JP2004014246A - 有機膜形成装置および有機膜形成方法 - Google Patents

有機膜形成装置および有機膜形成方法 Download PDF

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Satohiko Memesawa
目々澤 聡彦
Hironobu Narui
成井 啓修
Katsunori Yanashima
簗嶋 克典
Koji Sasaki
佐々木 浩司
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Abstract

【課題】気相の状態にした有機原料をキャリアガスを用いて輸送して基板上に吸着させる場合の、基板の温度上昇を防ぐ。
【解決手段】チャンバー2内には断熱壁5に仕切られて基板冷却室6と膜形成室7が設けられ、基板ホルダ8の回転によって基板3は基板冷却室6と膜形成室7の間を移動する。基板冷却室6には、冷却ガスを基板3に供給する冷却ガス輸送管12が設けられる。この冷却ガス輸送管12の放出口14は、基板3の有機膜堆積面に対向して設けられる。膜堆積室7には、原料ガスを輸送する第1の原料ガス輸送管24a、第2の原料ガス輸送管24bおよび第3の原料ガス輸送管24cが設けられる。これにより、基板3を基板冷却室6と膜形成室7の間で移動させることで、有機膜の形成と基板の冷却が行える。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機原料を気相に変化させた原料ガスを、キャリアガスで基板上に輸送して薄膜を形成する有機膜形成装置および有機膜形成方法に関する。詳しくは、原料ガスに晒される基板の有機膜形成面に冷却ガスを吹き付けることで、基板を効率良く冷却し、良好な有機膜を形成できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
有機EL(エレクトロルミネンス)素子は発光層に有機物を利用した発光材料である。この有機EL素子は、コンピュータやテレビジョン受信機に使用されるフラットパネルディスプレイや、携帯電話のディスプレイや、PDA(PersonalDigital Assistants)と呼ばれる携帯端末のディスプレイ等の各種表示装置を構成する発光材料として、また、発光ダイオード等の発光素子として用いられる。
【0003】
図5は有機EL素子の構造の一例を示す説明図である。有機EL素子101は、ガラス等の透明基板102の上に陽極であるITO(Indium−Tin Oxide)透明電極103、有機膜104、陰極である背面電極105を順に積層したものである。有機膜104は、ITO透明電極103側から、正孔注入層104a、正孔輸送層104b、発光層104c、電子輸送層104d、そして電子注入層104eを順に積層したものである。
【0004】
ITO透明電極103−背面電極105間に電圧が印加されると、ITO透明電極103からプラス電荷(正孔)が注入され、背面電極105からマイナス電荷(電子)が注入され、それぞれ有機膜104を移動する。そして、発光層104c内で電子−正孔がある確率で再結合し、この再結合の際に所定の波長を持った光が発生するものである。
【0005】
なお、有機膜104の構成としては、正孔注入層104aと正孔輸送層104bを1層で構成したもの、電子輸送層104dと電子注入層104eを1層で構成したもの、発光層104cと電子輸送層104dと電子注入層104eを1層で構成したもの等がある。
【0006】
図6はこのような有機EL素子を用いて構成した有機ELカラーディスプレイの概要を示す平面図、図7は有機ELカラーディスプレイの要部斜視図である。有機カラーディスプレイ106は、透明基板102の上にITO透明電極103がストライプ状に形成される。また、有機膜104がITO透明電極103と直交するようにストライプ状に形成され、有機膜104上に背面電極105が形成されて、ITO透明電極103と有機膜104および背面電極105をマトリクス状に配置する。これにより、電圧が印加されたITO透明電極103と背面電極105の交点の有機膜104が発光する。
【0007】
そして、有機膜104として、赤(R)に発光する有機膜104Rと緑(G)に発光する有機膜104Gと青(B)に発光する有機膜104Bを順に並べることで、RGBによる画素が形成され、カラーの表示が可能となる。
【0008】
さて、低分子の有機物を用いた有機膜の形成は、従来は真空蒸着法を用いていた。真空蒸着法とは、原材料を高真空中で加熱蒸発させ、蒸発源と対向する基板上に原材料を吸着させることで薄膜を形成する方法である。
【0009】
図8はこのような真空蒸着法を行う真空蒸着装置の基本構成を示す説明図である。チャンバー107は図示しない排気ポンプと接続され、排気を行うことで内部を高真空とできる。ここで、真空蒸着法におけるチャンバー107内の真空度は10−3〜10−4Pa(パスカル)程度である。
【0010】
蒸発源108は原材料、ここでは有機原料を蒸発させるための加熱源で、抵抗加熱、電子ビーム加熱、赤外線加熱、高周波誘導加熱等があるが、有機膜では抵抗加熱が一般に用いられている。抵抗加熱としては、ボートと呼ばれる開口容器109に粉末状の有機原料110を入れ、開口容器109に通電することによる該開口容器109の抵抗発熱により、有機原料110を間接加熱して有機原料110を気化または昇華させるものである。
【0011】
有機膜を形成する基板111(図5等に示すITO透明電極103が形成された透明基板102に相当)は、基板ホルダ112に取り付けられ、蒸発源108と対向配置される。基板ホルダ112は、ドーム形状の治具の内側に複数の基板111を保持する。そして、基板ホルダ112の中心軸上に蒸発源108が配置され、図示しない駆動機構により公転する。
【0012】
さて、チャンバー107内を高真空として蒸発源108で有機材料110を気化または昇華させると、有機原料はビーム状に基板111に到達する。このとき、基板ホルダ112を公転させることで、膜厚分布と温度分布が均一となるようにしている。
【0013】
なお、図6等に示すカラーディスプレイを作成する場合は、マスクを用いて有機膜の形成を行う。図9はマスクを使用した膜堆積工程の一例を示す断面図である。マスク114は、ストライプ状のパターン115を有する。このマスク114を基板111に密着させるため磁石を用いる。すなわち、マスク114を磁性体で構成し、基板111を保持する図示しない機構に永久磁石や電磁石から構成される磁化部材116を設ける。そして、基板111をこの磁化部材116に載せ、この基板111にマスク114を載せることで、マスク114は磁化部材116の磁力で基板111に密着する。
【0014】
そして、R,G,Bの有機膜を形成するため、まず、マスク114を所定の位置に取り付けて図7に示す有機膜104Rを形成し、次にマスク114の取り付け位置を1/3ピッチずらして有機膜104Gを形成し、次にマスク114の取り付け位置を1/3ピッチずらして有機膜104Bを形成する。図8に示す真空蒸着装置では、マスク114が下向きに取り付けられることになる。
【0015】
以上説明した真空蒸着装置による有機膜の形成方法では、以下のような問題があった。すなわち、有機原料110は高温で分解しやすいという性質を持つが、蒸発源108での有機原料110の加熱時の熱輻射の影響で基板111の温度が上昇し、有機膜の性能を劣化させるという問題があった。
【0016】
また、有機原料110の加熱温度の直接計測と制御が難しいため、成膜速度が不安定で形成される膜質の再現性が悪いという問題があった。このように、有機原料110の加熱温度の計測と制御が難しいので、有機原料が過剰に加熱されることがあり、分子構造の破壊等の原料変質が生じるという問題があった。
【0017】
さらに、真空蒸着装置では、成膜速度は原材料、ここでは有機原料110の加熱温度で決定され、加熱温度を高くすることにより成膜温度が高まるが、有機原料110は高温で分解しやすいため、加熱温度の上限が300℃程度と低く、成膜速度が低いという問題があった。
【0018】
また、ドーピングは、ホスト用原料とゲスト用原料をそれぞれ独立に加熱制御するいわゆる共蒸着法で行われるが、共蒸着法ではドーピング濃度や均質分散の制御性が悪く、濃度消光等の問題があった。
【0019】
一方、真空蒸着法とは異なる新しい有機膜形成法として、有機気相蒸着法(organic vapor phase deposition)と呼ばれる方法が、特表2001−523768に開示されている。
【0020】
図10は有機気相蒸着法を用いた従来の有機膜形成装置の説明図で、以下に特表2001−523768に開示されている装置の概要を説明する。チャンバー120は内部を外気と遮断する例えば略筒状の容器であり、内部に基板111を保持する基板ホルダ121が設けられる。
【0021】
チャンバー120には2本の配管122が設けられる。それぞれの配管122の一方の端部は開口しており、この開口部の近傍に原料容器123が設けられる。原料容器123は図示しない通電機構を備え、原料容器123に有機原料を入れて通電すると、原料容器123が抵抗発熱することにより有機原料が間接的に加熱され、気化または昇華して原料ガスが発生する。
【0022】
配管122の他方の端部はタンク124と接続される。また、配管122の途中には、調整バルブ125と、圧力調整器126aと、流量計126bと、切替バルブ126cとを備える。タンク124には各種有機原料に対して不活性なN(窒素)等のガスが入れられ、圧力および流量が制御された不活性ガスが配管122に供給される。
【0023】
これにより、配管122内で有機原料を気化あるいは昇華させて生成した原料ガスは、不活性ガスをキャリアガスとしてチャンバー120内に送られ、基板111に吸着して有機膜を形成する。
【0024】
原料容器123には固相の有機原料が入れられるのに対して、原料槽127には液相の有機原料128が入れられる。この原料槽127にはタンク124とつながる配管122と、チャンバー120とつながる配管129が接続される。この配管122には、圧力調整器126aと、流量計126bと、切替バルブ126cとを備える。
【0025】
これにより、配管122から供給される不活性ガスは気泡として有機原料128内を通り、蒸気となった有機原料を配管129でチャンバー120内へと送る。また、原料槽127の少なくとも有機原料128が入れられる高さまでを液体130に浸す温度制御槽131を設け、図示しないヒータで液体130の温度を制御することで、原料槽127内の有機原料128の温度を制御する。また、チャンバー120の周囲には加熱冷却器132が設けられる。この加熱冷却器132はチャンバー120内の温度制御を行う。
【0026】
チャンバー120には排気管133が設けられ、この排気管133にトラップタンク134、スロットバルブ135および真空ポンプ136が取り付けられる。真空ポンプ136はチャンバー120内を排気して、該チャンバー120内を真空にする。スロットバルブ135はチャンバー120内の圧力を調整するもので、チャンバー120に取り付けた図示しない圧力計の出力がスロットバルブ135へ電気的にフィードバックされ、チャンバー120内が所望の真空度を維持するように制御される。また、基板111上に吸着しなかった有機原料等はトラップタンク134で凝縮させ、スロットバルブ135や真空ポンプ136に到達しないようにしてある。
【0027】
このような装置を用いる有機気相蒸着法は、減圧下で原料ガスをキャリアガスを用いて基板へと運び、基板上でガスが凝縮して膜形成が行われる有機膜形成方法である。これにより、従来の真空蒸着法ではできなかった、原料を気化または昇華させるための温度制御と、原料を基板へ送るキャリアガスの流量制御等を独立して行えるので、著しく異なる蒸気圧をもつ有機原料を同時蒸着して多成分の薄膜を形成する際に、各成分量を正確に制御することができる。また、減圧下で膜形成を行うため、表面が滑らかな有機膜を形成することができる。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、有機気相蒸着法でも、有機原料を高温の気相状態で基板へ輸送して膜形成を行うので、成膜速度を上げるためには大量の原料ガスを基板へと輸送する必要がある。このため、成膜速度を上げようとすると、基板の温度が上昇するという問題がある。
【0029】
このような基板の温度上昇により、以下のような問題が生じる。すなわち、基板としてアクティブマトリクス素子であるTFT(Thin Film Transistor)素子による回路が形成された基板を用いる場合、熱が回路等に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0030】
また、図9に示すようにマスクを使用してフルカラーディスプレイ素子のRGB画素の塗り分けを行う場合、熱でマスクが膨張し、正確な塗り分けが出来なくなり、画素形成精度を低下させるという問題がある。
【0031】
さらに、基板が加熱されていることで、有機膜形成時における気相から固相への相変化の速度が遅くなる、つまり、冷却速度が低くなるという問題があり、有機発光素子において望ましい非結質な有機膜の形成を阻害し素子性能を劣化させるという問題がある。
【0032】
なお、特表2001−523768では、温度制御ブロックと基板の接触により、基板の冷却を行っているが、このような接触式の冷却方法では、有機膜形成面の直接冷却はできない。
【0033】
したがって、ガラス転移温度Tgと結晶化温度Tcの温度差が小さいガラス形成能が低い有機原料を用いた場合、基板の有機膜形成面の温度制御ができないので、非結晶な有機膜が形成できる場合と結晶化してしまう場合のバラツキが多くなる。
【0034】
また、熱伝導率が低いガラス基板に有機膜を形成する場合や、気化温度が高い有機原料での有機膜の形成、高速成膜のための大量の原料ガスの輸送を行った場合、基板裏面からの冷却では十分な冷却が行えず、基板に悪影響を及ぼす。
【0035】
さらに、ガラス転移温度や気化温度や分解温度等の熱的性質が極端に異なる有機原料の共蒸着を行う場合、例えば気化温度の高い有機原料と気化温度の低い有機原料で共蒸着を行おうとすると、気化温度が低い有機原料が分解してしまう。
【0036】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、有機膜の形成時に基板を効率良く冷却できる有機膜形成装置および有機膜形成方法を提供することを目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係る有機膜形成装置は、基板上に有機物の薄膜を形成する有機膜形成装置において、真空ポンプが接続されたチャンバーと、チャンバーに設けられ、少なくとも1枚の基板を有機膜形成面を露出させて保持する保持手段と、有機原料を気相に変化させて原料ガスを生成する気化昇華手段と、原料ガスとキャリアガスを混合するキャリアガス導入手段と、保持手段で保持している基板に、キャリアガスを用いて原料ガスを供給する原料ガス輸送手段と、保持手段で保持している基板の有機膜形成面に、冷却ガスを供給する冷却ガス供給手段と、原料ガス輸送手段による原料ガスの供給位置および冷却ガス供給手段による冷却ガスの供給位置と基板との相対位置関係を切り換える供給位置切り替え手段とを備えたものである。
【0038】
本発明に係る有機膜形成装置では、気化昇華手段で有機原料を気相に変化させて原料ガスを生成する。保持手段に保持される基板には、原料ガス輸送手段により、キャリアガスを用いて原料ガスが供給されるとともに、冷却ガス供給手段により冷却ガスが供給される。
【0039】
そして、例えば保持手段で基板を移動させることで、原料ガス輸送手段および冷却ガス供給手段と基板との位置関係を移動させて、基板への原料ガスの吸着と、冷却ガスの供給が独立して行われる。これにより、原料ガスの供給時と冷却ガスの供給時で互いの温度干渉を防ぎ、かつ、高温の原料ガスに晒される基板の有機膜形成面を直接冷却できるので、基板を効率的に冷却でき、非結晶な薄膜を形成できる。
【0040】
また、本発明に係る有機膜形成方法は、基板上に有機物の薄膜を形成する有機膜形成方法において、有機原料を気相の原料ガスへと変化させる気化昇華工程と、原料ガスとキャリアガスを混合するキャリアガス導入工程と、キャリアガスを用いて原料ガスを基板上へ輸送する原料ガス輸送工程と、原料ガスの流れを制御し得る減圧下のチャンバー内で基板上に有機膜を形成する有機膜堆積工程と、冷却ガスを基板上へ輸送する冷却ガス輸送工程と、冷却ガスで基板の有機膜形成面を冷却する基板冷却工程と、チャンバーの排気工程とを少なくとも有するものである。
【0041】
本発明に係る有機膜形成方法では、有機原料を気相に変化させ、キャリアガスを用いて原料ガスを基板上に輸送して有機原料を吸着させる。また基板の有機膜形成面に冷却ガスを輸送して、基板を冷却させる。
【0042】
これにより、基板を有機膜形成面側から冷却できるので、吸着した有機原料を急速に冷却でき、非結晶な有機膜を形成することができる。また、高温の原料ガスに晒される基板の有機膜形成面側から冷却することで、基板の温度上昇を防ぐことができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の有機膜形成装置の実施の形態を説明する。図1は第1の実施の形態の有機膜形成装置の全体構成図である。第1の実施の形態の有機膜形成装置1は、減圧下のチャンバー2内に基板3を保持し、このチャンバー2内に気相の有機原料をキャリアガスを用いて輸送して基板3に有機膜を形成する際に、基板3の有機膜形成面を冷却する基板冷却装置4を設けたものである。ここで、基板3とは、図5等で説明した透明ガラス基板102にITO透明電極を形成したもの、あるいは図示しないTFT基板等である。
【0044】
チャンバー2は内部を外気と遮断する例えば略筒状の容器であり、一方の端部側に、断熱壁5に仕切られた基板冷却室6と膜堆積室7が設けられる。チャンバー2には、この基板冷却室6と膜堆積室7との間で基板3を移動させるため、保持手段を構成する基板ホルダ8が設けられる。
【0045】
基板ホルダ8は、保持している基板3の面と直交する水平方向に延在する軸9が駆動機構10と接続され、軸9を中心に回転する。ここで、軸9はチャンバー2の外部から内部へと貫通する構造であるので、図示しないが磁気シールド等のシールド機構により、軸9を回転自在に支持するとともに、軸9を支持する部分での気密を保てるようにする。
【0046】
そして、基板ホルダ8が回転することで、基板3は膜堆積室7と基板冷却室6の間を移動する。図2は基板ホルダ8と断熱壁5の一例を示すチャンバー2の内部の一部破断斜視図である。基板ホルダ8は円板形状で、円周方向に複数枚、ここでは2枚の基板3が有機膜形成面を露出させて取り付けられる。これにより、基板3はチャンバー2内で垂直な状態で保持される。そして、基板ホルダ8の円板形状の中心に図1に示す軸9が取り付けられる。
【0047】
断熱壁5は、チャンバー2内の基板ホルダ8が設けられている部位付近を上下および前後に仕切る。これにより、チャンバー2内の基板ホルダ8が設けられる部位付近の下部に基板冷却室6が形成される。そして、回転中心を挟むようにして2枚の基板3を基板ホルダ8に取り付けると、一方の基板3はチャンバー2内の膜堆積室7内に位置し、他方の基板3は基板冷却室6内に位置する。そして、基板ホルダ8を回転させることで、一方の基板3が基板冷却室6内に移動し、他方の基板3が膜堆積室7内に移動する。
【0048】
基板冷却装置4は冷却ガス供給手段を構成し、冷却ガスタンク11、冷却ガス輸送管12およびスロットバルブ13等が設けられる。冷却ガスタンク11には、室温あるいは室温以下に冷却されたガスが入れられる。このガスは有機原料と反応しないN等である。以下、このガスを冷却ガスと称す。冷却ガスは冷却ガス輸送管12により基板冷却室6内に送られる。そして、冷却ガス輸送管12の放出口14は、基板ホルダ8に取り付けられて基板冷却室6内に位置する基板3と対向する位置に設けられる。そして、この冷却ガス輸送管12の放出口14から放出される冷却ガスは、スロットバルブ13により流量および圧力が制御される。
【0049】
なお、図示しないが冷却ガス輸送管12に温度計を取り付け、冷却ガスの温度を測定する。また、測定した温度情報をフィードバックして冷却ガスの温度制御を行うため、図示しないが冷却ガス輸送管12にパイプを巻き付け、このパイプの内部に温度調整された水を流して冷却ガスの温度制御が行えるような冷却機構を備えても良い。
【0050】
チャンバー2には、気化昇華手段を構成する第1の気化昇華装置15aおよび第2の気化昇華装置15bが設けられる。これら第1の気化昇華装置15aおよび第2の気化昇華装置15bは、固相の有機原料を気化または昇華させて原料ガスを生成するもので、それぞれ同様の構成を有する。ここで、気化昇華装置の数は2個に限るものではない。
【0051】
第1の気化昇華装置15aおよび第2の気化昇華装置15bは、例えば抵抗加熱法により粉末状の有機原料を気化または昇華させるもので、第1の気化昇華装置15aはボート形状の原料容器16aと、原料容器16aに通電する図示しない通電機構を備える。同様に、第2の気化昇華装置15bはボート形状の原料容器16bと、原料容器16bに通電する図示しない通電機構を備える。
【0052】
原料容器16aおよび原料容器16bは、高融点でかつ有機原料と反応しない例えばTa(タンタル)等の材質で作られる。原料容器16a,16bに通電すると、抵抗となって発熱する。これにより原料容器16aに有機原料17aを入れて通電すると、原料容器16aが発熱することにより有機原料17aが間接的に加熱され、気化または昇華して原料ガスが発生する。同様に、原料容器16bに有機原料17bを入れて通電すると、原料容器16bが発熱することにより有機原料17bが間接的に加熱され、気化または昇華して原料ガスが発生する。
【0053】
原料容器16aはキャリアガス導入手段を構成する第1の混合管18aに入れられる。同様に、原料容器16bは第2の混合管18bに入れられる。第1の混合管18aおよび第2の混合管18bはチャンバー2内に設けられ、キャリアガス導入手段および原料ガス供給手段を構成するガス供給装置19と接続される。ガス供給装置19は、キャリアガスとなるガスを供給するもので、各種有機原料に対して不活性なN等のガスが入れられたタンク20と、このタンク20と第1の混合管18aおよび第2の混合管18bのそれぞれの一方の端部を接続した複数の供給管21a,21bと、各供給管21a,21bとタンク20の間に設けられる調整バルブ22と、各供給管21a,21bにそれぞれ設けられる圧力調整器23a、流量計23bおよび切替バルブ23cとを備える。
【0054】
調整バルブ22は、タンク20から各供給管21a,21bへ供給するキャリアガスの流量を制御する。圧力調整器23aは、各供給管21a,21bを流れるキャリアガスの圧力を制御する。流量計23bは、各供給管21a,21bを流れるキャリアガスの流量を計測する。切り替えバルブ23cは、キャリアガスの供給の有無を切り換える。ここで、流量計23bの出力が調整バルブ22にフィードバックされ、例えば、第1の混合管18aおよび第2の混合管18b内が所定の圧力となるようにキャリアガスの流量が制御される。
【0055】
第1の混合管18aの他方の端部には原料ガス輸送手段を構成する第1の原料ガス輸送管24aが接続される。第1の原料ガス輸送管24aは、第1の混合管18a内に吸入口25aを有するとともに、膜堆積室7に位置する基板3に対向する放出口26aを有する。同様に、第2の混合管18bの他方の端部には第2の原料ガス輸送管24bが接続される。第2の原料ガス輸送管24bは、第2の混合管18b内に吸入口25bを有するとともに、膜堆積室7に位置する基板3に対向する放出口26bを有する。
【0056】
これにより、第1の気化昇華装置15aで有機原料17aを気化あるいは昇華させて生成した原料ガスは、第1の混合管18aに供給されたガス(不活性ガス)をキャリアガスとして第1の輸送管24aを輸送され、放出口26aから放出される。また、第2の気化昇華装置15bで有機原料17bを気化あるいは昇華させて生成した原料ガスは、第2の混合管18bに供給されたガスをキャリアガスとして第2の輸送管24bを輸送され、放出口26bから放出される。
【0057】
このように、独立した雰囲気中で原料ガスを生成して、基板3に輸送するので、例えば、一方の有機原料をドーピング原料に置き換えることで、有機原料とドーピング原料を基板3で反応させることができる。
【0058】
さて、抵抗加熱法を利用した第1の気化昇華装置15aおよび第2の気化昇華装置15bは、固相の有機原料を気化または昇華させる場合に使用する。これに対して、気化昇華手段として、液相の有機原料を気化する気化装置27を付加してもよい。
【0059】
気化装置27は、液相の有機原料17cが入れられる原料槽28を備える。この原料槽28は、密封できる容器である。そして、この原料槽28に供給管21cと第3の原料ガス輸送管24cが接続される。供給管21cは、原料槽28内の有機原料17cに届く高さに放出口29が設けられる。そして、供給管21cにも圧力調整器23a、流量計23bおよび切替バルブ23cが設けられる。
【0060】
第3の原料ガス輸送管24cは、原料槽28内の有機原料17cに届かない高さに吸入口25cが設けられ、放出口26cは、膜堆積室7に位置する基板3に対向して設けられる。
【0061】
これにより、供給管21cから供給されるガスは気泡として有機原料17c内を通り、蒸気となった有機原料を第3の原料ガス輸送管24cで基板3へと輸送する。なお、このような機構をバブラーと称す。また、原料槽28の少なくとも有機原料17cが入れられる高さまでを液体30に浸す温度制御槽31を設け、図示しないヒータで液体30の温度を制御することで、原料槽28内の有機原料17cの温度を制御する。
【0062】
チャンバー2の周囲には加熱冷却器32が設けられる。この加熱冷却器32は第1の気化昇華装置15aおよび第2の気化昇華装置15b等の位置に対応して設けられ、第1の混合管18a、第2の混合管18b、第1の原料ガス輸送管24a、第2の原料ガス輸送管24b、そして第3の原料ガス輸送管24c等を間接的に加熱して、原料ガスの温度制御を行う。
【0063】
なお、図示しないが、第1の混合管18aと第2の混合管18bのそれぞれにヒータを設けて、気化または昇華中の原料ガスの温度制御を個別にできるようにしてもよい。また、第1の原料ガス輸送管24a、第2の原料ガス輸送管24bおよび第3の原料ガス輸送管24cのそれぞれにヒータを設けて、輸送中の原料ガスの温度制御を個別にできるようにしてもよい。さらに、供給管21a,21b,21cのそれぞれにヒータを設けて、キャリアガスの温度制御を個別にできるようにしてもよい。
【0064】
チャンバー2には排気管33が設けられ、この排気管33にトラップタンク34、スロットバルブ35および真空ポンプ36が取り付けられる。真空ポンプ36はチャンバー2内を排気して、該チャンバー2内を真空にする。スロットバルブ35はチャンバー2内の圧力を調整するもので、チャンバー2に取り付けた圧力計37の出力がスロットバルブ35へ電気的にフィードバックされ、チャンバー2内が所望の真空度を維持するように制御される。また、基板3上に吸着しなかった有機原料等はトラップタンク34で凝縮させ、スロットバルブ35や真空ポンプ36に到達しないようにしてある。
【0065】
なお、排気管33は基板冷却室6側に設けることとしたが、膜堆積室7側に設けてもよい。また排気管33を基板冷却室6と膜堆積室7の両方に設け、それぞれにトラップタンク34、スロットバルブ35および真空ポンプ36を設ける構成としてもよい。
【0066】
ここで、チャンバー2に対して基板3を出し入れ自在とするため、例えば、チャンバー2に開閉部を設けた分割構造とし、この開閉部を閉じたときは気密性が保てるようにすることで、基板3の着脱ができるようにする。
【0067】
次に、本発明の有機膜形成方法の実施の形態を、上述した有機膜形成装置1の動作として説明する。本実施の形態の有機膜形成方法は、有機原料を気化または昇華させる気化昇華工程、キャリアガスの導入および原料ガスとの混合を行うキャリアガス導入工程、原料ガスを基板3上に輸送する原料ガス輸送工程、基板3上への有機膜堆積工程、冷却ガスを基板3上に輸送する冷却ガス輸送工程、基板3を冷却ガスで冷却する基板冷却工程および排気工程で構成される。
【0068】
気化昇華工程では、有機原料17aが入れられた原料容器16aに通電し、原料容器16aの抵抗発熱で有機原料17aを間接的に加熱して、原料ガスを生成する。同様に、有機原料17bが入れられた原料容器16bに通電し、原料容器16bの抵抗発熱で有機原料17bを間接的に加熱して、原料ガスを生成する。ここで、有機原料17bの代わりにドーピング原料を原料容器16bに入れることで、ドーピング原料のガスの生成が行える。この気化昇華工程では、原料容器16aおよび原料容器16bの温度や通電する電流値を監視して、有機原料17aおよび有機原料17bがそれぞれ気化または昇華する温度を保つ温度制御を行われる。
【0069】
キャリアガス導入工程では、タンク20のキャリアガスを必要に応じて第1の混合管18aと第2の混合管18bの両方、あるいはどちらか一方に送る。各供給管21a,21bには調整バルブ22、圧力調整器23a、流量計23bそして切替バルブ23cが設けられており、第1の混合管18aおよび第2の混合管18bに送るキャリアガスの圧力および流量が制御される。また、加熱冷却器32でチャンバー2を加熱することで、第1の混合管18aおよび第2の混合管18bに送られるキャリアガスを間接的に加熱して、キャリアガスの温度が制御される。
【0070】
また、第1の混合管18aおよび第2の混合管18bに送るキャリアガスの圧力を制御することで、気化昇華工程において有機原料17aおよび有機原料17bが気化または昇華する際の圧力が制御される。これは、有機物の多くは、気化または昇華温度に圧力依存性を持っているため、原料ガスの変質を避けるためには温度と圧力をともに制御することが望ましいためである。これにより、気化昇華工程では、有機原料17aおよび有機原料17bが気化または昇華するのに適した温度および圧力が得られるように制御される。
【0071】
さて、有機原料が液相の場合は、原料槽28に有機原料17cが入れられ、タンク20のガスが供給される。原料槽28は温度制御槽31により温度制御され、液相中にガスが導入されることで、原料槽28内で原料ガスが生成される。
【0072】
原料ガス輸送工程では、キャリアガスを用いて、第1の混合管18a、第2の混合管18b、原料槽28のいずれか、あるいは全てから、原料ガスが第1の原料ガス輸送管24a、第2の原料ガス輸送管24b、第3の原料ガス輸送管24cのそれぞれを通って膜堆積室7へ輸送される。
【0073】
この膜堆積室7へ送り込まれる原料ガスの量は、キャリアガスの流量および圧力、有機原料の加熱温度により制御される。また、第1の原料ガス輸送管24a、第2の原料ガス輸送管24bあるいは第3の原料ガス輸送管24cを輸送される原料ガスの温度が低下すると、気相となった有機原料が固相に変化してしまうので、加熱冷却器32でチャンバー2を加熱することで、第1の原料ガス輸送管24a、第2の原料ガス輸送管24bおよび第3の原料ガス輸送管24cを間接的に加熱し、輸送中の原料ガスの温度が低下しないように制御される。なお、各原料ガス輸送管に個別のヒータを設けることとすれば、使用する有機原料の気化または昇華温度の違いに応じて各原料ガス輸送管の温度制御が行える。
【0074】
有機膜堆積工程では、第1の原料ガス輸送管24aの放出口26aから膜堆積室7に送り込まれた原料ガスが基板3上に吸着して有機膜が形成される。同様に、第2の原料ガス輸送管24bの放出口26bから膜堆積室7に送り込まれた原料ガス、あるいは第3の原料ガス輸送管24cの放出口26cから膜堆積室7に送り込まれた原料ガスが基板3上に吸着して有機膜が形成される。
【0075】
ここで、各原料ガス輸送管からは温度、圧力等が個別に制御された原料ガスを放出できるので、有機原料とドーピング原料といった複数の原料ガスで有機膜を形成することもできるし、単一の原料ガスで有機膜を形成することもできる。そして、複数の原料ガスで有機膜を形成する場合、例えば第1の原料ガス輸送管24aと第2の原料ガス輸送管24bを用いて基板3の近くまで原料ガスを個別に輸送するので、原料ガスが基板3に吸着する前に反応して固化する等の発生を防ぐことができる。
【0076】
さて、上述した原料ガス輸送工程では、輸送中の原料ガスの温度を制御するため、加熱冷却器32でチャンバー2を加熱しているが、加熱冷却器32はチャンバー2内全体を加熱しているので、基板3上に有機膜を形成する際の膜堆積室7の温度制御も加熱冷却器32で行われる。
【0077】
また、チャンバー2に送り込まれる原料ガスの量が制御されることで、チャンバー2内の圧力が制御される。なお、チャンバー2内の圧力は、真空ポンプ36による排気量を制御することでも制御され、チャンバー2内は、有機膜形成に適した圧力となるように制御される。
【0078】
ここで、基板3は基板ホルダ8に取り付けられ、基板ホルダ8が軸9を中心に回転するので、有機膜堆積工程を基板3を回転させながら行うことで、基板3内での膜厚分布の均一化が図れる。
【0079】
冷却ガス輸送工程では、冷却ガスタンク11の冷却ガスが冷却ガス輸送管12に送られる。冷却ガス輸送管12にはスロットバルブ13が設けられており、冷却ガス輸送管12を流れる冷却ガスの圧力および流量が制御される。
【0080】
基板冷却工程では、冷却ガス輸送管12の放出口14から基板冷却室6内に送り込まれた冷却ガスで基板3が冷却される。ここで、放出口14は基板冷却室6に位置する基板3の有機膜形成面と対向して設けられるので、基板3の有機膜形成面を直接冷却できる。さて、基板冷却室6はチャンバー2内に設けられるが、基板冷却室6と膜堆積室7を含めたチャンバー2内とは断熱壁5で仕切られているので、相互の温度干渉を防ぐことができる。
【0081】
また、原料ガスを輸送する第1の原料ガス輸送管24a,第2の原料ガス輸送管24bおよび第3の原料ガス輸送管24cと、冷却ガスを輸送する冷却ガス輸送管12は断熱壁5を隔てて設けられるので、第1の原料ガス輸送管24a,第2の原料ガス輸送管24bおよび第3の原料ガス輸送管24cが冷却されて有機原料が固相となったり、冷却ガス輸送管12が加熱されて冷却能力が落ちるということがない。
【0082】
さて、基板ホルダ8を軸9を中心に回転させると、基板3が基板ホルダ8の円周方向に沿って取り付けられているので、基板3は膜堆積室7と基板冷却室6との間を移動する。これにより、有機膜堆積工程と基板冷却工程を交互に行うことが可能となる。すなわち、膜堆積室7に位置させた基板3に第1の原料ガス輸送管24a等から原料ガスを放出して基板3上に有機膜を形成した後、基板ホルダ8を回転させてこの基板3を基板冷却室7に移動させ、今度は冷却ガス輸送管12から放出した冷却ガスで基板3を冷却する。このように、有機膜堆積工程と基板冷却工程を交互に行うことで、基板3に吸着した有機原料を急速に冷却することができ、非結晶な有機膜を形成できる。
【0083】
この基板冷却工程では、冷却ガス輸送管12の放出口14が基板3に対向して設けられているので、基板3の有機膜堆積面に冷却ガスが吹き付けられる。これにより、基板3にダストが付着している場合、これを冷却ガスで除去できる。そして、基板3を垂直に保持していることで、除去したダストは基板3に再付着しにくくなる。さらに、基板冷却室6を膜堆積室7の下側に設けることで、冷却ガスで除去したダスト等が有機膜堆積工程に影響を及ぼすことなく、基板冷却室7からトラップタンク34へ回収できる。
【0084】
排気工程では、上述した各工程に先立ち、基板3がセットされたチャンバー2を真空ポンプ36で排気を行い、スロットバルブ35を制御してチャンバー2内を10Pa程度の低真空とする。ここで、10Pa程度の真空度では、原料ガスの流れが制御自在である。
【0085】
以上説明した第1の実施の形態の有機膜形成装置1では、基板3の冷却に加え、冷却ガスによるダストの除去を行うため、チャンバー2内で基板3が垂直に保持される機構とし、かつ、基板冷却室6を膜堆積室7の下側に設ける構成とした。これに対して、基板3が水平に保持される機構であっても、基板3の冷却効果は必要かつ十分に得られる。また、基板冷却室6と膜堆積室7の位置関係も、水平方向に並べる構成、あるいは基板冷却室6を上側に設ける構成でも良い。さらに、基板動作は回転のみならずスライド移動によるものでも良い。
【0086】
さて、有機EL素子を用いてフルカラーディスプレイを製作する場合、図9に示すように、マスク114を基板3の有機膜形成面に取り付けて膜形成が行われる。このため、有機膜堆積工程では、マスク114は高温の原料ガスに晒されることになるが、基板冷却工程でマスク114を直接冷却ガスで冷却できるので、マスク114の熱膨張によるゆがみの発生を防ぐことができる。これにより、画素形成精度が向上する。
【0087】
なお、第1の実施の形態において、基板ホルダ8に例えば冷却水を循環させる配管を組み込む等により、冷却ガスによる有機膜形成面の冷却に加え、基板3を裏面からも冷却できる機構を加えてもよい。
【0088】
図3は第2の実施の形態の有機膜形成装置の要部構成図である。この第2の実施の形態の有機膜形成装置は、膜堆積室38と基板冷却室39を独立して設けたものである。
【0089】
基板3は、ベルト40による搬送機構41に取り付けられ、膜堆積室38と基板冷却室39との間を移動する。膜堆積室38には、図1に示す第1の原料ガス輸送管24a、第2の原料ガス輸送管24bおよび第3の原料ガス輸送管24cのいずれか、あるいは全てが接続される。なお、図3では、一例として第1の原料ガス輸送管24aが接続されているものとする。そして、放出口26aがベルト40に保持される基板3と対向する位置に設けられる。また、膜堆積室38には図示しない真空ポンプが接続され、膜堆積室38内の圧力が制御される。
【0090】
基板冷却室39には、図1に示す冷却ガス輸送管12が接続され、放出口14がベルト40に保持される基板3と対向する位置に設けられる。また、基板冷却室39には、膜堆積室38と同一あるいは異なる図示しない真空ポンプが接続され、基板冷却室39内の圧力が制御される。そして、膜堆積室38と基板冷却室39との間には、膜堆積室38と基板冷却室39の相互の温度干渉を防ぐために断熱壁42が設けられる。
【0091】
以上の構成において、気化昇華工程、キャリアガス導入工程、原料ガス輸送工程および冷却ガス輸送工程は、第1の実施の形態の有機膜形成装置1と同様に行われるものとする。また、排気工程は、膜堆積室38と基板冷却室39で独立に行われるものとする。ここで、膜堆積室38の圧力は10Pa程度に制御される。同様に、基板冷却室39の圧力も10Pa程度に制御される。
【0092】
そして、有機膜堆積工程が膜堆積室38で行われるとともに、基板冷却工程が基板冷却室39で行われ、基板3をベルト40により膜堆積室38と基板冷却室39との間を移動させて、有機膜堆積工程と基板冷却工程が交互に行われる。
【0093】
このように、膜堆積室38と基板冷却室39を独立して設けることで、有機膜堆積工程と基板冷却工程で、温度制御および圧力制御をより正確に行うことができる。なお、図3の構成では、基板3を水平に保持する機構でも基板3を垂直に保持する機構でも良い。
【0094】
図4は第3の実施の形態の有機膜形成装置の要部斜視図である。この第3の実施の形態の有機膜形成装置は、基板ホルダ8の円周方向に、第1の原料ガス輸送管24a、第1の冷却ガス輸送管43a、第2の原料ガス輸送管24b、第2の冷却ガス輸送管43bを並べて設ける。これにより、第1の原料ガス輸送管24aと第2の原料ガス輸送管24bを間隔を空けて配置したものである。
【0095】
第1の原料ガス輸送管24aは、図1で説明したように第1の混合管18aに接続され、第2の原料ガス輸送管24bは第2の混合管18bに接続される。これにより、第1の原料ガス輸送管24aと第2の原料ガス輸送管24bからは、圧力および温度等が個別に制御された原料ガスが放出される。また、第1の冷却ガス輸送管43aと第2の冷却ガス輸送管43bは、図1に示す冷却ガス輸送管12を分岐する構成とする。なお、図4では図示しないが、各輸送管の間には断熱壁が設けられ、膜堆積室と基板冷却室が交互に形成される。そして、上述した各構成は図1に示すチャンバー2内に設けられるものとする。
【0096】
以上の構成において、第1の原料ガス輸送管24aでは、ホスト材として、有機原料であるAlq(8−キノリノールアルミニウム錯体)ガスが輸送される。このAlqは、図5に示す電子輸送層を構成する有機原料の一例である。そして、Alqの昇華温度は280〜300℃程度である。
【0097】
これに対し、第2の原料ガス輸送管24bでは、ゲスト材として、ドーピング原料のクマリン6が輸送される。このクマリン6は発光効率を向上させる蛍光分子の一例である、そして、クマリン6の気化温度は155〜160℃程度である。
【0098】
このように、ホスト材とゲスト材の気化または昇華温度が著しく異なる場合、Alqガスによる有機膜堆積工程後、基板ホルダ8を回転させて基板3を第1の冷却ガス輸送管43aと対向する位置、すなわち、図示しない基板冷却室に送り、基板冷却工程を行う。これにより、Alqガスに晒された基板3の有機膜形成面が冷却される。
【0099】
次に、基板ホルダ8を回転させ、基板3を第2の原料ガス輸送管24bと対向する位置、すなわち、図示しない膜堆積室に送り、有機膜堆積工程(ドーピング)を行う。これにより、気化または昇華温度の著しく異なる原料を用いた工程間での温度干渉を抑え、各工程で最適な温度制御が行える。なお、図4の構成でも、基板3を水平に保持する機構でも基板3を垂直に保持する機構でも良い。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、減圧下のチャンバー内に基板を保持し、有機原料を気相に変化させた原料ガスをキャリアガスを用いてチャンバー内に輸送して基板上に有機膜を形成する際に、冷却ガスを用いて基板を冷却することとしたものである。
【0101】
これにより、基板の有機膜形成面を直接冷却できるので、有機発光素子で望ましい非結晶な膜を形成できる。また、大量の原料ガスを基板に吹き付けても、基板の温度上昇が防止されるので、大量の原料ガスを基板へ輸送して、成膜速度を向上させることができる。
【0102】
さらに、フルカラーディスプレイを作成するため、画素の塗り分けを行う場合、基板の有機膜形成面にマスクを取り付けることになるが、このマスクを直接冷却できるので、マスクの熱膨張が低減され、画素形成精度が向上する。
【0103】
また、熱的性質が異なる複数の原材料を共気相蒸着する場合、有機膜堆積工程と基板冷却工程を交互に行うことで、耐熱性が低い有機材料の劣化が低減できるので、ホスト材とゲスト材の選択範囲が広がる。
【0104】
また、基板としてTFT素子を用いた基板を用いた場合、TFT素子への熱によるダメージを低減できる。
【0105】
さらに、有機膜を形成しながら、この有機膜を冷却できるので、有機膜の基板に近い側と基板から遠い側との間の温度差を少なくでき、有機膜の厚み方向の膜質変化を低減できる。
【0106】
このように、有機発光素子で望ましい非結晶な膜を形成できることで、本発明では、色純度に優れ、高精細、長寿命な有機ELディスプレイや有機発光ダイオード等を製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の有機膜形成装置の全体構成図である。
【図2】基板ホルダと断熱壁の一例を示すチャンバー内部の一部破断斜視図である。
【図3】第2の実施の形態の有機膜形成装置の要部構成図である。
【図4】第3の実施の形態の有機膜形成装置の要部斜視図である。
【図5】有機EL素子の構造の一例を示す説明図である。
【図6】有機ELカラーディスプレイの概要を示す平面図である。
【図7】有機ELカラーディスプレイの要部斜視図である。
【図8】真空蒸着装置の基本構成を示す説明図である。
【図9】マスクを使用した膜堆積工程の一例を示す断面図である。
【図10】従来の有機膜形成装置の説明図である。
【符号の説明】
1・・・有機膜形成装置、2・・・チャンバー、3・・・基板、4・・・基板冷却装置、5・・・断熱壁、6・・・基板冷却室、7・・・膜堆積室、8・・・基板ホルダ、9・・・軸、10・・・駆動機構、11・・・冷却ガスタンク、12・・・冷却ガス輸送管、13・・・スロットバルブ、14・・・放出口、15a・・・第1の気化昇華装置、15b・・・第2の気化昇華装置、16a・・・原料容器、16b・・・原料容器、17a・・・有機原料、17b・・・有機原料、17c・・・有機原料、18a・・・第1の混合管、18b・・・第2の混合管、19・・・ガス供給装置、20・・・タンク、21a・・・供給管、21b・・・供給管、21c・・・供給管、22・・・調整バルブ、23a・・・圧力調整器、23b・・・流量計、23c・・・切替バルブ、24a・・・第1の原料ガス輸送管、24b・・・第2の原料ガス輸送管、24c・・・第3の原料ガス輸送管、25a・・・吸入口、25b・・・吸入口、25c・・・吸入口、26a・・・放出口、26b・・・放出口、26c・・・放出口、27・・・気化装置、28・・・原料槽、29・・・放出口、30・・・液体、31・・・温度制御槽、32・・・加熱冷却器、33・・・排気管、34・・・トラップタンク、35・・・スロットバルブ、36・・・真空ポンプ、37・・・圧力計、38・・・膜堆積室、39・・・基板冷却室、40・・・ベルト、41・・・搬送機構、42・・・断熱壁、43a・・・第1の冷却ガス輸送管、43b・・・第2の冷却ガス輸送管

Claims (17)

  1. 基板上に有機物の薄膜を形成する有機膜形成装置において、
    真空ポンプが接続されたチャンバーと、
    前記チャンバーに設けられ、少なくとも1枚の前記基板を有機膜形成面を露出させて保持する保持手段と、
    有機原料を気相に変化させて原料ガスを生成する気化昇華手段と、
    前記原料ガスとキャリアガスを混合するキャリアガス導入手段と、
    前記保持手段で保持している前記基板に、前記キャリアガスを用いて前記原料ガスを供給する原料ガス輸送手段と、
    前記保持手段で保持している前記基板の有機膜形成面に、冷却ガスを供給する冷却ガス供給手段と、
    前記原料ガス輸送手段による原料ガスの供給位置および前記冷却ガス供給手段による冷却ガスの供給位置と前記基板との相対位置関係を切り換える供給位置切り替え手段と
    を備えたことを特徴とする有機膜形成装置。
  2. 前記冷却ガス供給手段は、前記保持手段で保持している前記基板の有機膜形成面と対向する位置に、冷却ガスの放出口を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。
  3. 前記保持手段は、円周方向に複数の基板を保持して、回転により各基板の位置を移動させる機構を有し、
    前記供給位置切り替え手段は、前記保持手段による基板の移動で、該基板の位置を、前記原料ガス輸送手段による原料ガスの供給位置か前記冷却ガス供給手段による冷却ガスの供給位置に切り替える
    ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。
  4. 前記原料ガス輸送手段による原料ガスの供給位置と前記冷却ガス供給手段による冷却ガスの供給位置との間に断熱壁を設けて、前記チャンバー内に基板冷却室を設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。
  5. 前記基板冷却室を前記チャンバーと独立して設け、
    前記保持手段は、前記チャンバーと前記基板冷却室との間で前記基板の搬送を行う
    ことを特徴とする請求項4記載の有機膜形成装置。
  6. 前記原料ガス輸送手段は、前記保持手段で保持している前記基板の有機膜形成面と対向する位置に、原料ガスの放出口を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。
  7. 前記保持手段は、前記基板の有機膜形成面が垂直となる向きで該基板を保持する
    ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。
  8. 前記原料ガス輸送手段による原料ガスの供給位置の下部に、前記冷却ガス供給手段による冷却ガスの供給位置を設けた
    ことを特徴とする請求項7記載の有機膜形成装置。
  9. 前記真空ポンプによる排気口を、前記基板冷却室側に設けた
    ことを特徴とする請求項4記載の有機膜形成装置。
  10. 前記気化昇華手段、前記キャリアガス導入手段および前記原料ガス輸送手段を複数組設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。
  11. 前記保持手段は、前記基板の有機膜形成面にマスクを着脱自在に保持する
    ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。
  12. 基板上に有機物の薄膜を形成する有機膜形成方法において、
    有機原料を気相の原料ガスへと変化させる気化昇華工程と、
    前記原料ガスとキャリアガスを混合するキャリアガス導入工程と、
    前記キャリアガスを用いて前記原料ガスを前記基板上へ輸送する原料ガス輸送工程と、
    前記原料ガスの流れを制御し得る減圧下のチャンバー内で前記基板上に有機膜を形成する有機膜堆積工程と、
    冷却ガスを前記基板上へ輸送する冷却ガス輸送工程と、
    前記冷却ガスで前記基板の有機膜形成面を冷却する基板冷却工程と、
    前記チャンバーの排気工程と
    を少なくとも有することを特徴とする有機膜形成方法。
  13. 前記有機膜堆積工程と前記基板冷却工程を交互に行う
    ことを特徴とする請求項12記載の有機膜形成方法。
  14. 前記基板冷却工程の前後で、異なる種類の有機原料による前記有機膜堆積工程を行う
    ことを特徴とする請求項13記載の有機膜形成方法。
  15. 前記気化昇華工程、前記キャリアガス導入工程、前記原料ガス輸送工程、前記有機膜堆積工程および前記冷却ガス輸送工程は、それぞれ独立して温度制御を行う
    ことを特徴とする請求項12記載の有機膜形成方法。
  16. 前記キャリアガス導入工程、前記原料ガス輸送工程、前記有機膜堆積工程および前記冷却ガス輸送工程は、それぞれ独立して圧力制御を行う
    ことを特徴とする請求項12記載の有機膜形成方法。
  17. 前記キャリアガス導入工程、前記原料ガス輸送工程、前記冷却ガス輸送工程および前記排気工程は、それぞれ独立して流量制御を行う
    ことを特徴とする請求項12記載の有機膜形成方法。
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