JP2004014047A - 光ディスク装置および光ディスク装置における収差補償方法 - Google Patents
光ディスク装置および光ディスク装置における収差補償方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】光ディスクに発生する球面収差を正確かつ安価に補償する。
【解決手段】光ディスク装置は、入射された光により出射するレーザ光の出力が変動する半導体レーザ102と、半導体レーザ102から出射されたレーザ光を光ディスク112に集光する対物レンズ110と、対物レンズ110により集光された光が光ディスク112から反射した光を半導体レーザ102に戻す光路と、半導体レーザ102から出射されたレーザ光を受光するレーザ光出力検出用受光素子120と、光ディスク112に集光するレーザ光の球面収差量を変化させるコリメートレンズ104と、球面収差量の変化に対する、半導体レーザ102の出力値と動作電流との関係に基づいて、コリメートレンズ104の位置を制御して球面収差を補償する制御回路312とを含む。
【選択図】 図8
【解決手段】光ディスク装置は、入射された光により出射するレーザ光の出力が変動する半導体レーザ102と、半導体レーザ102から出射されたレーザ光を光ディスク112に集光する対物レンズ110と、対物レンズ110により集光された光が光ディスク112から反射した光を半導体レーザ102に戻す光路と、半導体レーザ102から出射されたレーザ光を受光するレーザ光出力検出用受光素子120と、光ディスク112に集光するレーザ光の球面収差量を変化させるコリメートレンズ104と、球面収差量の変化に対する、半導体レーザ102の出力値と動作電流との関係に基づいて、コリメートレンズ104の位置を制御して球面収差を補償する制御回路312とを含む。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクを再生および記録する光ディスク装置に関し、特に光ディスク装置において発生する収差を補償する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ディスクに記憶されるデータの高密度化および大容量化に伴い、光ディスク上に集光する光スポットを小さくする必要がある。このために、半導体レーザの短波長化および対物レンズの高NA(開口数)化がより一層求められている。従来のCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)程度の記録密度の光ディスクにおいては、光ディスク表面の保護層となる透明基板の厚み誤差で生じる球面収差は無視できる程小さいため、従来の対物レンズのNAで光ディスクの再生記録層に十分小さく集光できていた。DVDではこの対物レンズのNAが約0.60であったのに対して、近年では、対物レンズのNAが約0.85も必要な高密度光ディスクが開発されている。このように対物レンズの高NA化が進むと、光ディスク表面の透明基板の厚み誤差により生じる球面収差を無視することができなくなる。
【0003】
現在、この透明基板の厚みのばらつきにより発生する球面収差を補償する技術が提案されている。特開平10−106012号公報は、温度変化によるレンズ球面収差を補正する光ディスク装置を開示する。この公報に開示された光ディスク装置は、レーザ光源と、レーザ光源よりの出射光を対物レンズに導くカップリングレンズと、光ディスクの透明基板を通して光ディスクの情報記録面上に光スポットとして集光させる対物レンズと、情報記録面からの反射光を受光して信号を出力する光検出器と、レーザ光源およびカップリングレンズのうちの少なくとも一方を光軸方向に駆動する駆動回路と、光検出器の出力信号から光ディスクの種類を判定して、判定結果に応じて予め設定された位置まで駆動回路を駆動させて、駆動後の光検出器の出力信号に基づいて対物レンズの球面収差を補正するように駆動回路を駆動する制御回路とを含む。制御回路は、光検出器の出力信号から得られるHF信号レベル、HF信号ジッタ、エラーレートのうち、HF信号レベルが最大となるように、またはHF信号ジッタもしくはエラーレートが最小となるように、レーザ光源およびカップリングレンズのうちの少なくとも一方を光軸方向に駆動する回路を含む。
【0004】
この公報に開示された光ディスク装置によると、光検出器の出力信号をモニタして得られた、HF信号レベル、HF信号ジッタ、エラーレートに基づいて、レーザ光源およびカップリングレンズのうちの少なくとも一方を光軸方向に駆動して、温度変化によって発生するレンズ球面収差が補正することができる。
【0005】
また、特開2000−182254公報は、記録/未記録ディスクに関わらず、その透過基板の厚さ誤差による球面収差を補正するピックアップ装置を開示する。この公報に開示されたピックアップ装置は、記録面上を透過基板で覆われた光ディスクに対して情報の書込みおよび読取りを行なう。このピックアップ装置は、光ビームを第1の所定開口数の対物レンズを介して記録面に照射し、記録面からの反射光を対物レンズを介して得る反射光抽出回路と、反射光抽出回路から得られた反射光のうち、第1の所定開口数より小なる第2の所定開口数以下の部分のみを介して照射された第1照射光による第1反射光を検出し、記録面における第1照射光の焦点ずれを示す第1エラー信号を生成する第1焦点誤差検出回路と、反射光抽出回路から得られた反射光のうち、第2の所定開口数より大なる所定開口数以下の部分を介して照射された第2照射光による第2反射光を検出し、記録面における第2照射光の焦点ずれを示す第2エラー信号を生成する第2焦点誤差検出回路と、第1エラー信号および第2エラー信号の少なくとも一方を用いて球面収差に対応する信号を算出する算出回路とを含む。
【0006】
この公報に開示されたピックアップ装置によると、光路中に球面収差を検出するホログラム素子を設けて、光ディスクの記録面からの反射光のうち、対物レンズ上で第1の所定開口数より小なる第2の所定開口数以下の部分を透過した第1反射光を検出して第1エラー信号を生成する。また、反射光のうち、対物レンズ上で第2の所定開口数より大なる所定開口数以下の部分を透過した第2反射光を検出して第2エラー信号を生成する。このため、第1エラー信号および第2エラー信号の少なくとも一方を用いて透過基板の厚さの誤差により生じる球面収差を示す信号を算出できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開平10−106012号公報に開示された光ディスク装置では、記録済み光ディスクを再生することで、初めて球面収差を行うことができるが、データが記録されていない光ディスクではHF信号が再生されないため、球面収差補償を行うことはできない。さらに、記録済み光ディスクでも、光ディスクの傾きや、光ディスク表面上のゴミ、汚れ、および傷によりHF信号が劣化して、正常なジッター、エラーレートを得ることはできない場合があり、球面収差補償を正確に行うことができない場合がある。
【0008】
また、上述した特開2000−182254公報に開示されたピックアップ装置では、球面収差を検出するホログラム素子や受光素子を別途設ける必要があり、部品点数が多くなり、設備価格が高騰する。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置および光ディスク装置における収差補償方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る光ディスク装置は、入射された光により出射するレーザ光の出力が変動する半導体レーザと、半導体レーザから出射されたレーザ光を光ディスクに集光する対物レンズと、半導体レーザに印加される電流値を検出するための検出手段と、光ディスクを回転するための回転手段と、対物レンズにより集光された光が光ディスクから反射した光を、半導体レーザに戻す光路を形成するための光学手段と、半導体レーザから出射されたレーザ光を受光するための受光手段と、光ディスクに対して、レーザ光に残存するデフォーカス成分を補正するための補正手段と、光ディスクに集光するレーザ光の球面収差量を変化させるための球面収差変化手段と、球面収差量の変化に対応させて、光ディスクからの反射光が半導体レーザに入射することで変動する半導体レーザの複数の出力値を受光手段を用いて検出、および半導体レーザに印加される複数の動作電流値を検出手段を用いて検出、の少なくともいずれかの検出を実行して、球面収差量と、検出された出力値および動作電流値の少なくとも一方との関係に基づいて、球面収差変化手段を制御することにより、球面収差を補償するための制御手段とを含む。
【0011】
第1の発明によると、半導体レーザは、入射された光(たとえば、光ディスクからの反射光)により出射するレーザ光の出力値が変動する。半導体レーザからの出力値を一定に保持する場合、半導体レーザに光が入射されているか否かにより、半導体レーザに印加される動作電流が変動する。また、半導体レーザへ印加される動作電流値を一定に保持する場合、半導体レーザに光が入射されているか否かにより、半導体レーザからの出力値が変動する。さらに、光ディスクに集光されるレーザ光に球面収差があると、半導体レーザに入射する戻り光にも球面収差が残存し、半導体レーザの内部に入射する光量が変動する。このため、半導体レーザの動作電流−光出力特性は、球面収差がある時とない時とで変動する。このとき、予め、光ディスクに集光されるレーザ光に残存するデフォーカス成分が補正され、デフォーカスによる光ディスクから半導体レーザに入射される戻り光量の減少の影響が排除されている。そのため、球面収差変化手段により球面収差量を種々変化させて、レーザ光の出力値を検出するとともに、半導体レーザの動作電流を検出する。デフォーカス成分が残存しないので、たとえば、レーザ光の出力値が最大になるときや、半導体レーザの動作電流値が最小になるときは、球面収差が最小となり、焦点距離が合っている状態である。また、レーザ光の出力値と動作電流値との関係に基づいて、球面収差が発生しないように球面収差変化手段を制御することもできる。これにより、半導体レーザの出力値と動作電流値との関係に基づいて、球面収差変化手段を制御することにより球面収差を補償することができる。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置を提供できる。
【0012】
第2の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、予め定められた一定の動作電流値を印加することにより、半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含む。制御手段は、球面収差量と、駆動手段により一定の動作電流値で半導体レーザが駆動される状態で検出された出力値との関係に基づいて、最大の出力値に対応する球面収差量を発生させるように球面収差変化手段を制御することにより、球面収差を補償するための手段を含む。
【0013】
第2の発明によると、半導体レーザに印加する動作電流値を一定として、球面収差の変動により変化する半導体レーザの出力値を検出する。その出力値が最大となるように球面収差補償手段を制御することにより、球面収差を補償することができる。これにより、この光ディスク装置によると、HF信号のジッターおよびエラーレートを用いる従来の球面収差補償方法に比べて、光ディスクの傾きや、光ディスク表面のゴミ、傷および汚れがあっても、レーザ光の出力値が最大になる球面収差変化手段の設定は影響を受けないため正確に球面収差を補償できる。さらに出力値を検出するための回折格子や受光素子を別途追加する必要もないため、コストメリットも大きい。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置を提供できる。
【0014】
第3の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、予め定められた一定の光出力値を出力するように、半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含む。制御手段は、球面収差量と、駆動手段により一定の光出力値が半導体レーザから出力される状態で検出された動作電流値との関係に基づいて、最小の動作電流値に対応する球面収差量を発生させるように球面収差変化手段を制御することにより、球面収差を補償するための手段を含む。
【0015】
第3の発明によると、半導体レーザから出射される光の出力値を一定として、球面収差の変動により変化する半導体レーザに印加する動作電流値を検出する。この動作電流値が最小となるように球面収差補償手段を制御することにより、球面収差を補償することができる。これにより、この光ディスク装置によると、HF信号のジッターおよびエラーレートを用いる従来の球面収差補償方法に比べて、光ディスクの傾きや、光ディスク表面のゴミ、傷および汚れがあっても、半導体レーザの動作電流値が最小になる球面収差変化手段の設定は影響を受けないため正確に球面収差を補償できる。さらに出力値を検出するための回折格子や受光素子を別途追加する必要もないため、コストメリットも大きい。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置を提供できる。
【0016】
第4の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズをさらに含む。球面収差変化手段は、コリメートレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるための手段を含む。
【0017】
第4の発明によると、コリメートレンズの位置を移動させて球面収差を除去する場合に、コリメートレンズの位置とレーザ光の出力値とを対応させて検出して、出力値が最大になるコリメートレンズの位置を特定することで、球面収差の補償を行なうことができる。
【0018】
第5の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズと、コリメートレンズと対物レンズとの間に設けられた、球面収差を発生させる2以上のレンズから構成されるレンズ群とをさらに含む。球面収差変化手段は、レンズ群を構成する少なくとも1のレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるための手段を含む。
【0019】
第5の発明によると、レンズ群のうち少なくとも1のレンズの位置を移動させて球面収差を除去する場合に、移動するレンズの位置とレーザ光の出力値とを対応させて検出して、出力値が最大になるレンズの位置を特定することで球面収差の補償を行なうことができる。
【0020】
第6の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、予め定められた直流バイアス電流を印加することにより、半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含む。
【0021】
第6の発明によると、半導体レーザに直流バイアス電流を印加させて半導体レーザを駆動させることにより半導体レーザから出射されるレーザ光を用いて、球面収差の補償を行なうことができる。
【0022】
第7の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、予め定められた直流バイアス電流に、予め定められた振幅および周期を有する高周波電流を加えた電流を印加することにより、半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含む。
【0023】
第7の発明によると、半導体レーザに直流バイアス電流に高周波電流を加えた電流を印加させて半導体レーザを駆動させることにより半導体レーザから出射されるレーザ光を用いて、球面収差の補償を行なうことができる。このとき、高周波電流を重畳して印加することにより、半導体レーザのレーザノイズの影響を減少させることができ、より正確に球面収差を補償することができる。
【0024】
第8の発明に係る光ディスク装置は、第6または7の発明の構成に加えて、駆動手段に接続され、直流バイアス電流が予め定められた電流値を維持するように、駆動手段を制御するための電流制御手段をさらに含む。
【0025】
第8の発明によると、直流バイアス電流が予め定められた電流値を維持するため、半導体レーザの発光による発熱および駆動手段による発熱に基づく半導体レーザに印加される駆動電流の変動がなくなり、より安定した球面収差の補償を行なうことができる。
【0026】
第9の発明に係る光ディスク装置は、第6〜8のいずれかの発明の構成に加えて、光ディスクにデータを記録および再生するために、予め定められた条件を満足する電流を半導体レーザに印加することにより、半導体レーザを駆動するための第1の駆動手段と、第1の駆動手段とは異なる条件を満足する電流を半導体レーザに印加することにより、半導体レーザを駆動するための第2の駆動手段とをさらに含む。
【0027】
第9の発明によると、第1の駆動手段は、たとえばデータの再生時および記録時に、半導体レーザに高周波重畳電流を印加し、第2の駆動手段は、球面収差補償時に、半導体レーザに直流バイアス電流のみを印加する。これにより、データの再生時および記録時には、高周波重畳電流の影響によりレーザノイズが低減させることができるとともに、球面収差補償時には戻り光による影響が大きく検知できるためレーザ光の出力値の取得が容易となり、データの記録時および再生時にはレーザノイズを低減しつつ、球面収差補償時にはより容易に球面収差の補償を行なうことができる。
【0028】
第10の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、受光手段は、半導体レーザから出射された光であって、光ディスクのエンボスピットが存在しない領域およびデータの未記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させて光ディスクから反射した光を、受光するための手段を含む。
【0029】
第10の発明によると、光ディスクのエンボスピットが存在しない領域およびデータの未記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させるため、光ディスクからは直流成分のみを含む光が反射される。このため、半導体レーザに入射する戻り光による影響も直流成分のみとなる。その結果、検出するレーザ光の出力値も直流成分のみとすることができる。
【0030】
第11の発明に係る光ディスク装置は、第8の発明の構成に加えて、受光手段は、回転手段による光ディスクの回転を停止させた状態で、光ディスクから反射した光を、受光するための手段を含む。
【0031】
第11の発明によると、光ディスクを回転させることなく、光ディスクの表面の一点のみにレーザ光を集光させる。これにより、光ディスクの表面上の反射率のムラ、表面のゴミ、汚れおよび傷等による反射光量の変動に起因する測定誤差を削除できるので、容易かつ正確に球面収差の補償を行なうことができる。
【0032】
第12の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、受光手段は、半導体レーザから出射された光であって、光ディスクのエンボスピットが存在する領域およびデータの記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させて光ディスクから反射した光を、ピット信号として受光するための手段を含む。
【0033】
第12の発明によると、光ディスクのエンボスピットが存在する領域およびデータの記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させるため、光ディスクからは直流成分と交流成分とを含む光が反射される。このため、半導体レーザに入射する戻り光による影響も直流成分と交流成分とが含まれる。従って検出するレーザ光の出力値にも直流成分と交流成分とが含まれる。ピットによる反射光の変動量をレーザ光出力検出用受光素子により検出し、レーザ受光素子の応答速度に応じて、ピット信号の振幅の平均値や最大値を検出して、球面収差の補償を行なうことができる。
【0034】
第13の発明に係る光ディスク装置は、第8または10の発明の構成に加えて、受光手段は、回転手段により光ディスクを回転させた状態で、光ディスクから反射した光を、受光するための手段を含む。
【0035】
第13の発明によると、光ディスクが回転することにより生じるレーザ光の出力値のばらつきを平均化して、より正確に球面収差の補償を行なうことができる。
【0036】
第14の発明に係る収差補償方法は、入射された光により出射するレーザ光の出力が変動する半導体レーザと、半導体レーザから出射されたレーザ光を光ディスクに集光する対物レンズと、光ディスクを回転するための回転手段と、対物レンズにより集光された光が光ディスクから反射した光を、半導体レーザに戻す光路を形成するための光学手段とを含む光ディスク装置における収差補償方法である。この収差補償方法は、半導体レーザから出射されたレーザ光を受光する受光ステップと、半導体レーザに印加される電流値を検出する検出ステップと、光ディスクに対して、レーザ光に残存するデフォーカス成分を補正する補正ステップと、光ディスクに集光するレーザ光の球面収差量を変化させる球面収差変化ステップと、球面収差量の変化に対応させて、光ディスクからの反射光が半導体レーザに入射することで変動する半導体レーザの複数の出力値を、受光ステップにて検出する、および前記半導体レーザに印加される複数の動作電流値を前記検出ステップにて検出、の少なくともいずれかの検出を実行して、前記球面収差量と、前記検出された出力値および前記動作電流値の少なくとも一方との関係に基づいて、球面収差変化ステップを制御することにより、球面収差を補償する制御ステップとを含む。
【0037】
第14の発明によると、半導体レーザは、入射された光(たとえば、光ディスクからの反射光)により出射するレーザ光の出力値が変動する。半導体レーザからの出力値を一定に保持する場合、半導体レーザに光が入射されているか否かにより、半導体レーザに印加される動作電流が変動する。また、半導体レーザへ印加される動作電流値を一定に保持する場合、半導体レーザに光が入射されているか否かにより、半導体レーザからの出力値が変動する。さらに、光ディスクに集光されるレーザ光に球面収差があると、半導体レーザに入射する戻り光にも球面収差が残存し、半導体レーザの内部に入射する光量が変動する。このため、半導体レーザの動作電流−光出力特性は、球面収差がある時とない時とで変動する。このとき、予め、光ディスクに集光されるレーザ光に残存するデフォーカス成分が補正され、デフォーカスによる光ディスクから半導体レーザに入射される戻り光量の減少の影響が排除されている。そのため、球面収差変化ステップにより球面収差量を種々変化させて、レーザ光の出力値を検出するとともに、半導体レーザの動作電流を検出する。デフォーカス成分が残存しないので、たとえば、レーザ光の出力値が最大になるときや、半導体レーザの動作電流値が最小になるときは、球面収差がなく、焦点距離が合っている状態である。また、レーザ光の出力値と動作電流値との関係に基づいて、球面収差が発生しないように球面収差変化ステップを制御することもできる。これにより、半導体レーザの出力値と動作電流値との関係に基づいて、球面収差変化ステップを制御することにより球面収差を補償することができる。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置における収差補償方法を提供できる。
【0038】
第15の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、予め定められた一定の動作電流値を印加することにより、半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含む。制御ステップは、球面収差量と、駆動ステップにて一定の動作電流値で半導体レーザが駆動される状態で検出された出力値との関係に基づいて、最大の出力値に対応する球面収差量を発生させるように球面収差変化ステップを制御することにより、球面収差を補償するステップを含む。
【0039】
第15の発明によると、半導体レーザに印加する動作電流値を一定として、球面収差の変動により変化する半導体レーザの出力値を検出する。その出力値が最大となるように球面収差補償ステップを制御することにより、球面収差を補償することができる。これにより、この光ディスク装置の収差補償方法によると、HF信号のジッターおよびエラーレートを用いる従来の球面収差補償方法に比べて、光ディスクの傾きや、光ディスク表面のゴミ、傷および汚れがあっても、レーザ光の出力値が最大になる球面収差変化ステップの設定は影響を受けないため正確に球面収差を補償できる。さらに出力値を検出するための回折格子や受光素子を別途追加する必要もないため、コストメリットも大きい。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置の収差補償方法を提供できる。
【0040】
第16の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、予め定められた一定の光出力値を出力するように、半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含む。制御ステップは、球面収差量と、駆動ステップにて一定の光出力値が半導体レーザから出力される状態で検出された動作電流値との関係に基づいて、最小の動作電流値に対応する球面収差量を発生させるように球面収差変化ステップを制御することにより、球面収差を補償するステップを含む。
【0041】
第16の発明によると、半導体レーザから出射される光の出力値を一定として、球面収差の変動により変化する半導体レーザに印加する動作電流値を検出する。この動作電流値が最小となるように球面収差補償ステップを制御することにより、球面収差を補償することができる。これにより、この光ディスク装置の収差補償方法によると、HF信号のジッターおよびエラーレートを用いる従来の球面収差補償方法に比べて、光ディスクの傾きや、光ディスク表面のゴミ、傷および汚れがあっても、半導体レーザの動作電流値が最小になる球面収差変化ステップの設定は影響を受けないため正確に球面収差を補償できる。さらに出力値を検出するための回折格子や受光素子を別途追加する必要もないため、コストメリットも大きい。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置の収差補償方法を提供できる。
【0042】
第17の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、球面収差変化ステップは、コリメートレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるステップを含む。
【0043】
第17の発明によると、光ディスク装置は、半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズをさらに含む。コリメートレンズの位置を移動させて球面収差を除去する場合に、コリメートレンズの位置とレーザ光の出力値とを対応させて検出して、出力値が最大になるコリメートレンズの位置を特定することで、球面収差の補償を行なうことができる。
【0044】
第18の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、球面収差変化ステップは、レンズ群を構成する少なくとも1のレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるステップを含む。
【0045】
第18の発明によると、光ディスク装置は、半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズと、コリメートレンズと対物レンズとの間に設けられた、球面収差を発生させる2以上のレンズから構成されるレンズ群とをさらに含む。 レンズ群のうち少なくとも1のレンズの位置を移動させて球面収差を除去する場合に、移動するレンズの位置とレーザ光の出力値とを対応させて検出して、出力値が最大になるレンズの位置を特定することで球面収差の補償を行なうことができる。
【0046】
第19の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、予め定められた直流バイアス電流を印加することにより、半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含む。
【0047】
第19の発明によると、半導体レーザに直流バイアス電流を印加させて半導体レーザを駆動させることにより半導体レーザから出射されるレーザ光を用いて、球面収差の補償を行なうことができる。
【0048】
第20の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、予め定められた直流バイアス電流に、予め定められた振幅および周期を有する高周波電流を加えた電流を印加することにより、半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含む。
【0049】
第20の発明によると、半導体レーザに直流バイアス電流に高周波電流を加えた電流を印加させて半導体レーザを駆動させることにより半導体レーザから出射されるレーザ光を用いて、球面収差の補償を行なうことができる。このとき、高周波電流を重畳して印加することにより、半導体レーザのレーザノイズの影響を減少させることができ、より正確に球面収差を補償することができる。
【0050】
第21の発明に係る収差補償方法は、第19または20の発明の構成に加えて、直流バイアス電流が予め定められた電流値を維持するように、駆動ステップを制御する電流制御ステップをさらに含む。
【0051】
第21の発明によると、直流バイアス電流が予め定められた電流値を維持するため、半導体レーザの発光による発熱および駆動ステップにおける発熱に基づく半導体レーザに印加される駆動電流の変動がなくなり、より安定した球面収差の補償を行なうことができる。
【0052】
第22の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、受光ステップは、半導体レーザから出射された光であって、光ディスクのエンボスピットが存在しない領域およびデータの未記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させて光ディスクから反射した光を、受光するステップを含む。
【0053】
第22の発明によると、光ディスクのエンボスピットが存在しない領域およびデータの未記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させるため、光ディスクからは直流成分のみを含む光が反射される。このため、半導体レーザに入射する戻り光による影響も直流成分のみとなる。その結果、検出するレーザ光の出力値も直流成分のみとすることができる。
【0054】
第23の発明に係る収差補償方法は、第21の発明の構成に加えて、受光ステップは、回転手段による光ディスクの回転を停止させた状態で、光ディスクから反射した光を、受光するステップを含む。
【0055】
第23の発明によると、光ディスクを回転させることなく、光ディスクの表面の一点のみにレーザ光を集光させる。これにより、光ディスクの表面上の反射率のムラ、表面のゴミ、汚れおよび傷等による反射光量の変動に起因する測定誤差を削除できるので、容易かつ正確に球面収差の補償を行なうことができる。
【0056】
第24の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、受光ステップは、半導体レーザから出射された光であって、光ディスクのエンボスピットが存在する領域およびデータの記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させて光ディスクから反射した光を、ピット信号として受光するステップを含む。
【0057】
第24の発明によると、光ディスクのエンボスピットが存在する領域およびデータの記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させるため、光ディスクからは直流成分と交流成分とを含む光が反射される。このため、半導体レーザに入射する戻り光による影響も直流成分と交流成分とが含まれる。従って検出するレーザ光の出力値にも直流成分と交流成分とが含まれる。ピットによる反射光の変動量をレーザ光出力検出用受光素子により検出し、レーザ受光素子の応答速度に応じて、ピット信号の振幅の平均値や最大値を検出して、球面収差の補償を行なうことができる。
【0058】
第25の発明に係る収差補償方法は、第21または22の発明の構成に加えて、受光ステップは、回転手段により光ディスクを回転させた状態で、光ディスクから反射した光を、受光するステップを含む。
【0059】
第25の発明によると、光ディスクが回転することにより生じるレーザ光の出力値のばらつきを平均化して、より正確に球面収差の補償を行なうことができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0061】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に係る光ディスク装置について説明する。この光ディスク装置は、半導体レーザを含む。この半導体レーザの特性について説明する。
【0062】
半導体レーザは、光ディスクに向けて出射する主出射面と、それに相対する裏面とに反射膜が形成された共振器の構造を有する。このため、内部で発生した光は、主出射面と裏面とにより反射を繰り返して光が増幅し、ある閾値にて発振したレーザ光を出射する。その際に、主出射面の反射率を裏面の反射よりも低くすることで、裏面側からの出射光量に比べて主出射面側からの出射光量が多くすることができる。
【0063】
さらに、半導体レーザから出射される光出力は、閾値以上の範囲で動作電流に比例して大きくなり、光ディスクの再生および記録が可能となる光出力を得ることができる。逆に、主出射面の反射膜の反射率が低いことにより光ディスクからの戻り光の影響も受けやすい。このため、光ディスクにより反射された戻り光の一部が主出射面に入射した場合、主出射面の反射膜により一部は反射され、一部は透過されて半導体レーザ内部に光が侵入し、半導体レーザ内部の光が主出射面と裏面とによる反射が再び繰り返されて増幅される。その結果半導体レーザに印加する動作電流が一定であれば主出射面から出射されるレーザ光が増加する。一方、半導体レーザから出射される光出力が一定であれば半導体レーザに印加する動作電流が減少する。この戻り光による半導体レーザの光出力もしくは動作電流の変動現象は、半導体レーザの構造、共振器長、端面反射率、発振スペクトル、光学系の光路長、および温度等の様々な条件によって変わってくる。発生した半導体レーザの戻り光に対する光出力の変動はレーザノイズとなる。
【0064】
現在、このレーザノイズの対策として、シングルモードスペクトルの半導体レーザでは、高周波重畳電流を印加して、発振スペクトルをマルチモード化することでレーザノイズを低減させる方法が一般的に採用されている。ただし、上記方法でも戻り光による半導体レーザの光出力もしくは動作電流の変動を完全に押さえることは難しい。
【0065】
上述した現象による半導体レーザの特性について、2つの観点からさらに詳しく説明する。
【0066】
まず、光ディスクからの戻り光が半導体レーザに入射される場合について説明する。戻り光の有無による半導体レーザの動作電流Iop−光出力P0特性は、図1(A)に示すようになる。戻り光が有るときの動作電流Iop−光出力P0特性は、戻り光のないときに比べて発振開始電流Ithが小さくなり、かつ発振後のP0/(Iop−Ith)の傾き(微分効率)ηも小さくなる。この特性は、半導体レーザに入射する戻り光量に依存するもので、戻り光量が多くなるほど、発振開始電流Ithと微分効率ηが小さくなり、逆に戻り光量が少なくなるほど、発振開始電流Ithと微分効率ηが大きくなる。
【0067】
ここで、動作電流を一定(I0)としたとき、図1(B)に示すように、半導体レーザの光出力P0は、戻り光がない場合はP1となり、戻り光が一定の直流成分であれば最大値P2となり、また直流成分を最大値とし一定の周期と振幅をもつ交流成分であれば、光出力P2から戻り光と同じ周期で一定の振幅ΔPだけ低くなるような交流成分を含む光出力となり、発振開始電流Ith及び微分効率ηは、それぞれ戻り光量が多くなるほど光出力P1に対する光出力P2が大きくなるような値となる。たとえば、反射率が一様な光ディスクに集光する光スポットに収差成分はなく、光ディスクと対物レンズとの距離をある方向に一律の変化量で移動させていくと、光ディスクからの反射光量、つまり半導体レーザに入射する戻り光量に基づいて、半導体レーザから出射される光出力は、図2に示すようになり、対物レンズと光ディスク間距離が光ディスク上での光スポットが合焦時となるf0の時に光出力は最大となる。さらに戻り光量に交流成分が入れば、図示していないが同時に光出力も交流成分を含むことになる。
【0068】
また、半導体レーザから出射される光出力を一定(P0)としたとき、図1(C)に示すように、半導体レーザの動作電流Iopは、戻り光がない場合はIop1となり、戻り光が一定の直流成分であれば最大値Iop2となる。また直流成分を最大値とし一定の周期と振幅をもつ交流成分であれば、Iop2から戻り光と同じ周期で一定の振幅ΔIopだけ高くなるような交流成分を含む動作電流となる。発振開始電流Ith及び微分効率ηは、それぞれ戻り光量が多くなるほど動作電流Iop1に対する動作電流Iop2が小さくなるような値となる。たとえば、反射率が一様な光ディスクに集光する光スポットに収差成分はなく、光ディスクと対物レンズとの距離を変化させていくと、光ディスクからの反射光量、つまり半導体レーザに入射する戻り光量に基づいて、半導体レーザの動作電流は、図3に示すようになり、対物レンズと光ディスク間距離が光ディスク上での光スポットが合焦時となるf0の時に動作電流は最小となる。さらに戻り光量に交流成分が入れば、図示していないが同時に光出力も交流成分を含むことになる。
【0069】
半導体レーザの動作電流を直流バイアス電流のみとした場合はもちろん、高周波重畳電流でも、条件によっては戻り光に対してレーザノイズの影響が減少した場合でも、現象としては、戻り光のないものに近くになり、同じような特性になる。ただし、半導体レーザの動作電流を、直流バイアス電流のみとした場合でも、高周波重畳電流とした場合でも、光の有無に関わらず光出力も動作電流も変動しない点が一点(Ia、Pa)だけ存在する。この一点(Ia、Pa)から離れるほど、戻り光の有無による光出力もしくは動作電流の変動量が大きくなる。
【0070】
次に、光ディスクに集光するレーザ光に収差が発生している場合について説明する。光ディスクからの反射光があるのと同様に、光ディスクに集光するレーザ光に収差が発生すると、光ディスクからの反射光にも収差成分が残り、半導体レーザに入射する戻り光にも収差成分が残る。半導体レーザに入射する光の収差成分が大きくなるほど、半導体レーザの内部に侵入する光量が少なくなり、その結果主出射面から出射される光出力も変動することになる。つまり、戻り光の有無による半導体レーザの動作電流―光出力特性と同様、戻り光の収差の有無による半導体レーザの動作電流―光出力特性も戻り光有無よりも効果としては小さくなるが同じような傾向の特性である(図4(A))。
【0071】
戻り光に収差が有るときの動作電流Iop−光出力P0特性は、戻り光のないときに比べて発振開始電流Ithが小さくなり、かつ発振後のP0/(Iop−Ith)の傾き(微分効率)ηも小さくなる。この特性は、半導体レーザに入射する戻り光量と同様に戻り光の収差量に依存し、戻り光の収差量が多くなるほど、発振開始電流Ithと微分効率ηが小さくなり、逆に戻り光の収差量が少なくなるほど、発振開始電流Ithと微分効率ηが大きくなる。
【0072】
ここで、動作電流を一定(I0)としたとき、図4(A)に示すように、半導体レーザの光出力P0は、戻り光の収差がない場合はP3となり、戻り光が一定の直流成分であれば最大値P4となり、また直流成分を最大値とし一定の周期と振幅をもつ交流成分であれば、光出力P4から戻り光と同じ周期で一定の振幅ΔPだけ低くなるような交流成分を含む光出力となる。発振開始電流Ith及び微分効率ηは、それぞれ戻り光量が多くなるほど光出力P3に対する光出力P4が大きくなるような値となる。たとえば、反射率が一様な光ディスクに集光する光スポットにデフォーカスはなく、収差発生手段となるレンズ等をある方向に一律の変化量で移動させて収差を発生させていくと、光ディスクからの反射光の収差量、つまり半導体レーザに入射する戻り光の収差量に基づいて、半導体レーザから出射される光出力は図5に示すようになり、光ディスクからの反射光の収差量が最小となる収差発生手段のレンズの位置L0の時に光出力は最大となる。さらに戻り光の収差量に交流成分が入れば、図示していないが同時に光出力も交流成分を含むことになる。
【0073】
また、半導体レーザから出射される光出力を一定(P0)としたとき、図4(C)に示すように、半導体レーザの動作電流Iopは、戻り光の収差がない場合はIop3となり、戻り光の収差量が上記一定の直流成分であれば最大値Iop4となる。また、直流成分を最大値とし一定の周期と振幅をもつ交流成分であれば、Iop4から戻り光と同じ周期で一定の振幅ΔIopだけ高くなるような交流成分を含む動作電流となる。発振開始電流Ith及び微分効率ηは、それぞれ戻り光量が多くなるほど動作電流Iop3に対する動作電流Iop4が小さくなるような値となる。たとえば、反射率が一様な光ディスクに集光する光スポットにデフォーカスはなく、収差発生手段となるレンズ等をある方向に一律の変化量で移動させて収差を発生させていくと、光ディスクからの反射光の収差量、つまり半導体レーザに入射する戻り光の収差量に基づいて、半導体レーザの動作電流は、図6に示すようになり、光ディスクからの反射光の収差量が最小となる収差発生手段のレンズの位置L0の時に動作電流は最小となる。さらに戻り光量に交流成分が入れば、図示していないが同時に動作電流も交流成分を含むことになる。
【0074】
半導体レーザの動作電流を直流バイアス電流のみとした場合はもちろん、高周波重畳電流でも条件によっては戻り光に対してレーザノイズの影響が減少した場合でも、現象としては戻り光の収差のないものに近くはなるが同じような特性となる。ただし、半導体レーザの動作電流を直流バイアス電流のみとした場合でも高周波重畳電流とした場合でも、戻り光の収差の有無に関わらず光出力も動作電流も変動しない点が一点(Ib,Pb)だけ存在する。この一点から離れるほど、戻り光の収差の有無による光出力あるいは動作電流の変動量が大きくなる。
【0075】
本実施の形態における光ディスク装置は、このような半導体レーザの特性を利用したものである。半導体レーザの動作電流もしくは光出力を一定とし、光ディスクに対して集光レンズによりレーザ光を合焦した後、収差を変動させる手段を用いて光ディスクに集光するレーザ光に収差を発生させる。その収差量を可変させることで、半導体レーザに入射するレーザ光の収差量を変動させ、その結果半導体レーザから出射される光出力もしくは半導体レーザの動作電流が変動する。その光出力もしくは動作電流の変動量を、収差の変動量もしくは収差に対応する収差変動手段の設定値の変動量に対応してモニターし、光出力の変動量が最大となるように、もしくは動作電流の変動量が最小になるように、収差の変動量もしくは収差に対応する収差変動手段を設定することで、光ディスクに集光するレーザ光の収差を最小にすることができる。
【0076】
図4に、本実施の形態に係る光ディスク装置内に搭載された光ピックアップ装置100の構成図を示す。この光ディスク装置は、半導体レーザの動作電流を予め定められた一定の電流値に制御して、コリメートレンズ104を光軸に平行な方向に移動させて、光ディスク112に集光されたレーザ光に発生する球面収差を補償する。
【0077】
図7に示した光ピックアップ装置100は、半導体レーザ102と、半導体レーザ102から出射されたレーザ光を平行な光にするためのコリメートレンズ104と、平行な光を光ディスク112に集光する対物レンズ110と、平行な光をP偏光とS偏光に分離する偏光ビームスプリッター106(以下、「PBS」と略す。)と、半導体レーザ102より出射された光をPBS106より分離された直線偏光を円偏光にする1/4波長板108と、往路においてPBS106より分離された偏光光を電気信号に変換するレーザ光出力検出用受光素子120と、光ディスク112の再生記録面112Aにより反射された光信号を検出する信号検出用受光素子118と、信号検出用受光素子118に光を集光させるための集光レンズ114と、集光レンズ114により集光される光に非点収差を発生させるシリンドリカルレンズ116とを含む。
【0078】
信号検出用受光素子118の形状は、サーボ信号の検出方法により様々な提案ができるが、ここでは説明を簡略化するために、たとえば1ビーム方式を使用できる4分割形状を採用すると想定する。この4分割受光素子の出力信号の演算で、非点収差法によりフォーカスエラー信号を、プッシュプル法によりトラッキングエラー信号を、総和でトータル信号を検出できる。
【0079】
従来は、PBS106により分離された直線偏光の偏光方向に対して、1/4波長板108の結晶軸を45°傾けることで円偏光にして、光ディスク112からの反射光を半導体レーザ102に戻さない構造であった。
【0080】
しかし、本実施の形態に係る光ディスク装置においては、光ディスク112からの反射光の一部を半導体レーザ102に入射させる必要がある。このため、PBS106より分離された直線偏光の偏光方向に対して、1/4波長板108の結晶軸の回転を45°からずらす。これにより、両偏光成分が等しくない大きさの偏光光を通すことで、光ディスク112からの反射光をPBS106で分離した復路光に偏光成分を残し、半導体レーザ102に光ディスク112からの反射光を入射させることができる。もしくは、1/4波長板108の結晶軸方向を1/4波長板108に入射する直線偏光の偏光方向に対して45°のままにして、PBS106の偏光の透過率および反射率の設定を、それぞれ100%から低く設定する。これにより、光ディスク112からの反射光をPBS106で分離した復路光に偏光成分を残し、半導体レーザ102に光ディスク112からの反射光を入射させることができる。本実施の形態に係る光ディスク装置は、このような光学系により、半導体レーザ102に入射する戻り光の球面収差による動作電流−光出力特性の変動の現象を発生させ、球面収差を補償する。
【0081】
半導体レーザ102より出射された往路光のうち、PBS106により反射された直線偏光光をレーザ光出力検出用受光素子120にて受光し、光ディスク112からの反射光の一部を半導体レーザ102に入射させることで、半導体レーザ102の動作電流−光出力特性の変動を確認することができる。
【0082】
図8に、本実施の形態に係る光ディスク装置のブロック図を示す。このブロック図は、図7の光ピックアップ装置100と、光ピックアップ装置100に搭載され、対物レンズ110の位置をフォーカス方向およびトラッキング方向に動かす対物レンズ駆動アクチュエータ200と、対物レンズ駆動アクチュエータ200に電流を印加するアクチュエータ駆動回路302と、半導体レーザ102を駆動させるレーザ駆動回路300と、レーザ受光素子120から得られた光出力信号を増幅させる光出力信号処理回路314と、信号検出用受光素子118から得られた信号を増幅および演算してフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号のサーボ信号を生成するサーボ信号生成回路304と、サーボ信号生成回路304で生成されたフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路306Bと、トラッキングエラー信号に基づいてトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路306Aと、フォーカスエラー信号に直流成分のフォーカスバイアスを印加し対物レンズ110の位置を光軸と平行な方向に移動させるフォーカスバイアス回路308と、コリメートレンズ104の位置を光軸に平行な方向に移動させるコリメートレンズ駆動アクチュエータ202と、コリメートレンズ駆動アクチュエータ202を電気信号にて駆動させるコリメートレンズ駆動回路316と、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号と光出力信号処理回路314から出力される光出力信号とをサンプル情報として対応させて記憶するメモリ回路310と、サンプル情報によりコリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号を制御する制御回路312と、デフォーカス検出回路(図示しない)とを含む。
【0083】
制御回路312は、取得したサンプルについての情報に基づいて、この光ディスク装置の全体を制御するとともに、光軸に平行な方向におけるコリメートレンズ104の位置を制御する。
【0084】
以下の説明においては、レーザ駆動回路300は、半導体レーザの発光による発熱による駆動電流の変化がなく、常に一定の直流バイアス電流を半導体レーザ102に印加するACC(Auto current Control)回路について述べるが、本発明はこれに限定されない。発熱による影響が少ない領域であればACC方式にする必要はなく、例えば熱が伝わらない程極めて短時間で所定電流を印加する方式等でもよい。また、記録対応の光ディスク装置で一般的に使用されている所定の直流バイアス電流に所定の振幅と周期の交流成分をもつ高周波電流を印加した高周波重畳電流を半導体レーザ102に印加しても構わない。ただし、再生および記録時と球面収差補償時との半導体レーザの駆動方式を統一することで部品点数を低減させることができるが、戻り光の影響も同時に低減されることに注意する必要がある。
【0085】
図9を参照して、本実施の形態に係る光ディスク装置の制御回路312で実行される処理の制御構造をフローチャートを用いて説明する。
【0086】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、制御回路312は、半導体レーザ102を点灯させる。S102にて、制御回路312は、光ディスク112を予め定められた回転数で回転させる。S104にて、制御回路312は、対物レンズ110から出射されるレーザ光が、光ディスク112の予め定められたマーク長のエンボスピットからなるピット領域に集光する位置に、光ピックアップ装置100を移動させる。
【0087】
このエンボスピットには、様々なものがあるが、たとえばアドレス信号として2T信号および3T信号のような短いマーク長の信号を組み合わせたものを用いる。このように構成されたピット領域で、この2T信号もしくは3T信号の直流成分の信号をレーザ光出力検出用受光素子120を通って光出力信号処理回路314が抽出することで、サンプル情報の光出力信号とすることができる。このとき、レーザ光出力検出用受光素子120もしくは光出力信号処理回路314の応答周波数を、再生される2T信号および3T信号の周波数よりも極めて低くすることにより、平均化された光出力信号を検出して、サンプル情報の光出力信号を得る方法がある。
【0088】
S106にて、制御回路312は、光ディスク112のピット領域にレーザ光の焦点が追従するようにフォーカスサーボをかける。S108にて、制御回路312は、デフォーカスを検出する。S110にて、制御回路312は、フォーカスバイアス回路308を用いてフォーカスサーボ回路306Bにフォーカスバイアスを印加してデフォーカスを補正する。
【0089】
このS108のデフォーカスの検出とS110のデフォーカスの補正には、様々な方法がある。たとえば、サーボ信号生成回路304から生成されたトラッキングエラー信号の信号振幅をモニターし、トラッキングエラー信号振幅とフォーカスバイアスとを対応させ、トラッキングエラー信号振幅が最大となるフォーカスバイアスを求めることでデフォーカスを検出できる。フォーカスバイアス回路308を用いて、そのフォーカスバイアスをフォーカスサーボ回路306Bに印加することでデフォーカスを補正できる。
【0090】
S112にて、制御回路312は、変数Nを初期化(N=0)する。S114にて、制御回路312は、変数Mを初期化(M=0)する。S116にて、制御回路312は、レーザ光出力検出用受光素子120を用いて、光出力信号P(M)を検出する。S118にて、制御回路312は、コリメートレンズ104の位置に対応したコリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号C(N)を検知して、これらを対応させて、メモリ回路310に(C(N)、P(M))を記憶する。
【0091】
S120にて、制御回路312は、変数Mに1を加算する。S122にて、制御回路312は、変数Mと定数Jとが等しいか否かを判断する。変数Mと定数Jとが等しいと(S122にてYES)、処理はS124へ移される。もしそうでないと(S122にてNO)、処理はS116へ戻され、次のMについての処理が、M=Jを満足するまで実行される。その結果、メモリ回路310には、J組のデータ(C(0)、P(0))〜(C(0)、P(J−1))が記憶される。
【0092】
S124にて、制御回路312は、P(0)〜P(J−1)のJ個の光出力信号の平均値P(N)を算出する。S126にて、制御回路312は、メモリ回路310に、サンプル情報として(C(N)、P(N))を記憶する。S128にて、制御回路312は、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号をβだけ追加で印加してコリメートレンズ104の位置を移動させる。
【0093】
S130にて、制御回路312は、変数Nに1を加算する。S132にて、制御回路312は、変数Nが定数K以上であるか否かを判断する。変数Nが定数K以上であると(S132にてYES)、処理はS134へ移される。もしそうでないと(S132にてNO)、処理はS114へ戻され、次のNについての処理がN≧Kを満足するまで実行される。その結果、メモリ回路310には、少なくともK組のサンプル情報(C(0)、P(0))〜(C(K−1)、P(K−1))が記憶される。このサンプル情報は、半導体レーザ102の出力値と動作電流値とコリメートレンズ104の位置に基づいて発生する球面収差量との関係であって、動作電流が一定の場合である。
【0094】
S134にて、制御回路312は、K組のサンプル情報(C(0)、P(0))〜(C(K−1)、P(K−1))に基づいて、最大の光出力信号Pmaxを特定する。S136にて、制御回路312は、最大の光出力信号Pmaxが特定できたか否かを判断する。最大の光出力信号Pmaxが特定できると(S136にてYES)、処理はS138へ移される。もしそうでないと(S136にてNO)、処理はS128へ戻され、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号をさらにβだけ追加で印加してコリメートレンズ104の位置を移動させて、最大の光出力信号Pmaxを特定する。
【0095】
S138にて、制御回路312は、最大の光出力信号Pmaxに対応するサンプル情報(Ca、Pa)を特定する。この特定されたCaを用いて、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号を決定して、コリメートレンズ104の位置を設定する。これにより、球面収差が最小になる。
【0096】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る光ディスク装置の動作について説明する。
【0097】
光ディスク112を光ディスク装置にセットして、半導体レーザ102を点灯させて(S100)、光ディスク112を回転させる(S102)。光ピックアップ装置100を移動させる(S104)。このとき、対物レンズ110から出射されるレーザ光が、光ディスク112の予め定められたマーク長のエンボスピットからなるピット領域に集光する。
【0098】
光ディスク112のピット領域にレーザ光の焦点が追従するようにフォーカスサーボがかけられ(S106)、デフォーカスが検出される(S108)。フォーカスバイアス回路308を用いてフォーカスサーボ回路306Bにフォーカスバイアスが印加されてデフォーカスが補正される(S110)。
【0099】
レーザ光出力検出用受光素子120を用いて、光出力信号P(0)が検出され(S116)、コリメートレンズ104の位置に対応したコリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号C(0)に対応させて、メモリ回路310に(C(0)、P(0))が記憶される(S118)。このような動作が、コリメートレンズ104を固定した状態で(J−1)回だけ繰返して行なわれる。この結果、メモリ回路310には、J組のデータ(C(0)、P(0))〜(C(0)、P(J−1))が記憶される。P(0)〜P(J−1)のJ個の光出力信号の平均値P(0)が算出され(S124)、メモリ回路310に、サンプル情報として(C(0)、P(0))が記憶される(S126)。
【0100】
なお、このS126においてメモリ回路310に記憶される(C(0)、P(0))と、S118においてメモリ回路310に記憶される(C(0)、P(0))とは、S126においてメモリ回路310に記憶されるP(0)が平均値である点で、異なるものである。
【0101】
コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号をβだけ追加で印加してコリメートレンズ104の位置を移動させて(S128)、S114〜S126までの動作が行なわれる。このような動作が、コリメートレンズ104を電気信号βに対応する分だけ移動させながら(K−1)回だけ繰返して行なわれる。この結果、メモリ回路310には、K組のサンプル情報(C(0)、P(0))〜(C(K−1)、P(K−1))が記憶される。このとき、コリメートレンズ104の位置に対して、図10に示すような半導体レーザ102の光出力信号が得られる。
【0102】
K組のサンプル情報(C(0)、P(0))〜(C(K−1)、P(K−1))に基づいて、最大の光出力信号Pmaxが特定されると(S136にてYES)、最大の光出力信号Pmaxに対応するサンプル情報(Ca、Pa)が特定される(S138)。この特定されたCaを用いて、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号を決定して、コリメートレンズ104の位置を設定する。これにより、球面収差が最小になる。
【0103】
以上のようにして、本実施の形態に係る光ディスク装置によると、光ディスクからの反射光が最も多く半導体レーザに入射される条件は、光ディスクと集光レンズとの焦点距離が合っている時であって、光ディスクに集光されるレーザ光の球面収差が最小のときである。コリメートレンズを光軸に平行な方向に移動させて、レーザ光の出力値を検知する。レーザ光の出力値が最大になるように、コリメートレンズの位置を特定する。この位置にコリメートレンズを設定することにより、球面収差を補償することができる。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置およびその光ディスクを用いた収差補償方法を提供することができる。
【0104】
<第1の実施の形態 変形例>
上述したフローチャートにおいては、同じコリメートレンズ104の位置で何点かサンプル情報を測定して、その平均値をそのコリメートレンズ104の位置でのサンプル情報とすることで安定して球面収差を補償するが、本発明はこれに限定されない。サンプル取得数を減らすことにより、補償に要する時間の短縮を図ることも可能である。このとき、サンプル数を1としてもよい。
【0105】
また、上述したフローチャートにおいては、エンボスピットによる光出力信号の直流成分のみを抽出してサンプル情報の光出力信号としたが、本発明はこれに限定されない。エンボスピットによる光出力信号の振幅成分、さらには直流成分と振幅成分を加算した最大値をサンプル情報の光出力信号として、球面収差補償を行なうことも可能である。ただし、レーザ光出力検出用受光素子120および光出力信号処理回路314の応答周波数の値を検出したいピット信号の周波数に併せて考慮する必要がある。
【0106】
また、上述したフローチャートにおいては、光ディスク112のエンボスピット領域を用いたが、本発明はこれに限定されない。光ディスク112の再生および記録領域でのピット信号を用いても、球面収差を補償することができる。さらに、光ディスクのミラー領域や再生記録領域の未記録領域等のピットのない領域を用いても球面収差補償は可能である。この場合、球面収差補償信号となる光出力信号は直流成分のみとなる。特にミラー面であればディスクの回転の必要もなくなり、光ディスクの傾きや表面のゴミ、汚れ、傷等の影響もないため、データを複数とって平均化する必要もなく、容易に球面収差を補償することができる。
【0107】
このような変形例によっても、第1の実施の形態に係る光ディスク装置およびその装置を用いた収差補償方法と同様の効果を実現できる。
【0108】
<第2の実施の形態>
以下に、本発明の第2の実施の形態に係る光ディスク装置について説明する。本実施の形態に係る光ディスク装置は、前述の第1の実施の形態に係る光ディスク装置がコリメートレンズを光軸に平行な方向に移動させて球面収差を補償していたことに対して、対物レンズ110とコリメートレンズ104との間に少なくとも2枚のレンズからなる球面収差補償用レンズ群を設置して、半導体レーザの動作電流を予め定められた一定の電流値に制御して、そのレンズ群の中の1枚の補償レンズを光軸方向に移動させて球面収差を補償する。
【0109】
図11に、本実施の形態に係る光ディスク装置のブロック図を示す。この光ディスク装置は、光ディスク112に集光されたレーザ光に発生する球面収差を、2枚の球面収差補正用レンズ群400のレンズ間距離を変えることで、球面収差を発生させ、結果的に光ディスク112の再生記録面112Aにて発生した球面収差を補償する。なお、図11に示すブロック図の中で、前述の図8に示したブロック図と同じブロックについては同じ参照符号を付してある。それらのブロックの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0110】
図11に示した光ディスク装置のブロック図は、図8に示した光ディスク装置のブロック図に、球面収差補償レンズ群400と、この球面収差補償レンズ群400のうち1枚のレンズの位置を光軸に平行な方向に移動させる補償レンズ駆動アクチュエータ402と、補償レンズ駆動アクチュエータ402を電気信号にて駆動させる補償レンズ駆動回路500とを追加したものである。
【0111】
この光ディスク装置は、補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号と光出力信号処理回路314から出力される光出力信号とをサンプル情報として対応させてメモリ回路310に記憶して、記憶されたサンプル情報に基づいて補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号を制御回路312により制御して、球面収差補償レンズ群400の位置を制御する。
【0112】
図12を参照して、本実施の形態に係る光ディスク装置の制御回路312で実行される処理の制御構造をフローチャートを用いて説明する。なお、図12に示すフローチャートの中で前述の図9に示したフローチャートと同じ処理については、同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがってそれらについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
【0113】
S116にて、制御回路312は、レーザ光出力検出用受光素子120を用いて、光出力信号P(M)を検出する。S200にて、制御回路312は、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置に対応した補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号B(N)を検知して、これらを対応させて、メモリ回路310に(B(N)、P(M))を記憶する。
【0114】
S124にて、制御回路312は、P(0)〜P(J−1)のJ個の光出力信号の平均値P(N)を算出する。S202にて、制御回路312は、メモリ回路310に、サンプル情報として(B(N)、P(N))を記憶する。S204にて、制御回路312は、補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号をγだけ追加で印加して球面収差補償レンズ群400の中の1のレンズの位置を光軸と平行な方向に移動させる。
【0115】
S206にて、制御回路312は、K組のサンプル情報(B(0)、P(0))〜(B(K−1)、P(K−1))に基づいて、最大の光出力信号Pmaxを特定する。
【0116】
S208にて、制御回路312は、最大の光出力信号Pmaxに対応するサンプル情報(Ba、Pa)を特定する。この特定されたBaを用いて、補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号を決定して、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置を設定する。これにより、球面収差が最小になる。
【0117】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る光ディスク装置の動作について説明する。
【0118】
光ディスク112を光ディスク装置にセットして、半導体レーザ102を点灯させて(S100)、光ディスク112を回転させる(S102)。光ピックアップ装置100を移動させる(S104)。このとき、対物レンズ110から出射されるレーザ光が、光ディスク112の予め定められたマーク長のエンボスピットからなるピット領域に集光する。
【0119】
光ディスク112のピット領域にレーザ光の焦点が追従するようにフォーカスサーボがかけられ(S106)、デフォーカスが検出される(S108)。フォーカスバイアス回路308を用いてフォーカスサーボ回路306Bにフォーカスバイアスが印加されてデフォーカスが補正される(S110)。
【0120】
レーザ光出力検出用受光素子120を用いて、光出力信号P(0)が検出され(S116)、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置に対応した補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号B(0)に対応させて、メモリ回路310に(B(0)、P(0))が記憶される(S200)。このような動作が、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズを固定した状態で(J−1)回だけ繰返して行なわれる。この結果、メモリ回路310には、J組のデータ(B(0)、P(0))〜(B(0)、P(J−1))が記憶される。P(0)〜P(J−1)のJ個の光出力信号の平均値P(0)が算出され(S124)、メモリ回路310に、サンプル情報として(B(0)、P(0))が記憶される(S202)。
【0121】
なお、このS202においてメモリ回路310に記憶される(C(0)、P(0))と、S200においてメモリ回路310に記憶される(C(0)、P(0))とは、S202においてメモリ回路310に記憶されるP(0)が平均値である点で、異なるものである。
【0122】
補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号をγだけ追加で印加して球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置を移動させて(S204)、S114〜S202までの動作が行なわれる。このような動作が、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズを電気信号γに対応する分だけ移動させながら(K−1)回だけ繰返して行なわれる。この結果、メモリ回路310には、K組のサンプル情報(B(0)、P(0))〜(B(K−1)、P(K−1))が記憶される。このサンプル情報は、半導体レーザ102の出力値と動作電流値と球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置に基づいて発生する球面収差量との関係であって、動作電流が一定の場合である。このとき、補償レンズの位置に対して、図13に示すような半導体レーザ102の光出力信号が得られる。
【0123】
K組のサンプル情報(B(0)、P(0))〜(B(K−1)、P(K−1))に基づいて、最大の光出力信号Pmaxが特定されると(S136にてYES)、最大の光出力信号Pmaxに対応するサンプル情報(Ba、Pa)が特定される(S206)。この特定されたCaを用いて、補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号を決定して、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置を設定する。これにより、球面収差が最小になる。
【0124】
以上のようにして、本実施の形態に係る光ディスク装置によると、光ディスクからの反射光が最も多く半導体レーザに入射される条件は、光ディスクと集光レンズとの焦点距離が合っている時であって、光ディスクに集光されるレーザ光の球面収差が最小のときである。レーザ光の出力値が最大になるように、球面収差補償レンズ群のうち移動させるレンズの位置を特定する。この位置に球面収差補償レンズ群のうち移動させるレンズを設定することにより、球面収差を補償することができる。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置およびその光ディスクを用いた収差補償方法を提供することができる。
【0125】
<第2の実施の形態 変形例>
本実施の形態に係る光ディスク装置は、半導体レーザと信号検出用受光素子とを独立して配置して球面収差補償手段を構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、半導体レーザと信号検出用受光素子が一体型になった光集積ユニット等でも他構成の光学系であっても、光ディスクからの反射光の一部が半導体レーザに戻る光路さえ構成している光学系であれば、本発明を適用することは可能である。また、光ディスク表面の透明基板厚の異なる光ディスクを1台の光ディスク装置で再生および記録をする場合でも同様に適用可能となる。
【0126】
さらに、本実施の形態に係る光ディスク装置も、前述の第1の実施の形態の変形例と同様の変形例があり、このような変形例によっても、第2の実施の形態に係る光ディスク装置およびその装置を用いた収差補償方法と同様の効果を実現できる。
【0127】
<第3の実施の形態>
以下に、本発明の第3の実施の形態に係る光ディスク装置について説明する。本実施の形態に係る光ディスク装置は、前述の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る光ディスク装置が半導体レーザの動作電流を予め定められた一定の電流値に制御して、球面収差を補償していたことに対して、半導体レーザの光出力値を予め定められた一定の出力値に制御して、コリメートレンズを光軸に平行な方向に移動させて球面収差を補償する。
【0128】
図14に、本実施の形態に係る光ディスク装置のブロック図を示す。この光ディスク装置は、光ディスク112に集光されたレーザ光に発生する球面収差を、半導体レーザの光出力値を予め定められた一定の出力値に制御した状態で、コリメートレンズ104を光軸に平行な方向に移動させることで球面収差を発生させ、結果的に光ディスク112の再生記録面112Aにて発生した球面収差を補償する。なお、図14に示すブロック図の中で、前述の図8に示したブロック図と同じブロックについては同じ参照符号を付してある。それらのブロックの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0129】
図14に示した光ディスク装置のブロック図は、図8に示した光ディスク装置のブロック図のレーザ駆動回路300を、その機能が異なるレーザ駆動回路301に代えたものである。さらに、本実施の形態に係る光ディスク装置のブロック図は、図8に示した光ディスク装置のブロック図に、光出力制御回路303を追加し、光出力信号処理回路314を削除したものである。
【0130】
レーザ駆動回路301は、発熱による駆動電流の変化がなく、常に一定の光出力となるように直流バイアス電流を半導体レーザに印加するAPC(Auto PowerControl)方式を採用した。また、記録対応の光ディスク装置で一般的に使用されている所定の直流バイアス電流に所定の振幅と周期の交流成分をもつ高周波電流を印加した高周波重畳電流を半導体レーザ102に印加しても構わない。ただし、再生および記録時と球面収差補償時との半導体レーザの駆動方式を統一することで部品点数を低減させることができるが、戻り光の影響も同時に低減されることに注意する必要がある。
【0131】
光出力制御回路303は、半導体レーザ102から出力される光出力値を一定にするために、レーザ光出力検出用受光素子120から得られた光出力値が一定の信号になるように制御する。光出力制御回路303は、半導体レーザ102へ供給される動作電流値を出力する。
【0132】
図15を参照して、本実施の形態に係る光ディスク装置の制御回路312で実行される処理の制御構造をフローチャートを用いて説明する。なお、図15に示すフローチャートの中で前述の図9に示したフローチャートと同じ処理については、同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがってそれらについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
【0133】
S300にて、制御回路312は、対物レンズ110から出射されるレーザ光が、光ディスク112のピットのないミラー領域に集光する位置に、光ピックアップ装置100を移動させる。このミラー領域においては、直流成分のみの光信号をレーザ光出力検出用受光素子を検出することができる。
【0134】
S302にて、制御回路312は、コリメートレンズ駆動アクチュエータ202に印加する電気信号を揺動させることで(たとえば後述するように、電気信号をβずつ増加させることで)、コリメートレンズ104を揺動させ、光ディスク112のミラー面に集光する光スポットに発生する球面収差を変動させる。
【0135】
S304にて、制御回路312は、半導体レーザ102の動作電流I(N)を、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号C(N)と対応させて、メモリ回路310にサンプル情報(C(N)、I(N))として記憶する。このサンプル情報は、半導体レーザ102の出力値と動作電流値とコリメートレンズ104の位置に基づいて発生する球面収差量との関係であって、出力値が一定の場合である。
【0136】
S306にて、制御回路312は、K組のサンプル情報(C(0)、I(0))〜(C(K−1)、I(K−1))に基づいて、最小の動作電流Iminを特定する。この方法は様々あるが、たとえば山登り法等により最小値Iminを求めることができる。
【0137】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る光ディスク装置の動作について説明する。
【0138】
光ディスク112を光ディスク装置にセットして、半導体レーザ102を点灯させて(S100)、光ディスク112を回転させず、光ピックアップ装置100を移動させる(S300)。このとき、対物レンズ110から出射されるレーザ光が、光ディスク112のミラー領域に集光する。
【0139】
光ディスク112のミラー領域にレーザ光の焦点が追従するようにフォーカスサーボがかけられ(S106)、デフォーカスが検出される(S108)。フォーカスバイアス回路308を用いてフォーカスサーボ回路306Bにフォーカスバイアスが印加されてデフォーカスが補正される(S110)。
【0140】
レーザ駆動回路301を用いて、動作電流I(0)が検出され(S302)、コリメートレンズ104の位置に対応したコリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号C(0)に対応させて、メモリ回路310に(C(0)、I(0))が記憶される(S304)。
【0141】
コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号をβだけ追加で印加してコリメートレンズ104の位置を移動させて(S128)、S302〜S130までの動作が行なわれる。このような動作が、コリメートレンズ104を電気信号βに対応する分だけ移動させながら(K−1)回だけ繰返して行なわれる。この結果、メモリ回路310には、K組のサンプル情報(C(0)、I(0))〜(C(K−1)、I(K−1))が記憶される。このとき、コリメートレンズ104の位置および半導体レーザの動作電流に対して、図16に示すような半導体レーザ102の波形が得られる。
【0142】
K組のサンプル情報(C(0)、I(0))〜(C(K−1)、I(K−1))に基づいて、最小の光動作電流Iminが特定されると(S306)、最小の動作電流Iminに対応するサンプル情報(Ca、Imin)が特定される(S138)。この特定されたCaを用いて、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号を決定して、コリメートレンズ104の位置を設定する。これにより、球面収差が最小になる。このときの状態を図16に示す。
【0143】
以上のようにして、本実施の形態に係る光ディスク装置によると、レーザ駆動回路を用いて、半導体レーザからの光出力値が予め定められた一定値になるように制御する。この状態において、コリメートレンズを光軸に平行な方向に移動させて、レーザ駆動回路を用いて動作電流の最低値を検出する。また、コリメート駆動回路を用いて、そのときのコリメートレンズ位置を検知する。この位置にコリメートレンズを設定することにより、球面収差を補償することができる。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置およびその光ディスクを用いた収差補償方法を提供することができる。
【0144】
<第3の実施の形態 変形例>
本実施の形態に係る光ディスク装置は、コリメートレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差を補償するようにしたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第2の実施の形態のように、対物レンズ110とコリメートレンズ104との間に少なくとも2枚のレンズからなる球面収差補償用レンズ群を設置して、半導体レーザの光出力値を予め定められた一定の値に制御して、そのレンズ群の中の1枚の補償レンズを光軸方向に移動させて球面収差を補償するようにしてもよい。
【0145】
また、本実施の形態に係る光ディスク装置においては、光ディスクのミラー領域における動作電流信号の直流成分のみを抽出してサンプル情報としたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ミラー領域ではなくエンボスピット領域ではあってもよい。この場合、図20に示した正弦波形がさらにエンボスピット信号の周波数に対応してエンベロープを含むことになる。このとき、ピット信号の周波数を考慮にいれてサンプル情報を取得することが可能であるので、球面収差を補償することができる。
【0146】
<第4の実施の形態>
以下に、本発明の第4の実施の形態に係る光ディスク装置について説明する。本実施の形態に係る光ディスク装置は、前述の第1の実施の形態に係る光ディスク装置と第3の実施の形態に係る光ディスク装置とを組み合わせて、半導体レーザ装置の動作電流値−光出力値との関係を算出して、その関係に基づいて球面収差を補償する。
【0147】
本実施の形態に係る光ディスク装置は、半導体レーザの動作電流を予め定められた一定の電流値に制御して、球面収差と光出力値との関係を算出するとともに、半導体レーザの光出力を予め定められた一定の値に制御して、球面収差と動作電流との関係を算出する。算出された2つの関係に基づいて、球面収差を変化させたときの、半導体レーザ装置の動作電流−光出力特性を決定する。光ディスク装置は、決定された半導体レーザ装置の動作電流−光出力特性に基づいて、光ディスク装置は、球面収差が最小になるように、動作電流−光出力特性に基づいて算出されたコリメートレンズの位置を制御することにより、球面収差を補償する。
【0148】
本実施の形態に係る光ディスク装置によると、半導体レーザ装置の動作電流を一定にして算出した光出力特性と、半導体レーザ装置の光出力を一定にして算出した動作電流特性とに基づき、球面収差を補償することができる。
【0149】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体レーザの動作電流と光出力との関係を示す図(その1)である。
【図2】集光レンズおよび光ディスクの距離と半導体レーザの光出力との関係を示す図(その1)である。
【図3】集光レンズおよび光ディスクの距離と半導体レーザの動作電流との関係を示す図(その1)である。
【図4】半導体レーザの動作電流と光出力との関係を示す図(その2)である。
【図5】集光レンズおよび光ディスクの距離と半導体レーザの光出力との関係を示す図(その2)である。
【図6】集光レンズおよび光ディスクの距離と半導体レーザの動作電流との関係を示す図(その2)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る光ディスク装置に搭載されている光ピックアップ装置の光学系のブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る光ディスク装置において実行されるプログラムのフローチャートである。
【図10】コリメートレンズの位置を移動させたときの半導体レーザの光出力信号特性を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る光ディスク装置において実行されるプログラムのフローチャートである。
【図13】球面収差補償レンズの位置を移動させたときの半導体レーザの光出力信号特性を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る光ディスク装置において実行されるプログラムのフローチャートである。
【図16】コリメートレンズの位置を移動させたときの半導体レーザの動作電流信号特性を示す図である。
【符号の説明】
100 光ピックアップ装置、102 半導体レーザ、104 コリメートレンズ、106 偏光ビームスプリッター、108 1/4波長板、110 対物レンズ、112 光ディスク、112A 再生記録面、112B 透明基板、114 集光レンズ、116 シリンドリカルレンズ、118 信号検出用受光素子、120 レーザ光出力検出用受光素子、200 対物レンズ駆動アクチュエータ、202 コリメートレンズ駆動アクチュエータ、300、301 レーザ駆動回路、302 アクチュエータ駆動回路、304 サーボ信号生成回路、306 サーボ信号処理回路、306A トラッキングサーボ回路、306B フォーカスサーボ回路、308 フォーカスバイアス回路、310 メモリ回路、312 制御回路、314 光出力信号処理回路、316 コリメートレンズ駆動回路、400 球面収差補償レンズ群、402 補償レンズ可動アクチュエータ、500 補償レンズ駆動回路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクを再生および記録する光ディスク装置に関し、特に光ディスク装置において発生する収差を補償する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ディスクに記憶されるデータの高密度化および大容量化に伴い、光ディスク上に集光する光スポットを小さくする必要がある。このために、半導体レーザの短波長化および対物レンズの高NA(開口数)化がより一層求められている。従来のCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)程度の記録密度の光ディスクにおいては、光ディスク表面の保護層となる透明基板の厚み誤差で生じる球面収差は無視できる程小さいため、従来の対物レンズのNAで光ディスクの再生記録層に十分小さく集光できていた。DVDではこの対物レンズのNAが約0.60であったのに対して、近年では、対物レンズのNAが約0.85も必要な高密度光ディスクが開発されている。このように対物レンズの高NA化が進むと、光ディスク表面の透明基板の厚み誤差により生じる球面収差を無視することができなくなる。
【0003】
現在、この透明基板の厚みのばらつきにより発生する球面収差を補償する技術が提案されている。特開平10−106012号公報は、温度変化によるレンズ球面収差を補正する光ディスク装置を開示する。この公報に開示された光ディスク装置は、レーザ光源と、レーザ光源よりの出射光を対物レンズに導くカップリングレンズと、光ディスクの透明基板を通して光ディスクの情報記録面上に光スポットとして集光させる対物レンズと、情報記録面からの反射光を受光して信号を出力する光検出器と、レーザ光源およびカップリングレンズのうちの少なくとも一方を光軸方向に駆動する駆動回路と、光検出器の出力信号から光ディスクの種類を判定して、判定結果に応じて予め設定された位置まで駆動回路を駆動させて、駆動後の光検出器の出力信号に基づいて対物レンズの球面収差を補正するように駆動回路を駆動する制御回路とを含む。制御回路は、光検出器の出力信号から得られるHF信号レベル、HF信号ジッタ、エラーレートのうち、HF信号レベルが最大となるように、またはHF信号ジッタもしくはエラーレートが最小となるように、レーザ光源およびカップリングレンズのうちの少なくとも一方を光軸方向に駆動する回路を含む。
【0004】
この公報に開示された光ディスク装置によると、光検出器の出力信号をモニタして得られた、HF信号レベル、HF信号ジッタ、エラーレートに基づいて、レーザ光源およびカップリングレンズのうちの少なくとも一方を光軸方向に駆動して、温度変化によって発生するレンズ球面収差が補正することができる。
【0005】
また、特開2000−182254公報は、記録/未記録ディスクに関わらず、その透過基板の厚さ誤差による球面収差を補正するピックアップ装置を開示する。この公報に開示されたピックアップ装置は、記録面上を透過基板で覆われた光ディスクに対して情報の書込みおよび読取りを行なう。このピックアップ装置は、光ビームを第1の所定開口数の対物レンズを介して記録面に照射し、記録面からの反射光を対物レンズを介して得る反射光抽出回路と、反射光抽出回路から得られた反射光のうち、第1の所定開口数より小なる第2の所定開口数以下の部分のみを介して照射された第1照射光による第1反射光を検出し、記録面における第1照射光の焦点ずれを示す第1エラー信号を生成する第1焦点誤差検出回路と、反射光抽出回路から得られた反射光のうち、第2の所定開口数より大なる所定開口数以下の部分を介して照射された第2照射光による第2反射光を検出し、記録面における第2照射光の焦点ずれを示す第2エラー信号を生成する第2焦点誤差検出回路と、第1エラー信号および第2エラー信号の少なくとも一方を用いて球面収差に対応する信号を算出する算出回路とを含む。
【0006】
この公報に開示されたピックアップ装置によると、光路中に球面収差を検出するホログラム素子を設けて、光ディスクの記録面からの反射光のうち、対物レンズ上で第1の所定開口数より小なる第2の所定開口数以下の部分を透過した第1反射光を検出して第1エラー信号を生成する。また、反射光のうち、対物レンズ上で第2の所定開口数より大なる所定開口数以下の部分を透過した第2反射光を検出して第2エラー信号を生成する。このため、第1エラー信号および第2エラー信号の少なくとも一方を用いて透過基板の厚さの誤差により生じる球面収差を示す信号を算出できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開平10−106012号公報に開示された光ディスク装置では、記録済み光ディスクを再生することで、初めて球面収差を行うことができるが、データが記録されていない光ディスクではHF信号が再生されないため、球面収差補償を行うことはできない。さらに、記録済み光ディスクでも、光ディスクの傾きや、光ディスク表面上のゴミ、汚れ、および傷によりHF信号が劣化して、正常なジッター、エラーレートを得ることはできない場合があり、球面収差補償を正確に行うことができない場合がある。
【0008】
また、上述した特開2000−182254公報に開示されたピックアップ装置では、球面収差を検出するホログラム素子や受光素子を別途設ける必要があり、部品点数が多くなり、設備価格が高騰する。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置および光ディスク装置における収差補償方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る光ディスク装置は、入射された光により出射するレーザ光の出力が変動する半導体レーザと、半導体レーザから出射されたレーザ光を光ディスクに集光する対物レンズと、半導体レーザに印加される電流値を検出するための検出手段と、光ディスクを回転するための回転手段と、対物レンズにより集光された光が光ディスクから反射した光を、半導体レーザに戻す光路を形成するための光学手段と、半導体レーザから出射されたレーザ光を受光するための受光手段と、光ディスクに対して、レーザ光に残存するデフォーカス成分を補正するための補正手段と、光ディスクに集光するレーザ光の球面収差量を変化させるための球面収差変化手段と、球面収差量の変化に対応させて、光ディスクからの反射光が半導体レーザに入射することで変動する半導体レーザの複数の出力値を受光手段を用いて検出、および半導体レーザに印加される複数の動作電流値を検出手段を用いて検出、の少なくともいずれかの検出を実行して、球面収差量と、検出された出力値および動作電流値の少なくとも一方との関係に基づいて、球面収差変化手段を制御することにより、球面収差を補償するための制御手段とを含む。
【0011】
第1の発明によると、半導体レーザは、入射された光(たとえば、光ディスクからの反射光)により出射するレーザ光の出力値が変動する。半導体レーザからの出力値を一定に保持する場合、半導体レーザに光が入射されているか否かにより、半導体レーザに印加される動作電流が変動する。また、半導体レーザへ印加される動作電流値を一定に保持する場合、半導体レーザに光が入射されているか否かにより、半導体レーザからの出力値が変動する。さらに、光ディスクに集光されるレーザ光に球面収差があると、半導体レーザに入射する戻り光にも球面収差が残存し、半導体レーザの内部に入射する光量が変動する。このため、半導体レーザの動作電流−光出力特性は、球面収差がある時とない時とで変動する。このとき、予め、光ディスクに集光されるレーザ光に残存するデフォーカス成分が補正され、デフォーカスによる光ディスクから半導体レーザに入射される戻り光量の減少の影響が排除されている。そのため、球面収差変化手段により球面収差量を種々変化させて、レーザ光の出力値を検出するとともに、半導体レーザの動作電流を検出する。デフォーカス成分が残存しないので、たとえば、レーザ光の出力値が最大になるときや、半導体レーザの動作電流値が最小になるときは、球面収差が最小となり、焦点距離が合っている状態である。また、レーザ光の出力値と動作電流値との関係に基づいて、球面収差が発生しないように球面収差変化手段を制御することもできる。これにより、半導体レーザの出力値と動作電流値との関係に基づいて、球面収差変化手段を制御することにより球面収差を補償することができる。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置を提供できる。
【0012】
第2の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、予め定められた一定の動作電流値を印加することにより、半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含む。制御手段は、球面収差量と、駆動手段により一定の動作電流値で半導体レーザが駆動される状態で検出された出力値との関係に基づいて、最大の出力値に対応する球面収差量を発生させるように球面収差変化手段を制御することにより、球面収差を補償するための手段を含む。
【0013】
第2の発明によると、半導体レーザに印加する動作電流値を一定として、球面収差の変動により変化する半導体レーザの出力値を検出する。その出力値が最大となるように球面収差補償手段を制御することにより、球面収差を補償することができる。これにより、この光ディスク装置によると、HF信号のジッターおよびエラーレートを用いる従来の球面収差補償方法に比べて、光ディスクの傾きや、光ディスク表面のゴミ、傷および汚れがあっても、レーザ光の出力値が最大になる球面収差変化手段の設定は影響を受けないため正確に球面収差を補償できる。さらに出力値を検出するための回折格子や受光素子を別途追加する必要もないため、コストメリットも大きい。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置を提供できる。
【0014】
第3の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、予め定められた一定の光出力値を出力するように、半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含む。制御手段は、球面収差量と、駆動手段により一定の光出力値が半導体レーザから出力される状態で検出された動作電流値との関係に基づいて、最小の動作電流値に対応する球面収差量を発生させるように球面収差変化手段を制御することにより、球面収差を補償するための手段を含む。
【0015】
第3の発明によると、半導体レーザから出射される光の出力値を一定として、球面収差の変動により変化する半導体レーザに印加する動作電流値を検出する。この動作電流値が最小となるように球面収差補償手段を制御することにより、球面収差を補償することができる。これにより、この光ディスク装置によると、HF信号のジッターおよびエラーレートを用いる従来の球面収差補償方法に比べて、光ディスクの傾きや、光ディスク表面のゴミ、傷および汚れがあっても、半導体レーザの動作電流値が最小になる球面収差変化手段の設定は影響を受けないため正確に球面収差を補償できる。さらに出力値を検出するための回折格子や受光素子を別途追加する必要もないため、コストメリットも大きい。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置を提供できる。
【0016】
第4の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズをさらに含む。球面収差変化手段は、コリメートレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるための手段を含む。
【0017】
第4の発明によると、コリメートレンズの位置を移動させて球面収差を除去する場合に、コリメートレンズの位置とレーザ光の出力値とを対応させて検出して、出力値が最大になるコリメートレンズの位置を特定することで、球面収差の補償を行なうことができる。
【0018】
第5の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズと、コリメートレンズと対物レンズとの間に設けられた、球面収差を発生させる2以上のレンズから構成されるレンズ群とをさらに含む。球面収差変化手段は、レンズ群を構成する少なくとも1のレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるための手段を含む。
【0019】
第5の発明によると、レンズ群のうち少なくとも1のレンズの位置を移動させて球面収差を除去する場合に、移動するレンズの位置とレーザ光の出力値とを対応させて検出して、出力値が最大になるレンズの位置を特定することで球面収差の補償を行なうことができる。
【0020】
第6の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、予め定められた直流バイアス電流を印加することにより、半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含む。
【0021】
第6の発明によると、半導体レーザに直流バイアス電流を印加させて半導体レーザを駆動させることにより半導体レーザから出射されるレーザ光を用いて、球面収差の補償を行なうことができる。
【0022】
第7の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、予め定められた直流バイアス電流に、予め定められた振幅および周期を有する高周波電流を加えた電流を印加することにより、半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含む。
【0023】
第7の発明によると、半導体レーザに直流バイアス電流に高周波電流を加えた電流を印加させて半導体レーザを駆動させることにより半導体レーザから出射されるレーザ光を用いて、球面収差の補償を行なうことができる。このとき、高周波電流を重畳して印加することにより、半導体レーザのレーザノイズの影響を減少させることができ、より正確に球面収差を補償することができる。
【0024】
第8の発明に係る光ディスク装置は、第6または7の発明の構成に加えて、駆動手段に接続され、直流バイアス電流が予め定められた電流値を維持するように、駆動手段を制御するための電流制御手段をさらに含む。
【0025】
第8の発明によると、直流バイアス電流が予め定められた電流値を維持するため、半導体レーザの発光による発熱および駆動手段による発熱に基づく半導体レーザに印加される駆動電流の変動がなくなり、より安定した球面収差の補償を行なうことができる。
【0026】
第9の発明に係る光ディスク装置は、第6〜8のいずれかの発明の構成に加えて、光ディスクにデータを記録および再生するために、予め定められた条件を満足する電流を半導体レーザに印加することにより、半導体レーザを駆動するための第1の駆動手段と、第1の駆動手段とは異なる条件を満足する電流を半導体レーザに印加することにより、半導体レーザを駆動するための第2の駆動手段とをさらに含む。
【0027】
第9の発明によると、第1の駆動手段は、たとえばデータの再生時および記録時に、半導体レーザに高周波重畳電流を印加し、第2の駆動手段は、球面収差補償時に、半導体レーザに直流バイアス電流のみを印加する。これにより、データの再生時および記録時には、高周波重畳電流の影響によりレーザノイズが低減させることができるとともに、球面収差補償時には戻り光による影響が大きく検知できるためレーザ光の出力値の取得が容易となり、データの記録時および再生時にはレーザノイズを低減しつつ、球面収差補償時にはより容易に球面収差の補償を行なうことができる。
【0028】
第10の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、受光手段は、半導体レーザから出射された光であって、光ディスクのエンボスピットが存在しない領域およびデータの未記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させて光ディスクから反射した光を、受光するための手段を含む。
【0029】
第10の発明によると、光ディスクのエンボスピットが存在しない領域およびデータの未記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させるため、光ディスクからは直流成分のみを含む光が反射される。このため、半導体レーザに入射する戻り光による影響も直流成分のみとなる。その結果、検出するレーザ光の出力値も直流成分のみとすることができる。
【0030】
第11の発明に係る光ディスク装置は、第8の発明の構成に加えて、受光手段は、回転手段による光ディスクの回転を停止させた状態で、光ディスクから反射した光を、受光するための手段を含む。
【0031】
第11の発明によると、光ディスクを回転させることなく、光ディスクの表面の一点のみにレーザ光を集光させる。これにより、光ディスクの表面上の反射率のムラ、表面のゴミ、汚れおよび傷等による反射光量の変動に起因する測定誤差を削除できるので、容易かつ正確に球面収差の補償を行なうことができる。
【0032】
第12の発明に係る光ディスク装置は、第1の発明の構成に加えて、受光手段は、半導体レーザから出射された光であって、光ディスクのエンボスピットが存在する領域およびデータの記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させて光ディスクから反射した光を、ピット信号として受光するための手段を含む。
【0033】
第12の発明によると、光ディスクのエンボスピットが存在する領域およびデータの記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させるため、光ディスクからは直流成分と交流成分とを含む光が反射される。このため、半導体レーザに入射する戻り光による影響も直流成分と交流成分とが含まれる。従って検出するレーザ光の出力値にも直流成分と交流成分とが含まれる。ピットによる反射光の変動量をレーザ光出力検出用受光素子により検出し、レーザ受光素子の応答速度に応じて、ピット信号の振幅の平均値や最大値を検出して、球面収差の補償を行なうことができる。
【0034】
第13の発明に係る光ディスク装置は、第8または10の発明の構成に加えて、受光手段は、回転手段により光ディスクを回転させた状態で、光ディスクから反射した光を、受光するための手段を含む。
【0035】
第13の発明によると、光ディスクが回転することにより生じるレーザ光の出力値のばらつきを平均化して、より正確に球面収差の補償を行なうことができる。
【0036】
第14の発明に係る収差補償方法は、入射された光により出射するレーザ光の出力が変動する半導体レーザと、半導体レーザから出射されたレーザ光を光ディスクに集光する対物レンズと、光ディスクを回転するための回転手段と、対物レンズにより集光された光が光ディスクから反射した光を、半導体レーザに戻す光路を形成するための光学手段とを含む光ディスク装置における収差補償方法である。この収差補償方法は、半導体レーザから出射されたレーザ光を受光する受光ステップと、半導体レーザに印加される電流値を検出する検出ステップと、光ディスクに対して、レーザ光に残存するデフォーカス成分を補正する補正ステップと、光ディスクに集光するレーザ光の球面収差量を変化させる球面収差変化ステップと、球面収差量の変化に対応させて、光ディスクからの反射光が半導体レーザに入射することで変動する半導体レーザの複数の出力値を、受光ステップにて検出する、および前記半導体レーザに印加される複数の動作電流値を前記検出ステップにて検出、の少なくともいずれかの検出を実行して、前記球面収差量と、前記検出された出力値および前記動作電流値の少なくとも一方との関係に基づいて、球面収差変化ステップを制御することにより、球面収差を補償する制御ステップとを含む。
【0037】
第14の発明によると、半導体レーザは、入射された光(たとえば、光ディスクからの反射光)により出射するレーザ光の出力値が変動する。半導体レーザからの出力値を一定に保持する場合、半導体レーザに光が入射されているか否かにより、半導体レーザに印加される動作電流が変動する。また、半導体レーザへ印加される動作電流値を一定に保持する場合、半導体レーザに光が入射されているか否かにより、半導体レーザからの出力値が変動する。さらに、光ディスクに集光されるレーザ光に球面収差があると、半導体レーザに入射する戻り光にも球面収差が残存し、半導体レーザの内部に入射する光量が変動する。このため、半導体レーザの動作電流−光出力特性は、球面収差がある時とない時とで変動する。このとき、予め、光ディスクに集光されるレーザ光に残存するデフォーカス成分が補正され、デフォーカスによる光ディスクから半導体レーザに入射される戻り光量の減少の影響が排除されている。そのため、球面収差変化ステップにより球面収差量を種々変化させて、レーザ光の出力値を検出するとともに、半導体レーザの動作電流を検出する。デフォーカス成分が残存しないので、たとえば、レーザ光の出力値が最大になるときや、半導体レーザの動作電流値が最小になるときは、球面収差がなく、焦点距離が合っている状態である。また、レーザ光の出力値と動作電流値との関係に基づいて、球面収差が発生しないように球面収差変化ステップを制御することもできる。これにより、半導体レーザの出力値と動作電流値との関係に基づいて、球面収差変化ステップを制御することにより球面収差を補償することができる。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置における収差補償方法を提供できる。
【0038】
第15の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、予め定められた一定の動作電流値を印加することにより、半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含む。制御ステップは、球面収差量と、駆動ステップにて一定の動作電流値で半導体レーザが駆動される状態で検出された出力値との関係に基づいて、最大の出力値に対応する球面収差量を発生させるように球面収差変化ステップを制御することにより、球面収差を補償するステップを含む。
【0039】
第15の発明によると、半導体レーザに印加する動作電流値を一定として、球面収差の変動により変化する半導体レーザの出力値を検出する。その出力値が最大となるように球面収差補償ステップを制御することにより、球面収差を補償することができる。これにより、この光ディスク装置の収差補償方法によると、HF信号のジッターおよびエラーレートを用いる従来の球面収差補償方法に比べて、光ディスクの傾きや、光ディスク表面のゴミ、傷および汚れがあっても、レーザ光の出力値が最大になる球面収差変化ステップの設定は影響を受けないため正確に球面収差を補償できる。さらに出力値を検出するための回折格子や受光素子を別途追加する必要もないため、コストメリットも大きい。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置の収差補償方法を提供できる。
【0040】
第16の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、予め定められた一定の光出力値を出力するように、半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含む。制御ステップは、球面収差量と、駆動ステップにて一定の光出力値が半導体レーザから出力される状態で検出された動作電流値との関係に基づいて、最小の動作電流値に対応する球面収差量を発生させるように球面収差変化ステップを制御することにより、球面収差を補償するステップを含む。
【0041】
第16の発明によると、半導体レーザから出射される光の出力値を一定として、球面収差の変動により変化する半導体レーザに印加する動作電流値を検出する。この動作電流値が最小となるように球面収差補償ステップを制御することにより、球面収差を補償することができる。これにより、この光ディスク装置の収差補償方法によると、HF信号のジッターおよびエラーレートを用いる従来の球面収差補償方法に比べて、光ディスクの傾きや、光ディスク表面のゴミ、傷および汚れがあっても、半導体レーザの動作電流値が最小になる球面収差変化ステップの設定は影響を受けないため正確に球面収差を補償できる。さらに出力値を検出するための回折格子や受光素子を別途追加する必要もないため、コストメリットも大きい。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置の収差補償方法を提供できる。
【0042】
第17の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、球面収差変化ステップは、コリメートレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるステップを含む。
【0043】
第17の発明によると、光ディスク装置は、半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズをさらに含む。コリメートレンズの位置を移動させて球面収差を除去する場合に、コリメートレンズの位置とレーザ光の出力値とを対応させて検出して、出力値が最大になるコリメートレンズの位置を特定することで、球面収差の補償を行なうことができる。
【0044】
第18の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、球面収差変化ステップは、レンズ群を構成する少なくとも1のレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるステップを含む。
【0045】
第18の発明によると、光ディスク装置は、半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズと、コリメートレンズと対物レンズとの間に設けられた、球面収差を発生させる2以上のレンズから構成されるレンズ群とをさらに含む。 レンズ群のうち少なくとも1のレンズの位置を移動させて球面収差を除去する場合に、移動するレンズの位置とレーザ光の出力値とを対応させて検出して、出力値が最大になるレンズの位置を特定することで球面収差の補償を行なうことができる。
【0046】
第19の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、予め定められた直流バイアス電流を印加することにより、半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含む。
【0047】
第19の発明によると、半導体レーザに直流バイアス電流を印加させて半導体レーザを駆動させることにより半導体レーザから出射されるレーザ光を用いて、球面収差の補償を行なうことができる。
【0048】
第20の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、予め定められた直流バイアス電流に、予め定められた振幅および周期を有する高周波電流を加えた電流を印加することにより、半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含む。
【0049】
第20の発明によると、半導体レーザに直流バイアス電流に高周波電流を加えた電流を印加させて半導体レーザを駆動させることにより半導体レーザから出射されるレーザ光を用いて、球面収差の補償を行なうことができる。このとき、高周波電流を重畳して印加することにより、半導体レーザのレーザノイズの影響を減少させることができ、より正確に球面収差を補償することができる。
【0050】
第21の発明に係る収差補償方法は、第19または20の発明の構成に加えて、直流バイアス電流が予め定められた電流値を維持するように、駆動ステップを制御する電流制御ステップをさらに含む。
【0051】
第21の発明によると、直流バイアス電流が予め定められた電流値を維持するため、半導体レーザの発光による発熱および駆動ステップにおける発熱に基づく半導体レーザに印加される駆動電流の変動がなくなり、より安定した球面収差の補償を行なうことができる。
【0052】
第22の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、受光ステップは、半導体レーザから出射された光であって、光ディスクのエンボスピットが存在しない領域およびデータの未記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させて光ディスクから反射した光を、受光するステップを含む。
【0053】
第22の発明によると、光ディスクのエンボスピットが存在しない領域およびデータの未記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させるため、光ディスクからは直流成分のみを含む光が反射される。このため、半導体レーザに入射する戻り光による影響も直流成分のみとなる。その結果、検出するレーザ光の出力値も直流成分のみとすることができる。
【0054】
第23の発明に係る収差補償方法は、第21の発明の構成に加えて、受光ステップは、回転手段による光ディスクの回転を停止させた状態で、光ディスクから反射した光を、受光するステップを含む。
【0055】
第23の発明によると、光ディスクを回転させることなく、光ディスクの表面の一点のみにレーザ光を集光させる。これにより、光ディスクの表面上の反射率のムラ、表面のゴミ、汚れおよび傷等による反射光量の変動に起因する測定誤差を削除できるので、容易かつ正確に球面収差の補償を行なうことができる。
【0056】
第24の発明に係る収差補償方法は、第14の発明の構成に加えて、受光ステップは、半導体レーザから出射された光であって、光ディスクのエンボスピットが存在する領域およびデータの記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させて光ディスクから反射した光を、ピット信号として受光するステップを含む。
【0057】
第24の発明によると、光ディスクのエンボスピットが存在する領域およびデータの記憶領域のいずれかにレーザ光を集光させるため、光ディスクからは直流成分と交流成分とを含む光が反射される。このため、半導体レーザに入射する戻り光による影響も直流成分と交流成分とが含まれる。従って検出するレーザ光の出力値にも直流成分と交流成分とが含まれる。ピットによる反射光の変動量をレーザ光出力検出用受光素子により検出し、レーザ受光素子の応答速度に応じて、ピット信号の振幅の平均値や最大値を検出して、球面収差の補償を行なうことができる。
【0058】
第25の発明に係る収差補償方法は、第21または22の発明の構成に加えて、受光ステップは、回転手段により光ディスクを回転させた状態で、光ディスクから反射した光を、受光するステップを含む。
【0059】
第25の発明によると、光ディスクが回転することにより生じるレーザ光の出力値のばらつきを平均化して、より正確に球面収差の補償を行なうことができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0061】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に係る光ディスク装置について説明する。この光ディスク装置は、半導体レーザを含む。この半導体レーザの特性について説明する。
【0062】
半導体レーザは、光ディスクに向けて出射する主出射面と、それに相対する裏面とに反射膜が形成された共振器の構造を有する。このため、内部で発生した光は、主出射面と裏面とにより反射を繰り返して光が増幅し、ある閾値にて発振したレーザ光を出射する。その際に、主出射面の反射率を裏面の反射よりも低くすることで、裏面側からの出射光量に比べて主出射面側からの出射光量が多くすることができる。
【0063】
さらに、半導体レーザから出射される光出力は、閾値以上の範囲で動作電流に比例して大きくなり、光ディスクの再生および記録が可能となる光出力を得ることができる。逆に、主出射面の反射膜の反射率が低いことにより光ディスクからの戻り光の影響も受けやすい。このため、光ディスクにより反射された戻り光の一部が主出射面に入射した場合、主出射面の反射膜により一部は反射され、一部は透過されて半導体レーザ内部に光が侵入し、半導体レーザ内部の光が主出射面と裏面とによる反射が再び繰り返されて増幅される。その結果半導体レーザに印加する動作電流が一定であれば主出射面から出射されるレーザ光が増加する。一方、半導体レーザから出射される光出力が一定であれば半導体レーザに印加する動作電流が減少する。この戻り光による半導体レーザの光出力もしくは動作電流の変動現象は、半導体レーザの構造、共振器長、端面反射率、発振スペクトル、光学系の光路長、および温度等の様々な条件によって変わってくる。発生した半導体レーザの戻り光に対する光出力の変動はレーザノイズとなる。
【0064】
現在、このレーザノイズの対策として、シングルモードスペクトルの半導体レーザでは、高周波重畳電流を印加して、発振スペクトルをマルチモード化することでレーザノイズを低減させる方法が一般的に採用されている。ただし、上記方法でも戻り光による半導体レーザの光出力もしくは動作電流の変動を完全に押さえることは難しい。
【0065】
上述した現象による半導体レーザの特性について、2つの観点からさらに詳しく説明する。
【0066】
まず、光ディスクからの戻り光が半導体レーザに入射される場合について説明する。戻り光の有無による半導体レーザの動作電流Iop−光出力P0特性は、図1(A)に示すようになる。戻り光が有るときの動作電流Iop−光出力P0特性は、戻り光のないときに比べて発振開始電流Ithが小さくなり、かつ発振後のP0/(Iop−Ith)の傾き(微分効率)ηも小さくなる。この特性は、半導体レーザに入射する戻り光量に依存するもので、戻り光量が多くなるほど、発振開始電流Ithと微分効率ηが小さくなり、逆に戻り光量が少なくなるほど、発振開始電流Ithと微分効率ηが大きくなる。
【0067】
ここで、動作電流を一定(I0)としたとき、図1(B)に示すように、半導体レーザの光出力P0は、戻り光がない場合はP1となり、戻り光が一定の直流成分であれば最大値P2となり、また直流成分を最大値とし一定の周期と振幅をもつ交流成分であれば、光出力P2から戻り光と同じ周期で一定の振幅ΔPだけ低くなるような交流成分を含む光出力となり、発振開始電流Ith及び微分効率ηは、それぞれ戻り光量が多くなるほど光出力P1に対する光出力P2が大きくなるような値となる。たとえば、反射率が一様な光ディスクに集光する光スポットに収差成分はなく、光ディスクと対物レンズとの距離をある方向に一律の変化量で移動させていくと、光ディスクからの反射光量、つまり半導体レーザに入射する戻り光量に基づいて、半導体レーザから出射される光出力は、図2に示すようになり、対物レンズと光ディスク間距離が光ディスク上での光スポットが合焦時となるf0の時に光出力は最大となる。さらに戻り光量に交流成分が入れば、図示していないが同時に光出力も交流成分を含むことになる。
【0068】
また、半導体レーザから出射される光出力を一定(P0)としたとき、図1(C)に示すように、半導体レーザの動作電流Iopは、戻り光がない場合はIop1となり、戻り光が一定の直流成分であれば最大値Iop2となる。また直流成分を最大値とし一定の周期と振幅をもつ交流成分であれば、Iop2から戻り光と同じ周期で一定の振幅ΔIopだけ高くなるような交流成分を含む動作電流となる。発振開始電流Ith及び微分効率ηは、それぞれ戻り光量が多くなるほど動作電流Iop1に対する動作電流Iop2が小さくなるような値となる。たとえば、反射率が一様な光ディスクに集光する光スポットに収差成分はなく、光ディスクと対物レンズとの距離を変化させていくと、光ディスクからの反射光量、つまり半導体レーザに入射する戻り光量に基づいて、半導体レーザの動作電流は、図3に示すようになり、対物レンズと光ディスク間距離が光ディスク上での光スポットが合焦時となるf0の時に動作電流は最小となる。さらに戻り光量に交流成分が入れば、図示していないが同時に光出力も交流成分を含むことになる。
【0069】
半導体レーザの動作電流を直流バイアス電流のみとした場合はもちろん、高周波重畳電流でも、条件によっては戻り光に対してレーザノイズの影響が減少した場合でも、現象としては、戻り光のないものに近くになり、同じような特性になる。ただし、半導体レーザの動作電流を、直流バイアス電流のみとした場合でも、高周波重畳電流とした場合でも、光の有無に関わらず光出力も動作電流も変動しない点が一点(Ia、Pa)だけ存在する。この一点(Ia、Pa)から離れるほど、戻り光の有無による光出力もしくは動作電流の変動量が大きくなる。
【0070】
次に、光ディスクに集光するレーザ光に収差が発生している場合について説明する。光ディスクからの反射光があるのと同様に、光ディスクに集光するレーザ光に収差が発生すると、光ディスクからの反射光にも収差成分が残り、半導体レーザに入射する戻り光にも収差成分が残る。半導体レーザに入射する光の収差成分が大きくなるほど、半導体レーザの内部に侵入する光量が少なくなり、その結果主出射面から出射される光出力も変動することになる。つまり、戻り光の有無による半導体レーザの動作電流―光出力特性と同様、戻り光の収差の有無による半導体レーザの動作電流―光出力特性も戻り光有無よりも効果としては小さくなるが同じような傾向の特性である(図4(A))。
【0071】
戻り光に収差が有るときの動作電流Iop−光出力P0特性は、戻り光のないときに比べて発振開始電流Ithが小さくなり、かつ発振後のP0/(Iop−Ith)の傾き(微分効率)ηも小さくなる。この特性は、半導体レーザに入射する戻り光量と同様に戻り光の収差量に依存し、戻り光の収差量が多くなるほど、発振開始電流Ithと微分効率ηが小さくなり、逆に戻り光の収差量が少なくなるほど、発振開始電流Ithと微分効率ηが大きくなる。
【0072】
ここで、動作電流を一定(I0)としたとき、図4(A)に示すように、半導体レーザの光出力P0は、戻り光の収差がない場合はP3となり、戻り光が一定の直流成分であれば最大値P4となり、また直流成分を最大値とし一定の周期と振幅をもつ交流成分であれば、光出力P4から戻り光と同じ周期で一定の振幅ΔPだけ低くなるような交流成分を含む光出力となる。発振開始電流Ith及び微分効率ηは、それぞれ戻り光量が多くなるほど光出力P3に対する光出力P4が大きくなるような値となる。たとえば、反射率が一様な光ディスクに集光する光スポットにデフォーカスはなく、収差発生手段となるレンズ等をある方向に一律の変化量で移動させて収差を発生させていくと、光ディスクからの反射光の収差量、つまり半導体レーザに入射する戻り光の収差量に基づいて、半導体レーザから出射される光出力は図5に示すようになり、光ディスクからの反射光の収差量が最小となる収差発生手段のレンズの位置L0の時に光出力は最大となる。さらに戻り光の収差量に交流成分が入れば、図示していないが同時に光出力も交流成分を含むことになる。
【0073】
また、半導体レーザから出射される光出力を一定(P0)としたとき、図4(C)に示すように、半導体レーザの動作電流Iopは、戻り光の収差がない場合はIop3となり、戻り光の収差量が上記一定の直流成分であれば最大値Iop4となる。また、直流成分を最大値とし一定の周期と振幅をもつ交流成分であれば、Iop4から戻り光と同じ周期で一定の振幅ΔIopだけ高くなるような交流成分を含む動作電流となる。発振開始電流Ith及び微分効率ηは、それぞれ戻り光量が多くなるほど動作電流Iop3に対する動作電流Iop4が小さくなるような値となる。たとえば、反射率が一様な光ディスクに集光する光スポットにデフォーカスはなく、収差発生手段となるレンズ等をある方向に一律の変化量で移動させて収差を発生させていくと、光ディスクからの反射光の収差量、つまり半導体レーザに入射する戻り光の収差量に基づいて、半導体レーザの動作電流は、図6に示すようになり、光ディスクからの反射光の収差量が最小となる収差発生手段のレンズの位置L0の時に動作電流は最小となる。さらに戻り光量に交流成分が入れば、図示していないが同時に動作電流も交流成分を含むことになる。
【0074】
半導体レーザの動作電流を直流バイアス電流のみとした場合はもちろん、高周波重畳電流でも条件によっては戻り光に対してレーザノイズの影響が減少した場合でも、現象としては戻り光の収差のないものに近くはなるが同じような特性となる。ただし、半導体レーザの動作電流を直流バイアス電流のみとした場合でも高周波重畳電流とした場合でも、戻り光の収差の有無に関わらず光出力も動作電流も変動しない点が一点(Ib,Pb)だけ存在する。この一点から離れるほど、戻り光の収差の有無による光出力あるいは動作電流の変動量が大きくなる。
【0075】
本実施の形態における光ディスク装置は、このような半導体レーザの特性を利用したものである。半導体レーザの動作電流もしくは光出力を一定とし、光ディスクに対して集光レンズによりレーザ光を合焦した後、収差を変動させる手段を用いて光ディスクに集光するレーザ光に収差を発生させる。その収差量を可変させることで、半導体レーザに入射するレーザ光の収差量を変動させ、その結果半導体レーザから出射される光出力もしくは半導体レーザの動作電流が変動する。その光出力もしくは動作電流の変動量を、収差の変動量もしくは収差に対応する収差変動手段の設定値の変動量に対応してモニターし、光出力の変動量が最大となるように、もしくは動作電流の変動量が最小になるように、収差の変動量もしくは収差に対応する収差変動手段を設定することで、光ディスクに集光するレーザ光の収差を最小にすることができる。
【0076】
図4に、本実施の形態に係る光ディスク装置内に搭載された光ピックアップ装置100の構成図を示す。この光ディスク装置は、半導体レーザの動作電流を予め定められた一定の電流値に制御して、コリメートレンズ104を光軸に平行な方向に移動させて、光ディスク112に集光されたレーザ光に発生する球面収差を補償する。
【0077】
図7に示した光ピックアップ装置100は、半導体レーザ102と、半導体レーザ102から出射されたレーザ光を平行な光にするためのコリメートレンズ104と、平行な光を光ディスク112に集光する対物レンズ110と、平行な光をP偏光とS偏光に分離する偏光ビームスプリッター106(以下、「PBS」と略す。)と、半導体レーザ102より出射された光をPBS106より分離された直線偏光を円偏光にする1/4波長板108と、往路においてPBS106より分離された偏光光を電気信号に変換するレーザ光出力検出用受光素子120と、光ディスク112の再生記録面112Aにより反射された光信号を検出する信号検出用受光素子118と、信号検出用受光素子118に光を集光させるための集光レンズ114と、集光レンズ114により集光される光に非点収差を発生させるシリンドリカルレンズ116とを含む。
【0078】
信号検出用受光素子118の形状は、サーボ信号の検出方法により様々な提案ができるが、ここでは説明を簡略化するために、たとえば1ビーム方式を使用できる4分割形状を採用すると想定する。この4分割受光素子の出力信号の演算で、非点収差法によりフォーカスエラー信号を、プッシュプル法によりトラッキングエラー信号を、総和でトータル信号を検出できる。
【0079】
従来は、PBS106により分離された直線偏光の偏光方向に対して、1/4波長板108の結晶軸を45°傾けることで円偏光にして、光ディスク112からの反射光を半導体レーザ102に戻さない構造であった。
【0080】
しかし、本実施の形態に係る光ディスク装置においては、光ディスク112からの反射光の一部を半導体レーザ102に入射させる必要がある。このため、PBS106より分離された直線偏光の偏光方向に対して、1/4波長板108の結晶軸の回転を45°からずらす。これにより、両偏光成分が等しくない大きさの偏光光を通すことで、光ディスク112からの反射光をPBS106で分離した復路光に偏光成分を残し、半導体レーザ102に光ディスク112からの反射光を入射させることができる。もしくは、1/4波長板108の結晶軸方向を1/4波長板108に入射する直線偏光の偏光方向に対して45°のままにして、PBS106の偏光の透過率および反射率の設定を、それぞれ100%から低く設定する。これにより、光ディスク112からの反射光をPBS106で分離した復路光に偏光成分を残し、半導体レーザ102に光ディスク112からの反射光を入射させることができる。本実施の形態に係る光ディスク装置は、このような光学系により、半導体レーザ102に入射する戻り光の球面収差による動作電流−光出力特性の変動の現象を発生させ、球面収差を補償する。
【0081】
半導体レーザ102より出射された往路光のうち、PBS106により反射された直線偏光光をレーザ光出力検出用受光素子120にて受光し、光ディスク112からの反射光の一部を半導体レーザ102に入射させることで、半導体レーザ102の動作電流−光出力特性の変動を確認することができる。
【0082】
図8に、本実施の形態に係る光ディスク装置のブロック図を示す。このブロック図は、図7の光ピックアップ装置100と、光ピックアップ装置100に搭載され、対物レンズ110の位置をフォーカス方向およびトラッキング方向に動かす対物レンズ駆動アクチュエータ200と、対物レンズ駆動アクチュエータ200に電流を印加するアクチュエータ駆動回路302と、半導体レーザ102を駆動させるレーザ駆動回路300と、レーザ受光素子120から得られた光出力信号を増幅させる光出力信号処理回路314と、信号検出用受光素子118から得られた信号を増幅および演算してフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号のサーボ信号を生成するサーボ信号生成回路304と、サーボ信号生成回路304で生成されたフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路306Bと、トラッキングエラー信号に基づいてトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路306Aと、フォーカスエラー信号に直流成分のフォーカスバイアスを印加し対物レンズ110の位置を光軸と平行な方向に移動させるフォーカスバイアス回路308と、コリメートレンズ104の位置を光軸に平行な方向に移動させるコリメートレンズ駆動アクチュエータ202と、コリメートレンズ駆動アクチュエータ202を電気信号にて駆動させるコリメートレンズ駆動回路316と、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号と光出力信号処理回路314から出力される光出力信号とをサンプル情報として対応させて記憶するメモリ回路310と、サンプル情報によりコリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号を制御する制御回路312と、デフォーカス検出回路(図示しない)とを含む。
【0083】
制御回路312は、取得したサンプルについての情報に基づいて、この光ディスク装置の全体を制御するとともに、光軸に平行な方向におけるコリメートレンズ104の位置を制御する。
【0084】
以下の説明においては、レーザ駆動回路300は、半導体レーザの発光による発熱による駆動電流の変化がなく、常に一定の直流バイアス電流を半導体レーザ102に印加するACC(Auto current Control)回路について述べるが、本発明はこれに限定されない。発熱による影響が少ない領域であればACC方式にする必要はなく、例えば熱が伝わらない程極めて短時間で所定電流を印加する方式等でもよい。また、記録対応の光ディスク装置で一般的に使用されている所定の直流バイアス電流に所定の振幅と周期の交流成分をもつ高周波電流を印加した高周波重畳電流を半導体レーザ102に印加しても構わない。ただし、再生および記録時と球面収差補償時との半導体レーザの駆動方式を統一することで部品点数を低減させることができるが、戻り光の影響も同時に低減されることに注意する必要がある。
【0085】
図9を参照して、本実施の形態に係る光ディスク装置の制御回路312で実行される処理の制御構造をフローチャートを用いて説明する。
【0086】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、制御回路312は、半導体レーザ102を点灯させる。S102にて、制御回路312は、光ディスク112を予め定められた回転数で回転させる。S104にて、制御回路312は、対物レンズ110から出射されるレーザ光が、光ディスク112の予め定められたマーク長のエンボスピットからなるピット領域に集光する位置に、光ピックアップ装置100を移動させる。
【0087】
このエンボスピットには、様々なものがあるが、たとえばアドレス信号として2T信号および3T信号のような短いマーク長の信号を組み合わせたものを用いる。このように構成されたピット領域で、この2T信号もしくは3T信号の直流成分の信号をレーザ光出力検出用受光素子120を通って光出力信号処理回路314が抽出することで、サンプル情報の光出力信号とすることができる。このとき、レーザ光出力検出用受光素子120もしくは光出力信号処理回路314の応答周波数を、再生される2T信号および3T信号の周波数よりも極めて低くすることにより、平均化された光出力信号を検出して、サンプル情報の光出力信号を得る方法がある。
【0088】
S106にて、制御回路312は、光ディスク112のピット領域にレーザ光の焦点が追従するようにフォーカスサーボをかける。S108にて、制御回路312は、デフォーカスを検出する。S110にて、制御回路312は、フォーカスバイアス回路308を用いてフォーカスサーボ回路306Bにフォーカスバイアスを印加してデフォーカスを補正する。
【0089】
このS108のデフォーカスの検出とS110のデフォーカスの補正には、様々な方法がある。たとえば、サーボ信号生成回路304から生成されたトラッキングエラー信号の信号振幅をモニターし、トラッキングエラー信号振幅とフォーカスバイアスとを対応させ、トラッキングエラー信号振幅が最大となるフォーカスバイアスを求めることでデフォーカスを検出できる。フォーカスバイアス回路308を用いて、そのフォーカスバイアスをフォーカスサーボ回路306Bに印加することでデフォーカスを補正できる。
【0090】
S112にて、制御回路312は、変数Nを初期化(N=0)する。S114にて、制御回路312は、変数Mを初期化(M=0)する。S116にて、制御回路312は、レーザ光出力検出用受光素子120を用いて、光出力信号P(M)を検出する。S118にて、制御回路312は、コリメートレンズ104の位置に対応したコリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号C(N)を検知して、これらを対応させて、メモリ回路310に(C(N)、P(M))を記憶する。
【0091】
S120にて、制御回路312は、変数Mに1を加算する。S122にて、制御回路312は、変数Mと定数Jとが等しいか否かを判断する。変数Mと定数Jとが等しいと(S122にてYES)、処理はS124へ移される。もしそうでないと(S122にてNO)、処理はS116へ戻され、次のMについての処理が、M=Jを満足するまで実行される。その結果、メモリ回路310には、J組のデータ(C(0)、P(0))〜(C(0)、P(J−1))が記憶される。
【0092】
S124にて、制御回路312は、P(0)〜P(J−1)のJ個の光出力信号の平均値P(N)を算出する。S126にて、制御回路312は、メモリ回路310に、サンプル情報として(C(N)、P(N))を記憶する。S128にて、制御回路312は、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号をβだけ追加で印加してコリメートレンズ104の位置を移動させる。
【0093】
S130にて、制御回路312は、変数Nに1を加算する。S132にて、制御回路312は、変数Nが定数K以上であるか否かを判断する。変数Nが定数K以上であると(S132にてYES)、処理はS134へ移される。もしそうでないと(S132にてNO)、処理はS114へ戻され、次のNについての処理がN≧Kを満足するまで実行される。その結果、メモリ回路310には、少なくともK組のサンプル情報(C(0)、P(0))〜(C(K−1)、P(K−1))が記憶される。このサンプル情報は、半導体レーザ102の出力値と動作電流値とコリメートレンズ104の位置に基づいて発生する球面収差量との関係であって、動作電流が一定の場合である。
【0094】
S134にて、制御回路312は、K組のサンプル情報(C(0)、P(0))〜(C(K−1)、P(K−1))に基づいて、最大の光出力信号Pmaxを特定する。S136にて、制御回路312は、最大の光出力信号Pmaxが特定できたか否かを判断する。最大の光出力信号Pmaxが特定できると(S136にてYES)、処理はS138へ移される。もしそうでないと(S136にてNO)、処理はS128へ戻され、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号をさらにβだけ追加で印加してコリメートレンズ104の位置を移動させて、最大の光出力信号Pmaxを特定する。
【0095】
S138にて、制御回路312は、最大の光出力信号Pmaxに対応するサンプル情報(Ca、Pa)を特定する。この特定されたCaを用いて、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号を決定して、コリメートレンズ104の位置を設定する。これにより、球面収差が最小になる。
【0096】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る光ディスク装置の動作について説明する。
【0097】
光ディスク112を光ディスク装置にセットして、半導体レーザ102を点灯させて(S100)、光ディスク112を回転させる(S102)。光ピックアップ装置100を移動させる(S104)。このとき、対物レンズ110から出射されるレーザ光が、光ディスク112の予め定められたマーク長のエンボスピットからなるピット領域に集光する。
【0098】
光ディスク112のピット領域にレーザ光の焦点が追従するようにフォーカスサーボがかけられ(S106)、デフォーカスが検出される(S108)。フォーカスバイアス回路308を用いてフォーカスサーボ回路306Bにフォーカスバイアスが印加されてデフォーカスが補正される(S110)。
【0099】
レーザ光出力検出用受光素子120を用いて、光出力信号P(0)が検出され(S116)、コリメートレンズ104の位置に対応したコリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号C(0)に対応させて、メモリ回路310に(C(0)、P(0))が記憶される(S118)。このような動作が、コリメートレンズ104を固定した状態で(J−1)回だけ繰返して行なわれる。この結果、メモリ回路310には、J組のデータ(C(0)、P(0))〜(C(0)、P(J−1))が記憶される。P(0)〜P(J−1)のJ個の光出力信号の平均値P(0)が算出され(S124)、メモリ回路310に、サンプル情報として(C(0)、P(0))が記憶される(S126)。
【0100】
なお、このS126においてメモリ回路310に記憶される(C(0)、P(0))と、S118においてメモリ回路310に記憶される(C(0)、P(0))とは、S126においてメモリ回路310に記憶されるP(0)が平均値である点で、異なるものである。
【0101】
コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号をβだけ追加で印加してコリメートレンズ104の位置を移動させて(S128)、S114〜S126までの動作が行なわれる。このような動作が、コリメートレンズ104を電気信号βに対応する分だけ移動させながら(K−1)回だけ繰返して行なわれる。この結果、メモリ回路310には、K組のサンプル情報(C(0)、P(0))〜(C(K−1)、P(K−1))が記憶される。このとき、コリメートレンズ104の位置に対して、図10に示すような半導体レーザ102の光出力信号が得られる。
【0102】
K組のサンプル情報(C(0)、P(0))〜(C(K−1)、P(K−1))に基づいて、最大の光出力信号Pmaxが特定されると(S136にてYES)、最大の光出力信号Pmaxに対応するサンプル情報(Ca、Pa)が特定される(S138)。この特定されたCaを用いて、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号を決定して、コリメートレンズ104の位置を設定する。これにより、球面収差が最小になる。
【0103】
以上のようにして、本実施の形態に係る光ディスク装置によると、光ディスクからの反射光が最も多く半導体レーザに入射される条件は、光ディスクと集光レンズとの焦点距離が合っている時であって、光ディスクに集光されるレーザ光の球面収差が最小のときである。コリメートレンズを光軸に平行な方向に移動させて、レーザ光の出力値を検知する。レーザ光の出力値が最大になるように、コリメートレンズの位置を特定する。この位置にコリメートレンズを設定することにより、球面収差を補償することができる。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置およびその光ディスクを用いた収差補償方法を提供することができる。
【0104】
<第1の実施の形態 変形例>
上述したフローチャートにおいては、同じコリメートレンズ104の位置で何点かサンプル情報を測定して、その平均値をそのコリメートレンズ104の位置でのサンプル情報とすることで安定して球面収差を補償するが、本発明はこれに限定されない。サンプル取得数を減らすことにより、補償に要する時間の短縮を図ることも可能である。このとき、サンプル数を1としてもよい。
【0105】
また、上述したフローチャートにおいては、エンボスピットによる光出力信号の直流成分のみを抽出してサンプル情報の光出力信号としたが、本発明はこれに限定されない。エンボスピットによる光出力信号の振幅成分、さらには直流成分と振幅成分を加算した最大値をサンプル情報の光出力信号として、球面収差補償を行なうことも可能である。ただし、レーザ光出力検出用受光素子120および光出力信号処理回路314の応答周波数の値を検出したいピット信号の周波数に併せて考慮する必要がある。
【0106】
また、上述したフローチャートにおいては、光ディスク112のエンボスピット領域を用いたが、本発明はこれに限定されない。光ディスク112の再生および記録領域でのピット信号を用いても、球面収差を補償することができる。さらに、光ディスクのミラー領域や再生記録領域の未記録領域等のピットのない領域を用いても球面収差補償は可能である。この場合、球面収差補償信号となる光出力信号は直流成分のみとなる。特にミラー面であればディスクの回転の必要もなくなり、光ディスクの傾きや表面のゴミ、汚れ、傷等の影響もないため、データを複数とって平均化する必要もなく、容易に球面収差を補償することができる。
【0107】
このような変形例によっても、第1の実施の形態に係る光ディスク装置およびその装置を用いた収差補償方法と同様の効果を実現できる。
【0108】
<第2の実施の形態>
以下に、本発明の第2の実施の形態に係る光ディスク装置について説明する。本実施の形態に係る光ディスク装置は、前述の第1の実施の形態に係る光ディスク装置がコリメートレンズを光軸に平行な方向に移動させて球面収差を補償していたことに対して、対物レンズ110とコリメートレンズ104との間に少なくとも2枚のレンズからなる球面収差補償用レンズ群を設置して、半導体レーザの動作電流を予め定められた一定の電流値に制御して、そのレンズ群の中の1枚の補償レンズを光軸方向に移動させて球面収差を補償する。
【0109】
図11に、本実施の形態に係る光ディスク装置のブロック図を示す。この光ディスク装置は、光ディスク112に集光されたレーザ光に発生する球面収差を、2枚の球面収差補正用レンズ群400のレンズ間距離を変えることで、球面収差を発生させ、結果的に光ディスク112の再生記録面112Aにて発生した球面収差を補償する。なお、図11に示すブロック図の中で、前述の図8に示したブロック図と同じブロックについては同じ参照符号を付してある。それらのブロックの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0110】
図11に示した光ディスク装置のブロック図は、図8に示した光ディスク装置のブロック図に、球面収差補償レンズ群400と、この球面収差補償レンズ群400のうち1枚のレンズの位置を光軸に平行な方向に移動させる補償レンズ駆動アクチュエータ402と、補償レンズ駆動アクチュエータ402を電気信号にて駆動させる補償レンズ駆動回路500とを追加したものである。
【0111】
この光ディスク装置は、補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号と光出力信号処理回路314から出力される光出力信号とをサンプル情報として対応させてメモリ回路310に記憶して、記憶されたサンプル情報に基づいて補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号を制御回路312により制御して、球面収差補償レンズ群400の位置を制御する。
【0112】
図12を参照して、本実施の形態に係る光ディスク装置の制御回路312で実行される処理の制御構造をフローチャートを用いて説明する。なお、図12に示すフローチャートの中で前述の図9に示したフローチャートと同じ処理については、同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがってそれらについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
【0113】
S116にて、制御回路312は、レーザ光出力検出用受光素子120を用いて、光出力信号P(M)を検出する。S200にて、制御回路312は、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置に対応した補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号B(N)を検知して、これらを対応させて、メモリ回路310に(B(N)、P(M))を記憶する。
【0114】
S124にて、制御回路312は、P(0)〜P(J−1)のJ個の光出力信号の平均値P(N)を算出する。S202にて、制御回路312は、メモリ回路310に、サンプル情報として(B(N)、P(N))を記憶する。S204にて、制御回路312は、補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号をγだけ追加で印加して球面収差補償レンズ群400の中の1のレンズの位置を光軸と平行な方向に移動させる。
【0115】
S206にて、制御回路312は、K組のサンプル情報(B(0)、P(0))〜(B(K−1)、P(K−1))に基づいて、最大の光出力信号Pmaxを特定する。
【0116】
S208にて、制御回路312は、最大の光出力信号Pmaxに対応するサンプル情報(Ba、Pa)を特定する。この特定されたBaを用いて、補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号を決定して、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置を設定する。これにより、球面収差が最小になる。
【0117】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る光ディスク装置の動作について説明する。
【0118】
光ディスク112を光ディスク装置にセットして、半導体レーザ102を点灯させて(S100)、光ディスク112を回転させる(S102)。光ピックアップ装置100を移動させる(S104)。このとき、対物レンズ110から出射されるレーザ光が、光ディスク112の予め定められたマーク長のエンボスピットからなるピット領域に集光する。
【0119】
光ディスク112のピット領域にレーザ光の焦点が追従するようにフォーカスサーボがかけられ(S106)、デフォーカスが検出される(S108)。フォーカスバイアス回路308を用いてフォーカスサーボ回路306Bにフォーカスバイアスが印加されてデフォーカスが補正される(S110)。
【0120】
レーザ光出力検出用受光素子120を用いて、光出力信号P(0)が検出され(S116)、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置に対応した補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号B(0)に対応させて、メモリ回路310に(B(0)、P(0))が記憶される(S200)。このような動作が、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズを固定した状態で(J−1)回だけ繰返して行なわれる。この結果、メモリ回路310には、J組のデータ(B(0)、P(0))〜(B(0)、P(J−1))が記憶される。P(0)〜P(J−1)のJ個の光出力信号の平均値P(0)が算出され(S124)、メモリ回路310に、サンプル情報として(B(0)、P(0))が記憶される(S202)。
【0121】
なお、このS202においてメモリ回路310に記憶される(C(0)、P(0))と、S200においてメモリ回路310に記憶される(C(0)、P(0))とは、S202においてメモリ回路310に記憶されるP(0)が平均値である点で、異なるものである。
【0122】
補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号をγだけ追加で印加して球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置を移動させて(S204)、S114〜S202までの動作が行なわれる。このような動作が、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズを電気信号γに対応する分だけ移動させながら(K−1)回だけ繰返して行なわれる。この結果、メモリ回路310には、K組のサンプル情報(B(0)、P(0))〜(B(K−1)、P(K−1))が記憶される。このサンプル情報は、半導体レーザ102の出力値と動作電流値と球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置に基づいて発生する球面収差量との関係であって、動作電流が一定の場合である。このとき、補償レンズの位置に対して、図13に示すような半導体レーザ102の光出力信号が得られる。
【0123】
K組のサンプル情報(B(0)、P(0))〜(B(K−1)、P(K−1))に基づいて、最大の光出力信号Pmaxが特定されると(S136にてYES)、最大の光出力信号Pmaxに対応するサンプル情報(Ba、Pa)が特定される(S206)。この特定されたCaを用いて、補償レンズ駆動回路500に印加する電気信号を決定して、球面収差補償レンズ群400のうち移動させるレンズの位置を設定する。これにより、球面収差が最小になる。
【0124】
以上のようにして、本実施の形態に係る光ディスク装置によると、光ディスクからの反射光が最も多く半導体レーザに入射される条件は、光ディスクと集光レンズとの焦点距離が合っている時であって、光ディスクに集光されるレーザ光の球面収差が最小のときである。レーザ光の出力値が最大になるように、球面収差補償レンズ群のうち移動させるレンズの位置を特定する。この位置に球面収差補償レンズ群のうち移動させるレンズを設定することにより、球面収差を補償することができる。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置およびその光ディスクを用いた収差補償方法を提供することができる。
【0125】
<第2の実施の形態 変形例>
本実施の形態に係る光ディスク装置は、半導体レーザと信号検出用受光素子とを独立して配置して球面収差補償手段を構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、半導体レーザと信号検出用受光素子が一体型になった光集積ユニット等でも他構成の光学系であっても、光ディスクからの反射光の一部が半導体レーザに戻る光路さえ構成している光学系であれば、本発明を適用することは可能である。また、光ディスク表面の透明基板厚の異なる光ディスクを1台の光ディスク装置で再生および記録をする場合でも同様に適用可能となる。
【0126】
さらに、本実施の形態に係る光ディスク装置も、前述の第1の実施の形態の変形例と同様の変形例があり、このような変形例によっても、第2の実施の形態に係る光ディスク装置およびその装置を用いた収差補償方法と同様の効果を実現できる。
【0127】
<第3の実施の形態>
以下に、本発明の第3の実施の形態に係る光ディスク装置について説明する。本実施の形態に係る光ディスク装置は、前述の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る光ディスク装置が半導体レーザの動作電流を予め定められた一定の電流値に制御して、球面収差を補償していたことに対して、半導体レーザの光出力値を予め定められた一定の出力値に制御して、コリメートレンズを光軸に平行な方向に移動させて球面収差を補償する。
【0128】
図14に、本実施の形態に係る光ディスク装置のブロック図を示す。この光ディスク装置は、光ディスク112に集光されたレーザ光に発生する球面収差を、半導体レーザの光出力値を予め定められた一定の出力値に制御した状態で、コリメートレンズ104を光軸に平行な方向に移動させることで球面収差を発生させ、結果的に光ディスク112の再生記録面112Aにて発生した球面収差を補償する。なお、図14に示すブロック図の中で、前述の図8に示したブロック図と同じブロックについては同じ参照符号を付してある。それらのブロックの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0129】
図14に示した光ディスク装置のブロック図は、図8に示した光ディスク装置のブロック図のレーザ駆動回路300を、その機能が異なるレーザ駆動回路301に代えたものである。さらに、本実施の形態に係る光ディスク装置のブロック図は、図8に示した光ディスク装置のブロック図に、光出力制御回路303を追加し、光出力信号処理回路314を削除したものである。
【0130】
レーザ駆動回路301は、発熱による駆動電流の変化がなく、常に一定の光出力となるように直流バイアス電流を半導体レーザに印加するAPC(Auto PowerControl)方式を採用した。また、記録対応の光ディスク装置で一般的に使用されている所定の直流バイアス電流に所定の振幅と周期の交流成分をもつ高周波電流を印加した高周波重畳電流を半導体レーザ102に印加しても構わない。ただし、再生および記録時と球面収差補償時との半導体レーザの駆動方式を統一することで部品点数を低減させることができるが、戻り光の影響も同時に低減されることに注意する必要がある。
【0131】
光出力制御回路303は、半導体レーザ102から出力される光出力値を一定にするために、レーザ光出力検出用受光素子120から得られた光出力値が一定の信号になるように制御する。光出力制御回路303は、半導体レーザ102へ供給される動作電流値を出力する。
【0132】
図15を参照して、本実施の形態に係る光ディスク装置の制御回路312で実行される処理の制御構造をフローチャートを用いて説明する。なお、図15に示すフローチャートの中で前述の図9に示したフローチャートと同じ処理については、同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがってそれらについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
【0133】
S300にて、制御回路312は、対物レンズ110から出射されるレーザ光が、光ディスク112のピットのないミラー領域に集光する位置に、光ピックアップ装置100を移動させる。このミラー領域においては、直流成分のみの光信号をレーザ光出力検出用受光素子を検出することができる。
【0134】
S302にて、制御回路312は、コリメートレンズ駆動アクチュエータ202に印加する電気信号を揺動させることで(たとえば後述するように、電気信号をβずつ増加させることで)、コリメートレンズ104を揺動させ、光ディスク112のミラー面に集光する光スポットに発生する球面収差を変動させる。
【0135】
S304にて、制御回路312は、半導体レーザ102の動作電流I(N)を、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号C(N)と対応させて、メモリ回路310にサンプル情報(C(N)、I(N))として記憶する。このサンプル情報は、半導体レーザ102の出力値と動作電流値とコリメートレンズ104の位置に基づいて発生する球面収差量との関係であって、出力値が一定の場合である。
【0136】
S306にて、制御回路312は、K組のサンプル情報(C(0)、I(0))〜(C(K−1)、I(K−1))に基づいて、最小の動作電流Iminを特定する。この方法は様々あるが、たとえば山登り法等により最小値Iminを求めることができる。
【0137】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る光ディスク装置の動作について説明する。
【0138】
光ディスク112を光ディスク装置にセットして、半導体レーザ102を点灯させて(S100)、光ディスク112を回転させず、光ピックアップ装置100を移動させる(S300)。このとき、対物レンズ110から出射されるレーザ光が、光ディスク112のミラー領域に集光する。
【0139】
光ディスク112のミラー領域にレーザ光の焦点が追従するようにフォーカスサーボがかけられ(S106)、デフォーカスが検出される(S108)。フォーカスバイアス回路308を用いてフォーカスサーボ回路306Bにフォーカスバイアスが印加されてデフォーカスが補正される(S110)。
【0140】
レーザ駆動回路301を用いて、動作電流I(0)が検出され(S302)、コリメートレンズ104の位置に対応したコリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号C(0)に対応させて、メモリ回路310に(C(0)、I(0))が記憶される(S304)。
【0141】
コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号をβだけ追加で印加してコリメートレンズ104の位置を移動させて(S128)、S302〜S130までの動作が行なわれる。このような動作が、コリメートレンズ104を電気信号βに対応する分だけ移動させながら(K−1)回だけ繰返して行なわれる。この結果、メモリ回路310には、K組のサンプル情報(C(0)、I(0))〜(C(K−1)、I(K−1))が記憶される。このとき、コリメートレンズ104の位置および半導体レーザの動作電流に対して、図16に示すような半導体レーザ102の波形が得られる。
【0142】
K組のサンプル情報(C(0)、I(0))〜(C(K−1)、I(K−1))に基づいて、最小の光動作電流Iminが特定されると(S306)、最小の動作電流Iminに対応するサンプル情報(Ca、Imin)が特定される(S138)。この特定されたCaを用いて、コリメートレンズ駆動回路316に印加する電気信号を決定して、コリメートレンズ104の位置を設定する。これにより、球面収差が最小になる。このときの状態を図16に示す。
【0143】
以上のようにして、本実施の形態に係る光ディスク装置によると、レーザ駆動回路を用いて、半導体レーザからの光出力値が予め定められた一定値になるように制御する。この状態において、コリメートレンズを光軸に平行な方向に移動させて、レーザ駆動回路を用いて動作電流の最低値を検出する。また、コリメート駆動回路を用いて、そのときのコリメートレンズ位置を検知する。この位置にコリメートレンズを設定することにより、球面収差を補償することができる。その結果、光ディスクの保護層となる透明基板の厚みのばらつきにより生じる球面収差を補償して光ディスクの再生および記録動作を良好に行なうことができる安価な光ディスク装置およびその光ディスクを用いた収差補償方法を提供することができる。
【0144】
<第3の実施の形態 変形例>
本実施の形態に係る光ディスク装置は、コリメートレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差を補償するようにしたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第2の実施の形態のように、対物レンズ110とコリメートレンズ104との間に少なくとも2枚のレンズからなる球面収差補償用レンズ群を設置して、半導体レーザの光出力値を予め定められた一定の値に制御して、そのレンズ群の中の1枚の補償レンズを光軸方向に移動させて球面収差を補償するようにしてもよい。
【0145】
また、本実施の形態に係る光ディスク装置においては、光ディスクのミラー領域における動作電流信号の直流成分のみを抽出してサンプル情報としたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ミラー領域ではなくエンボスピット領域ではあってもよい。この場合、図20に示した正弦波形がさらにエンボスピット信号の周波数に対応してエンベロープを含むことになる。このとき、ピット信号の周波数を考慮にいれてサンプル情報を取得することが可能であるので、球面収差を補償することができる。
【0146】
<第4の実施の形態>
以下に、本発明の第4の実施の形態に係る光ディスク装置について説明する。本実施の形態に係る光ディスク装置は、前述の第1の実施の形態に係る光ディスク装置と第3の実施の形態に係る光ディスク装置とを組み合わせて、半導体レーザ装置の動作電流値−光出力値との関係を算出して、その関係に基づいて球面収差を補償する。
【0147】
本実施の形態に係る光ディスク装置は、半導体レーザの動作電流を予め定められた一定の電流値に制御して、球面収差と光出力値との関係を算出するとともに、半導体レーザの光出力を予め定められた一定の値に制御して、球面収差と動作電流との関係を算出する。算出された2つの関係に基づいて、球面収差を変化させたときの、半導体レーザ装置の動作電流−光出力特性を決定する。光ディスク装置は、決定された半導体レーザ装置の動作電流−光出力特性に基づいて、光ディスク装置は、球面収差が最小になるように、動作電流−光出力特性に基づいて算出されたコリメートレンズの位置を制御することにより、球面収差を補償する。
【0148】
本実施の形態に係る光ディスク装置によると、半導体レーザ装置の動作電流を一定にして算出した光出力特性と、半導体レーザ装置の光出力を一定にして算出した動作電流特性とに基づき、球面収差を補償することができる。
【0149】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体レーザの動作電流と光出力との関係を示す図(その1)である。
【図2】集光レンズおよび光ディスクの距離と半導体レーザの光出力との関係を示す図(その1)である。
【図3】集光レンズおよび光ディスクの距離と半導体レーザの動作電流との関係を示す図(その1)である。
【図4】半導体レーザの動作電流と光出力との関係を示す図(その2)である。
【図5】集光レンズおよび光ディスクの距離と半導体レーザの光出力との関係を示す図(その2)である。
【図6】集光レンズおよび光ディスクの距離と半導体レーザの動作電流との関係を示す図(その2)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る光ディスク装置に搭載されている光ピックアップ装置の光学系のブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る光ディスク装置において実行されるプログラムのフローチャートである。
【図10】コリメートレンズの位置を移動させたときの半導体レーザの光出力信号特性を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る光ディスク装置において実行されるプログラムのフローチャートである。
【図13】球面収差補償レンズの位置を移動させたときの半導体レーザの光出力信号特性を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る光ディスク装置において実行されるプログラムのフローチャートである。
【図16】コリメートレンズの位置を移動させたときの半導体レーザの動作電流信号特性を示す図である。
【符号の説明】
100 光ピックアップ装置、102 半導体レーザ、104 コリメートレンズ、106 偏光ビームスプリッター、108 1/4波長板、110 対物レンズ、112 光ディスク、112A 再生記録面、112B 透明基板、114 集光レンズ、116 シリンドリカルレンズ、118 信号検出用受光素子、120 レーザ光出力検出用受光素子、200 対物レンズ駆動アクチュエータ、202 コリメートレンズ駆動アクチュエータ、300、301 レーザ駆動回路、302 アクチュエータ駆動回路、304 サーボ信号生成回路、306 サーボ信号処理回路、306A トラッキングサーボ回路、306B フォーカスサーボ回路、308 フォーカスバイアス回路、310 メモリ回路、312 制御回路、314 光出力信号処理回路、316 コリメートレンズ駆動回路、400 球面収差補償レンズ群、402 補償レンズ可動アクチュエータ、500 補償レンズ駆動回路。
Claims (25)
- 入射された光により出射するレーザ光の出力が変動する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出射されたレーザ光を光ディスクに集光する対物レンズと、
前記半導体レーザに印加される電流値を検出するための検出手段と、
前記光ディスクを回転するための回転手段と、
前記対物レンズにより集光された光が前記光ディスクから反射した光を、前記半導体レーザに戻す光路を形成するための光学手段と、
前記半導体レーザから出射されたレーザ光を受光するための受光手段と、
前記光ディスクに対して、前記レーザ光に残存するデフォーカス成分を補正するための補正手段と、
前記光ディスクに集光するレーザ光の球面収差量を変化させるための球面収差変化手段と、
前記球面収差量の変化に対応させて、前記光ディスクからの反射光が前記半導体レーザに入射することで変動する半導体レーザの複数の出力値を前記受光手段を用いて検出、および前記半導体レーザに印加される複数の動作電流値を前記検出手段を用いて検出、の少なくともいずれかの検出を実行して、前記球面収差量と、前記検出された出力値および前記動作電流値の少なくとも一方との関係に基づいて、前記球面収差変化手段を制御することにより、球面収差を補償するための制御手段とを含む、光ディスク装置。 - 前記光ディスク装置は、予め定められた一定の動作電流値を印加することにより、前記半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記球面収差量と、前記駆動手段により前記一定の動作電流値で前記半導体レーザが駆動される状態で検出された出力値との関係に基づいて、最大の出力値に対応する球面収差量を発生させるように前記球面収差変化手段を制御することにより、球面収差を補償するための手段を含む、請求項1に記載の光ディスク装置。 - 前記光ディスク装置は、予め定められた一定の光出力値を出力するように、前記半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記球面収差量と、前記駆動手段により前記一定の光出力値が前記半導体レーザから出力される状態で検出された動作電流値との関係に基づいて、最小の動作電流値に対応する球面収差量を発生させるように前記球面収差変化手段を制御することにより、球面収差を補償するための手段を含む、請求項1に記載の光ディスク装置。 - 前記光ディスク装置は、前記半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズをさらに含み、
前記球面収差変化手段は、前記コリメートレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるための手段を含む、請求項1に記載の光ディスク装置。 - 前記光ディスク装置は、前記半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズと、前記コリメートレンズと前記対物レンズとの間に設けられた、球面収差を発生させる2以上のレンズから構成されるレンズ群とをさらに含み、
前記球面収差変化手段は、前記レンズ群を構成する少なくとも1のレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるための手段を含む、請求項1に記載の光ディスク装置。 - 前記光ディスク装置は、予め定められた直流バイアス電流を印加することにより、前記半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含む、請求項1に記載の光ディスク装置。
- 前記光ディスク装置は、予め定められた直流バイアス電流に、予め定められた振幅および周期を有する高周波電流を加えた電流を印加することにより、前記半導体レーザを駆動するための駆動手段をさらに含む、請求項1に記載の光ディスク装置。
- 前記光ディスク装置は、前記駆動手段に接続され、前記直流バイアス電流が予め定められた電流値を維持するように、前記駆動手段を制御するための電流制御手段をさらに含む、請求項6または7に記載の光ディスク装置。
- 前記光ディスク装置は、
前記光ディスクにデータを記録および再生するために、予め定められた条件を満足する電流を前記半導体レーザに印加することにより、前記半導体レーザを駆動するための第1の駆動手段と、
前記第1の駆動手段とは異なる条件を満足する電流を前記半導体レーザに印加することにより、前記半導体レーザを駆動するための第2の駆動手段とをさらに含む、請求項6〜8のいずれかに記載の光ディスク装置。 - 前記受光手段は、前記半導体レーザから出射された光であって、前記光ディスクのエンボスピットが存在しない領域およびデータの未記憶領域のいずれかに前記レーザ光を集光させて前記光ディスクから反射した光を、受光するための手段を含む、請求項1に記載の光ディスク装置。
- 前記受光手段は、前記回転手段による前記光ディスクの回転を停止させた状態で、前記光ディスクから反射した光を、受光するための手段を含む、請求項8に記載の光ディスク装置。
- 前記受光手段は、前記半導体レーザから出射された光であって、前記光ディスクのエンボスピットが存在する領域およびデータの記憶領域のいずれかに前記レーザ光を集光させて前記光ディスクから反射した光を、ピット信号として受光するための手段を含む、請求項1に記載の光ディスク装置。
- 前記受光手段は、前記回転手段により前記光ディスクを回転させた状態で、前記光ディスクから反射した光を、受光するための手段を含む、請求項8または10に記載の光ディスク装置。
- 入射された光により出射するレーザ光の出力が変動する半導体レーザと、前記半導体レーザから出射されたレーザ光を光ディスクに集光する対物レンズと、前記光ディスクを回転するための回転手段と、前記対物レンズにより集光された光が前記光ディスクから反射した光を、前記半導体レーザに戻す光路を形成するための光学手段とを含む光ディスク装置における収差補償方法であって、
前記半導体レーザから出射されたレーザ光を受光する受光ステップと、
前記半導体レーザに印加される電流値を検出する検出ステップと、
前記光ディスクに対して、前記レーザ光に残存するデフォーカス成分を補正する補正ステップと、
前記光ディスクに集光するレーザ光の球面収差量を変化させる球面収差変化ステップと、
前記球面収差量の変化に対応させて、前記光ディスクからの反射光が前記半導体レーザに入射することで変動する半導体レーザの複数の出力値を前記受光ステップにて検出、および前記半導体レーザに印加される複数の動作電流値を前記検出ステップにて検出、の少なくともいずれかの検出を実行して、前記球面収差量と、前記検出された出力値および前記動作電流値の少なくとも一方との関係に基づいて、前記球面収差変化ステップを制御することにより、球面収差を補償する制御ステップとを含む、光ディスク装置における収差補償方法。 - 前記収差補償方法は、予め定められた一定の動作電流値を印加することにより、前記半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含み、
前記制御ステップは、前記球面収差量と、前記駆動ステップにて前記一定の動作電流値で前記半導体レーザが駆動される状態で検出された出力値との関係に基づいて、最大の出力値に対応する球面収差量を発生させるように前記球面収差変化ステップを制御することにより、球面収差を補償するステップを含む、請求項14に記載の収差補償方法。 - 前記収差補償方法は、予め定められた一定の光出力値を出力するように、前記半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含み、
前記制御ステップは、前記球面収差量と、前記駆動ステップにて前記一定の光出力値が前記半導体レーザから出力される状態で検出された動作電流値との関係に基づいて、最小の動作電流値に対応する球面収差量を発生させるように前記球面収差変化ステップを制御することにより、球面収差を補償するステップを含む、請求項14に記載の収差補償方法。 - 前記光ディスク装置は、前記半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズをさらに含み、
前記球面収差変化ステップは、前記コリメートレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるステップを含む、請求項14に記載の収差補償方法。 - 前記光ディスク装置は、前記半導体レーザからの出射光を平行な光に変換するコリメートレンズと、前記コリメートレンズと前記対物レンズとの間に設けられた、球面収差を発生させる2以上のレンズから構成されるレンズ群とをさらに含み、
前記球面収差変化ステップは、前記レンズ群を構成する少なくとも1のレンズを光軸と平行な方向に移動させることにより球面収差量を変化させるステップを含む、請求項14に記載の収差補償方法。 - 前記収差補償方法は、予め定められた直流バイアス電流を印加することにより、前記半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含む、請求項14に記載の収差補償方法。
- 前記収差補償方法は、予め定められた直流バイアス電流に、予め定められた振幅および周期を有する高周波電流を加えた電流を印加することにより、前記半導体レーザを駆動する駆動ステップをさらに含む、請求項14に記載の収差補償方法。
- 前記収差補償方法は、前記直流バイアス電流が予め定められた電流値を維持するように、前記駆動ステップを制御する電流制御ステップをさらに含む、請求項19または20に記載の収差補償方法。
- 前記受光ステップは、前記半導体レーザから出射された光であって、前記光ディスクのエンボスピットが存在しない領域およびデータの未記憶領域のいずれかに前記レーザ光を集光させて前記光ディスクから反射した光を、受光するステップを含む、請求項14に記載の収差補償方法。
- 前記受光ステップは、前記回転手段による前記光ディスクの回転を停止させた状態で、前記光ディスクから反射した光を、受光するステップを含む、請求項21に記載の収差補償方法。
- 前記受光ステップは、前記半導体レーザから出射された光であって、前記光ディスクのエンボスピットが存在する領域およびデータの記憶領域のいずれかに前記レーザ光を集光させて前記光ディスクから反射した光を、ピット信号として受光するステップを含む、請求項14に記載の収差補償方法。
- 前記受光ステップは、前記回転手段により前記光ディスクを回転させた状態で、前記光ディスクから反射した光を、受光するステップを含む、請求項21または22に記載の収差補償方法。
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JP2002167685A JP2004014047A (ja) | 2002-06-07 | 2002-06-07 | 光ディスク装置および光ディスク装置における収差補償方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007328886A (ja) * | 2006-06-09 | 2007-12-20 | Konica Minolta Opto Inc | 光ピックアップ装置及び光情報記録媒体記録再生装置 |
US7408267B2 (en) | 2004-02-09 | 2008-08-05 | Dr. Johannes Heidenhain Gmbh | Position measuring device |
-
2002
- 2002-06-07 JP JP2002167685A patent/JP2004014047A/ja not_active Withdrawn
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