JP2004017811A - 自動車の操舵比可変式ステアリング装置、及びそのギヤ比設定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車の操舵力伝達系路に伝達比可変機構10を設けて、ステアリング1の操舵角θHに対する車輪6の操舵比Rを変更するようにした加減算方式のVGR装置Aにおいて、車速Vの変化に対し適切な操舵ゲインを得ながら、位相遅れの少ない正確な操舵フィーリングを得る。
【解決手段】ステアリング1から車輪6までの操舵力伝達系路の機械的な構成によって決まるベースの操舵比R0を車庫入れ等の低速状態に適した非常にクイックな特性となるようにできるだけ大きな値とする。伝達比可変機構10の遊星ギヤ機構16においてサンギヤ17に入力し、リングギヤ18から出力するとともに、プラネタリキャリア20をVGRモータ22により回転させて出力回転を入力回転に対し加算或いは減算する。設定車速V0以上の広い車速域においてVGRモータ22を減算の側に駆動して、操舵比Rを車速Vに応じて制御するとともに、操舵の位相遅れを減少させる。
【選択図】 図5
【解決手段】ステアリング1から車輪6までの操舵力伝達系路の機械的な構成によって決まるベースの操舵比R0を車庫入れ等の低速状態に適した非常にクイックな特性となるようにできるだけ大きな値とする。伝達比可変機構10の遊星ギヤ機構16においてサンギヤ17に入力し、リングギヤ18から出力するとともに、プラネタリキャリア20をVGRモータ22により回転させて出力回転を入力回転に対し加算或いは減算する。設定車速V0以上の広い車速域においてVGRモータ22を減算の側に駆動して、操舵比Rを車速Vに応じて制御するとともに、操舵の位相遅れを減少させる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のハンドル舵角に対する車輪舵角の比(操舵比)を変更可能とした操舵比可変式のステアリング装置と、そのようなステアリング装置におけるギヤ比の設定方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の操舵比可変式のステアリング装置(Variable Gear−Ratio Steering:以下、VGR装置ともいう)として、例えば特公平6−74053号公報に開示されるように、操舵力の伝達系路に遊星ギヤ機構(差動ギヤ機構)を設けて、そこでの回転の伝達比を可変とすることで、ステアリングホイール(操舵ハンドル)の操舵に対する車輪の操舵比を変更するようにしたものが知られている。このものでは、遊星ギヤ機構の3つのギヤ要素のうち、例えばサンギヤを入力側とし、リングギヤを出力側とするとともに、プラネタリキャリアを電動モータ(アクチュエータ)により回転させることで、サンギヤに入力する回転量に加算又は減算してリングギヤに出力するようにして、回転の伝達比を変更するようにしている(以下、このような方式を加減算方式という)。
【0003】
そのような従来のVGR装置では、一般的に、自動車の車速に応じて遊星ギヤ機構による回転伝達比を変更し、高速側では操舵比(減速比)を小さくして比較的ゲインの低いスローな操舵特性とする一方、低速側では操舵比を大きくして、比較的ゲインの高いクイックな操舵特性とするようにしている。これは、安定性の重視される高速走行時には自動車の挙動変化を抑えるために、ステアリングホイールの操舵に対して車輪舵角の変化を小さめにするのが望ましく、一方、低速走行時には小回りが利くことが求められるので、操舵比は大きい方がよいからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車のステアリングホイールから車輪まで操舵力が伝達する際には若干の遅れが生じ、さらに、車輪が動き出してから車体にヨーレイト等が発生するまでにも若干の遅れがある。このような操舵応答の位相遅れが大きいと、ドライバーは自動車の進路や姿勢変化を正確に予測することが難しくなり、結果としてステアリングホイールを切り過ぎたり、さらには余計な修正操舵が必要になったりする。
【0005】
すなわち、操舵応答の遅れはフィーリングを悪化させるばかりか、ドライバーの心理的、肉体的負担を増大させて疲労の原因にもなるのであるが、これに対し、例えば操舵力の伝達遅れを減らすために操舵系の剛性をさらに高めるとすると、路面からの反力や振動伝達が大きくなってしまうから、実用的ではない。また、単純に操舵比を大きくしてゲインを高めても、このことで操舵の位相遅れを減らすことはできない。
【0006】
この点について、本願の発明者は、操舵力の伝達系路に介在させた差動ギヤ機構によって回転伝達比を変化させるようにした上述の加減算方式のVGR装置において、入力回転を減算する場合には見かけ上、操舵の位相遅れが減少することを見出して、本願発明を完成するに至った。すなわち、本願発明の目的は、従来までのVGR装置と同様に自動車の車速に応じて操舵比を変更することによって適切な操舵ゲイン特性を得ながら、同時に位相遅れの少ない正確な操舵フィーリングを得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願発明では、差動ギヤ機構を用いた加減算方式の操舵比可変式ステアリング装置において、その機械的な構成によって決まるベースの操舵比をできるだけ大きな値に設定し、その上で、アクチュエータの作動によって入力回転に対する出力回転を減算することにより、適度にスローな操舵特性となるように制御するようにした。
【0008】
具体的に、請求項1の発明では、自動車の操舵ハンドルから車輪までの操舵力の伝達系路に差動ギヤ機構を介在させ、該差動ギヤ機構の所定のギヤ要素をアクチュエータにより駆動して入力回転に対する出力回転の伝達比を変更することにより、ハンドル操舵角に対する車輪舵角の比である操舵比を変更可能とした操舵比可変式のステアリング装置を前提とする。そして、前記差動ギヤ機構の前記ギヤ要素が固定された場合のベースの操舵比を、該差動ギヤ機構を備えない操舵比固定式のものよりも大きな値に設定するとともに、前記操舵ハンドルの操作に対応して前記差動ギヤ機構の出力回転が減算される向きにアクチュエータを作動させるコントローラを備える構成とする。
【0009】
前記の構成により、自動車の走行中にドライバーによりハンドル操舵がなされて車輪の向きが変化するときには、その操舵力の伝達系路において差動ギヤ機構の所定のギヤ要素がアクチュエータにより減算の向きに駆動され、これにより該差動ギヤ機構の入力回転に対する出力回転の伝達比(減速比)が小さくなって、操舵比が減少する。この際、アクチュエータの作動には位相遅れがあるから、ハンドル操舵の開始からやや遅れて操舵比が減少することになり、操舵開始の瞬間は相対的に大きな(クイックな)べースの操舵比にて車輪の向きが変化することになる。このことで、見かけ上、操舵応答の位相遅れが減少するものである。
【0010】
従って、予め機械的に定まるベースの操舵比をできるだけ大きな値に設定しておいて、その上で、自動車の走行中にハンドル操舵がなされたときに前記アクチュエータの減算作動によって操舵比を適度な値に制御するようにすれば、広い速度領域に亘って適切な操舵ゲイン特性を得ながら、同時に、位相遅れの少ない正確な操舵フィーリングを得ることができる。
【0011】
例えば、前記ステアリング装置のベースの操舵比を車庫入れ等の極低速状態に適する所定値(例えば略1/10〜略1/9くらい)に設定し、操舵比固定式のステアリング装置と比べれば段違いに大きな操舵比として、その上で、前記コントローラとしては、車速に拘わらず常に、或いは所定の低速域を除いて、差動ギヤ機構の出力回転が減算される向きにアクチュエータを作動させるものとするのが好ましい。そのように低速域を除いてアクチュエータを作動させるようにする場合、その低速域ではアクチュエータを停止させて、エネルギロスを低減するようにしてもよいし、低速域では差動ギヤ機構において出力回転が加算される向きにアクチュエータを作動させて、さらにクイックな操舵特性とすることもできる。
【0012】
また、前記コントローラとしては、車速が高いほど差動ギヤ機構の出力回転の減算度合いが大きくなるようにアクチュエータを制御するものとするのが好ましい(請求項2の発明)。こうすれば、車速が高くなるほど操舵比が小さくなって、ゲインの低いスローな操舵特性になるから、高速域における自動車の挙動変化が穏やかになり安心感の高いものとなる。
【0013】
言い換えると、本願発明は、自動車の操舵ハンドルから車輪まで操舵力を機械的に伝達するステアリング装置のギヤ比の設定方法であって、具体的には、そのステアリング装置として、操舵力の伝達系路に介在させた差動ギヤ機構の所定のギヤ要素をアクチュエータにより駆動して入力回転に対する出力回転の伝達比を変更することにより、ハンドル操舵角に対する車輪舵角の比である操舵比を変更可能とし、さらに、前記操舵ハンドルの操作に対応して前記差動ギヤ機構の出力回転が減算される向きにアクチュエータを作動させるコントローラを備えた操舵比可変式の仕様と、前記差動ギヤ機構を備えない操舵比固定式の仕様とをそれぞれ設定する。そして、その場合に、前記操舵比可変式のものにおいて差動ギヤ機構の前記ギヤ要素を固定したときのベースの操舵比が前記操舵比固定式のものと比べて大きな値になるように、操舵ハンドルから車輪までの機械的なギヤ比を設定する(請求項3の発明)。
【0014】
そのようにギヤ比を設定した操舵比可変式のステアリング装置によれば、自動車の走行中に操舵ハンドルの操作がなされると、コントローラによりアクチュエータの作動が制御されて、操舵力伝達系路に介在された差動ギヤ機構において所定のギヤ要素が該差動ギヤ機構の出力回転を減算する向きに駆動され、かくして前記請求項1の発明と同様の作用効果が得られるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る自動車の操舵比可変式ステアリング装置(VGR装置)Aをラックアンドピニオン式のステアリング装置に適用した実施形態を示す。同図において符号1は操舵ハンドルとしてのステアリングホイール(以下、単にステアリングという)であり、このステアリング1の回転運動は、ステアリングシャフト2と中間シャフト3とによってステアリングギヤボックス4に伝達され、ここで車幅方向の並進運動に変換された後に、左右両側のタイロッド5,5を介して車輪6(車体右側のもののみを図示する)に伝達される。詳しくは、前記ステアリングギヤボックス4は全体として車幅方向に長く、その内部には、図示しないが車幅方向に延びるラックシャフトとこれに噛み合うピニオンとが配設されていて、そのピニオンの上端部が前記中間シャフト3の下端部に連結され、一方、ラックシャフトの両端部はそれぞれタイロッド5,5の車体内方の端部に連結されている。
【0017】
また、前記ステアリングギヤボックス4には、減速ギヤを介してピニオン側にトルクを付与する電動のパワーステアリングモータ7(以下、P/Sモータと略称する)と、該減速ギヤと中間シャフト3との間でステアリング1の操舵トルクを検出するトルクセンサ28(図4参照)と、P/Sモータ7の回転角を検出する回転角センサ30(同図参照)とが設けられている。このP/Sモータ7と各センサ28,30とはそれぞれ電力回路8を介してコントローラ9に接続されており、このコントローラ9からの制御信号に応じてP/Sモータ7のトルクが制御され、これによりステアリング1から車輪6へ伝達される操舵力に適度のアシスト力が付与されるようになっている。
【0018】
前記ステアリングシャフト2の下端側、即ちステアリング1から車輪6までの操舵力伝達系路の途中には、ステアリング1の操舵角θH(以下、ハンドル舵角ともいう)に対する車輪舵角θfの比、即ち操舵比R(R=θf/θH)を変更可能な伝達比可変機構10が設けられている。この伝達比可変機構10は、図2、3に模式的に示すように、ハウジング11内に臨むステアリングシャフト2の下端部にギヤ12,13により駆動連結された入力軸14と、この入力軸14と同一軸線上に対向して配置された出力軸15と、それらの間に配設された遊星ギヤ機構16(差動ギヤ機構)とからなる。
【0019】
前記出力軸15は、図1に示すように下端部が伝達比可変機構10のハウジング11の外側に突出していて、自在継手等により中間シャフト3の上端部に連結されている。また、遊星ギヤ機構16は、前記入力軸14に回転一体に固定されたサンギヤ17と、前記出力軸15に回転一体に固定されたリングギヤ18と、これらのサンギヤ17及びリングギヤ18の間に該両ギヤ17,18とそれぞれ噛み合うように配設された複数個(図例では3個)のプラネタリギヤ19,19,19とからなり、該プラネタリギヤ19,19,…は、前記入力軸14上に回転自在に外嵌合されたプラネタリキャリア20に対してそれぞれ軸19aを介して担持されている。
【0020】
また、前記プラネタリキャリア20の外周にはウォームホイール21が形成され、このウォームホイール21には、アクチュエータとしてのステッピングモータ22(以下、VGRモータと略称する)の出力軸に固定されたウォーム23が噛み合わされている。そして、VGRモータ22が回転するとウォーム23及びウォームホイール21を介してプラネタリキャリア20が入力軸16の周りに回転し、そのキャリア20に担持されたプラネタリギヤ19,19,…がサンギヤ17及びリングギヤ18の間で転動することによって、入力側のサンギヤ17から出力側のリングギヤ18へ伝達される回転量が加算又は減算されるようになっている。
【0021】
つまり、前記遊星ギヤ機構16においては、プラネタリキャリア20が、サンギヤ17からリングギヤ18へ伝達される回転量を変更するギヤ要素とされており、このキャリア20の回転角がVGRモータ22により変更されることで、ステアリングシャフト2から入力軸14,サンギヤ17、リングギヤ18及び出力軸15を介して中間シャフト3に伝達される回転量が加算又は減算されて、ハンドル舵角θHに対する車輪舵角θfの操舵比Rが連続的に変化することになる。
【0022】
さらに、前記VGRモータ22には、その回転角を検出するセンサが内蔵されていて、電力回路25を介してコントローラ9に接続されており、このコントローラ9からの制御信号に応じてVGRモータ22が制御されるようになっている。すなわち、図4に模式的に示すように、コントローラ9には、自動車の車速Vを検出する車速センサ26からの出力信号と、ステアリング1の操舵角(ハンドル舵角θH)を検出する舵角センサ27からの出力信号と、トルクセンサ28からの出力信号と、VGRモータ22の回転角センサ29からの出力信号と、P/Sモータ7の回転角センサ30からの出力信号とがそれぞれ入力され、一方、コントローラ9からはP/Sモータ7及びVGRモータ22にそれぞれ制御信号が出力される。
【0023】
前記コントローラ9は、周知の如くCPUやメモリを有するものであるが、機能的には、自動車の車速Vとハンドル舵角θHとに対応するように予め設定した操舵比Rの制御特性を記憶する特性記憶部9aと、前記車速センサ26、舵角センサ27及び回転角センサ30からの信号に基づき、前記特性記憶部9aに記憶されている特性マップ(図5参照)を参照して、現在の車速V及びハンドル舵角θHに対応する目標操舵比R*を演算する目標操舵比演算部9bと、この目標操舵比R*に対応するVGRモータ22の制御量(回転角)θmを演算する目標制御量演算部9cと、モータ回転角センサ29による検出値が前記目標制御量θmに一致するようにVGRモータ22を駆動するモータ駆動部9dとを備えている。
【0024】
前記特性マップは、図5に一例を示すように、車速Vの変化に対応する操舵比Rの変更係数k1を設定した車速対応マップMと、同様にハンドル舵角θHに対応する操舵比の変更係数k2を設定した舵角対応マップ(図示せず)とからなり、前記目標操舵比演算部9bにおいては現在の車速V及びハンドル舵角θHに基づいて各マップからそれぞれ変更係数k1,k2を読み込み、これらを操舵比のベース値R0に乗算して、目標操舵比R*を演算する。これにより、車速V及びハンドル舵角θHの変化に対していつでも適切な操舵比Rとすることができる。
【0025】
R* = k1×k2×R0
具体的に、前記車速対応マップMによれば、車速Vに対応する操舵比Rの変更係数k1は、車速Vのごく低いときを除いて1よりも小さな値とされており、このことで、ステアリング1の操作に対する車輪6の操舵比が低中速から高速までの広い車速領域においてベースの値R0よりも小さくなる。すなわち、本発明の特徴部分であるが、この実施形態のステアリング装置Aでは、ステアリング1から車輪6までの操舵力伝達系路の機械的な構成によって決まるベースの操舵比R0を非常に大きな値としておいて、その上で、操舵力伝達系路に介在させた遊星ギヤ機構16においてVGRモータ22の減算作動により回転伝達比を低下させることで、車速Vに対応する適切な操舵特性を得るようにしている。
【0026】
より詳しくは、車速Vが設定車速V0(例えば時速30〜60kmくらいに設定すればよい)よりも高いときには、その車速Vの上昇に応じて変更係数k1が減少し、高速側ほどゲインの低いスローな操舵特性になる。この際、車速Vの上昇に対する変更係数k1の減少の度合いは徐々に小さくなっていて、中速域から高速域に亘って操舵比Rはベース値R0よりも十分に小さな値になる。従って、ベースの操舵比R0を非常に大きな値に設定していても、中速域から高速域に亘る自動車の操舵特性は比較的ゲインの小さいスローなものとなり、ステアリング1の操舵に対する自動車の挙動変化が穏やかなものとなって、高い安心感が得られる。
【0027】
また、前記設定車速V0のときには変更係数k1は1であり、VGRモータ22が停止してプラネタリキャリア20の回転が拘束される。これにより遊星ギヤ機構16における回転伝達比は、サンギヤ17及びリングギヤ18のギヤ比によって決まる一定の値になるから、操舵比Rはベース値R0に維持される。さらに、設定車速V0よりも低いときの変更係数k1は1よりも大きな値であり、VGRモータ22によりプラネタリキャリア20が遊星ギヤ機構16の出力回転を加算する向きに回転されて、操舵比Rがベース値R0よりも大きくなる。このように操舵比Rがベース値R0と同じかそれよりも大きくなることで、自動車の操舵特性は非常にゲインの高いクイックなものとなり、車庫入れ等の低速状態での小回り性が非常に優れたものとなる。
【0028】
そして、上述したように操舵力伝達系路の遊星ギヤ機構16に入力する操舵回転量をモータにより減算することで、ステアリング1の操舵に対する車輪6の転舵の位相遅れを低減することができる。すなわち、遊星ギヤ機構16において伝達する回転量をVGRモータ22によるプラネタリキャリア22の駆動によって減算する場合、そのVGRモータ22の作動の位相遅れは、ステアリング1の操舵開始から遅れて操舵比Rが減少することを意味し、少なくとも操舵開始の瞬間は非常にクイックなべースの操舵比Rにて車輪6の向きが変化することになるから、見かけ上、操舵の位相遅れが減少することになるのである。
【0029】
より具体的に、ステアリング1に所定の操舵入力を加えたときに伝達比可変機構10の遊星ギヤ機構16へ入力する回転角(ギヤ入力角)と、VGRモータ22の作動によるプラネタリキャリア20の回転角(モータ生成角)と、遊星ギヤ機構16の出力軸15の回転角(出力角)との関係は、図6のグラフに示すようになる。これらのグラフによれば、減算作動するVGRモータ22の生成角は負の値になっていて、この負のモータ生成角がギヤ入力角に重なり合って出力角が得られることが分かる。そして、モータ生成角は入力角に比べて位相が遅れており、一方、出力角の位相は入力角よりも進んでいることが分かる。
【0030】
図7は、前記と同様にステアリング1に所定の操舵入力を加えたときの車輪舵角θfの変化をシミュレーションした結果であって、同図に破線で示すのは操舵比をベース値のままに固定したものであり(ベース操舵比)、実線で示すのはVGRモータ22の減算制御によって操舵比を減少させたものである(VGR)。また、仮想線で示すのは、機械的にギヤ比を変更して操舵比をベースの値よりも小さくしたものである(操舵比減少)。図示の如く、機械的に操舵比を小さくしたときには、操舵角θfのピーク値は低下するものの位相の変化は見られない。一方、VGRモータ22の減算作動によって操舵比を減少させた場合には、ピーク値の低下とともに操舵角θfの位相がベースのものに比べて早まっていることが分かる。
【0031】
さらに、図8は、ステアリング1への操舵入力に対するヨーレイトの周波数応答特性を示すボード線図であり、同図(a)に実線で示すようにVGRモータ22の減算制御によって操舵比を変更した場合、その操舵比の変化に応じて操舵ゲインのピーク値がベースのもの(図に破線で示す)よりも低下しており(図に黒丸で示す約1Hzのときに略0.35から略0.19に低下)、また、約1Hzのときの位相は図に黒丸で示すように−21.4から−15.7に進んでいることが分かる。一方、同図(b)に仮想線で示すように機械的に操舵比を変化させた場合、操舵ゲインのピーク値は低下するものの、位相は変化していない。
【0032】
このように、加減算方式のVGR装置においてVGRモータ22の減算側への作動の遅れがハンドル操舵の位相遅れを減少することが分かったので、この実施形態では、自動車の走行中にできるだけ広い車速域においてモータが減算側に作動するように、ステアリング1から車輪6までの操舵力伝達経路のオーバーオールギヤ比、即ちベースの操舵比R0を非常に大きな値に設定している。すなわち、このベースの操舵比R0は、ステアリングギヤボックス4のラックシャフト及びピニオンの歯数比等によって機械的に決まる減速比と伝達比可変機構10の各ギヤ及びギヤ要素の歯数比等によって機械的に決まる減速比とを乗算することで得られるのであるが、これが例えば車庫入れ等の極低速の状態に適する非常に大きな値(例えば略1/10〜略1/9くらい)に設定されているのである。
【0033】
このことは、自動車のステアリング装置としてこの実施形態のように伝達比可変機構10を備えた操舵比可変式の仕様と、そのような可変機構を備えない操舵比固定式の仕様とを設定する場合に、操舵比可変式の仕様における操舵系のオーバーオールギヤ比を操舵比固定式の仕様(一般的には1/17〜1/15くらい)と比べて段違いに大きな値に設定するということである。
【0034】
したがって、この実施形態に係る自動車の操舵比可変式ステアリング装置Aによれば、ステアリング1から車輪6に至るまでの操舵力伝達系路の機械的構成によって決まるベースの操舵比R0をできるだけ大きな値に設定し、その上で、所定の低速域を除いて、VGRモータ22の作動により伝達比可変機構10の遊星ギヤ機構16における入出力回転の伝達比を低下させ、これにより操舵比を制御するようにしたことで、自動車の広い速度領域に亘って車速に対して適切な操舵ゲインを得ながら、同時に、位相遅れの少ない正確な操舵フィーリングを得ることができる。このことによって、ドライバーは、自動車の進路や挙動変化を極めて正確且つ容易に予測することができ、無駄の少ない的確なステアリング操舵が可能になるので、運転中の疲労を格段に低減できる。
【0035】
尚、この実施形態では、設定車速V0以下の低速域においてVGRモータ22を加算側に動作させるようにしており、このときにはモータ作動の遅れが操舵応答の遅れを助長することになるが、車庫入れ等の低速域では元々、微舵によるヨーレイト等の変化が小さく、しかも、一般的にドライバーがステアリング1を早く且つ大きく操作するので、操舵応答の遅れによって違和感を感じることは殆どない。しかし、そのような低速域ではVGRモータ22を停止させて、その駆動に伴うエネルギロスを低減するようにしてもよい。
【0036】
また、本発明はこの実施形態のようなラックアンドピニオン式のステアリング装置だけでなく、例えばボールスクリュウ式等、種々の形式のステアリング装置に適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明に係る自動車の操舵比可変式ステアリング装置によると、操舵回転の伝達比を差動ギヤ機構によって変化させるようにした加減算方式のものにおいて、機械的な構成によって決まるベースの操舵比をできるだけ大きな(クイックな)値に設定し、アクチュエータによって差動ギヤ機構の所定のギヤ要素を駆動して、入力回転に対する出力回転を減算することにより、操舵比を車速に応じて変更するようにしたことで、広い速度領域に亘って適切な操舵ゲインを得ながら、位相遅れの少ない正確な操舵フィーリングを得ることができる。
【0038】
請求項2の発明によると、車速が高いときほど差動ギヤ機構における出力回転の減算度合いを大きくして、ゲインの低いスローな操舵特性とすることで、高速域に適した穏やで安心感の高い操舵特性とすることができる。
【0039】
また、請求項3の発明に係る自動車の操舵比可変式ステアリング装置のギヤ比設定方法によると、ステアリング装置として、前記請求項1の発明のように差動ギヤ機構を用いた操舵比可変式の仕様と、該差動ギヤ機構を備えない操舵比固定式の仕様とをそれぞれ設定する場合に、その操舵比可変式の仕様においてベースの操舵比を操舵比固定式のものに比べて大きな値に設定することで、前記請求項1の発明と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車の操舵比可変式ステアリング装置の全体構成を示す図である。
【図2】伝達比可変機構の構成を示す縦断面図である。
【図3】遊星ギヤ機構の構成を示す図2のIII−III線における断面図である。
【図4】コントローラの構成を示す機能ブロック図である。
【図5】車速の変化に対応して操舵比の変更係数を設定したマップの一例を示す図である。
【図6】ギヤ入力角とモータ生成角と出力角との対応関係を示すグラフ図である。
【図7】所定のハンドル操舵に対する車輪舵角の変化を同一時間軸にて比較したシミュレーションの結果を示すグラフ図である。
【図8】ハンドル舵角の変化に対するヨーレイトの周波数応答特性を示すボード線図である。
【符号の説明】
A 操舵比可変式ステアリング装置
1 ステアリングホイール(操舵ハンドル)
2 ステアリングシャフト(操舵力伝達系路)
3 中間シャフト(操舵力伝達系路)
4 ステアリングギヤボックス(操舵力伝達系路)
5 タイロッド(操舵力伝達系路)
6 車輪
9 コントローラ
10 伝達比可変機構
16 遊星ギヤ機構(差動ギヤ機構)
20 プラネタリキャリア(所定のギヤ要素)
22 VGRモータ(アクチュエータ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のハンドル舵角に対する車輪舵角の比(操舵比)を変更可能とした操舵比可変式のステアリング装置と、そのようなステアリング装置におけるギヤ比の設定方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の操舵比可変式のステアリング装置(Variable Gear−Ratio Steering:以下、VGR装置ともいう)として、例えば特公平6−74053号公報に開示されるように、操舵力の伝達系路に遊星ギヤ機構(差動ギヤ機構)を設けて、そこでの回転の伝達比を可変とすることで、ステアリングホイール(操舵ハンドル)の操舵に対する車輪の操舵比を変更するようにしたものが知られている。このものでは、遊星ギヤ機構の3つのギヤ要素のうち、例えばサンギヤを入力側とし、リングギヤを出力側とするとともに、プラネタリキャリアを電動モータ(アクチュエータ)により回転させることで、サンギヤに入力する回転量に加算又は減算してリングギヤに出力するようにして、回転の伝達比を変更するようにしている(以下、このような方式を加減算方式という)。
【0003】
そのような従来のVGR装置では、一般的に、自動車の車速に応じて遊星ギヤ機構による回転伝達比を変更し、高速側では操舵比(減速比)を小さくして比較的ゲインの低いスローな操舵特性とする一方、低速側では操舵比を大きくして、比較的ゲインの高いクイックな操舵特性とするようにしている。これは、安定性の重視される高速走行時には自動車の挙動変化を抑えるために、ステアリングホイールの操舵に対して車輪舵角の変化を小さめにするのが望ましく、一方、低速走行時には小回りが利くことが求められるので、操舵比は大きい方がよいからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車のステアリングホイールから車輪まで操舵力が伝達する際には若干の遅れが生じ、さらに、車輪が動き出してから車体にヨーレイト等が発生するまでにも若干の遅れがある。このような操舵応答の位相遅れが大きいと、ドライバーは自動車の進路や姿勢変化を正確に予測することが難しくなり、結果としてステアリングホイールを切り過ぎたり、さらには余計な修正操舵が必要になったりする。
【0005】
すなわち、操舵応答の遅れはフィーリングを悪化させるばかりか、ドライバーの心理的、肉体的負担を増大させて疲労の原因にもなるのであるが、これに対し、例えば操舵力の伝達遅れを減らすために操舵系の剛性をさらに高めるとすると、路面からの反力や振動伝達が大きくなってしまうから、実用的ではない。また、単純に操舵比を大きくしてゲインを高めても、このことで操舵の位相遅れを減らすことはできない。
【0006】
この点について、本願の発明者は、操舵力の伝達系路に介在させた差動ギヤ機構によって回転伝達比を変化させるようにした上述の加減算方式のVGR装置において、入力回転を減算する場合には見かけ上、操舵の位相遅れが減少することを見出して、本願発明を完成するに至った。すなわち、本願発明の目的は、従来までのVGR装置と同様に自動車の車速に応じて操舵比を変更することによって適切な操舵ゲイン特性を得ながら、同時に位相遅れの少ない正確な操舵フィーリングを得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願発明では、差動ギヤ機構を用いた加減算方式の操舵比可変式ステアリング装置において、その機械的な構成によって決まるベースの操舵比をできるだけ大きな値に設定し、その上で、アクチュエータの作動によって入力回転に対する出力回転を減算することにより、適度にスローな操舵特性となるように制御するようにした。
【0008】
具体的に、請求項1の発明では、自動車の操舵ハンドルから車輪までの操舵力の伝達系路に差動ギヤ機構を介在させ、該差動ギヤ機構の所定のギヤ要素をアクチュエータにより駆動して入力回転に対する出力回転の伝達比を変更することにより、ハンドル操舵角に対する車輪舵角の比である操舵比を変更可能とした操舵比可変式のステアリング装置を前提とする。そして、前記差動ギヤ機構の前記ギヤ要素が固定された場合のベースの操舵比を、該差動ギヤ機構を備えない操舵比固定式のものよりも大きな値に設定するとともに、前記操舵ハンドルの操作に対応して前記差動ギヤ機構の出力回転が減算される向きにアクチュエータを作動させるコントローラを備える構成とする。
【0009】
前記の構成により、自動車の走行中にドライバーによりハンドル操舵がなされて車輪の向きが変化するときには、その操舵力の伝達系路において差動ギヤ機構の所定のギヤ要素がアクチュエータにより減算の向きに駆動され、これにより該差動ギヤ機構の入力回転に対する出力回転の伝達比(減速比)が小さくなって、操舵比が減少する。この際、アクチュエータの作動には位相遅れがあるから、ハンドル操舵の開始からやや遅れて操舵比が減少することになり、操舵開始の瞬間は相対的に大きな(クイックな)べースの操舵比にて車輪の向きが変化することになる。このことで、見かけ上、操舵応答の位相遅れが減少するものである。
【0010】
従って、予め機械的に定まるベースの操舵比をできるだけ大きな値に設定しておいて、その上で、自動車の走行中にハンドル操舵がなされたときに前記アクチュエータの減算作動によって操舵比を適度な値に制御するようにすれば、広い速度領域に亘って適切な操舵ゲイン特性を得ながら、同時に、位相遅れの少ない正確な操舵フィーリングを得ることができる。
【0011】
例えば、前記ステアリング装置のベースの操舵比を車庫入れ等の極低速状態に適する所定値(例えば略1/10〜略1/9くらい)に設定し、操舵比固定式のステアリング装置と比べれば段違いに大きな操舵比として、その上で、前記コントローラとしては、車速に拘わらず常に、或いは所定の低速域を除いて、差動ギヤ機構の出力回転が減算される向きにアクチュエータを作動させるものとするのが好ましい。そのように低速域を除いてアクチュエータを作動させるようにする場合、その低速域ではアクチュエータを停止させて、エネルギロスを低減するようにしてもよいし、低速域では差動ギヤ機構において出力回転が加算される向きにアクチュエータを作動させて、さらにクイックな操舵特性とすることもできる。
【0012】
また、前記コントローラとしては、車速が高いほど差動ギヤ機構の出力回転の減算度合いが大きくなるようにアクチュエータを制御するものとするのが好ましい(請求項2の発明)。こうすれば、車速が高くなるほど操舵比が小さくなって、ゲインの低いスローな操舵特性になるから、高速域における自動車の挙動変化が穏やかになり安心感の高いものとなる。
【0013】
言い換えると、本願発明は、自動車の操舵ハンドルから車輪まで操舵力を機械的に伝達するステアリング装置のギヤ比の設定方法であって、具体的には、そのステアリング装置として、操舵力の伝達系路に介在させた差動ギヤ機構の所定のギヤ要素をアクチュエータにより駆動して入力回転に対する出力回転の伝達比を変更することにより、ハンドル操舵角に対する車輪舵角の比である操舵比を変更可能とし、さらに、前記操舵ハンドルの操作に対応して前記差動ギヤ機構の出力回転が減算される向きにアクチュエータを作動させるコントローラを備えた操舵比可変式の仕様と、前記差動ギヤ機構を備えない操舵比固定式の仕様とをそれぞれ設定する。そして、その場合に、前記操舵比可変式のものにおいて差動ギヤ機構の前記ギヤ要素を固定したときのベースの操舵比が前記操舵比固定式のものと比べて大きな値になるように、操舵ハンドルから車輪までの機械的なギヤ比を設定する(請求項3の発明)。
【0014】
そのようにギヤ比を設定した操舵比可変式のステアリング装置によれば、自動車の走行中に操舵ハンドルの操作がなされると、コントローラによりアクチュエータの作動が制御されて、操舵力伝達系路に介在された差動ギヤ機構において所定のギヤ要素が該差動ギヤ機構の出力回転を減算する向きに駆動され、かくして前記請求項1の発明と同様の作用効果が得られるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る自動車の操舵比可変式ステアリング装置(VGR装置)Aをラックアンドピニオン式のステアリング装置に適用した実施形態を示す。同図において符号1は操舵ハンドルとしてのステアリングホイール(以下、単にステアリングという)であり、このステアリング1の回転運動は、ステアリングシャフト2と中間シャフト3とによってステアリングギヤボックス4に伝達され、ここで車幅方向の並進運動に変換された後に、左右両側のタイロッド5,5を介して車輪6(車体右側のもののみを図示する)に伝達される。詳しくは、前記ステアリングギヤボックス4は全体として車幅方向に長く、その内部には、図示しないが車幅方向に延びるラックシャフトとこれに噛み合うピニオンとが配設されていて、そのピニオンの上端部が前記中間シャフト3の下端部に連結され、一方、ラックシャフトの両端部はそれぞれタイロッド5,5の車体内方の端部に連結されている。
【0017】
また、前記ステアリングギヤボックス4には、減速ギヤを介してピニオン側にトルクを付与する電動のパワーステアリングモータ7(以下、P/Sモータと略称する)と、該減速ギヤと中間シャフト3との間でステアリング1の操舵トルクを検出するトルクセンサ28(図4参照)と、P/Sモータ7の回転角を検出する回転角センサ30(同図参照)とが設けられている。このP/Sモータ7と各センサ28,30とはそれぞれ電力回路8を介してコントローラ9に接続されており、このコントローラ9からの制御信号に応じてP/Sモータ7のトルクが制御され、これによりステアリング1から車輪6へ伝達される操舵力に適度のアシスト力が付与されるようになっている。
【0018】
前記ステアリングシャフト2の下端側、即ちステアリング1から車輪6までの操舵力伝達系路の途中には、ステアリング1の操舵角θH(以下、ハンドル舵角ともいう)に対する車輪舵角θfの比、即ち操舵比R(R=θf/θH)を変更可能な伝達比可変機構10が設けられている。この伝達比可変機構10は、図2、3に模式的に示すように、ハウジング11内に臨むステアリングシャフト2の下端部にギヤ12,13により駆動連結された入力軸14と、この入力軸14と同一軸線上に対向して配置された出力軸15と、それらの間に配設された遊星ギヤ機構16(差動ギヤ機構)とからなる。
【0019】
前記出力軸15は、図1に示すように下端部が伝達比可変機構10のハウジング11の外側に突出していて、自在継手等により中間シャフト3の上端部に連結されている。また、遊星ギヤ機構16は、前記入力軸14に回転一体に固定されたサンギヤ17と、前記出力軸15に回転一体に固定されたリングギヤ18と、これらのサンギヤ17及びリングギヤ18の間に該両ギヤ17,18とそれぞれ噛み合うように配設された複数個(図例では3個)のプラネタリギヤ19,19,19とからなり、該プラネタリギヤ19,19,…は、前記入力軸14上に回転自在に外嵌合されたプラネタリキャリア20に対してそれぞれ軸19aを介して担持されている。
【0020】
また、前記プラネタリキャリア20の外周にはウォームホイール21が形成され、このウォームホイール21には、アクチュエータとしてのステッピングモータ22(以下、VGRモータと略称する)の出力軸に固定されたウォーム23が噛み合わされている。そして、VGRモータ22が回転するとウォーム23及びウォームホイール21を介してプラネタリキャリア20が入力軸16の周りに回転し、そのキャリア20に担持されたプラネタリギヤ19,19,…がサンギヤ17及びリングギヤ18の間で転動することによって、入力側のサンギヤ17から出力側のリングギヤ18へ伝達される回転量が加算又は減算されるようになっている。
【0021】
つまり、前記遊星ギヤ機構16においては、プラネタリキャリア20が、サンギヤ17からリングギヤ18へ伝達される回転量を変更するギヤ要素とされており、このキャリア20の回転角がVGRモータ22により変更されることで、ステアリングシャフト2から入力軸14,サンギヤ17、リングギヤ18及び出力軸15を介して中間シャフト3に伝達される回転量が加算又は減算されて、ハンドル舵角θHに対する車輪舵角θfの操舵比Rが連続的に変化することになる。
【0022】
さらに、前記VGRモータ22には、その回転角を検出するセンサが内蔵されていて、電力回路25を介してコントローラ9に接続されており、このコントローラ9からの制御信号に応じてVGRモータ22が制御されるようになっている。すなわち、図4に模式的に示すように、コントローラ9には、自動車の車速Vを検出する車速センサ26からの出力信号と、ステアリング1の操舵角(ハンドル舵角θH)を検出する舵角センサ27からの出力信号と、トルクセンサ28からの出力信号と、VGRモータ22の回転角センサ29からの出力信号と、P/Sモータ7の回転角センサ30からの出力信号とがそれぞれ入力され、一方、コントローラ9からはP/Sモータ7及びVGRモータ22にそれぞれ制御信号が出力される。
【0023】
前記コントローラ9は、周知の如くCPUやメモリを有するものであるが、機能的には、自動車の車速Vとハンドル舵角θHとに対応するように予め設定した操舵比Rの制御特性を記憶する特性記憶部9aと、前記車速センサ26、舵角センサ27及び回転角センサ30からの信号に基づき、前記特性記憶部9aに記憶されている特性マップ(図5参照)を参照して、現在の車速V及びハンドル舵角θHに対応する目標操舵比R*を演算する目標操舵比演算部9bと、この目標操舵比R*に対応するVGRモータ22の制御量(回転角)θmを演算する目標制御量演算部9cと、モータ回転角センサ29による検出値が前記目標制御量θmに一致するようにVGRモータ22を駆動するモータ駆動部9dとを備えている。
【0024】
前記特性マップは、図5に一例を示すように、車速Vの変化に対応する操舵比Rの変更係数k1を設定した車速対応マップMと、同様にハンドル舵角θHに対応する操舵比の変更係数k2を設定した舵角対応マップ(図示せず)とからなり、前記目標操舵比演算部9bにおいては現在の車速V及びハンドル舵角θHに基づいて各マップからそれぞれ変更係数k1,k2を読み込み、これらを操舵比のベース値R0に乗算して、目標操舵比R*を演算する。これにより、車速V及びハンドル舵角θHの変化に対していつでも適切な操舵比Rとすることができる。
【0025】
R* = k1×k2×R0
具体的に、前記車速対応マップMによれば、車速Vに対応する操舵比Rの変更係数k1は、車速Vのごく低いときを除いて1よりも小さな値とされており、このことで、ステアリング1の操作に対する車輪6の操舵比が低中速から高速までの広い車速領域においてベースの値R0よりも小さくなる。すなわち、本発明の特徴部分であるが、この実施形態のステアリング装置Aでは、ステアリング1から車輪6までの操舵力伝達系路の機械的な構成によって決まるベースの操舵比R0を非常に大きな値としておいて、その上で、操舵力伝達系路に介在させた遊星ギヤ機構16においてVGRモータ22の減算作動により回転伝達比を低下させることで、車速Vに対応する適切な操舵特性を得るようにしている。
【0026】
より詳しくは、車速Vが設定車速V0(例えば時速30〜60kmくらいに設定すればよい)よりも高いときには、その車速Vの上昇に応じて変更係数k1が減少し、高速側ほどゲインの低いスローな操舵特性になる。この際、車速Vの上昇に対する変更係数k1の減少の度合いは徐々に小さくなっていて、中速域から高速域に亘って操舵比Rはベース値R0よりも十分に小さな値になる。従って、ベースの操舵比R0を非常に大きな値に設定していても、中速域から高速域に亘る自動車の操舵特性は比較的ゲインの小さいスローなものとなり、ステアリング1の操舵に対する自動車の挙動変化が穏やかなものとなって、高い安心感が得られる。
【0027】
また、前記設定車速V0のときには変更係数k1は1であり、VGRモータ22が停止してプラネタリキャリア20の回転が拘束される。これにより遊星ギヤ機構16における回転伝達比は、サンギヤ17及びリングギヤ18のギヤ比によって決まる一定の値になるから、操舵比Rはベース値R0に維持される。さらに、設定車速V0よりも低いときの変更係数k1は1よりも大きな値であり、VGRモータ22によりプラネタリキャリア20が遊星ギヤ機構16の出力回転を加算する向きに回転されて、操舵比Rがベース値R0よりも大きくなる。このように操舵比Rがベース値R0と同じかそれよりも大きくなることで、自動車の操舵特性は非常にゲインの高いクイックなものとなり、車庫入れ等の低速状態での小回り性が非常に優れたものとなる。
【0028】
そして、上述したように操舵力伝達系路の遊星ギヤ機構16に入力する操舵回転量をモータにより減算することで、ステアリング1の操舵に対する車輪6の転舵の位相遅れを低減することができる。すなわち、遊星ギヤ機構16において伝達する回転量をVGRモータ22によるプラネタリキャリア22の駆動によって減算する場合、そのVGRモータ22の作動の位相遅れは、ステアリング1の操舵開始から遅れて操舵比Rが減少することを意味し、少なくとも操舵開始の瞬間は非常にクイックなべースの操舵比Rにて車輪6の向きが変化することになるから、見かけ上、操舵の位相遅れが減少することになるのである。
【0029】
より具体的に、ステアリング1に所定の操舵入力を加えたときに伝達比可変機構10の遊星ギヤ機構16へ入力する回転角(ギヤ入力角)と、VGRモータ22の作動によるプラネタリキャリア20の回転角(モータ生成角)と、遊星ギヤ機構16の出力軸15の回転角(出力角)との関係は、図6のグラフに示すようになる。これらのグラフによれば、減算作動するVGRモータ22の生成角は負の値になっていて、この負のモータ生成角がギヤ入力角に重なり合って出力角が得られることが分かる。そして、モータ生成角は入力角に比べて位相が遅れており、一方、出力角の位相は入力角よりも進んでいることが分かる。
【0030】
図7は、前記と同様にステアリング1に所定の操舵入力を加えたときの車輪舵角θfの変化をシミュレーションした結果であって、同図に破線で示すのは操舵比をベース値のままに固定したものであり(ベース操舵比)、実線で示すのはVGRモータ22の減算制御によって操舵比を減少させたものである(VGR)。また、仮想線で示すのは、機械的にギヤ比を変更して操舵比をベースの値よりも小さくしたものである(操舵比減少)。図示の如く、機械的に操舵比を小さくしたときには、操舵角θfのピーク値は低下するものの位相の変化は見られない。一方、VGRモータ22の減算作動によって操舵比を減少させた場合には、ピーク値の低下とともに操舵角θfの位相がベースのものに比べて早まっていることが分かる。
【0031】
さらに、図8は、ステアリング1への操舵入力に対するヨーレイトの周波数応答特性を示すボード線図であり、同図(a)に実線で示すようにVGRモータ22の減算制御によって操舵比を変更した場合、その操舵比の変化に応じて操舵ゲインのピーク値がベースのもの(図に破線で示す)よりも低下しており(図に黒丸で示す約1Hzのときに略0.35から略0.19に低下)、また、約1Hzのときの位相は図に黒丸で示すように−21.4から−15.7に進んでいることが分かる。一方、同図(b)に仮想線で示すように機械的に操舵比を変化させた場合、操舵ゲインのピーク値は低下するものの、位相は変化していない。
【0032】
このように、加減算方式のVGR装置においてVGRモータ22の減算側への作動の遅れがハンドル操舵の位相遅れを減少することが分かったので、この実施形態では、自動車の走行中にできるだけ広い車速域においてモータが減算側に作動するように、ステアリング1から車輪6までの操舵力伝達経路のオーバーオールギヤ比、即ちベースの操舵比R0を非常に大きな値に設定している。すなわち、このベースの操舵比R0は、ステアリングギヤボックス4のラックシャフト及びピニオンの歯数比等によって機械的に決まる減速比と伝達比可変機構10の各ギヤ及びギヤ要素の歯数比等によって機械的に決まる減速比とを乗算することで得られるのであるが、これが例えば車庫入れ等の極低速の状態に適する非常に大きな値(例えば略1/10〜略1/9くらい)に設定されているのである。
【0033】
このことは、自動車のステアリング装置としてこの実施形態のように伝達比可変機構10を備えた操舵比可変式の仕様と、そのような可変機構を備えない操舵比固定式の仕様とを設定する場合に、操舵比可変式の仕様における操舵系のオーバーオールギヤ比を操舵比固定式の仕様(一般的には1/17〜1/15くらい)と比べて段違いに大きな値に設定するということである。
【0034】
したがって、この実施形態に係る自動車の操舵比可変式ステアリング装置Aによれば、ステアリング1から車輪6に至るまでの操舵力伝達系路の機械的構成によって決まるベースの操舵比R0をできるだけ大きな値に設定し、その上で、所定の低速域を除いて、VGRモータ22の作動により伝達比可変機構10の遊星ギヤ機構16における入出力回転の伝達比を低下させ、これにより操舵比を制御するようにしたことで、自動車の広い速度領域に亘って車速に対して適切な操舵ゲインを得ながら、同時に、位相遅れの少ない正確な操舵フィーリングを得ることができる。このことによって、ドライバーは、自動車の進路や挙動変化を極めて正確且つ容易に予測することができ、無駄の少ない的確なステアリング操舵が可能になるので、運転中の疲労を格段に低減できる。
【0035】
尚、この実施形態では、設定車速V0以下の低速域においてVGRモータ22を加算側に動作させるようにしており、このときにはモータ作動の遅れが操舵応答の遅れを助長することになるが、車庫入れ等の低速域では元々、微舵によるヨーレイト等の変化が小さく、しかも、一般的にドライバーがステアリング1を早く且つ大きく操作するので、操舵応答の遅れによって違和感を感じることは殆どない。しかし、そのような低速域ではVGRモータ22を停止させて、その駆動に伴うエネルギロスを低減するようにしてもよい。
【0036】
また、本発明はこの実施形態のようなラックアンドピニオン式のステアリング装置だけでなく、例えばボールスクリュウ式等、種々の形式のステアリング装置に適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明に係る自動車の操舵比可変式ステアリング装置によると、操舵回転の伝達比を差動ギヤ機構によって変化させるようにした加減算方式のものにおいて、機械的な構成によって決まるベースの操舵比をできるだけ大きな(クイックな)値に設定し、アクチュエータによって差動ギヤ機構の所定のギヤ要素を駆動して、入力回転に対する出力回転を減算することにより、操舵比を車速に応じて変更するようにしたことで、広い速度領域に亘って適切な操舵ゲインを得ながら、位相遅れの少ない正確な操舵フィーリングを得ることができる。
【0038】
請求項2の発明によると、車速が高いときほど差動ギヤ機構における出力回転の減算度合いを大きくして、ゲインの低いスローな操舵特性とすることで、高速域に適した穏やで安心感の高い操舵特性とすることができる。
【0039】
また、請求項3の発明に係る自動車の操舵比可変式ステアリング装置のギヤ比設定方法によると、ステアリング装置として、前記請求項1の発明のように差動ギヤ機構を用いた操舵比可変式の仕様と、該差動ギヤ機構を備えない操舵比固定式の仕様とをそれぞれ設定する場合に、その操舵比可変式の仕様においてベースの操舵比を操舵比固定式のものに比べて大きな値に設定することで、前記請求項1の発明と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車の操舵比可変式ステアリング装置の全体構成を示す図である。
【図2】伝達比可変機構の構成を示す縦断面図である。
【図3】遊星ギヤ機構の構成を示す図2のIII−III線における断面図である。
【図4】コントローラの構成を示す機能ブロック図である。
【図5】車速の変化に対応して操舵比の変更係数を設定したマップの一例を示す図である。
【図6】ギヤ入力角とモータ生成角と出力角との対応関係を示すグラフ図である。
【図7】所定のハンドル操舵に対する車輪舵角の変化を同一時間軸にて比較したシミュレーションの結果を示すグラフ図である。
【図8】ハンドル舵角の変化に対するヨーレイトの周波数応答特性を示すボード線図である。
【符号の説明】
A 操舵比可変式ステアリング装置
1 ステアリングホイール(操舵ハンドル)
2 ステアリングシャフト(操舵力伝達系路)
3 中間シャフト(操舵力伝達系路)
4 ステアリングギヤボックス(操舵力伝達系路)
5 タイロッド(操舵力伝達系路)
6 車輪
9 コントローラ
10 伝達比可変機構
16 遊星ギヤ機構(差動ギヤ機構)
20 プラネタリキャリア(所定のギヤ要素)
22 VGRモータ(アクチュエータ)
Claims (3)
- 自動車の操舵ハンドルから車輪までの操舵力の伝達系路に差動ギヤ機構を介在させ、該差動ギヤ機構の所定のギヤ要素をアクチュエータにより駆動して入力回転に対する出力回転の伝達比を変更することにより、ハンドル操舵角に対する車輪舵角の比である操舵比を変更可能とした操舵比可変式のステアリング装置において、
前記差動ギヤ機構の前記ギヤ要素を固定したときのベースの操舵比が、該差動ギヤ機構を備えない操舵比固定式のものよりも大きな値に設定されており、
前記操舵ハンドルの操作に対応して、前記差動ギヤ機構の出力回転が減算される向きにアクチュエータを作動させるコントローラを備えていることを特徴とする自動車の操舵比可変式ステアリング装置。 - 請求項1において、
コントローラは、車速が高いほど差動ギヤ機構の出力回転の減算度合いが大きくなるようにアクチュエータを制御するものであることを特徴とする自動車の操舵比可変式ステアリング装置。 - 自動車の操舵ハンドルから車輪まで操舵力を機械的に伝達するステアリング装置のギヤ比の設定方法であって、
前記ステアリング装置として、
操舵力の伝達系路に介在させた差動ギヤ機構の所定のギヤ要素をアクチュエータにより駆動して入力回転に対する出力回転の伝達比を変更することにより、ハンドル操舵角に対する車輪舵角の比である操舵比を変更可能とし、さらに、前記操舵ハンドルの操作に対応して前記差動ギヤ機構の出力回転が減算される向きにアクチュエータを作動させるコントローラを備えた操舵比可変式の仕様と、
前記差動ギヤ機構を備えない操舵比固定式の仕様とをそれぞれ設定し、
前記操舵比可変式のものにおいて差動ギヤ機構の前記ギヤ要素を固定したときのベースの操舵比が前記操舵比固定式のものと比べて大きな値になるように、操舵ハンドルから車輪までの機械的なギヤ比を設定することを特徴とする自動車の操舵比可変式ステアリング装置のギヤ比設定方法。
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