JP2004017100A - 車両用ホイールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造欠陥の発生を防止して効率よく製造することができる車両用ホイールの製造方法を提供する。
【解決手段】溶融又は半溶融金属を、その内部に中子を配設した金型キャビティに充填して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造加工及び機械加工によって製造する方法であって、溶融金属を構成する金属としてアルミニウム合金又はマグネシウム合金Mを用い、かつ中子として溶融軽金属合金Mと同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる金属中子6を用い、その内部に金属中子6を配設した金型キャビティ5に、溶融軽金属合金Mを高速又は高圧で充填して、金属中子6を鋳包んだ鋳込み成形品を得、得られた鋳込み成形品の中空ハブ部に相当する部分を機械加工によって成形し、かつ鋳包まれた金属中子6を機械加工によって除去して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを得ることを特徴とする車両用ホイールの製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】溶融又は半溶融金属を、その内部に中子を配設した金型キャビティに充填して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造加工及び機械加工によって製造する方法であって、溶融金属を構成する金属としてアルミニウム合金又はマグネシウム合金Mを用い、かつ中子として溶融軽金属合金Mと同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる金属中子6を用い、その内部に金属中子6を配設した金型キャビティ5に、溶融軽金属合金Mを高速又は高圧で充填して、金属中子6を鋳包んだ鋳込み成形品を得、得られた鋳込み成形品の中空ハブ部に相当する部分を機械加工によって成形し、かつ鋳包まれた金属中子6を機械加工によって除去して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを得ることを特徴とする車両用ホイールの製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用ホイールの製造方法に関する。さらに詳しくは、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造欠陥の発生を防止して効率よく製造することができる車両用ホイールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】成形後、金型が抜けない形状であるアンダーカット部や中空部(例えば、中空ハブ部)を有する車両用ホイールを製造する場合、鋳造加工だけを用いてアンダーカット形状や中空形状を形成しようとすると、後述する不都合があることから、鋳造加工によって鋳込み成形品を作製後に、通常、機械(切削)加工によってアンダーカット形状や中空形状を形成せざるを得なかった。すなわち、コスト低減の理由等から、このような機械(切削)加工を省略して、敢えて鋳造加工だけで製造しようとすると、最終製品である成形品の形状(肉厚)に制約を受けるため、設計上の自由度が減少するとともに、厚肉部や肉厚変動部の発生を避けることが困難で、この部分に鋳造欠陥が発生しやすいという不都合があった。
【0003】このような不都合を避けるため、その内部に崩壊性中子を配設した金型キャビティを用い、この金型キャビティ内に溶融金属を高速又は高圧で充填した後、この崩壊性中子を崩壊させて除去することによって中空ハブ部を有する車両用ホイールを製造する方法(ダイカスト機の鋳込み装置)が開示されている(特許第3154054号公報)。
【0004】一方、中子として、前述の高圧又は高速充填に耐えられる強度を有する低融点金属(例えば、純亜鉛又は亜鉛合金等)製の中子(低融点金属中子)を用いて、成形後、この金属中子をその融点以上の温度に曝して溶融して除去する方法が開示されている(特開昭63−199060号公報及び特開平9−314301号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許第3154054号公報に開示された方法(装置)の場合、溶融金属の高速の衝突によって崩壊性中子が削られたり、溶融金属の高い押圧力によって崩壊性中子が変形したりすることに起因して、鋳造欠陥が発生するという問題があった。
【0006】また、特開昭63−199060号公報及び特開平9−314301号公報に開示された、亜鉛合金等の低融点金属で形成された低融点金属中子を用いて溶融又は半溶融アルミニウム合金又はマグネシウム合金を高速で金型キャビティに充填して中空製品を製造する場合、低融点金属中子が溶融変形したり、溶融又は半溶融金属と低融点金属中子とが合金化してしまう等の不都合があることから、その対策として、中子本体の表面に雲母系コーティング層を設けたり(特開昭63−199060号公報)、中子の下面のゲート部分に軽合金製リングを挿入する(特開平9−314301号公報)等のさらなる手段を必要とし、製造コストが高くなり、製造効率の面で問題があった。
【0007】さらに、亜鉛合金等の低融点金属で形成された低融点金属中子を用いて溶融又は半溶融アルミニウム合金又はマグネシウム合金を高速で金型キャビティに充填して中空製品を製造する場合、成形後、低融点金属中子を鋳包んだ成形品を亜鉛合金等の低融点金属の融点より高温(680K以上)にして低融点金属を溶解、除去する必要があるため、アルミニウム合金又はマグネシウム合金の中空製品が熱変形するという問題があった。
【0008】本発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造欠陥の発生を防止して効率よく製造することができる車両用ホイールの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の課題を解決すべく鋭意研究した結果、溶融又は半溶融金属を構成する金属としてアルミニウム合金又はマグネシウム合金を用い、かつ中子として溶融又は半溶融金属を構成するアルミニウム合金又はマグネシウム合金と同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる金属中子を用いて鋳造加工し、得られた鋳込み成形品を機械加工によって成形するとともに、金属中子を機械加工によって除去することにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】すなわち、本発明は、以下の車両用ホイールの製造方法を提供するものである。
【0011】
[1] 溶融又は半溶融金属を、その内部に中子を配設した金型キャビティに充填して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造加工及び機械加工によって製造する方法であって、前記溶融又は半溶融金属を構成する金属としてアルミニウム合金又はマグネシウム合金を用い、かつ前記中子として前記溶融又は半溶融金属を構成するアルミニウム合金又はマグネシウム合金と同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる金属中子を用い、その内部に前記金属中子を配設した金型キャビティに、前記溶融又は半溶融アルミニウム合金又はマグネシウム合金を高速又は高圧で充填して、鋳込み成形品を得、得られた前記鋳込み成形品の前記中空ハブ部に相当する部分を機械加工によって成形し、かつ前記金属中子を機械加工によって除去して、前記中空ハブ部を有する車両用ホイールを得ることを特徴とする車両用ホイールの製造方法。
【0012】このように構成することによって、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造欠陥の発生を防止して効率よく製造することができる。
【0013】
[2] 前記鋳込み成形品の中空ハブ部を機械加工によって成形する工程中で、前記金属中子を機械加工によって除去する前記[1]に記載の車両用ホイールの製造方法。
【0014】
[3] 前記金属中子として、ADC6、AC4C、AC4CH、AC4D、AC7A、AC2A及びAC1Bからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱伝導性に優れたアルミニウム合金を用いる前記[1]又は[2]に記載の車両用ホイールの製造方法。
【0015】
[4] 前記金属中子として、AZ91、AM60及びAS41からなる群から選ばれる少なくとも一種の切削性に優れたマグネシウム合金を用いる前記[1]又は[2]に記載の車両用ホイールの製造方法。
【0016】
[5] 前記金属中子として、前記溶融又は半溶融金属を構成する金属と同材質のものを用いる前記[1]〜[4]のいずれかに記載の車両用ホイールの製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0018】図1は、本発明の一の実施の形態に用いられる、型締め状態における鋳込み装置を模式的に示す断面図である。
【0019】図1に示すように、本実施の形態の車両用ホイールの製造方法は、溶融又は半溶融金属(以下、単に「溶融金属」ということがある)を、その内部に中子を配設した金型キャビティに充填して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造加工及び機械加工によって製造する方法であって、溶融金属を構成する金属としてアルミニウム合金又はマグネシウム合金M(以下、単に「溶融軽金属合金M」ということがある)を用い、かつ中子として溶融軽金属合金Mと同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる金属中子6を用い、その内部に金属中子6を配設した金型キャビティ5に、溶融軽金属合金Mを高速又は高圧で充填して、金属中子6を鋳包んだ鋳込み成形品を得、得られた鋳込み成形品の中空ハブ部に相当する部分を機械加工によって成形し、かつ鋳包まれた金属中子6を機械加工によって除去して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを得ることを特徴とする。
【0020】このように構成することによって、予めその内部に金属中子6を配設した金型キャビティ5内に、溶融軽金属合金Mを高速又は高圧で充填する際に、金属中子6は、前述の崩壊性中子のように、削れたり、変形することがなく、また、前述の低融点金属中子のように、溶融変形したり、溶融軽金属合金Mと合金化することがないため、鋳造欠陥の少ない健全な中空ハブ部を有する車両用ホイール成形品を得ることができる。
【0021】また、本実施の形態においては、鋳込み成形品の中空ハブ部を機械加工によって成形する工程中で、金属中子6を機械加工によって除去することが好ましい。
【0022】中空ハブ部を有する車両用ホイールは、車軸を取り付けるために鋳込み成形後にハブ部の開口部を機械加工する必要があり、このように、中空ハブ部の開口部の機械加工の工程中で金属中子6を切削して除去することによって、前述の崩壊性中子を破砕する工程又は前述の低融点金属中子を溶解、除去する工程が不要になり、製造効率を向上させることができる。また、車両用ホイール成形品の設計段階において、金属中子の形状を、中空ハブ部が鋳造欠陥の発生しにくい肉厚及び形状に適宜設計することができる。
【0023】また、本実施の形態においては、後述するように、金属中子6として、JIS規格の、ADC6、AC4C、AC4CH、AC4D、AC7A、AC2A及びAC1Bからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱伝導性に優れたアルミニウム合金を用いることが好ましい。
【0024】また、本実施の形態においては、後述するように、金属中子6として、ASTM規格の、AZ91、AM60及びAS41からなる群から選ばれる少なくとも一種の切削性に優れたマグネシウム合金を用いることが好ましい。
【0025】さらに、本実施の形態においては、後述するように、金属中子6として、溶融軽金属合金Mと同材質のものを用いることが好ましい。
【0026】以下、本発明の実施の形態を、図1〜図3を参照して、さらに具体的に説明する。
【0027】図1は、上述のように、本発明の一の実施の形態に用いられる、型締め状態における鋳込み装置を模式的に示す断面図であり、図2は、本発明の一の実施の形態に用いられる金属中子を模式的に示す斜視図であり、図3は、図2に示す金属中子の縦断面図である。
【0028】図1に示すように、本実施の形態に用いられる鋳込み装置10は、金型キャビティ5から右方側に固定主型1が、左方側に可動主型2が配設されている。固定主型1は、端部側に設けられた固定金型3を含み、可動主型2の可動金型4は、この固定金型3と面合わせ状態で密着及び離間可能に配設されている。これら固定主型1、固定金型3、可動金型2及び可動金型4で金型が構成され、固定金型3及び可動金型4が密着、接合した際の隙間に金型キャビティ5が形成され、その金型キャビティ5に溶融軽金属合金Mが鋳込まれて、車両用ホイールの製品形状を有する鋳込み成形品が製造される。
【0029】金型キャビティ5は、その中央部に車両用ホイールの中空ハブ部の形状に対応するように固定金型3及び可動金型4側へ膨出した形状を有し、可動主型2の移動方向を中心軸とする筒状円盤形の膨出室11を有している。この膨出室11内には、可動主型2側に固定され、可動主型2の移動方向に向けて膨出室11を横断するように突出した中子支持用突出部7が配設されている。膨出室11内には、中央に貫通孔8を有する金属中子6が、その貫通孔8に中子支持用突出部7を挿入した状態で、中子支持用突出部7に支持されている。
【0030】また、金型キャビティ5は、膨出室11に連通して車両用ホイールにおける車輪リブを形成するための、固定金型3及び可動金型4との接合面に配設されたリブ室9と、タイヤ装着用のリムを形成するための、リブ室9に略T型状に連通したリム室12とを備えている。また、膨出室11の可動金型4側には、ハブ体の車体への取付腕を形成するため膨出室11から可動金型4内へ向けて取付腕室14が凹設されている。この取付腕室14は、中子支持用突出部7を中心として放射状に複数個配置されている。この金型キャビティ5内に溶融軽金属合金Mを注入することによって、ハブ体を中心として周回状にリブとリムとが配置された車両用ホイールを成形することができる。
【0031】膨出室11の固定金型3側の略中央位置には、固定主型1側から固定金型3を貫通して湯道13が連通されている。また、膨出室11の可動金型4側の略中央位置に固定された中子支持用突出部7は固定主型1方向へ向けて先細状に形成されている。これにより、金型キャビティ5の型締め、型開き作動時に、金属中子6の貫通孔8に対する中子支持用突出部7の挿抜を簡易かつ確実に行うことができ、製品の成形サイクルを短縮化することができる。また、成形作動中に固定金型3側から圧入される溶融軽金属合金Mの押圧力によって、金属中子6は中子支持用突出部7の先細りの先端部7a側から逆向きに押圧されて中子支持用突出部7に強固に係止され、成形サイクルの実効化を達成することができる。
【0032】中子支持用突出部7は、先細り状の棒体15に形成されている。この棒体15には、その先端部7a側から挿入した金属中子6を膨出室11内に位置決め係止する位置決め段差部16が設けられている。この棒体15(中子支持用突出部7)に金属中子6をその貫通孔8を介して挿入して位置決め段差部16に金属中子6の一方側面を係着させている。中子支持用突出部7の先端部7aは金属中子6の貫通孔8から突出しており、膨出室11内の所定位置に金属中子6を正確に配置することができ、中空ハブ部の形状等が均一化された高精度の成形品を製造することができる。中子支持用突出部7は1個のみ設けてもよく、複数個設けてもよい。後述する金属中子6には少なくともその中央部分に貫通孔8が設けられるが、その他にも中子支持用突出部7を複数個設けるような場合に対応して雌雄挿入されるように他の1個又は複数の貫通孔を設けてもよい。
【0033】また、図1に示すように、中子支持用突出部7の先端部7aは、中子支持用突出部7に挿入、係止した金属中子6の側面から突出するとともに、固定金型3及び可動金型4の型締め状態で、固定金型3に開口した湯道13の開口側に対向するように配置される。この湯道13は固定主型1側から膨出室11の略中央位置に連通している。これにより、湯道13から膨出室11内へ圧入された溶融軽金属合金Mは、中子支持用突出部7の先端部7aにより放射状に分流、拡散され、金型キャビティ5内に溶融軽金属合金Mを均等に圧入、保持して品質が均一で高精度な中空ハブ部を有する車両用ホイールを成形することができる。
【0034】図1〜図3に示すように、金属中子6は、ハブ部内を中空に成形するため、膨出室11の大きさより一回り小さい円盤形の中実体に形成されている。この金属中子6の略中央に設けた貫通孔8は、金属中子6の一方の側面から他方の側面へ貫通している。この貫通孔8は、中子支持用突出部7の先細り状に形成された棒体15に挿抜可能となるように、膨出室11内に配置した状態で可動主型2側から固定主型1側方向に向けて先細り状に形成されている。
【0035】これにより、金属中子6の貫通孔8への中子支持用突出部7の挿入(装着)及び位置決めが確実にでき、車両用ホイールの中空ハブ部を高精度の形状に成形することができる。また、棒体15の中子支持用突出部7に金属中子6をその貫通孔8を介して挿入して位置決め段差部16に金属中子6の一方側面を係着させると、中子支持用突出部7の先端部7aが金属中子6の他方側面から突出し、膨出室11内の所定位置に金属中子6を正確に配置することができ、中空ハブ部の形状等が均一化された高精度の成形品を製造することができる。
【0036】金属中子の材質は、溶融軽金属合金Mと同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなるが、溶融軽金属合金Mの鋳造特性及び車両用ホイールの製造コスト等を考慮して選択することが好ましい。
【0037】例えば、溶融軽金属合金Mの凝固、収縮を速くすることによって金属中子周辺の中空ハブ部の引け巣を防止したい場合、金属中子の材質は、マグネシウム合金よりも熱伝導性に優れているアルミニウム合金を用いることが好ましい。そして、中空ハブ部の引け巣をより効果的に防止したい場合には、アルミニウム合金の中でも熱伝導度が高い、JIS規格の、ADC6、AC4C、AC4CH、AC4D、AC7A、AC2A及びAC1Bからなる群から選ばれる少なくとも一種の合金等を用いることがさらに好ましい。
【0038】また、加工コストを低減したい場合、金属中子の材質は、アルミニウム合金よりも切削性に優れているマグネシウム合金を用いることが好ましい。そして、より加工コストを低減したい場合には、マグネシウム合金の中でも、切削性に優れた、ASTM規格の、AZ91、AM60及びAS41からなる群から選ばれる少なくとも一種の合金等を用いることがさらに好ましい。
【0039】さらに、車両用ホイールの成形後に機械加工によってハブ部の内部(金属中子)及び開口部(車軸取付け部)を同時に切削する場合には、金属中子の材質として、溶融軽金属合金Mと同材質のものを選択するとともに、切削性に優れた、ASTM規格の、AZ91、AM60及びAS41からなる群から選ばれる少なくとも一種のマグネシウム合金を用いることによって、機械加工を簡易化することができるとともに、車両用ホイールと金属中子との切削粉を分別する必要をなくして、加工コストを低減化することができる。
【0040】実際の製造上、前述のように、金属中子の材質として、溶融軽金属合金Mと同材質のものを選択することが便利であり、また、溶融軽金属合金Mの材質として、例えば、ADC3、AC4C、AC4CH、AZ91及びAM60等を用いることが多いこと等を総合的に考慮すると、金属中子の材質としては、ADC3、ADC6、AC4C、AC4CH、AZ91及びAM60からなる群から選ばれる少なくとも一種の合金が特に好ましい。
【0041】金属中子6の形状としては、例えば、膨出室11と略相似した厚肉のドーナツ状に形成することを挙げることができる。
【0042】このように、中子支持用突出部7と、中央部に貫通孔8を形成して略ドーナツ状に形成した金属中子6とを用いることにより、高速又は高圧のダイカスト鋳造方法及び半溶融成形法に中子を用いることができ、これによって、均一な成形圧力により機械的強度及び品質に優れた高速、高圧成形ホイ−ルの製造が可能となるとともに、中子の使用による量産化が可能となるため、生産性が高く、しかも、鋳造サイクルが早く、高い競争力を備えた製品の製造が可能となり、さらに、製品の軽量化を実現することができるとともに、完成品の使用時における軸出力を確実に維持することができ、製造コストを大幅に低減することが可能となる。
【0043】本実施の形態に用いられる鋳込み装置10の動作についてさらに具体的に説明する。
【0044】可動主型2を固定主型1から後退させた型開き状態で、可動金型4から突出している中子支持用突出部7に金属中子6をその貫通孔8を介して挿入、係止させる。その後、可動主型2を固定主型1方向へ移動させ、同時に可動主型2側の分割されたスライドコア17を所定の型締め位置へ移動させて型締め動作を終了する。
【0045】図1は、この型締め動作が完了した状態を示し、可動主型2、固定主型1は全て密着、当接している。固定金型3及び可動金型4で形成される金型キャビティ5の中央部の膨出室11内の所定位置に金属中子6が配置されている。そして、湯道13を介して、金型キャビティ5が、規定の温度範囲で成分調整した溶融軽金属合金Mを保持した保持炉(図示せず)に連通している。
【0046】型締め完了後に、減圧装置(図示せず)により金型キャビティ5、湯道13内の圧力を減圧し、設定された減圧状態に達すると、湯道13を経由して、保持炉から溶融軽金属合金Mが金型キャビティ5内に充填されるとともに、高圧が加えられ、所定時間圧力を保持する。この後、金型内部を循環している冷却水により冷却して軽合金製の車両用ホイールの鋳込み成形品(図示せず)が成形される。
【0047】この後、可動主型2と固定主型1とを溶融軽金属合金Mが固化した状態で左方へ移動させ、可動主型2の型開き動作を再開するとともに、型全開状態まで移動させる。このとき、スライドコア17は退避して成形品の周縁部の型保持を解き、この後、押出しピン(図示せず)により鋳込み成形品を押し出して搬出装置(図示せず)により搬出する。
【0048】得られた鋳込み成形品にハブ部の開口部(車軸取付け部)の形成や、必要に応じて、バリ取り、磨き仕上げ等の機械加工を行う工程中で、金属中子6を機械加工によって除去して、最終製品である車両用ホイールの製造が完了する。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造欠陥の発生を防止して効率よく製造することができる車両用ホイールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態に用いられる、型締め状態における鋳造装置を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の一の実施の形態に用いられる金属中子を模式的に示す斜視図である。
【図3】図2に示す金属中子の縦断面図である。
【符号の説明】
1…固定主型、2…可動主型、3…固定金型、4…可動金型、5…金型キャビティ、6…金属中子、7…中子支持用突出部、7a…中子支持用突出部の先端部、8…貫通孔、9…リブ室、10…鋳込み装置、11…膨出室、12…リム室、13…湯道、14…取付腕室、15…棒体、16…位置決め段差部、17…スライドコア、M…溶融軽金属合金。
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用ホイールの製造方法に関する。さらに詳しくは、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造欠陥の発生を防止して効率よく製造することができる車両用ホイールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】成形後、金型が抜けない形状であるアンダーカット部や中空部(例えば、中空ハブ部)を有する車両用ホイールを製造する場合、鋳造加工だけを用いてアンダーカット形状や中空形状を形成しようとすると、後述する不都合があることから、鋳造加工によって鋳込み成形品を作製後に、通常、機械(切削)加工によってアンダーカット形状や中空形状を形成せざるを得なかった。すなわち、コスト低減の理由等から、このような機械(切削)加工を省略して、敢えて鋳造加工だけで製造しようとすると、最終製品である成形品の形状(肉厚)に制約を受けるため、設計上の自由度が減少するとともに、厚肉部や肉厚変動部の発生を避けることが困難で、この部分に鋳造欠陥が発生しやすいという不都合があった。
【0003】このような不都合を避けるため、その内部に崩壊性中子を配設した金型キャビティを用い、この金型キャビティ内に溶融金属を高速又は高圧で充填した後、この崩壊性中子を崩壊させて除去することによって中空ハブ部を有する車両用ホイールを製造する方法(ダイカスト機の鋳込み装置)が開示されている(特許第3154054号公報)。
【0004】一方、中子として、前述の高圧又は高速充填に耐えられる強度を有する低融点金属(例えば、純亜鉛又は亜鉛合金等)製の中子(低融点金属中子)を用いて、成形後、この金属中子をその融点以上の温度に曝して溶融して除去する方法が開示されている(特開昭63−199060号公報及び特開平9−314301号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許第3154054号公報に開示された方法(装置)の場合、溶融金属の高速の衝突によって崩壊性中子が削られたり、溶融金属の高い押圧力によって崩壊性中子が変形したりすることに起因して、鋳造欠陥が発生するという問題があった。
【0006】また、特開昭63−199060号公報及び特開平9−314301号公報に開示された、亜鉛合金等の低融点金属で形成された低融点金属中子を用いて溶融又は半溶融アルミニウム合金又はマグネシウム合金を高速で金型キャビティに充填して中空製品を製造する場合、低融点金属中子が溶融変形したり、溶融又は半溶融金属と低融点金属中子とが合金化してしまう等の不都合があることから、その対策として、中子本体の表面に雲母系コーティング層を設けたり(特開昭63−199060号公報)、中子の下面のゲート部分に軽合金製リングを挿入する(特開平9−314301号公報)等のさらなる手段を必要とし、製造コストが高くなり、製造効率の面で問題があった。
【0007】さらに、亜鉛合金等の低融点金属で形成された低融点金属中子を用いて溶融又は半溶融アルミニウム合金又はマグネシウム合金を高速で金型キャビティに充填して中空製品を製造する場合、成形後、低融点金属中子を鋳包んだ成形品を亜鉛合金等の低融点金属の融点より高温(680K以上)にして低融点金属を溶解、除去する必要があるため、アルミニウム合金又はマグネシウム合金の中空製品が熱変形するという問題があった。
【0008】本発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造欠陥の発生を防止して効率よく製造することができる車両用ホイールの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の課題を解決すべく鋭意研究した結果、溶融又は半溶融金属を構成する金属としてアルミニウム合金又はマグネシウム合金を用い、かつ中子として溶融又は半溶融金属を構成するアルミニウム合金又はマグネシウム合金と同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる金属中子を用いて鋳造加工し、得られた鋳込み成形品を機械加工によって成形するとともに、金属中子を機械加工によって除去することにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】すなわち、本発明は、以下の車両用ホイールの製造方法を提供するものである。
【0011】
[1] 溶融又は半溶融金属を、その内部に中子を配設した金型キャビティに充填して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造加工及び機械加工によって製造する方法であって、前記溶融又は半溶融金属を構成する金属としてアルミニウム合金又はマグネシウム合金を用い、かつ前記中子として前記溶融又は半溶融金属を構成するアルミニウム合金又はマグネシウム合金と同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる金属中子を用い、その内部に前記金属中子を配設した金型キャビティに、前記溶融又は半溶融アルミニウム合金又はマグネシウム合金を高速又は高圧で充填して、鋳込み成形品を得、得られた前記鋳込み成形品の前記中空ハブ部に相当する部分を機械加工によって成形し、かつ前記金属中子を機械加工によって除去して、前記中空ハブ部を有する車両用ホイールを得ることを特徴とする車両用ホイールの製造方法。
【0012】このように構成することによって、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造欠陥の発生を防止して効率よく製造することができる。
【0013】
[2] 前記鋳込み成形品の中空ハブ部を機械加工によって成形する工程中で、前記金属中子を機械加工によって除去する前記[1]に記載の車両用ホイールの製造方法。
【0014】
[3] 前記金属中子として、ADC6、AC4C、AC4CH、AC4D、AC7A、AC2A及びAC1Bからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱伝導性に優れたアルミニウム合金を用いる前記[1]又は[2]に記載の車両用ホイールの製造方法。
【0015】
[4] 前記金属中子として、AZ91、AM60及びAS41からなる群から選ばれる少なくとも一種の切削性に優れたマグネシウム合金を用いる前記[1]又は[2]に記載の車両用ホイールの製造方法。
【0016】
[5] 前記金属中子として、前記溶融又は半溶融金属を構成する金属と同材質のものを用いる前記[1]〜[4]のいずれかに記載の車両用ホイールの製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0018】図1は、本発明の一の実施の形態に用いられる、型締め状態における鋳込み装置を模式的に示す断面図である。
【0019】図1に示すように、本実施の形態の車両用ホイールの製造方法は、溶融又は半溶融金属(以下、単に「溶融金属」ということがある)を、その内部に中子を配設した金型キャビティに充填して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造加工及び機械加工によって製造する方法であって、溶融金属を構成する金属としてアルミニウム合金又はマグネシウム合金M(以下、単に「溶融軽金属合金M」ということがある)を用い、かつ中子として溶融軽金属合金Mと同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる金属中子6を用い、その内部に金属中子6を配設した金型キャビティ5に、溶融軽金属合金Mを高速又は高圧で充填して、金属中子6を鋳包んだ鋳込み成形品を得、得られた鋳込み成形品の中空ハブ部に相当する部分を機械加工によって成形し、かつ鋳包まれた金属中子6を機械加工によって除去して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを得ることを特徴とする。
【0020】このように構成することによって、予めその内部に金属中子6を配設した金型キャビティ5内に、溶融軽金属合金Mを高速又は高圧で充填する際に、金属中子6は、前述の崩壊性中子のように、削れたり、変形することがなく、また、前述の低融点金属中子のように、溶融変形したり、溶融軽金属合金Mと合金化することがないため、鋳造欠陥の少ない健全な中空ハブ部を有する車両用ホイール成形品を得ることができる。
【0021】また、本実施の形態においては、鋳込み成形品の中空ハブ部を機械加工によって成形する工程中で、金属中子6を機械加工によって除去することが好ましい。
【0022】中空ハブ部を有する車両用ホイールは、車軸を取り付けるために鋳込み成形後にハブ部の開口部を機械加工する必要があり、このように、中空ハブ部の開口部の機械加工の工程中で金属中子6を切削して除去することによって、前述の崩壊性中子を破砕する工程又は前述の低融点金属中子を溶解、除去する工程が不要になり、製造効率を向上させることができる。また、車両用ホイール成形品の設計段階において、金属中子の形状を、中空ハブ部が鋳造欠陥の発生しにくい肉厚及び形状に適宜設計することができる。
【0023】また、本実施の形態においては、後述するように、金属中子6として、JIS規格の、ADC6、AC4C、AC4CH、AC4D、AC7A、AC2A及びAC1Bからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱伝導性に優れたアルミニウム合金を用いることが好ましい。
【0024】また、本実施の形態においては、後述するように、金属中子6として、ASTM規格の、AZ91、AM60及びAS41からなる群から選ばれる少なくとも一種の切削性に優れたマグネシウム合金を用いることが好ましい。
【0025】さらに、本実施の形態においては、後述するように、金属中子6として、溶融軽金属合金Mと同材質のものを用いることが好ましい。
【0026】以下、本発明の実施の形態を、図1〜図3を参照して、さらに具体的に説明する。
【0027】図1は、上述のように、本発明の一の実施の形態に用いられる、型締め状態における鋳込み装置を模式的に示す断面図であり、図2は、本発明の一の実施の形態に用いられる金属中子を模式的に示す斜視図であり、図3は、図2に示す金属中子の縦断面図である。
【0028】図1に示すように、本実施の形態に用いられる鋳込み装置10は、金型キャビティ5から右方側に固定主型1が、左方側に可動主型2が配設されている。固定主型1は、端部側に設けられた固定金型3を含み、可動主型2の可動金型4は、この固定金型3と面合わせ状態で密着及び離間可能に配設されている。これら固定主型1、固定金型3、可動金型2及び可動金型4で金型が構成され、固定金型3及び可動金型4が密着、接合した際の隙間に金型キャビティ5が形成され、その金型キャビティ5に溶融軽金属合金Mが鋳込まれて、車両用ホイールの製品形状を有する鋳込み成形品が製造される。
【0029】金型キャビティ5は、その中央部に車両用ホイールの中空ハブ部の形状に対応するように固定金型3及び可動金型4側へ膨出した形状を有し、可動主型2の移動方向を中心軸とする筒状円盤形の膨出室11を有している。この膨出室11内には、可動主型2側に固定され、可動主型2の移動方向に向けて膨出室11を横断するように突出した中子支持用突出部7が配設されている。膨出室11内には、中央に貫通孔8を有する金属中子6が、その貫通孔8に中子支持用突出部7を挿入した状態で、中子支持用突出部7に支持されている。
【0030】また、金型キャビティ5は、膨出室11に連通して車両用ホイールにおける車輪リブを形成するための、固定金型3及び可動金型4との接合面に配設されたリブ室9と、タイヤ装着用のリムを形成するための、リブ室9に略T型状に連通したリム室12とを備えている。また、膨出室11の可動金型4側には、ハブ体の車体への取付腕を形成するため膨出室11から可動金型4内へ向けて取付腕室14が凹設されている。この取付腕室14は、中子支持用突出部7を中心として放射状に複数個配置されている。この金型キャビティ5内に溶融軽金属合金Mを注入することによって、ハブ体を中心として周回状にリブとリムとが配置された車両用ホイールを成形することができる。
【0031】膨出室11の固定金型3側の略中央位置には、固定主型1側から固定金型3を貫通して湯道13が連通されている。また、膨出室11の可動金型4側の略中央位置に固定された中子支持用突出部7は固定主型1方向へ向けて先細状に形成されている。これにより、金型キャビティ5の型締め、型開き作動時に、金属中子6の貫通孔8に対する中子支持用突出部7の挿抜を簡易かつ確実に行うことができ、製品の成形サイクルを短縮化することができる。また、成形作動中に固定金型3側から圧入される溶融軽金属合金Mの押圧力によって、金属中子6は中子支持用突出部7の先細りの先端部7a側から逆向きに押圧されて中子支持用突出部7に強固に係止され、成形サイクルの実効化を達成することができる。
【0032】中子支持用突出部7は、先細り状の棒体15に形成されている。この棒体15には、その先端部7a側から挿入した金属中子6を膨出室11内に位置決め係止する位置決め段差部16が設けられている。この棒体15(中子支持用突出部7)に金属中子6をその貫通孔8を介して挿入して位置決め段差部16に金属中子6の一方側面を係着させている。中子支持用突出部7の先端部7aは金属中子6の貫通孔8から突出しており、膨出室11内の所定位置に金属中子6を正確に配置することができ、中空ハブ部の形状等が均一化された高精度の成形品を製造することができる。中子支持用突出部7は1個のみ設けてもよく、複数個設けてもよい。後述する金属中子6には少なくともその中央部分に貫通孔8が設けられるが、その他にも中子支持用突出部7を複数個設けるような場合に対応して雌雄挿入されるように他の1個又は複数の貫通孔を設けてもよい。
【0033】また、図1に示すように、中子支持用突出部7の先端部7aは、中子支持用突出部7に挿入、係止した金属中子6の側面から突出するとともに、固定金型3及び可動金型4の型締め状態で、固定金型3に開口した湯道13の開口側に対向するように配置される。この湯道13は固定主型1側から膨出室11の略中央位置に連通している。これにより、湯道13から膨出室11内へ圧入された溶融軽金属合金Mは、中子支持用突出部7の先端部7aにより放射状に分流、拡散され、金型キャビティ5内に溶融軽金属合金Mを均等に圧入、保持して品質が均一で高精度な中空ハブ部を有する車両用ホイールを成形することができる。
【0034】図1〜図3に示すように、金属中子6は、ハブ部内を中空に成形するため、膨出室11の大きさより一回り小さい円盤形の中実体に形成されている。この金属中子6の略中央に設けた貫通孔8は、金属中子6の一方の側面から他方の側面へ貫通している。この貫通孔8は、中子支持用突出部7の先細り状に形成された棒体15に挿抜可能となるように、膨出室11内に配置した状態で可動主型2側から固定主型1側方向に向けて先細り状に形成されている。
【0035】これにより、金属中子6の貫通孔8への中子支持用突出部7の挿入(装着)及び位置決めが確実にでき、車両用ホイールの中空ハブ部を高精度の形状に成形することができる。また、棒体15の中子支持用突出部7に金属中子6をその貫通孔8を介して挿入して位置決め段差部16に金属中子6の一方側面を係着させると、中子支持用突出部7の先端部7aが金属中子6の他方側面から突出し、膨出室11内の所定位置に金属中子6を正確に配置することができ、中空ハブ部の形状等が均一化された高精度の成形品を製造することができる。
【0036】金属中子の材質は、溶融軽金属合金Mと同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなるが、溶融軽金属合金Mの鋳造特性及び車両用ホイールの製造コスト等を考慮して選択することが好ましい。
【0037】例えば、溶融軽金属合金Mの凝固、収縮を速くすることによって金属中子周辺の中空ハブ部の引け巣を防止したい場合、金属中子の材質は、マグネシウム合金よりも熱伝導性に優れているアルミニウム合金を用いることが好ましい。そして、中空ハブ部の引け巣をより効果的に防止したい場合には、アルミニウム合金の中でも熱伝導度が高い、JIS規格の、ADC6、AC4C、AC4CH、AC4D、AC7A、AC2A及びAC1Bからなる群から選ばれる少なくとも一種の合金等を用いることがさらに好ましい。
【0038】また、加工コストを低減したい場合、金属中子の材質は、アルミニウム合金よりも切削性に優れているマグネシウム合金を用いることが好ましい。そして、より加工コストを低減したい場合には、マグネシウム合金の中でも、切削性に優れた、ASTM規格の、AZ91、AM60及びAS41からなる群から選ばれる少なくとも一種の合金等を用いることがさらに好ましい。
【0039】さらに、車両用ホイールの成形後に機械加工によってハブ部の内部(金属中子)及び開口部(車軸取付け部)を同時に切削する場合には、金属中子の材質として、溶融軽金属合金Mと同材質のものを選択するとともに、切削性に優れた、ASTM規格の、AZ91、AM60及びAS41からなる群から選ばれる少なくとも一種のマグネシウム合金を用いることによって、機械加工を簡易化することができるとともに、車両用ホイールと金属中子との切削粉を分別する必要をなくして、加工コストを低減化することができる。
【0040】実際の製造上、前述のように、金属中子の材質として、溶融軽金属合金Mと同材質のものを選択することが便利であり、また、溶融軽金属合金Mの材質として、例えば、ADC3、AC4C、AC4CH、AZ91及びAM60等を用いることが多いこと等を総合的に考慮すると、金属中子の材質としては、ADC3、ADC6、AC4C、AC4CH、AZ91及びAM60からなる群から選ばれる少なくとも一種の合金が特に好ましい。
【0041】金属中子6の形状としては、例えば、膨出室11と略相似した厚肉のドーナツ状に形成することを挙げることができる。
【0042】このように、中子支持用突出部7と、中央部に貫通孔8を形成して略ドーナツ状に形成した金属中子6とを用いることにより、高速又は高圧のダイカスト鋳造方法及び半溶融成形法に中子を用いることができ、これによって、均一な成形圧力により機械的強度及び品質に優れた高速、高圧成形ホイ−ルの製造が可能となるとともに、中子の使用による量産化が可能となるため、生産性が高く、しかも、鋳造サイクルが早く、高い競争力を備えた製品の製造が可能となり、さらに、製品の軽量化を実現することができるとともに、完成品の使用時における軸出力を確実に維持することができ、製造コストを大幅に低減することが可能となる。
【0043】本実施の形態に用いられる鋳込み装置10の動作についてさらに具体的に説明する。
【0044】可動主型2を固定主型1から後退させた型開き状態で、可動金型4から突出している中子支持用突出部7に金属中子6をその貫通孔8を介して挿入、係止させる。その後、可動主型2を固定主型1方向へ移動させ、同時に可動主型2側の分割されたスライドコア17を所定の型締め位置へ移動させて型締め動作を終了する。
【0045】図1は、この型締め動作が完了した状態を示し、可動主型2、固定主型1は全て密着、当接している。固定金型3及び可動金型4で形成される金型キャビティ5の中央部の膨出室11内の所定位置に金属中子6が配置されている。そして、湯道13を介して、金型キャビティ5が、規定の温度範囲で成分調整した溶融軽金属合金Mを保持した保持炉(図示せず)に連通している。
【0046】型締め完了後に、減圧装置(図示せず)により金型キャビティ5、湯道13内の圧力を減圧し、設定された減圧状態に達すると、湯道13を経由して、保持炉から溶融軽金属合金Mが金型キャビティ5内に充填されるとともに、高圧が加えられ、所定時間圧力を保持する。この後、金型内部を循環している冷却水により冷却して軽合金製の車両用ホイールの鋳込み成形品(図示せず)が成形される。
【0047】この後、可動主型2と固定主型1とを溶融軽金属合金Mが固化した状態で左方へ移動させ、可動主型2の型開き動作を再開するとともに、型全開状態まで移動させる。このとき、スライドコア17は退避して成形品の周縁部の型保持を解き、この後、押出しピン(図示せず)により鋳込み成形品を押し出して搬出装置(図示せず)により搬出する。
【0048】得られた鋳込み成形品にハブ部の開口部(車軸取付け部)の形成や、必要に応じて、バリ取り、磨き仕上げ等の機械加工を行う工程中で、金属中子6を機械加工によって除去して、最終製品である車両用ホイールの製造が完了する。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造欠陥の発生を防止して効率よく製造することができる車両用ホイールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態に用いられる、型締め状態における鋳造装置を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の一の実施の形態に用いられる金属中子を模式的に示す斜視図である。
【図3】図2に示す金属中子の縦断面図である。
【符号の説明】
1…固定主型、2…可動主型、3…固定金型、4…可動金型、5…金型キャビティ、6…金属中子、7…中子支持用突出部、7a…中子支持用突出部の先端部、8…貫通孔、9…リブ室、10…鋳込み装置、11…膨出室、12…リム室、13…湯道、14…取付腕室、15…棒体、16…位置決め段差部、17…スライドコア、M…溶融軽金属合金。
Claims (5)
- 溶融又は半溶融金属を、その内部に中子を配設した金型キャビティに充填して、中空ハブ部を有する車両用ホイールを鋳造加工及び機械加工によって製造する方法であって、
前記溶融又は半溶融金属を構成する金属としてアルミニウム合金又はマグネシウム合金を用い、かつ前記中子として前記溶融又は半溶融金属を構成するアルミニウム合金又はマグネシウム合金と同程度の融点を有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金からなる金属中子を用い、その内部に前記金属中子を配設した金型キャビティに、前記溶融又は半溶融アルミニウム合金又はマグネシウム合金を高速又は高圧で充填して、鋳込み成形品を得、
得られた前記鋳込み成形品の前記中空ハブ部に相当する部分を機械加工によって成形し、かつ前記金属中子を機械加工によって除去して、前記中空ハブ部を有する車両用ホイールを得ることを特徴とする車両用ホイールの製造方法。 - 前記鋳込み成形品の中空ハブ部を機械加工によって成形する工程中で、前記金属中子を機械加工によって除去する請求項1に記載の車両用ホイールの製造方法。
- 前記金属中子として、ADC6、AC4C、AC4CH、AC4D、AC7A、AC2A及びAC1Bからなる群から選ばれる少なくとも一種の熱伝導性に優れたアルミニウム合金を用いる請求項1又は2に記載の車両用ホイールの製造方法。
- 前記金属中子として、AZ91、AM60及びAS41からなる群から選ばれる少なくとも一種の切削性に優れたマグネシウム合金を用いる請求項1又は2に記載の車両用ホイールの製造方法。
- 前記金属中子として、前記溶融又は半溶融金属を構成する金属と同材質のものを用いる請求項1〜4のいずれかに記載の車両用ホイールの製造方法。
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