JP2004022184A - 絶縁電線用塗料及びそれを用いた絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁電線の密着性及び可とう性を向上させるため絶縁皮膜の焼き付けを浅くしても色相を濃くすることができ、これによって絶縁電線特有の光沢を付与することができる絶縁電線用塗料及びそれを用いた絶縁電線を提供する。
【解決手段】樹脂による絶縁電線用塗料に硫黄化合物を添加して絶縁電線用塗料を作製する。この絶縁電線用塗料を、導体1に直接又は他の絶縁物を介して塗布したのち焼き付けし、これによって導体1を包んで色相改善被膜層2が形成された絶縁電線を作製する。
【選択図】 図1
【解決手段】樹脂による絶縁電線用塗料に硫黄化合物を添加して絶縁電線用塗料を作製する。この絶縁電線用塗料を、導体1に直接又は他の絶縁物を介して塗布したのち焼き付けし、これによって導体1を包んで色相改善被膜層2が形成された絶縁電線を作製する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの巻線等に塗布される絶縁電線用塗料及びそれを用いた絶縁電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器においては、小型軽量化や高効率化等の要求が年々高まってきている。これら電気機器のモータの巻線に使用される絶縁電線には、高速機械巻線機により高速巻されても機械的劣化を受けないことが要求されている。高速機械巻線機により高速巻きされても機械劣化を受けないようにするためには、▲1▼絶縁電線の仕上外径を細めに仕上げること、▲2▼導体のしなやかさを増すこと、▲3▼絶縁電線の密着性を増すこと、▲4▼絶縁電線の可とう性を増すこと、▲5▼絶縁電線の機械的強度を増すこと、▲6▼絶縁電線の滑り性を増すこと等が重要である。このうち▲1▼〜▲3▼及び▲4▼は製造条件を適性にすることにより比較的改善されやすく、特に▲3▼及び▲4▼は絶縁皮膜の焼き付けを浅くすることにより対応することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の絶縁電線において、上述のように密着性及び可とう性を向上させるために焼き付けを浅くすると絶縁電線の色相が薄くなってしまい、絶縁電線特有の光沢が失われるという問題がある。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、絶縁電線の密着性及び可とう性を向上させるため絶縁皮膜の焼き付けを浅くしても色相を濃くすることができ、これによって絶縁電線特有の光沢を付与することができる絶縁電線用塗料及びそれを用いた絶縁電線を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の絶縁電線用塗料は、樹脂による絶縁電線用塗料に硫黄化合物を添加して成ることを特徴としている。
【0006】
また、本発明の絶縁電線用塗料は、樹脂による絶縁電線用塗料の樹脂100重量部に対して、硫黄化合物を0.5〜5.0重量部添加して成ることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の絶縁電線は、樹脂による絶縁電線用塗料に硫黄化合物を添加して成る絶縁電線用塗料を、導体に直接又は他の絶縁物を介して塗布したのち焼き付けして形成したことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の絶縁電線は、樹脂による絶縁電線用塗料の樹脂100重量部に対して、硫黄化合物を0.5〜5.0重量部添加して成る絶縁電線用塗料を、導体に直接又は他の絶縁物を介して塗布したのち焼き付けして形成したことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る絶縁電線用塗料を用いた絶縁電線の構成を示す横断面図である。
【0011】
この図1に示す絶縁電線は、絶縁電線用塗料の樹脂100重量部に対して硫黄化合物を0.5〜5.0重量部添加して成る絶縁電線用塗料を、線状の導体1に、直接又は図示せぬ他の絶縁物を介して塗布した後、焼き付けして作製したものであり、その焼き付けによって導体1を包んで色相改善被膜層2が形成される。
【0012】
絶縁電線用塗料には、ポリビニル,ポリエステル,ポリウレタン,ポリエステルイミド,ポリアミドイミド,ポリイミド等の樹脂があるが、特に本発明の絶縁電線用塗料としてはポリエステル,ポリエステルイミドを用いた場合に色相を濃くする効果が高く望ましい。
【0013】
硫黄化合物には、チオサリチル酸,チオグリコール,チオジグリコール,チオフェンカルボン酸等があるが、特に本発明の絶縁電線用塗料としてはチオサリチル酸,チオグリコールを用いた場合に色相を濃くする効果が高く望ましい。
【0014】
また、絶縁電線用塗料の樹脂100重量部に対し硫黄化合物を0.5〜5.0重量部としたのは、0.5重量部以下では色相が濃くならず、逆に5.0重量部以上では絶縁電線用塗料の安定性及び塗装作業性が低下するからである。言い換えれば、0.5〜5.0重量部とすることによって、色相が濃く、絶縁電線用塗料の安定性及び塗装作業性が向上する。
【0015】
また、図2に示すように、色相改善被膜層2の上に更に絶縁電線用塗料を塗布したのち焼き付けることによって、通常皮膜層3を形成しても良い。
【0016】
次に、実際に、硫黄化合物を添加した絶縁電線用塗料を塗布して焼き付け作製した2種類の絶縁電線を下記表1に実施例1,2として示し、また、従来の方法で作製した2種類の絶縁電線を同表1に比較例1,2として示し、その説明を行う。但し、表1は、実施例1,2及び比較例1,2の絶縁電線の作業条件及び絶縁電線の特性を表したものである。
【0017】
【表1】
まず、実施例1,2及び比較例1,2を作製するに用いた基礎条件について説明する。導体1には、φ0.8mmの銅線を用いた。絶縁電線用塗料には、大日精化工業株式会社のポリエステルイミド樹脂塗料EH−402、日立化成株式会社のポリアミドイミド樹脂塗料HI−406を用いた。
【0018】
実施例1の絶縁電線は、まず、φ0.8mmの軟銅線上に、ポリエステルイミド樹脂塗料EH−402に上記の樹脂分100重量部に対してチオサリチル酸(メルカプト安息香酸)を0.5重量部添加して得た絶縁電線用塗料を、皮膜厚さが20μmとなるように塗布したのち焼き付けし、次いでその絶縁電線上にポリアミドイミド樹脂塗料HI−406を、皮膜厚さが7μmとなるように塗布したのち焼き付けすることにより作製した複合絶縁電線である。但し、焼き付けを浅くするため塗装速度を通常より5%速くした。
【0019】
実施例2の絶縁電線は、まず、φ0.8mmの軟銅線上に、ポリエステルイミド樹脂塗料EH−402に上記の樹脂分100重量部に対してチオグリコール(メルカプト酢酸)を0.5重量部添加し得た絶縁電線用塗料を、皮膜厚さが20μmとなるように塗布したのち焼き付けし、次いでその絶縁電線上にポリアミドイミド樹脂塗料HI−406を皮膜厚さが7μmとなるように塗布して焼き付けすることにより作製した複合絶縁電線である。なお、焼き付けを浅くするため塗装速度を通常より15%速くした。
【0020】
比較例1の絶縁電線は、まず、φ0.8皿mの軟銅線上に、ポリエステルイミド樹脂塗料EH−402を皮膜厚さが20μmとなるように塗布したのち焼き付けし、次いでそのポリエステルイミドエナメル線上にポリアミドイミド樹脂塗料HI−406を皮膜厚さが7μmとなるように塗布したのち焼き付けすることにより作製した複合絶縁電線である。なお、焼き付けを浅くするため塗装速度を通常より15%速くした。
【0021】
比較例2の絶縁電線は、まず、φ0.8mmの軟銅線上に、ポリエステルイミド樹脂塗料EH−402を皮膜厚さが20μmとなるように塗布したのち焼き付けし、次いでそのポリエステルイミドエナメル線上にポリアミドイミド樹脂塗料HI−406を皮膜厚さが7μmとなるように塗布したのち焼き付けすることにより作製した複合絶縁電線である。なお、塗装速度は通常通りとした。
【0022】
このように作製した実施例1,2及び比較例1,2の絶縁電線を用いそれぞれ表1に示す試験を行った。
【0023】
密着性は、直線状サンプルを同軸上の250mm離れた2つのクランプに固定し、サンプルの長さ方向に平行な2辺の皮膜を導体1に達するまで取り除く。その後、一方のクランプを回転させ皮膜が浮いた時点の回転数を測定した。
【0024】
可とう性は、サンプルを20%伸長させた後、表面の滑らかな丸棒に沿って線と線とが10回接触するように5コイル巻き付け亀裂の有無を調査した。
【0025】
tanδは、皮膜焼き付け度をサンプルの1kHzでの誘電正接が10%に到達する温度を測定した。
【0026】
色相は、硫黄化合物を添加しない絶縁電線用塗料を通常の塗装速度で焼き付けた比較例2の色相を標準として色相を調査した。
【0027】
これらの結果、比較例1は、比較例2と比較してtanδが約10℃低く、皮膜焼き付け度が浅くなっていることがわかる。このため、密着性及び可とう性が比較例2よりも優れているが、色相が淡くなっている。一方、実施例1,2は、比較例1,2と比較すると、皮膜焼き付け度が浅く密着性及び可とう性が優れており、且つ色相が濃いままとなっている。
【0028】
つまり、本実施の形態の絶縁電線用塗料を用いた絶縁電線によれば、絶縁電線の密着性及び可とう性を向上させるため絶縁皮膜の焼き付けを浅くしても色相を濃くすることができ、これによって絶縁電線特有の光沢を付与することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、樹脂による絶縁電線用塗料に硫黄化合物を添加して絶縁電線用塗料を作製し、この絶縁電線用塗料を、導体に直接又は他の絶縁物を介して塗布したのち焼き付けして絶縁電線を形成したので、絶縁電線の密着性及び可とう性を向上させるため絶縁皮膜の焼き付けを浅くしても色相を濃くすることができ、これによって絶縁電線特有の光沢を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る絶縁電線用塗料を用いた絶縁電線の構成を示す横断面図である。
【図2】他の実施の形態に係る絶縁電線用塗料を用いた絶縁電線の構成を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 導体
2 色相改善被膜層
3 通常皮膜層
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの巻線等に塗布される絶縁電線用塗料及びそれを用いた絶縁電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器においては、小型軽量化や高効率化等の要求が年々高まってきている。これら電気機器のモータの巻線に使用される絶縁電線には、高速機械巻線機により高速巻されても機械的劣化を受けないことが要求されている。高速機械巻線機により高速巻きされても機械劣化を受けないようにするためには、▲1▼絶縁電線の仕上外径を細めに仕上げること、▲2▼導体のしなやかさを増すこと、▲3▼絶縁電線の密着性を増すこと、▲4▼絶縁電線の可とう性を増すこと、▲5▼絶縁電線の機械的強度を増すこと、▲6▼絶縁電線の滑り性を増すこと等が重要である。このうち▲1▼〜▲3▼及び▲4▼は製造条件を適性にすることにより比較的改善されやすく、特に▲3▼及び▲4▼は絶縁皮膜の焼き付けを浅くすることにより対応することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の絶縁電線において、上述のように密着性及び可とう性を向上させるために焼き付けを浅くすると絶縁電線の色相が薄くなってしまい、絶縁電線特有の光沢が失われるという問題がある。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、絶縁電線の密着性及び可とう性を向上させるため絶縁皮膜の焼き付けを浅くしても色相を濃くすることができ、これによって絶縁電線特有の光沢を付与することができる絶縁電線用塗料及びそれを用いた絶縁電線を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の絶縁電線用塗料は、樹脂による絶縁電線用塗料に硫黄化合物を添加して成ることを特徴としている。
【0006】
また、本発明の絶縁電線用塗料は、樹脂による絶縁電線用塗料の樹脂100重量部に対して、硫黄化合物を0.5〜5.0重量部添加して成ることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の絶縁電線は、樹脂による絶縁電線用塗料に硫黄化合物を添加して成る絶縁電線用塗料を、導体に直接又は他の絶縁物を介して塗布したのち焼き付けして形成したことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の絶縁電線は、樹脂による絶縁電線用塗料の樹脂100重量部に対して、硫黄化合物を0.5〜5.0重量部添加して成る絶縁電線用塗料を、導体に直接又は他の絶縁物を介して塗布したのち焼き付けして形成したことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る絶縁電線用塗料を用いた絶縁電線の構成を示す横断面図である。
【0011】
この図1に示す絶縁電線は、絶縁電線用塗料の樹脂100重量部に対して硫黄化合物を0.5〜5.0重量部添加して成る絶縁電線用塗料を、線状の導体1に、直接又は図示せぬ他の絶縁物を介して塗布した後、焼き付けして作製したものであり、その焼き付けによって導体1を包んで色相改善被膜層2が形成される。
【0012】
絶縁電線用塗料には、ポリビニル,ポリエステル,ポリウレタン,ポリエステルイミド,ポリアミドイミド,ポリイミド等の樹脂があるが、特に本発明の絶縁電線用塗料としてはポリエステル,ポリエステルイミドを用いた場合に色相を濃くする効果が高く望ましい。
【0013】
硫黄化合物には、チオサリチル酸,チオグリコール,チオジグリコール,チオフェンカルボン酸等があるが、特に本発明の絶縁電線用塗料としてはチオサリチル酸,チオグリコールを用いた場合に色相を濃くする効果が高く望ましい。
【0014】
また、絶縁電線用塗料の樹脂100重量部に対し硫黄化合物を0.5〜5.0重量部としたのは、0.5重量部以下では色相が濃くならず、逆に5.0重量部以上では絶縁電線用塗料の安定性及び塗装作業性が低下するからである。言い換えれば、0.5〜5.0重量部とすることによって、色相が濃く、絶縁電線用塗料の安定性及び塗装作業性が向上する。
【0015】
また、図2に示すように、色相改善被膜層2の上に更に絶縁電線用塗料を塗布したのち焼き付けることによって、通常皮膜層3を形成しても良い。
【0016】
次に、実際に、硫黄化合物を添加した絶縁電線用塗料を塗布して焼き付け作製した2種類の絶縁電線を下記表1に実施例1,2として示し、また、従来の方法で作製した2種類の絶縁電線を同表1に比較例1,2として示し、その説明を行う。但し、表1は、実施例1,2及び比較例1,2の絶縁電線の作業条件及び絶縁電線の特性を表したものである。
【0017】
【表1】
まず、実施例1,2及び比較例1,2を作製するに用いた基礎条件について説明する。導体1には、φ0.8mmの銅線を用いた。絶縁電線用塗料には、大日精化工業株式会社のポリエステルイミド樹脂塗料EH−402、日立化成株式会社のポリアミドイミド樹脂塗料HI−406を用いた。
【0018】
実施例1の絶縁電線は、まず、φ0.8mmの軟銅線上に、ポリエステルイミド樹脂塗料EH−402に上記の樹脂分100重量部に対してチオサリチル酸(メルカプト安息香酸)を0.5重量部添加して得た絶縁電線用塗料を、皮膜厚さが20μmとなるように塗布したのち焼き付けし、次いでその絶縁電線上にポリアミドイミド樹脂塗料HI−406を、皮膜厚さが7μmとなるように塗布したのち焼き付けすることにより作製した複合絶縁電線である。但し、焼き付けを浅くするため塗装速度を通常より5%速くした。
【0019】
実施例2の絶縁電線は、まず、φ0.8mmの軟銅線上に、ポリエステルイミド樹脂塗料EH−402に上記の樹脂分100重量部に対してチオグリコール(メルカプト酢酸)を0.5重量部添加し得た絶縁電線用塗料を、皮膜厚さが20μmとなるように塗布したのち焼き付けし、次いでその絶縁電線上にポリアミドイミド樹脂塗料HI−406を皮膜厚さが7μmとなるように塗布して焼き付けすることにより作製した複合絶縁電線である。なお、焼き付けを浅くするため塗装速度を通常より15%速くした。
【0020】
比較例1の絶縁電線は、まず、φ0.8皿mの軟銅線上に、ポリエステルイミド樹脂塗料EH−402を皮膜厚さが20μmとなるように塗布したのち焼き付けし、次いでそのポリエステルイミドエナメル線上にポリアミドイミド樹脂塗料HI−406を皮膜厚さが7μmとなるように塗布したのち焼き付けすることにより作製した複合絶縁電線である。なお、焼き付けを浅くするため塗装速度を通常より15%速くした。
【0021】
比較例2の絶縁電線は、まず、φ0.8mmの軟銅線上に、ポリエステルイミド樹脂塗料EH−402を皮膜厚さが20μmとなるように塗布したのち焼き付けし、次いでそのポリエステルイミドエナメル線上にポリアミドイミド樹脂塗料HI−406を皮膜厚さが7μmとなるように塗布したのち焼き付けすることにより作製した複合絶縁電線である。なお、塗装速度は通常通りとした。
【0022】
このように作製した実施例1,2及び比較例1,2の絶縁電線を用いそれぞれ表1に示す試験を行った。
【0023】
密着性は、直線状サンプルを同軸上の250mm離れた2つのクランプに固定し、サンプルの長さ方向に平行な2辺の皮膜を導体1に達するまで取り除く。その後、一方のクランプを回転させ皮膜が浮いた時点の回転数を測定した。
【0024】
可とう性は、サンプルを20%伸長させた後、表面の滑らかな丸棒に沿って線と線とが10回接触するように5コイル巻き付け亀裂の有無を調査した。
【0025】
tanδは、皮膜焼き付け度をサンプルの1kHzでの誘電正接が10%に到達する温度を測定した。
【0026】
色相は、硫黄化合物を添加しない絶縁電線用塗料を通常の塗装速度で焼き付けた比較例2の色相を標準として色相を調査した。
【0027】
これらの結果、比較例1は、比較例2と比較してtanδが約10℃低く、皮膜焼き付け度が浅くなっていることがわかる。このため、密着性及び可とう性が比較例2よりも優れているが、色相が淡くなっている。一方、実施例1,2は、比較例1,2と比較すると、皮膜焼き付け度が浅く密着性及び可とう性が優れており、且つ色相が濃いままとなっている。
【0028】
つまり、本実施の形態の絶縁電線用塗料を用いた絶縁電線によれば、絶縁電線の密着性及び可とう性を向上させるため絶縁皮膜の焼き付けを浅くしても色相を濃くすることができ、これによって絶縁電線特有の光沢を付与することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、樹脂による絶縁電線用塗料に硫黄化合物を添加して絶縁電線用塗料を作製し、この絶縁電線用塗料を、導体に直接又は他の絶縁物を介して塗布したのち焼き付けして絶縁電線を形成したので、絶縁電線の密着性及び可とう性を向上させるため絶縁皮膜の焼き付けを浅くしても色相を濃くすることができ、これによって絶縁電線特有の光沢を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る絶縁電線用塗料を用いた絶縁電線の構成を示す横断面図である。
【図2】他の実施の形態に係る絶縁電線用塗料を用いた絶縁電線の構成を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 導体
2 色相改善被膜層
3 通常皮膜層
Claims (4)
- 樹脂による絶縁電線用塗料に硫黄化合物を添加して成る
ことを特徴とする絶縁電線用塗料。 - 樹脂による絶縁電線用塗料の樹脂100重量部に対して、硫黄化合物を0.5〜5.0重量部添加して成る
ことを特徴とする絶縁電線用塗料。 - 樹脂による絶縁電線用塗料に硫黄化合物を添加して成る絶縁電線用塗料を、導体に直接又は他の絶縁物を介して塗布したのち焼き付けして形成した
ことを特徴とする絶縁電線。 - 樹脂による絶縁電線用塗料の樹脂100重量部に対して、硫黄化合物を0.5〜5.0重量部添加して成る絶縁電線用塗料を、導体に直接又は他の絶縁物を介して塗布したのち焼き付けして形成した
ことを特徴とする絶縁電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002171317A JP2004022184A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 絶縁電線用塗料及びそれを用いた絶縁電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002171317A JP2004022184A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 絶縁電線用塗料及びそれを用いた絶縁電線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004022184A true JP2004022184A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31171213
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002171317A Pending JP2004022184A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 絶縁電線用塗料及びそれを用いた絶縁電線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004022184A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9343197B2 (en) | 2011-12-22 | 2016-05-17 | Hitachi Metals, Ltd. | Insulated wire and coil |
-
2002
- 2002-06-12 JP JP2002171317A patent/JP2004022184A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9343197B2 (en) | 2011-12-22 | 2016-05-17 | Hitachi Metals, Ltd. | Insulated wire and coil |
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