JP2004022019A - 磁気ディスク装置 - Google Patents

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江口 健彦
Takashi Kono
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Abstract

【課題】カバーの内側面と磁気ディスクの面との間隔に係わらず、カバーを磁気ディスクに接触し難くできる磁気ディスク装置を提供する。
【解決手段】スピンドルモータ5により回転駆動される磁気ディスク3、磁気ヘッド、磁気ヘッドの位置決め手段などを筐体1内に収容したものであり、筐体1は、磁気ディスク3の面に沿う一面が開口したベース13と、ベース13の開口した面に取り付けられる平板状のカバー15とで形成され、カバー15は、ベース13に取り付けられるメインプレート19と、筐体1のベース13の底面から開口に向かって突設されてスピンドルモータ5を支持する支持シャフト17の端部に固定されるキャップ23とで形成され、キャップ23は、メインプレート19の磁気ディスクに対応する部分の中央部に形成された穴21及び穴21の周縁部19aをメインプレート19の外側から覆い、キャップ23の穴21の周縁部19aに対応する部分23cのメインプレート19側の面とメインプレート19に形成された穴21の周縁部19aの外側面とが粘着材25で貼り合わされた構成とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報の記録及び再生を行う磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、磁気ディスク装置は、磁気ディスク、この磁気ディスクを回転駆動するスピンドルモータ、磁気ディスクへの情報記録及び再生を行う磁気ヘッド、そして磁気ヘッドを移動させて磁気ディスク上に位置決めする位置決め手段などを筐体に収容したものである。磁気ヘッドは、磁気ディスクの枚数に応じた数が備えられている。位置決め手段は、磁気ヘッドを支持するキャリッジアーム部、そしてキャリッジアーム部が連結され、キャリッジアーム部を動作させるアクチュエータなどで構成され、磁気ディスク上を半径方向に沿って磁気ヘッドを往復移動させ、磁気ディスク上に磁気ヘッドを位置決めするものである。
【0003】
昨今、磁気ディスク装置は、小型化、高速化及び大容量化が進んでおり、それに伴って、記録密度も高くなってきている。この記録密度を向上させる方法としては、トラックのビット密度を上げる方法、トラック幅を小さくしてトラック密度を上げる方法などがある。このようにトラック密度が高くなってきていることから磁気ヘッドの磁気ディスクに対する位置決め精度を向上することが重要になっている。これに対して、磁気ディスクが回転するにつれて発生する空気圧によって微小間隙で磁気ヘッドを浮上させて磁気的に情報の記録及び再生を行う際、磁気ディスク上にあらかじめ位置決めのために書き込まれたサーボトラック信号を磁気ヘッドによって読み出すことで得られる位置決め誤差信号に基づいてサーボループを組み、これによってアクチュエータの駆動を制御することで磁気ヘッドの位置決め精度を向上している。
【0004】
しかし、このような方法を用いても、磁気ヘッドの位置決め精度の向上が阻害され、磁気ヘッドの位置決め精度を向上できない場合がある。磁気ヘッドの位置決め精度の向上を阻害する要因としては、主に、スピンドルモータの駆動により生じる振動、そして磁気ディスクの回転により生じる振動などがある。スピンドルモータの駆動により生じる振動は、スピンドルモータに使用されている転がり軸受の玉や受け面の不整やモータから発生する電磁気的な加振力による振動である。磁気ディスクの回転により生じる振動は、磁気ディスクが回転することにより、磁気ディスク装置内部つまり筐体内部の空気の流れが乱れることにより生じる振動であり、フラッタ振動と呼ばれている。磁気ヘッドの位置決め精度を向上するには、これらの振動を低減する必要がある。
【0005】
スピンドルモータの駆動により生じる振動を低減するため、従来の磁気ディスク装置では、筐体が、磁気ディスクの面に沿う一面が開口したベースと、このベースの開口した面に取り付けられる平板状のカバーとで形成された構成とし、さらに、このカバーが、メインプレートとキャップの2つの部材で形成された構成としている。メインプレートは、磁気ディスクに対応する部分の中央部に穴が形成されており、縁部複数箇所でベースの縁部に固定されてベースの開口を覆うものである。キャップは、ベースの底面から開口面に向けて突設されてスピンドルモータを支持する支持シャフトの端部に固定され、メインプレートに形成された穴と周縁部をメインプレートの内側から覆うものである。
【0006】
このような従来の磁気ディスク装置のカバーは、キャップをメインプレートよりも筐体内部側に設置し、メインプレートとキャップの重なり合った部分のメインプレートの内側面とキャップの外側面との間を粘着材で貼り合わせた構成となっている。これにより、スピンドルモータの振動はキャップに伝わるが、メインプレートはベースに固定されているため、粘着材にせん断ひずみが生じ、粘着材の材料が有する粘弾性作用により、振動エネルギーが散逸され振動が減衰する。
【0007】
一方、磁気ディスクの回転により生じる振動を低減するための構成が、特開2000−331460号公報に提案されている。特開2000−331460号公報に提案されているような磁気ディスク装置では、磁気ディスクの面に、例えば0.3mm以下といったような間隔に接近させた磁気ディスクの面と平行な面を有する制振板を設け、磁気ディスクの面と、この磁気ディスクの面に対向する面との間隔を調整することで磁気ディスクの回転により生じる振動つまりフラッタ振動を低減している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、発明者らは、カバーがメインプレートとキャップとで構成された構成とし、このカバーの内側の面と磁気ディスクの面との間隔を調整することで、部品点数を増加させることなく、また、安価に、スピンドルモータの駆動により生じる振動とフラッタ振動を低減することを考えている。
【0009】
しかし、従来の磁気ディスク装置では、フラッタ振動を低減するために決定されたカバーの内側の面と磁気ディスクの面との間隔が狭くなるに連れ、キャップやキャップを取り付ける支持シャフトの加工精度によるキャップの歪みや傾き、加工後や組立時などに生ずるキャップの歪みや傾きなどにより、カバーの一部分、つまり支持シャフトのみに固定されたキャップの自由端となる端縁部分が磁気ディスクに接触し易くなる。このため、カバーの内側の面と磁気ディスクの面との間隔を適宜決定してフラッタ振動を低減するためには、カバーの内側の面と磁気ディスクの面との間隔に係わらず、カバーが磁気ディスクに接触し難い構成にする必要がある。
【0010】
本発明の課題は、カバーの内側面と磁気ディスクの面との間隔に係わらず、カバーを磁気ディスクに接触し難くすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気ディスク装置は、スピンドルモータにより回転駆動される磁気ディスクと、位置決め手段によって移動して前記磁気ディスク上に位置決めされ、該磁気ディスクの情報記録及び再生を行う磁気ヘッドとを筐体内に収容したものであり、筐体は、磁気ディスクの面に沿う一面が開口したベースと、このベースの開口した面に取り付けられる平板状のカバーとで形成され、このカバーは、ベースに取り付けられるメインプレートと、筐体のベースの底面から開口面に向かって突設されてスピンドルモータを支持する支持シャフトの端部に固定されるキャップとで形成され、このキャップは、メインプレートの磁気ディスクに対応する部分の中央部に形成された穴及びこの穴の周縁部をメインプレートの外側から覆い、キャップの穴の周縁部に対応する部分のメインプレート側の面とメインプレートに形成された穴の周縁部の外側面とが粘着材で貼り合わされた構成とすることにより上記課題を解決する。
【0012】
このような構成とすることにより、磁気ディスクの面と対向するカバーの面は、メインプレートの面となり、キャップの自由端となる端縁部分は、メインプレートの外側の面に当接することになる。このため、キャップを取り付ける支持シャフトの加工精度によるキャップの歪みや傾き、加工後や組立時などに生ずるキャップの歪みや傾きなどによって、磁気ディスクにキャップの自由端となる端縁部分が当たることはなくなる。したがって、カバーの内側の面と磁気ディスクの面との間隔に係わらず、カバーを磁気ディスクに接触し難くできる。
【0013】
さらに、メインプレートの穴の周縁部が、穴に向かって漸次縮径するテーパー状に形成され、メインプレートの穴が高くなった側の面を外側に向けて穴及びこの穴の周縁部をキャップで覆った構成とする。このような構成とすることにより、メインプレートの穴の周縁部をキャップ側に向けて押しつけた状態にできる。このため、メインプレートの穴の周縁部とキャップの間の粘着材が常に圧縮された状態となり、粘着材の粘着不良が生じ難くなり、筐体内への塵埃などの粒子の侵入を防ぐことができるので好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を適用してなる磁気ディスク装置の一実施形態について図1及び図3を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる磁気ディスク装置の概略構成を示す断面図である。図2は、本発明を適用してなる磁気ディスク装置の概略構成を示す分解斜視図である。図3は、本発明を適用してなる磁気ディスク装置のカバーの概略構成を示す分解斜視図である。
【0015】
本実施形態の磁気ディスク装置は、図1及び図2に示すように、筐体1内に、磁気ディスク3、磁気ディスク3を回転させるスピンドルモータ5、磁気ヘッド7、磁気ヘッド7がアーム9aの一方の端部に取り付けられたキャリッジアーム部9、キャリッジアーム部9の他方の端部に連結されたアクチュエータ11、そしてスピンドルモータ5やアクチュエータ11などの駆動を制御する図示していない制御回路などを収容したものである。なお、キャリッジアーム部9、アクチュエータ11、そして制御回路などが磁気ヘッド7を磁気ディスク3上に位置決めする位置決め手段を構成している。
【0016】
筐体1は、一面が開口された断面凹状のベース13と、ベース13の開口に取り付けられて、この開口を塞ぐ平板状のカバー15とで構成されている。スピンドルモータ5には、磁気ディスク3が、複数段に間隔をおいて並行に重ねられた状態で、磁気ディスク3の中央部に形成された穴部分で固定されている。ベース13には、底面から開口に向かって棒状の支持シャフト17が突設されており、スピンドルモータ5は、支持シャフト17が中心軸に沿って挿通された状態で支持シャフト17に固定され、支持されている。すなわち、スピンドルモータ5の固定子5aが支持シャフト17に固定され、スピンドルモータ5の回転子5bがベアリング5cなどを介して支持シャフト17に取り付けられ、回転子5bに磁気ディスク3が固定されており、磁気ディスク3は、支持シャフト17を回転の軸として回転する。
【0017】
磁気ヘッド7は、磁気ディスク3の枚数に対応して装備され、キャリッジアーム部9の磁気ディスク3の枚数に対応する複数のアーム9aに支持されている。アクチュエータ11は、磁気ディスク3上を磁気ディスク3の半径方向に沿ってキャリッジアーム部9のアーム9aを往復移動させ、これにより磁気ヘッド7が磁気ディスク3上を磁気ディスク3の半径方向に沿って往復移動する。
【0018】
カバー15は、図1乃び図3に示すように、ベース13の開口を覆い、ベース13に取り付けられて固定される平板状メインプレート19と、メインプレート19の磁気ディスク3に対応する部分の中央部に形成された穴、例えばメインプレート19のスピンドルモータ5及び磁気ディスク3のスピンドルモータ5周囲部分に対応する部分に形成された穴21及びメインプレート19の穴21の周縁部、つまり穴周縁部19aを覆う円盤状のキャップ23とで構成されている。メインプレート19とキャップ23は、鋼板をプレス加工により成形したものである。また、キャップ23には、メインプレート19に比べ板厚が薄い鋼板が用いられている。
【0019】
メインプレート19の穴周縁部19aは、メインプレート19の磁気ディスク3の面に対向する部分となっており、筐体1の外側から見た場合、メインプレート19の他の部分よりも凹んだ円環状の平面となっている。キャップ23は、メインプレート19の穴周縁部19aに応じた径で形成された円盤状であり、筐体1の外側から見た場合、キャップ23のスピンドルモータ5に対応する部分が他の部分よりも突出した円形の突出部23aに、キャップ23の中心部つまり支持シャフト17に対応する部分が突出部23aよりも円形に凹んだねじ止め部23bに、そして円形の突出部23a周囲の突出部23aよりも下がった部分が突出部23aから鍔状に形成されて円環状の平面を形成する鍔部23cになっている。
【0020】
キャップ23は、カバー15をベース13に取り付けたとき、メインプレート19の穴21と穴周縁部19aを外側から覆った状態で取り付けられ、メインプレート19とキャップ23は、メインプレート19の穴周縁部19aの外側面と、キャップ23の鍔部23cのメインプレート19に対向する面つまり内側面との間にメインプレート19の穴周縁部19a及びキャップ23の鍔部23cに対応する円環状の粘着材25を挟み込んで貼り合わせることで、粘着材25を介して互いにずれることができる状態で取り付けられている。
【0021】
メインプレート19は、図1及び図2に示すように、メインプレート19の縁部の複数箇所でねじ27によりベース13の縁部に締結される。キャップ23は、キャップ23のねじ止め部23b1箇所でねじ29によりベース13の支持シャフト17の端部に締結される。なお、カバー13の磁気ディスク3の面に対向する面は、メインプレート19の穴周縁部19aの内側面であり、メインプレート19の穴周縁部19aの内側面と磁気ディスク3の面との隙間Dは、例えば0.3mm以下といったフラッタ振動を低減するために決定された間隔になっている。また、メインプレート19の縁部とベース13の開口の周囲部分との間には、ゴムなどの弾性部材からなるシール部材30が挟み込まれており、さらに、メインプレート19とキャップ23とは粘着材25で貼り合わされているため、カバー15を取り付けた状態では、筐体13内へ筐体13外部の塵埃などの粒子が侵入し難くなっている。
【0022】
このような構成の磁気ディスク装置では、スピンドルモータ5の振動は、支持シャフト17を介してキャップ23に伝わる。このとき、メインプレート19は、ベース13に固定されているため、キャップ23に伝わった振動により、粘着材25にせん断ひずみが生じ、粘着材25の材料が有する粘弾性作用により、振動エネルギーが散逸され振動が減衰する。さらに、メインプレート19の穴周縁部19aの内側面と磁気ディスク3の面との隙間Dは、フラッタ振動を低減するために決定された間隔になっているため、フラッタ振動を低減できる。
【0023】
ところで、従来の磁気ディスク装置では、図4に示すように、カバー31は、メインプレート33とキャップ35で構成されている点は本実施形態と同様である。しかし、メインプレート33の穴37の周縁部33aは、筐体39の外側から見た場合、メインプレート33の他の部分よりも突出した円環状の平面となっている。また、キャップ35は、本実施形態と同様にメインプレート33の穴37の周縁部である穴周縁部33aに応じた径で形成された円盤状であり、突出部35aに、ねじ止め部35b、そして鍔部35cになっている。しかし、キャップ35は、カバー31をベース13に取り付けたとき、メインプレート33の穴37と穴周縁部33aを内側から覆った状態で取り付けられる。したがって、カバー31の磁気ディスク3の面に対向する面は、キャップ35の鍔部35cの内側面となっている。
【0024】
このとき、キャップ35の鍔部35cの端縁部分は、自由端であるため、加工後の残留応力などによる変形のため、平面度を向上することが難しい。また、図5に示すように、シャフト17とキャップ35のねじ止め部35bとのわずかな平行度の差が、キャップ35の鍔部35cの端縁部分では大きな変位となってしまう。このため、キャップ35の鍔部35cの端縁部分における磁気ディスク3に向かう方向の公差が増大してしまう。
【0025】
このように、従来の磁気ディスク装置では、フラッタ振動を低減するために決定されたカバー31の内側面と磁気ディスク3の面との間隔が狭くなるに連れ、キャップ35やキャップ35を取り付ける支持シャフト17の加工精度によるキャップ35の歪みや傾き、加工後や組立時などに生ずるキャップ35の歪みや傾きなどにより、カバー31の一部分、つまり支持シャフト17のみに固定されたキャップ35の自由端となる鍔部35cの端縁部分が磁気ディスク3に接触し易く、隙間Dを、フラッタ振動を低減するために決定された間隔にすることが困難になる場合がある。
【0026】
これに対して本実施形態の磁気ディスク装置では、磁気ディスク3の面と対向するカバー15の面は、メインプレート19の穴周縁部19aの内側面となり、キャップ23の自由端となる鍔部35cの端縁部分は、メインプレート19の穴周縁部19aの外側面に当接することになる。このため、キャップ23やキャップ23を取り付ける支持シャフト17の加工精度によるキャップ23の歪みや傾き、加工後や組立時などにキャップ23の歪みや傾きなどが生じても、磁気ディスク3にキャップ23の鍔部23cの端縁部分が当たることはなく、磁気ディスク3の面に対向するカバー15内側面の、磁気ディスク3の面に向かう方向の公差を小さくすることができる。したがって、カバー15の内側面と磁気ディスク3の面との間隔に係わらず、カバーを磁気ディスクに接触し難くできる。
【0027】
さらに、カバー15の内側面と磁気ディスク3の面との間隔に係わらず、カバーを磁気ディスクに接触し難くできるため、カバー15の内側面と磁気ディスク3の面との隙間Dを自由に設定できる。したがって、カバー15の内側面と磁気ディスク3の面との隙間Dを、フラッタ振動を低減するために必要な間隔に設定し、フラッタ振動を低減することができる。加えて、部品点数を増加させることなく、また、安価に、スピンドルモータの駆動により生じる振動とフラッタ振動を低減できる。さらに、磁気ヘッドの位置決め精度の向上を阻害する要因であるスピンドルモータの駆動により生じる振動とフラッタ振動を低減できることにより、磁気ヘッドの位置決め精度を向上でき、磁気ディスク装置の記録密度を向上できる。
【0028】
なお、メインプレート19の穴周縁部19aは、ベース13へねじ27に固定する部分との距離を近くすることによって、また、本実施形態のように凹んだ折り曲げ構造にすることによって剛性を高くすることができ、メインプレート19の穴周縁部19aの高さ方向の公差、つまりカバー15をベース13に組み付けたときのカバー15の内側面の磁気ディスク3に向かう方向の公差を一層小さくすることができる。
【0029】
また、本発明は、本実施形態の構成の磁気ディスク装置、様々な構成の磁気ディスク装置に適用することができる。加えて、カバーを構成するメインプレートやキャップの形状は、本実施形態の形状に限らず様々な形状にできる。
【0030】
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用してなる磁気ディスク装置の第2の実施形態について図6乃至図8を参照して説明する。図6は、本発明を適用してなる磁気ディスク装置の概略構成を、キャップを支持シャフトに締結していない状態で示す断面図である。図7は、カバーを構成するメインプレートの形状を示す側面側から見た断面図である。図8は、本発明を適用してなる磁気ディスク装置の概略構成を、キャップを支持シャフトに締結した状態で示す断面図である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成及び動作などには同じ符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と相違する構成、動作及び特徴部などについて説明する。また、図6及び図8では、スピンドルモータや磁気ディスクなどは省略し、筐体のみを示している。
【0031】
本実施形態の磁気ディスク装置が第1の実施形態と相違する点は、メインプレートに形成された穴の周縁部の形状にある。すなわち、本実施形態の磁気ディスク装置では、図6及び図7に示すように、カバー37を構成するメインプレート39の穴41の周縁部である穴周縁部39aは、メインプレート39の磁気ディスク3の面に対向する部分となっており、筐体1の外側から見た場合、メインプレート39の他の部分よりも外縁部分で凹み、穴41に向かうに連れて漸次縮径しながら高くなる、円錐台状またはテーパー状となっている。メインプレート39の穴周縁部39aの外縁部分と穴41が形成された部分との高さの差は、組み立て時の公差を考え、例えば0.1mmから0.2mm程度としている。なお、キャップ23の変形の方が大きく、メインプレート39の変形の方が小さくなるように、キャップ23の板厚をメインプレート39の板厚よりも薄くすることが望ましい。
【0032】
本実施形態の磁気ディスク装置では、メインプレート39の穴周縁部39aがテーパー状の形状をしているため、図6に示すように、カバー37のメインプレート39をベース13にねじ27で締結し、キャップ23を支持シャフト17に締結していない状態では、キャップ23のねじ止め部23bの支持シャフト17の端面に当接する面と、支持シャフト17の端面との間に隙間ができている。そして、図8に示すように、キャップ23のねじ止め部23bをねじ29で支持シャフト17の端部に締結すると、キャップ23のねじ止め部23bが支持シャフト17の端部方向に押し下げられ、これに連れて、キャップ23の突出部23aが筐体1内方向に押し下げられ、キャップ23の鍔部23cは、水平な状態になろうとする。
【0033】
これにより、メインプレート39の穴周縁部39aの穴41周囲部分も、筐体1の内側方向に変形する。このように、ねじ29によりキャップ23のねじ止め部23bを支持シャフト17の端部に締結することで、キャップ23の鍔部23cがメインプレート39の穴周縁部39aに押し付けられ、またメインプレート39の穴周縁部39aにはキャップ23の鍔部23c方向に戻ろうとする力が作用する。このため、メインプレート39の穴周縁部39aとキャップ23の鍔部23cとの間に挟み込まれている粘着材25には、常に圧縮力が加わることになる。
【0034】
ここで、キャップ23に歪みや傾きなどが生じ、キャップ23に、キャップ23の鍔部23cがメインプレート39の穴周縁部39aから離れる方に力が作用する部分が生じると、その部分で粘着材25が接着不良となってはがれ、キャップ23の鍔部23cとメインプレート39の穴周縁部39aとの間に隙間ができてしまう場合がある。キャップ23の鍔部23cとメインプレート39の穴周縁部39aとの間に隙間ができてしまうと、筐体1内に塵埃などの粒子が侵入し、磁気ディスク装置の作動に不具合が生じる可能性がある。
【0035】
これに対して、本実施形態の磁気ディスク装置では、メインプレート39の穴周縁部39aが穴41に向かって、つまり外側に向かって高くなる円錐台状またはテーパー状の形状をしているため、メインプレート39の穴周縁部39aとキャップ23の鍔部23cとの間に挟み込まれている粘着材25には、常に圧縮力が加わる。したがって、カバー37を組立ててから時間を経ても、キャップ23の歪みや傾きなどによる粘着材25の接着不良が生じることがない。
【0036】
さらに、粘着材25の接着不良が生じることがないため、キャップ23の鍔部23cとメインプレート39の穴周縁部39aとの間に隙間ができ難く、筐体1内に塵埃などの粒子が侵入し難くできるため、磁気ディスク装置の作動に不具合が生じ難く、磁気ディスク装置の信頼性を向上できる。すなわち、本実施形態の磁気記録装置では、磁気ディスク装置の記録密度及び信頼性を向上できる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、カバーの内側面と磁気ディスクの面との間隔に係わらず、カバーを磁気ディスクに接触し難くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる磁気ディスク装置の第1の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明を適用してなる磁気ディスク装置の第1の実施形態の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態における磁気ディスク装置のカバーの概略構成を示す分解斜視図である。
【図4】従来の磁気ディスク装置の概略構成を示す断面図である。
【図5】従来の磁気ディスク装置において生じるキャップ傾きを説明する図である。
【図6】本発明を適用してなる磁気ディスク装置の第2の実施形態の概略構成を、キャップを支持シャフトに締結していない状態で示す断面図である。
【図7】第2の実施形態における磁気ディスク装置のカバーを構成するメインプレートの形状を示す側面側から見た断面図である。
【図8】本発明を適用してなる磁気ディスク装置の第2の実施形態の概略構成を、キャップを支持シャフトに締結した状態で示す断面図である。
【符号の説明】
1 筐体
3 磁気ディスク
5 スピンドルモータ
13 ベース
15 カバー
17 支持シャフト
19 メインプレート
19a 穴周縁部
21 穴
23 キャップ
23c 鍔部
25 粘着材
27、29 ねじ
D 隙間

Claims (2)

  1. スピンドルモータにより回転駆動される磁気ディスクと、位置決め手段によって移動して前記磁気ディスク上に位置決めされ、該磁気ディスクの情報記録及び再生を行う磁気ヘッドとを筐体内に収容した磁気ディスク装置であり、
    前記筐体は、前記磁気ディスクの面に沿う一面が開口したベースと、該ベースの開口した面に取り付けられる平板状のカバーとで形成され、該カバーは、前記ベースに取り付けられるメインプレートと、前記筐体のベースの底面から開口に向かって突設されて前記スピンドルモータを支持する支持シャフトの端部に固定されるキャップとで形成され、該キャップは、前記メインプレートの前記磁気ディスクに対応する部分の中央部に形成された穴及び該穴の周縁部を前記メインプレートの外側から覆い、前記キャップの前記穴の周縁部に対応する部分の前記メインプレート側の面と前記メインプレートに形成された前記穴の周縁部の外側面とが粘着材で貼り合わされたことを特徴とする磁気ディスク装置。
  2. 前記メインプレートの前記穴の周縁部が、前記穴に向かって漸次縮径するテーパー状に形成され、前記メインプレートの穴が高くなった側の面を外側に向けて前記穴及び該穴の周縁部を前記キャップで覆ったことを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置。
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