JP2004017976A - 粉体充填方法並びに粉体充填装置 - Google Patents

粉体充填方法並びに粉体充填装置 Download PDF

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Abstract

【課題】小粒径で、かつ低温定着が可能なトナーなど粉体の容器への充填時の歩留まりの向上並びに充填効率を向上(タクトアップ)する方法を提供すること。
【解決手段】上部円筒形下部円錐形の形状を有する充填ノズルを用いて粉体を容器に充填する方法において、少なくとも前記充填ノズルの粉体と接触する部分の表面粗さが、JIS B0601−1994に基づく測定方法により下記測定結果を満たすものにする。
Ra(算術平均粗さ)≦2.0μm
Rz(十点平均粗さ)≦10.0μm
Ry(最大高さ)≦10.0μm
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真画像形成装置に使用されるトナーなど粉体の充填方法並びに充填装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像品質を向上させるために、トナーが小粒径化する中で、トナーの固化が起きやすくなってきており、歩留まりを向上させる方法が要望されている。また高速での画像出力には低温定着トナーが用いられているが、低温定着トナーを容器に充填するには、充填時に力を掛けないようにすることが望まれ、タクトアップ、すなわち充填効率の向上が問題となっている。
【0003】
従来の大粒径トナーでは、トナーがスムースに落下しないため歩留まりが悪かった。トナーの落下がスムースにいかないのは、まず粉体が搬送される部分の接粉部の表面が粗いと粉体が接粉面に付着しやすくなることである。さらにその付着した粉体に次に搬送した粉体が付着・堆積していき、充填中以外で、はがれ落ち(ボタ落ち)、歩留りが悪化する。
【0004】
また充填ノズルの排出口が容器の投入口に比べて狭くなっていると、従来の粉体充填技術と同様、粉塵が発生し、容器が汚れ、歩留まりが悪くなってしまう。さらに狭すぎると投入口部で粉体が閉塞してしまい、充填できなくなってしまう。
【0005】
一方充填ノズルの排出口の大きさを容器の投入口と同じにした場合は、容器へ粉体を充填した時、容器内の置換空気が粉塵空気となって充填ノズル側へと上昇し、この粉塵空気が粉体供給装置であるオーガーから切り出された粉体とで干渉しあい、容器内へ充填される粉体の充填速度が遅くなり、充填時間を長くする必要があるため、生産性が悪くなってしまう。
【0006】
タクトアップには、容器内から充填ノズルへと上昇する粉塵空気とオーガーから切り出される粉体との干渉を改善するために、充填ノズルと容器が接触している部分に吸引管を用いてこの粉塵空気を吸引し、充填時間の短縮を図ることが考えられる。しかしながら、これだと粉体の充填部と上昇した粉塵空気の近くであるため余計な粉塵を吸引してしまい、歩留まりが悪化してしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、小粒径で、かつ低温定着が可能なトナーなど粉体の容器への充填時の歩留まりの向上並びに充填効率を向上(タクトアップ)する装置並びに方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に関し粉体を充填する加工点において、粉体が接触する部分の表面粗さ、充填ノズル口の面積及び排出角度、置換空気の吸引口大きさ、取付け角度及び高さに着目して検討したところ、充填ノズルの各部の形状や大きさ等を適宜規定することにより容器の外側に発生する粉塵を防止し、充填歩留りを向上させ、生産性の良い粉体充填を行なうことができることを知り本発明に至った。
【0009】
すなわち本発明によれば、
第一に、請求項1では、上部円筒形下部円錐形の形状を有する充填ノズルを用いて粉体を上部口から投入し下部口から容器に充填する粉体充填方法において、少なくとも前記充填ノズルの粉体と接触する部分の表面粗さが、JIS B0601−1994に基づく測定方法により下記測定結果を満たすものであることを特徴とする粉体充填方法が提供される。
Ra(算術平均粗さ)≦2.0μm
Rz(十点平均粗さ)≦10.0μm
Ry(最大高さ)≦10.0μm
【0010】
第二に、請求項2では、上記請求項1記載の粉体充填方法において、充填ノズルの粉体投入口の面積(SH)に対する粉体充填口の面積(Sh)の比が、Sh/SH≧0.05であることを特徴とする粉体充填方法が提供される。
【0011】
第三に、請求項3では、上記請求項1または2記載の粉体充填方法において、充填ノズルの粉体排出角度θNがθN≦90°で、粉体が接触する部分に突起物がないことを特徴とする粉体充填方法が提供される。
【0012】
第四に、請求項4では、上記請求項1乃至3のいずれか1項記載の粉体充填方法において、前記充填ノズルが内側は粉体供給通路、外側には粉塵空気吸引通路を有する二重構造であって、粉塵空気吸引口の径(DH:下部口外径の1/2)に対する粉体充填口の径(Dh:下部口内径の1/2)の比が、Dh/DH≧0.5であることを特徴とする粉体充填方法が提供される。
【0013】
第五に、請求項5では、上記請求項4記載の粉体充填方法において、前記充填ノズルが粉塵空気吸引通路に粉塵空気吸引管を取り付けてあり、該粉塵空気吸引管の取付け角度θSが0°≦θS≦90°で、かつ該吸引管の取付け高さ(Hs)が充填ノズルの高さ(HS)に対してHs/HS≧0.1の構成にあることを特徴とする粉体充填方法が提供される。
【0014】
第六に、請求項6では、上記請求項4または5記載の粉体充填方法において、充填ノズルの粉塵空気の吸引圧力PSが0 Pa≦PS≦1000 Pa の範囲で可変できることを特徴とする粉体充填方法が提供される。
【0015】
第七に、請求項7では、上記請求項1乃至6のいずれか1項記載の粉体充填方法で規定された充填ノズルを少なくとも具備することを特徴とする粉体充填装置が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明では、まず充填ノズルの粉体と接触する部分の表面粗さを一定の条件(Ra(算術平均粗さ)≦2.0μm、Rz(十点平均粗さ)≦10.0μm、Ry(最大高さ)≦10.0μm)にした。このようにすることで、充填ノズル内で粉体の落下がスムースに行われ、歩留まりの向上に最適となる。上記条件外であると充填ノズル内での粉体の落下がスムースにいかず歩留まりが上がらない。表面粗さの好ましい範囲は次の通りである。
Raの好ましい範囲:0.05μm<Ra≦1.0μm、
更に好ましい範囲:0.1μm≦Ra≦0.3μm、
Rzの好ましい範囲:0.1μm<Rz≦3.0μm、
更に好ましい範囲:0.8μm≦Rz≦1.2μm、
Ryの好ましい範囲:0.2μm<Ry≦4.0μm、
更に好ましい範囲:1.0μm≦Ry≦2.0μm。)
【0017】
表面粗さの測定方法は、検出器の触針が測定物表面の微細な凹凸をなぞり、その際の触針の上下方向の変位量及び横方向の移動量から表面粗さを求めれば良く、本発明では、株式会社ミツトヨ製 SJ−301 サーフテストを使用した。
【0018】
研磨方法としては、一般的に、粗さ30μm程度にするには、酸洗処理法があり、さらに、3μm程度にする方法としては、機械研磨、ペーパー仕上げ法等がある。本発明に対応するものとして、0.2μm程度にする方法は、バフ研磨法、超仕上げ法、ラップ仕上げ法、電解研磨(浸漬電解研磨法:EP)、電解複合研磨法等がある。
【0019】
図1に基づき、本発明が着目した点について説明する。
充填ノズル1の粉体を投入する側1aは、円筒状になっており、容器の口サイズに合わせるため、充填する側1bは、円錐状になっている。
【0020】
面積比(Sh/SH)
充填ノズル1の粉体投入口2の面積(SH)と粉体充填口3の面積(Sh)の面積比が一定条件(Sh/SH≧0.05)であると粉体の落下がスムースに行われ、歩留まり向上に最適となる上、タクト(生産性)の点で良い効果が得られる。面積比の好ましい範囲は、0.06≦Sh/SH≦0.20、更に好ましい範囲は、0.08≦Sh/SH≦0.12である。
【0021】
排出角度(θN)
充填ノズル1の排出角度θNが一定(θN≦90°)であることで粉体の落下がスムースに行われ、歩留まり向上に最適となる上、タクトの点で良い効果が得られる。θNの好ましい範囲は、10°<θN≦45°、更に好ましい範囲は、15°≦θN≦30°である。
【0022】
充填空気吸引口比(Dh/DH)
また、この充填ノズルの内側は、粉体を容器へと供給する通路5、外側部分は、粉塵を含んだ空気を吸引する通路6の二重構造(二重管)とすることで充填効率の向上が図れる。充填空気吸引口比、すなわち充填ノズルの粉塵空気吸引口4の径(DH:下部口外径の1/2)と粉体充填口3の径(Dh:下部口内径の1/2)の比が一定(Dh/DH≧0.5)であると、歩留まりの向上並びに充填効率の向上の両立を果たせる。Dh/DHの好ましい範囲は、0.75≧Dh/DH≧0.50、更に好ましい範囲は、0.65≧Dh/DH≧0.60である。
【0023】
吸引管の取り付け角度(θS)、高さ比(Hs/HS)
そして充填ノズルの外側部分に、吸引管7が付属することで、粉塵空気を吸引する。この吸引管7の取付け角度θSが一定(0°≦θS≦90°)で、かつ、吸引管7の取付け高さ(Hs)が充填ノズル高さ(HS)に対して一定(Hs/HS≧0.1)であると充填効率が一層向上する。θS及びHs/HSの好ましい範囲は、15°≦θS≦90°、Hs/HS≧0.2、更に好ましい範囲は、30°≦θS≦90°、Hs/HS≧0.4である。
【0024】
吸引圧力(PS)
上記吸引管7は、吸引圧力を可変できる構造になっており、吸引圧力が一定の範囲(0 Pa≦PS≦1000 Pa)であると、歩留まりの向上並びに充填効率の向上の両立を果たせる。Paの好ましい範囲は、10 Pa≦PS≦500 Pa、更に好ましい範囲は、80 Pa≦PS≦120 Paである。
これらは、従来のオーガー式のみならず用いないものにも有効である。
【0025】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部はすべて重量部を表す。
【0026】
実施例1〜17
各充填条件を変えて17例を作成し実施例1〜17とした。それら充填条件を表1に示した。この場合、表面粗さは、Raにて代表させた。評価は、粉体として、電子写真用非磁性一成分トナーで、従来の粒径8.0μmのもの(トナーA)と、6.8μmのもの(トナーB)、2種を用い、容量1585ccのボトルに550gのトナーを充填したときの歩留まり並びにタクトについて行なった。評価結果を表2に示す。
【0027】
【表1】
Figure 2004017976
備考
1.表面粗さの下限は、小さければ小さい程良いが、研磨法のコストとその効果を考えた場合には、0.2が下限値であり、なおかつ最良値である。
2.排出角度は、角度が少なければ少ないほど条件は良いが、切出し部(オーガー、ファンネル等)と容器の距離が長くなってしまうことを考えた場合には、18°が下限値であり、なおかつ最良値である。
3.吸引取付け角度は、角度が多ければ多いほど条件は良いが、充填ノズルを昇降する際、吸引管が他部位に当たることを考えた場合には、45°が上限値であり、なおかつ最良値ある。
【0028】
【表2】
Figure 2004017976
【0029】
上表から実施例の充填条件によれば次のような効果が得られることが明らかである。
・表面粗さ:実施例1、2、3を対比すると表面が平滑であれば歩留まりが向上することがわかる。
・排出角度:実施例6、7、8を対比すると、排出角度が一定の範囲であればタクト数が上がることがわかる。
・吸引口比:実施例9、10、11を対比すると、吸引口比が一定の範囲であればタクト数が上がることがわかる。
・高さ比:実施例12、13、14を対比すると、高さ比が一定の範囲であればタクト数が上がることがわかる。
・吸引圧力比:実施例15、16、17を対比すると吸引圧力比が一定の範囲であればタクト数が上がることがわかる。
【0030】
上記実施例の評価結果に対して次のような条件での評価も行った。
・表面粗さ(Ra):3.0μm(粗すぎる場合)
・面積比:0.5(大きい場合)0.01(小さい場合)
・排出角度:60°(大きい場合)
・吸引口比:0.4(外れた場合)
・取付け角度:10°(小さい場合)
・高さ比:0.05(小さい場合)
・吸引圧力:2000Pa(大きい場合)
その結果、表面粗さの条件が請求項1の条件を満たさない場合には、歩留りが悪化し、タクトが長くなり生産性も悪化することがわかった。また、請求項2〜6の条件から外れても、請求項1の条件を満たす限りは、歩留りの向上が確認された。さらに、請求項2〜6の条件を満たす場合には、タクトの点でよりさらに良い効果が得られることが裏付けられた。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の粉体充填方法によれば、少なくとも充填ノズルの粉体と接触する部分の表面粗さを規定したことから、充填ノズル内での粉体の落下がスムースに行なわれ、粉体の充填歩留まりが明らかに向上する。
【0032】
請求項2の粉体充填方法によれば、充填ノズルの粉体投入口と粉体充填口の面積比を規定したことから、さらに歩留まりを向上させることができる。
【0033】
請求項3の粉体充填方法によれば、充填ノズルの粉体排出角度を規定したことから、さらに歩留まりを向上させることができる。
【0034】
請求項4の粉体充填方法によれば、充填ノズルの粉塵空気吸引口の径を規定したことから、歩留まりの向上のみでなく充填効率も向上させることができる。
【0035】
請求項5の粉体充填方法によれば、充填ノズルの粉塵空気吸引管の取付け角度と該吸引管の取付け高さを規定したことから、さらに充填効率を向上させることができる。
【0036】
請求項6の粉体充填方法によれば、充填ノズルの粉塵空気の吸引圧力を規定したことから、歩留まりの向上のみでなく充填効率も向上させることができる。
【0037】
請求項7の粉体充填装置によれば、上記粉体充填方法で規定する充填ノズルを備えたことから歩留まり並びに充填効率を向上させた粉体充填装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】充填ノズルの構成を説明するための斜視図。
【図2】充填時の状況を説明するための概略図。
【符号の説明】
1 充填ノズル
2 粉体投入口
3 粉体充填口
4 粉塵空気吸引口
5 粉体供給通路
6 粉塵空気吸引通路
7 吸引管
SH:粉体投入口の面積
Sh:粉体充填口の面積
Hs:ノズルの下部よりノズルの上部までの高さ
Hs:ノズルの下部より吸引部までの高さ
DH:ノズル下部口外径の1/2
Dh:ノズル下部口内径の1/2
θN:ノズルの排出角度
θS:吸引部の取り付け角度
Ps:吸引圧力

Claims (7)

  1. 上部円筒形下部円錐形の形状を有する充填ノズルを用いて粉体を上部口から投入し下部口から容器に充填する粉体充填方法において、少なくとも前記充填ノズルの粉体と接触する部分の表面粗さが、JIS B0601−1994に基づく測定方法により下記測定結果を満たすものであることを特徴とする粉体充填方法。
    Ra(算術平均粗さ)≦2.0μm
    Rz(十点平均粗さ)≦10.0μm
    Ry(最大高さ)≦10.0μm
  2. 請求項1記載の粉体充填方法において、充填ノズルの粉体投入口の面積(SH)に対する粉体充填口の面積(Sh)の比が、Sh/SH≧0.05であることを特徴とする粉体充填方法。
  3. 請求項1または2記載の粉体充填方法において、充填ノズルの粉体排出角度θNがθN≦90°であることを特徴とする粉体充填方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項記載の粉体充填方法において、前記充填ノズルが内側は粉体供給通路、外側には粉塵空気吸引通路を有する二重構造であって、粉塵空気吸引口の径(DH:下部口外径の1/2)に対する粉体充填口の径(Dh:下部口内径の1/2)の比が、Dh/DH≧0.5であることを特徴とする粉体充填方法。
  5. 請求項4記載の粉体充填方法において、前記充填ノズルが粉塵空気吸引通路に粉塵空気吸引管を取り付けてあり、該粉塵空気吸引管の取付け角度θSが0°≦θS≦90°で、かつ該吸引管の取付け高さ(Hs)が充填ノズルの高さ(HS)に対してHs/HS≧0.1の構成にあることを特徴とする粉体充填方法。
  6. 請求項4または5記載の粉体充填方法において、充填ノズルの粉塵空気の吸引圧力PSが0 Pa≦PS≦1000 Pa の範囲で可変できることを特徴とする粉体充填方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の粉体充填方法で規定された充填ノズルを少なくとも具備することを特徴とする粉体充填装置。
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