JP2004018535A - インク組成物及びインクジェット記録法 - Google Patents
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Abstract
【課題】伸張変形速度(ずり速度)に対する粘性を特定の範囲に制御することで、良好な吐出安定性を有しながら、高速記録、高い画像濃度、高品位画像を有するインク組成物及びインクジェット記録法を提供する。
【解決手段】少なくとも顔料と、水と、水性樹脂とを含むインク組成物であって、オリフィスを用いた25℃での伸張粘度測定による、ずり速度1×104sec−1での粘度をA、ずり速度1×103sec−1での粘度をB、ずり速度1×101sec−1の粘度をCとして、A/B≦2.0、かつ、C/B≦1.2を満たす粘度を有する。25℃におけるずり速度1×101sec−1での粘度Cが5.0mPa・s以上である。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも顔料と、水と、水性樹脂とを含むインク組成物であって、オリフィスを用いた25℃での伸張粘度測定による、ずり速度1×104sec−1での粘度をA、ずり速度1×103sec−1での粘度をB、ずり速度1×101sec−1の粘度をCとして、A/B≦2.0、かつ、C/B≦1.2を満たす粘度を有する。25℃におけるずり速度1×101sec−1での粘度Cが5.0mPa・s以上である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク組成物及びインクジェット記録法であり、更に詳しくはインクジェット記録法に好ましく用いられるインク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェト記録法は、種々のインク吐出方法により、記録液の少液滴を形成し、それらの一部若しくは全部を紙、加工紙、プラスチックフィルム、綿布などの被記録材に付着させて記録を行うものである。インクジェット記録法には、インク組成物の液滴の発生及び制御方法によって種々の方法が実用化されている。例えば、圧電素子を用いた圧電加圧方法、熱エネルギーを与え膜沸騰による気泡を発生させその圧力で液滴を飛翔させる過熱加圧方式、静電吸引方式、マイクロドットインクジェット方式などがある。
【0003】
このようなインクジェット記録法に使用するインク組成物としては、各種の色材を、水又は水と水溶性有機溶剤からなる液媒体に溶解又は分散させたものが知られ、かつ、使用されている。
【0004】
インク組成物の色材として、従来は、着色力や鮮明性に優れた染料が使用されてきた。しかし記録物の耐水性、耐光性に優れ、また鮮明な文字品位を可能にするなどの面からは顔料を用いることが望まれている。
【0005】
しかし顔料を水性媒体中に分散したインク組成物は顔料の分散安定性不良による目詰まり、あるいは記録の高速化、高密度化にともなって発生する吐出不良などの問題が発生しやすく、インクジェット記録法としては信頼性に課題があった。
【0006】
このような信頼性を向上させるために、最新顔料分散技術((株)技術情報協会発行,1993)に記載されているような検討がなされてきた。即ち顔料インクにおいては、顔料を微細な粒子に破砕し、ほぼ50〜150nmの微小粒子の状態を長期にわたり安定なものとする必要がある。通常は高分子分散剤などの分散剤を用いて、顔料をインク中に安定に分散させられた。これは微小な顔料粒子表面に高分子分散剤が吸着し、分散剤の電気的反発力と立体障害効果により、顔料粒子間に働く凝集力を抑制し、安定に分散させている。しかし、顔料粒子が微小であるために応分の高分子分散剤を添加する必要がある。このようなインクでは顔料粒子は微小であるが、高分子分散剤が吸着しているため流体力学的粒子径は大きく、また余剰に存在する高分子分散剤の配向のために、インクジェット記録法のように、高伸張変形力が作用した時、非常に粘度の高いインクとなるため、吐出性不良などの問題があった。
【0007】
そこで高分子分散剤の配向による吐出安定性を達成するための手段として、USP5571311明細書、特開平10−67957号公報に、分散剤を使用しないで水に分散/又は溶解する自己分散型顔料を用いる技術が開示されている。
【0008】
USP6132502明細書には自己分散型顔料と水性エマルションを用い耐水性と耐擦性を制御する方法が開示されている。特開2000−26779号公報には顔料とポリマー微粒子からなる記録液において動的粘弾性測定での貯蔵剛性率を1×10−1Pa以下とし、ゼータ電位を−20mVとすることで保存安定性を制御する方法が開示されている。
【0009】
近年のインクジェット記録法における、記録の高速化、高品位記録などの性能向上に対して、インクの紙への転移現象に着目することで改良がなされてきている。すなわち、インクの表面張力を小さく、インクの粘度を大きく、接触角を大きくすることで高い画像濃度と高品位記録を達成するとして、特開平8−333532号公報に熱可逆的層分離性高分子と曇点を有する界面活性剤とで、加熱インクのメディア上での粘性挙動制御により転移現象を制御する方法が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらUSP5571311明細書、特開平10−67957号公報に記載の自己分散型顔料インク組成物では、表面にカルボキシル基又はスルホニウム基を導入しただけで、水中には容易に分散するがメディアに対する付着力がないために定着性に劣る場合が多く、満足できるものではなかった。
【0011】
またUSP6132502明細書、特開2000−26779号公報には、顔料インクの問題である耐擦性と保存安定性について制御する内容が記載されているが、インクジェット記録法における吐出安定性を満足する流動性は十分とはいえない。更には顔料を用いたインク組成物の高速記録においては、高い画像濃度と高品位画像を得るため、顔料粒子濃度増加とそれに伴うポリマー粒子濃度の増加が必要となるが、インク組成物の分散安定性は確保できたとしても、吐出安定性は満足できるとはいえない。
【0012】
特開平8−333532号公報の加熱装置を用いたインク組成物の温度制御による粘性制御は、装置が高価なものになり、また加熱機構というオンデマンド方式の経済性に矛盾するものとなる。
【0013】
そこで、本発明者らは、顔料と樹脂を含むインク組成物を用いたインクジェット記録法において、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、インク組成物の流動挙動に着目し、伸張変形速度(ずり速度)に対する粘性を特定の範囲に制御することで、良好な吐出安定性を有しながら、高速記録、高い画像濃度、高品位画像を有するインク組成物及びインクジェット記録法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討したところ、少なくとも顔料と、水と、水性樹脂を含んでなるインク組成物であって、オリフィスを用いた25℃での伸張粘度測定において、ずり速度1×104sec−1での粘度をA、ずり速度1×103sec−1での粘度をB、ずり速度1×101sec−1の粘度をCとするとき、A/B≦2.0、C/B≦1.2であることを特徴とするインク組成物が、斯かる諸要求を満足させることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、少なくとも顔料と、水と、水性樹脂とを含むインク組成物であって、オリフィスを用いた25℃での伸張粘度測定による、ずり速度1×104sec−1での粘度をA、ずり速度1×103sec−1での粘度をB、ずり速度1×101sec−1の粘度をCとして、A/B≦2.0、かつ、C/B≦1.2を満たす粘度を有するインク組成物である。
【0016】
このインク組成物を用いることにより、連続吐出安定性が向上し、バンディングの発生を抑制することができる。
【0017】
また、本発明は、25℃におけるずり速度1×101sec−1での粘度Cが5.0mPa・s以上であるインク組成物である。
【0018】
これにより、メディア上でのフェザリングやブリーディングの発生を抑制することができる。
【0019】
そして、本発明は、前記顔料が、分散剤なしで水に分散及び/又は溶解が可能な表面改質顔料であるインク組成物である。
【0020】
高分子分散剤などを顔料表面に吸着させて分散安定化を図った分散系インクにくらべ、普通紙上での水分などの紙への浸透、蒸発による顔料同士の凝集が抑制されるため、ドット形状を大きくできるため、小体積の液滴で十分な記録濃度を有する。
【0021】
更に、本発明は、前記顔料が、その表面にカルボキシル基、スルホン基、リン酸基の少なくとも1種以上の官能基又はその塩が結合するよう表面改質によって、分散剤なしに水及び/又は溶解が可能なものとされたものであるインク組成物である。
【0022】
これにより、安全で安価な自己分散型顔料を容易に製造することができ、また、メディア上でのフェザリングやブリーディングの発生を抑制するとともにヘッドへの親和性を確保することができる。
【0023】
また、本発明は、前記水性樹脂が、カルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基、ノニオン性水和官能基のうちの1種以上の官能基を有するインク組成物である。
【0024】
水と有機溶媒からなる液媒体中に溶解又は安定に分散するものが好ましく、アニオン性基を有する自己分散型顔料との凝集を抑制するとともに、顔料のメディアへの定着性を確保することができる。
【0025】
そして、本発明は、インクジェット記録法に用いられるインク組成物である。
【0026】
更に、本発明は、上記のインク組成物に圧力を作用させて吐出するインクジェット記録法である。
【0027】
本発明のインク組成物においては、前記したように、より高速でのインクジェト記録画像の高品位化を目指した検討において、顔料と樹脂を含有するインクが、種々な変形速度に対する流動性を確保することにより、高速記録における吐出安定性に要求される要素を高いレベルで達成し、かつ画像の高品質化にも優れていることを見出したことに基づくものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
本発明におけるオリフィスを用いた伸張粘度測定法は、振動チューブフロー法を用いて液体の粘弾性を測定する方法であって、測定チューブ内に充填された液体が振動フローすることによって生じる圧力勾配及び体積流動を測定する方法によって行う。
【0029】
本発明のインク組成物は、少なくとも顔料と、水と、水性樹脂を含むものであって、オリフィスを用いた25℃での伸張粘度測定による、ずり速度1×104sec−1での粘度をA、ずり速度1×103sec−1での粘度をB、ずり速度1×101sec−1の粘度をCとして、A/B≦2.0、かつ、C/B≦1.2である。かかるインク組成物は、顔料の分散安定性及び吐出安定性に優れたものとなる。
【0030】
本発明によるインク組成物は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うインクジェト記録法に用いられ、目詰まりのない信頼性の高いインクジェット記録方法を得ることができる。
【0031】
本発明のインク組成物は、インクジェット記録法で用いた場合、フェザリングあるいはブリードなどの印字品質の点から、その25℃における、ずり速度1×101sec−1での粘度Cが5.0mPa・s以上であることが好ましく、さらに好ましくは5.0〜20.0mPa・sである。
【0032】
本発明のインク組成物に用いられる顔料とは、水溶性高分子化合物などの分散剤を用いることなしに水、水溶性有機溶剤あるいはこれらを混合した液体に対して安定して分散状態を維持し、インクジェット記録法を用いたオリフィスからの正常なインク吐出性に問題を生じるような、顔料同士の凝集体が該液体中で発生することのないような顔料を指す。
【0033】
このような顔料としては、例えば少なくとも1つのアニオン性基が直接あるいは他の原子団を介して顔料表面に結合したものが好適に用いられる。
【0034】
このような顔料に直接あるいは他の原子団を介して結合しているアニオン性基の例としては、たとえば、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などがあげられる。これらのアニオン性基は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムなどを含んでもよい。
【0035】
これらのアニオン性基の中で、特にアルカリ金属を含むカルボキシル基やスルホン基は顔料の分散状態を安定化させる効果が大きく望ましい。
【0036】
これらの顔料の表面処理されるベース顔料としては、従来公知の無機顔料、有機顔料の全てが使用することができる。例えば、無機顔料としては、ファーネス法、チャンネル法などの従来の方法で製造されたカーボンブラックを使用することができる。また有機顔料については、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料などの多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料方レーキなどの染料レーキ、ニトロ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。上記顔料のうち、特に、カーボンブラック系顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料を用いることが望ましい。
【0037】
これらの表面処理された顔料の平均粒子径は5.0μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.2μm以下である。
【0038】
上記表面処理された顔料は、本発明のインク組成物中に0.1〜30重量%配合されることが好ましく、0.5〜25重量%配合されることが更に好ましい。上記顔料の配合量が0.1重量%に満たない場合は印字濃度が不十分であり、30重量%を超えると着色剤としての効果が飽和するので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0039】
本発明のインク組成物に用いられる樹脂は、従来公知の水性樹脂はいずれも使用できるが、顔料の紙等の記録媒体への定着性を確保でき、さらにインクジェット記録法を用いたオリフィスからの正常なインク吐出性に問題を生じるような、インク中で樹脂の会合対を形成したり、ノズルでの乾燥固化による再溶解性不十分とならないような樹脂であることが好ましい。
【0040】
本発明において、水溶性樹脂は、架橋部分を有しても良く、カルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキル基、ノニオン性水和官能基を有するものであって、水と有機溶媒からなる液媒体中に溶解又は安定に分散するものが好ましい。さらに好ましくは、原料モノマーの入手しやすさ、価格、顔料の分散性及びメディア上での定着性を考慮すると、カルボキシル基又はスルホン基、ノニオン性基を有する水性樹脂が挙げられる。
【0041】
このような水性樹脂としては、その形態分類から、水溶性樹脂、ディスパージョン、エマルションなど水に溶解又は安定に分散するものであれば特に限定されない。
【0042】
斯かる樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、スチレンなどから合成された(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体などをアンモニア、アミン、アルカリ金属などで中和水溶化したもの、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアミドなどから選ばれる樹脂をポリマーエマルションの分散粒子としてインク組成物中に分散されるものであってもよい。また架橋成分を有するエマルションであっても良い。
【0043】
本発明に用いられる水溶性樹脂の重量平均分子量は、1,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、2,000〜10,000の範囲にあることが特に好ましい。重量平均分子量が小さすぎると耐水性及び耐光性が低下し、大きすぎるとインク安定性及び吐出性が低下する傾向が認められる。またディスパージョン、ポリマーエマルションの粒子径は、5nm〜500nmの範囲にあることが好ましく、更には10〜200nmにあることが好ましい。粒子径が小さすぎると水和官能基量が多くなって耐水性が低下し、大きすぎると記録装置のノズル・オリフィスでの目詰まり及び沈殿物が発生する傾向がある。
【0044】
上記水性樹脂は、本発明のインク組成物中に0.1〜50重量%配合されることが好ましく、0.5〜30重量%配合されることが更に好ましい。上記顔料の配合量が0.1重量%に満たない場合は定着性が不十分であり、50重量%を超えると樹脂としての効果が飽和するので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0045】
本発明のインク組成物には、かかる成分のほかに従来公知の各種添加剤、たとえば多価アルコール類のような湿潤剤、消泡剤、カチオン、アニオン或いはノニオン系の各種界面活性剤などの表面張力調整剤、粘度調整剤、防黴剤、及びEDTAなどのキレート剤、比抵抗調整剤、また、亜硫酸塩などの酸素吸収剤などを含有してもよい。
【0046】
ここで、上記湿潤剤としては、特に制限されるものではないが、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びポリエチレングリコールなどのグリコール類;グリセリン;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールのエーテル類、尿素;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチルイミダゾリジノン;トリエタノールアミン;メチルジエタノールアミン;ホルミアミド;ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物類、ジメチルスルホキシド;スルホランなどの含硫黄化合物類の一種又は二種以上を使用することができる。これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、本発明のインク組成物中に好ましくは0.1〜80重量%配合することができ、さらに好ましくは0.1〜50重量%配合することができる。
【0047】
また、上記消泡剤としては、特に制限されないが、シリコーン系、あるいは鉱物油系などの化合物を用いることが、インク調整時における泡の発生の抑制及びインクの表面張力の調整の点から望ましい。これらの化合物は市販品としても入手でき、例えば信越シリコーン社製のKF96,66,69、KS68,604,607A,602,603,KM70,71,72,75,80,83,85,90などが挙げられる。
【0048】
上記化合物の配合量に特に制限はないが、本発明のインク組成物中に、0.001〜2重量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001重量%に満たない場合はインク調整時に泡が発生し易く、又、インク内での小胞が除去しがたく、2重量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内ではじきが発生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。さらに好ましくは、該化合物の配合量は、本発明のインク組成物中に、0.005〜0.5重量%である。
【0049】
また上記表面張力調整剤としては、上述のシリコーン系消泡剤や、カチオン、アニオン、あるいはノニオン系の各種界面活性剤を使用することができる。特にアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルアルコールのエチレンオキサイド付加物を用いることが泡の発生の抑制、インクの表面張力の調整のしやすさ、及び良好なインク吐出性、紙等の記録媒体への浸透性を向上させることができるため、にじみが少ない、印字濃度むらがないなどの点で好ましい。
【0050】
上記表面張力調整剤の使用に際しては、これらの化合物の一種又は二種以上を用いることができる。本発明のインク組成物中に、0.005〜15重量%配合することが望ましい。該配合量が、0.005重量%に満たないと、上記特性を発現することができないことがあり、15重量%を超えると、反対ににじみや印字濃度むらなどが発生して印字品質が低下したり、インクの液安定性が低下することがあるので、上記範囲内とすることが望ましい。
【0051】
本発明のインク組成物は、20℃における表面張力が、被記録媒体への浸透性から、25〜50mN/mであることが好ましく、さらに好ましくは30〜45mN/mである。
【0052】
粘度調整剤としては、カルボキシルメチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、アラビアゴム、スターチなどの水溶性の天然あるいは構成高分子が望ましく、これらの粘度調整剤を使用して、あるいは使用せずに、本発明のインク組成物の粘度を5.0mPa・s以上、好ましくは5.0〜20mPa・sに調整する。
【0053】
また、その他の添加剤についても必要に応じて、適宜添加することができる。
【0054】
本発明のインク組成物は、上記のごとき必須成分及び任意成分を混合し、分散及び/又は攪拌溶解することで得ることができる。充分に攪拌された後、目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を除去するために、ろ過を行い目的のインク組成物を得る。
【0055】
以上の本発明のインク組成物は、前述の如き従来技術の問題点が解決されており、紙や加工紙などの被記録材へのインクジェット記録法に有用である。これらの一般の被記録材は従来公知のものはいずれも使用することができる。
【0056】
本発明のインク組成物を、紙、加工紙、プラスチックフィルム、シート、綿布などに付与するのに使用するインクジェット記録法は、インクをノズルより効果的に飛翔させて、射程体である紙、紙、加工紙、プラスチックフィルム、シート、綿布などに付与しうる方法であれば,いかなる方式でもよく、それらの方法の代表的なものは、例えばインクジェット記録の高画質、高速化技術と関連材料の開発(技術情報協会1997年)などに記載されている。
【0057】
これらに記載の方法は、本発明のインク組成物の仕様に好適なものであり、圧電素子を用いた圧電加圧方法、熱エネルギーを与え膜沸騰による気泡を発生させその圧力で液滴を飛翔させる過熱加圧方式、静電吸引方式、マイクロドットインクジェット方式などが挙げられる。
【0058】
以上の如き種々のインクジェット記録法がいずれも使用でき、このような方式のいずれかを採用して、紙、加工紙、プラスチックフィルム、シート、綿布などの表面に着色したインクによる文字、図形などの絵柄が形成されるが、本発明のインク組成物は、前述のごとくインク組成物の流動性が一定値にコントロールされているため、特に前述の如き圧力によりインクを吐出させるインクジェット記録方法における吐出安定性が極めて良好であり、均一で高品位な記録が可能である。
【0059】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。オリフィスを用いた伸張粘度測定は、振動チューブフロー法を用いた粘弾性測定装置を用いて測定した。装置は、VILASTIC SCIENTIC,INK.製VE型粘弾性アナライザーを使用した。
【0060】
実施例1を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 6重量%
スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリル60(ジョンソンポリマー(株))
(分子量 8,500) 1.2重量%
グリセリン 23重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10重量%
サーフィノール104 0.5重量%
水 残量
【0061】
実施例2を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0062】
実施例3を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 6重量%
ポリマーエマルション ジョンクリル450(ジョンソンポリマー(株))
(スチレン−アクリル酸樹脂) 1.2重量%
グリセリン 25重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8重量%
サーフィノール465 0.5重量%
水 残量
【0063】
実施例4を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0064】
実施例5を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 6重量%
ポリマーエマルション マイクロジェルE−1002(日本ペイント(株))
(スチレン−アクリル酸樹脂) 1.8重量%
グリセリン 25重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8重量%
サーフィノール465 0.5重量%
水 残量
【0065】
実施例6を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0066】
実施例7を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0067】
実施例8を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0068】
比較例1を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 6重量%
ポリマーエマルション スーパフレックス600(第一工業製薬(株))
(カチオン性) 1.8重量%
グリセリン 16量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8重量%
サーフィノール465 0.5重量%
水 残量
【0069】
比較例2を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 6重量%
スチレン−アクリル酸共重合体 ジョンクリル63(ジョンソンポリマー(株)
)
(分子量12,500) 3.6重量%
グリセリン 18重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10重量%
サーフィノール465 0.5重量%
水 残量
【0070】
比較例3を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 3重量%
スチレン−アクリル酸共重合体エマルション ジョンクリル450(ジョンソン
ポリマー(株)) 1.2重量%
グリセリン 12重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 4重量%
サーフィノール465 0.5重量%
水 残量
【0071】
比較例4を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0072】
性能評価を説明する。以上のインク組成物を以下のようにして評価した。
1)画像品質
上で作成したインク組成物をAJ−2200(商品名、シャープ株式会社製)のヘッドに充填し、応答周波数12kHz、解像度600dpi及びインク吐出量13plの条件下で、20〜25℃、40〜60%RHの環境下で画像を形成した。そして形成した画像のベタ部の状況を目視及び顕微鏡を用いて200倍に拡大して確認した。評価基準は、ベタ部の状況については顕微鏡を用いてもベタ部の抜けが無かったものを「○」、ベタ部の抜けが顕微鏡で一部認められたが、目視では認められなかったものを「△」、ベタ部の抜けが目視でも容易に認められたものを「×」とした。
【0073】
2)インクの間欠吐出安定性
インク組成物をAJ−2200(商品名、シャープ株式会社製)のヘッドに充填し、インクの画像品質評価と同様な条件下で、各インクを一行分画像形成した後、一定時間画像形成を休止して再度画像形成した。そして画像形成再開時の最初の1ドット目がドットぬけしたり、飛行曲がりが生じるまでの休止時間で評価した。評価基準は、休止時間が20秒以上であったものを「○」、20〜10であったものを「△」、10秒未満であったものを「×」とした。
【0074】
3)画像濃度
A4サイズの普通紙に、1cm四方の正方形のベタ部を上記画像評価の方法によりプリントし、30分間経過後のプリントサンプルについて光学濃度計X−Rite938(日本平版機材(株)製)を用いて、「光学反射濃度」を測定した。光学反射濃度は、1.30以上を目標値とした。
【0075】
4)フェザリング
A4サイズの普通紙に、線画像を上記画像評価の方法によりプリントし、30分間後に形成した画像の線のギザギザ度合い状況について顕微鏡を用いて拡大観察した。判断基準は、線の幅が均一でにじみが観察されないものを「○」、若干のにじみは観察されるが線がほぼ均一になっているものを「△」、にじみにより線画像がギザギザになっているものを「×」とした。
【0076】
5)インク保存安定性
各インク組成物をガラスのサンプル瓶に入れ、−20℃、20℃、60℃でそれぞれの条件下で、1ヶ月間保存し、保存後の表面張力、粘度、及び沈殿物析出の有無を調べた。どの条件下で保存しても、物性などの変化が無いものを「○」とし、一部に変化が生じたものを「△」、複数に変化が生じたものを「×」とした。
【0077】
以上のインク組成物の特性及び評価結果を図1及び図2に示す。実施例1〜8のインク組成物は、画像品質、間欠吐出安定性、光学反射濃度(画像濃度)、フェザリング及びインク保存安定性のほとんどすべての評価に良好であった。比較例1、2のインク組成物は、好ましくない評価が多かった。比較例3及び4は、粘度Cが5.0mP・s未満であり、フェザリングの特性に問題があった。このように、粘度について、A/B≦2.0、かつ、C/B≦1.2を満たすインク組成物(実施例1〜8)は、良好な特性を有しており、特にインクジェット記録法に用いることができる。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な吐出安定性を有しながら、高速記録、高い画像濃度、高品位画像を有するインク組成物及びインクジェット記録法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例のインク組成物の特性を説明する図表。
【図2】実施例及び比較例のインク組成物の評価結果を説明する図表。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク組成物及びインクジェット記録法であり、更に詳しくはインクジェット記録法に好ましく用いられるインク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェト記録法は、種々のインク吐出方法により、記録液の少液滴を形成し、それらの一部若しくは全部を紙、加工紙、プラスチックフィルム、綿布などの被記録材に付着させて記録を行うものである。インクジェット記録法には、インク組成物の液滴の発生及び制御方法によって種々の方法が実用化されている。例えば、圧電素子を用いた圧電加圧方法、熱エネルギーを与え膜沸騰による気泡を発生させその圧力で液滴を飛翔させる過熱加圧方式、静電吸引方式、マイクロドットインクジェット方式などがある。
【0003】
このようなインクジェット記録法に使用するインク組成物としては、各種の色材を、水又は水と水溶性有機溶剤からなる液媒体に溶解又は分散させたものが知られ、かつ、使用されている。
【0004】
インク組成物の色材として、従来は、着色力や鮮明性に優れた染料が使用されてきた。しかし記録物の耐水性、耐光性に優れ、また鮮明な文字品位を可能にするなどの面からは顔料を用いることが望まれている。
【0005】
しかし顔料を水性媒体中に分散したインク組成物は顔料の分散安定性不良による目詰まり、あるいは記録の高速化、高密度化にともなって発生する吐出不良などの問題が発生しやすく、インクジェット記録法としては信頼性に課題があった。
【0006】
このような信頼性を向上させるために、最新顔料分散技術((株)技術情報協会発行,1993)に記載されているような検討がなされてきた。即ち顔料インクにおいては、顔料を微細な粒子に破砕し、ほぼ50〜150nmの微小粒子の状態を長期にわたり安定なものとする必要がある。通常は高分子分散剤などの分散剤を用いて、顔料をインク中に安定に分散させられた。これは微小な顔料粒子表面に高分子分散剤が吸着し、分散剤の電気的反発力と立体障害効果により、顔料粒子間に働く凝集力を抑制し、安定に分散させている。しかし、顔料粒子が微小であるために応分の高分子分散剤を添加する必要がある。このようなインクでは顔料粒子は微小であるが、高分子分散剤が吸着しているため流体力学的粒子径は大きく、また余剰に存在する高分子分散剤の配向のために、インクジェット記録法のように、高伸張変形力が作用した時、非常に粘度の高いインクとなるため、吐出性不良などの問題があった。
【0007】
そこで高分子分散剤の配向による吐出安定性を達成するための手段として、USP5571311明細書、特開平10−67957号公報に、分散剤を使用しないで水に分散/又は溶解する自己分散型顔料を用いる技術が開示されている。
【0008】
USP6132502明細書には自己分散型顔料と水性エマルションを用い耐水性と耐擦性を制御する方法が開示されている。特開2000−26779号公報には顔料とポリマー微粒子からなる記録液において動的粘弾性測定での貯蔵剛性率を1×10−1Pa以下とし、ゼータ電位を−20mVとすることで保存安定性を制御する方法が開示されている。
【0009】
近年のインクジェット記録法における、記録の高速化、高品位記録などの性能向上に対して、インクの紙への転移現象に着目することで改良がなされてきている。すなわち、インクの表面張力を小さく、インクの粘度を大きく、接触角を大きくすることで高い画像濃度と高品位記録を達成するとして、特開平8−333532号公報に熱可逆的層分離性高分子と曇点を有する界面活性剤とで、加熱インクのメディア上での粘性挙動制御により転移現象を制御する方法が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらUSP5571311明細書、特開平10−67957号公報に記載の自己分散型顔料インク組成物では、表面にカルボキシル基又はスルホニウム基を導入しただけで、水中には容易に分散するがメディアに対する付着力がないために定着性に劣る場合が多く、満足できるものではなかった。
【0011】
またUSP6132502明細書、特開2000−26779号公報には、顔料インクの問題である耐擦性と保存安定性について制御する内容が記載されているが、インクジェット記録法における吐出安定性を満足する流動性は十分とはいえない。更には顔料を用いたインク組成物の高速記録においては、高い画像濃度と高品位画像を得るため、顔料粒子濃度増加とそれに伴うポリマー粒子濃度の増加が必要となるが、インク組成物の分散安定性は確保できたとしても、吐出安定性は満足できるとはいえない。
【0012】
特開平8−333532号公報の加熱装置を用いたインク組成物の温度制御による粘性制御は、装置が高価なものになり、また加熱機構というオンデマンド方式の経済性に矛盾するものとなる。
【0013】
そこで、本発明者らは、顔料と樹脂を含むインク組成物を用いたインクジェット記録法において、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、インク組成物の流動挙動に着目し、伸張変形速度(ずり速度)に対する粘性を特定の範囲に制御することで、良好な吐出安定性を有しながら、高速記録、高い画像濃度、高品位画像を有するインク組成物及びインクジェット記録法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討したところ、少なくとも顔料と、水と、水性樹脂を含んでなるインク組成物であって、オリフィスを用いた25℃での伸張粘度測定において、ずり速度1×104sec−1での粘度をA、ずり速度1×103sec−1での粘度をB、ずり速度1×101sec−1の粘度をCとするとき、A/B≦2.0、C/B≦1.2であることを特徴とするインク組成物が、斯かる諸要求を満足させることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、少なくとも顔料と、水と、水性樹脂とを含むインク組成物であって、オリフィスを用いた25℃での伸張粘度測定による、ずり速度1×104sec−1での粘度をA、ずり速度1×103sec−1での粘度をB、ずり速度1×101sec−1の粘度をCとして、A/B≦2.0、かつ、C/B≦1.2を満たす粘度を有するインク組成物である。
【0016】
このインク組成物を用いることにより、連続吐出安定性が向上し、バンディングの発生を抑制することができる。
【0017】
また、本発明は、25℃におけるずり速度1×101sec−1での粘度Cが5.0mPa・s以上であるインク組成物である。
【0018】
これにより、メディア上でのフェザリングやブリーディングの発生を抑制することができる。
【0019】
そして、本発明は、前記顔料が、分散剤なしで水に分散及び/又は溶解が可能な表面改質顔料であるインク組成物である。
【0020】
高分子分散剤などを顔料表面に吸着させて分散安定化を図った分散系インクにくらべ、普通紙上での水分などの紙への浸透、蒸発による顔料同士の凝集が抑制されるため、ドット形状を大きくできるため、小体積の液滴で十分な記録濃度を有する。
【0021】
更に、本発明は、前記顔料が、その表面にカルボキシル基、スルホン基、リン酸基の少なくとも1種以上の官能基又はその塩が結合するよう表面改質によって、分散剤なしに水及び/又は溶解が可能なものとされたものであるインク組成物である。
【0022】
これにより、安全で安価な自己分散型顔料を容易に製造することができ、また、メディア上でのフェザリングやブリーディングの発生を抑制するとともにヘッドへの親和性を確保することができる。
【0023】
また、本発明は、前記水性樹脂が、カルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基、ノニオン性水和官能基のうちの1種以上の官能基を有するインク組成物である。
【0024】
水と有機溶媒からなる液媒体中に溶解又は安定に分散するものが好ましく、アニオン性基を有する自己分散型顔料との凝集を抑制するとともに、顔料のメディアへの定着性を確保することができる。
【0025】
そして、本発明は、インクジェット記録法に用いられるインク組成物である。
【0026】
更に、本発明は、上記のインク組成物に圧力を作用させて吐出するインクジェット記録法である。
【0027】
本発明のインク組成物においては、前記したように、より高速でのインクジェト記録画像の高品位化を目指した検討において、顔料と樹脂を含有するインクが、種々な変形速度に対する流動性を確保することにより、高速記録における吐出安定性に要求される要素を高いレベルで達成し、かつ画像の高品質化にも優れていることを見出したことに基づくものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
本発明におけるオリフィスを用いた伸張粘度測定法は、振動チューブフロー法を用いて液体の粘弾性を測定する方法であって、測定チューブ内に充填された液体が振動フローすることによって生じる圧力勾配及び体積流動を測定する方法によって行う。
【0029】
本発明のインク組成物は、少なくとも顔料と、水と、水性樹脂を含むものであって、オリフィスを用いた25℃での伸張粘度測定による、ずり速度1×104sec−1での粘度をA、ずり速度1×103sec−1での粘度をB、ずり速度1×101sec−1の粘度をCとして、A/B≦2.0、かつ、C/B≦1.2である。かかるインク組成物は、顔料の分散安定性及び吐出安定性に優れたものとなる。
【0030】
本発明によるインク組成物は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うインクジェト記録法に用いられ、目詰まりのない信頼性の高いインクジェット記録方法を得ることができる。
【0031】
本発明のインク組成物は、インクジェット記録法で用いた場合、フェザリングあるいはブリードなどの印字品質の点から、その25℃における、ずり速度1×101sec−1での粘度Cが5.0mPa・s以上であることが好ましく、さらに好ましくは5.0〜20.0mPa・sである。
【0032】
本発明のインク組成物に用いられる顔料とは、水溶性高分子化合物などの分散剤を用いることなしに水、水溶性有機溶剤あるいはこれらを混合した液体に対して安定して分散状態を維持し、インクジェット記録法を用いたオリフィスからの正常なインク吐出性に問題を生じるような、顔料同士の凝集体が該液体中で発生することのないような顔料を指す。
【0033】
このような顔料としては、例えば少なくとも1つのアニオン性基が直接あるいは他の原子団を介して顔料表面に結合したものが好適に用いられる。
【0034】
このような顔料に直接あるいは他の原子団を介して結合しているアニオン性基の例としては、たとえば、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などがあげられる。これらのアニオン性基は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムなどを含んでもよい。
【0035】
これらのアニオン性基の中で、特にアルカリ金属を含むカルボキシル基やスルホン基は顔料の分散状態を安定化させる効果が大きく望ましい。
【0036】
これらの顔料の表面処理されるベース顔料としては、従来公知の無機顔料、有機顔料の全てが使用することができる。例えば、無機顔料としては、ファーネス法、チャンネル法などの従来の方法で製造されたカーボンブラックを使用することができる。また有機顔料については、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料などの多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料方レーキなどの染料レーキ、ニトロ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。上記顔料のうち、特に、カーボンブラック系顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料を用いることが望ましい。
【0037】
これらの表面処理された顔料の平均粒子径は5.0μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.2μm以下である。
【0038】
上記表面処理された顔料は、本発明のインク組成物中に0.1〜30重量%配合されることが好ましく、0.5〜25重量%配合されることが更に好ましい。上記顔料の配合量が0.1重量%に満たない場合は印字濃度が不十分であり、30重量%を超えると着色剤としての効果が飽和するので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0039】
本発明のインク組成物に用いられる樹脂は、従来公知の水性樹脂はいずれも使用できるが、顔料の紙等の記録媒体への定着性を確保でき、さらにインクジェット記録法を用いたオリフィスからの正常なインク吐出性に問題を生じるような、インク中で樹脂の会合対を形成したり、ノズルでの乾燥固化による再溶解性不十分とならないような樹脂であることが好ましい。
【0040】
本発明において、水溶性樹脂は、架橋部分を有しても良く、カルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキル基、ノニオン性水和官能基を有するものであって、水と有機溶媒からなる液媒体中に溶解又は安定に分散するものが好ましい。さらに好ましくは、原料モノマーの入手しやすさ、価格、顔料の分散性及びメディア上での定着性を考慮すると、カルボキシル基又はスルホン基、ノニオン性基を有する水性樹脂が挙げられる。
【0041】
このような水性樹脂としては、その形態分類から、水溶性樹脂、ディスパージョン、エマルションなど水に溶解又は安定に分散するものであれば特に限定されない。
【0042】
斯かる樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、スチレンなどから合成された(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体などをアンモニア、アミン、アルカリ金属などで中和水溶化したもの、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアミドなどから選ばれる樹脂をポリマーエマルションの分散粒子としてインク組成物中に分散されるものであってもよい。また架橋成分を有するエマルションであっても良い。
【0043】
本発明に用いられる水溶性樹脂の重量平均分子量は、1,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、2,000〜10,000の範囲にあることが特に好ましい。重量平均分子量が小さすぎると耐水性及び耐光性が低下し、大きすぎるとインク安定性及び吐出性が低下する傾向が認められる。またディスパージョン、ポリマーエマルションの粒子径は、5nm〜500nmの範囲にあることが好ましく、更には10〜200nmにあることが好ましい。粒子径が小さすぎると水和官能基量が多くなって耐水性が低下し、大きすぎると記録装置のノズル・オリフィスでの目詰まり及び沈殿物が発生する傾向がある。
【0044】
上記水性樹脂は、本発明のインク組成物中に0.1〜50重量%配合されることが好ましく、0.5〜30重量%配合されることが更に好ましい。上記顔料の配合量が0.1重量%に満たない場合は定着性が不十分であり、50重量%を超えると樹脂としての効果が飽和するので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0045】
本発明のインク組成物には、かかる成分のほかに従来公知の各種添加剤、たとえば多価アルコール類のような湿潤剤、消泡剤、カチオン、アニオン或いはノニオン系の各種界面活性剤などの表面張力調整剤、粘度調整剤、防黴剤、及びEDTAなどのキレート剤、比抵抗調整剤、また、亜硫酸塩などの酸素吸収剤などを含有してもよい。
【0046】
ここで、上記湿潤剤としては、特に制限されるものではないが、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びポリエチレングリコールなどのグリコール類;グリセリン;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールのエーテル類、尿素;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチルイミダゾリジノン;トリエタノールアミン;メチルジエタノールアミン;ホルミアミド;ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物類、ジメチルスルホキシド;スルホランなどの含硫黄化合物類の一種又は二種以上を使用することができる。これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、本発明のインク組成物中に好ましくは0.1〜80重量%配合することができ、さらに好ましくは0.1〜50重量%配合することができる。
【0047】
また、上記消泡剤としては、特に制限されないが、シリコーン系、あるいは鉱物油系などの化合物を用いることが、インク調整時における泡の発生の抑制及びインクの表面張力の調整の点から望ましい。これらの化合物は市販品としても入手でき、例えば信越シリコーン社製のKF96,66,69、KS68,604,607A,602,603,KM70,71,72,75,80,83,85,90などが挙げられる。
【0048】
上記化合物の配合量に特に制限はないが、本発明のインク組成物中に、0.001〜2重量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001重量%に満たない場合はインク調整時に泡が発生し易く、又、インク内での小胞が除去しがたく、2重量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内ではじきが発生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。さらに好ましくは、該化合物の配合量は、本発明のインク組成物中に、0.005〜0.5重量%である。
【0049】
また上記表面張力調整剤としては、上述のシリコーン系消泡剤や、カチオン、アニオン、あるいはノニオン系の各種界面活性剤を使用することができる。特にアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルアルコールのエチレンオキサイド付加物を用いることが泡の発生の抑制、インクの表面張力の調整のしやすさ、及び良好なインク吐出性、紙等の記録媒体への浸透性を向上させることができるため、にじみが少ない、印字濃度むらがないなどの点で好ましい。
【0050】
上記表面張力調整剤の使用に際しては、これらの化合物の一種又は二種以上を用いることができる。本発明のインク組成物中に、0.005〜15重量%配合することが望ましい。該配合量が、0.005重量%に満たないと、上記特性を発現することができないことがあり、15重量%を超えると、反対ににじみや印字濃度むらなどが発生して印字品質が低下したり、インクの液安定性が低下することがあるので、上記範囲内とすることが望ましい。
【0051】
本発明のインク組成物は、20℃における表面張力が、被記録媒体への浸透性から、25〜50mN/mであることが好ましく、さらに好ましくは30〜45mN/mである。
【0052】
粘度調整剤としては、カルボキシルメチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、アラビアゴム、スターチなどの水溶性の天然あるいは構成高分子が望ましく、これらの粘度調整剤を使用して、あるいは使用せずに、本発明のインク組成物の粘度を5.0mPa・s以上、好ましくは5.0〜20mPa・sに調整する。
【0053】
また、その他の添加剤についても必要に応じて、適宜添加することができる。
【0054】
本発明のインク組成物は、上記のごとき必須成分及び任意成分を混合し、分散及び/又は攪拌溶解することで得ることができる。充分に攪拌された後、目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を除去するために、ろ過を行い目的のインク組成物を得る。
【0055】
以上の本発明のインク組成物は、前述の如き従来技術の問題点が解決されており、紙や加工紙などの被記録材へのインクジェット記録法に有用である。これらの一般の被記録材は従来公知のものはいずれも使用することができる。
【0056】
本発明のインク組成物を、紙、加工紙、プラスチックフィルム、シート、綿布などに付与するのに使用するインクジェット記録法は、インクをノズルより効果的に飛翔させて、射程体である紙、紙、加工紙、プラスチックフィルム、シート、綿布などに付与しうる方法であれば,いかなる方式でもよく、それらの方法の代表的なものは、例えばインクジェット記録の高画質、高速化技術と関連材料の開発(技術情報協会1997年)などに記載されている。
【0057】
これらに記載の方法は、本発明のインク組成物の仕様に好適なものであり、圧電素子を用いた圧電加圧方法、熱エネルギーを与え膜沸騰による気泡を発生させその圧力で液滴を飛翔させる過熱加圧方式、静電吸引方式、マイクロドットインクジェット方式などが挙げられる。
【0058】
以上の如き種々のインクジェット記録法がいずれも使用でき、このような方式のいずれかを採用して、紙、加工紙、プラスチックフィルム、シート、綿布などの表面に着色したインクによる文字、図形などの絵柄が形成されるが、本発明のインク組成物は、前述のごとくインク組成物の流動性が一定値にコントロールされているため、特に前述の如き圧力によりインクを吐出させるインクジェット記録方法における吐出安定性が極めて良好であり、均一で高品位な記録が可能である。
【0059】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。オリフィスを用いた伸張粘度測定は、振動チューブフロー法を用いた粘弾性測定装置を用いて測定した。装置は、VILASTIC SCIENTIC,INK.製VE型粘弾性アナライザーを使用した。
【0060】
実施例1を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 6重量%
スチレン−アクリル酸共重合体ジョンクリル60(ジョンソンポリマー(株))
(分子量 8,500) 1.2重量%
グリセリン 23重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10重量%
サーフィノール104 0.5重量%
水 残量
【0061】
実施例2を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0062】
実施例3を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 6重量%
ポリマーエマルション ジョンクリル450(ジョンソンポリマー(株))
(スチレン−アクリル酸樹脂) 1.2重量%
グリセリン 25重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8重量%
サーフィノール465 0.5重量%
水 残量
【0063】
実施例4を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0064】
実施例5を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 6重量%
ポリマーエマルション マイクロジェルE−1002(日本ペイント(株))
(スチレン−アクリル酸樹脂) 1.8重量%
グリセリン 25重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8重量%
サーフィノール465 0.5重量%
水 残量
【0065】
実施例6を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0066】
実施例7を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0067】
実施例8を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0068】
比較例1を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 6重量%
ポリマーエマルション スーパフレックス600(第一工業製薬(株))
(カチオン性) 1.8重量%
グリセリン 16量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8重量%
サーフィノール465 0.5重量%
水 残量
【0069】
比較例2を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 6重量%
スチレン−アクリル酸共重合体 ジョンクリル63(ジョンソンポリマー(株)
)
(分子量12,500) 3.6重量%
グリセリン 18重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10重量%
サーフィノール465 0.5重量%
水 残量
【0070】
比較例3を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
カーボンブラックCabojet300(キャボット製) 3重量%
スチレン−アクリル酸共重合体エマルション ジョンクリル450(ジョンソン
ポリマー(株)) 1.2重量%
グリセリン 12重量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 4重量%
サーフィノール465 0.5重量%
水 残量
【0071】
比較例4を説明する。以下の割合の成分を使用してインク組成物を作製した。
【0072】
性能評価を説明する。以上のインク組成物を以下のようにして評価した。
1)画像品質
上で作成したインク組成物をAJ−2200(商品名、シャープ株式会社製)のヘッドに充填し、応答周波数12kHz、解像度600dpi及びインク吐出量13plの条件下で、20〜25℃、40〜60%RHの環境下で画像を形成した。そして形成した画像のベタ部の状況を目視及び顕微鏡を用いて200倍に拡大して確認した。評価基準は、ベタ部の状況については顕微鏡を用いてもベタ部の抜けが無かったものを「○」、ベタ部の抜けが顕微鏡で一部認められたが、目視では認められなかったものを「△」、ベタ部の抜けが目視でも容易に認められたものを「×」とした。
【0073】
2)インクの間欠吐出安定性
インク組成物をAJ−2200(商品名、シャープ株式会社製)のヘッドに充填し、インクの画像品質評価と同様な条件下で、各インクを一行分画像形成した後、一定時間画像形成を休止して再度画像形成した。そして画像形成再開時の最初の1ドット目がドットぬけしたり、飛行曲がりが生じるまでの休止時間で評価した。評価基準は、休止時間が20秒以上であったものを「○」、20〜10であったものを「△」、10秒未満であったものを「×」とした。
【0074】
3)画像濃度
A4サイズの普通紙に、1cm四方の正方形のベタ部を上記画像評価の方法によりプリントし、30分間経過後のプリントサンプルについて光学濃度計X−Rite938(日本平版機材(株)製)を用いて、「光学反射濃度」を測定した。光学反射濃度は、1.30以上を目標値とした。
【0075】
4)フェザリング
A4サイズの普通紙に、線画像を上記画像評価の方法によりプリントし、30分間後に形成した画像の線のギザギザ度合い状況について顕微鏡を用いて拡大観察した。判断基準は、線の幅が均一でにじみが観察されないものを「○」、若干のにじみは観察されるが線がほぼ均一になっているものを「△」、にじみにより線画像がギザギザになっているものを「×」とした。
【0076】
5)インク保存安定性
各インク組成物をガラスのサンプル瓶に入れ、−20℃、20℃、60℃でそれぞれの条件下で、1ヶ月間保存し、保存後の表面張力、粘度、及び沈殿物析出の有無を調べた。どの条件下で保存しても、物性などの変化が無いものを「○」とし、一部に変化が生じたものを「△」、複数に変化が生じたものを「×」とした。
【0077】
以上のインク組成物の特性及び評価結果を図1及び図2に示す。実施例1〜8のインク組成物は、画像品質、間欠吐出安定性、光学反射濃度(画像濃度)、フェザリング及びインク保存安定性のほとんどすべての評価に良好であった。比較例1、2のインク組成物は、好ましくない評価が多かった。比較例3及び4は、粘度Cが5.0mP・s未満であり、フェザリングの特性に問題があった。このように、粘度について、A/B≦2.0、かつ、C/B≦1.2を満たすインク組成物(実施例1〜8)は、良好な特性を有しており、特にインクジェット記録法に用いることができる。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な吐出安定性を有しながら、高速記録、高い画像濃度、高品位画像を有するインク組成物及びインクジェット記録法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例のインク組成物の特性を説明する図表。
【図2】実施例及び比較例のインク組成物の評価結果を説明する図表。
Claims (7)
- 少なくとも顔料と、水と、水性樹脂とを含むインク組成物であって、
オリフィスを用いた25℃での伸張粘度測定による、ずり速度1×104sec−1での粘度をA、ずり速度1×103sec−1での粘度をB、ずり速度1×101sec−1の粘度をCとして、A/B≦2.0、かつ、C/B≦1.2を満たす粘度を有することを特徴とするインク組成物。 - 25℃におけるずり速度1×101sec−1での粘度Cが5.0mPa・s以上である請求項1記載のインク組成物。
- 前記顔料が、分散剤なしで水に分散及び/又は溶解が可能な表面改質顔料である請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記顔料が、その表面にカルボキシル基、スルホン基、リン酸基の少なくとも1種以上の官能基又はその塩が結合するよう表面改質によって、分散剤なしに水及び/又は溶解が可能なものとされたものである請求項3記載のインク組成物。
- 前記水性樹脂が、カルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基、ノニオン性水和官能基のうちの1種以上の官能基を有する請求項1記載のインク組成物。
- インクジェット記録法に用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項6記載のインク組成物に圧力を作用させて吐出するインクジェット記録法。
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---|---|---|---|
JP2002171050A JP2004018535A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | インク組成物及びインクジェット記録法 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2007302863A (ja) * | 2006-04-11 | 2007-11-22 | Toppan Printing Co Ltd | インクジェットカラーフィルタ用インク組成物 |
JP2008101099A (ja) * | 2006-10-19 | 2008-05-01 | Hitachi Maxell Ltd | 油性顔料インク組成物 |
-
2002
- 2002-06-12 JP JP2002171050A patent/JP2004018535A/ja active Pending
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