JP2004011459A - 舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置とその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短い水吸入経路内に空気が混入し、出力軸にかかる負荷が急激に減少する場合でも、過大な負荷空間や負荷重量を必要とせずに、かつ出力タービンの高い応答性を維持したまま、出力タービンの過回転(オーバースピード)を効果的に防止できる舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置とその方法を提供する。
【解決手段】出力タービン6がフリータービンであり、圧縮機、燃焼器、タービンからなるガスタービン主機5の排気ガスで出力タービンを回転駆動する舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置であって、出力タービン6の回転速度Nを検出する速度センサ12と、検出された回転速度Nの加速率の大きさによりガスタービン主機5の燃料流量を制御する過回転制御装置14とを備え、急激な負荷減少を出力タービンの上昇加速度により判断し過回転を防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】出力タービン6がフリータービンであり、圧縮機、燃焼器、タービンからなるガスタービン主機5の排気ガスで出力タービンを回転駆動する舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置であって、出力タービン6の回転速度Nを検出する速度センサ12と、検出された回転速度Nの加速率の大きさによりガスタービン主機5の燃料流量を制御する過回転制御装置14とを備え、急激な負荷減少を出力タービンの上昇加速度により判断し過回転を防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置とその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、ウォータジェット高速艇の模式図である。ウォータジェット高速艇とは、船外から低速で水を取り入れ、水ポンプ1でエネルギを与えて高速で後方へ噴出させ、そのとき働く推力によって推進する高速艇である。水ポンプ1には、斜流ポンプや軸流ポンプが用いられる。
【0003】
ウォータジェット高速艇に用いられる推進装置は、原動機からの動力を水ポンプ1の羽根車1a(インペラ)に伝達するインペラ駆動軸2、ノズル3等から構成される。船底の吸入口から取り入れた水(海水)は吸入管路部4を通って、インペラ1aで旋回流のエネルギが与えられ、その旋回流は案内羽根1b(ディフーザ)によって軸方向に整流され、ノズル3から後方へ噴出され、その反力が船体の推進力となる。
【0004】
さらに、図示しないノズル部にデフレクタやリバーサを設け、ジェット噴流の向きを変えて、船の推進方向を舵なしで変えたり、後退や停止状態に保持することもできるようになっている。
【0005】
上述したウォータジェット推進装置を用いた高速艇では、図4に示すように、原動機として2軸型ガスタービンが用いられる。この2軸型ガスタービンは、出力タービン6がフリータービンであり、圧縮機5a、燃焼器5b、タービン5cからなるガスタービン主機5の排気ガスで出力タービン6を回転駆動し、インペラ駆動軸2に動力を伝達するようになっている。この2軸型ガスタービンは、出力タービン6の速度制御範囲が広く、かつ応答性が高い、等の特徴を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したウォータジェット推進装置に用いる2軸型ガスタービンにおいて、海水吸入口に空気が混入すると、出力軸にかかる負荷が急激に減少する。この場合、2軸型ガスタービンの出力タービン6がフリータービンのため、ガスタービン出力を速やかに低減させないと過回転(オーバースピード)となり、過回転となった場合は、出力タービンや水ポンプなどの点検を通常の点検期間を待たずに行う必要があり、点検コストが増加ずる問題が生じる。
【0007】
この問題を解決するために、従来は、いくつかの手段が提案され適用されていた。
第1の手段は、海水吸入経路(吸入管路部4)内に圧力センサを設置し、圧力の変化を監視して負荷抜けを予測するものである。しかし、この手段は、水吸入経路が十分長いか、速度が遅い場合にしか、機能を十分に発揮できず、高速艇で吸入経路が短い場合には、圧力変化を認識して出力を下げても、出力タービン6の過回転(オーバースピード)を防止できなかった。
【0008】
また、第2の手段は、出力軸にフライホイールを取り付け、急激な負荷変動を抑制するものである。この手段は、過回転(オーバースピード)を防止できるが、その反面、出力タービン6の応答性が低下するばかりでなく、フライホイールを設置するには十分な空間と重量的余裕が必要となり、高速艇の動特性が低下する問題点がある。
【0009】
本発明は上述した種々の問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、短い水吸入経路内に空気が混入し、出力軸にかかる負荷が急激に減少する場合でも、過大な負荷空間や負荷重量を必要とせずに、かつ出力タービンの高い応答性を維持したまま、出力タービンの過回転(オーバースピード)を効果的に防止できる舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置とその方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、出力タービン(6)がフリータービンであり、圧縮機(5a)、燃焼器(5b)、タービン(5c)からなるガスタービン主機(5)の排気ガスで出力タービンを回転駆動する舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置であって、出力タービン(6)の回転速度Nを検出する速度センサ(12)と、検出された回転速度Nの加速率の大きさによりガスタービン主機(5)の燃料流量を制御する過回転制御装置(14)とを備え、急激な負荷減少を出力タービンの上昇加速度により判断し過回転を防止する、ことを特徴とする舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、出力タービン(6)がフリータービンであり、圧縮機(5a)、燃焼器(5b)、タービン(5c)からなるガスタービン主機(5)の排気ガスで出力タービンを回転駆動する舶用2軸型ガスタービンの過回転防止方法であって、出力タービン(6)の回転速度Nを10msec以下の短い周期でサンプリングし、今回値−前回値の差分ΔNが正であり、かつ所定のしきい値を超える場合にガスタービン主機(5)の燃料流量を急減又は遮断し、これにより出力タービンの過回転を防止する、ことを特徴とする舶用2軸型ガスタービンの過回転防止方法が提供される。
【0012】
上記本発明の装置及び方法は、急激な負荷の減少を出力タービンの上昇レートにより判断し、過回転を防止させるものである。すなわち、例えばウォータジェット推進装置に空気が混入し、負荷抜けが生じた場合、ガスタービンが運転中であれば、出力タービンは急激な加速度を持って上昇するが、本発明では出力タービンの上昇加速度から負荷抜けを類推してガスタービン主機の燃料流量を急減又は遮断し、これにより出力タービンの過回転を防止する。
【0013】
また、ガスタービン主機の出力タービン回転数を10msec以下の短い周期でサンプリングし、前回値と今回値の差が正方向で一定値以上(今回計測回転数−前回計測回転数)(しきい値)になれば、負荷抜けが発生したと認識し、出力を低減若しくはガスタービン主機を停止させるので、負荷抜けを早期に検知して出力タービンの過回転を防止することができる
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付して使用する。
【0015】
図1は、本発明の過回転防止装置を備えたウォータジェット高速艇の模式図である。この図において、舶用2軸型ガスタービンは、出力タービン6がフリータービンであり、圧縮機5a、燃焼器5b、タービン5cからなるガスタービン主機5の排気ガスで出力タービン6を回転し、ウォータジェット推進装置のインペラ駆動軸2を回転駆動する。船底の吸入口から取り入れた水(海水)は吸入管路部4を通って、インペラ1aで旋回流のエネルギが与えられ、その旋回流は案内羽根1b(ディフーザ)によって軸方向に整流され、ノズル3から後方へ噴出され、その反力で船体が推進するようになっている。
なお後述する例では、2台のガスタービン主機5及び出力タービン6により、2台のウォータジェット推進装置を並列に運転するようになっている。
【0016】
本発明の過回転防止装置10は、速度センサ12と過回転制御装置14を備える。速度センサ12は、インペラ駆動軸2に隣接して設けられた非接触式又は接触式のセンサであり、出力タービン6の回転速度Nを検出する。この検出は連続的に常時行っても、10msec以下の短い周期でサンプリングしてもよい。
過回転制御装置14は、検出された回転速度Nの加速率の大きさを演算し、その大きさにより、燃料制御弁11a及び燃料遮断弁11bにより、ガスタービン主機5の燃料流量を制御するようになっている。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
図2は、本発明の過回転制御方法の制御ブロック図である。この例では、2台の出力タービン6の回転数(回転速度N1,N2)が10msec以下の短い周期Δtで同時にサンプリングされ、HSS(高値信号選択器)で、高い方の値N(N1またはN2)が選択される。
【0018】
加速率演算器S1で、今回計測値−前回計測値の差分ΔNを演算し、回転速度Nの加速率dN/dt(=ΔN/Δt)を所定のしきい値(3100rpm/sec、5000rpm/sec)と比較する。また並行して回転速度Nを運転中の出力タービン6の最低速度(5200rpm)と比較する。
【0019】
ガスタービンが運転中(Nが5200rpm以上)であり、かつ加速率=ΔN/Δtが3100rpm/sec以上の場合には、燃料流量を絞る必要がある「加速率大」信号を出力する。また、ガスタービンが運転中(Nが5200rpm以上)であり、かつ加速率=ΔN/Δtが5000rpm/sec以上の場合には、緊急遮断が必要な「加速率過大/トリップ」信号を出力する。
ただし、ノイズなどの対策として連続3回同様の事象が発生したときにのみ動作するように設定するのがよい。
【0020】
「加速率大」信号が出力されると、出力切替器S2が定格(100%)から最小(13.83%)に切替えらえ、LSS(低値信号選択器)により、ガスゼネレータ回転数制御、出力タービン入口ガス温度制御、圧縮機吐出圧力制御のうち最も低い設定流量が出力され、燃料制御弁11aの開度がこの減速流量に制御される。なおこの場合には、ガスタービンは急減速した後、「加速率大」信号がリセットされた後に元の速度に復帰する。
【0021】
また、「加速率過大/トリップ」信号が出力されると、燃料遮断弁11bが閉鎖され、燃焼器への燃料供給が停止して、ガスタービンが急減速し停止する。
【0022】
図3は、本発明の実施例を示すシムレーション結果である。この図において、(A)は回転速度Nの大きさのみで制御した従来例、(B)は本発明の例である。また各図において、横軸は時間、縦軸は実線が回転速度N、破線が回転速度Nの加速率dN/dtである。
図3(A)から、回転速度Nの大きさのみの制御では、出力タービン6の回転速度Nが最高回転数が約7800rpmまで達しており、このタービンの場合、過回転(オーバースピード)であり機器の点検を通常の点検期間を待たずに行う必要がある。
これに対して本発明の図3(B)では、同一条件で、最高回転数が約7600rpmまで低減できることがわかる。
【0023】
上述したように、本発明の装置及び方法によれば、例えばウォータジェット推進装置に空気が混入し、負荷抜けが生じた場合でも、出力を低減若しくはガスタービン主機を停止させるので、負荷抜けを早期に検知して出力タービンの過回転を防止することができる。
【0024】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更できることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
上述したように、本発明の舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置とその方法は、短い水吸入経路内に空気が混入し、出力軸にかかる負荷が急激に減少する場合でも、過大な負荷空間や負荷重量を必要とせずに、かつ出力タービンの高い応答性を維持したまま、出力タービンの過回転(オーバースピード)を効果的に防止できる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の過回転防止装置を備えたウォータジェット高速艇の模式図である。
【図2】本発明の過回転制御方法の制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施例を示すシムレーション結果である。
【図4】従来のウォータジェット高速艇の模式図である。
【符号の説明】
1 水ポンプ、1a インペラ、1b 案内羽根(ディフーザ)、
2 インペラ駆動軸、3 ノズル、4 吸入管路部、
5 ガスタービン主機、5a 圧縮機、5b 燃焼器、
5c タービン、6 出力タービン、
10 過回転防止装置、
11a 燃料制御弁、11b 燃料遮断弁、
12 速度センサ、14 過回転制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置とその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、ウォータジェット高速艇の模式図である。ウォータジェット高速艇とは、船外から低速で水を取り入れ、水ポンプ1でエネルギを与えて高速で後方へ噴出させ、そのとき働く推力によって推進する高速艇である。水ポンプ1には、斜流ポンプや軸流ポンプが用いられる。
【0003】
ウォータジェット高速艇に用いられる推進装置は、原動機からの動力を水ポンプ1の羽根車1a(インペラ)に伝達するインペラ駆動軸2、ノズル3等から構成される。船底の吸入口から取り入れた水(海水)は吸入管路部4を通って、インペラ1aで旋回流のエネルギが与えられ、その旋回流は案内羽根1b(ディフーザ)によって軸方向に整流され、ノズル3から後方へ噴出され、その反力が船体の推進力となる。
【0004】
さらに、図示しないノズル部にデフレクタやリバーサを設け、ジェット噴流の向きを変えて、船の推進方向を舵なしで変えたり、後退や停止状態に保持することもできるようになっている。
【0005】
上述したウォータジェット推進装置を用いた高速艇では、図4に示すように、原動機として2軸型ガスタービンが用いられる。この2軸型ガスタービンは、出力タービン6がフリータービンであり、圧縮機5a、燃焼器5b、タービン5cからなるガスタービン主機5の排気ガスで出力タービン6を回転駆動し、インペラ駆動軸2に動力を伝達するようになっている。この2軸型ガスタービンは、出力タービン6の速度制御範囲が広く、かつ応答性が高い、等の特徴を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したウォータジェット推進装置に用いる2軸型ガスタービンにおいて、海水吸入口に空気が混入すると、出力軸にかかる負荷が急激に減少する。この場合、2軸型ガスタービンの出力タービン6がフリータービンのため、ガスタービン出力を速やかに低減させないと過回転(オーバースピード)となり、過回転となった場合は、出力タービンや水ポンプなどの点検を通常の点検期間を待たずに行う必要があり、点検コストが増加ずる問題が生じる。
【0007】
この問題を解決するために、従来は、いくつかの手段が提案され適用されていた。
第1の手段は、海水吸入経路(吸入管路部4)内に圧力センサを設置し、圧力の変化を監視して負荷抜けを予測するものである。しかし、この手段は、水吸入経路が十分長いか、速度が遅い場合にしか、機能を十分に発揮できず、高速艇で吸入経路が短い場合には、圧力変化を認識して出力を下げても、出力タービン6の過回転(オーバースピード)を防止できなかった。
【0008】
また、第2の手段は、出力軸にフライホイールを取り付け、急激な負荷変動を抑制するものである。この手段は、過回転(オーバースピード)を防止できるが、その反面、出力タービン6の応答性が低下するばかりでなく、フライホイールを設置するには十分な空間と重量的余裕が必要となり、高速艇の動特性が低下する問題点がある。
【0009】
本発明は上述した種々の問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、短い水吸入経路内に空気が混入し、出力軸にかかる負荷が急激に減少する場合でも、過大な負荷空間や負荷重量を必要とせずに、かつ出力タービンの高い応答性を維持したまま、出力タービンの過回転(オーバースピード)を効果的に防止できる舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置とその方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、出力タービン(6)がフリータービンであり、圧縮機(5a)、燃焼器(5b)、タービン(5c)からなるガスタービン主機(5)の排気ガスで出力タービンを回転駆動する舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置であって、出力タービン(6)の回転速度Nを検出する速度センサ(12)と、検出された回転速度Nの加速率の大きさによりガスタービン主機(5)の燃料流量を制御する過回転制御装置(14)とを備え、急激な負荷減少を出力タービンの上昇加速度により判断し過回転を防止する、ことを特徴とする舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、出力タービン(6)がフリータービンであり、圧縮機(5a)、燃焼器(5b)、タービン(5c)からなるガスタービン主機(5)の排気ガスで出力タービンを回転駆動する舶用2軸型ガスタービンの過回転防止方法であって、出力タービン(6)の回転速度Nを10msec以下の短い周期でサンプリングし、今回値−前回値の差分ΔNが正であり、かつ所定のしきい値を超える場合にガスタービン主機(5)の燃料流量を急減又は遮断し、これにより出力タービンの過回転を防止する、ことを特徴とする舶用2軸型ガスタービンの過回転防止方法が提供される。
【0012】
上記本発明の装置及び方法は、急激な負荷の減少を出力タービンの上昇レートにより判断し、過回転を防止させるものである。すなわち、例えばウォータジェット推進装置に空気が混入し、負荷抜けが生じた場合、ガスタービンが運転中であれば、出力タービンは急激な加速度を持って上昇するが、本発明では出力タービンの上昇加速度から負荷抜けを類推してガスタービン主機の燃料流量を急減又は遮断し、これにより出力タービンの過回転を防止する。
【0013】
また、ガスタービン主機の出力タービン回転数を10msec以下の短い周期でサンプリングし、前回値と今回値の差が正方向で一定値以上(今回計測回転数−前回計測回転数)(しきい値)になれば、負荷抜けが発生したと認識し、出力を低減若しくはガスタービン主機を停止させるので、負荷抜けを早期に検知して出力タービンの過回転を防止することができる
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付して使用する。
【0015】
図1は、本発明の過回転防止装置を備えたウォータジェット高速艇の模式図である。この図において、舶用2軸型ガスタービンは、出力タービン6がフリータービンであり、圧縮機5a、燃焼器5b、タービン5cからなるガスタービン主機5の排気ガスで出力タービン6を回転し、ウォータジェット推進装置のインペラ駆動軸2を回転駆動する。船底の吸入口から取り入れた水(海水)は吸入管路部4を通って、インペラ1aで旋回流のエネルギが与えられ、その旋回流は案内羽根1b(ディフーザ)によって軸方向に整流され、ノズル3から後方へ噴出され、その反力で船体が推進するようになっている。
なお後述する例では、2台のガスタービン主機5及び出力タービン6により、2台のウォータジェット推進装置を並列に運転するようになっている。
【0016】
本発明の過回転防止装置10は、速度センサ12と過回転制御装置14を備える。速度センサ12は、インペラ駆動軸2に隣接して設けられた非接触式又は接触式のセンサであり、出力タービン6の回転速度Nを検出する。この検出は連続的に常時行っても、10msec以下の短い周期でサンプリングしてもよい。
過回転制御装置14は、検出された回転速度Nの加速率の大きさを演算し、その大きさにより、燃料制御弁11a及び燃料遮断弁11bにより、ガスタービン主機5の燃料流量を制御するようになっている。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
図2は、本発明の過回転制御方法の制御ブロック図である。この例では、2台の出力タービン6の回転数(回転速度N1,N2)が10msec以下の短い周期Δtで同時にサンプリングされ、HSS(高値信号選択器)で、高い方の値N(N1またはN2)が選択される。
【0018】
加速率演算器S1で、今回計測値−前回計測値の差分ΔNを演算し、回転速度Nの加速率dN/dt(=ΔN/Δt)を所定のしきい値(3100rpm/sec、5000rpm/sec)と比較する。また並行して回転速度Nを運転中の出力タービン6の最低速度(5200rpm)と比較する。
【0019】
ガスタービンが運転中(Nが5200rpm以上)であり、かつ加速率=ΔN/Δtが3100rpm/sec以上の場合には、燃料流量を絞る必要がある「加速率大」信号を出力する。また、ガスタービンが運転中(Nが5200rpm以上)であり、かつ加速率=ΔN/Δtが5000rpm/sec以上の場合には、緊急遮断が必要な「加速率過大/トリップ」信号を出力する。
ただし、ノイズなどの対策として連続3回同様の事象が発生したときにのみ動作するように設定するのがよい。
【0020】
「加速率大」信号が出力されると、出力切替器S2が定格(100%)から最小(13.83%)に切替えらえ、LSS(低値信号選択器)により、ガスゼネレータ回転数制御、出力タービン入口ガス温度制御、圧縮機吐出圧力制御のうち最も低い設定流量が出力され、燃料制御弁11aの開度がこの減速流量に制御される。なおこの場合には、ガスタービンは急減速した後、「加速率大」信号がリセットされた後に元の速度に復帰する。
【0021】
また、「加速率過大/トリップ」信号が出力されると、燃料遮断弁11bが閉鎖され、燃焼器への燃料供給が停止して、ガスタービンが急減速し停止する。
【0022】
図3は、本発明の実施例を示すシムレーション結果である。この図において、(A)は回転速度Nの大きさのみで制御した従来例、(B)は本発明の例である。また各図において、横軸は時間、縦軸は実線が回転速度N、破線が回転速度Nの加速率dN/dtである。
図3(A)から、回転速度Nの大きさのみの制御では、出力タービン6の回転速度Nが最高回転数が約7800rpmまで達しており、このタービンの場合、過回転(オーバースピード)であり機器の点検を通常の点検期間を待たずに行う必要がある。
これに対して本発明の図3(B)では、同一条件で、最高回転数が約7600rpmまで低減できることがわかる。
【0023】
上述したように、本発明の装置及び方法によれば、例えばウォータジェット推進装置に空気が混入し、負荷抜けが生じた場合でも、出力を低減若しくはガスタービン主機を停止させるので、負荷抜けを早期に検知して出力タービンの過回転を防止することができる。
【0024】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更できることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
上述したように、本発明の舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置とその方法は、短い水吸入経路内に空気が混入し、出力軸にかかる負荷が急激に減少する場合でも、過大な負荷空間や負荷重量を必要とせずに、かつ出力タービンの高い応答性を維持したまま、出力タービンの過回転(オーバースピード)を効果的に防止できる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の過回転防止装置を備えたウォータジェット高速艇の模式図である。
【図2】本発明の過回転制御方法の制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施例を示すシムレーション結果である。
【図4】従来のウォータジェット高速艇の模式図である。
【符号の説明】
1 水ポンプ、1a インペラ、1b 案内羽根(ディフーザ)、
2 インペラ駆動軸、3 ノズル、4 吸入管路部、
5 ガスタービン主機、5a 圧縮機、5b 燃焼器、
5c タービン、6 出力タービン、
10 過回転防止装置、
11a 燃料制御弁、11b 燃料遮断弁、
12 速度センサ、14 過回転制御装置
Claims (2)
- 出力タービン(6)がフリータービンであり、圧縮機(5a)、燃焼器(5b)、タービン(5c)からなるガスタービン主機(5)の排気ガスで出力タービンを回転駆動する舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置であって、
出力タービン(6)の回転速度Nを検出する速度センサ(12)と、検出された回転速度Nの加速率の大きさによりガスタービン主機(5)の燃料流量を制御する過回転制御装置(14)とを備え、急激な負荷減少を出力タービンの上昇加速度により判断し過回転を防止する、ことを特徴とする舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置。 - 出力タービン(6)がフリータービンであり、圧縮機(5a)、燃焼器(5b)、タービン(5c)からなるガスタービン主機(5)の排気ガスで出力タービンを回転駆動する舶用2軸型ガスタービンの過回転防止方法であって、
出力タービン(6)の回転速度Nを10msec以下の短い周期でサンプリングし、今回値−前回値の差分ΔNが正であり、かつ所定のしきい値を超える場合にガスタービン主機(5)の燃料流量を急減又は遮断し、これにより出力タービンの過回転を防止する、ことを特徴とする舶用2軸型ガスタービンの過回転防止方法。
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JP2002162742A JP2004011459A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置とその方法 |
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JP2002162742A JP2004011459A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 舶用2軸型ガスタービンの過回転防止装置とその方法 |
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