JP2004020352A - テラヘルツパルス光計測方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】対象物体の2次元領域の各部位の全体に渡るテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行う。
【解決手段】アンテナ56は、テラヘルツパルス光を試料100の2次元領域に一括照射し、その透過パルス光を電気光学結晶61の2次元領域が一括受光する。一次的にチャーピングされかつパルス光L55と同期したプローブパルス光が、結晶61の2次元領域に一括照射される。検光子65は、結晶61を通過してパルス光L55により偏光状態が変調されたプローブパルス光の特定偏光成分を抽出する。光ファイバ束66は、特定偏光成分のみ抽出されたプローブパルス光を、結晶61の各部位に対応するもの毎に、二次的にチャーピングしてそのパルス幅をそれぞれ拡大させる。光電変換素子アレイ67は、チャーピングの後のプローブパルス光を、それぞれ光電変換する。
【選択図】 図1
【解決手段】アンテナ56は、テラヘルツパルス光を試料100の2次元領域に一括照射し、その透過パルス光を電気光学結晶61の2次元領域が一括受光する。一次的にチャーピングされかつパルス光L55と同期したプローブパルス光が、結晶61の2次元領域に一括照射される。検光子65は、結晶61を通過してパルス光L55により偏光状態が変調されたプローブパルス光の特定偏光成分を抽出する。光ファイバ束66は、特定偏光成分のみ抽出されたプローブパルス光を、結晶61の各部位に対応するもの毎に、二次的にチャーピングしてそのパルス幅をそれぞれ拡大させる。光電変換素子アレイ67は、チャーピングの後のプローブパルス光を、それぞれ光電変換する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テラヘルツパルス光計測方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テラヘルツ光は、周波数がおおよそ0.1THzから100THzまでの範囲の電磁波であり、現在は、テラヘルツパルス光の波形を瞬時に、光電変換して計測することは不可能である。
【0003】
このため、一般的に、テラヘルツパルス光の計測には、ポンプ−プローブ法と呼ばれる計測手法が採用されている。このポンプ−プローブ法では、同じ波形のテラヘルツパルス光が所定周波数(例えば、数kHzからMHzオーダーの繰り返し)で到来することを前提とし、テラヘルツパルス光を発生させるポンプパルス光と、テラヘルツパルス光の検出タイミングを決定するプローブパルス光との間に時間遅延(光路長差)を設け、その時間遅延を徐々に変えて、各時間遅延の時点におけるテラヘルツパルスの電場強度を光電変換して計測することにより、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を計測する。
【0004】
したがって、ポンプ−プローブ法により得られた時系列波形の各時点における電場強度は、それぞれ互いに異なる時間中に発生したパルスにおける、前記時間遅延に対応する波形位置での、電場強度を示している。すなわち、ポンプ−プローブ法は、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測(テラヘルツパルス光の単一パルスの時系列波形の計測)ではない。このため、ポンプ−プローブ法では、繰り返しで到達するテラヘルツパルス光の各パルスの波形が全く同一であれば、ポンプ−プローブ法により適切にテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形が得られるが、テラヘルツパルス光を用いて観察しようとする対象物体が生物のような動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合などには、適切にテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を得ることはできない。
【0005】
これに対し、Z.Jiang及びX.−C.Zhangによって、チャーピングされたプローブパルス光を利用したテラヘルツパルス光計測手法(説明の便宜上、「チャーピング計測手法」という。)が提案されている(Appl.Phys.Lett., Vol.72, No.16, 20 April 1998, pp.1945−1947)。このチャーピング計測手法では、レーザ装置からのパルス光をビームスプリッタで2つのパルス光に分割し、一方のパルス光をポンプパルス光として用いてテラヘルツパルス光を発生させる。このテラヘルツパルス光を電気光学結晶の一点に集光させる。分割された他方のパルス光をチャーピング手段でチャーピングし、このチャーピングされたパルス光をプローブパルス光として用い、このプローブパルス光を細い線状の光束のまま電気光学結晶の前記一点に照射する。そして、電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光を検光子で特定偏光成分を抽出し、偏光したプローブパルス光を回折格子で分光し、この分光により空間的に分離されたプローブパルス光の各波長成分をそれぞれ光電変換素子アレイの各々の光電変換素子(光検出素子)で電気信号に変換する。前記回折格子及び前記光電変換素子アレイは、分光器を構成している。ここで、パルス光がチャーピングされているとは、パルス光に含まれる短波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に遅れて(あるいは進んで)いる状態をいう。
【0006】
この従来のチャーピング計測手法によれば、チャーピングされかつテラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光が電気光学結晶に導かれるので、プローブパルス光の各波長成分は、テラヘルツパルス光の単一パルスにおける各時点での電場強度により偏光状態が変調され、特定偏光成分の抽出後のプローブパルス光の各波長成分の強度は、テラヘルツパルス光の単一パルスにおける各時点での電場強度を示すことになる。そして、特定偏光成分の抽出後のプローブパルス光の各波長成分は、当該波長に応じて分光により空間的に分離され、その位置に配置されている光電変換素子によりその強度が電気信号として検出される。したがって、特定偏光成分の抽出後のプローブパルス光の各波長成分の強度に応じた出力信号が各位置の光電変換素子から得られる。すなわち、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形が、空間的な位置系列波形(光電変換素子の位置に対する光電変換素子の出力信号)に変換されることになる。
【0007】
したがって、前記従来のチャーピング計測手法によれば、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測(テラヘルツパルス光の単一パルスの時系列波形の計測)を行うことができる。このため、対象物体が生物のように動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合でも、適切にテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の計測を行うことができる。
【0008】
なお、電気光学結晶に導かれるチャーピングされたプローブパルス光は、テラヘルツパルス光のパルス幅内(すなわち、継続時間中)においてのみテラヘルツパルス光の変調を受ける。したがって、たとえ、プローブパルス光のチャーピングの程度を高めて(すなわち、プローブパルス光の長波長成分と短波長成分との時間差を拡大して)、プローブパルス光のパルス幅を拡げても、テラヘルツパルス光のパルス幅は極短いので、前記分光器を用いることなく、電気光学結晶を通過したプローブパルス光をそのまま光電変換してテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形に応じた時系列波形信号を得ることは、不可能である。このため、前記従来のチャーピング計測手法では、前記分光器を用いることにより、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を空間的な位置系列波形に変換しているのである。
【0009】
ところで、いわゆる時系列変換テラヘルツ分光として知られているように、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を計測すれば、その時系列波形を例えばフーリエ変換することにより分光情報(各周波数成分ごとの強度)を得ることができ、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形は分光情報を含んでいる。
【0010】
このような分光情報は、対象物体の一点だけでなく、対象物体の2次元領域の各部位(各点)についてそれぞれ得ることが、好ましい。そこで、従来から、対象物体の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を得るテラヘルツパルス光計測装置として、図6に示す計測装置及び図7に示す計測装置が提案されている。
【0011】
まず、図6に示す計測装置について説明する。図6は、従来のテラヘルツパルス光計測装置を模式的に示す概略構成図である。
【0012】
図6に示す計測装置では、レーザ装置等からなるフェムト秒パルス光源1から放射されたフェムト秒パルス光L1が、ビームスプリッタ2で2つのパルス光L2,L3に分割される。説明の便宜上、図6に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。
【0013】
ビームスプリッタ2で分割された一方のパルス光L2は、テラヘルツ光発生器としてのダイポールアンテナ等を用いた光伝導アンテナなどの光スイッチ素子6を励起して、この光スイッチ素子6からテラヘルツパルス光を発生させるための、ポンプパルス光(パルス励起光)となる。光スイッチ素子6には、バイアス電源7からバイアス電圧が印加されている。ポンプパルス光L2は、平面反射鏡3〜5を経て、光スイッチ素子6に入射され、これにより、光スイッチ素子6からテラヘルツパルス光L4が発生する。
【0014】
ビームスプリッタ2で分割された他方のパルス光L3は、テラヘルツパルス光を検出するためのプローブパルス光となる。このプローブパルス光L3は、平面反射鏡8、2枚もしくは3枚の平面反射鏡が組み合わされてなる可動鏡9、及び平面反射鏡10〜12を経て、テラヘルツ光検出器としてのダイポールアンテナ等を用いた光伝導アンテナなどの光スイッチ素子13へ導かれる。可動鏡9は、移動機構14により矢印A方向に移動可能となっている。可動鏡9の移動量に応じて、プローブパルス光L3の光路長が変わり、プローブパルス光L3が光スイッチ素子13へ到達する時間が遅延する。
【0015】
光スイッチ素子6から発生したテラヘルツパルス光L4は、軸外し放物面鏡15を経て平行光に変換された後、軸外し放物面鏡16を経て集光位置に集光される。この集光位置には、測定対象物体としての試料100の測定部位が配置される。試料100は、移動機構19により、Y軸方向及びZ軸方向に2次元に移動可能になっている。これにより、試料100の2次元領域の各測定部位を順次テラヘルツパルス光L4の集光位置に移動させることができる。すなわち、試料100の測定部位を2次元に走査させることができる。
【0016】
試料100の測定部位を透過したテラヘルツパルス光L5は、軸外し放物面鏡17,18を経て、光スイッチ素子13に集光される。光スイッチ素子13によって、プローブパルス光L3が照射された時点でのテラヘルツパルス光L5の電場強度が、電流信号に変換される。この信号が信号処理回路及びパーソナルコンピュータ等からなる制御・処理部20に、取り込まれる。
【0017】
この図6に示す計測装置では、制御・処理部20による制御下で、移動機構19により試料100が前述したように2次元に走査され、試料100の2次元領域の各測定部位が前記集光位置に順次位置している際に、移動機構14によりプローブパルス光の遅延時間が順次変えられて、各遅延時間ごとの時点のテラヘルツパルス光L5の電場強度を示す信号が制御・処理部20に取り込まれる。これにより、試料100の2次元領域の各測定部位について、当該測定部位を透過したテラヘルツパルス光L5の電場強度の時系列波形が計測される。
【0018】
このように、図6に示す計測装置では、前述したポンプ−プローブ法と試料100の移動による走査とを利用して、試料100の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光L5の電場強度の時系列波形を計測する。
【0019】
次に、図7に示す計測装置について説明する。図7は、従来の他のテラヘルツパルス光計測装置を模式的に示す概略構成図である。
【0020】
図7に示す計測装置では、レーザ装置等からなるフェムト秒パルス光源21から放射されたフェムト秒パルス光L21が、平面反射鏡22を経た後に、ビームスプリッタ23で2つのパルス光L22,L23に分割される。
【0021】
ビームスプリッタ23で分割された一方のパルス光L22は、テラヘルツ光発生器としての大口径光伝導アンテナ29を励起してテラヘルツパルス光を発生させるためのポンプパルス光(励起パルス光)となる。なお、光伝導アンテナのうち「大口径」と呼ばれるものは、電極間の間隔が例えば数mm乃至数cm程度のものである。ポンプパルス光L22は、ビームエキスパンダ24でその断面が拡張された後、平面反射鏡25,26、2枚もしくは3枚の平面反射鏡が組み合わされてなる可動鏡27、及び平面反射鏡28を経て、大口径光伝導アンテナ29へ導かれる。大口径光伝導アンテナ29の電極間には、バイアス電源30からバイアス電圧が印加されている。その結果、大口径光伝導アンテナ29からテラヘルツパルス光L24が放射され、このテラヘルツパルス光L24が測定対象物体としての試料100の2次元領域を照射する。なお、可動鏡27は、移動機構31により矢印B方向に移動可能となっている。可動鏡27の移動量に応じて、ポンプパルス光L22の光路長が変わり、ポンプパルス光L22が大口径光伝導アンテナ29へ到達する時間が遅延する。
【0022】
試料100の2次元領域を透過したテラヘルツパルス光L25は、結像光学系を構成するレンズ32,33を経てビームスプリッタ34を透過した後に、ZnTe等の電気光学結晶35に入射する。レンズ32,33の焦点距離は共にfであり、前段のレンズ32は試料100から焦点距離fだけ離れた位置に配置され、後段のレンズ33は電気光学結晶35から焦点距離fだけ離れた位置に配置されている。したがって、レンズ32,33によって、試料100を透過したテラヘルツパルス光L25による試料100の2次元領域の像が、電気光学結晶35の対応する2次元領域に結像される。
【0023】
ビームスプリッタ23で分割された他方のパルス光L23は、テラヘルツパルス光L25を検出するためのプローブパルス光となる。このプローブパルス光L23は、平面反射鏡36〜38を経た後にビームエキスパンダ39でテラヘルツパルス光L25の断面に応じて拡張され、偏光子40を通過した後に直線偏光光となり、更に、ビームスプリッタ34で反射された後に電気光学結晶35に入射する。電気光学結晶35に入射した直線偏光光であるプローブパルス光は、電気光学結晶35の前述した2次元領域を透過する。その透過光の偏光状態は、テラヘルツパルス光L25により生じた電気光学結晶35の複屈折変化(すなわち、テラヘルツパルス光25の電場強度変化)に応じて、楕円偏光に変化する。このとき、テラヘルツパルス光L25の電場強度の情報は、直線偏光からの差としてプローブパルス光の偏光状態が担っている。すなわち、プローブパルス光は、電気光学結晶35を通過して、テラヘルツパルス光L25により、偏光状態が変調される。電気光学結晶35を透過したプローブパルス光は、検光子41で特定偏光成分を抽出した後に、2次元CCDカメラ42により光強度分布が検出される。前記光強度分布を示す2次元CCDカメラ42からの画像信号は、パーソナルコンピュータ等からなる制御・処理部44に取り込まれる。すなわち、テラヘルツパルス光L25の電場強度の分布(各部位ごとの電場強度)が、一括してデータとして制御・処理部44に取り込まれる。
【0024】
この図7に示す計測装置では、制御・処理部44による制御下で、移動機構31によりポンプパルス光L22の遅延時間が順次変えられて、各遅延時間ごとの時点の電場強度をCCDカメラ42から電気信号として順次得ることによって、試料100の2次元領域の各部位ごとのテラヘルツパルス光L25の電場強度の時系列波形が計測される。
【0025】
このように、図7に示す計測装置では、前述したポンプ−プローブ法と、電気光学結晶35を用いたテラヘルツパルス光及びプローブパルス光の2次元領域への一括照射とを利用して、試料100の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光L25の電場強度の時系列波形を得る。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のポンプ−プローブ法では、前述したように、テラヘルツパルス光を用いて観察しようとする対象物体が生物のような動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合などには、適切にテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を得ることはできない。したがって、前記従来のポンプ−プローブ法を利用している図6に示す従来の計測装置や図7に示す従来の計測装置では、対象物体が生物のように動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合などには、対象物体の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を、適切に得ることができない。
【0027】
一方、前記従来のチャーピング計測手法では、前述したように、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測(テラヘルツパルス光の単一パルスの時系列波形の計測)を行うことができるので、対象物体が生物のように動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合などでも、対象物体を透過又は反射したテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を、適切に得ることができる。
【0028】
しかしながら、前記従来のチャーピング計測手法では、分光器を用いることにより、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を空間的な位置系列波形に変換しているので、当該分光器が不可欠である。したがって、例えば、当該分光器が存在することにより、空間的な位置系列波形を得るために、試料での空間情報を得ることができなくなるし、光ファイバなどを用いて空間情報を保持した場合、多数の分光器を必要とするため、大きな空間を必要とするだけでなく装置の価格的にも高価になるなどの問題が生じる。
【0029】
また、前記従来のチャーピング計測手法では、テラヘルツパルス光を電気光学結晶の一点に集光し、細い線状のプローブパルス光を電気光学結晶の前記一点に照射しているので、対象物体の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を計測するには、図6に示す従来の計測装置と同様に対象物体を2次元に移動させて走査させなければならない。このように対象物体を2次元に走査させると、対象物体の2次元領域のある部位のテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を得た時点と、他の部位のテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を得た時点とが、互いに異なることになる。したがって、結局、対象物体の2次元領域の各部位の全体に渡る実時間計測ができず、対象物体が生物のように動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合には、対象物体の2次元領域の各部位のテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を、適切に得ることができない。
【0030】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、分光器を要することなく、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行うことができるテラヘルツパルス光計測方法及び装置を提供することを目的とする。
【0031】
また、本発明は、対象物体の2次元領域の各部位の全体に渡るテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行うことができるテラヘルツパルス光計測装置を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるテラヘルツパルス光計測方法は、テラヘルツパルス光を電気光学結晶に導びくとともに、一次的にチャーピングされかつ前記テラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光を前記電気光学結晶に導き、前記電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光の特定偏光成分を抽出し、偏光状態が変調された前記プローブパルス光に対して、そのパルス幅が拡大するように、前記特定偏光成分の抽出の前又は後に二次的にチャーピングを行い、前記特定偏光成分の抽出及び前記二次的なチャーピングの後の前記プローブパルス光を光電変換するものである。
【0033】
本発明の第2の態様によるテラヘルツパルス光計測方法は、前記第1の態様において、前記二次的なチャーピングを、前記一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うものである。ここで、二次的なチャーピングを一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うとは、一次的なチャーピングにより短長波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に遅れている場合には、短波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に更に遅らせることにより二次的なチャーピングを行い、一次的なチャーピングにより長波長成分ほど短波長成分に比べて時間的に遅れている場合には、長波長成分ほど短波長成分に比べて時間的に更に遅らせることにより二次的なチャーピングを行うことをいう。この点は、後述する第6及び第9の態様についても同様である。
【0034】
本発明の第3の態様によるテラヘルツパルス光計測方法は、前記第1又は第2の態様において、前記二次的なチャーピングを、光ファイバを用いて行うものである。
【0035】
本発明の第4の態様によるテラヘルツパルス光計測方法は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記電気光学結晶に導かれる前記テラヘルツパルス光は、対象物体を透過又は反射したものである。
【0036】
本発明の第5の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、テラヘルツパルス光を対象物体に照射するテラヘルツパルス光照射部と、前記対象物体を透過又は反射したテラヘルツパルス光を受光する電気光学結晶と、一次的にチャーピングされかつ前記テラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光を、前記電気光学結晶に照射するプローブパルス光照射部と、前記電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光から特定偏光成分を抽出する検光部と、偏光状態が変調された前記プローブパルス光に対して、そのパルス幅が拡大するように、前記検光部によって特定偏光成分を抽出する前又は後に二次的にチャーピングを行うチャーピング部と、前記検光部による特定偏光成分の抽出及び前記チャーピング部による二次的なチャーピングの後の前記プローブパルス光を、光電変換する光電変換部と、を備えたものである。
【0037】
本発明の第6の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、前記第5の態様において、前記チャーピング部は、前記二次的なチャーピングを、前記一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うものである。
【0038】
本発明の第7の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、前記第5又は第6の態様において、前記チャーピング部は、光ファイバを含むものである。
【0039】
本発明の第8の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、テラヘルツパルス光を対象物体の2次元領域に一括照射するテラヘルツパルス光照射部と、前記対象物体の前記2次元領域を透過又は反射したテラヘルツパルス光を、前記対象物体の前記2次元領域に対応する2次元領域で一括受光する電気光学結晶と、一次的にチャーピングされかつ前記テラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光を、前記電気光学結晶の前記2次元領域に一括照射するプローブパルス光照射部と、前記電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光から特定偏光成分を抽出する検光部と、偏光状態が変調された前記プローブパルス光に対して、そのパルス幅が拡大するように、前記検光部によって特定偏光成分を抽出する前又は後に、前記電気光学結晶の前記2次元領域の各部位に対応するもの毎に、それぞれ二次的にチャーピングを行うチャーピング部と、前記検光部による特定偏光成分の抽出及び前記チャーピング部による二次的なチャーピングの後の前記プローブパルス光を、前記電気光学結晶の前記2次元領域の各部位に対応するもの毎に、それぞれ光電変換する光電変換部と、を備えたものである。
【0040】
本発明の第9の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、前記第8の態様において、前記チャーピング部は、前記二次的なチャーピングを、前記一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うものである。
【0041】
本発明の第10の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、前記第8又は第9の態様において、記チャーピング部は、光ファイバ束を含むものである。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるテラヘルツパルス光計測方法及び装置について、図面を参照して説明する。
【0043】
図1は、本発明の一実施の形態によるテラヘルツパルス光計測装置を模式的に示す概略構成図である。図2は、図1に示す計測装置において用いられているパルス伸長器62を示す概略斜視図である。なお、図2は、ほぼ図1における紙面奥側から手前側を見たものとして示しているが、図面表記の便宜上、図2におけるピックアップ用平面鏡75の傾きは図1におけるピックアップ用平面鏡75の傾きとは一致させていない。また、図2において、光の様子はその中心のみを示し、光の発散及び収束は無視して示している。
【0044】
本実施の形態によるテラヘルツパルス光計測装置では、レーザ装置等からなるフェムト秒パルス光源51から放射されたフェムト秒パルス光L51が、平面反射鏡52を経た後に、ビームスプリッタ53で2つのパルス光L52,L53に分割される。フェムト秒パルス光源51から放射されるフェムト秒パルス光L51の繰り返し周期は、例えば、1kHz程度とされる。本発明では、前記従来のポンプ−プローブ法とは異なり、本質的にフェムト秒パルス光L51は単一パルスのみでもよいが、試料100が動くものであったり試料100を動かして観察したりする場合などに、いわば動画を得るように、経時的に連続して試料100を観察するためには、フェムト秒パルス光L51は繰り返しパルスであることが好ましい。
【0045】
ビームスプリッタ53で分割された一方のパルス光L52は、テラヘルツ光発生器としての大口径光伝導アンテナ56を励起してテラヘルツパルス光を発生させるためのポンプパルス光(励起パルス光)となる。大口径光伝導アンテナ56に代えて、ダイポールアンテナ等を用いた光導電アンテナや電気光学結晶などの他のテラヘルツ光発生器を用いてもよいことは、言うまでもない。ポンプパルス光L52は、ビームエキスパンダ54でその断面が拡張された後、平面反射鏡55を経て、大口径光伝導アンテナ56へ導かれる。大口径光伝導アンテナ56の電極間には、バイアス電源57からバイアス電圧が印加されている。その結果、大口径光伝導アンテナ56からテラヘルツパルス光L54が放射され、このテラヘルツパルス光L54が測定対象物体としての試料100の2次元領域を一括照射する。
【0046】
このように、本実施の形態では、フェムト秒パルス光源51、平面反射鏡52、ビームスプリッタ53、ビームエキスパンダ54、平面反射鏡55及び大口径光伝導アンテナ56が、テラヘルツパルス光L54を試料100の2次元領域に一括照射するテラヘルツパルス光照射部を構成している。
【0047】
試料100の2次元領域を透過したテラヘルツパルス光L55は、結像光学系を構成するレンズ58,59を経てビームスプリッタ60を透過した後に、ZnTe等の電気光学結晶61に入射する。本実施の形態では、レンズ58,59の焦点距離は共にfであり、前段のレンズ58は試料100から焦点距離fだけ離れた位置に配置され、後段のレンズ59は電気光学結晶61から焦点距離fだけ離れた位置に配置されている。したがって、レンズ58,59によって、試料100を透過したテラヘルツパルス光L55による試料100の2次元領域の像が、電気光学結晶61の対応する2次元領域に結像される。このように、本実施の形態では、電気光学結晶61は、試料100の2次元領域を透過したテラヘルツパルス光L55を、試料100の前記2次元領域に対応する2次元領域で一括受光する。もっとも、本発明では、電気光学結晶61が、試料100の2次元領域で反射されたテラヘルツパルス光を、試料100の前記2次元領域に対応する2次元領域で一括受光するように、構成してもよい。
【0048】
ビームスプリッタ53で分割された他方のパルス光L53は、テラヘルツパルス光L55を検出するためのプローブパルス光となる。このプローブパルス光L53は、これをチャーピングするチャーピング部としてのパルス伸長器62により、一次的にチャーピングされる。
【0049】
本実施の形態では、パルス伸長器62は、チャープパルス増幅を行うレーザ装置において用いられているパルス伸長器と同様に構成され、入射したプローブパルス光L53に含まれる短波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に遅らせるように構成されている。具体的には、パルス伸長器62は、図1及び図2に示すように、再帰反射器(Retro−reflector)71と、反射型回折格子72と、凹面鏡73と、平面反射鏡74と、ピックアップ用平面鏡75とから構成されている。パルス伸長器62に入射して再帰反射器71を通過した細い線状のプローブパルス光L53は、回折格子72(これ以降は発散光となる。)→凹面鏡73→平面鏡74→凹面鏡73→回折格子72(これ以降は平行光となる。)→再帰反射器71→回折格子72(これ以降は収束光となる。)→凹面鏡73→平面鏡74→凹面鏡73→回折格子72(これ以降は細い線状の光となる。)→平面鏡75の経路を通り、外部に射出される。なお、本発明では、一次的なチャーピングを行うチャーピング部は、前述した構成を持つパルス伸長器62に限定されるものではない。
【0050】
パルス伸長器62により一次的にチャーピングされたプローブパルス光L53は、ビームエキスパンダ63でテラヘルツパルス光L55の断面に応じて拡張され、偏光子64を通過した後に直線偏光光となり、更に、ビームスプリッタ60で反射された後に電気光学結晶61の前記2次元領域に入射する。このように、本実施の形態では、フェムト秒パルス光源51、平面反射鏡52、ビームスプリッタ53、パルス伸長器62、ビームエキスパンダ63、偏光子64及びビームスプリッタ60が、一次的にチャーピングされかつテラヘルツパルス光L55と同期したプローブパルス光L53を、電気光学結晶61の前記2次元領域に一括照射するプローブパルス光照射部を構成している。
【0051】
電気光学結晶61に入射した直線偏光光であるプローブパルス光L53は、電気光学結晶61の前記2次元領域を透過する。その透過光の各波長成分の偏光状態は、テラヘルツパルス光L55により生じた電気光学結晶61の複屈折変化(すなわち、テラヘルツパルス光L55の電場強度変化)に応じて、楕円偏光に変化する。このとき、テラヘルツパルス光L55の単一パルスにおける各時点での電場強度の情報は、直線偏光からの差としてプローブパルス光の各波長成分の偏光状態が担っている。すなわち、プローブパルス光L53の各波長成分は、電気光学結晶61を通過して、テラヘルツパルス光L55により、偏光状態が変調される。
【0052】
電気光学結晶61を透過したプローブパルス光L53は、検光子65で特定偏光成分のみ抽出された後に、チャーピング部としての光ファイバ束66によって、そのパルス幅が拡大するように、電気光学結晶61の前記2次元領域の各部位に対応するもの毎に、それぞれ二次的にチャーピングされる。光ファイバ束66の各光ファイバの入力端66aは、電気光学結晶61の前記2次元領域に対応する2次元領域に分布するように配置されている。本実施の形態では、光ファイバ束66の各光ファイバとして、パルス伸長器62による一次的なチャーピングと同符号の群速度分散によりチャーピングを行うものが用いられている。すなわち、光ファイバ束66の各光ファイバとして、短波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に遅らせる分散特性(正方向の分散特性)を持つ光ファイバが用いられている。正方向の分散特性を持つ光ファイバは一般的なものである。本実施の形態では、このような一般的な光ファイバを用いるとともに一次及び二次のチャーピングの群速度分散の符号を同符号にするために、パルス伸長器62を、短波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に遅らせるように構成している。もっとも、光ファイバ束66の各光ファイバとして、負方向の分散特性を持つ光ファイバを用いてもよい。また、本実施の形態のように、一次及び二次のチャーピングの群速度分散の符号が同一符号であれば、光ファイバ束66の長さを比較的短くしつつ所望のパルス幅(後述する光電変換部で光の強度の時間変化が測定可能なパルス幅)を得ることができるが、一次及び二次のチャーピングの群速度分散の符号が逆符号であっても、光ファイバ束66の長さを十分に長くすれば、所望のパルス幅を得ることは可能である。なお、本発明では、二次的なチャーピングを行うチャーピング部は、前記光ファイバ束66に限定されるものではない。
【0053】
光ファイバ束66によりそれぞれ二次的にチャーピングされたプローブパルス光L53は、光電変換部としての1次元又は2次元のフォトダイオードアレイ(マルチチャンネル光検出器)等の光電変換素子アレイ67により、電気光学結晶61の前記2次元領域の各部位に対応するもの毎に、それぞれ光電変換される。なお、光電変換素子アレイ67の各光電変換素子の受光部には、光ファイバ束66の各光ファイバの射出端が対向配置されている。
【0054】
光電変換素子アレイ67の各光電変換素子から時間経過に従って得られる出力信号の時間変化は、信号処理回路及びパーソナルコンピュータ等からなる処理部68に時系列波形データとして取り込まれる。処理部68は、取り込んだ前記2次元領域の各部位にそれぞれ対応する時系列波形をCRT等の表示部69にそのまま表示させたり、必要に応じて、各部位にそれぞれ対応する時系列波形をフーリエ変換して各部位毎に分光情報(各周波数成分ごとの強度)を得て、これらを表示部69に表示させたりする。なお、例えば、各光電変換素子にそれぞれ対応してメモリを用意することにより、コンピュータの転送速度を無視した高速な測定することも可能である。
【0055】
ここで、本実施の形態における各部でのプローブパルス光L53の様子の一例を、図3及び図4に模式的に示す。図3(a)は、パルス伸長器62へ入射する前のプローブパルス光L53を示す波形図である。図3(b)は、パルス伸長器62により一次的にチャーピングされた後でかつ光ファイバ束66へ入射する前のプローブパルス光L53を示す波形図である。図4(a)は、図3(b)に示すプローブパルス光L53に含まれる最も波長の短い短波長成分と最も波長の長い長波長成分を示す波形図である。図3(c)は、光ファイバ束66により二次的にチャーピングされた後のプローブパルス光L53を示す波形図である。図4(b)は、図3(c)に示すプローブパルス光L53に含まれる最も波長の短い短波長成分と最も波長の長い長波長成分を示す波形図である。なお、図3(c)及び図4(b)では、テラヘルツパルス光L55による変調を無視して示している。
【0056】
図3及び図4に示す例では、フェムト秒パルス光源51から放射されたフェムト秒パルス光L51(したがって、パルス伸長器62へ入射する際のプローブパルス光L53)のパルス幅は、図3(a)に示すように100fs程度である。観測しようとするテラヘルツパルス光L55の時間領域が10ps程度である場合には、図3(b)及び図4(a)に示すように、パルス伸長器62により、プローブパルス光L53を10ps程度に拡げればよい。例えば、観察しようとするテラヘルツパルス光L55の周波数が2THz以下である場合、現在、光電変換素子ではSi−PINフォトダイオードで遮断周波数が2GHzのものがあり、デジタルロックインアンプで帯域が2GHzでサンプリングが16Gs/secのものがあるので、これらを用いるときには、図3(c)及び図4(b)に示すように、光ファイバ束66により、プローブパルス光L53を10ns程度に拡げればよい。例えば、光ファイバ束66として、波長800nmで1590fs2/cmの分散を持つ光ファイバを用いれば、その長さを2kmとすることで、10ns以上にプローブパルス光L53を拡げることができる。一般的には、光ファイバ束66の長さは、1km以上であることが好ましく、2km以上であることがより好ましい。
【0057】
本実施の形態によれば、前述したように、テラヘルツパルス光L54が試料100の2次元領域に一括照射され、試料100の2次元領域を透過したテラヘルツパルス光L55が、電気光学結晶61の対応する2次元領域で一括受光され、一次的にチャーピングされかつテラヘルツパルス光L55と同期したプローブパルス光L53が電気光学結晶61の前記2次元領域に一括照射される。このため、プローブパルス光の各波長成分は、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、テラヘルツパルス光L55の単一パルスにおける各時点での電場強度により偏光状態が変調され、プローブパルス光の特定偏光成分の各波長成分の強度は、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、テラヘルツパルス光L55の単一パルスにおける各時点での電場強度を示すことになる。 そして、特定偏光成分を抽出したプローブパルス光の各波長成分は、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、光ファイバ束66によりそれぞれ二次的にチャーピングされ、光の強度の時間変化が測定可能なパルス幅にそれぞれ拡げられ、この二次的にチャーピングされたプローブパルス光L53が、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、光電変換素子アレイ67の各光電変換素子により、光電変換される。
【0058】
したがって、特定偏光成分を抽出したプローブパルス光L53の各波長成分の強度に応じた出力信号(電気信号)が、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、時間変化に従って各光電変換素子から得られる。すなわち、テラヘルツパルス光L55の電場強度の時系列波形が、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、各光電変換素子からの出力信号の時間変化(出力信号の時系列波形)に変換されることになる。
【0059】
このため、本実施の形態によれば、試料100の2次元領域の各部位の全体に渡るテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測(テラヘルツパルス光の単一パルスの時系列波形の計測)を行うことができる。また、本実施の形態によれば、従来のチャーピング計測手法とは異なり、分光器を用いてテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を空間的な位置系列波形に変換するのではなく、光ファイバ束66を用いて二次的なチャーピングを行うことによりテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を光電変換素子からの出力信号の時系列波形に変換しているので、従来のチャーピング計測手法で必要であった分光器が不要となる。
【0060】
図1に示すテラヘルツパルス光計測装置では、前述したように、フェムト秒パルス光源51とは別に、一次的なチャーピングのためのパルス伸長器62が設けられている。しかしながら、フェムト秒パルス光源51は、通常はチャープパルス増幅を行うレーザ装置で構成されるので、パルス伸長器62を特別に設けることなく、当該レーザ装置の構成を利用して、ポンプパルス光L52及び一次的にチャーピングされたプローブパルス光L53を取り出すことが好ましい。その一例を図5に示す。
【0061】
図5に示す例では、フェムト秒パルス光源51は、チャープパルス増幅を行うレーザ装置として構成されており、周知のように、シードパルスを発生するシードレーザ81と、シードレーザ81からのシードパルスをチャーピングして伸長するパルス伸長器82(これは、例えば、図2に示すパルス伸長器62と同様の構成を持つ。)と、パルス伸長器82によりチャーピングされたパルスを増幅する再生増幅器83と、再生増幅器83により増幅されたパルスを圧縮するパルス圧縮器84と、を有している。なお、図5において、ポンプ光源等の図示は省略している。そして、図5に示す例では、再生増幅器83の出力パルスをビームスプリッタ85で分割し、分割された一方のパルスをパルス圧縮器84で圧縮してポンプパルス光L52として取り出し、分割された他方のパルスをパルス圧縮器84で圧縮することなく一次的にチャーピングされたポンプパルス光L53として取り出している。このような構成を採用すると、図1に示す計測装置に比べて、より構成が簡単となり、コスト低減を図ることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例について説明したが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0063】
例えば、前述した実施の形態は、試料100の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光の時系列波形を計測する計測装置の例であるが、本発明は、試料100の一点についてのみテラヘルツパルス光の時系列波形を計測する場合にも適用することができる。この場合には、試料100の一点について、分光器を要することなく、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行うことができる
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、分光器を要することなく、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行うことができるテラヘルツパルス光計測方法及び装置を提供することができる。
【0065】
また、本発明によれば、対象物体の2次元領域の各部位の全体に渡るテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行うことができるテラヘルツパルス光計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるテラヘルツパルス光計測装置を模式的に示す概略構成図である。
【図2】図1に示す計測装置において用いられているパルス伸長器を示す模式的に概略斜視図である。
【図3】図1に示すテラヘルツパルス光計測装置における各部でのプローブパルス光の様子の一例を示す図である。
【図4】図1に示すテラヘルツパルス光計測装置における各部でのプローブパルス光の様子の一例を示す他の図である。
【図5】図1に示すテラヘルツパルス光計測装置の変形例の要部を模式的に示す概略構成図である。
【図6】従来のテラヘルツパルス光計測装置の一例を模式的に示す概略構成図である。
【図7】従来のテラヘルツパルス光計測装置の他の例を模式的に示す概略構成図である。
【符号の説明】
51 フェムト秒パルス光源
54,63 ビームエキスパンダ
56 大口径光伝導アンテナ(テラヘルツ光発生器)
61 電気光学結晶
62 パルス伸長器(一次的なチャーピング部)
64 偏光子
65 検光子
66 光ファイバ束(二次的なチャーピング部)
67 光電変換素子アレイ(光電変換部)
100 試料(対象物体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、テラヘルツパルス光計測方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テラヘルツ光は、周波数がおおよそ0.1THzから100THzまでの範囲の電磁波であり、現在は、テラヘルツパルス光の波形を瞬時に、光電変換して計測することは不可能である。
【0003】
このため、一般的に、テラヘルツパルス光の計測には、ポンプ−プローブ法と呼ばれる計測手法が採用されている。このポンプ−プローブ法では、同じ波形のテラヘルツパルス光が所定周波数(例えば、数kHzからMHzオーダーの繰り返し)で到来することを前提とし、テラヘルツパルス光を発生させるポンプパルス光と、テラヘルツパルス光の検出タイミングを決定するプローブパルス光との間に時間遅延(光路長差)を設け、その時間遅延を徐々に変えて、各時間遅延の時点におけるテラヘルツパルスの電場強度を光電変換して計測することにより、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を計測する。
【0004】
したがって、ポンプ−プローブ法により得られた時系列波形の各時点における電場強度は、それぞれ互いに異なる時間中に発生したパルスにおける、前記時間遅延に対応する波形位置での、電場強度を示している。すなわち、ポンプ−プローブ法は、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測(テラヘルツパルス光の単一パルスの時系列波形の計測)ではない。このため、ポンプ−プローブ法では、繰り返しで到達するテラヘルツパルス光の各パルスの波形が全く同一であれば、ポンプ−プローブ法により適切にテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形が得られるが、テラヘルツパルス光を用いて観察しようとする対象物体が生物のような動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合などには、適切にテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を得ることはできない。
【0005】
これに対し、Z.Jiang及びX.−C.Zhangによって、チャーピングされたプローブパルス光を利用したテラヘルツパルス光計測手法(説明の便宜上、「チャーピング計測手法」という。)が提案されている(Appl.Phys.Lett., Vol.72, No.16, 20 April 1998, pp.1945−1947)。このチャーピング計測手法では、レーザ装置からのパルス光をビームスプリッタで2つのパルス光に分割し、一方のパルス光をポンプパルス光として用いてテラヘルツパルス光を発生させる。このテラヘルツパルス光を電気光学結晶の一点に集光させる。分割された他方のパルス光をチャーピング手段でチャーピングし、このチャーピングされたパルス光をプローブパルス光として用い、このプローブパルス光を細い線状の光束のまま電気光学結晶の前記一点に照射する。そして、電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光を検光子で特定偏光成分を抽出し、偏光したプローブパルス光を回折格子で分光し、この分光により空間的に分離されたプローブパルス光の各波長成分をそれぞれ光電変換素子アレイの各々の光電変換素子(光検出素子)で電気信号に変換する。前記回折格子及び前記光電変換素子アレイは、分光器を構成している。ここで、パルス光がチャーピングされているとは、パルス光に含まれる短波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に遅れて(あるいは進んで)いる状態をいう。
【0006】
この従来のチャーピング計測手法によれば、チャーピングされかつテラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光が電気光学結晶に導かれるので、プローブパルス光の各波長成分は、テラヘルツパルス光の単一パルスにおける各時点での電場強度により偏光状態が変調され、特定偏光成分の抽出後のプローブパルス光の各波長成分の強度は、テラヘルツパルス光の単一パルスにおける各時点での電場強度を示すことになる。そして、特定偏光成分の抽出後のプローブパルス光の各波長成分は、当該波長に応じて分光により空間的に分離され、その位置に配置されている光電変換素子によりその強度が電気信号として検出される。したがって、特定偏光成分の抽出後のプローブパルス光の各波長成分の強度に応じた出力信号が各位置の光電変換素子から得られる。すなわち、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形が、空間的な位置系列波形(光電変換素子の位置に対する光電変換素子の出力信号)に変換されることになる。
【0007】
したがって、前記従来のチャーピング計測手法によれば、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測(テラヘルツパルス光の単一パルスの時系列波形の計測)を行うことができる。このため、対象物体が生物のように動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合でも、適切にテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の計測を行うことができる。
【0008】
なお、電気光学結晶に導かれるチャーピングされたプローブパルス光は、テラヘルツパルス光のパルス幅内(すなわち、継続時間中)においてのみテラヘルツパルス光の変調を受ける。したがって、たとえ、プローブパルス光のチャーピングの程度を高めて(すなわち、プローブパルス光の長波長成分と短波長成分との時間差を拡大して)、プローブパルス光のパルス幅を拡げても、テラヘルツパルス光のパルス幅は極短いので、前記分光器を用いることなく、電気光学結晶を通過したプローブパルス光をそのまま光電変換してテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形に応じた時系列波形信号を得ることは、不可能である。このため、前記従来のチャーピング計測手法では、前記分光器を用いることにより、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を空間的な位置系列波形に変換しているのである。
【0009】
ところで、いわゆる時系列変換テラヘルツ分光として知られているように、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を計測すれば、その時系列波形を例えばフーリエ変換することにより分光情報(各周波数成分ごとの強度)を得ることができ、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形は分光情報を含んでいる。
【0010】
このような分光情報は、対象物体の一点だけでなく、対象物体の2次元領域の各部位(各点)についてそれぞれ得ることが、好ましい。そこで、従来から、対象物体の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を得るテラヘルツパルス光計測装置として、図6に示す計測装置及び図7に示す計測装置が提案されている。
【0011】
まず、図6に示す計測装置について説明する。図6は、従来のテラヘルツパルス光計測装置を模式的に示す概略構成図である。
【0012】
図6に示す計測装置では、レーザ装置等からなるフェムト秒パルス光源1から放射されたフェムト秒パルス光L1が、ビームスプリッタ2で2つのパルス光L2,L3に分割される。説明の便宜上、図6に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。
【0013】
ビームスプリッタ2で分割された一方のパルス光L2は、テラヘルツ光発生器としてのダイポールアンテナ等を用いた光伝導アンテナなどの光スイッチ素子6を励起して、この光スイッチ素子6からテラヘルツパルス光を発生させるための、ポンプパルス光(パルス励起光)となる。光スイッチ素子6には、バイアス電源7からバイアス電圧が印加されている。ポンプパルス光L2は、平面反射鏡3〜5を経て、光スイッチ素子6に入射され、これにより、光スイッチ素子6からテラヘルツパルス光L4が発生する。
【0014】
ビームスプリッタ2で分割された他方のパルス光L3は、テラヘルツパルス光を検出するためのプローブパルス光となる。このプローブパルス光L3は、平面反射鏡8、2枚もしくは3枚の平面反射鏡が組み合わされてなる可動鏡9、及び平面反射鏡10〜12を経て、テラヘルツ光検出器としてのダイポールアンテナ等を用いた光伝導アンテナなどの光スイッチ素子13へ導かれる。可動鏡9は、移動機構14により矢印A方向に移動可能となっている。可動鏡9の移動量に応じて、プローブパルス光L3の光路長が変わり、プローブパルス光L3が光スイッチ素子13へ到達する時間が遅延する。
【0015】
光スイッチ素子6から発生したテラヘルツパルス光L4は、軸外し放物面鏡15を経て平行光に変換された後、軸外し放物面鏡16を経て集光位置に集光される。この集光位置には、測定対象物体としての試料100の測定部位が配置される。試料100は、移動機構19により、Y軸方向及びZ軸方向に2次元に移動可能になっている。これにより、試料100の2次元領域の各測定部位を順次テラヘルツパルス光L4の集光位置に移動させることができる。すなわち、試料100の測定部位を2次元に走査させることができる。
【0016】
試料100の測定部位を透過したテラヘルツパルス光L5は、軸外し放物面鏡17,18を経て、光スイッチ素子13に集光される。光スイッチ素子13によって、プローブパルス光L3が照射された時点でのテラヘルツパルス光L5の電場強度が、電流信号に変換される。この信号が信号処理回路及びパーソナルコンピュータ等からなる制御・処理部20に、取り込まれる。
【0017】
この図6に示す計測装置では、制御・処理部20による制御下で、移動機構19により試料100が前述したように2次元に走査され、試料100の2次元領域の各測定部位が前記集光位置に順次位置している際に、移動機構14によりプローブパルス光の遅延時間が順次変えられて、各遅延時間ごとの時点のテラヘルツパルス光L5の電場強度を示す信号が制御・処理部20に取り込まれる。これにより、試料100の2次元領域の各測定部位について、当該測定部位を透過したテラヘルツパルス光L5の電場強度の時系列波形が計測される。
【0018】
このように、図6に示す計測装置では、前述したポンプ−プローブ法と試料100の移動による走査とを利用して、試料100の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光L5の電場強度の時系列波形を計測する。
【0019】
次に、図7に示す計測装置について説明する。図7は、従来の他のテラヘルツパルス光計測装置を模式的に示す概略構成図である。
【0020】
図7に示す計測装置では、レーザ装置等からなるフェムト秒パルス光源21から放射されたフェムト秒パルス光L21が、平面反射鏡22を経た後に、ビームスプリッタ23で2つのパルス光L22,L23に分割される。
【0021】
ビームスプリッタ23で分割された一方のパルス光L22は、テラヘルツ光発生器としての大口径光伝導アンテナ29を励起してテラヘルツパルス光を発生させるためのポンプパルス光(励起パルス光)となる。なお、光伝導アンテナのうち「大口径」と呼ばれるものは、電極間の間隔が例えば数mm乃至数cm程度のものである。ポンプパルス光L22は、ビームエキスパンダ24でその断面が拡張された後、平面反射鏡25,26、2枚もしくは3枚の平面反射鏡が組み合わされてなる可動鏡27、及び平面反射鏡28を経て、大口径光伝導アンテナ29へ導かれる。大口径光伝導アンテナ29の電極間には、バイアス電源30からバイアス電圧が印加されている。その結果、大口径光伝導アンテナ29からテラヘルツパルス光L24が放射され、このテラヘルツパルス光L24が測定対象物体としての試料100の2次元領域を照射する。なお、可動鏡27は、移動機構31により矢印B方向に移動可能となっている。可動鏡27の移動量に応じて、ポンプパルス光L22の光路長が変わり、ポンプパルス光L22が大口径光伝導アンテナ29へ到達する時間が遅延する。
【0022】
試料100の2次元領域を透過したテラヘルツパルス光L25は、結像光学系を構成するレンズ32,33を経てビームスプリッタ34を透過した後に、ZnTe等の電気光学結晶35に入射する。レンズ32,33の焦点距離は共にfであり、前段のレンズ32は試料100から焦点距離fだけ離れた位置に配置され、後段のレンズ33は電気光学結晶35から焦点距離fだけ離れた位置に配置されている。したがって、レンズ32,33によって、試料100を透過したテラヘルツパルス光L25による試料100の2次元領域の像が、電気光学結晶35の対応する2次元領域に結像される。
【0023】
ビームスプリッタ23で分割された他方のパルス光L23は、テラヘルツパルス光L25を検出するためのプローブパルス光となる。このプローブパルス光L23は、平面反射鏡36〜38を経た後にビームエキスパンダ39でテラヘルツパルス光L25の断面に応じて拡張され、偏光子40を通過した後に直線偏光光となり、更に、ビームスプリッタ34で反射された後に電気光学結晶35に入射する。電気光学結晶35に入射した直線偏光光であるプローブパルス光は、電気光学結晶35の前述した2次元領域を透過する。その透過光の偏光状態は、テラヘルツパルス光L25により生じた電気光学結晶35の複屈折変化(すなわち、テラヘルツパルス光25の電場強度変化)に応じて、楕円偏光に変化する。このとき、テラヘルツパルス光L25の電場強度の情報は、直線偏光からの差としてプローブパルス光の偏光状態が担っている。すなわち、プローブパルス光は、電気光学結晶35を通過して、テラヘルツパルス光L25により、偏光状態が変調される。電気光学結晶35を透過したプローブパルス光は、検光子41で特定偏光成分を抽出した後に、2次元CCDカメラ42により光強度分布が検出される。前記光強度分布を示す2次元CCDカメラ42からの画像信号は、パーソナルコンピュータ等からなる制御・処理部44に取り込まれる。すなわち、テラヘルツパルス光L25の電場強度の分布(各部位ごとの電場強度)が、一括してデータとして制御・処理部44に取り込まれる。
【0024】
この図7に示す計測装置では、制御・処理部44による制御下で、移動機構31によりポンプパルス光L22の遅延時間が順次変えられて、各遅延時間ごとの時点の電場強度をCCDカメラ42から電気信号として順次得ることによって、試料100の2次元領域の各部位ごとのテラヘルツパルス光L25の電場強度の時系列波形が計測される。
【0025】
このように、図7に示す計測装置では、前述したポンプ−プローブ法と、電気光学結晶35を用いたテラヘルツパルス光及びプローブパルス光の2次元領域への一括照射とを利用して、試料100の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光L25の電場強度の時系列波形を得る。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のポンプ−プローブ法では、前述したように、テラヘルツパルス光を用いて観察しようとする対象物体が生物のような動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合などには、適切にテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を得ることはできない。したがって、前記従来のポンプ−プローブ法を利用している図6に示す従来の計測装置や図7に示す従来の計測装置では、対象物体が生物のように動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合などには、対象物体の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を、適切に得ることができない。
【0027】
一方、前記従来のチャーピング計測手法では、前述したように、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測(テラヘルツパルス光の単一パルスの時系列波形の計測)を行うことができるので、対象物体が生物のように動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合などでも、対象物体を透過又は反射したテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を、適切に得ることができる。
【0028】
しかしながら、前記従来のチャーピング計測手法では、分光器を用いることにより、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を空間的な位置系列波形に変換しているので、当該分光器が不可欠である。したがって、例えば、当該分光器が存在することにより、空間的な位置系列波形を得るために、試料での空間情報を得ることができなくなるし、光ファイバなどを用いて空間情報を保持した場合、多数の分光器を必要とするため、大きな空間を必要とするだけでなく装置の価格的にも高価になるなどの問題が生じる。
【0029】
また、前記従来のチャーピング計測手法では、テラヘルツパルス光を電気光学結晶の一点に集光し、細い線状のプローブパルス光を電気光学結晶の前記一点に照射しているので、対象物体の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を計測するには、図6に示す従来の計測装置と同様に対象物体を2次元に移動させて走査させなければならない。このように対象物体を2次元に走査させると、対象物体の2次元領域のある部位のテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を得た時点と、他の部位のテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を得た時点とが、互いに異なることになる。したがって、結局、対象物体の2次元領域の各部位の全体に渡る実時間計測ができず、対象物体が生物のように動く物体である場合や対象物体を動かしながら観察する場合には、対象物体の2次元領域の各部位のテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を、適切に得ることができない。
【0030】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、分光器を要することなく、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行うことができるテラヘルツパルス光計測方法及び装置を提供することを目的とする。
【0031】
また、本発明は、対象物体の2次元領域の各部位の全体に渡るテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行うことができるテラヘルツパルス光計測装置を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるテラヘルツパルス光計測方法は、テラヘルツパルス光を電気光学結晶に導びくとともに、一次的にチャーピングされかつ前記テラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光を前記電気光学結晶に導き、前記電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光の特定偏光成分を抽出し、偏光状態が変調された前記プローブパルス光に対して、そのパルス幅が拡大するように、前記特定偏光成分の抽出の前又は後に二次的にチャーピングを行い、前記特定偏光成分の抽出及び前記二次的なチャーピングの後の前記プローブパルス光を光電変換するものである。
【0033】
本発明の第2の態様によるテラヘルツパルス光計測方法は、前記第1の態様において、前記二次的なチャーピングを、前記一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うものである。ここで、二次的なチャーピングを一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うとは、一次的なチャーピングにより短長波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に遅れている場合には、短波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に更に遅らせることにより二次的なチャーピングを行い、一次的なチャーピングにより長波長成分ほど短波長成分に比べて時間的に遅れている場合には、長波長成分ほど短波長成分に比べて時間的に更に遅らせることにより二次的なチャーピングを行うことをいう。この点は、後述する第6及び第9の態様についても同様である。
【0034】
本発明の第3の態様によるテラヘルツパルス光計測方法は、前記第1又は第2の態様において、前記二次的なチャーピングを、光ファイバを用いて行うものである。
【0035】
本発明の第4の態様によるテラヘルツパルス光計測方法は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記電気光学結晶に導かれる前記テラヘルツパルス光は、対象物体を透過又は反射したものである。
【0036】
本発明の第5の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、テラヘルツパルス光を対象物体に照射するテラヘルツパルス光照射部と、前記対象物体を透過又は反射したテラヘルツパルス光を受光する電気光学結晶と、一次的にチャーピングされかつ前記テラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光を、前記電気光学結晶に照射するプローブパルス光照射部と、前記電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光から特定偏光成分を抽出する検光部と、偏光状態が変調された前記プローブパルス光に対して、そのパルス幅が拡大するように、前記検光部によって特定偏光成分を抽出する前又は後に二次的にチャーピングを行うチャーピング部と、前記検光部による特定偏光成分の抽出及び前記チャーピング部による二次的なチャーピングの後の前記プローブパルス光を、光電変換する光電変換部と、を備えたものである。
【0037】
本発明の第6の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、前記第5の態様において、前記チャーピング部は、前記二次的なチャーピングを、前記一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うものである。
【0038】
本発明の第7の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、前記第5又は第6の態様において、前記チャーピング部は、光ファイバを含むものである。
【0039】
本発明の第8の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、テラヘルツパルス光を対象物体の2次元領域に一括照射するテラヘルツパルス光照射部と、前記対象物体の前記2次元領域を透過又は反射したテラヘルツパルス光を、前記対象物体の前記2次元領域に対応する2次元領域で一括受光する電気光学結晶と、一次的にチャーピングされかつ前記テラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光を、前記電気光学結晶の前記2次元領域に一括照射するプローブパルス光照射部と、前記電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光から特定偏光成分を抽出する検光部と、偏光状態が変調された前記プローブパルス光に対して、そのパルス幅が拡大するように、前記検光部によって特定偏光成分を抽出する前又は後に、前記電気光学結晶の前記2次元領域の各部位に対応するもの毎に、それぞれ二次的にチャーピングを行うチャーピング部と、前記検光部による特定偏光成分の抽出及び前記チャーピング部による二次的なチャーピングの後の前記プローブパルス光を、前記電気光学結晶の前記2次元領域の各部位に対応するもの毎に、それぞれ光電変換する光電変換部と、を備えたものである。
【0040】
本発明の第9の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、前記第8の態様において、前記チャーピング部は、前記二次的なチャーピングを、前記一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うものである。
【0041】
本発明の第10の態様によるテラヘルツパルス光計測装置は、前記第8又は第9の態様において、記チャーピング部は、光ファイバ束を含むものである。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるテラヘルツパルス光計測方法及び装置について、図面を参照して説明する。
【0043】
図1は、本発明の一実施の形態によるテラヘルツパルス光計測装置を模式的に示す概略構成図である。図2は、図1に示す計測装置において用いられているパルス伸長器62を示す概略斜視図である。なお、図2は、ほぼ図1における紙面奥側から手前側を見たものとして示しているが、図面表記の便宜上、図2におけるピックアップ用平面鏡75の傾きは図1におけるピックアップ用平面鏡75の傾きとは一致させていない。また、図2において、光の様子はその中心のみを示し、光の発散及び収束は無視して示している。
【0044】
本実施の形態によるテラヘルツパルス光計測装置では、レーザ装置等からなるフェムト秒パルス光源51から放射されたフェムト秒パルス光L51が、平面反射鏡52を経た後に、ビームスプリッタ53で2つのパルス光L52,L53に分割される。フェムト秒パルス光源51から放射されるフェムト秒パルス光L51の繰り返し周期は、例えば、1kHz程度とされる。本発明では、前記従来のポンプ−プローブ法とは異なり、本質的にフェムト秒パルス光L51は単一パルスのみでもよいが、試料100が動くものであったり試料100を動かして観察したりする場合などに、いわば動画を得るように、経時的に連続して試料100を観察するためには、フェムト秒パルス光L51は繰り返しパルスであることが好ましい。
【0045】
ビームスプリッタ53で分割された一方のパルス光L52は、テラヘルツ光発生器としての大口径光伝導アンテナ56を励起してテラヘルツパルス光を発生させるためのポンプパルス光(励起パルス光)となる。大口径光伝導アンテナ56に代えて、ダイポールアンテナ等を用いた光導電アンテナや電気光学結晶などの他のテラヘルツ光発生器を用いてもよいことは、言うまでもない。ポンプパルス光L52は、ビームエキスパンダ54でその断面が拡張された後、平面反射鏡55を経て、大口径光伝導アンテナ56へ導かれる。大口径光伝導アンテナ56の電極間には、バイアス電源57からバイアス電圧が印加されている。その結果、大口径光伝導アンテナ56からテラヘルツパルス光L54が放射され、このテラヘルツパルス光L54が測定対象物体としての試料100の2次元領域を一括照射する。
【0046】
このように、本実施の形態では、フェムト秒パルス光源51、平面反射鏡52、ビームスプリッタ53、ビームエキスパンダ54、平面反射鏡55及び大口径光伝導アンテナ56が、テラヘルツパルス光L54を試料100の2次元領域に一括照射するテラヘルツパルス光照射部を構成している。
【0047】
試料100の2次元領域を透過したテラヘルツパルス光L55は、結像光学系を構成するレンズ58,59を経てビームスプリッタ60を透過した後に、ZnTe等の電気光学結晶61に入射する。本実施の形態では、レンズ58,59の焦点距離は共にfであり、前段のレンズ58は試料100から焦点距離fだけ離れた位置に配置され、後段のレンズ59は電気光学結晶61から焦点距離fだけ離れた位置に配置されている。したがって、レンズ58,59によって、試料100を透過したテラヘルツパルス光L55による試料100の2次元領域の像が、電気光学結晶61の対応する2次元領域に結像される。このように、本実施の形態では、電気光学結晶61は、試料100の2次元領域を透過したテラヘルツパルス光L55を、試料100の前記2次元領域に対応する2次元領域で一括受光する。もっとも、本発明では、電気光学結晶61が、試料100の2次元領域で反射されたテラヘルツパルス光を、試料100の前記2次元領域に対応する2次元領域で一括受光するように、構成してもよい。
【0048】
ビームスプリッタ53で分割された他方のパルス光L53は、テラヘルツパルス光L55を検出するためのプローブパルス光となる。このプローブパルス光L53は、これをチャーピングするチャーピング部としてのパルス伸長器62により、一次的にチャーピングされる。
【0049】
本実施の形態では、パルス伸長器62は、チャープパルス増幅を行うレーザ装置において用いられているパルス伸長器と同様に構成され、入射したプローブパルス光L53に含まれる短波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に遅らせるように構成されている。具体的には、パルス伸長器62は、図1及び図2に示すように、再帰反射器(Retro−reflector)71と、反射型回折格子72と、凹面鏡73と、平面反射鏡74と、ピックアップ用平面鏡75とから構成されている。パルス伸長器62に入射して再帰反射器71を通過した細い線状のプローブパルス光L53は、回折格子72(これ以降は発散光となる。)→凹面鏡73→平面鏡74→凹面鏡73→回折格子72(これ以降は平行光となる。)→再帰反射器71→回折格子72(これ以降は収束光となる。)→凹面鏡73→平面鏡74→凹面鏡73→回折格子72(これ以降は細い線状の光となる。)→平面鏡75の経路を通り、外部に射出される。なお、本発明では、一次的なチャーピングを行うチャーピング部は、前述した構成を持つパルス伸長器62に限定されるものではない。
【0050】
パルス伸長器62により一次的にチャーピングされたプローブパルス光L53は、ビームエキスパンダ63でテラヘルツパルス光L55の断面に応じて拡張され、偏光子64を通過した後に直線偏光光となり、更に、ビームスプリッタ60で反射された後に電気光学結晶61の前記2次元領域に入射する。このように、本実施の形態では、フェムト秒パルス光源51、平面反射鏡52、ビームスプリッタ53、パルス伸長器62、ビームエキスパンダ63、偏光子64及びビームスプリッタ60が、一次的にチャーピングされかつテラヘルツパルス光L55と同期したプローブパルス光L53を、電気光学結晶61の前記2次元領域に一括照射するプローブパルス光照射部を構成している。
【0051】
電気光学結晶61に入射した直線偏光光であるプローブパルス光L53は、電気光学結晶61の前記2次元領域を透過する。その透過光の各波長成分の偏光状態は、テラヘルツパルス光L55により生じた電気光学結晶61の複屈折変化(すなわち、テラヘルツパルス光L55の電場強度変化)に応じて、楕円偏光に変化する。このとき、テラヘルツパルス光L55の単一パルスにおける各時点での電場強度の情報は、直線偏光からの差としてプローブパルス光の各波長成分の偏光状態が担っている。すなわち、プローブパルス光L53の各波長成分は、電気光学結晶61を通過して、テラヘルツパルス光L55により、偏光状態が変調される。
【0052】
電気光学結晶61を透過したプローブパルス光L53は、検光子65で特定偏光成分のみ抽出された後に、チャーピング部としての光ファイバ束66によって、そのパルス幅が拡大するように、電気光学結晶61の前記2次元領域の各部位に対応するもの毎に、それぞれ二次的にチャーピングされる。光ファイバ束66の各光ファイバの入力端66aは、電気光学結晶61の前記2次元領域に対応する2次元領域に分布するように配置されている。本実施の形態では、光ファイバ束66の各光ファイバとして、パルス伸長器62による一次的なチャーピングと同符号の群速度分散によりチャーピングを行うものが用いられている。すなわち、光ファイバ束66の各光ファイバとして、短波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に遅らせる分散特性(正方向の分散特性)を持つ光ファイバが用いられている。正方向の分散特性を持つ光ファイバは一般的なものである。本実施の形態では、このような一般的な光ファイバを用いるとともに一次及び二次のチャーピングの群速度分散の符号を同符号にするために、パルス伸長器62を、短波長成分ほど長波長成分に比べて時間的に遅らせるように構成している。もっとも、光ファイバ束66の各光ファイバとして、負方向の分散特性を持つ光ファイバを用いてもよい。また、本実施の形態のように、一次及び二次のチャーピングの群速度分散の符号が同一符号であれば、光ファイバ束66の長さを比較的短くしつつ所望のパルス幅(後述する光電変換部で光の強度の時間変化が測定可能なパルス幅)を得ることができるが、一次及び二次のチャーピングの群速度分散の符号が逆符号であっても、光ファイバ束66の長さを十分に長くすれば、所望のパルス幅を得ることは可能である。なお、本発明では、二次的なチャーピングを行うチャーピング部は、前記光ファイバ束66に限定されるものではない。
【0053】
光ファイバ束66によりそれぞれ二次的にチャーピングされたプローブパルス光L53は、光電変換部としての1次元又は2次元のフォトダイオードアレイ(マルチチャンネル光検出器)等の光電変換素子アレイ67により、電気光学結晶61の前記2次元領域の各部位に対応するもの毎に、それぞれ光電変換される。なお、光電変換素子アレイ67の各光電変換素子の受光部には、光ファイバ束66の各光ファイバの射出端が対向配置されている。
【0054】
光電変換素子アレイ67の各光電変換素子から時間経過に従って得られる出力信号の時間変化は、信号処理回路及びパーソナルコンピュータ等からなる処理部68に時系列波形データとして取り込まれる。処理部68は、取り込んだ前記2次元領域の各部位にそれぞれ対応する時系列波形をCRT等の表示部69にそのまま表示させたり、必要に応じて、各部位にそれぞれ対応する時系列波形をフーリエ変換して各部位毎に分光情報(各周波数成分ごとの強度)を得て、これらを表示部69に表示させたりする。なお、例えば、各光電変換素子にそれぞれ対応してメモリを用意することにより、コンピュータの転送速度を無視した高速な測定することも可能である。
【0055】
ここで、本実施の形態における各部でのプローブパルス光L53の様子の一例を、図3及び図4に模式的に示す。図3(a)は、パルス伸長器62へ入射する前のプローブパルス光L53を示す波形図である。図3(b)は、パルス伸長器62により一次的にチャーピングされた後でかつ光ファイバ束66へ入射する前のプローブパルス光L53を示す波形図である。図4(a)は、図3(b)に示すプローブパルス光L53に含まれる最も波長の短い短波長成分と最も波長の長い長波長成分を示す波形図である。図3(c)は、光ファイバ束66により二次的にチャーピングされた後のプローブパルス光L53を示す波形図である。図4(b)は、図3(c)に示すプローブパルス光L53に含まれる最も波長の短い短波長成分と最も波長の長い長波長成分を示す波形図である。なお、図3(c)及び図4(b)では、テラヘルツパルス光L55による変調を無視して示している。
【0056】
図3及び図4に示す例では、フェムト秒パルス光源51から放射されたフェムト秒パルス光L51(したがって、パルス伸長器62へ入射する際のプローブパルス光L53)のパルス幅は、図3(a)に示すように100fs程度である。観測しようとするテラヘルツパルス光L55の時間領域が10ps程度である場合には、図3(b)及び図4(a)に示すように、パルス伸長器62により、プローブパルス光L53を10ps程度に拡げればよい。例えば、観察しようとするテラヘルツパルス光L55の周波数が2THz以下である場合、現在、光電変換素子ではSi−PINフォトダイオードで遮断周波数が2GHzのものがあり、デジタルロックインアンプで帯域が2GHzでサンプリングが16Gs/secのものがあるので、これらを用いるときには、図3(c)及び図4(b)に示すように、光ファイバ束66により、プローブパルス光L53を10ns程度に拡げればよい。例えば、光ファイバ束66として、波長800nmで1590fs2/cmの分散を持つ光ファイバを用いれば、その長さを2kmとすることで、10ns以上にプローブパルス光L53を拡げることができる。一般的には、光ファイバ束66の長さは、1km以上であることが好ましく、2km以上であることがより好ましい。
【0057】
本実施の形態によれば、前述したように、テラヘルツパルス光L54が試料100の2次元領域に一括照射され、試料100の2次元領域を透過したテラヘルツパルス光L55が、電気光学結晶61の対応する2次元領域で一括受光され、一次的にチャーピングされかつテラヘルツパルス光L55と同期したプローブパルス光L53が電気光学結晶61の前記2次元領域に一括照射される。このため、プローブパルス光の各波長成分は、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、テラヘルツパルス光L55の単一パルスにおける各時点での電場強度により偏光状態が変調され、プローブパルス光の特定偏光成分の各波長成分の強度は、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、テラヘルツパルス光L55の単一パルスにおける各時点での電場強度を示すことになる。 そして、特定偏光成分を抽出したプローブパルス光の各波長成分は、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、光ファイバ束66によりそれぞれ二次的にチャーピングされ、光の強度の時間変化が測定可能なパルス幅にそれぞれ拡げられ、この二次的にチャーピングされたプローブパルス光L53が、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、光電変換素子アレイ67の各光電変換素子により、光電変換される。
【0058】
したがって、特定偏光成分を抽出したプローブパルス光L53の各波長成分の強度に応じた出力信号(電気信号)が、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、時間変化に従って各光電変換素子から得られる。すなわち、テラヘルツパルス光L55の電場強度の時系列波形が、電気光学結晶61の2次元領域の各部位に対応するもの毎に、各光電変換素子からの出力信号の時間変化(出力信号の時系列波形)に変換されることになる。
【0059】
このため、本実施の形態によれば、試料100の2次元領域の各部位の全体に渡るテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測(テラヘルツパルス光の単一パルスの時系列波形の計測)を行うことができる。また、本実施の形態によれば、従来のチャーピング計測手法とは異なり、分光器を用いてテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を空間的な位置系列波形に変換するのではなく、光ファイバ束66を用いて二次的なチャーピングを行うことによりテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を光電変換素子からの出力信号の時系列波形に変換しているので、従来のチャーピング計測手法で必要であった分光器が不要となる。
【0060】
図1に示すテラヘルツパルス光計測装置では、前述したように、フェムト秒パルス光源51とは別に、一次的なチャーピングのためのパルス伸長器62が設けられている。しかしながら、フェムト秒パルス光源51は、通常はチャープパルス増幅を行うレーザ装置で構成されるので、パルス伸長器62を特別に設けることなく、当該レーザ装置の構成を利用して、ポンプパルス光L52及び一次的にチャーピングされたプローブパルス光L53を取り出すことが好ましい。その一例を図5に示す。
【0061】
図5に示す例では、フェムト秒パルス光源51は、チャープパルス増幅を行うレーザ装置として構成されており、周知のように、シードパルスを発生するシードレーザ81と、シードレーザ81からのシードパルスをチャーピングして伸長するパルス伸長器82(これは、例えば、図2に示すパルス伸長器62と同様の構成を持つ。)と、パルス伸長器82によりチャーピングされたパルスを増幅する再生増幅器83と、再生増幅器83により増幅されたパルスを圧縮するパルス圧縮器84と、を有している。なお、図5において、ポンプ光源等の図示は省略している。そして、図5に示す例では、再生増幅器83の出力パルスをビームスプリッタ85で分割し、分割された一方のパルスをパルス圧縮器84で圧縮してポンプパルス光L52として取り出し、分割された他方のパルスをパルス圧縮器84で圧縮することなく一次的にチャーピングされたポンプパルス光L53として取り出している。このような構成を採用すると、図1に示す計測装置に比べて、より構成が簡単となり、コスト低減を図ることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例について説明したが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0063】
例えば、前述した実施の形態は、試料100の2次元領域の各部位についてテラヘルツパルス光の時系列波形を計測する計測装置の例であるが、本発明は、試料100の一点についてのみテラヘルツパルス光の時系列波形を計測する場合にも適用することができる。この場合には、試料100の一点について、分光器を要することなく、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行うことができる
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、分光器を要することなく、テラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行うことができるテラヘルツパルス光計測方法及び装置を提供することができる。
【0065】
また、本発明によれば、対象物体の2次元領域の各部位の全体に渡るテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の実時間計測を行うことができるテラヘルツパルス光計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるテラヘルツパルス光計測装置を模式的に示す概略構成図である。
【図2】図1に示す計測装置において用いられているパルス伸長器を示す模式的に概略斜視図である。
【図3】図1に示すテラヘルツパルス光計測装置における各部でのプローブパルス光の様子の一例を示す図である。
【図4】図1に示すテラヘルツパルス光計測装置における各部でのプローブパルス光の様子の一例を示す他の図である。
【図5】図1に示すテラヘルツパルス光計測装置の変形例の要部を模式的に示す概略構成図である。
【図6】従来のテラヘルツパルス光計測装置の一例を模式的に示す概略構成図である。
【図7】従来のテラヘルツパルス光計測装置の他の例を模式的に示す概略構成図である。
【符号の説明】
51 フェムト秒パルス光源
54,63 ビームエキスパンダ
56 大口径光伝導アンテナ(テラヘルツ光発生器)
61 電気光学結晶
62 パルス伸長器(一次的なチャーピング部)
64 偏光子
65 検光子
66 光ファイバ束(二次的なチャーピング部)
67 光電変換素子アレイ(光電変換部)
100 試料(対象物体)
Claims (10)
- テラヘルツパルス光を電気光学結晶に導びくとともに、一次的にチャーピングされかつ前記テラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光を前記電気光学結晶に導き、
前記電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光の特定偏光成分を抽出し、
偏光状態が変調された前記プローブパルス光に対して、そのパルス幅が拡大するように、前記特定偏光成分の抽出の前又は後に二次的にチャーピングを行い、
前記特定偏光成分の抽出及び前記二次的なチャーピングの後の前記プローブパルス光を光電変換することを特徴とするテラヘルツパルス光計測方法。 - 前記二次的なチャーピングを、前記一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うことを特徴とする請求項1記載のテラヘルツパルス光計測方法。
- 前記二次的なチャーピングを、光ファイバを用いて行うことを特徴とする請求項1又は2記載のテラヘルツパルス光計測方法。
- 前記電気光学結晶に導かれる前記テラヘルツパルス光は、対象物体を透過又は反射したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のテラヘルツパルス光計測方法。
- テラヘルツパルス光を対象物体に照射するテラヘルツパルス光照射部と、
前記対象物体を透過又は反射したテラヘルツパルス光を受光する電気光学結晶と、
一次的にチャーピングされかつ前記テラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光を、前記電気光学結晶に照射するプローブパルス光照射部と、
前記電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光の特定偏光成分を抽出する検光部と、
偏光状態が変調された前記プローブパルス光に対して、そのパルス幅が拡大するように、前記検光部により特定偏光成分を抽出する前又は後に二次的にチャーピングを行うチャーピング部と、
前記検光部による特定偏光成分の抽出及び前記チャーピング部による二次的なチャーピングの後の前記プローブパルス光を、光電変換する光電変換部と、を備えたことを特徴とするテラヘルツパルス光計測装置。 - 前記チャーピング部は、前記二次的なチャーピングを、前記一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うことを特徴とする請求項5記載のテラヘルツパルス光計測装置。
- 前記チャーピング部は、光ファイバを含むことを特徴とする請求項5又は6記載のテラヘルツパルス光計測装置。
- テラヘルツパルス光を対象物体の2次元領域に一括照射するテラヘルツパルス光照射部と、
前記対象物体の前記2次元領域を透過又は反射したテラヘルツパルス光を、前記対象物体の前記2次元領域に対応する2次元領域で一括受光する電気光学結晶と、
一次的にチャーピングされかつ前記テラヘルツパルス光と同期したプローブパルス光を、前記電気光学結晶の前記2次元領域に一括照射するプローブパルス光照射部と、
前記電気光学結晶を通過して前記テラヘルツパルス光により偏光状態が変調された前記プローブパルス光の特定偏光成分を抽出する検光部と、
偏光状態が変調された前記プローブパルス光に対して、そのパルス幅が拡大するように、前記検光部により特定偏光成分を抽出する前又は後に、前記電気光学結晶の前記2次元領域の各部位に対応するもの毎に、それぞれ二次的にチャーピングを行うチャーピング部と、
前記検光部による特定偏光成分の抽出及び前記チャーピング部による二次的なチャーピングの後の前記プローブパルス光を、前記電気光学結晶の前記2次元領域の各部位に対応するもの毎に、それぞれ光電変換する光電変換部と、を備えたことを特徴とするテラヘルツパルス光計測装置。 - 前記チャーピング部は、前記二次的なチャーピングを、前記一次的なチャーピングと同符号の群速度分散により行うことを特徴とする請求項8記載のテラヘルツパルス光計測装置。
- 前記チャーピング部は、光ファイバ束を含むことを特徴とする請求項8又は9記載のテラヘルツパルス光計測装置。
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