JP2004016392A - 骨密度測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アダプタブロック32を骨密度測定装置10の肘当てブロック24に装着することにより、肘当てブロック24で定義される測定対象者の肘当て面24aを測定対象者の体格に応じて天板18の長手方向に移動し、天板18上までオフセットした修正肘当て面32aとする。その結果、前腕長の短い測定対象者に対しても前腕の所定位置(尺骨茎状突起から前腕長の1/3の位置)を天板18上の最適な測定領域内に位置決めする。つまり、前腕長の長い測定対象者用に設計された測定装置10を用いても、前腕長の短い測定対象者の前腕の所定位置を最適な測定位置に位置決めし、汎用性の向上が可能になる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨密度測定装置、特に測定対象者の体格に左右されることなく、良好な骨密度測定を行うことのできる汎用性の高い骨密度測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
骨粗鬆症の診断や治療の経過観察を行うための重要なデータとして、骨密度の測定(骨中のミネラルの密度の測定)があり、従来から、この骨密度を測定するための様々なタイプの骨密度測定装置が提案されている。骨密度の測定方法には、X線を用いるものや超音波を用いるもの等様々な方式がある。例えば、X線を用いる方法だけでも、1波長のX線を用いるものや2波長のX線を用いるものが知られている。特に、2波長で生体のX線吸収量を求めれば、軟組織と骨のデータを相互に分離でき、骨のみのX線吸収量を演算することができる。なお、一般的なX線を用いた骨密度測定装置は、2波長型であり、広帯域のX線から特定の2つの波長に関するデータを抽出して、骨密度の演算を行っている。
【0003】
X線を用いた骨密度測定装置は、踵骨や橈骨を測定部位とすることができるが、高齢者でも骨の変形が少ない橈骨が測定に適している。実際に橈骨の骨密度測定を行う場合、前腕部分をX線照射領域である天板上に固定し、前腕の所定位置のX線データの収集を行う。通常、一般的な診断や経過観察の場合、肘頭から尺骨茎状突起までの長さを測定し、これを前腕長といい、尺骨茎状突起から前腕長の1/3の位置を測定ポイントとして測定することが学会等で推奨されている。このように測定位置の基準を定めることにより、測定毎のデータの信頼性向上や他のデータとの比較等を容易に行うことが可能となる。もちろん、多岐にわたる診断や研究目的等で前腕の他の部分や前腕全体のデータ収集を行う場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような前腕を測定対象とする骨密度測定装置は、主に大人を測定対象者として設計されている。そのため、X線の照射を行う天板も前腕の長い大人の測定ポイントに良好にX線照射を行えるように設定されている。しかし、近年、小児に対しても骨密度の測定を行いたいという要望が高まっている。ところが、小児の場合、大人に比べ前腕の長さが短いため、前腕の所定位置、つまり推奨される測定ポイントを骨密度測定装置の天板上の最適なX線の照射領域に位置決めすることができないという問題がある。小児用にX線の照射領域を設定することも考えられるが、小児用にX線照射領域を小さくする必要があるため、前腕の長い大人には適用できなくなってしまう。つまり測定対象者の体格により測定が良好にできない場合が存在していた。測定対象者の体格ごと、例えば大人用、小児用というように骨密度測定装置を準備することも考えられるが、コスト面での不利益はもとより、設置場所の問題等もあり現実的ではない。
【0005】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、体格の異なる測定対象者、例えば大人でも小児でも同一の装置により同様な骨密度測定を良好に行うことのできる、容易な構成で汎用性の高い骨密度測定装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明は、測定対象者の前腕の所定位置に対し、所定の測定処理を施し、骨密度を測定する骨密度測定装置において、前記測定対象者の前腕の所定位置を測定基準領域に載置可能な測定台と、前記測定基準領域内に載置された前腕に対し、骨密度測定情報の収集を行うデータ収集ユニットと、前記測定台上における測定対象者の前腕の載置位置の基準となる肘当て面を含む基準手段と、前記基準手段の肘当て面を測定対象者の体格に応じて前記測定基準領域内までオフセット移動する肘当て面修正手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
ここで、測定基準領域とは、基準手段のみを使用したとき、骨密度測定を行うためのデータを収集することが可能な領域であり、例えば、骨密度測定にX線を利用する場合には、X線照射領域となる。
【0008】
この構成によれば、測定対象者の体格に応じて、肘当て面を測定基準領域の長手方向にオフセットすることができる。例えば、前腕の長い測定対象者(例えば大人)の場合、肘当て面を測定基準領域から遠ざかる方向に設定した状態で、前腕の所定位置を測定基準領域内に位置決めすることができる。一方、前腕の短い測定対象者(例えば小児)の場合、肘当て面を測定基準領域内までオフセットすることにより、前腕の長い測定対象者と同じ測定基準領域で前腕の所定位置を位置決めすることが可能になり、前腕の長い測定対象者と同様に良好な骨密度測定を行うことができる。
【0009】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記肘当て面修正手段は、前記基準手段に対し着脱自在なアダプタブロックであることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、アダプタブロックを所定位置に装着することにより肘当て面の位置を容易に修正することができる。
【0011】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記アダプタブロックは、前記基準手段に対し完全に分離可能であるとを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、アダプタブロックは、基準手段から分離できるので、必要に応じ、その所在を選ぶことができる。
【0013】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記アダプタブロックは、前記基準手段に対し進退移動可能であることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、アダプタブロックの進退移動に応じ、前記肘当て面が測定基準領域内にオフセットする状態と、前記肘当て面が測定基準領域から退避する状態を形成することができる。このとき、例えば、アダプタブロックをヒンジやスライド機構等を用いて基準手段連結すれば、容易にこれらの2つの状態の切り替えを行うことができる。また、アダプタブロックの紛失や破損の防止に役立ち、アダプタブロックの管理が容易になる。
【0015】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記アダプタブロックは、伸縮機構を有すること特徴とする。
【0016】
この構成によれば、単一のアダプタブロックでも肘当て面の位置を多段的に修正することが可能で、測定対象者の体格に応じた詳細な設定を行うことができる。
【0017】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記アダプタブロックは、アダプタ通知手段を有し、骨密度測定装置は、前記アダプタ通知手段を検知する検知手段をさらに含み、当該検知手段の出力に応じて前記アダプタブロックの装着状態を自動認識することを特徴とする。
【0018】
ここで、アダプタ通知手段は、例えばアダプタブロックから突出した突起である。また、骨密度測定装置側は例えば、光学式検出手段や機械式検出手段を備えている。
【0019】
この構成によれば、アダプタブロックの装着の有無を骨密度測定装置に自動認識させることが可能であり、骨密度測定装置の取り扱いミスを確実に防止することができる。
【0020】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記基準手段は、肘当て面を決定する肘当てブロックと、当該肘当てブロックを一端側に支持するベース部材で構成され、前記肘当て面修正手段は、前記ベース部材の骨密度測定装置に対する姿勢を反転自在に固定する固定手段で構成されることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、容易な構成で肘当て面のオフセットを行うことができる。なお、固定手段は、ベース部材を測定台の上面に係合した状態で180°姿勢を反転(旋回)させて固定する構成や、ベース部材を測定台から取り外した状態で180°反転(旋回)させる構成等任意の手段を採用することができる。
【0022】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記肘当て面修正手段の装着状態に応じて、骨密度測定処理演算の修正を行う演算修正部を含むことを特徴とする。
【0023】
ここで演算修正部とは、例えば、前腕の所定位置を算出するための前腕長測定時に基準座標の修正を行ったり、骨密度測定のためデータ収集領域の修正を行ったりする。
【0024】
この構成によれば、肘当て面修正手段の装着の有無により骨密度の測定処理を自動修正することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0026】
図1には、前腕を測定対象とする本実施形態の骨密度測定装置(以下、単に測定装置という)10の概念構造が示されている。なお、本実施形態においては、X線方式の骨密度測定装置10を例にとり説明するが、骨密度測定方法は、周知の方法を任意に利用することができる。図1に示すように、測定装置10は大別して、測定ユニット12と演算ユニット14とで構成されている。そして、本実施形態の測定ユニット12において、測定基準領域に対応して天板18が設けられている。測定ユニット12は、本体16の上面に測定対象者(被検者)が前腕を載置可能な天板18を含む測定台20を有し、その内部には、X線発生器が収納され、天板18上に載置された前腕を透過したX線を天板18の上方のアーム22に内蔵された検出器によって検出している。
【0027】
測定台20は、略平面形状を呈し、その一端には、前記測定対象者が天板18上に前腕を載置する場合に、その載置位置の基準となる基準手段として、肘当てブロック24が固定されている。なお、この肘当てブロック24は、測定台20に着脱自在な薄板状のベース部材26に固定されている。また、測定台20の長手方向には、ガイドレール28が延設され、当該ガイドレール28には測定対象者が天板18上に前腕を載置する場合に、把持可能なグリップ30が移動自在に係合している。従って、測定対象者は、天板18に前腕を載置する場合、肘当てブロック24に肘を当て、前腕の長さに応じてガイドレール28をスライドして最適位置に移動したグリップ30を把持することになる。その結果、前腕を肘当てブロック24の肘当て面を基準として、天板18上に安定的に位置決めすることが可能になる。なお、グリップ30は把持しやすいように、測定台20から斜めに浮き上がった姿勢を呈している。
【0028】
一方、演算ユニット14は、パーソナルコンピュータ等で構成され、測定ユニット12で収集したX線データに基づき周知の演算を行い骨密度を算出し、ディスプレイ上にその結果や中間データその他、骨密度測定に関する様々な情報を提示できるようになっている。もちろん、図示しないプリンタ等の出力装置や他の処理装置への情報提供も可能である。なお、測定したX線に基づく骨密度測定の具体的な手法は、周知の方法を用いるためその説明は省略する。
【0029】
本実施形態の特徴は、肘当てブロック24で決定される測定対象者の肘当て面を測定対象者の体格に応じて天板18の長手方向に移動し、前記肘当て面を天板18上、すなわち、測定基準領域内にまでオフセットすることにある。前腕長の短い測定対象者に対して、肘当て面修正手段を使用することによって、前腕の所定位置(尺骨茎状突起から前腕長の1/3の位置)を天板18上の測定処理エリア内に位置決めすることができる。結果的に、前腕長の長い測定対象者用の測定装置を前腕長の短い測定対象者でも良好に利用することができる。
【0030】
図1には、もっともシンプルな肘当て面修正手段として、矩形形状のアダプタブロック32を肘当てブロック24に装着する例が示されている。このアダプタブロック32は、例えば、X線の影響を受けたり、X線に影響を与えたりしない材質であれば任意の材質が使用可能であり、例えば樹脂等で形成される。このアダプタブロック32の天板18の長手方向の大きさは、肘当て面24aの位置を天板18側に実質的にオフセットしたい量、例えば、大人と小児の前腕長の平均的長さの違いを考慮した量(例えば、9cm)が選択させる。図2には、測定台20に基準手段としての肘当てブロック24にアダプタブロック32が装着され、肘当て面24aが修正肘当て面32aにオフセットされた状態が示されている。図2においては、前腕長の短い、例えば小児がアダプタブロック32によって修正された修正肘当て面32aに前腕34の肘頭44を当接させつつ、グリップ30を把持することにより天板18上に前腕34を位置決めしている状態が示されている。なお、このもっともシンプルなアダプタブロック32の使用例においては、アダプタブロック32は、前腕34の肘頭44により肘当てブロック24に押圧されることにより保持されている。また、アダプタブロック32の装着は、測定装置10の操作者が自ら装着を示すスイッチを操作することにより測定装置10に装着情報を入力している。
【0031】
図3は、X線を用いた測定装置10の内部構成を示す構成ブロック図である。前述したように、本体16の内部には、X線発生器36が収納されている。このX線発生器36は、天板18に対して、例えばX線ペンシルビームを形成するもであり、X−Y方向(紙面左右および上下方向)に移動することにより測定に必要な走査ラインを形成する。例えば、前腕の所定位置で骨密度の測定を行う場合には、その位置で走査ラインを形成するように、図2の上下方向に走査動作を行う。また、前腕の全体の骨密度測定を行う場合には、図中左右方向に所定ピッチずつ移動しながら上下方向に走査を行うことにより行う。一方、天板18の上方には、X線発生器36から照射された前腕を透過したX線を検出する検出器38がアーム22内に配置されている。本実施形態において、照射されたX線ペンシルビームを検出するための検出器38は単一の検出素子で形成されてるものを用いている。そのため、X線発生器36と検出器38とは、対面位置を保った状態で同期して、動作する必要がある。そのため、アーム22で実質的に接続されたX線発生器36と検出器38は、単一の移動機構、例えばX−Yテーブル40により動作するようになっている。このX−Yテーブル40は、X線発生器36の制御を含む骨密度測定データ収集全体の制御を行う制御部42に接続され制御されている。なお、本実施形態においては、X線発生器36と検出器38でデータ収集ユニットを構成している。
【0032】
ところで、前述したように、測定対象者の骨密度を測定する場合、研究目的等で前腕長の全スキャンを行う以外は、前腕の所定位置で測定を行うので、前腕長を測定する必要がある。前腕長とは、図2に示すように、肘頭44から尺骨茎状突起46までの長さである。ここで、制御部42は、肘頭44の位置をアダプタブロック32の非使用時には、肘当てブロック24の肘当て面24aの座標で認識することができる。同様に、アダプタブロック32の使用時には、修正肘当て面32aの座標によって認識することができる。一方、尺骨茎状突起の位置は、肘頭44の位置により変化するので、別途特定する必要がある。本実施形態においては、レーザマーカ(例えば、赤色ビーム)を用いて、尺骨茎状突起46の位置を特定している。つまり、図3に示すように、検出器38を内蔵するアーム22は、レーザ発生器48も内蔵している。前述したように、アーム22はX−Yテーブル40によりX−Y平面内を任意に移動可能なので、骨密度の測定に先立ち、前腕34が測定台20に載置されたら、測定装置10の操作者は、アーム22をマニュアルで移動させ、レーザマーカを尺骨茎状突起46(図2参照)に合わせる。レーザマーカの位置決め操作を行うことで、制御部42はレーザ発生器48の座標(つまり、X−Yテーブル22の移動先座標)を尺骨茎状突起46の座標として認識することができる。なお、レーザ発生器48は、ドライバ50を介して制御部42によって制御され、尺骨茎状突起46位置の認識時のみレーザビームを照射するようになっている。この他、本体16内部には、X線発生器36やその他の装置に必要な電源を供給する電源部52等が内蔵されている。
【0033】
また、制御部42には、本実施形態において特徴的事項であるアダプタブロック32の装着を示すスイッチ54からの信号を受け付ける信号入力部が設けられている。このスイッチ54からの信号は、前述したように、測定装置10の操作者が自らアダプタブロック32の装着を判断してスイッチ54を操作し、信号を供給する。このスイッチ54からの信号に代えて、後に詳細に述べる構成により測定装置10がアダプタブロック32の装着を自動検出して信号を供給する場合がある。
【0034】
図4に示すフローチャートを用いて、アダプタブロック32を使用した場合の測定装置10の動作を説明する。以下、図1〜図4を用いて測定装置10の具体的な動作を説明する。測定装置10の制御部42は、まず、肘当てブロック24の位置を認識する(S100)。前腕部の骨密度測定を行う場合、一般的には、非利き腕を利用する。左腕測定時と右腕測定時のどちらでも利用できるように、肘当てブロック24は、測定台20の両端のいずれにも固定できるようになっている。図2の場合、左腕測定用に肘当てブロック24が測定台20の左側に固定されている例を示している。前述したように、肘当てブロック24はベース部材26に一体固定されており、ベース部材26の下面には、図示していない突起が形成され、測定台20の表面に形成された図示していないスリットに挿入可能になっている。前記突起がスリットに挿入することにより、ベース部材26が測定台20に位置決め固定されるとともに、スリット内部に配置された検出器、例えば、光学式センサや機械式センサによって、ベース部材26の装着、つまり肘当てブロック24が左腕用位置と右腕用位置とのどちらに装着されたかを認識する。もちろん、測定台20上にさらに多数のスリットを形成することによりベース部材26の固定位置の微調整を行うことも、その微調整量を認識することもできる。制御部42は、この場合肘当て面のデフォルト位置を認識している必要がある。
【0035】
続いて、制御部42は、アダプタブロック32が装着されているか否かの判断を行う(S101)。この判断は、前述したように、測定装置10の操作者が自らの判断により操作盤等に設けられたスイッチ54を操作してアダプタブロック装着の信号を供給することができる。また、それに代えて測定装置10側でアダプタブロック32の装着の自動認識を行う場合もある。例えば、図5に示すように、アダプタブロック32の側面等に突起56を形成しておき、アダプタブロック32を肘当てブロック24に装着した時に、突起56の挿入可能な位置に設けられた本体16側のスリット58に突起56を挿入する。スリット58内に設けた光学式センサや機械式センサで、その突起56を検知することによりアダプタブロック32の装着の自動認識を行うことができる。この場合、図3におけるスイッチ54が不要となる。なお、突起56とスリット58を係合させる構成にすることにより、アダプタブロック32の位置決め固定や装着方向の確認等も同時に行うことが可能となる。この他、例えば、アダプタブロック32に磁石を取り付けておけば、アダプタブロック32の装着の自動認識を行う手段として、磁気センサを利用することもできる。また、例えば、アダプタブロック32にスイッチ操作用爪を設けた場合には、測定台20上で前腕34の載置の妨げにならない位置であって、前腕34との接触による誤動作が起きない位置であれば、測定台20上に設けたリミットスイッチ等を自動認識手段と利用することもできる。
【0036】
アダプタブロック32の装着が確認されると、制御部42は、肘当て面の変更処理を行う(S102)。前述したように、骨密度測定に先立ち前腕長の測定が必要になる。前腕長測定の基準は肘頭44が当たる肘当て面の位置になる。従って、制御部42は、前腕長測定時に使用する基準座標をアダプタブロック32の装着確認に基づき、肘頭44が実際に当接する座標位置を肘当てブロック24で決定される肘当て面24aから装着されたアダプタブロック32で決定される修正肘当て面32aに変更する処理を行う。一方、制御部42は、アダプタブロック32が非装着であると判断した場合、肘当てブロック24の位置に基づく肘当て面の座標を前腕長測定の基準とする。
【0037】
続いて、制御部42は、レーザ発生器48により測定台20上にレーザーマーカを使用して、前腕長の測定をする(S103)する。測定装置10の操作者は、X−Yテーブル40をマニュアル操作し、アーム22を移動させ、レーザマーカを尺骨茎状突起46に合わせ、図示しないマーク完了スイッチ等の操作により尺骨茎状突起46の位置の確定を行う。制御部42は、先に認識している肘当て面24aまたは修正肘当て面32aの座標とレーザーマーカで確定した尺骨茎状突起46の位置に基づく座標により前腕長の長さを算出する。
【0038】
さらに、制御部42は、算出した前腕長を用いて、骨密度測定を行う所定の測定位置の算出を行う(S104)。本実施形態の場合、例えば、前腕の所定位置を算出する。その後、制御部42は、X−Yテーブル40を駆動し、X線発生器36と検出器38を前腕の所定位置に移動し(S105)、X線ペンシルビームの照射を開始し、所定の走査を行い骨密度測定を行う(S106)。
【0039】
制御部42は、骨密度測定に必要なデータを収集したら、演算ユニット14(図1参照)にデータを転送し、周知の処理アルゴリズムに従い骨密度算出を行い、必要に応じて、ディスプレイやプリンタに出力したり、他の装置にさらに結果を出力したりして(S107)、一連の骨密度測定処理を終了する。
【0040】
このように、アダプタブロック32を用いて、肘当て面24aを天板上の位置までオフセットすることにより、前腕長の長い測定対象者(例えば大人)用に設計された測定装置10を用いても、前腕長の短い測定対象者(例えば小児)の前腕の所定位置を最適な測定位置に位置決めすることを容易に行うことができる。その結果、単一の測定装置10を体格の異なる測定対象者に利用することが可能になり、測定対象者に関し、汎用性が向上する。
【0041】
なお、上述した実施形態では、アダプタブロック32が肘当てブロック24に対して完全に分離できる例を示した。しかし、例えば、アダプタブロック32と肘当てブロック24とを、ヒンジ等の手段で連結することとしてもよい。また、アダプタブロック32の肘当て面を天板上までオフセットする時と、肘当て面を天板上から退避させた位置の時と、進退自在に移動できる構成としてもよい。これらの場合、アダプタブロック32の紛失や破損の防止が可能でアダプタブロックの管理が容易になる。なお、例えばモータやシリンダ等を用いたスライド機構を用いて肘当て面の移動を行うこともできる。
【0042】
また、上述の例では、アダプタブロック32は、矩形形状を呈すると説明したが、図5に示すように、凹状形状の肘当て面32bとしてもよい。この場合、肘を安定して受け止めることが可能で、前腕34の保持安定性を向上することができる。また、アダプタブロック32に伸縮構造を持たせてもよい。つまり、アダプタブロック32に、例えば、2重構造スライド機構を設け、測定対象者の体格に応じてアダプタブロック32自体の大きさを変化させるようにしてもよい。この場合、単一のアダプタブロック32でも肘当て面の位置を多段階的に修正することが可能になるので、測定対象者の体格に応じた詳細な設定を行うことができる。もちろん、この場合、アダプタブロック32の伸縮状態の情報を制御部42側に伝達できる手段を設けることが望ましい。
【0043】
図6には、他の実施形態が示されている。上述した実施形態においては、肘当て面修正手段として、アダプタブロックを使用する例を示したが、図6に示す例においては、測定台20上における測定対象者の前腕の載置位置の基準となる肘当て面を含む基準手段の姿勢を反転した状態で固定する固定手段により、肘当て面修正手段を構成する例を説明する。
【0044】
肘当てブロック60は、前述した肘当てブロック24と同様に、薄板状のベース部材62上に固定されている。ベース部材62の裏面には、測定台20への固定を行うための異なる長さの突起64a,64b(本実施形態では2本)が形成されている。図6から明らかなように、肘当てブロック60は、ベース部材62の一端部に形成され、突起64a,64bが他端側に形成されている。
【0045】
この突起64a,64bは、図1等に示すベース部材26に形成される図示していない突起と同様に、測定台20に形成されたスリット20a,20bに挿入されることにより、測定台20に対しベース部材62を位置決めすることができる。また、スリット20a,20b内部にセンサを設けることにより、ベース部材62の位置を測定装置10に認識させることができる。
【0046】
本実施形態の場合、肘当て面修正手段は、この2本の突起64a,64bとスリット20a,20bで構成される。つまり、前腕長の長い測定対象者(例えば大人)が骨密度測定を行う場合には、図6(a)に示すように、ベース部材62の長い方の突起64aを天板18に近いスリット20aに挿入し、短い方の突起64bを天板18から遠い方のスリット20bに挿入し、位置決め固定する。その結果、肘当てブロック60は、天板18から遠い位置に位置決めされることとなり、前腕長の長い測定対象者の前腕の所定位置を天板18上の測定位置に位置決めすることができる。
【0047】
一方、前腕長の短い測定対象者(例えば小児)が骨密度測定を行う場合には、図6(b)に示すように、ベース部材62の短い方の突起64bを天板18に近いスリット20aに挿入し、長い方の突起64aを天板18から遠い方のスリット20bに挿入し、位置決め固定する。つまり、図6(a)の状態に対して、ベース部材62及び肘当てブロック60を反転させた姿勢で固定する。その結果、肘当てブロック60は、天板18上までオフセットされた状態で固定されることとなり、前腕長の短い測定対象者の前腕の所定位置を天板18上の測定位置に位置決めすることができる。このとき、長い突起64aと短い突起64bと、スリット20a,20bとの係合関係を検出することにより、肘当てブロック60の肘当て面(この場合、肘当てブロック60の表裏がそれぞれ肘当て面になる)が修正状態(本実施形態では、前腕長の短い測定対象者用に設定した場合を修正状態とする)にあるか否かを容易に判断することができる。なお、突起64a,64bやスリット20a,20bの構成は一例であり、反転(旋回)により肘当てブロックをオフセットし固定することが可能で、その反転状態を認識できる構成であれば、その形態に任意であり同様な効果を得ることができる。
【0048】
このように、肘当てブロック60及びベース部材62を反転姿勢で固定することにより肘当て面を天板上の位置までオフセットすることが可能になり、前腕長の長い測定対象者用に設計された測定装置10を用いても、前腕長の短い測定対象者の前腕の所定位置を最適な測定位置に位置決めすることを容易に行うことができる。
【0049】
なお、図6(a)、(b)に示すような肘当てブロック60及びベース部材62は測定台20から分離した状態で反転させ、肘当てブロック60を反転姿勢にしたが、測定台20の平面上に係合した状態で、任意の点を中心に旋回して肘当てブロック60を反転姿勢にしてもよい。
【0050】
上述した各実施形態においては、アダプタブロック32の利用及び肘当てブロック60やベース部材62の反転固定により、前腕の肘当て面を変更し、体格の異なる測定対象者の前腕の所定位置を測定位置に位置決めするとともに、制御部42に含まれる演算修正部により、前腕長の計測時の基準座標を変更し、スムーズに前腕長の測定を行うことを示した。例えば、アダプタブロック32の利用等が確認された場合、制御部42は、測定対象者が前腕長が短い小児であると判断することができる。この場合、例えば、骨密度測定を前腕の全領域にわたって行う場合には、前腕が短いことが認識されているので、演算修正部はX線の照射領域を前腕の長さに応じて狭くする補正制御を行うことができる。もちろんその場合、制御部42は、肘頭44の座標と尺骨茎状突起46の座標を認識しているので、必要な範囲のみに限定した的確なX線照射制御を行うことができる。このように、アダプタブロック32等の肘当て面修正手段による肘当て面の修正に基づいて、例えば、小児に対してデータ収集を行う場合に、測定時間の短縮やX線照射量の低減等が可能になり、測定対象者の体格に応じた適切な制御を効果的に行うことができる。この他、肘当て面修正手段の修正状態に基づいて、測定値に対して様々な補正を行うこともできる。
【0051】
なお、図1の構成は、測定ユニット12と演算ユニット14とを分離構成した例を示しているが、測定ユニット12と演算ユニット14とを一体化してもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、測定対象者の体格に応じて、肘当て面を測定基準領域内にオフセットすることができる。例えば、前腕の長い測定対象者(例えば大人)の場合、肘当て面を測定基準領域から遠ざかる方向に位置決めした状態で、前腕の所定位置を測定基準領域に位置決めすることができる。一方、前腕の短い測定対象者(例えば小児)の場合、肘当て面を測定基準領域内までオフセットすることにより、前腕の長い測定対象者と同じ測定基準領域上で前腕の所定位置を位置決めすることが可能になり、同一の骨密度測定装置により前腕の長い測定対象者と同様に良好な骨密度測定を容易な構成で行うことが可能となり、骨密度測定装置の汎用性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る骨密度測定装置の概念構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る骨密度測定装置の上面概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る骨密度測定装置の構成ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る骨密度測定装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る骨密度測定装置のアダプタブロックの装着例を説明する説明図である。
【図6】本発明の骨密度測定装置の他の実施形態を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 骨密度測定装置、12 測定ユニット、14 演算ユニット、16 本体、18 天板、20 測定台、22 アーム、24 肘当てブロック、26 ベース部材、28 ガイドレール、30 グリップ、32 アダプタブロック。
Claims (8)
- 測定対象者の前腕の所定位置に対し、所定の測定処理を施し、骨密度を測定する骨密度測定装置において、
前記測定対象者の前腕の所定位置を測定基準領域に載置可能な測定台と、
前記測定基準領域内に載置された前腕に対し、骨密度測定情報の収集を行うデータ収集ユニットと、
前記測定台上における測定対象者の前腕の載置位置の基準となる肘当て面を含む基準手段と、
前記基準手段の肘当て面を測定対象者の体格に応じて前記測定基準領域内までオフセット移動する肘当て面修正手段と、
を含むことを特徴とする骨密度測定装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記肘当て面修正手段は、
前記基準手段に対し着脱自在なアダプタブロックであることを特徴とする骨密度測定装置。 - 請求項2記載の装置において、
前記アダプタブロックは、前記基準手段に対し完全に分離可能であるとを特徴とする骨密度測定装置。 - 請求項2記載の装置において、
前記アダプタブロックは、前記基準手段に対し進退移動可能であることを特徴とする骨密度測定装置。 - 請求項2から請求項4のいずれか1に記載の装置において、前記アダプタブロックは、伸縮機構を有すること特徴とする骨密度測定装置。
- 請求項2から請求項5のいずれか1に記載の装置において、前記アダプタブロックは、アダプタ通知手段を有し、骨密度測定装置は、前記アダプタ通知手段を検知する検知手段をさらに含み、当該検知手段の出力に応じて前記アダプタブロックの装着状態を自動認識することを特徴とする骨密度測定装置。
- 請求項1記載の装置において、
前記基準手段は、
肘当て面を決定する肘当てブロックと、当該肘当てブロックを一端側に支持するベース部材で構成され、
前記肘当て面修正手段は、
前記ベース部材の骨密度測定装置に対する姿勢を反転自在に固定する固定手段で構成されることを特徴とする骨密度測定装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか1に記載の装置において、
前記肘当て面修正手段の装着状態に応じて、骨密度測定処理演算の修正を行う演算修正部を含むことを特徴とする骨密度測定装置。
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