JP2004015192A - 通信装置、通信方法、および通信システム - Google Patents

通信装置、通信方法、および通信システム Download PDF

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Abstract

【課題】OFDMシンボルを用いた無線LAN内のハンドオーバや異種通信システムから無線LANへのハンドオーバを円滑に行う通信システムを提供する。
【解決手段】それぞれのAP(基地局)とMT(携帯端末)との間で送受信されるフレームは同期していない。MT1は、AP1と通信を行いながらAP1とAP2のセルの境界上にあってAP2の方向へ移動しているためAP2へのハンドオーバが必要となる。MT1は1系統の送受信ベースバンド、RF送信回路および2系統のRF受信回路を備え、メインのRF送受信回路でAP1との送受信を行い、サブのRF送受信回路でハンドオーバ先のAP2の信号を受信してOFDMシンボルやフレームの同期を行う。MT1が移動してハンドオーバが必要になったときは、サブのRF送受信回路が事前にOFDMシンボルやフレームの同期タイミングを取ってあるAP2に対してハンドオーバするように動作する。
【選択図】    図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)シンボル同期やフレーム同期をとることにより、携帯端末のハンドオーバを効果的に行う通信システム、通信装置および通信方法に関するものである。より詳細には、携帯端末が周波数の異なるセル間やセルと既存の網との間を移動してハンドオーバする際のOFDMシンボル同期やフレーム同期を、簡単な同期回路によって実現できるような通信システム、通信装置および通信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図19は、データ通信や音声通信を目的とした一般的な通信システムの概念図である。図19に示すように、データ通信や音声通信(以下、データ通信と音声通信を含めて単に通信という)のサービスエリア内に、基地局等のアクセスポイント(以下、AP:Access Pointという)AP1,AP2,AP3、…を配置することによって、通信のサービスエリアを面的にカバーしている。各APが通信をカバーする範囲をセルと呼び、セル内にある各携帯端末(以下、MT:MobileTerminalという)は、最も通信状態の良好なAPと通信を行う。図19の例で説明すると、MT1はAP1と通信し、MT2はAP2と通信し、MT3はAP3と通信している。ここで、各セルには重なりがあり、この部分をオーバラップゾーンと呼ぶことにする。図19の例ではMT1はオーバラップゾーンに位置し、AP1とAP2のどちらとでも通信を行うことが可能である。この例では、MT1はAP1と通信を行いながらAP2へハンドオーバする状態を示している。
【0003】
図20は、APとMTとが通信を行うときのOFDMシンボルのフレーム構成を示す図である。また、図21は、MAC(Media Access Control)フレーム構成を示す図である。各APとMTとの通信は、図20に示すようなOFDMシンボルのフレーム構成、および図21に示すようなMACフレーム構成に従って行われる。図20に示すように、1つのOFDMシンボルは3.2μsecで構成されており、これに0.8μsecまたは0.4μsecのガードタイムが付加されて1つのOFDMシンボルの送信単位となる。APとMTは主従関係で完全に同期がとられており、OFDMシンボル同期はOFDMシンボルの先頭位置を検出して行われ(図20)、フレーム同期は放送フェーズの先頭位置を検出して行われる(図21)。なお、MTの送受信のタイミングはAPが全て管理している。
【0004】
図21に示すように、APとMTは2msec間隔でMACフレームを送受信している。このMACフレームは、放送フェーズ、ダウンリンクフェーズ、アップリンクフェーズ、ランダムアクセスフェーズの4つのフェーズから構成されている。MTは、起動すると周波数チャネルをスキャンしてもっとも強い信号を選択し、先ずAPから送信されてくる放送フェーズを受信する。放送フェーズを受信することによってランダムアクセスフェーズの位置がわかる。次に、MTはランダムアクセスフェーズで通信要求の信号をAPに対して送信する。APでこの要求が受け入れられれば、そのMTが情報の送受信で使用するタイムスロット情報が放送フェーズで伝送される。MTは2msec毎にAPから送られてくる放送フェーズを受信することで、自局あてのタイムスロットや、自局がAPに対して送信すべきタイムスロット情報を知ることができる。
【0005】
図22は、ダウンリンクフェーズの詳細な内訳を示す図である。ダウンリンクフェーズの前半部分の8.0μsecは制御情報であり、後半部分に連接されている4.0μsecごとのOFDMシンボルのそれぞれをタイムスロットと呼ぶことにする。各MTは、このタイムスロットの何番目を利用するかを放送フェーズで知らされる。この例ではタイムスロットは2つだけであるが、通信容量や利用者の数などによってタイムスロットは増減する。アップリンクフェーズの場合もダウンリンクフェーズの場合と全く同様の構成である。
【0006】
ここで、図19の通信システムに示すように、MT1がAP1のセルからAP2のセルへハンドオーバしようとした場合を考える。図23は、MTとAPとの間で伝送される送受信フレームの構成を示す図である。図23に示すように、各基地局は同期をとっていないので、AP1とMT1との間で送受信されているフレームと、AP2とMT2との間で送受信されているフレームとは非同期である。そのため、MTがハンドオーバを行う際には、ハンドオーバ先で新たにOFDMシンボルの同期とフレーム同期を行わなければならない。一般にOFDMシンボルの同期は、受信信号と、受信信号をOFDMシンボル期間だけ遅延させた信号との相関値を計算し、これをタイムスロット毎に累積加算することでOFDMのシンボルの同期位置を検出している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、各APとMTとの間で送受信されるフレームについてOFDMシンボルの同期がとれると、今度はフレーム同期を取らなければならない。これは、前述したように、放送フェーズを受信してランダムアクセスフェーズの位置を検出し、その時間のタイミングでAPに対して接続要求を行う必要があるためである。このように、OFDMシンボルを用いたデータ通信装置では同期をとるための動作にかなりの時間がかかる。そのため、ハンドオーバ時には、MTは同期がとれるまでデータの送受信を停止しなくてはならない。通常のデータ通信であれば、ある程度の瞬断は許容できるが、動画配信などの即時性の要求されるアプリケーションではデータの一時的な停止は問題となる。また、MTが比較的高速で移動するような状況で、ハンドオーバが頻繁に生じる環境下においてはスループットの低下の原因ともなる。また、MTが有線LANや既存の携帯電話のデータ通信装置を備えるハイブリッド機である場合、有線LANや既存の携帯電話からOFDMシンボルを用いた無線LANシステムに切り換える際にも、同様の不具合が生じる。また、音声通信の場合においてもMTの同期がとれるまで音声の送受信を停止しなくてはならないという不具合は同じである。
【0008】
なお、特開昭63−115428号公報には、1つの送信部と2つ以上の受信部をもち、送信部と一方の受信部を使用して通常の通信を行い、他方の受信部を使用して隣接基地局と同期を確立し、ハンドオーバ指令を受けると受信部をそのまま切り換えて通信を続行する技術が開示されている。また、特開平11−346378号公報には、1つの受信部を使って現在通信中の基地局との同期と隣接基地局との同期をそれぞれ専用のカウンタを使って保持し、隣接基地局への同期検出動作は、通信フレーム中で送受信動作を行わない期間を利用して行う技術が開示されている。この技術によれば、ハンドオーバを行う際には、あらかじめ隣接基地局の同期タイミングが保持されているので、瞬断時間を比較的小さくすることができる。さらに、特開平11−331910号公報には、送受信動作を行わない期間を利用して、隣接基地局の検出を行う方法を無線プロトコルの見地から解決する技術が開示されている。
【0009】
しかしながら、上記各公報の技術は、あくまで同一無線通信システムの複数の基地局間でのハンドオーバを前提としているため、異種通信システム間でハンドオーバする場合には上記従来の技術をそのまま適用することはできない。例えば、特開昭63−115428号公報の技術においては、発展形として2つの受信部がそれぞれ異なる無線通信を受信するように構成することができるが、その出力はデータの帯域幅が異なっており、そのまま切り換えてもディジタル信号処理部で処理することはできない。この場合、復調・復号を行うディジタル信号処理部も含めて完全な受信系を2系統準備した上で切り換えを行う必要がある。また、特開平11−346378号公報や特開平11−331910号公報の技術においては、同一の同期検出回路を時分割で使用して異なる基地局との同期タイミングを保持しようとするものであるから、異種無線通信間のハンドオーバには適用することができない。
【0010】
つまり、異種無線通信システム間での通信の切り換えを行うには、RF/IF部を切り換えるだけではなく、ベースバンド処理部のサンプリング周波数も処理対象とした無線システムのシンボルレート等に応じて切り換える必要がある。ベースバンド処理部のうち、シンボルレート等のデータ帯域幅に正確に対応したクロックで処理する必要があるのは、送信系のLPFとD/Aコンバータである。受信系のA/DコンバータやLPFや同期系回路などはオーバーサンプリングして処理することも可能である。但し、データ帯域幅に応じたクロック周波数で処理を行うと複雑な補間処理が不要になるので有利である。一方、それ以外の処理、符号化・復号化処理や変復調処理は所定の伝送レートを実現できる処理速度であれば、クロック周波数上の制約はない。以上の点を考慮した上で、異種無線通信システム間での瞬断を最小限にするためのハンドオーバの方法を検討する必要があるが、上記従来の技術ではこれらの点は解決されていない。
【0011】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、OFDMシンボルを用いた無線LANシステム内のハンドオーバや、異なる通信システムからOFDMシンボルを用いた無線LANへのハンドオーバを円滑に行うことのできる通信システムと受信装置および受信方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の通信装置は、現在通信中の基地局から新たに通信を開始しようとする基地局へ同期タイミングをとりながらハンドオーバする通信装置において、同一の通信システム内の通信網に存在する同種類基地局、または異なる通信システム内の通信網に存在する異種類基地局の何れかと通信を行う送受信手段と、ハンドオーバ先となる同種類基地局または異種類基地局を検索し、検索された同種類基地局または異種類基地局から受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行うOFDM同期手段とを備えている。そして、ハンドオーバを実行する際には、OFDM同期手段が事前に同期捕捉処理を行ったOFDMシンボルのタイミング情報を用いて、ハンドオーバ先の同種類基地局または異種類基地局と通信を開始することを特徴とする。
つまり、本発明の通信装置によれば、携帯端末は、通信を継続しながらハンドオーバ候補となる基地局との間であらかじめOFDMシンボルの同期をとっている。そして、携帯端末がハンドオーバを実行するときには、OFDMシンボルの同期タイミングに合わせてハンドオーバ先の基地局との間でハンドオーバを実行する。このため、ハンドオーバ時にOFDMシンボルの同期をとるための動作時間が不要となり、同期がとれるまでデータや音声の送受信を停止するという不具合を解消することができる。したがって、例えば、動画配信などのように即時性の要求されるアプリケーションにおいてもデータは瞬断することもなくなるので、極めて連続性の優れた画像を配信することができる。さらに、ハンドオーバ前に、ハンドオーバ先のアクセスポイントがわかるので、その情報をルータに伝送することによって一層効率的なIPのルーティングを行うことができる。また、ハンドオーバ前に、ハンドオーバ先の情報をルータに伝送することによって、より効率的なIPのルーティングを行うことができる。さらに、異なる通信媒体を組み合わせた通信システム、例えば、携帯電話と無線LANや、有線LANと無線LANなどを組み合わせた通信システムにおいても効率よくハンドオーバを行うことができる。
【0013】
また、本発明の通信装置は、さらに、ハンドオーバ先となる同種類基地局または異種類基地局を検索し、検索された同種類基地局または異種類基地局から受信した信号に対してフレームの同期捕捉処理を行うフレーム同期手段を備えている。そして、ハンドオーバを実行する際には、OFDM同期手段が事前に同期捕捉処理を行ったOFDMシンボルのタイミング情報と、フレーム同期手段が事前に同期捕捉処理を行ったフレームのタイミング情報とを用いて、ハンドオーバ先の同種類基地局または異種類基地局と通信を開始することを特徴とする。
つまり、本発明の通信装置によれば、携帯端末は、通信を継続しながらハンドオーバ候補となる基地局との間であらかじめOFDMシンボルの同期とフレームの同期をとっている。そして、携帯端末がハンドオーバを実行するときには、OFDMシンボルおよびフレームの同期タイミングに合わせてハンドオーバ先の基地局との間でハンドオーバを開始する。このため、ハンドオーバ時にOFDMシンボルやフレームの同期をとるための動作時間が不要となり、同期がとれるまでデータや音声の送受信を停止するという不具合を解消することができる。したがって、連続性の優れた通信を行うことができる。
【0014】
また、本発明の通信装置における送受信手段は、ハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を受信する第1の送受信手段と、現在通信中の信号を受信する第2の送受信手段を備えている。そして、第2の送受信手段が通信中であっても、第1の送受信手段はハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を受信し、OFDM同期手段は、第1の送受信手段が受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行うことを特徴とする。
つまり、本発明の通信装置によれば、携帯端末は2つの送受信手段を備えていて、第2の送受信手段で通信を実行しながら、第1の送受信手段がハンドオーバ候補となる基地局からの信号を受信してOFDMシンボルの同期捕捉を行っている。これによって、携帯端末が比較的高速で移動してハンドオーバが頻繁に生じる状況においてもスループットの低下を引き起こすことはなくなる。さらには、携帯端末が有線LANや既存の携帯電話のデータ通信装置を備えるハイブリッド機である場合において、有線LANや既存の携帯電話からOFDMシンボルを用いた無線LANシステムに切り換える際にも、スループットの低下を引き起こすことはなくなる。また、音声通話の場合においても、従来のように携帯端末の同期がとれるまで音声の送受信が途切れるというような不具合もなくなる。
【0015】
また、本発明の通信装置における送受信手段は、ハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を受信する第1の送受信手段と、現在通信中の信号を受信する第2の送受信手段を備えている。そして、第2の送受信手段が通信中であっても、第1の送受信手段はハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を受信し、OFDM同期手段は、第1の送受信手段が受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行い、フレーム同期手段は、第1の送受信手段が受信した信号に対してフレームの同期捕捉処理を行うことを特徴とする。
つまり、本発明の通信装置によれば、2つの送受信手段を備えていて、第2の送受信手段で通信を実行しながら、第1の送受信手段がハンドオーバ候補となる基地局からの信号を受信してOFDMシンボルおよびフレームの同期捕捉を行っている。これによって、携帯端末が比較的高速で移動してハンドオーバが頻繁に生じる状況においてもスループットの低下を引き起こすことはなくなる。さらには、携帯端末が有線LANや既存の携帯電話のデータ通信装置を備えるハイブリッド機である場合において、有線LANや既存の携帯電話からOFDMシンボルやフレームを用いた無線LANシステムに切り換える際にも、スループットの低下を引き起こすことはなくなる。また、音声通話の場合においても、ハンドオーバ時には既に同期がとれているので、携帯端末の音声が途切れることもなくなる。
【0016】
また、本発明の通信装置における第1の送受信手段は、最も受信電力の強い信号を検索してハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を選択受信することを特徴とする。
つまり、本発明の通信装置によれば、第1の送受信手段は、最も受信電力の強い信号を受信してハンドオーバ候補となる基地局のOFDMシンボルおよびフレームの同期捕捉を行っている。これにより、携帯端末はハンドオーバしようとする基地局との間で確実にOFDMシンボルの同期とフレームの同期をとることができ、よりスムーズにハンドオーバを行うことができるので、ハンドオーバ時の強制切断の頻度を軽減させることができる。また、ハンドオーバ時に改めて同期捕捉を行う必要がないため、本来であれば同期捕捉を行うために必要となる時間にも情報伝送を行うことができ、携帯端末のスループットを向上させることができる。
【0017】
また、本発明の通信装置における第1の送受信手段は、ハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を検索する際には、自己の移動方向にある同種類基地局または異種類基地局が使用する信号を優先的に選択することを特徴とする。
つまり、本発明の通信装置によれば、携帯端末は、移動する方向にある基地局の信号を受信してハンドオーバ候補となる基地局のOFDMシンボルおよびフレームの同期捕捉を行っている。これにより、携帯端末は、ハンドオーバしようとする基地局との間で確実にOFDMシンボルの同期とフレームの同期をとることができ、よりスムーズにハンドオーバを行うことができるので、ハンドオーバ時の強制切断の頻度を軽減させることもできる。
【0018】
また、本発明の通信装置における第1の送受信手段は、ハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を検索する際には、輻輳状態にない同種類基地局または異種類基地局からの信号を優先的に選択することを特徴とする。
つまり、本発明の通信装置によれば、携帯端末は、輻輳状態にない基地局からの信号を優先的に選択してハンドオーバを行っているので、ハンドオーバ後においても品質の良い通信を継続することができる。
【0019】
また、本発明は、携帯端末が通信中の基地局から新たに通信を開始しようとする基地局へ同期タイミングをとりながらハンドオーバする通信方法において、携帯端末が、同一の通信システム内の通信網に存在する同種類基地局、または異なる通信システム内の通信網に存在する異種類基地局の何れかと通信を行う第1の手順と、携帯端末が、ハンドオーバ先となる同種類基地局または異種類基地局を検索し、検索した同種類基地局または異種類基地局から受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行う第2の手順とを備えている。そして、携帯端末がハンドオーバを実行する際には、事前に同期捕捉処理を行ったOFDMシンボルのタイミング情報を用いて、ハンドオーバ先の同種類基地局または異種類基地局と通信を開始することを特徴とする。
つまり、本発明の通信方法によれば、携帯端末は、通信を継続しながらハンドオーバ候補となる基地局との間であらかじめOFDMシンボルの同期をとっている。そして、携帯端末がハンドオーバを実行するときには、OFDMシンボルの同期タイミングに合わせてハンドオーバ先の基地局との間でハンドオーバを実行する。このため、ハンドオーバ時にOFDMシンボルの同期をとるための動作時間が不要となり、同期がとれるまでデータや音声の送受信を停止するという不具合を解消することができる。
【0020】
また、本発明の通信方法における携帯端末は、さらに、ハンドオーバ先となる同種類基地局または異種類基地局を検索し、検索した同種類基地局または異種類基地局から受信した信号に対してフレームの同期捕捉処理を行う第3の手順を備え、携帯端末がハンドオーバを実行する際には、事前に同期捕捉処理を行ったOFDMシンボルのタイミング情報とフレームのタイミング情報とを用いて、ハンドオーバ先の同種類基地局または異種類基地局と通信を開始することを特徴とする。
つまり、本発明の通信方法によれば、携帯端末は、通信を継続しながらハンドオーバ候補となる基地局との間であらかじめOFDMシンボルの同期とフレームの同期をとっている。そして、携帯端末がハンドオーバを実行するときには、OFDMシンボルおよびフレームの同期タイミングに合わせてハンドオーバ先の基地局との間でハンドオーバを開始する。このため、ハンドオーバ時にOFDMシンボルやフレームの同期をとるための動作時間が不要となり、同期がとれるまでデータや音声の送受信を停止するという不具合を解消することができる。
【0021】
また、本発明の通信方法は、第1の手順において、所定の基地局との間で通信中においてハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を受信しているときは、第2の手順において、同種類基地局または異種類基地局から受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行うことを特徴とする。
つまり、本発明の通信方法によれば、携帯端末は、一方の送受信手段で通信を実行しながら、他方の送受信手段でハンドオーバ候補となる基地局からの信号を受信してOFDMシンボルの同期捕捉を行っている。これによって、携帯端末が比較的高速で移動してハンドオーバが頻繁に生じる状況においてもスループットの低下を引き起こすことはなくなる。
【0022】
また、本発明の通信方法は、第1の手順において、所定の基地局との間で通信中においてハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を受信しているときは、第2の手順において、同種類基地局または異種類基地局から受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行い、第3の手順において、同種類基地局または異種類基地局から受信した信号に対してフレームの同期捕捉処理を行うことを特徴とする。
つまり、本発明の通信方法によれば、携帯端末は、一方の送受信手段で通信を実行しながら、他方の送受信手段でハンドオーバ候補となる基地局からの信号を受信してOFDMシンボルおよびフレームの同期捕捉を行っている。これによって、携帯端末が比較的高速で移動してハンドオーバが頻繁に生じる状況においてもスループットの低下を引き起こすことはなくなる。
【0023】
また、本発明の通信方法は、第1の手順において、最も受信電力の強い信号を検索してハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を選択受信することを特徴とする。
つまり、本発明の通信方法によれば、携帯端末は、最も受信電力の強い信号を受信してハンドオーバ候補となる基地局のOFDMシンボルおよびフレームの同期捕捉を行っている。これにより、携帯端末はハンドオーバしようとする基地局との間で確実にOFDMシンボルの同期とフレームの同期をとることができ、よりスムーズにハンドオーバを行うことができるので、ハンドオーバ時の強制切断の頻度を軽減させることができる。
【0024】
また、本発明の通信方法は、第1の手順において、ハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を検索する際には、携帯端末の移動方向にある同種類基地局または異種類基地局が使用する信号を優先的に選択することを特徴とする。
つまり、本発明の通信方法によれば、携帯端末は、移動する方向にある基地局の信号を受信してハンドオーバ候補となる基地局のOFDMシンボルおよびフレームの同期捕捉を行っている。これにより、携帯端末は、ハンドオーバしようとする基地局との間で確実にOFDMシンボルの同期とフレームの同期をとることができ、よりスムーズにハンドオーバを行うことができるので、ハンドオーバ時の強制切断の頻度を軽減させることもできる。
【0025】
また、本発明の通信方法は、第1の手順において、ハンドオーバ候補となる同種類基地局または異種類基地局からの信号を検索する際には、輻輳状態にない同種類基地局または異種類基地局からの信号を優先的に選択することを特徴とする。
つまり、本発明の通信方法によれば、携帯端末は、輻輳状態にない基地局からの信号を優先的に選択してハンドオーバを行っているので、ハンドオーバ後においても品質の良い通信を継続することができる。
【0026】
また、本発明の通信システムは、携帯端末が通信中の基地局から新たに通信を開始しようとする基地局へ同期タイミングをとりながらハンドオーバする通信システムであって、携帯端末は、同一の通信システム内の通信網に存在する同種類基地局、または異なる通信システム内の通信網に存在する異種類基地局の何れかと通信を行うための、少なくとも1つの送信手段と、第1の受信手段および第2の受信手段からなる少なくとも2つの受信手段と、信号処理部とを備えている。そして、送信手段と第1の受信手段および第2の受信手段は、それぞれ、対象となる通信システムにおけるRF信号の処理を行うRF信号処理手段と、各通信システムの伝送帯域幅に応じたサンプリング周波数を発生させるサンプリング周波数発生手段と、サンプリング周波数発生手段で発生されたサンプリング周波数を抽出するサンプリング手段とを有している。このような構成によって、通常は、送信手段および第1の受信手段は、通信中の基地局に対応したRF信号処理手段と対応するサンプリング周波数で動作する。そして、ある通信システムから異種類基地局へハンドオーバを行う際には、先ず、第2の受信手段が、所定のRF信号処理手段とサンプリング手段を選択して動作し、異種類基地局のフレーム同期捕捉を行い、続いて、ハンドオーバ指示に従って、第1の受信手段の出力と第2の受信手段の出力とを切り換えてRF信号処理手段に供給するとともに、送信手段を異種類基地局に対応したRF信号処理手段とサンプリング手段の組み合わせに切り換えることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の通信システムにおいては、上記の信号処理部は、サンプリング手段の切り換えの際にも所定の周波数で動作するように構成されていることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明における通信システムの実施の形態を詳細に説明する。本発明の特徴は、ハンドオーバ用の受信機を設けて、ハンドオーバの候補となる信号を検索し、その信号に対してOFDMシンボルの同期やフレームの同期をとり、実際にハンドオーバを行う際には、OFDMシンボルやフレームの同期タイミングを用いてハンドオーバ先の信号を受信するようにしたことにある。
【0029】
OFDMシンボルのフレーム構成は、前述の図20で述べた通り、1つのOFDMシンボルは3.2μsecで構成されており、これに0.8μsecまたは0.4μsecのガードタイムが付加されて1つのOFDMシンボルの送信単位となっている。図1はOFDMシンボルにおけるサブキャリアの周波数分布図である。各サブキャリアの間隔は312.5kHzであり、ベースバンド0HzのサブキャリアをNULL点とし合計53本のサブキャリアを用いて送受信が行われている。情報が変調されているOFDMシンボルには、パイロットサブキャリアが、−21×312.5kHz、−7×312.5kHz、+7×312.5kHz、および+21×312.5kHzの位置に配置されている。これらのパイロットサブキャリアは位相補正を行うときに利用される。また、パイロットサブキャリアの複素振幅は送受信側で既知の値となっている。なお、1つのOFDMシンボルあたりに情報が変調されるサブキャリアの数は、53−1(DC)−4(パイロット)=48本である。
【0030】
HP/2(HyperLAN/2)では、セルラーシステムと同様にAPとMTが主従関係に置かれており、APに接続されるMTは、APが管理するタイミングに同期している。APは2msec間隔でMACフレームと呼ばれる伝送単位の信号を送信している。図2はMACフレームの詳細な構成図であり、このMACフレームは、基本的には、“BCフェーズ”(放送フェーズ)、“DLフェーズ”(ダウンリンクフェーズ)、“ULフェーズ”(アップリンクフェーズ)、“RAフェーズ”(ランダムアクセスフェーズ)の4つのフェーズによって構成されている。
【0031】
BCフェーズは、セルラーシステムで言うところのCCH(Common Control Channel)に相当する放送バーストが送信され、APが各MT宛に制御用の情報を配送する目的で用いられている。また、放送バーストは、MACフレーム毎にフレームの先頭部分において定期的に送信されている。さらに、MTの初期捕捉などは、この放送バーストを受信することによって行われている。
【0032】
DLフェーズは、APからMT宛に送信する情報チャネルが収容される区間のことを指している。APは、各MT宛にどのタイミングで情報を送信するかを決定し、割当てスロットのスケジューリングを行う。先の放送フェーズ内の信号でMACフレーム中のどのタイミングで誰宛の情報が送信されるかを通達する。
【0033】
ULフェーズは、各MTからAP宛に送信する情報チャネルが収容される区間のことを指している。MTは、放送バーストを受信することによりMACフレーム中のどのタイミングで送信してよいかの情報を受け取り、この指示に従ってULフェーズの信号を送信する。また、RAフェーズにおいては、MTがはじめてAPに接続を要求する際には、接続要求を伝えるためにRAフェーズ中のランダムアクセスチャネルにて送信を行う。
【0034】
図3は放送フェーズの構成図、図4はアップリンクフェーズの構成図である。なお、ダウンリンクフェーズの構成図は前述の図22で示した通りである。各フェーズの構成にはその先頭にプリアンブルと呼ばれる制御情報が付加され、後段にOFDMシンボルが続いている。この制御情報は、フェーズが存在するか否かを受信側にて判別する目的で用いられる他、高精度での受信タイミングの捕捉や周波数オフセットの検出やチャネル推定などの目的でも用いられるように設計されている。プリアンブルは、送信されるフェーズにより異なるフォーマットが定義されている。
【0035】
図3に示す放送フェーズは、2msecごとに定期的にAPよりMTへ送信される。したがって、MTは、この放送フェーズの信号を受信することにより初期同期を行う。そのため、通信中のMTは必ず放送フェーズの情報を受信することになる。また、図22や図4に示すように、全てのダウンリンクフェーズやアップリンクフェーズの先頭にはプリアンブルが付加されている。なお、ダウンリンクフェーズやアップリンクフェーズのプリアンブルは放送フェーズで送信されるものと同一の内容である。
【0036】
以下、MTがハンドオーバを行う場合の実施の形態の幾つかを説明する。基本的には、MTが無線LANから無線LANへハンドオーバする第1の実施の形態と、MTが無線LANから有線系統へハンドオーバする第2の実施の形態と、MTが無線LANから既存の携帯電話網へハンドオーバする場合の第3の実施の形態の、三通りの実施の形態がある。また、MTがハンドオーバする方法としては、OFDMシンボルのみについて同期をとる方法と、OFDMシンボルおよびフレームの同期をとる方法と、これらのそれぞれについてダイバーシチを行う方法とがある。
【0037】
第1の実施の形態
本発明の第1の実施の形態は、MTが無線LANから無線LANへハンドオーバする場合である。図5は、第1の実施の形態において、MTが無線LANから無線LANへハンドオーバする場合の通信システムの構成図である。つまり、図5に示す第1の実施の形態はMTがセル間をハンドオーバする状態を示しており、MT1はAP1と通信し、MT2はAP2と通信し、MT3はAP3と通信している。このとき、MT1はAP1とAP2が構成するセルのオーバラップゾーンに位置し、AP1からAP2の方向へ移動しているものとする。
【0038】
各APはインターネット網に接続されており、これらの各APと通信を行う各MTは、それぞれ通信装置を内蔵する端末機器か、または通信装置が付加されたPDA(Personal Digital Assistant)やノートパソコンなどの端末機器であり、各APを経由してインターネット網に接続することができる。隣接するAP1,AP2,AP3はそれぞれ異なる周波数チャネルを使用しており、同一チャネルによる干渉が生じないようになっている。また、各APと各MTとの通信には、図1から図4および図20から図22に示すタイムスロットおよびフレーム構成で通信が行われている。なお、それぞれのAPとMTとの間で送受信されるフレームは、図23に示すように同期がとれていない。
【0039】
図5の通信システムの構成例ではMT1はAP1と通信を行っている。また、MT1はAP1とAP2のセルの境界上にあってAP2の方向へ移動しているため、AP2へのハンドオーバが必要となる。MTは1系統の送受信ベースバンドとRF送信回路、2系統のRF受信回路(アンテナとシンボル同期回路を含む)を備えており、メインの回路でAP1との送受信を行っており、サブのRF受信回路でハンドオーバ先のAP2の信号を受信している。言い換えれば、MT1は、従来の送受信機にRF受信部(アンテナとシンボル同期回路を含む)だけをもう一組付加して、このRF受信部でハンドオーバ先のAP2の信号を受信している。他のMT2、MT3についても同様の構成である。MT1は、最寄りのAP1との通信中にも、常に、近隣のAP2からの信号を受信してOFDMシンボルの同期を行っている。そしてMT1が移動してハンドオーバが必要になった場合には、サブのRF受信回路によって事前にOFDMシンボルの同期を取ってあるAPに対してハンドオーバするように動作する。
【0040】
ここで、あらかじめOFDMシンボルの同期をとって無線LAN−無線LAN間でハンドオーバする場合のMTの具体的な実施例について説明する。図6は、あらかじめ無線LAN−無線LAN間でOFDMシンボルの同期をとってハンドオーバするMTの内部構成図である。このMTは、第1アンテナ11、第1RF部12、第1複素FFT演算部13、第1復調部14、データ入出力処理部15、制御部16、第1OFDM同期位置検出部17、第1タイミング生成部18、第1フレーム同期位置検出部19、フレームタイミング制御部20、第2RF部21、第2OFDM同期位置検出部22、および第2アンテナ23によって構成されている。なお、第1アンテナ11から第1RF部12を経由する系統がOFDM無線LAN用のメインの系統であり、第2アンテナ23から第2RF部21を経由する系統が隣接セル同期用のサブの系統である。
【0041】
実際に通信を行う信号は、主アンテナである第1アンテナ11によって受信されて第1RF部12へ入力される。第1RF部12は、受信した信号から通信に必要な周波数成分だけ分離してRF信号をIF信号に変換し、さらに、このIF信号をディジタル信号に変換して第1OFDM同期位置検出部17へ出力する。第1OFDM同期位置検出部17は、受信したディジタル信号からOFDMシンボルの先頭位置情報を検出し、この先頭位置情報を第1タイミング生成部18へ出力する。第1タイミング生成部18は、OFDMシンボルの先頭位置情報から第1複素FFT演算部13の動作タイミング信号を生成し、これを第1複素FFT演算部13へ出力する。
【0042】
第1複素FFT演算部13は、第1RF部12から出力されたディジタル信号のうち、OFDMシンボル期間分のディジタル信号を抽出し、第1タイミング生成部18から入力した動作タイミング信号に基づいて複素FFT演算を行う。さらに、第1複素FFT演算部13で複素FFT演算されたディジタル信号は第1復調部14へ入力されて復調される。そして、第1復調部14で復調された復調信号は第1フレーム同期位置検出部19へ入力され、第1フレーム同期位置検出部19によってフレームの先頭位置情報が検出される。さらに、フレームの先頭位置情報はフレームタイミング制御部20へ出力される。フレームタイミング制御部20は、フレームの先頭位置情報に基づいてデータ入出力処理部15を制御する。データ入出力処理部15は、放送フェーズの内容を抽出して、アップリンクフェーズやダウンリンクフェーズなどの入出力信号を制御し、所望の通信信号を送出する。
【0043】
一方、制御部16は、サブである隣接セル同期用の第2RF部21を動作して通信システムに割り当てられた周波数チャネルをスキャンし、ハンドオーバの候補となる信号を検出する。そして、ハンドオーバを行う際には、制御部16は、第1RF部12から第2RF部21への切換動作を行い、ハンドオーバ候補となるセルの周波数へ周波数切り換えを行う。
【0044】
第2アンテナ23より入力されたハンドオーバ候補となるセルからの受信信号は、第2RF部21で必要な周波数成分だけ抽出され、さらに、第2RF部21によってRF信号からIF信号へ変換されると共にディジタル信号に変換され、このディジタル信号は第2OFDM同期位置検出部22へ送出される。第2OFDM同期位置検出部22は、入力されたディジタル信号からOFDMシンボルの先頭位置情報を検出し、その先頭位置情報を第1タイミング生成18へ出力する。
【0045】
ここで、MTがハンドオーバする際には、先ず、制御部16によって、それまでサブの受信回路(つまり、第2アンテナ23)で受信されていた周波数チャネルをメインの受信回路(つまり、第1アンテナ11)で受信するように周波数制御が行われる。同時に、第1タイミング生成部18は、それまで第1OFDM同期位置検出部17からのOFDMシンボルの同期位置情報に基づいてタイミング制御していたものを、第2OFDM同期位置検出部22からのOFDMシンボルの同期位置情報に基づいてタイミング制御を行う。そして、OFDMシンボルのタイミングの初期同期がとれたことが確認できたところで、定常状態である第1OFDM同期位置検出部17からのOFDMシンボルの同期位置情報に基づくタイミング制御に戻す。このようにしてタイミング制御を行った後に、サブの受信回路(つまり、第2アンテナ23と第2RF部21と第2OFDM同期位置検出部22)は、ハンドオーバ候補となる信号を検索してOFDMシンボルの同期捕捉動作を行う。
【0046】
そして、ハンドオーバが完了してから、フレームタイミング制御部20は、第1フレーム同期位置検出部19が検出したフレームの先頭位置情報に基づいてフレーム同期を行い、データ入出力処理部15を制御する。これによって、データ入出力処理部15は、アップリンクフェーズやダウンリンクフェーズなどの入出力を制御して通信信号を送出する。このように、MTは、ハンドオーバする前にあらかじめOFDMシンボルの同期をとっているので、従来技術に比べればハンドオーバするときの時間を短縮することができる。
【0047】
次に、OFDMシンボルとフレームの同期をとって無線LAN−無線LAN間でハンドオーバする場合のMTの具体的な実施例について説明する。図7は、無線LAN−無線LAN間でOFDMシンボルの同期とフレームの同期をとってハンドオーバする場合のMTの内部構成図である。OFDMシンボルの同期とフレームの同期をとる場合のMTの構成は、図6のOFDMシンボルだけで同期をとる場合のMTの構成に対して、第2複素FFT演算部24と第2タイミング生成部25と第2復調部26と第2フレーム同期位置検出部27とが付加された構成となっている。
【0048】
この実施例では、図6の場合と同様に、サブの受信回路において次のような動作を行う。すなわち、第2アンテナ23より入力されたハンドオーバ候補となるセルからの受信信号は、第2RF部21で必要な周波数成分だけ抽出され、さらに、第2RF部21によってRF信号からIF信号へ変換されると共にディジタル信号に変換され、このディジタル信号が第2OFDM同期位置検出部22へ送出される。そして、第2OFDM同期位置検出部22は、入力されたディジタル信号からOFDMシンボルの先頭位置情報を検出し、その先頭位置情報を第1タイミング生成18へ出力する。
【0049】
さらに、この実施例では、サブの受信回路で復調まで行うために次の動作が付加される。つまり、第2OFDM同期位置検出部22は、検出したOFDMシンボルの先頭位置情報を第2タイミング生成部25へ出力する。第2タイミング生成部25は、OFDMシンボルの先頭位置情報から第2複素FFT演算部24の動作タイミング信号を生成し、この動作タイミング信号を第2複素FFT演算部24へ出力する。第2複素FFT演算部24は、第2RF部21から出力されたディジタル信号のうち、OFDMシンボル期間分のディジタル信号を抽出し、第2タイミング生成部25から入力された動作タイミング信号に基づいて複素FFT演算を行う。さらに、第2複素FFT演算部24で複素FFT演算されたディジタル信号は第2復調部26へ入力されて復調される。そして、第2復調部26で復調された復調信号は第2フレーム同期位置検出部27へ入力され、第2フレーム同期位置検出部27によってフレームの先頭位置情報が検出される。
【0050】
このようにして、サブの受信回路で復調まで行うために、第2フレーム同期位置検出部27でフレームの先頭位置情報が検出される。そして、MTがハンドオーバする際には、先ず、制御部16により、それまでサブの受信回路で受信されていた周波数チャネルをメインの受信回路で受信するように制御し、同時に、フレームタイミング制御部20は、それまで第1フレーム同期位置検出部19からのフレーム同期位置情報に基づいてタイミング制御していたものを、第2フレーム同期位置検出部27からのフレーム同期位置情報に基づいてタイミング制御を行う。そしてフレーム同期がとれたことを確認できたところで、定常状態である第1フレーム同期位置検出部19からの同期位置情報に基づくタイミング制御に戻す。さらにサブの受信回路では、ハンドオーバの候補となる信号を検索し、フレームの同期捕捉動作を行う。このように、MTは、OFDMシンボルの同期とフレームの同期をとってからハンドオーバを行うので、短時間でスムーズにハンドオーバすることができる。
【0051】
次に、MTをダイバーシチ受信機として動作させた場合のハンドオーバについて説明する。図8は、最大比合成を行う場合の一般的なダイバーシチ受信機の内部構成図である。ダイバーシチ受信機は2つの受信系統(ブランチ1とブランチ2)が随時切換えられるように、両受信系統の一部は同じ構成となっていて、また、他の一部の構成は共通となっている。つまり、ブランチ1の受信系統である第1RF部12、第1複素FFT演算部13、第1OFDM同期位置検出部17、および第1タイミング生成部18と、ブランチ2の受信系統である第2RF部21、第2複素FFT演算部24、第2OFDM同期位置検出部22、および第2タイミング生成部25とは同じ構成となっている。そして、第1RF部12および第2RF部21を制御する制御部19と、最大比合成部28、第1復調部14、第1フレーム同期位置検出部19、フレームタイミング制御部20およびデータ入出力処理部15は両受信系統で共通となっている。
【0052】
第1複素FFT演算部13および第2複素FFT演算部24でそれぞれ複素FFT演算されるまでの処理は、図6および図7で説明した処理内容と同じであるので重複する説明は省略する。第1複素FFT演算部13および第2複素FFT演算部24でそれぞれ複素FFT演算されたディジタル信号は、共通の最大比合成部28へ入力されて合成される。合成されたディジタル信号は、第1復調部14で復調された後、フレーム同期位置検出部19とフレームタイミング制御部20からなるフレーム同期回路によってフレームの同期がとられ、データ入出力処理部15でアップリンクフェーズやダウンリンクフェーズなどの入出力信号が制御されて所望の通信信号が送出される。
【0053】
ここで、最大比合成部28が行う最大比合成ダイバーシチについて説明する。受信装置の受信制御方法の一例として最大比合成ダイバーシチによる受信方法がある。このようなダイバーシチ受信方法を行う受信装置は、図8に示すように、アンテナ、RF部、OFDM同期検出部、タイミング生成部、および複素FFT演算部からなる受信系統が二系統用意されている。そして、それぞれの系統(ブランチ1とブランチ2)から受信された受信信号は、それぞれ、第1複素FFT演算部13、第2複素FFT演算部24によって複素FFT演算されてその演算結果に対して重み付けが行われる。さらに、これらの複素FFT演算結果が共通の最大合成部28で合成されることにより、マルチパス環境下での受信特性を向上させるような受信システムの構成となっている。
【0054】
なお、各ブランチの重み付けと合成を行う最大比合成ダイバーシチによる受信方法の他に、複数あるブランチのうちから受信強度の最も強いブランチを単純に選択する選択ダイバーシチによる受信方法もあるが、何れの場合も、アンテナ、RF部、OFDM同期検出部、タイミング生成部、および複素FFT演算部からなる受信系統が二系統備えている点は同じである。
【0055】
次に、OFDMシンボルの同期とフレームの同期をとって無線LAN−無線LAN間でハンドオーバする場合の、最大比合成によるダイバーシチ受信機の実施例について説明する。図9は、無線LAN−無線LAN間でOFDMシンボルの同期とフレームの同期をとってハンドオーバする場合の、最大比合成を用いたダイバーシチ受信機の内部構成図である。図9に示すような最大比合成を用いてハンドオーバを行う場合のダイバーシチ受信機の構成は、図8の構成に対して切換部29と第2復調部26と第2フレーム同期位置検出部27とが付加された構成となっている。
【0056】
図9に示す実施例は、OFDM無線LAN用のブランチ1と、OFDM無線LANおよび隣接セル同期用のブランチ2との2系統のブランチを構成している。一般的には、2系統あるブランチの内の片方をハンドオーバ時の同期先取り用に使用するものである。通常は2つのRF部(第1RF部12と第2RF部21)は同一の周波数チャネルを受信しており、切換部29は第2複素FFT演算部24の出力を最大比合成部28へ出力している。
【0057】
MTがセルの境界線上に近づいて受信信号が弱くなり、ハンドオーバが必要になると、制御部16は第2RF部21に対して隣接セルで使用する周波数チャネルを検索するように制御する。そして検索された周波数チャネルの中で最も強い周波数チャネルに対して、第2OFDM同期位置検出部22がOFDM同期を行い、OFDM同期信号を第2タイミング生成部25へ送出する。第2タイミング生成部25は、OFDM同期信号に基づいてタイミング信号を生成して第2複素FFT演算部24へ送出する。第2複素FFT演算部24はタイミング信号に基づいて複素FFT演算を行い、その複素FFT演算結果の出力信号を切換部29へ送出する。そして、切換部29は第2複素FFT演算部24の出力信号を第2復調部26へ出力する。
【0058】
さらに、第2復調部26で生成された復調信号は第2フレーム同期検出部27によってフレーム同期が行われ、第2フレーム同期検出部27からフレームタイミング制御部20に対してフレームタイミングが通知される。ハンドオーバを行う際には、フレームタイミング制御部20が、第2フレーム同期検出部27から通知されたフレームタイミングに基づいてデータ入出力処理部15を制御し、データ入出力処理部15が通信を継続して通信信号を送出する。
【0059】
この実施例ではOFDM無線LANのブランチ1がメインの受信装置で、隣接セル同期用にはブランチ2を利用している。隣接セル同期用には必ずブランチ2を利用するようになっているが、最大比合成部28と切換部29を両方のブランチに用意することによって、ブランチ1とブランチ2をメインとサブに固定することなく受信強度の強い方のブランチをメインの受信装置として、受信強度の弱い方を隣接セルの同期用に利用することもできる。
【0060】
次に、OFDMシンボルの同期とフレームの同期とをとって無線LAN−無線LAN間でハンドオーバする場合の、選択ダイバーシチによるダイバーシチ受信機の実施例について説明する。図10は、無線LAN−無線LAN間でOFDMシンボルの同期とフレームの同期とをとってハンドオーバする場合の選択ダイバーシチを用いたダイバーシチ受信機の内部構成図である。図10の選択ダイバーシチによるダイバーシチ受信機においては、図9における最大比合成部28と切換部29の部分のみが、それぞれ第1ブランチ切換部31と第2ブランチ切換部32に変更されている。したがって、以下において重複する説明は省略する。
【0061】
図10は選択ダイバーシチと隣接セル同期手法とを組み合わせた場合の選択動作の流れを示している。また、第1アンテナ11側のブランチ1と第2アンテナ23側のブランチ2は、共にOFDM無線LANおよび隣接セル同期用のブランチを表わしている。さらに、図の破線で示す第2復調部26および第2フレーム同期位置検出部27は、この選択動作のモードでは休止している状態を示している。同様に、図の破線で示す矢印も動作していない状態を示している。通常の受信状態では第1アンテナ11、第2アンテナ23から受信される信号のうち、信号強度の強い方のブランチをブランチ切換部によって切り替えて受信している。
【0062】
図10の例では、第1アンテナ11と第2アンテナ23の何れが信号強度の強いアンテナかを判断して受信信号の選択動作を行っている状態を示している。このとき、図の実線矢印で示すように、OFDM同期および複素FFT演算はブランチ1、ブランチ2の両系統で個別に行っているが、信号の復調およびフレーム同期はブランチを切り替えた第1ブランチ切換部31側で行っている。したがって、当然、このときは第2復調部26および第2フレーム同期位置検出部27は休止状態となる。
【0063】
図11は、選択ダイバーシチにおいてブランチ1を選択して受信動作を行う場合の動作の流れを示すダイバーシチ受信機の内部構成図である。つまり、この図は、通常の受信状態、すなわちハンドオーバに伴う隣接セルの同期先取り動作を必要としない場合の動作の流れを示している。この例では、第1アンテナ11によるブランチ1でメインの受信をしているので、ブランチ2側の受信信号は利用していない。したがって、ブランチ2側の各部は、図の破線で示すように休止状態となっている。つまり、ブランチ1側のみでOFDM同期およびフレーム同期を行い、データ入出力処理部15より通信信号を送出している。なお、ブランチ2側の各部は信号強度を測定するための動作は行っている。
【0064】
図12は、選択ダイバーシチにおいてブランチ2を選択して受信動作を行う場合の動作の流れを示すダイバーシチ受信機の内部構成図である。この場合も、通常の受信状態、すなわちハンドオーバに伴う隣接セルの同期先取り動作を必要としない場合の動作の流れを示している。この例では、第2アンテナ23によるブランチ2でメインのダイバーシチ受信をしているので、ブランチ1側の受信信号は利用していない。つまり、OFDM同期や複素FFT演算はブランチ2側で行い、第2ブランチ切換部32から第1ブランチ切換部31に切り換えて、ブランチ1側で復調およびフレーム同期を行ってデータ入出力処理部15から通信信号を送出している。したがって、図に示す破線の部分は休止状態にある。なお、ブランチ1側においても信号強度を測定するための動作は行われている。
【0065】
図13は、選択ダイバーシチにおいてブランチ1でメインのダイバーシチ受信をしていてハンドオーバしたときの動作の流れを示すダイバーシチ受信機の内部構成図である。この例では、第1アンテナ11のブランチ1側でメインのダイバーシチ受信を行い、第2アンテナ23のブランチ2側で隣接セルの同期動作を行っている。ハンドオーバを行う際には、第2OFDM同期位置検出部22のOFDM同期位置情報と第2フレーム同期位置検出部27のフレーム同期位置情報とに基づいて同期の確立を行う。このとき、第1ブランチ切換部31と第2ブランチ切換部32はそれぞれ独立していて、相互の切り換え動作は行っていない。したがって、ハンドオーバ時にデータや音声が瞬断することなく通信を継続することができる。なお、ハンドオーバを行う際に第2フレーム同期位置検出部27によってフレームタイミング制御を行う動作は図14の最大比合成の場合と同じであるので重複する説明は省略する。
【0066】
図14は、選択ダイバーシチにおいてブランチ2でメインのダイバーシチ受信をしていてハンドオーバしたときの動作の流れを示すダイバーシチ受信機の内部構成図である。この例では、第2アンテナ23のブランチ2側でメインのダイバーシチ受信を行い、第1アンテナ11のブランチ1側で隣接セルの同期動作を行っている。ハンドオーバを行う際には、第1OFDM同期位置検出部17のOFDM同期位置情報と第2フレーム同期位置検出部27のフレーム同期位置情報とに基づいて同期の確立を行う。このとき、第1ブランチ切換部31と第2ブランチ切換部32は相互に切り換え動作を行っている。なお、上記の図9から図14に示すダイバーシチによるハンドオーバの実施例では、OFDM同期とフレーム同期を行う場合について説明したが、OFDM同期のみを行う場合は、図6で説明したようにハンドオーバの対象となるフレーム同期の回路を省略すればよい。したがって、ダイバーシチでOFDM同期のみを行う場合は、図6の説明から容易に理解できるので更なる説明は省略する。
【0067】
第2の実施の形態
第2の実施の形態は、MTが有線LANから無線LANへハンドオーバする場合である。図15は、第2の実施の形態における、MTが有線LANから無線LANへハンドオーバする場合の通信システムの構成図であり、(a)はMTが有線LAN経由で通信を行っている状態、(b)MTが無線LAN経由で通信を行っている状態を示す。例えば、図15(a)に示すように、MTは、普段はホームステーション上で有線LANによってインターネットと接続されており、この有線LANを経由して通信が行われている。この状態でMTは有線LANを介して通信しつつ、MTの受信機では付近にあるAPの信号を受信してフレーム同期をとっている。この例では、MTはホームステーションに乗せた状態で利用しているが、本体に直接ケーブルを接続する形態でもよい。次に、図15(b)に示すように、MTを外部へ持ち歩くためにMTがホームステーションから外された場合は、MTの送受信部は、事前に同期捕捉してあるフレームのランダムアクセスフェーズのタイミングでAPに対して接続要求を行い、AP経由でインターネット網に接続する。
【0068】
図16は、第2の実施の形態において、MTが有線LANから無線LANへハンドオーバする場合の動作の流れを示すMTの内部構成図である。このMTは、モデム部41、制御部16、RF部42、アンテナ43、OFDM同期位置検出部44、タイミング生成部45、複素FFT演算部46、復調部47、フレーム同期位置検出部48、フレームタイミング制御部20、データ入出力処理部15、および切換部29によって構成されている。
【0069】
図16において、MTは、通常はモデム部41を介して有線LANによってインターネット網に接続されて通信を行っている。このとき、MTはアンテナ43によって付近のAPの信号を受信して、OFDMシンボルの同期やフレームの同期をとっている。これらの同期のとり方は既に説明済みであるので重複する説明は省略する。そして、MTを外部へ持ち歩くために、有線LANから無線LANにハンドオーバする際には、フレーム同期位置検出部48によって事前に同期捕捉してあるタイミングでフレーム同期を行い、データ入出力処理部15によってデータ処理して切換部29から通信信号を送出する。なお、図16の例では、OFDM無線LANは1ブランチ分のみしか表示していないが、前述のように2ブランチ構成とすることも可能である。
【0070】
第3の実施の形態
第3の実施の形態は、MTが既存の携帯電話網から無線LANへハンドオーバする場合である。図17は、第3の実施の形態における、既存の携帯電話網から無線LANへハンドオーバする場合の通信システムの構成図である。つまり、この例はセル間の移動によるハンドオーバにとどまらず、既存の携帯電話網のサービスエリアと無線LANとのハンドオーバを示している。つまり、この実施の形態では、既存の携帯電話網のサービスエリア内の一部で無線LANのサービスが提供されおり、無線LANのサービスエリアでは、MT1はAP1と通信し、MT2はAP2と通信し、MT3はAP3と通信している状態にある。また、各APはインターネット網に接続されており、これらのAPと通信を行うMTは、通信装置を内蔵または通信装置を付加したPDAやノートPCであり、APを経由してインターネット網に接続されることができる。
【0071】
それぞれ隣接するAP1,AP2,AP3では異なる周波数チャネルを使用しており、同一チャネルによる干渉が生じないようになっている。各APとMTとの通信には、前述の図1から図4および図19から図22に示すタイムスロットおよびフレーム構成で通信が行われている。なお、それぞれのAPとMT間で送受信するフレームは図23に示すように同期がとられていない。
【0072】
図17の例では、MT0は無線LANのサービスエリア外で、第二世代(2ndGeneration:2G)や第三世代(3rd Generation:3G)の既存の携帯電話網でデータ通信を行っており、第二世代(2G)や第三世代(3G)の既存の携帯電話基地局を経由してインターネット網と接続している。このとき、MT0はAP3のセルの近くにいてAP3の方向に移動している。すなわち、無線LANのサービスエリアに入ろうとしている状態である。
【0073】
通常、MTは既存の携帯電話網経由でインターネット網と接続されており、既存の携帯電話網を経由して通信が行われている。この状態でMTの受信機では付近のAPの信号を受信してフレーム同期をとっている。したがって、MTが移動して無線LANのサービスエリアに入った場合は、MTの送受信部は事前に同期捕捉してあるフレームのランダムアクセスフェーズのタイミングでAPに対して接続要求を行い、AP経由でインターネット網に接続する。
【0074】
図17の例で説明すると、MT0は無線LANのサービスエリア外では既存の携帯電話網の基地局を経由してインターネット網に接続されており、既存の携帯電話基地局を介して無線通信を行っている。ここで、MT0がAP3の無線LANのサービスエリアに近づくと、MT0は電界強度の最も強いAP3からの信号を検索し、この信号に対してフレーム同期を行う。しかし、まだこの段階では、MT0は完全にAP3の無線LANのサービスエリアに入っているわけではなく、AP3からの信号を辛うじて受信できる状態である。その後、MT0が移動してAP3の無線LANのサービスエリアに入った場合は、MT0は既存の携帯電話網との接続を切断し、AP3の無線LAN経由の通信に切り換える。
【0075】
図18は、第3の実施の形態におけるMTの内部構成図である。このMTの構成は、既存通信網のブランチとOFDM無線LANのブランチとによって構成されている。既存通信網のブランチとOFDM無線LANのブランチは、それぞれ個別に、OFDMシンボルの同期回路とフレームの同期回路と復調回路とデータ入出力処理部を備えている。但し、OFDM無線LANのブランチは第2複素FFT演算部24と第2復調部26を備えているが、既存通信網のブランチは複素FFT演算部を備えないで1次復調部51と2次復調部52を備えている。
【0076】
MTが既存通信網からOFDM無線LANのサービスエリアに入ったときに、制御部16が切換部29を切換制御して、既存通信網の接続を切断してOFDM無線LANの通信網に切り換える。その他の動作は既に説明した内容と重複するのでその説明は省略する。なお、図18の例では、OFDM無線LANは1ブランチ分のみしか表示していないが、前述のように2ブランチ構成とすることも可能である。
【0077】
以上述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。第2の実施の形態および第3の実施の形態では、OFDMシンボル同期とフレーム同期を行ってハンドオーバする場合について説明したが、第1の実施の形態で述べた場合と同様に、OFDMシンボル同期のみによってハンドオーバする形態も本発明の範囲に含まれることは云うまでもない。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の通信システムおよび通信装置によれば、携帯端末は、通信を継続しながらハンドオーバ候補となる基地局との間であらかじめOFDMシンボルの同期やフレームの同期をとっている。そして、携帯端末がハンドオーバを実行するときには、OFDMシンボルやフレームの同期タイミングに合わせてハンドオーバ先の基地局との間でハンドオーバを実行する。このため、ハンドオーバ時にOFDMシンボルやフレームの同期をとるための動作時間が不要となり、同期がとれるまでデータや音声の送受信を停止するという不具合を解消することができる。したがって、動画配信などのように即時性の要求されるアプリケーションにおいてもデータは瞬断することもなくなるので、極めて連続性の優れた動画を配信することができる。
【0079】
また、本発明の通信システムおよび受信装置によれば、携帯端末が比較的高速で移動してハンドオーバが頻繁に生じる状況においてもスループットの低下を引き起こすことはなくなる。さらには、携帯端末が有線LANや既存の携帯電話のデータ通信装置を備えるハイブリッド機である場合において、有線LANや既存の携帯電話からOFDMシンボルを用いた無線LANシステムに切り換える際にも、スループットの低下を引き起こすことはなくなる。また、音声通信の場合においても、携帯端末の同期がとれるまで音声の送受信が途切れるおそれもなくなる。
【0080】
さらに、本発明の通信システムおよび受信装置によれば、携帯端末がハンドオーバをする前に、OFDMシンボル同期、或いはOFDMシンボル同期とフレーム同期を行っておくことによりスムーズにハンドオーバを行うことができるので、ハンドオーバ時の強制切断の頻度を軽減することができる。また、ハンドオーバ時に最初から同期捕捉を行う必要がないため、本来であれば同期捕捉を行うために必要になる時間にも情報伝送を行うことができ、携帯端末のスループットを向上させることができる。
【0081】
また、ハンドオーバ前に、ハンドオーバ先のアクセスポイントがわかるので、その情報をルータに伝送することによって一層効率的なIPのルーティングを行うことができる。さらには、ハンドオーバ前に、ハンドオーバ先の情報をルータに伝送することによって、より効率的なIPのルーティングを行うことができる。また、異なる通信媒体を組み合わせた通信システム、例えば、携帯電話と無線LANや、有線LANと無線LANなどを組み合わせた通信システムにおいても効率よくハンドオーバを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】OFDMシンボルにおけるサブキャリアの周波数分布図である。
【図2】MACフレームの詳細構成図である。
【図3】放送フェーズの構成図である。
【図4】アップリンクフェーズの構成図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における、MTが無線LANから無線LANへハンドオーバする場合の通信システムの構成図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における、無線LAN−無線LAN間でOFDMシンボル同期だけを行うハンドオーバする場合のMTの内部構成図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における、無線LAN−無線LAN間でOFDMシンボル同期とフレーム同期を行うハンドオーバする場合のMTの内部構成図である。
【図8】最大比合成を行う場合の一般的なダイバーシチ受信機の内部構成図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における、無線LAN−無線LAN間でOFDMシンボル同期とフレーム同期を行ってハンドオーバする場合の、最大比合成を用いたダイバーシチ受信機の内部構成図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における、無線LAN−無線LAN間でOFDMシンボル同期とフレーム同期を行ってハンドオーバする場合の、選択ダイバーシチを用いたダイバーシチ受信機の内部構成図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態における、選択ダイバーシチでブランチ1を選択して受信動作を行う場合の動作の流れを示すダイバーシチ受信機の内部構成図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態における、選択ダイバーシチでブランチ2を選択して受信動作を行う場合の動作の流れを示すダイバーシチ受信機の内部構成図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態における、選択ダイバーシチでブランチ1によってメインのダイバーシチ信号を受信してハンドオーバするときの動作の流れを示すダイバーシチ受信器の内部構成図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態における、選択ダイバーシチでブランチ2によってメインのダイバーシチ信号を受信してハンドオーバするときの動作の流れを示すダイバーシチ受信器の内部構成図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態における、MTが有線LANから無線LANへハンドオーバする場合の通信システムの構成図であり、(a)は有線LAN経由で通信を行っている状態、(b)無線LAN経由で通信を行っている状態を示す。
【図16】本発明の第2の実施の形態における、MTが有線LANから無線LANへハンドオーバする場合の動作の流れを示すMTの内部構成図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態における、既存の携帯電話網から無線LANへハンドオーバする場合の通信システムの構成図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態における、MTが既存の携帯電話網から無線LANへハンドオーバする場合の動作の流れを示すMTの内部構成図である。
【図19】データ通信や音声通信を目的とした一般的な通信システムの概念図である。
【図20】APとMTとが通信を行うときのOFDMシンボルのフレーム構成を示す図である。
【図21】MACフレームの構成を示す図である。
【図22】ダウンリンクフェーズの詳細なフレーム構成を示す図である。
【図23】MTとAPとの間で伝送される送受信フレームの構成を示す図である。
【符号の説明】
11…第1アンテナ、12…第1RF部、13…第1複素FFT演算部、14…第1復調部、15…データ入出力処理部、16…制御部、17…第1OFDM同期位置検出部、18…第1タイミング生成部、19…第1フレーム同期位置検出部、20…フレームタイミング制御部、21…第2RF部、22…第2OFDM同期位置検出部、23…第2アンテナ、24…第2複素FFT演算部、25…第2タイミング生成部、26…第2復調部、27…第2フレーム同期位置検出部、28…最大比合成部、29…切換部、31…第1ブランチ切換部、32…第2ブランチ切換部、41…モデム部、42…RF部、43…アンテナ、44…OFDM同期位置検出部、45…タイミング生成部、46…複素FFT演算部、47…復調部、48…フレーム同期位置検出部、51…1次復調部、52…2次復調部、53…第1データ入出力処理部、54…第1フレームタイミング制御部、55…第2データ入出力処理部、56…第2フレームタイミング制御部、AP,AP1,AP2,AP31…基地局(Access Point)、MT,MT0,MT1,MT2,MT3…携帯端末(Mobile Terminal)

Claims (16)

  1. 現在通信中の基地局から新たに通信を開始しようとする基地局へ同期タイミングをとりながらハンドオーバする通信装置において、
    同一の通信システム内の通信網に存在する同種類基地局、または異なる通信システム内の通信網に存在する異種類基地局の何れかと通信を行う送受信手段と、
    ハンドオーバ先となる前記同種類基地局または前記異種類基地局を検索し、該同種類基地局または該異種類基地局から受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行うOFDM同期手段とを備え、
    ハンドオーバを実行する際には、前記OFDM同期手段が事前に同期捕捉処理を行ったOFDMシンボルのタイミング情報を用いて、ハンドオーバ先の同種類基地局または異種類基地局と通信を開始することを特徴とする通信装置。
  2. さらに、
    ハンドオーバ先となる前記同種類基地局または前記異種類基地局を検索し、該同種類基地局または該異種類基地局から受信した信号に対してフレームの同期捕捉処理を行うフレーム同期手段を備え、
    ハンドオーバを実行する際には、前記OFDM同期手段が事前に同期捕捉処理を行ったOFDMシンボルのタイミング情報と、前記フレーム同期手段が事前に同期捕捉処理を行ったフレームのタイミング情報とを用いて、ハンドオーバ先の同種類基地局または異種類基地局と通信を開始することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  3. 前記送受信手段は、
    ハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を受信する第1の送受信手段と、現在通信中の信号を受信する第2の送受信手段を備え、
    前記第2の送受信手段が通信中であっても、前記第1の送受信手段はハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を受信し、
    前記OFDM同期手段は、前記第1の送受信手段が受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  4. 前記送受信手段は、
    ハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を受信する第1の送受信手段と、現在通信中の信号を受信する第2の送受信手段を備え、
    前記第2の送受信手段が通信中であっても、前記第1の送受信手段はハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を受信し、
    前記OFDM同期手段は、前記第1の送受信手段が受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行い、
    前記フレーム同期手段、前記第1の送受信手段が受信した信号に対してフレームの同期捕捉処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
  5. 前記第1の送受信手段は、最も受信電力の強い信号を検索してハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を選択受信することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の通信装置。
  6. 前記第1の送受信手段は、ハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を検索する際には、自己の移動方向にある前記同種類基地局または前記異種類基地局が使用する信号を優先的に選択することを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れかに記載の通信装置。
  7. 前記第1の送受信手段は、ハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を検索する際には、輻輳状態にない前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を優先的に選択することを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れかに記載の通信装置。
  8. 携帯端末が通信中の基地局から新たに通信を開始しようとする基地局へ同期タイミングをとりながらハンドオーバする通信方法において、
    前記携帯端末が、同一の通信システム内の通信網に存在する同種類基地局、または異なる通信システム内の通信網に存在する異種類基地局の何れかと通信を行う第1の手順と、
    前記携帯端末が、ハンドオーバ先となる前記同種類基地局または前記異種類基地局を検索し、該同種類基地局または該異種類基地局から受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行う第2の手順とを備え、
    該携帯端末は、ハンドオーバを実行する際には、事前に同期捕捉処理を行ったOFDMシンボルのタイミング情報を用いて、ハンドオーバ先の同種類基地局または異種類基地局と通信を開始することを特徴とする通信方法。
  9. 前記携帯端末は、さらに、ハンドオーバ先となる前記同種類基地局または前記異種類基地局を検索し、該同種類基地局または該異種類基地局から受信した信号に対してフレームの同期捕捉処理を行う第3の手順を備え、
    該携帯端末は、ハンドオーバを実行する際には、事前に同期捕捉処理を行ったOFDMシンボルのタイミング情報とフレームのタイミング情報とを用いて、ハンドオーバ先の同種類基地局または異種類基地局と通信を開始することを特徴とする請求項8に記載の通信方法。
  10. 前記第1の手順において、所定の基地局との間で通信中においてハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を受信しているときは、
    第2の手順において、該同種類基地局または該異種類基地局から受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の通信方法。
  11. 前記第1の手順において、所定の基地局との間で通信中においてハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を受信しているときは、
    前記第2の手順において、該同種類基地局または該異種類基地局から受信した信号に対してOFDMシンボルの同期捕捉処理を行い、
    前記第3の手順において、該同種類基地局または該異種類基地局から受信した信号に対してフレームの同期捕捉処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の通信方法。
  12. 前記第1の手順において、最も受信電力の強い信号を検索してハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を選択受信することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の通信方法。
  13. 前記第1の手順において、ハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を検索する際には、前記携帯端末の移動方向にある前記同種類基地局または前記異種類基地局が使用する信号を優先的に選択することを特徴とする請求項10乃至請求項12の何れかに記載の通信方法。
  14. 前記第1の手順において、ハンドオーバ候補となる前記同種類基地局または前記異種類基地局からの信号を検索する際には、輻輳状態にない該同種類基地局または該異種類基地局からの信号を優先的に選択することを特徴とする請求項10乃至請求項13の何れかに記載の通信方法。
  15. 携帯端末が通信中の基地局から新たに通信を開始しようとする基地局へ同期タイミングをとりながらハンドオーバする通信システムにおいて、
    前記携帯端末は、
    同一の通信システム内の通信網に存在する同種類基地局、または異なる通信システム内の通信網に存在する異種類基地局の何れかと通信を行うための、少なくとも1つの送信手段、第1の受信手段および第2の受信手段からなる少なくとも2つの受信手段、および信号処理部を備え、
    前記送信手段、前記第1の受信手段および前記第2の受信手段は、それぞれ対象となる通信システムにおけるRF信号の処理を行うRF信号処理手段と、各通信システムの伝送帯域幅に応じたサンプリング周波数を発生させるサンプリング周波数発生手段と、前記サンプリング周波数発生手段で発生されたサンプリング周波数を抽出するサンプリング手段とを有し、
    通常は、前記送信手段およびに前記第1の受信手段は、通信中の該基地局に対応したRF信号処理手段と対応するサンプリング周波数で動作し、ある通信システムから異種類基地局へハンドオーバを行う際には、先ず、前記第2の受信手段が、所定のRF信号処理手段とサンプリング手段を選択して動作し、該異種類基地局のフレーム同期捕捉を行い、続いて、ハンドオーバ指示に従って、前記第1の受信手段の出力と前記第2の受信手段の出力とを切り換えて前記RF信号処理手段に供給するとともに、前記送信手段を該異種類基地局に対応したRF信号処理手段とサンプリング手段の組み合わせに切り換えることを特徴とする通信システム。
  16. 前記信号処理部は、前記サンプリング手段の切り換えの際にも所定の周波数で動作するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載の通信システム。
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