JP2004014445A - 電池の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池の形状および寸法の精度を向上させることができる電池の製造装置を提供する。
【解決手段】外装部材30に封入された電池素子20が、支持台41に支持されている。押え部材42は、電池素子20の上面に対向して凹部42Bを有し、この凹部42Bによって電池素子20との間に間隙42Cを維持しつつ傾斜面42Aによって外装部材30の封止部31B,31Cの基端側の部分を押止する。電池素子20が支持台41と押え部材42とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなく、出来上がった折り目は直線となり、封止部31B,31Cの弯曲を防止できる。電池素子20を外装部材30に封止する際には、初期充電後に外装部材30の内部を真空脱気する。そのため、外装部材30の1辺に仮封止部を設け、仮封止部と電池素子20との間にガスを溜めるようにする。
【選択図】 図7
【解決手段】外装部材30に封入された電池素子20が、支持台41に支持されている。押え部材42は、電池素子20の上面に対向して凹部42Bを有し、この凹部42Bによって電池素子20との間に間隙42Cを維持しつつ傾斜面42Aによって外装部材30の封止部31B,31Cの基端側の部分を押止する。電池素子20が支持台41と押え部材42とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなく、出来上がった折り目は直線となり、封止部31B,31Cの弯曲を防止できる。電池素子20を外装部材30に封止する際には、初期充電後に外装部材30の内部を真空脱気する。そのため、外装部材30の1辺に仮封止部を設け、仮封止部と電池素子20との間にガスを溜めるようにする。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子材料を含む電解質を有する電池素子を外装部材に収容してなる電池の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カメラ一体型VTR(videotape recorder),携帯電話あるいはラップトップコンピュータなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型化および軽量化が図られている。それに伴い、これら電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。中でも、リチウムイオン二次電池は、従来の非水系電解液二次電池である鉛電池あるいはニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、非常に期待されている。
【0003】
最近、このリチウムイオン二次電池において、固体状またはゲル状の電解質を用いたいわゆる固体電解質電池が提案されている。この固体電解質電池は、液漏れの心配がなく電解液を用いた二次電池のような外装缶による封止構造が不要であるので、例えば、正極および負極を電解質と共に巻回した巻回電極体を防湿性ラミネートフィルムに封入することにより作製することができる。従って、固体電解質電池は、電解液を用いた二次電池に比べて軽量化および薄型化することができ、電池のエネルギー密度をより向上させることができるという利点を有している。
【0004】
この固体電解質電池では、電池素子をラミネートフィルムで包み、ラミネートフィルムの外縁部同士を重ね合わせて密着させることによって電池素子を密封するようにしている。ラミネートフィルムの密着部分(封止部)は電池素子の側面に沿うように折り畳まれ、電池形状のコンパクト化が図られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、固体電解質電池では、外装部材にラミネートフィルムを用いているので、電池の形状や寸法を高精度に管理することが困難であった。例えば、本出願人と同一出願人が先に提案したラミネートフィルムの封止部の折り畳み装置では、例えば図18に示したように、外装部材130に封入された電池素子120を支持台141に載置し、電池素子120の上面を押え部材142で押圧しつつ封止部131B,131Cを折り目Xで鋭角に折り曲げるようにしている(特開2001−283799公報)。この後、封止部131B,131Cは、さらに深く折り曲げられて2つ折りにされたのち、封止部131B,131Cの根元を折り目Yとして電池素子120の側面にぴったり添わせるように折り畳まれる。
【0006】
ところが、電池素子120として、例えば、正極と負極とを電解質を介して積層し、巻回した巻回電極体を用いる場合には、正極および負極の巻き終わりの段差、巻回電極体の最外周に巻かれる保護テープの厚みなどによって、部位により厚さが異なっている。そのため、封止部131B,131Cが折り曲げられる前に、電池素子120が支持台141と押え部材142とに挟み込まれて、その厚さの違いにより、例えば図19に示したように、中央部分の厚さや幅が膨らんだ樽状に変形してしまう。このような変形後に封止部131B,131Cの折り曲げが開始されるので、折り目X,Yが変形後の形状を基準に形成され、電池の形状や寸法にさまざまな悪影響を及ぼしていた。例えば、押え部材142による押圧を解除すると、例えば図20に示したように、出来上がった折り目X,Yは弯曲しており、封止部131B,131Cも弯曲してしまっていた。また、このように弯曲した封止部131B,131Cを電池素子120の側面に添って折り曲げると、例えば図21に示したように、電池素子120の厚さが薄い部位では、封止部131B,131Cの高さHが、電池の厚さCTよりも大きくなってしまう場合があった。
【0007】
また、このような固体電解質電池では、初期充電時における電解液あるいは電解質の分解、または電池内部に存在する水の分解によって、ガスが発生し電池が膨れるという問題がある。さらに、高温保存時には、保存時間に依存してガス発生量が増加し、電池の形状の崩れが一層顕著になっていた。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、電池の形状および寸法の精度を向上させることができる電池の製造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の電池の製造装置は、一対の電極およびそれらの間に介在された高分子材料を含む電解質を有する電池素子と、この電池素子を覆うと共に電池素子の側面からその側面に対して直交する方向に張り出す封止部が設けられた外装部材とを有する電池の封止部を折り曲げるために用いられるものであって、電池素子をその底面において支持する支持台と、外装部材の封止部に対向して傾斜面を有すると共に電池素子の上面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の上面との間に間隙を維持しつつ傾斜面によって外装部材の封止部の基端側の部分を押止する押え部材と、電池素子の側面に沿って移動し、外装部材の封止部の基端側の部分を押え部材の傾斜面に当接するよう持ち上げて封止部を電池素子の側面に対して傾斜するよう折り曲げる第1の折曲部材と、この第1の折曲部材とは逆方向に移動し、外装部材の封止部の先端側の部分を押し下げて封止部が鋭角な山折り部分を持つように折り曲げる第2の折曲部材とを備えたものである。
【0010】
本発明による第2の電池の製造装置は、一対の電極およびそれらの間に介在された高分子材料を含む電解質を有する電池素子と、この電池素子を覆うと共に電池素子の側面からその側面に対して直交する方向に張り出す封止部が設けられた外装部材とを有する電池の封止部を折り曲げるために用いられるものであって、電池素子の底面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の底面との間に間隙を維持しつつ電池素子をその底面の端縁において支持する支持台と、外装部材の封止部に対向して傾斜面を有し、この傾斜面によって外装部材の封止部の基端側の部分を押止する押え部材と、電池素子の側面に沿って移動し、外装部材の封止部の基端側の部分を押え部材の傾斜面に当接するよう持ち上げて封止部を電池素子の側面に対して傾斜するよう折り曲げる第1の折曲部材と、この第1の折曲部材とは逆方向に移動し、外装部材の封止部の先端側の部分を押し下げて封止部が鋭角な山折り部分を持つように折り曲げる第2の折曲部材とを備えたものである。
【0011】
本発明による第1の電池の製造装置では、押え部材が、外装部材の封止部に対向して傾斜面を有すると共に電池素子の上面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の上面との間に間隙を維持しつつ傾斜面によって外装部材の封止部の基端側の部分を押止するようにしているので、電池が支持台と押え部材とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなくなる。よって、電池の形状や寸法の精度が向上する。
【0012】
本発明による第2の電池の製造装置では、支持台が、電池素子の底面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の底面との間に間隙を維持しつつ電池素子をその底面の端縁において支持するようにしているので、電池が支持台と押え部材とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなくなる。よって、電池の形状や寸法の精度が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施の形態に係る電池の製造装置である折り曲げ装置を用いて製造される二次電池の外観を表すものであり、図2はこの二次電池の外装前の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード線11および負極リード線12が取り付けられた電池素子20をフィルム状の外装部材30の内部に封入したものである。
【0015】
外装部材30は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のラミネートフィルムにより構成されている。外装部材30は、例えば、ポリエチレンフィルム側と電池素子20とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着され、封止部31A,31B,31Cが形成されている。
【0016】
正極リード線11および負極リード線12は、外装部材30の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極リード線11および負極リード線12は、例えば、アルミニウム(Al),銅(Cu),ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0017】
外装部材30と正極リード線11および負極リード線12との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム32が挿入されている。密着フィルム32は、正極リード線11および負極リード線12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば、正極リード線11および負極リード線12が上述した金属材料により構成される場合には、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
【0018】
なお、外装部材30は、上述したラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0019】
正極リード線11および負極リード線12が導出されていない封止部31B,31Cは、図1に点線で示した折り目Xに沿って2つ折りにされ、さらに図1に点線で示した折り目Yに沿って電池素子20の側面にぴったり添うように折り畳まれている。
【0020】
図3は、図1に示した電池素子20のIII−III線に沿った断面構造を表すものである。電池素子20は、例えば、正極21と負極22とをセパレータ23および電解質24を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ25により保護されている。
【0021】
正極21は、例えば、正極集電体21aと、この正極集電体21aの両面あるいは片面に設けられた正極合剤層21bとを有している。正極集電体21aには、長手方向における一方の端部に正極合剤層21bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に正極リード線11が取り付けられている。正極集電体21aは、例えば、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0022】
正極合剤層21bは、例えば、正極活物質として軽金属であるリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて黒鉛などの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料としては、例えば、TiS2,MoS2,NbSe2あるいはV2O5などのリチウムを含有しない金属硫化物あるいは酸化物などや、またはリチウム酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物、または高分子材料が挙げられる。
【0023】
特に、エネルギー密度を高くするには、一般式LixMIO2で表されるリチウム複合酸化物あるいはリチウムを含んだ層間化合物が好ましい。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn),鉄(Fe),アルミニウム,バナジウム(V)およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム複合酸化物などの具体例としては、LiCoO2,LiNiO2,LiyNizCo1−zO2(yおよびzは電池の充放電状態によって異なり、通常0<y<1、0.7<z<1.02の範囲内の値である)あるいはLiMn2O4などが挙げられる。また、オリビン型結晶構造を有するLiMIIPO4(MIIは1種以上の遷移金属である)などのリチウムリン酸化合物も高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
【0024】
負極22は、例えば、正極21と同様に、負極集電体22aと、この負極集電体22aの両面あるいは片面に設けられた負極合剤層22bとを有している。負極集電体22aには、長手方向における一方の端部に負極合剤層22bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に負極リード線12が取り付けられている。負極集電体22aは、例えば、銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0025】
負極合剤層22bは、例えば、負極活物質として軽金属であるリチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じてポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。
【0026】
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、例えば、黒鉛,難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化性炭素などの炭素材料が挙げられる。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。
【0027】
炭素材料についてより具体的に例示すれば、熱分解炭素類,コークス類,グラファイト類,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維,活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
【0028】
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、また、リチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が挙げられる。これらは高いエネルギー密度を得ることができるので好ましく、特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうち2種以上が共存するものがある。
【0029】
このような金属元素あるいは半金属元素としては、スズ(Sn),鉛(Pb),アルミニウム,インジウム(In),ケイ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),マグネシウム(Mg),ホウ素(B),ガリウム(Ga),ゲルマニウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)などが挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば、化学式MasMbtLiu、あるいは化学式MapMcqMdrで表されるものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種、MbはリチウムおよびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種、Mcは非金属元素の少なくとも1種、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種をそれぞれ表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
【0030】
中でも、4B族の金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素あるいはスズ、またはこれらの合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0031】
このような合金あるいは化合物について具体的に例を挙げれば、LiAl,AlSb,CuMgSb,SiB4,SiB6,Mg2Si,Mg2Sn,Ni2Si,TiSi2,MoSi2,CoSi2,NiSi2,CaSi2,CrSi2,Cu5Si,FeSi2,MnSi2,NbSi2,TaSi2,VSi2,WSi2,ZnSi2,SiC,Si3N4,Si2N2O,SiOv(0<v≦2),SnOw(0<w≦2),SnSiO3,LiSiOあるいはLiSnOなどがある。
【0032】
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、チタン酸化物,チタン酸リチウム,酸化鉄,酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどの酸化物や、あるいはLiN3などが挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレン,ポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
【0033】
セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0034】
電解質24は、保持体に電解液を分散あるいは保持させたいわゆるゲル状であり、高分子材料と、電解液とを含んでいる。
【0035】
高分子材料としては、例えばポリアクリロニトリルおよびポリアクリロニトリルの共重合体を使用することができる。共重合モノマー(ビニル系モノマー)としては、例えば、酢酸ビニル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸ブチル,アクリル酸メチル,アクリル酸ブチル,イタコン酸,水素化メチルアクリレート,水素化エチルアクリレート,アクリルアミド,塩化ビニル,フッ化ビニリデン,塩化ビニリデンなどを挙げることができる。さらに、アクリロニトリルブタジエンゴム,アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂,アクリロニトリル塩化ポリエチレンプロピレンジエンスチレン樹脂,アクリロニトリル塩化ビニル樹脂,アクリロニトリルメタアクリレート樹脂,アクリロニトリルアクリレート樹脂,ポリホスファゼンなどを使用することができる。
【0036】
高分子材料としては、他にも、例えばポリエチレンオキサイドおよびポリエチレンオキサイドの共重合体を使用することができる。共重合モノマーとしては、例えば、ポリプロピレンオキサイド,メタクリル酸メチル,メタクリル酸ブチル,アクリル酸メチル,アクリル酸ブチルなどを挙げることができる。
【0037】
また、高分子材料としては、例えばポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニリデンの共重合体を使用することができ、その共重合体モノマーとしては、例えば、ヘキサフルオロプロピレンあるいはテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
【0038】
これらの高分子材料は、いずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。特に、高分子材料としてポリフッ化ビニリデンを使用する場合には、ポリヘキサフルオロプロピレン,ポリ四フッ化エチレンなどが共重合された多元系高分子を用いて形成されていることが好ましい。ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロプロピレンとの共重合体は、高い機械的強度が得られるので、さらに好ましい。
【0039】
電解液は、例えば、非水溶媒などの溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
【0040】
溶媒としては、従来より非水電解液に使用されている種々の非水溶媒を用いることができる。具体的には、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ブチレンカーボネート,ビニレンカーボネート,γ−ブチルラクトン,γ−バレロラクトンなどの環状エステル化合物、ジエトキシエタン,テトラヒドロフラン,2−メチルテトラヒドロフラン,1,3−ジオキサンなどのエーテル化合物、酢酸メチル,プロピレン酸メチルなどの鎖状エステル化合物、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、または2,4−ジフルオロアニソール,2,6−ジフルオロアニソール,4−ブロモベラトロールなどが挙げられる。これらの非水溶媒は、いずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
電解質塩としては、例えば、LiPF6,LiAsF6,LiBF4,LiClO4,LiCF3SO3,LiN(CnF2n+1SO2)2(nは1以上の整数である),LiC4F9SO3などのリチウム塩が挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。なお、電解質塩の添加量は、良好なイオン伝導度が得られるように、ゲル状の電解質24の電解液におけるモル濃度が、0.8mol/l以上2.0mol/l以下となるように調製することが好ましい。
【0042】
このような構成を有する二次電池は、例えば次のようにして製造することができる。
【0043】
図4は、本実施の形態に係る二次電池の製造方法を表すものである。まず、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能な正極材料と導電剤と結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N−メチルピロリドンなどの溶剤に分散して正極合剤スラリーとしたのち、この正極合剤スラリーを正極集電体21aの両面あるいは片面に塗布し乾燥させ、圧縮成型して正極合剤層21bを形成し、正極21を作製する(ステップS101)。
【0044】
次いで、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料と結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチルピロリドンなどの溶剤に分散して負極合剤スラリーとしたのち、この負極合剤スラリーを負極集電体22aの例えば両面あるいは片面に塗布し乾燥させ、圧縮成型して負極合剤層22bを形成し、負極22を作製する(ステップS102)。
【0045】
続いて、例えば高分子材料,電解質塩および溶媒を分散媒に分散して電解質前駆体を作製し、これを正極21および負極22の上に塗布して、必要に応じて重合などを行い、分散媒を揮発させて電解質24を形成する(ステップS103)。
【0046】
電解質24を形成したのち、例えば、正極集電体21aに正極リード線11を取り付けると共に、負極集電体22aに負極リード線12を取り付ける。そののち、例えば、セパレータ23を介して、正極21と負極22とを積層する。そののち、この積層体を巻回して、最外周部に保護テープ25を接着して巻回電極体である電池素子20を形成する(ステップS104)。
【0047】
電池素子20を形成したのち、例えば、外装部材30で電池素子20を挟み込むようにして覆い、外装部材30の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入し、封止部31A〜31Cを形成する。具体的には、まず、図5(A)に示したように、正極リード線11および負極リード線12が導出される1辺を熱融着などにより密着させて封止部31Aを形成するが、その際、正極リード線11および負極リード線12と外装部材30との間には密着フィルム32を挿入すると共に、後述する外装部材30の内部を真空脱気するための排気管33を挿入することが好ましい。この後に行う真空脱気を効率よく行うことができるからである。続いて、図5(B)に示したように、内部を減圧しながら外装部材30の両端を熱融着などにより密着させて封止部31B,31Cを形成する(ステップS105)。
【0048】
封止部31A〜31Cおよび排気管33を形成したのち、この排気管33を用いて、外装部材30の内部を真空脱気することが好ましい(ステップS106)。これにより、完成後の電池の寸法が小さくなると共に、高温保存時の電池の膨れが改善され、電池の形状および寸法の精度を向上させることができるからである。また、上述したように、排気管33によって、真空脱気を効率よく行うことができる。
【0049】
外装部材30の内部の真空脱気を行ったのち、図6に示したように、外装部材30の封止部31Aから排気管33を除去して、その部分を再封止する(ステップS107)。
【0050】
最後に、対向する封止部31B,31Cを折り目Xで折り曲げ、さらに深く折って2つ折りにし、さらに電池素子20の側面にぴったりと添うように折り目Yで折り畳む(ステップS108)。
【0051】
図7は、本実施の形態に係る電池の製造装置である折り曲げ装置の概略構成を表している。この折り曲げ装置40は、ステップS108で述べた封止部31B,31Cの折り畳み工程のうち、封止部31B,31Cを折り目Xで折り曲げるために用いられる。折り曲げ装置40は、上面が平坦な支持台41を備えている。この支持台41は、図6に示したような状態、すなわち外装部材30に封入されて封止部31A〜31Cが完成した状態の電池素子20を、その底面において支持するものである。なお、封止部31B,31Cは、折り曲げ装置40に投入される前に、図示しない別の仮曲げ装置によって予め折り目Xで軽く折り曲げられている。
【0052】
この折り曲げ装置40は、また、封止部31B,31Cに対向して傾斜面42Aを有する押え部材42を備えている。押え部材42は、図示しない昇降駆動機構によって上下に移動可能となっている。また、押え部材42は、電池素子20の上面に対向して凹部42Bが設けられている。
【0053】
支持台41の両側には、一対の押上スライダ43が垂設されている。押上スライダ43は、図示しない昇降駆動機構によって電池素子20の側面に沿って上下に移動可能となっており、封止部31B,31Cの基端側の部分、すなわち電池素子20に近い部分を押え部材42の傾斜面42Aに当接するよう持ち上げるようになっている。
【0054】
また、押え部材42の両側には、一対の折曲スライダ44が設けられている。折曲スライダ44は、押上スライダ43とは逆方向に移動して、封止部31B,31Cの先端側の部分、すなわち電池素子20から遠い部分を押し下げるようになっている。
【0055】
この折り曲げ装置40では、支持台41に載置された電池素子20に向かって、押え部材42が下降してくると共に押上スライダ43が上昇してくる。押え部材42は、凹部42Bによって電池素子20の上面との間に間隙42Cを維持しつつ、傾斜面42Aによって押上スライダ43との間に封止部31B,31Cを挟んで押止することができる。さらに折曲スライダ44が下降してきて、封止部31B,31Cの先端側の部分を押し下げる。こうして、折り曲げ装置40によって、封止部31B,31Cが折り目Xで鋭角な山折り部分を持つように折り曲げることができる。
【0056】
折り曲げ装置40によって封止部31B,31Cを折り目Xで折り曲げたのち、図示しないが前述の特開2001−283799公報に記載されている折り畳み装置と同様にして、封止部31B,31Cを折り目Xでさらに深く折り曲げて2つ折りにし、続いて折り目Yで折り曲げて電池素子20の側面にぴったりと添わせる。以上により、図1に示した二次電池が完成する。
【0057】
この二次電池では、充電を行うと、正極合剤層21bからリチウムイオンが離脱し、電解質24を介して、負極合剤層22bに吸蔵される。また、放電を行うと、負極合剤層22bからリチウムイオンが離脱し、電解質24を介して正極合剤層21bに吸蔵される。
【0058】
このように本実施の形態によれば、折り曲げ装置40の押え部材42が、電池素子20の上面に対向して凹部42Bを有し、この凹部42Bによて電池素子20の上面との間に間隙42Cを維持しつつ傾斜面42Aによって外装部材30の封止部31B,31Cを押止するようにしたので、電池が支持台41と押え部材42とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなくなる。よって、出来上がった折り目は直線となり、封止部31B,31Cが弯曲したり、折り畳まれた封止部31B,31Cの高さが電池の厚さよりも大きくなったりする虞がなく、電池の形状および寸法の精度を向上させることができる。不良品率が低減されると共に、電池の製品寸法のさらなる小型化が可能となる。
【0059】
(変形例1)
図8は、上記実施の形態で説明した製造方法の変形例を表すものである。この製造方法は、封止部31A〜31Cを形成した後に、電池素子20の充電を行い、その後、外装部材30の内部を真空脱気するようにしたことを除き、上記実施の形態で説明した製造方法と同一である。したがって、同一の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0060】
まず、上記実施の形態で説明したステップS101ないしステップS104と同様にして、正極21を作製し(ステップS201)、負極22を作製し(ステップS202)、正極21および負極22に電解質24を形成する(ステップS203)。続いて、正極リード線11および負極リード線12を取り付けたのち、例えば、セパレータ23を介して、正極21と負極22とを積層する。そののち、この積層体を巻回して、最外周部に保護テープ25を接着して巻回電極体である電池素子20を形成する(ステップS204)。
【0061】
電池素子20を形成したのち、例えば、外装部材30で電池素子20を挟み込むようにして覆い、外装部材30の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入し、封止部31A,31Bを形成する。具体的には、まず、図9(A)に示したように、正極リード線11および負極リード線12が導出される1辺を熱融着などにより密着させて封止部31Aを形成するが、その際、正極リード線11および負極リード線12と外装部材30との間には密着フィルム32を挿入する。続いて、内部を減圧しながら外装部材30の1辺を熱融着などにより密着させて封止部31Bを形成する(ステップS205)。
【0062】
外装部材30の1辺を除いた残りの辺に封止部31A,31Bを形成したのち、図9(B)に示したように、封止部31A,31Bを形成しなかった辺に仮封止部31Dを形成することが好ましい。仮封止部31Dを形成する際には、内部を減圧しながら行うことが好ましい。また、仮封止部31Dと電池素子20との間に、電池素子20から発生するガスを溜めるためのガス貯留部34を設けることが好ましい(ステップS206)。この仮封止部31Dおよびガス貯留部34は、通常の製造プロセスにおいては予め電池の仕上がり寸法に合わせて切断されてしまう外装部材30の余分な部分を活用して形成しているものである。
【0063】
仮封止部31Dおよびガス貯留部34を形成したのち、電池素子20の充電を行う(ステップS207)。このとき、充電によって電池素子20から発生したガスは、ガス貯留部34に溜まることになる。なお、充電する前には、外装部材30の内部を真空脱気しておくことが好ましい。
【0064】
電池素子20の充電を行ったのち、ガス貯留部34に溜まっているガスを逸出させて外装部材30の内部を真空脱気する(ステップS208)。
【0065】
外装部材30の内部の真空脱気を行ったのち、図10(A)に示したように、仮封止部31Dが形成されている辺に、上記実施の形態で説明した封止部31Cと同様の本封止部31Eを形成する。(ステップS209)。その後、図10(B)に示したように、本封止部31Eを残して、ガス貯留部34および仮封止部31Dを切断して除去する(ステップS210)。これにより、初期充電後にガス発生を起こすと考えられる分解生成物が除去され、完成後の電池の寸法が小さくなると共に、高温保存時の電池の膨れが改善される。また、充電時に発生するガスをガス貯留部34に溜めておくことができ、ガス貯留部34を利用して真空脱気を効率よく行うことができる。よって、電池の形状および寸法の精度を向上させることができる。
【0066】
最後に、対向する封止部31Bおよび本封止部31Eを、上記実施の形態で説明したのと同様にして、折り目Xで折り曲げ、さらに深く折って2つ折りにし、さらに電池素子20の側面にぴったりと添うように折り目Yで折り畳む(ステップS211)。このとき、封止部31Bおよび本封止部31Eを折り目Xで折り曲げるためには、上記実施の形態で説明した折り曲げ装置40を使用することができる。以上により、図1に示した二次電池が完成する。
【0067】
この二次電池の作用および効果は、上記実施の形態の二次電池と同様である。
【0068】
(変形例2)
図11は、上記実施の形態で説明した電池の製造方法の他の変形例を表すものである。この製造方法は、封止部31Aに排気管33を設けるようにしたことを除き、変形例1で説明した製造方法と同一である。したがって、同一の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0069】
まず、上記実施の形態で説明したステップS101ないしステップS104と同様にして、正極21を作製し(ステップS301)、負極22を作製し(ステップS302)、正極21および負極22に電解質24を形成する(ステップS303)。続いて、正極リード線11および負極リード線12を取り付けたのち、例えば、セパレータ23を介して、正極21と負極22とを積層する。そののち、この積層体を巻回して、最外周部に保護テープ25を接着して巻回電極体である電池素子20を形成する(ステップS304)。
【0070】
電池素子20を形成したのち、例えば、外装部材30で電池素子20を挟み込むようにして覆い、外装部材30の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入し、封止部31A,31Bを形成する。具体的には、まず、図12(A)に示したように、正極リード線11および負極リード線12が導出される1辺を熱融着などにより密着させて封止部31Aを形成するが、その際、正極リード線11および負極リード線12と外装部材30との間には密着フィルム32を挿入すると共に、後述する外装部材30の内部を真空脱気するための排気管33を挿入することが好ましい。続いて、内部を減圧しながら外装部材30の1辺を熱融着などにより密着させて封止部31Bを形成する(ステップS305)。ここで、排気管33は、次のステップS306で形成されるガス貯留部34を囲む封止部31Aの部分に、かつ仮封止部31Dおよび本封止部31Eを形成する部分を回避して設けることが好ましい。排気管33の除去が容易となると共に、再封止の手間を省くことができるからである。
【0071】
外装部材30の1辺を除いた残りの辺に封止部31A,31Bを形成したのち、図12(B)に示したように、封止部31A,31Bを形成しなかった辺に仮封止部31Dを形成する。仮封止部31Dを形成する際には、内部を減圧しながら行うことが好ましい。また、仮封止部31Dと電池素子20との間に、電池素子20から発生するガスを溜めるためのガス貯留部34を設ける(ステップS306)。
【0072】
仮封止部31Dおよびガス貯留部34を形成したのち、電池素子20の充電を行う(ステップS307)。このとき、充電によって電池素子20から発生したガスは、ガス貯留部34に溜まることになる。なお、充電する前には、外装部材30の内部を真空脱気しておくことが好ましい。
【0073】
電池素子20の充電を行ったのち、排気管33を用いて、ガス貯留部34に溜まっているガスを逸出させて外装部材30の内部を真空脱気する(ステップS308)。
【0074】
外装部材30の内部の真空脱気を行ったのち、図13(A)に示したように、仮封止部31Dが形成されている辺に、上記実施の形態で説明した封止部31Cと同様の本封止部31Eを形成する。(ステップS309)。その後、図13(B)に示したように、本封止部31Eを残して、ガス貯留部34および仮封止部31Dを切断して排気管33と共に除去する(ステップS310)。
【0075】
最後に、対向する封止部31Bおよび本封止部31Eを、上記実施の形態で説明したのと同様にして、折り目Xで折り曲げ、さらに深く折って2つ折りにし、さらに電池素子20の側面にぴったりと添うように折り目Yで折り畳む(ステップS311)。このとき、封止部31Bおよび本封止部31Eを折り目Xで折り曲げるためには、上記実施の形態で説明した折り曲げ装置40を使用することができる。以上により、図1に示した二次電池が完成する。
【0076】
この二次電池の作用および効果は、上記実施の形態の二次電池と同様である。
【0077】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について、図1および図2を参照し同一の符号を用いて詳細に説明する。
【0078】
(実施例1)
本実施例は、上記変形例1で説明したように、仮封止部31Dおよびガス貯留部34を設け、電池素子20の充電を行った後に真空脱気を行い、そののち本封止部31Eを形成するようにしたものである。
【0079】
まず、正極活物質としてリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)を用い、このリチウム・コバルト複合酸化物100質量部と、導電剤であるカーボンブラック5質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン5質量部とを混合して正極合剤を調整した。次いで、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散して正極合剤スラリーとし、帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体21aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して、正極合剤層21bを形成し正極21を作製した。
【0080】
また、負極活物質として人造黒鉛粉末を用意し、この人造黒鉛粉末90質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤を調整した。次いで、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散して負極合剤スラリーとしたのち、帯状銅箔よりなる負極集電体22aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して、負極合剤層22bを形成し負極22を作製した。
【0081】
続いて、高分子材料の原料であるポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン共重合体と、電解質塩であるLiPF6と、溶媒である炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンとを、分散媒である炭酸ジメチルで混合して電解質前駆体を作成した。そののち、電解質前駆体をキャスト法により正極21および負極22の上に塗布し、炭酸ジメチルを揮発させた。電解質24を形成したのち、正極集電体21aに正極リード線11を取り付けると共に、負極集電体22aに負極リード線12を取り付けた。
【0082】
正極リード線11および負極リード線12を取り付けたのち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層して巻回し、巻回電極体である電池素子20とした。
【0083】
そののち、正極リード線11および負極リード線12を外部へ導出しつつ、電池素子20をラミネートフィルムよりなる外装部材30で挟み込むようにして覆い、内部を減圧しながら外装部材30の外縁部同士を熱融着により密着させて封入し、封止部31A,31Bを形成した(図9(A)参照)。
【0084】
封止部31A,31Bを形成したのち、これらを形成しなかった辺に、内部を減圧しながら仮封止部31Dを形成した。このとき、仮封止部31Dと電池素子20との間に、電池素子20から発生するガスを溜めるためのガス貯留部34を設けた(図9(B)参照)。
【0085】
仮封止部31Dおよびガス貯留部34を形成したのち、電池素子20の充電を行う前に、電池の厚みを計測した。その結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
そののち、電池素子の充電を行った。その際の条件は、1C、2.5時間、上限4.2Vまで行った。充電後にも電池の厚みを計測した。その結果を併せて表1に示す。
【0088】
電池素子20の充電を行ったのち、ガス貯留部34に溜まっているガスを逸出させて外装部材30の内部を真空脱気した。
【0089】
外装部材30の内部を真空脱気したのち、仮封止部31Dが形成されている辺に、本封止部31Eを形成し(図10(A)参照)、この本封止部31Eを残して、ガス貯留部34および仮封止部31Dを切除した(図10(B)参照)。最後に、対向する封止部31Bおよび本封止部31Eを折り曲げ装置40を用いて折り目Xで折り曲げ、さらに深く折って2つ折りにし、そののち電池素子20の側面にぴったり添うように折り目Yで折り畳んだ。これにより、図1に示した二次電池を得た。
【0090】
得られた二次電池について、完成後の厚みを計測した。得られた結果を表1に併せて示す。
【0091】
また、この二次電池を、温度60℃、湿度90%で30日間(720時間)保存し、電池の厚みの変化を計測した。得られた結果を表2および図14に示す。
【0092】
【表2】
【0093】
本実施例に対する比較例1として、仮封止部31Dおよびガス貯留部34を設けず、外装部材30のすべての辺に、初めから電池の仕上がり寸法に合わせて封止部を形成し、充電後に真空脱気を行わなかったことを除き、他は本実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0094】
得られた比較例1の二次電池についても、実施例1と同一条件で充電を行い、充電後の封止部を折り畳んで完成した。このとき、充電前、充電後および完成後の厚みを計測した。得られた結果を表1に併せて示す。
【0095】
また、この二次電池を、実施例1と同様に温度60℃、湿度90%で30日間(720時間)保存し、電池の厚みの変化を計測した。得られた結果を表2および図14に併せて示す。
【0096】
表1から分かるように、充電前および充電後の電池の厚みは、実施例1と比較例1とでほとんど差が見られなかったが、充電後に真空脱気を行った実施例1では、充電後に真空脱気を行わなかった比較例1よりも完成後の電池の厚みが薄くなっていた。よって、充電後に真空脱気を行うことによって、完成後の電池の寸法を小さくすることができることが分かった。
【0097】
また、表2および図14から分かるように、充電後に真空脱気を行った実施例1では、充電後に真空脱気を行わなかった比較例1よりも高温保存時の電池の膨れが小さかった。よって、充電後に真空脱気を行うことによって、高温保存時の電池の膨れを抑制することができることが分かった。
【0098】
(実施例2)
本実施例では、上記変形例2で説明したように、封止部31Aを形成する際に排気管33を設けたことを除き、他は実施例1と同様にして二次電池を作製した。排気管33は、ガス貯留部34を囲む封止部31Aの部分に、仮封止部31Dおよび本封止部31Eを形成する部分を回避して設けた(図12(A)参照)。充電の条件は実施例1と同様とした。また、充電前、充電後および完成後に電池の厚みを計測した。その結果を表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
この二次電池を、温度60℃、湿度90%で30日間保存し、電池の厚みの変化を計測した。得られた結果を表4および図15に示す。
【0101】
【表4】
【0102】
本実施例に対する比較例2として、排気管33を設けず、かつ仮封止部31Dおよびガス貯留部34も設けないで、外装部材30のすべての辺に、初めから電池の仕上がり寸法に合わせて封止部を形成し、充電後に真空脱気を行わなかったことを除き、他は本実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0103】
得られた比較例2の二次電池についても、実施例2と同一条件で充電を行い、充電後の封止部を折り畳んで完成した。この二次電池の充電前、充電後および完成後の厚みを計測し、得られた結果を表3に併せて示す。
【0104】
また、この二次電池を、温度60℃、湿度90%で30日間(720時間)保存し、電池の厚みの変化を計測した。得られた結果を表4および図15に併せて示す。
【0105】
表3から分かるように、充電前および充電後の電池の厚みは、実施例2と比較例2とでほとんど差が見られなかったが、充電後に真空脱気を行った実施例2では、充電後に真空脱気を行わなかった比較例2よりも完成後の電池の厚みが薄くなっていた。よって、充電後に真空脱気を行うことによって、完成後の電池の寸法を小さくすることができることが分かった。
【0106】
また、表4および図15から分かるように、充電後に排気管33を用いて真空脱気を行った実施例1では、充電後に真空脱気を行わなかった比較例1よりも高温保存時の電池の膨れが小さかった。よって、充電後に真空脱気を行うことによって、高温保存時の電池の膨れを抑制することができることが分かった。さらに、表2と表4とを比較して分かるように、排気管33を用いて真空脱気を行った実施例2では、排気管33を用いずに真空脱気を行った実施例1よりも完成後の厚みが小さくなっていた。よって、排気管33を用いることにより真空脱気を効率よく行うことができることが分かった。
【0107】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、高分子材料、電解質塩および溶媒について具体的に例を挙げて説明したが、他の材料を用いてもよい。
【0108】
また、上記実施の形態および実施例では、電解質24としてゲル状の電解質を用いた場合について説明したが、本発明は、高分子材料と電解液とを含む他の電解質を用いる場合についても適用することができる。他の電解質としては、例えば非水溶媒,固体電解質,高分子電解質あるいは電解液を高分子材料に膨潤させた高分子固体電解質が挙げられる。
【0109】
さらに、上記実施の形態および実施例では、排気管33の数は一本としたが、排気管33は何本でもよい。
【0110】
また、上記実施の形態および実施例では、ガス貯留部34および仮封止部31Dを外装部材30の1辺のみに形成するようにしたが、2辺以上に形成するようにしてもよい。例えば、電池素子20の両側の封止部31B,31Cの代わりに、ガス貯留部34および仮封止部31Dを一対ずつ設けるようにしてもよい。さらに排気管33を設ける場合には、両側のガス貯留部34に少なくとも1本ずつ排気管33を設けることが好ましい。
【0111】
さらに、上記実施の形態および実施例では、折り曲げ装置40の押え部材42に凹部42Bを設け、この凹部42Bによって電池素子20の上面との間に間隙42Cを維持しつつ傾斜面42Aによって外装部材30の封止部31B,31Cの基端側の部分を押止するようにした場合について説明したが、例えば、図16に示したように、支持台41に、電池素子20の底面に対向して凹部41Bを設け、この凹部41Bによって電池素子20の底面との間に間隙41Cを維持しつつ電池素子20を底面の端縁において支持するようにしてもよい。さらに、図17に示したように、支持台41に凹部41Bを設けると共に押え部材42にも凹部42Bを設けるようにしてもよい。
【0112】
更に、上記実施の形態および実施例では、ラミネートフィルムからなる外装部材30を用いた巻回ラミネート型の二次電池について説明したが、本発明は、積層ラミネート型の二次電池についても同様に適用することができる。また、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
【0113】
加えて、上記実施の形態および実施例では、軽金属としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、軽金属を吸蔵および離脱することが可能な負極材料、正極材料、非水溶媒、あるいは電解質塩などは、その軽金属に応じて選択される。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の電池の製造装置によれば、押え部材が、外装部材の封止部に対向して傾斜面を有すると共に電池素子の上面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の上面との間に間隙を維持しつつ傾斜面によって外装部材の封止部の基端側の部分を押止するようにしているので、電池が支持台と押え部材とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなくなる。よって、出来上がった折り目は直線となり、封止部が弯曲したり、折り畳まれた封止部の高さが電池の厚さよりも大きくなったりする虞がなく、電池の形状および寸法の精度を向上させることができる。したがって、不良品率が低減されると共に、電池の製品寸法のさらなる小型化が可能となる。
【0115】
請求項2または請求項3記載の電池の製造装置によれば、支持台が、電池素子の底面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の底面との間に間隙を維持しつつ電池素子をその底面の端縁において支持するようにしているので、電池が支持台と押え部材とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなくなる。電池の形状および寸法の精度を向上させることができる。したがって、不良品率が低減されると共に、電池の製品寸法のさらなる小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電池の製造装置である折り曲げ装置を用いて製造される二次電池の外観を表す斜視図である。
【図2】図1に示した二次電池の外装前の構成を表す斜視図である。
【図3】図2に示した電池素子のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図1に示した二次電池の製造工程を表す流れ図である。
【図5】図1に示した二次電池の製造方法の一部を工程順に表す平面図である。
【図6】図5に続く工程を表す平面図である。
【図7】図1に示した二次電池の製造に用いられる折り曲げ装置の概略構成を表す説明図である。
【図8】変形例1に係る電池の製造方法を表す流れ図である。
【図9】図8に示した製造方法の一部を工程順に表す平面図である。
【図10】図9に続く工程を表す平面図である。
【図11】変形例2に係る電池の製造方法を表す流れ図である。
【図12】図11に示した製造方法の一部を工程順に表す平面図である。
【図13】図12に続く工程を表す平面図である。
【図14】実施例1に係る二次電池の高温保存特性を表す図である。
【図15】実施例2に係る二次電池の高温保存特性を表す図である。
【図16】図7に示した折り曲げ装置の変形例を表す概略構成図である。
【図17】図7に示した折り曲げ装置の他の変形例を表す概略構成図である。
【図18】本出願人と同一出願人が先に提案した折り畳み装置の概略構成を表す説明図である。
【図19】図18に示した折り畳み装置の問題点を工程順に説明するための説明図である。
【図20】図19に続く工程における問題点を説明するための説明図である。
【図21】図20に続く工程における問題点を説明するための説明図である。
【符号の説明】
11…正極リード線、12…負極リード線、20…電池素子(巻回電極体)、21…正極、21a…正極集電体、21b…正極合剤層、22…負極、22a…負極集電体、22b…負極合剤層、23…セパレータ、24…電解質、30…外装部材、31A,31B,31C…封止部、31D…仮封止部、31E…本封止部、32…密着フィルム、33…排気管、34…ガス貯留部、40…折り曲げ装置、41…支持台、41B,42B…凹部、41C,42C…間隙、42…押え部材、42A…傾斜面、43…押上スライダ、44…折曲スライダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子材料を含む電解質を有する電池素子を外装部材に収容してなる電池の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カメラ一体型VTR(videotape recorder),携帯電話あるいはラップトップコンピュータなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型化および軽量化が図られている。それに伴い、これら電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。中でも、リチウムイオン二次電池は、従来の非水系電解液二次電池である鉛電池あるいはニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、非常に期待されている。
【0003】
最近、このリチウムイオン二次電池において、固体状またはゲル状の電解質を用いたいわゆる固体電解質電池が提案されている。この固体電解質電池は、液漏れの心配がなく電解液を用いた二次電池のような外装缶による封止構造が不要であるので、例えば、正極および負極を電解質と共に巻回した巻回電極体を防湿性ラミネートフィルムに封入することにより作製することができる。従って、固体電解質電池は、電解液を用いた二次電池に比べて軽量化および薄型化することができ、電池のエネルギー密度をより向上させることができるという利点を有している。
【0004】
この固体電解質電池では、電池素子をラミネートフィルムで包み、ラミネートフィルムの外縁部同士を重ね合わせて密着させることによって電池素子を密封するようにしている。ラミネートフィルムの密着部分(封止部)は電池素子の側面に沿うように折り畳まれ、電池形状のコンパクト化が図られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、固体電解質電池では、外装部材にラミネートフィルムを用いているので、電池の形状や寸法を高精度に管理することが困難であった。例えば、本出願人と同一出願人が先に提案したラミネートフィルムの封止部の折り畳み装置では、例えば図18に示したように、外装部材130に封入された電池素子120を支持台141に載置し、電池素子120の上面を押え部材142で押圧しつつ封止部131B,131Cを折り目Xで鋭角に折り曲げるようにしている(特開2001−283799公報)。この後、封止部131B,131Cは、さらに深く折り曲げられて2つ折りにされたのち、封止部131B,131Cの根元を折り目Yとして電池素子120の側面にぴったり添わせるように折り畳まれる。
【0006】
ところが、電池素子120として、例えば、正極と負極とを電解質を介して積層し、巻回した巻回電極体を用いる場合には、正極および負極の巻き終わりの段差、巻回電極体の最外周に巻かれる保護テープの厚みなどによって、部位により厚さが異なっている。そのため、封止部131B,131Cが折り曲げられる前に、電池素子120が支持台141と押え部材142とに挟み込まれて、その厚さの違いにより、例えば図19に示したように、中央部分の厚さや幅が膨らんだ樽状に変形してしまう。このような変形後に封止部131B,131Cの折り曲げが開始されるので、折り目X,Yが変形後の形状を基準に形成され、電池の形状や寸法にさまざまな悪影響を及ぼしていた。例えば、押え部材142による押圧を解除すると、例えば図20に示したように、出来上がった折り目X,Yは弯曲しており、封止部131B,131Cも弯曲してしまっていた。また、このように弯曲した封止部131B,131Cを電池素子120の側面に添って折り曲げると、例えば図21に示したように、電池素子120の厚さが薄い部位では、封止部131B,131Cの高さHが、電池の厚さCTよりも大きくなってしまう場合があった。
【0007】
また、このような固体電解質電池では、初期充電時における電解液あるいは電解質の分解、または電池内部に存在する水の分解によって、ガスが発生し電池が膨れるという問題がある。さらに、高温保存時には、保存時間に依存してガス発生量が増加し、電池の形状の崩れが一層顕著になっていた。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、電池の形状および寸法の精度を向上させることができる電池の製造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の電池の製造装置は、一対の電極およびそれらの間に介在された高分子材料を含む電解質を有する電池素子と、この電池素子を覆うと共に電池素子の側面からその側面に対して直交する方向に張り出す封止部が設けられた外装部材とを有する電池の封止部を折り曲げるために用いられるものであって、電池素子をその底面において支持する支持台と、外装部材の封止部に対向して傾斜面を有すると共に電池素子の上面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の上面との間に間隙を維持しつつ傾斜面によって外装部材の封止部の基端側の部分を押止する押え部材と、電池素子の側面に沿って移動し、外装部材の封止部の基端側の部分を押え部材の傾斜面に当接するよう持ち上げて封止部を電池素子の側面に対して傾斜するよう折り曲げる第1の折曲部材と、この第1の折曲部材とは逆方向に移動し、外装部材の封止部の先端側の部分を押し下げて封止部が鋭角な山折り部分を持つように折り曲げる第2の折曲部材とを備えたものである。
【0010】
本発明による第2の電池の製造装置は、一対の電極およびそれらの間に介在された高分子材料を含む電解質を有する電池素子と、この電池素子を覆うと共に電池素子の側面からその側面に対して直交する方向に張り出す封止部が設けられた外装部材とを有する電池の封止部を折り曲げるために用いられるものであって、電池素子の底面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の底面との間に間隙を維持しつつ電池素子をその底面の端縁において支持する支持台と、外装部材の封止部に対向して傾斜面を有し、この傾斜面によって外装部材の封止部の基端側の部分を押止する押え部材と、電池素子の側面に沿って移動し、外装部材の封止部の基端側の部分を押え部材の傾斜面に当接するよう持ち上げて封止部を電池素子の側面に対して傾斜するよう折り曲げる第1の折曲部材と、この第1の折曲部材とは逆方向に移動し、外装部材の封止部の先端側の部分を押し下げて封止部が鋭角な山折り部分を持つように折り曲げる第2の折曲部材とを備えたものである。
【0011】
本発明による第1の電池の製造装置では、押え部材が、外装部材の封止部に対向して傾斜面を有すると共に電池素子の上面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の上面との間に間隙を維持しつつ傾斜面によって外装部材の封止部の基端側の部分を押止するようにしているので、電池が支持台と押え部材とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなくなる。よって、電池の形状や寸法の精度が向上する。
【0012】
本発明による第2の電池の製造装置では、支持台が、電池素子の底面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の底面との間に間隙を維持しつつ電池素子をその底面の端縁において支持するようにしているので、電池が支持台と押え部材とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなくなる。よって、電池の形状や寸法の精度が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施の形態に係る電池の製造装置である折り曲げ装置を用いて製造される二次電池の外観を表すものであり、図2はこの二次電池の外装前の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード線11および負極リード線12が取り付けられた電池素子20をフィルム状の外装部材30の内部に封入したものである。
【0015】
外装部材30は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のラミネートフィルムにより構成されている。外装部材30は、例えば、ポリエチレンフィルム側と電池素子20とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着され、封止部31A,31B,31Cが形成されている。
【0016】
正極リード線11および負極リード線12は、外装部材30の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極リード線11および負極リード線12は、例えば、アルミニウム(Al),銅(Cu),ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0017】
外装部材30と正極リード線11および負極リード線12との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム32が挿入されている。密着フィルム32は、正極リード線11および負極リード線12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば、正極リード線11および負極リード線12が上述した金属材料により構成される場合には、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
【0018】
なお、外装部材30は、上述したラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0019】
正極リード線11および負極リード線12が導出されていない封止部31B,31Cは、図1に点線で示した折り目Xに沿って2つ折りにされ、さらに図1に点線で示した折り目Yに沿って電池素子20の側面にぴったり添うように折り畳まれている。
【0020】
図3は、図1に示した電池素子20のIII−III線に沿った断面構造を表すものである。電池素子20は、例えば、正極21と負極22とをセパレータ23および電解質24を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ25により保護されている。
【0021】
正極21は、例えば、正極集電体21aと、この正極集電体21aの両面あるいは片面に設けられた正極合剤層21bとを有している。正極集電体21aには、長手方向における一方の端部に正極合剤層21bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に正極リード線11が取り付けられている。正極集電体21aは、例えば、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0022】
正極合剤層21bは、例えば、正極活物質として軽金属であるリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて黒鉛などの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料としては、例えば、TiS2,MoS2,NbSe2あるいはV2O5などのリチウムを含有しない金属硫化物あるいは酸化物などや、またはリチウム酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物、または高分子材料が挙げられる。
【0023】
特に、エネルギー密度を高くするには、一般式LixMIO2で表されるリチウム複合酸化物あるいはリチウムを含んだ層間化合物が好ましい。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn),鉄(Fe),アルミニウム,バナジウム(V)およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム複合酸化物などの具体例としては、LiCoO2,LiNiO2,LiyNizCo1−zO2(yおよびzは電池の充放電状態によって異なり、通常0<y<1、0.7<z<1.02の範囲内の値である)あるいはLiMn2O4などが挙げられる。また、オリビン型結晶構造を有するLiMIIPO4(MIIは1種以上の遷移金属である)などのリチウムリン酸化合物も高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
【0024】
負極22は、例えば、正極21と同様に、負極集電体22aと、この負極集電体22aの両面あるいは片面に設けられた負極合剤層22bとを有している。負極集電体22aには、長手方向における一方の端部に負極合剤層22bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に負極リード線12が取り付けられている。負極集電体22aは、例えば、銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0025】
負極合剤層22bは、例えば、負極活物質として軽金属であるリチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じてポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。
【0026】
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、例えば、黒鉛,難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化性炭素などの炭素材料が挙げられる。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。
【0027】
炭素材料についてより具体的に例示すれば、熱分解炭素類,コークス類,グラファイト類,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維,活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
【0028】
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、また、リチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が挙げられる。これらは高いエネルギー密度を得ることができるので好ましく、特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうち2種以上が共存するものがある。
【0029】
このような金属元素あるいは半金属元素としては、スズ(Sn),鉛(Pb),アルミニウム,インジウム(In),ケイ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),マグネシウム(Mg),ホウ素(B),ガリウム(Ga),ゲルマニウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)などが挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば、化学式MasMbtLiu、あるいは化学式MapMcqMdrで表されるものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種、MbはリチウムおよびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種、Mcは非金属元素の少なくとも1種、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種をそれぞれ表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
【0030】
中でも、4B族の金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素あるいはスズ、またはこれらの合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0031】
このような合金あるいは化合物について具体的に例を挙げれば、LiAl,AlSb,CuMgSb,SiB4,SiB6,Mg2Si,Mg2Sn,Ni2Si,TiSi2,MoSi2,CoSi2,NiSi2,CaSi2,CrSi2,Cu5Si,FeSi2,MnSi2,NbSi2,TaSi2,VSi2,WSi2,ZnSi2,SiC,Si3N4,Si2N2O,SiOv(0<v≦2),SnOw(0<w≦2),SnSiO3,LiSiOあるいはLiSnOなどがある。
【0032】
リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、チタン酸化物,チタン酸リチウム,酸化鉄,酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどの酸化物や、あるいはLiN3などが挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレン,ポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
【0033】
セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0034】
電解質24は、保持体に電解液を分散あるいは保持させたいわゆるゲル状であり、高分子材料と、電解液とを含んでいる。
【0035】
高分子材料としては、例えばポリアクリロニトリルおよびポリアクリロニトリルの共重合体を使用することができる。共重合モノマー(ビニル系モノマー)としては、例えば、酢酸ビニル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸ブチル,アクリル酸メチル,アクリル酸ブチル,イタコン酸,水素化メチルアクリレート,水素化エチルアクリレート,アクリルアミド,塩化ビニル,フッ化ビニリデン,塩化ビニリデンなどを挙げることができる。さらに、アクリロニトリルブタジエンゴム,アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂,アクリロニトリル塩化ポリエチレンプロピレンジエンスチレン樹脂,アクリロニトリル塩化ビニル樹脂,アクリロニトリルメタアクリレート樹脂,アクリロニトリルアクリレート樹脂,ポリホスファゼンなどを使用することができる。
【0036】
高分子材料としては、他にも、例えばポリエチレンオキサイドおよびポリエチレンオキサイドの共重合体を使用することができる。共重合モノマーとしては、例えば、ポリプロピレンオキサイド,メタクリル酸メチル,メタクリル酸ブチル,アクリル酸メチル,アクリル酸ブチルなどを挙げることができる。
【0037】
また、高分子材料としては、例えばポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニリデンの共重合体を使用することができ、その共重合体モノマーとしては、例えば、ヘキサフルオロプロピレンあるいはテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
【0038】
これらの高分子材料は、いずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。特に、高分子材料としてポリフッ化ビニリデンを使用する場合には、ポリヘキサフルオロプロピレン,ポリ四フッ化エチレンなどが共重合された多元系高分子を用いて形成されていることが好ましい。ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロプロピレンとの共重合体は、高い機械的強度が得られるので、さらに好ましい。
【0039】
電解液は、例えば、非水溶媒などの溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
【0040】
溶媒としては、従来より非水電解液に使用されている種々の非水溶媒を用いることができる。具体的には、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ブチレンカーボネート,ビニレンカーボネート,γ−ブチルラクトン,γ−バレロラクトンなどの環状エステル化合物、ジエトキシエタン,テトラヒドロフラン,2−メチルテトラヒドロフラン,1,3−ジオキサンなどのエーテル化合物、酢酸メチル,プロピレン酸メチルなどの鎖状エステル化合物、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、または2,4−ジフルオロアニソール,2,6−ジフルオロアニソール,4−ブロモベラトロールなどが挙げられる。これらの非水溶媒は、いずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
電解質塩としては、例えば、LiPF6,LiAsF6,LiBF4,LiClO4,LiCF3SO3,LiN(CnF2n+1SO2)2(nは1以上の整数である),LiC4F9SO3などのリチウム塩が挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。なお、電解質塩の添加量は、良好なイオン伝導度が得られるように、ゲル状の電解質24の電解液におけるモル濃度が、0.8mol/l以上2.0mol/l以下となるように調製することが好ましい。
【0042】
このような構成を有する二次電池は、例えば次のようにして製造することができる。
【0043】
図4は、本実施の形態に係る二次電池の製造方法を表すものである。まず、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能な正極材料と導電剤と結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N−メチルピロリドンなどの溶剤に分散して正極合剤スラリーとしたのち、この正極合剤スラリーを正極集電体21aの両面あるいは片面に塗布し乾燥させ、圧縮成型して正極合剤層21bを形成し、正極21を作製する(ステップS101)。
【0044】
次いで、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料と結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチルピロリドンなどの溶剤に分散して負極合剤スラリーとしたのち、この負極合剤スラリーを負極集電体22aの例えば両面あるいは片面に塗布し乾燥させ、圧縮成型して負極合剤層22bを形成し、負極22を作製する(ステップS102)。
【0045】
続いて、例えば高分子材料,電解質塩および溶媒を分散媒に分散して電解質前駆体を作製し、これを正極21および負極22の上に塗布して、必要に応じて重合などを行い、分散媒を揮発させて電解質24を形成する(ステップS103)。
【0046】
電解質24を形成したのち、例えば、正極集電体21aに正極リード線11を取り付けると共に、負極集電体22aに負極リード線12を取り付ける。そののち、例えば、セパレータ23を介して、正極21と負極22とを積層する。そののち、この積層体を巻回して、最外周部に保護テープ25を接着して巻回電極体である電池素子20を形成する(ステップS104)。
【0047】
電池素子20を形成したのち、例えば、外装部材30で電池素子20を挟み込むようにして覆い、外装部材30の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入し、封止部31A〜31Cを形成する。具体的には、まず、図5(A)に示したように、正極リード線11および負極リード線12が導出される1辺を熱融着などにより密着させて封止部31Aを形成するが、その際、正極リード線11および負極リード線12と外装部材30との間には密着フィルム32を挿入すると共に、後述する外装部材30の内部を真空脱気するための排気管33を挿入することが好ましい。この後に行う真空脱気を効率よく行うことができるからである。続いて、図5(B)に示したように、内部を減圧しながら外装部材30の両端を熱融着などにより密着させて封止部31B,31Cを形成する(ステップS105)。
【0048】
封止部31A〜31Cおよび排気管33を形成したのち、この排気管33を用いて、外装部材30の内部を真空脱気することが好ましい(ステップS106)。これにより、完成後の電池の寸法が小さくなると共に、高温保存時の電池の膨れが改善され、電池の形状および寸法の精度を向上させることができるからである。また、上述したように、排気管33によって、真空脱気を効率よく行うことができる。
【0049】
外装部材30の内部の真空脱気を行ったのち、図6に示したように、外装部材30の封止部31Aから排気管33を除去して、その部分を再封止する(ステップS107)。
【0050】
最後に、対向する封止部31B,31Cを折り目Xで折り曲げ、さらに深く折って2つ折りにし、さらに電池素子20の側面にぴったりと添うように折り目Yで折り畳む(ステップS108)。
【0051】
図7は、本実施の形態に係る電池の製造装置である折り曲げ装置の概略構成を表している。この折り曲げ装置40は、ステップS108で述べた封止部31B,31Cの折り畳み工程のうち、封止部31B,31Cを折り目Xで折り曲げるために用いられる。折り曲げ装置40は、上面が平坦な支持台41を備えている。この支持台41は、図6に示したような状態、すなわち外装部材30に封入されて封止部31A〜31Cが完成した状態の電池素子20を、その底面において支持するものである。なお、封止部31B,31Cは、折り曲げ装置40に投入される前に、図示しない別の仮曲げ装置によって予め折り目Xで軽く折り曲げられている。
【0052】
この折り曲げ装置40は、また、封止部31B,31Cに対向して傾斜面42Aを有する押え部材42を備えている。押え部材42は、図示しない昇降駆動機構によって上下に移動可能となっている。また、押え部材42は、電池素子20の上面に対向して凹部42Bが設けられている。
【0053】
支持台41の両側には、一対の押上スライダ43が垂設されている。押上スライダ43は、図示しない昇降駆動機構によって電池素子20の側面に沿って上下に移動可能となっており、封止部31B,31Cの基端側の部分、すなわち電池素子20に近い部分を押え部材42の傾斜面42Aに当接するよう持ち上げるようになっている。
【0054】
また、押え部材42の両側には、一対の折曲スライダ44が設けられている。折曲スライダ44は、押上スライダ43とは逆方向に移動して、封止部31B,31Cの先端側の部分、すなわち電池素子20から遠い部分を押し下げるようになっている。
【0055】
この折り曲げ装置40では、支持台41に載置された電池素子20に向かって、押え部材42が下降してくると共に押上スライダ43が上昇してくる。押え部材42は、凹部42Bによって電池素子20の上面との間に間隙42Cを維持しつつ、傾斜面42Aによって押上スライダ43との間に封止部31B,31Cを挟んで押止することができる。さらに折曲スライダ44が下降してきて、封止部31B,31Cの先端側の部分を押し下げる。こうして、折り曲げ装置40によって、封止部31B,31Cが折り目Xで鋭角な山折り部分を持つように折り曲げることができる。
【0056】
折り曲げ装置40によって封止部31B,31Cを折り目Xで折り曲げたのち、図示しないが前述の特開2001−283799公報に記載されている折り畳み装置と同様にして、封止部31B,31Cを折り目Xでさらに深く折り曲げて2つ折りにし、続いて折り目Yで折り曲げて電池素子20の側面にぴったりと添わせる。以上により、図1に示した二次電池が完成する。
【0057】
この二次電池では、充電を行うと、正極合剤層21bからリチウムイオンが離脱し、電解質24を介して、負極合剤層22bに吸蔵される。また、放電を行うと、負極合剤層22bからリチウムイオンが離脱し、電解質24を介して正極合剤層21bに吸蔵される。
【0058】
このように本実施の形態によれば、折り曲げ装置40の押え部材42が、電池素子20の上面に対向して凹部42Bを有し、この凹部42Bによて電池素子20の上面との間に間隙42Cを維持しつつ傾斜面42Aによって外装部材30の封止部31B,31Cを押止するようにしたので、電池が支持台41と押え部材42とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなくなる。よって、出来上がった折り目は直線となり、封止部31B,31Cが弯曲したり、折り畳まれた封止部31B,31Cの高さが電池の厚さよりも大きくなったりする虞がなく、電池の形状および寸法の精度を向上させることができる。不良品率が低減されると共に、電池の製品寸法のさらなる小型化が可能となる。
【0059】
(変形例1)
図8は、上記実施の形態で説明した製造方法の変形例を表すものである。この製造方法は、封止部31A〜31Cを形成した後に、電池素子20の充電を行い、その後、外装部材30の内部を真空脱気するようにしたことを除き、上記実施の形態で説明した製造方法と同一である。したがって、同一の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0060】
まず、上記実施の形態で説明したステップS101ないしステップS104と同様にして、正極21を作製し(ステップS201)、負極22を作製し(ステップS202)、正極21および負極22に電解質24を形成する(ステップS203)。続いて、正極リード線11および負極リード線12を取り付けたのち、例えば、セパレータ23を介して、正極21と負極22とを積層する。そののち、この積層体を巻回して、最外周部に保護テープ25を接着して巻回電極体である電池素子20を形成する(ステップS204)。
【0061】
電池素子20を形成したのち、例えば、外装部材30で電池素子20を挟み込むようにして覆い、外装部材30の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入し、封止部31A,31Bを形成する。具体的には、まず、図9(A)に示したように、正極リード線11および負極リード線12が導出される1辺を熱融着などにより密着させて封止部31Aを形成するが、その際、正極リード線11および負極リード線12と外装部材30との間には密着フィルム32を挿入する。続いて、内部を減圧しながら外装部材30の1辺を熱融着などにより密着させて封止部31Bを形成する(ステップS205)。
【0062】
外装部材30の1辺を除いた残りの辺に封止部31A,31Bを形成したのち、図9(B)に示したように、封止部31A,31Bを形成しなかった辺に仮封止部31Dを形成することが好ましい。仮封止部31Dを形成する際には、内部を減圧しながら行うことが好ましい。また、仮封止部31Dと電池素子20との間に、電池素子20から発生するガスを溜めるためのガス貯留部34を設けることが好ましい(ステップS206)。この仮封止部31Dおよびガス貯留部34は、通常の製造プロセスにおいては予め電池の仕上がり寸法に合わせて切断されてしまう外装部材30の余分な部分を活用して形成しているものである。
【0063】
仮封止部31Dおよびガス貯留部34を形成したのち、電池素子20の充電を行う(ステップS207)。このとき、充電によって電池素子20から発生したガスは、ガス貯留部34に溜まることになる。なお、充電する前には、外装部材30の内部を真空脱気しておくことが好ましい。
【0064】
電池素子20の充電を行ったのち、ガス貯留部34に溜まっているガスを逸出させて外装部材30の内部を真空脱気する(ステップS208)。
【0065】
外装部材30の内部の真空脱気を行ったのち、図10(A)に示したように、仮封止部31Dが形成されている辺に、上記実施の形態で説明した封止部31Cと同様の本封止部31Eを形成する。(ステップS209)。その後、図10(B)に示したように、本封止部31Eを残して、ガス貯留部34および仮封止部31Dを切断して除去する(ステップS210)。これにより、初期充電後にガス発生を起こすと考えられる分解生成物が除去され、完成後の電池の寸法が小さくなると共に、高温保存時の電池の膨れが改善される。また、充電時に発生するガスをガス貯留部34に溜めておくことができ、ガス貯留部34を利用して真空脱気を効率よく行うことができる。よって、電池の形状および寸法の精度を向上させることができる。
【0066】
最後に、対向する封止部31Bおよび本封止部31Eを、上記実施の形態で説明したのと同様にして、折り目Xで折り曲げ、さらに深く折って2つ折りにし、さらに電池素子20の側面にぴったりと添うように折り目Yで折り畳む(ステップS211)。このとき、封止部31Bおよび本封止部31Eを折り目Xで折り曲げるためには、上記実施の形態で説明した折り曲げ装置40を使用することができる。以上により、図1に示した二次電池が完成する。
【0067】
この二次電池の作用および効果は、上記実施の形態の二次電池と同様である。
【0068】
(変形例2)
図11は、上記実施の形態で説明した電池の製造方法の他の変形例を表すものである。この製造方法は、封止部31Aに排気管33を設けるようにしたことを除き、変形例1で説明した製造方法と同一である。したがって、同一の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0069】
まず、上記実施の形態で説明したステップS101ないしステップS104と同様にして、正極21を作製し(ステップS301)、負極22を作製し(ステップS302)、正極21および負極22に電解質24を形成する(ステップS303)。続いて、正極リード線11および負極リード線12を取り付けたのち、例えば、セパレータ23を介して、正極21と負極22とを積層する。そののち、この積層体を巻回して、最外周部に保護テープ25を接着して巻回電極体である電池素子20を形成する(ステップS304)。
【0070】
電池素子20を形成したのち、例えば、外装部材30で電池素子20を挟み込むようにして覆い、外装部材30の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入し、封止部31A,31Bを形成する。具体的には、まず、図12(A)に示したように、正極リード線11および負極リード線12が導出される1辺を熱融着などにより密着させて封止部31Aを形成するが、その際、正極リード線11および負極リード線12と外装部材30との間には密着フィルム32を挿入すると共に、後述する外装部材30の内部を真空脱気するための排気管33を挿入することが好ましい。続いて、内部を減圧しながら外装部材30の1辺を熱融着などにより密着させて封止部31Bを形成する(ステップS305)。ここで、排気管33は、次のステップS306で形成されるガス貯留部34を囲む封止部31Aの部分に、かつ仮封止部31Dおよび本封止部31Eを形成する部分を回避して設けることが好ましい。排気管33の除去が容易となると共に、再封止の手間を省くことができるからである。
【0071】
外装部材30の1辺を除いた残りの辺に封止部31A,31Bを形成したのち、図12(B)に示したように、封止部31A,31Bを形成しなかった辺に仮封止部31Dを形成する。仮封止部31Dを形成する際には、内部を減圧しながら行うことが好ましい。また、仮封止部31Dと電池素子20との間に、電池素子20から発生するガスを溜めるためのガス貯留部34を設ける(ステップS306)。
【0072】
仮封止部31Dおよびガス貯留部34を形成したのち、電池素子20の充電を行う(ステップS307)。このとき、充電によって電池素子20から発生したガスは、ガス貯留部34に溜まることになる。なお、充電する前には、外装部材30の内部を真空脱気しておくことが好ましい。
【0073】
電池素子20の充電を行ったのち、排気管33を用いて、ガス貯留部34に溜まっているガスを逸出させて外装部材30の内部を真空脱気する(ステップS308)。
【0074】
外装部材30の内部の真空脱気を行ったのち、図13(A)に示したように、仮封止部31Dが形成されている辺に、上記実施の形態で説明した封止部31Cと同様の本封止部31Eを形成する。(ステップS309)。その後、図13(B)に示したように、本封止部31Eを残して、ガス貯留部34および仮封止部31Dを切断して排気管33と共に除去する(ステップS310)。
【0075】
最後に、対向する封止部31Bおよび本封止部31Eを、上記実施の形態で説明したのと同様にして、折り目Xで折り曲げ、さらに深く折って2つ折りにし、さらに電池素子20の側面にぴったりと添うように折り目Yで折り畳む(ステップS311)。このとき、封止部31Bおよび本封止部31Eを折り目Xで折り曲げるためには、上記実施の形態で説明した折り曲げ装置40を使用することができる。以上により、図1に示した二次電池が完成する。
【0076】
この二次電池の作用および効果は、上記実施の形態の二次電池と同様である。
【0077】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について、図1および図2を参照し同一の符号を用いて詳細に説明する。
【0078】
(実施例1)
本実施例は、上記変形例1で説明したように、仮封止部31Dおよびガス貯留部34を設け、電池素子20の充電を行った後に真空脱気を行い、そののち本封止部31Eを形成するようにしたものである。
【0079】
まず、正極活物質としてリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)を用い、このリチウム・コバルト複合酸化物100質量部と、導電剤であるカーボンブラック5質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン5質量部とを混合して正極合剤を調整した。次いで、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散して正極合剤スラリーとし、帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体21aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して、正極合剤層21bを形成し正極21を作製した。
【0080】
また、負極活物質として人造黒鉛粉末を用意し、この人造黒鉛粉末90質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤を調整した。次いで、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散して負極合剤スラリーとしたのち、帯状銅箔よりなる負極集電体22aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して、負極合剤層22bを形成し負極22を作製した。
【0081】
続いて、高分子材料の原料であるポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン共重合体と、電解質塩であるLiPF6と、溶媒である炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンとを、分散媒である炭酸ジメチルで混合して電解質前駆体を作成した。そののち、電解質前駆体をキャスト法により正極21および負極22の上に塗布し、炭酸ジメチルを揮発させた。電解質24を形成したのち、正極集電体21aに正極リード線11を取り付けると共に、負極集電体22aに負極リード線12を取り付けた。
【0082】
正極リード線11および負極リード線12を取り付けたのち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層して巻回し、巻回電極体である電池素子20とした。
【0083】
そののち、正極リード線11および負極リード線12を外部へ導出しつつ、電池素子20をラミネートフィルムよりなる外装部材30で挟み込むようにして覆い、内部を減圧しながら外装部材30の外縁部同士を熱融着により密着させて封入し、封止部31A,31Bを形成した(図9(A)参照)。
【0084】
封止部31A,31Bを形成したのち、これらを形成しなかった辺に、内部を減圧しながら仮封止部31Dを形成した。このとき、仮封止部31Dと電池素子20との間に、電池素子20から発生するガスを溜めるためのガス貯留部34を設けた(図9(B)参照)。
【0085】
仮封止部31Dおよびガス貯留部34を形成したのち、電池素子20の充電を行う前に、電池の厚みを計測した。その結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
そののち、電池素子の充電を行った。その際の条件は、1C、2.5時間、上限4.2Vまで行った。充電後にも電池の厚みを計測した。その結果を併せて表1に示す。
【0088】
電池素子20の充電を行ったのち、ガス貯留部34に溜まっているガスを逸出させて外装部材30の内部を真空脱気した。
【0089】
外装部材30の内部を真空脱気したのち、仮封止部31Dが形成されている辺に、本封止部31Eを形成し(図10(A)参照)、この本封止部31Eを残して、ガス貯留部34および仮封止部31Dを切除した(図10(B)参照)。最後に、対向する封止部31Bおよび本封止部31Eを折り曲げ装置40を用いて折り目Xで折り曲げ、さらに深く折って2つ折りにし、そののち電池素子20の側面にぴったり添うように折り目Yで折り畳んだ。これにより、図1に示した二次電池を得た。
【0090】
得られた二次電池について、完成後の厚みを計測した。得られた結果を表1に併せて示す。
【0091】
また、この二次電池を、温度60℃、湿度90%で30日間(720時間)保存し、電池の厚みの変化を計測した。得られた結果を表2および図14に示す。
【0092】
【表2】
【0093】
本実施例に対する比較例1として、仮封止部31Dおよびガス貯留部34を設けず、外装部材30のすべての辺に、初めから電池の仕上がり寸法に合わせて封止部を形成し、充電後に真空脱気を行わなかったことを除き、他は本実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0094】
得られた比較例1の二次電池についても、実施例1と同一条件で充電を行い、充電後の封止部を折り畳んで完成した。このとき、充電前、充電後および完成後の厚みを計測した。得られた結果を表1に併せて示す。
【0095】
また、この二次電池を、実施例1と同様に温度60℃、湿度90%で30日間(720時間)保存し、電池の厚みの変化を計測した。得られた結果を表2および図14に併せて示す。
【0096】
表1から分かるように、充電前および充電後の電池の厚みは、実施例1と比較例1とでほとんど差が見られなかったが、充電後に真空脱気を行った実施例1では、充電後に真空脱気を行わなかった比較例1よりも完成後の電池の厚みが薄くなっていた。よって、充電後に真空脱気を行うことによって、完成後の電池の寸法を小さくすることができることが分かった。
【0097】
また、表2および図14から分かるように、充電後に真空脱気を行った実施例1では、充電後に真空脱気を行わなかった比較例1よりも高温保存時の電池の膨れが小さかった。よって、充電後に真空脱気を行うことによって、高温保存時の電池の膨れを抑制することができることが分かった。
【0098】
(実施例2)
本実施例では、上記変形例2で説明したように、封止部31Aを形成する際に排気管33を設けたことを除き、他は実施例1と同様にして二次電池を作製した。排気管33は、ガス貯留部34を囲む封止部31Aの部分に、仮封止部31Dおよび本封止部31Eを形成する部分を回避して設けた(図12(A)参照)。充電の条件は実施例1と同様とした。また、充電前、充電後および完成後に電池の厚みを計測した。その結果を表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
この二次電池を、温度60℃、湿度90%で30日間保存し、電池の厚みの変化を計測した。得られた結果を表4および図15に示す。
【0101】
【表4】
【0102】
本実施例に対する比較例2として、排気管33を設けず、かつ仮封止部31Dおよびガス貯留部34も設けないで、外装部材30のすべての辺に、初めから電池の仕上がり寸法に合わせて封止部を形成し、充電後に真空脱気を行わなかったことを除き、他は本実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0103】
得られた比較例2の二次電池についても、実施例2と同一条件で充電を行い、充電後の封止部を折り畳んで完成した。この二次電池の充電前、充電後および完成後の厚みを計測し、得られた結果を表3に併せて示す。
【0104】
また、この二次電池を、温度60℃、湿度90%で30日間(720時間)保存し、電池の厚みの変化を計測した。得られた結果を表4および図15に併せて示す。
【0105】
表3から分かるように、充電前および充電後の電池の厚みは、実施例2と比較例2とでほとんど差が見られなかったが、充電後に真空脱気を行った実施例2では、充電後に真空脱気を行わなかった比較例2よりも完成後の電池の厚みが薄くなっていた。よって、充電後に真空脱気を行うことによって、完成後の電池の寸法を小さくすることができることが分かった。
【0106】
また、表4および図15から分かるように、充電後に排気管33を用いて真空脱気を行った実施例1では、充電後に真空脱気を行わなかった比較例1よりも高温保存時の電池の膨れが小さかった。よって、充電後に真空脱気を行うことによって、高温保存時の電池の膨れを抑制することができることが分かった。さらに、表2と表4とを比較して分かるように、排気管33を用いて真空脱気を行った実施例2では、排気管33を用いずに真空脱気を行った実施例1よりも完成後の厚みが小さくなっていた。よって、排気管33を用いることにより真空脱気を効率よく行うことができることが分かった。
【0107】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、高分子材料、電解質塩および溶媒について具体的に例を挙げて説明したが、他の材料を用いてもよい。
【0108】
また、上記実施の形態および実施例では、電解質24としてゲル状の電解質を用いた場合について説明したが、本発明は、高分子材料と電解液とを含む他の電解質を用いる場合についても適用することができる。他の電解質としては、例えば非水溶媒,固体電解質,高分子電解質あるいは電解液を高分子材料に膨潤させた高分子固体電解質が挙げられる。
【0109】
さらに、上記実施の形態および実施例では、排気管33の数は一本としたが、排気管33は何本でもよい。
【0110】
また、上記実施の形態および実施例では、ガス貯留部34および仮封止部31Dを外装部材30の1辺のみに形成するようにしたが、2辺以上に形成するようにしてもよい。例えば、電池素子20の両側の封止部31B,31Cの代わりに、ガス貯留部34および仮封止部31Dを一対ずつ設けるようにしてもよい。さらに排気管33を設ける場合には、両側のガス貯留部34に少なくとも1本ずつ排気管33を設けることが好ましい。
【0111】
さらに、上記実施の形態および実施例では、折り曲げ装置40の押え部材42に凹部42Bを設け、この凹部42Bによって電池素子20の上面との間に間隙42Cを維持しつつ傾斜面42Aによって外装部材30の封止部31B,31Cの基端側の部分を押止するようにした場合について説明したが、例えば、図16に示したように、支持台41に、電池素子20の底面に対向して凹部41Bを設け、この凹部41Bによって電池素子20の底面との間に間隙41Cを維持しつつ電池素子20を底面の端縁において支持するようにしてもよい。さらに、図17に示したように、支持台41に凹部41Bを設けると共に押え部材42にも凹部42Bを設けるようにしてもよい。
【0112】
更に、上記実施の形態および実施例では、ラミネートフィルムからなる外装部材30を用いた巻回ラミネート型の二次電池について説明したが、本発明は、積層ラミネート型の二次電池についても同様に適用することができる。また、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
【0113】
加えて、上記実施の形態および実施例では、軽金属としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、軽金属を吸蔵および離脱することが可能な負極材料、正極材料、非水溶媒、あるいは電解質塩などは、その軽金属に応じて選択される。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の電池の製造装置によれば、押え部材が、外装部材の封止部に対向して傾斜面を有すると共に電池素子の上面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の上面との間に間隙を維持しつつ傾斜面によって外装部材の封止部の基端側の部分を押止するようにしているので、電池が支持台と押え部材とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなくなる。よって、出来上がった折り目は直線となり、封止部が弯曲したり、折り畳まれた封止部の高さが電池の厚さよりも大きくなったりする虞がなく、電池の形状および寸法の精度を向上させることができる。したがって、不良品率が低減されると共に、電池の製品寸法のさらなる小型化が可能となる。
【0115】
請求項2または請求項3記載の電池の製造装置によれば、支持台が、電池素子の底面に対向して凹部を有し、この凹部によって電池素子の底面との間に間隙を維持しつつ電池素子をその底面の端縁において支持するようにしているので、電池が支持台と押え部材とに挟まれてその厚さの違いにより変形することがなくなる。電池の形状および寸法の精度を向上させることができる。したがって、不良品率が低減されると共に、電池の製品寸法のさらなる小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電池の製造装置である折り曲げ装置を用いて製造される二次電池の外観を表す斜視図である。
【図2】図1に示した二次電池の外装前の構成を表す斜視図である。
【図3】図2に示した電池素子のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図1に示した二次電池の製造工程を表す流れ図である。
【図5】図1に示した二次電池の製造方法の一部を工程順に表す平面図である。
【図6】図5に続く工程を表す平面図である。
【図7】図1に示した二次電池の製造に用いられる折り曲げ装置の概略構成を表す説明図である。
【図8】変形例1に係る電池の製造方法を表す流れ図である。
【図9】図8に示した製造方法の一部を工程順に表す平面図である。
【図10】図9に続く工程を表す平面図である。
【図11】変形例2に係る電池の製造方法を表す流れ図である。
【図12】図11に示した製造方法の一部を工程順に表す平面図である。
【図13】図12に続く工程を表す平面図である。
【図14】実施例1に係る二次電池の高温保存特性を表す図である。
【図15】実施例2に係る二次電池の高温保存特性を表す図である。
【図16】図7に示した折り曲げ装置の変形例を表す概略構成図である。
【図17】図7に示した折り曲げ装置の他の変形例を表す概略構成図である。
【図18】本出願人と同一出願人が先に提案した折り畳み装置の概略構成を表す説明図である。
【図19】図18に示した折り畳み装置の問題点を工程順に説明するための説明図である。
【図20】図19に続く工程における問題点を説明するための説明図である。
【図21】図20に続く工程における問題点を説明するための説明図である。
【符号の説明】
11…正極リード線、12…負極リード線、20…電池素子(巻回電極体)、21…正極、21a…正極集電体、21b…正極合剤層、22…負極、22a…負極集電体、22b…負極合剤層、23…セパレータ、24…電解質、30…外装部材、31A,31B,31C…封止部、31D…仮封止部、31E…本封止部、32…密着フィルム、33…排気管、34…ガス貯留部、40…折り曲げ装置、41…支持台、41B,42B…凹部、41C,42C…間隙、42…押え部材、42A…傾斜面、43…押上スライダ、44…折曲スライダ
Claims (3)
- 一対の電極およびそれらの間に介在された高分子材料を含む電解質を有する電池素子と、この電池素子を覆うと共に前記電池素子の側面からその側面に対して直交する方向に張り出す封止部が設けられた外装部材とを有する電池の前記封止部を折り曲げるために用いられる電池の製造装置であって、
前記電池素子をその底面において支持する支持台と、
前記外装部材の封止部に対向して傾斜面を有すると共に前記電池素子の上面に対向して凹部を有し、この凹部によって前記電池素子の上面との間に間隙を維持しつつ前記傾斜面によって前記外装部材の封止部の基端側の部分を押止する押え部材と、
前記電池素子の側面に沿って移動し、前記外装部材の封止部の基端側の部分を前記押え部材の傾斜面に当接するよう持ち上げて前記封止部を前記電池素子の側面に対して傾斜するよう折り曲げる第1の折曲部材と、
この第1の折曲部材とは逆方向に移動し、前記外装部材の封止部の先端側の部分を押し下げて前記封止部が鋭角な山折り部分を持つように折り曲げる第2の折曲部材と
を備えたことを特徴とする電池の製造装置。 - 一対の電極およびそれらの間に介在された高分子材料を含む電解質を有する電池素子と、この電池素子を覆うと共に前記電池素子の側面からその側面に対して直交する方向に張り出す封止部が設けられた外装部材とを有する電池の前記封止部を折り曲げるために用いられる電池の製造装置であって、
前記電池素子の底面に対向して凹部を有し、この凹部によって前記電池素子の底面との間に間隙を維持しつつ前記電池素子をその底面の端縁において支持する支持台と、
前記外装部材の封止部に対向して傾斜面を有し、この傾斜面によって前記外装部材の封止部の基端側の部分を押止する押え部材と、
前記電池素子の側面に沿って移動し、前記外装部材の封止部の基端側の部分を前記押え部材の傾斜面に当接するよう持ち上げて前記封止部を前記電池素子の側面に対して傾斜するよう折り曲げる第1の折曲部材と、
この第1の折曲部材とは逆方向に移動し、前記外装部材の封止部の先端側の部分を押し下げて前記封止部が鋭角な山折り部分を持つように折り曲げる第2の折曲部材と
を備えたことを特徴とする電池の製造装置。 - 前記押え部材は、前記電池素子の上面に対向して凹部を有し、この凹部によって前記電池素子の上面との間に間隙を維持しつつ前記傾斜面によって前記外装部材の封止部の各基端側の部分を押止する
ことを特徴とする請求項2記載の電池の製造装置。
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