JP2004014460A - 画像表示装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】封着部の気密性が高く信頼性の向上した画像表示装置およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】画像表示装置の真空外囲器10は、対向配置された背面基板12および前面基板11と、を備え、この真空外囲器内には、複数の電子放出素子22が設けられている。前面基板および上記背面基板は封着材料32により周辺部同士が封着されている。封着材料により封着された前面基板および背面基板の少なくとも一方の封着面32、33は、改質処理されている。
【選択図】 図3
【解決手段】画像表示装置の真空外囲器10は、対向配置された背面基板12および前面基板11と、を備え、この真空外囲器内には、複数の電子放出素子22が設けられている。前面基板および上記背面基板は封着材料32により周辺部同士が封着されている。封着材料により封着された前面基板および背面基板の少なくとも一方の封着面32、33は、改質処理されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、対向配置された基板と、一方の基板の内側に配置された多数の電子放出素子と、を有した画像表示装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、陰極線管(以下、CRTと称する)に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な平面型表示装置が開発されている。このような平面型表示装置には、液晶の配向を利用して光の強弱を制御する液晶ディスプレイ(以下、LCDと称する)、プラズマ放電の紫外線により蛍光体を発光させるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)、電界放出型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させるフィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと称する)、表面伝導型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させる表面伝導電子放出ディスプレイ(以下、SEDと称する)などがある。
【0003】
例えばFEDやSEDでは、一般に、所定の隙間を置いて対向配置された前面基板および背面基板を有し、これらの基板は、矩形枠状の側壁を介して周辺部同士を互いに接合することにより真空の外囲器を構成している。前面基板の内面には蛍光体スクリーンが形成され、背面基板の内面には蛍光体を励起して発光させる電子放出源として多数の電子放出素子(以下、エミッタと称する)が設けられている。
【0004】
また、背面基板および前面基板に加わる大気圧荷重を支えるために、これら基板の間には複数の支持部材が配設されている。背面基板側の電位はほぼアース電位であり、蛍光面にはアノード電圧Vaが印加される。そして、蛍光体スクリーンを構成する赤、緑、青の蛍光体にエミッタから放出された電子ビームを照射し、蛍光体を発光させることによって画像を表示する。
【0005】
このようなFEDやSEDでは、表示装置の厚さを数mm程度にまで薄くすることができ、現在のテレビやコンピュータのディスプレイとして使用されているCRTと比較して、軽量化、薄型化を達成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなFEDやSEDでは、外囲器の内部を高真空にすることが必要となる。また、PDPにおいても、外囲器内を一度真空にしてから放電ガスを充填する必要がある。
【0007】
外囲器を真空にする方法としては、まず、外囲器の構成部材である前面基板、背面基板、および側壁を適当な封着材料により大気中で加熱して接合し、その後、前面基板または背面基板に設けた排気管を通して外囲器内を排気した後、排気管を真空封止する方法がある。しかし、平面型の外囲器では排気管を介した排気速度は極めて小さく、到達できる真空度も悪いため、量産性および特性面に問題がある。
【0008】
この問題を解決する方法として、例えば特開2000−229825号公報には、外囲器を構成する前面基板および背面基板の最終組立を真空槽内にて行う方法が示されている。
【0009】
この方法では、まず、真空槽内に持ち込まれた前面基板および背面基板を十分に加熱しておく。これは、外囲器真空度を劣化させる主因となっている外囲器内壁からのガス放出を軽減するためである。次に、前面基板および背面基板が冷えて真空槽内の真空度が十分に向上したところで、外囲器真空度を改善、維持させるためのゲッター膜を蛍光面スクリーン上に形成する。その後、封着材料が溶解する温度まで前面基板および背面基板を再び加熱し、前面基板および背面基板を所定の位置に組み合わせた状態で封着材料が固化するまで冷却する。
【0010】
このような方法で作成された真空外囲器は、封着工程と真空封止工程を兼ねるうえ、排気に伴う多大な時間が要らず、かつ、極めて良好な真空度を得ることができる。また、この方法では、封着材料として、封着、封止一括処理に適した低融点金属材料、例えば、インジウムを使用することが望ましい。
【0011】
一方、前面基板および背面基板への各処理工程において、封着面が若干でも汚れている状態でインジウムを充填すると、インジウムは、封着時に封着面との濡れ性が劣化してしまう。そのため、インジウムが所望の封着領域から流出し、リーク発生の原因となる恐れがある。
【0012】
特に、SEDのような画像表示装置では高い真空度が必要であり、封着層に1箇所でもリークが生じると不良品となってしまう。そのため、封着部の気密性を上げ信頼性を高くするためには、汚染した封着面に対して、インジウムの濡れ性を向上させる必要がある。
【0013】
一例として、封着層に金属ペースト等の下地層を設けて、インジウムとの濡れ性を確実に確保できる手法も考えられる。しかし、この場合、下地層を形成するための工程およびコストが増加してしまう。
【0014】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、封着部の気密性が高く信頼性の向上した画像表示装置およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、背面基板、およびこの背面基板に対向配置された前面基板を有した外囲器と、上記外囲器の内側に設けられた複数の画素表示素子と、を備え、
上記前面基板および上記背面基板は封着材料により周辺部同士が封着され、上記封着材料により封着された上記前面基板および上記背面基板の少なくとも一方の封着面は、改質処理されていることを特徴としている。
【0016】
また、この発明の他の態様に係る画像表示装置の製造方法は、背面基板、およびこの背面基板に対向配置された前面基板を有した外囲器と、上記外囲器の内側に設けられた複数の画素表示素子と、を備え、上記前面基板および上記背面基板は封着材料により周辺部同士が封着された画像表示装置の製造方法において、 上記前面基板および上記背面基板の少なくとも一方の封着面を改質処理し、上記改質処理された封着面に封着材料を充填した後、この封着材料により上記前面基板および上記背面基板の周辺部同士を封着することを特徴としている。
【0017】
上記のような画像表示装置およびその製造方法によれば、封着面を改質処理することにより、封着面が活性化された清浄面となる。これにより、封着時に封着材料が溶融した場合でも、封着面に対する封着材料の濡れ性が向上し、封着部のリークを防止することができ、気密性および信頼性の向上した画像表示装置を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、この発明の画像表示装置をFEDに適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、このFEDは、絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラスからなる前面基板11、および背面基板12を備え、これらの基板は約1.5〜3.0mmの隙間を置いて対向配置されている。そして、前面基板11および背面基板12は、矩形枠状の側壁18を介して周縁部同士が接合され、内部が真空状態に維持された偏平な矩形状の真空外囲器10を構成している。
【0019】
真空外囲器10の内部には、背面基板12および前面基板11に加わる大気圧荷重を支えるため、複数の板状の支持部材14が設けられている。これらの支持部材14は、真空外囲器10の短辺と平行な方向に延在しているとともに、長辺と平行な方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。なお、支持部材14の形状については特にこれに限定されるものではなく、柱状の支持部材を用いてもよい。
【0020】
図4に示すように、前面基板11の内面上には蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、青、緑の3色に発光するストライプ状の蛍光体層R、G、B、およびこれらの蛍光体層間に位置した非発光部としてのストライプ状の黒色光吸収層20を並べて構成されている。蛍光体層R、G、Bは、真空外囲器10の短辺と平行な方向に延在しているとともに、長辺と平行な方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。なお、蛍光体スクリーン16上には、メタルバックとして図示しないアルミニウム層が蒸着されている。
【0021】
図3に示すように、背面基板12の内面上には、蛍光体層R、G、Bを励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の電界放出型の電子放出素子22が設けられている。画素表示素子を構成するこれらの電子放出素子22は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。
【0022】
詳細に述べると、背面基板12の内面上には、導電性カソード層24が形成され、この導電性カソード層上には多数のキャビティ25を有した二酸化シリコン膜26が形成されている。二酸化シリコン膜26上には、モリブデン、ニオブ等からなるゲート電極28が形成されている。そして、背面基板12の内面上において各キャビティ25内に、モリブデン等からなるコーン状の電子放出素子22が設けられている。その他、背面基板12上には、電子放出素子22に接続された図示しないマトリックス状の配線等が形成されている。
【0023】
上記のように構成されたFEDにおいて、映像信号は、電子放出素子22とゲート電極28に入力される。電子放出素子22を基準とした場合、最も輝度の高い状態の時、+100Vのゲート電圧が印加される。また、蛍光体スクリーン16には+10kVが印加される。そして、電子放出素子22から放出される電子ビームの大きさは、ゲート電極28の電圧によって変調され、この電子ビームが蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起して発光させることにより画像を表示する。
【0024】
このように蛍光体スクリーン16には高電圧が印加されるため、前面基板11、背面基板12、側壁18、および支持部材14用の板ガラスには、高歪点ガラスが使用されている。後述するように、背面基板12と側壁18との間は、フリットガラス等の低融点ガラス30によって封着されている。また、前面基板11と側壁18との間は、封着面上に形成されたインジウム層31によって封着されている。
【0025】
次に、上記のように構成されたFEDの製造方法について詳細に説明する。 まず、前面基板11となる板ガラスに蛍光体スクリーン16を形成する。これは、前面基板11と同じ大きさの板ガラスを準備し、この板ガラスにプロッターマシンで蛍光体層のストライプパターンを形成する。この蛍光体ストライプパターンが形成された板ガラスと前面基板用の板ガラスとを位置決め治具に載せて露光台にセットし、露光、現像して蛍光体スクリーン16を生成する。
【0026】
続いて、背面基板用の板ガラスに電子放出素子22を形成する。この場合、板ガラス上にマトリックス状の導電性カソード層を形成し、この導電性カソード層上に、例えば熱酸化法、CVD法、あるいはスパッタリング法により二酸化シリコン膜の絶縁膜を形成する。
【0027】
その後、この絶縁膜上に、例えばスパッタリング法や電子ビーム蒸着法によりモリブデンやニオブなどのゲート電極形成用の金属膜を形成する。次に、この金属膜上に、形成すべきゲート電極に対応した形状のレジストパターンをリソグラフィーにより形成する。このレジストパターンをマスクとして金属膜をウェットエッチング法またはドライエッチング法によりエッチングし、ゲート電極28を形成する。
【0028】
次に、レジストパターン及びゲート電極をマスクとして絶縁膜をウェットエッチングまたはドライエッチング法によりエッチングして、キャビティ25を形成する。そして、レジストパターンを除去した後、背面基板表面に対して所定角度傾斜した方向から電子ビーム蒸着を行うことにより、ゲート電極28上に、例えばアルミニウムやニッケルからなる剥離層を形成する。この後、背面基板表面に対して垂直な方向から、カソード形成用の材料として、例えばモリブデンを電子ビーム蒸着法により蒸着する。これによって、各キャビティ25の内部に電子放出素子22を形成する。続いて、剥離層をその上に形成された金属膜とともにリフトオフ法により除去する。
【0029】
次に、図5に示すように、電子放出素子22の形成された背面基板12の周縁部と矩形枠状の側壁18とを、大気中で低融点ガラス30により互いに封着する。
その後、背面基板12と前面基板11とを側壁18を介して互いに封着する。この場合、まず、封着面32、33となる側壁18の上面、および前面基板11の内面周縁部を物理研磨処理、化学研磨処理、あるいは熱処理する。これにより、封着面32、33を改質して清浄面とし、インジウムに対する濡れ性を向上させておく。続いて、封着面32、33に金属封着材料としてのインジウムを塗布し、それぞれ全周に亘って延びた矩形枠状のインジウム層31を形成する。
【0030】
なお、金属封着材料としては、融点が約350℃以下で密着性、接合性に優れた低融点金属材料を使用することが望ましい。本実施の形態で用いるインジウム(In)は、融点156.7℃と低いだけでなく、蒸気圧が低い、低温でも脆くならないなどの優れた特徴がある。
【0031】
また、低融点金属材料としては、Inの単体ではなく、Inに少なくとも、Ag、Ni、Co、Au、Cu、Sn、Bi、Znのいずれか1つの元素を単独あるいは複合で添加した合金を用いることもできる。例えば、In97%−Ag3%の共晶合金では、融点が141℃とさらに低くなり、しかも機械的強度を高めることができる。
【0032】
なお、上記説明では、「融点」という表現を用いているが、2種以上の金属からなる合金では、融点が単一に定まらない場合がある。一般にそのような場合には、液相線温度と固相線温度が定義される。前者は、液体の状態から温度を下げていった際、合金の一部が固体化し始める温度であり、後者は合金の全てが固体化する温度である。本実施の形態では、説明の便宜上、このような場合においても融点という表現を用いることにし、固相線温度を融点と呼ぶことにする。
【0033】
次に、封着面33にインジウム層31が形成された前面基板11と、背面基板12に側壁18が封着されているとともにこの側壁上面、つまり、封着面32にインジウム層31が形成された背面側組立体とを、図5に示すように、封着面同士が向かい合った状態で、かつ、所定の距離をおいて対向した状態で治具等により保持され、真空処理装置に投入される。
【0034】
図6に示すように、この真空処理装置100は、順に並んで設けられたロード室101、ベーキング、電子線洗浄室102、冷却室103、ゲッタ膜の蒸着室104、組立室105、冷却室106、およびアンロード室107を有している。これら各室は真空処理が可能な処理室として構成され、FEDの製造時には全室が真空排気されている。また、隣合う処理室間はゲートバルブ等により接続されている。
【0035】
所定の間隔をおいて対向した背面側組立体および前面基板11は、ロード室101に投入され、ロード室101内を真空雰囲気とした後、ベーキング、電子線洗浄室102へ送られる。べーキング、電子線洗浄室102では、10−5Pa程度の高真空度に達した時点で、背面側組立体および前面基板を300℃程度の温度に加熱してベーキングし、各部材の表面吸着ガスを十分に放出させる。
【0036】
また、べーキング、電子線洗浄室102では、加熱と同時に、べーキング、電子線洗浄室102に取り付けられた図示しない電子線発生装置から、前面基板11の蛍光体スクリーン面、および背面基板12の電子放出素子面に電子線を照射する。この電子線は、電子線発生装置外部に装着された偏向装置によって偏向走査されるため、蛍光体スクリーン面、および電子放出素子面の全面を電子線洗浄することが可能となる。
【0037】
加熱、電子線洗浄後、背面基板側組立体および前面基板11は冷却室103に送られ、例えば約100℃の温度の温度まで冷却される。続いて、背面側組立体および前面基板11はゲッタ膜の蒸着室104へ送られ、ここで蛍光体スクリーンの外側にゲッタ膜としてBa膜が蒸着形成される。このBa膜は、表面が酸素や炭素などで汚染されることが防止され、活性状態を維持することができる。
【0038】
次に、背面側組立体および前面基板11は組立室105に送られ、ここで200℃まで加熱されインジウム層31が再び液状に溶融あるいは軟化される。この状態で、前面基板11と側壁18と接合して所定の圧力で加圧した後、インジウムを除冷して固化させる。これにより、前面基板11と側壁18とがインジウム層31によって封着され、真空外囲器10が形成される。
【0039】
このようにして形成された真空外囲器10は、冷却室106で常温まで冷却された後、アンロード室107から取り出される。以上の工程により、FEDが完成する。
【0040】
以上のように構成されたFEDおよびその製造方法によれば、真空雰囲気中で前面基板11、および背面基板12の封着を行なうことにより、ベーキングおよび電子線洗浄の併用によって基板の表面吸着ガスを十分に放出させることができ、ゲッタ膜も酸化されず十分なガス吸着効果を得ることができる。これにより、高い真空度を維持可能なFEDを得ることができる。また、封着材料としてインジウムを使用することにより、フリットガラスで問題となる真空中での発泡はなく、かつ、気密性の高いFEDを得ることが可能となる。
【0041】
一方、封着面32、33を無処理の状態でインジウムを充填すると、例えば、300℃で真空加熱してインジウムが溶融した際、インジウムが弾かれてしまう。これは封着面32、33上の残存不純物がインジウムの濡れ性を劣化させていることにある。そのため、前述したように、化学および物理研磨剤であるCeO2により封着面32、33を研磨し封着面32、33の不純物を除去する。これにより、封着面32、33が改質されて清浄面となり、インジウムの濡れ性が大幅に向上する。これにより、真空加熱中でもインジウムの弾きが無くなり、気密性の高い真空外囲器を得ることができる。
【0042】
研磨剤は、CeO2に限らず、化学研磨および物理研磨効果のある材料であればよく、例えば、MnO2、Mn2O3、Mn3O4等を用いても良い。また、化学研磨および物理研磨は、封着面32、33のみに限らず、前面基板11あるいは背面基板12の内面全体を研磨処理してもよい。
【0043】
更に、封着面32、33の改質は、上述した化学および物理研磨に限らず、真空中あるいは大気中で、封着面あるいは基板全体を200℃以上、好ましくは、300℃以上で焼成することにより行ってもよい。
【0044】
上記のような化学的および物理的研磨、あるいは、加熱処理により封着面を改質処理した場合と、封着面を前処理しない場合とで真空加熱中におけるインジウムの濡れ性をテストした。その結果を図7に示す。
この図から分かるように、封着面を研磨処理した場合は、いずれの研磨剤を用いた場合でも良好な濡れ性が得られた。また、加熱処理については、200℃、より好ましくは、300℃以上で良好な濡れ性が得られた。
【0045】
このように、封着面を化学および物理研磨剤で研磨し、あるいは、封着面を加熱処理して改質し清浄面とすることにより、封着面に対するインジウムの濡れ性を大幅に向上することができる。そのため、封着時に所望の封着領域からインジウムが流出してしまう恐れがなく、50インチ以上の大型のFEDであっても気密性および信頼性の高い封着構造を実現することができる。
【0046】
なお、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、上述した実施の形態において、電子放出素子として電界放出型の電子放出素子を用いたが、これに限らず、pn型の冷陰極素子あるいは表面伝導型の電子放出素子等の他の電子放出素子を用いてもよい。また、この発明は、プラズマ表示パネル(PDP)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の他の画像表示装置にも適用可能である。
【0047】
上述した実施の形態では、前面基板11の封着面33および側壁18の封着面32の両方にインジウム層31を形成した状態で封着する構成としたが、いずれか一方の封着面のみに、例えば、図7に示すように、前面基板11の封着面33のみにインジウム層31を形成した状態で封着する構成としてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、化学および物理研磨、あるいは加熱処理により封着面を改質することで、封着材料に対する濡れ性を大幅に向上し、封着部の気密性が高く信頼性の向上した画像表示装置およびその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るFEDを示す斜視図。
【図2】上記FEDの前面基板を取り外した状態を示す斜視図。
【図3】図1の線A−Aに沿った断面図。
【図4】上記FEDの蛍光体スクリーンを示す平面図。
【図5】上記FEDの真空外囲器を構成する側壁の封着面および前面基板の封着面にインジウム層を形成した状態を示す断面図。
【図6】上記FEDの製造に用いる真空処理装置を概略的に示す図。
【図7】化学的および物理的研磨、あるいは、加熱処理により封着面を改質処理した場合と、封着面を前処理しない場合とで真空加熱中におけるインジウムの濡れ性を比較した結果を示す図。
【図8】この発明の他の実施の形態に係るFEDの製造方法において、真空外囲器を構成する側壁の封着面および前面基板の封着面にインジウム層を形成した状態を示す断面図。
【符号の説明】
10…真空外囲器
11…前面基板
12…背面基板
14…支持部材
16…蛍光体スクリーン
18…側壁
22…電子放出素子
30…フリットガラス
31…インジウム層
32、33…封着面
100…真空処理装置
【発明の属する技術分野】
この発明は、対向配置された基板と、一方の基板の内側に配置された多数の電子放出素子と、を有した画像表示装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、陰極線管(以下、CRTと称する)に代わる次世代の軽量、薄型の表示装置として様々な平面型表示装置が開発されている。このような平面型表示装置には、液晶の配向を利用して光の強弱を制御する液晶ディスプレイ(以下、LCDと称する)、プラズマ放電の紫外線により蛍光体を発光させるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)、電界放出型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させるフィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと称する)、表面伝導型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させる表面伝導電子放出ディスプレイ(以下、SEDと称する)などがある。
【0003】
例えばFEDやSEDでは、一般に、所定の隙間を置いて対向配置された前面基板および背面基板を有し、これらの基板は、矩形枠状の側壁を介して周辺部同士を互いに接合することにより真空の外囲器を構成している。前面基板の内面には蛍光体スクリーンが形成され、背面基板の内面には蛍光体を励起して発光させる電子放出源として多数の電子放出素子(以下、エミッタと称する)が設けられている。
【0004】
また、背面基板および前面基板に加わる大気圧荷重を支えるために、これら基板の間には複数の支持部材が配設されている。背面基板側の電位はほぼアース電位であり、蛍光面にはアノード電圧Vaが印加される。そして、蛍光体スクリーンを構成する赤、緑、青の蛍光体にエミッタから放出された電子ビームを照射し、蛍光体を発光させることによって画像を表示する。
【0005】
このようなFEDやSEDでは、表示装置の厚さを数mm程度にまで薄くすることができ、現在のテレビやコンピュータのディスプレイとして使用されているCRTと比較して、軽量化、薄型化を達成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなFEDやSEDでは、外囲器の内部を高真空にすることが必要となる。また、PDPにおいても、外囲器内を一度真空にしてから放電ガスを充填する必要がある。
【0007】
外囲器を真空にする方法としては、まず、外囲器の構成部材である前面基板、背面基板、および側壁を適当な封着材料により大気中で加熱して接合し、その後、前面基板または背面基板に設けた排気管を通して外囲器内を排気した後、排気管を真空封止する方法がある。しかし、平面型の外囲器では排気管を介した排気速度は極めて小さく、到達できる真空度も悪いため、量産性および特性面に問題がある。
【0008】
この問題を解決する方法として、例えば特開2000−229825号公報には、外囲器を構成する前面基板および背面基板の最終組立を真空槽内にて行う方法が示されている。
【0009】
この方法では、まず、真空槽内に持ち込まれた前面基板および背面基板を十分に加熱しておく。これは、外囲器真空度を劣化させる主因となっている外囲器内壁からのガス放出を軽減するためである。次に、前面基板および背面基板が冷えて真空槽内の真空度が十分に向上したところで、外囲器真空度を改善、維持させるためのゲッター膜を蛍光面スクリーン上に形成する。その後、封着材料が溶解する温度まで前面基板および背面基板を再び加熱し、前面基板および背面基板を所定の位置に組み合わせた状態で封着材料が固化するまで冷却する。
【0010】
このような方法で作成された真空外囲器は、封着工程と真空封止工程を兼ねるうえ、排気に伴う多大な時間が要らず、かつ、極めて良好な真空度を得ることができる。また、この方法では、封着材料として、封着、封止一括処理に適した低融点金属材料、例えば、インジウムを使用することが望ましい。
【0011】
一方、前面基板および背面基板への各処理工程において、封着面が若干でも汚れている状態でインジウムを充填すると、インジウムは、封着時に封着面との濡れ性が劣化してしまう。そのため、インジウムが所望の封着領域から流出し、リーク発生の原因となる恐れがある。
【0012】
特に、SEDのような画像表示装置では高い真空度が必要であり、封着層に1箇所でもリークが生じると不良品となってしまう。そのため、封着部の気密性を上げ信頼性を高くするためには、汚染した封着面に対して、インジウムの濡れ性を向上させる必要がある。
【0013】
一例として、封着層に金属ペースト等の下地層を設けて、インジウムとの濡れ性を確実に確保できる手法も考えられる。しかし、この場合、下地層を形成するための工程およびコストが増加してしまう。
【0014】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、封着部の気密性が高く信頼性の向上した画像表示装置およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る画像表示装置は、背面基板、およびこの背面基板に対向配置された前面基板を有した外囲器と、上記外囲器の内側に設けられた複数の画素表示素子と、を備え、
上記前面基板および上記背面基板は封着材料により周辺部同士が封着され、上記封着材料により封着された上記前面基板および上記背面基板の少なくとも一方の封着面は、改質処理されていることを特徴としている。
【0016】
また、この発明の他の態様に係る画像表示装置の製造方法は、背面基板、およびこの背面基板に対向配置された前面基板を有した外囲器と、上記外囲器の内側に設けられた複数の画素表示素子と、を備え、上記前面基板および上記背面基板は封着材料により周辺部同士が封着された画像表示装置の製造方法において、 上記前面基板および上記背面基板の少なくとも一方の封着面を改質処理し、上記改質処理された封着面に封着材料を充填した後、この封着材料により上記前面基板および上記背面基板の周辺部同士を封着することを特徴としている。
【0017】
上記のような画像表示装置およびその製造方法によれば、封着面を改質処理することにより、封着面が活性化された清浄面となる。これにより、封着時に封着材料が溶融した場合でも、封着面に対する封着材料の濡れ性が向上し、封着部のリークを防止することができ、気密性および信頼性の向上した画像表示装置を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、この発明の画像表示装置をFEDに適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、このFEDは、絶縁基板としてそれぞれ矩形状のガラスからなる前面基板11、および背面基板12を備え、これらの基板は約1.5〜3.0mmの隙間を置いて対向配置されている。そして、前面基板11および背面基板12は、矩形枠状の側壁18を介して周縁部同士が接合され、内部が真空状態に維持された偏平な矩形状の真空外囲器10を構成している。
【0019】
真空外囲器10の内部には、背面基板12および前面基板11に加わる大気圧荷重を支えるため、複数の板状の支持部材14が設けられている。これらの支持部材14は、真空外囲器10の短辺と平行な方向に延在しているとともに、長辺と平行な方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。なお、支持部材14の形状については特にこれに限定されるものではなく、柱状の支持部材を用いてもよい。
【0020】
図4に示すように、前面基板11の内面上には蛍光体スクリーン16が形成されている。この蛍光体スクリーン16は、赤、青、緑の3色に発光するストライプ状の蛍光体層R、G、B、およびこれらの蛍光体層間に位置した非発光部としてのストライプ状の黒色光吸収層20を並べて構成されている。蛍光体層R、G、Bは、真空外囲器10の短辺と平行な方向に延在しているとともに、長辺と平行な方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。なお、蛍光体スクリーン16上には、メタルバックとして図示しないアルミニウム層が蒸着されている。
【0021】
図3に示すように、背面基板12の内面上には、蛍光体層R、G、Bを励起する電子放出源として、それぞれ電子ビームを放出する多数の電界放出型の電子放出素子22が設けられている。画素表示素子を構成するこれらの電子放出素子22は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。
【0022】
詳細に述べると、背面基板12の内面上には、導電性カソード層24が形成され、この導電性カソード層上には多数のキャビティ25を有した二酸化シリコン膜26が形成されている。二酸化シリコン膜26上には、モリブデン、ニオブ等からなるゲート電極28が形成されている。そして、背面基板12の内面上において各キャビティ25内に、モリブデン等からなるコーン状の電子放出素子22が設けられている。その他、背面基板12上には、電子放出素子22に接続された図示しないマトリックス状の配線等が形成されている。
【0023】
上記のように構成されたFEDにおいて、映像信号は、電子放出素子22とゲート電極28に入力される。電子放出素子22を基準とした場合、最も輝度の高い状態の時、+100Vのゲート電圧が印加される。また、蛍光体スクリーン16には+10kVが印加される。そして、電子放出素子22から放出される電子ビームの大きさは、ゲート電極28の電圧によって変調され、この電子ビームが蛍光体スクリーン16の蛍光体層を励起して発光させることにより画像を表示する。
【0024】
このように蛍光体スクリーン16には高電圧が印加されるため、前面基板11、背面基板12、側壁18、および支持部材14用の板ガラスには、高歪点ガラスが使用されている。後述するように、背面基板12と側壁18との間は、フリットガラス等の低融点ガラス30によって封着されている。また、前面基板11と側壁18との間は、封着面上に形成されたインジウム層31によって封着されている。
【0025】
次に、上記のように構成されたFEDの製造方法について詳細に説明する。 まず、前面基板11となる板ガラスに蛍光体スクリーン16を形成する。これは、前面基板11と同じ大きさの板ガラスを準備し、この板ガラスにプロッターマシンで蛍光体層のストライプパターンを形成する。この蛍光体ストライプパターンが形成された板ガラスと前面基板用の板ガラスとを位置決め治具に載せて露光台にセットし、露光、現像して蛍光体スクリーン16を生成する。
【0026】
続いて、背面基板用の板ガラスに電子放出素子22を形成する。この場合、板ガラス上にマトリックス状の導電性カソード層を形成し、この導電性カソード層上に、例えば熱酸化法、CVD法、あるいはスパッタリング法により二酸化シリコン膜の絶縁膜を形成する。
【0027】
その後、この絶縁膜上に、例えばスパッタリング法や電子ビーム蒸着法によりモリブデンやニオブなどのゲート電極形成用の金属膜を形成する。次に、この金属膜上に、形成すべきゲート電極に対応した形状のレジストパターンをリソグラフィーにより形成する。このレジストパターンをマスクとして金属膜をウェットエッチング法またはドライエッチング法によりエッチングし、ゲート電極28を形成する。
【0028】
次に、レジストパターン及びゲート電極をマスクとして絶縁膜をウェットエッチングまたはドライエッチング法によりエッチングして、キャビティ25を形成する。そして、レジストパターンを除去した後、背面基板表面に対して所定角度傾斜した方向から電子ビーム蒸着を行うことにより、ゲート電極28上に、例えばアルミニウムやニッケルからなる剥離層を形成する。この後、背面基板表面に対して垂直な方向から、カソード形成用の材料として、例えばモリブデンを電子ビーム蒸着法により蒸着する。これによって、各キャビティ25の内部に電子放出素子22を形成する。続いて、剥離層をその上に形成された金属膜とともにリフトオフ法により除去する。
【0029】
次に、図5に示すように、電子放出素子22の形成された背面基板12の周縁部と矩形枠状の側壁18とを、大気中で低融点ガラス30により互いに封着する。
その後、背面基板12と前面基板11とを側壁18を介して互いに封着する。この場合、まず、封着面32、33となる側壁18の上面、および前面基板11の内面周縁部を物理研磨処理、化学研磨処理、あるいは熱処理する。これにより、封着面32、33を改質して清浄面とし、インジウムに対する濡れ性を向上させておく。続いて、封着面32、33に金属封着材料としてのインジウムを塗布し、それぞれ全周に亘って延びた矩形枠状のインジウム層31を形成する。
【0030】
なお、金属封着材料としては、融点が約350℃以下で密着性、接合性に優れた低融点金属材料を使用することが望ましい。本実施の形態で用いるインジウム(In)は、融点156.7℃と低いだけでなく、蒸気圧が低い、低温でも脆くならないなどの優れた特徴がある。
【0031】
また、低融点金属材料としては、Inの単体ではなく、Inに少なくとも、Ag、Ni、Co、Au、Cu、Sn、Bi、Znのいずれか1つの元素を単独あるいは複合で添加した合金を用いることもできる。例えば、In97%−Ag3%の共晶合金では、融点が141℃とさらに低くなり、しかも機械的強度を高めることができる。
【0032】
なお、上記説明では、「融点」という表現を用いているが、2種以上の金属からなる合金では、融点が単一に定まらない場合がある。一般にそのような場合には、液相線温度と固相線温度が定義される。前者は、液体の状態から温度を下げていった際、合金の一部が固体化し始める温度であり、後者は合金の全てが固体化する温度である。本実施の形態では、説明の便宜上、このような場合においても融点という表現を用いることにし、固相線温度を融点と呼ぶことにする。
【0033】
次に、封着面33にインジウム層31が形成された前面基板11と、背面基板12に側壁18が封着されているとともにこの側壁上面、つまり、封着面32にインジウム層31が形成された背面側組立体とを、図5に示すように、封着面同士が向かい合った状態で、かつ、所定の距離をおいて対向した状態で治具等により保持され、真空処理装置に投入される。
【0034】
図6に示すように、この真空処理装置100は、順に並んで設けられたロード室101、ベーキング、電子線洗浄室102、冷却室103、ゲッタ膜の蒸着室104、組立室105、冷却室106、およびアンロード室107を有している。これら各室は真空処理が可能な処理室として構成され、FEDの製造時には全室が真空排気されている。また、隣合う処理室間はゲートバルブ等により接続されている。
【0035】
所定の間隔をおいて対向した背面側組立体および前面基板11は、ロード室101に投入され、ロード室101内を真空雰囲気とした後、ベーキング、電子線洗浄室102へ送られる。べーキング、電子線洗浄室102では、10−5Pa程度の高真空度に達した時点で、背面側組立体および前面基板を300℃程度の温度に加熱してベーキングし、各部材の表面吸着ガスを十分に放出させる。
【0036】
また、べーキング、電子線洗浄室102では、加熱と同時に、べーキング、電子線洗浄室102に取り付けられた図示しない電子線発生装置から、前面基板11の蛍光体スクリーン面、および背面基板12の電子放出素子面に電子線を照射する。この電子線は、電子線発生装置外部に装着された偏向装置によって偏向走査されるため、蛍光体スクリーン面、および電子放出素子面の全面を電子線洗浄することが可能となる。
【0037】
加熱、電子線洗浄後、背面基板側組立体および前面基板11は冷却室103に送られ、例えば約100℃の温度の温度まで冷却される。続いて、背面側組立体および前面基板11はゲッタ膜の蒸着室104へ送られ、ここで蛍光体スクリーンの外側にゲッタ膜としてBa膜が蒸着形成される。このBa膜は、表面が酸素や炭素などで汚染されることが防止され、活性状態を維持することができる。
【0038】
次に、背面側組立体および前面基板11は組立室105に送られ、ここで200℃まで加熱されインジウム層31が再び液状に溶融あるいは軟化される。この状態で、前面基板11と側壁18と接合して所定の圧力で加圧した後、インジウムを除冷して固化させる。これにより、前面基板11と側壁18とがインジウム層31によって封着され、真空外囲器10が形成される。
【0039】
このようにして形成された真空外囲器10は、冷却室106で常温まで冷却された後、アンロード室107から取り出される。以上の工程により、FEDが完成する。
【0040】
以上のように構成されたFEDおよびその製造方法によれば、真空雰囲気中で前面基板11、および背面基板12の封着を行なうことにより、ベーキングおよび電子線洗浄の併用によって基板の表面吸着ガスを十分に放出させることができ、ゲッタ膜も酸化されず十分なガス吸着効果を得ることができる。これにより、高い真空度を維持可能なFEDを得ることができる。また、封着材料としてインジウムを使用することにより、フリットガラスで問題となる真空中での発泡はなく、かつ、気密性の高いFEDを得ることが可能となる。
【0041】
一方、封着面32、33を無処理の状態でインジウムを充填すると、例えば、300℃で真空加熱してインジウムが溶融した際、インジウムが弾かれてしまう。これは封着面32、33上の残存不純物がインジウムの濡れ性を劣化させていることにある。そのため、前述したように、化学および物理研磨剤であるCeO2により封着面32、33を研磨し封着面32、33の不純物を除去する。これにより、封着面32、33が改質されて清浄面となり、インジウムの濡れ性が大幅に向上する。これにより、真空加熱中でもインジウムの弾きが無くなり、気密性の高い真空外囲器を得ることができる。
【0042】
研磨剤は、CeO2に限らず、化学研磨および物理研磨効果のある材料であればよく、例えば、MnO2、Mn2O3、Mn3O4等を用いても良い。また、化学研磨および物理研磨は、封着面32、33のみに限らず、前面基板11あるいは背面基板12の内面全体を研磨処理してもよい。
【0043】
更に、封着面32、33の改質は、上述した化学および物理研磨に限らず、真空中あるいは大気中で、封着面あるいは基板全体を200℃以上、好ましくは、300℃以上で焼成することにより行ってもよい。
【0044】
上記のような化学的および物理的研磨、あるいは、加熱処理により封着面を改質処理した場合と、封着面を前処理しない場合とで真空加熱中におけるインジウムの濡れ性をテストした。その結果を図7に示す。
この図から分かるように、封着面を研磨処理した場合は、いずれの研磨剤を用いた場合でも良好な濡れ性が得られた。また、加熱処理については、200℃、より好ましくは、300℃以上で良好な濡れ性が得られた。
【0045】
このように、封着面を化学および物理研磨剤で研磨し、あるいは、封着面を加熱処理して改質し清浄面とすることにより、封着面に対するインジウムの濡れ性を大幅に向上することができる。そのため、封着時に所望の封着領域からインジウムが流出してしまう恐れがなく、50インチ以上の大型のFEDであっても気密性および信頼性の高い封着構造を実現することができる。
【0046】
なお、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、上述した実施の形態において、電子放出素子として電界放出型の電子放出素子を用いたが、これに限らず、pn型の冷陰極素子あるいは表面伝導型の電子放出素子等の他の電子放出素子を用いてもよい。また、この発明は、プラズマ表示パネル(PDP)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の他の画像表示装置にも適用可能である。
【0047】
上述した実施の形態では、前面基板11の封着面33および側壁18の封着面32の両方にインジウム層31を形成した状態で封着する構成としたが、いずれか一方の封着面のみに、例えば、図7に示すように、前面基板11の封着面33のみにインジウム層31を形成した状態で封着する構成としてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、化学および物理研磨、あるいは加熱処理により封着面を改質することで、封着材料に対する濡れ性を大幅に向上し、封着部の気密性が高く信頼性の向上した画像表示装置およびその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るFEDを示す斜視図。
【図2】上記FEDの前面基板を取り外した状態を示す斜視図。
【図3】図1の線A−Aに沿った断面図。
【図4】上記FEDの蛍光体スクリーンを示す平面図。
【図5】上記FEDの真空外囲器を構成する側壁の封着面および前面基板の封着面にインジウム層を形成した状態を示す断面図。
【図6】上記FEDの製造に用いる真空処理装置を概略的に示す図。
【図7】化学的および物理的研磨、あるいは、加熱処理により封着面を改質処理した場合と、封着面を前処理しない場合とで真空加熱中におけるインジウムの濡れ性を比較した結果を示す図。
【図8】この発明の他の実施の形態に係るFEDの製造方法において、真空外囲器を構成する側壁の封着面および前面基板の封着面にインジウム層を形成した状態を示す断面図。
【符号の説明】
10…真空外囲器
11…前面基板
12…背面基板
14…支持部材
16…蛍光体スクリーン
18…側壁
22…電子放出素子
30…フリットガラス
31…インジウム層
32、33…封着面
100…真空処理装置
Claims (10)
- 背面基板、およびこの背面基板に対向配置された前面基板を有した外囲器と、上記外囲器の内側に設けられた複数の画素表示素子と、を備え、
上記前面基板および上記背面基板は封着材料により周辺部同士が封着され、上記封着材料により封着された上記前面基板および上記背面基板の少なくとも一方の封着面は、改質処理されていることを特徴とする画像表示装置。 - 封着材料は、低融点金属材料であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 上記低融点金属材料は、InまたはInを含む合金であることを特徴する請求項2に記載の画像表示装置。
- 上記Inを含む合金は、少なくとも、Ag、Ni、Co、Au、Cu、Sn、Bi、Znのいずれか1つを含んでいることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置
- 上記封着面は、化学的あるいは物理的研磨剤により研磨処理された改質面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 上記封着面は、CeO2、MnO2、Mn2O3、Mn3O4のいずれか1つで研磨処理された改質面であることを特徴とする請求項5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 上記封着面は、200℃以上で加熱処理された改質面であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
- 背面基板、およびこの背面基板に対向配置された前面基板を有した外囲器と、上記外囲器の内側に設けられた複数の画素表示素子と、を備え、上記前面基板および上記背面基板は封着材料により周辺部同士が封着された画像表示装置の製造方法において、
上記前面基板および上記背面基板の少なくとも一方の封着面を改質処理し、
上記改質処理された封着面に封着材料を充填した後、この封着材料により上記前面基板および上記背面基板の周辺部同士を封着することを特徴とする平面型像表示装置の製造方法。 - CeO2、MnO2、Mn2O3、Mn3O4のいずれか1つの研磨剤により上記封着面を研磨して改質処理することを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置の製造方法。
- 上記封着面を200℃以上での加熱して改質処理することを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置の製造方法。
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