JP2004018738A - 接着剤組成物および該接着剤組成物により形成したフレキシブルプリント回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、接着性に優れるだけでなく、吸湿性が低く、吸湿後の耐半田リフロー性にも優れた接着剤組成物と、この接着剤組成物によりラミネートした優れた特性のフレキシブルプリント回路基板を提供する。
【解決手段】特定の構造を有する含フッ素ポリシアノアリールエーテルと、所定量のエポキシ化合物と、硬化剤とを少なくとも組み合わせることにより、耐熱性、接着性、耐半田リフロー性に優れた接着剤組成物を得る。この接着剤組成物からなる層を介して、基材とするプラスチックフィルムと回路を形成するための金属箔とを積層することによりフレキシブルプリント回路基板を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】特定の構造を有する含フッ素ポリシアノアリールエーテルと、所定量のエポキシ化合物と、硬化剤とを少なくとも組み合わせることにより、耐熱性、接着性、耐半田リフロー性に優れた接着剤組成物を得る。この接着剤組成物からなる層を介して、基材とするプラスチックフィルムと回路を形成するための金属箔とを積層することによりフレキシブルプリント回路基板を得る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤組成物および該接着剤組成物を用いて形成されたフレキシブルプリント回路基板に関するもので、さらに詳しくは、特に、フレキシブルプリント回路基板に用いて好適な接着剤組成物および該接着剤組成物を用いて形成したフレキシブルプリント回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子工業の進歩に伴い、電子機器の小型化あるいは高速化が進められている。そのため、軽量であり、かつ狭い空間内に立体的に配線および実装することが可能なフレキシブルプリント回路基板は、その使用範囲が拡大し、需要が伸びている。
周知のように、フレキシブルプリント回路基板は、ポリイミド樹脂等のプラスチックフィルムと銅箔等の金属を接着剤を用いて接着させてなる回路基板である。このフレキシブルプリント回路基板は、その使用において比較的高熱にさらされるため、このフレキシブルプリント回路基板に用いられる接着剤組成物には、優れた接着性に加えて、優れた耐半田リフロー性も必要とされる。すなわち、フレキシブルプリント回路基板に用いて好適な接着剤組成物には、優れた接着性と耐熱性が要求される。
かかるフレキシブルプリント回路基板用の接着剤組成物としては、従来、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ゴム−エポキシ樹脂等が用いられてきた。しかしながら、これらの接着剤組成物は、用いる樹脂自身の耐熱性が低く、フレキシブルプリント回路基板用の接着剤組成物に必要な耐半田リフロー性を十分に満足させるものではなかった。この耐熱性の不十分さから半田付けに伴って接着剤のリフローが生じて、接着力が低下するので、経時的な接着力も十分なものでなかった。
これに対して、従来、フレキシブルプリント回路基板用の接着剤組成物のベース樹脂に、比較的耐熱性の高い芳香族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリイミド系樹脂を用いた接着剤組成物が用いられ始めた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、耐熱性を考慮して、ベース樹脂として芳香族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリイミド系樹脂を用いた従来の接着剤組成物では、ベース樹脂である芳香族ポリアミド系樹脂および芳香族ポリイミド系樹脂がともに高い吸湿率を持つために、半田付けが行われたときに、接着剤組成物中の吸湿水分が加熱され、接着剤に膨れが発生し、接着力が劣化する場合があった。
したがって、本発明の課題は、耐熱性、接着性に優れるだけでなく、吸湿性が低く、吸湿後の耐半田リフロー性にも優れた接着剤組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために、鋭意、実験、検討を重ねたところ、特定の構造を有する含フッ素ポリシアノアリールエーテルと、エポキシ化合物と、硬化剤とを少なくとも組み合わせてなる接着剤組成物が、耐熱性、接着性、耐半田リフロー性に優れていることを知見するに至った。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の接着剤組成物は、(a) 下記一般式(I)で表される含フッ素ポリシアノアリールエーテル
【0005】
【化3】
(式中、nは重合度を表し、Rは2価の芳香族基を表す。Yは、(i)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、(ii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基、(iii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基、(iv)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、(v)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基、(vi)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、(vii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基、または(viii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基を表す。)、
(b) エポキシ化合物、及び
(c) 硬化剤
を有してなり、かつ、前記エポキシ化合物の配合量が前記含フッ素ポリシアノアリールエーテルの重量に対して10〜100重量%であることを特徴とする。
ここで、さらに(d)硬化促進剤を含むことが好ましい。
また、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板は、その構成要素であるプラスチックフィルムと金属箔とが前記本発明の接着剤組成物によってラミネートされたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
前記構成を有する本発明の接着剤組成物において、前記一般式(I)中のRで表される2価の芳香族基としては、下記8つの一般式;
【0007】
【化4】
で表される8種の基のいずれかであることが好ましい。
【0008】
また、前記構成の本発明にかかる接着剤組成物において、前記一般式(I)中のYは、前述のように、(i)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、(ii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基、(iii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基、(iv)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、(v)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基、(vi)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、(vii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基、または(viii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基を表す。
【0009】
前記(i)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、および2−エチルヘキシルを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、およびブチルである。
【0010】
前記(ii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、フルフリルオキシ、およびアリルオキシを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、およびブトキシである。
【0011】
前記(iii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、およびtert−ブチルアミノを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、およびジエチルアミノである。
【0012】
前記(iv)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、n−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、およびiso−プロピルチオを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メチルチオ、エチルチオ、およびプロピルチオである。
【0013】
前記(v)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル、ベンジル、フェネチル、o−、m−、もしくはp−トリル、2,3−もしくは2,4−キシリル、メシチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニル、ベンズヒドリル、トリチル、およびピレニルを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、フェニル、およびo−、m−、もしくはp−トリルである。
【0014】
前記(vi)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシ安息香酸およびそのエステル類(例えば、メチルエステル、エチルエステル、メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、フルフリルエステル、およびフェニルエステルなど)、ナフトキシ、o−、m−、もしくはp−メチルフェノキシ、o−、m−、もしくはp−フェニルフェノキシ、フェニルエチニルフェノキシ、およびクレソチン酸およびそのエステル類を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、フェノキシおよびナフトキシである。
【0015】
前記(vii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基としては、例えば、アニリノ、o−、m−、もしくはp−トルイジノ、1,2−もしくは1,3−キシリジノ、o−、m−、もしくはp−メトキシアニリノ、ならびにアントラニル酸およびそのエステル類を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、アニリノ、o−、m−、もしくはp−トルイジノである。
【0016】
前記(viii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ、フェニルメタンチオ、o−、m−、もしくはp−トリルチオ、ならびにチオサリチル酸およびそのエステル類を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、フェニルチオである。
【0017】
前記(i)〜(viii)の8つの基のうち、(vi)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、(vii)アリールアミノ基、および(viii)アリールチオ基がさらに好ましく、それらのうちでも、Yとして最も好ましいのは、フェノキシ、フェニルチオ、およびアニリノである。
【0018】
したがって、本発明の接着剤組成物の主要構成要素である前記一般式(I)で表される含フッ素ポリシアノアリールエーテルの具体例としては、例えば下記の化学式(II)〜(VI)で表される化合物を挙げることができる。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
また、本発明において用いるエポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ジシクロ型、グリシジルエーテル型、あるいは環状脂肪族系などの汎用のポリエポキシ化合物を用いることができる。これらのうち、ビスフェノールA型は、接着性、耐半田リフロー性が良好であり、使用候補として好ましい。
このエポキシ化合物の配合量としては、一般式(I)で表される含フッ素ポリシアノアリールエーテルの重量に対して、10〜100重量%である。エポキシ化合物の配合量が含フッ素ポリシアノアリールエーテルの10重量%未満では、できあがった接着剤組成物の接着性、耐半田リフロー性が低下する傾向が見られ、逆に100重量%を超えると、耐熱性が低下する傾向が見られる。
【0022】
本発明ではエポキシ化合物を用いるので、その硬化剤を必要とする。この硬化剤としては、エポキシ化合物の硬化剤としての作用を有するものであれば、特に限定されない。例えば、ノボラック樹脂、アミン系樹脂、酸無水物、イミダゾール、ジシアンジアミドなどを挙げることができ、これらは単独でも、2種以上併用してもよい。これら硬化剤のうち、フェノールノボラック樹脂が耐熱性の観点から特に好ましい。
この硬化剤の配合量は、前記エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、0.5〜1.5水酸基当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.75〜1.25水酸基当量である。硬化剤の配合量が、0.5水酸基当量未満では、エポキシ化合物の反応が完全には進行しない傾向が見られ、逆に1.5水酸基当量を超えると、得られた接着剤組成物の接着性、耐半田リフロー性が低下する傾向が見られる。
【0023】
本発明では、上記硬化剤とともに、さらに、硬化促進剤を配合することもできる。この硬化促進剤としては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7(DBU)、イミダゾール類、トリフェニルホスフィン(TPP)などを挙げることができる。この硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂と硬化剤とを合わせた重量に対して、0.1〜5.0重量%、好ましくは、0.2〜3.0重量%である。
【0024】
本発明の接着剤組成物を使用する場合は、溶媒に溶解した溶液として用いる。使用する溶媒としては、本接着剤組成物の構成要素である含フッ素ポリシアノアリールエーテル、エポキシ化合物、硬化剤、さらに任意成分である硬化促進剤を溶解するものであれば、特に限定されない。例えば、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、m−クレゾール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、メチルセロソルブアセテートなどを挙げることができる。これらの溶剤は、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。以下の実施例は本発明を好適に説明する例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。
なお、以下の各実施例1〜3および比較例1〜4において調製する各接着剤組成物の成分およびそれらの配合割合は、表1に示した。
【0026】
以下の実施例および比較例では、本発明の実施例および比較例の接着剤組成物を用いて銅箔と銅箔とを接着剤層を介して貼り合わせてフレキシブルプリント回路基板を想定した試料を作成し、その試料の引き剥がし強さと、加湿後耐半田リフロー性とを評価した。それらの評価方法は、次の通りである。
《評価方法》
(1) 引き剥がし強さ試験
試料:下記実施例および比較例にて作成したフレキシブルプリント回路基板想定積層フィルム
試験は、JIS C 5616に準じて、下記条件にて行った。
引き剥がし方向:基板面に対し90度方向
測定時環境温度:23℃
引っ張り速度:50mm/分
(2) 加湿後耐半田リフロー性試験
試料:下記実施例および比較例にて作成したフレキシブルプリント回路基板想定積層フィルム
加湿条件:温度80℃、相対湿度60%RH、放置時間168時間
評価方法:ピーク温度260℃のIRリフロー炉で加熱処理を3回繰り返して行い、接着層に膨れなどの異常がないかを観察した。
【0027】
(実施例1)
表1の実施例1の配合割合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。このPETフィルム(離型シート1)に調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが25μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、フィルム基材により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シートと協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルム(離型シート1および離型シート2)により保護された厚さ25μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
2枚の離型シートを積層したフィルム状接着剤の片面の離型シート、例えば離型シート1を剥離し、その露出面に、厚み25μmの銅箔を重ね、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。このフィルム状接着剤の他方の離型シート2を剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を積層した。積層条件は同様であった。この積層体を150℃で1時間プレス(プレス圧3MPa)して、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に併記した。
表1に見るように、この実施例1の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、1.2kN/mと高い値を示し、しかも耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れ等の異常は観察されなかった。
なお、本実施例1では、エポキシ化合物の配合量は、含フッ素ポリシアノアリールエーテルの重量の1/10の重量、すなわち、10重量%であったが、10重量%未満では、できあがった接着剤組成物の接着性、耐半田リフロー性が低下する傾向が見られた。
【0028】
(実施例2)
表1の実施例2の配合割合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。この離型シート1に調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが25μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、離型シートにより保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚の離型シートにより保護された厚さ25μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
離型シートを積層した接着層の離型シート(例えば、離型シート1)を剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。この銅箔の片面に接着層の他方の離型シート(例えば、離型シート2)を剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を積層した。積層条件は同様であった。この積層体を150℃で1時間プレス(プレス圧3MPa)して、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に示す。表1に見るように、この実施例2の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、1.6kN/mと高い値を示し、しかも耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れ等の異常は観察されなかった。
【0029】
(実施例3)
表1の配合割合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。この接着剤ワニスを用いて、実施例1および2と同様にして、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を作成した。
すなわち、続いて、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。この離型シート1に接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが25μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、離型シート1により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルムにより保護された厚さ25μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
接着層の片面の離型シートを剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。この接着層の他方の離型シートを剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を積層した。積層条件は同様であった。この積層体を150℃で1時間プレス(プレス圧3MPa)して、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に示す。表1に見るように、この実施例3の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、1.4kN/mと高い値を示し、しかも耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れ等の異常は観察されなかった。
なお、本実施例3では、エポキシ化合物の配合量は、含フッ素ポリシアノアリールエーテルの重量と同等の重量、すなわち100重量%であったが、配合量が100重量%を超えると、接着層の耐熱性が低下する傾向が見られた。
【0030】
(比較例1)
この比較例1は、本発明において使用するエポキシ化合物の上限配合量を超えてエポキシ化合物(上限配合量の2倍相当)を配合した場合を示す。
この比較例1では、表1の配合成分および配合割合にて接着剤ワニスを調製した以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を作成した。
すなわち、表1の比較例1の配合成分および配合割合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。この離型シート1に調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが25μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、離型シート1により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルムにより保護された厚さ25μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
2枚の離型シートを積層した接着層の片面の離型シート(例えば離型シート1)を剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。このフィルム状接着剤の他方の離型シート(例えば離型シート2)を剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を積層した。積層条件は同様であった。この積層体を150℃で1時間プレス(プレス圧3MPa)して、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。測定結果は、表1に併記した。表1に見るように、この比較例1の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、0.2kN/mと低く、耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れ等の異常が観察された。
【0031】
(比較例2)
この比較例2は、本発明において使用するエポキシ化合物の下限配合量を下回ってエポキシ化合物(下限配合量の1/2相当)を配合した場合を示す。
表1の比較例2の配合成分および配合割合にて接着剤ワニスを調製した以外は、比較例1とほぼ同様にしてフレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を作成した。
すなわち、表1の比較例2の配合成分および配合割合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。この離型シート1に調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが50μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、フィルム基材により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルムにより保護された厚さ50μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
接着層の片面の離型シートを剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。この積層によって、銅箔に反りが出ることはなかった。次いで、接着層の他方の離型シートを剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を貼り合わせた後、3MPaの圧力でプレスしながら、温度を7℃/分の速度で240℃まで上げた。240℃に達した後、同じ速度で、室温まで温度を戻した。これによって、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に示す。表1に見るように、この比較例2の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、0.2kN/mと低かったが、耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れ等の異常は観察されなかった。
【0032】
(比較例3)
この比較例3は、本発明の構成要素の1つである含フッ素ポリシアノアリールエーテルを用いないで、その代わりにポリエーテルイミドを使用した場合を示す。
表1の比較例3の配合成分および配合割合にて接着剤ワニスを調製した以外は、比較例2と同様にしてフレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を作成した。
すなわち、表1の比較例3の配合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。この離型シート1に、調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが50μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、離型シート1により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルムにより保護された厚さ50μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
接着層の片面の離型シートを剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。この積層によって、銅箔に反りが出ることはなかった。次いで、この接着層の他方の離型シートを剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を貼り合わせた後、3MPaの圧力でプレスしながら、温度を7℃/分の速度で240℃まで上げた。240℃に達した後、同じ速度で、室温まで温度を戻した。これによって、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に示す。表1に見るように、この比較例3の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、0.2kN/mと低く、しかも耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れが観察された。
【0033】
(比較例4)
この比較例4は、本発明の構成要素の1つである含フッ素ポリシアノアリールエーテルを用いないで、その代わりに合成ゴムを使用した場合を示す。
表1の比較例4の配合成分および配合割合にて接着剤ワニスを調製した以外は、比較例2と同様にしてフレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を作成した。
すなわち、表1の比較例4の配合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルムを用意した。このPETフィルムに調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが50μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、フィルム基材により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルムにより保護された厚さ50μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
接着層の片面の離型シートを剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。この積層によって、銅箔に反りが出ることはなかった。次いで、この接着層の他方の離型シートを剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を貼り合わせた後、3MPaの圧力でプレスしながら、温度を7℃/分の速度で240℃まで上げた。240℃に達した後、同じ速度で、室温まで温度を戻した。これによって、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に示す。表1に見るように、この比較例4の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、1.3kN/mであったが、耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れが観察された。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、(a) 下記一般式(I)で表される含フッ素ポリシアノアリールエーテル
【0036】
【化7】
(式中、nは重合度を表し、Rは2価の芳香族基を表す。Yは、(i)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、(ii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基、(iii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基、(iv)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、(v)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基、(vi)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、(vii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基、または(viii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基を表す。)、(b) エポキシ化合物、および(c)硬化剤を有してなる、本発明の接着剤組成物は、耐熱性、接着性に優れるだけでなく、吸湿性が低く、吸湿後の耐半田リフロー性にも優れており、フレキシブルプリント回路基板に使用することにより、優れた特性のフレキシブルプリント回路基板を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤組成物および該接着剤組成物を用いて形成されたフレキシブルプリント回路基板に関するもので、さらに詳しくは、特に、フレキシブルプリント回路基板に用いて好適な接着剤組成物および該接着剤組成物を用いて形成したフレキシブルプリント回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子工業の進歩に伴い、電子機器の小型化あるいは高速化が進められている。そのため、軽量であり、かつ狭い空間内に立体的に配線および実装することが可能なフレキシブルプリント回路基板は、その使用範囲が拡大し、需要が伸びている。
周知のように、フレキシブルプリント回路基板は、ポリイミド樹脂等のプラスチックフィルムと銅箔等の金属を接着剤を用いて接着させてなる回路基板である。このフレキシブルプリント回路基板は、その使用において比較的高熱にさらされるため、このフレキシブルプリント回路基板に用いられる接着剤組成物には、優れた接着性に加えて、優れた耐半田リフロー性も必要とされる。すなわち、フレキシブルプリント回路基板に用いて好適な接着剤組成物には、優れた接着性と耐熱性が要求される。
かかるフレキシブルプリント回路基板用の接着剤組成物としては、従来、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ゴム−エポキシ樹脂等が用いられてきた。しかしながら、これらの接着剤組成物は、用いる樹脂自身の耐熱性が低く、フレキシブルプリント回路基板用の接着剤組成物に必要な耐半田リフロー性を十分に満足させるものではなかった。この耐熱性の不十分さから半田付けに伴って接着剤のリフローが生じて、接着力が低下するので、経時的な接着力も十分なものでなかった。
これに対して、従来、フレキシブルプリント回路基板用の接着剤組成物のベース樹脂に、比較的耐熱性の高い芳香族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリイミド系樹脂を用いた接着剤組成物が用いられ始めた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、耐熱性を考慮して、ベース樹脂として芳香族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリイミド系樹脂を用いた従来の接着剤組成物では、ベース樹脂である芳香族ポリアミド系樹脂および芳香族ポリイミド系樹脂がともに高い吸湿率を持つために、半田付けが行われたときに、接着剤組成物中の吸湿水分が加熱され、接着剤に膨れが発生し、接着力が劣化する場合があった。
したがって、本発明の課題は、耐熱性、接着性に優れるだけでなく、吸湿性が低く、吸湿後の耐半田リフロー性にも優れた接着剤組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために、鋭意、実験、検討を重ねたところ、特定の構造を有する含フッ素ポリシアノアリールエーテルと、エポキシ化合物と、硬化剤とを少なくとも組み合わせてなる接着剤組成物が、耐熱性、接着性、耐半田リフロー性に優れていることを知見するに至った。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の接着剤組成物は、(a) 下記一般式(I)で表される含フッ素ポリシアノアリールエーテル
【0005】
【化3】
(式中、nは重合度を表し、Rは2価の芳香族基を表す。Yは、(i)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、(ii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基、(iii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基、(iv)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、(v)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基、(vi)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、(vii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基、または(viii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基を表す。)、
(b) エポキシ化合物、及び
(c) 硬化剤
を有してなり、かつ、前記エポキシ化合物の配合量が前記含フッ素ポリシアノアリールエーテルの重量に対して10〜100重量%であることを特徴とする。
ここで、さらに(d)硬化促進剤を含むことが好ましい。
また、本発明に係るフレキシブルプリント回路基板は、その構成要素であるプラスチックフィルムと金属箔とが前記本発明の接着剤組成物によってラミネートされたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
前記構成を有する本発明の接着剤組成物において、前記一般式(I)中のRで表される2価の芳香族基としては、下記8つの一般式;
【0007】
【化4】
で表される8種の基のいずれかであることが好ましい。
【0008】
また、前記構成の本発明にかかる接着剤組成物において、前記一般式(I)中のYは、前述のように、(i)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、(ii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基、(iii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基、(iv)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、(v)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基、(vi)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、(vii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基、または(viii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基を表す。
【0009】
前記(i)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、および2−エチルヘキシルを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、およびブチルである。
【0010】
前記(ii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、フルフリルオキシ、およびアリルオキシを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、およびブトキシである。
【0011】
前記(iii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、およびtert−ブチルアミノを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、およびジエチルアミノである。
【0012】
前記(iv)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、n−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、およびiso−プロピルチオを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、メチルチオ、エチルチオ、およびプロピルチオである。
【0013】
前記(v)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル、ベンジル、フェネチル、o−、m−、もしくはp−トリル、2,3−もしくは2,4−キシリル、メシチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニル、ベンズヒドリル、トリチル、およびピレニルを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、フェニル、およびo−、m−、もしくはp−トリルである。
【0014】
前記(vi)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシ安息香酸およびそのエステル類(例えば、メチルエステル、エチルエステル、メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、フルフリルエステル、およびフェニルエステルなど)、ナフトキシ、o−、m−、もしくはp−メチルフェノキシ、o−、m−、もしくはp−フェニルフェノキシ、フェニルエチニルフェノキシ、およびクレソチン酸およびそのエステル類を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、フェノキシおよびナフトキシである。
【0015】
前記(vii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基としては、例えば、アニリノ、o−、m−、もしくはp−トルイジノ、1,2−もしくは1,3−キシリジノ、o−、m−、もしくはp−メトキシアニリノ、ならびにアントラニル酸およびそのエステル類を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、アニリノ、o−、m−、もしくはp−トルイジノである。
【0016】
前記(viii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ、フェニルメタンチオ、o−、m−、もしくはp−トリルチオ、ならびにチオサリチル酸およびそのエステル類を挙げることができる。これらのうち、好ましくは、フェニルチオである。
【0017】
前記(i)〜(viii)の8つの基のうち、(vi)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、(vii)アリールアミノ基、および(viii)アリールチオ基がさらに好ましく、それらのうちでも、Yとして最も好ましいのは、フェノキシ、フェニルチオ、およびアニリノである。
【0018】
したがって、本発明の接着剤組成物の主要構成要素である前記一般式(I)で表される含フッ素ポリシアノアリールエーテルの具体例としては、例えば下記の化学式(II)〜(VI)で表される化合物を挙げることができる。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
また、本発明において用いるエポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ジシクロ型、グリシジルエーテル型、あるいは環状脂肪族系などの汎用のポリエポキシ化合物を用いることができる。これらのうち、ビスフェノールA型は、接着性、耐半田リフロー性が良好であり、使用候補として好ましい。
このエポキシ化合物の配合量としては、一般式(I)で表される含フッ素ポリシアノアリールエーテルの重量に対して、10〜100重量%である。エポキシ化合物の配合量が含フッ素ポリシアノアリールエーテルの10重量%未満では、できあがった接着剤組成物の接着性、耐半田リフロー性が低下する傾向が見られ、逆に100重量%を超えると、耐熱性が低下する傾向が見られる。
【0022】
本発明ではエポキシ化合物を用いるので、その硬化剤を必要とする。この硬化剤としては、エポキシ化合物の硬化剤としての作用を有するものであれば、特に限定されない。例えば、ノボラック樹脂、アミン系樹脂、酸無水物、イミダゾール、ジシアンジアミドなどを挙げることができ、これらは単独でも、2種以上併用してもよい。これら硬化剤のうち、フェノールノボラック樹脂が耐熱性の観点から特に好ましい。
この硬化剤の配合量は、前記エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、0.5〜1.5水酸基当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.75〜1.25水酸基当量である。硬化剤の配合量が、0.5水酸基当量未満では、エポキシ化合物の反応が完全には進行しない傾向が見られ、逆に1.5水酸基当量を超えると、得られた接着剤組成物の接着性、耐半田リフロー性が低下する傾向が見られる。
【0023】
本発明では、上記硬化剤とともに、さらに、硬化促進剤を配合することもできる。この硬化促進剤としては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7(DBU)、イミダゾール類、トリフェニルホスフィン(TPP)などを挙げることができる。この硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂と硬化剤とを合わせた重量に対して、0.1〜5.0重量%、好ましくは、0.2〜3.0重量%である。
【0024】
本発明の接着剤組成物を使用する場合は、溶媒に溶解した溶液として用いる。使用する溶媒としては、本接着剤組成物の構成要素である含フッ素ポリシアノアリールエーテル、エポキシ化合物、硬化剤、さらに任意成分である硬化促進剤を溶解するものであれば、特に限定されない。例えば、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、m−クレゾール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、メチルセロソルブアセテートなどを挙げることができる。これらの溶剤は、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。以下の実施例は本発明を好適に説明する例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。
なお、以下の各実施例1〜3および比較例1〜4において調製する各接着剤組成物の成分およびそれらの配合割合は、表1に示した。
【0026】
以下の実施例および比較例では、本発明の実施例および比較例の接着剤組成物を用いて銅箔と銅箔とを接着剤層を介して貼り合わせてフレキシブルプリント回路基板を想定した試料を作成し、その試料の引き剥がし強さと、加湿後耐半田リフロー性とを評価した。それらの評価方法は、次の通りである。
《評価方法》
(1) 引き剥がし強さ試験
試料:下記実施例および比較例にて作成したフレキシブルプリント回路基板想定積層フィルム
試験は、JIS C 5616に準じて、下記条件にて行った。
引き剥がし方向:基板面に対し90度方向
測定時環境温度:23℃
引っ張り速度:50mm/分
(2) 加湿後耐半田リフロー性試験
試料:下記実施例および比較例にて作成したフレキシブルプリント回路基板想定積層フィルム
加湿条件:温度80℃、相対湿度60%RH、放置時間168時間
評価方法:ピーク温度260℃のIRリフロー炉で加熱処理を3回繰り返して行い、接着層に膨れなどの異常がないかを観察した。
【0027】
(実施例1)
表1の実施例1の配合割合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。このPETフィルム(離型シート1)に調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが25μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、フィルム基材により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シートと協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルム(離型シート1および離型シート2)により保護された厚さ25μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
2枚の離型シートを積層したフィルム状接着剤の片面の離型シート、例えば離型シート1を剥離し、その露出面に、厚み25μmの銅箔を重ね、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。このフィルム状接着剤の他方の離型シート2を剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を積層した。積層条件は同様であった。この積層体を150℃で1時間プレス(プレス圧3MPa)して、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に併記した。
表1に見るように、この実施例1の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、1.2kN/mと高い値を示し、しかも耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れ等の異常は観察されなかった。
なお、本実施例1では、エポキシ化合物の配合量は、含フッ素ポリシアノアリールエーテルの重量の1/10の重量、すなわち、10重量%であったが、10重量%未満では、できあがった接着剤組成物の接着性、耐半田リフロー性が低下する傾向が見られた。
【0028】
(実施例2)
表1の実施例2の配合割合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。この離型シート1に調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが25μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、離型シートにより保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚の離型シートにより保護された厚さ25μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
離型シートを積層した接着層の離型シート(例えば、離型シート1)を剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。この銅箔の片面に接着層の他方の離型シート(例えば、離型シート2)を剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を積層した。積層条件は同様であった。この積層体を150℃で1時間プレス(プレス圧3MPa)して、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に示す。表1に見るように、この実施例2の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、1.6kN/mと高い値を示し、しかも耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れ等の異常は観察されなかった。
【0029】
(実施例3)
表1の配合割合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。この接着剤ワニスを用いて、実施例1および2と同様にして、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を作成した。
すなわち、続いて、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。この離型シート1に接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが25μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、離型シート1により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルムにより保護された厚さ25μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
接着層の片面の離型シートを剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。この接着層の他方の離型シートを剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を積層した。積層条件は同様であった。この積層体を150℃で1時間プレス(プレス圧3MPa)して、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に示す。表1に見るように、この実施例3の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、1.4kN/mと高い値を示し、しかも耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れ等の異常は観察されなかった。
なお、本実施例3では、エポキシ化合物の配合量は、含フッ素ポリシアノアリールエーテルの重量と同等の重量、すなわち100重量%であったが、配合量が100重量%を超えると、接着層の耐熱性が低下する傾向が見られた。
【0030】
(比較例1)
この比較例1は、本発明において使用するエポキシ化合物の上限配合量を超えてエポキシ化合物(上限配合量の2倍相当)を配合した場合を示す。
この比較例1では、表1の配合成分および配合割合にて接着剤ワニスを調製した以外は、実施例1と同様にしてフレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を作成した。
すなわち、表1の比較例1の配合成分および配合割合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。この離型シート1に調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが25μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、離型シート1により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルムにより保護された厚さ25μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
2枚の離型シートを積層した接着層の片面の離型シート(例えば離型シート1)を剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。このフィルム状接着剤の他方の離型シート(例えば離型シート2)を剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を積層した。積層条件は同様であった。この積層体を150℃で1時間プレス(プレス圧3MPa)して、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。測定結果は、表1に併記した。表1に見るように、この比較例1の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、0.2kN/mと低く、耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れ等の異常が観察された。
【0031】
(比較例2)
この比較例2は、本発明において使用するエポキシ化合物の下限配合量を下回ってエポキシ化合物(下限配合量の1/2相当)を配合した場合を示す。
表1の比較例2の配合成分および配合割合にて接着剤ワニスを調製した以外は、比較例1とほぼ同様にしてフレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を作成した。
すなわち、表1の比較例2の配合成分および配合割合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。この離型シート1に調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが50μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、フィルム基材により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルムにより保護された厚さ50μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
接着層の片面の離型シートを剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。この積層によって、銅箔に反りが出ることはなかった。次いで、接着層の他方の離型シートを剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を貼り合わせた後、3MPaの圧力でプレスしながら、温度を7℃/分の速度で240℃まで上げた。240℃に達した後、同じ速度で、室温まで温度を戻した。これによって、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に示す。表1に見るように、この比較例2の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、0.2kN/mと低かったが、耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れ等の異常は観察されなかった。
【0032】
(比較例3)
この比較例3は、本発明の構成要素の1つである含フッ素ポリシアノアリールエーテルを用いないで、その代わりにポリエーテルイミドを使用した場合を示す。
表1の比較例3の配合成分および配合割合にて接着剤ワニスを調製した以外は、比較例2と同様にしてフレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を作成した。
すなわち、表1の比較例3の配合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート1)を用意した。この離型シート1に、調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが50μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、離型シート1により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルムにより保護された厚さ50μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
接着層の片面の離型シートを剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。この積層によって、銅箔に反りが出ることはなかった。次いで、この接着層の他方の離型シートを剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を貼り合わせた後、3MPaの圧力でプレスしながら、温度を7℃/分の速度で240℃まで上げた。240℃に達した後、同じ速度で、室温まで温度を戻した。これによって、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に示す。表1に見るように、この比較例3の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、0.2kN/mと低く、しかも耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れが観察された。
【0033】
(比較例4)
この比較例4は、本発明の構成要素の1つである含フッ素ポリシアノアリールエーテルを用いないで、その代わりに合成ゴムを使用した場合を示す。
表1の比較例4の配合成分および配合割合にて接着剤ワニスを調製した以外は、比較例2と同様にしてフレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を作成した。
すなわち、表1の比較例4の配合に従って、所要成分をディスパーにより、撹拌、溶解、分散して、接着剤ワニスを調製した。また、支持基材として、厚さ50μmの離型処理を施したPETフィルムを用意した。このPETフィルムに調製した接着剤ワニスを、乾燥後の厚みが50μmになるように、リバースコーターにより塗布した。塗布後、フィルムを熱風循環式乾燥機中で、100℃、10分間、乾燥し、さらに150℃で5分間乾燥して、接着剤中の溶媒を除去し、フィルム基材により保持されたフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤の以後の工程における使用を容易にするために、すなわち、このフィルム状接着剤の生産性、作業性、保管性、および搬送性を容易にするために、このフィルム状接着剤を離型シート1と協同して挟むように、その露出面に厚さ25μmの離型処理を施したPETフィルム(離型シート2)を重ねて、ロールラミネータにより積層した。これによって、両面を厚み50μmと25μmの2枚のPETフィルムにより保護された厚さ50μmのフィルム状接着剤(接着層)を得た。
接着層の片面の離型シートを剥離し、その露出面を、厚み25μmの銅箔に、100℃の熱ロールを用いて、貼り付けた。この積層によって、銅箔に反りが出ることはなかった。次いで、この接着層の他方の離型シートを剥がし、この他方の露出面にも上記銅箔と同じ寸法の他の銅箔を貼り合わせた後、3MPaの圧力でプレスしながら、温度を7℃/分の速度で240℃まで上げた。240℃に達した後、同じ速度で、室温まで温度を戻した。これによって、フレキシブルプリント回路基板を想定した基板試料を得た。
得られた基板試料の引き剥がし強さと耐半田リフロー性とを、前述の試験条件にて、測定した。その結果を表1に示す。表1に見るように、この比較例4の接着剤組成物による試料(フレキシブルプリント回路基板)の接着層の引き剥がし強さは、1.3kN/mであったが、耐半田リフロー性を見るための負荷による膨れが観察された。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、(a) 下記一般式(I)で表される含フッ素ポリシアノアリールエーテル
【0036】
【化7】
(式中、nは重合度を表し、Rは2価の芳香族基を表す。Yは、(i)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、(ii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルコキシル基、(iii)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルアミノ基、(iv)置換基を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、(v)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基、(vi)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、(vii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールアミノ基、または(viii)置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基を表す。)、(b) エポキシ化合物、および(c)硬化剤を有してなる、本発明の接着剤組成物は、耐熱性、接着性に優れるだけでなく、吸湿性が低く、吸湿後の耐半田リフロー性にも優れており、フレキシブルプリント回路基板に使用することにより、優れた特性のフレキシブルプリント回路基板を得ることができる。
Claims (7)
- (a) 下記一般式(I)で表される含フッ素ポリシアノアリールエーテル
(b) エポキシ化合物、及び
(c) 硬化剤
を有してなり、かつ、前記エポキシ化合物の配合量が前記含フッ素ポリシアノアリールエーテルの重量に対して10〜100重量%であることを特徴とする接着剤組成物。 - さらに、(d)硬化促進剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤組成物。
- 前記硬化剤の配合量が前記エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5水酸基当量であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 前記硬化促進剤の配合量が前記エポキシ化合物と硬化剤との合計重量に対して、0.1〜5.0重量%であることを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 基材とするプラスチックフィルムと回路を形成するための金属箔とが接着層を介して積層されてなるフレキシブルプリント回路基板の前記接着層に用いられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 基材とするプラスチックフィルムと回路を形成するための金属箔とが接着層を介して積層されてなるフレキシブルプリント回路基板であって、前記接着層が請求項1から5のいずれかの接着剤組成物を硬化したものであることを特徴とするフレキシブルプリント回路基板。
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JP2002177435A JP2004018738A (ja) | 2002-06-18 | 2002-06-18 | 接着剤組成物および該接着剤組成物により形成したフレキシブルプリント回路基板 |
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JP2011023477A (ja) * | 2009-07-14 | 2011-02-03 | Nippon Shokubai Co Ltd | 有機薄膜トランジスタ用絶縁膜 |
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2002
- 2002-06-18 JP JP2002177435A patent/JP2004018738A/ja active Pending
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