JP2004017108A - 板材溶接用クランプ治具 - Google Patents

板材溶接用クランプ治具 Download PDF

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酒井 敏典
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Abstract

【課題】熱伝導率の高い高価な金属素材を無駄にすることなく常に適切なギャップ条件で溶接作業を行うことのできる板材溶接用クランプ治具を提供する。
【解決手段】矩形断面を有する長尺裏当部材2,2を第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4によって軸周りに回転可能に支持し、溶接対象となる2枚の板材14,15の突き合わせ部分を長尺裏当部材2,2間の間隙に形成されるギャップY上に位置させて溶接作業を行う。長尺裏当部材2,2のエッジ部分2c,2cに溶接作業の繰り返しによる縁ダレ等の形状変化や組成変化が生じた場合であっても、長尺裏当部材2,2を90度ピッチで回転させることにより、その時点で未使用の状態にある他の外周面(4面のうちの1面)を溶接対象板材14,15の載置面として新たに利用することができるので、板状の一体型裏当部材を利用した従来型の板材溶接用クランプ治具と比べ、裏当部材2,2の実質的な耐用期間を4倍程度に引き延ばすことができ、この間、適切なギャップ条件で確実な溶接作業を行うことができる。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2枚の板材を突き合わせて溶接する際に熱歪みを低減したり過剰な熱エネルギーを吸収するために使用される板材溶接用クランプ治具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の板材溶接用クランプ治具としては、例えば、特開平5−104250号に開示されるように、板状の一体型裏当部材を利用した板材溶接用クランプ治具が公知である。
【0003】
板状の一体型裏当部材を利用した板材溶接用クランプ治具の一般的な構成例を図7に示す。
【0004】
この板材溶接用クランプ治具100は、銅等によって形成される熱伝導率の高い板状の裏当部材101に矩形状の溝からなるギャップ102を刻設し、溶接対象となる板材103,104を裏当部材101の上に載置し、ギャップ102上で板材103,104の溶接側端部103a,104aを突き合わせた状態で当金105,106によって板材103,104を固定し、板材103,104の溶接側端部103a,104aの突き合わせ部に沿って溶接トーチ107を移動させることで溶接作業を行うように構成したものである。
【0005】
ギャップ102は板材103,104の溶接側端部103a,104aを局所的に加熱するために設けられたもので、この箇所を除く裏当部材101の部分には、板材103,104と密着して過剰な熱を除去する機能、つまり、熱歪みを低減したり過剰な熱エネルギーを吸収する機能が要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
こういった要求を満たすためには、熱伝導率の高い銅等の金属によって裏当部材101を形成する必要があり、材料費が割高となる問題がある。
【0007】
しかも、同じ裏当部材101を何度も反復して使用していると、ギャップ102のエッジ部分102a,102aに溶融あるいは腐食が発生して縁ダレ等の形状変化や組成変化を起こす場合があり、初期のギャップ幅が失われて適切な溶接作業が困難となる場合もあり、裏当部材101は、その素材が高価であるにも関わらず、実質的な耐用期間は極めて短いものであった。
【0008】
また、溶接対象となる板材103,104の材質や板厚等に応じて適切な溶接作業を行うためにはギャップ102の幅を最適化する必要があるが、図7の従来例のようにギャップ102を裏当部材101と一体化した構成では、ギャップ幅の調整は困難であり、溶接対象となる板材103,104の材質や板厚および他の溶接条件等に応じて多数の裏当部材101を準備しておかなければならないといった問題がある。
【0009】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の不都合を解消し、熱伝導率の高い高価な金属素材を無駄にすることなく有効に利用して常に適切なギャップ条件で確実な溶接作業を行うことのできる板材溶接用クランプ治具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、裏当部材に形成されたギャップ上で2枚の板材の溶接側端部を突き合わせて保持する板材溶接用クランプ治具であり、前記目的を達成するため、特に、
矩形断面を有する2本の長尺裏当部材と、前記各々の長尺裏当部材の一端部に嵌合して前記各々の長尺裏当部材を軸周りに回転可能に支持する2つの係合部を所定の間隔を空けて配備した第一の裏当部材支持ブロックと、前記各々の長尺裏当部材の他端部に嵌合して前記各々の長尺裏当部材を軸周りに回転可能に支持する2つの係合部を前記所定の間隔を空けて配備した第二の裏当部材支持ブロックと、前記2本の長尺裏当部材の両端部に装着された前記第一,第二の裏当部材支持ブロックを着脱可能に固定するベースプレートと、前記第一,第二の裏当部材支持ブロックの間に掛け渡され前記2本の長尺裏当部材の各々と並行して各々の長尺裏当部材の上面側に位置し前記2本の長尺裏当部材の各々に載置された2枚の板材の溶接側端部をクランプする一対の当金と、前記各々の当金の両端部に配備され前記各々の当金の両端部を前記第一,第二の裏当部材支持ブロックの上面に押し付けるようにして着脱可能に締結する締結手段とを備えたことを特徴とする構成を有する。
【0011】
以上の構成により、矩形断面を有する2本の長尺裏当部材が其の両端部を第一の裏当部材支持ブロックと第二の裏当部材支持ブロックとによって支持され、ベースプレート上に着脱可能に固定される。
溶接対象となる2枚の板材は、溶接側端部を相互に突き合わされ、この部分を2本の長尺裏当部材間の間隙で形成されるギャップ上に位置させた状態で、2本の長尺裏当部材上に載置され、更に、溶接対象となる2枚の板材の各々が、第一,第二の裏当部材支持ブロックの間に掛け渡された各々の当金によって上方から把持され、これらの当金の両端部に配備された締結手段によってクランプされることで、長尺裏当部材と当金との間で強力に挾持される。
矩形断面を有する2本の長尺裏当部材の各々は、第一,第二の裏当部材支持ブロックの各々に配備された係合部によって回転可能に支持されているので、長尺裏当部材の矩形状の外周部の四面のうち、任意の一面を溶接対象となる板材の載置面として利用することができる。
2本の長尺裏当部材間の間隙によって形成されるギャップの両端、つまり、長尺裏当部材の外周部のエッジ部分には、溶接作業の繰り返しによって縁ダレ等の形状変化や組成変化が生じる場合があるが、2本の長尺裏当部材を90度ピッチで回転させることにより長尺裏当部材の矩形状の外周部の四面の全てを溶接対象となる板材の載置面として利用することができるため、板状の一体型裏当部材を利用した従来型の板材溶接用クランプ治具と比べ、裏当部材の実質的な耐用期間を4倍程度に引き延ばすことが可能となり、しかも、この間、長尺裏当部材を交換することなく適切なギャップ条件で確実な溶接作業を行うことができる。
また、独立した2本の長尺裏当部材を離間させてギャップを形成する構成であるため、板状の一体型裏当部材を利用した従来型の板材溶接用クランプ治具と比べ、熱伝導率の高い金属素材の使用量を少なめに抑制することが可能であり、治具全体の製造コストを引き下げるとができる。
以上の理由により、熱伝導率の高い高価な金属素材を無駄にすることなく有効に利用して常に適切なギャップ条件で確実な溶接作業を行うといった所期の目的が達成される。
【0012】
また、前記構成において、2つの係合部の間隔が異なる第一,第二の裏当部材支持ブロックを選択可能に複数組配備するようにしてもよい。
【0013】
このような構成によれば、第一,第二の裏当部材支持ブロックの組を選択することにより、2本の長尺裏当部材間の間隙によって形成されるギャップの大きさを自由に選ぶことができる。つまり、素材自体が高価な多種の長尺裏当部材を予め準備する必要はなく、同一仕様の長尺裏当部材を使用して自由にギャップを調整することが可能となる。
【0014】
更に、第一,第二の裏当部材支持ブロックの上面と前記当金の下面との間に、各当金の対向する端部を下方に向けて傾斜させる板状のスペーサ部材を配備することも可能である。
【0015】
溶接対象となる2枚の板材の溶接側端部を当金の先端で集中的に押圧することができるので、長尺裏当部材および当金による熱の吸収作用を利用した熱歪みの低減効果が向上する。
【0016】
また、第一,第二の裏当部材支持ブロックを下面側から固定するようにベースプレートを構成すると共に、前記第一,第二の裏当部材支持ブロックに、2本の長尺裏当部材の下面がベースプレートの上面と密着するようにして前記2つの係合部を配備するようにしてもよい。
【0017】
2本の長尺裏当部材の下面をベースプレートの上面と密着させる構成により、板材を支える長尺裏当部材の実質的な剛性を高めることが可能であり、同時に、ベースプレートを放熱手段として利用して熱歪みの低減および過剰な熱エネルギーの吸収効果を向上させることができる。
【0018】
更に、第一,第二の裏当部材支持ブロックにおける2つの係合部の間には、これら第一,第二の裏当部材支持ブロックを表裏に貫通するガス通し穴を形成することも可能である。
【0019】
このガス通し穴を介して2本の長尺裏当部材間の間隙に形成されたギャップに不活性ガスを流通させることにより、ギャップの両側に位置する溶接対象の2枚の板材の溶接側端部に生じる酸化や凹凸状の荒れの発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明を適用した一実施形態の板材溶接用クランプ治具1の外観を示した斜視図、図2は板材溶接用クランプ治具1の構成要素を具体的に示した組立図である。
【0021】
図1および図2に示される通り、この実施形態の板材溶接用クランプ治具1の主要部は、概略において、矩形断面を有する2本の長尺裏当部材2,2と、長尺裏当部材2,2を支持する第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4、および、長尺裏当部材2,2の両端部に装着された第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4を着脱可能に固定するベースプレート5、ならびに、第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4の間に掛け渡されて長尺裏当部材2,2の上面側に位置する一対の当金6,6と、この当金6,6の両端部に配備されて当金6,6を第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4に着脱可能に締結するボルト7(締結手段)とによって構成される。
【0022】
また、第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4の上面と当金6,6の下面との間には、板状のスペーサ部材8,8が介装されるようになっている。
【0023】
次に、板材溶接用クランプ治具1の構成要素の具体的な構造について詳細に説明する。
【0024】
まず、長尺裏当部材2,2は、図2に示される通りの長尺の角柱体であり、その断面形状は正方形である。長尺裏当部材2,2は熱伝導率の高い銅等を素材として形成され、その両端部の各々には、第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4と嵌合するための円柱突起2a,2bが一体に突設されている。
【0025】
第一の裏当部材支持ブロック3には、図2に示されるように、長尺裏当部材2,2の一端に突設された円柱突起2a,2aの各々と嵌合して長尺裏当部材2,2を軸周りに回転可能に支持する2つの丸穴状の係合部9,9が所定の間隔を空けて穿設され、また、第二の裏当部材支持ブロック4には、長尺裏当部材2,2の他端に突設された円柱突起2b,2bの各々と嵌合して長尺裏当部材2,2を軸周りに回転可能に支持する2つの丸穴状の係合部10,10が前記と同様の所定の間隔を空けて穿設されている。
【0026】
この実施形態においては、図3(a)〜図3(c)に示されるように、形状が同一で丸穴状の係合部9,9および10,10の間の離間距離Xのみが異なる第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4の組が予め幾つか準備されており、これらの中から板材溶接用クランプ治具1の組み立てに使用する第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4の組を選択することにより、長尺裏当部材2,2の間に形成されるギャップYの幅を自由に選ぶことができるようになっている。
【0027】
図2に示される通り、第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4における2つの係合部9,9および10,10の間には、これらの裏当部材支持ブロック3,4を表裏に貫通するガス通し穴11,12が形成され、一方の裏当部材支持ブロック3のガス通し穴11には、不活性ガス供給用のチューブ(図示せず)を接続するためのニップル13が設けられている。
【0028】
第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4と当金6,6との間に介装されるスペーサ部材8,8は、図2に示される通り、両端部8a,8aの厚みが中央部8bの厚みよりも厚く形成された板状の部材であり、図1に示されるようにしてスペーサ部材8,8上に当金6,6を掛け渡して載置した状態で、当金6,6の対向する端部6a,6aを下方に向けて傾斜させるようになっている。
【0029】
また、溶接対象となる様々な厚みの板材14,15に対処するため、図2に示されるように、中央部8bと両端部8a,8aの厚みの差Zs0を一定とし、中央部8bの肉厚Zs1を変えたスペーサ部材8,8の組を幾つか設けるようにしてもよい。
【0030】
このような構成を適用した場合、溶接対象となる板材14,15が厚い場合には、中央部8bの肉厚Zs1の厚いスペーサ部材8,8を使用し、これとは逆に、溶接対象となる板材14,15が薄い場合には、中央部8bの肉厚Zs1の薄いスペーサ部材8,8を使用するようにする。
【0031】
これと同様の目的を達成するため、図3(a)〜図3(c)に示されるように、係合部9,9および10,10の中心からブロック下面までの寸法Zb0を一定とし、係合部9,9および10,10の中心からブロック上面までの寸法Zb1を変えた第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4の組を幾つか設けるようにすることも可能である。
【0032】
このような構成を適用した場合は、溶接対象となる板材14,15が厚い場合には、例えば図3(c)のように、係合部9,9および10,10の中心からブロック上面までの寸法Zb1が大きい第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4を使用し、これとは逆に、溶接対象となる板材14,15が薄い場合には、例えば図3(a)のように、係合部9,9および10,10の中心からブロック上面までの寸法Zb1が小さい第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4を使用することになる。
【0033】
この実施形態では、係合部9,9および10,10の中心からブロック下面までの寸法Zb0を共通とし、この寸法Zb0は、断面を正方形に形成された長尺裏当部材2,2の外周面の一片の長さの1/2に相当する長さに設定しているので、係合部9,9および10,10の中心からブロック上面までの寸法Zb1の異なる何れの第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4の組を選択して板材溶接用クランプ治具1の組み立てに使用した場合であっても、長尺裏当部材2,2の形状および寸法が同一の規格である限り、長尺裏当部材2,2の下面をベースプレート5の上面に確実に密着させることができる。
【0034】
図2に示されるように、当金6,6の両端部と、スペーサ部材8,8の両端部、および、第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4の両端部には、締結手段としてのボルト7の雄ネジ部を通すための貫通孔16,17,18が穿設される一方、ベースプレート5の四隅には、ボルト7の先端部を螺合させるための雌ネジ部19が、タッピングによって一体に刻設されている。
【0035】
そして、係合部9,9と円柱突起2a,2aおよび係合部10,10と円柱突起2b,2bとの凹凸嵌合によって長尺裏当部材2,2の両端部に装着された第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4と、第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4上に設置されたスペーサ部材8,8、および、2本の長尺裏当部材2,2と並行してスペーサ部材8,8の上面に掛け渡された当金6,6の各々が、これらの貫通孔18,17,16に通されたボルト7を介してベースプレート5の四隅の雌ネジ部19に共締めされて、図1に示されるような板材溶接用クランプ治具1が組み立てられる。
【0036】
図2に示される通り、スペーサ部材8,8の貫通孔17,17は、肉厚の両端部8a,8aよりも中央に寄った位置に穿設されている。従って、ボルト7を締め付けることにより、当金6,6は、スペーサ部材8,8の肉厚の両端部8a,8aと当金6,6の下面との接触点を支点とし、また、ボルト7のボルトヘッドの下面と当金6,6の上面との接触点を力点として、更に、当金6,6の対向する端部6a,6aを作用点として、図1に示されるように、対向する端部6a,6aを下方に向けて傾斜させた状態となる。
【0037】
また、既に述べた通り、第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4における係合部9,9および10,10の中心からブロック下面までの寸法Zb0は、寸法Zb1の違いとは無関係に常に一定であり、この寸法Zb0が長尺裏当部材2,2の外周面の一片の長さの1/2に相当する長さに決められているので、板材溶接用クランプ治具1を図1のように組み立てて第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4を下面側からベースプレート5上に固定した状態では、長尺裏当部材2,2の下面をベースプレート5の上面に確実に密着させることができる。
【0038】
このような構成を有する板材溶接用クランプ治具1に溶接対象となる板材14,15をクランプする際には、まず、第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4とスペーサ部材8,8および当金6,6をベースプレート5に共締めしているボルト7を十分に緩めるか或いは完全に外し、図4に示されるように、溶接対象となる2枚の板材14,15の溶接側端部14a,14bを相互に突き合わせ、この突き合せ部分を2本の長尺裏当部材2,2間の間隙で形成されるギャップY上に位置させて、長尺裏当部材2,2の上面と当金6,6の下面との間で板材14,15を挟み込み、締結手段としてのボルト7の先端をベースプレート5の雌ネジ部19に螺合させて、長尺裏当部材2,2と当金6,6との間で板材14,15をクランプする。
【0039】
図3を参照して説明した通り、係合部9,9および10,10の離間距離Xが適切な第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4の組を選択することによって、溶接条件に適したギャップ幅Y、つまり、長尺裏当部材2,2の対向面間の離間距離Yを設定することが可能である。
【0040】
また、板材14,15の板厚tに関しては、図2を参照して説明したようにスペーサ部材8,8における薄肉部の肉厚Zs1の選択を最適化すること、或いは、図3を参照して説明したように第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4における係合部9,9および10,10の中心からブロック上面までの寸法Zb1の選択を最適化することによって対処することが可能である。
【0041】
つまり、板厚tが厚い板材14,15に対しては肉厚Zs1の厚いスペーサ部材8,8、或いは、寸法Zb1の大きな第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4を使用する一方、板厚tが薄い板材14,15に対しては、肉厚Zs1の薄いスペーサ部材8,8、または、寸法Zb1の小さな第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4を使用することにより、図4および図5に示されるように、スペーサ部材8,8の両端部8a,8aを板材14,15の上面よりも上方に突出させ、かつ、スペーサ部材8,8の中央部8bを板材14,15の上面よりも下方に位置させることが可能となる。
【0042】
これにより、板厚tの大小に関わりなく、前述したように、スペーサ部材8の両端部8a,8aと当金6,6の下面との接触点を支点とし、また、ボルト7のボルトヘッドの下面と当金6,6の上面との接触点を力点として、更に、当金6,6の対向する端部6a,6aを作用点として、図4に示されるように、ボルト7,7の締め付けにより当金6,6の端部6a,6aを板材14,15の溶接側端部14a,15aに強力に突き当てて板材14,15をクランプすることができるようになる。
【0043】
従って、溶接条件の相違や板材14,15の厚みtの違い等に応じて様々な寸法の長尺裏当部材2,2の組を幾つも準備しておく必要はなく、同一規格の長尺裏当部材2,2で様々な溶接条件や板厚に対処することが可能であり、高価な銅等の素材を浪費することなく経済的な溶接作業を行うことができるようになる。
【0044】
また、2枚の板材14,15の溶接側端部14a,15aを当金6,6の先端側の端部6a,6aで集中的に押圧することができるので、長尺裏当部材2,2および当金6,6による熱の吸収作用を利用した熱歪みの低減効果が向上する。
【0045】
更に、長尺裏当部材2,2の下面側がベースプレート5の上面と密着することから、長尺裏当部材2,2の外径を小さ目にして材料費を節約したような場合であっても、小径の長尺裏当部材2,2の実質的な剛性を確保することができ、また、ベースプレート5を放熱手段として利用して熱歪みの低減および過剰な熱エネルギーの吸収効果を向上させることが可能となる。
【0046】
更に、第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4における各々の係合部9,9および10,10の間には、これら第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4を表裏に貫通するガス通し穴11,12が穿設され、ガス通し穴11にはニップル13が取り付けられているので、このニップル13にチューブを接続して不活性ガスを流通させることができる。
【0047】
ニップル13から導入された不活性ガスは、長尺裏当部材2,2の対向面の間に形成さるたギャップからなるガス流通経路20を通って図6(a)および図6(b)に示される矢印の方向に流れるバックシールドガスとなるため、板材14,15の付き合わせ部分に生じる酸化や凹凸状の荒れの発生を効果的に抑制することができる。
【0048】
なお、図6(a)および図6(b)に示される例では、板材14,15の幅が長尺裏当部材2,2のスパンに比べて相対的に短い場合について示しているが、板材14,15の幅が長尺裏当部材2,2のスパンと同程度の場合、つまり、板材14,15によって長尺裏当部材2,2の上面が殆ど覆われてしまうような場合においては、ガス流通経路20を通って流れたバックシールドガスの大半が第二の裏当部材支持ブロック4のガス通し穴12を通って外部に放出されることになる。
【0049】
また、板材14,15の幅が長尺裏当部材2,2のスパンに比べて相対的に短い場合においては、バックシールドガスの効果を有効に引き出すため、図6(a)および図6(b)に示されるように、板材14,15の側面のうち溶接終了点の側を第一の裏当部材支持ブロック3の側、つまり、バックシールドガスの供給側に寄せて取り付けるようにする。この際、バックシールドガスの漏れが生じたり第一の裏当部材支持ブロック3に溶接終了点の熱が影響したりするのを防止するため、板材14,15の側面と第一の裏当部材支持ブロック3との間に使い捨てのダミーブロック21を介装するとよい。
【0050】
また、このようにしてバックシールドガスを流通させた場合であっても、ギャップの両端、つまり、長尺裏当部材2,2の外周部のエッジ部分2c,2cに、溶接作業の繰り返しによる縁ダレ等の形状変化や組成変化が生じる場合があるが、このような場合には、再びボルト7を緩め、第一,第二の裏当部材支持ブロック3,4間に回転可能に支持された長尺裏当部材2,2を軸周りに90度だけ回転させることにより、改めて縁ダレ等の形状変化や組成変化のない部分を板材14,15の付き合わせ部分の載置面とすることができる。
【0051】
つまり、長尺裏当部材2,2の矩形状の外周部の四面の全てを溶接対象となる板材14,15の載置面として繰り返し利用することができるため、板状の一体型裏当部材101を利用した図7のような従来型の板材溶接用クランプ治具100と比べ、長尺裏当部材2,2の実質的な耐用期間を少なくとも4倍程度に引き延ばすことが可能となり、しかも、この間、長尺裏当部材2,2を交換することなく、適切なギャップ条件で確実な溶接作業を行うことができる。
【0052】
また、独立した2本の長尺裏当部材2,2を離間させてギャップYを形成する構成であるため、板状の一体型裏当部材101を利用した図7のような従来型の板材溶接用クランプ治具100と比べ、熱伝導率の高い高価な金属素材の使用量を少なめに抑制することが可能であり、板材溶接用クランプ治具1全体の製造コストの低廉化が可能となる。
【0053】
以上の実施形態は、プラズマ溶接を始めとして、Tig溶接,Mig溶接(Sigma溶接),炭酸ガスアーク溶接等の各種の溶接作業にそのまま適用することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明の板材溶接用クランプ治具は、矩形断面を有する2本の長尺裏当部材を第一,第二の裏当部材支持ブロックによって軸周りに回転可能に支持し、溶接対象となる2枚の板材の突き合わせ部分を2本の長尺裏当部材間の間隙に形成されるギャップ上に位置させて溶接作業を行うようにしているので、ギャップの両端に位置する長尺裏当部材のエッジ部分に溶接作業の繰り返しによる縁ダレ等の形状変化や組成変化が生じた場合であっても、2本の長尺裏当部材を90度ピッチで回転させることにより、その時点で未使用の状態にある他の外周面を溶接対象板材の載置面として新たに利用することができる。この結果、板状の一体型裏当部材を利用した従来型の板材溶接用クランプ治具と比べ、裏当部材の実質的な耐用期間を4倍程度に引き延ばすことが可能となり、しかも、この間、長尺裏当部材を交換することなく適切なギャップ条件で確実な溶接作業を行うことができる。
また、独立した2本の長尺裏当部材を離間させてギャップを形成する構成であるため、ギャップを刻設した板状の一体型裏当部材を利用した従来型の板材溶接用クランプ治具と比べ、熱伝導率の高い金属素材の使用量を少なめに抑制することが可能であり、熱伝導率の高い高価な金属素材を無駄にすることなく有効に利用して常に適切なギャップ条件で確実な溶接作業を行うことが可能となる。
【0055】
更に、2本の長尺裏当部材を支持する2つの係合部の間隔が異なる第一,第二の裏当部材支持ブロックの組を選択可能に複数組配備しているため、第一,第二の裏当部材支持ブロックの組を選択することで2本の長尺裏当部材間の間隙によって形成されるギャップの大きさを自由に選ぶことが可能となり、同一仕様の長尺裏当部材を使用して自由にギャップを調整することができる。
【0056】
また、第一,第二の裏当部材支持ブロックの上面と当金の下面との間には各当金の対向する端部を下方に向けて傾斜させる板状のスペーサ部材を配備しているので、溶接対象となる2枚の板材の溶接側端部を当金の先端で集中的に押圧することが可能となり、長尺裏当部材および当金による熱の吸収作用を利用した熱歪みの低減効果を向上させることができる。
【0057】
しかも、第一,第二の裏当部材支持ブロックをベースプレートによって下面側から固定することによって2本の長尺裏当部材の下面をベースプレートの上面と密着させるようにしているため、溶接対象となる板材を支える長尺裏当部材の実質的な剛性を高めることが可能であり、同時に、ベースプレートを放熱手段として利用して熱歪みの低減および過剰な熱エネルギーの吸収効果を向上させることもできるようになった。
【0058】
また、第一,第二の裏当部材支持ブロックにおける2つの係合部の間に第一,第二の裏当部材支持ブロックを表裏に貫通するガス通し穴を形成し、2本の長尺裏当部材間の間隙に形成されるギャップに沿って不活性ガスを流通させるようにしているので、ギャップの両側に位置する溶接対象の2枚の板材の溶接側端部に生じる酸化や凹凸状の荒れの発生を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態の板材溶接用クランプ治具の外観を示した斜視図である。
【図2】同実施形態の板材溶接用クランプ治具の構成要素を具体的に示した組立図である。
【図3】第一,第二の裏当部材支持ブロックにおける係合部の配設間隔の一例を示した概念図である。
【図4】溶接対象となる板材を板材溶接用クランプ治具でクランプした時の状態を示した断面図である。
【図5】溶接対象となる板材を板材溶接用クランプ治具でクランプした時の状態を示した斜視図である。
【図6】溶接対象となる板材をクランプした状態でバックシールドガスの流れを示した断面図である。
【図7】板状の一体型裏当部材を利用した従来の板材溶接用クランプ治具の一般的な構成例を示した概念図である。
【符号の説明】
1 板材溶接用クランプ治具
2 長尺裏当部材
2a,2b 円柱突起
2c エッジ部分
3 第一の裏当部材支持ブロック
4 第二の裏当部材支持ブロック
5 ベースプレート
6 当金
6a 当金の対向する端部
7 ボルト(締結手段)
8 スペーサ部材
8a スペーサ部材の両端部
8b スペーサ部材の中央部
9,10 係合部
11,12 ガス通し穴
13 ニップル
14,15 溶接対象となる板材
14a,15a 溶接側端部
16,17,18 貫通孔
19 雌ネジ部
20 ガス流通経路
21 ダミーブロック
100 板材溶接用クランプ治具(従来例)
101 裏当部材
102 ギャップ
102a エッジ部分
103,104 板材
103a,104a 溶接側端部
105,106 当金
107 溶接トーチ

Claims (5)

  1. 裏当部材に形成されたギャップ上で2枚の板材の溶接側端部を突き合わせて保持する板材溶接用クランプ治具であって、
    矩形断面を有する2本の長尺裏当部材と、前記各々の長尺裏当部材の一端部に嵌合して前記各々の長尺裏当部材を軸周りに回転可能に支持する2つの係合部を所定の間隔を空けて配備した第一の裏当部材支持ブロックと、前記各々の長尺裏当部材の他端部に嵌合して前記各々の長尺裏当部材を軸周りに回転可能に支持する2つの係合部を前記所定の間隔を空けて配備した第二の裏当部材支持ブロックと、前記2本の長尺裏当部材の両端部に装着された前記第一,第二の裏当部材支持ブロックを着脱可能に固定するベースプレートと、前記第一,第二の裏当部材支持ブロックの間に掛け渡され前記2本の長尺裏当部材の各々と並行して各々の長尺裏当部材の上面側に位置し前記2本の長尺裏当部材の各々に載置された2枚の板材の溶接側端部をクランプする一対の当金と、前記各々の当金の両端部に配備され前記各々の当金の両端部を前記第一,第二の裏当部材支持ブロックの上面に押し付けるようにして着脱可能に締結する締結手段とを備えたことを特徴とする板材溶接用クランプ治具。
  2. 前記2つの係合部の間隔が異なる第一,第二の裏当部材支持ブロックの組が選択可能に複数組配備されていることを特徴とする請求項1記載の板材溶接用クランプ治具。
  3. 前記第一,第二の裏当部材支持ブロックの上面と前記当金の下面との間に、前記一対の当金の対向する端部を下方に向けて傾斜させる板状のスペーサ部材が配備されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の板材溶接用クランプ治具。
  4. 前記ベースプレートは前記第一,第二の裏当部材支持ブロックを下面側から固定するように構成され、前記第一,第二の裏当部材支持ブロックには、前記2本の長尺裏当部材の下面が前記ベースプレートの上面と密着する位置に前記2つの係合部が配備されていることを特徴とする請求項1,請求項2または請求項3記載の板材溶接用クランプ治具。
  5. 前記第一,第二の裏当部材支持ブロックにおける2つの係合部の間に、該第一,第二の裏当部材支持ブロックを表裏に貫通するガス通し穴が形成されていることを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3または請求項4記載の板材溶接用クランプ治具。
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