JP2005090300A - ガスタービン機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 推力発生手段の推力発生用にコンプレッサにて圧縮された空気を利用する場合においても、コンプレッサのサージング防止と推力発生手段への最適空気流量供給の両立を実現できる技術を提供する。
【解決手段】 推力発生手段12の推力発生用にコンプレッサ6にて圧縮された空気を利用する構成において、コンプレッサ6に吸入される空気が流通する吸気流路8内の圧力を検出する入口圧力検出手段15と、吸気流路8に備えられ、コンプレッサ6に吸入される空気の量を調節する吸気量制御弁9と、コンプレッサ6から排出される圧縮空気が流通する抽気流路内の圧力を検出する出口圧力検出手段16と、入口圧力検出手段15の検出値、出口圧力検出手段16の検出値及び前記機関回転数検出手段13の検出値に基づいて吸気量制御弁9の開度を制御する制御手段14とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 推力発生手段12の推力発生用にコンプレッサ6にて圧縮された空気を利用する構成において、コンプレッサ6に吸入される空気が流通する吸気流路8内の圧力を検出する入口圧力検出手段15と、吸気流路8に備えられ、コンプレッサ6に吸入される空気の量を調節する吸気量制御弁9と、コンプレッサ6から排出される圧縮空気が流通する抽気流路内の圧力を検出する出口圧力検出手段16と、入口圧力検出手段15の検出値、出口圧力検出手段16の検出値及び前記機関回転数検出手段13の検出値に基づいて吸気量制御弁9の開度を制御する制御手段14とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ガスタービン機関の制御装置に関するものであり、特に、コンプレッサにて圧縮された空気を利用して推力を発生する飛行体等に好適に用いられるものに関する。
従来の飛行体において、Power/Weight Ratioの大きなガスタービン機関が駆動源として使用されている。そして、推力を得るための方法としては、ターボジェットのように高温、高圧のガスを大気中に噴出して推力を得る方法と、機関の軸出力でファン(若しくはプロペラ)を駆動して推力を得る方法とが知られている(例えば、特許文献1参照)。
後者は更にターボファン方式とターボシャフト方式に分類される。そして、前者のターボファン方式は、ガスタービン機関の同軸上に推力を得るためのファンを設けた構造のものであり、ファンの駆動はガスタービン機関で行われ、ファンの推力とガスタービン機関のガスの膨張により推力を得るものである。
一方、後者のターボシャフト方式も同じくガスタービン機関の軸出力でファン(若しくはプロペラ)を駆動する方式であるが、効率の観点から大きな径のファンを使用するものに関しては、ファン自体の周速が問題となるので、機関の軸とファン駆動軸間に減速機が設置される(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−199296号公報
特開平7−19068号公報
上述したようなターボファン方式とターボシャフト方式において、推進装置として用いられるファン(若しくはプロペラ)の駆動は、ガスタービン機関の軸出力を利用する方式であるため、基本的にガスタービン機関の回転軸とファンを機械的に接続する必要がある。そのため、ファン(若しくはプロペラ)の配置について自由度が少ないという欠点がある。
これに対して、ガスタービン機関のコンプレッサあるいはガスタービン機関の回転軸により駆動されるコンプレッサにて圧縮された空気を利用して推力を発生するファン(若しくはプロペラ)を推進装置として用いると、ガスタービン機関と当該ファン(若しくはプロペラ)とは圧縮空気配管等で接続するのみであるので、ファン(若しくはプロペラ)の配置の自由度を増すことが可能になる。
但し、吸入した空気を圧縮して排出するコンプレッサにおいては、コンプレッサの出口の圧力が入口の圧力に対して過剰に高くなると、コンプレッサのブレード部における空気の剥離、逆流現象である、いわゆるサージングに至るおそれがある。ガスタービン機関とファン(若しくはプロペラ)とを機械的に接続する構成においては、機関出力を軸出力として取り出すため、サージングに至ることはないが、上述したようにコンプレッサから排出される圧縮空気を利用して推力を発生させる構成においては、使用される圧縮空気量が減少するとコンプレッサの出口圧力が高くなり、サージングに至る可能性がある。そして、コンプレッサの損傷に至るおそれがある。
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、推
力発生機の推力発生用にコンプレッサにて圧縮された空気を利用する場合においても、コンプレッサのサージング防止と推力発生機への最適空気流量供給の両立を実現できるガスタービン機関の制御装置を提供することにある。
力発生機の推力発生用にコンプレッサにて圧縮された空気を利用する場合においても、コンプレッサのサージング防止と推力発生機への最適空気流量供給の両立を実現できるガスタービン機関の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るガスタービン機関の制御装置にあっては、ガスタービン機関の回転軸により駆動され吸入した空気を圧縮するコンプレッサと、当該コンプレッサに吸入される空気が流通する吸気流路内の圧力を検出する入口圧力検出手段と、前記吸気流路に備えられ、前記コンプレッサに吸入される空気の量を調節する吸気量制御弁と、前記コンプレッサから排出される圧縮空気が流通する抽気流路内の圧力を検出する出口圧力検出手段と、前記抽気流路を流通する圧縮空気を利用して推力を発生する推力発生手段と、前記抽気流路を流通し前記推力発生手段に流入する圧縮空気の量を調節する推力用空気弁と、前記ガスタービン機関の回転軸の回転数を検出する機関回転数検出手段と、前記入口圧力検出手段の検出値、前記出口圧力検出手段の検出値及び前記機関回転数検出手段の検出値に基づいて前記吸気量制御弁の開度を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
推力発生手段はガスタービン機関の回転軸により駆動されるコンプレッサにて圧縮された空気を利用して推力を発生するが、推力発生手段にて推力を発生させる必要がある場合には推力用空気弁の開度を開き、推力発生手段にて推力を発生させる必要が無い場合には推力用空気弁の開度を閉じるというように、要求される推力に応じて推力用空気弁の開度が制御される。
そして、このように、推力発生手段は、ガスタービン機関の回転軸により駆動されるコンプレッサにて圧縮された空気を利用して推力を発生するため、ガスタービン機関と推力発生手段とは抽気流路のみで接続することができる。それゆえ、ガスタービン機関と推力発生手段とを機械的に接続する場合と比較すると、推力発生手段の配置を自由に設定することができる。また、推力発生手段の数、大きさ等をも、ガスタービン機関が搭載される飛行体等の大きさ等に応じて自由に設定することができるので、このことも推力発生手段の配置の自由度を大きくさせる要因となる。
但し、吸入した空気を圧縮して排出するコンプレッサにおいては、排出した空気の使用量が減少すること等により、コンプレッサの出口の圧力が入口の圧力に対して過剰に高くなると、コンプレッサのブレード部における空気の剥離、逆流現象である、いわゆるサージングに至るおそれがある。そのため、コンプレッサによる圧縮空気を推力発生手段に利用するシステムにおいては、推力発生手段の使用空気量が減少した場合にサージングに至らないようにすることが重要である。
そこで、本発明に係るガスタービン機関の制御装置においては、ガスタービン機関の回転軸により駆動されるコンプレッサに吸入される空気が流通する吸気流路内の圧力を検出する入口圧力検出手段と、前記吸気流路に備えられ、前記コンプレッサに吸入される空気の量を調節する吸気量制御弁と、前記コンプレッサから排出される圧縮空気が流通する抽気流路内の圧力を検出する出口圧力検出手段と、入口圧力検出手段の検出値、出口圧力検出手段の検出値及び機関回転数検出手段の検出値に基づいて当該吸気量制御弁の開度を制御する制御手段とを備えるようにした。
そして、前記制御手段が、例えば、入口圧力検出手段の検出値及び機関回転数検出手段の検出値に基づいて出口圧力検出手段にて検出されるべき目標圧力を算出し、出口圧力検出手段にて検出された検出圧力が当該目標圧力より高い場合は、前記吸気量制御弁の開度を小さくするように制御することで、コンプレッサに流入する空気を減少させてコンプレ
ッサから流出する空気を減少させ、サージングに至らないようにすることができる。
ッサから流出する空気を減少させ、サージングに至らないようにすることができる。
また、前記制御手段が、例えば、前記出口圧力検出手段にて検出された検出圧力が前記目標圧力より低い場合は、前記吸気量制御弁の開度を大きくするように制御することで、推力発生手段に、最適な空気量を供給することができる。
また、本発明に係るガスタービン機関の制御装置においては、ガスタービン機関のコンプレッサに吸入される空気が流通する吸気流路内の圧力を検出する入口圧力検出手段と、前記吸気流路に備えられ、前記コンプレッサに吸入される空気の量を調節する吸気量制御弁と、前記コンプレッサから排出され前記ガスタービン機関の燃焼器に流入する圧縮空気が流通する燃焼用空気流路内の圧力を検出する出口圧力検出手段と、前記コンプレッサから排出される圧縮空気の内、前記燃焼用空気流路を流通する圧縮空気以外の圧縮空気が流通する抽気流路と、前記抽気流路を流通する圧縮空気を利用して推力を発生する推力発生手段と、前記抽気流路を流通し前記推力発生手段に流入する圧縮空気の量を調節する推力用空気弁と、前記ガスタービン機関の回転軸の回転数を検出する機関回転数検出手段と、前記入口圧力検出手段の検出値、前記出口圧力検出手段の検出値及び前記機関回転数検出手段の検出値に基づいて前記吸気量制御弁の開度を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
ガスタービン機関のコンプレッサにて圧縮された空気の一部を推力発生手段にて利用する構成においても、推力発生手段にて使用される圧縮空気量が減少するとサージングに至るおそれがあり、ガスタービン機関のコンプレッサの損傷に至るおそれがある。
そこで、ガスタービン機関のコンプレッサに吸入される空気が流通する吸気流路内の圧力を検出する入口圧力検出手段と、前記吸気流路に備えられ、前記コンプレッサに吸入される空気の量を調節する吸気量制御弁と、前記コンプレッサから排出され前記ガスタービン機関の燃焼器に流入する圧縮空気が流通する燃焼用空気流路内の圧力を検出する出口圧力検出手段と、入口圧力検出手段の検出値、出口圧力検出手段の検出値及び機関回転数検出手段の検出値に基づいて当該吸気量制御弁の開度を制御する制御手段とを備えるようにした。
そして、前記制御手段が、例えば、入口圧力検出手段の検出値及び機関回転数検出手段の検出値に基づいて出口圧力検出手段にて検出されるべき目標圧力を算出し、出口圧力検出手段にて検出された検出圧力が当該目標圧力より高い場合は、前記吸気量制御弁の開度を小さくするように制御することで、コンプレッサに流入する空気を減少させてコンプレッサから流出する空気を減少させ、サージングに至らないようにすることができる。
また、前記制御手段が、例えば、前記出口圧力検出手段にて検出された検出圧力が前記目標圧力より低い場合は、前記吸気量制御弁の開度を大きくするように制御することで、推力発生手段に、最適な空気量を供給することができる。
以上説明したように、本発明に係るガスタービン機関の制御装置によれば、推力発生手段の推力発生用にコンプレッサにて圧縮された空気を利用する場合においても、コンプレッサのサージング防止と推力発生手段への最適空気流量供給の両立を実現できる。
それゆえ、ガスタービン機関と、コンプレッサにて圧縮された空気を利用して駆動する推力発生手段とを抽気流路のみで接続させることができるので、例えば飛行体において、推力発生手段の配置に自由度をもたせることができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この最良の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、実施例1に係るガスタービン機関の制御装置を適用する飛行体の概略構成を示す図である。
ガスタービン機関1は、第1コンプレッサ2、燃焼器3、タービン4を備えている。そして、第1コンプレッサ2に吸入された空気(吸気)は、第1コンプレッサ2にて圧縮され、燃焼器3において燃料供給アクチュエータ(図示省略)により供給される燃料と混合されて燃焼し、その燃焼ガスは第1コンプレッサ2と回転軸5で直結されたタービン4を回転させた後に、排気ガスとなって大気に排出される。
このガスタービン機関1には第2コンプレッサ6が回転軸5で直結されており、タービン4の回転数と同じ回転数で回転する。そして、吸入した空気を圧縮し、第2コンプレッサ6出口部に接続された抽気流路7へ排出する。また、第2コンプレッサ6には、吸気流路8が接続されており、この吸気流路8には、後述するECUからの指令に基づき駆動され、当該吸気流路8内の流路面積を変更可能な制御器である吸気量制御弁9が備えられている。そして、吸気量制御弁9の開度により決定される流路面積に応じた分の吸気が第2コンプレッサ6に流入する。
抽気流路7は、n本の推力用空気流路10と接続されており、このn本の推力用空気流路10各々には、後述するECUからの指令に基づき駆動される当該推力用空気流路10内の流路面積を変更可能な制御器である電磁弁等の推力用空気弁11を介して、推力発生手段としての推力発生用ファン12が連結されている。
推力発生用ファン12の構成の概略を示したのが図2であり、推力発生用ファン12は、主にタービン21、減速機22、ファン23とから構成されている。そして、推力用空気流路10から流入した高圧の空気によりタービン21が回転駆動され、減速機22により減速させられてファン23が回転し、ファン23の回転により推力が発生する。
また、ガスタービン機関1には回転軸5の回転位置を検出する回転角センサ13が設けられている。この回転角センサ13は、回転軸5近傍に配置され所定回転角度毎(例えば60度毎)にパルス信号を発生するものであり、このパルスは後述するECU14に入力され、ECU14は、一定時間毎にパルス信号の周波数から回転軸5の回転数(以下、「機関回転数」という。)Nを算出する。
以上述べたように構成されたガスタービン機関1を搭載した飛行体には、当該飛行体及びガスタービン機関1を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control
Unit)14が併設されている。このECU14は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路である。
Unit)14が併設されている。このECU14は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路である。
ECU14には、上述した回転角センサ13、第2コンプレッサ6に吸入される空気の圧力P1を検出する入口圧力センサ15、第2コンプレッサ6から流出する空気の圧力P3を検出する出口圧力センサ16、大気の温度T0を検出する大気温センサ(図示省略)やスロットル開度センサ(図示省略)等の各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号がECU14に入力されるようになっている。
一方、ECU14には、吸気量制御弁9、推力用空気弁11等が電気配線を介して接続され、ECU14が吸気量制御弁9、推力用空気弁11等を制御することが可能になっている。
このような構成において、スロットル開度センサからの出力値に基づいて予め設定されたマップにしたがってガスタービン機関1の運転状態が制御される。本実施の形態では、基本的にスロットル開度信号レベルが大きいほどガスタービン機関1は高負荷状態で運転される。
また、飛行体が浮上するための推力が要求される場合には、ECU14は推力用空気流路10の流路面積変更可能な推力用空気弁11の開度を開き、第2コンプレッサ6からの圧縮空気を、浮上するための推力を発生する推力発生用ファン12へ導くようにする。結果として、推力発生用ファン12は、圧縮空気が膨張する際のエネルギーを利用して回転し推力を発生することとなる。
一方、飛行体を着陸させる場合、あるいは飛行体の姿勢をコントロールする場合には、推力発生用ファン12の推力を絞る必要性が生じるが、その際は、推力用空気弁11の開度を絞り、推力発生用ファン12への空気流量を減少させる。
このように、本実施例に係る飛行体は、推進装置として推力発生用ファン12を用いており、ガスタービン機関1の回転軸5に直結された第2コンプレッサ6にて発生する圧縮空気を駆動源として使用している。かかる構成とすることにより、ガスタービン機関1と推進装置たる推力発生用ファン12との接続は、圧縮空気が流通する抽気流路7と推力用空気流路10だけであるので、従来技術に係る飛行体のようにガスタービン機関と推進装置とを機械的に接続する必要がない。
そのため、飛行体におけるガスタービン機関の搭載状態に対して、推進装置たる推力発生用ファン12の配置の自由度を増すことが可能となり、飛行体への搭載性が向上する。推力発生用ファン12の数や大きさも飛行体毎に任意に設定することができ、飛行体に応じて所望の推力を得るようにすることができると共に、このことも推力発生用ファン12の配置の自由度を増している。例えば、飛行体の底部等に、推力発生用ファン12の軸が地面に対して垂直となるように配置することで地面に対して垂直な推力を発生でき、飛行体の後部等に、推力発生用ファン12の軸が地面に対して水平となるように配置することで地面に対して水平な推力を発生できる。
しかしながら、このようにガスタービン機関の運転により発生する圧縮空気を推進装置に利用する場合には次のような問題が発生する。
図3に示したのが、コンプレッサの一般的な特性であり、本図に示すようにコンプレッサの特性は機関回転数N毎に実線で示すような特性として表すことができる。これは、コンプレッサの回転数Nを一定とした場合に、コンプレッサから取り出す空気流量Gaが多いと、コンプレッサの入口圧力P1に対する出口圧力P3は下がり、コンプレッサから取り出す空気流量Gaが少なくなると、コンプレッサの入口圧力P1に対する出口圧力P3は上昇するような特性を持っていることを示している。なお、図3中、θは大気温度/標準大気温度であり、δは大気圧力/標準大気圧力を示す値である。
かかるコンプレッサの特性により、圧縮空気はガスタービン機関1の回転軸5に直結された第2コンプレッサ6により容易に作り出せるが、コンプレッサの入口圧力P1が一定であるとすると、飛行体を着陸させる場合、あるいは飛行体の姿勢をコントロールする場
合等において推力発生用ファン12の圧縮空気使用量が減少した場合、第2コンプレッサ6の出口圧力P3が上昇してしまう。これは、従来技術のターボファンやターボシャフト方式では、機関出力を軸出力として取り出すのに対して、本実施例の構成では、第2コンプレッサ6にて圧縮した空気が使用されない場合、当該空気の行き場所がなくなるためである。
合等において推力発生用ファン12の圧縮空気使用量が減少した場合、第2コンプレッサ6の出口圧力P3が上昇してしまう。これは、従来技術のターボファンやターボシャフト方式では、機関出力を軸出力として取り出すのに対して、本実施例の構成では、第2コンプレッサ6にて圧縮した空気が使用されない場合、当該空気の行き場所がなくなるためである。
そして、第2コンプレッサ6の出口圧力P3が高くなると、第2コンプレッサ6のブレード(翼)部における空気の剥離、逆流現象であるサージングという現象に至り、第2コンプレッサ6の破損に至ってしまう。
なお、コンプレッサから取り出す空気流量Ga等毎にいかなる範囲にてサージングが発生するかを表す領域であるサージ領域を図3に示した。本図において、例えばN/√(θ)=80%は、定格回転数(N/√(θ)=100%)の80%の回転数であることを示す。
このように、コンプレッサによる圧縮空気を推進装置に利用するシステムにおいては、推進装置の使用空気量が減少した場合にサージングに至らないようにすることが重要である。
そこで、本実施例に係る飛行体においては、ガスタービン機関1の運転中に推力発生用ファン12の空気使用量が低下したような場合に、吸気量制御弁9の弁の開度を閉じるように制御して、第2コンプレッサ6に流入する空気を減少させることにより、第2コンプレッサ6から流出する圧縮空気を減少させ、出口圧力P3を小さくするようにする。
そして、吸気量制御弁9の開度を制御するにあたっては、図4のフローチャートに示した制御ルーチンにしたがって実行する。
この制御ルーチンを、予めECU14のROMに記憶しておき、一定時間の経過毎に割り込み処理としてECU14が実行するようにするものである。
ECU14は、まず、ステップ100において、回転角センサ13、入口圧力センサ15、出口圧力センサ16、大気温センサからの4つの入力信号に基づいて機関回転数N、大気温度T0、入口圧力P1、コンプレッサ出口圧力P3を検出する。
その後、ステップ101において、機関回転数Nと予め定数として設定されたNsとを比較する。ここで、Nsとは、例えば機関のアイドル回転数相当の値であり、吸気量制御弁9の開度を100%としても第2コンプレッサ6がサージングを起こさないような回転数値が選定される。したがって、本ステップではNsと実機関回転数Nとを比較することによりガスタービン機関が運転されているか否かの判断と吸気量制御弁9の開度を絞る必要がある領域にあるか否かの判断を行うものである。
しかるべくして、実機関回転数Nが設定値Ns以下の場合、ガスタービン機関1はサージングに至ることはないのでステップ111へ進み、吸気量制御弁9の開度を100%の状態とする。一方、実機関回転数NがNsより高くなった場合には機関の運転状態によりコンプレッサ6がサージングに至る可能性があり、吸気量制御弁9の開度を調節する必要性が生じるので、ステップ102以降の処理を実行する。
ステップ102においては、ステップ100にて検出した検出値を基に出口圧力センサ16にて検出されるべき目標の圧力であるP3tの算出を行うものである。このP3tはサージ領域の判断を行うための変数であり、その特性は、図3に示したコンプレッサの特
性上に図中のように示されている。この特性は、サージ領域に対し若干制御マージンを見込んで設定されるものであり、コンプレッサ毎に、機関回転数、入口圧力P1、大気温T0に基づいて一義的に定まる値である。そして、この機関回転数、P1、T0及びP3tの相関関係をECU14のROMにマップとして記憶しておき、本ステップではステップ100にて検出した機関回転数N、入口圧力P1、大気温度T0を当該マップに代入してP3tを求めるようにする。
性上に図中のように示されている。この特性は、サージ領域に対し若干制御マージンを見込んで設定されるものであり、コンプレッサ毎に、機関回転数、入口圧力P1、大気温T0に基づいて一義的に定まる値である。そして、この機関回転数、P1、T0及びP3tの相関関係をECU14のROMにマップとして記憶しておき、本ステップではステップ100にて検出した機関回転数N、入口圧力P1、大気温度T0を当該マップに代入してP3tを求めるようにする。
その後、ステップ103に進み、ステップ102で求めたP3tと検出したコンプレッサ出口圧力P3との比較を行う。そして、P3とP3tが同じ値の場合にはステップ104へ進み、P3とP3tの値が異なる場合には、ステップ105へ進む。
ステップ104においては、P3とP3tが同じ値であるので、吸気量制御弁9の開度の変更の必要性がないため、吸気量制御弁9の開度Sは前回設定した値S−1をそのまま使用するようにする。
一方、ステップ105においては、P3とP3tの値が異なるので、その差分(P3−P3t)をパラメータとして図5に示す特性に基づき吸気量制御弁9の開度Sの補正量ΔSを求めるようにする。なお、この図5の特性はコンプレッサの安定性等を考慮して予め設定されるものであり、本実施例においては、基本的に実コンプレッサ出口圧力P3が算出された目標圧力P3tより大きくなった場合はコンプレッサがサージングに至る可能性があるため吸気量制御弁9の開度が小さくなるように制御し、実コンプレッサ出口圧力P3が算出された目標圧力P3tより小さくなった際には圧縮機がサージングに至る可能性はないので、吸気量制御弁9の開度は大きくする方向に制御するものである。このようにして、サージングに至るのを防止するとともに、推力発生用ファン12へ最適な圧縮空気量を供給できるようにする。
その後ステップ106へ進み、吸気量制御弁9の開度Sを求める。これは、前回の開度S−1からステップ105にて算出した補正量ΔSを減算するものである。
その後のステップは、ステップ106で算出した吸気量制御弁9の開度Sが吸気量制御弁9の作動範囲(0〜100%)を超えているか否かのチェックを行い、もしこの範囲を超えているようならば、その作動範囲内に修正するものである。
つまり、ステップ107において、ステップ106にて算出した吸気量制御弁9の開度Sが100%以上であるか否かを判別する。そして、開度Sが100%以上である場合はステップ108へ進み、開度Sを100%に設定する。一方、開度Sが100%より小さい場合はステップ109へ進む。
ステップ109においては、開度Sが0%より小さいか否かを判別する。そして、開度Sが0%より小さい場合はステップ110へ進み、開度を0%に設定する。一方、開度Sが0%以上であると判別された場合は、開度Sは0%から100%の範囲内にあるので、ステップ106で算出した開度Sをそのまま使用する。
そして吸気量制御弁9の開度Sが決定されたらステップ112へ進む。そして本ステップにおいて、上記のようにして決定された吸気量制御弁9の開度の信号をドライバー回路に出力する。そして、ドライバー回路において、開度信号に応じた開度となるように吸気量制御弁9をフィードバック制御するようにする。
このようにすることで、ガスタービン機関1がいかなる運転状態にあっても、第2コンプレッサ6がサージングに至ることを防止することができる。
また、推力発生用ファン12における第2コンプレッサ6にて圧縮された空気の利用量が多くなるのに応じて、吸気量制御弁9を開けるように制御するので、最適な空気量を推力発生用ファン12に供給することができる。
図6は、本実施例に係るガスタービン機関の制御装置を適用する飛行体の概略構成を示す図である。
実施例1においては、推力発生用ファン12にて使用する圧縮空気を発生させるための第2コンプレッサ6を回転軸5に直結していたが、本実施例においては、ガスタービン機関17のコンプレッサ18に抽気流路7を接続し、コンプレッサ18にて発生した圧縮空気の一部を、推力発生用ファン12を駆動するためにも用いるように構成されている。
また、コンプレッサ18には、吸気流路8が接続されており、この吸気流路8には、実施例1と同様に、ECU14からの指令に基づき駆動され、当該吸気流路8内の流路面積を変更可能な制御器である吸気量制御弁9が備えられている。そして、吸気量制御弁9の開度により決定される流路面積に応じた分の吸気がコンプレッサ18に流入する。さらに、コンプレッサ18に吸入される空気の圧力P1を検出する入口圧力センサ15が吸気流路8に備えられている。
また、コンプレッサ18にて圧縮された空気を燃焼器3に流入させるための空気流路である燃焼用空気流路19にコンプレッサ出口圧力P3を検出する出口圧力センサ16が備えられている。その他の構成は実施例1と同一であり、同一の構成部品については、図1と同一の符号を付し、その説明は省略する。
かかる構成においては、コンプレッサ18にて圧縮された空気は、燃焼器3に送られると共に推力発生用ファン12にも送られるため、実施例1の第1コンプレッサ2と比較すると、より多くの圧縮空気を発生させる必要があるが、実施例1では必要となる第2コンプレッサ6が不要となるという利点がある。
そして、このように構成された飛行体においても、上述したコンプレッサの特性により、圧縮空気はコンプレッサ18により容易に作り出せるが、飛行体を着陸させる場合、あるいは飛行体の姿勢をコントロールする場合等において推力発生用ファン12の圧縮空気使用量が減少した場合、コンプレッサ18にて圧縮された空気の内、抽気流路7へ流入する空気量が減少し、コンプレッサ18の出口圧力である燃焼用空気流路19内の圧力が上昇してしまう。そして、コンプレッサ18の出口圧力が高くなると、上述したサージングという現象に至るので、推力発生用ファン12の使用空気量が減少した場合にサージングに至らないようにすることが重要である。
そして、本実施例に係る飛行体においても、ガスタービン機関17の運転中に推力発生用ファン12の空気使用量が低下したような場合に、吸気量制御弁9の弁の開度を閉じるように制御して、第2コンプレッサ6に流入する空気を減少させることにより、第2コンプレッサ6から流出する圧縮空気を減少させ、出口圧力P3を小さくするようにする。
そして、吸気量制御弁9の開度を制御するにあたっては、実施例1と同様に図4のフローチャートに示した制御ルーチンにしたがって実行する。その詳細な説明は省略するが、概略としては以下のようにして、吸気量制御弁9の開度を制御する。
つまり、ECU14は、まず、回転角センサ13、入口圧力センサ15、出口圧力セン
サ16、大気温センサからの4つの入力信号に基づいて機関回転数N、大気温度T0、コンプレッサ18の入口圧力P1、コンプレッサ18の出口圧力P3を検出する。
サ16、大気温センサからの4つの入力信号に基づいて機関回転数N、大気温度T0、コンプレッサ18の入口圧力P1、コンプレッサ18の出口圧力P3を検出する。
その後、検出した機関回転数Nと予め定数として設定されたNsとを比較し、実機関回転数Nが設定値Ns以下の場合、コンプレッサ18はサージングに至ることはないので吸気量制御弁9の開度を100%の状態とする。
一方、実機関回転数NがNsより高い場合には、検出値を基に目標のコンプレッサの出口圧力であるP3tを算出し、検出したコンプレッサ出口圧力P3との比較を行う。そして、P3とP3tが同じ値の場合には、吸気量制御弁9の開度Sは前回設定した値S−1をそのまま使用するようにする。
一方、P3とP3tの値が異なる場合は、その差分(P3−P3t)をパラメータとして吸気量制御弁9の開度Sの補正量ΔSを求め、前回の開度S−1に加算する。その後、算出した開度Sが、作動範囲(0〜100%)を超えているか否かのチェックを行い、もしこの範囲を超えているようならば、その作動範囲内に修正する。開度Sが、前記作動範囲内にある場合は、ステップ106で算出した開度Sをそのまま使用する。
そして上述のようにして吸気量制御弁9の開度Sを設定した後は、この開度の信号をドライバー回路に出力し、ドライバー回路では開度信号に応じた開度となるように吸気量制御弁9をフィードバック制御するようにする。
このようにすることで、ガスタービン機関17がいかなる運転状態にあっても、コンプレッサ18がサージングに至ることを防止することができる。
また、推力発生用ファン12において、コンプレッサ18にて圧縮された空気の利用量が多くなるのに応じて、吸気量制御弁9を開けるように制御するので、最適な空気量を推力発生用ファン12に供給することができる。
1 ガスタービン機関
2 第1コンプレッサ
3 燃焼器
4 タービン
5 回転軸
6 第2コンプレッサ
7 抽気流路
8 吸気流路
9 吸気量制御弁
10 推力用空気流路
11 推力用空気弁
12 推力発生用ファン
13 回転角センサ
14 ECU
15 入口圧力センサ
15 出口圧力センサ
17 ガスタービン機関
18 コンプレッサ
19 燃焼用空気流路
21 タービン
22 減速機
23 ファン
2 第1コンプレッサ
3 燃焼器
4 タービン
5 回転軸
6 第2コンプレッサ
7 抽気流路
8 吸気流路
9 吸気量制御弁
10 推力用空気流路
11 推力用空気弁
12 推力発生用ファン
13 回転角センサ
14 ECU
15 入口圧力センサ
15 出口圧力センサ
17 ガスタービン機関
18 コンプレッサ
19 燃焼用空気流路
21 タービン
22 減速機
23 ファン
Claims (3)
- ガスタービン機関の回転軸により駆動され吸入した空気を圧縮するコンプレッサと、
当該コンプレッサに吸入される空気が流通する吸気流路内の圧力を検出する入口圧力検出手段と、
前記吸気流路に備えられ、前記コンプレッサに吸入される空気の量を調節する吸気量制御弁と、
前記コンプレッサから排出される圧縮空気が流通する抽気流路内の圧力を検出する出口圧力検出手段と、
前記抽気流路を流通する圧縮空気を利用して推力を発生する推力発生手段と、
前記抽気流路を流通し前記推力発生手段に流入する圧縮空気の量を調節する推力用空気弁と、
前記ガスタービン機関の回転軸の回転数を検出する機関回転数検出手段と、
前記入口圧力検出手段の検出値、前記出口圧力検出手段の検出値及び前記機関回転数検出手段の検出値に基づいて前記吸気量制御弁の開度を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするガスタービン機関の制御装置。 - ガスタービン機関のコンプレッサに吸入される空気が流通する吸気流路内の圧力を検出する入口圧力検出手段と、
前記吸気流路に備えられ、前記コンプレッサに吸入される空気の量を調節する吸気量制御弁と、
前記コンプレッサから排出され前記ガスタービン機関の燃焼器に流入する圧縮空気が流通する燃焼用空気流路内の圧力を検出する出口圧力検出手段と、
前記コンプレッサから排出される圧縮空気の内、前記燃焼用空気流路を流通する圧縮空気以外の圧縮空気が流通する抽気流路と、
前記抽気流路を流通する圧縮空気を利用して推力を発生する推力発生手段と、
前記抽気流路を流通し前記推力発生手段に流入する圧縮空気の量を調節する推力用空気弁と、
前記ガスタービン機関の回転軸の回転数を検出する機関回転数検出手段と、
前記入口圧力検出手段の検出値、前記出口圧力検出手段の検出値及び前記機関回転数検出手段の検出値に基づいて前記吸気量制御弁の開度を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするガスタービン機関の制御装置。 - 前記制御手段は、前記入口圧力検出手段の検出値及び前記機関回転数検出手段の検出値に基づいて前記出口圧力検出手段にて検出されるべき目標圧力を算出し、前記出口圧力検出手段にて検出された検出圧力が前記目標圧力より高い場合は、前記吸気量制御弁の開度を小さくするように制御し、前記検出圧力が前記目標圧力より低い場合は、前記吸気量制御弁の開度を大きくするように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のガスタービン機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003322953A JP2005090300A (ja) | 2003-09-16 | 2003-09-16 | ガスタービン機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003322953A JP2005090300A (ja) | 2003-09-16 | 2003-09-16 | ガスタービン機関の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005090300A true JP2005090300A (ja) | 2005-04-07 |
Family
ID=34454162
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003322953A Pending JP2005090300A (ja) | 2003-09-16 | 2003-09-16 | ガスタービン機関の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005090300A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009528473A (ja) * | 2006-03-01 | 2009-08-06 | ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト | 内燃機関用の排気ターボチャージャ |
US7599767B2 (en) | 2005-07-14 | 2009-10-06 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control apparatus and control method for aircraft |
-
2003
- 2003-09-16 JP JP2003322953A patent/JP2005090300A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7599767B2 (en) | 2005-07-14 | 2009-10-06 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control apparatus and control method for aircraft |
JP2009528473A (ja) * | 2006-03-01 | 2009-08-06 | ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト | 内燃機関用の排気ターボチャージャ |
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