JP2004022359A - 有機電界発光素子及び有機電子デバイス - Google Patents

有機電界発光素子及び有機電子デバイス Download PDF

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明渡 邦夫
Koji Noda
野田 浩司
Atsushi Miura
三浦 篤志
Hisayoshi Fujikawa
藤川 久喜
Yasunori Taga
多賀 康訓
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Abstract

【課題】高温高湿度への耐性と高い機械的強度とを備えた有機EL素子などに最適な保護構造の提供。
【解決手段】有機EL素子は、第1電極12と第2電極18の間に有機化合物層30を備えて素子領域が構成されており、この素子領域を覆って保護膜20を形成し、この保護膜20の上に、接着性樹脂24によって分子中にアミド結合を有し、主鎖中には芳香族環を備える芳香族ナイロンなどの高分子フィルム26を接着する。このような高分子フィルム26は環境への悪影響が無く、機械的強度が高く、かつ高温、高湿度耐性が非常に高い。従って、このような高分子フィルム26を保護膜20の上に接着固定することで、有機EL素子の高温高湿度耐性を格段に上昇させることができる。このため、例えば車載用有機EL素子などの保護構造として優れる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、デバイス機能層に有機化合物の用いられた有機電子デバイス、例えば、有機電界発光素子(以下有機EL素子という)、特にこのような素子を保護するための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、基板上に、電極及び電極間に少なくとも発光層を備えた有機層を備え、両側の電極から有機層中の発光層に電子と正孔を注入し、有機発光層で発光を起こさせる素子であり、高輝度発光が可能である。また有機化合物の発光を利用しているため発光色の選択範囲が広いなどの特徴を有し、光源やディスプレイなどとして期待されており現在実用化が始まりつつある。
【0003】
このような有機EL素子は、空気中の水分や酸素などによる浸食を受けやすく、これらの存在下では、ダークスポットが生じたり、素子が短絡する等の劣化が起こる。このような劣化を防ぐためには、素子を保護する手段が必要であり、現在、素子全体を乾燥窒素や、アルゴンガスなどの雰囲気中でカバーガラスや缶パッケージなどで封止する手法が用いられている。
【0004】
しかし、このようなガラス、缶などを用いた封止方法は製造コストが高く、また素子の薄型化に限界がある。そこで、ガラスや缶パッケージなどを用いず、有機EL素子を防湿機能を備えた保護膜で覆う構造が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、保護膜のみで封止する場合は、有機EL素子の薄型化、軽量化には有利となるが、保護膜の膜厚はせいぜい数μmであるため機械的強度が弱く、また、保護膜が直接外気に曝されることになるため保護膜にかかる負荷が大きく、特に悪環境下(例えば高温・高湿度環境下)での信頼性に劣るという問題がある。
【0006】
また、特開平5−101884号公報には、有機EL素子に熱可塑性樹脂を接着層として用いて3フッ化ポリエチレンなどの防湿高分子フィルムを接着することが開示され、特開平5−182759号公報には、透湿性の小さいガラスなどの基板を光硬化樹脂を接着層として接着する構成が記載されている。しかし、有機EL素子に直接樹脂を用いてフィルムや基板を接着した構成では、接着に用いる樹脂によって有機EL素子が浸食されダークスポットが発生してしまうという問題がある。更に、高温環境下では、接着層の樹脂やフッ化ポリエチレンフィルムなどは、その防湿性が悪化するため、高温高湿耐久性が悪いという問題がある。このため、例えば車載用表示装置などに用いられる有機EL素子に用いることができない。
【0007】
一方、特開平5−89959号公報(特許2813499号)には、有機EL素子の外表面に保護膜を形成し、保護膜の形成された有機EL素子の周囲に接着剤によってガラスの保護基板を接着する構成の他、シールド層として高分子フィルムを用い素子形成領域の周辺領域で接着剤によって有機EL素子を覆う保護膜の上に接着することが記載されている。また、他の構成として上記有機EL素子に接着された保護基板と保護膜との間隙領域に高分子フィルム等が配置されるように保護基板に予め高分子フィルムを接着する構成等が記載されている。この特開平5−89959号公報において、シールド層に採用される高分子フィルムの特に好ましい材質としては、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系高分子化合物、又はこのフッ素系高分子化合物と「ナイロン66」等の吸湿性高分子化合物との積層体などが挙げられている。
【0008】
しかし、上記高分子フィルムとして用いられているポリクロロトリフルオロエチレン等は、その廃棄時に環境に悪影響を与える材料であり、また「ナイロン66」などは高温高湿環境下で特性劣化が起きる材料であり、これらの材料は、例えば車載用途などの有機EL表示装置などの保護層としては適切でない。
【0009】
また、一般的な高分子フィルムの特性を挙げると、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは、高温時結晶化による特性劣化が発生し、塩化ビニルなど塩素を用いたフィルムはその廃棄時に環境に悪影響を及ぼすため、いずれも車載用途に適していない。更に、ポリエチレン、プリプロピレン等のフィルムは樹脂への接着性が悪く、また透明性に劣る。「ナイロン6」フィルムや上記「ナイロン66」フィルムは透湿性が高く、ガスバリア性も低く、高温高湿度環境に曝される車載用途にはやはり採用することができない。
【0010】
以上のように、有機EL素子の保護材料としては、素子全体の薄型化、軽量化を可能とするために、封止ガラスなどではなく保護膜や高分子フィルム等を採用することが望まれている一方で、保護膜だけでは保護機能が足りず、またよく知られている高分子フィルムであっても、例えば車載用途の有機EL素子を考慮すると十分な機能を備えていないという問題がある。
【0011】
またもちろん車載用途に限らず、携帯機器などは自動車内を始め様々な環境に曝されるため、有機EL素子に特に悪影響を及ぼす高温、高湿度環境への耐性についても一層向上することが要求される。もちろん、廃棄時における環境への悪影響は用途に関係なく低減することが望まれている。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、高温、高湿度耐久性に優れ、かつ薄型で軽量の有機電界発光素子や有機電子デバイスを実現することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明は、有機EL素子において、電極間に少なくとも一層の有機化合物層を備えた素子領域と、該素子領域を覆って形成された保護膜と、前記保護膜上に、接着性樹脂により、アミド結合を備える高分子であって主鎖の中に芳香族環を有する高分子フィルムが接着されている。
【0014】
本発明の他の態様では、有機電子デバイスに関し、有機化合物を含有するデバイス機能層を備えた素子領域と、該素子領域を覆って形成された保護膜と、前記保護膜上に、接着性樹脂により、アミド結合を備える高分子であって主鎖の中に芳香族環を有する高分子フィルムが接着されている。
【0015】
本発明の他の態様では、上記有機電界発光素子又は有機電子デバイスにおいて、前記高分子フィルムは、芳香族ナイロンを含む。
【0016】
また、この芳香族ナイロンは、例えば、メタキシレンジアミンとアジピン酸とを重合させた高分子である。
【0017】
以上のような材料を含む高分子フィルムは、十分な機械的強度を備え、さらに、高温、高湿度に対する非常に高い耐性を備える。従って、このような高分子フィルムを有機EL素子や有機電子デバイスを覆って形成された保護膜の上に接着することで、これら素子等を機械的衝撃からより確実に保護しつつ、高温高湿度耐久性を向上させることができる。
【0018】
また、この高分子フィルムを直接有機EL素子や有機電子デバイスなどの上に接着するのではなく、これらの素子、デバイスを予め覆うように保護膜を形成してからその上に接着性樹脂によって高分子フィルムを接着することで、接着時などに有機EL素子などが外気に曝されることをこの保護膜によって確実に防止できる。また、保護膜の存在により、外界からの水や酸素などの有機層への侵入をより確実に防止することができる。従って、例えば車載用途などにおいて不可欠な非常に高い信頼性を持つ有機EL素子やデバイスを実現することができる。
【0019】
本発明の他の態様では、前記高分子フィルムには延伸フィルムが用いられている。延伸フィルムを採用した場合、高い保護機能を発揮しつつ材料コストを削減することも可能である。
【0020】
本発明の他の態様では、前記高分子フィルムの前記保護膜との対向領域のほぼ全域において前記接着性樹脂によって前記保護膜上に前記高分子フィルムが接着固定されている。高分子フィルムと保護膜との対向領域のほぼ全域で接着固定することにより、高分子フィルムの剥離や、それによる水、酸素などの侵入による素子の劣化などをより確実に防止することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いてこの発明の好適な実施の形態(以下実施形態という)について説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施形態に係る有機EL素子の概略断面構成を示している。基板10の上に、第1電極12、有機化合物層30、第2電極18が積層されて素子領域が構成されており、第1電極12と第2電極18から電子と正孔を発光層に注入することで発光層の有機化合物が励起され、発光が起きる。
【0023】
基板10は、透明なガラス基板やプラスチック基板などを用いることができる。なお、後述するように基板10の反対側から光を射出する場合には、基板は必ずしも透明でなくとも良い。
【0024】
また、この基板10の上に形成される有機EL素子の積層構造や各層の材料は特に限定されるものではなく、例えば、従来より有機EL素子の材料として提案されている材料の他、今後新たに開発される材料及びそれらの組み合わせも採用可能である。一例として、第1電極12は正孔注入電極(陽極)として機能し、ITO(Indiumn Tin Oxide)などの透明電極を用いて構成され、第2電極18は、電子注入電極(陰極)として機能し、Alなどの金属電極から構成することができる。有機化合物層30は、少なくとも有機発光材料を含んで構成され、採用する有機材料等の特性に応じて、発光層の単層構造の他、正孔輸送層/発光層、発光層/電子輸送層などの2層構造、正孔輸送層/発光層/電子輸送層の3層構造や、更に電荷(正孔、電子)注入層などを備える多層構造などから構成することができる。図1に示す例では、透明第1電極12と金属第2電極18との間に、正孔注入層32、正孔輸送層34、有機発光層36がこの順に積層されている。また、図1の素子構成では、上記金属第2電極18と、上記有機発光層36との間には、フッ化リチウムなどからなる電子注入層16が設けられている。
【0025】
有機EL素子は以上のような構成を備え、本実施形態では、この有機EL素子を覆って保護膜20が形成されている。図1に示されるように、この保護膜20は、素子の最上層の第2電極18形成後、基板10上の素子領域全体を覆うように成膜され、有機EL素子を空気中の水分や酸素などから保護する。保護膜20の材料としては、無機保護膜、有機保護膜のいずれでも採用することが可能である。無機保護膜としては、窒化膜、酸化膜又は炭素膜又はシリコン膜等が採用可能であり、より具体的には、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、又はダイヤモンド状カーボン(DLC)膜、アモルファスカーボン膜などが挙げられる。また有機保護膜としては、フラン膜、ピロール膜、チオフェン膜或いは、ポリパラキシレン膜などの重合膜が採用可能である。また、この保護膜20は、単層構造に限らず複数の膜を積層してもよく、例えば上記無機保護膜と有機保護膜とを積層した構成を採用することもできる。
【0026】
本実施形態では、上記保護膜20の形成された素子に対し、接着性樹脂24を用いて高分子フィルム26を接着している。高分子フィルム26としては、アミド結合を備え、また主鎖の中に芳香族環を有する高分子を用いている。この高分子は、例えば、芳香族ナイロンであり、メタキシレンジアミンとアジピン酸とを重合させた下式(1)
【化1】
Figure 2004022359
に示すような高分子などが挙げられる。このような芳香族ナイロンフィルムは、高温高湿度下においても特性の劣化が小さい一方で機械的強度が高い。従って、高温高湿耐久性が強く要求される車載用途の有機EL素子の保護材料として優れている。また、この芳香族ナイロンは、廃棄時における環境への悪影響が少ない。このような観点からも車載用途の有機EL素子の保護材料として優れている。
【0027】
ここで、上記芳香族ナイロンからなる高分子フィルム26は、延伸又は未延伸で用いられ、延伸フィルムはその厚さが5μm〜100μm程度、未延伸フィルムでは10μm〜500μm程度である。延伸フィルムでは、5μm程度より薄くなると、保護機能と防湿性能の劣化、ピンホールの発生可能性が増大することが多く、5μm程度よりは厚いことがより好ましい。また、厚さ100μm程度よりも厚いと、均一な厚さのフィルム作成が難しく、100μm程度よりは薄いことがより好ましい。未延伸フィルムでは、厚さが10μmより薄いと、保護機能・防湿性能の劣化、ピンホールの発生可能性が増大することが多く、10μm程度よりは厚いことがより好ましい。また、厚さ500μmよりもさらに厚いと、素子の薄型化に対してフィルムを用いたことの利点が損なわれるため、500μm程度よりも薄いことがより好ましい。延伸フィルムでは、未延伸フィルムと比較して全般的に薄いが、例えば上記のように5μmより厚ければ、保護機能、防湿機能が確保でき、最小限の材料コストで、機能を発揮することができ、製造コスト削減観点で有利となることが多い。
【0028】
次に、有機EL素子を覆って形成された保護膜20の上に上述のような高分子フィルム26を接着する接着性樹脂24としては、高分子フィルムと保護膜の両方に接着性を備えることが必要であり、より好適には、さらにこの樹脂の溶剤が有機EL素子に悪影響を及ぼさないことが望まれる。また、この接着性樹脂24は接着速度(硬化速度)が速すぎず、遅すぎず、適度な速度であることが必要である。接着速度が遅いと製造時間が伸びて製造コストの増大等につながり、また接着までの間に貼り合わせ位置にずれが発生する可能性もある。速すぎると硬化時にフィルム26の素子側への位置合わせ等が確実にできず、また接着不良等を起こしやすく、また硬化時に過大な応力が発生して素子にダメージを与える可能性があるためである。
【0029】
このような条件を満たす接着性樹脂24として、例えば、光硬化樹脂(例えば、協立化学社製ワールドロックNo.8723K7C、スリーボンド社製3000シリーズ等)や、エポキシ系樹脂(ニチバン社製アラルダイトスタンダードなど)が挙げられる。但し、本実施形態において、接着性樹脂24は、上記樹脂に限定されるわけではなく、既知か未知かに関わらず、接着性、防湿性があり、溶剤が有機EL素子に悪影響を及ぼさず、また、接着作業効率の高い樹脂を採用することができる。なお、接着性樹脂の一つである熱硬化性樹脂については、硬化温度が有機EL素子の有機化合物のガラス転移温度より十分に低いことが採用の条件となる。現在開発されている有機EL素子の耐熱性がそれほどは高くなく、硬化のための加熱が素子に悪影響を及ぼす可能性があるため、硬化温度の高い熱硬化性樹脂は好ましくない。
【0030】
また、本実施形態において、上記接着性樹脂24は、高分子フィルム26と保護膜20との対向領域のほぼ全域に塗布、硬化され、対向領域全域において高分子フィルム26を保護膜20上に接着固定している。高分子フィルム26と保護膜20との間に隙間があると外界からの水分や酸素の侵入口となりやすく、また剥離開始位置にもなりやすいという観点から、対向領域の全域で高分子フィルム26と保護膜20とが接着性樹脂24によって隙間なく接着されていることが好ましい。このことは、本発明において、接着性樹脂24の非存在領域が多少ある場合を排除する意味ではないが、上記水などの素子への侵入をより確実に防ぐためには、接着性樹脂24の非存在領域があったとしても、有機EL素子の周辺領域では、高分子フィルム26と保護膜20とは接着性樹脂24によって隙間なく接着固定されていることが必要である。さらに、接着面積が大きいほど、フィルムの剥離発生を抑制でき、また機械的強度の向上を図ることができるという観点からも、高分子フィルム26と保護膜20との対向領域全域において接着することが好適である。
【0031】
ここで、図1に示す有機EL素子では、有機発光層からの光は、透明なITOからなる第1電極12側からやはり透明な基板10を通って外部に射出されるため、上記高分子フィルム26の透明性が高いか否かは表示には特別な影響はない。しかし、光硬化樹脂を接着性樹脂24に用い、かつ硬化時に光を高分子フィルム26側から照射するためには、この高分子フィルム26は、少なくとも硬化に用いる光(例えばUV光)に対して透過性が高いことが望まれる。また、図1とは逆に、有機発光層からの光を基板10と反対の第2電極18側から外部に射出する構成を採用する場合には、高分子フィルム26及び接着性樹脂24については透明性が高いことが要求される。上記芳香族ナイロンからなる高分子フィルム26は透明性が高く、このような用途にも適している。
【0032】
有機EL素子を覆って形成されている保護膜20は、既に説明したように有機EL素子を空気中の水分や酸素などから保護するものであり、この保護膜20は、本実施形態のように保護膜上に更に高分子フィルム26を接着する構成において、そのフィルム接着時にも重要な役割を果たす。即ち、高分子フィルム26の接着に際し、接着性樹脂を塗布する際、有機EL素子は一旦外気に曝されるが、その際、有機EL素子を保護膜20で覆っておくことで、水分や酸素などから有機EL素子を遮蔽することを可能としている。
【0033】
なお、図1に示す素子構成において、基板10の素子と反対側の観察側表面には、表示コントラスト向上などを目的として、偏光フィルムを設ける構成も採用可能である。この偏光フィルムの接着固定に当たっては、例えば上記高分子フィルム26と保護膜20との接着に用いる接着性樹脂24と同様な樹脂を用いることができる。但し、この場合、接着性樹脂24に用いる材料には高い透明性を有することも要求される。
【0034】
また、以上では、保護対象として有機EL素子を例にあげて説明している。しかし有機EL素子に限らず、本発明の実施形態に係る保護膜、接着性樹脂及び高分子フィルムの積層構造は、デバイス機能層(例えばトランジスタ能動層)の材料などに有機化合物材料を用いた有機トランジスタなど、他の有機電子デバイスにおいても適用できる。そして、これらデバイス機能層の有機材料を高温高湿度下においても確実に保護する必要性の高い素子の保護層として用いることで、上記実施形態と同様に高い効果を発揮することができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例1〜3及び4と、比較例1〜5について説明する。なお、各実施例1〜3と比較例1〜5において用いた基板、有機EL素子及びこれを覆う保護膜までは同一材料を用い、上記図1と同じ構成である。
【0036】
図1を参照して説明すると、有機EL素子の素子部分はガラス基板10上に、第1電極12、正孔注入層32、正孔輸送層34、有機発光層36、電子注入層16、第2電極18をこの順に積層して構成した。
【0037】
より具体的には、ガラス基板10上に、第1電極12としてITOを150nm、正孔注入層32として銅フタロシアニン(CuPc)を10nm、正孔輸送層34としてトリフェニルアミン4量体(TPTE)を50nm、有機発光層36としてキノリノールアルミ錯体(Alq)を60nm、電子注入層16としてフッ化リチウム(LiF)を0.5nm、第2電極18としてアルミニウム(Al)を100nm形成した。なお、各実施例及び比較例において、ITOは、ITOが予め形成されているガラス基板を用いた。ITO以外の各層は、真空蒸着法によりそれぞれ連続(in−situ)形成した。
【0038】
次に、保護膜20として、緻密で水分及び酸素などの遮蔽機能の高いSiN膜をプラズマCVD法により上記有機EL素子を覆って形成した。成膜条件は、成膜ガスとしてSiH(30sccm)、NH(30sccm)、N(250sccm)を用い、成膜時の真空度は400mTorr、プラズマ投入電力10W、基板温度100℃、膜厚0.2μmとした。
【0039】
以上のように有機EL素子及びこれを覆う保護膜(SiN膜)20を形成した後、次に、接着性樹脂24によってこの保護膜20上に高分子フィルム26を接着した。
【0040】
[実施例1]
実施例1では、高分子フィルム26として、メタキシレンジアミンとアジピン酸を重合させた高分子(芳香族ナイロン)である三菱ガス化学社製の商品名「ナイロンMXD6」を用いた。より具体的には、この「ナイロンMXD6」を3×3倍に延伸し、厚さ15μmとし、これを上記保護膜20まで形成された素子上に接着性樹脂24として光硬化樹脂を用いて接着した。この光硬化樹脂としては、上記協立化学社製「ワールドロックNo.8723K7C」を用いた。接着に際しては、保護膜20の上にこの光硬化樹脂を塗布し、上記延伸「ナイロンMXD6」からなる高分子フィルム26を貼り付け、フィルム側から紫外線を照射して樹脂を硬化させた。
【0041】
[実施例2]
実施例2では、実施例1と同じ高分子フィルム26として「ナイロンMXD6」を未延伸で厚さ100μmのフィルムを用いた。また、接着性樹脂24としては、実施例1と同じ光硬化樹脂を用い、有機EL素子を覆ったSiN保護膜20上にこの光硬化樹脂を塗布し、高分子フィルム26を接着し、フィルム側から紫外線を照射して樹脂を硬化させた。
【0042】
[実施例3]
実施例3においても、実施例1及び2と同じ高分子フィルム26として「ナイロンMXD6」を3×3倍に延伸し、厚さ15μmとしたフィルムを用いた。また、接着性樹脂24としては2液混合型エポキシ樹脂(ニチバン社製「アラルダイトスタンダード」)を用い、このエポキシ系樹脂を上記保護膜20上に塗布し、上記高分子フィルム26を接着し、その後60℃に加熱してこの樹脂を加熱して硬化させた。
【0043】
[比較例1]
比較例1では、高分子フィルム26として厚さ100μmのPETフィルムを用い、このPETフィルムを接着性樹脂24として実施例1と同じ光硬化樹脂を用いて接着し、フィルム側から紫外線を照射して硬化させた。
【0044】
[比較例2]
比較例2では、高分子フィルム26として厚さ100μmのポリエチレンフィルムを用い、このポリエチレンフィルムを接着性樹脂24として実施例1と同じ光硬化樹脂を用いて接着し、フィルム側から紫外線を照射して硬化させた。
【0045】
[比較例3]
比較例3では、高分子フィルム26として厚さ100μmのPVA(ポリビニルアルコール)フィルムを用い、このPVAフィルムを接着性樹脂24として実施例1と同じ光硬化樹脂を用いて接着し、フィルム側から紫外線を照射して硬化させた。
【0046】
[比較例4]
比較例4では、高分子フィルム26として厚さ100μmの「ナイロン66」フィルムを用い、この「ナイロン66」フィルムを接着性樹脂24として実施例1と同じ光硬化樹脂を用いて接着し、フィルム側から紫外線を照射して硬化させた。
【0047】
[比較例5]
比較例5では、高分子フィルム26として厚さ100μmの塩化ビニルフィルムを用いた。また、接着性樹脂24としては2液混合型エポキシ樹脂(ニチバン社製「アラルダイトスタンダード」)を用い、このエポキシ系樹脂を上記保護膜20まで形成された素子上に塗布し、上記高分子フィルム26を接着し、その後60℃に加熱してこの樹脂を加熱して硬化させた。
【0048】
なお、接着性樹脂24として、上記光硬化樹脂を用い、この光硬化樹脂を保護膜20上に塗布した後、塩化ビニルフィルムを貼り付け、このフィルム側から紫外線を照射したが樹脂は硬化せず、接着不能であった。
【0049】
[評価]
このようにして作製された実施例1〜3の試料を、65℃、湿度95%(RH)の高温・高湿耐久試験を行った結果を下記表1
【表1】
Figure 2004022359
に示す。なお、表1には、各実施例と各比較例について、異常が起こるまでの時間と、発生した異常の形態とをそれぞれ示している。実施例1〜3のいずれの素子も、上記高温高湿度環境下においても異常が発生するまでの時間は1000時間以上が確保されているのに対し、比較例1〜比較例5の各素子は、長いものでも比較例3の216時間であり、各比較例の素子では、左欄の時間経過時に、フィルムの白濁の他、溶媒、水、酸素などによる有機EL素子の浸食の発生、フィルムの剥離のいずれか又は両方の問題が発生した。従って表1の結果からも、各実施例のような有機EL素子の保護構造とすることで有機EL素子の高温高湿度耐久性を格段に向上可能であることがわかる。
【0050】
[実施例4]
実施例4として、上記実施例1の構成において、商品名「ナイロンMXD6」からなる高分子フィルム26を有機EL素子を覆う保護膜20上に接着するために用いる接着性樹脂を変更した素子を作成した。樹脂の接着性又は接着作業性について評価した結果について以下に示す。
【0051】
(i)光(紫外線)硬化樹脂として、協立化学社製「ワールドロックNo.8723K7C」と(実施例1)、スリーボンド社製3000シリーズをそれぞれ用いて保護膜20に高分子フィルム26を接着し、高分子フィルム26側から紫外線を照射して硬化させたところ、いずれの素子においても、良好な接着特性及び接着時の作業性が良かった。
【0052】
(ii)2液混合型エポキシ系樹脂として、ニチバン社製「アラルダイトスタンダード」を用い、この樹脂を保護膜20上に塗布し、高分子フィルム26を接着した後、60℃に加熱して樹脂を硬化した(実施例3)。実施例3にも記載したように、この素子では、良好な接着特性が得られると共に、接着時の作業性も良かった。
【0053】
(iii)同じ2液混合型エポキシ樹脂として、コニシ社製「ボンドクイック5」と用い、この樹脂を保護膜20上に塗布し、高分子フィルム26を接着した。接着自体は可能であったが、この樹脂は速乾性で硬化時の応力が大きかったため、素子構造に与える応力の影響が大きく、実用に適さないことがわかった。
【0054】
(iv)接着性樹脂としてセメダイン社製「セメダインC」、ソニーケミカル社製「ソニーボンドタフ」をそれぞれ用いて有機EL素子を覆う保護膜20上に高分子フィルム26を接着した。接着はできたが、これらの接着剤の溶剤が揮発し、揮発した後、外気の通り道となってしまい、フィルムの防顕性能が発揮されないため、素子の寿命を延ばすことができなかった。
【0055】
(v)超速乾性強力接着剤(登録商標「アロンアルファ」)を接着性樹脂として用い、有機EL素子を覆う保護膜20上に塗布して高分子フィルム26を接着しようとしたが、接着速度が速すぎ、位置を合わせて高分子フィルム26を貼り付けたときには既に接着剤が硬化していて接着できないなどの問題が起き、保護膜20上に適切に高分子フィルム26を貼ることができなかった。
【0056】
以上の結果からも、接着性樹脂24は硬化速度が適度な速度であり、溶剤が有機EL素子に影響を及ぼさないこと、接着時の応力が小さいなどの条件を満たすことが好ましいことがわかる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、有機EL素子や有機電子デバイスなどを保護膜で覆い、さらに接着性樹脂によって保護膜上に高分子フィルムを接着固定することで、これら素子やデバイスを用いた装置の薄型化、軽量化を可能としつつ、高温、高湿度耐久性の向上と、機械的強度の向上を図ることができる。よって、特に高温高湿度耐久性の要求の強い、例えば車載用の有機EL素子やデバイスに対しても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る有機EL素子を保護する構成の概略断面構造を示す図である。
【符号の説明】
10 ガラス基板、12 第1電極、16 電子注入層、18 第2電極、20 保護膜、24 接着性樹脂、26 高分子フィルム、30 有機化合物層、32 正孔注入層、34 正孔輸送層、36 有機発光層。

Claims (6)

  1. 有機電界発光素子において、
    電極間に少なくとも一層の有機化合物層を備えた素子領域と、
    該素子領域を覆って形成された保護膜と、
    前記保護膜上に、接着性樹脂により、アミド結合を備える高分子であって主鎖の中に芳香族環を有する高分子フィルムが接着されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 有機電子デバイスにおいて、
    有機化合物を含有するデバイス機能層を備えた素子領域と、
    該素子領域を覆って形成された保護膜と、
    前記保護膜上に、接着性樹脂により、アミド結合を備える高分子であって主鎖の中に芳香族環を有する高分子フィルムが接着されていることを特徴とする有機電子デバイス。
  3. 前記高分子フィルムは、芳香族ナイロンを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光素子又は有機電子デバイス。
  4. 前記芳香族ナイロンは、メタキシレンジアミンとアジピン酸とを重合させた高分子であることを特徴とする請求項3に記載の有機電界発光素子又は有機電子デバイス。
  5. 前記高分子フィルムには、延伸フィルムが用いられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の有機電界発光素子又は有機電子デバイス。
  6. 前記高分子フィルムの前記保護膜との対向領域のほぼ全域において、前記接着性樹脂によって前記保護膜上に前記高分子フィルムが接着固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の有機電界発光素子又は有機電子デバイス。
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