JP2004019728A - リニアガイド装置 - Google Patents

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Atsushi Matsumoto
松本 淳
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Abstract

【課題】この発明は、高い使用速度においても、転動体転動路を破損することなく使用できる、騒音の少ないリニアガイド装置を提供することにある。
【解決手段】側面に長手方向に沿って第1の転動体転動溝11を有する案内レール10と、この案内レールの第1の転動体転動溝と対向する第2の転動体転動溝22を有し、両転動体転動溝間に、各転動体転動溝とそれぞれ2点で接触するよう転動自在に介装された転動ボール30を介して上記案内レールの長手方向に相対移動するスライダ20とを有し、上記転動ボールと第1の転動体転動溝との第1の接触角α1 を、上記転動ボールと第2の転動体転動溝との第2の接触角α2 よりも小さくなるようにした。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、案内レールとスライダとの間に介装された転動ボールを介して、スライダを案内レールの長手方向に案内するリニアガイド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、マシニングセンタなどの工作機械やロボットなどの産業用機械ではリニアガイド装置が用いられることがある。このリニアガイド装置は、実新登2527219号公報に示すように、両側面に長手方向に沿って転動体転動溝が形成された案内レールと、この案内レールに嵌合されるスライダとからなる。このスライダの内面には、上記案内レールの転動体転動溝と対向して転動体転動溝がそれぞれ形成されており、これら対向する一対の転動体転動溝の間に形成される軌道間通路内に、転動体としての多数のボールを転動自在に介装することで、スライダを案内レールの長手方向に沿って相対移動できるようになっている。
【0003】
各転動体転動溝は、図17に示すように、軌道間通路に介装されたボールが案内レール側の転動体転動溝及びスライダ側の転動体転動溝にそれぞれ同じ角度αで接触するよう設定されている。
【0004】
上記スライダの幅方向両端部側には移動方向に沿ってそれぞれボールが転動可能な循環通路が形成され、移動方向両端部にはそれぞれエンドキャップが設けられている。各エンドキャップには、両端が上記軌道間通路と上記循環通路とにそれぞれ連通する方向転換路が形成されている。それによって、上記軌道間通路と方向転換路と循環通路とでボールが循環可能な環状の転動体転動路が形成されている。
【0005】
軌道間通路内に介装されたボールは、スライダを案内レールの長手方向に相対移動させると、この軌道間通路内を転動し、スライダの移動方向一端部に到達すると、エンドキャップにすくい上げられて上記スライダの循環通路を通って再びエンドキャップから軌道間通路に送りこまれる。
【0006】
このように、ボールは環状の上記転動体転動路内で循環運動を何度も繰り返すことができるから、複数の案内レールをつなぎあわせれば、上記スライダを同方向にいくらでも直線運動させることができるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記スライダを案内レールに対して高速で相対移動させると、それに伴って、これらの間に介装されたボールも上記スライダに対して同じく高速で転動する。そのため、ボールが方向転換路に突入するときにエンドキャップと衝突すると、その衝撃力によって上記方向転換路が破壊されることがあった。
【0008】
特に、エンドキャップに形成されたタング部は、ボールをすくい上げるために肉薄に形成されており、ボールの衝突によって欠損しやすかった。そのため、方向転換路の破損防止のため、リニアガイド装置の使用速度が制限されていた。
【0009】
また、ボールは、方向転換路から軌道間通路に送り込まれる際、スライダ側の軌道面の端部に衝突することがある。このとき、スライダ側軌道面端部がシャープエッジとなっていると、ボールの衝突によって大きな衝撃力が生じる。そのため、スライダ側軌道面端部は、疲れ寿命が低減し、損傷することがあった。そこで、スライダ側軌道面端部にはクラウニングと呼ばれる緩やかな傾斜を設け、ボールの円滑な導入を図っていた。しかし、ボールのスライダに対する移動速度が高速である場合、クラウニングの加工だけでは損傷の防止としては不十分な場合があった。
【0010】
この発明は、高い使用速度においても、転動体転動路を破損することなく使用できる、騒音の少ないリニアガイド装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、側面に長手方向に沿って第1の転動体転動溝を有する案内レールと、この案内レールの第1の転動体転動溝と対向する第2の転動体転動溝を有し、両転動体転動溝の間に、各転動体転動溝とそれぞれ2点で接触するよう転動自在に介装された転動ボールを介して上記案内レールの長手方向に相対移動するスライダとを有し、上記転動ボールと第1の転動体転動溝との第1の接触角は、上記転動ボールと第2の転動体転動溝との第2の接触角よりも小さいことを特徴とするリニアガイド装置にある。
【0012】
請求項2の発明は、上記第1の接触角と上記第2の接触角との和がほぼ90度であることを特徴とする請求項1記載のリニアガイド装置にある。
【0013】
請求項3の発明は、側面に長手方向に沿って第1の転動体転動溝を有する案内レールと、この案内レールの第1の転動体転動溝と対向する第2の転動体転動溝を有し、両転動体転動溝の間に、上記第1の転動体転動溝と1点で接触するとともに上記第2の転動体転動溝と2点で接触するよう転動自在に介装された転動ボールを介して上記案内レールの長手方向に相対移動するスライダとを有することを特徴とするリニアガイド装置にある。
【0014】
この発明によれば、転動ボールのスライダに対する移動速度を低下させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1〜図9はこの発明の第1の実施の形態を示す。
【0017】
図1に示すリニアガイド装置は断面ほぼ矩形状の案内レール10を有する。この案内レール10には長手方向に対して所定の間隔で複数のレール取り付け穴54(2つのみ図示)が形成されており、図示しないボルトによって上記案内レール10を他の装置等に固定できるようになっている。
【0018】
上記案内レール10の幅方向両側面には長手方向の全長にわたってそれぞれ第1の転動体転動溝11が形成されている。これら第1の転動体転動溝11は、図2と図4に示すように、同じ曲率を有する2つの円弧面12からなり、上記案内レール10の上下方向に対称な形状となっている。
【0019】
図1に示すように、この案内レール10の上面側にはスライダ20が嵌合されている。このスライダ20は断面ほぼコ字状のスライダ本体21を有している。このスライダ本体21の四隅部には、それぞれスライダ取り付け穴62(3つのみ図示)が形成されており、図示しないボルトによって、他の部材等を取り付けられるようになっている。
【0020】
図2に示すように、上記スライダ本体21の対向する一対の内側面には、上記案内レール10の第1の転動体転動溝11と対向してそれぞれ第2の転動体転動溝22が形成されている。各第2の転動体転動溝22は、図4に示すように、同じ曲率を有する2つの円弧面23からなり、上記スライダ本体21の上下方向に対称な形状となっている。
【0021】
対向する上記第1の転動体転動溝11と第2の転動体転動溝22との間に形成される軌道間通路51内には、それぞれ複数の転動ボール30が所定の与圧が付与された状態で転動可能に介装されている。それによって、上記スライダ20は上記案内レール10の長手方向に沿って円滑に相対移動できるようになっている。
【0022】
上記各転動体転動溝11、22を形成する円弧面12、23の半径寸法は、上記転動ボール30の直径寸法の約0.505〜0.6程度に設定されている。それによって、図4に示すように、上記軌道間通路51内に介装された各転動ボール30は、上記第1の転動体転動溝11に第1の接触角α1 、この実施の形態では40度で2点接触するとともに、上記第2の転動体転動溝22に第2の接触角α2 、この実施の形態では50度で2点接触している。
【0023】
なお、図中の線分L1 は、上記第1の接触角α1 、及び第2の接触角αの基準となる基準線を示している。
【0024】
図1〜図3に示すように、上記スライダ本体21の幅方向両端側には、長手方向に沿ってそれぞれ上記転動ボール30が転動可能な循環通路24が形成され、各循環通路24の両端はそれぞれ上記スライダ本体21の長手方向両端面に開口している。
【0025】
上記スライダ本体21の長手方向方向両端部には、ほぼコ字状のエンドキャップ25がビス26によって設けられている。各エンドキャップ25には、内部でほぼ半ループ状に湾曲した方向転換路27がそれぞれ形成されている。
【0026】
各方向転換路27の両端は、上記エンドキャップ25の上記スライダ本体21側の側面に開口し、それぞれ上記軌道間通路51及び上記スライダ本体21の循環通路24と連通している。それによって、上記軌道間通路51と循環通路24と一対の方向転換路27とで、上記転動ボール30が循環可能な環状の転動体転動路52を形成している。
【0027】
なお、上記転動ボール30は、上記循環通路24及び方向転換路27内にも封入されている。すなわち、上記転動体転動路52は、ほぼ全長にわたって上記転動ボール30で満たされている。
【0028】
それによって、上記スライダ20を上記案内レール10に対して相対移動させることで、上記軌道間通路51内の転動ボール30が上記スライダ本体21の長手方向の一端部から上記方向転換路27に脱出しても、上記スライダ本体21の移動方向の他端部側に設けられた方向転換路27から上記軌道間通路51内に転動ボール30が次々と送り込まれるため、上記スライダ20の移動が阻害されることがない。
【0029】
すなわち、上記転動ボール30は環状の上記転動体転動路52内で循環運動を何度も繰り返すことができるから、複数の案内レール10をつなぎあわせれば、スライダ20を同方向にいくらでも直線運動させることができる。
【0030】
上記転動体転動路52内に封入された複数の転動ボール30は、図示しない転動ボール保持器に回転自在かつ互いに離間して保持され、全体として無端環状に連結されている。
【0031】
それによって、個々の転動ボール30は、互いに接触することなく滑らかに回転でき、また、上記スライダ20を上記案内レール10から取り外したときに、上記転動ボール30が脱落しないようになっている。
【0032】
図3に示すように、上記各エンドキャップ25の向かい合う2辺の内側には、それぞれ溝蓋部60が上記案内レール10の第1の転動体転動溝11内に突出して形成されている。上記各方向転換路27の一端は、この溝蓋部60に開口しており、上記エンドキャップ25の幅方向内側の溝蓋部60の縁部は肉薄のタング部57に形成されている。それによって、上記軌道間通路51からの転動ボール30を上記方向転換路27内にすくい上げられるようになっている。
【0033】
また、図3に示すように、上記各第2の転動体転動溝22の長手方向両端部は、それぞれ上記スライダ本体21の幅方向外方に向って緩やかに傾斜するクラウニング部56となっており、上記転動ボール30を上記軌道間通路51内に円滑に導入できるようになっている。
【0034】
上記エンドキャップ25の上記スライダ本体21と反対側の側面にはそれぞれ端面シール55が設けられている。各端面シール55は、上記スライダ20と上記案内レール10との間にゴミ等が入り込むのを防止するとともに、上記スライダ20と案内レール10との間に供給された潤滑剤が外部に漏れるのを防止している。
【0035】
次いで、上記構成のリニアガイド装置を使用する際の動作について説明する。
【0036】
スライダ20を案内レール10に対して図3に矢印Aで示す方向に相対移動させると、軌道間通路51内に介装された転動ボール30は上記スライダ20に対して図3に矢印Bで示す方向に移動速度VESで転動し、上記スライダ本体21の移動方向の一端部に到達すると、エンドキャップ25によってすくい上げられ、方向転換路27を通ってスライダ本体21に形成された循環通路24に送り込まれる。
【0037】
上記スライダ本体21の循環通路24に導入された転動ボール30は、図3に矢印Cで示す方向に転動し、エンドキャップ25の方向転換路27によって再び上記軌道間通路51に送り込まれる。
【0038】
上記転動ボール30は、上記転動体転動路52内で常に円滑に循環しているわけではない。たとえば、各転動ボール30は、軌道間通路51から方向転換路27に送り込まれる際に、エンドキャップ25のタング部57と衝突したり、また、上記方向転換路27から上記軌道間通路51に送り込まれる際に、スライダ本体21のクラウニング部56と衝突することがある。
【0039】
したがって、上記転動ボール30の衝突による衝撃力を緩和するためには、上記移動速度VESが小さい方が望ましい。
【0040】
ところで、図15に示すように、固定座標Mに対する転動ボール30の図心Oの移動速度をVE 、図心Oに対する上記転動ボール30の第1の転動体転動溝11との接触点Hの相対速度をVHOとすると、固定座標Mに対する案内レール10の移動速度VR は下記数式1で表される。
【0041】
上記転動ボール30の第1の転動体転動溝11との接触点Hは、図16に示すように、転動ボール30の直径寸法をDa とすると、軸線L2 を中心として、半径Da cosα1 /2、角速度ωで回転するから、上記相対速度VHOはDa ωcosα1 /2となる。したがって、数式1中のVHOにDa ωcosα1 /2を代入することで下記数式2を得る。
【0042】
同様にすると、上記固定座標Mに対する上記スライダ20の移動速度VS は下記数式3で表される。
【0043】
これら数式2と数式3から転動ボール30の直径Da と角速度ωとを消去し整理する。それによって、固定座標Mに対する転動ボール30の移動速度VE は下記数式4で表される。
【0044】
よって、上記転動ボール30のスライダ20に対する移動速度VESは下記数式5で表される。なお、下記数式5において、λ=cosα2 /cosα1 である。
【0045】
【数1】
Figure 2004019728
【0046】
【数2】
Figure 2004019728
【0047】
【数3】
Figure 2004019728
【0048】
【数4】
Figure 2004019728
【0049】
【数5】
Figure 2004019728
【0050】
この数式5によれば、第1の接触角α1 を第2の接触角α2 よりも小さくなるように設定すると、λの値が小さくなるため、上記移動速度VESが低下することがわかる。
【0051】
そこで、発明者は実際に第2の接触角α2 の値を種々に、すなわち10度から80度にわたって10度間隔で変化させて速度実験を行った。その結果、上記第2の接触角α2 を増加させると、図5に示すようにスライダ20に対する転動ボール30の移動速度VESが低下することを確認した。
【0052】
上記速度実験の実験条件は以下の通りである。
【0053】
転動ボール30の直径…2.381mm、
第1の転動体転動溝11を構成する円弧面12の半径…1.286mm、(転動ボール直径54%)
第2の転動体転動溝22を構成する円弧面23の半径…1.286mm、(転動ボール直径54%)
与圧量…1μm、
スライダ20の長さ寸法…31mm、
クラウニング56の落ち量、長さ…3μm、3mm、(直線クラウニング)
スライダ20の速度…1000mm/sec、
案内レール10の速度…0mm/sec、
第1の接触角α1 …40度、
第2の接触角α2 …10度〜80度。
【0054】
なお、上記第1の実施の形態では、上記転動ボール30の上記スライダ20に対する移動速度VESは、約396mm/secとなった。すなわち、上記第2の接触角α2 が上記第1の接触角α1 と同等の40度である場合、上記転動ボール30の上記スライダ20に対する移動速度VESは500mm/secとなるから、従来、すなわち上記第2の接触角α2 を上記第1の接触角α1 と同等に設定した場合と比べて、上記移動速度VESを約2割低下できた。
【0055】
ところで、リニアガイド装置の上下方向と左右方向の剛性が等しい場合、このリニアガイド装置を用いた装置の機械振動対策や運動精度を検討する際に扱いやすいことがある。
【0056】
そこで、発明者は上記速度実験と同じ実験条件の下、第2の接触角α2 の値を種々に変えて剛性実験を行った。その結果、第2の接触角α2 が50度となるときに、上下方向剛性KV の値と左右方向剛性KH の値とがほぼ等しくなることを確認した。
【0057】
図9は、30度〜60度の範囲の第1の接触角α1 に対して、上下方向と左右方向の剛性が等しくなるような第2の接触角α2 を計算によって求めた結果である。これより、第1の接触角α1 と第2の接触角α2 との和がほぼ90度であるとき、リニアガイド装置の上下方向と左右方向の剛性とがほぼ等しくなることがわかる。
【0058】
この実施の形態に係る構成のリニアガイド装置によれば、上記転動ボール30と上記案内レール10の第1の転動体転動溝11との第1の接触角α1 を40度、上記転動ボール30と上記スライダ20の第2の転動体転動溝22との第2の接触角α2 を50度とした。
【0059】
すなわち、上記第1の接触角α1 を上記第2の接触角α2 よりも小さく設定した。そのため、上記速度実験の実験結果より、上記転動ボール30のスライダ20に対する移動速度VESは低下することがわかる。したがって、リニアガイド装置を使用する際、上記転動ボール30が上記エンドキャップ25の方向転換路27、特に肉薄であるタング部57と衝突しても、それによって生じる衝撃力は抑制されるから、従来に比較してエンドキャップ25は破損し難くなっている。
【0060】
逆に言えば、上記リニアガイド装置をより大きな使用速度で使用することができる。さらに、上記転動ボール30の上記スライダ20に対する移動速度を抑えられるから、上記転動ボール30が上記スライダ20に衝突することによって生じる騒音、すなわち衝突音を低下させることができる。
【0061】
また、上記第1の接触角α1 と第2の接触角α2 との和が90度となるように設定した。そのため、上記剛性実験の実験結果および図9の関係より、このリニアガイド装置の上下方向剛性KV と左右方向剛性KH はほぼ同じになることがわかる。その結果、上記構成のリニアガイド装置を利用した装置の機械振動対策や運動精度を検討しやすくなっている。
【0062】
図7は、上記第1の実施の形態に係るリニアガイド装置を構成する案内レール10及びスライダ20の第1の変形例である。すなわち、断面ほぼ台形からなる案内レール10Aの傾斜面81に長手方向に沿ってそれぞれ第1の転動体転動溝11Aを形成するとともに、上記案内レール10Aと対応する形状からなるスライダ本体21Aの傾斜面82に上記第1の転動体転動溝11Aと対向してそれぞれ第2の転動体転動溝22Aを形成し、これら対向する第1の転動体転動溝11Aと第2の転動体転動溝22Aとの間に複数の転動ボール30を介装することで、上記スライダ本体21Aを上記案内レール10Aの長手方向に沿って相対移動できるようにしたものである。
【0063】
この変形例のリニアガイド装置によれば、上記転動ボール30の接触方向の基準線L1 を水平面に対して傾斜させた。そのため、上下方向の荷重に対して高い負荷容量を得ることができる。
【0064】
図8は、上記第1の実施の形態に係るリニアガイド装置の案内レール10及びスライダ20の第2の変形例である。すなわち、上記案内レール10の両面側にそれぞれ2つの第1の転動体転動溝11Bを形成するとともに、この案内レール10に嵌合される上記スライダ本体21の内面に、上記第1の転動体転動溝11Bと対向してそれぞれ2つの第2の転動体転動溝22Bを形成し、これら対向する第1の転動体転動溝11Bと第2の転動体転動溝22Bとの間に複数の転動ボール30を介装することで、上記スライダ20を案内レール10の長手方向に相対移動できるようにしたものである。
【0065】
この変形例のリニアガイド装置によれば、上記案内レール10と上記スライダ20との間に、長手方向に沿って、複数の転動ボール30を上下2列に設けた。そのため、より高い剛性と負荷容量を得ることができる。
【0066】
なお、これら変形例によって、第1の実施の形態と同様に、上記転動ボール11の上記スライダ20に対する移動速度VESを低下させることができ、また、リニアガイド装置が使用される装置の上下方向剛性KV と左右方向剛性KH をほぼ同等にすることができることは言うまでもない。
【0067】
図10〜図13は、この発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態は、図10に示すように、上記案内レール10の第1の転動体転動溝11Cを1つの円弧面61で形成し、上記転動ボール30をこの第1の転動体転動溝11Cに第1の接触角α1 、この実施の形態では0度で1点接触させるとともに、上記スライダ本体21に上記第1の転動体転動溝11Cと対向して形成された第2の転動体転動溝22Cに第2の接触角α2 、この実施の形態では60度で2点接触させたものである。
【0068】
すなわち、上記第1の接触角α1 は上記第2の接触角α2 よりも小さく設定されていることになるから、上記第1の実施の形態と同様に、上記転動ボール30の上記スライダ20に対する移動速度VSR を低下させられることが予想される。
【0069】
そこで、発明者は実際に第2の接触角α2 を種々に、すなわち10度から80度にわたって10度間隔で変化させて速度実験を行った。その結果、図12に示すように第2の接触角α2 を大きくすると、それに伴って上記転動ボール30の上記スライダ20に対する移動速度VSRが低下することを確認した。
【0070】
上記速度実験の実験条件は以下の通りである。
【0071】
転動ボール30の直径…2.381mm、
第1の転動体転動溝11を構成する円弧面12の半径…1.238mm、(転動ボール直径52%)
第2の転動体転動溝22を構成する円弧面23の半径…1.286mm、(転動ボール直径54%)
与圧量…1μm、
スライダ20の長さ寸法…31mm、
クラウニング56の落ち量、長さ…3μm、3mm、(直線クラウニング)
スライダ20の速度…1000mm/sec、
案内レール10の速度…0mm/sec、
第1の接触角α1 …0度、
第2の接触角α2 …10度〜80度。
【0072】
なお、上記第2の実施の形態では、上記転動ボール30の上記スライダ20に対する移動速度VESは、約334mm/secとなった。すなわち、第2の接触角α2 が上記第1の接触角α1 と同等の0度である場合、上記転動ボール30の上記スライダ20に対する移動速度VESは500mm/secとなるから、上記移動速度VESを従来の約2/3に低減できた。
【0073】
この実施の形態に係る構成のリニアガイド装置によれば、上記転動ボール30と上記案内レール10の第1の転動体転動溝11Cとを第1の接触角α1 が0度となるように1点接触させるとともに、上記転動ボール30と上記スライダ20の第2の転動体転動溝22とを第2の接触角α2 が60度となるように2点接触させた。
【0074】
すなわち、上記第1の接触角α1 を上記第2の接触角α2 よりも小さく設定した。そのため、上記速度実験の実験結果より、上記第1の実施の形態と同様に、上記転動ボール30のスライダ20に対する移動速度VESは低下することがわかる。したがって、この実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0075】
また、この実施の形態では、上記案内レール10に形成された第1の転動体転動溝11Cを浅くしても、この第1の転動体転動溝11Cと上記転動ボール30との接触点は溝肩部に乗り上げ難い。そのため、図10に示すように、上記第1の転動体転動溝11Cを浅くしたことによりできた空間を利用して、上記転動ボール30の脱落を防ぐ転動ボール保持器53(1点鎖線で示す)を上記スライダ20側に設けてもよい。
【0076】
図13は、上記第2の実施の形態に係るリニアガイド装置の案内レール10とスライダ20の変形例である。すなわち、案内レール10の両側面に2つの第1の転動体転動溝11Dをそれぞれ形成するとともにスライダ本体21の内面に上記第1の転動体転動溝11Dと対向して2つの第2の転動体転動溝22Dをそれぞれ形成し、これら対向する一対の第1の転動体転動溝11Dと第2の転動体転動溝22Dとの間に複数の転動ボール30を介装することで、上記スライダ20を案内レール10の長手方向に相対移動できるようにしたものである。
【0077】
上記構成のリニアガイド装置によれば、上記案内レール10と上記スライダ20との間に、長手方向に沿って、上記転動ボール30を上下2列に設けた。しかも、上記転動ボール30の接触方向の基準線L1 を水平面に対して傾斜させた。
【0078】
そのため、上記転動ボール30が上記案内レール10及びスライダ20に3点のみで接触する場合であっても、上下方向に対する高い剛性と負荷容量を得ることができる。
【0079】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではない。すなわち、図14に示すように、案内レールとして、断面ほぼ矩形状の上記案内レール10に代えて断面ほぼコ字状の案内レール10Eを用い、スライダとして、断面ほぼコ字状のスライダ20に代えて断面ほぼ矩形状のスライダ20Eを用いてもよい。
【0080】
すなわち、上記案内レール10Eの対向する一対の内側面にそれぞれ長手方向に沿って第1の転動体転動溝11Eを形成するとともに、上記スライダ20Eの両側面に上記第1の転動体転動溝11Eと対向するよう第2の転動体転動溝22Eをそれぞれ形成し、これら第1の転動体転動溝11Eと第2の転動体転動溝22Eと間に、転動ボール30を介装することで、上記スライダ20Eを上記案内レール10Eの内側で長手方向に沿って相対移動させるようにしてもよい。
【0081】
【発明の効果】
この発明によれば、転動ボールのスライダに対する移動速度を低下させることができるから、転動ボールの衝突によって転動体転動路が破損するのが抑制され、また衝突による騒音が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るリニアガイド装置の斜視図。
【図2】図1のX―X線に沿った断面図。
【図3】同実施の形態における転動体転動路を示す構成図。
【図4】図2の部分拡大図。
【図5】同実施の形態において、第2の接触角α2 と転動ボールのスライダに対する移動速度との関係を表すグラフ。
【図6】同実施の形態において、第2の接触角α2 に対するスライダの上下方向剛性KV 及び左右方向剛性KH の関係を表すグラフ。
【図7】同実施の形態の第1の変形例を示す概略図。
【図8】同実施の形態の第2の変形例を示す概略図。
【図9】同実施の形態において、上下方向剛性KV と左右方向剛性KH とを同一にする第1の接触角α1 と第2の接触角α2 との組み合わせを示すグラフ。
【図10】この発明の第2の実施の形態に係るリニアガイド装置の断面図。
【図11】図10の部分拡大図。
【図12】同実施の形態において、第2の接触角α2 と転動ボールのスライダに対する移動速度との関係を表すグラフ。
【図13】同実施の形態の変形例を示す概略図。
【図14】この発明の他の実施の形態に係るリニアガイド装置の斜視図。
【図15】図16を矢印Yで示す方向からみた場合における転動ボールのスライダに対する移動速度VESを導くための第1の説明図。
【図16】転動ボールのスライダに対する移動速度VESを導くための第2の説明図。
【図17】従来の軌道間通路を示す概略図。
【符号の説明】
α1 …第1の接触角
α2 …第2の接触角
10、10A、10E…案内レール
11、11A、11B、11C、11D、11E…第1の転動体転動溝
20、20A、20E…スライダ
22、22A、22B、22C、22D、22E…第2の転動体転動溝
30…転動ボール
1 …基準線
2 …軸線

Claims (3)

  1. 側面に長手方向に沿って第1の転動体転動溝を有する案内レールと、
    この案内レールの第1の転動体転動溝と対向する第2の転動体転動溝を有し、両転動体転動溝の間に、各転動体転動溝とそれぞれ2点で接触するよう転動自在に介装された転動ボールを介して上記案内レールの長手方向に相対移動するスライダと
    を有し、
    上記転動ボールと第1の転動体転動溝との第1の接触角は、上記転動ボールと第2の転動体転動溝との第2の接触角よりも小さいことを特徴とするリニアガイド装置。
  2. 上記第1の接触角と上記第2の接触角との和がほぼ90度であることを特徴とする請求項1記載のリニアガイド装置。
  3. 側面に長手方向に沿って第1の転動体転動溝を有する案内レールと、
    この案内レールの第1の転動体転動溝と対向する第2の転動体転動溝を有し、両転動体転動溝の間に、上記第1の転動体転動溝と1点で接触するとともに上記第2の転動体転動溝と2点で接触するよう転動自在に介装された転動ボールを介して上記案内レールの長手方向に相対移動するスライダと
    を有することを特徴とするリニアガイド装置。
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