JP2004010807A - 水性分散体の製造方法 - Google Patents

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安田 秀樹
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Abstract

【課題】無機粒子表面に有機化合物が強固に固定されており、非常に低粘度かつ分散粒径の細かい無機粒子および樹脂を含む水性分散体の製造方法の提供。
【解決手段】親油部位および親水部位を有する常温で固体の有機化合物で無機粒子を乾式処理したのち、水性樹脂分散体に混合分散する水性分散体の製造方法。該無機粒子は金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属塩化物であるが、なかでも金属酸化物微粒子は粒子表面に水酸基が豊富に存在するため好適に用いられる。無機粒子の乾式処理は乾式粉砕法により行う。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式法により表面処理をした無機粒子を水性樹脂分散体に混合分散する水性分散体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機粒子は、一般に表面に水酸基などの極性基(例えば、酸化ケイ素の場合にはシラノール基)を有している。そのため、粒子表面が親水性であり、樹脂の存在下で無機粒子を水性媒体中に分散する際に、無機粒子と樹脂との相互作用が非常に弱く、樹脂の無機粒子への吸着が弱くなってしまう問題がある。そこで、無機粒子の表面を有機物で処理して表面を有機修飾することで、無機粒子の樹脂への親和性を高くする方法が広く用いられている。
【0003】
このような有機修飾に適した代表的な無機粒子は、シリカ、チタニア、アルミナ等の金属酸化物の粒子である。無機酸化物粒子表面の有機修飾には、一般にシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーンオイル等の有機金属化合物が使用される。また、アルコール、カルボン酸、酸塩化物等の金属を含有しない有機物で表面処理する有機修飾法も知られている。
無機酸化物の表面をシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーンオイル等の有機金属化合物で処理する有機修飾法は、有機金属化合物が無機酸化物粒子表面の水酸基と化学反応して粒子表面に強固に結合するため、有機修飾の効果が高く、きわめて有用な方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、有機金属化合物は、分子中にケイ素やチタンといった原子量の大きい金属元素を有しているため化合物の分子量が大きくなり、無機粒子表面を処理する際に多量に用いる必要がある。このような多量の有機金属化合物の使用は、比表面積が大きい無機粒子を処理する場合にさらに顕著になる。また、アルコールやカルボン酸等の水酸基と反応性の有機化合物を含有する液体中に無機粒子を懸濁させて湿式法により表面処理する方法には、次のような問題点があった。
【0005】
例えば、アルコールによる表面処理では、無機粒子表面の水酸基とアルコールとの反応性が低いため、オートクレーブ等を使用して高温、高圧処理をしないと、アルコールを十分に無機粒子表面に固定することができない。また、酸塩化物による表面処理では、副生物として腐食性の塩化水素が生じる。また、カルボン酸による処理でも、無機粒子表面へのカルボン酸の吸着は起こるものの、化学反応によるカルボン酸の無機粒子表面への固定は十分に進行しない。
そこで、本発明は、無機粒子表面に有機化合物が強固に固定されており、非常に低粘度かつ分散粒径の細かい無機粒子および樹脂を含む水性分散体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
無機粒子表面は水酸基等の極性基の影響で親水性であるため、そのまま水性樹脂分散体と混合分散しても、無機粒子と樹脂との間の相互作用が小さく、水性樹脂分散体中に安定して分散することができない。そこで、本発明の水性分散体の製造方法では、無機粒子表面を親油部位および親水部位を有する常温で固体の有機化合物で乾式処理することで無機粒子表面を疎水化することにより、水性樹脂分散体中に含まれる樹脂との親和性を向上させ、樹脂を無機粒子に吸着しやすくしている。
【0007】
すなわち、本発明は、親油部位および親水部位を有する常温で固体の有機化合物で無機粒子を乾式処理したのち、水性樹脂分散体に混合分散することを特徴とする水性分散体の製造方法である。
本発明の水性分散体の製造方法において、無機粒子は金属酸化物粒子であることが好ましい。また、無機粒子の乾式処理は、乾式粉砕法により行うことが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、無機粒子の乾式処理について説明する。
乾式処理される無機粒子は、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属塩化物等の無機化合物の粒子であるが、なかでも金属酸化物粒子は、粒子表面に水酸基が豊富に存在するため好適に用いられる。金属酸化物として具体的には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。
無機粒子の平均一次粒子径は、得られる水性分散体をインキや塗料等に使用する場合の適性を考慮すると、0.2μm〜1.5μmであることが好ましく、0.2μm〜1.0μmであることがより好ましい。
【0009】
無機粒子は、親油部位および親水部位を有する常温で固体の有機化合物で乾式処理される。親油部位および親水部位を有する常温で固体の有機化合物は、樹脂となじみの良い炭素数10〜20程度の長い炭素鎖からなる親油部位と、水酸基、カルボキシル基等の極性基からなる親水部位を有する常温(25℃)で固体の有機化合物である。このような有機化合物で無機粒子を乾式処理すると、有機化合物の親水部位が親水性の無機粒子表面側に均一に配列し、その結果、親油部位が無機粒子最表面と反対側に配列することにより、無機粒子表面が疎水化され、水性樹脂分散体中に含まれる樹脂との親和性が向上し、樹脂が無機粒子に吸着しやすくなる。
【0010】
親油部位および親水部位を有する常温固体の有機化合物としては、多価アルコールの水酸基の一部が脂肪酸によりエステル化されている多価アルコール脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテルの脂肪酸エステル等を用いることができる。多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、グリセリンのモノまたはジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールのモノ脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジまたはトリ脂肪酸エステル等が挙げられる。グリセリンのモノまたはジ脂肪酸エステルとして具体的には、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、カプリン酸モノまたはジグリセリド等が挙げられ、プロピレングリコールのモノ脂肪酸エステルとして具体的には、ステアリン酸プロピレングリコール、カプリン酸プロピレングリコール、ペンタデシル酸プロピレングリコール等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノセチルエーテルおよびグリセリンジセチルエーテル等が挙げられる。
【0011】
無機粒子の上記有機化合物による乾式処理は、無機粒子と上記有機化合物とを実質的に液状物質を介在させないで、無機粒子表面に上記有機化合物を物理的に吸着させることにより行うことができる。親油部位および親水部位を有する常温で固体の有機化合物は、一般的な有機溶媒または水への溶解性が非常に低く、溶媒に添加することで化合物が凝集するため、湿式処理では無機粒子への均一な疎水化が行えない。また、湿式処理された無機粒子を水性媒体中に分散する際には、湿式処理で用いた溶媒の除去および湿式処理無機粒子の乾燥を行わなければならないため、乾式処理を行うことで水性分散体の製造工程が簡略化される。
【0012】
特に、乾式粉砕法により、無機粒子の乾式処理を行うと、無機粒子の凝集体が粉砕され、表面官能基(例えば、水酸基)がより多く表面に現れ、上記有機化合物と強固に吸着するようになるため好ましい。乾式粉砕法による無機粒子の乾式処理は、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した粉砕装置を使用して、粉砕メディア同士の衝突による粉砕力や破壊力を利用して行われる。粉砕装置としては、アトライター、ボールミル、振動ミル等を用いることができる。
【0013】
粉砕装置の粉砕メディアとしては、アルミナビーズ、スチールボール、セラミックボール、ジルコニアビーズ等が用いられる。特に、酸化チタンのように比重が重く、非常に硬い無機粒子を乾式粉砕法により処理する場合は、ビーズの硬さを考慮し、スチールボールまたはジルコニアビーズを用いることが好ましい。
また、ボールミルで乾式処理する場合には、乾式処理温度は室温〜有機化合物の軟化点付近であることが好ましく、処理時間は15時間〜48時間、臨界速度(ボールが遠心力で壁に張り付く速度)の60%〜90%、回転数にして100rpmから300rpmで回転させることが好ましい。
【0014】
無機粒子の乾式処理時には、無機粒子の重量を基準として、3〜40重量%の有機化合物を用いることが好ましい。有機化合物の使用量が40重量%を越えると、処理装置内部への有機化合物の付着、固着が生じる危険性が高くなり、3重量%未満では無機粒子表面が充分に疎水化されない可能性がある。
また、最終的に得られる乾式処理無機粒子における有機化合物の被覆量は、無機粒子と有機化合物の合計量を基準として3重量%から20重量%であることが好ましい。有機化合物の被覆量良が20重量%を越えると、無機粒子表面が疎水化され過ぎるため、水性樹脂分散体にぬれにくくなり、分散が困難になる。また、3重量%未満では、無機粒子表面の疎水化が充分でなく、水性樹脂分散体中に含まれる樹脂との相互作用が小さくなってしまう。
【0015】
次に、乾式処理された無機粒子を水性樹脂分散体に混合分散することにより水性分散体を製造する方法について説明する。
水性樹脂分散体は、樹脂を水性媒体中に分散したものであるが、水性樹脂分散体には、ハイドロゾル型水性樹脂分散体や、水溶性樹脂を保護コロイドとして合成されるコロイド状の水性樹脂分散体も含まれる。水性媒体中に分散される樹脂として具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、他の(メタ)アクリロイル基含有モノマー、スチレン、α−メチルスチレンや、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸またはそのエステル等から合成される(メタ)アクリル酸系共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シェラック樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、カルボキシル基含有石油樹脂、セルロース系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂等が挙げられ、これらは単独で、または混合して用いることができる。
【0016】
水性媒体は、水、および必要に応じて水混和性有機溶剤から構成される。水混和性有機溶剤としては、アルコール系有機溶剤、エステル系有機溶剤、アミン系有機溶剤等が挙げられる。
水性樹脂分散体の樹脂濃度は、得られる水性分散体の用途によって異なるが、概ね25〜50重量%である。
乾式処理された無機粒子は、例えば、羽根型攪拌機、ディスパー、ホモミキサー等を用いて水性樹脂分散体に予備混合をした後に、ペイントシェーカー、アイガーミル等を用いて分散することにより、水性樹脂分散体に混合分散することができる。
水性分散体中の乾式処理された無機粒子の含有量は、水性分散体の用途によって異なるが、水性分散体を基準として概ね10〜40重量%である。
【0017】
得られた水性分散体中には、乾式処理された無機粒子が非常によく分散した状態で存在しており、乾式処理された無機粒子は、有機化合物が無機粒子表面から剥がれにくく、かつ水性樹脂分散体中に含まれる樹脂との疎水性相互作用が強いため無機粒子に対する樹脂の吸着量が増大している。そのため、本発明の方法で製造される水性分散体は、粘度が低くなっている。
本発明の方法により製造される水性分散体は、水性グラビアインキ、水性塗料等として使用することができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。実施例中、部および%は、重量部および重量%をそれぞれ表す。
なお、水性分散体の粒度分布、粘度、および乾式処理無機粒子における有機化合物の被覆量については、下記の方法で測定した。
【0019】
(1)粒度分布
レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社「マスターサイザー2000」)を用いて、水性分散体の分散粒径を測定し、d(0.5)、d(0.9)で示した。
【0020】
(2)粘度
E型粘度計(トキメック製「Visconic ED型」)を用いて、25℃における水性分散体の粘度を測定した。
【0021】
(3)有機化合物の被覆量
熱分析測定装置(セイコーインスツルメンツ製「TG/DTA6300」)を用いて、乾式処理無機粒子における有機化合物の被覆量を測定し、無機粒子と有機化合物の合計量を基準とする有機化合物の重量比(%)で示した。
【0022】
(実施例1)
酸化チタン粒子(平均一次粒子径0.25μm)90部と多価アルコールの脂肪酸エステル(味の素ファインテクノ社製「MK−400」)10部を1Lのボールミルに入れ、ジルコニアビーズ(φ3mm)をメディアとし、室温で48時間、臨界速度の80%(回転数130rpmから140rpm、および周速0.6m/s)で回転させて乾式処理を行い、乾式処理された酸化チタン粒子の有機化合物被覆量を測定した。結果を表1に示す。
次いで、乾式処理された酸化チタン粒子37部、水性アクリル樹脂分散体(ジョンソンポリマー社製「ジョンクリル60」、樹脂濃度34%)21部、エタノール8部、および水34部をディスパーに入れて予備攪拌した後、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて3時間分散し、水性分散体を得た。
【0023】
(実施例2〜4および実施例6〜7)
表1に示す無機粒子を、表1に示す有機化合物を用いて実施例1と同様にして乾式処理し、乾式処理された無機粒子の有機化合物被覆量を測定した。結果を表1に示す。次いで、乾式処理された無機粒子を用いて、表2の処方に従い、実施例1と同様にして水性分散体を得た。
【0024】
(実施例5)
酸化チタン粒子(平均一次粒子径0.25μm)90部と多価アルコールの脂肪酸エステル(味の素ファインテクノ社製「MK−400」)10部を1Lのアトライターに入れ、ジルコニアビーズ(φ3mm)をメディアとし、室温で1時間、回転数500rpm、および周速1.3m/sで乾式処理を行い、乾式処理された酸化チタン粒子の有機化合物被覆量を測定した。結果を表1に示す。
次いで、乾式処理された酸化チタン粒子37.3部、水性アクリル樹脂分散体(ジョンソンポリマー社製「ジョンクリル60」、樹脂濃度34%)20.2部、変性エタノール8部、および水35.6部をディスパーに入れて予備攪拌した後、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて3時間分散し、水性分散体を得た。
【0025】
(比較例1)
酸化チタン粒子(平均一次粒子径0.25μm)90部と多価アルコールの脂肪酸エステル(味の素テクノ社製「MK−400」)10部と水100部とをペイントシェーカーに入れ、ジルコニアビーズをメディアとして5時間分散し、酸化チタン粒子を湿式処理した。湿式処理された酸化チタン粒子をろ過により取り出し、約200部の水でふりかけ洗浄を行ったのち乾燥し、得られた湿式処理酸化チタン粒子の有機化合物被覆量を測定した。結果を表1に示す。
次いで、湿式処理された酸化チタン粒子36.1部、水性アクリル樹脂分散体(ジョンソンポリマー社製「ジョンクリル60」、樹脂濃度34%)23.7部、エタノール8部、水32.2部をディスパーに入れて予備攪拌した後、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて3時間分散し、水性分散体を得た。
【0026】
(比較例2)
酸化チタン粒子を酸化亜鉛粒子(平均一次粒子径0.4μm)に代えた以外は、比較例1と同様にして酸化亜鉛粒子を湿式処理し、得られた湿式処理酸化亜鉛粒子の有機化合物被覆量を測定した。結果を表1に示す。
次いで、湿式処理された酸化亜鉛粒子36.2部、水性アクリル樹脂分散体(ジョンソンポリマー社製「ジョンクリル60」、樹脂濃度34%)23.5部、エタノール8部、水32.3部をディスパーに入れて予備攪拌した後、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて3時間分散し、水性分散体を得た。
【0027】
(比較例3)
酸化亜鉛粒子(平均一次粒子径0.4μm)90部と多価アルコールの脂肪酸エステル(味の素テクノ社製「MK−400」)10部とクロロホルム100部とを500mLフラスコに入れて8時間加熱還流し、酸化亜鉛粒子を湿式処理した。湿式処理された酸化亜鉛粒子をろ過により取り出し、約200部のクロロホルムでふりかけ洗浄を行ったのち乾燥し、得られた湿式処理酸化亜鉛粒子の有機化合物被覆量を測定した。結果を表1に示す。
次いで、湿式処理された酸化亜鉛粒子35.8部、水性アクリル樹脂分散体(ジョンソンポリマー社製「ジョンクリル60」、樹脂濃度34%)24.6部、エタノール8部、水31.6部をディスパーに入れて予備攪拌した後、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーを用いて3時間分散し、水性分散体を得た。
【0028】
【表1】
Figure 2004010807
酸化チタン粒子:平均一次粒子径0.25μm
酸化亜鉛粒子:平均一次粒子径0.4μm
MK−400:味の素ファインテクノ社製 多価アルコール脂肪酸エステル(融点160℃)
MK−600:味の素ファインテクノ社製 多価アルコール脂肪酸エステル(融点50℃)
S−100:理研ビタミン社製ステアリン酸モノグリセリド(モノエステル含有量95%以上、融点65℃)
S−200:理研ビタミン社製モノ・ジステアリン酸グリセリド(モノエステル含有量45〜55%、融点60℃)
【0029】
【表2】
Figure 2004010807
水性アクリル樹脂分散体:ジョンソンポリマー社製「ジョンクリル60」、樹脂濃度34%
【0030】
各例で得られた水性分散体の粒度分布および粘度を測定した。結果を表3に示す。
また、各例で得られた分散体25gを遠沈管にはかり取り、25gのエタノール/水の混合溶媒を加え、遠心分離(15000rpm/10min.)にかけた。上澄みを取り除き、再度25gのエタノール/水の混合溶媒を加え、超音波に15分かけた後に再度遠心分離をかけ、未吸着樹脂の洗浄を行った。この工程を合計3回繰り返し、最終的に得られる固形分を乾燥し、熱分析を行った。無機粒子と有機物の合計量を基準とした有機物の被覆量を表3に示す。なお、ここでいう有機物には、無機粒子の乾式処理に用いられた有機化合物と乾式処理された無機粒子に吸着した水性樹脂分散体中の樹脂が含まれる。
【0031】
【表3】
Figure 2004010807
【0032】
表3に示すように、本発明の製造方法に従って無機粒子を有機化合物で乾式処理したのち水性樹脂分散体に混合分散することで、非常に低粘度な水性分散体を得ることができる。また、水性樹脂分散体に分散後の無機粒子に対する有機物の被覆量は、乾式処理後の被覆量よりも増大していることから、乾式処理による無機粒子表面への有機化合物被覆は強固なものであり、乾式処理された無機粒子を水性樹脂分散体に混合分散することで樹脂との疎水性相互作用が働き、さらに無機粒子に樹脂が吸着したと考えられる。
【0033】
これに対し、無機粒子を親油部位および親水部位を有する常温で固体の有機化合物で湿式処理した場合には、有機化合物の水や有機溶媒への低い溶解性のため、系内で凝集してしまい、無機粒子が均一に処理されていなかった。その結果、同じ無機粒子に対して同じ有機化合物を乾式処理した場合と比較し、無機粒子への有機化合物の被覆量が低かった。
このため、水性樹脂分散体中に含まれる樹脂と乾式処理無機粒子または湿式処理無機粒子との間の相互作用は湿式処理無機粒子のほうが小さく、湿式処理無機粒子は、乾式処理無機粒子と比べて、水性樹脂分散体に混合分散した場合に無機粒子を被覆する有機物(水性樹脂分散体中に含まれる樹脂)の量が少なく、得られた分散体の粘度が高くなる傾向があった。
【0034】
【発明の効果】
無機粒子を親油部位および親水部位を有する常温で固体の有機化合物で乾式処理し、無機粒子表面を疎水化したのち、水性樹脂分散体に混合分散する本発明の方法によって、無機粒子と樹脂との親和性を高くした水性分散体を製造することができた。また、得られた水性分散体の粘度は非常に低粘度であった。

Claims (3)

  1. 親油部位および親水部位を有する常温で固体の有機化合物で無機粒子を乾式処理したのち、水性樹脂分散体に混合分散することを特徴とする水性分散体の製造方法。
  2. 無機粒子が金属酸化物粒子であることを特徴とする請求項1記載の水性分散体の製造方法。
  3. 無機粒子の乾式処理を乾式粉砕法により行うことを特徴とする請求項1または2記載の水性分散体の製造方法。
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