JP2014125988A - 発電用ガスタービン - Google Patents

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Abstract

【課題】余剰エネルギーの発生量を抑え、軸の回転数上昇を低減可能なガスタービンを提供する。
【解決手段】空気を圧縮する圧縮機103と、圧縮機103で圧縮された空気と燃料とを混合燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼器112と、燃焼ガスで駆動するタービン114と、タービン114の回転力で発電する発電機116を有する発電用ガスタービンにおいて、燃焼器112に燃料を供給する燃料配管111と、燃料配管111に設けられた燃料調整弁108と、燃料調整弁108と燃焼器112の間で燃料配管111から分岐した燃料排出管203と、燃料排出管203に設けられた燃料排出弁120を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、発電用ガスタービンに関するものである。
ガスタービンは、外部から取り込んだ空気を圧縮機にて圧縮し、得られた圧縮空気を燃焼用空気として燃焼器へ送り、燃料を混合し燃焼することで発生する燃焼ガスによりタービンを回転させ、発電機やポンプなどの負荷を駆動する動力を得る装置である。ガスタービンは出力を供給可能な運用負荷帯が広く、負荷指令に対する応答性が良好であることから発電用に広く普及している。
一方、近年は環境負荷低減の観点から、太陽光発電や風力発電を代表とする再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入が積極的に進められている。これらの発電システムは天候によって発電量が増減するため、急激な電力需要の変化に対して発電量を操作しにくい特徴がある。電力系統に占める再生可能エネルギー発電の割合が増加すると、電力系統の安定性が低下する指摘についてはよく知られており、電力系統を安定化する技術開発が進められている。特に、再生可能エネルギー発電の割合が高いと、落雷・断線等の電力系統事故発生時に系統電圧の低下に対応できない発電機が次々と解列し、電力系統全体に波及して電力品質が低下する懸念がある。
そこで電力品質を維持するためFault Ride Through(以下、FRTと表記)が注目されている。FRTは系統事故発生時に生じる系統電圧降下に対する運転継続性能を意味し、言い換えると電力系統から解列せずに発電を続ける能力を指す。従来の発電用ガスタービンは、系統事故発生時に系統電圧降下量が許容値を超過する場合、一度電力系統から解列し、再併入することで電力系統の安定化に寄与してきた。
発電用ガスタービンが電力系統から解列する場合、発電機に働く負荷が急速に失われ、余剰エネルギーにより発電機を有する軸の回転数が過渡的に上昇する過回転が発生する。このとき、発電用ガスタービンは燃料調整弁の開度を下げ、燃焼器へ投入される燃料を低減することで余剰エネルギーを低減する。余剰エネルギー発生の抑止により回転数の機械設計上の上限値超過を防止し、かつ回転数が定格値へ復帰するまでの所要時間を低減する。ここで、ガスタービン負荷運転中に負荷が急速に失われる場合の過回転を防止する制御方法として次に挙げる技術がある。
特許文献1では、パワータービンの回転数を計測し、制御装置により燃料調整弁の開度を制御することで過回転を防止するガスタービンの過回転防止方法が提案されている。この方法によれば、ガスタービンの高い応答性を損なうことなく、過回転に対して感度の高い2軸ガスタービンの過回転を防止できる。
特開2004−11459号公報
発電用ガスタービンがFRTに対応する場合、即ち、系統事故発生時に系統電圧が降下しても解列せずに発電を継続する場合を考える。この場合、系統電圧降下のため送電不可となり、解列時と同様に余剰エネルギーにより発電機を有する軸の回転数が過渡的に上昇する。解列を許容するのであれば、過回転について機械設計上の上限値超過を防止すれば十分だが、FRTに対応する発電用ガスタービンには発電機が脱調を防止できる範囲に過回転を低減することが要求される。発電機にて脱調が発生すると、以降電力が発生しないため、系統電圧降下が解消された後も送電できず、結果として一度解列する必要が生じる。
一般に、タービンおよび発電機を有する軸の回転数について、機械設計上の上限値に比べ、発電機の脱調を防止可能な上限値の方が小さい。従って、FRTに対応する発電用ガスタービンには、従来の発電用ガスタービンに比してより厳しい過回転低減の制約が課せられる。過回転低減のためには、前述の通り燃料調整弁の開度を下げ、燃焼器へ投入される燃料を低減することで余剰エネルギーを低減する方法が有効である。
しかしながら、燃料調整弁の開度を下げるだけでは、燃料調整弁より上流からの燃料供給量を低減可能ではあるが、燃料調整弁と燃焼器とを接続する燃料配管内に残留する余剰の燃料の内、燃焼器に流入する量を低減不可能という課題がある。特許文献1に示す方法はガスタービンの過回転を防止するための燃料調整弁の制御方法を提案しているものの、燃料調整弁と燃焼器を接続する配管内に残留する燃料については特に言及していない。
この課題に対し特に策を講じない場合、たとえ燃料調整弁を全閉したとしても、燃料配管内に残留する燃料は燃料配管の内圧が燃焼器のチャンバー内圧程度に低下するまで全て燃焼器へと流入する。特に、発電用ガスタービンは発電プラント内の弁、制御装置の配置やタービンエンクロージャー室の構成上、燃料配管のルーティングが長い場合もあり、燃料配管内に残留する余剰の燃料が回転数上昇に与える影響は無視できない。
そこで本発明は、余剰エネルギーの発生量を抑え、軸の回転数上昇を低減可能なガスタービンを提供する。
上記課題を解決するため、本発明の発電用ガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された空気と燃料とを混合燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動するタービンと、前記タービンの回転力で発電する発電機を有する発電用ガスタービンにおいて、前記燃焼器に燃料を供給する燃料配管と、前記燃料配管に設けられた燃料調整弁と、前記燃料調整弁と前記燃焼器の間で前記燃料配管から分岐した燃料排出管と、前記燃料排出管に設けられた燃料排出弁を備えることを特徴とする。
本発明によれば、余剰エネルギーの発生量を抑え、軸の回転数上昇を低減可能なガスタービンを提供できる。
発電用ガスタービン概略図である。 本実施例1の発電用ガスタービン概略図である。 実施例2の発電用ガスタービン概略図である。 実施例2の燃料排出弁制御装置ブロック概略図である。 実施例3の発電用ガスタービン概略図である。 実施例4の発電用ガスタービン概略図である。
本発明の実施例1の発電用ガスタービンを図1により説明する。図1は燃料調整弁と燃焼器を接続する燃料配管に分岐を設け、燃料排出弁へ接続した発電用ガスタービンの概略図である。
図1において、空気101は入口案内翼102を介して圧縮機103の内部へ導かれる。圧縮機103にて加圧した空気101は、圧縮空気104として燃焼器チャンバー105へ流入する。一方、燃料106は燃料圧調整弁107から燃料調整弁108へと送られる。燃料調整弁108には燃料調整弁制御装置109から燃料調整弁制御信号110が出力されており、燃料調整弁制御装置109による燃料調整弁108の開度制御を行い、燃料配管111を通過して燃焼器チャンバー105へ流入する燃料流量を調整する。
燃焼器チャンバー105内には燃焼器112を設置しており、燃焼器112にて圧縮空気104と燃料を混合し、燃焼することで高温の燃焼ガス113を得る。燃焼ガス113はタービン114へ流入し、タービン114と回転軸115を介して発電機116を駆動し発電する。タービン114を駆動した燃焼ガス113は、排ガス117としてタービン114より排出される。発電機116で発電した電力は遮断器118を通じて電力系統119へと送電される。
ここで、燃料配管111は燃料調整弁108と燃焼器112とを接続するが、途中に分岐を設けており、分岐先は燃料排出弁120と接続する。燃料排出弁120には燃料排出弁制御装置121から燃料排出弁制御信号122が出力されており、燃料排出弁制御装置121による燃料排出弁120の開閉制御が可能な構成とする。
図2は燃料配管に分岐を設け燃料排出弁を接続した発電用ガスタービン概略図である。燃料タンク201から燃料圧縮機202へ送られた燃料は、加圧され燃料圧力調整弁107へと送られる。その他の機器について、図1を用いて述べた概要説明は省略する。
本実施例の主体設備である燃料排出弁120の動作について説明する。発電用ガスタービンが通常発電している場合、急速燃料低減制御装置205は急速燃料低減指令206を燃料調整弁制御装置109と、燃料排出弁制御装置121とに出力しない。急速燃料低減指令206が無ければ、燃料調整弁制御装置109は電力需要などの運転情報(図示省略)から燃料調整弁108の開度を決定し、燃料調整弁制御信号110として出力することで、燃料調整弁108の開度制御を行う。一方、急速燃料低減指令206が無ければ燃料排出弁制御装置121は閉止の燃料排出弁制御信号122を燃料排出弁120に出力し、燃料排出弁120を閉じた状態を保持する。従って、発電用ガスタービンが通常発電している場合は燃料調整弁108を通過した燃料は燃料排出管203に流入することなく全量、燃焼器112へと流入する。
しかし、遮断器118の解列、あるいは電力系統119で系統電圧降下が生じるなどの理由により、発電機116に作用する負荷が急速に減少する場合、急速燃料低減制御装置205は急速燃料低減指令206を燃料調整弁制御装置109と、燃料排出弁制御装置121とに出力する。燃料調整弁制御装置109は燃料調整弁制御信号110を出力し、燃料調整弁108の開度を発電機116が無負荷運転状態相当の開度に制御する。一方、燃料排出弁制御装置121は全開の燃料排出弁制御信号122を燃料排出弁120に出力し、燃料排出弁120を開く。燃料排出弁120を通過した燃料は燃料排出管203を通じて戻入ポンプ204へ送られ、燃料タンク201に回収される。
なお、本実施例では燃料排出弁120を通過した燃料を燃料タンク201へと送るが、この構造は特に限定するものではなく、例えば、燃料排出管203を燃料タンク201とは別の燃料タンクへ貯蔵する構造をとっても良いし、戻入ポンプ204の代わりに逆流防止弁を設け、燃料タンク201と燃料圧縮機202とを接続する配管に合流させても良い。ただし、燃料排出弁120の下流側が燃焼器チャンバー105の圧力より低い状態を保持できる構造とする必要がある。
本実施例によれば、発電機116に作用する負荷が急速に減少し、燃焼器112へ投入する燃料流量を低減する場合に、燃料配管111に残留する燃料を燃焼器112の外部へ排出できる。これにより従来の発電用ガスタービンに比して燃焼器112に流入する燃料を低減可能であり、余剰エネルギーの発生量を抑え、回転軸115の回転数上昇をさらに低減可能となる。また、従来の発電用ガスタービンは燃料調整弁108を通過した燃料はすべて燃焼器112へと流入する構成だが、本実施例によれば燃焼器112へ流入する余剰燃料を燃料排出弁120により低減可能である。従って、燃焼器112内で生じる不要な燃焼反応を抑え、NOx、CO2の排出量を削減し環境負荷低減につながる。燃料排出弁120を介した燃料回収で燃料節約も期待できる。
ここで、燃料排出弁120について、全開の燃料排出弁制御信号122を受信してから全開に至るまでの所要時間が短いほど、余剰燃料の排出効果が高い。従って、燃料排出弁120は、空気圧駆動よりも応答性の良い電気駆動もしくは油圧駆動の方が望ましく、開度調整弁よりはON/OFF弁である方が望ましい。
本発明の実施例2の構成を図3および図4により説明する。
図3は燃料配管に分岐を設け燃料排出弁を接続し、計測器を追加した発電用ガスタービン概略図である。図3では、図2の実施例1にて示した発電用ガスタービンの構成に発電量計測器301、電圧計測器302を、遮断器118に開閉検知器303が加わる。発電量計測器301、電圧計測器302、及び開閉検知器303からの計測信号および目標電力指令304を急速燃料低減制御装置205へ入力することを特徴とする。
実施例2の動作を説明する。図2の実施例1にて示した発電用ガスタービンと同様の動作説明は省略する。発電量計測器301は発電機116の発電量を計測し、計測信号を急速燃料低減制御装置205へ送信する。電圧計測器302は発電機116と電力系統119を接続する送電装置の電圧を計測し、計測信号を急速燃料低減制御装置205へ送信する。開閉検知器303は遮断器118の解列を検知し、計測信号を急速燃料低減制御装置205へ送信する。
次に急速燃料低減制御装置205の動作を説明する。図4は燃料排出弁制御装置ブロック概略図である。急速燃料低減制御装置205内部では、減算器401にて発電量計測器301の計測信号と目標電力指令304の差を計算する。得られた差は比較器402に送られる。比較器402では、前述の差と信号生成器403に予め設定された発電量偏差の許容値とを比較し、許容値を超過するようであれば論理信号の真値を論理和計算器404へと送信する。一方、比較器405では、電圧計測器302の計測信号と、信号生成器406に予め設定された系統電圧降下の許容値とを比較し、許容値を超過するようであれば論理信号の真値を論理和計算器404へと送信する。また、開閉検知器303は遮断器118が開状態にあることを検知し、開状態であれば論理信号の真値を論理和計算器404へと送信する。論理和計算器404は比較器402、比較器405、もしくは開閉検知器303のいずれかの出力信号が真値となる場合、急速燃料低減信号206を燃料調整弁制御装置109、燃料排出弁制御装置121へと送信する。
本実施例によれば、遮断器118の解列や電力系統119の電圧低下により、発電機116に作用する負荷が急速に減少した場合、急速燃料低減制御装置205が燃焼器112へ投入する燃料流量を低減する状況にあると判定し、急速燃料低減信号206を燃料排出弁制御装置121へと送信するので燃料配管111に残留する燃料を燃焼器112の外部へ排出できる。これにより実施例1と同種の効果を得ることができる。
例えば電力系統119の電圧低下に関しては、燃料排出弁203の開度を制御する燃料排出弁制御装置121と、燃料排出弁制御装置121に指令を与える急速燃料低減制御装置205とを有し、発電機116は遮断機118に接続され、発電機116と遮断機118の間の電圧を計測する電圧計測器302とを備え、電圧計測器302の計測信号を急速燃料低減制御装置205の指令生成の引数としていることで制御可能である。
なお、実施例2では、発電機116の発電量、発電機116と電力系統119を接続する送電装置の電圧、遮断器118の解列、および目標電力指令304を急速燃料低減制御装置205へ送信しているが、発電用ガスタービンが特に注視したい項目のみを入力する構成としても良い。例えば、発電用ガスタービンのFRT能力を向上する点のみを特に注視したい場合、電圧計測器302の計測信号のみを急速燃料低減制御装置205へ入力することで、FRT能力に関連の強い電力系統119の電圧低下による発電機116に作用する負荷の急速減少を監視可能である。
本発明の実施例3の構成を図5により説明する。
図5は燃料配管に分岐を設け燃料排出弁を接続し、かつ、燃焼器チャンバー内に複数の燃焼器を設け、燃焼切り替え運転が可能な発電用ガスタービン概略図である。図5では、図2の実施例1にて示した発電用ガスタービンの構成で燃料調整弁108、燃料配管111、燃焼器112が複数台となる。本実施例では燃料調整弁108a、108b、108c、燃料配管111a、111b、111c、燃焼器112a、112b、112cの3台構成を例として上げるが、台数を限定するものではなく複数台あれば良い。本実施例では燃料配管111cのみ分岐を設け燃料排出弁120に接続することを特徴とする。ただし、複数の燃料配管の全数ではなく一部にのみ分岐を設け燃料排出弁に接続する点が特徴であり、1つの燃料配管のみ分岐を設け、燃料排出弁に接続することに特徴を限定するものではない。
実施例3の動作を説明する。図2の実施例1にて示した発電用ガスタービンと同様の動作説明は省略する。
燃料調整弁制御装置109は電力需要などの運転情報(図示省略)から燃料調整弁108a、108b、108cの開度を決定し、燃料調整弁制御信号110として出力することで、燃料調整弁108a、108b、108cの開度制御を行う。燃料調整弁108a、108b、108cから送り出された燃料は各々、燃料配管111a、111b、111cを経て燃焼器112a、112b、112cへと流入する。
ここで、本実施例にて示すような複数燃焼器から構成される燃焼器は、一般に低NOx燃焼器と呼ばれ、低負荷運転時は、燃焼安定性が高い拡散燃焼による燃焼器のみを点火し、負荷上昇に伴い燃料流量が増加すると、燃焼安定領域が狭いものの拡散燃焼に比して高効率、低NOx排出である予混合燃焼による燃焼器を順次点火する運転方式を採用している。本実施例では燃焼器112a、112bを拡散燃焼による燃焼器とし、無負荷運転状態で点火するものとし、対して燃焼器112cを予混合燃焼による燃焼器とし、高負荷運転時は点火状態にあるが無負荷運転状態では消火しているものとし、無負荷運転状態にて燃料調整弁108cが閉止状態にあるものと仮定する。
本実施例にて急速燃料低減指令206が出力した場合、燃料調整弁制御装置109は燃料調整弁制御信号110を出力し、燃料調整弁108a、108b、108cの開度を発電機116が無負荷運転状態相当の開度に制御する。従って、燃料調整弁108cは閉止の指令が出力される。また、燃料排出弁制御装置121は全開の燃料排出弁制御信号122を燃料排出弁120に出力するが、燃料排出弁120が接続される分岐を有する燃料配管は燃料配管111cのみである。燃料配管に残留する余剰燃料の内、燃焼器へ流入する流量が低減されるのは燃焼器112cの系統のみとなる。
本実施例によれば、発電機116に作用する負荷が急速に減少し、少なくとも燃焼器112cへ投入する燃料流量を遮断する場合に、燃料配管111cに残留する燃料を燃焼器112cの外部へ排出できる。これにより、燃焼器112cに関し、実施例1と同種の効果を得ることができる。
さらに本実施例では、燃焼器112として第一の燃焼器112cと第二の燃焼器112a、112bを有し、第一の燃焼器112cに燃料を供給する第一の燃料配管111cと、第一の燃料配管111cに設けられた第一の燃料調整弁108cと、第一の燃料調整弁108cと第一の燃焼器112cの間で第一の燃料配管111cから分岐した燃料排出管203と、燃料排出管203に設けられた燃料排出弁120と、第二の燃焼器112a、112bに燃料を供給する第二の燃料配管111a、111bと、第二の燃料配管111a、111bに設けられた第二の燃料調整弁108a、108bとを備えるため、燃焼継続のため火炎保持が必要な燃焼器112a、112bへ流入する燃料は燃料排出弁120の影響を受けず、従来発電用ガスタービンと同様の燃料流量を投入することが可能であり、火炎の安定性を保持可能である。なお、本実施例では無負荷運転状態で燃焼器112a、112bが点火状態にあるとし、燃料排出弁120の設置台数は1台としたが、燃焼器112a、112b、112cの点火台数および燃料排出弁120の設置台数を特に限定するものではない。無負荷運転状態で燃焼器112cだけでなく、燃焼器112bも消火する場合は燃料配管111bにも分岐を設け、燃料排出弁120bを接続し、余剰燃料の排出効果を高めることが可能である。本実施例の方法によれば少ない燃料排出弁120の設置台数で、得られる余剰エネルギー低減効果も大きくすることができる利点もある。
本発明の実施例4の構成を図6により説明する。
図6は燃料配管に分岐を設け燃料排出弁を接続し、該燃料排出弁をエンクロージャー室外部に設置した発電用ガスタービン概略図である。図6では、図2の実施例1にて示した発電用ガスタービンの構成において、発電用ガスタービン高温部を納めるエンクロージャー室を構成するエンクロージャー壁601の一部に窪み形状602を設け、窪み形状602内に燃料排出弁120を設置することを特徴とする。
実施例4の動作については図2の実施例1にて示した発電用ガスタービンの動作と同等である。エンクロージャー室内は発電用ガスタービン運転時、高温部品の熱伝達により温度が上昇する。発電用ガスタービンの機種によっては、エンクロージャー室内温度が100℃に達することも考えられるが、窪み形状602はエンクロージャー室外となり外部空気に晒されるためエンクロージャー室内に比して温度は低く保たれる。
このように、燃料配管111の少なくとも一部と燃焼器112を収容するエンクロージャー室を備え、燃料排出弁203がエンクロージャー室の外側に配置されている本実施例によれば、実施例1と同様の効果に加え、燃料排出弁120を発電用ガスタービン運転時に高温となるエンクロージャー室の外部に設置できるため、電磁弁、油圧弁を燃料排出弁120に選定しても引火の危険性は低い。さらに、本実施例ではエンクロージャー室の外壁が凹形状部を有し、燃料排出弁203がこの凹形状部に配置されるようにしているため、エンクロージャー室の外部に燃料排出弁120を設置するものの、燃料配管111の分岐接続に伴う容積拡大を低減できることから、余剰燃料を排出する効果を高く維持できる。
以上説明した各実施例は、空気を圧縮する圧縮機103と、圧縮機103で圧縮された空気と燃料とを混合燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼器112と、燃焼ガスで駆動するタービン114と、タービン114の回転力で発電する発電機116を有する発電用ガスタービンにおいて、燃焼器112に燃料を供給する燃料配管111と、燃料配管111に設けられた燃料調整弁108と、燃料調整弁108と燃焼器112の間で燃料配管111から分岐した燃料排出管203と、燃料排出管203に設けられた燃料排出弁120を備える。
このような発電用ガスタービンによれば、電力系統からの解列や電力系統電圧の低下により燃焼器112へ投入する燃料流量を低減する場合に、燃料配管111に残留する燃料を燃焼器112の外部へ排出できる。これにより従来の発電用ガスタービンに比して燃焼器112に流入する燃料を低減可能であり、余剰エネルギーの発生量を抑え、軸の回転数上昇をさらに低減可能となる。回転数上昇を従来に比して低減可能であるためFRT能力も向上する。
同様に、電力系統からの解列や電力系統電圧の低下により燃焼器へ投入する燃料流量を低減する場合に、従来の発電用ガスタービンは燃料調整弁を通過した燃料はすべて燃焼器へと流入する構成だが、本発明によれば燃焼器へ流入する余剰燃料を燃料排出弁により低減可能である。従って、燃焼器内で生じる不要な燃焼反応を抑え、NOx、CO2の排出量を削減し環境負荷低減につながる。燃料排出弁を介して燃料回収することで燃料節約も期待できる。
また、燃料配管のルーティングを考慮する場面では、従来発電用ガスタービンは燃料配管の経路長の短縮により、燃料配管内に残留する余剰の燃料が回転数上昇に与える影響を低減しなければならない。本発明によれば、余剰の燃料を燃料排出弁にて燃焼器外へ排出可能となるため、燃料配管の経路長の許容値が広がり、発電用ガスタービンの設計自由度を高めることが可能な利点もある。
101 空気
102 入口案内翼
103 圧縮機
104 圧縮空気、
105 燃焼器チャンバー
106 燃料
107 燃料圧調整弁
108 燃料調整弁
108a 燃料調整弁
108b 燃料調整弁
108c 燃料調整弁
109 燃料調整弁制御装置
110 燃料調整弁制御信号
111 燃料配管
111a 燃料配管
111b 燃料配管
111c 燃料配管
112 燃焼器
112a 燃焼器
112b 燃焼器、
112c 燃焼器
113 燃焼ガス
114 タービン
115 回転軸
116 発電機
117 排ガス
118 遮断器
119 電力系統
120 燃料排出弁
121 燃料排出弁制御装置
122 燃料排出弁制御信号
201 燃料タンク
202 燃料圧縮機
203 燃料排出管
204 戻入ポンプ
205 急速燃料低減制御装置
206 急速燃料低減信号
301 発電量計測器
302 電圧計測器
303 開閉検知器、
304 目標電力指令
401 減算器
402 比較器
403 信号生成器
404 論理和計算器
405 比較器
406 信号生成器
601 エンクロージャー壁
602 窪み形状
603 圧縮機出口容器

Claims (5)

  1. 空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された空気と燃料とを混合燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動するタービンと、前記タービンの回転力で発電する発電機を有する発電用ガスタービンにおいて、
    前記燃焼器に燃料を供給する燃料配管と、前記燃料配管に設けられた燃料調整弁と、前記燃料調整弁と前記燃焼器の間で前記燃料配管から分岐した燃料排出管と、前記燃料排出管に設けられた燃料排出弁を備えることを特徴とする発電用ガスタービン。
  2. 請求項1に記載の発電用ガスタービンにおいて、
    前記燃料排出弁の開度を制御する燃料排出弁制御装置と、前記燃料排出弁制御装置に指令を与える急速燃料低減制御装置とを有し、
    前記発電機は遮断機に接続され、前記発電機と前記遮断機の間の電圧を計測する電圧計測器とを備え、
    前記電圧計測器の計測信号を前記急速燃料低減制御装置の指令生成の引数とすることを特徴とする発電用ガスタービン。
  3. 請求項1または2に記載の発電用ガスタービンにおいて、
    前記燃焼器として第一の燃焼器と第二の燃焼器を有し
    前記第一の燃焼器に燃料を供給する第一の燃料配管と、前記第一の燃料配管に設けられた第一の燃料調整弁と、前記第一の燃料調整弁と前記第一の燃焼器の間で前記第一の燃料配管から分岐した燃料排出管と、前記燃料排出管に設けられた燃料排出弁と、
    前記第二の燃焼器に燃料を供給する第二の燃料配管と、前記第二の燃料配管に設けられた第二の燃料調整弁とを備えることを特徴とする発電用ガスタービン。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の発電用ガスタービンであって、
    前記燃料配管の少なくとも一部と前記燃焼器を収容するエンクロージャー室を備え、
    前記燃料排出弁が前記エンクロージャー室の外側に配置されていることを特徴とする発電用ガスタービン。
  5. 請求項4に記載の発電用ガスタービンであって、
    前記エンクロージャー室の外壁が凹形状部を有し、前記燃料排出弁が前記凹形状部に配置されていることを特徴とする発電用ガスタービン。
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