JP2004020524A - 差圧発信器 - Google Patents
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Abstract
【課題】差圧計算により差圧レンジを求めることなく流量を求めることができる差圧発信器を提供する。
【解決手段】本発明の差圧発信器は、絞り機構の前後の差圧を測定する差圧測定部21と、流体の静圧を測定する静圧測定部22と、流体の温度を測定する温度測定部23と、流体情報格納部24と、絞り機構情報格納部25と、流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25に流体の情報と絞り機構の情報を設定する通信処理部27と、差圧、静圧および温度を入力条件とし流体の情報と絞り機構の情報とによって定まる所定の演算式に基づいて流体の流量を算出する流量演算部28と、流量演算部28が算出した流量を所定の電気信号に変換して出力するアナログ出力部30とを有する。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明の差圧発信器は、絞り機構の前後の差圧を測定する差圧測定部21と、流体の静圧を測定する静圧測定部22と、流体の温度を測定する温度測定部23と、流体情報格納部24と、絞り機構情報格納部25と、流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25に流体の情報と絞り機構の情報を設定する通信処理部27と、差圧、静圧および温度を入力条件とし流体の情報と絞り機構の情報とによって定まる所定の演算式に基づいて流体の流量を算出する流量演算部28と、流量演算部28が算出した流量を所定の電気信号に変換して出力するアナログ出力部30とを有する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定して流量を算出する差圧発信器に関する。
【0002】
【従来の技術】
管路の途中に管路の断面積を狭くする絞り機構を設けると、そこを被測定流体が流れるとき、絞り機構の前後に圧力差が生じる。この圧力差と流量との間にはある一定の関係があるので、差圧を導圧管によって差圧計に導いて電気信号に変換し演算することにより、その信号から管路内を流れる被測定流体の流量を算出することができる。この原理に基づいて管路内を定常流で流れる液体、気体、蒸気等の各種流体の流量を測定する計測器が差圧流量計である。差圧流量計は、通常ベンチュリー管、フローノズル、オリフィス等の絞り機構と、絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定し所定の演算を行って流量を算出し所定の電気信号に変換して出力する差圧発信器(差圧伝送器ともいう)とから構成されている。
【0003】
従来の一般的な差圧発信器が測定した差圧を用いて行う演算の例を式(1)に示す。この場合、差圧発信器は、測定した差圧を式(1)のΔPに当てはめて演算を行い、管路内を流れる流体の流量Qを算出している。ここで、Fはスケールファクター、T1は設計上の流体の温度、P1は設計上の高圧側圧力、ΔPは発生差圧、ΔPSPANは流量レンジに対応する差圧レンジである。
【0004】
【数1】
【0005】
このような差圧発信器は、被測定流体の温度が変化すると密度も変化するため、測定誤差が生じるという問題があった。このため、被測定流体が所定の温度であることを前提に式(1)で仮の流量を求め、この値を温度に基づいて補正することにより測定誤差を解消していた。これに対し、差圧のほかに被測定流体の静圧と温度を測定し、式(2)に示す演算を行い、密度変化による誤差を補正することのできる差圧発信器が提案されている。ここで、Q’は補正後の流量、T1’は測定した流体の温度、P1’は測定した上流側圧力(静圧)である。なお、式(1)と同符号は式(1)と同じものを示す。
【0006】
【数2】
【0007】
このように、差圧のほかに被測定流体の静圧と温度を測定し、式(2)に示す演算を行うことにより、被測定流体の温度変化による測定誤差を抑制することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の差圧流量計は、流量値を示す電気信号が測定すべき流量値のときに最も測定精度が高くなるように、あらかじめ測定する流量の範囲(流量レンジ)が定められている。すなわち、測定する流体の種類と流量レンジに合わせて絞り機構の種類と口径や絞り径を選択し、これら選択された絞り機構に前記流量レンジに対応する流量が流れたときに生じる差圧の範囲(差圧レンジ)をあらかじめ算出しておき、式(1)や式(2)に示すΔPSPANのように定数として与えておく必要がある。
【0009】
しかしながら、差圧レンジΔPSPANを求めるには差圧計算の知識を必要とし、複雑な繰り返し計算を行わなければ差圧レンジを決定することができないため、差圧発信器のレンジ設定はメーカの工場で出荷前に行われていた。このため、測定すべき流量値を変更する場合など、ユーザが流量レンジを変更しようとしてもすぐに変更することができず、変更したいレンジの情報などをメーカに知らせて差圧計算を依頼し、新しい流量レンジに対応した差圧レンジを通知してもらう必要があった。
【0010】
よって、ユーザにとって待ち時間が生じるとともに、メーカにとってもレンジ変更の依頼ごとにその都度対応する必要があり、共に煩わしいという問題があった。特に、測定すべき流量値が未知で、およその流量しか分からない流体を計測しようとする場合、レンジ変更を繰り返し行うことになり、ユーザにとってもメーカにとっても使い勝手の悪い計測器となっていた。
【0011】
本発明の主たる目的は、上述した問題を解決するためになされたものであり、絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定して流量を求める差圧発信器において、複雑な繰り返し計算を伴う差圧計算により差圧レンジを求めることなく流量を求めることができる差圧発信器を提供することである。また、測定すべき流体の流量レンジが不明であっても、ユーザの手を煩わすことなく最適な流量レンジの設定が可能な差圧発信器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定して流量を求める差圧発信器において、絞り機構の前後の差圧を測定する差圧測定手段と、流体の静圧を測定する圧力測定手段と、流体の温度を測定する温度測定手段と、流体の情報と絞り機構の情報とを設定するパラメータ設定手段と、差圧、静圧および温度を入力条件とし流体の情報と絞り機構の情報とによって定まる所定の演算式に基づいて流体の流量を算出する流量演算手段と、流量演算手段が算出した流量を所定の電気信号に変換して出力する出力手段とを有することによって特徴づけられる。この場合、出力手段には、算出した流量値を4−20mAのアナログ信号に変換して出力するものや、算出した流量値を数値化し、デジタル信号やパルス信号に変換して出力するものが含まれる。
【0013】
この差圧発信器は、流量演算手段が演算式に含まれる係数を差圧と静圧と温度と流体の情報と絞り機構の情報とに基づいて求める。この場合、差圧発信器は、パラメータ設定手段により流体の情報と絞り機構の情報とを設定することにより、流量演算手段が流体の流量を算出する所定の差圧レンジΔPSPANを含まない演算式で用いる複数の係数を、測定する流体と使用する絞り機構に適合した値とするとともに、測定した静圧と温度とに基づいて、これらに係わる係数ごとに補正した上で流量の演算を行い、差圧計算なしに流量を算出する。
【0014】
この差圧発信器の一構成例は、流量演算手段が算出した実流量に基づいて出力手段が出力する電気信号における実流量の流量レンジを決定する流量レンジ設定手段をさらに有する。この場合、出力手段は、例えば流量値を4−20mAのアナログ信号に変換して出力するものであり、流量レンジ設定手段は、流量レンジを所定タイミングにおける実流量値に基づいて、この実流量値があらかじめ指定された条件に応じた比率で流量レンジの範囲内となるように流量レンジの最大値を決定する流量レンジ設定演算部と、この流量レンジ設定演算部が決定した流量レンジを格納する流量レンジ情報格納部とからなる。
【0015】
このように構成したので、この差圧発信器によれば、例えば一定時間中に測定した実流量の最大値がフルスケールに対して所定の割合となるような流量レンジの最大流量値を算出し、流量レンジの最大値として設定することにより、4−20mAのアナログ信号出力に対応した最適な流量レンジが自動的に設定可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図を用いて発明の実施の形態を説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明に係る差圧発信器を備えた差圧流量計の構成を示すブロック図であり、本発明の一実施の形態を示す。図1において、差圧発信器1は、差圧センサ11、静圧センサ12、温度センサ13、A/D変換回路14、マイクロプロセッサ部15、D/A変換回路16、デジタル入出力回路17およびパルス出力回路18を有し、管路2に挿入される絞り機構3と2つの導圧管4で接続され差圧流量計を構成している。
【0017】
ここで、2つの導圧管4は、それぞれ一端が絞り機構3の上流側と下流側に接続されており、他端が差圧センサ11に接続されている。さらに、上流側の導圧管4の他端側は静圧センサ12にも接続されている。また、この差圧発信器1は、A/D変換回路14に接続された信号端子19を備えており、例えば絞り機構3の下流側に接続された管路2に取り付けられた外部温度センサ5と接続され、管路2内を流れる流体の温度データをアナログ信号で取り込み可能に構成されている。
【0018】
また、この差圧発信器1は、図示しない電源回路に直流電圧を供給するとともに、D/A変換回路16から出力される4−20mAのアナログ信号とデジタル入出力回路17で送受信されるデジタル信号の伝送路となる1対の電線6と接続されるように構成されている。この1対の電線6には、直流電源(図示せず)と通信用抵抗(図示せず)が接続されるとともに、この差圧発信器1に後述する各種設定を行うコミュニケータ7が必要に応じて接続される。
【0019】
このような構成において、差圧センサ11は絞り機構2の前後に生じる流体の差圧を測定しており、静圧センサ12は管路4を流れる流体の圧力を絶対圧で測定している。この場合、差圧センサ11と静圧センサ12は、共に半導体歪ゲージセンサで構成されており、圧力値を示すアナログ信号がそれぞれA/D変換回路14に入力されている。
【0020】
温度センサ13は、差圧センサ11に取り付けられてその温度を測定しており、差圧センサ11の温度補償に用いられている。この温度センサ13は、測定した差圧センサ11の温度を示すアナログ信号がA/D変換回路14にも入力されており、間接的に測定した流体温度を示す流体温度センサとして用いることが可能である。なお、図示しないが静圧センサ12にも同様の温度補償用温度センサが取り付けられているので、こちらの温度センサを流体温度センサとして用いるようにしてもよい。
【0021】
A/D変換回路14は、差圧センサ11、静圧センサ12、温度センサ13および信号端子19に接続された外部温度センサ5から入力されるアナログ信号をデジタルデータに変換し出力する。
【0022】
マイクロプロセッサ部15は、A/D変換回路14から出力されるデジタルデータ化された差圧データと静圧データと温度データを入力条件とし流体の情報と絞り機構の情報とによって定まる後述する所定の演算式に基づいて流体の流量を算出し、結果をパルス出力回路18へ出力する。また、自身の内部に格納された流量レンジ情報に基づいて、算出した流量値を4−20mAのアナログ信号に対応したデジタルデータに変換し、D/A変換回路16へ出力する。また、マイクロプロセッサ部15は、デジタル入出力回路17が受信したコミュニケータ7からの命令やデータを読み取り処理するとともに、命令に応じて自身の内部に格納された情報をデジタル入出力回路17へ出力する。
【0023】
この場合、マイクロプロセッサ部15は、CPU、RAM、ROMおよびEPROMを有しており、ROMに前述した処理を実現するプログラムが格納されている。また、EPROMに流体情報と絞り機構情報と流量レンジ情報が格納されている。ここで、CPUはROMに格納されたプログラムを実行する中央演算処理装置、RAMはCPUによって使用される一時記憶装置、ROMは読み出し専用記憶装置、EPROMは電気的にデータ消去可能な不揮発性記憶装置である。
【0024】
D/A変換回路16は、マイクロプロセッサ部15から出力されたデジタルデータを4−20mAのアナログ信号に変換し、信号伝送路の電線6へ出力する。パルス出力回路18は、マイクロプロセッサ部15から出力された流量値を示すデジタルデータを所定のパルス信号に変換し出力する。この場合、パルス信号は、一定時間内のパルス数で流量を示すように構成され、例えば1リットル当たり10個のパルスを基準として流量を示すようにする。
【0025】
デジタル入出力回路17は、信号伝送路の電線6を介してコミュニケータ7から送信されたデジタル信号を受信するとともに、マイクロプロセッサ部15から出力された情報を信号伝送路の電線6を介してコミュニケータ7へ送信する。
【0026】
図2は、差圧発信器1の機能構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、この差圧発信器は、差圧測定部21、静圧測定部22、温度測定部23、流体情報格納部24、絞り機構情報格納部25、流量レンジ情報格納部26、通信処理部27、流量演算部28、パルス出力部29およびアナログ出力部30を有する。
【0027】
差圧測定部21は、差圧測定手段として作用し、絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定し流量演算部28に入力する機能を有する。この場合、差圧測定部21は、差圧センサ11、A/D変換回路14、マイクロプロセッサ部15およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納された差圧データ生成プログラムから構成され、差圧センサ11が測定した差圧を示すアナログ信号がA/D変換回路14でデジタル信号に変換された後、CPUにより実行される差圧データ生成プログラムがこのデジタル信号をPaを単位とする圧力の数値データに変換する。
【0028】
静圧測定部22は、静圧測定手段として作用し、絞り機構の上流側で測定した流体の静圧を流量演算部28に入力する機能を有する。この場合、静圧測定部22は、静圧センサ12、A/D変換回路14、マイクロプロセッサ部15およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納された静圧データ生成プログラムから構成され、静圧センサ12が測定した静圧を示すアナログ信号がA/D変換回路14でデジタル信号に変換された後、CPUにより実行される静圧データ生成プログラムがこのデジタル信号をkPaを単位とする絶対圧の数値データに変換する。
【0029】
温度測定部23は、温度測定手段として作用し、流体の温度を測定し流量演算部28に入力する機能を有する。この場合、温度測定部23は、外部温度センサ5若しくは温度センサ13、A/D変換回路14、マイクロプロセッサ部15およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納された温度データ生成プログラムから構成され、外部温度センサ5若しくは温度センサ13が測定した温度を示すアナログ信号がA/D変換回路14でデジタル信号に変換された後、CPUにより実行される温度データ生成プログラムがこのデジタル信号をKを単位とする絶対温度の数値データに変換する。
【0030】
流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25と流量レンジ情報格納部26と通信処理部27は、パラメータ設定手段を構成する。この場合、流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25と流量レンジ情報格納部26は、マイクロプロセッサ部15のEPROMの所定記憶領域に配置されている。流体情報格納部24には、流体情報として、測定する流体の比重、比熱比、組成および粘度のデータと、測定する流体により決まる後述する所定の演算式で用いる定数とが格納される。絞り機構情報格納部25には、絞り機構情報として、使用する絞りの種類と絞り径、上流側管径および使用する絞りにより決まる後述する所定の演算式で用いる定数が格納される。流量レンジ情報格納部26には、流量レンジ情報として、4−20mAのアナログ信号で示される最大流量値が格納される。
【0031】
通信処理部27は、マイクロプロセッサ部15とデジタル入出力回路17とマイクロプロセッサ部15のROMに格納された通信処理プログラムから構成され、CPUにより実行される通信処理プログラムがデジタル入出力回路17を制御し、コミュニケータ7との通信を行う。さらに、コミュニケータ7からデータ書き込み命令とともにデータを受信すると受信したデータをデータ書き込み命令で指定された情報格納部に書き込む。これにより、コミュニケータ7により後述する所定の演算式に代入する流体情報や絞り機構情報の各種パラメータを流体情報格納部24や絞り機構情報格納部25に書き込むことが可能となる。また、流量レンジ情報格納部26に流量レンジのデータを設定したり、書き替えたりすることができる。
【0032】
流量演算部28は、流体の流量を算出する演算手段として作用する。この場合、流量演算部28はマイクロプロセッサ部15およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納された流量演算プログラムから構成されており、CPUが流量演算プログラムを実行することにより、差圧測定部21から入力される差圧データ、静圧測定部22から入力される静圧データおよび温度測定部23から入力される温度データと、流体情報格納部24に格納された流体情報と、絞り機構情報格納部25に格納された絞り機構情報とを用いた後述する所定の演算式の計算が行われ、流量が求められる。
【0033】
パルス出力部29とアナログ出力部30は、流量演算部28が算出した流量を所定の電気信号に変換して出力する出力手段として作用する。この場合、パルス出力部29はパルス出力回路18で構成され、流量値を示すデジタルデータを所定のパルス信号に変換し出力する。アナログ出力部30は、マイクロプロセッサ部15、D/A変換回路16およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納されたレンジング処理プログラムから構成され、CPUによって実行されるレンジング処理プログラムにより、流量演算部28が算出した流量値を流量レンジ情報格納部26に格納された最大流量値に基づいて4−20mAのアナログ信号に対応した流量レンジの比率に変換した後、D/A変換回路16が4−20mAのアナログ信号に変換し出力する。
【0034】
次に、実施の形態1に係る差圧発信器の流量算出方法を説明する。この差圧発信器は、最初に流体情報と絞り機構情報と流量レンジ情報とを設定する「パラメータ設定」を行うことにより流量測定が可能となる。この「パラメータ設定」によって設定された情報は、マイクロプロセッサ部15のEPROMに格納されるため電源が切れても保存されているので、一度設定すれば以後の「パラメータ設定」は流体や絞り機構に変更がない限り不要である。
【0035】
「パラメータ設定」は、コミュニケータ7を用いて差圧発信器1に流体情報と絞り機構情報と流量レンジ情報とを設定することにより行う。この場合、コミュニケータ7に設定する情報を入力し書き込み操作を行うと、入力された情報が書き込み命令とともに伝送路の電線6を介して通信処理部27に送信される。通信処理部27は、コミュニケータ7から送信されたデータを受信して解析し、それが書き込み命令であれば書き込み命令に続くデータを書き込み命令で指定された格納先に書き込む。ここでは、流体情報が流体情報格納部24へ、絞り機構情報が絞り機構情報格納部25へ、流量レンジ情報が流量レンジ情報格納部26へそれぞれ書き込まれる。
【0036】
「パラメータ設定」が行われた差圧発信器は、測定開始時に流量演算部28が流量計算に用いる計算式の係数を測定する流体と使用する絞り機構に適合した値とする「係数演算」を行うとともに、所定周期で測定した差圧と静圧と温度とに基づいて係数を補正した上で流量を算出する「流量演算」を行い、差圧レンジに関係なく直接流量を算出する。以下、気体の体積流量を測定する場合を例に説明する。式(3)は、流量演算部28が気体の体積流量Qvを算出するときに用いる計算式である。
【0037】
【数3】
【0038】
式(3)においては、pは測定した静圧であり、Δpは測定した差圧である。また、Aqは流量表示の状態によって決まる係数であり、例えば、流量を標準状態(0℃、101.325kPa)で表す設定のときは「係数演算」において、Aq=0.005773となる。この場合、Aqの値は流体情報格納部24を参照することにより得られる。
【0039】
式(3)で、C0は限界レイノルズ数における流出係数であり、「係数演算」において、計算に用いる流出係数計算式を使用する絞りの種類に合わせて選択し、この計算式に絞り径、上流側管径および上流側管径に対応する限界レイノルズ数を代入して算出する。例として、絞りにフローノズルであるISA 1932ノズルを用いたときの流出係数計算式を式(4)に示す。
【0040】
【数4】
【0041】
式(4)で、βは絞り径をd、上流側管径をDで表したときに、β=d/Dで算出される定数であり、絞り径比を示す。ReD(lim)は、上流側管径に対応する限界レイノルズ数である。この場合、d、DおよびReD(lim)は、絞り機構情報格納部25を参照することにより得られる。
【0042】
式(3)で、Eは近寄り速度係数であり、「係数演算」において、近寄り速度係数計算式に絞り径dと上流側管径Dが代入されて算出される。近寄り速度係数計算式を式(5)に示す。この場合も、dとDは絞り機構情報格納部25を参照することにより得られる。
【0043】
【数5】
【0044】
式(3)で、dは絞り径であり、「係数演算」において、絞り機構情報格納部25を参照して得た絞り径の2乗が算出される。
【0045】
式(3)で、εは気体の膨張補正係数である。この係数は、使用する絞りの種類により係数を算出する計算式が異なるとともに、差圧と静圧により値が変化する。このため、「係数演算」において、計算に用いる膨張補正係数計算式を使用する絞りの種類に合わせて選択し、差圧と静圧以外の定数をこの計算式に設定しておき、「流量演算」で測定した差圧と静圧を計算式に代入し、気体の膨張補正係数εを算出する。例として、絞りにフローノズルであるISA 1932ノズルを用いたときの気体の膨張補正係数計算式を式(6)に示す。
【0046】
【数6】
【0047】
式(6)で、κはアイゼントロピック指数であり、気体の組成から算出することができる。なお、ここではCPUの計算量削減のため、あらかじめ算出しておいた近似値をデータテーブルとして持ち、気体の組成に応じて選択し設定する。βは、式(4)で説明した絞り径比であり、絞り径dと上流側管径Dから算出する。τは差圧をΔp、静圧をpで表したときに、τ=1−Δp/pで算出される定数であり、圧力比を示す。
【0048】
式(3)で、FGは気体の比重補正係数であり、「係数演算」において、比重補正係数計算式に気体の比重Gを代入して算出する。比重補正係数計算式を式(7)に示す。この場合、Gは流体情報格納部24を参照することにより得られる。
【0049】
【数7】
【0050】
式(3)で、FZは気体の圧縮係数による補正係数である。この係数は、気体の種類により計算式の定数が異なるとともに、静圧と温度により値が変化する。このため、「係数演算」において、計算に用いる圧縮係数による補正係数計算式の静圧と温度とを除いた定数を測定する気体の組成に合わせて設定しておき、「流量演算」で測定した静圧と温度を計算式に代入し、気体の圧縮係数による補正係数FZを算出する。圧縮係数による補正係数計算式を式(8)に示す。
【0051】
【数8】
【0052】
式(8)で、Zは流動状態の気体の圧縮係数であり、Zbは標準状態での気体の圧縮係数である。ここで、Zは公知の計算式に測定した静圧と温度を代入して算出した係数であり、Zbは気体組成から算出する標準状態での係数である。
【0053】
式(3)で、Ftは気体の温度補正係数である。この係数は、温度のみに依存して値が変化するので、「流量演算」で測定した温度を温度補正係数計算式に代入し、温度補正係数Ftを算出する。温度補正係数計算式を式(9)に示す。
【0054】
【数9】
【0055】
式(3)で、FMは気体の湿度補正係数である。この係数は、気体中の水蒸気量(湿度)と気体の静圧により値が変化する。このため、「係数演算」において、計算に用いる湿度補正係数計算式の静圧以外の定数を流体情報格納部24から読み出して設定しておき、「流量演算」で測定した静圧を計算式に代入し、湿度補正係数FMを算出する。湿度補正係数計算式を式(10)に示す。
【0056】
【数10】
【0057】
式(10)で、pは静圧、ψは気体の相対湿度、pDは気体の飽和水蒸気圧を示す。この場合、ψとpDは「係数演算」において設定する定数であり、pは「流量演算」で計算式に代入する測定値である。なお、気体が水蒸気を含まない場合は、FM=1として計算する。
【0058】
式(3)で、Frはレイノルズ数における補正係数である。この係数は、使用する絞りの種類により係数を算出する計算式が異なるとともに、流量により値が変化する。このため、流動状態のレイノルズ数ReDにおける流出係数をC、限界レイノルズ数ReD(lim)における流出係数をC0で表したときに、「流量演算」においてC/C0が収束するまで繰り返し計算して求める。例として、絞りにフローノズルであるISA 1932ノズルを用いたときの流出係数Cの計算式を式(11)に示す。この場合、流出係数C0は前述した式(4)で求めた定数である。
【0059】
【数11】
【0060】
式(11)で、βは前述した式(4)で説明した絞り径比であり、絞り径dと上流側管径Dから算出する。ReDは流動状態のレイノルズ数であり、式(12)に示す計算式をFrが収束するまで繰り返し計算を行って算出する。
【0061】
【数12】
【0062】
式(12)で、Gは気体の比重、Qv’は体積流量の近似値、Dは上流側管径、μは流動状態の気体の粘度である。ここで、GとDはそれぞれ流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25に格納された定数であり、「係数演算」においてそれぞれ流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25から読み出されて設定される。μは気体の圧力と温度により変化する値であり、「流量演算」において、測定した静圧と温度に基づいて流体情報格納部24に格納された当該気体のそれぞれの圧力と温度における粘度が記録されたデータテーブルを検索して求める。
【0063】
Qv’はReDの計算を行うたびに変化する変数である。1回目の計算において、Qv’には式(3)において、Frを1として計算した結果を代入する。2回目の計算においては、式(3)のFrに1回目の計算結果に基づいて算出した値を代入して計算した流量値を代入する。以後、同様にFrが収束するまで繰り返し計算を行う。
【0064】
次に、図3を参照して流量演算部28の計算手順を説明する。図3は流量演算部28の計算手順を示すフローチャートである。測定を開始すると「係数演算」を実行し、流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25から所定のデータを読み出し、Aq、C0、E、d2、FGをそれぞれ算出する(ステップS01)。次に、「流量演算」を実行し、差圧測定部21、静圧測定部22および温度測定部23から、それぞれ差圧Δp、静圧pおよび温度tのデータを読み出し、ε、Fz、Ft、FMをそれぞれ算出する(ステップS02)。次に、ステップS01で算出した係数(Aq、C0、E、d2、FG)、ステップS02で算出した係数(ε、Fz、Ft、FM)、差圧Δpおよび静圧pを用いて式(13)に示す計算を実行し、流量の近似値Qv’を算出する(ステップS03)。
【0065】
【数13】
【0066】
次に、前述した流動状態のレイノルズ数ReDを計算する式(12)のQv’にステップS03で算出した流量の近似値Qv’のデータを代入し、流動状態のレイノルズ数ReDの近似値を算出する(ステップS04)。次に、前述した流動状態のレイノルズ数ReDにおける流出係数Cを計算する式(11)のReDにステップS04で算出した流動状態のレイノルズ数ReDの近似値を代入し、流動状態のレイノルズ数ReDにおける流出係数Cを算出する(ステップS05)。
【0067】
次に、ステップS01で算出した限界レイノルズ数における流出係数C0とステップS05で算出した流動状態のレイノルズ数ReDにおける流出係数Cを用いてレイノルズ数における補正係数Frの近似値を算出する計算(Fr=C/C0)を行う(ステップS06)。次に、ステップS01で算出した係数(Aq、C0、E、d2、FG)、ステップS02で算出した係数(ε、Fz、Ft、FM)、ステップS06で算出した係数(Fr)、差圧Δpおよび静圧pを用いて式(3)に示す計算を実行し、流量Qvを算出する(ステップS07)。
【0068】
次に、ステップS03で算出した流量の近似値Qv’とステップS07で算出した流量Qvを比較し(ステップS08)、その差が所定値以内であれば流量Qvを出力する(ステップS09)。一方、その差が所定値を超えていたときは、流量Qvを流量の近似値Qv’とし(ステップS10)、Qv’とQvの差が所定値以内に収束するまでステップS04からステップS08を繰り返す。なお、あらかじめ収束するまでの計算回数が分かっているときは、ステップS04からステップS08を所定回数繰り返した後、ステップS09を実行するようにしてもよい。
【0069】
この差圧発信器は、最初に流体情報と絞り機構情報とを設定する「パラメータ設定」を行うことにより、流量演算式で用いる係数を測定する流体と使用する絞り機構に適合した値とするとともに、測定した差圧と静圧と温度とに基づいて係数を補正した上で流量の演算を行うので、差圧レンジに関係なく直接流量を求めることができる。これにより、流量レンジの変更を行う場合でも4−20mAのアナログ信号の最大流量値を変更するだけで対応することができるので、流量レンジを変更するのに複雑な計算を繰り返して差圧レンジを求める必要がある従来の差圧発信器のようにユーザがメーカの支援を受ける必要がなくなる。このため、短時間で素早く流量変更ができ、待ち時間が生じないため、流量変更に伴う煩わしさが解消される。
【0070】
さらに、実流量が直接求められるので、およその流量しか分からない流体を計測しようとする場合であっても、1回の測定を行うだけで流量レンジを決定でき、所望の流量レンジに変更することができる。このため、ユーザの使い勝手が向上する。また、測定した静圧や温度のデータを用いてこれらが係わる係数ごとに補正を行うので、一括して静圧と温度の補正を行う従来の差圧発信器に比べてより正確な流量値が得られる。
【0071】
実施の形態1では、気体の体積流量Qvを標準状態の流量で表示する計算式を例に説明したが、質量流量Qmを測定することも可能である。この場合、体積流量Qvを算出した後に、式(14)に示す計算を行うことにより質量流量Qmを算出することができる。
【0072】
【数14】
【0073】
式(14)で、ρは流体の密度であり、ここではρを気体の比重Gと標準状態の空気密度ρaの積(ρ=ρa×G)から算出している。なお、使用する流体の密度が分かっているときは、直接ρの値を設定するようにしてもよい。また、実施の形態1では、流量の算出に式(3)に示す計算式を用いたが、計算式はこれに限られるものでなく、必要に応じて近似式を用いるようにしてもよい。また、各係数の計算式についても、必要に応じて近似式を用いるようにしてもよい。
【0074】
[実施の形態2]
図4は、実施の形態2に係る差圧発信器の機能構成を示す機能ブロック図である。図4において、図2と同符号は図2と同様の機能ブロックを示す。実施の形態2の差圧発信器が実施の形態1と異なる点は、さらに流量レンジ設定演算部31を備えたことと、通信処理部27がコミュニケータ7から送信された流量レンジ設定命令と設定データを受信すると、流量レンジ設定演算部31を起動するようにしたことである。
【0075】
ここで、流量レンジ設定演算部31は、流量レンジ設定手段として作用する。この場合、流量レンジ設定演算部31は、マイクロプロセッサ部15およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納された流量レンジ設定演算プログラムから構成されており、CPUが流量レンジ設定演算プログラムを実行することにより、流量演算部28が算出した実流量に基づいて、アナログ出力部30が出力する4−20mAのアナログ信号に対応した流量レンジの最大流量値を算出し、流量レンジを決定する。
【0076】
以下、図5を参照して流量レンジ設定演算部31の動作を説明する。図5は、流量レンジ設定演算部31の動作を説明するフローチャートである。流量レンジ設定演算部31は、起動すると所定時間の間、流量演算部28が出力する流量値を監視し、所定時間中における流量の最大値を検出する(ステップS21)。所定時間は、例えば24時間のような固定値としてもよいし、コミュニケータ7の流量レンジ設定命令送信時にユーザが指定するようにしてもよい。
【0077】
所定時間経過後、検出された流量の最大値が、フルスケールに対して所定の割合となるような流量レンジの最大流量値を算出し(ステップS22)、流量レンジ情報として流量レンジ情報格納部26に最大流量値を格納する(ステップS23)。フルスケールに対する割合は、例えばフルスケールの80%のような固定値としてもよいし、コミュニケータ7の流量レンジ設定命令送信時にユーザが指定するようにしてもよい。なお、設定された流量レンジは、コミュニケータ7を用いて流量レンジ情報格納部26から読み出すことができるので、ユーザは出力される4−20mAのアナログ信号に対応する流量を知ることができる。
【0078】
実施の形態2の差圧発信器によれば、自身が測定した実流量に基づいて4−20mAのアナログ信号出力に対応した流量レンジを自動的に設定することができるので、測定しようとする流体について、流量が全く分からない場合や、およその流量しか分からない場合であっても、ユーザが容易に流量レンジの設定を行うことができる。よって、この差圧発信器は、実施の形態1で説明した効果に加えて、ユーザの手を煩わすことなく最適な流量レンジの設定が可能となる効果を有する。
【0079】
実施の形態2では、コミュニケータ7から流量レンジ設定命令と設定データを送信する例について説明したが、流量レンジ設定を差圧発信器に付加するローカル指示計で行うようにしてもよい。この場合、例えば、ローカル指示計に流量レンジ設定用のスイッチを設けて、このスイッチのONをデジタル入出力回路17で検出するようにすればよい。ここで、流量レンジ設定完了後にローカル指示計に流量レンジを表示するようにするとユーザの利便性をさらに高めることができる。なお、設定データは、コミュニケータ7から指示するか、あるいはメーカ設定の固定値としておくとよい。
【0080】
また、実施の形態1および実施の形態2において、コミュニケータ7を4−20mAのアナログ信号の伝送路となる1対の電線6を介して通信処理部27と命令やデータの送受信を行うものとして説明したが、コミュニケータ7と通信処理部27の接続手段はこれに限られるものではない。例えば、周知のシリアル通信手段やパラレル通信手段などの有線通信手段を用いて接続してもよいし、電波、赤外線、光および電磁誘導などによる無線通信手段を用いて接続してもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の差圧発信器は、絞り機構の前後の差圧を測定する差圧測定手段と、流体の静圧を測定する圧力測定手段と、流体の温度を測定する温度測定手段と、絞り機構の情報および流体の情報を設定するパラメータ設定手段と、差圧、静圧および温度を入力条件とし流体の情報と絞り機構の情報とによって定まる所定の演算式に基づいて流体の流量を算出する流量演算手段と、流量演算手段が算出した流量を所定の電気信号に変換して出力する出力手段とを有するので、流体情報と絞り機構情報を設定することにより、所定の演算式で用いる係数を測定する流体と使用する絞り機構に適合した値とするとともに、測定した静圧と温度とに基づいてこれらに係わる係数ごとに補正した上で流量の演算を行うので差圧レンジに関係する係数がなく、差圧計算なしに直接流量を求めることができる。
【0082】
このため、一括して静圧と温度の補正を行う従来の差圧発信器に比べてより正確な流量値が得られる効果を有する。また、流量レンジの変更を行う場合、4−20mAのアナログ信号の最大流量値を変更するだけで対応することができるので、流量レンジを容易に変更することができる。よって、流量レンジを変更するのに複雑な計算を繰り返して差圧レンジを求める必要がある従来の差圧発信器のようにユーザがメーカの支援を受ける必要がなくなるので、短時間で素早く流量変更ができ、待ち時間が生じないため、流量変更に伴う煩わしさが解消される効果を有する。
【0083】
また、実流量が直接求められるため、およその流量しか分からない流体を計測しようとする場合であっても1回の測定を行うだけで流量レンジを決定できるので、ユーザの使い勝手が向上する効果を有する。また、メーカにとっても、差圧レンジの計算や設定を行う手間がなくなるとともに、差圧発信器製造時に、差圧発信器に組み込まれるセンサのレンジによる校正のみを行えばよいので、従来行っていた流体条件と絞り機構の条件とから求める差圧レンジによる校正の手間が省け、製造工程の簡略化が図れる効果が得られる。
【0084】
また、本発明の差圧発信器は、前述した手段に加えて、演算手段が算出した実流量に基づいて出力手段が出力する電気信号における実流量の流量レンジを決定する流量レンジ設定手段をさらに有するので、自身が測定した実流量に基づいて4−20mAのアナログ信号出力に対応した流量レンジを自動的に設定することが可能となる。このため、測定しようとする流体について、流量が全く分からない場合や、およその流量しか分からない場合であっても、ユーザが容易に流量レンジの設定を行うことができるので、ユーザの手を煩わすことなく最適な流量レンジの設定が可能となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る差圧発信器を備えた差圧流量計の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の差圧発信器の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図2の流量演算部の計算手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態2に係る差圧発信器の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図4の流量レンジ設定演算部の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…差圧発信器、2…管路、3…絞り機構、4…導圧管、5…外部温度センサ、6…信号伝送路の電線、7…コミュニケータ、11…差圧センサ、12…静圧センサ、13…温度センサ、14…A/D変換回路、15…マイクロプロセッサ部、16…D/A変換回路、17…デジタル入出力回路、18…パルス出力回路、19…信号端子、21…差圧測定部、22…静圧測定部、23…温度測定部、24…流体情報格納部、25…絞り機構情報格納部、26…流量レンジ情報格納部、27…通信処理部、28…流量演算部、29…パルス出力部、30…アナログ出力部、31…流量レンジ設定演算部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定して流量を算出する差圧発信器に関する。
【0002】
【従来の技術】
管路の途中に管路の断面積を狭くする絞り機構を設けると、そこを被測定流体が流れるとき、絞り機構の前後に圧力差が生じる。この圧力差と流量との間にはある一定の関係があるので、差圧を導圧管によって差圧計に導いて電気信号に変換し演算することにより、その信号から管路内を流れる被測定流体の流量を算出することができる。この原理に基づいて管路内を定常流で流れる液体、気体、蒸気等の各種流体の流量を測定する計測器が差圧流量計である。差圧流量計は、通常ベンチュリー管、フローノズル、オリフィス等の絞り機構と、絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定し所定の演算を行って流量を算出し所定の電気信号に変換して出力する差圧発信器(差圧伝送器ともいう)とから構成されている。
【0003】
従来の一般的な差圧発信器が測定した差圧を用いて行う演算の例を式(1)に示す。この場合、差圧発信器は、測定した差圧を式(1)のΔPに当てはめて演算を行い、管路内を流れる流体の流量Qを算出している。ここで、Fはスケールファクター、T1は設計上の流体の温度、P1は設計上の高圧側圧力、ΔPは発生差圧、ΔPSPANは流量レンジに対応する差圧レンジである。
【0004】
【数1】
【0005】
このような差圧発信器は、被測定流体の温度が変化すると密度も変化するため、測定誤差が生じるという問題があった。このため、被測定流体が所定の温度であることを前提に式(1)で仮の流量を求め、この値を温度に基づいて補正することにより測定誤差を解消していた。これに対し、差圧のほかに被測定流体の静圧と温度を測定し、式(2)に示す演算を行い、密度変化による誤差を補正することのできる差圧発信器が提案されている。ここで、Q’は補正後の流量、T1’は測定した流体の温度、P1’は測定した上流側圧力(静圧)である。なお、式(1)と同符号は式(1)と同じものを示す。
【0006】
【数2】
【0007】
このように、差圧のほかに被測定流体の静圧と温度を測定し、式(2)に示す演算を行うことにより、被測定流体の温度変化による測定誤差を抑制することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の差圧流量計は、流量値を示す電気信号が測定すべき流量値のときに最も測定精度が高くなるように、あらかじめ測定する流量の範囲(流量レンジ)が定められている。すなわち、測定する流体の種類と流量レンジに合わせて絞り機構の種類と口径や絞り径を選択し、これら選択された絞り機構に前記流量レンジに対応する流量が流れたときに生じる差圧の範囲(差圧レンジ)をあらかじめ算出しておき、式(1)や式(2)に示すΔPSPANのように定数として与えておく必要がある。
【0009】
しかしながら、差圧レンジΔPSPANを求めるには差圧計算の知識を必要とし、複雑な繰り返し計算を行わなければ差圧レンジを決定することができないため、差圧発信器のレンジ設定はメーカの工場で出荷前に行われていた。このため、測定すべき流量値を変更する場合など、ユーザが流量レンジを変更しようとしてもすぐに変更することができず、変更したいレンジの情報などをメーカに知らせて差圧計算を依頼し、新しい流量レンジに対応した差圧レンジを通知してもらう必要があった。
【0010】
よって、ユーザにとって待ち時間が生じるとともに、メーカにとってもレンジ変更の依頼ごとにその都度対応する必要があり、共に煩わしいという問題があった。特に、測定すべき流量値が未知で、およその流量しか分からない流体を計測しようとする場合、レンジ変更を繰り返し行うことになり、ユーザにとってもメーカにとっても使い勝手の悪い計測器となっていた。
【0011】
本発明の主たる目的は、上述した問題を解決するためになされたものであり、絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定して流量を求める差圧発信器において、複雑な繰り返し計算を伴う差圧計算により差圧レンジを求めることなく流量を求めることができる差圧発信器を提供することである。また、測定すべき流体の流量レンジが不明であっても、ユーザの手を煩わすことなく最適な流量レンジの設定が可能な差圧発信器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定して流量を求める差圧発信器において、絞り機構の前後の差圧を測定する差圧測定手段と、流体の静圧を測定する圧力測定手段と、流体の温度を測定する温度測定手段と、流体の情報と絞り機構の情報とを設定するパラメータ設定手段と、差圧、静圧および温度を入力条件とし流体の情報と絞り機構の情報とによって定まる所定の演算式に基づいて流体の流量を算出する流量演算手段と、流量演算手段が算出した流量を所定の電気信号に変換して出力する出力手段とを有することによって特徴づけられる。この場合、出力手段には、算出した流量値を4−20mAのアナログ信号に変換して出力するものや、算出した流量値を数値化し、デジタル信号やパルス信号に変換して出力するものが含まれる。
【0013】
この差圧発信器は、流量演算手段が演算式に含まれる係数を差圧と静圧と温度と流体の情報と絞り機構の情報とに基づいて求める。この場合、差圧発信器は、パラメータ設定手段により流体の情報と絞り機構の情報とを設定することにより、流量演算手段が流体の流量を算出する所定の差圧レンジΔPSPANを含まない演算式で用いる複数の係数を、測定する流体と使用する絞り機構に適合した値とするとともに、測定した静圧と温度とに基づいて、これらに係わる係数ごとに補正した上で流量の演算を行い、差圧計算なしに流量を算出する。
【0014】
この差圧発信器の一構成例は、流量演算手段が算出した実流量に基づいて出力手段が出力する電気信号における実流量の流量レンジを決定する流量レンジ設定手段をさらに有する。この場合、出力手段は、例えば流量値を4−20mAのアナログ信号に変換して出力するものであり、流量レンジ設定手段は、流量レンジを所定タイミングにおける実流量値に基づいて、この実流量値があらかじめ指定された条件に応じた比率で流量レンジの範囲内となるように流量レンジの最大値を決定する流量レンジ設定演算部と、この流量レンジ設定演算部が決定した流量レンジを格納する流量レンジ情報格納部とからなる。
【0015】
このように構成したので、この差圧発信器によれば、例えば一定時間中に測定した実流量の最大値がフルスケールに対して所定の割合となるような流量レンジの最大流量値を算出し、流量レンジの最大値として設定することにより、4−20mAのアナログ信号出力に対応した最適な流量レンジが自動的に設定可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図を用いて発明の実施の形態を説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明に係る差圧発信器を備えた差圧流量計の構成を示すブロック図であり、本発明の一実施の形態を示す。図1において、差圧発信器1は、差圧センサ11、静圧センサ12、温度センサ13、A/D変換回路14、マイクロプロセッサ部15、D/A変換回路16、デジタル入出力回路17およびパルス出力回路18を有し、管路2に挿入される絞り機構3と2つの導圧管4で接続され差圧流量計を構成している。
【0017】
ここで、2つの導圧管4は、それぞれ一端が絞り機構3の上流側と下流側に接続されており、他端が差圧センサ11に接続されている。さらに、上流側の導圧管4の他端側は静圧センサ12にも接続されている。また、この差圧発信器1は、A/D変換回路14に接続された信号端子19を備えており、例えば絞り機構3の下流側に接続された管路2に取り付けられた外部温度センサ5と接続され、管路2内を流れる流体の温度データをアナログ信号で取り込み可能に構成されている。
【0018】
また、この差圧発信器1は、図示しない電源回路に直流電圧を供給するとともに、D/A変換回路16から出力される4−20mAのアナログ信号とデジタル入出力回路17で送受信されるデジタル信号の伝送路となる1対の電線6と接続されるように構成されている。この1対の電線6には、直流電源(図示せず)と通信用抵抗(図示せず)が接続されるとともに、この差圧発信器1に後述する各種設定を行うコミュニケータ7が必要に応じて接続される。
【0019】
このような構成において、差圧センサ11は絞り機構2の前後に生じる流体の差圧を測定しており、静圧センサ12は管路4を流れる流体の圧力を絶対圧で測定している。この場合、差圧センサ11と静圧センサ12は、共に半導体歪ゲージセンサで構成されており、圧力値を示すアナログ信号がそれぞれA/D変換回路14に入力されている。
【0020】
温度センサ13は、差圧センサ11に取り付けられてその温度を測定しており、差圧センサ11の温度補償に用いられている。この温度センサ13は、測定した差圧センサ11の温度を示すアナログ信号がA/D変換回路14にも入力されており、間接的に測定した流体温度を示す流体温度センサとして用いることが可能である。なお、図示しないが静圧センサ12にも同様の温度補償用温度センサが取り付けられているので、こちらの温度センサを流体温度センサとして用いるようにしてもよい。
【0021】
A/D変換回路14は、差圧センサ11、静圧センサ12、温度センサ13および信号端子19に接続された外部温度センサ5から入力されるアナログ信号をデジタルデータに変換し出力する。
【0022】
マイクロプロセッサ部15は、A/D変換回路14から出力されるデジタルデータ化された差圧データと静圧データと温度データを入力条件とし流体の情報と絞り機構の情報とによって定まる後述する所定の演算式に基づいて流体の流量を算出し、結果をパルス出力回路18へ出力する。また、自身の内部に格納された流量レンジ情報に基づいて、算出した流量値を4−20mAのアナログ信号に対応したデジタルデータに変換し、D/A変換回路16へ出力する。また、マイクロプロセッサ部15は、デジタル入出力回路17が受信したコミュニケータ7からの命令やデータを読み取り処理するとともに、命令に応じて自身の内部に格納された情報をデジタル入出力回路17へ出力する。
【0023】
この場合、マイクロプロセッサ部15は、CPU、RAM、ROMおよびEPROMを有しており、ROMに前述した処理を実現するプログラムが格納されている。また、EPROMに流体情報と絞り機構情報と流量レンジ情報が格納されている。ここで、CPUはROMに格納されたプログラムを実行する中央演算処理装置、RAMはCPUによって使用される一時記憶装置、ROMは読み出し専用記憶装置、EPROMは電気的にデータ消去可能な不揮発性記憶装置である。
【0024】
D/A変換回路16は、マイクロプロセッサ部15から出力されたデジタルデータを4−20mAのアナログ信号に変換し、信号伝送路の電線6へ出力する。パルス出力回路18は、マイクロプロセッサ部15から出力された流量値を示すデジタルデータを所定のパルス信号に変換し出力する。この場合、パルス信号は、一定時間内のパルス数で流量を示すように構成され、例えば1リットル当たり10個のパルスを基準として流量を示すようにする。
【0025】
デジタル入出力回路17は、信号伝送路の電線6を介してコミュニケータ7から送信されたデジタル信号を受信するとともに、マイクロプロセッサ部15から出力された情報を信号伝送路の電線6を介してコミュニケータ7へ送信する。
【0026】
図2は、差圧発信器1の機能構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、この差圧発信器は、差圧測定部21、静圧測定部22、温度測定部23、流体情報格納部24、絞り機構情報格納部25、流量レンジ情報格納部26、通信処理部27、流量演算部28、パルス出力部29およびアナログ出力部30を有する。
【0027】
差圧測定部21は、差圧測定手段として作用し、絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定し流量演算部28に入力する機能を有する。この場合、差圧測定部21は、差圧センサ11、A/D変換回路14、マイクロプロセッサ部15およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納された差圧データ生成プログラムから構成され、差圧センサ11が測定した差圧を示すアナログ信号がA/D変換回路14でデジタル信号に変換された後、CPUにより実行される差圧データ生成プログラムがこのデジタル信号をPaを単位とする圧力の数値データに変換する。
【0028】
静圧測定部22は、静圧測定手段として作用し、絞り機構の上流側で測定した流体の静圧を流量演算部28に入力する機能を有する。この場合、静圧測定部22は、静圧センサ12、A/D変換回路14、マイクロプロセッサ部15およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納された静圧データ生成プログラムから構成され、静圧センサ12が測定した静圧を示すアナログ信号がA/D変換回路14でデジタル信号に変換された後、CPUにより実行される静圧データ生成プログラムがこのデジタル信号をkPaを単位とする絶対圧の数値データに変換する。
【0029】
温度測定部23は、温度測定手段として作用し、流体の温度を測定し流量演算部28に入力する機能を有する。この場合、温度測定部23は、外部温度センサ5若しくは温度センサ13、A/D変換回路14、マイクロプロセッサ部15およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納された温度データ生成プログラムから構成され、外部温度センサ5若しくは温度センサ13が測定した温度を示すアナログ信号がA/D変換回路14でデジタル信号に変換された後、CPUにより実行される温度データ生成プログラムがこのデジタル信号をKを単位とする絶対温度の数値データに変換する。
【0030】
流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25と流量レンジ情報格納部26と通信処理部27は、パラメータ設定手段を構成する。この場合、流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25と流量レンジ情報格納部26は、マイクロプロセッサ部15のEPROMの所定記憶領域に配置されている。流体情報格納部24には、流体情報として、測定する流体の比重、比熱比、組成および粘度のデータと、測定する流体により決まる後述する所定の演算式で用いる定数とが格納される。絞り機構情報格納部25には、絞り機構情報として、使用する絞りの種類と絞り径、上流側管径および使用する絞りにより決まる後述する所定の演算式で用いる定数が格納される。流量レンジ情報格納部26には、流量レンジ情報として、4−20mAのアナログ信号で示される最大流量値が格納される。
【0031】
通信処理部27は、マイクロプロセッサ部15とデジタル入出力回路17とマイクロプロセッサ部15のROMに格納された通信処理プログラムから構成され、CPUにより実行される通信処理プログラムがデジタル入出力回路17を制御し、コミュニケータ7との通信を行う。さらに、コミュニケータ7からデータ書き込み命令とともにデータを受信すると受信したデータをデータ書き込み命令で指定された情報格納部に書き込む。これにより、コミュニケータ7により後述する所定の演算式に代入する流体情報や絞り機構情報の各種パラメータを流体情報格納部24や絞り機構情報格納部25に書き込むことが可能となる。また、流量レンジ情報格納部26に流量レンジのデータを設定したり、書き替えたりすることができる。
【0032】
流量演算部28は、流体の流量を算出する演算手段として作用する。この場合、流量演算部28はマイクロプロセッサ部15およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納された流量演算プログラムから構成されており、CPUが流量演算プログラムを実行することにより、差圧測定部21から入力される差圧データ、静圧測定部22から入力される静圧データおよび温度測定部23から入力される温度データと、流体情報格納部24に格納された流体情報と、絞り機構情報格納部25に格納された絞り機構情報とを用いた後述する所定の演算式の計算が行われ、流量が求められる。
【0033】
パルス出力部29とアナログ出力部30は、流量演算部28が算出した流量を所定の電気信号に変換して出力する出力手段として作用する。この場合、パルス出力部29はパルス出力回路18で構成され、流量値を示すデジタルデータを所定のパルス信号に変換し出力する。アナログ出力部30は、マイクロプロセッサ部15、D/A変換回路16およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納されたレンジング処理プログラムから構成され、CPUによって実行されるレンジング処理プログラムにより、流量演算部28が算出した流量値を流量レンジ情報格納部26に格納された最大流量値に基づいて4−20mAのアナログ信号に対応した流量レンジの比率に変換した後、D/A変換回路16が4−20mAのアナログ信号に変換し出力する。
【0034】
次に、実施の形態1に係る差圧発信器の流量算出方法を説明する。この差圧発信器は、最初に流体情報と絞り機構情報と流量レンジ情報とを設定する「パラメータ設定」を行うことにより流量測定が可能となる。この「パラメータ設定」によって設定された情報は、マイクロプロセッサ部15のEPROMに格納されるため電源が切れても保存されているので、一度設定すれば以後の「パラメータ設定」は流体や絞り機構に変更がない限り不要である。
【0035】
「パラメータ設定」は、コミュニケータ7を用いて差圧発信器1に流体情報と絞り機構情報と流量レンジ情報とを設定することにより行う。この場合、コミュニケータ7に設定する情報を入力し書き込み操作を行うと、入力された情報が書き込み命令とともに伝送路の電線6を介して通信処理部27に送信される。通信処理部27は、コミュニケータ7から送信されたデータを受信して解析し、それが書き込み命令であれば書き込み命令に続くデータを書き込み命令で指定された格納先に書き込む。ここでは、流体情報が流体情報格納部24へ、絞り機構情報が絞り機構情報格納部25へ、流量レンジ情報が流量レンジ情報格納部26へそれぞれ書き込まれる。
【0036】
「パラメータ設定」が行われた差圧発信器は、測定開始時に流量演算部28が流量計算に用いる計算式の係数を測定する流体と使用する絞り機構に適合した値とする「係数演算」を行うとともに、所定周期で測定した差圧と静圧と温度とに基づいて係数を補正した上で流量を算出する「流量演算」を行い、差圧レンジに関係なく直接流量を算出する。以下、気体の体積流量を測定する場合を例に説明する。式(3)は、流量演算部28が気体の体積流量Qvを算出するときに用いる計算式である。
【0037】
【数3】
【0038】
式(3)においては、pは測定した静圧であり、Δpは測定した差圧である。また、Aqは流量表示の状態によって決まる係数であり、例えば、流量を標準状態(0℃、101.325kPa)で表す設定のときは「係数演算」において、Aq=0.005773となる。この場合、Aqの値は流体情報格納部24を参照することにより得られる。
【0039】
式(3)で、C0は限界レイノルズ数における流出係数であり、「係数演算」において、計算に用いる流出係数計算式を使用する絞りの種類に合わせて選択し、この計算式に絞り径、上流側管径および上流側管径に対応する限界レイノルズ数を代入して算出する。例として、絞りにフローノズルであるISA 1932ノズルを用いたときの流出係数計算式を式(4)に示す。
【0040】
【数4】
【0041】
式(4)で、βは絞り径をd、上流側管径をDで表したときに、β=d/Dで算出される定数であり、絞り径比を示す。ReD(lim)は、上流側管径に対応する限界レイノルズ数である。この場合、d、DおよびReD(lim)は、絞り機構情報格納部25を参照することにより得られる。
【0042】
式(3)で、Eは近寄り速度係数であり、「係数演算」において、近寄り速度係数計算式に絞り径dと上流側管径Dが代入されて算出される。近寄り速度係数計算式を式(5)に示す。この場合も、dとDは絞り機構情報格納部25を参照することにより得られる。
【0043】
【数5】
【0044】
式(3)で、dは絞り径であり、「係数演算」において、絞り機構情報格納部25を参照して得た絞り径の2乗が算出される。
【0045】
式(3)で、εは気体の膨張補正係数である。この係数は、使用する絞りの種類により係数を算出する計算式が異なるとともに、差圧と静圧により値が変化する。このため、「係数演算」において、計算に用いる膨張補正係数計算式を使用する絞りの種類に合わせて選択し、差圧と静圧以外の定数をこの計算式に設定しておき、「流量演算」で測定した差圧と静圧を計算式に代入し、気体の膨張補正係数εを算出する。例として、絞りにフローノズルであるISA 1932ノズルを用いたときの気体の膨張補正係数計算式を式(6)に示す。
【0046】
【数6】
【0047】
式(6)で、κはアイゼントロピック指数であり、気体の組成から算出することができる。なお、ここではCPUの計算量削減のため、あらかじめ算出しておいた近似値をデータテーブルとして持ち、気体の組成に応じて選択し設定する。βは、式(4)で説明した絞り径比であり、絞り径dと上流側管径Dから算出する。τは差圧をΔp、静圧をpで表したときに、τ=1−Δp/pで算出される定数であり、圧力比を示す。
【0048】
式(3)で、FGは気体の比重補正係数であり、「係数演算」において、比重補正係数計算式に気体の比重Gを代入して算出する。比重補正係数計算式を式(7)に示す。この場合、Gは流体情報格納部24を参照することにより得られる。
【0049】
【数7】
【0050】
式(3)で、FZは気体の圧縮係数による補正係数である。この係数は、気体の種類により計算式の定数が異なるとともに、静圧と温度により値が変化する。このため、「係数演算」において、計算に用いる圧縮係数による補正係数計算式の静圧と温度とを除いた定数を測定する気体の組成に合わせて設定しておき、「流量演算」で測定した静圧と温度を計算式に代入し、気体の圧縮係数による補正係数FZを算出する。圧縮係数による補正係数計算式を式(8)に示す。
【0051】
【数8】
【0052】
式(8)で、Zは流動状態の気体の圧縮係数であり、Zbは標準状態での気体の圧縮係数である。ここで、Zは公知の計算式に測定した静圧と温度を代入して算出した係数であり、Zbは気体組成から算出する標準状態での係数である。
【0053】
式(3)で、Ftは気体の温度補正係数である。この係数は、温度のみに依存して値が変化するので、「流量演算」で測定した温度を温度補正係数計算式に代入し、温度補正係数Ftを算出する。温度補正係数計算式を式(9)に示す。
【0054】
【数9】
【0055】
式(3)で、FMは気体の湿度補正係数である。この係数は、気体中の水蒸気量(湿度)と気体の静圧により値が変化する。このため、「係数演算」において、計算に用いる湿度補正係数計算式の静圧以外の定数を流体情報格納部24から読み出して設定しておき、「流量演算」で測定した静圧を計算式に代入し、湿度補正係数FMを算出する。湿度補正係数計算式を式(10)に示す。
【0056】
【数10】
【0057】
式(10)で、pは静圧、ψは気体の相対湿度、pDは気体の飽和水蒸気圧を示す。この場合、ψとpDは「係数演算」において設定する定数であり、pは「流量演算」で計算式に代入する測定値である。なお、気体が水蒸気を含まない場合は、FM=1として計算する。
【0058】
式(3)で、Frはレイノルズ数における補正係数である。この係数は、使用する絞りの種類により係数を算出する計算式が異なるとともに、流量により値が変化する。このため、流動状態のレイノルズ数ReDにおける流出係数をC、限界レイノルズ数ReD(lim)における流出係数をC0で表したときに、「流量演算」においてC/C0が収束するまで繰り返し計算して求める。例として、絞りにフローノズルであるISA 1932ノズルを用いたときの流出係数Cの計算式を式(11)に示す。この場合、流出係数C0は前述した式(4)で求めた定数である。
【0059】
【数11】
【0060】
式(11)で、βは前述した式(4)で説明した絞り径比であり、絞り径dと上流側管径Dから算出する。ReDは流動状態のレイノルズ数であり、式(12)に示す計算式をFrが収束するまで繰り返し計算を行って算出する。
【0061】
【数12】
【0062】
式(12)で、Gは気体の比重、Qv’は体積流量の近似値、Dは上流側管径、μは流動状態の気体の粘度である。ここで、GとDはそれぞれ流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25に格納された定数であり、「係数演算」においてそれぞれ流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25から読み出されて設定される。μは気体の圧力と温度により変化する値であり、「流量演算」において、測定した静圧と温度に基づいて流体情報格納部24に格納された当該気体のそれぞれの圧力と温度における粘度が記録されたデータテーブルを検索して求める。
【0063】
Qv’はReDの計算を行うたびに変化する変数である。1回目の計算において、Qv’には式(3)において、Frを1として計算した結果を代入する。2回目の計算においては、式(3)のFrに1回目の計算結果に基づいて算出した値を代入して計算した流量値を代入する。以後、同様にFrが収束するまで繰り返し計算を行う。
【0064】
次に、図3を参照して流量演算部28の計算手順を説明する。図3は流量演算部28の計算手順を示すフローチャートである。測定を開始すると「係数演算」を実行し、流体情報格納部24と絞り機構情報格納部25から所定のデータを読み出し、Aq、C0、E、d2、FGをそれぞれ算出する(ステップS01)。次に、「流量演算」を実行し、差圧測定部21、静圧測定部22および温度測定部23から、それぞれ差圧Δp、静圧pおよび温度tのデータを読み出し、ε、Fz、Ft、FMをそれぞれ算出する(ステップS02)。次に、ステップS01で算出した係数(Aq、C0、E、d2、FG)、ステップS02で算出した係数(ε、Fz、Ft、FM)、差圧Δpおよび静圧pを用いて式(13)に示す計算を実行し、流量の近似値Qv’を算出する(ステップS03)。
【0065】
【数13】
【0066】
次に、前述した流動状態のレイノルズ数ReDを計算する式(12)のQv’にステップS03で算出した流量の近似値Qv’のデータを代入し、流動状態のレイノルズ数ReDの近似値を算出する(ステップS04)。次に、前述した流動状態のレイノルズ数ReDにおける流出係数Cを計算する式(11)のReDにステップS04で算出した流動状態のレイノルズ数ReDの近似値を代入し、流動状態のレイノルズ数ReDにおける流出係数Cを算出する(ステップS05)。
【0067】
次に、ステップS01で算出した限界レイノルズ数における流出係数C0とステップS05で算出した流動状態のレイノルズ数ReDにおける流出係数Cを用いてレイノルズ数における補正係数Frの近似値を算出する計算(Fr=C/C0)を行う(ステップS06)。次に、ステップS01で算出した係数(Aq、C0、E、d2、FG)、ステップS02で算出した係数(ε、Fz、Ft、FM)、ステップS06で算出した係数(Fr)、差圧Δpおよび静圧pを用いて式(3)に示す計算を実行し、流量Qvを算出する(ステップS07)。
【0068】
次に、ステップS03で算出した流量の近似値Qv’とステップS07で算出した流量Qvを比較し(ステップS08)、その差が所定値以内であれば流量Qvを出力する(ステップS09)。一方、その差が所定値を超えていたときは、流量Qvを流量の近似値Qv’とし(ステップS10)、Qv’とQvの差が所定値以内に収束するまでステップS04からステップS08を繰り返す。なお、あらかじめ収束するまでの計算回数が分かっているときは、ステップS04からステップS08を所定回数繰り返した後、ステップS09を実行するようにしてもよい。
【0069】
この差圧発信器は、最初に流体情報と絞り機構情報とを設定する「パラメータ設定」を行うことにより、流量演算式で用いる係数を測定する流体と使用する絞り機構に適合した値とするとともに、測定した差圧と静圧と温度とに基づいて係数を補正した上で流量の演算を行うので、差圧レンジに関係なく直接流量を求めることができる。これにより、流量レンジの変更を行う場合でも4−20mAのアナログ信号の最大流量値を変更するだけで対応することができるので、流量レンジを変更するのに複雑な計算を繰り返して差圧レンジを求める必要がある従来の差圧発信器のようにユーザがメーカの支援を受ける必要がなくなる。このため、短時間で素早く流量変更ができ、待ち時間が生じないため、流量変更に伴う煩わしさが解消される。
【0070】
さらに、実流量が直接求められるので、およその流量しか分からない流体を計測しようとする場合であっても、1回の測定を行うだけで流量レンジを決定でき、所望の流量レンジに変更することができる。このため、ユーザの使い勝手が向上する。また、測定した静圧や温度のデータを用いてこれらが係わる係数ごとに補正を行うので、一括して静圧と温度の補正を行う従来の差圧発信器に比べてより正確な流量値が得られる。
【0071】
実施の形態1では、気体の体積流量Qvを標準状態の流量で表示する計算式を例に説明したが、質量流量Qmを測定することも可能である。この場合、体積流量Qvを算出した後に、式(14)に示す計算を行うことにより質量流量Qmを算出することができる。
【0072】
【数14】
【0073】
式(14)で、ρは流体の密度であり、ここではρを気体の比重Gと標準状態の空気密度ρaの積(ρ=ρa×G)から算出している。なお、使用する流体の密度が分かっているときは、直接ρの値を設定するようにしてもよい。また、実施の形態1では、流量の算出に式(3)に示す計算式を用いたが、計算式はこれに限られるものでなく、必要に応じて近似式を用いるようにしてもよい。また、各係数の計算式についても、必要に応じて近似式を用いるようにしてもよい。
【0074】
[実施の形態2]
図4は、実施の形態2に係る差圧発信器の機能構成を示す機能ブロック図である。図4において、図2と同符号は図2と同様の機能ブロックを示す。実施の形態2の差圧発信器が実施の形態1と異なる点は、さらに流量レンジ設定演算部31を備えたことと、通信処理部27がコミュニケータ7から送信された流量レンジ設定命令と設定データを受信すると、流量レンジ設定演算部31を起動するようにしたことである。
【0075】
ここで、流量レンジ設定演算部31は、流量レンジ設定手段として作用する。この場合、流量レンジ設定演算部31は、マイクロプロセッサ部15およびマイクロプロセッサ部15のROMに格納された流量レンジ設定演算プログラムから構成されており、CPUが流量レンジ設定演算プログラムを実行することにより、流量演算部28が算出した実流量に基づいて、アナログ出力部30が出力する4−20mAのアナログ信号に対応した流量レンジの最大流量値を算出し、流量レンジを決定する。
【0076】
以下、図5を参照して流量レンジ設定演算部31の動作を説明する。図5は、流量レンジ設定演算部31の動作を説明するフローチャートである。流量レンジ設定演算部31は、起動すると所定時間の間、流量演算部28が出力する流量値を監視し、所定時間中における流量の最大値を検出する(ステップS21)。所定時間は、例えば24時間のような固定値としてもよいし、コミュニケータ7の流量レンジ設定命令送信時にユーザが指定するようにしてもよい。
【0077】
所定時間経過後、検出された流量の最大値が、フルスケールに対して所定の割合となるような流量レンジの最大流量値を算出し(ステップS22)、流量レンジ情報として流量レンジ情報格納部26に最大流量値を格納する(ステップS23)。フルスケールに対する割合は、例えばフルスケールの80%のような固定値としてもよいし、コミュニケータ7の流量レンジ設定命令送信時にユーザが指定するようにしてもよい。なお、設定された流量レンジは、コミュニケータ7を用いて流量レンジ情報格納部26から読み出すことができるので、ユーザは出力される4−20mAのアナログ信号に対応する流量を知ることができる。
【0078】
実施の形態2の差圧発信器によれば、自身が測定した実流量に基づいて4−20mAのアナログ信号出力に対応した流量レンジを自動的に設定することができるので、測定しようとする流体について、流量が全く分からない場合や、およその流量しか分からない場合であっても、ユーザが容易に流量レンジの設定を行うことができる。よって、この差圧発信器は、実施の形態1で説明した効果に加えて、ユーザの手を煩わすことなく最適な流量レンジの設定が可能となる効果を有する。
【0079】
実施の形態2では、コミュニケータ7から流量レンジ設定命令と設定データを送信する例について説明したが、流量レンジ設定を差圧発信器に付加するローカル指示計で行うようにしてもよい。この場合、例えば、ローカル指示計に流量レンジ設定用のスイッチを設けて、このスイッチのONをデジタル入出力回路17で検出するようにすればよい。ここで、流量レンジ設定完了後にローカル指示計に流量レンジを表示するようにするとユーザの利便性をさらに高めることができる。なお、設定データは、コミュニケータ7から指示するか、あるいはメーカ設定の固定値としておくとよい。
【0080】
また、実施の形態1および実施の形態2において、コミュニケータ7を4−20mAのアナログ信号の伝送路となる1対の電線6を介して通信処理部27と命令やデータの送受信を行うものとして説明したが、コミュニケータ7と通信処理部27の接続手段はこれに限られるものではない。例えば、周知のシリアル通信手段やパラレル通信手段などの有線通信手段を用いて接続してもよいし、電波、赤外線、光および電磁誘導などによる無線通信手段を用いて接続してもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の差圧発信器は、絞り機構の前後の差圧を測定する差圧測定手段と、流体の静圧を測定する圧力測定手段と、流体の温度を測定する温度測定手段と、絞り機構の情報および流体の情報を設定するパラメータ設定手段と、差圧、静圧および温度を入力条件とし流体の情報と絞り機構の情報とによって定まる所定の演算式に基づいて流体の流量を算出する流量演算手段と、流量演算手段が算出した流量を所定の電気信号に変換して出力する出力手段とを有するので、流体情報と絞り機構情報を設定することにより、所定の演算式で用いる係数を測定する流体と使用する絞り機構に適合した値とするとともに、測定した静圧と温度とに基づいてこれらに係わる係数ごとに補正した上で流量の演算を行うので差圧レンジに関係する係数がなく、差圧計算なしに直接流量を求めることができる。
【0082】
このため、一括して静圧と温度の補正を行う従来の差圧発信器に比べてより正確な流量値が得られる効果を有する。また、流量レンジの変更を行う場合、4−20mAのアナログ信号の最大流量値を変更するだけで対応することができるので、流量レンジを容易に変更することができる。よって、流量レンジを変更するのに複雑な計算を繰り返して差圧レンジを求める必要がある従来の差圧発信器のようにユーザがメーカの支援を受ける必要がなくなるので、短時間で素早く流量変更ができ、待ち時間が生じないため、流量変更に伴う煩わしさが解消される効果を有する。
【0083】
また、実流量が直接求められるため、およその流量しか分からない流体を計測しようとする場合であっても1回の測定を行うだけで流量レンジを決定できるので、ユーザの使い勝手が向上する効果を有する。また、メーカにとっても、差圧レンジの計算や設定を行う手間がなくなるとともに、差圧発信器製造時に、差圧発信器に組み込まれるセンサのレンジによる校正のみを行えばよいので、従来行っていた流体条件と絞り機構の条件とから求める差圧レンジによる校正の手間が省け、製造工程の簡略化が図れる効果が得られる。
【0084】
また、本発明の差圧発信器は、前述した手段に加えて、演算手段が算出した実流量に基づいて出力手段が出力する電気信号における実流量の流量レンジを決定する流量レンジ設定手段をさらに有するので、自身が測定した実流量に基づいて4−20mAのアナログ信号出力に対応した流量レンジを自動的に設定することが可能となる。このため、測定しようとする流体について、流量が全く分からない場合や、およその流量しか分からない場合であっても、ユーザが容易に流量レンジの設定を行うことができるので、ユーザの手を煩わすことなく最適な流量レンジの設定が可能となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る差圧発信器を備えた差圧流量計の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の差圧発信器の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図2の流量演算部の計算手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態2に係る差圧発信器の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図4の流量レンジ設定演算部の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…差圧発信器、2…管路、3…絞り機構、4…導圧管、5…外部温度センサ、6…信号伝送路の電線、7…コミュニケータ、11…差圧センサ、12…静圧センサ、13…温度センサ、14…A/D変換回路、15…マイクロプロセッサ部、16…D/A変換回路、17…デジタル入出力回路、18…パルス出力回路、19…信号端子、21…差圧測定部、22…静圧測定部、23…温度測定部、24…流体情報格納部、25…絞り機構情報格納部、26…流量レンジ情報格納部、27…通信処理部、28…流量演算部、29…パルス出力部、30…アナログ出力部、31…流量レンジ設定演算部。
Claims (4)
- 絞り機構の前後に生じる流体の差圧を測定して流量を求める差圧発信器において、
前記絞り機構の前後の差圧を測定する差圧測定手段と、
前記流体の静圧を測定する圧力測定手段と、
前記流体の温度を測定する温度測定手段と、
前記流体の情報と前記絞り機構の情報とを設定するパラメータ設定手段と、
前記差圧、前記静圧および前記温度を入力条件とし前記流体の情報と前記絞り機構の情報とによって定まる所定の演算式に基づいて前記流体の流量を算出する流量演算手段と、
前記流量演算手段が算出した流量を所定の電気信号に変換して出力する出力手段と
を有することを特徴とする差圧発信器。 - 請求項1記載の差圧発信器において、
前記流量演算手段は、
前記演算式に含まれる係数を前記差圧と前記静圧と前記温度と前記流体の情報と前記絞り機構の情報とに基づいて求める
ことを特徴とする差圧発信器。 - 請求項1記載の差圧発信器において、
前記流量演算手段が算出した実流量に基づいて前記出力手段が出力する電気信号における前記実流量の流量レンジを決定する流量レンジ設定手段
をさらに有することを特徴とする差圧発信器。 - 請求項3記載の差圧発信器において、
前記流量レンジ設定手段は、
前記流量レンジを所定タイミングにおける実流量値に基づいて、この実流量値があらかじめ指定された条件に応じた比率で流量レンジの範囲内となるように流量レンジの最大値を決定する流量レンジ設定演算部と、
この流量レンジ設定演算部が決定した流量レンジを格納する流量レンジ情報格納部と
からなることを特徴とする差圧発信器。
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