JP2004018326A - ディスプレイ装置用保護ガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】たとえ大画面用であっても、「ボコボコ変形する」ことなく、また、透視像の「ゆがみ」も少ないディスプレイ装置用保護ガラス。
【解決手段】扁平なディスプレイ装置の前面に配置される熱強化板ガラス2からなるディスプレイ装置用保護ガラスで、板ガラス2の面に直交する第1基準面F1に沿う切断面での曲率半径が、板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ第1曲率半径R1に設定され、板ガラス2の面に直交し、かつ、第1基準面F1に直交する第2基準面F2に沿う切断面での曲率半径が、板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ第2曲率半径R2に設定されている。
【選択図】 図7
【解決手段】扁平なディスプレイ装置の前面に配置される熱強化板ガラス2からなるディスプレイ装置用保護ガラスで、板ガラス2の面に直交する第1基準面F1に沿う切断面での曲率半径が、板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ第1曲率半径R1に設定され、板ガラス2の面に直交し、かつ、第1基準面F1に直交する第2基準面F2に沿う切断面での曲率半径が、板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ第2曲率半径R2に設定されている。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、PDP(プラズマディスプレイパネル)に代表されるFDP(フラットディスプレイパネル)のような扁平なディスプレイ装置の前面に配置される熱強化板ガラスからなるディスプレイ装置用保護ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
このような保護ガラスとしては、強度的に丈夫な熱強化板ガラスが適しており、従来から全面にわたってほぼフラットな熱強化板ガラスが使用されている。しかし、従来では、例えば、FDPの画面サイズそのものが比較的小さかったため、熱強化板ガラスも小さなサイズに限られていた。
ところが、近年、大型のFDPが急速に普及しつつあり、それに伴ってディスプレイ装置の大画面化が進み、大きなサイズの熱強化板ガラスが必要となってきた。同時に、ディスプレイ装置の軽量化も要求され、例えば、3.5mm以下の板厚を有する熱強化板ガラスの必要性が急速に高まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来から使用されているフラットな熱強化板ガラスを単に大きくするだけでは、いわゆる「オイル缶現象」や「鞍形現象」が発生し、ディスプレイ装置用の保護ガラスとしては、必ずしも満足できるものではない。
すなわち、板ガラスを加熱する際、特に板ガラス端縁が中央部より高温化することによる原因で図10に示す「オイル缶現象」が発生する。「オイル缶現象」は、(イ)に示す凹形状と(ロ)に示す凸形状とに交互に反り返る現象で、ちょっとしたきっかけによって凹凸間での形状の変化が生じて「ボコボコ変形する」ことになる。同様に、板ガラス端縁が急冷時に中央部より先に冷却されて固化することによる原因で図11に示す「鞍形現象」の発生も懸念され、この場合にも、(イ)に示す形状と(ロ)に示す形状との間で「ボコボコ変形する」ことになり、いずれの現象も、熱強化板ガラスの面積が大きくなるほど、また、板厚が薄くなるほど顕著となる。
このような現象が生じると、ディスプレイ装置用保護ガラスとしての商品価値が低下するばかりか、透視像の「ゆがみ」も生じるため、大画面用の保護ガラスとして使用するには無理がある。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、たとえ大画面用であっても、前述の「ボコボコ変形する」ことなく、また、透視像の「ゆがみ」も少ないディスプレイ装置用保護ガラスを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、図1および図7に例示するごとく、扁平なディスプレイ装置1の前面に配置される熱強化板ガラス2からなるディスプレイ装置用保護ガラスであって、前記板ガラス2の面に直交する第1基準面F1に沿う切断面での曲率半径が、前記板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ第1曲率半径R1に設定され、前記板ガラス2の面に直交し、かつ、前記第1基準面F1に直交する第2基準面F2に沿う切断面での曲率半径が、前記板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ第2曲率半径R2に設定されているところにある。
【0006】
請求項1の発明の特徴構成によれば、熱強化板ガラスからなるディスプレイ装置用保護ガラスで、その熱強化板ガラスの面に直交する第1基準面に沿う切断面での曲率半径が、板ガラスの全面にわたってほぼ同じ第1曲率半径R1に設定され、板ガラスの面に直交し、かつ、第1基準面に直交する第2基準面に沿う切断面での曲率半径が、板ガラスの全面にわたってほぼ同じ第2曲率半径R2に設定されている。
つまり、熱強化板ガラスが、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とを有するように予め湾曲されているので、上述した「オイル缶現象」や「鞍形現象」は発生せず、したがって、熱強化板ガラスが「ボコボコ変形する」こともない。
そして、その第1と第2の曲率半径R1,R2は、互いに直交する切断面での曲率半径であり、しかも、その第1と第2の曲率半径R1,R2が、熱強化板ガラスの全面にわたってほぼ同じに設定されており、実験によって透視像の「ゆがみ」が抑制されることが確認され、ディスプレイ装置用保護ガラスとして十分に使用可能となる。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、前記第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であり、7500mm≦(R1およびR2)≦75000mmに設定されているところにある。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成によれば、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であり、7500mm≦(R1およびR2)≦75000mmに設定されているところにある。
つまり、第1と第2の曲率半径R1,R2が、7500mm以上に設定されているので、透視像の「ゆがみ」が許容範囲内に確実に抑制され、かつ、75000mm以下に設定されているので、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生もなく、「ボコボコ変形する」ことが確実に防止される。
【0009】
請求項3の発明の特徴構成は、前記第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であり、7500mm≦R1≦75000mmで、R2=∞に設定されているところにある。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成によれば、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であり、7500mm≦R1≦75000mmで、R2=∞に設定されているので、透視像の「ゆがみ」が許容範囲内に確実に抑制されるとともに、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生も確実に防止される。
【0011】
請求項4の発明の特徴構成は、前記第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、同じ曲率半径であり、7500mm≦R1=R2≦75000mmに設定されているところにある。
【0012】
請求項4の発明の特徴構成によれば、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、同じ曲率半径であり、7500mm≦R1=R2≦75000mmに設定されているので、透視像の「ゆがみ」が許容範囲内に確実に抑制され、かつ、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生も確実に防止される。
【0013】
請求項5の発明の特徴構成は、前記板ガラス2の板厚tが、1.5〜3.5mmに設定されているところにある。
【0014】
請求項5の発明の特徴構成によれば、熱強化板ガラスの板厚が、1.5〜3.5mmに設定されているので、単位面積当たりの重量は比較的軽く、したがって、たとえ大画面のディスプレイ装置用として使用しても、ディスプレイ装置全体の軽量化を図ることができる。
【0015】
請求項6の発明の特徴構成は、図1に例示するごとく、前記板ガラス2の凹面側または/および凸面側の表面が、反射率低減皮膜13で被覆されているところにある。
【0016】
請求項6の発明の特徴構成によれば、熱強化板ガラスの凹面側または/および凸面側の表面が、反射率低減皮膜で被覆されているので、上述した透視像の「ゆがみ」、および、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生防止に加えて、視聴者側からの反射像の低減化も図られ、視聴者にとっては、より一層透視像が明確となる。
【0017】
請求項7の発明の特徴構成は、図1に例示するごとく、前記板ガラス2の凹面側または凸面側の表面が、電磁波遮蔽用の導電皮膜14で被覆されているところにある。
【0018】
請求項7の発明の特徴構成によれば、熱強化板ガラスの凹面側または凸面側の表面が、電磁波遮蔽用の導電皮膜で被覆されているので、上述した作用効果に加えて、ディスプレイ装置から発生する電磁波の遮蔽が可能となり、また、その導電被膜を接地(アース)することによって静電防止も可能となる。
【0019】
なお、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明によるディスプレイ装置用保護ガラスにつき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
この保護ガラスは、図1に示すように、例えば、画像を表示する扁平なディスプレイ装置の一例であるPDP(プラズマディスプレイパネル)1の前面に配置されてPDP1を保護するためのもので、透明な熱強化板ガラス2により構成されて、PDP1を収納するケーシングCの前面に取り付けられている。
熱強化板ガラス2とは、板ガラスを熱処理してガラス表面に強い圧縮応力層をつくり、破壊強さを増加させたガラスのことで、図2に示すように、強化前の板ガラス2aを加熱する加熱炉3、加熱炉3により加熱された後の板ガラス2aを成形する成形装置4、成形装置4により成形された後の板ガラス2aを急冷して強化する強化装置5などからなる一連の装置により製造される。
【0021】
加熱炉3内には、多数の加熱ローラ6が水平に配置されていて、加熱ローラ6により板ガラス2aを搬送しながら、図外のヒータによって板ガラス2aをその軟化点近くにまで加熱するように構成されている。
成形装置4は、加熱炉3により加熱された後の板ガラス2aを一定の搬送方向Xに沿って搬送しながら成形する複数の成形ローラ、つまり、上下で対をなす合計4対の成形ローラ7a〜7dで構成されている。
図5の(イ)〜(ニ)を参照して、最も加熱炉3側に近接する一対目の成形ローラ7aは、直線状のローラ対、換言すると、上下の成形ローラ7a間を通過する板ガラス2aの曲率半径Raが、板ガラス2aの搬送方向Xに沿う方向視において無限大になるローラ対で構成され、二対目の成形ローラ7bは、板ガラス2aの曲率半径Rbが、同方向視において25000mmになる湾曲ローラ対、より具体的には、上方に位置する成形ローラ7bが、その長手方向における中央部ほど徐々に大径となる太鼓状のローラにより、下方に位置する成形ローラ7bが、その長手方向における中央部ほど徐々に小径となる鼓状のローラで構成されている。そして、三対目と四対目の成形ローラ7c,7dも、板ガラス2aの曲率半径Rc,Rdが、同方向視においてそれぞれ12500mmになる湾曲ローラ対で構成されている。
【0022】
強化装置5は、成形装置4により成形された後の板ガラス2aを搬送方向Xに沿って搬送しながら板ガラス2aの形状を保持する複数の急冷ローラ、つまり、上下で対をなす合計6対の急冷ローラ8a〜8fを備えていて、これら各対の急冷ローラ8a〜8fは、図5の(ホ)に示すように、その間を通過する板ガラス2aの曲率半径Reが、板ガラス2aの搬送方向Xに沿う方向視において全て12500mmになる湾曲ローラにより構成されている。
そして、4対の成形ローラ7a〜7dのうち、一対目の成形ローラ7aのみが、加熱ローラ6により水平姿勢で送られてきた板ガラス2aを水平姿勢で保持するように水平に配置され、残りの成形ローラ7b〜7dと急冷ローラ8a〜8fは、図6に示すように、搬送される板ガラス2aが、側面視において曲率半径Rfの円弧上に位置するように配置され、その曲率半径Rfが25000mmに設定されている。
【0023】
急冷ローラ8a〜8fの上下には、図3にも示すように、上方ノズルボックス9と下方ノズルボックス10が配設され、各ノズルボックス9,10内には、図外のファンにより冷却用空気Aが供給されるように構成されている。
上方ノズルボックス9の下面には、多数の上方ノズル11が突設され、同様に、下方のノズルボックス10の上面には、多数の下方ノズル12が突設されていて、上下のノズル11,12から噴出される冷却用空気Aを成形後の板ガラス2aの上下表面に吹き付けて板ガラス2aを急冷するように構成されている。
上下に位置する各ノズル11,12は、例えば、外径6mm、内径3mm、長さ100mm程度の金属製のパイプにより形成され、各ノズルボックス9,10の面からそれぞれ50mm程度突出するように取り付けられて、図4に示すように、平面視において各ノズル11,12間のピッチPが10mm程度になるように各ノズルボックス9,10のほぼ全面にわたって千鳥状に配置されている。
【0024】
上下のノズルボックス9,10は、急冷ローラ8a〜8fによる板ガラス2aの搬送方向Xに対してほぼ直交する交差方向Yに沿って往復移動自在に構成され、両ノズルボックス9,10の往復移動に伴って、上下のノズル11,12が、板ガラス2aの搬送方向Xにほぼ直交する交差方向Yに往復移動するように構成されている。
上下のノズルボックス9,10は、互いに連動して往復移動するのが好ましく、その場合、上下のノズルボックス9,10が、互いに一体化した状態で同じ方向に往復移動するように構成することも、また、上方ノズルボックス9と下方ノズルボックス10とが、互いに逆方向に往復移動するように構成することもできる。
【0025】
つぎに、強化前の板ガラス2aが熱強化されて熱強化板ガラス2となるプロセスについて説明する。
強化前の板ガラス2aとしては、その板厚tが1.5〜3.5mm程度のものが使用され、加熱炉3により軟化点近くにまで加熱されて、加熱ローラ6により搬送されてきた板ガラス2aは、そのまま水平姿勢を維持して一対目の成形ローラ7aにより挟持搬送され、その後、二対目以後の成形ローラ7b〜7dにより挟持搬送される間に徐々に成形される。
つまり、搬送方向Xに沿う方向視においては、その曲率半径が、3対目以後の成形ローラ7c,7dの曲率半径Rc,Rdと同じ12500mmになるように成形され、また、搬送方向Xに直交する方向視においては、その曲率半径が、2対目以後の成形ローラ7b〜7dの配置曲率半径Rfと同じ25000mmになるように成形される。
【0026】
このようにして成形された板ガラス2aは、その成形姿勢を維持したまま、急冷ローラ8a〜8fにより順次挟持されながら、強化装置5内において、例えば、20mm/秒程度の速さで搬送方向Xに連続的に搬送される。
その搬送中において、上方ノズル11と下方ノズル12が、例えば、50mm程度の振幅で、かつ、1サイクルが5秒程度の速さで交差方向Yに往復移動され、上下のノズル11,12から噴出される冷却用空気Aによって板ガラス2aの上下表面が急冷されて熱強化板ガラス2となる。
このように急冷されて製造された熱強化板ガラス2において、その平面の残留応力値を測定したところ、板ガラスの周縁部を除いて、その全面にわたって±1.0MPa以下であった。周縁部では、局部的に±1.0MPaを越える平面残留応力値の存在が認められるが、それは板ガラスの周縁部に限られるため、その熱強化板ガラスをPDP1の前面保護ガラスとして使用する場合、殊更問題となるようなことはない。
【0027】
そして、この熱強化板ガラス2では、図7に示すように、熱強化板ガラス2の面に直交する第1基準面F1、つまり、この実施形態では搬送方向Xに直交し、かつ、熱強化板ガラス2の面に直交する第1基準面F1に沿う切断面での第1曲率半径R1が、熱強化板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ12500mmに設定され、また、熱強化板ガラス2の面に直交し、かつ、第1基準面F1に直交する第2基準面F2、つまり、この実施形態では搬送方向Xに沿って、かつ、熱強化板ガラス2の面に直交する第2基準面F2に沿う切断面での第2曲率半径R2が、熱強化板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ25000mmに設定される。このように第1曲率半径R1が全面にわたって12500mmに設定され、かつ、第2曲率半径R2が全面にわたって25000mmに設定された熱強化板ガラス2においては、その厚みtが1.5〜3.5mmの範囲内であっても、上述したような「オイル缶現象」も「鞍形現象」も発生せず、透視像の「ゆがみ」も許容範囲内に抑制されることが実験により確認された。
そして、図1に示すように、熱強化板ガラス2の凸面側の表面、つまり、視聴者側の表面には、反射率低減皮膜13が被覆されて、反射像の低減化が図られ、凹面側の表面には、電磁波遮蔽用の導電皮膜14が被覆されて、PDP1から発生する電磁波の遮蔽が図られるとともに、その導電被膜14を接地(アース)することにより静電防止を図り得るように構成されている。
【0028】
〔別実施形態〕
つぎに、別の実施形態について説明するが、重複説明を避けるため、先の実施形態で説明した構成部品と同じ構成部品や同じ作用を有する構成部品については、同じ符号を付すことで説明を省略し、主として先の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0029】
(1)先の実施形態では、上下で対をなす合計4対の成形ローラ7a〜7dにより成形装置4を構成した例を示したが、成形装置4については、種々の構成を採用することができ、その一例を示したのが図8である。
この図8に示す別の実施形態では、成形装置4が、板ガラス2aの下方に位置する合計4本の押しつけローラ15a〜15d、および、上方に位置する成形ベルト16と成形部材17などで構成され、成形ベルト16の温度を調節する温度調節装置18も設けられている。
成形ベルト16は、可撓性を有するエンドレスのベルトからなり、駆動ローラ19と複数のテンションローラ20に懸架されるとともに、4本の押しつけローラ15a〜15dに対向配置された成形部材17にも懸架されている。
【0030】
成形部材17の下面は、図9の(イ)〜(ニ)を参照して、加熱炉3側に近接する部分が直線状、つまり、成形ベルト16と押しつけローラ15a間を通過する板ガラス2aの曲率半径Raが、板ガラス2aの搬送方向Xに沿う方向視において無限大になるように構成され、その後、曲率半径が徐々に大きくなって、二番目の押しつけローラ15b部分では、板ガラス2aの曲率半径Rbが25000mmになり、三番目と四番目の押しつけローラ15c,15d部分では、板ガラス2aの曲率半径Rc,Rdが12500mmになるように湾曲状に構成され、それに対応して、二番目から四番目の押しつけローラ15b〜15dも、先の実施形態で説明した鼓状のローラで構成されている。そして、二番目以後の押しつけローラ7b〜7dと急冷ローラ8a〜8fは、先の実施形態と同じように、搬送される板ガラス2aが、側面視において曲率半径Rfの円弧上に位置するように配置され、その曲率半径Rfが25000mmに設定されている。
したがって、この別の実施形態による成形装置4においても、先の実施形態と同様、第1基準面F1に沿う切断面での第1曲率半径R1が、その全面にわたってほぼ同じ12500mmで、第2基準面F2に沿う切断面での第2曲率半径R2が、その熱強化板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ25000mmの熱強化板ガラス2を得ることができる。
【0031】
(2)これまでの実施形態では、第1基準面F1に沿う切断面での第1曲率半径R1が12500mmに設定され、第2基準面F2に沿う切断面での第2曲率半径R2が25000mmに設定された熱強化板ガラス2を示したが、この第1と第2の曲率半径R1,R2に関しては、種々の値に設定することができる。
すなわち、各種の実験によって、第1と第2の曲率半径R1,R2が7500mm以上であれば、透視像の「ゆがみ」が許容範囲内に抑制され、7500mm未満であると、透視像が膨らんで「ゆがみ」の生じることが確認された。
また、第1と第2の曲率半径R1,R2が75000mm以下であれば、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生が抑制され、さらに、50000mm以下であれば、剛性も十分で変形はほとんど皆無となり、75000mmを超えると、剛性が不足して「オイル缶現象」や「鞍形現象」が発生する可能性のあることが確認された。
しかしながら、両曲率半径R1,R2の一方、例えば、第1曲率半径R1が75000mm以下であれば、他方の第2曲率半径R2が無限大(∞)であっても、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生が抑制されることも確認された。
【0032】
したがって、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であって、7500mm≦(R1およびR2)≦75000mmに設定されている熱強化板ガラスや、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、同じ曲率半径であって、7500mm≦R1=R2≦75000mmに設定されている熱強化板ガラスが、「オイル缶現象」または「鞍形現象」と透視像の「ゆがみ」の両面から特に好ましいことが理解できる。
さらに、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であって、7500mm≦R1≦75000mmで、R2=∞に設定されている熱強化板ガラスであっても、十分に所期の目的を達成し得ることが理解できる。
【0033】
(3)これまでの実施形態では、ディスプレイ装置1の一例としてPDPを示したが、PDP以外のディスプレイ装置に適用することも可能である。
また、熱強化板ガラス2の凸面側の表面に反射率低減皮膜13を被覆した例を示したが、凹面側の表面に反射率低減皮膜13を被覆することも、さらに、凸面側と凹面側との両表面に反射率低減皮膜13を被覆することも可能であり、その反射率低減皮膜13については、ガラスの表面に無機材料の多層膜を形成して被覆することも、多層膜を形成したフィルムを貼着して被覆することもできる。
また、熱強化板ガラス2の凹面側に電磁波遮蔽用の導電皮膜14を被覆した例を示したが、その導電皮膜14を凸面側に被覆して実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスプレイ装置を示す一部切欠き斜視図
【図2】熱強化板ガラスの製造装置の概略を示す断面側面図
【図3】熱強化板ガラスの強化装置の概略を示す断面正面図
【図4】強化装置におけるノズルの配置状態を示す平面図
【図5】成形ローラと急冷ローラを示す正面図
【図6】加熱ローラ、成形ローラ、および、急冷ローラを示す側面図
【図7】熱強化板ガラスを示す斜視図
【図8】別の実施形態による成形装置の概略を示す断面側面図
【図9】別の実施形態による成形部材と押しつけローラを示す正面図
【図10】熱強化板ガラスの「オイル缶現象」を示す斜視図
【図11】熱強化板ガラスの「鞍形現象」を示す斜視図
【符号の説明】
1 ディスプレイ装置
2 熱強化板ガラス
13 反射率低減皮膜
14 電磁波遮蔽用の導電皮膜
F1 第1基準面
F2 第2基準面
R1 第1曲率半径
R2 第2曲率半径
t 熱強化板ガラスの板厚
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、PDP(プラズマディスプレイパネル)に代表されるFDP(フラットディスプレイパネル)のような扁平なディスプレイ装置の前面に配置される熱強化板ガラスからなるディスプレイ装置用保護ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
このような保護ガラスとしては、強度的に丈夫な熱強化板ガラスが適しており、従来から全面にわたってほぼフラットな熱強化板ガラスが使用されている。しかし、従来では、例えば、FDPの画面サイズそのものが比較的小さかったため、熱強化板ガラスも小さなサイズに限られていた。
ところが、近年、大型のFDPが急速に普及しつつあり、それに伴ってディスプレイ装置の大画面化が進み、大きなサイズの熱強化板ガラスが必要となってきた。同時に、ディスプレイ装置の軽量化も要求され、例えば、3.5mm以下の板厚を有する熱強化板ガラスの必要性が急速に高まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来から使用されているフラットな熱強化板ガラスを単に大きくするだけでは、いわゆる「オイル缶現象」や「鞍形現象」が発生し、ディスプレイ装置用の保護ガラスとしては、必ずしも満足できるものではない。
すなわち、板ガラスを加熱する際、特に板ガラス端縁が中央部より高温化することによる原因で図10に示す「オイル缶現象」が発生する。「オイル缶現象」は、(イ)に示す凹形状と(ロ)に示す凸形状とに交互に反り返る現象で、ちょっとしたきっかけによって凹凸間での形状の変化が生じて「ボコボコ変形する」ことになる。同様に、板ガラス端縁が急冷時に中央部より先に冷却されて固化することによる原因で図11に示す「鞍形現象」の発生も懸念され、この場合にも、(イ)に示す形状と(ロ)に示す形状との間で「ボコボコ変形する」ことになり、いずれの現象も、熱強化板ガラスの面積が大きくなるほど、また、板厚が薄くなるほど顕著となる。
このような現象が生じると、ディスプレイ装置用保護ガラスとしての商品価値が低下するばかりか、透視像の「ゆがみ」も生じるため、大画面用の保護ガラスとして使用するには無理がある。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、たとえ大画面用であっても、前述の「ボコボコ変形する」ことなく、また、透視像の「ゆがみ」も少ないディスプレイ装置用保護ガラスを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、図1および図7に例示するごとく、扁平なディスプレイ装置1の前面に配置される熱強化板ガラス2からなるディスプレイ装置用保護ガラスであって、前記板ガラス2の面に直交する第1基準面F1に沿う切断面での曲率半径が、前記板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ第1曲率半径R1に設定され、前記板ガラス2の面に直交し、かつ、前記第1基準面F1に直交する第2基準面F2に沿う切断面での曲率半径が、前記板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ第2曲率半径R2に設定されているところにある。
【0006】
請求項1の発明の特徴構成によれば、熱強化板ガラスからなるディスプレイ装置用保護ガラスで、その熱強化板ガラスの面に直交する第1基準面に沿う切断面での曲率半径が、板ガラスの全面にわたってほぼ同じ第1曲率半径R1に設定され、板ガラスの面に直交し、かつ、第1基準面に直交する第2基準面に沿う切断面での曲率半径が、板ガラスの全面にわたってほぼ同じ第2曲率半径R2に設定されている。
つまり、熱強化板ガラスが、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とを有するように予め湾曲されているので、上述した「オイル缶現象」や「鞍形現象」は発生せず、したがって、熱強化板ガラスが「ボコボコ変形する」こともない。
そして、その第1と第2の曲率半径R1,R2は、互いに直交する切断面での曲率半径であり、しかも、その第1と第2の曲率半径R1,R2が、熱強化板ガラスの全面にわたってほぼ同じに設定されており、実験によって透視像の「ゆがみ」が抑制されることが確認され、ディスプレイ装置用保護ガラスとして十分に使用可能となる。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、前記第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であり、7500mm≦(R1およびR2)≦75000mmに設定されているところにある。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成によれば、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であり、7500mm≦(R1およびR2)≦75000mmに設定されているところにある。
つまり、第1と第2の曲率半径R1,R2が、7500mm以上に設定されているので、透視像の「ゆがみ」が許容範囲内に確実に抑制され、かつ、75000mm以下に設定されているので、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生もなく、「ボコボコ変形する」ことが確実に防止される。
【0009】
請求項3の発明の特徴構成は、前記第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であり、7500mm≦R1≦75000mmで、R2=∞に設定されているところにある。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成によれば、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であり、7500mm≦R1≦75000mmで、R2=∞に設定されているので、透視像の「ゆがみ」が許容範囲内に確実に抑制されるとともに、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生も確実に防止される。
【0011】
請求項4の発明の特徴構成は、前記第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、同じ曲率半径であり、7500mm≦R1=R2≦75000mmに設定されているところにある。
【0012】
請求項4の発明の特徴構成によれば、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、同じ曲率半径であり、7500mm≦R1=R2≦75000mmに設定されているので、透視像の「ゆがみ」が許容範囲内に確実に抑制され、かつ、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生も確実に防止される。
【0013】
請求項5の発明の特徴構成は、前記板ガラス2の板厚tが、1.5〜3.5mmに設定されているところにある。
【0014】
請求項5の発明の特徴構成によれば、熱強化板ガラスの板厚が、1.5〜3.5mmに設定されているので、単位面積当たりの重量は比較的軽く、したがって、たとえ大画面のディスプレイ装置用として使用しても、ディスプレイ装置全体の軽量化を図ることができる。
【0015】
請求項6の発明の特徴構成は、図1に例示するごとく、前記板ガラス2の凹面側または/および凸面側の表面が、反射率低減皮膜13で被覆されているところにある。
【0016】
請求項6の発明の特徴構成によれば、熱強化板ガラスの凹面側または/および凸面側の表面が、反射率低減皮膜で被覆されているので、上述した透視像の「ゆがみ」、および、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生防止に加えて、視聴者側からの反射像の低減化も図られ、視聴者にとっては、より一層透視像が明確となる。
【0017】
請求項7の発明の特徴構成は、図1に例示するごとく、前記板ガラス2の凹面側または凸面側の表面が、電磁波遮蔽用の導電皮膜14で被覆されているところにある。
【0018】
請求項7の発明の特徴構成によれば、熱強化板ガラスの凹面側または凸面側の表面が、電磁波遮蔽用の導電皮膜で被覆されているので、上述した作用効果に加えて、ディスプレイ装置から発生する電磁波の遮蔽が可能となり、また、その導電被膜を接地(アース)することによって静電防止も可能となる。
【0019】
なお、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明によるディスプレイ装置用保護ガラスにつき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
この保護ガラスは、図1に示すように、例えば、画像を表示する扁平なディスプレイ装置の一例であるPDP(プラズマディスプレイパネル)1の前面に配置されてPDP1を保護するためのもので、透明な熱強化板ガラス2により構成されて、PDP1を収納するケーシングCの前面に取り付けられている。
熱強化板ガラス2とは、板ガラスを熱処理してガラス表面に強い圧縮応力層をつくり、破壊強さを増加させたガラスのことで、図2に示すように、強化前の板ガラス2aを加熱する加熱炉3、加熱炉3により加熱された後の板ガラス2aを成形する成形装置4、成形装置4により成形された後の板ガラス2aを急冷して強化する強化装置5などからなる一連の装置により製造される。
【0021】
加熱炉3内には、多数の加熱ローラ6が水平に配置されていて、加熱ローラ6により板ガラス2aを搬送しながら、図外のヒータによって板ガラス2aをその軟化点近くにまで加熱するように構成されている。
成形装置4は、加熱炉3により加熱された後の板ガラス2aを一定の搬送方向Xに沿って搬送しながら成形する複数の成形ローラ、つまり、上下で対をなす合計4対の成形ローラ7a〜7dで構成されている。
図5の(イ)〜(ニ)を参照して、最も加熱炉3側に近接する一対目の成形ローラ7aは、直線状のローラ対、換言すると、上下の成形ローラ7a間を通過する板ガラス2aの曲率半径Raが、板ガラス2aの搬送方向Xに沿う方向視において無限大になるローラ対で構成され、二対目の成形ローラ7bは、板ガラス2aの曲率半径Rbが、同方向視において25000mmになる湾曲ローラ対、より具体的には、上方に位置する成形ローラ7bが、その長手方向における中央部ほど徐々に大径となる太鼓状のローラにより、下方に位置する成形ローラ7bが、その長手方向における中央部ほど徐々に小径となる鼓状のローラで構成されている。そして、三対目と四対目の成形ローラ7c,7dも、板ガラス2aの曲率半径Rc,Rdが、同方向視においてそれぞれ12500mmになる湾曲ローラ対で構成されている。
【0022】
強化装置5は、成形装置4により成形された後の板ガラス2aを搬送方向Xに沿って搬送しながら板ガラス2aの形状を保持する複数の急冷ローラ、つまり、上下で対をなす合計6対の急冷ローラ8a〜8fを備えていて、これら各対の急冷ローラ8a〜8fは、図5の(ホ)に示すように、その間を通過する板ガラス2aの曲率半径Reが、板ガラス2aの搬送方向Xに沿う方向視において全て12500mmになる湾曲ローラにより構成されている。
そして、4対の成形ローラ7a〜7dのうち、一対目の成形ローラ7aのみが、加熱ローラ6により水平姿勢で送られてきた板ガラス2aを水平姿勢で保持するように水平に配置され、残りの成形ローラ7b〜7dと急冷ローラ8a〜8fは、図6に示すように、搬送される板ガラス2aが、側面視において曲率半径Rfの円弧上に位置するように配置され、その曲率半径Rfが25000mmに設定されている。
【0023】
急冷ローラ8a〜8fの上下には、図3にも示すように、上方ノズルボックス9と下方ノズルボックス10が配設され、各ノズルボックス9,10内には、図外のファンにより冷却用空気Aが供給されるように構成されている。
上方ノズルボックス9の下面には、多数の上方ノズル11が突設され、同様に、下方のノズルボックス10の上面には、多数の下方ノズル12が突設されていて、上下のノズル11,12から噴出される冷却用空気Aを成形後の板ガラス2aの上下表面に吹き付けて板ガラス2aを急冷するように構成されている。
上下に位置する各ノズル11,12は、例えば、外径6mm、内径3mm、長さ100mm程度の金属製のパイプにより形成され、各ノズルボックス9,10の面からそれぞれ50mm程度突出するように取り付けられて、図4に示すように、平面視において各ノズル11,12間のピッチPが10mm程度になるように各ノズルボックス9,10のほぼ全面にわたって千鳥状に配置されている。
【0024】
上下のノズルボックス9,10は、急冷ローラ8a〜8fによる板ガラス2aの搬送方向Xに対してほぼ直交する交差方向Yに沿って往復移動自在に構成され、両ノズルボックス9,10の往復移動に伴って、上下のノズル11,12が、板ガラス2aの搬送方向Xにほぼ直交する交差方向Yに往復移動するように構成されている。
上下のノズルボックス9,10は、互いに連動して往復移動するのが好ましく、その場合、上下のノズルボックス9,10が、互いに一体化した状態で同じ方向に往復移動するように構成することも、また、上方ノズルボックス9と下方ノズルボックス10とが、互いに逆方向に往復移動するように構成することもできる。
【0025】
つぎに、強化前の板ガラス2aが熱強化されて熱強化板ガラス2となるプロセスについて説明する。
強化前の板ガラス2aとしては、その板厚tが1.5〜3.5mm程度のものが使用され、加熱炉3により軟化点近くにまで加熱されて、加熱ローラ6により搬送されてきた板ガラス2aは、そのまま水平姿勢を維持して一対目の成形ローラ7aにより挟持搬送され、その後、二対目以後の成形ローラ7b〜7dにより挟持搬送される間に徐々に成形される。
つまり、搬送方向Xに沿う方向視においては、その曲率半径が、3対目以後の成形ローラ7c,7dの曲率半径Rc,Rdと同じ12500mmになるように成形され、また、搬送方向Xに直交する方向視においては、その曲率半径が、2対目以後の成形ローラ7b〜7dの配置曲率半径Rfと同じ25000mmになるように成形される。
【0026】
このようにして成形された板ガラス2aは、その成形姿勢を維持したまま、急冷ローラ8a〜8fにより順次挟持されながら、強化装置5内において、例えば、20mm/秒程度の速さで搬送方向Xに連続的に搬送される。
その搬送中において、上方ノズル11と下方ノズル12が、例えば、50mm程度の振幅で、かつ、1サイクルが5秒程度の速さで交差方向Yに往復移動され、上下のノズル11,12から噴出される冷却用空気Aによって板ガラス2aの上下表面が急冷されて熱強化板ガラス2となる。
このように急冷されて製造された熱強化板ガラス2において、その平面の残留応力値を測定したところ、板ガラスの周縁部を除いて、その全面にわたって±1.0MPa以下であった。周縁部では、局部的に±1.0MPaを越える平面残留応力値の存在が認められるが、それは板ガラスの周縁部に限られるため、その熱強化板ガラスをPDP1の前面保護ガラスとして使用する場合、殊更問題となるようなことはない。
【0027】
そして、この熱強化板ガラス2では、図7に示すように、熱強化板ガラス2の面に直交する第1基準面F1、つまり、この実施形態では搬送方向Xに直交し、かつ、熱強化板ガラス2の面に直交する第1基準面F1に沿う切断面での第1曲率半径R1が、熱強化板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ12500mmに設定され、また、熱強化板ガラス2の面に直交し、かつ、第1基準面F1に直交する第2基準面F2、つまり、この実施形態では搬送方向Xに沿って、かつ、熱強化板ガラス2の面に直交する第2基準面F2に沿う切断面での第2曲率半径R2が、熱強化板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ25000mmに設定される。このように第1曲率半径R1が全面にわたって12500mmに設定され、かつ、第2曲率半径R2が全面にわたって25000mmに設定された熱強化板ガラス2においては、その厚みtが1.5〜3.5mmの範囲内であっても、上述したような「オイル缶現象」も「鞍形現象」も発生せず、透視像の「ゆがみ」も許容範囲内に抑制されることが実験により確認された。
そして、図1に示すように、熱強化板ガラス2の凸面側の表面、つまり、視聴者側の表面には、反射率低減皮膜13が被覆されて、反射像の低減化が図られ、凹面側の表面には、電磁波遮蔽用の導電皮膜14が被覆されて、PDP1から発生する電磁波の遮蔽が図られるとともに、その導電被膜14を接地(アース)することにより静電防止を図り得るように構成されている。
【0028】
〔別実施形態〕
つぎに、別の実施形態について説明するが、重複説明を避けるため、先の実施形態で説明した構成部品と同じ構成部品や同じ作用を有する構成部品については、同じ符号を付すことで説明を省略し、主として先の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0029】
(1)先の実施形態では、上下で対をなす合計4対の成形ローラ7a〜7dにより成形装置4を構成した例を示したが、成形装置4については、種々の構成を採用することができ、その一例を示したのが図8である。
この図8に示す別の実施形態では、成形装置4が、板ガラス2aの下方に位置する合計4本の押しつけローラ15a〜15d、および、上方に位置する成形ベルト16と成形部材17などで構成され、成形ベルト16の温度を調節する温度調節装置18も設けられている。
成形ベルト16は、可撓性を有するエンドレスのベルトからなり、駆動ローラ19と複数のテンションローラ20に懸架されるとともに、4本の押しつけローラ15a〜15dに対向配置された成形部材17にも懸架されている。
【0030】
成形部材17の下面は、図9の(イ)〜(ニ)を参照して、加熱炉3側に近接する部分が直線状、つまり、成形ベルト16と押しつけローラ15a間を通過する板ガラス2aの曲率半径Raが、板ガラス2aの搬送方向Xに沿う方向視において無限大になるように構成され、その後、曲率半径が徐々に大きくなって、二番目の押しつけローラ15b部分では、板ガラス2aの曲率半径Rbが25000mmになり、三番目と四番目の押しつけローラ15c,15d部分では、板ガラス2aの曲率半径Rc,Rdが12500mmになるように湾曲状に構成され、それに対応して、二番目から四番目の押しつけローラ15b〜15dも、先の実施形態で説明した鼓状のローラで構成されている。そして、二番目以後の押しつけローラ7b〜7dと急冷ローラ8a〜8fは、先の実施形態と同じように、搬送される板ガラス2aが、側面視において曲率半径Rfの円弧上に位置するように配置され、その曲率半径Rfが25000mmに設定されている。
したがって、この別の実施形態による成形装置4においても、先の実施形態と同様、第1基準面F1に沿う切断面での第1曲率半径R1が、その全面にわたってほぼ同じ12500mmで、第2基準面F2に沿う切断面での第2曲率半径R2が、その熱強化板ガラス2の全面にわたってほぼ同じ25000mmの熱強化板ガラス2を得ることができる。
【0031】
(2)これまでの実施形態では、第1基準面F1に沿う切断面での第1曲率半径R1が12500mmに設定され、第2基準面F2に沿う切断面での第2曲率半径R2が25000mmに設定された熱強化板ガラス2を示したが、この第1と第2の曲率半径R1,R2に関しては、種々の値に設定することができる。
すなわち、各種の実験によって、第1と第2の曲率半径R1,R2が7500mm以上であれば、透視像の「ゆがみ」が許容範囲内に抑制され、7500mm未満であると、透視像が膨らんで「ゆがみ」の生じることが確認された。
また、第1と第2の曲率半径R1,R2が75000mm以下であれば、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生が抑制され、さらに、50000mm以下であれば、剛性も十分で変形はほとんど皆無となり、75000mmを超えると、剛性が不足して「オイル缶現象」や「鞍形現象」が発生する可能性のあることが確認された。
しかしながら、両曲率半径R1,R2の一方、例えば、第1曲率半径R1が75000mm以下であれば、他方の第2曲率半径R2が無限大(∞)であっても、「オイル缶現象」や「鞍形現象」の発生が抑制されることも確認された。
【0032】
したがって、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であって、7500mm≦(R1およびR2)≦75000mmに設定されている熱強化板ガラスや、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、同じ曲率半径であって、7500mm≦R1=R2≦75000mmに設定されている熱強化板ガラスが、「オイル缶現象」または「鞍形現象」と透視像の「ゆがみ」の両面から特に好ましいことが理解できる。
さらに、第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であって、7500mm≦R1≦75000mmで、R2=∞に設定されている熱強化板ガラスであっても、十分に所期の目的を達成し得ることが理解できる。
【0033】
(3)これまでの実施形態では、ディスプレイ装置1の一例としてPDPを示したが、PDP以外のディスプレイ装置に適用することも可能である。
また、熱強化板ガラス2の凸面側の表面に反射率低減皮膜13を被覆した例を示したが、凹面側の表面に反射率低減皮膜13を被覆することも、さらに、凸面側と凹面側との両表面に反射率低減皮膜13を被覆することも可能であり、その反射率低減皮膜13については、ガラスの表面に無機材料の多層膜を形成して被覆することも、多層膜を形成したフィルムを貼着して被覆することもできる。
また、熱強化板ガラス2の凹面側に電磁波遮蔽用の導電皮膜14を被覆した例を示したが、その導電皮膜14を凸面側に被覆して実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスプレイ装置を示す一部切欠き斜視図
【図2】熱強化板ガラスの製造装置の概略を示す断面側面図
【図3】熱強化板ガラスの強化装置の概略を示す断面正面図
【図4】強化装置におけるノズルの配置状態を示す平面図
【図5】成形ローラと急冷ローラを示す正面図
【図6】加熱ローラ、成形ローラ、および、急冷ローラを示す側面図
【図7】熱強化板ガラスを示す斜視図
【図8】別の実施形態による成形装置の概略を示す断面側面図
【図9】別の実施形態による成形部材と押しつけローラを示す正面図
【図10】熱強化板ガラスの「オイル缶現象」を示す斜視図
【図11】熱強化板ガラスの「鞍形現象」を示す斜視図
【符号の説明】
1 ディスプレイ装置
2 熱強化板ガラス
13 反射率低減皮膜
14 電磁波遮蔽用の導電皮膜
F1 第1基準面
F2 第2基準面
R1 第1曲率半径
R2 第2曲率半径
t 熱強化板ガラスの板厚
Claims (7)
- 扁平なディスプレイ装置の前面に配置される熱強化板ガラスからなるディスプレイ装置用保護ガラスであって、
前記板ガラスの面に直交する第1基準面に沿う切断面での曲率半径が、前記板ガラスの全面にわたってほぼ同じ第1曲率半径R1に設定され、前記板ガラスの面に直交し、かつ、前記第1基準面に直交する第2基準面に沿う切断面での曲率半径が、前記板ガラスの全面にわたってほぼ同じ第2曲率半径R2に設定されているディスプレイ装置用保護ガラス。 - 前記第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であり、7500mm≦(R1およびR2)≦75000mmに設定されている請求項1に記載のディスプレイ装置用保護ガラス。
- 前記第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、異なる曲率半径であり、7500mm≦R1≦75000mmで、R2=∞に設定されている請求項1に記載のディスプレイ装置用保護ガラス。
- 前記第1曲率半径R1と第2曲率半径R2とが、同じ曲率半径であり、7500mm≦R1=R2≦75000mmに設定されている請求項1に記載のディスプレイ装置用保護ガラス。
- 前記板ガラスの板厚が、1.5〜3.5mmに設定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスプレイ装置用保護ガラス。
- 前記板ガラスの凹面側または/および凸面側の表面が、反射率低減皮膜で被覆されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスプレイ装置用保護ガラス。
- 前記板ガラスの凹面側または凸面側の表面が、電磁波遮蔽用の導電皮膜で被覆されている請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスプレイ装置用保護ガラス。
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