極性に基づいてスイッチング素子6のオン時間tonを補正することによって、電源電圧の歪みやコンデンサ容量のばらつきが存在する場合にも、両コンデンサ4a、4bの端子間電圧が不平衡となるのを防止することができる。
【0057】
具体的には、例えば上側のコンデンサ4aの端子間電圧が下側のコンデンサ4bの端子間電圧よりも高い場合に、図14に示すように、電源電圧の立上り時のオン時間をta時間だけ長く、立下り時のオン時間をta時間だけ短くすることにより、両コンデンサ4a、4bの端子間電圧が不平衡となるのを防止することができる。
【0058】
ただし、一方のオン期間のみを補正することも可能である。
【0059】
また、前記直流電圧検出回路13に代えて、直流電圧と何れか一方のコンデンサの端子間電圧を検出する回路を採用することも可能である。
【0060】
さらに、図15に示すように、過電圧保護レベル(過電圧停止レベル)よりも低い第1オン時間補正レベルを予め設定しておき、電源電圧や負荷の急変時に、直流電圧検出値(もしくはコンデンサ電圧検出値)が第1オン時間補正レベルを越えたことに応答して、スイッチング素子のオン時間を設定された時間よりも短くすることが好ましく、直流電圧検出値(もしくはコンデンサ電圧検出値)が過電圧保護レベル(過電圧停止レベル)に達するのを防止して、過電圧による異常停止を防止することができる。
【0061】
さらに、図16に示すように、不足電圧保護レベル(不足電圧停止レベル)よりも高い第2オン時間補正レベルを予め設定しておき、電源電圧や負荷の急変時に、直流電圧検出値(もしくはコンデンサ電圧検出値)が第2オン時間補正レベルを下回ったことに応答して、スイッチング素子のオン時間を設定された時間よりも長くすることが好ましく、直流電圧検出値(もしくはコンデンサ電圧検出値)が不足電圧保護レベル(不足電圧停止レベル)まで低下するのを防止して、不足電圧による異常停止を防止することができる。
【0062】
さらに、図17に示すように、第1電流レベルおよびこれよりも高い第2電流レベルを設定し、入力電流が第1電流レベル以下にまで減少したことに応答してスイッチング素子6の動作を停止し、逆に、入力電流が第2電流レベル以上にまで増加したことに応答してスイッチング素子6の動作を許容することが好ましい。
【0063】
この場合には、入力電流が第1電流レベル以下にまで減少したことに応答してスイッチング素子6の動作を停止することによって、軽負荷時にスイッチング素子6のスイッチング損失や、素子に流れる電流による損失で電源装置の回路効率が低下するという不都合を防止することができる。
【0064】
また、第1電流レベルよりも高い第2電流レベルを設定し、入力電流の減少時には第1電流レベルを用い、逆に入力電流の増加時には第2電流レベルを用いるので、スイッチング動作のチャタリング現象を防止することができる。
【0065】
【発明の効果】
請求項1の発明は、高周波スイッチングに伴う回路効率の低下や発生ノイズの増加を引き起こすことなく、安価に高入力力率化、および低高調波電流化を実現することができ、入力電流検出値等の負荷情報に応じてスイッチング手段をオン・オフするタイミングを変化させて、負荷によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0066】
請求項2の発明は、請求項1の効果に加え、電源周波数によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0067】
請求項3の発明は、請求項1の効果に加え、電源電圧によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0068】
請求項4の発明は、入力電流検出値等の負荷情報に応じてスイッチング手段をオン・オフするタイミングを変化させて、負荷によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0069】
請求項5の発明は、請求項4の効果に加え、電源周波数によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0070】
請求項6の発明は、請求項4の効果に加え、電源電圧によらず入力力率の低下や直流電圧の変動の抑制を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0071】
請求項7の発明は、電動機の実回転数からスイッチング手段をオン・オフするタイミングを設定することができ、ひいては、モータの効率改善を達成することができるという特有の効果を奏する。
【0072】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7の何れかの効果に加え、電源電圧が歪んでいる場合やコンデンサ容量のばらつきが存在する場合であっても、両コンデンサの電圧が不平衡となるのを防止することができるという特有の効果を奏する。
【0073】
請求項9の発明は、請求項1から請求項7の何れかの効果に加え、過電圧、もしくは不足電圧による異常停止を防止することができるという特有の効果を奏する。
【0074】
請求項10の発明は、請求項1から請求項9の何れかの効果に加え、スイッチング動作のチャタリングを防止することができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電源装置の一実施態様を示すブロック図である。
【図2】図1の電源装置の各部の波形を示す図である。
【図3】図1の電源装置の高調波電流成分と高調波ガイドラインとを示す図である。
【図4】この発明の電源装置の他の実施態様を示すブロック図である。
【図5】図4の電源装置の、電源周波数毎の遅延時間、オン時間の入力電流依存性を示す図である。
【図6】図4の電源装置の、電源周波数毎の入力力率特性を示す図である。
【図7】この発明の電源装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【図8】図7の電源装置の、電源電圧毎の入力力率特性を示す図である。
【図9】この発明の電源装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【図10】図9の電源装置の、電源周波数毎の直流電圧設定値の入力電流依存性を示す図である。
【図11】この発明の電源装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【図12】図11の電源装置の、インバータデューティー比、直流電圧、オン時間の回転数依存性を示す図である。
【図13】この発明の電源装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【図14】図11の電源装置の各部の波形を示す図である。
【図15】過電圧停止の未然防止処理を説明する波形図である。
【図16】不足電圧停止の未然防止処理を説明する波形図である。
【図17】スイッチング動作のチャタリング防止処理を説明する波形図である。
【符号の説明】
1 単相交流電源 2 リアクトル
3 整流回路 4a、4b コンデンサ
5a インバータ 5b モータ
6 スイッチング素子 7 電源ゼロクロス検出回路
8 入力電流検出回路 9 スイッチング素子制御部
10 電源周波数検出部 11 電源電圧検出回路
13 直流電圧検出回路 14 インバータ制御部
15 電源極性判定部
Claims (10)
- 単相交流電源(1)と整流回路(3)の入力端子との間に挿入されたリアクトル(2)と、前記整流回路(3)の出力端子間に直列に接続された複数のコンデンサ(4a)(4b)と、前記整流回路(3)の入力端子と前記複数のコンデンサ(4a)(4b)の接続点との間に接続されたスイッチング手段(6)とを有する電源装置であって、
負荷状態に応じて予め設定されたタイミングで前記スイッチング手段(6)を動作させる制御手段(7)(8)(9)(10)(11)を含むことを特徴とする電源装置。 - 前記制御手段(7)(8)(9)(10)は、前記スイッチング手段(6)をオン・オフ動作させるタイミングを、前記単相交流電源(1)の周波数に応じて設定するものである請求項1に記載の電源装置。
- 前記制御手段(7)(8)(9)(11)は、前記スイッチング手段(6)をオン・オフ動作させるタイミングを、前記単相交流電源(1)の電圧に応じて補正するものである請求項1に記載の電源装置。
- 単相交流電源(1)と整流回路(3)の入力端子との間に挿入されたリアクトル(2)と、前記整流回路(3)の出力端子間に直列に接続された複数のコンデンサ(4a)(4b)と、前記整流回路(3)の入力端子と前記複数のコンデンサ(4a)(4b)の接続点との間に接続されたスイッチング手段(6)とを有する電源装置であって、
直流電圧を検出する直流電圧検出手段(12)と、
負荷状態に応じて予め設定された直流電圧設定値を保持する直流電圧設定値保持手段(9)と、
検出した直流電圧値が負荷状態に応じて予め設定された直流電圧設定値となるように、スイッチング手段(6)をオン・オフ動作させる制御手段(9)と
を含むことを特徴とする電源装置。 - 前記直流電圧設定値保持手段(9)は、前記単相交流電源(1)の周波数に応じて設定された直流電圧設定値を保持するものである請求項4に記載の電源装置。
- 前記直流電圧設定値保持手段(9)は、前記単相交流電源(1)の電圧に応じて直流電圧設定値を補正するものである請求項4に記載の電源装置。
- 単相交流電源(1)と整流回路(3)の入力端子との間に挿入されたリアクトル(2)と、前記整流回路(3)の出力端子間に直列に接続された複数のコンデンサ(4a)(4b)と、前記整流回路(3)の入力端子と前記複数のコンデンサ(4a)(4b)の接続点との間に接続されたスイッチング手段(6)とを有する電源装置であって、
前記直流電圧を交流電圧に変換するインバータ(5a)と、
該インバータ(5a)によって駆動される電動機(5b)と、
該電動機(5b)の実回転数から前記スイッチング手段(6)をオン・オフするタイミングを設定する制御手段(9)(14)とを含むことを特徴とする電源装置。 - 電源電圧の極性を検出する極性検出手段(15)と、直列に接続された各コンデンサ電圧を検出するコンデンサ電圧検出手段(13)とをさらに含み、前記制御手段(9)は、上下のコンデンサ電圧が平衡するように、電源電圧の極性によって、前記スイッチング手段(6)のオン時間を補正するものである請求項1から請求項7の何れかに記載の電源装置。
- 直流電圧の過電圧停止レベルよりも低い第1のレベルと、不足電圧停止レベルよりも高い第2レベルが設定されるレベル設定手段(9)をさらに含み、前記制御手段(9)は、直流電圧が第1のレベル以上かつ過電圧停止レベル未満または、第2のレベル以下かつ不足電圧停止レベルよりも大きいことに応答して、前記スイッチング素子(6)のオン時間を補正するものである請求項1から請求項7の何れかに記載の電源装置。
- 前記制御手段(9)は、入力電流が第1のレベル以下であることに応答して前記スイッチング素子(6)の動作を停止し、入力電流が第1のレベルよりも高い第2のレベル以上であることに応答して前記スイッチング素子(6)のスイッチング動作を開始するものである請求項1から請求項9の何れかに記載の電源装置。
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