JP2004014219A - 有機エレクトロルミネッセンス素子材料、及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子材料、及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 Download PDF

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植田 則子
Taketoshi Yamada
山田 岳俊
Yoshiyuki Suzurisato
硯里 善幸
Hiroshi Kita
北 弘志
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Abstract

【課題】発光特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子、それを可能にする素子材料の提供、および本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた低消費電力、高輝度な表示装置を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、及び表示装置。
Figure 2004014219

【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが該発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。最近開発された、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子ともいう)は、蛍光性有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子及び正孔を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能であり、自己発光型であるために視野角依存性に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
【0003】
これまで、様々な有機EL素子が報告されている。たとえば、Appl.Phys.Lett.,vol.51、913頁あるいは特開昭59−194393号に記載の正孔注入層と有機発光体層とを組み合わせたもの、特開昭63−295695号に記載の正孔注入層と電子注入輸送層とを組み合わせたもの、Jpn.Journal of Applied Phisycs,vol.127,No.2第269〜271頁に記載の正孔移動層と発光層と電子移動層とを組み合わせたものがそれぞれ開示されている。しかしながら、エネルギー変換効率、発光量子効率の更なる向上が期待されている。また、発光寿命が短い問題点が指摘されている。こうした経時での輝度劣化の要因は完全には解明されていないが発光中のエレクトロルミネッセンス素子は自ら発する光と高熱に曝されており薄膜を構成する有機化合物自体の分解、薄膜中での有機化合物の結晶化等、有機EL素子材料である有機化合物に由来する要因も指摘されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光特性の改善を目的になされたものであり、発光特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子、それを可能にする素子材料の提供、および本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた低消費電力、高輝度な表示装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的で鋭意検討した結果、特定の構造を有する化合物を有機EL素子に用いることで、発光輝度・寿命に優れた有機EL素子が得られることを見出した。
【0006】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
1.前記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0007】
2.少なくとも陰極と陽極と有機化合物からなる発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機化合物は発光層に含有されることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0008】
3.有機エレクトロルミネッセンス素子材料が前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
【0009】
4.少なくとも、前記1及び2のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を複数備えたことを特徴とする表示装置。
【0010】
5.表示装置が、発光の極大波長が異なる有機エレクトロルミネッセンス素子を同一基板上に2つ以上設けていることを特徴とする前記4に記載の表示装置。
【0011】
本発明を更に詳しく説明する。
一般式(1)で表される化合物は、有機EL素子に含有させる化合物として有用であることはもちろんのこと、他にも蛍光発光を利用した医薬品用の標識化合物等の材料としても用いることができる。
【0012】
以下に、本発明の一般式(1)で表される化合物について更に詳しく説明する。
【0013】
一般式(1)において、Ar及びArはそれぞれ置換基を有していても良い2価の芳香族炭化水素群又は芳香族複素環群を表し、異なっていても同一でも良い。芳香族炭化水素群としては、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、1,6−ナフチレン、4,4′−ビフェニレン等が挙げられ、芳香族複素環群としては、5,5′−(2,2′)−ビチオフェニル、5,5′−(2,2′)−ビ(1,3,4)−オキサジアゾリル、4,7−ベンゾチアゾリル、4,7−1H−インドリル、4,7−1H−ベンゾトリアゾリル等挙げられる。置換基としては好ましくはアルキル基(メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、アリール基(フェニル基等)が挙げられる。
【0014】
〜R12はそれぞれ独立に水素原子、置換又は無置換のアルキル基(メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等)又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)を表す。
【0015】
次に本発明の一般式(1)で表される化合物の代表的な合成例を述べる。
[合成例1] 化合物(9)の合成
【0016】
【化2】
Figure 2004014219
【0017】
2−ブロモチオフェン15.0gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン200mLに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5mol/L)溶液を67.5mL滴下し、30分撹拌後、塩化亜鉛15.7gを加えた。さらに30分撹拌後、1,8−ジヨードナフタレン8.74gとテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム200mgを加えた後昇温し、室温で20時間撹拌した後、反応溶液を抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(A)を3.20g(収率48%)得た。次に化合物(A)3.0gを窒素雰囲気下脱水エーテル100mLに溶解し、0℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5mol/L)溶液を20.6mL滴下し、30分撹拌した後、塩化銅(II)4.71gを加え、室温まで昇温した。反応溶液を抽出、乾燥、濃縮したのち、再結晶することで化合物(9)を1.05g(収率18%)得た。
【0018】
[合成例2] 化合物(3)の合成
【0019】
【化3】
Figure 2004014219
【0020】
【化4】
Figure 2004014219
【0021】
1−ブロモ−4−トリメチルシリルベンゼン22.9gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン300mLに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5mol/L)溶液を80mL滴下し、30分撹拌後、塩化亜鉛17.7gを加えた。30分撹拌後、1,8−ジヨードナフタレン9.50gとテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム3.00gを加えた後昇温し、室温で15時間撹拌した後、反応溶液を抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(B)を6.37g(収率60%)得た。化合物(B)6.37gを四塩化炭素100mLに溶解し、−20℃で一塩化ヨウ素1.5mLを加え、その後50℃に昇温し、30分撹拌し、反応溶液を抽出、乾燥、濃縮することで、化合物(C)を4.90g(収率74%)得た。次に化合物(C)4.9gを窒素雰囲気下脱水テトラヒドロフラン100mLに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン(1.5mol/L)溶液を13.5mL滴下し、30分撹拌後、トリ(n−ブチル)塩化すず12.5mLを加え、室温まで昇温した。反応液を抽出、乾燥、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(D)を6.00g(収率76%)得た。化合物(D)6.00gを100mLのテトラヒドロフランに溶解し、硝酸銅三水和物3.72gを加え、室温まで昇温した。一時間撹拌後、反応溶液を抽出、乾燥、濃縮した後、再結晶することで化合物(3)を1.60g(収率41%)得た。
【0022】
以下に、本発明における一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【化5】
Figure 2004014219
【0024】
【化6】
Figure 2004014219
【0025】
上記有機化合物及び後述する蛍光体を用いて発光層を形成する方法としては、例えば蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法で薄膜化することにより形成することができるが、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで、分子堆積膜とは、上記化合物の気相状態から沈着され形成された薄膜や、化合物の溶融状態または液相状態から固体化され形成された膜のことである。通常、この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)と凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区別することができる。
【0026】
また、この発光層は、特開昭57−51781号に記載されているように、樹脂等の結着材と共に上記有機化合物及び蛍光体を溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化して形成することができる。このようにして形成された発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。用いる蛍光体の濃度は、上記有機化合物に対して0.001〜10モル%が好ましい。
【0027】
有機EL素子は、電子が流入する陰極、陰極と隣接する有機化合物からなる電子輸送層、正孔が流入する陽極、陽極と隣接する有機化合物からなる正孔輸送層、電子輸送層と正孔輸送層で挾持された有機化合物からなる発光層等を有する。
【0028】
本発明の有機EL素子において、電子輸送層、正孔輸送層、発光層は単層でも多層積層でもよく、例えば多層構成の場合には有機物以外の層(例えばフッ化リチウム層や無機金属塩の層、またはそれらを含有する層など)を備えても良い。
【0029】
以下に本発明の有機EL素子の具体的な層構成を示す。
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
【0030】
本発明の有機化合物は好ましくは発光層に含まれるが、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層又は電子注入層のいずれの層に含まれていても良い。また、有機化合物は、熱的安定性の観点からTgは100℃以上であることが好ましい。
【0031】
本発明の有機EL素子に好ましく用いられる基板は、ガラス、プラスチックなどの種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はない。本発明のエレクトロルミネッセンス素子に好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性プラスチックフィルムを挙げることができる。特に携帯用途で有る場合落下等の衝撃による破壊を避けるためフレキシブル性を有する光透過性プラスチックフィルムであってもよい。
【0032】
光透過性プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
【0033】
発光層は、
(1)電界印加時に、陽極、正孔注入層又は、正孔輸送層により正孔を注入することができ、かつ陰極、電子輸送層又は電子注入層より電子を注入することができる注入機能、
(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、
(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能などを有している。ただし、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさに違いがあってもよく、また、正孔と電子の移動度で表される輸送機能に大小があってもよいが、どちらか一方の電荷を移動させる機能を有するものが好ましい。この発光層に用いられる発光材料の種類については特に制限はなく、従来有機EL素子における発光材料として公知のものを用いることができる。このような発光材料は主に有機化合物であり、所望の色調により、例えば、Macromol.Symp.125巻17頁から26頁に記載の化合物が挙げられる。
【0034】
発光材料は発光性能の他に、前記の正孔注入機能や電子注入機能を併せ持っていても良く、前記の正孔注入材料や電子注入材料の殆どが発光材料としても使用できる。
【0035】
発光材料はp−ポリフェニレンビニレンやポリフルオレンのような高分子材料でも良く、さらに前記発光材料を高分子鎖に導入した、または前記発光材料を高分子の主鎖とした高分子材料を使用しても良い。
【0036】
また、発光層にはドーパント(ゲスト物質)を併用してもよく、EL素子のドーパントとして使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0037】
ドーパントの具体例としては、例えばキナクリドン、DCM、クマリン誘導体、ローダミン、ルブレン、デカシクレン、ピラゾリン誘導体、スクアリリウム誘導体、ユーロピウム錯体等がその代表例として挙げられる。
【0038】
また、ドーパントは3重項励起子の発光を示す燐光性化合物であってもよい。具体的には、重金属錯体系化合物であり、好ましくは元素の周期律表でVIII属の金属を中心金属とする錯体系化合物であり、さらに好ましくは、オスミウム、イリジウムまたは白金錯体系化合物である。
【0039】
この発光層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。発光層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この発光層は、これらの発光材料一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0040】
また、この発光層は、特開昭57−51781号公報に記載されているように、樹脂などの結着材と共に上記発光材料を溶剤に溶かして溶液としたのち、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。このようにして形成された発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。
【0041】
さらに、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および、陰極と発光層または電子輸送層との間には電荷注入層(バッファー層、電極界面層)を存在させてもよい。
【0042】
電荷注入層とは、駆動電圧低下や発光効率向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(第123頁〜第166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファー層(正孔注入層)と陰極バッファー層(電子注入層)とがある。
【0043】
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号、同9−260062号、同8−288069号等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0044】
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号、同9−17574号、同10−74586号等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
【0045】
上記バッファー層(電荷注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。
【0046】
さらに上記基本構成層の他に必要に応じてその他の機能を有する層を積層してもよく、例えば特開平11−204258号、同11−204359号、および「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層などのような機能層を有していても良い。
【0047】
本発明の有機EL素子においては、上記発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔阻止層、陰極バッファー層(電子注入層)または陽極バッファー層(正孔注入層)の少なくとも何れか1つの層内に本発明の化合物の少なくとも1種が存在するものである。
【0048】
このEL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
【0049】
該陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度を余り必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、又、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に、膜厚は、材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0050】
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属と、これより仕事関数の値が大きく安定な金属である第2金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好適である。
【0051】
該陰極は、これらの電極物質を、蒸着やスパッタリングなどの方法により薄膜を形成させることにより作製することができる。又、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極の何れか一方が透明又は半透明であれば、発光効率が向上し好都合である。
【0052】
次に、必要に応じて設けられる正孔注入層又は正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入層又は正孔輸送層を陽極と発光層の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入され、その上、発光層に陰極、電子注入層又は電子輸送層より注入された電子は、発光層と正孔注入層又は正孔輸送層の界面に存在する電子の障壁により発光層内の界面に累積され、発光効率が向上するなど、発光性能の優れた素子となる。
【0053】
この正孔注入層及び正孔輸送層の材料については、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものや、EL素子の正孔注入層及び正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0054】
上記正孔注入層及び正孔輸送層に用いられる材料は、正孔の注入、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。この材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導、イミダゾール誘導、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
【0055】
正孔注入材料及び正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。上記芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には、米国特許5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号に記載されるトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0056】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0057】
又、p型−Si,p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料又は正孔輸送材料として使用することができる。この正孔注入層及び正孔輸送層は、上記材料を、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法など、公知の方法により薄膜化することにより形成できる。正孔注入層及び正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度である。
【0058】
この正孔注入層及び正孔輸送層は、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0059】
更に、必要に応じて用いられる電子注入層及び電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0060】
この電子注入層及び電子輸送層に用いられる材料の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。又、特開昭59−194393号に記載される一連の電子伝達性化合物は、該公報では発光層を形成する材料として開示されているが、本発明者らが検討の結果、電子注入材料又は電子輸送材料として用い得ることが判った。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキザリン誘導体なども、電子注入材料又は電子輸送材料として用いることができる。
【0061】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0062】
又、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も電子注入材料又は電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホ基などで置換されているものも、電子注入材料又は電子輸送材料として好ましく用いることができる。又、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子注入材料又は電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層及び正孔輸送層と同様に、n型−Si,n型−SiC等の無機半導体も電子注入材料又は電子輸送材料として用いることができる。
【0063】
この電子注入層及び電子輸送層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。電子注入層及び電子輸送層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。
【0064】
この電子注入層及び電子輸送層は、これらの電子注入材料又は電子輸送材料1種又は2種以上からなる1層構造でもよいし、同一組成又は異種組成の複数層から成る積層構造でもよい。
【0065】
次に、該有機EL素子を作製する好適な例を説明する。例として、前記の陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなるEL素子の作製法について説明すると、まず適当な基板上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/電子注入層、正孔阻止層、陰極バッファー層または陽極バッファー層等の有機または無機の材料からなる薄膜を形成させる。
【0066】
この有機薄膜層の薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、蒸着法などがあるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくいなどの点から、真空蒸着法またはスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用しても良い。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類、分子堆積膜の目的とする結晶構造、会合構造などにより異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
【0067】
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望のEL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわないが、その際には作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られたEL素子に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧5〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0068】
本発明に用いられる封止手段としては、封止部材と、電極、透光性基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性を特に問わない。具体的には、ガラス板、ポリマー板、金属板等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウムおよびタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。なお、封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
【0069】
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
【0070】
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相および液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
【0071】
吸湿性化合物としては例えば金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等があげられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物および過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
【0072】
さらに、本発明の有機EL素子は、蛍光物質等を含有した色変換層または色変換フィルターを素子の内部または外部に有していても良く、また、カラーフィルター等の色相改良フィルターを有していても良い。
【0073】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子から構成される表示装置の一例を図面に基づいて以下に説明する。
【0074】
図1は、有機エレクトロルミネッセンス素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機エレクトロルミネッセンス素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
【0075】
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
【0076】
制御部Bは、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
【0077】
図2は、表示部の模式図である。表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。図においては、画素3の発光した光が、白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、それぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
【0078】
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を、適宜、同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
【0079】
次に、画素の発光プロセスを説明する。図3は、画素の模式図である。画素は、有機エレクトロルミネッセンス素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機エレクトロルミネッセンス素子10として、赤色、緑色、青色発光有機エレクトロルミネッセンス素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
【0080】
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
【0081】
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機エレクトロルミネッセンス素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機エレクトロルミネッセンス素子10に電流が供給される。
【0082】
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機エレクトロルミネッセンス素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機エレクトロルミネッセンス素子10が発光する。
【0083】
すなわち、有機エレクトロルミネッセンス素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機エレクトロルミネッセンス素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機エレクトロルミネッセンス素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
【0084】
ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。
【0085】
また、コンデンサ13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
【0086】
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機エレクトロルミネッセンス素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
【0087】
図4は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
【0088】
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
【0089】
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
【0090】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0091】
実施例1
陽極として一方の表面にITOを150nm製膜した透明ガラス基板(ミクロ技術研究所製、表面抵抗30Ω)を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、タンタル製抵抗加熱ボートに、TPDを200mg入れ、別のタンタル製抵抗加熱ボートに比較の化合物DCM−2を200mg入れ、別のタンタル製抵抗加熱ボートにAlqを200mg入れて真空蒸着装置に取付けた。
【0092】
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、TPDの入った前記加熱ボートと化合物DCM−2の入った前記加熱ボートに通電して、TPDとDCM−2を100:0.5の質量比で真空蒸着して膜厚100nmの正孔輸送兼発光層を設けた。更に、Alqの入った前記加熱ボートに通電して前記正孔輸送層上に蒸着して、膜厚50nmの電子輸送層を設けた。
【0093】
次に、真空槽をあけ、電子輸送層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクを設置し、一方、タンタル製抵抗加熱ボートにマグネシウム3gを入れ、タングステン製の蒸着用バスケットに銀を0.5g入れ、再び真空槽を2×10−4Paまで減圧した後、マグネシウム入りのボートに通電してマグネシウムを蒸着し、この際、同時に銀のバスケットを加熱し、銀を蒸着し、膜厚110nmにして、前記マグネシウムと銀との混合物から成る対向電極とすることにより、比較用有機EL素子OLED1−1を作製した。
【0094】
これと同様にして、有機EL素子OLED1−1のドーパント材料であるDCM−2のみを表1に示す化合物に置き換えた有機EL素子OLED1−2〜OLED1−9を作製した。
【0095】
【化7】
Figure 2004014219
【0096】
これらの素子のITO電極を陽極、マグネシウムと銀からなる対向電極として温度23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で10V直流電圧印加による連続点灯を行い、点灯開始時の発光輝度(cd/m)および輝度の半減する時間、発光効率(ルーメン/W)を測定した。結果を表1に示す。(但し、発光輝度、輝度の半減する時間、及び発光効率は、有機EL素子OLED1−1の発光輝度、輝度の半減する時間、及び発光効率をそれぞれ100とした相対値で表した。)なお、発光輝度はミノルタ製CS−1000を用いて測定した。
【0097】
【表1】
Figure 2004014219
【0098】
表1から明らかなように、本発明の化合物を有機EL素子の正孔輸送兼発光層に使用した試料(OLED1−2〜OLED1−9)はいずれも発光輝度が高く高効率・長寿命である。
【0099】
実施例2
陽極として一方の表面にITOを150nm製膜した透明ガラス基板(ミクロ技術研究所製、表面抵抗30Ω)を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、タンタル製抵抗加熱ボートに、TPDを200mg入れ、別のタンタル製抵抗加熱ボートにDCM−2を200mg入れ、さらに別のタンタル製抵抗加熱ボートにAlqを200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
【0100】
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、TPDの入った前記加熱ボートに通電して、膜厚70nmの正孔輸送層を設けた。更に、DCM−2とAlqの入った前記加熱ボートに通電して前記正孔輸送層上に100:0.5の質量比で共蒸着して、膜厚40nmの発光層を設けた。さらにAlqの入った前記ボートに通電して前記発光層上に蒸着して膜厚50nmの電子輸送層を設けた。
【0101】
次に、真空槽をあけ、電子輸送層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクを設置し、一方、タンタル製抵抗加熱ボートにマグネシウム3gを入れ、タングステン製の蒸着用バスケットに銀を0.5g入れ、再び真空槽を2×10−4Paまで減圧した後、マグネシウム入りのボートに通電してマグネシウムを蒸着し、この際、同時に銀のバスケットを加熱し、銀を蒸着し、膜厚110nmにして、前記マグネシウムと銀との混合物から成る対向電極とすることにより、比較用有機EL素子OLED2−1を作製した。
【0102】
上記において、発光層のドーパント材料であるDCM−2を表2に示す化合物に置き換えた以外は、全く同じ方法で、有機EL素子OLED2−2〜OLED2−9を作製した。
【0103】
これらの素子のITO電極を陽極、マグネシウムと銀からなる対向電極を陰極として温度23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で10V直流電圧印加による連続点灯を行い、点灯開始時の発光輝度(cd/m)、輝度の半減する時間及び発光効率(ルーメン/W)を測定した。結果を表2に示す。(但し、発光輝度、輝度の半減する時間、及び発光効率は、有機EL素子OLED2−1の発光輝度、輝度の半減する時間、及び発光効率をそれぞれ100とした相対値で表した。)
【0104】
【表2】
Figure 2004014219
【0105】
表2から明らかなように、本発明の化合物を有機EL素子の発光層に使用した試料(OLED2−2〜OLED2−9)はいずれも発光輝度が高く高効率・長寿命である。
【0106】
実施例3
陽極として一方の表面にITOを100nm製膜した透明ガラス基板(ミクロ技術研究所製、表面抵抗30Ω)を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、タンタル製抵抗加熱ボートに、α−NPDを200mg入れ、別のタンタル製抵抗加熱ボートにCBPを200mg入れ、別のタンタル製抵抗加熱ボートにBCを200mg入れ、さらに別のタンタル製抵抗加熱ボートにAlqを200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
【0107】
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して、膜厚30nmの正孔輸送層を設けた。更に、本発明の化合物(1)とIr−1の入った前記加熱ボートに通電して前記正孔輸送層上に共蒸着して、膜厚20nmの発光層を設けた。更に、BCの入った前記加熱ボートに通電して前記発光層上に蒸着して、膜厚10nmの正孔阻止層を設けた。さらにその上にAlqの入った前記ボートに通電して前記正孔阻止層上に蒸着して膜厚40nmの電子輸送層を設けた。
【0108】
【化8】
Figure 2004014219
【0109】
次に、真空槽をあけ、電子輸送層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクを設置し、一方、タンタル製抵抗加熱ボートにマグネシウム3gを入れ、タングステン製の蒸着用バスケットに銀を0.5g入れ、再び真空槽を2×10−4Paまで減圧した後、マグネシウム入りのボートに通電してマグネシウムを蒸着し、この際、同時に銀のバスケットを加熱し、銀を蒸着し、膜厚110nmにして、前記マグネシウムと銀との混合物から成る対向電極とすることにより、比較用有機EL素子OLED3−1を作製した。
【0110】
この素子のITO電極を陽極、マグネシウムと銀からなる対向電極を陰極として温度23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で11V直流電圧印加すると、緑色に光った。
【0111】
【発明の効果】
本発明の化合物により、発光輝度・寿命・発光効率に優れた有機EL素子を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機エレクトロルミネッセンス素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。
【図2】表示部の模式図である。
【図3】画素の模式図である。
【図4】パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
【符号の説明】
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機エレクトロルミネッセンス素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサ
A 表示部
B 制御部

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2004014219
    〔式中、Ar及びArはそれぞれ独立に2価の芳香族炭化水素群又は芳香族複素環群を表し、R〜R12はそれぞれ独立に水素原子、置換又は無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。〕
  2. 少なくとも陰極と陽極と有機化合物からなる発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機化合物は発光層に含有されることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 有機エレクトロルミネッセンス素子材料が前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
  4. 少なくとも、請求項1及び2のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を複数備えたことを特徴とする表示装置。
  5. 表示装置が、発光の極大波長が異なる有機エレクトロルミネッセンス素子を同一基板上に2つ以上設けていることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
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