JP2004021053A - カメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化および駆動力の低減を図ることができるカメラを提供する。
【解決手段】光軸方向に相対移動可能な第1のレンズ部材3および第2のレンズ部材5のうち一方のレンズ部材に設けられた係合部5aと、他方のレンズ部材に設けられた被係合部3cとを有し、撮影可能状態において、係合部5aが被係合部3cに係合することにより第1のレンズ部材3および第2のレンズ部材5を所定の間隔を保った状態で一体的に移動可能とし、非撮影状態において、係合部5aの被係合部3cとの係合が外れることによりレンズ部材の間隔が所定の間隔よりも狭い間隔になるように第1のレンズ部材3および第2のレンズ部材5の移動を許容する。
【選択図】 図1
【解決手段】光軸方向に相対移動可能な第1のレンズ部材3および第2のレンズ部材5のうち一方のレンズ部材に設けられた係合部5aと、他方のレンズ部材に設けられた被係合部3cとを有し、撮影可能状態において、係合部5aが被係合部3cに係合することにより第1のレンズ部材3および第2のレンズ部材5を所定の間隔を保った状態で一体的に移動可能とし、非撮影状態において、係合部5aの被係合部3cとの係合が外れることによりレンズ部材の間隔が所定の間隔よりも狭い間隔になるように第1のレンズ部材3および第2のレンズ部材5の移動を許容する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラにおけるレンズの駆動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数のレンズ群それぞれを光軸方向に移動させて、レンズ群間の距離を変えることによりズーミングやフォーカシングを行うレンズ鏡筒においては、レンズ群を光軸方向にのみ移動させるための直進筒と、レンズ群の光軸方向移動量を決定するためのカム筒とで構成されているものが一般的である。
【0003】
このようなレンズ鏡筒では、光軸方向に移動する一つのレンズ群に対して、この周方向3カ所に凸状のカムピンを設けるとともに、これらのカムピンそれぞれと係合するカム溝部をカム筒に形成しているものがほとんどである。そして、カム筒を光軸周りに回転させることにより、カムピンをカム溝に沿って移動させてレンズ群を光軸方向に移動させている。
【0004】
上述したレンズ鏡筒の構成では、光軸方向に移動させるレンズ群の数を増やすと、レンズ群の数が増えた分だけこれに対応するカム溝部をカム筒に形成しなければならない。ここで、レンズ群の数が増える要因としては、撮影光学系の高倍率化や長焦点距離化が考えられ、この高倍率化や長焦点距離化は近年のコンパクトカメラでは非常にニーズが高くなってきている。
【0005】
上述したようにカム筒に形成されるカム溝部の本数が増えると、カム溝部同士の干渉などによりレンズ群を所定の軌跡に従って移動させることができないことがある。また、カム溝部同士の干渉を避けようとすると、レンズ群の駆動機構が複雑になり、駆動機構が大型化してしまう。
【0006】
このような問題を解消する手段として、カム溝部の代わりにヘリコイドネジを用いてレンズ群を駆動する機構もあるが、このヘリコイドネジを用いた駆動機構ではレンズ群の光軸方向移動量が一定であるため、レンズ群の光軸方向移動量を変化させる必要がある場合には適していない。
【0007】
また、1つのレンズ群に対して形成されるカム溝部を3本から2本等に減らすことによりカム溝部同士の干渉を避ける方法も考えられているが、この場合にはレンズ群が光軸に対して傾いてしまう恐れもある。
【0008】
そこで、上述した問題点を解消すべく、光軸方向に移動する2つのレンズ群の移動軌跡を同じにすることによって、2つのレンズ群を機構上、1つのレンズ群として取り扱い、カム筒に形成されるカム溝部の数を少なくしたものがある。このような機構は、例えば特開平11−194258号公報に提案されている。
【0009】
しかし、上述した特開平11−194258号公報で提案されている駆動機構等のように2つのレンズ群を所定の間隔で一体的に移動させる機構の場合、この機構を、各レンズ群の間隔を最も縮めてレンズ鏡筒をカメラ本体内に収納させる、いわゆる沈胴式のカメラに適用しようとすると、一体的に移動する2つのレンズ群の間隔を狭めることができず、レンズ鏡筒をカメラ本体内にコンパクトに収納することができない。
【0010】
そこで、この問題を解決するものとして、特許第2537398号に開示されているズームレンズ鏡筒がある。このレンズ鏡筒は、3群タイプのレンズで構成されており、1群レンズと3群レンズとの間にバネ部材が配置されている。
【0011】
このレンズ鏡筒において、ズーミングを行う場合、バネ部材が1群レンズと3群レンズとを引き離す方向に作用して、一群レンズおよび3群レンズが所定の間隔で一体的に移動するようになっている。また、1群レンズと3群レンズとの間では、2群レンズが相対的に移動するようになっている。これにより、3群タイプのレンズ構成でありながら実質的には2つのレンズ群を駆動する2群タイプのレンズ構成となっており、レンズ鏡筒の駆動機構を簡単な構成としている。
【0012】
また、沈胴時には、バネ部材に圧縮力を加えることにより、1群レンズと3群レンズとの間隔を縮めて、レンズ鏡筒をカメラ本体内にコンパクトに収納させるようにしている。ここで、沈胴時およびズーミング時における1群レンズから3群レンズの移動軌跡を図9に示す。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特許第2537398号に開示されているズームレンズ鏡筒では、上述したように機構上、光軸方向に駆動するレンズ群の数を減らすことができるとともに、沈胴時に複数のレンズ群を近接させて収納できるという利点がある。しかし、2つのレンズ群を近づけるためには、バネ部材のバネ力に抗してバネ部材を圧縮させるための圧縮力が必要になるため、この圧縮力に応じてレンズ群の駆動負荷が大きくなる。
【0014】
ここで、バネ部材には、レンズ鏡筒が沈胴状態から撮影状態に繰り出す際に1群レンズおよび3群レンズを所定の間隔に広げるために必要なバネ力(第1のバネ力)さえ備わっていれば十分である。
【0015】
しかし、第1のバネ力を備えたバネ部材を用いた場合には、撮影時の振動などによりレンズ間隔が変わってしまう恐れもあるため、バネ部材は第1のバネ力よりも大きなバネ力(第2のバネ力)を備えている必要がある。このようにバネ部材のバネ力を大きくすれば、この大きくした分だけバネ部材を圧縮させるための駆動力(圧縮力)が大きくなってしまう。
【0016】
また、1群レンズと3群レンズとの間にバネ部材を配置すると、バネ部材を圧縮させたとしてもバネ部材の存在により所定間隔以上はレンズ間隔を狭めることができない。このため、複数のレンズ群をコンパクトに収納させるには一定の限界がある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のカメラは、光軸方向に相対移動可能な第1のレンズ部材および第2のレンズ部材のうち一方のレンズ部材に設けられ、他方のレンズ部材側に延びる係合部と、他方のレンズ部材に設けられ、係合部と係脱可能な被係合部とを有し、撮影可能状態において、係合部が被係合部に係合することにより第1のレンズ部材および第2のレンズ部材を所定の間隔を保った状態で一体的に移動可能とし、非撮影状態において、係合部の被係合部との係合が外れることにより第1のレンズ部材および第2のレンズ部材の間隔が所定の間隔よりも狭い間隔になるように第1のレンズ部材および第2のレンズ部材の移動を許容することを特徴とする。
【0018】
すなわち、撮影可能状態においては係合部および被係合部を係合させて第1のレンズ部材および第2のレンズ部材を一体的に移動させ、非撮影状態においては係合部および被係合部の係合を外して第1のレンズ部材と第2のレンズ部材との間隔を狭めるようにすることで、従来技術におけるバネ部材を不要としている。
【0019】
このようにバネ部材を不要とすることにより部品点数を削減することができるとともに、2つのレンズ部材の間隔を狭める際にバネ部材を圧縮させる必要がなくなるためにレンズ部材の駆動負荷を低減することができる。しかも、2つのレンズ部材の間隔を、バネ部材を配置した場合に比べて更に狭めることができるため、例えば、非撮影状態においてレンズ部材をカメラ内に収納する、いわゆる沈胴式カメラに本発明を適用すればカメラの小型化を図ることができる。
【0020】
ここで、第1のレンズ部材を第2のレンズ部材に対して光軸周りに変位させるカム機構を設けて、このカム機構により第1のレンズ部材を光軸周りに変位させることで係合部および被係合部を係合させたり、この係合を外したりすることができる。
【0021】
また、係合部を弾性変形可能な部材で構成して、一方のレンズ部材の光軸方向の移動に応じて係合部を弾性変形させることにより、係合部を被係合部に係合させたり、この係合を外したりすることができる。ここで、一方のレンズ部材および他方のレンズ部材を光軸方向にガイドするガイド部材に突起部を設けて、この突起部に係合部を当接させるようにすることで係合部を弾性変形させることができる。
【0022】
このように係合部を弾性変形させる場合、光軸方向に移動可能な第3のレンズ部材を、一方のレンズ部材に対して光軸方向で隣り合うように配置し、係合部の被係合部との係合が外れた状態において、第3のレンズ部材を一方のレンズ部材に光軸方向一方向から付勢させることにより一方のレンズ部材および他方のレンズ部材の間隔を変化させることができる。
【0023】
一方、本発明では、係合部および被係合部を係合させて2つのレンズ部材を一体的に移動可能としており、2つのレンズ部材のうち1つのレンズ部材を駆動するだけで2つのレンズ部材を光軸方向に移動させることができるため、レンズ部材の駆動機構を簡素化してカメラを小型化することができる。ここで、レンズ部材の駆動機構には、光軸周りに回転可能であり、回転により1つのレンズ部材を光軸方向に移動させるカム部材を用いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図8を用いて本発明の第1実施形態であるカメラについて説明する。ここで、図1〜図7は本実施形態のカメラにおけるレンズ駆動機構の構成を概念的に示した図であり、円筒形状の直進筒やカム筒を平板として表したものである。なお、カム筒を平板状に形成して、レンズ駆動を行うこともできる。
【0025】
本実施形態のカメラにおけるレンズ鏡筒では、3群タイプのレンズ構成となっている。そして、ズーム駆動中は、一群レンズおよび三群レンズが所定の間隔をおいた状態で一体となって移動する構成となっている。また、沈胴時には一群レンズと三群レンズとのレンズ間隔が縮まる構成となっている。
【0026】
まず、図18に本実施形態のカメラの外観斜視図を示す。この図において、30はカメラ本体であり、このカメラ本体30の前面中央には、ズーミングが可能なレンズ鏡筒31が設けられている。
【0027】
また、カメラ本体30の前面における向かって右側には、ストロボ装置を構成する発光窓部材32が、向かって左側にはファインダ窓33および測光窓34がそれぞれ設けられている。さらに、カメラ本体30の上面には、カメラ本体30内の不図示のフィルム又はCCD等の撮像素子への露光(撮影)を開始させるレリーズボタン35が設けられている。
【0028】
上述したカメラの構成において、カメラ本体30の電源がオフ状態となっている場合、カメラは沈胴状態(非撮影状態)にあり、レンズ鏡筒31は図18に示すようにカメラ本体30内に収納されている。一方、カメラ本体30の電源がオン状態となる場合、レンズ鏡筒31はカメラ本体30から繰り出すようになっている。
【0029】
次に、図1を用いてレンズ鏡筒31の構成について説明する。カム筒1には、一群カム溝部1aと二群カム溝部1bとが形成されている。これらのカム溝部1a、1bは、ズーム領域▲1▼と沈胴領域▲2▼とを有している。なお、図1においてはカム筒1にカム溝部1a、1bが1本づつ形成されているが、これは構成概念図であり、本来はカム筒1の周方向にカム溝1a、1bが略120°間隔で3本づつ形成されている。
【0030】
直進筒2には、光軸方向に延びる直進溝部2aが形成されている。図1では1本の直進溝部2aとしているが、直進筒2の周方向において位相をずらして2本の直進溝部2aを形成することも可能である。ここで、図1では、レンズ鏡筒の構成を簡素化するために直進溝部2aを1本としている。
【0031】
一群レンズを保持する一群筒3の外周にはカムピン3aが形成されており、二群レンズを保持する二群筒4の外周にはカムピン4aが形成されている。このカムピン3aおよびカムピン4aはそれぞれ、直進溝部2aを貫通して、一群カム溝部1aや二群カム溝部1bに係合している。ここで、カムピン3a、4aは、直進溝部2aを貫通しているため、光軸方向にのみ移動可能となっている。
【0032】
上述した構成において、カム筒1が矢印▲3▼方向に移動すると、一群筒3のカムピン3aが一群カム溝部1aに案内されることにより一群筒3が光軸方向に進退する。また、二群筒4のカムピン4aが二群カム溝部1bに案内されることにより二群筒4が光軸方向に進退する。なお、実際のレンズ鏡筒の構成では、カム筒1が光軸周りに回転することになる。
【0033】
二群筒4の像面側には、三群レンズを保持する三群筒5が配置されている。三群筒5の外周には、被写体側に延びる支持腕部5aが形成されており、この支持腕部5aの先端にはL字状のフック部5bが形成されている。
【0034】
支持腕部5aは、二群筒4を飛び越えて、一群筒3の外周に形成された支持溝部3bに当接している。ここで、支持溝部3bの一部にはフック部5bが係合するための位置決め溝部3cが形成されている。
【0035】
なお、図1では、支持腕部5aおよび支持溝部3bを一組として図示しているが、実際のレンズ鏡筒の構成では3組となっている。すなわち、三群筒5の外周には3つの支持腕部5aが位相をずらした状態で形成されており、一群筒3の外周には3つの支持溝部3bが支持腕部5aと同位相となるように形成されている。
【0036】
一方、三群筒5の外周にはカムピン5cが形成されており、このカムピン5cは直進筒2に形成されたガイド溝部2bに係合している。ガイド溝部2bは変曲部2cを有しており、カムピン5cが変曲部2cに沿って移動することにより三群筒5が光軸周りに変位するようになっている。なお、ガイド溝部2bのうち変曲部2cを境とする前後の領域(第1領域▲5▼および第2領域▲6▼)における溝部は光軸方向に延びており、カムピン5cは光軸方向にのみ進退可能となっている。
【0037】
ここで、カムピン5cおよびガイド溝2bは、上述したカムピン3aおよび一群カム溝部1aや、カムピン4aおよび二群カム溝部1bなどのように3組ずつ必要な部品と異なり最低一組あればよい。つまり、3組ずつ必要な部分は、各レンズ群を光軸に対して傾かせることなく移動させるために必要な部品であるが、カムピン5cおよびガイド溝2bは後述するように、三群筒5を一群筒3に対して僅かに相対回転させるために必要なだけであるため、一組で十分である。なお、3組ずつ必要なカムピンおよびカム溝といった部品であっても、他の支持部材やガイド機構を別途用いることによってレンズ群の光軸に対する傾きを防止できれば、2組あるいは1組にしても構わない。
【0038】
上述した構成において、フック部5bが位置決め溝部3cに係合すると、一群筒3および三群筒5は一体となって光軸方向に進退可能となる。一方、フック部5bが位置決め溝部3cから外れると、一群筒3だけがカムピン3aおよび一群カム溝部1aの係合作用により光軸方向に進退するようになる。
【0039】
なお、本実施形態では、一群筒3に支持溝部3bが形成され、三群筒5に支持腕部5aが形成されているが、一群筒3に支持腕部を形成し、三群筒5に支持溝部を形成してもよい。
【0040】
以下、本実施形態におけるレンズ鏡筒の動作について、図1から図6を用いて詳細に説明する。ここで、図1はレンズ鏡筒が沈胴状態にあるときの図を示し、図2および図3はレンズ鏡筒が沈胴状態からズーム領域に移行する際の中間移動状態を示す図である。また、図4、5、6はそれぞれ、レンズ鏡筒がワイド状態、ミドル状態、テレ状態(撮影可能状態)にあるときの図を示している。
【0041】
図1に示す沈胴状態において、一群筒3および三郡筒5は間隔A1だけ離れた状態となっている。そして、沈胴状態からカム筒1が矢印▲3▼方向に移動すると、一群筒3はカムピン3aおよび一群カム溝部1aのカム係合作用により光軸方向に繰り出し、二群筒4はカムピン4aおよび二群カム溝部1bのカム係合作用により光軸方向に繰り出す。ここで、三群筒5は、フック部5bと支持溝部3bとの間の摩擦力により、一群筒3とともに繰り出し、カムピン5cはガイド溝部2bの変曲部2cに当接する。このとき、カムピン5cはガイド溝部2bのうち第1領域▲5▼を移動する。これにより、レンズ鏡筒は図2に示す状態になる。
【0042】
そして、カム筒1が図2に示す状態から更に矢印▲3▼方向に移動すると、三群筒5はカムピン5cおよびガイド溝部2bの変曲部2cとの当接作用により図2に示す位置にとどまり、一群筒3だけが光軸方向に繰り出す。同時に、二群筒4も光軸方向に繰り出す。
【0043】
これにより、一群筒3と三群筒5との間隔が、間隔A1よりも広がる。ここで、
位置決め溝部3cの像面側の面はストッパ面3dとなっており、フック部5bがストッパ面3dに当接することにより、一群筒3および三群筒5が所定間隔以上離れない構造になっている。このため、一群筒3と三群筒5との間隔は、図3に示すように間隔A2となる。
【0044】
三群筒5が一群筒3とともに更に光軸方向に繰り出すと、三群筒5のカムピン5cが矢印▲4▼方向に所定量変位する。これにより、三群筒5も光軸周りに所定量回転し、フック部5bが位置決め溝部3cにはまり込む(図4)。これにより、レンズ鏡筒は図4に示すワイド状態となる。
【0045】
図4に示すワイド状態において、カム筒1が矢印▲3▼方向に移動すると、一群筒3はカムピン3aおよび一群カム溝部1aのカム係合作用により光軸方向に繰り出し、二群筒4はカムピン4aおよび二群カム溝部1bのカム係合作用により光軸方向に繰り出す。ここで、一群筒3および三群筒5は、フック部5bおよび位置決め溝部3cとの係合作用により、間隔A2を維持しながら一体となって光軸方向に繰り出す。このとき、三群筒5のカムピン5cは、ガイド溝部2bのうち第2領域▲6▼の溝部に沿って光軸方向に移動する。
【0046】
そして、カム筒1の移動量(回転量)に応じて、レンズ鏡筒は図5に示すミドル状態になったり、図6に示すテレ状態になったりする。ここで、一群筒3がズーム領域にあるとき、三群筒5のカムピン5cはガイド溝部2bのうち第2領域▲6▼の溝部を移動、すなわち光軸方向にのみ移動するため、フック部5bおよび位置決め溝部3cの係合状態が外れることがない。このため、レンズ鏡筒がズーム領域にあるときには、一群筒3および三群筒5は間隔A2を維持したままとなる。
【0047】
以上の説明が、レンズ鏡筒が沈胴状態からテレ状態に移行する際の動きである。
【0048】
一方、レンズ鏡筒が沈胴状態まで繰り込む際の動作については、上述した繰り出し動作に対してほぼ逆の動作となる。
【0049】
すなわち、レンズ鏡筒がテレ状態からワイド状態に繰り込む際には、図6に示すテレ状態においてカム筒1が矢印▲3▼と逆の方向に移動することにより、一群筒3および二群筒4の繰り込み動作が開始される。
【0050】
このとき、位置決め溝部3cのうちストッパ面3dと対向する面が、フック部5bを押し込むことにより、三群筒5も一群筒3と一体となって繰り込む。ここで、一群筒3および三群筒5は、間隔A2を維持したままである。
【0051】
そして、レンズ鏡筒がワイド状態から更に繰り込むとき、カムピン5cがガイド溝部2bの変曲部2cに沿って移動することにより、三群筒5が光軸周りに回転してフック部5bが位置決め溝部3cから外れる。
【0052】
フック部5bが位置決め溝部3cから外れると、一群筒3および三群筒5は、フック部5bと支持溝部3bとの摩擦力により一体となって繰り込む。そして、カムピン5cがガイド溝部2bのうち第1領域▲5▼を移動してガイド溝部2bの像面側の端面に当接すると、一群筒3だけが繰り込む。これにより、一群筒3と三群筒5との間隔は、間隔A2から間隔A1に狭まる。
【0053】
そして、最終的にはレンズ鏡筒が図1に示す沈胴状態に戻る。
【0054】
上述したレンズ鏡筒の繰り出し繰り込み動作におけるタイミングチャートを図8に示す。ここで、二群筒4の動きは本発明の特徴部分と関係ないため、図8では破線で示す。
【0055】
一群筒3は、一群カム溝部1aのカム軌跡に沿って繰り出したり繰り込んだりすることにより、沈胴位置とテレ位置との間を移動する。ここで、一群筒3の移動軌跡は繰り出し動作および繰り込み動作とも同じである。
【0056】
一方、三群筒5は沈胴状態とワイド状態との間(非撮影状態)において、繰り出し時の移動軌跡と繰り込み時の移動軌跡が異なる。すなわち、沈胴状態から繰り出す場合、三群筒5は上述したようにカムピン5cがガイド溝部2bの変曲部2cに当接するまで一群筒3とともに光軸方向に移動し、その後、一群筒3だけが繰り出すことにより一群筒3と三群筒5との間隔が間隔A2になるまで広がる。
【0057】
そして、フック部5bがストッパ面3dに当接することにより、三群筒5は撮影領域において一群筒3とともに移動する。ここで、三群筒5の非撮影領域における移動軌跡を図8中の矢印Xで示す。
【0058】
また、レンズ鏡筒がワイド状態から沈胴状態に繰り込む場合、カムピン5cがガイド溝部2bの変曲部2cに沿って移動することにより、フック部5bが位置決め溝部3cから外れ、上述したようにカムピン5cがガイド溝部2bの像面側の端面に当接するまで一群筒3および三群筒5が一体となって繰り込む。
【0059】
そして、カムピン5cがガイド溝部2bの像面側の端面に当接することにより、一群筒3だけが繰り込む。このときの三群筒5の移動軌跡を図8中の矢印Yで示す。
【0060】
このように、非撮影領域における三群筒5の移動軌跡は、繰り出し時および繰り込み時において互いに異なり、ヒステリシスな移動軌跡をとる。なお、撮影領域では、三群筒5は一群筒3と同じ移動軌跡をとる。
【0061】
ここで、非撮影領域における三群筒5の移動軌跡は、図8中の実線に示した軌跡だけを辿るものではない。つまり、上述したレンズ鏡筒の動作において、三群筒5は、フック部5bと支持溝部3bとの摩擦力により一群筒3とともに移動するようになっているが、この摩擦力の大きさによっては一群筒3および三群筒5が一体的に繰り出したり繰り込んだりするとは限らない。
【0062】
例えば、ガイド溝部2bにおける第2領域▲5▼でカムピン5cとの摩擦力が大きければ、一群筒3および三群筒5の間隔は間隔A1よりも広がる場合がある。
【0063】
また、フック部5bと支持溝部3bとの摩擦力がほとんどない場合において、レンズ鏡筒が沈胴状態(図1)からワイド状態に繰り出すときには、一群筒3はフック部5bがストッパ面3dに当接するまで繰り出し、その後、三群筒5が一群筒3とともに繰り出すようになる。このときの三群筒5の移動軌跡は矢印Yに示す移動軌跡と逆になる。
【0064】
一方、レンズ鏡筒がワイド状態から沈胴状態に繰り込むときには、まずフック部5bが位置決め溝部3cから外れると、一群筒3だけが繰り込んでフック部5bが支持溝部3bに当接することにより一群筒3および三群筒5が繰り込むようになる。このときの三群筒5の移動軌跡は矢印Xに示す移動軌跡と逆になる。
【0065】
このため、三群筒5は図8中の斜線部に示すヒステリシス範囲▲7▼内を辿って繰り出したり繰り込んだりする場合もある。
【0066】
なお、本実施形態では、三群筒5を光軸周りに変位させているが、この変位は非撮影領域内において行われるため、三群筒5の変位が撮影時の光学性能に影響を与えることはない。
【0067】
上述したように本実施形態のカメラでは、一群筒3および三群筒5を相対回転させてフック部5bと位置決め溝部3cとを係合させることにより、撮影領域において一群筒3および三群筒5を所定の間隔A2で一体的に移動させている。
【0068】
また、一群筒3と三群筒5とを相対回転させてフック部5bと位置決め溝部3cとの係合を外すことにより、一群筒3の移動だけを許容して一群筒3および三群筒5の間隔を間隔A2と間隔A1との範囲内で広げたり狭めたりしている。
【0069】
これにより、従来技術のように一群筒と三群筒との間に両者の間隔を一定に保持するためのバネ部材を配置する必要がなくなる。
【0070】
したがって、従来技術のように2つのレンズ群の間隔を狭める際にバネ部材を圧縮させる必要がなくなり、レンズ鏡筒の駆動負荷を低減することができる。しかも、バネ部材を不要とすることで、部品点数を減らすことができるとともに、沈胴状態における2つのレンズ群の間隔をバネ部材を配置した場合に比べて、より狭めることができるため、カメラを小型化することができる。
【0071】
また、撮影領域においては一群筒3および三群筒5が一体となって移動するので、本実施形態のように三群レンズで構成されるレンズ鏡筒であっても、レンズ群を光軸方向に進退させるためのカム溝部は2つあればよく、カム筒に形成するカム溝部の数を少なくすることができる。これにより、レンズ鏡筒の駆動機構を簡素化することができ、多くのカム溝を設けることでカム溝部同士が干渉するといった問題点を解消することができる。
【0072】
さらに、一群筒3の一部に支持溝部3bを形成するとともに、三群筒5の一部に三群筒5の肉厚を利用した光軸方向に延びる支持腕部5aを形成しているため、係合機構(支持腕部5aおよび支持溝部3b)を設けるために一群筒3や三群筒5の径を大きくさせる必要はなく、レンズ鏡筒が大型化することもない。
【0073】
なお、本実施形態では、上述したように三群筒5が繰り出し時と繰り込み時とでヒステリシスな移動軌跡を辿っているが、一群筒3も一義的とは言っても、繰り出し時と繰り込み時とで移動軌跡が異なっていると見なすこともできる。
【0074】
すなわち、一群筒3が繰り出すときには一群カム溝部1aのうち像面側の側面に沿って移動し、繰り込むときには一群カム溝部1aのうち被写体側の側面に沿って移動することになるため、一群筒3の移動軌跡もヒステリシスな移動軌跡とみなすことができる。
【0075】
しかし、このヒステリシスな移動軌跡は、カムピンおよびカム溝部の構造上のガタにより生じるものであり、本実施形態のようにレンズ群の間隔を積極的に変化させる際に生じるものではない。また、仮にカム溝部とカムピンとのガタがレンズ群の間隔を変化させるくらいに大きい場合には、通常はバネ等を用いて一方向に片寄せさせることになる。
【0076】
(第2実施形態)
図10から図17を用いて本発明の第2実施形態であるカメラについて説明する。本実施形態のカメラにおけるレンズ鏡筒は4群タイプのレンズ構成であり、撮影領域では2つのレンズ群を係合状態で一体的に移動させ、非撮影領域では弾性変形により非係合状態として1つのレンズ群の移動だけを許容することによりレンズ間隔を変化させている。
【0077】
本実施形態におけるレンズ群の動きとしては、ズーム駆動中は一群レンズおよび三群レンズが一体的に繰り出したり繰り込んだりするとともに、二群レンズおよび四群レンズが一体的に繰り出したり繰り込んだりする。また、沈胴時には一群レンズと三群レンズとの間隔、二群レンズと四群レンズとの間隔が縮まってそれぞれのレンズがカメラ本体内に収納されるようになっている。なお、本実施形態のカメラの構成は第1実施形態で説明した構成(図18)と同様である。
【0078】
図10から図12を用いて、本実施形態におけるレンズ鏡筒の構成について説明する。なお、後述するようにレンズ群を保持する筒部材(1群筒等)の外周には120°の間隔をおいて3つの部材(カムピン等)が配置されているが、この部材は第1実施形態で説明したように構成によっては2つ又は1つとしてもよい。
【0079】
一群レンズを保持する一群筒20の後端部には径方向内側に延びる直進キー20aが形成されており、この直進キー20aは直進筒21の外周に形成された光軸方向に延びるキー溝21aと係合する。これにより、一群筒20は光軸方向にのみ移動可能となる。
【0080】
また、一群筒20の外周には120°の間隔をおいて3つのカムピン20bが形成されており、このカムピン20bはカム筒22の内周面に形成されたカム溝部22aに係合している。
【0081】
4群レンズを保持する四群筒23の外周面には120°の間隔をおいて3つのカムピン23aが形成されており、このカムピン23aは直進筒21に形成された光軸方向に延びる直進溝部21bを貫通して、カム筒22の内周面に形成されたカム溝部22bに係合している。ここで、カムピン23aが直進溝部21bを貫通することで、四群筒23は光軸方向にのみ移動可能となっている。
【0082】
カム筒22はギヤを介してモータ26に連結しており、モータ26の駆動力を受けることにより光軸周りに回転可能となっている。カム筒22が光軸周りに回転すると、カムピン20bがカム溝部22aに案内されることにより一群筒20が光軸方向に進退し、カムピン23aがカム溝部22bに案内されることにより四群筒23が光軸方向に進退する。
【0083】
一群筒20の内周面には第1凹部20cおよび第2凹部20dが形成されており、これらの凹部20c、20dには、三群レンズを保持する三群筒24に形成された弾性腕部24aの先端が当接又は係合するようになっている。この弾性腕部24aは、三群筒24の外周に120°の間隔をおいて3つ設けられており、弾性変形することができるようになっている。
【0084】
第1凹部20cのうち像面側(図12中右側)の面は傾斜しており、弾性腕部24aが一群筒20に対して像面側に移動する際には、弾性腕部24aが弾性変形して第1凹部20cの傾斜面に沿って移動することができるようになっている。一方、第1凹部20cのうち被写体側(図12中左側)の面は傾斜していないため、弾性腕部24aが一群筒20に対して被写体側に移動しようとしても、弾性腕部24aが第1凹部20cの側面に突き当たることによりこれ以上移動できないようになっている。
【0085】
また、弾性腕部24aが弾性変形して第1凹部20cの傾斜面に沿って移動すると、弾性腕部24aは第2凹部20dに係合するようになっている。ここで、第2凹部20dの側面は傾斜していないため、弾性腕部24aが第2凹部20dに係合すると、この第2凹部20dから外れることはなく、一群筒20および三群筒24は一体的に移動可能となる。
【0086】
上述した構成により一群筒20と三群筒24との間隔を広げることはできるが、一旦間隔を広げた後は狭めることができないようになっている。
【0087】
一方、弾性腕部24aには突起部24bが形成されており、この突起部24bは、三群筒24が光軸方向に移動する際に直進筒21の内周面に形成された突起部21cに当接するようになっている。ここで、三群筒24が直進筒21に対して光軸方向に移動する場合、弾性腕部24aが弾性変形することにより突起部24bは突起部21cの外面に沿って移動する。
【0088】
このとき、弾性腕部24aの先端はレンズ鏡筒の径方向内側に変位するため、弾性腕部24aの先端が第2凹部20dに係合していても、この第2凹部20dから外れることができるようになっている。これにより、一群筒20と三群筒20との間隔は、弾性腕部24aの先端が第1凹部20cの底面に当接するまで狭めることが可能になる。なお、弾性腕部24aの先端を第2凹部20dから外す具体的なタイミングについては後述する。
【0089】
二群レンズを保持する二群筒25の外周には、120°の間隔をおいて3つの弾性変形可能な弾性腕部25aが形成されており、この弾性腕部25aは四群筒23に形成された第1凹部23bおよび第2凹部23cに当接又は係合するようになっている。
【0090】
第1凹部23bのうち被写体側の面は傾斜しており、弾性腕部25aが四群筒23に対して被写体側に移動する際には、弾性腕部25aが弾性変形して第1凹部23bの傾斜面に沿って移動することができるようになっている。一方、第1凹部23bのうち像面側の面は傾斜していないため、弾性腕部25aが四群筒23に対して像面側に移動しようとしても、弾性腕部25aの先端が第1凹部23bの底面に当接することによりこれ以上移動できないようになっている。
【0091】
また、弾性腕部25aが弾性変形して第1凹部23bの斜面に沿って移動すると、弾性腕部25aの先端は第2凹部23cに係合するようになっている。ここで、第2凹部23cの側面は傾斜していないため、弾性腕部25aの先端が第2凹部23cから外れることはなく、二群筒25および四群筒23は一体的に移動可能となる。
【0092】
上述した構成により二群筒25と四群筒23との間隔を広げることはできるが、一旦間隔を広げた後は狭めることができないようになっている。
【0093】
一方、弾性腕部25aの先端には突起部25bが形成されており、この突起部25bは、第1凹部23bおよび第2凹部23cの中央に形成された光軸方向に延びる直進溝部23dを貫通して、直進筒21の内周面に形成された突起部21dに当接するようになっている。ここで、二群筒25が直進筒21に対して光軸方向に移動する場合、弾性腕部25aが弾性変形することにより突起部25bが突起部21dの外面に沿って移動する。
【0094】
このとき、弾性腕部25aの先端はレンズ鏡筒の径方向内側に変位するため、弾性腕部25aの先端(突起部25bの基端部)が第2凹部23cに係合していても、この第2凹部23cから外れるようになっている。これにより、二群筒25と四群筒23との間隔は、弾性腕部25aの先端が第1凹部23bの底面に当接するまで狭めることが可能になる。なお、弾性腕部25aの先端を第2凹部23cから外す具体的なタイミングについては後述する。
【0095】
上述した構成において、本実施形態におけるレンズ鏡筒の動作について図12から図17を用いて説明する。ここで、図12はレンズ鏡筒が沈胴状態にあるときの断面図であり、図13および図14は、レンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に繰り出す際の中間移動状態にあるときの断面図である。図15および図16はそれぞれ、レンズ鏡筒がワイド状態およびテレ状態にあるときの断面図である。図17は、レンズ鏡筒がワイド状態から沈胴状態に繰り込む際の中間移動状態にあるときの断面図である。
【0096】
まず、レンズ鏡筒が沈胴状態からテレ状態に繰り出す際の動作について説明する。
【0097】
図12に示す沈胴状態において、一群筒20および三群筒24は間隔C1の距離関係にあり、二群筒25および四群筒23は間隔D1の距離関係にある。この沈胴状態において、カム筒22がモータ26からの駆動力を受けて光軸周りに回転すると、一群鏡筒20がカムピン20bおよびカム溝部22aのカム係合作用により光軸方向に繰り出すとともに、四群筒23がカムピン23aおよびカム溝部22bのカム係合作用により光軸方向に繰り出す。
【0098】
ここで、一群筒20が光軸方向に繰り出すとき、一群筒20の第1凹部20cと弾性腕部24aの先端との摩擦力により三群筒24も一体となって光軸方向に繰り出す。また、四群筒23が光軸方向に繰り出すとき、四群筒23の第1凹部23bと弾性腕部25aの先端との摩擦力により二群筒25も一体となって光軸方向に繰り出す。
【0099】
一群筒20および三群筒24が光軸方向に繰り出すと、弾性腕部24aの突起部24bが直進筒21における突起部21cの斜面に当接し、一群筒20が更に光軸方向に繰り出すことにより、弾性腕部24aの先端が第1凹部20cの斜面に沿って移動する。これにより、弾性腕部24aは弾性変形し、弾性腕部24aの先端がレンズ鏡筒の径方向内側に変位する。このとき、弾性腕部24aの先端は、第1凹部20cにおける斜面の一端まで移動する。
【0100】
一方、二群筒25および四群筒23が光軸方向に繰り出すと、突起部25bが直進筒21における突起部21dの斜面に当接する。
【0101】
ここで、本実施形態では、一群筒20および三群筒24の繰り出し量が、四群筒23および二群筒25の繰り出し量よりも多くなるように設定しているため、一群筒20および四群筒23が光軸方向に繰り出し始めると、レンズ鏡筒は図13に示す状態となり、二群筒25と三群筒24とが当接して互いに押し合うようになる。
【0102】
レンズ鏡筒が図13に示す状態にあるとき、一群筒20および三群筒24は間隔C1よりも広い間隔C2の距離関係にあり、二群筒25および四群筒23は間隔D1よりも広い間隔D2の距離関係にある。なお、図13では、一群筒20および三群筒24の間隔変化と、二群筒25および四群筒23の間隔変化が同時に起きた場合を示しているが、どちらか一方の間隔変化が先に起こることもある。
【0103】
そして、一群筒20が更に繰り出すと、二群筒25および三群筒24の押し合い作用により、第1凹部20cにおける斜面の一端に位置する弾性腕部24aの先端が第2凹部20dに係合する(図14)。また、二群筒25および三群筒24の押し合い作用により、二群筒25における弾性腕部25aの先端は、四群筒23における第1凹部23bの斜面に沿って移動して、この斜面の一端まで移動した後に第2凹部23cに係合する(図14)。
【0104】
弾性腕部25aの先端が第2凹部20dに係合することにより、一群筒20および二群筒25は一体的に移動可能となる。また、弾性腕部24aの先端が第2凹部23cに係合することにより、三群筒24および四群筒23は一体的に移動可能となる。
【0105】
なお、弾性腕部24aの第2凹部20dへの移動が、弾性腕部25aの第2凹部23cへの移動よりも先、同時又は後に行われた場合であっても、二群筒25および三群筒24の押し合い作用により、弾性腕部24aの先端は第2凹部20dへ移動し、弾性腕部25aの先端は第2凹部23cへ移動することになる。
【0106】
レンズ鏡筒が図14に示す状態にあるとき、一群筒20および三群筒24は最も広い間隔Eの距離関係にあり、二群筒25および四群筒23は最も広い間隔Fの距離関係にある。
【0107】
なお、図14に示す状態では、二群筒25および三群筒24が互いに押し合っている状態にあるため、実際に撮影を行う場合におけるワイド状態では図15に示すように二群筒25と三群筒24との間を所定距離だけ空けた状態とする。すなわち、一群筒20および三群筒24を図14に示す状態に維持し、二群筒25および四群筒23を図14に示す状態から光軸方向に所定量繰り出すようにする。
【0108】
ここで、レンズ鏡筒がワイド状態にある場合(図15)において、一群筒20および三群筒24は間隔Eの距離関係にあり、二群筒25および四群筒23は間隔Fの距離関係にある。
【0109】
また、レンズ鏡筒がワイド状態(図15)からテレ状態(図16)に繰り出す場合、カムピン20bおよびカム溝部22aのカム係合作用により一群筒20および三群筒24が光軸方向に繰り出すとともに、カムピン23aおよびカム溝部22bのカム係合作用により二群筒25および四群筒23が光軸方向に繰り出す。なお、レンズ鏡筒がテレ状態にあるときも、一群筒20および三群筒24は間隔Eの距離関係にあり、二群筒25および四群筒23は間隔Fの距離関係にある。
【0110】
次に、レンズ鏡筒がテレ状態から沈胴状態に繰り込む際の動作について説明する。
【0111】
レンズ鏡筒がテレ状態からワイド状態に繰り込む際の動作は、上述したレンズ鏡筒がワイド状態からテレ状態に繰り出す際の動作と逆の動作となる。なお、レンズ鏡筒が繰り込む場合、カム筒22はモータ26からの駆動力を受けることにより、繰り出し時の回転方向とは反対の方向に回転する。
【0112】
レンズ鏡筒がワイド状態(図15)から沈胴状態に繰り込む場合、一群筒20および三群筒24が間隔Eの距離関係を保ったまま繰り込むとともに、二群筒25および四群筒23が間隔Fの距離関係を保ったまま繰り込み、図14に示す状態となる。
【0113】
図14に示す状態から一群筒20および三群筒24が光軸方向に繰り込むと、弾性腕部24aにおける突起部24bが直進筒21の突起部21cの斜面に当接して、この斜面に沿って移動する。これにより、弾性腕部24aは弾性変形して、この先端がレンズ鏡筒の径方向内側に変位する(図17)。
【0114】
そして、突起部24bが突起部21cの頂上に達すると、弾性腕部24aの先端が第2凹部20dから外れて、第1凹部20cと第2凹部20dとの間における一群筒20の内周面を付勢するようになる。ここで、弾性腕部24aの先端は、一群筒20の内周面を付勢しているため、三群筒24は一群筒20とともに繰り込み、突起部24bは突起部21cの頂上をスライド移動する。
【0115】
また、図14に示す状態から二群筒25および四群筒23が光軸方向に繰り込むと、突起部25bが直進筒21の突起部21dの斜面に当接して、この斜面に沿って移動する。そして、突起部25bは、突起部21dの頂上まで移動する。これにより、弾性腕部25aの先端側はレンズ鏡筒の径方向内側に弾性変形し、弾性腕部25aの先端は第2凹部23cから外れるようになる(図17)。
【0116】
なお、第2凹部23cのうち被写体側の側面は、像面側の側面よりも高くなっているため、弾性腕部25aの先端は、弾性変形しても第2凹部23cの被写体側の側面に当接するようになっている。このため、二群筒25は四群筒23とともに繰り込み、突起部25bは突起部21dの頂上をスライド移動する。
【0117】
ここで、本実施形態では、一群筒20の繰り込み量が四群筒23の繰り込み量よりも大きく設定されているため、レンズ鏡筒が繰り込むことにより一群筒20が二群筒25に当接して二群筒25を像面側に押し込む。また、一群筒20とともに繰り込む三群筒24が四群筒23に当接して、この四群筒23により三群筒24の繰り込み動作が阻止される。
【0118】
そして、一群筒20が二群筒25を像面側に押し込むことにより、レンズ鏡筒の径方向内側に弾性変形している弾性腕部25aの先端が第1凹部23bの底面に当接する。このとき、突起部25bは突起部21dを乗り越えている。上述した動作により、二群筒25と四群筒23との間隔が縮まり、レンズ鏡筒は図12に示す沈胴状態となる。
【0119】
また、四群筒23が三群筒24の繰り込みを阻止することで一群筒20だけが光軸方向に繰り込み、これにより弾性腕部24aの先端が第1凹部20cの底面に当接する。このとき、突起部24bは突起部21cを乗り越えている。上述した動作により、一群筒20と三群筒24との間隔が縮まり、レンズ鏡筒は図12に示す沈胴状態となる。
【0120】
本実施形態におけるレンズ鏡筒は、沈胴状態からワイド状態に繰り出す際の動作と、ワイド状態から沈胴状態に繰り込む際の動作とにおけるレンズ群(二群筒25および三群筒24)の移動軌跡が異なっており、第1実施形態と同様にヒステリシスな移動軌跡をとるようになっている。
【0121】
以上説明したように本実施形態では、撮影領域において、弾性腕部24a(25a)を第2凹部20d(23c)に係合させることにより一群筒20および三群筒24(二群筒25および四群筒23)を所定の間隔を保った状態で一体的に光軸方向に移動させるとともに、非撮影領域において、弾性腕部24aを突起部21dとの当接により弾性変形させて第2凹部20dから外すことにより一群筒20および三群筒24の間隔を狭めているため、従来技術のようにレンズ群の間隔を変化させるためのバネ部材を用いる必要がない。
【0122】
このため、従来技術のように非撮影領域においてバネ部材を圧縮させる必要はなく、レンズ鏡筒の駆動負荷を低減することができる。しかも、バネ部材を不要とすることで、部品点数の削減を図ることができるとともに、2つのレンズ群の間にバネ部材を配置した場合に比べてレンズ群の間隔をより狭めることができる。そして、沈胴状態におけるレンズ群の間隔をより狭めることで、カメラの小型化を図ることもできる。
【0123】
また、撮影領域において、一群筒20および三群筒24(二群筒25および四群筒23)を一体的に移動させることで、カム筒22に形成するカム溝部は、2つのレンズ群に対して1つで済むため、レンズ鏡筒の駆動機構を簡素化することができ、多くのカム溝部を設けることでカム溝部同士が干渉するといった問題点を解消することができる。
【0124】
(他の実施形態)
第1実施形態では、一群筒3、二群筒4および三群筒5から成る3群タイプのレンズ構成であったが、二群筒4がなくても、一群筒3および三群筒5は、非撮影領域において間隔が狭まり、撮影領域において間隔を広げた状態で一体的に移動することができる。従って、複数枚のレンズで構成される単体レンズで、レンズ間隔が大きなタイプのものである場合、第1実施形態を適用することによりレンズ間隔を縮めてコンパクトに収納させることができる。この場合、図1中の▲1▼に示す領域は、「ズーム」ではなく「合焦」のためにレンズを移動させる領域となる。
【0125】
また、第1実施形態および第2実施形態におけるレンズ鏡筒の構成は、カム筒および直進筒を1つずつ備えた簡単な構成となっているが、カム筒および直進筒を複数組み合わせた、いわゆる差動型のレンズ駆動機構にも本発明を適用することもできる。
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、撮影可能状態においては係合部および被係合部を係合させて第1のレンズ部材および第2のレンズ部材を一体的に移動させ、非撮影状態においては係合部および被係合部の係合を外して第1のレンズ部材と第2のレンズ部材との間隔を狭めるようにすることで、従来技術におけるバネ部材を不要としている。
【0127】
このようにバネ部材を不要とすることにより部品点数を削減することができるとともに、2つのレンズ部材の間隔を狭める際にバネ部材を圧縮させる必要がなくなるためにレンズ部材の駆動負荷を低減することができる。しかも、2つのレンズ部材の間隔を、バネ部材を配置した場合に比べて更に狭めることができるため、例えば、非撮影状態においてレンズ部材をカメラ内に収納する、いわゆる沈胴式カメラに本発明を適用すればカメラの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態にあるときの外観斜視図。
【図2】第1実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に繰り出す途中にあるときの外観斜視図。
【図3】第1実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に繰り出す途中にあるときの外観斜視図。
【図4】第1実施形態においてレンズ鏡筒がワイド状態にあるときの外観斜視図。
【図5】第1実施形態においてレンズ鏡筒がミドル状態にあるときの外観斜視図。
【図6】第1実施形態においてレンズ鏡筒がテレ状態にあるときの外観斜視図。
【図7】第1実施形態においてレンズ鏡筒がワイド状態から沈胴状態に繰り込む途中にあるときの外観斜視図。
【図8】第1実施形態においてレンズ鏡筒の繰り出し繰り込み動作におけるタイミングチャート。
【図9】従来技術においてレンズ鏡筒の繰り出し繰り込み動作におけるタイミングチャート。
【図10】第2実施形態におけるレンズ鏡筒の外観斜視図。
【図11】第2実施形態におけるレンズ鏡筒の外観斜視図。
【図12】第2実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態にあるときの断面図。
【図13】第2実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に繰り出す途中にあるときの断面図。
【図14】第2実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に繰り出す途中にあるときの断面図。
【図15】第2実施形態においてレンズ鏡筒がワイド状態にあるときの断面図。
【図16】第2実施形態においてレンズ鏡筒がテレ状態にあるときの断面図。
【図17】第2実施形態においてレンズ鏡筒がワイド状態から沈胴状態に繰り込む途中にあるときの断面図。
【図18】カメラの外観斜視図。
【符号の説明】
1:カム筒 1a:一群カム溝部 1b:二群カム溝部
2:直進筒 2a:直進溝部 2b:ガイド溝部
2c:変曲部 3:一群筒 3a:カムピン
3b:支持溝部 3c:位置決め溝部 3d:ストッパ面
4:二群筒 4a:カムピン 5:三群筒 5a:支持腕部
5b:フック部 5c:カムピン 20:一群筒
20a:直進キー 20b:カムピン 20c:第1凹部
20d:第2凹部 21:直進筒 21a:キー溝部
21b:直進溝部 21c:突起部 21d:突起部
22:カム筒 23:四群筒 23a:カムピン
23b:第1凹部 23c:第2凹部 24:三群筒
24a:弾性腕部 24b:突起部 25:二群筒
25a:弾性腕部 25b:突起部 26:モータ
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラにおけるレンズの駆動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数のレンズ群それぞれを光軸方向に移動させて、レンズ群間の距離を変えることによりズーミングやフォーカシングを行うレンズ鏡筒においては、レンズ群を光軸方向にのみ移動させるための直進筒と、レンズ群の光軸方向移動量を決定するためのカム筒とで構成されているものが一般的である。
【0003】
このようなレンズ鏡筒では、光軸方向に移動する一つのレンズ群に対して、この周方向3カ所に凸状のカムピンを設けるとともに、これらのカムピンそれぞれと係合するカム溝部をカム筒に形成しているものがほとんどである。そして、カム筒を光軸周りに回転させることにより、カムピンをカム溝に沿って移動させてレンズ群を光軸方向に移動させている。
【0004】
上述したレンズ鏡筒の構成では、光軸方向に移動させるレンズ群の数を増やすと、レンズ群の数が増えた分だけこれに対応するカム溝部をカム筒に形成しなければならない。ここで、レンズ群の数が増える要因としては、撮影光学系の高倍率化や長焦点距離化が考えられ、この高倍率化や長焦点距離化は近年のコンパクトカメラでは非常にニーズが高くなってきている。
【0005】
上述したようにカム筒に形成されるカム溝部の本数が増えると、カム溝部同士の干渉などによりレンズ群を所定の軌跡に従って移動させることができないことがある。また、カム溝部同士の干渉を避けようとすると、レンズ群の駆動機構が複雑になり、駆動機構が大型化してしまう。
【0006】
このような問題を解消する手段として、カム溝部の代わりにヘリコイドネジを用いてレンズ群を駆動する機構もあるが、このヘリコイドネジを用いた駆動機構ではレンズ群の光軸方向移動量が一定であるため、レンズ群の光軸方向移動量を変化させる必要がある場合には適していない。
【0007】
また、1つのレンズ群に対して形成されるカム溝部を3本から2本等に減らすことによりカム溝部同士の干渉を避ける方法も考えられているが、この場合にはレンズ群が光軸に対して傾いてしまう恐れもある。
【0008】
そこで、上述した問題点を解消すべく、光軸方向に移動する2つのレンズ群の移動軌跡を同じにすることによって、2つのレンズ群を機構上、1つのレンズ群として取り扱い、カム筒に形成されるカム溝部の数を少なくしたものがある。このような機構は、例えば特開平11−194258号公報に提案されている。
【0009】
しかし、上述した特開平11−194258号公報で提案されている駆動機構等のように2つのレンズ群を所定の間隔で一体的に移動させる機構の場合、この機構を、各レンズ群の間隔を最も縮めてレンズ鏡筒をカメラ本体内に収納させる、いわゆる沈胴式のカメラに適用しようとすると、一体的に移動する2つのレンズ群の間隔を狭めることができず、レンズ鏡筒をカメラ本体内にコンパクトに収納することができない。
【0010】
そこで、この問題を解決するものとして、特許第2537398号に開示されているズームレンズ鏡筒がある。このレンズ鏡筒は、3群タイプのレンズで構成されており、1群レンズと3群レンズとの間にバネ部材が配置されている。
【0011】
このレンズ鏡筒において、ズーミングを行う場合、バネ部材が1群レンズと3群レンズとを引き離す方向に作用して、一群レンズおよび3群レンズが所定の間隔で一体的に移動するようになっている。また、1群レンズと3群レンズとの間では、2群レンズが相対的に移動するようになっている。これにより、3群タイプのレンズ構成でありながら実質的には2つのレンズ群を駆動する2群タイプのレンズ構成となっており、レンズ鏡筒の駆動機構を簡単な構成としている。
【0012】
また、沈胴時には、バネ部材に圧縮力を加えることにより、1群レンズと3群レンズとの間隔を縮めて、レンズ鏡筒をカメラ本体内にコンパクトに収納させるようにしている。ここで、沈胴時およびズーミング時における1群レンズから3群レンズの移動軌跡を図9に示す。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特許第2537398号に開示されているズームレンズ鏡筒では、上述したように機構上、光軸方向に駆動するレンズ群の数を減らすことができるとともに、沈胴時に複数のレンズ群を近接させて収納できるという利点がある。しかし、2つのレンズ群を近づけるためには、バネ部材のバネ力に抗してバネ部材を圧縮させるための圧縮力が必要になるため、この圧縮力に応じてレンズ群の駆動負荷が大きくなる。
【0014】
ここで、バネ部材には、レンズ鏡筒が沈胴状態から撮影状態に繰り出す際に1群レンズおよび3群レンズを所定の間隔に広げるために必要なバネ力(第1のバネ力)さえ備わっていれば十分である。
【0015】
しかし、第1のバネ力を備えたバネ部材を用いた場合には、撮影時の振動などによりレンズ間隔が変わってしまう恐れもあるため、バネ部材は第1のバネ力よりも大きなバネ力(第2のバネ力)を備えている必要がある。このようにバネ部材のバネ力を大きくすれば、この大きくした分だけバネ部材を圧縮させるための駆動力(圧縮力)が大きくなってしまう。
【0016】
また、1群レンズと3群レンズとの間にバネ部材を配置すると、バネ部材を圧縮させたとしてもバネ部材の存在により所定間隔以上はレンズ間隔を狭めることができない。このため、複数のレンズ群をコンパクトに収納させるには一定の限界がある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のカメラは、光軸方向に相対移動可能な第1のレンズ部材および第2のレンズ部材のうち一方のレンズ部材に設けられ、他方のレンズ部材側に延びる係合部と、他方のレンズ部材に設けられ、係合部と係脱可能な被係合部とを有し、撮影可能状態において、係合部が被係合部に係合することにより第1のレンズ部材および第2のレンズ部材を所定の間隔を保った状態で一体的に移動可能とし、非撮影状態において、係合部の被係合部との係合が外れることにより第1のレンズ部材および第2のレンズ部材の間隔が所定の間隔よりも狭い間隔になるように第1のレンズ部材および第2のレンズ部材の移動を許容することを特徴とする。
【0018】
すなわち、撮影可能状態においては係合部および被係合部を係合させて第1のレンズ部材および第2のレンズ部材を一体的に移動させ、非撮影状態においては係合部および被係合部の係合を外して第1のレンズ部材と第2のレンズ部材との間隔を狭めるようにすることで、従来技術におけるバネ部材を不要としている。
【0019】
このようにバネ部材を不要とすることにより部品点数を削減することができるとともに、2つのレンズ部材の間隔を狭める際にバネ部材を圧縮させる必要がなくなるためにレンズ部材の駆動負荷を低減することができる。しかも、2つのレンズ部材の間隔を、バネ部材を配置した場合に比べて更に狭めることができるため、例えば、非撮影状態においてレンズ部材をカメラ内に収納する、いわゆる沈胴式カメラに本発明を適用すればカメラの小型化を図ることができる。
【0020】
ここで、第1のレンズ部材を第2のレンズ部材に対して光軸周りに変位させるカム機構を設けて、このカム機構により第1のレンズ部材を光軸周りに変位させることで係合部および被係合部を係合させたり、この係合を外したりすることができる。
【0021】
また、係合部を弾性変形可能な部材で構成して、一方のレンズ部材の光軸方向の移動に応じて係合部を弾性変形させることにより、係合部を被係合部に係合させたり、この係合を外したりすることができる。ここで、一方のレンズ部材および他方のレンズ部材を光軸方向にガイドするガイド部材に突起部を設けて、この突起部に係合部を当接させるようにすることで係合部を弾性変形させることができる。
【0022】
このように係合部を弾性変形させる場合、光軸方向に移動可能な第3のレンズ部材を、一方のレンズ部材に対して光軸方向で隣り合うように配置し、係合部の被係合部との係合が外れた状態において、第3のレンズ部材を一方のレンズ部材に光軸方向一方向から付勢させることにより一方のレンズ部材および他方のレンズ部材の間隔を変化させることができる。
【0023】
一方、本発明では、係合部および被係合部を係合させて2つのレンズ部材を一体的に移動可能としており、2つのレンズ部材のうち1つのレンズ部材を駆動するだけで2つのレンズ部材を光軸方向に移動させることができるため、レンズ部材の駆動機構を簡素化してカメラを小型化することができる。ここで、レンズ部材の駆動機構には、光軸周りに回転可能であり、回転により1つのレンズ部材を光軸方向に移動させるカム部材を用いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図8を用いて本発明の第1実施形態であるカメラについて説明する。ここで、図1〜図7は本実施形態のカメラにおけるレンズ駆動機構の構成を概念的に示した図であり、円筒形状の直進筒やカム筒を平板として表したものである。なお、カム筒を平板状に形成して、レンズ駆動を行うこともできる。
【0025】
本実施形態のカメラにおけるレンズ鏡筒では、3群タイプのレンズ構成となっている。そして、ズーム駆動中は、一群レンズおよび三群レンズが所定の間隔をおいた状態で一体となって移動する構成となっている。また、沈胴時には一群レンズと三群レンズとのレンズ間隔が縮まる構成となっている。
【0026】
まず、図18に本実施形態のカメラの外観斜視図を示す。この図において、30はカメラ本体であり、このカメラ本体30の前面中央には、ズーミングが可能なレンズ鏡筒31が設けられている。
【0027】
また、カメラ本体30の前面における向かって右側には、ストロボ装置を構成する発光窓部材32が、向かって左側にはファインダ窓33および測光窓34がそれぞれ設けられている。さらに、カメラ本体30の上面には、カメラ本体30内の不図示のフィルム又はCCD等の撮像素子への露光(撮影)を開始させるレリーズボタン35が設けられている。
【0028】
上述したカメラの構成において、カメラ本体30の電源がオフ状態となっている場合、カメラは沈胴状態(非撮影状態)にあり、レンズ鏡筒31は図18に示すようにカメラ本体30内に収納されている。一方、カメラ本体30の電源がオン状態となる場合、レンズ鏡筒31はカメラ本体30から繰り出すようになっている。
【0029】
次に、図1を用いてレンズ鏡筒31の構成について説明する。カム筒1には、一群カム溝部1aと二群カム溝部1bとが形成されている。これらのカム溝部1a、1bは、ズーム領域▲1▼と沈胴領域▲2▼とを有している。なお、図1においてはカム筒1にカム溝部1a、1bが1本づつ形成されているが、これは構成概念図であり、本来はカム筒1の周方向にカム溝1a、1bが略120°間隔で3本づつ形成されている。
【0030】
直進筒2には、光軸方向に延びる直進溝部2aが形成されている。図1では1本の直進溝部2aとしているが、直進筒2の周方向において位相をずらして2本の直進溝部2aを形成することも可能である。ここで、図1では、レンズ鏡筒の構成を簡素化するために直進溝部2aを1本としている。
【0031】
一群レンズを保持する一群筒3の外周にはカムピン3aが形成されており、二群レンズを保持する二群筒4の外周にはカムピン4aが形成されている。このカムピン3aおよびカムピン4aはそれぞれ、直進溝部2aを貫通して、一群カム溝部1aや二群カム溝部1bに係合している。ここで、カムピン3a、4aは、直進溝部2aを貫通しているため、光軸方向にのみ移動可能となっている。
【0032】
上述した構成において、カム筒1が矢印▲3▼方向に移動すると、一群筒3のカムピン3aが一群カム溝部1aに案内されることにより一群筒3が光軸方向に進退する。また、二群筒4のカムピン4aが二群カム溝部1bに案内されることにより二群筒4が光軸方向に進退する。なお、実際のレンズ鏡筒の構成では、カム筒1が光軸周りに回転することになる。
【0033】
二群筒4の像面側には、三群レンズを保持する三群筒5が配置されている。三群筒5の外周には、被写体側に延びる支持腕部5aが形成されており、この支持腕部5aの先端にはL字状のフック部5bが形成されている。
【0034】
支持腕部5aは、二群筒4を飛び越えて、一群筒3の外周に形成された支持溝部3bに当接している。ここで、支持溝部3bの一部にはフック部5bが係合するための位置決め溝部3cが形成されている。
【0035】
なお、図1では、支持腕部5aおよび支持溝部3bを一組として図示しているが、実際のレンズ鏡筒の構成では3組となっている。すなわち、三群筒5の外周には3つの支持腕部5aが位相をずらした状態で形成されており、一群筒3の外周には3つの支持溝部3bが支持腕部5aと同位相となるように形成されている。
【0036】
一方、三群筒5の外周にはカムピン5cが形成されており、このカムピン5cは直進筒2に形成されたガイド溝部2bに係合している。ガイド溝部2bは変曲部2cを有しており、カムピン5cが変曲部2cに沿って移動することにより三群筒5が光軸周りに変位するようになっている。なお、ガイド溝部2bのうち変曲部2cを境とする前後の領域(第1領域▲5▼および第2領域▲6▼)における溝部は光軸方向に延びており、カムピン5cは光軸方向にのみ進退可能となっている。
【0037】
ここで、カムピン5cおよびガイド溝2bは、上述したカムピン3aおよび一群カム溝部1aや、カムピン4aおよび二群カム溝部1bなどのように3組ずつ必要な部品と異なり最低一組あればよい。つまり、3組ずつ必要な部分は、各レンズ群を光軸に対して傾かせることなく移動させるために必要な部品であるが、カムピン5cおよびガイド溝2bは後述するように、三群筒5を一群筒3に対して僅かに相対回転させるために必要なだけであるため、一組で十分である。なお、3組ずつ必要なカムピンおよびカム溝といった部品であっても、他の支持部材やガイド機構を別途用いることによってレンズ群の光軸に対する傾きを防止できれば、2組あるいは1組にしても構わない。
【0038】
上述した構成において、フック部5bが位置決め溝部3cに係合すると、一群筒3および三群筒5は一体となって光軸方向に進退可能となる。一方、フック部5bが位置決め溝部3cから外れると、一群筒3だけがカムピン3aおよび一群カム溝部1aの係合作用により光軸方向に進退するようになる。
【0039】
なお、本実施形態では、一群筒3に支持溝部3bが形成され、三群筒5に支持腕部5aが形成されているが、一群筒3に支持腕部を形成し、三群筒5に支持溝部を形成してもよい。
【0040】
以下、本実施形態におけるレンズ鏡筒の動作について、図1から図6を用いて詳細に説明する。ここで、図1はレンズ鏡筒が沈胴状態にあるときの図を示し、図2および図3はレンズ鏡筒が沈胴状態からズーム領域に移行する際の中間移動状態を示す図である。また、図4、5、6はそれぞれ、レンズ鏡筒がワイド状態、ミドル状態、テレ状態(撮影可能状態)にあるときの図を示している。
【0041】
図1に示す沈胴状態において、一群筒3および三郡筒5は間隔A1だけ離れた状態となっている。そして、沈胴状態からカム筒1が矢印▲3▼方向に移動すると、一群筒3はカムピン3aおよび一群カム溝部1aのカム係合作用により光軸方向に繰り出し、二群筒4はカムピン4aおよび二群カム溝部1bのカム係合作用により光軸方向に繰り出す。ここで、三群筒5は、フック部5bと支持溝部3bとの間の摩擦力により、一群筒3とともに繰り出し、カムピン5cはガイド溝部2bの変曲部2cに当接する。このとき、カムピン5cはガイド溝部2bのうち第1領域▲5▼を移動する。これにより、レンズ鏡筒は図2に示す状態になる。
【0042】
そして、カム筒1が図2に示す状態から更に矢印▲3▼方向に移動すると、三群筒5はカムピン5cおよびガイド溝部2bの変曲部2cとの当接作用により図2に示す位置にとどまり、一群筒3だけが光軸方向に繰り出す。同時に、二群筒4も光軸方向に繰り出す。
【0043】
これにより、一群筒3と三群筒5との間隔が、間隔A1よりも広がる。ここで、
位置決め溝部3cの像面側の面はストッパ面3dとなっており、フック部5bがストッパ面3dに当接することにより、一群筒3および三群筒5が所定間隔以上離れない構造になっている。このため、一群筒3と三群筒5との間隔は、図3に示すように間隔A2となる。
【0044】
三群筒5が一群筒3とともに更に光軸方向に繰り出すと、三群筒5のカムピン5cが矢印▲4▼方向に所定量変位する。これにより、三群筒5も光軸周りに所定量回転し、フック部5bが位置決め溝部3cにはまり込む(図4)。これにより、レンズ鏡筒は図4に示すワイド状態となる。
【0045】
図4に示すワイド状態において、カム筒1が矢印▲3▼方向に移動すると、一群筒3はカムピン3aおよび一群カム溝部1aのカム係合作用により光軸方向に繰り出し、二群筒4はカムピン4aおよび二群カム溝部1bのカム係合作用により光軸方向に繰り出す。ここで、一群筒3および三群筒5は、フック部5bおよび位置決め溝部3cとの係合作用により、間隔A2を維持しながら一体となって光軸方向に繰り出す。このとき、三群筒5のカムピン5cは、ガイド溝部2bのうち第2領域▲6▼の溝部に沿って光軸方向に移動する。
【0046】
そして、カム筒1の移動量(回転量)に応じて、レンズ鏡筒は図5に示すミドル状態になったり、図6に示すテレ状態になったりする。ここで、一群筒3がズーム領域にあるとき、三群筒5のカムピン5cはガイド溝部2bのうち第2領域▲6▼の溝部を移動、すなわち光軸方向にのみ移動するため、フック部5bおよび位置決め溝部3cの係合状態が外れることがない。このため、レンズ鏡筒がズーム領域にあるときには、一群筒3および三群筒5は間隔A2を維持したままとなる。
【0047】
以上の説明が、レンズ鏡筒が沈胴状態からテレ状態に移行する際の動きである。
【0048】
一方、レンズ鏡筒が沈胴状態まで繰り込む際の動作については、上述した繰り出し動作に対してほぼ逆の動作となる。
【0049】
すなわち、レンズ鏡筒がテレ状態からワイド状態に繰り込む際には、図6に示すテレ状態においてカム筒1が矢印▲3▼と逆の方向に移動することにより、一群筒3および二群筒4の繰り込み動作が開始される。
【0050】
このとき、位置決め溝部3cのうちストッパ面3dと対向する面が、フック部5bを押し込むことにより、三群筒5も一群筒3と一体となって繰り込む。ここで、一群筒3および三群筒5は、間隔A2を維持したままである。
【0051】
そして、レンズ鏡筒がワイド状態から更に繰り込むとき、カムピン5cがガイド溝部2bの変曲部2cに沿って移動することにより、三群筒5が光軸周りに回転してフック部5bが位置決め溝部3cから外れる。
【0052】
フック部5bが位置決め溝部3cから外れると、一群筒3および三群筒5は、フック部5bと支持溝部3bとの摩擦力により一体となって繰り込む。そして、カムピン5cがガイド溝部2bのうち第1領域▲5▼を移動してガイド溝部2bの像面側の端面に当接すると、一群筒3だけが繰り込む。これにより、一群筒3と三群筒5との間隔は、間隔A2から間隔A1に狭まる。
【0053】
そして、最終的にはレンズ鏡筒が図1に示す沈胴状態に戻る。
【0054】
上述したレンズ鏡筒の繰り出し繰り込み動作におけるタイミングチャートを図8に示す。ここで、二群筒4の動きは本発明の特徴部分と関係ないため、図8では破線で示す。
【0055】
一群筒3は、一群カム溝部1aのカム軌跡に沿って繰り出したり繰り込んだりすることにより、沈胴位置とテレ位置との間を移動する。ここで、一群筒3の移動軌跡は繰り出し動作および繰り込み動作とも同じである。
【0056】
一方、三群筒5は沈胴状態とワイド状態との間(非撮影状態)において、繰り出し時の移動軌跡と繰り込み時の移動軌跡が異なる。すなわち、沈胴状態から繰り出す場合、三群筒5は上述したようにカムピン5cがガイド溝部2bの変曲部2cに当接するまで一群筒3とともに光軸方向に移動し、その後、一群筒3だけが繰り出すことにより一群筒3と三群筒5との間隔が間隔A2になるまで広がる。
【0057】
そして、フック部5bがストッパ面3dに当接することにより、三群筒5は撮影領域において一群筒3とともに移動する。ここで、三群筒5の非撮影領域における移動軌跡を図8中の矢印Xで示す。
【0058】
また、レンズ鏡筒がワイド状態から沈胴状態に繰り込む場合、カムピン5cがガイド溝部2bの変曲部2cに沿って移動することにより、フック部5bが位置決め溝部3cから外れ、上述したようにカムピン5cがガイド溝部2bの像面側の端面に当接するまで一群筒3および三群筒5が一体となって繰り込む。
【0059】
そして、カムピン5cがガイド溝部2bの像面側の端面に当接することにより、一群筒3だけが繰り込む。このときの三群筒5の移動軌跡を図8中の矢印Yで示す。
【0060】
このように、非撮影領域における三群筒5の移動軌跡は、繰り出し時および繰り込み時において互いに異なり、ヒステリシスな移動軌跡をとる。なお、撮影領域では、三群筒5は一群筒3と同じ移動軌跡をとる。
【0061】
ここで、非撮影領域における三群筒5の移動軌跡は、図8中の実線に示した軌跡だけを辿るものではない。つまり、上述したレンズ鏡筒の動作において、三群筒5は、フック部5bと支持溝部3bとの摩擦力により一群筒3とともに移動するようになっているが、この摩擦力の大きさによっては一群筒3および三群筒5が一体的に繰り出したり繰り込んだりするとは限らない。
【0062】
例えば、ガイド溝部2bにおける第2領域▲5▼でカムピン5cとの摩擦力が大きければ、一群筒3および三群筒5の間隔は間隔A1よりも広がる場合がある。
【0063】
また、フック部5bと支持溝部3bとの摩擦力がほとんどない場合において、レンズ鏡筒が沈胴状態(図1)からワイド状態に繰り出すときには、一群筒3はフック部5bがストッパ面3dに当接するまで繰り出し、その後、三群筒5が一群筒3とともに繰り出すようになる。このときの三群筒5の移動軌跡は矢印Yに示す移動軌跡と逆になる。
【0064】
一方、レンズ鏡筒がワイド状態から沈胴状態に繰り込むときには、まずフック部5bが位置決め溝部3cから外れると、一群筒3だけが繰り込んでフック部5bが支持溝部3bに当接することにより一群筒3および三群筒5が繰り込むようになる。このときの三群筒5の移動軌跡は矢印Xに示す移動軌跡と逆になる。
【0065】
このため、三群筒5は図8中の斜線部に示すヒステリシス範囲▲7▼内を辿って繰り出したり繰り込んだりする場合もある。
【0066】
なお、本実施形態では、三群筒5を光軸周りに変位させているが、この変位は非撮影領域内において行われるため、三群筒5の変位が撮影時の光学性能に影響を与えることはない。
【0067】
上述したように本実施形態のカメラでは、一群筒3および三群筒5を相対回転させてフック部5bと位置決め溝部3cとを係合させることにより、撮影領域において一群筒3および三群筒5を所定の間隔A2で一体的に移動させている。
【0068】
また、一群筒3と三群筒5とを相対回転させてフック部5bと位置決め溝部3cとの係合を外すことにより、一群筒3の移動だけを許容して一群筒3および三群筒5の間隔を間隔A2と間隔A1との範囲内で広げたり狭めたりしている。
【0069】
これにより、従来技術のように一群筒と三群筒との間に両者の間隔を一定に保持するためのバネ部材を配置する必要がなくなる。
【0070】
したがって、従来技術のように2つのレンズ群の間隔を狭める際にバネ部材を圧縮させる必要がなくなり、レンズ鏡筒の駆動負荷を低減することができる。しかも、バネ部材を不要とすることで、部品点数を減らすことができるとともに、沈胴状態における2つのレンズ群の間隔をバネ部材を配置した場合に比べて、より狭めることができるため、カメラを小型化することができる。
【0071】
また、撮影領域においては一群筒3および三群筒5が一体となって移動するので、本実施形態のように三群レンズで構成されるレンズ鏡筒であっても、レンズ群を光軸方向に進退させるためのカム溝部は2つあればよく、カム筒に形成するカム溝部の数を少なくすることができる。これにより、レンズ鏡筒の駆動機構を簡素化することができ、多くのカム溝を設けることでカム溝部同士が干渉するといった問題点を解消することができる。
【0072】
さらに、一群筒3の一部に支持溝部3bを形成するとともに、三群筒5の一部に三群筒5の肉厚を利用した光軸方向に延びる支持腕部5aを形成しているため、係合機構(支持腕部5aおよび支持溝部3b)を設けるために一群筒3や三群筒5の径を大きくさせる必要はなく、レンズ鏡筒が大型化することもない。
【0073】
なお、本実施形態では、上述したように三群筒5が繰り出し時と繰り込み時とでヒステリシスな移動軌跡を辿っているが、一群筒3も一義的とは言っても、繰り出し時と繰り込み時とで移動軌跡が異なっていると見なすこともできる。
【0074】
すなわち、一群筒3が繰り出すときには一群カム溝部1aのうち像面側の側面に沿って移動し、繰り込むときには一群カム溝部1aのうち被写体側の側面に沿って移動することになるため、一群筒3の移動軌跡もヒステリシスな移動軌跡とみなすことができる。
【0075】
しかし、このヒステリシスな移動軌跡は、カムピンおよびカム溝部の構造上のガタにより生じるものであり、本実施形態のようにレンズ群の間隔を積極的に変化させる際に生じるものではない。また、仮にカム溝部とカムピンとのガタがレンズ群の間隔を変化させるくらいに大きい場合には、通常はバネ等を用いて一方向に片寄せさせることになる。
【0076】
(第2実施形態)
図10から図17を用いて本発明の第2実施形態であるカメラについて説明する。本実施形態のカメラにおけるレンズ鏡筒は4群タイプのレンズ構成であり、撮影領域では2つのレンズ群を係合状態で一体的に移動させ、非撮影領域では弾性変形により非係合状態として1つのレンズ群の移動だけを許容することによりレンズ間隔を変化させている。
【0077】
本実施形態におけるレンズ群の動きとしては、ズーム駆動中は一群レンズおよび三群レンズが一体的に繰り出したり繰り込んだりするとともに、二群レンズおよび四群レンズが一体的に繰り出したり繰り込んだりする。また、沈胴時には一群レンズと三群レンズとの間隔、二群レンズと四群レンズとの間隔が縮まってそれぞれのレンズがカメラ本体内に収納されるようになっている。なお、本実施形態のカメラの構成は第1実施形態で説明した構成(図18)と同様である。
【0078】
図10から図12を用いて、本実施形態におけるレンズ鏡筒の構成について説明する。なお、後述するようにレンズ群を保持する筒部材(1群筒等)の外周には120°の間隔をおいて3つの部材(カムピン等)が配置されているが、この部材は第1実施形態で説明したように構成によっては2つ又は1つとしてもよい。
【0079】
一群レンズを保持する一群筒20の後端部には径方向内側に延びる直進キー20aが形成されており、この直進キー20aは直進筒21の外周に形成された光軸方向に延びるキー溝21aと係合する。これにより、一群筒20は光軸方向にのみ移動可能となる。
【0080】
また、一群筒20の外周には120°の間隔をおいて3つのカムピン20bが形成されており、このカムピン20bはカム筒22の内周面に形成されたカム溝部22aに係合している。
【0081】
4群レンズを保持する四群筒23の外周面には120°の間隔をおいて3つのカムピン23aが形成されており、このカムピン23aは直進筒21に形成された光軸方向に延びる直進溝部21bを貫通して、カム筒22の内周面に形成されたカム溝部22bに係合している。ここで、カムピン23aが直進溝部21bを貫通することで、四群筒23は光軸方向にのみ移動可能となっている。
【0082】
カム筒22はギヤを介してモータ26に連結しており、モータ26の駆動力を受けることにより光軸周りに回転可能となっている。カム筒22が光軸周りに回転すると、カムピン20bがカム溝部22aに案内されることにより一群筒20が光軸方向に進退し、カムピン23aがカム溝部22bに案内されることにより四群筒23が光軸方向に進退する。
【0083】
一群筒20の内周面には第1凹部20cおよび第2凹部20dが形成されており、これらの凹部20c、20dには、三群レンズを保持する三群筒24に形成された弾性腕部24aの先端が当接又は係合するようになっている。この弾性腕部24aは、三群筒24の外周に120°の間隔をおいて3つ設けられており、弾性変形することができるようになっている。
【0084】
第1凹部20cのうち像面側(図12中右側)の面は傾斜しており、弾性腕部24aが一群筒20に対して像面側に移動する際には、弾性腕部24aが弾性変形して第1凹部20cの傾斜面に沿って移動することができるようになっている。一方、第1凹部20cのうち被写体側(図12中左側)の面は傾斜していないため、弾性腕部24aが一群筒20に対して被写体側に移動しようとしても、弾性腕部24aが第1凹部20cの側面に突き当たることによりこれ以上移動できないようになっている。
【0085】
また、弾性腕部24aが弾性変形して第1凹部20cの傾斜面に沿って移動すると、弾性腕部24aは第2凹部20dに係合するようになっている。ここで、第2凹部20dの側面は傾斜していないため、弾性腕部24aが第2凹部20dに係合すると、この第2凹部20dから外れることはなく、一群筒20および三群筒24は一体的に移動可能となる。
【0086】
上述した構成により一群筒20と三群筒24との間隔を広げることはできるが、一旦間隔を広げた後は狭めることができないようになっている。
【0087】
一方、弾性腕部24aには突起部24bが形成されており、この突起部24bは、三群筒24が光軸方向に移動する際に直進筒21の内周面に形成された突起部21cに当接するようになっている。ここで、三群筒24が直進筒21に対して光軸方向に移動する場合、弾性腕部24aが弾性変形することにより突起部24bは突起部21cの外面に沿って移動する。
【0088】
このとき、弾性腕部24aの先端はレンズ鏡筒の径方向内側に変位するため、弾性腕部24aの先端が第2凹部20dに係合していても、この第2凹部20dから外れることができるようになっている。これにより、一群筒20と三群筒20との間隔は、弾性腕部24aの先端が第1凹部20cの底面に当接するまで狭めることが可能になる。なお、弾性腕部24aの先端を第2凹部20dから外す具体的なタイミングについては後述する。
【0089】
二群レンズを保持する二群筒25の外周には、120°の間隔をおいて3つの弾性変形可能な弾性腕部25aが形成されており、この弾性腕部25aは四群筒23に形成された第1凹部23bおよび第2凹部23cに当接又は係合するようになっている。
【0090】
第1凹部23bのうち被写体側の面は傾斜しており、弾性腕部25aが四群筒23に対して被写体側に移動する際には、弾性腕部25aが弾性変形して第1凹部23bの傾斜面に沿って移動することができるようになっている。一方、第1凹部23bのうち像面側の面は傾斜していないため、弾性腕部25aが四群筒23に対して像面側に移動しようとしても、弾性腕部25aの先端が第1凹部23bの底面に当接することによりこれ以上移動できないようになっている。
【0091】
また、弾性腕部25aが弾性変形して第1凹部23bの斜面に沿って移動すると、弾性腕部25aの先端は第2凹部23cに係合するようになっている。ここで、第2凹部23cの側面は傾斜していないため、弾性腕部25aの先端が第2凹部23cから外れることはなく、二群筒25および四群筒23は一体的に移動可能となる。
【0092】
上述した構成により二群筒25と四群筒23との間隔を広げることはできるが、一旦間隔を広げた後は狭めることができないようになっている。
【0093】
一方、弾性腕部25aの先端には突起部25bが形成されており、この突起部25bは、第1凹部23bおよび第2凹部23cの中央に形成された光軸方向に延びる直進溝部23dを貫通して、直進筒21の内周面に形成された突起部21dに当接するようになっている。ここで、二群筒25が直進筒21に対して光軸方向に移動する場合、弾性腕部25aが弾性変形することにより突起部25bが突起部21dの外面に沿って移動する。
【0094】
このとき、弾性腕部25aの先端はレンズ鏡筒の径方向内側に変位するため、弾性腕部25aの先端(突起部25bの基端部)が第2凹部23cに係合していても、この第2凹部23cから外れるようになっている。これにより、二群筒25と四群筒23との間隔は、弾性腕部25aの先端が第1凹部23bの底面に当接するまで狭めることが可能になる。なお、弾性腕部25aの先端を第2凹部23cから外す具体的なタイミングについては後述する。
【0095】
上述した構成において、本実施形態におけるレンズ鏡筒の動作について図12から図17を用いて説明する。ここで、図12はレンズ鏡筒が沈胴状態にあるときの断面図であり、図13および図14は、レンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に繰り出す際の中間移動状態にあるときの断面図である。図15および図16はそれぞれ、レンズ鏡筒がワイド状態およびテレ状態にあるときの断面図である。図17は、レンズ鏡筒がワイド状態から沈胴状態に繰り込む際の中間移動状態にあるときの断面図である。
【0096】
まず、レンズ鏡筒が沈胴状態からテレ状態に繰り出す際の動作について説明する。
【0097】
図12に示す沈胴状態において、一群筒20および三群筒24は間隔C1の距離関係にあり、二群筒25および四群筒23は間隔D1の距離関係にある。この沈胴状態において、カム筒22がモータ26からの駆動力を受けて光軸周りに回転すると、一群鏡筒20がカムピン20bおよびカム溝部22aのカム係合作用により光軸方向に繰り出すとともに、四群筒23がカムピン23aおよびカム溝部22bのカム係合作用により光軸方向に繰り出す。
【0098】
ここで、一群筒20が光軸方向に繰り出すとき、一群筒20の第1凹部20cと弾性腕部24aの先端との摩擦力により三群筒24も一体となって光軸方向に繰り出す。また、四群筒23が光軸方向に繰り出すとき、四群筒23の第1凹部23bと弾性腕部25aの先端との摩擦力により二群筒25も一体となって光軸方向に繰り出す。
【0099】
一群筒20および三群筒24が光軸方向に繰り出すと、弾性腕部24aの突起部24bが直進筒21における突起部21cの斜面に当接し、一群筒20が更に光軸方向に繰り出すことにより、弾性腕部24aの先端が第1凹部20cの斜面に沿って移動する。これにより、弾性腕部24aは弾性変形し、弾性腕部24aの先端がレンズ鏡筒の径方向内側に変位する。このとき、弾性腕部24aの先端は、第1凹部20cにおける斜面の一端まで移動する。
【0100】
一方、二群筒25および四群筒23が光軸方向に繰り出すと、突起部25bが直進筒21における突起部21dの斜面に当接する。
【0101】
ここで、本実施形態では、一群筒20および三群筒24の繰り出し量が、四群筒23および二群筒25の繰り出し量よりも多くなるように設定しているため、一群筒20および四群筒23が光軸方向に繰り出し始めると、レンズ鏡筒は図13に示す状態となり、二群筒25と三群筒24とが当接して互いに押し合うようになる。
【0102】
レンズ鏡筒が図13に示す状態にあるとき、一群筒20および三群筒24は間隔C1よりも広い間隔C2の距離関係にあり、二群筒25および四群筒23は間隔D1よりも広い間隔D2の距離関係にある。なお、図13では、一群筒20および三群筒24の間隔変化と、二群筒25および四群筒23の間隔変化が同時に起きた場合を示しているが、どちらか一方の間隔変化が先に起こることもある。
【0103】
そして、一群筒20が更に繰り出すと、二群筒25および三群筒24の押し合い作用により、第1凹部20cにおける斜面の一端に位置する弾性腕部24aの先端が第2凹部20dに係合する(図14)。また、二群筒25および三群筒24の押し合い作用により、二群筒25における弾性腕部25aの先端は、四群筒23における第1凹部23bの斜面に沿って移動して、この斜面の一端まで移動した後に第2凹部23cに係合する(図14)。
【0104】
弾性腕部25aの先端が第2凹部20dに係合することにより、一群筒20および二群筒25は一体的に移動可能となる。また、弾性腕部24aの先端が第2凹部23cに係合することにより、三群筒24および四群筒23は一体的に移動可能となる。
【0105】
なお、弾性腕部24aの第2凹部20dへの移動が、弾性腕部25aの第2凹部23cへの移動よりも先、同時又は後に行われた場合であっても、二群筒25および三群筒24の押し合い作用により、弾性腕部24aの先端は第2凹部20dへ移動し、弾性腕部25aの先端は第2凹部23cへ移動することになる。
【0106】
レンズ鏡筒が図14に示す状態にあるとき、一群筒20および三群筒24は最も広い間隔Eの距離関係にあり、二群筒25および四群筒23は最も広い間隔Fの距離関係にある。
【0107】
なお、図14に示す状態では、二群筒25および三群筒24が互いに押し合っている状態にあるため、実際に撮影を行う場合におけるワイド状態では図15に示すように二群筒25と三群筒24との間を所定距離だけ空けた状態とする。すなわち、一群筒20および三群筒24を図14に示す状態に維持し、二群筒25および四群筒23を図14に示す状態から光軸方向に所定量繰り出すようにする。
【0108】
ここで、レンズ鏡筒がワイド状態にある場合(図15)において、一群筒20および三群筒24は間隔Eの距離関係にあり、二群筒25および四群筒23は間隔Fの距離関係にある。
【0109】
また、レンズ鏡筒がワイド状態(図15)からテレ状態(図16)に繰り出す場合、カムピン20bおよびカム溝部22aのカム係合作用により一群筒20および三群筒24が光軸方向に繰り出すとともに、カムピン23aおよびカム溝部22bのカム係合作用により二群筒25および四群筒23が光軸方向に繰り出す。なお、レンズ鏡筒がテレ状態にあるときも、一群筒20および三群筒24は間隔Eの距離関係にあり、二群筒25および四群筒23は間隔Fの距離関係にある。
【0110】
次に、レンズ鏡筒がテレ状態から沈胴状態に繰り込む際の動作について説明する。
【0111】
レンズ鏡筒がテレ状態からワイド状態に繰り込む際の動作は、上述したレンズ鏡筒がワイド状態からテレ状態に繰り出す際の動作と逆の動作となる。なお、レンズ鏡筒が繰り込む場合、カム筒22はモータ26からの駆動力を受けることにより、繰り出し時の回転方向とは反対の方向に回転する。
【0112】
レンズ鏡筒がワイド状態(図15)から沈胴状態に繰り込む場合、一群筒20および三群筒24が間隔Eの距離関係を保ったまま繰り込むとともに、二群筒25および四群筒23が間隔Fの距離関係を保ったまま繰り込み、図14に示す状態となる。
【0113】
図14に示す状態から一群筒20および三群筒24が光軸方向に繰り込むと、弾性腕部24aにおける突起部24bが直進筒21の突起部21cの斜面に当接して、この斜面に沿って移動する。これにより、弾性腕部24aは弾性変形して、この先端がレンズ鏡筒の径方向内側に変位する(図17)。
【0114】
そして、突起部24bが突起部21cの頂上に達すると、弾性腕部24aの先端が第2凹部20dから外れて、第1凹部20cと第2凹部20dとの間における一群筒20の内周面を付勢するようになる。ここで、弾性腕部24aの先端は、一群筒20の内周面を付勢しているため、三群筒24は一群筒20とともに繰り込み、突起部24bは突起部21cの頂上をスライド移動する。
【0115】
また、図14に示す状態から二群筒25および四群筒23が光軸方向に繰り込むと、突起部25bが直進筒21の突起部21dの斜面に当接して、この斜面に沿って移動する。そして、突起部25bは、突起部21dの頂上まで移動する。これにより、弾性腕部25aの先端側はレンズ鏡筒の径方向内側に弾性変形し、弾性腕部25aの先端は第2凹部23cから外れるようになる(図17)。
【0116】
なお、第2凹部23cのうち被写体側の側面は、像面側の側面よりも高くなっているため、弾性腕部25aの先端は、弾性変形しても第2凹部23cの被写体側の側面に当接するようになっている。このため、二群筒25は四群筒23とともに繰り込み、突起部25bは突起部21dの頂上をスライド移動する。
【0117】
ここで、本実施形態では、一群筒20の繰り込み量が四群筒23の繰り込み量よりも大きく設定されているため、レンズ鏡筒が繰り込むことにより一群筒20が二群筒25に当接して二群筒25を像面側に押し込む。また、一群筒20とともに繰り込む三群筒24が四群筒23に当接して、この四群筒23により三群筒24の繰り込み動作が阻止される。
【0118】
そして、一群筒20が二群筒25を像面側に押し込むことにより、レンズ鏡筒の径方向内側に弾性変形している弾性腕部25aの先端が第1凹部23bの底面に当接する。このとき、突起部25bは突起部21dを乗り越えている。上述した動作により、二群筒25と四群筒23との間隔が縮まり、レンズ鏡筒は図12に示す沈胴状態となる。
【0119】
また、四群筒23が三群筒24の繰り込みを阻止することで一群筒20だけが光軸方向に繰り込み、これにより弾性腕部24aの先端が第1凹部20cの底面に当接する。このとき、突起部24bは突起部21cを乗り越えている。上述した動作により、一群筒20と三群筒24との間隔が縮まり、レンズ鏡筒は図12に示す沈胴状態となる。
【0120】
本実施形態におけるレンズ鏡筒は、沈胴状態からワイド状態に繰り出す際の動作と、ワイド状態から沈胴状態に繰り込む際の動作とにおけるレンズ群(二群筒25および三群筒24)の移動軌跡が異なっており、第1実施形態と同様にヒステリシスな移動軌跡をとるようになっている。
【0121】
以上説明したように本実施形態では、撮影領域において、弾性腕部24a(25a)を第2凹部20d(23c)に係合させることにより一群筒20および三群筒24(二群筒25および四群筒23)を所定の間隔を保った状態で一体的に光軸方向に移動させるとともに、非撮影領域において、弾性腕部24aを突起部21dとの当接により弾性変形させて第2凹部20dから外すことにより一群筒20および三群筒24の間隔を狭めているため、従来技術のようにレンズ群の間隔を変化させるためのバネ部材を用いる必要がない。
【0122】
このため、従来技術のように非撮影領域においてバネ部材を圧縮させる必要はなく、レンズ鏡筒の駆動負荷を低減することができる。しかも、バネ部材を不要とすることで、部品点数の削減を図ることができるとともに、2つのレンズ群の間にバネ部材を配置した場合に比べてレンズ群の間隔をより狭めることができる。そして、沈胴状態におけるレンズ群の間隔をより狭めることで、カメラの小型化を図ることもできる。
【0123】
また、撮影領域において、一群筒20および三群筒24(二群筒25および四群筒23)を一体的に移動させることで、カム筒22に形成するカム溝部は、2つのレンズ群に対して1つで済むため、レンズ鏡筒の駆動機構を簡素化することができ、多くのカム溝部を設けることでカム溝部同士が干渉するといった問題点を解消することができる。
【0124】
(他の実施形態)
第1実施形態では、一群筒3、二群筒4および三群筒5から成る3群タイプのレンズ構成であったが、二群筒4がなくても、一群筒3および三群筒5は、非撮影領域において間隔が狭まり、撮影領域において間隔を広げた状態で一体的に移動することができる。従って、複数枚のレンズで構成される単体レンズで、レンズ間隔が大きなタイプのものである場合、第1実施形態を適用することによりレンズ間隔を縮めてコンパクトに収納させることができる。この場合、図1中の▲1▼に示す領域は、「ズーム」ではなく「合焦」のためにレンズを移動させる領域となる。
【0125】
また、第1実施形態および第2実施形態におけるレンズ鏡筒の構成は、カム筒および直進筒を1つずつ備えた簡単な構成となっているが、カム筒および直進筒を複数組み合わせた、いわゆる差動型のレンズ駆動機構にも本発明を適用することもできる。
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、撮影可能状態においては係合部および被係合部を係合させて第1のレンズ部材および第2のレンズ部材を一体的に移動させ、非撮影状態においては係合部および被係合部の係合を外して第1のレンズ部材と第2のレンズ部材との間隔を狭めるようにすることで、従来技術におけるバネ部材を不要としている。
【0127】
このようにバネ部材を不要とすることにより部品点数を削減することができるとともに、2つのレンズ部材の間隔を狭める際にバネ部材を圧縮させる必要がなくなるためにレンズ部材の駆動負荷を低減することができる。しかも、2つのレンズ部材の間隔を、バネ部材を配置した場合に比べて更に狭めることができるため、例えば、非撮影状態においてレンズ部材をカメラ内に収納する、いわゆる沈胴式カメラに本発明を適用すればカメラの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態にあるときの外観斜視図。
【図2】第1実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に繰り出す途中にあるときの外観斜視図。
【図3】第1実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に繰り出す途中にあるときの外観斜視図。
【図4】第1実施形態においてレンズ鏡筒がワイド状態にあるときの外観斜視図。
【図5】第1実施形態においてレンズ鏡筒がミドル状態にあるときの外観斜視図。
【図6】第1実施形態においてレンズ鏡筒がテレ状態にあるときの外観斜視図。
【図7】第1実施形態においてレンズ鏡筒がワイド状態から沈胴状態に繰り込む途中にあるときの外観斜視図。
【図8】第1実施形態においてレンズ鏡筒の繰り出し繰り込み動作におけるタイミングチャート。
【図9】従来技術においてレンズ鏡筒の繰り出し繰り込み動作におけるタイミングチャート。
【図10】第2実施形態におけるレンズ鏡筒の外観斜視図。
【図11】第2実施形態におけるレンズ鏡筒の外観斜視図。
【図12】第2実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態にあるときの断面図。
【図13】第2実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に繰り出す途中にあるときの断面図。
【図14】第2実施形態においてレンズ鏡筒が沈胴状態からワイド状態に繰り出す途中にあるときの断面図。
【図15】第2実施形態においてレンズ鏡筒がワイド状態にあるときの断面図。
【図16】第2実施形態においてレンズ鏡筒がテレ状態にあるときの断面図。
【図17】第2実施形態においてレンズ鏡筒がワイド状態から沈胴状態に繰り込む途中にあるときの断面図。
【図18】カメラの外観斜視図。
【符号の説明】
1:カム筒 1a:一群カム溝部 1b:二群カム溝部
2:直進筒 2a:直進溝部 2b:ガイド溝部
2c:変曲部 3:一群筒 3a:カムピン
3b:支持溝部 3c:位置決め溝部 3d:ストッパ面
4:二群筒 4a:カムピン 5:三群筒 5a:支持腕部
5b:フック部 5c:カムピン 20:一群筒
20a:直進キー 20b:カムピン 20c:第1凹部
20d:第2凹部 21:直進筒 21a:キー溝部
21b:直進溝部 21c:突起部 21d:突起部
22:カム筒 23:四群筒 23a:カムピン
23b:第1凹部 23c:第2凹部 24:三群筒
24a:弾性腕部 24b:突起部 25:二群筒
25a:弾性腕部 25b:突起部 26:モータ
Claims (8)
- 光軸方向に相対移動可能な第1のレンズ部材および第2のレンズ部材のうち一方のレンズ部材に設けられ、他方のレンズ部材側に延びる係合部と、
前記他方のレンズ部材に設けられ、前記係合部と係脱可能な被係合部とを有し、
撮影可能状態において、前記係合部が前記被係合部に係合することにより前記第1のレンズ部材および前記第2のレンズ部材を所定の間隔を保った状態で一体的に移動可能とし、
非撮影状態において、前記係合部の前記被係合部との係合が外れることにより前記第1のレンズ部材および前記第2のレンズ部材の間隔が前記所定の間隔よりも狭い間隔になるように前記第1のレンズ部材および前記第2のレンズ部材の移動を許容することを特徴とするカメラ。 - 前記第1のレンズ部材を前記第2のレンズ部材に対して光軸周りに変位させるカム機構を有し、
前記係合部が、前記カム機構による前記第1のレンズ部材の光軸周りの変位に応じて前記被係合部と係脱可能であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。 - 前記係合部が、弾性変形可能な部材で構成されており、前記一方のレンズ部材の光軸方向の移動に応じて弾性変形することにより前記被係合部と係脱可能であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 前記一方のレンズ部材および前記他方のレンズ部材を光軸方向にガイドするガイド部材を有しており、
前記ガイド部材が、前記係合部と当接して前記係合部を弾性変形させる突起部を有することを特徴とする請求項3に記載のカメラ。 - 前記一方のレンズ部材に対して光軸方向で隣り合うように配置され、光軸方向に移動可能な第3のレンズ部材を有しており、
前記第3のレンズ部材は、前記係合部の前記被係合部との係合が外れた状態において、前記一方のレンズ部材を光軸方向一方向から付勢することにより前記一方のレンズ部材および前記他方のレンズ部材の間隔を変化させることを特徴とする請求項3又は4に記載のカメラ。 - 前記第3のレンズ部材が、前記一方のレンズ部材に対して前記他方のレンズ部材側に配置され、前記一方のレンズ部材および前記他方のレンズ部材の間隔が前記所定の間隔に広がるように前記一方のレンズ部材を付勢することを特徴とする請求項5に記載のカメラ。
- 前記第3のレンズ部材が、前記一方のレンズ部材に対して前記他方のレンズ部材側とは反対側に配置され、前記一方のレンズ部材および前記他方のレンズ部材の間隔が前記所定の間隔よりも狭い間隔になるように前記一方のレンズ部材を付勢することを特徴とする請求項5に記載のカメラ。
- 光軸周りに回転可能であり、回転により前記一方のレンズ部材又は前記他方のレンズ部材を光軸方向に移動させるカム部材を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
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JP2002177924A JP2004021053A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | カメラ |
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Cited By (2)
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JP2007064992A (ja) * | 2005-08-29 | 2007-03-15 | Konica Minolta Photo Imaging Inc | レンズ鏡胴ユニット |
JP2009222875A (ja) * | 2008-03-14 | 2009-10-01 | Hoya Corp | レンズ鏡筒及びズームレンズ鏡筒 |
-
2002
- 2002-06-19 JP JP2002177924A patent/JP2004021053A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2007064992A (ja) * | 2005-08-29 | 2007-03-15 | Konica Minolta Photo Imaging Inc | レンズ鏡胴ユニット |
JP2009222875A (ja) * | 2008-03-14 | 2009-10-01 | Hoya Corp | レンズ鏡筒及びズームレンズ鏡筒 |
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