JP2004011612A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸発燃料の気筒間の分配特性の相違に起因して発生する失火等を防止することのできるエンジンの空燃比制御装置を提供する。
【解決手段】混合気中の燃料に占めるパージガスの量が所定以上であって、パージガスによる混合気への影響が大きいと判断した場合には、空燃比フィードバック制御のための目標空燃比を通常時よりもリッチ側の値に設定してエバポガスによる混合気への影響を相対的に減少させることにより、エバポガスの大量パージを維持しながら、失火等によるドライバビリティの悪化等を防止する。
【選択図】 図4
【解決手段】混合気中の燃料に占めるパージガスの量が所定以上であって、パージガスによる混合気への影響が大きいと判断した場合には、空燃比フィードバック制御のための目標空燃比を通常時よりもリッチ側の値に設定してエバポガスによる混合気への影響を相対的に減少させることにより、エバポガスの大量パージを維持しながら、失火等によるドライバビリティの悪化等を防止する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの空燃比制御装置に関し、特に燃料タンク等で発生しキャニスタに一時的に蓄えられた蒸発燃料をエンジンの運転状態に応じて吸気系にパージするエンジンの空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンにおいては、排気系における各気筒の集合部に設けられた空燃比センサ等からの信号に基づき、燃焼室に供給される混合ガスの空燃比が良好かつ効率の良い燃焼状態、例えば理論空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比制御装置が知られている。
【0003】
一方、これと合わせて燃料タンク内で発生するエバポを有効に燃焼させるため、燃料タンク内で発生したエバポを一旦キャニスタに蓄え、このキャニスタ内のエバポをエンジンの吸気系にパージし、通常の燃料と共に燃焼させるエバポパージ装置も利用されている。このエバポパージ装置は、一旦キャニスタに蓄えられたエバポを、所定のエンジン動作条件(パージ許可条件)の下で、キャニスタと吸気系の間に設けられたキャニスタパージコントロール(CPC)バルブを介して大気と共にエンジンの吸気系に導いて燃料と一緒に燃焼させるものである。CPCバルブは、例えば、エンジンの所定の動作条件に応じて決定されるデューティー比に基づいてその開閉制御が行われる。
【0004】
ところで、キャニスタパージによって各気筒に供給される蒸発燃料(エバポガス)の分配率には、種々の要因によってばらつきが発生する場合があり、これに起因して気筒毎の空燃比にばらつきが発生する場合がある。これに対処し、従来より、エバポガスの気筒間の分配率を均一化させるための種々の技術が提案されている。例えば、特開平9−21358号公報には、エンジン回転数がCPCバルブの駆動周期の整数倍と一致した場合にエバポガスが導入されにくい気筒が発生することに対処し、エンジン回転数が所定領域内にあり、且つ、その回転数の変動の度合いが所定の度合い以上であるとき、CPCバルブの作動周期をそれまでよりも短く補正制御する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エバポガスの気筒間の分配率の相違は各気筒への吸気系の流路抵抗の違い等に起因しても起こり得るため、たとえ上述のようにCPCバルブの作動周期を補正制御する等の対策を講じたとしても、エバポガスの各気筒への分配率を十分に均一化することは困難である。そして、夏場等にキャニスタ内に貯留されたエバポガスが多量にパージされ、パージされたエバポガスに対するフィードバック補正によって燃料噴射量が減量補正されると、パージガスの気筒間への分配率の相違が各気筒の空燃比に大きく影響し、場合によっては空燃比が相対的に極端にリーンとなる気筒が発生して失火等を引き起こす虞がある。
【0006】
なお、キャニスタ内に多量のエバポガスが貯えられた場合であっても、エバポガスのパージ量を制限することで気筒間の空燃比のばらつきを抑制することも考えられるが、パージ量を制限した場合、キャニスタ内のエバポガスを多量に大気開放しなければならなくなる虞があり、これによるフューエル臭の発生や燃費低下等の虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、蒸発燃料の気筒間の分配特性の相違に起因して発生する失火等を防止することのできるエンジンの空燃比制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明によるエンジンの空燃比制御装置は、キャニスタに貯留した燃料タンクからの蒸発燃料を吸気系にパージするエンジンの空燃比制御装置において、上記エンジンの排気系に設けられた空燃比検出手段の検出値に基づいてフィードバック補正係数を設定し、基本燃料噴射量を空燃比補正する空燃比補正手段と、上記吸気系への上記蒸発燃料のパージによって混合気中に占める上記蒸発燃料の量が所定以上となったとき、上記フィードバック補正係数を相対的にリッチ側に補正するパージ補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図面は本発明の実施の一形態に係わり、図1はエンジンの概略構成図、図2は電子制御系の回路構成図、図3は燃料噴射量設定ルーチンのフローチャート、図4は目標空燃比設定ルーチンのフローチャートである。
【0010】
図1において、符号1はエンジンであり、図においては水平対向4気筒型エンジンを示す。エンジン1のシリンダヘッド2に形成された各吸気ポート2aにインテークマニホルド3が連通され、インテークマニホルド3にエアチャンバ4を介してスロットルチャンバ5が連通され、スロットルチャンバ5上流側に吸気管6を介してエアクリーナ7が取付けられている。
【0011】
また、吸気管6のエアクリーナ7の直下流に、ホットワイヤ式あるいはホットフィルム式等の吸入空気量センサ8が介装され、さらに、スロットルチャンバ5に設けられたスロットルバルブ5aに、スロットル開度を検出するスロットル開度センサとスロットルバルブ全閉でONするアイドルスイッチとを内蔵したスロットルセンサ9が連設されている。
【0012】
また、スロットルバルブ5aの上流側と下流側とを連通するバイパス通路10に、アイドルスピードコントロール(ISC)バルブ11が介装され、インテークマニホルド3の各気筒の各吸気ポート2a直上流側に、インジェクタ12が臨まされている。さらに、先端を燃焼室に露呈する点火プラグ13aがシリンダヘッド2の各気筒毎に取付けられ、点火プラグ13aに連設される点火コイル13bにイグナイタ14が接続されている。
【0013】
インジェクタ12は、燃料供給路15を介して燃料タンク16に連通されており、この燃料タンク16内にはインタンク式の燃料ポンプ17が設けられている。燃料ポンプ17からの燃料は、燃料供給路15に介装された燃料フィルタ18を経てインジェクタ12、プレッシャレギュレータ19に圧送され、プレッシャレギュレータ19から燃料タンク16にリターンされてインジェクタ12への燃料圧力が所定の圧力に調圧される。
【0014】
燃料タンク16の上部には、フロートバルブからなるフューエルカットバルブ20が設けられ、このフューエルカットバルブ20から蒸発燃料パージ通路21が延出されている。蒸発燃料パージ通路21は吸気系(スロットルバルブ5a全閉状態でスロットルバルブ5aの直下流位置)に連通されるもので、その中途には、上流側から順に、2個のボールバルブと2ウエイバルブとが内蔵されたロールオーババルブ22と、活性炭等からなる吸着部を備えたキャニスタ23と、リニアソレノイドバルブ等からなるキャニスタパージコントロール(CPC)バルブ24とが介装されている。また、キャニスタ23の下流側には、エバポ濃度を特定すべく、蒸発燃料パージ通路21内の炭化水素(HC)濃度を検出するためのHCセンサ36が設けられている。
【0015】
燃料タンク16内で発生した蒸発燃料は、フューエルカットバルブ20により蒸発燃料パージ通路21への液体分の流入が阻止され、気体分のみが蒸発燃料パージ通路21へ放出される。そして、蒸発燃料パージ通路21へ放出された蒸発燃料ガスの圧力がロールオーババルブ22内の2ウエイバルブの設定圧を越えると、蒸発燃料ガスが2ウエイバルブを通ってキャニスタ23内の活性炭に吸着される。
【0016】
キャニスタ23内に貯えられた蒸発燃料ガスは、CPCバルブ24を介して吸気系に導かれ、エンジン1の燃焼室内に吸入される。尚、CPCバルブ24は、後述する電子制御装置(ECU;図2参照)40からの駆動信号のデューティ比に応じて弁開度が制御される。
【0017】
また、ロールオーババルブ22は、万一の場合の車輌横転に対して2個のボールバルブにより燃料タンク16からの燃料漏れを防止する安全装置の役目を果たすと同時に、通常時は2ウエイバルブとして働き、燃料タンク16の内圧が設定圧以上に高くなると、蒸発燃料ガスをキャニスタ23に解放し、逆に、燃料タンク16内が規定以上の負圧になると、キャニスタ23から大気を燃料タンク16内に導き、タンク内圧を常に所定範囲内に保って燃料タンク16の変形を防止するようになっている。
【0018】
一方、エンジン1のシリンダブロック1aにはノックセンサ25が取り付けられ、シリンダブロック1aの左右バンクを連通する冷却水通路26に冷却水温センサ27が臨まされている。さらに、シリンダヘッド2の排気ポート2bに連通するエグゾーストマニホルド28の集合部に、空燃比検出手段としての空燃比センサ29が臨まされ、この空燃比センサ29の下流側に触媒コンバータ30が介装されている。
【0019】
また、シリンダブロック1aに支承されたクランクシャフト1bに、クランクロータ31が軸着され、このクランクロータ31の外周に、所定のクランク角に対応する突起(あるいはスリット)を検出する磁気センサ(電磁ピックアップ等)あるいは光センサ等からなるクランク角センサ32が対設されている。さらに、シリンダヘッド2のカムシャフト1cにカムロータ33が連設され、このカムロータ33に、同じく磁気センサあるいは光センサ等からなる気筒判別用のカム角センサ34が対設されている。
【0020】
次に、エンジン1の電子制御を行う電子制御装置(ECU)40について説明する。ECU40は、図2に示すように、CPU41、ROM42、RAM43、バックアップRAM44、及び、I/Oインターフェース45がバスライン46を介して互いに接続されたマイクロコンピュータを中心として構成され、各部に安定化電圧を各部に供給する定電圧回路47、I/Oインターフェース45の出力ポートからの信号によりアクチュエータ類を駆動する駆動回路48、及び、センサ類からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器49等の周辺回路が組み込まれている。
【0021】
定電圧回路47は、ECUリレー50のリレー接点を介してバッテリ51に接続され、このバッテリ51に、ECUリレー50のリレーコイルがイグニッションスイッチ52を介して接続されている。また、定電圧回路47は、直接、バッテリ51に接続されており、イグニッションスイッチ52がONされてECUリレー50のリレー接点が閉となったとき、定電圧回路47から各部へ電源が供給される一方、イグニッションスイッチ52のON,OFFに拘らず、常時、バックアップRAM44にバックアップ用の電源が供給される。
【0022】
また、I/Oインターフェース45の入力ポートには、ノックセンサ25、クランク角センサ32、カム角センサ34、及び、車速センサ35が接続されるとともに、吸入空気量センサ8、スロットルセンサ9、冷却水温センサ27、空燃比センサ29、及び、HCセンサ36がA/D変換器49を介して接続され、さらに、A/D変換器49にバッテリ51からの電圧VBが入力されてモニタされる。
【0023】
一方、I/Oインターフェース45の出力ポートには、イグナイタ14が接続されるとともに、駆動回路48を介して、ISCバルブ11、インジェクタ12、CPCバルブ24、及び、図示しないインストルメントパネルに配設され、各種警報を集中して表示するMILランプ53が接続されている。
【0024】
ROM42には、エンジン制御プログラムや各種の故障診断プログラム、マップ類等の固定データが記憶されており、また、RAM43には、各センサ類、スイッチ類の出力信号を処理した後のデータ、及びCPU41で演算処理したデータが格納される。また、バックアップRAM44には、空燃比学習マップを初めとする各種制御用データ、自己診断機能により検出した故障部位に対応するトラブルデータ等がストアされ、イグニッションスイッチ52がOFFのときにもデータが保持される。
【0025】
ECU40は、ROM42に記憶されている制御プログラムに従って、CPU41で、燃料噴射量、点火時期、ISCバルブ11の駆動信号のデューティ比、CPCバルブ24の駆動信号のデューティ比等を演算し、空燃比フィードバック制御、点火時期制御、アイドル回転数制御、キャニスタパージ制御等の各種制御を行なうとともに、触媒劣化診断等の故障診断を行う。
【0026】
この場合、ECU40では、目標空燃比と空燃比センサ29で検出される実空燃比との比較に基づいてフィードバック補正係数を設定し、基本燃料噴射量を補正することで空燃比フィードバック制御を行う。その際、キャニスタパージ制御が行われると、ECU40では、混合気内の燃料に占めるエバポガスの量を調べ、エバポガスの量が所定以上となった場合には、空燃比フィードバック制御のための目標値(目標空燃比)を通常時(すなわち、燃料に占めるエバポガスの量が所定以下のとき)よりも相対的にリッチ側に設定することでフィードバック補正係数を相対的にリッチ側に補正する。すなわち、ECU40は、空燃比補正手段、及びパージ補正手段としての機能を有する。なお、本実施の形態において、通常時の目標空燃比は例えば理論空燃比(ストイキオ)に設定される。
【0027】
図3は、所定周期(所定時間)毎に繰り返される燃料噴射量設定ルーチンであり、先ず、ステップS101で、クランク角センサ32の出力信号に基づくエンジン回転数NEと、吸入空気量センサ8の出力信号に基づく吸入空気量Qとから、基本燃料噴射量(基本燃料噴射パルス幅)Tpを算出する(Tp=K×Q/NE;Kはインジェクタ特性補正量)。
【0028】
次に、ステップS102に進み、各種センサ出力等に基づいて、冷却水温補正、加減速補正、全開増量補正、アイドル後増量補正、エバポ減量補正等に係わる各種補正係数CTOTALを設定する。ここで、エバポ減量補正に係わるエバポ補正係数CEVAは、例えば、HCセンサ36を用いて検出されるエバポ濃度、CPCバルブ24への駆動信号のデューティ比、及び、吸入空気量Q等を用いて推定される混合気中の燃料に占めるエバポガスの量に基づいて設定される。
【0029】
続くステップS103では、後述する目標空燃比設定ルーチンによって設定される目標空燃比と実空燃比との比較に基づいてフィードバック補正係数LAMBDAを設定し、ステップS104に進む。具体的には、ステップS103では、目標空燃比に対応して設定されるスライスレベルSLと空燃比センサ29の出力電圧VO2との比較に基づく周知の方法によりフィードバック補正係数LAMBDAを設定する。
【0030】
ステップS104では、エンジン回転数NEと基本燃料噴射量Tpとをパラメータとして、バックアップRAM44の空燃比学習値マップにストアされている空燃比学習値KLRを検索し、吸入空気量センサ等の吸入空気量計測系やインジェクタ等の燃料補給系の生産時のばらつき、或いは経時変化による空燃比のずれを迅速に補正するための空燃比学習補正係数KBLRCを補間計算により設定し、ステップS105で、バッテリ51の端子電圧VBに基づきインジェクタ12の無効噴射時間を補間する電圧補正係数TSを設定する。
【0031】
その後、ステップS106に進み、ステップS101で算出した基本燃料噴射量Tpを、ステップS102で設定した各種補正係数CTOTAL及びステップS103で設定したフィードバック補正係数LAMBDAにより空燃比補正するとともに、ステップS104で設定した空燃比学習補正係数KBLRCにより学習補正し、さらに、ステップS105で設定した電圧補正係数TSにより電圧補正して最終的な燃料噴射量(燃料噴射パルス幅)Tiを設定する(Ti←Tp×CTOTAL×KBLRC×LAMBDA+TS)。
【0032】
そして、ステップS107で、燃料噴射パルス幅Tiをセットしてルーチンを抜ける。その結果、燃料噴射パルス幅Tiの駆動パルス信号が所定タイミングで該当気筒のインジェクタ12に出力され、燃料噴射パルス幅Tiに相応する量の燃料が噴射される。
【0033】
次に、図4は、所定周期(所定時間)毎に繰り返される目標空燃比設定ルーチンであり、先ず、ステップS201で、エバポ補正係数CEVAが所定値以上であるか否かを調べる。すなわち、ステップS201では、混合気中の燃料に占めるエバポガスの量が所定値以上であるか否かを調べることにより、現在のパージ量のエバポガスが各気筒に不等に分配された際に失火等が発生する可能性があるか否かを調べる。この場合の所定値は、予め実験等により求められるもので、例えば燃料に占めるエバポガスの比率が30%以上であるか否かを判定するための閾値に設定されている。
【0034】
そして、ステップS201においてエバポ補正係数CEVAが所定値以下であると判定された場合には、ステップS202に進み、空燃比フィードバック制御のための目標空燃比を通常時の目標空燃比である理論空燃比に設定した後、ルーチンを抜ける。
【0035】
一方、ステップS201においてエバポ補正係数CEVAが所定値よりも大きいと判定された場合には、ステップS203に進み、空燃比フィードバック制御のための目標空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の値に設定した後、ルーチンを抜ける。これにより、上述の燃料噴射量設定ルーチンでは、空燃比が通常時よりもリッチとなるよう空燃比補正(フィードバック補正)され、これにより、エバポガスによる混合気への影響が相対的に減少される。
【0036】
このような実施の形態によれば、混合気中の燃料に占めるパージガスの量が所定以上であって、パージガスによる混合気への影響が大きいと判断した場合には、空燃比フィードバック制御のための目標空燃比を通常時よりもリッチ側の値に設定してエバポガスによる混合気への影響を相対的に減少させることにより、エバポガスの大量パージを維持しながら、失火等によるドライバビリティの悪化等を防止することができる。従って、エバポガスの大気解放によるフューエル臭の発生や燃費低下等を効果的に防止することができる。
【0037】
なお、上述の実施の形態では、混合気中の燃料に占める蒸発燃料の量が所定以上となったとき、目標空燃比をリッチ側に補正することで間接的にフィードバック補正係数をリッチ側に補正する一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、混合気中の燃料に占める蒸発燃料の量が所定以上となったとき、通常時の目標空燃比に基づき算出されたフィードバック補正係数に所定値を加算することでフィードバック補正係数をリッチ側に補正してもよい。
【0038】
また、エバポ濃度は、外気温度、燃料タンク内圧力、燃料温度等に基づいて周知の方法で推定してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、多量のエバポをパージすることにより蒸発燃料の気筒間の分配特性の相違が各気筒の空燃比に強く影響する場合にも、空燃比が極端にリーンな気筒を発生させることを防止することができ、失火等を防止することのがきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの概略構成図
【図2】電子制御系の回路構成図
【図3】燃料噴射量設定ルーチンのフローチャート
【図4】目標空燃比設定ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 … エンジン
3 … インテークマニホルド(吸気系)
4 … エアチャンバ(吸気系)
5 … スロットルチャンバ(吸気系)
16 … 燃料タンク
23 … キャニスタ
28 … エグゾーストマニホルド(排気系)
29 … 空燃比センサ(空燃比検出手段)
40 … 電子制御装置(空燃比補正手段、パージ補正手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの空燃比制御装置に関し、特に燃料タンク等で発生しキャニスタに一時的に蓄えられた蒸発燃料をエンジンの運転状態に応じて吸気系にパージするエンジンの空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンにおいては、排気系における各気筒の集合部に設けられた空燃比センサ等からの信号に基づき、燃焼室に供給される混合ガスの空燃比が良好かつ効率の良い燃焼状態、例えば理論空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比制御装置が知られている。
【0003】
一方、これと合わせて燃料タンク内で発生するエバポを有効に燃焼させるため、燃料タンク内で発生したエバポを一旦キャニスタに蓄え、このキャニスタ内のエバポをエンジンの吸気系にパージし、通常の燃料と共に燃焼させるエバポパージ装置も利用されている。このエバポパージ装置は、一旦キャニスタに蓄えられたエバポを、所定のエンジン動作条件(パージ許可条件)の下で、キャニスタと吸気系の間に設けられたキャニスタパージコントロール(CPC)バルブを介して大気と共にエンジンの吸気系に導いて燃料と一緒に燃焼させるものである。CPCバルブは、例えば、エンジンの所定の動作条件に応じて決定されるデューティー比に基づいてその開閉制御が行われる。
【0004】
ところで、キャニスタパージによって各気筒に供給される蒸発燃料(エバポガス)の分配率には、種々の要因によってばらつきが発生する場合があり、これに起因して気筒毎の空燃比にばらつきが発生する場合がある。これに対処し、従来より、エバポガスの気筒間の分配率を均一化させるための種々の技術が提案されている。例えば、特開平9−21358号公報には、エンジン回転数がCPCバルブの駆動周期の整数倍と一致した場合にエバポガスが導入されにくい気筒が発生することに対処し、エンジン回転数が所定領域内にあり、且つ、その回転数の変動の度合いが所定の度合い以上であるとき、CPCバルブの作動周期をそれまでよりも短く補正制御する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エバポガスの気筒間の分配率の相違は各気筒への吸気系の流路抵抗の違い等に起因しても起こり得るため、たとえ上述のようにCPCバルブの作動周期を補正制御する等の対策を講じたとしても、エバポガスの各気筒への分配率を十分に均一化することは困難である。そして、夏場等にキャニスタ内に貯留されたエバポガスが多量にパージされ、パージされたエバポガスに対するフィードバック補正によって燃料噴射量が減量補正されると、パージガスの気筒間への分配率の相違が各気筒の空燃比に大きく影響し、場合によっては空燃比が相対的に極端にリーンとなる気筒が発生して失火等を引き起こす虞がある。
【0006】
なお、キャニスタ内に多量のエバポガスが貯えられた場合であっても、エバポガスのパージ量を制限することで気筒間の空燃比のばらつきを抑制することも考えられるが、パージ量を制限した場合、キャニスタ内のエバポガスを多量に大気開放しなければならなくなる虞があり、これによるフューエル臭の発生や燃費低下等の虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、蒸発燃料の気筒間の分配特性の相違に起因して発生する失火等を防止することのできるエンジンの空燃比制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明によるエンジンの空燃比制御装置は、キャニスタに貯留した燃料タンクからの蒸発燃料を吸気系にパージするエンジンの空燃比制御装置において、上記エンジンの排気系に設けられた空燃比検出手段の検出値に基づいてフィードバック補正係数を設定し、基本燃料噴射量を空燃比補正する空燃比補正手段と、上記吸気系への上記蒸発燃料のパージによって混合気中に占める上記蒸発燃料の量が所定以上となったとき、上記フィードバック補正係数を相対的にリッチ側に補正するパージ補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図面は本発明の実施の一形態に係わり、図1はエンジンの概略構成図、図2は電子制御系の回路構成図、図3は燃料噴射量設定ルーチンのフローチャート、図4は目標空燃比設定ルーチンのフローチャートである。
【0010】
図1において、符号1はエンジンであり、図においては水平対向4気筒型エンジンを示す。エンジン1のシリンダヘッド2に形成された各吸気ポート2aにインテークマニホルド3が連通され、インテークマニホルド3にエアチャンバ4を介してスロットルチャンバ5が連通され、スロットルチャンバ5上流側に吸気管6を介してエアクリーナ7が取付けられている。
【0011】
また、吸気管6のエアクリーナ7の直下流に、ホットワイヤ式あるいはホットフィルム式等の吸入空気量センサ8が介装され、さらに、スロットルチャンバ5に設けられたスロットルバルブ5aに、スロットル開度を検出するスロットル開度センサとスロットルバルブ全閉でONするアイドルスイッチとを内蔵したスロットルセンサ9が連設されている。
【0012】
また、スロットルバルブ5aの上流側と下流側とを連通するバイパス通路10に、アイドルスピードコントロール(ISC)バルブ11が介装され、インテークマニホルド3の各気筒の各吸気ポート2a直上流側に、インジェクタ12が臨まされている。さらに、先端を燃焼室に露呈する点火プラグ13aがシリンダヘッド2の各気筒毎に取付けられ、点火プラグ13aに連設される点火コイル13bにイグナイタ14が接続されている。
【0013】
インジェクタ12は、燃料供給路15を介して燃料タンク16に連通されており、この燃料タンク16内にはインタンク式の燃料ポンプ17が設けられている。燃料ポンプ17からの燃料は、燃料供給路15に介装された燃料フィルタ18を経てインジェクタ12、プレッシャレギュレータ19に圧送され、プレッシャレギュレータ19から燃料タンク16にリターンされてインジェクタ12への燃料圧力が所定の圧力に調圧される。
【0014】
燃料タンク16の上部には、フロートバルブからなるフューエルカットバルブ20が設けられ、このフューエルカットバルブ20から蒸発燃料パージ通路21が延出されている。蒸発燃料パージ通路21は吸気系(スロットルバルブ5a全閉状態でスロットルバルブ5aの直下流位置)に連通されるもので、その中途には、上流側から順に、2個のボールバルブと2ウエイバルブとが内蔵されたロールオーババルブ22と、活性炭等からなる吸着部を備えたキャニスタ23と、リニアソレノイドバルブ等からなるキャニスタパージコントロール(CPC)バルブ24とが介装されている。また、キャニスタ23の下流側には、エバポ濃度を特定すべく、蒸発燃料パージ通路21内の炭化水素(HC)濃度を検出するためのHCセンサ36が設けられている。
【0015】
燃料タンク16内で発生した蒸発燃料は、フューエルカットバルブ20により蒸発燃料パージ通路21への液体分の流入が阻止され、気体分のみが蒸発燃料パージ通路21へ放出される。そして、蒸発燃料パージ通路21へ放出された蒸発燃料ガスの圧力がロールオーババルブ22内の2ウエイバルブの設定圧を越えると、蒸発燃料ガスが2ウエイバルブを通ってキャニスタ23内の活性炭に吸着される。
【0016】
キャニスタ23内に貯えられた蒸発燃料ガスは、CPCバルブ24を介して吸気系に導かれ、エンジン1の燃焼室内に吸入される。尚、CPCバルブ24は、後述する電子制御装置(ECU;図2参照)40からの駆動信号のデューティ比に応じて弁開度が制御される。
【0017】
また、ロールオーババルブ22は、万一の場合の車輌横転に対して2個のボールバルブにより燃料タンク16からの燃料漏れを防止する安全装置の役目を果たすと同時に、通常時は2ウエイバルブとして働き、燃料タンク16の内圧が設定圧以上に高くなると、蒸発燃料ガスをキャニスタ23に解放し、逆に、燃料タンク16内が規定以上の負圧になると、キャニスタ23から大気を燃料タンク16内に導き、タンク内圧を常に所定範囲内に保って燃料タンク16の変形を防止するようになっている。
【0018】
一方、エンジン1のシリンダブロック1aにはノックセンサ25が取り付けられ、シリンダブロック1aの左右バンクを連通する冷却水通路26に冷却水温センサ27が臨まされている。さらに、シリンダヘッド2の排気ポート2bに連通するエグゾーストマニホルド28の集合部に、空燃比検出手段としての空燃比センサ29が臨まされ、この空燃比センサ29の下流側に触媒コンバータ30が介装されている。
【0019】
また、シリンダブロック1aに支承されたクランクシャフト1bに、クランクロータ31が軸着され、このクランクロータ31の外周に、所定のクランク角に対応する突起(あるいはスリット)を検出する磁気センサ(電磁ピックアップ等)あるいは光センサ等からなるクランク角センサ32が対設されている。さらに、シリンダヘッド2のカムシャフト1cにカムロータ33が連設され、このカムロータ33に、同じく磁気センサあるいは光センサ等からなる気筒判別用のカム角センサ34が対設されている。
【0020】
次に、エンジン1の電子制御を行う電子制御装置(ECU)40について説明する。ECU40は、図2に示すように、CPU41、ROM42、RAM43、バックアップRAM44、及び、I/Oインターフェース45がバスライン46を介して互いに接続されたマイクロコンピュータを中心として構成され、各部に安定化電圧を各部に供給する定電圧回路47、I/Oインターフェース45の出力ポートからの信号によりアクチュエータ類を駆動する駆動回路48、及び、センサ類からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器49等の周辺回路が組み込まれている。
【0021】
定電圧回路47は、ECUリレー50のリレー接点を介してバッテリ51に接続され、このバッテリ51に、ECUリレー50のリレーコイルがイグニッションスイッチ52を介して接続されている。また、定電圧回路47は、直接、バッテリ51に接続されており、イグニッションスイッチ52がONされてECUリレー50のリレー接点が閉となったとき、定電圧回路47から各部へ電源が供給される一方、イグニッションスイッチ52のON,OFFに拘らず、常時、バックアップRAM44にバックアップ用の電源が供給される。
【0022】
また、I/Oインターフェース45の入力ポートには、ノックセンサ25、クランク角センサ32、カム角センサ34、及び、車速センサ35が接続されるとともに、吸入空気量センサ8、スロットルセンサ9、冷却水温センサ27、空燃比センサ29、及び、HCセンサ36がA/D変換器49を介して接続され、さらに、A/D変換器49にバッテリ51からの電圧VBが入力されてモニタされる。
【0023】
一方、I/Oインターフェース45の出力ポートには、イグナイタ14が接続されるとともに、駆動回路48を介して、ISCバルブ11、インジェクタ12、CPCバルブ24、及び、図示しないインストルメントパネルに配設され、各種警報を集中して表示するMILランプ53が接続されている。
【0024】
ROM42には、エンジン制御プログラムや各種の故障診断プログラム、マップ類等の固定データが記憶されており、また、RAM43には、各センサ類、スイッチ類の出力信号を処理した後のデータ、及びCPU41で演算処理したデータが格納される。また、バックアップRAM44には、空燃比学習マップを初めとする各種制御用データ、自己診断機能により検出した故障部位に対応するトラブルデータ等がストアされ、イグニッションスイッチ52がOFFのときにもデータが保持される。
【0025】
ECU40は、ROM42に記憶されている制御プログラムに従って、CPU41で、燃料噴射量、点火時期、ISCバルブ11の駆動信号のデューティ比、CPCバルブ24の駆動信号のデューティ比等を演算し、空燃比フィードバック制御、点火時期制御、アイドル回転数制御、キャニスタパージ制御等の各種制御を行なうとともに、触媒劣化診断等の故障診断を行う。
【0026】
この場合、ECU40では、目標空燃比と空燃比センサ29で検出される実空燃比との比較に基づいてフィードバック補正係数を設定し、基本燃料噴射量を補正することで空燃比フィードバック制御を行う。その際、キャニスタパージ制御が行われると、ECU40では、混合気内の燃料に占めるエバポガスの量を調べ、エバポガスの量が所定以上となった場合には、空燃比フィードバック制御のための目標値(目標空燃比)を通常時(すなわち、燃料に占めるエバポガスの量が所定以下のとき)よりも相対的にリッチ側に設定することでフィードバック補正係数を相対的にリッチ側に補正する。すなわち、ECU40は、空燃比補正手段、及びパージ補正手段としての機能を有する。なお、本実施の形態において、通常時の目標空燃比は例えば理論空燃比(ストイキオ)に設定される。
【0027】
図3は、所定周期(所定時間)毎に繰り返される燃料噴射量設定ルーチンであり、先ず、ステップS101で、クランク角センサ32の出力信号に基づくエンジン回転数NEと、吸入空気量センサ8の出力信号に基づく吸入空気量Qとから、基本燃料噴射量(基本燃料噴射パルス幅)Tpを算出する(Tp=K×Q/NE;Kはインジェクタ特性補正量)。
【0028】
次に、ステップS102に進み、各種センサ出力等に基づいて、冷却水温補正、加減速補正、全開増量補正、アイドル後増量補正、エバポ減量補正等に係わる各種補正係数CTOTALを設定する。ここで、エバポ減量補正に係わるエバポ補正係数CEVAは、例えば、HCセンサ36を用いて検出されるエバポ濃度、CPCバルブ24への駆動信号のデューティ比、及び、吸入空気量Q等を用いて推定される混合気中の燃料に占めるエバポガスの量に基づいて設定される。
【0029】
続くステップS103では、後述する目標空燃比設定ルーチンによって設定される目標空燃比と実空燃比との比較に基づいてフィードバック補正係数LAMBDAを設定し、ステップS104に進む。具体的には、ステップS103では、目標空燃比に対応して設定されるスライスレベルSLと空燃比センサ29の出力電圧VO2との比較に基づく周知の方法によりフィードバック補正係数LAMBDAを設定する。
【0030】
ステップS104では、エンジン回転数NEと基本燃料噴射量Tpとをパラメータとして、バックアップRAM44の空燃比学習値マップにストアされている空燃比学習値KLRを検索し、吸入空気量センサ等の吸入空気量計測系やインジェクタ等の燃料補給系の生産時のばらつき、或いは経時変化による空燃比のずれを迅速に補正するための空燃比学習補正係数KBLRCを補間計算により設定し、ステップS105で、バッテリ51の端子電圧VBに基づきインジェクタ12の無効噴射時間を補間する電圧補正係数TSを設定する。
【0031】
その後、ステップS106に進み、ステップS101で算出した基本燃料噴射量Tpを、ステップS102で設定した各種補正係数CTOTAL及びステップS103で設定したフィードバック補正係数LAMBDAにより空燃比補正するとともに、ステップS104で設定した空燃比学習補正係数KBLRCにより学習補正し、さらに、ステップS105で設定した電圧補正係数TSにより電圧補正して最終的な燃料噴射量(燃料噴射パルス幅)Tiを設定する(Ti←Tp×CTOTAL×KBLRC×LAMBDA+TS)。
【0032】
そして、ステップS107で、燃料噴射パルス幅Tiをセットしてルーチンを抜ける。その結果、燃料噴射パルス幅Tiの駆動パルス信号が所定タイミングで該当気筒のインジェクタ12に出力され、燃料噴射パルス幅Tiに相応する量の燃料が噴射される。
【0033】
次に、図4は、所定周期(所定時間)毎に繰り返される目標空燃比設定ルーチンであり、先ず、ステップS201で、エバポ補正係数CEVAが所定値以上であるか否かを調べる。すなわち、ステップS201では、混合気中の燃料に占めるエバポガスの量が所定値以上であるか否かを調べることにより、現在のパージ量のエバポガスが各気筒に不等に分配された際に失火等が発生する可能性があるか否かを調べる。この場合の所定値は、予め実験等により求められるもので、例えば燃料に占めるエバポガスの比率が30%以上であるか否かを判定するための閾値に設定されている。
【0034】
そして、ステップS201においてエバポ補正係数CEVAが所定値以下であると判定された場合には、ステップS202に進み、空燃比フィードバック制御のための目標空燃比を通常時の目標空燃比である理論空燃比に設定した後、ルーチンを抜ける。
【0035】
一方、ステップS201においてエバポ補正係数CEVAが所定値よりも大きいと判定された場合には、ステップS203に進み、空燃比フィードバック制御のための目標空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の値に設定した後、ルーチンを抜ける。これにより、上述の燃料噴射量設定ルーチンでは、空燃比が通常時よりもリッチとなるよう空燃比補正(フィードバック補正)され、これにより、エバポガスによる混合気への影響が相対的に減少される。
【0036】
このような実施の形態によれば、混合気中の燃料に占めるパージガスの量が所定以上であって、パージガスによる混合気への影響が大きいと判断した場合には、空燃比フィードバック制御のための目標空燃比を通常時よりもリッチ側の値に設定してエバポガスによる混合気への影響を相対的に減少させることにより、エバポガスの大量パージを維持しながら、失火等によるドライバビリティの悪化等を防止することができる。従って、エバポガスの大気解放によるフューエル臭の発生や燃費低下等を効果的に防止することができる。
【0037】
なお、上述の実施の形態では、混合気中の燃料に占める蒸発燃料の量が所定以上となったとき、目標空燃比をリッチ側に補正することで間接的にフィードバック補正係数をリッチ側に補正する一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、混合気中の燃料に占める蒸発燃料の量が所定以上となったとき、通常時の目標空燃比に基づき算出されたフィードバック補正係数に所定値を加算することでフィードバック補正係数をリッチ側に補正してもよい。
【0038】
また、エバポ濃度は、外気温度、燃料タンク内圧力、燃料温度等に基づいて周知の方法で推定してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、多量のエバポをパージすることにより蒸発燃料の気筒間の分配特性の相違が各気筒の空燃比に強く影響する場合にも、空燃比が極端にリーンな気筒を発生させることを防止することができ、失火等を防止することのがきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの概略構成図
【図2】電子制御系の回路構成図
【図3】燃料噴射量設定ルーチンのフローチャート
【図4】目標空燃比設定ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 … エンジン
3 … インテークマニホルド(吸気系)
4 … エアチャンバ(吸気系)
5 … スロットルチャンバ(吸気系)
16 … 燃料タンク
23 … キャニスタ
28 … エグゾーストマニホルド(排気系)
29 … 空燃比センサ(空燃比検出手段)
40 … 電子制御装置(空燃比補正手段、パージ補正手段)
Claims (1)
- キャニスタに貯留した燃料タンクからの蒸発燃料を吸気系にパージするエンジンの空燃比制御装置において、
上記エンジンの排気系に設けられた空燃比検出手段の検出値に基づいてフィードバック補正係数を設定し、基本燃料噴射量を空燃比補正する空燃比補正手段と、
上記吸気系への上記蒸発燃料のパージによって混合気中に占める上記蒸発燃料の量が所定以上となったとき、上記フィードバック補正係数を相対的にリッチ側に補正するパージ補正手段とを備えたことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
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JP2002170249A JP2004011612A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | エンジンの空燃比制御装置 |
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Cited By (1)
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-
2002
- 2002-06-11 JP JP2002170249A patent/JP2004011612A/ja active Pending
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US7273043B2 (en) | 2004-06-15 | 2007-09-25 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control device of internal combustion engine |
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