JP2004022916A - レーザ光源制御方法及び装置、露光方法及び装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用を可能とする。
【解決手段】使用可能な発振周波数を含む所定範囲のレーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報、例えば発振周波数と出力性能との関係を示す情報などを求め、その情報をメモリに記憶しておく。そして、レーザ光源の制御に際して、メモリ内に記憶されている上記情報に基づいてレーザ光源の出力性能が悪化する、あるいは良好となる特定周波数領域を特定するとともに、使用を予定している発振周波数fが特定周波数領域内であるか否かを判断し(ステップ156又は166)、その結果に応じて出力性能悪化する周波数領域を避け、あるいは出力性能が良好となる周波数領域内に発振周波数を設定する(ステップ158又は164)。これにより、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用が可能となる。
【選択図】 図5
【解決手段】使用可能な発振周波数を含む所定範囲のレーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報、例えば発振周波数と出力性能との関係を示す情報などを求め、その情報をメモリに記憶しておく。そして、レーザ光源の制御に際して、メモリ内に記憶されている上記情報に基づいてレーザ光源の出力性能が悪化する、あるいは良好となる特定周波数領域を特定するとともに、使用を予定している発振周波数fが特定周波数領域内であるか否かを判断し(ステップ156又は166)、その結果に応じて出力性能悪化する周波数領域を避け、あるいは出力性能が良好となる周波数領域内に発振周波数を設定する(ステップ158又は164)。これにより、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用が可能となる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光源制御方法及び装置、露光方法及び装置、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、発振周波数が可変であるレーザ光源を制御するレーザ光源制御方法及びレーザ光源制御装置、前記レーザ光源制御方法を用いる露光方法及び露光装置、並びに前記露光方法を用いるデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子等を製造するためのフォトリソグラフィ工程では、いわゆるステッパやいわゆるスキャニング・ステッパ等の露光装置が用いられている。
【0003】
近年、半導体集積回路の集積度はますます高くなり、これに伴い露光装置のデバイスルール(実用最小線幅)が更に微細化している。このような超微細リソグラフィ用光源として、遠紫外域に発振線を持つ高輝度で高出力を特徴とするエキシマレーザや固体レーザが使用されている。
【0004】
従来のこれらレーザを露光用光源とする露光装置においては、光源であるレーザは一定の或いはごく狭い範囲の発振周波数帯(繰り返し周波数帯)で使用されていた。また、その最大周波数も数百Hzから1kHzと低いものであった。
【0005】
しかし、近年では、スループッ卜向上の要請から、レーザの発振周波数の高周波数化(高繰り返し化)が推し進められてきている。また、ウエハ等の基板上に塗布されるレジスト(感光剤)としていわゆる化学増幅型レジストなどの高感度レジストが開発され、レジストの性能も多様化している。かかる背景により、最近の露光装置では、最適な露光条件を見出すため、あるいはレーザのパルスエネルギや発振パルス数を最小にするため、レーザの発振周波数を露光装置の制御系が決定してレーザの発振を行うようになっており、設定可能な発振周波数領域もレーザの高周波数化に伴い拡大してきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
露光装置では、前述の如く、レーザの発振周波数を露光装置の制御系が決定してレーザを発振させるが、レーザ固有の特定の発振周波数帯においてレーザ発振時の衝撃波(音響波)その他の影響を受けレーザの出力性能(例えば出力エネルギ安定性、波長安定性及びスペクトル線幅の変化特性)が悪化する現象が見られることが、最近になって判明した。従って、レーザをこの特定の発振周波数帯で使用することで露光装置の性能が低下するという不都合が発生するおそれがある。また、発振周波数によりレーザ性能は変化するので、上記の特定の発振周波数帯以外の周波数帯でもレーザ性能に優劣が生じている。
【0007】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用を可能とするレーザ光源制御方法及びレーザ光源制御装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、物体上に精度良くパターンを形成することができる露光方法及び露光装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第3の目的は、デバイスの生産性の向上を図ることができるデバイス製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、発振周波数が可変であるレーザ光源(16)を制御するレーザ光源制御方法であって、使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報を求める第1工程と;前記第1工程で得られた情報に基づいて、前記レーザ光源を発振させる際の発振環境を制御する第2工程と;を含むレーザ光源制御方法である。
【0011】
本明細書において、「使用可能な発振周波数を含む所定範囲」とは、予定されているレーザ光源の使用周波数領域のみ、あるいはこの使用周波数領域の他に他の周波数領域を含む場合のいずれをも含む。すなわち、「使用可能な発振周波数を含む所定範囲」とは、少なくとも予定されているレーザ光源の使用周波数領域、すなわち使用可能な発振周波数を少なくとも含む発振周波数の範囲を意味する。また、本明細書において、使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報は、関係式又はテーブル(グラフ)データ、あるいは数値データそのもののいずれの形態の情報であっても良い。
【0012】
これによれば、使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報を求める(第1工程)。この情報により、使用可能な発振周波数を含む所定範囲(所定の周波数範囲)における出力性能の変化状況(分布)、又はこの出力性能を変化させるための所定の制御ファクタの制御量などがわかる。そして、この情報を利用して、前記レーザ光源を発振させる際の発振環境を制御する(第2工程)。ここで、発振環境とは、前記の出力性能に影響を与える何らかの制御ファクタを意味する。従って、本発明によれば、第2工程において、レーザ光源の出力性能が良好となるように、発振環境を制御することにより、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用が可能となる。
【0013】
この場合において、請求項2に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第1工程では、前記情報として、前記レーザ光源の発振周波数と出力性能との関係を示す情報を求め、前記第2工程では、前記発振環境として、前記レーザ光源の発振周波数を制御することとすることができる。
【0014】
この場合において、請求項3に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第2工程では、前記情報に基づいて前記出力性能が最良となる発振周波数領域を特定し、その特定された発振周波数領域内の発振周波数に前記レーザ光源の発振周波数を設定することとすることができる。あるいは、請求項4に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第2工程では、前記情報に基づいて前記出力性能を悪化させる発振周波数領域を特定し、その特定された発振周波数領域外の発振周波数に前記レーザ光源の発振周波数を設定することとすることができる。
【0015】
上記請求項1に記載のレーザ光源制御方法において、請求項5に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第1工程では、前記情報として、前記出力性能を悪化させる特定の発振周波数領域を示す情報を求め、前記第2工程では、前記発振環境として、前記レーザ光源の発振周波数を制御し、且つ前記発振周波数を前記特定の発振周波数領域を避けて設定することとすることができる。
【0016】
上記請求項1に記載のレーザ光源制御方法において、請求項6に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第1工程では、前記情報として、前記出力性能が最良となる特定の発振周波数領域を示す情報を求め、前記第2工程では、前記発振環境として、前記レーザ光源の発振周波数を制御し、且つ前記発振周波数を前記特定の発振周波数領域内の発振周波数に設定することとすることができる。
【0017】
上記請求項1に記載のレーザ光源制御方法において、請求項7に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第1工程では、前記情報として、前記発振周波数と、前記出力性能と、前記レーザ光源の発振に関する前記発振周波数以外の所定の制御ファクタとの関係を示す情報を求め、前記第2工程では、前記発振環境として、前記所定の制御ファクタを制御し、それにより前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることとすることができる。ここで、「所定の制御ファクタ」とは、レーザ光源の発振周波数と出力性能との関係、すなわち発振周波数に対する出力性能の変化状況(分布)に変化を与える制御ファクタを少なくとも含む。
【0018】
この場合において、請求項8に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第2工程では、前記出力性能が悪化する発振周波数領域が、使用する発振周波数領域から外れるように、前記制御ファクタを制御して前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることとすることができる。あるいは、請求項9に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第2工程では、前記出力性能が最も安定した前記レーザ光源の発振周波数領域が、所望の周波数と一致するように、前記制御ファクタを制御して前記発振周波数と出力性能との関係を変化させることとすることができる。
【0019】
上記請求項7〜9に記載の各レーザ光源制御方法において、請求項10に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第2工程では、前記所定の制御ファクタの制御後に、前記レーザ光源の発振周波数を、前記出力性能が悪化する発振周波数領域外の発振周波数に設定することとすることができる。
【0020】
上記請求項7〜10に記載の各レーザ光源制御方法において、請求項11に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記制御ファクタは、前記レーザ光源内のガスの流速及び温度の少なくとも一方を含むこととすることができる。
【0021】
上記請求項1〜11に記載の各レーザ光源制御方法において、請求項12に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記出力性能は、前記レーザ光源から発生させるレーザビームのエネルギ安定性、波長安定性及びスペクトル線幅の変化特性のうちの少なくとも1つを含むこととすることができる。
【0022】
請求項13に記載の発明は、レーザ光源から発生したレーザビームを用いてマスクを照明して、前記マスク上に形成されたパターンを物体上に転写する露光方法において、前記レーザビームとして、請求項1〜12のいずれか一項に記載のレーザ光源制御方法を用いて制御されたレーザ光源から発生したレーザビームを使用することを特徴とする露光方法である。
【0023】
これによれば、請求項1〜12のいずれか一項に記載のレーザ光源制御方法を用いて制御されたレーザ光源から発生したレーザビームを用いてマスクを照明して、そのマスク上に形成されたパターンを物体上に転写するので、レーザ光源の出力性能が常に良好な状態で露光(マスクパターンの物体上への転写)が行われるので、物体上に精度良くパターンを形成することができる。
【0024】
請求項14に記載のデバイス製造方法は、請求項13に記載の露光方法を用いてマスク上に形成されたデバイスパターンを物体上に転写する工程を含むことを特徴とするデバイス製造方法である。
【0025】
請求項15に記載の発明は、発振周波数が可変であるレーザ光源を制御するレーザ光源制御装置であって、使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源(16)の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報が記憶された記憶装置(51)と;前記記憶装置に記憶された情報に基づいて、前記レーザ光源を発振させる際の発振環境を制御する制御装置(50)と;を備えるレーザ光源制御装置である。
【0026】
これによれば、記憶装置には、使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報が記憶されている。この情報により、使用可能な発振周波数を含む所定範囲(所定の周波数範囲)における出力性能の変化状況(分布)、又はこの出力性能を変化させるための所定の制御ファクタの制御量などがわかる。そして、制御装置により、記憶装置に記憶された情報に基づいて、前記レーザ光源を発振させる際の発振環境が制御される。ここで、発振環境とは、前記の出力性能に影響を与える何らかの制御ファクタを意味する。従って、本発明によれば、制御装置が、レーザ光源の出力性能が良好となるように、発振環境を制御することにより、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用が可能となる。
【0027】
この場合において、請求項16に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記記憶装置には、前記レーザ光源の発振周波数と出力性能との関係を示す情報が記憶され、前記制御装置は、前記レーザ光源の発振周波数を制御することとすることができる。あるいは、請求項17に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記記憶装置には、前記出力性能を悪化させる特定の発振周波数領域を示す情報が記憶され、前記制御装置は、前記レーザ光源の発振周波数を、前記特定の発振周波数領域を避けて設定することとすることができる。あるいは、請求項18に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記記憶装置には、前記出力性能が最良となる特定の発振周波数領域を示す情報が記憶され、前記制御装置は、前記レーザ光源の発振周波数を、前記特定の発振周波数領域内の発振周波数に設定することとすることができる。
【0028】
この他、上記請求項15に記載のレーザ光源制御装置において、請求項19に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記記憶装置には、前記発振周波数と、前記出力性能と、前記レーザ光源の発振に関する前記発振周波数以外の所定の制御ファクタとの関係を示す情報が記憶され、前記制御装置は、前記発振環境として前記所定の制御ファクタを制御し、それにより前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることとすることができる。ここで、「所定の制御ファクタ」とは、レーザ光源の発振周波数と出力性能との関係、すなわち発振周波数に対する出力性能の変化状況(分布)に変化を与える制御ファクタを意味する。
【0029】
この場合において、請求項20に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記制御ファクタは、前記レーザ光源内のガスの流速及び温度のうちの少なくとも一方を含み、前記制御装置は、前記制御ファクタを制御することにより、前記出力性能が悪化する発振周波数領域が使用する発振周波数から外れるように、或いは前記出力性能が最も安定した前記レーザ光源の発振周波数領域が所望の周波数と一致するように、前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることとすることができる。
【0030】
上記請求項19及び20に記載の各レーザ光源制御装置において、請求項21に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記制御装置は、前記所定の制御ファクタの制御後に、前記レーザ光源の発振周波数を、前記出力性能が悪化する発振周波数領域外の発振周波数に設定することとすることができる。
【0031】
上記請求項15〜21に記載の各レーザ光源制御装置において、請求項22に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記出力性能は、前記レーザ光源から発生させるレーザビームのエネルギ安定性、波長安定性及びスペクトル線幅の変化特性のうちの少なくとも1つを含むこととすることができる。
【0032】
請求項23に記載の発明は、レーザ光源から発生したレーザビームを用いてマスク(R)を照明して、前記マスク上に形成されたパターンを物体(W)上に転写する露光装置であって、請求項15〜22のいずれか一項に記載のレーザ光源制御装置と;前記レーザ光源制御装置で制御されたレーザ光源から発生したレーザビームで照明された前記マスク上のパターンの像を、前記物体上に投影する投影光学系(PL)と;を備える露光装置である。
【0033】
これによれば、請求項15〜22のいずれか一項に記載のレーザ光源制御装置で制御されたレーザ光源から発生したレーザビームでマスクが照明され、そのマスク上のパターンの像が投影光学系により物体上に転写される。このため、レーザ光源の出力性能が常に良好な状態で露光(マスクパターンの物体上への転写)が行われ、物体上に精度良くパターンを形成することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0035】
図1には、第1の実施形態に係る露光装置10の概略構成が示されている。この露光装置10は、露光用光源にレーザ光源を用いたステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置である。
【0036】
この露光装置10は、レーザ光源16を含む照明系12、この照明系12により照明されるマスクとしてのレチクルRを保持して所定の走査方向に移動するマスクステージとしてのレチクルステージRST、レチクルRのパターンを物体としてのウエハW上に投影する投影光学系PL、ウエハWを保持して水平面(XY平面内)を移動するXYステージ14、及びこれらの制御系等を備えている。
【0037】
前記照明系12は、レーザ光源16、ビーム整形光学系18、エネルギ粗調器20、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ、又は回折光学素子などであり、図1ではフライアイレンズを用いているので、以下では「フライアイレンズ」とも呼ぶ)22、照明系開口絞り板24、ビームスプリッタ26、第1リレーレンズ28A、第2リレーレンズ28B、固定レチクルブラインド30A、可動レチクルブラインド30B、光路折り曲げ用のミラーM及びコンデンサレンズ32等を備えている。なお、以下においては、照明系12を構成するレーザ光源16以外の構成部分を纏めて適宜「照明光学系」と呼ぶ。
【0038】
ここで、この照明系12の上記構成各部について説明する。レーザ光源16としては、一例として、KrFエキシマレーザ(発振波長248nm)が用いられているものとする。以下においては、レーザ光源16を「光源ユニット16」とも呼ぶ。
【0039】
なお、レーザ光源16として、KrFエキシマレーザに代えて、ArFエキシマレーザ(発振波長193nm)やF2レーザ(発振波長157nm)は勿論、金属蒸気レーザやYAGレーザ、あるいは半導体レーザの高調波発生装置等のパルス光源を使用することも可能である。
【0040】
前記光源ユニット16は、図2に示されるように、レーザ装置としてのレーザ共振器16a、該レーザ共振器16aから射出されるレーザビームLBの光路上に配置された透過率が97%程度のビームスプリッタ16b、該ビームスプリッタ16bの反射光路上に順次配置されたハーフミラー(又はビームスプリッタ)16g及びビームモニタ機構16c、ハーフミラー16gの反射光路上に配置されたエネルギモニタ16h、前記ビームモニタ機構16c及びエネルギモニタ16hからの出力信号がそれぞれ入力されるレーザコントローラ16e、及び該レーザコントローラ16eによって電源電圧などが制御されるレーザ電源部16d等を備えている。この図2に示されるように、光源ユニット16の前記構成各部(16a〜16e、16g、16hなど)は、ハウジング17内に収納されている。レーザ共振器16aから射出され、ビームスプリッタ16bを透過したレーザビームLBがハウジング17の光透過部を介して照明光学系に入射するようになっている。
【0041】
なお、レーザコントローラ16e及びレーザ電源部16dのいずれか、あるいは両方を、ハウジング17の外部に配置することは可能である。
【0042】
前記レーザ共振器16aは、放電電極を含むエキシマレーザチューブ(レーザチャンバ)202、該エキシマレーザチューブ202の後側(図2における紙面内左側)に配置された全反射ミラー(リアミラー)201、エキシマレーザチューブ202の前側(図2における紙面内右側)に配置された低反射率ミラー(フロントミラー)205、並びにエキシマレーザチューブ202とフロントミラー205との間に順次配置された固定のファブリ・ぺロー・エタロン(Fabry−Perotetalon)203及び可変傾角のファブリ・ペロー・エタロン204等を含んで構成されている。
【0043】
この場合、リアミラー201とフロントミラー205とによって、共振器が構成され、コヒーレンシを少し高めるようにされている。
【0044】
また、ファブリ・ペロー・エタロン(以下、「エタロン」と呼ぶ)203とエタロン204とにより狭帯域化モジュールが構成されている。これを更に詳述すると、エタロン203、204は2枚の石英板を所定の空隙(エアーギャップ)を空けて平行に対向させたもので、一種のバンドパスフィルタとして働く。エタロン203、204のうちエタロン203は粗調用で、エタロン204は微調用である。これらのエタロン203、204は、レーザ共振器16aから射出されるレーザビームLBのスペクトル幅を、ここでは自然発振スペクトル幅の約1/100〜1/300程度に狭めて出力する。また、エタロン204の傾角を調整することにより、レーザ共振器16aから射出されるレーザビームLBの波長(中心波長)を所定範囲でシフトできるようになっている。
【0045】
この他、例えば図2のレーザ共振器16aにおいて、粗調用のエタロン203を取り去り、リアミラー201の代りに波長選択素子としての反射型の回折格子(グレーティング)を傾斜可能に設けることにより、レーザ共振器を構成しても良い。この場合、グレーティングとフロントミラー205とによって共振器が構成される。また、グレーティングと微調用のエタロン204とによって前述と同様の機能の狭帯域化モジュールが構成される。この場合、グレーティングは波長設定時の粗調に用いられ、エタロン204は微調に用いられる。エタロン204及びグレーティングのうちいずれかの傾斜角を変更すれば、レーザ共振器から射出されるレーザビームLBの波長(発振波長)を所定範囲で変化させることができる。
【0046】
なお、狭帯域化モジュールを、例えばプリズムと回折格子(グレーティング)とを組み合わせたものによって構成することも可能である。
【0047】
前記エキシマレーザチューブ202内には、所定の混合比のレーザガス(これは媒体ガスであるクリプトンKr、フッ素F2及びバッファガスであるヘリウムHeから成る)が充填されている。このエキシマレーザチューブ202には、不図示の排気バルブを介して例えばフレキシブルなチューブから成る排気管が接続されている。この排気管には、フッ素を卜ラップする除害用フィルタや排気用ポンプなどが設けられている。これは、フッ素の毒性を考慮し、除外用フィルタにより排気ガスを無害化した後排気用ポンプにより装置の外部ヘ排出することにしたものである。
【0048】
また、エキシマレーザチューブ202には、不図示の給気バルブを介してフレキシブルなガス供給管の一端が接続され、このガス供給管の他端はKr、F2、Heなどのガスボンベ(図示省略)に接続されている。
【0049】
上記各バルブは、主制御装置50によって開閉制御される。主制御装置50は、例えばガス交換の際等に、エキシマレーザチューブ202内のレーザガスが所定の混合比及び圧力になるように調整する。また、エキシマレーザチューブ202内部では、レーザの発振時には、不図示のファンによって常時レーザガスが循環されている。
【0050】
ところで、前記エキシマレーザチューブ202は、放電部であるため、その温度は非常に高温になる。このため、本実施形態では、このエキシマレーザチューブ202は、十分に熱的に周囲と隔離した上で、水などの冷媒で一定温度に温度制御が行われるようになっている。すなわち、このエキシマレーザチューブ202の周囲には不図示の冷却水配管が張り巡らされており、この冷却水配管もまた不図示のフレキシブルチューブにて外部と接続されている。この冷却水配管内には外部の冷却装置から水あるいはその他の冷媒が循環供給されており、その冷媒の温度が冷却装置の制御系によって制御されている。さらに、本実施形態では、エキシマレーザチューブ202の内部には、不図示のヒータ等の熱源が配置されている。主制御装置50は、前記冷却装置の制御系及びヒータを制御することにより、エキシマレーザチューブ202内のガスの温度を必要に応じて制御できるように構成されている。
【0051】
このエキシマレーザチューブ202内のガスの温度を調整することにより、レーザ発振時のレーザガスの流速を制御することが可能である。勿論、前述のファンの回転数を制御することによっても、レーザガスの流速を制御することは可能である。
【0052】
前記エネルギモニタ16hは、ビームスプリッタ16bにより反射される反射光の光路上に配置されたハーフミラー16gからの反射光を受光して、その光電変換信号(光量信号)を出力信号ESとしてレーザコントローラ16eに出力する。エネルギモニタ16hとしては、例えば遠紫外域のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型フォトダイオードなどの受光素子が用いられる。
【0053】
前記ビームモニタ機構16cとしては、例えばハーフミラー16gの透過光路上に順次配置された集光レンズ、コリメータレンズ、エタロン、テレメータレンズ及びラインセンサ等を含むファブリペロー干渉計が用いられている。この場合、エタロンとしては、前述と同様に、2枚の部分反射ミラー(石英板等)が所定の空隙(エアーギャップ)を空けて対向配置されたものが用いられている。いま、このエタロンにレーザビームLBが入射すると、部分反射面での回折光(ホイヘンスの原理による二次波)はエアーギャップ間で反射と透過を繰り返す。この時、次式(1)を満たす入射角θの方向の光のみがエタロンを透過して強め合い、これにより、テレメータレンズの焦点面に干渉縞(フリンジパターン)が形成され、該フリンジパターンがテレメータレンズの焦点面に配置されたラインセンサによって検出される。
【0054】
2ndcosθ=mλ ……(1)
【0055】
ここで、dはエアーギャップであり、nはエアーギャップの屈折率、mは次数である。
【0056】
上式(1)より、n、d、mが一定とすれば、波長λの違いによって焦点面に形成されるフリンジパターンが異なることがわかる。
【0057】
テレメータレンズの焦点面に配置されたラインセンサで検出される光強度の分布は、焦点面におけるラインセンサ長手方向に関して所定間隔で環状縞に対応する山が現れる。各光強度分布の山の高さ1/2に相当する部分の幅がレーザビームLBのスペクトル線幅(半値全幅(FWHM))に対応する。また、各光強度分布の山のピークに対応するラインセンサ長手方向の位置は、中心波長に応じて定まる。すなわち、前述のフリンジパターンは、入射光の中心波長、スペク卜ル線幅(FWHM)に対応したものとなっており、ビームモニタ機構からこのフリンジパターンの撮像信号がレーザコントローラ16eに出力される。
【0058】
前記レーザ電源部16dは、高圧電源と、この高圧電源を用いてエキシマレーザチューブ202内部の不図示の放電電極を所定のタイミングで放電させるパルス圧縮回路(スイッチング回路)等を含んで構成されている。
【0059】
前記レーザコントローラ16eは、前述のフリンジパターンの撮像信号及び出力信号ESに所定の信号処理を施す画像処理回路(ADコンバータやピークホールド回路などを含む)及び所定の演算を行うマイクロコンピュータなどを含んで構成されている。レーザコントローラ16eは、フリンジパターンの撮像信号に所定の信号処理を施すことにより、ビームモニタ機構16cに対する入射光(レーザビーム)LBの光学特性に関する情報、例えば中心波長(又は重心波長)λ、スペク卜ル線幅(FWHM)などの情報を得るようになっている。
【0060】
レーザコントローラ16eは、レーザビームLBの中心波長λを用いて、主制御装置50によって設定される設定波長λ0に対する中心波長λのずれ量(波長ずれ量)Δλを次式(2)に基づいて演算する。
【0061】
Δλ=|λ0−λ| ……(2)
【0062】
また、レーザコントローラ16eは、上記のスペクトル線幅とスペクトル線幅の基準値、例えば初期のスペクトル線幅との差に基づいてスペクトル線幅の変動量を演算する。
【0063】
さらに、本実施形態においては、光源ユニット16には、前記レーザ共振器16aを構成するエタロン204(又はグレーティング及びエタロン204、あるいはグレーティングやプリズム)等の分光素子の駆動機構19が設けられている(図2参照)。そして、この駆動機構19が、前述の波長ずれ量Δλに基づいてレーザコントローラ16eにより制御され、中心波長λが所望の範囲内に制御されるようになっている。
【0064】
また、レーザコントローラ16eでは、通常の露光時には、前記エネルギモニタ16hの出力ESに基づいて検出したエネルギパワーに基づいて、レーザ共振器16aから出力されるレーザビームLBの1パルスあたりのエネルギが、主制御装置50からの制御情報により与えられる1パルスあたりのエネルギの目標値に対応した値となるように、レーザ電源部16d内部の高圧電源での電源電圧をフィードバック制御する。
【0065】
また、レーザコントローラ16eは、主制御装置50からの制御情報に基づきレーザ電源部16d内部のパルス圧縮回路に対するトリガ信号の印加タイミングあるいは印加間隔を制御することにより、ウエハW上の1ショット領域に対する露光中のパルス数あるいはパルス発振の繰り返し周波数(発振周波数)をも制御する。
【0066】
この他、光源ユニット16のハウジング17内におけるビームスプリッタ16bの照明光学系側には、主制御装置50からの制御情報に応じてレーザビームLBを遮光するためのシャッタ16fも配置されている。
【0067】
図1に戻り、前記ビーム整形光学系18は、エキシマレーザ16からパルス発光されたレーザビームLBの断面形状を、該レーザビームLBの光路後方に設けられたフライアイレンズ22に効率良く入射するように整形するもので、例えばシリンダレンズやビームエキスパンダ(いずれも図示省略)等で構成される。
【0068】
エネルギ粗調器20は、ビーム整形光学系18後方のレーザビームLBの光路上に配置され、ここでは、回転板34の周囲に透過率(=1−減光率)の異なる複数個(例えば6個)のNDフィルタ(図1ではその内の2個のNDフィルタ36A、36Dが示されている)を配置し、その回転板34を駆動モータ38で回転することにより、入射するレーザビームLBに対する透過率を100%から等比級数的に複数段階で切り換えることができるようになっている。駆動モータ38は、後述する主制御装置50によって制御される。
【0069】
前記フライアイレンズ22は、エネルギ粗調器20後方のレーザビームLBの光路上に配置され、レチクルRを均一な照度分布で照明するためにその射出側焦点面に多数の点光源から成る面光源、すなわち2次光源を形成する。この2次光源から射出されるレーザビームを以下においては、「パルス照明光IL」と呼ぶものとする。
【0070】
フライアイレンズ22の射出面近傍、すなわち本実施形態では照明光学系の瞳面とほぼ一致するその射出側焦点面に、円板状部材から成る照明系開口絞り板24が配置されている。この照明系開口絞り板24には、等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(図1ではこのうちの2種類の開口絞りのみが図示されている)等が配置されている。この照明系開口絞り板24は、後述する主制御装置50により制御されるモータ等の駆動装置40により回転されるようになっており、これによりいずれかの開口絞りがパルス照明光ILの光路上に選択的に設定される。なお、開口絞り板24の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、例えば照明光学系内に交換して配置される複数の回折光学素子、照明光学系の光軸に沿って可動なプリズム(円錐プリズム、多面体プリズムなど)、及びズーム光学系の少なくとも1つを含む光学ユニットを、光源16とオプティカルインテグレータ22との間に配置し、オプティカルインテグレータ22がフライアイレンズであるときはその入射面上での照明光の強度分布、オプティカルインテグレータ22が内面反射型インテグレータであるときはその入射面に対する照明光の入射角度範囲などを可変とすることで、照明光学系の瞳面上での照明光の光量分布(2次光源の大きさや形状)、すなわち照明条件の変更に伴なう光量損失を抑えることが望ましい。
【0071】
照明系開口絞り板24後方のパルス照明光ILの光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ26が配置され、更にこの後方の光路上に、固定レチクルブラインド30A及び可動レチクルブラインド30Bを介在させて第1リレーレンズ28A及び第2リレーレンズ28Bから成るリレー光学系が配置されている。
【0072】
固定レチクルブラインド30Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上の照明領域42Rを規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド30Aの近傍に走査方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド30Bが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動レチクルブラインド30Bを介して照明領域42Rを更に制限することによって、不要な部分の露光が防止されるようになっている。
【0073】
リレー光学系を構成する第2リレーレンズ28B後方のパルス照明光ILの光路上には、当該第2リレーレンズ28Bを通過したパルス照明光ILをレチクルRに向けて反射する折り曲げミラーMが配置され、このミラーM後方のパルス照明光ILの光路上にコンデンサレンズ32が配置されている。
【0074】
一方、ビームスプリッタ26で反射されたパルス照明光ILは、集光レンズ44を介して光電変換素子よりなるインテグレータセンサ46で受光され、インテグレータセンサ46の光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を介して出力DS(digit/pulse)として主制御装置50に供給される。インテグレータセンサ46としては、例えば遠紫外域で感度があり、且つ光源ユニット16のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型のフォトダイオード等が使用できる。このインテグレータセンサ46の出力DSと、ウエハWの表面上でのパルス照明光ILの照度(強度)との相関係数(又は相関関数)は予め求められて、主制御装置50に併設されたメモリ51内に記憶されている。また、前述のエネルギモニタ16hの出力ESと、インテグレータセンサ46の出力DSとの相関係数(又は相関関数)は予め求められて、メモリ51内に記憶されている。
【0075】
前記レチクルステージRST上にレチクルRが載置され、不図示のバキュームチャック等を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、水平面(XY平面)内で微小駆動可能であるとともに、レチクルステージ駆動部48によって走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査されるようになっている。この走査中のレチクルステージRSTの位置は、レチクルステージRST上に固定された移動鏡52Rを介して外部のレーザ干渉計54Rによって計測され、このレーザ干渉計54Rの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。なお、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工してレーザ干渉計54Rの反射面(前述の移動鏡52Rの反射面に相当)を形成しても良い。
【0076】
前記投影光学系PLとしては、例えば両側テレセントリックな縮小系であり、共通のZ軸方向の光軸AXを有する複数枚のレンズエレメントから成る屈折系が用いられている。また、この投影光学系PLの投影倍率δは、例えば1/4又は1/5である。このため、前記の如くして、パルス照明光ILによりレチクルR上の照明領域42Rが照明されると、そのレチクルRに形成されたパターンが投影光学系PLによって投影倍率δで縮小された像が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上のスリット状の露光領域(照明領域42Rに共役な領域)42Wに形成される。
【0077】
前記XYステージ14は、ウエハステージ駆動部56によってXY面内で走査方向であるY軸方向及びこれに直交するX軸方向(図1における紙面直交方向)に2次元駆動されるようになっている。このXYステージ14上に、Zチルトステージ58が搭載され、このZチルトステージ58上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等により保持されている。Zチルトステージ58は、ウエハWのZ方向の位置(フォーカス位置)を調整すると共に、XY平面に対するウエハWの傾斜角を調整する機能を有する。また、XYステージ14の位置は、Zチルトステージ58上に固定された移動鏡52Wを介して外部のレーザ干渉計54Wにより計測され、このレーザ干渉計54Wの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。なお、Zチルトステージ58(又はXYステージ14)などの端面を鏡面加工して、レーザ干渉計54Wの反射面(前述の移動鏡52Wの反射面に相当)を形成しても良い。
【0078】
さらに、図示は省略されているが、レチクルRの上方には、例えば特開平7−176468号公報等に開示されるように、CCD等の撮像素子を有し、露光波長の光(本実施形態ではパルス照明光IL)をアライメント用照明光とする画像処理方式の一対のレチクルアライメント顕微鏡が配置されている。この場合、一対のレチクルアライメント顕微鏡は、投影光学系PLの光軸AXを含むYZ平面に関して対称(左右対称)な配置で設置されている。また、この一対のレチクルアライメント顕微鏡は光軸AXを通るXZ面内でX軸方向に往復移動が可能な構造となっている。
【0079】
通常、一対のレチクルアライメント顕微鏡は、レチクルRがレチクルステージRST上に載置された状態で、レチクルRの遮光帯の外側に配置された一対のレチクルアライメントマークをそれぞれ観察可能な位置に設定されている。
【0080】
制御系は、図1中、主制御装置50によって主に構成される。主制御装置50は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はミニコンピュータ)を含んで構成され、露光動作が的確に行われるように、例えばレチクルRとウエハWの同期走査、ウエハWのステッピング、露光タイミング等を統括して制御する。
【0081】
具体的には、主制御装置50は、例えば走査露光時には、レチクルRがレチクルステージRSTを介して+Y方向(又は−Y方向)に速度VRで走査されるのに同期して、XYステージ14を介してウエハWが露光領域42Wに対して−Y方向(又は+Y方向)に速度δ・VR(δはレチクルRからウエハWに対する投影倍率)で走査されるように、レーザ干渉計54R、54Wの計測値に基づいてレチクルステージ駆動部48、ウエハステージ駆動部56をそれぞれ介してレチクルステージRST、XYステージ14の位置及び速度をそれぞれ制御する。また、ステッピングの際には、主制御装置50ではレーザ干渉計54Wの計測値に基づいてウエハステージ駆動部56を介してXYステージ14の位置を制御する。
【0082】
また、主制御装置50では、制御情報を光源ユニット16に供給することによって、前述の如く、光源ユニット16の発光タイミング、及び発光パワー等を制御する。また、主制御装置50は、エネルギ粗調器20、照明系開口絞り板24をモータ38、駆動装置40をそれぞれ介して制御し、更にステージ系の動作情報に同期して可動レチクルブラインド30Bの開閉動作を制御する。このように本実施形態では、主制御装置50が、露光コントローラ及びステージコントローラの役目をも有している。これらのコントローラを主制御装置50とは別に設けても良いことは勿論である。
【0083】
前記主制御装置50には、図1に示されるように、記憶装置としてのメモリ51及び入出力装置62が、併設されている。メモリ51内には、前述のインテグレータセンサ46の出力DSとウエハWの表面上でのパルス照明光ILの照度(強度)との相関係数(又は相関関数)や、エネルギモニタ16hの出力ESとインテグレータセンサ46の出力DSとの相関係数(又は相関関数)などの情報の他、使用可能な発振周波数(発振周波数)を含む所定範囲のレーザ共振器16aの発振周波数と出力性能、一例としてエネルギ安定性との関係を含む情報も記憶されている。
【0084】
次に、レーザ共振器16aの発振周波数と出力性能としてのエネルギ安定性との関係を示す情報の取得方法について説明する。かかる情報の取得は、例えば露光装置10の立ち上げ時などに行われる。
【0085】
a. まず、作業者(エンジニア)により、入出力装置62を介して計測開始の指示が入力される。この入力に応答して、主制御装置50内部のCPUは、シャッタ16fを閉じる、あるいはXYステージ14を投影光学系PLの下方から退避させる。次いで、CPUは、エネルギの制御目標値の中立設定値、例えば最小値Emin、及び設定可能な最小発振周波数f0を、目標値として、レーザコントローラ16eに与える。レーザコントローラ16eは、エネルギの制御目標値(設定値)Etarget(=Emin)及び周波数の制御目標値(設定値)ftarget(=f0)に基づいて、レーザ電源部16d内部の高圧電源での電源電圧をフィードバック制御するとともに、レーザ電源部16d内部のパルス圧縮回路に対するトリガ信号の印加タイミングあるいは印加間隔を制御する。これにより、レーザ共振器16aにより発振周波数ftarget(=f0)のレーザビームLBのパルス発光が開始される。
【0086】
b. CPUでは、パルス発光の度毎にエネルギモニタ16hからの出力信号データ(出力信号のデジタル変換データ)を順次取り込み、RAM内の所定のデータ格納領域に記憶する。このような出力信号データの取り込みを、所定数のパルス、例えば100パルス分だけ行う。
【0087】
c. そして、100パルスの発光が終了すると、CPUは、予め定めたΔfだけ発振周波数の制御目標値を増加させた(f0+Δf)を、発振周波数の新たな制御目標値ftargetとして、レーザコントローラ16eに供給する。これにより、これらの制御目標値Etarget、ftargetに基づいて、レーザコントローラ16eにより、前述と同様のレーザ電源部16dに対する制御が行われ、発振周波数ftargetでパルス発光が行われる。そして、CPUでは、パルス発光の度毎にエネルギモニタ16hからの出力信号データを順次取り込み、RAM内の所定のデータ格納領域に100パルス分の出力信号データを記憶する。
【0088】
d. 以後、Δfだけ増加させた発振周波数ftargetに発振周波数の制御目標値を変更しながら、上記と同様の処理を繰り返す。そして、ftargetが設定可能な最大発振周波数fmaxに達し、かつ上記の出力信号データの取り込みが完了すると、パルス発光を終了する。このとき、RAM内のデータ格納領域には、発振周波数f0からfmaxまでのΔf間隔の発振周波数の制御目標値毎に、100パルス分の出力信号データが格納されたデータテーブルが作成されている。
【0089】
e. 次に、CPUは、そのデータテーブル内の、発振周波数の制御目標値毎にデータの値のばらつき度合い、例えばいわゆる3σを算出する。この3σの値が、出力エネルギ安定性の指標値に他ならない。
【0090】
このようにして得られたレーザ共振器16aの出力エネルギ安定性の分布が、図3に示されている。この図3において、横軸はレーザ共振器16aの発振周波数であり、縦軸は出力エネルギ安定性の指標値(3σ)である。
【0091】
本実施形態では、メモリ51内には、この図3に示されるようなレーザ共振器16aの発振周波数と出力エネルギ安定性の指標値との関係を示す情報が格納されている。図3において、縦軸のES1は、上記出力エネルギ安定性の指標値の許容限界値を示す。また、図3において、周波数f1〜f2の間の陰影を付した領域は、光源ユニット16の使用可能な発振周波数領域における出力エネルギ安定性が悪化する特定の発振周波数領域(以下、「特定周波数領域」とも呼ぶ)を示す。また、周波数fmin〜fmaxの領域が露光装置で使用可能な発振周波数領域となっている。なお、周波数f0〜fminの範囲は、露光装置では使用しない周波数領域である。
【0092】
出力エネルギ安定性以外の出力性能、例えば波長安定性(中心波長の安定性)の指標値と発振周波数との関係を示す情報や、スペクトル線幅(スペクトル線幅の変化特性の指標値)と発振周波数との関係を示す情報なども、前述の出力エネルギ安定性の場合と同様にして予め実験により求められ、メモリ51内に記憶されている。但し、波長安定性(中心波長の安定性)の指標値やスペクトル線幅の場合には、前述のエネルギモニタに代えて、ビームモニタ機構16cからの出力データの取り込みが行われる。
【0093】
次に、本実施形態の露光装置10の露光量制御について、主制御装置50内のCPUの処理アルゴリズムを示す図4のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明では、光源ユニット16(レーザ共振器16a)としては、一例として、1パルス当たりのパルスエネルギEをEmin(例えば8mJ/pulse)〜Emax(例えば10mJ/pulse)の範囲で変更可能であり、かつパルス発光の発振周波数fをfmin(例えば600Hz)〜fmax(例えば4000Hz)の範囲内で変更して使用可能なものが用いられているものとする。
【0094】
なお、実際には、インテグレータセンサ46の出力DSが、図1のZチルトステージ58上で像面(即ち、ウエハの表面)と同じ高さに設置された不図示の基準照度計の出力に対して予め較正(キャリブレーション)され、これによって像面照度とインテグレータセンサ46の出力との関係を示す変換係数αが、照明条件毎に求められる。そして、露光に先立って、そのインテグレータセンサ46と、光源ユニット16内のエネルギモニタ16hとを用いて、例えば特開平10−270345号公報などに開示される所定の手順に従って、インテグレータセンサ46の出力DSより間接的に求められる像面上での露光量、すなわちインテグレータセンサ46の処理量p(mJ/(cm2・pulse))と、光源ユニット16内のエネルギモニタ16hの出力ES(mJ/pulse)との相関関係を示す所定の制御テーブルが作成される。
【0095】
しかし、以下の説明では、簡単のためインテグレータセンサ46とエネルギモニタ16hとの相関が1次関数で表され、そのオフセットは0とみなすことができ、その傾きを変換係数βとして扱えるものとする。即ち、インテグレータセンサ46の処理量p(mJ/(cm2・pulse))、及び変換係数βを用いて、次式よりエネルギモニタ16cの出力ES(mJ/pulse)を算出できるものと仮定する。
【0096】
ES=β・p ……(3)
【0097】
なお、特に前述した光学ユニットが設けられているときは、上記の変換係数βについても、その光学ユニットによって可変となるオプティカルインテグレータ22への照明光の入射条件毎に求めることが好ましい。また、照明系12を構成する照明光学系や投影光学系PLのパルス照明光ILの透過率変動などを考慮して変換係数α、βを計算にて更新するようにすることが望ましい。
【0098】
また、エネルギ粗調器20の透過率は設定露光量全般での露光時間を最小にするために、離散透過率は等比数列になるように設計されているものとする。
【0099】
先ず、図4のステップ102において、オペレータによりコンソール等の入出力装置62(図1参照)を介して設定露光量S0が設定されるのを待ち、設定露光量S0が設定されると、次のステップ104に進み、レーザビームLBの1パルス当たりのエネルギEを最小エネルギ値Emin(8mJ/pulse)に、発振周波数fを最小周波数fmin(600Hz)に、レーザコントローラ16eを介して設定する。すなわち、このようにして、パルスエネルギとその発振周波数の中立設定を行う。
【0100】
次のステップ106では光源ユニット16に複数回(例えば数100回)パルス発光を行わせて、インテグレータセンサ46の出力を積算することによって、間接的にウエハW上での平均パルスエネルギ密度p(mJ/(cm2・pulse))を計測する。この計測は、例えば、可動レチクルブラインド30Bを駆動して、その開口を完全に閉じ、照明光ILがレチクルR側に達するのを阻止した状態で行われる。勿論、XYステージ14を駆動してウエハWを退避させた状態で行なっても良い。
【0101】
次のステップ108では次式(4)により露光パルス数Nを算出する。
【0102】
N=cint(S0/p) ……(4)
ここで、関数cintは小数点以下1桁目の値の四捨五入を表すものとする。
【0103】
次のステップ110でその露光パルス数Nが、必要な露光量制御再現精度を得るための最小露光パルス数Nmin以上であるかどうかを判断する。ここで、最小露光パルス数Nminは、例えば予め計測されて装置定数として設定されているパルスエネルギのばらつき(3σの値)δpの平均パルスエネルギ密度pに対する比δp/pに基づいて求められる値である。本実施形態では、例えばNmin=40であるものとする。
【0104】
そして、このステップ110における判断が否定された場合、すなわち露光パルス数Nが最小露光パルス数Nminより小さい場合には、ステップ111に移行して、図1のエネルギ粗調器20のNDフィルタにより設定可能な透過率の中からS0/(Nmin×p)より小さく、かつ最も近いNDフィルタを選択して設定した後、上記ステップ106の処理を再び行い、選択されたND条件での平均パルスエネルギ密度p=ptを新たに求め、この平均パルスエネルギ密度ptを用いて、ステップ108の処理を再び行う。このようにしてステップ110の判断が肯定された場合又は当初からステップ110の判断が肯定された場合(N≧Nminの場合)には、ステップ112に移行する。なお、ここで、当初からステップ110の判断が肯定された場合の平均パルスエネルギ密度pは、上記の選択されたND条件での平均パルスエネルギ密度ptと同様にN≧Nminを満たすので、以下では、ptとして扱うものとする。
【0105】
ステップ112では、上記ステップ106で求めたエネルギ密度ptを用いて、次式(5)に基づいて前述した変換係数βを算出する。勿論、これに限らず、前述した制御テーブルを予め求めておく場合には、この制御テーブルから、平均パルス密度ptに対応する変換係数βを算出するようにしても良い。
【0106】
β=Emin/pt ……(5)
【0107】
次のステップ113では次式(6)により、レーザビームLBの1パルス当たりのエネルギ設定値Et(mJ/pulse)を算出し、ステップ114に移行する。
【0108】
Et=β×S0/Nmin ……(6)
【0109】
ステップ114では上記のエネルギ設定値Etが設定可能な最大エネルギEmax(ここでは、10mJ/pulse)以下であるか否かを判断する。そして、この判断が肯定された場合には、ステップ115に進んでエネルギ設定値Etをレーザコントローラ16eに供給する。これにより、レーザコントローラ16eにより、1パルスのエネルギEがEtに設定される。その後、ステップ118のスキャン速度V及び発振周波数fを決定するサブルーチンに移行する。
【0110】
この一方、前述したステップ114における判断が否定された場合、すなわち先に算出したエネルギ設定値Etが設定可能な最大エネルギEmaxより大きい場合には、このようなエネルギの設定は不可能なので、ステップ116に進んでエネルギ設定値としてEt=Emaxをレーザコントローラ16eに供給する。これにより、レーザコントローラ16eにより、1パルスのエネルギEがEmaxに設定される。
【0111】
この場合、N=Nminとはならないので、次のステップ117に進んで次式(7)に従って露光パルス数Nの計算した後、スキャン速度V及び発振周波数fを決定するサブルーチン118に移行する。
【0112】
N=β×S0/Emax ……(7)
【0113】
サブルーチン118では、まず、図5のステップ152において、スキャン速度V=スキャン最高速(Vmax)として発振周波数fを次式(8)により算出する。
【0114】
f=int(Vmax×N/Ws) ……(8)
ここで、関数int(a)は、実数aを超えない最大の整数を表すものとする。
【0115】
そして、次のステップ154では、上で算出した発振周波数fがレーザの持つ最大発振周波数fmax以下であるか否かを判断する。そして、この判断が肯定された場合には、ステップ156に進み、メモリ51内に記憶されている情報に基づき、特定周波数領域(図3中のf1〜f2の範囲)を特定するとともに、上で算出した発振周波数fがその特定周波数領域内か否かを判断する。そして、この判断が否定された場合、すなわち特定周波数領域外であった場合には、ステップ158に進み、レーザコントローラ16eを介して発振周波数fを上記ステップ152で算出した値に設定し、次のステップ160でスキャン目標速度(スキャン速度)をスキャン最高速Vmaxに設定する。その後、メインルーチンのステップ120にリターンする。
【0116】
一方、ステップ156における判断が肯定された場合には、上記ステップ152で算出された発振周波数fは、出力エネルギ安定性が許容範囲外となる周波数領域に属するので、そのまま設定することは妥当でない。そこで、ステップ164に移行し、レーザコントローラ16eを介して発振周波数fを(f−Δf)に変更し設定する。次いで、ステップ166において、設定した発振周波数fが、前述の特定周波数領域内にあるか否かを判断し、この判断が肯定された場合には、ステップ164に戻り、レーザコントローラ16eを介して発振周波数fを(f−Δf)に変更し設定する。以後、ステップ166の判断が否定されるまで、ステップ164、166の処理、判断を繰り返す。そして、設定した発振周波数が、特定周波数領域外となってステップ166の判断が否定されると、ステップ168に進み、スキャン速度Vを次式(9)に基づいて算出し、設定する。
【0117】
V=Ws×f/N ……(9)
【0118】
この場合、スキャン速度Vは、最高スキャン速度より低い所定の値に設定される。その後、メインルーチンのステップ120にリターンする。
【0119】
この一方、上記ステップ154における判断が否定された場合には、上記ステップ152で算出した発振周波数fの設定は不可能であるから、ステップ162に移行する。このステップ162では、レーザコントローラ16eを介して発振周波数fを最大発振周波数fmaxに設定した後、ステップ166に進む。
【0120】
このステップ166では、設定した発振周波数f(=fmax)が、前述の特定周波数領域内にあるか否かを判断するが、本実施形態の場合、図3から明らかなように、fmaxは、特定周波数領域外である。このため、ステップ166における判断は否定され、ステップ168に移行する。ステップ168で、スキャン速度Vを上述した式(9)に基づいて算出し、設定する。この場合、スキャン速度の算出には、fmaxが用いられる。その後、メインルーチンのステップ120にリターンする。
【0121】
なお、図3と異なり、fmaxが特定周波数領域内となっている場合には、ステップ166における判断が肯定され、ステップ164に戻り、前述と同様の処理、判断が繰り返される。
【0122】
そして、メインルーチンのステップ120では、それまでのステップで定まった設定条件(V、f、Et、N)にて、ウエハW上の指定されたショット領域に、走査露光方式でレチクルRのパターンを転写する。
【0123】
上記の走査露光の終了後、ステップ122で全てのショット領域に対する露光が終了したか否かを判断し、この判断が否定された場合、すなわち露光すべきショット領域が残っている場合には、ステップ120に戻り、上記走査露光を次ショット領域に対して行う。
【0124】
このようにして、露光すべきショット領域が尽きたときに本ルーチンの一連の処理を終了する。
【0125】
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、使用可能な周波数領域を含む所定の範囲における光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数の、前記光源ユニットの出力性能を鑑みた情報が記憶された記憶装置が、メモリ51によって構成されている。また、このメモリ51内の前記情報に基づいて、光源ユニット16を発振させる際の発振環境としての発振周波数を制御する制御装置が、主制御装置50、より具体的にはCPUとソフトウェアプログラムとによって、実現されている。すなわち、CPUが行うステップ154、156、158、162、164及び166の処理によって制御装置が実現されている。この制御装置では、出力性能(本実施形態では、出力エネルギ安定性)が悪化する特定の発振周波数領域外の発振周波数に光源ユニット16の発振周波数を設定する。また、上記の制御装置とメモリ51とによって、レーザ光源制御装置が構成されている。
【0126】
なお、上記のソフトウェアプログラムで実現した構成部分の少なくとも一部をハードウェアにて構成しても良いことは勿論である。
【0127】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るレーザ光源制御装置(50、51)によると、メモリ51には、前述のa.〜e.の手順で予め求められた、使用可能な周波数領域を含む所定の範囲における光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数と出力性能(一例として出力エネルギ安定性)との関係の情報(図3参照)が記憶されている。そして、主制御装置50により、メモリ51に記憶された前述の情報に基づいて、光源ユニット16の発振周波数が前述の特定発振周波数範囲外の発振周波数に設定される。このため、少なくとも出力性能が悪化する特定の発振周波数領域(特定発振周波数範囲)内の発振周波数を避けた発振周波数の設定が可能となり、これにより、常に出力性能が良好な状態でのレーザ共振器16aの使用が可能となる。
【0128】
また、本実施形態に係る露光装置10によると、レチクルRのパターンをウエハW上の各ショット領域に順次転写する際に、主制御装置50により、メモリ51に記憶された情報に基づいて光源ユニット16の発振周波数が上述の如く制御される。この場合、メモリ51内の情報により、使用可能な発振周波数を含む所定範囲(所定の周波数範囲)における出力性能の変化状況(分布)がわかるので、主制御装置50は、この情報を利用して、出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数に光源ユニット16の発振周波数を、例えば前述のサブルーチン118に従って設定することができる。このため、露光装置10によると、出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数でパターンの転写を行うことが可能となり、これにより、ウエハW上の複数のショット領域にそれぞれパターンを精度良く形成することが可能となる。
【0129】
なお、上記実施形態では、記憶装置としてのメモリ51内に光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数と出力性能(一例として出力エネルギ安定性)との関係の情報(図3参照)が記憶されている場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、光源ユニット(レーザ光源)16の使用可能な周波数領域における出力性能が悪化する特定の発振周波数領域の情報(例えば前述の特定発振周波数範囲の情報)を、メモリ51に記憶しておいても良い。かかる場合であっても、主制御装置50が一例として前述のステップ156、166の判断を、このメモリ51内の情報に基づいて行うようにすることにより、特定の発振周波数領域外の発振周波数に光源ユニット(レーザ光源)16の発振周波数を設定することができる。このため、少なくとも出力性能が悪化する特定の発振周波数領域内の発振周波数を避けた発振周波数の設定が可能となり、これにより、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用が可能となり、ひいては出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数でパターンの転写を行うことが可能となる。従って、ウエハW上の複数のショット領域にそれぞれパターンを精度良く形成することが可能となる。
【0130】
また、上記実施形態において、主制御装置50(内のCPU)が、メモリ51内の情報に基づいて出力性能(一例として出力エネルギ安定性)が良好となる発振周波数領域(例えば図3中の矢印Aで示される範囲)、あるいはその出力性能が良好となる範囲の中でも出力性能が最良となる周波数領域にレーザ光源16の発振周波数を設定することとしても良い。あるいは、この出力性能が最良となる周波数領域の情報を、メモリ51に記憶しておき、主制御装置50が、このメモリ51内の情報に基づいて、その発振周波数領域内の周波数に光源ユニット(レーザ光源)16の発振周波数を設定することとしても良い。このようなことは、ソフトウェアの変更により容易に実現可能である。これにより、常に出力性能が良好な、あるいは最良の状態での光源ユニット16の使用が可能となり、ひいては出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数でパターンの転写を行うことが可能となる。従って、ウエハW上の複数のショット領域にそれぞれパターンを精度良く形成することが可能となる。
【0131】
なお、上記実施形態では、a.〜e.の手順で予め求められた前述の発振周波数と出力性能(出力エネルギ安定性など)との関係の情報を、メモリ51内に記憶するものとしたが、これに限らず、主制御装置50のRAM内に前記情報を記憶することとしても良い。この場合、RAMが記憶装置を構成する。また、発振周波数と出力性能との関係の情報は、必ずしも露光装置を用いて求める必要はなく、光源ユニット16を、露光装置に組み込む前に、光源ユニット16のみを用いて、前述のa.〜e.の手順と同様の手順で求めておいても良い。
【0132】
また、上記実施形態では、主制御装置50が、レーザ光源16の外部から、レーザ光源16の発振周波数を制御する場合について説明したが、本発明のレーザ光源制御装置は、これに限定されるものではない。すなわち、ハウジング17内部のレーザコントローラ16eに、発振周波数の設定、制御に関する機能を持たせても良い。
【0133】
なお、上記実施形態において、メモリ51内に使用可能な周波数領域を含む所定の範囲における光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数と出力性能との関係の情報として、前述の発振周波数と出力エネルギ安定性との関係を示す情報に代えて、あるいはこれに加えて光源ユニット16の発振周波数と出力エネルギ安定性以外の出力性能、例えば波長安定性(中心波長の安定性)の指標値と発振周波数との関係を示す情報、あるいはスペクトル線幅(スペクトル線幅の変化特性の指標値)と発振周波数との関係を示す情報などを、メモリ51内に記憶しておいても良い。これらの情報は、前述の出力エネルギ安定性の場合と同様にして予め実験により求めておけば良い。但し、波長安定性(中心波長の安定性)の指標値やスペクトル線幅の場合には、前述のエネルギモニタに代えて、ビームモニタ機構16cからの出力データの取り込みが行われる。そして、主制御装置50では、例えば前述のサブルーチン118の処理に際して、ステップ156、166において、これらの出力性能が悪化する特定周波数領域外の周波数領域に発振周波数を設定する、あるいはこれらの出力性能が良好となる特定周波数領域内の周波数に発振周波数を設定することとすれば良い。特に、発振周波数と出力エネルギ安定性との関係を示す情報、波長安定性(中心波長の安定性)の指標値と発振周波数との関係を示す情報、スペクトル線幅(スペクトル線幅の変化特性の指標値)と発振周波数との関係を示す情報などのうちの複数の情報をメモリ51内に記憶しておく場合には、その複数の出力性能の全てが良好となる特定周波数領域内の周波数に発振周波数を設定することとすれば良い。このようなことも、ソフトウェアの変更により容易に実現可能である。
【0134】
なお、上記実施形態では、ステップ156、166において発振周波数fが、特定周波数領域内であった場合に、発振周波数fを(f−Δf)に変更することを繰り返す方法により、発振周波数(発振周波数)fを出力性能が良好な周波数領域内に設定する方法について説明したが、図3に示される情報に基づいて、出力エネルギの安定性がES1の範囲内にある任意の発振周波数に直ちに設定することとしても良い。
【0135】
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態を図6及び図7に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。この第2の実施形態に係る露光装置は、装置構成などは前述した第1の実施形態に係る露光装置10と同様になっており、メモリ51内に記憶されている情報、及び露光量制御に際しての主制御装置50内のCPUの処理アルゴリズムの一部が相違するのみである。そこで、以下においては、かかる相違点を中心として説明する。
【0136】
この第2の実施形態では、メモリ51内に、前述の第1の実施形態において記憶されていた使用可能な周波数領域を含む所定の範囲における光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数と出力性能との関係の情報(前述の発振周波数と出力エネルギ安定性との関係を示す情報:以下、「情報A」とも呼ぶ)に加えて、エキシマレーザチューブ202内のレーザガスの温度T(制御ファクタの一種)の変動量と発振周波数fの変動量との関係を示す情報(以下、「情報B」とも呼ぶ)も予め実験などにより求められて記憶されている。これら情報Aと情報Bとを用いることにより、光源ユニット16の発振周波数と、出力性能の一種であるエネルギ安定性と、光源ユニット16の発振に関する発振周波数以外の所定の制御ファクタであるレーザガスの温度Tとの関係が求められる。すなわち、メモリ51内には、実質的に上記三者の関係を示す情報が記憶されている。
【0137】
図6には、本第2の実施形態に係る露光量制御に際しての主制御装置50内のCPUの処理アルゴリズムの一部である、スキャン速度V及び発振周波数fを決定するサブルーチン(図4におけるサブルーチン118に相当)の一例が示されている。
【0138】
このサブルーチンでは、まず、ステップ252において、前述のステップ152と同様に、スキャン速度V=スキャン最高速(Vmax)として発振周波数fを前述の式(8)により算出する。
【0139】
そして、次のステップ254では、上で算出した発振周波数fがレーザの持つ最大発振周波数fmax以下であるか否かを判断する。そして、この判断が肯定された場合には、ステップ256に進み、上で算出した発振周波数fが、メモリ51内に記憶されている特定周波数領域(図3中のf1〜f2の範囲)内か否かを判断する。そして、この判断が否定された場合、すなわち特定周波数領域外であった場合には、ステップ258に進み、前述と同様にして発振周波数fを上記ステップ252で算出した値に設定し、次のステップ260でスキャン目標速度(スキャン速度)をスキャン最高速Vmaxに設定する。その後、図4のメインルーチンのステップ120にリターンする。
【0140】
一方、ステップ256における判断が肯定された場合には、上記ステップ252で算出された発振周波数fは、出力エネルギ安定性が許容範囲外となる周波数領域に属するので、そのまま設定することは妥当でない。そこで、ステップ264に移行して、メモリ51内の情報A及び情報Bに基づいて、前述したエキシマレーザチューブ202内のヒータ及び冷却装置の制御系を制御して、レーザガスの温度を制御することにより、上記ステップ252で算出された発振周波数fが、特定周波数領域外となるように、発振周波数と出力エネルギ安定性との関係を変化させる。
【0141】
上記の温度制御により、エキシマレーザチューブ202内のレーザガスの流速が変化し、一例として図7に示されるように、当初点線で示される波形であった出力エネルギ安定性−発振周波数曲線が、矢印Bで示されるように、低周波側にシフトして、実線で示されるような波形に変化する。これにより、当初特定周波数領域内であった発振周波数領域、例えば図7中の矢印Cの周波数領域内の出力エネルギ安定性が許容値内となる。すなわち、出力性能が悪化する発振周波数領域が、使用する発振周波数領域(矢印Cの周波数領域)から外れる。
【0142】
上記のステップ264の処理が終了すると、ステップ252で算出した発振周波数(使用する周波数)fが、出力エネルギ安定性が許容範囲内となる周波数領域に属しているので、ステップ258に移行して、前述のステップ256における判断否定された場合と同様に、発振周波数fを上記ステップ252で算出した値に設定し、次のステップ260でスキャン目標速度(スキャン速度)をスキャン最高速Vmaxに設定する。その後、図4のメインルーチンのステップ120にリターンする。
【0143】
この一方、上記ステップ254における判断が否定された場合には、上記ステップ252で算出した発振周波数fの設定は不可能であるから、ステップ262に移行する。このステップ262では、発振周波数f(=fmax)が、前述の特定周波数領域内にあるか否かを判断するが、本実施形態の場合、図3から明らかなように、fmaxは、特定周波数領域外である。このため、ステップ262における判断は否定され、ステップ268に移行する。
【0144】
ステップ268では、レーザコントローラ16eを介して発振周波数fを最大発振周波数fmaxに設定した後、ステップ268に進んでスキャン速度Vを前述の式(9)に基づいて算出し、設定する。この場合、スキャン速度の算出には、fmaxが用いられる。スキャン速度Vは、最高スキャン速度より低い所定の値に設定される。その後、メインルーチンのステップ120にリターンする。
【0145】
なお、図4と異なり、fmaxが特定周波数領域内となっている場合には、ステップ262における判断が肯定され、ステップ266に進んで、メモリ51内の情報A及び情報Bに基づいて、前述したエキシマレーザチューブ202内のヒータ及び冷却装置の制御系を制御して、レーザガスの温度を制御することにより、最大発振周波数fmaxが、特定周波数領域外となるように、発振周波数と出力エネルギ安定性との関係を変化させることとなる。
【0146】
いずれにしても、メインルーチンのステップ120以降の処理は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0147】
これまでの説明から明らかなように、本第2の実施形態では、前述の第1の実施形態と同様に、使用可能な周波数領域を含む所定の範囲における光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数の、前記光源ユニットの出力性能を鑑みた情報、より具体的には、発振周波数と、出力性能と、光源ユニット16の発振に関する発振周波数以外の所定の制御ファクタ(レーザガスの温度)との関係を示す情報が記憶された記憶装置が、メモリ51によって構成されている。また、このメモリ51内の前記情報に基づいて、光源ユニット16を発振させる際の発振環境としてレーザガスの温度を制御する制御装置が、主制御装置50、より具体的にはCPUとソフトウェアプログラムとによって、実現されている。すなわち、CPUが行うステップ256、264、262、266の処理によって制御装置が実現されている。この制御装置では、レーザガスの温度を制御し、それにより発振周波数と出力性能との関係を変化させる。また、上記の制御装置とメモリ51とによって、レーザ光源制御装置が構成されている。
【0148】
なお、上記のソフトウェアプログラムで実現した構成部分の少なくとも一部をハードウェアにて構成しても良いことは勿論である。
【0149】
以上詳細に説明したように、本第2の実施形態に係るレーザ光源制御装置(50、51)によると、前述した第1の実施形態と同様に、常に出力性能が良好な状態での光源ユニット16の使用が可能となる。また、本第2の実施形態に係る露光装置によると、出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数でパターンの転写を行うことが可能となり、これにより、ウエハW上の複数のショット領域にそれぞれパターンを精度良く形成することが可能となる。
【0150】
なお、上記第2の実施形態では、メモリ51内に、光源ユニット16の発振周波数と、出力性能(一例として出力エネルギ安定性)と、発振周波数以外の制御ファクタとしてレーザガスの温度との関係を示す情報が記憶されている場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば光源ユニット16の発振周波数と、波長安定性(中心波長の安定性)の指標値とスペクトル線幅(スペクトル線幅の変化特性の指標値)との少なくとも一方と、所定の制御ファクタ(レーザガスの温度及びレーザガスの流速の少なくとも一方)との関係を示す情報などをメモリ51に記憶しておいても良い。かかる場合であっても、主制御装置50が一例として前述のステップ256、262の判断を、このメモリ51内の情報に基づいて行い、ステップ264、266の処理をメモリ内の情報に基づいて行うことにより、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0151】
また、上記第2の実施形態において、主制御装置50(内のCPU)が、メモリ51内の情報A、情報Bに基づいて出力性能(一例として出力エネルギ安定性)が最も安定した光源ユニットの発振周波数領域が、所望の周波数、例えば上記ステップ252で算出された発振周波数と一致するように、前述のエキシマレーザチューブ202内のレーザガスの温度を制御して発振周波数と出力性能との関係を変化させることとしても良い。
【0152】
このようなことは、ソフトウェアの変更により容易に実現可能である。これにより、常に出力性能が良好な、あるいは最良の状態での光源ユニット16の使用が可能となり、ひいては出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数でパターンの転写を行うことが可能となる。従って、ウエハW上の複数のショット領域にそれぞれパターンを精度良く形成することが可能となる。
【0153】
なお、上記第2の実施形態においても、前記情報A、情報Bを主制御装置50のRAM内に記憶することとしても良い。この場合、RAMが記憶装置を構成する。
【0154】
また、上記第1、第2の実施形態では、主制御装置50が、レーザ光源16の外部から、レーザ光源16の発振周波数を制御する場合について説明したが、本発明のレーザ光源制御装置は、これに限定されるものではない。すなわち、ハウジング17内部のレーザコントローラ16eに、発振周波数の設定、制御に関する機能を持たせても良い。
【0155】
なお、上記各実施形態では、本発明がステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、本発明は、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(いわゆるステッパ)あるいはステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも好適に適用することができる。
【0156】
また、露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置、プラズマディスプレイや有機ELなどの表示装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0157】
また、上記各実施形態において、レーザ光として、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0158】
例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。特に発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、発生波長が193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0159】
また、発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158μmの範囲内の7倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。なお、単一波長発振レーザとしてはイッテルビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いる。
【0160】
また、レーザ光源としては、波長146nmのKr2レーザ(クリプトン・ダイマーレーザ)、波長126nmのAr2レーザ(アルゴン・ダイマーレーザ)などの真空紫外光を発生する光源を使用しても良い。
【0161】
また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
【0162】
《デバイス製造方法》
次に、上記で説明した露光装置10及びその露光方法を使用したデバイスの製造方法の実施形態を説明する。
【0163】
図8には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図8に示されるように、まず、ステップ301(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ302(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ303(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0164】
次に、ステップ304(ウエハ処理ステップ)において、ステップ301〜ステップ303で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ305(デバイス組立ステップ)において、ステップ304で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップ305には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0165】
最後に、ステップ306(検査ステップ)において、ステップ305で作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0166】
図9には、半導体デバイスの場合における、上記ステップ304の詳細なフロー例が示されている。図9において、ステップ311(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ312(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ313(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ314(イオン打込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ311〜ステップ314それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0167】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ315(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ316(露光ステップ)において、上記各実施形態の露光装置及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ317(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ318(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ319(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0168】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0169】
以上のような、本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光ステップで、上記実施形態の露光装置及び露光方法が用いられるので、ウエハ上の各ショット領域にパターンを精度良く形成することができ、これによりマイクロデバイスの歩留まりが向上し、結果的にその生産性を向上させることができる。
【0170】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレーザ光源制御方法及びレーザ光源制御装置によれば、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用が可能となるという効果がある。
【0171】
また、本発明の露光方法及び露光装置によれば、物体上に精度良くパターンを形成することができるという効果がある。
【0172】
また、本発明のデバイス製造方法によれば、デバイスの生産性の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の光源ユニットの内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【図3】メモリ内に記憶されている発振波長と出力エネルギ安定性との関係を示す情報の一例を示す線図である。
【図4】第1の実施形態の露光装置における露光量制御に際しての主制御装置50内のCPUの処理アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】図4のサブルーチン118の処理を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態の露光装置における露光量制御に際しての主制御装置50内のCPUの処理アルゴリズム一部である、スキャン速度V及び発振周波数fを決定するサブルーチン(図4におけるサブルーチン118に相当)の一例を示す図である。
【図7】第2の実施形態における作用を説明するための図である。
【図8】本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8のステップ304における処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…露光装置、16…光源ユニット(レーザ光源)、 50…主制御装置(制御装置、レーザ光源制御装置の一部)、51…メモリ(記憶装置、レーザ光源制御装置の一部)、R…レチクル(マスク)、W…ウエハ(物体)、PL…投影光学系。
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光源制御方法及び装置、露光方法及び装置、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、発振周波数が可変であるレーザ光源を制御するレーザ光源制御方法及びレーザ光源制御装置、前記レーザ光源制御方法を用いる露光方法及び露光装置、並びに前記露光方法を用いるデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子等を製造するためのフォトリソグラフィ工程では、いわゆるステッパやいわゆるスキャニング・ステッパ等の露光装置が用いられている。
【0003】
近年、半導体集積回路の集積度はますます高くなり、これに伴い露光装置のデバイスルール(実用最小線幅)が更に微細化している。このような超微細リソグラフィ用光源として、遠紫外域に発振線を持つ高輝度で高出力を特徴とするエキシマレーザや固体レーザが使用されている。
【0004】
従来のこれらレーザを露光用光源とする露光装置においては、光源であるレーザは一定の或いはごく狭い範囲の発振周波数帯(繰り返し周波数帯)で使用されていた。また、その最大周波数も数百Hzから1kHzと低いものであった。
【0005】
しかし、近年では、スループッ卜向上の要請から、レーザの発振周波数の高周波数化(高繰り返し化)が推し進められてきている。また、ウエハ等の基板上に塗布されるレジスト(感光剤)としていわゆる化学増幅型レジストなどの高感度レジストが開発され、レジストの性能も多様化している。かかる背景により、最近の露光装置では、最適な露光条件を見出すため、あるいはレーザのパルスエネルギや発振パルス数を最小にするため、レーザの発振周波数を露光装置の制御系が決定してレーザの発振を行うようになっており、設定可能な発振周波数領域もレーザの高周波数化に伴い拡大してきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
露光装置では、前述の如く、レーザの発振周波数を露光装置の制御系が決定してレーザを発振させるが、レーザ固有の特定の発振周波数帯においてレーザ発振時の衝撃波(音響波)その他の影響を受けレーザの出力性能(例えば出力エネルギ安定性、波長安定性及びスペクトル線幅の変化特性)が悪化する現象が見られることが、最近になって判明した。従って、レーザをこの特定の発振周波数帯で使用することで露光装置の性能が低下するという不都合が発生するおそれがある。また、発振周波数によりレーザ性能は変化するので、上記の特定の発振周波数帯以外の周波数帯でもレーザ性能に優劣が生じている。
【0007】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用を可能とするレーザ光源制御方法及びレーザ光源制御装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、物体上に精度良くパターンを形成することができる露光方法及び露光装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第3の目的は、デバイスの生産性の向上を図ることができるデバイス製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、発振周波数が可変であるレーザ光源(16)を制御するレーザ光源制御方法であって、使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報を求める第1工程と;前記第1工程で得られた情報に基づいて、前記レーザ光源を発振させる際の発振環境を制御する第2工程と;を含むレーザ光源制御方法である。
【0011】
本明細書において、「使用可能な発振周波数を含む所定範囲」とは、予定されているレーザ光源の使用周波数領域のみ、あるいはこの使用周波数領域の他に他の周波数領域を含む場合のいずれをも含む。すなわち、「使用可能な発振周波数を含む所定範囲」とは、少なくとも予定されているレーザ光源の使用周波数領域、すなわち使用可能な発振周波数を少なくとも含む発振周波数の範囲を意味する。また、本明細書において、使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報は、関係式又はテーブル(グラフ)データ、あるいは数値データそのもののいずれの形態の情報であっても良い。
【0012】
これによれば、使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報を求める(第1工程)。この情報により、使用可能な発振周波数を含む所定範囲(所定の周波数範囲)における出力性能の変化状況(分布)、又はこの出力性能を変化させるための所定の制御ファクタの制御量などがわかる。そして、この情報を利用して、前記レーザ光源を発振させる際の発振環境を制御する(第2工程)。ここで、発振環境とは、前記の出力性能に影響を与える何らかの制御ファクタを意味する。従って、本発明によれば、第2工程において、レーザ光源の出力性能が良好となるように、発振環境を制御することにより、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用が可能となる。
【0013】
この場合において、請求項2に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第1工程では、前記情報として、前記レーザ光源の発振周波数と出力性能との関係を示す情報を求め、前記第2工程では、前記発振環境として、前記レーザ光源の発振周波数を制御することとすることができる。
【0014】
この場合において、請求項3に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第2工程では、前記情報に基づいて前記出力性能が最良となる発振周波数領域を特定し、その特定された発振周波数領域内の発振周波数に前記レーザ光源の発振周波数を設定することとすることができる。あるいは、請求項4に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第2工程では、前記情報に基づいて前記出力性能を悪化させる発振周波数領域を特定し、その特定された発振周波数領域外の発振周波数に前記レーザ光源の発振周波数を設定することとすることができる。
【0015】
上記請求項1に記載のレーザ光源制御方法において、請求項5に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第1工程では、前記情報として、前記出力性能を悪化させる特定の発振周波数領域を示す情報を求め、前記第2工程では、前記発振環境として、前記レーザ光源の発振周波数を制御し、且つ前記発振周波数を前記特定の発振周波数領域を避けて設定することとすることができる。
【0016】
上記請求項1に記載のレーザ光源制御方法において、請求項6に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第1工程では、前記情報として、前記出力性能が最良となる特定の発振周波数領域を示す情報を求め、前記第2工程では、前記発振環境として、前記レーザ光源の発振周波数を制御し、且つ前記発振周波数を前記特定の発振周波数領域内の発振周波数に設定することとすることができる。
【0017】
上記請求項1に記載のレーザ光源制御方法において、請求項7に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第1工程では、前記情報として、前記発振周波数と、前記出力性能と、前記レーザ光源の発振に関する前記発振周波数以外の所定の制御ファクタとの関係を示す情報を求め、前記第2工程では、前記発振環境として、前記所定の制御ファクタを制御し、それにより前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることとすることができる。ここで、「所定の制御ファクタ」とは、レーザ光源の発振周波数と出力性能との関係、すなわち発振周波数に対する出力性能の変化状況(分布)に変化を与える制御ファクタを少なくとも含む。
【0018】
この場合において、請求項8に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第2工程では、前記出力性能が悪化する発振周波数領域が、使用する発振周波数領域から外れるように、前記制御ファクタを制御して前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることとすることができる。あるいは、請求項9に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第2工程では、前記出力性能が最も安定した前記レーザ光源の発振周波数領域が、所望の周波数と一致するように、前記制御ファクタを制御して前記発振周波数と出力性能との関係を変化させることとすることができる。
【0019】
上記請求項7〜9に記載の各レーザ光源制御方法において、請求項10に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記第2工程では、前記所定の制御ファクタの制御後に、前記レーザ光源の発振周波数を、前記出力性能が悪化する発振周波数領域外の発振周波数に設定することとすることができる。
【0020】
上記請求項7〜10に記載の各レーザ光源制御方法において、請求項11に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記制御ファクタは、前記レーザ光源内のガスの流速及び温度の少なくとも一方を含むこととすることができる。
【0021】
上記請求項1〜11に記載の各レーザ光源制御方法において、請求項12に記載のレーザ光源制御方法の如く、前記出力性能は、前記レーザ光源から発生させるレーザビームのエネルギ安定性、波長安定性及びスペクトル線幅の変化特性のうちの少なくとも1つを含むこととすることができる。
【0022】
請求項13に記載の発明は、レーザ光源から発生したレーザビームを用いてマスクを照明して、前記マスク上に形成されたパターンを物体上に転写する露光方法において、前記レーザビームとして、請求項1〜12のいずれか一項に記載のレーザ光源制御方法を用いて制御されたレーザ光源から発生したレーザビームを使用することを特徴とする露光方法である。
【0023】
これによれば、請求項1〜12のいずれか一項に記載のレーザ光源制御方法を用いて制御されたレーザ光源から発生したレーザビームを用いてマスクを照明して、そのマスク上に形成されたパターンを物体上に転写するので、レーザ光源の出力性能が常に良好な状態で露光(マスクパターンの物体上への転写)が行われるので、物体上に精度良くパターンを形成することができる。
【0024】
請求項14に記載のデバイス製造方法は、請求項13に記載の露光方法を用いてマスク上に形成されたデバイスパターンを物体上に転写する工程を含むことを特徴とするデバイス製造方法である。
【0025】
請求項15に記載の発明は、発振周波数が可変であるレーザ光源を制御するレーザ光源制御装置であって、使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源(16)の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報が記憶された記憶装置(51)と;前記記憶装置に記憶された情報に基づいて、前記レーザ光源を発振させる際の発振環境を制御する制御装置(50)と;を備えるレーザ光源制御装置である。
【0026】
これによれば、記憶装置には、使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報が記憶されている。この情報により、使用可能な発振周波数を含む所定範囲(所定の周波数範囲)における出力性能の変化状況(分布)、又はこの出力性能を変化させるための所定の制御ファクタの制御量などがわかる。そして、制御装置により、記憶装置に記憶された情報に基づいて、前記レーザ光源を発振させる際の発振環境が制御される。ここで、発振環境とは、前記の出力性能に影響を与える何らかの制御ファクタを意味する。従って、本発明によれば、制御装置が、レーザ光源の出力性能が良好となるように、発振環境を制御することにより、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用が可能となる。
【0027】
この場合において、請求項16に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記記憶装置には、前記レーザ光源の発振周波数と出力性能との関係を示す情報が記憶され、前記制御装置は、前記レーザ光源の発振周波数を制御することとすることができる。あるいは、請求項17に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記記憶装置には、前記出力性能を悪化させる特定の発振周波数領域を示す情報が記憶され、前記制御装置は、前記レーザ光源の発振周波数を、前記特定の発振周波数領域を避けて設定することとすることができる。あるいは、請求項18に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記記憶装置には、前記出力性能が最良となる特定の発振周波数領域を示す情報が記憶され、前記制御装置は、前記レーザ光源の発振周波数を、前記特定の発振周波数領域内の発振周波数に設定することとすることができる。
【0028】
この他、上記請求項15に記載のレーザ光源制御装置において、請求項19に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記記憶装置には、前記発振周波数と、前記出力性能と、前記レーザ光源の発振に関する前記発振周波数以外の所定の制御ファクタとの関係を示す情報が記憶され、前記制御装置は、前記発振環境として前記所定の制御ファクタを制御し、それにより前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることとすることができる。ここで、「所定の制御ファクタ」とは、レーザ光源の発振周波数と出力性能との関係、すなわち発振周波数に対する出力性能の変化状況(分布)に変化を与える制御ファクタを意味する。
【0029】
この場合において、請求項20に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記制御ファクタは、前記レーザ光源内のガスの流速及び温度のうちの少なくとも一方を含み、前記制御装置は、前記制御ファクタを制御することにより、前記出力性能が悪化する発振周波数領域が使用する発振周波数から外れるように、或いは前記出力性能が最も安定した前記レーザ光源の発振周波数領域が所望の周波数と一致するように、前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることとすることができる。
【0030】
上記請求項19及び20に記載の各レーザ光源制御装置において、請求項21に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記制御装置は、前記所定の制御ファクタの制御後に、前記レーザ光源の発振周波数を、前記出力性能が悪化する発振周波数領域外の発振周波数に設定することとすることができる。
【0031】
上記請求項15〜21に記載の各レーザ光源制御装置において、請求項22に記載のレーザ光源制御装置の如く、前記出力性能は、前記レーザ光源から発生させるレーザビームのエネルギ安定性、波長安定性及びスペクトル線幅の変化特性のうちの少なくとも1つを含むこととすることができる。
【0032】
請求項23に記載の発明は、レーザ光源から発生したレーザビームを用いてマスク(R)を照明して、前記マスク上に形成されたパターンを物体(W)上に転写する露光装置であって、請求項15〜22のいずれか一項に記載のレーザ光源制御装置と;前記レーザ光源制御装置で制御されたレーザ光源から発生したレーザビームで照明された前記マスク上のパターンの像を、前記物体上に投影する投影光学系(PL)と;を備える露光装置である。
【0033】
これによれば、請求項15〜22のいずれか一項に記載のレーザ光源制御装置で制御されたレーザ光源から発生したレーザビームでマスクが照明され、そのマスク上のパターンの像が投影光学系により物体上に転写される。このため、レーザ光源の出力性能が常に良好な状態で露光(マスクパターンの物体上への転写)が行われ、物体上に精度良くパターンを形成することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0035】
図1には、第1の実施形態に係る露光装置10の概略構成が示されている。この露光装置10は、露光用光源にレーザ光源を用いたステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置である。
【0036】
この露光装置10は、レーザ光源16を含む照明系12、この照明系12により照明されるマスクとしてのレチクルRを保持して所定の走査方向に移動するマスクステージとしてのレチクルステージRST、レチクルRのパターンを物体としてのウエハW上に投影する投影光学系PL、ウエハWを保持して水平面(XY平面内)を移動するXYステージ14、及びこれらの制御系等を備えている。
【0037】
前記照明系12は、レーザ光源16、ビーム整形光学系18、エネルギ粗調器20、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ、又は回折光学素子などであり、図1ではフライアイレンズを用いているので、以下では「フライアイレンズ」とも呼ぶ)22、照明系開口絞り板24、ビームスプリッタ26、第1リレーレンズ28A、第2リレーレンズ28B、固定レチクルブラインド30A、可動レチクルブラインド30B、光路折り曲げ用のミラーM及びコンデンサレンズ32等を備えている。なお、以下においては、照明系12を構成するレーザ光源16以外の構成部分を纏めて適宜「照明光学系」と呼ぶ。
【0038】
ここで、この照明系12の上記構成各部について説明する。レーザ光源16としては、一例として、KrFエキシマレーザ(発振波長248nm)が用いられているものとする。以下においては、レーザ光源16を「光源ユニット16」とも呼ぶ。
【0039】
なお、レーザ光源16として、KrFエキシマレーザに代えて、ArFエキシマレーザ(発振波長193nm)やF2レーザ(発振波長157nm)は勿論、金属蒸気レーザやYAGレーザ、あるいは半導体レーザの高調波発生装置等のパルス光源を使用することも可能である。
【0040】
前記光源ユニット16は、図2に示されるように、レーザ装置としてのレーザ共振器16a、該レーザ共振器16aから射出されるレーザビームLBの光路上に配置された透過率が97%程度のビームスプリッタ16b、該ビームスプリッタ16bの反射光路上に順次配置されたハーフミラー(又はビームスプリッタ)16g及びビームモニタ機構16c、ハーフミラー16gの反射光路上に配置されたエネルギモニタ16h、前記ビームモニタ機構16c及びエネルギモニタ16hからの出力信号がそれぞれ入力されるレーザコントローラ16e、及び該レーザコントローラ16eによって電源電圧などが制御されるレーザ電源部16d等を備えている。この図2に示されるように、光源ユニット16の前記構成各部(16a〜16e、16g、16hなど)は、ハウジング17内に収納されている。レーザ共振器16aから射出され、ビームスプリッタ16bを透過したレーザビームLBがハウジング17の光透過部を介して照明光学系に入射するようになっている。
【0041】
なお、レーザコントローラ16e及びレーザ電源部16dのいずれか、あるいは両方を、ハウジング17の外部に配置することは可能である。
【0042】
前記レーザ共振器16aは、放電電極を含むエキシマレーザチューブ(レーザチャンバ)202、該エキシマレーザチューブ202の後側(図2における紙面内左側)に配置された全反射ミラー(リアミラー)201、エキシマレーザチューブ202の前側(図2における紙面内右側)に配置された低反射率ミラー(フロントミラー)205、並びにエキシマレーザチューブ202とフロントミラー205との間に順次配置された固定のファブリ・ぺロー・エタロン(Fabry−Perotetalon)203及び可変傾角のファブリ・ペロー・エタロン204等を含んで構成されている。
【0043】
この場合、リアミラー201とフロントミラー205とによって、共振器が構成され、コヒーレンシを少し高めるようにされている。
【0044】
また、ファブリ・ペロー・エタロン(以下、「エタロン」と呼ぶ)203とエタロン204とにより狭帯域化モジュールが構成されている。これを更に詳述すると、エタロン203、204は2枚の石英板を所定の空隙(エアーギャップ)を空けて平行に対向させたもので、一種のバンドパスフィルタとして働く。エタロン203、204のうちエタロン203は粗調用で、エタロン204は微調用である。これらのエタロン203、204は、レーザ共振器16aから射出されるレーザビームLBのスペクトル幅を、ここでは自然発振スペクトル幅の約1/100〜1/300程度に狭めて出力する。また、エタロン204の傾角を調整することにより、レーザ共振器16aから射出されるレーザビームLBの波長(中心波長)を所定範囲でシフトできるようになっている。
【0045】
この他、例えば図2のレーザ共振器16aにおいて、粗調用のエタロン203を取り去り、リアミラー201の代りに波長選択素子としての反射型の回折格子(グレーティング)を傾斜可能に設けることにより、レーザ共振器を構成しても良い。この場合、グレーティングとフロントミラー205とによって共振器が構成される。また、グレーティングと微調用のエタロン204とによって前述と同様の機能の狭帯域化モジュールが構成される。この場合、グレーティングは波長設定時の粗調に用いられ、エタロン204は微調に用いられる。エタロン204及びグレーティングのうちいずれかの傾斜角を変更すれば、レーザ共振器から射出されるレーザビームLBの波長(発振波長)を所定範囲で変化させることができる。
【0046】
なお、狭帯域化モジュールを、例えばプリズムと回折格子(グレーティング)とを組み合わせたものによって構成することも可能である。
【0047】
前記エキシマレーザチューブ202内には、所定の混合比のレーザガス(これは媒体ガスであるクリプトンKr、フッ素F2及びバッファガスであるヘリウムHeから成る)が充填されている。このエキシマレーザチューブ202には、不図示の排気バルブを介して例えばフレキシブルなチューブから成る排気管が接続されている。この排気管には、フッ素を卜ラップする除害用フィルタや排気用ポンプなどが設けられている。これは、フッ素の毒性を考慮し、除外用フィルタにより排気ガスを無害化した後排気用ポンプにより装置の外部ヘ排出することにしたものである。
【0048】
また、エキシマレーザチューブ202には、不図示の給気バルブを介してフレキシブルなガス供給管の一端が接続され、このガス供給管の他端はKr、F2、Heなどのガスボンベ(図示省略)に接続されている。
【0049】
上記各バルブは、主制御装置50によって開閉制御される。主制御装置50は、例えばガス交換の際等に、エキシマレーザチューブ202内のレーザガスが所定の混合比及び圧力になるように調整する。また、エキシマレーザチューブ202内部では、レーザの発振時には、不図示のファンによって常時レーザガスが循環されている。
【0050】
ところで、前記エキシマレーザチューブ202は、放電部であるため、その温度は非常に高温になる。このため、本実施形態では、このエキシマレーザチューブ202は、十分に熱的に周囲と隔離した上で、水などの冷媒で一定温度に温度制御が行われるようになっている。すなわち、このエキシマレーザチューブ202の周囲には不図示の冷却水配管が張り巡らされており、この冷却水配管もまた不図示のフレキシブルチューブにて外部と接続されている。この冷却水配管内には外部の冷却装置から水あるいはその他の冷媒が循環供給されており、その冷媒の温度が冷却装置の制御系によって制御されている。さらに、本実施形態では、エキシマレーザチューブ202の内部には、不図示のヒータ等の熱源が配置されている。主制御装置50は、前記冷却装置の制御系及びヒータを制御することにより、エキシマレーザチューブ202内のガスの温度を必要に応じて制御できるように構成されている。
【0051】
このエキシマレーザチューブ202内のガスの温度を調整することにより、レーザ発振時のレーザガスの流速を制御することが可能である。勿論、前述のファンの回転数を制御することによっても、レーザガスの流速を制御することは可能である。
【0052】
前記エネルギモニタ16hは、ビームスプリッタ16bにより反射される反射光の光路上に配置されたハーフミラー16gからの反射光を受光して、その光電変換信号(光量信号)を出力信号ESとしてレーザコントローラ16eに出力する。エネルギモニタ16hとしては、例えば遠紫外域のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型フォトダイオードなどの受光素子が用いられる。
【0053】
前記ビームモニタ機構16cとしては、例えばハーフミラー16gの透過光路上に順次配置された集光レンズ、コリメータレンズ、エタロン、テレメータレンズ及びラインセンサ等を含むファブリペロー干渉計が用いられている。この場合、エタロンとしては、前述と同様に、2枚の部分反射ミラー(石英板等)が所定の空隙(エアーギャップ)を空けて対向配置されたものが用いられている。いま、このエタロンにレーザビームLBが入射すると、部分反射面での回折光(ホイヘンスの原理による二次波)はエアーギャップ間で反射と透過を繰り返す。この時、次式(1)を満たす入射角θの方向の光のみがエタロンを透過して強め合い、これにより、テレメータレンズの焦点面に干渉縞(フリンジパターン)が形成され、該フリンジパターンがテレメータレンズの焦点面に配置されたラインセンサによって検出される。
【0054】
2ndcosθ=mλ ……(1)
【0055】
ここで、dはエアーギャップであり、nはエアーギャップの屈折率、mは次数である。
【0056】
上式(1)より、n、d、mが一定とすれば、波長λの違いによって焦点面に形成されるフリンジパターンが異なることがわかる。
【0057】
テレメータレンズの焦点面に配置されたラインセンサで検出される光強度の分布は、焦点面におけるラインセンサ長手方向に関して所定間隔で環状縞に対応する山が現れる。各光強度分布の山の高さ1/2に相当する部分の幅がレーザビームLBのスペクトル線幅(半値全幅(FWHM))に対応する。また、各光強度分布の山のピークに対応するラインセンサ長手方向の位置は、中心波長に応じて定まる。すなわち、前述のフリンジパターンは、入射光の中心波長、スペク卜ル線幅(FWHM)に対応したものとなっており、ビームモニタ機構からこのフリンジパターンの撮像信号がレーザコントローラ16eに出力される。
【0058】
前記レーザ電源部16dは、高圧電源と、この高圧電源を用いてエキシマレーザチューブ202内部の不図示の放電電極を所定のタイミングで放電させるパルス圧縮回路(スイッチング回路)等を含んで構成されている。
【0059】
前記レーザコントローラ16eは、前述のフリンジパターンの撮像信号及び出力信号ESに所定の信号処理を施す画像処理回路(ADコンバータやピークホールド回路などを含む)及び所定の演算を行うマイクロコンピュータなどを含んで構成されている。レーザコントローラ16eは、フリンジパターンの撮像信号に所定の信号処理を施すことにより、ビームモニタ機構16cに対する入射光(レーザビーム)LBの光学特性に関する情報、例えば中心波長(又は重心波長)λ、スペク卜ル線幅(FWHM)などの情報を得るようになっている。
【0060】
レーザコントローラ16eは、レーザビームLBの中心波長λを用いて、主制御装置50によって設定される設定波長λ0に対する中心波長λのずれ量(波長ずれ量)Δλを次式(2)に基づいて演算する。
【0061】
Δλ=|λ0−λ| ……(2)
【0062】
また、レーザコントローラ16eは、上記のスペクトル線幅とスペクトル線幅の基準値、例えば初期のスペクトル線幅との差に基づいてスペクトル線幅の変動量を演算する。
【0063】
さらに、本実施形態においては、光源ユニット16には、前記レーザ共振器16aを構成するエタロン204(又はグレーティング及びエタロン204、あるいはグレーティングやプリズム)等の分光素子の駆動機構19が設けられている(図2参照)。そして、この駆動機構19が、前述の波長ずれ量Δλに基づいてレーザコントローラ16eにより制御され、中心波長λが所望の範囲内に制御されるようになっている。
【0064】
また、レーザコントローラ16eでは、通常の露光時には、前記エネルギモニタ16hの出力ESに基づいて検出したエネルギパワーに基づいて、レーザ共振器16aから出力されるレーザビームLBの1パルスあたりのエネルギが、主制御装置50からの制御情報により与えられる1パルスあたりのエネルギの目標値に対応した値となるように、レーザ電源部16d内部の高圧電源での電源電圧をフィードバック制御する。
【0065】
また、レーザコントローラ16eは、主制御装置50からの制御情報に基づきレーザ電源部16d内部のパルス圧縮回路に対するトリガ信号の印加タイミングあるいは印加間隔を制御することにより、ウエハW上の1ショット領域に対する露光中のパルス数あるいはパルス発振の繰り返し周波数(発振周波数)をも制御する。
【0066】
この他、光源ユニット16のハウジング17内におけるビームスプリッタ16bの照明光学系側には、主制御装置50からの制御情報に応じてレーザビームLBを遮光するためのシャッタ16fも配置されている。
【0067】
図1に戻り、前記ビーム整形光学系18は、エキシマレーザ16からパルス発光されたレーザビームLBの断面形状を、該レーザビームLBの光路後方に設けられたフライアイレンズ22に効率良く入射するように整形するもので、例えばシリンダレンズやビームエキスパンダ(いずれも図示省略)等で構成される。
【0068】
エネルギ粗調器20は、ビーム整形光学系18後方のレーザビームLBの光路上に配置され、ここでは、回転板34の周囲に透過率(=1−減光率)の異なる複数個(例えば6個)のNDフィルタ(図1ではその内の2個のNDフィルタ36A、36Dが示されている)を配置し、その回転板34を駆動モータ38で回転することにより、入射するレーザビームLBに対する透過率を100%から等比級数的に複数段階で切り換えることができるようになっている。駆動モータ38は、後述する主制御装置50によって制御される。
【0069】
前記フライアイレンズ22は、エネルギ粗調器20後方のレーザビームLBの光路上に配置され、レチクルRを均一な照度分布で照明するためにその射出側焦点面に多数の点光源から成る面光源、すなわち2次光源を形成する。この2次光源から射出されるレーザビームを以下においては、「パルス照明光IL」と呼ぶものとする。
【0070】
フライアイレンズ22の射出面近傍、すなわち本実施形態では照明光学系の瞳面とほぼ一致するその射出側焦点面に、円板状部材から成る照明系開口絞り板24が配置されている。この照明系開口絞り板24には、等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(図1ではこのうちの2種類の開口絞りのみが図示されている)等が配置されている。この照明系開口絞り板24は、後述する主制御装置50により制御されるモータ等の駆動装置40により回転されるようになっており、これによりいずれかの開口絞りがパルス照明光ILの光路上に選択的に設定される。なお、開口絞り板24の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、例えば照明光学系内に交換して配置される複数の回折光学素子、照明光学系の光軸に沿って可動なプリズム(円錐プリズム、多面体プリズムなど)、及びズーム光学系の少なくとも1つを含む光学ユニットを、光源16とオプティカルインテグレータ22との間に配置し、オプティカルインテグレータ22がフライアイレンズであるときはその入射面上での照明光の強度分布、オプティカルインテグレータ22が内面反射型インテグレータであるときはその入射面に対する照明光の入射角度範囲などを可変とすることで、照明光学系の瞳面上での照明光の光量分布(2次光源の大きさや形状)、すなわち照明条件の変更に伴なう光量損失を抑えることが望ましい。
【0071】
照明系開口絞り板24後方のパルス照明光ILの光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプリッタ26が配置され、更にこの後方の光路上に、固定レチクルブラインド30A及び可動レチクルブラインド30Bを介在させて第1リレーレンズ28A及び第2リレーレンズ28Bから成るリレー光学系が配置されている。
【0072】
固定レチクルブラインド30Aは、レチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上の照明領域42Rを規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レチクルブラインド30Aの近傍に走査方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動レチクルブラインド30Bが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動レチクルブラインド30Bを介して照明領域42Rを更に制限することによって、不要な部分の露光が防止されるようになっている。
【0073】
リレー光学系を構成する第2リレーレンズ28B後方のパルス照明光ILの光路上には、当該第2リレーレンズ28Bを通過したパルス照明光ILをレチクルRに向けて反射する折り曲げミラーMが配置され、このミラーM後方のパルス照明光ILの光路上にコンデンサレンズ32が配置されている。
【0074】
一方、ビームスプリッタ26で反射されたパルス照明光ILは、集光レンズ44を介して光電変換素子よりなるインテグレータセンサ46で受光され、インテグレータセンサ46の光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を介して出力DS(digit/pulse)として主制御装置50に供給される。インテグレータセンサ46としては、例えば遠紫外域で感度があり、且つ光源ユニット16のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型のフォトダイオード等が使用できる。このインテグレータセンサ46の出力DSと、ウエハWの表面上でのパルス照明光ILの照度(強度)との相関係数(又は相関関数)は予め求められて、主制御装置50に併設されたメモリ51内に記憶されている。また、前述のエネルギモニタ16hの出力ESと、インテグレータセンサ46の出力DSとの相関係数(又は相関関数)は予め求められて、メモリ51内に記憶されている。
【0075】
前記レチクルステージRST上にレチクルRが載置され、不図示のバキュームチャック等を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、水平面(XY平面)内で微小駆動可能であるとともに、レチクルステージ駆動部48によって走査方向(ここでは図1の紙面左右方向であるY軸方向とする)に所定ストローク範囲で走査されるようになっている。この走査中のレチクルステージRSTの位置は、レチクルステージRST上に固定された移動鏡52Rを介して外部のレーザ干渉計54Rによって計測され、このレーザ干渉計54Rの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。なお、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工してレーザ干渉計54Rの反射面(前述の移動鏡52Rの反射面に相当)を形成しても良い。
【0076】
前記投影光学系PLとしては、例えば両側テレセントリックな縮小系であり、共通のZ軸方向の光軸AXを有する複数枚のレンズエレメントから成る屈折系が用いられている。また、この投影光学系PLの投影倍率δは、例えば1/4又は1/5である。このため、前記の如くして、パルス照明光ILによりレチクルR上の照明領域42Rが照明されると、そのレチクルRに形成されたパターンが投影光学系PLによって投影倍率δで縮小された像が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上のスリット状の露光領域(照明領域42Rに共役な領域)42Wに形成される。
【0077】
前記XYステージ14は、ウエハステージ駆動部56によってXY面内で走査方向であるY軸方向及びこれに直交するX軸方向(図1における紙面直交方向)に2次元駆動されるようになっている。このXYステージ14上に、Zチルトステージ58が搭載され、このZチルトステージ58上に不図示のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等により保持されている。Zチルトステージ58は、ウエハWのZ方向の位置(フォーカス位置)を調整すると共に、XY平面に対するウエハWの傾斜角を調整する機能を有する。また、XYステージ14の位置は、Zチルトステージ58上に固定された移動鏡52Wを介して外部のレーザ干渉計54Wにより計測され、このレーザ干渉計54Wの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。なお、Zチルトステージ58(又はXYステージ14)などの端面を鏡面加工して、レーザ干渉計54Wの反射面(前述の移動鏡52Wの反射面に相当)を形成しても良い。
【0078】
さらに、図示は省略されているが、レチクルRの上方には、例えば特開平7−176468号公報等に開示されるように、CCD等の撮像素子を有し、露光波長の光(本実施形態ではパルス照明光IL)をアライメント用照明光とする画像処理方式の一対のレチクルアライメント顕微鏡が配置されている。この場合、一対のレチクルアライメント顕微鏡は、投影光学系PLの光軸AXを含むYZ平面に関して対称(左右対称)な配置で設置されている。また、この一対のレチクルアライメント顕微鏡は光軸AXを通るXZ面内でX軸方向に往復移動が可能な構造となっている。
【0079】
通常、一対のレチクルアライメント顕微鏡は、レチクルRがレチクルステージRST上に載置された状態で、レチクルRの遮光帯の外側に配置された一対のレチクルアライメントマークをそれぞれ観察可能な位置に設定されている。
【0080】
制御系は、図1中、主制御装置50によって主に構成される。主制御装置50は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はミニコンピュータ)を含んで構成され、露光動作が的確に行われるように、例えばレチクルRとウエハWの同期走査、ウエハWのステッピング、露光タイミング等を統括して制御する。
【0081】
具体的には、主制御装置50は、例えば走査露光時には、レチクルRがレチクルステージRSTを介して+Y方向(又は−Y方向)に速度VRで走査されるのに同期して、XYステージ14を介してウエハWが露光領域42Wに対して−Y方向(又は+Y方向)に速度δ・VR(δはレチクルRからウエハWに対する投影倍率)で走査されるように、レーザ干渉計54R、54Wの計測値に基づいてレチクルステージ駆動部48、ウエハステージ駆動部56をそれぞれ介してレチクルステージRST、XYステージ14の位置及び速度をそれぞれ制御する。また、ステッピングの際には、主制御装置50ではレーザ干渉計54Wの計測値に基づいてウエハステージ駆動部56を介してXYステージ14の位置を制御する。
【0082】
また、主制御装置50では、制御情報を光源ユニット16に供給することによって、前述の如く、光源ユニット16の発光タイミング、及び発光パワー等を制御する。また、主制御装置50は、エネルギ粗調器20、照明系開口絞り板24をモータ38、駆動装置40をそれぞれ介して制御し、更にステージ系の動作情報に同期して可動レチクルブラインド30Bの開閉動作を制御する。このように本実施形態では、主制御装置50が、露光コントローラ及びステージコントローラの役目をも有している。これらのコントローラを主制御装置50とは別に設けても良いことは勿論である。
【0083】
前記主制御装置50には、図1に示されるように、記憶装置としてのメモリ51及び入出力装置62が、併設されている。メモリ51内には、前述のインテグレータセンサ46の出力DSとウエハWの表面上でのパルス照明光ILの照度(強度)との相関係数(又は相関関数)や、エネルギモニタ16hの出力ESとインテグレータセンサ46の出力DSとの相関係数(又は相関関数)などの情報の他、使用可能な発振周波数(発振周波数)を含む所定範囲のレーザ共振器16aの発振周波数と出力性能、一例としてエネルギ安定性との関係を含む情報も記憶されている。
【0084】
次に、レーザ共振器16aの発振周波数と出力性能としてのエネルギ安定性との関係を示す情報の取得方法について説明する。かかる情報の取得は、例えば露光装置10の立ち上げ時などに行われる。
【0085】
a. まず、作業者(エンジニア)により、入出力装置62を介して計測開始の指示が入力される。この入力に応答して、主制御装置50内部のCPUは、シャッタ16fを閉じる、あるいはXYステージ14を投影光学系PLの下方から退避させる。次いで、CPUは、エネルギの制御目標値の中立設定値、例えば最小値Emin、及び設定可能な最小発振周波数f0を、目標値として、レーザコントローラ16eに与える。レーザコントローラ16eは、エネルギの制御目標値(設定値)Etarget(=Emin)及び周波数の制御目標値(設定値)ftarget(=f0)に基づいて、レーザ電源部16d内部の高圧電源での電源電圧をフィードバック制御するとともに、レーザ電源部16d内部のパルス圧縮回路に対するトリガ信号の印加タイミングあるいは印加間隔を制御する。これにより、レーザ共振器16aにより発振周波数ftarget(=f0)のレーザビームLBのパルス発光が開始される。
【0086】
b. CPUでは、パルス発光の度毎にエネルギモニタ16hからの出力信号データ(出力信号のデジタル変換データ)を順次取り込み、RAM内の所定のデータ格納領域に記憶する。このような出力信号データの取り込みを、所定数のパルス、例えば100パルス分だけ行う。
【0087】
c. そして、100パルスの発光が終了すると、CPUは、予め定めたΔfだけ発振周波数の制御目標値を増加させた(f0+Δf)を、発振周波数の新たな制御目標値ftargetとして、レーザコントローラ16eに供給する。これにより、これらの制御目標値Etarget、ftargetに基づいて、レーザコントローラ16eにより、前述と同様のレーザ電源部16dに対する制御が行われ、発振周波数ftargetでパルス発光が行われる。そして、CPUでは、パルス発光の度毎にエネルギモニタ16hからの出力信号データを順次取り込み、RAM内の所定のデータ格納領域に100パルス分の出力信号データを記憶する。
【0088】
d. 以後、Δfだけ増加させた発振周波数ftargetに発振周波数の制御目標値を変更しながら、上記と同様の処理を繰り返す。そして、ftargetが設定可能な最大発振周波数fmaxに達し、かつ上記の出力信号データの取り込みが完了すると、パルス発光を終了する。このとき、RAM内のデータ格納領域には、発振周波数f0からfmaxまでのΔf間隔の発振周波数の制御目標値毎に、100パルス分の出力信号データが格納されたデータテーブルが作成されている。
【0089】
e. 次に、CPUは、そのデータテーブル内の、発振周波数の制御目標値毎にデータの値のばらつき度合い、例えばいわゆる3σを算出する。この3σの値が、出力エネルギ安定性の指標値に他ならない。
【0090】
このようにして得られたレーザ共振器16aの出力エネルギ安定性の分布が、図3に示されている。この図3において、横軸はレーザ共振器16aの発振周波数であり、縦軸は出力エネルギ安定性の指標値(3σ)である。
【0091】
本実施形態では、メモリ51内には、この図3に示されるようなレーザ共振器16aの発振周波数と出力エネルギ安定性の指標値との関係を示す情報が格納されている。図3において、縦軸のES1は、上記出力エネルギ安定性の指標値の許容限界値を示す。また、図3において、周波数f1〜f2の間の陰影を付した領域は、光源ユニット16の使用可能な発振周波数領域における出力エネルギ安定性が悪化する特定の発振周波数領域(以下、「特定周波数領域」とも呼ぶ)を示す。また、周波数fmin〜fmaxの領域が露光装置で使用可能な発振周波数領域となっている。なお、周波数f0〜fminの範囲は、露光装置では使用しない周波数領域である。
【0092】
出力エネルギ安定性以外の出力性能、例えば波長安定性(中心波長の安定性)の指標値と発振周波数との関係を示す情報や、スペクトル線幅(スペクトル線幅の変化特性の指標値)と発振周波数との関係を示す情報なども、前述の出力エネルギ安定性の場合と同様にして予め実験により求められ、メモリ51内に記憶されている。但し、波長安定性(中心波長の安定性)の指標値やスペクトル線幅の場合には、前述のエネルギモニタに代えて、ビームモニタ機構16cからの出力データの取り込みが行われる。
【0093】
次に、本実施形態の露光装置10の露光量制御について、主制御装置50内のCPUの処理アルゴリズムを示す図4のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明では、光源ユニット16(レーザ共振器16a)としては、一例として、1パルス当たりのパルスエネルギEをEmin(例えば8mJ/pulse)〜Emax(例えば10mJ/pulse)の範囲で変更可能であり、かつパルス発光の発振周波数fをfmin(例えば600Hz)〜fmax(例えば4000Hz)の範囲内で変更して使用可能なものが用いられているものとする。
【0094】
なお、実際には、インテグレータセンサ46の出力DSが、図1のZチルトステージ58上で像面(即ち、ウエハの表面)と同じ高さに設置された不図示の基準照度計の出力に対して予め較正(キャリブレーション)され、これによって像面照度とインテグレータセンサ46の出力との関係を示す変換係数αが、照明条件毎に求められる。そして、露光に先立って、そのインテグレータセンサ46と、光源ユニット16内のエネルギモニタ16hとを用いて、例えば特開平10−270345号公報などに開示される所定の手順に従って、インテグレータセンサ46の出力DSより間接的に求められる像面上での露光量、すなわちインテグレータセンサ46の処理量p(mJ/(cm2・pulse))と、光源ユニット16内のエネルギモニタ16hの出力ES(mJ/pulse)との相関関係を示す所定の制御テーブルが作成される。
【0095】
しかし、以下の説明では、簡単のためインテグレータセンサ46とエネルギモニタ16hとの相関が1次関数で表され、そのオフセットは0とみなすことができ、その傾きを変換係数βとして扱えるものとする。即ち、インテグレータセンサ46の処理量p(mJ/(cm2・pulse))、及び変換係数βを用いて、次式よりエネルギモニタ16cの出力ES(mJ/pulse)を算出できるものと仮定する。
【0096】
ES=β・p ……(3)
【0097】
なお、特に前述した光学ユニットが設けられているときは、上記の変換係数βについても、その光学ユニットによって可変となるオプティカルインテグレータ22への照明光の入射条件毎に求めることが好ましい。また、照明系12を構成する照明光学系や投影光学系PLのパルス照明光ILの透過率変動などを考慮して変換係数α、βを計算にて更新するようにすることが望ましい。
【0098】
また、エネルギ粗調器20の透過率は設定露光量全般での露光時間を最小にするために、離散透過率は等比数列になるように設計されているものとする。
【0099】
先ず、図4のステップ102において、オペレータによりコンソール等の入出力装置62(図1参照)を介して設定露光量S0が設定されるのを待ち、設定露光量S0が設定されると、次のステップ104に進み、レーザビームLBの1パルス当たりのエネルギEを最小エネルギ値Emin(8mJ/pulse)に、発振周波数fを最小周波数fmin(600Hz)に、レーザコントローラ16eを介して設定する。すなわち、このようにして、パルスエネルギとその発振周波数の中立設定を行う。
【0100】
次のステップ106では光源ユニット16に複数回(例えば数100回)パルス発光を行わせて、インテグレータセンサ46の出力を積算することによって、間接的にウエハW上での平均パルスエネルギ密度p(mJ/(cm2・pulse))を計測する。この計測は、例えば、可動レチクルブラインド30Bを駆動して、その開口を完全に閉じ、照明光ILがレチクルR側に達するのを阻止した状態で行われる。勿論、XYステージ14を駆動してウエハWを退避させた状態で行なっても良い。
【0101】
次のステップ108では次式(4)により露光パルス数Nを算出する。
【0102】
N=cint(S0/p) ……(4)
ここで、関数cintは小数点以下1桁目の値の四捨五入を表すものとする。
【0103】
次のステップ110でその露光パルス数Nが、必要な露光量制御再現精度を得るための最小露光パルス数Nmin以上であるかどうかを判断する。ここで、最小露光パルス数Nminは、例えば予め計測されて装置定数として設定されているパルスエネルギのばらつき(3σの値)δpの平均パルスエネルギ密度pに対する比δp/pに基づいて求められる値である。本実施形態では、例えばNmin=40であるものとする。
【0104】
そして、このステップ110における判断が否定された場合、すなわち露光パルス数Nが最小露光パルス数Nminより小さい場合には、ステップ111に移行して、図1のエネルギ粗調器20のNDフィルタにより設定可能な透過率の中からS0/(Nmin×p)より小さく、かつ最も近いNDフィルタを選択して設定した後、上記ステップ106の処理を再び行い、選択されたND条件での平均パルスエネルギ密度p=ptを新たに求め、この平均パルスエネルギ密度ptを用いて、ステップ108の処理を再び行う。このようにしてステップ110の判断が肯定された場合又は当初からステップ110の判断が肯定された場合(N≧Nminの場合)には、ステップ112に移行する。なお、ここで、当初からステップ110の判断が肯定された場合の平均パルスエネルギ密度pは、上記の選択されたND条件での平均パルスエネルギ密度ptと同様にN≧Nminを満たすので、以下では、ptとして扱うものとする。
【0105】
ステップ112では、上記ステップ106で求めたエネルギ密度ptを用いて、次式(5)に基づいて前述した変換係数βを算出する。勿論、これに限らず、前述した制御テーブルを予め求めておく場合には、この制御テーブルから、平均パルス密度ptに対応する変換係数βを算出するようにしても良い。
【0106】
β=Emin/pt ……(5)
【0107】
次のステップ113では次式(6)により、レーザビームLBの1パルス当たりのエネルギ設定値Et(mJ/pulse)を算出し、ステップ114に移行する。
【0108】
Et=β×S0/Nmin ……(6)
【0109】
ステップ114では上記のエネルギ設定値Etが設定可能な最大エネルギEmax(ここでは、10mJ/pulse)以下であるか否かを判断する。そして、この判断が肯定された場合には、ステップ115に進んでエネルギ設定値Etをレーザコントローラ16eに供給する。これにより、レーザコントローラ16eにより、1パルスのエネルギEがEtに設定される。その後、ステップ118のスキャン速度V及び発振周波数fを決定するサブルーチンに移行する。
【0110】
この一方、前述したステップ114における判断が否定された場合、すなわち先に算出したエネルギ設定値Etが設定可能な最大エネルギEmaxより大きい場合には、このようなエネルギの設定は不可能なので、ステップ116に進んでエネルギ設定値としてEt=Emaxをレーザコントローラ16eに供給する。これにより、レーザコントローラ16eにより、1パルスのエネルギEがEmaxに設定される。
【0111】
この場合、N=Nminとはならないので、次のステップ117に進んで次式(7)に従って露光パルス数Nの計算した後、スキャン速度V及び発振周波数fを決定するサブルーチン118に移行する。
【0112】
N=β×S0/Emax ……(7)
【0113】
サブルーチン118では、まず、図5のステップ152において、スキャン速度V=スキャン最高速(Vmax)として発振周波数fを次式(8)により算出する。
【0114】
f=int(Vmax×N/Ws) ……(8)
ここで、関数int(a)は、実数aを超えない最大の整数を表すものとする。
【0115】
そして、次のステップ154では、上で算出した発振周波数fがレーザの持つ最大発振周波数fmax以下であるか否かを判断する。そして、この判断が肯定された場合には、ステップ156に進み、メモリ51内に記憶されている情報に基づき、特定周波数領域(図3中のf1〜f2の範囲)を特定するとともに、上で算出した発振周波数fがその特定周波数領域内か否かを判断する。そして、この判断が否定された場合、すなわち特定周波数領域外であった場合には、ステップ158に進み、レーザコントローラ16eを介して発振周波数fを上記ステップ152で算出した値に設定し、次のステップ160でスキャン目標速度(スキャン速度)をスキャン最高速Vmaxに設定する。その後、メインルーチンのステップ120にリターンする。
【0116】
一方、ステップ156における判断が肯定された場合には、上記ステップ152で算出された発振周波数fは、出力エネルギ安定性が許容範囲外となる周波数領域に属するので、そのまま設定することは妥当でない。そこで、ステップ164に移行し、レーザコントローラ16eを介して発振周波数fを(f−Δf)に変更し設定する。次いで、ステップ166において、設定した発振周波数fが、前述の特定周波数領域内にあるか否かを判断し、この判断が肯定された場合には、ステップ164に戻り、レーザコントローラ16eを介して発振周波数fを(f−Δf)に変更し設定する。以後、ステップ166の判断が否定されるまで、ステップ164、166の処理、判断を繰り返す。そして、設定した発振周波数が、特定周波数領域外となってステップ166の判断が否定されると、ステップ168に進み、スキャン速度Vを次式(9)に基づいて算出し、設定する。
【0117】
V=Ws×f/N ……(9)
【0118】
この場合、スキャン速度Vは、最高スキャン速度より低い所定の値に設定される。その後、メインルーチンのステップ120にリターンする。
【0119】
この一方、上記ステップ154における判断が否定された場合には、上記ステップ152で算出した発振周波数fの設定は不可能であるから、ステップ162に移行する。このステップ162では、レーザコントローラ16eを介して発振周波数fを最大発振周波数fmaxに設定した後、ステップ166に進む。
【0120】
このステップ166では、設定した発振周波数f(=fmax)が、前述の特定周波数領域内にあるか否かを判断するが、本実施形態の場合、図3から明らかなように、fmaxは、特定周波数領域外である。このため、ステップ166における判断は否定され、ステップ168に移行する。ステップ168で、スキャン速度Vを上述した式(9)に基づいて算出し、設定する。この場合、スキャン速度の算出には、fmaxが用いられる。その後、メインルーチンのステップ120にリターンする。
【0121】
なお、図3と異なり、fmaxが特定周波数領域内となっている場合には、ステップ166における判断が肯定され、ステップ164に戻り、前述と同様の処理、判断が繰り返される。
【0122】
そして、メインルーチンのステップ120では、それまでのステップで定まった設定条件(V、f、Et、N)にて、ウエハW上の指定されたショット領域に、走査露光方式でレチクルRのパターンを転写する。
【0123】
上記の走査露光の終了後、ステップ122で全てのショット領域に対する露光が終了したか否かを判断し、この判断が否定された場合、すなわち露光すべきショット領域が残っている場合には、ステップ120に戻り、上記走査露光を次ショット領域に対して行う。
【0124】
このようにして、露光すべきショット領域が尽きたときに本ルーチンの一連の処理を終了する。
【0125】
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、使用可能な周波数領域を含む所定の範囲における光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数の、前記光源ユニットの出力性能を鑑みた情報が記憶された記憶装置が、メモリ51によって構成されている。また、このメモリ51内の前記情報に基づいて、光源ユニット16を発振させる際の発振環境としての発振周波数を制御する制御装置が、主制御装置50、より具体的にはCPUとソフトウェアプログラムとによって、実現されている。すなわち、CPUが行うステップ154、156、158、162、164及び166の処理によって制御装置が実現されている。この制御装置では、出力性能(本実施形態では、出力エネルギ安定性)が悪化する特定の発振周波数領域外の発振周波数に光源ユニット16の発振周波数を設定する。また、上記の制御装置とメモリ51とによって、レーザ光源制御装置が構成されている。
【0126】
なお、上記のソフトウェアプログラムで実現した構成部分の少なくとも一部をハードウェアにて構成しても良いことは勿論である。
【0127】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るレーザ光源制御装置(50、51)によると、メモリ51には、前述のa.〜e.の手順で予め求められた、使用可能な周波数領域を含む所定の範囲における光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数と出力性能(一例として出力エネルギ安定性)との関係の情報(図3参照)が記憶されている。そして、主制御装置50により、メモリ51に記憶された前述の情報に基づいて、光源ユニット16の発振周波数が前述の特定発振周波数範囲外の発振周波数に設定される。このため、少なくとも出力性能が悪化する特定の発振周波数領域(特定発振周波数範囲)内の発振周波数を避けた発振周波数の設定が可能となり、これにより、常に出力性能が良好な状態でのレーザ共振器16aの使用が可能となる。
【0128】
また、本実施形態に係る露光装置10によると、レチクルRのパターンをウエハW上の各ショット領域に順次転写する際に、主制御装置50により、メモリ51に記憶された情報に基づいて光源ユニット16の発振周波数が上述の如く制御される。この場合、メモリ51内の情報により、使用可能な発振周波数を含む所定範囲(所定の周波数範囲)における出力性能の変化状況(分布)がわかるので、主制御装置50は、この情報を利用して、出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数に光源ユニット16の発振周波数を、例えば前述のサブルーチン118に従って設定することができる。このため、露光装置10によると、出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数でパターンの転写を行うことが可能となり、これにより、ウエハW上の複数のショット領域にそれぞれパターンを精度良く形成することが可能となる。
【0129】
なお、上記実施形態では、記憶装置としてのメモリ51内に光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数と出力性能(一例として出力エネルギ安定性)との関係の情報(図3参照)が記憶されている場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、光源ユニット(レーザ光源)16の使用可能な周波数領域における出力性能が悪化する特定の発振周波数領域の情報(例えば前述の特定発振周波数範囲の情報)を、メモリ51に記憶しておいても良い。かかる場合であっても、主制御装置50が一例として前述のステップ156、166の判断を、このメモリ51内の情報に基づいて行うようにすることにより、特定の発振周波数領域外の発振周波数に光源ユニット(レーザ光源)16の発振周波数を設定することができる。このため、少なくとも出力性能が悪化する特定の発振周波数領域内の発振周波数を避けた発振周波数の設定が可能となり、これにより、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用が可能となり、ひいては出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数でパターンの転写を行うことが可能となる。従って、ウエハW上の複数のショット領域にそれぞれパターンを精度良く形成することが可能となる。
【0130】
また、上記実施形態において、主制御装置50(内のCPU)が、メモリ51内の情報に基づいて出力性能(一例として出力エネルギ安定性)が良好となる発振周波数領域(例えば図3中の矢印Aで示される範囲)、あるいはその出力性能が良好となる範囲の中でも出力性能が最良となる周波数領域にレーザ光源16の発振周波数を設定することとしても良い。あるいは、この出力性能が最良となる周波数領域の情報を、メモリ51に記憶しておき、主制御装置50が、このメモリ51内の情報に基づいて、その発振周波数領域内の周波数に光源ユニット(レーザ光源)16の発振周波数を設定することとしても良い。このようなことは、ソフトウェアの変更により容易に実現可能である。これにより、常に出力性能が良好な、あるいは最良の状態での光源ユニット16の使用が可能となり、ひいては出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数でパターンの転写を行うことが可能となる。従って、ウエハW上の複数のショット領域にそれぞれパターンを精度良く形成することが可能となる。
【0131】
なお、上記実施形態では、a.〜e.の手順で予め求められた前述の発振周波数と出力性能(出力エネルギ安定性など)との関係の情報を、メモリ51内に記憶するものとしたが、これに限らず、主制御装置50のRAM内に前記情報を記憶することとしても良い。この場合、RAMが記憶装置を構成する。また、発振周波数と出力性能との関係の情報は、必ずしも露光装置を用いて求める必要はなく、光源ユニット16を、露光装置に組み込む前に、光源ユニット16のみを用いて、前述のa.〜e.の手順と同様の手順で求めておいても良い。
【0132】
また、上記実施形態では、主制御装置50が、レーザ光源16の外部から、レーザ光源16の発振周波数を制御する場合について説明したが、本発明のレーザ光源制御装置は、これに限定されるものではない。すなわち、ハウジング17内部のレーザコントローラ16eに、発振周波数の設定、制御に関する機能を持たせても良い。
【0133】
なお、上記実施形態において、メモリ51内に使用可能な周波数領域を含む所定の範囲における光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数と出力性能との関係の情報として、前述の発振周波数と出力エネルギ安定性との関係を示す情報に代えて、あるいはこれに加えて光源ユニット16の発振周波数と出力エネルギ安定性以外の出力性能、例えば波長安定性(中心波長の安定性)の指標値と発振周波数との関係を示す情報、あるいはスペクトル線幅(スペクトル線幅の変化特性の指標値)と発振周波数との関係を示す情報などを、メモリ51内に記憶しておいても良い。これらの情報は、前述の出力エネルギ安定性の場合と同様にして予め実験により求めておけば良い。但し、波長安定性(中心波長の安定性)の指標値やスペクトル線幅の場合には、前述のエネルギモニタに代えて、ビームモニタ機構16cからの出力データの取り込みが行われる。そして、主制御装置50では、例えば前述のサブルーチン118の処理に際して、ステップ156、166において、これらの出力性能が悪化する特定周波数領域外の周波数領域に発振周波数を設定する、あるいはこれらの出力性能が良好となる特定周波数領域内の周波数に発振周波数を設定することとすれば良い。特に、発振周波数と出力エネルギ安定性との関係を示す情報、波長安定性(中心波長の安定性)の指標値と発振周波数との関係を示す情報、スペクトル線幅(スペクトル線幅の変化特性の指標値)と発振周波数との関係を示す情報などのうちの複数の情報をメモリ51内に記憶しておく場合には、その複数の出力性能の全てが良好となる特定周波数領域内の周波数に発振周波数を設定することとすれば良い。このようなことも、ソフトウェアの変更により容易に実現可能である。
【0134】
なお、上記実施形態では、ステップ156、166において発振周波数fが、特定周波数領域内であった場合に、発振周波数fを(f−Δf)に変更することを繰り返す方法により、発振周波数(発振周波数)fを出力性能が良好な周波数領域内に設定する方法について説明したが、図3に示される情報に基づいて、出力エネルギの安定性がES1の範囲内にある任意の発振周波数に直ちに設定することとしても良い。
【0135】
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態を図6及び図7に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。この第2の実施形態に係る露光装置は、装置構成などは前述した第1の実施形態に係る露光装置10と同様になっており、メモリ51内に記憶されている情報、及び露光量制御に際しての主制御装置50内のCPUの処理アルゴリズムの一部が相違するのみである。そこで、以下においては、かかる相違点を中心として説明する。
【0136】
この第2の実施形態では、メモリ51内に、前述の第1の実施形態において記憶されていた使用可能な周波数領域を含む所定の範囲における光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数と出力性能との関係の情報(前述の発振周波数と出力エネルギ安定性との関係を示す情報:以下、「情報A」とも呼ぶ)に加えて、エキシマレーザチューブ202内のレーザガスの温度T(制御ファクタの一種)の変動量と発振周波数fの変動量との関係を示す情報(以下、「情報B」とも呼ぶ)も予め実験などにより求められて記憶されている。これら情報Aと情報Bとを用いることにより、光源ユニット16の発振周波数と、出力性能の一種であるエネルギ安定性と、光源ユニット16の発振に関する発振周波数以外の所定の制御ファクタであるレーザガスの温度Tとの関係が求められる。すなわち、メモリ51内には、実質的に上記三者の関係を示す情報が記憶されている。
【0137】
図6には、本第2の実施形態に係る露光量制御に際しての主制御装置50内のCPUの処理アルゴリズムの一部である、スキャン速度V及び発振周波数fを決定するサブルーチン(図4におけるサブルーチン118に相当)の一例が示されている。
【0138】
このサブルーチンでは、まず、ステップ252において、前述のステップ152と同様に、スキャン速度V=スキャン最高速(Vmax)として発振周波数fを前述の式(8)により算出する。
【0139】
そして、次のステップ254では、上で算出した発振周波数fがレーザの持つ最大発振周波数fmax以下であるか否かを判断する。そして、この判断が肯定された場合には、ステップ256に進み、上で算出した発振周波数fが、メモリ51内に記憶されている特定周波数領域(図3中のf1〜f2の範囲)内か否かを判断する。そして、この判断が否定された場合、すなわち特定周波数領域外であった場合には、ステップ258に進み、前述と同様にして発振周波数fを上記ステップ252で算出した値に設定し、次のステップ260でスキャン目標速度(スキャン速度)をスキャン最高速Vmaxに設定する。その後、図4のメインルーチンのステップ120にリターンする。
【0140】
一方、ステップ256における判断が肯定された場合には、上記ステップ252で算出された発振周波数fは、出力エネルギ安定性が許容範囲外となる周波数領域に属するので、そのまま設定することは妥当でない。そこで、ステップ264に移行して、メモリ51内の情報A及び情報Bに基づいて、前述したエキシマレーザチューブ202内のヒータ及び冷却装置の制御系を制御して、レーザガスの温度を制御することにより、上記ステップ252で算出された発振周波数fが、特定周波数領域外となるように、発振周波数と出力エネルギ安定性との関係を変化させる。
【0141】
上記の温度制御により、エキシマレーザチューブ202内のレーザガスの流速が変化し、一例として図7に示されるように、当初点線で示される波形であった出力エネルギ安定性−発振周波数曲線が、矢印Bで示されるように、低周波側にシフトして、実線で示されるような波形に変化する。これにより、当初特定周波数領域内であった発振周波数領域、例えば図7中の矢印Cの周波数領域内の出力エネルギ安定性が許容値内となる。すなわち、出力性能が悪化する発振周波数領域が、使用する発振周波数領域(矢印Cの周波数領域)から外れる。
【0142】
上記のステップ264の処理が終了すると、ステップ252で算出した発振周波数(使用する周波数)fが、出力エネルギ安定性が許容範囲内となる周波数領域に属しているので、ステップ258に移行して、前述のステップ256における判断否定された場合と同様に、発振周波数fを上記ステップ252で算出した値に設定し、次のステップ260でスキャン目標速度(スキャン速度)をスキャン最高速Vmaxに設定する。その後、図4のメインルーチンのステップ120にリターンする。
【0143】
この一方、上記ステップ254における判断が否定された場合には、上記ステップ252で算出した発振周波数fの設定は不可能であるから、ステップ262に移行する。このステップ262では、発振周波数f(=fmax)が、前述の特定周波数領域内にあるか否かを判断するが、本実施形態の場合、図3から明らかなように、fmaxは、特定周波数領域外である。このため、ステップ262における判断は否定され、ステップ268に移行する。
【0144】
ステップ268では、レーザコントローラ16eを介して発振周波数fを最大発振周波数fmaxに設定した後、ステップ268に進んでスキャン速度Vを前述の式(9)に基づいて算出し、設定する。この場合、スキャン速度の算出には、fmaxが用いられる。スキャン速度Vは、最高スキャン速度より低い所定の値に設定される。その後、メインルーチンのステップ120にリターンする。
【0145】
なお、図4と異なり、fmaxが特定周波数領域内となっている場合には、ステップ262における判断が肯定され、ステップ266に進んで、メモリ51内の情報A及び情報Bに基づいて、前述したエキシマレーザチューブ202内のヒータ及び冷却装置の制御系を制御して、レーザガスの温度を制御することにより、最大発振周波数fmaxが、特定周波数領域外となるように、発振周波数と出力エネルギ安定性との関係を変化させることとなる。
【0146】
いずれにしても、メインルーチンのステップ120以降の処理は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0147】
これまでの説明から明らかなように、本第2の実施形態では、前述の第1の実施形態と同様に、使用可能な周波数領域を含む所定の範囲における光源ユニット16(より正確には、レーザ共振器16a)の発振周波数の、前記光源ユニットの出力性能を鑑みた情報、より具体的には、発振周波数と、出力性能と、光源ユニット16の発振に関する発振周波数以外の所定の制御ファクタ(レーザガスの温度)との関係を示す情報が記憶された記憶装置が、メモリ51によって構成されている。また、このメモリ51内の前記情報に基づいて、光源ユニット16を発振させる際の発振環境としてレーザガスの温度を制御する制御装置が、主制御装置50、より具体的にはCPUとソフトウェアプログラムとによって、実現されている。すなわち、CPUが行うステップ256、264、262、266の処理によって制御装置が実現されている。この制御装置では、レーザガスの温度を制御し、それにより発振周波数と出力性能との関係を変化させる。また、上記の制御装置とメモリ51とによって、レーザ光源制御装置が構成されている。
【0148】
なお、上記のソフトウェアプログラムで実現した構成部分の少なくとも一部をハードウェアにて構成しても良いことは勿論である。
【0149】
以上詳細に説明したように、本第2の実施形態に係るレーザ光源制御装置(50、51)によると、前述した第1の実施形態と同様に、常に出力性能が良好な状態での光源ユニット16の使用が可能となる。また、本第2の実施形態に係る露光装置によると、出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数でパターンの転写を行うことが可能となり、これにより、ウエハW上の複数のショット領域にそれぞれパターンを精度良く形成することが可能となる。
【0150】
なお、上記第2の実施形態では、メモリ51内に、光源ユニット16の発振周波数と、出力性能(一例として出力エネルギ安定性)と、発振周波数以外の制御ファクタとしてレーザガスの温度との関係を示す情報が記憶されている場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば光源ユニット16の発振周波数と、波長安定性(中心波長の安定性)の指標値とスペクトル線幅(スペクトル線幅の変化特性の指標値)との少なくとも一方と、所定の制御ファクタ(レーザガスの温度及びレーザガスの流速の少なくとも一方)との関係を示す情報などをメモリ51に記憶しておいても良い。かかる場合であっても、主制御装置50が一例として前述のステップ256、262の判断を、このメモリ51内の情報に基づいて行い、ステップ264、266の処理をメモリ内の情報に基づいて行うことにより、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0151】
また、上記第2の実施形態において、主制御装置50(内のCPU)が、メモリ51内の情報A、情報Bに基づいて出力性能(一例として出力エネルギ安定性)が最も安定した光源ユニットの発振周波数領域が、所望の周波数、例えば上記ステップ252で算出された発振周波数と一致するように、前述のエキシマレーザチューブ202内のレーザガスの温度を制御して発振周波数と出力性能との関係を変化させることとしても良い。
【0152】
このようなことは、ソフトウェアの変更により容易に実現可能である。これにより、常に出力性能が良好な、あるいは最良の状態での光源ユニット16の使用が可能となり、ひいては出力性能が良好な発振周波数領域内の任意の発振周波数でパターンの転写を行うことが可能となる。従って、ウエハW上の複数のショット領域にそれぞれパターンを精度良く形成することが可能となる。
【0153】
なお、上記第2の実施形態においても、前記情報A、情報Bを主制御装置50のRAM内に記憶することとしても良い。この場合、RAMが記憶装置を構成する。
【0154】
また、上記第1、第2の実施形態では、主制御装置50が、レーザ光源16の外部から、レーザ光源16の発振周波数を制御する場合について説明したが、本発明のレーザ光源制御装置は、これに限定されるものではない。すなわち、ハウジング17内部のレーザコントローラ16eに、発振周波数の設定、制御に関する機能を持たせても良い。
【0155】
なお、上記各実施形態では、本発明がステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、本発明は、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(いわゆるステッパ)あるいはステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも好適に適用することができる。
【0156】
また、露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置、プラズマディスプレイや有機ELなどの表示装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0157】
また、上記各実施形態において、レーザ光として、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0158】
例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。特に発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、発生波長が193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0159】
また、発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158μmの範囲内の7倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。なお、単一波長発振レーザとしてはイッテルビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いる。
【0160】
また、レーザ光源としては、波長146nmのKr2レーザ(クリプトン・ダイマーレーザ)、波長126nmのAr2レーザ(アルゴン・ダイマーレーザ)などの真空紫外光を発生する光源を使用しても良い。
【0161】
また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
【0162】
《デバイス製造方法》
次に、上記で説明した露光装置10及びその露光方法を使用したデバイスの製造方法の実施形態を説明する。
【0163】
図8には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図8に示されるように、まず、ステップ301(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ302(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ303(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
【0164】
次に、ステップ304(ウエハ処理ステップ)において、ステップ301〜ステップ303で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ305(デバイス組立ステップ)において、ステップ304で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップ305には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0165】
最後に、ステップ306(検査ステップ)において、ステップ305で作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0166】
図9には、半導体デバイスの場合における、上記ステップ304の詳細なフロー例が示されている。図9において、ステップ311(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ312(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ313(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ314(イオン打込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ311〜ステップ314それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0167】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ315(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ316(露光ステップ)において、上記各実施形態の露光装置及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ317(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ318(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ319(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0168】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0169】
以上のような、本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光ステップで、上記実施形態の露光装置及び露光方法が用いられるので、ウエハ上の各ショット領域にパターンを精度良く形成することができ、これによりマイクロデバイスの歩留まりが向上し、結果的にその生産性を向上させることができる。
【0170】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレーザ光源制御方法及びレーザ光源制御装置によれば、常に出力性能が良好な状態でのレーザ光源の使用が可能となるという効果がある。
【0171】
また、本発明の露光方法及び露光装置によれば、物体上に精度良くパターンを形成することができるという効果がある。
【0172】
また、本発明のデバイス製造方法によれば、デバイスの生産性の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の光源ユニットの内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【図3】メモリ内に記憶されている発振波長と出力エネルギ安定性との関係を示す情報の一例を示す線図である。
【図4】第1の実施形態の露光装置における露光量制御に際しての主制御装置50内のCPUの処理アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】図4のサブルーチン118の処理を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態の露光装置における露光量制御に際しての主制御装置50内のCPUの処理アルゴリズム一部である、スキャン速度V及び発振周波数fを決定するサブルーチン(図4におけるサブルーチン118に相当)の一例を示す図である。
【図7】第2の実施形態における作用を説明するための図である。
【図8】本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8のステップ304における処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…露光装置、16…光源ユニット(レーザ光源)、 50…主制御装置(制御装置、レーザ光源制御装置の一部)、51…メモリ(記憶装置、レーザ光源制御装置の一部)、R…レチクル(マスク)、W…ウエハ(物体)、PL…投影光学系。
Claims (23)
- 発振周波数が可変であるレーザ光源を制御するレーザ光源制御方法であって、
使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報を求める第1工程と;
前記第1工程で得られた情報に基づいて、前記レーザ光源を発振させる際の発振環境を制御する第2工程と;を含むレーザ光源制御方法。 - 前記第1工程では、前記情報として、前記レーザ光源の発振周波数と出力性能との関係を示す情報を求め、
前記第2工程では、前記発振環境として、前記レーザ光源の発振周波数を制御することを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源制御方法。 - 前記第2工程では、前記情報に基づいて前記出力性能が最良となる発振周波数領域を特定し、その特定された発振周波数領域内の発振周波数に前記レーザ光源の発振周波数を設定することを特徴とする請求項2に記載のレーザ光源制御方法。
- 前記第2工程では、前記情報に基づいて前記出力性能を悪化させる発振周波数領域を特定し、その特定された発振周波数領域外の発振周波数に前記レーザ光源の発振周波数を設定することを特徴とする請求項2に記載のレーザ光源制御方法。
- 前記第1工程では、前記情報として、前記出力性能を悪化させる特定の発振周波数領域を示す情報を求め、
前記第2工程では、前記発振環境として、前記レーザ光源の発振周波数を制御し、且つ前記発振周波数を前記特定の発振周波数領域を避けて設定することを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源制御方法。 - 前記第1工程では、前記情報として、前記出力性能が最良となる特定の発振周波数領域を示す情報を求め、
前記第2工程では、前記発振環境として、前記レーザ光源の発振周波数を制御し、且つ前記発振周波数を前記特定の発振周波数領域内の発振周波数に設定することを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源制御方法。 - 前記第1工程では、前記情報として、前記発振周波数と、前記出力性能と、前記レーザ光源の発振に関する前記発振周波数以外の所定の制御ファクタとの関係を示す情報を求め、
前記第2工程では、前記発振環境として、前記所定の制御ファクタを制御し、それにより前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源制御方法。 - 前記第2工程では、前記出力性能が悪化する発振周波数領域が、使用する発振周波数領域から外れるように、前記制御ファクタを制御して前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることを特徴とする請求項7に記載のレーザ光源制御方法。
- 前記第2工程では、前記出力性能が最も安定した前記レーザ光源の発振周波数領域が、所望の周波数と一致するように、前記制御ファクタを制御して前記発振周波数と出力性能との関係を変化させることを特徴とする請求項7に記載のレーザ光源制御方法。
- 前記第2工程では、前記所定の制御ファクタの制御後に、前記レーザ光源の発振周波数を、前記出力性能が悪化する発振周波数領域外の発振周波数に設定することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のレーザ光源制御方法。
- 前記制御ファクタは、前記レーザ光源内のガスの流速及び温度の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載のレーザ光源制御方法。
- 前記出力性能は、前記レーザ光源から発生させるレーザビームのエネルギ安定性、波長安定性及びスペクトル線幅の変化特性のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のレーザ光源制御方法。
- レーザ光源から発生したレーザビームを用いてマスクを照明して、前記マスク上に形成されたパターンを物体上に転写する露光方法において、
前記レーザビームとして、請求項1〜12のいずれか一項に記載のレーザ光源制御方法を用いて制御されたレーザ光源から発生したレーザビームを使用することを特徴とする露光方法。 - 請求項13に記載の露光方法を用いてマスク上に形成されたデバイスパターンを物体上に転写する工程を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
- 発振周波数が可変であるレーザ光源を制御するレーザ光源制御装置であって、
使用可能な発振周波数を含む所定範囲の前記レーザ光源の発振周波数の、前記レーザ光源の出力性能を鑑みた情報が記憶された記憶装置と;
前記記憶装置に記憶された情報に基づいて、前記レーザ光源を発振させる際の発振環境を制御する制御装置と;を備えるレーザ光源制御装置。 - 前記記憶装置には、前記レーザ光源の発振周波数と出力性能との関係を示す情報が記憶され、
前記制御装置は、前記レーザ光源の発振周波数を制御することを特徴とする請求項15に記載のレーザ光源制御装置。 - 前記記憶装置には、前記出力性能を悪化させる特定の発振周波数領域を示す情報が記憶され、
前記制御装置は、前記レーザ光源の発振周波数を、前記特定の発振周波数領域を避けて設定することを特徴とする請求項15に記載のレーザ光源制御装置。 - 前記記憶装置には、前記出力性能が最良となる特定の発振周波数領域を示す情報が記憶され、
前記制御装置は、前記レーザ光源の発振周波数を、前記特定の発振周波数領域内の発振周波数に設定することを特徴とする請求項15に記載のレーザ光源制御装置。 - 前記記憶装置には、前記発振周波数と、前記出力性能と、前記レーザ光源の発振に関する前記発振周波数以外の所定の制御ファクタとの関係を示す情報が記憶され、
前記制御装置は、前記発振環境として前記所定の制御ファクタを制御し、それにより前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることを特徴とする請求項15に記載のレーザ光源制御装置。 - 前記制御ファクタは、前記レーザ光源内のガスの流速及び温度のうちの少なくとも一方を含み、
前記制御装置は、前記制御ファクタを制御することにより、前記出力性能が悪化する発振周波数領域が使用する発振周波数から外れるように、或いは前記出力性能が最も安定した前記レーザ光源の発振周波数領域が所望の周波数と一致するように、前記発振周波数と前記出力性能との関係を変化させることを特徴とする請求項19に記載のレーザ光源制御装置。 - 前記制御装置は、前記所定の制御ファクタの制御後に、前記レーザ光源の発振周波数を、前記出力性能が悪化する発振周波数領域外の発振周波数に設定することを特徴とする請求項19又は20に記載のレーザ光源制御装置。
- 前記出力性能は、前記レーザ光源から発生させるレーザビームのエネルギ安定性、波長安定性及びスペクトル線幅の変化特性のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項15〜21のいずれか一項に記載のレーザ光源制御装置。
- レーザ光源から発生したレーザビームを用いてマスクを照明して、前記マスク上に形成されたパターンを物体上に転写する露光装置であって、
請求項15〜22のいずれか一項に記載のレーザ光源制御装置と;
前記レーザ光源制御装置で制御されたレーザ光源から発生したレーザビームで照明された前記マスク上のパターンの像を、前記物体上に投影する投影光学系と;を備えることを特徴とする露光装置。
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