JP2004009868A - 車輌用窓ガラス曇り防止装置 - Google Patents

車輌用窓ガラス曇り防止装置 Download PDF

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亀坂 精二
Yoshio Harada
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Abstract

【課題】簡単な構成で快適性と省エネ効果が得られる車輌用窓ガラス曇り防止装置を提供する。
【解決手段】車輌のフロントウィンドウシールドW1とリアウィンドウシールドW2の内面にそれぞれ高分子形結露センサ1,2を配設する。結露センサ1,2の抵抗値に比例した出力信号を各コンパレータ41,42で所定電圧と比較する。結露センサ1,2の出力信号が所定電圧以上でオン信号を出力し、所定電圧未満でオフ信号を出力する。コンパレータ41のオン信号でエアコン5を駆動し、オフ信号で停止する。コンパレータ42のオン信号でデフォッガ3に通電し、コンパレータ42のオフ信号でデフォッガ3の通電を遮断する。結露センサ1,2における低湿側(例えば70%RH〜90%RH)の所定抵抗値に動作点を設定し、結露の兆候を早めに検出する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の窓ガラス(フロントウィンドウシールドやリアウィンドウシールド)の曇りを防止する車輌用窓ガラス曇り防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の窓ガラスの曇りを除去する方法として、窓ガラスに貼り付けた結露センサで結露を検出し、デフロスタ(送風機)やデフォッガ(熱線)あるいはエアコンを動作させる方法がある。このような方法によれば、結露センサにより結露現象を直接検出できるので、湿度センサなどで制御する場合のようにセンサの温度保証や窓ガラスの温度検出等の必要がなく、装置が簡単で安価になるという利点がある。
【0003】
結露センサを利用して窓ガラスの曇りを除去する技術は、例えば特開昭58−174019号公報あるいは特開平8−142805号公報に開示されている。特開昭58−174019号公報は、複数の結露センサを適所に配置して、デフロスタを動作させ、デフロスタが動作したときの空調の乱れを少なくする提案である。また、特開平8−142805号公報のものは、複数の結露センサと複数の温度センサを適所に配置して、デフロスタ、デフォッガ、エアコンを複雑かつ巧みに制御するものである。
【0004】
また、結露センサとしては例えば高分子形結露センサが用いられる。この高分子形結露センサは、安価でタフで、結露現象を直接検知するスイッチ素子であり、結露を検知する多くのものに使われている。すなわち、高分子形結露センサは、高湿側の略90%RH(相対湿度)以上で3桁に近い急激な抵抗値変化を示すが、特に70%RH以下の低湿側で抵抗値変化が少ない(ほとんどない)という特徴があり、抵抗値が急激な変化を示す高湿側を動作点とするスイッチ素子として使われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭58−174019号公報のものでは、複数の結露センサを最適な場所に配置して、デフロスタをきめ細かに制御しても、曇りを検知してからそれを取るので、車内環境条件や空気の流れ、センサの取り付け場所や取り付け方法、などを細かく検討し厳密は計測により厳密な制御をしても、曇りは急速に起こる場合があるり、結露センサの応答遅れから、曇りを皆無にすることはできない。また、デフロスタを動作して曇りを取るので、温風が吹き出し空調環境を乱した影響で生じる不快感を皆無にすることはできない。
【0006】
特開平8−142805号公報のものは、特開昭58−174019号公報の技術を改善することを目的としており、いろいろなパターンをカバーでき、特開昭58−174019号公報の技術よりも完成度は高くなっている。しかし、この特開平8−142805号公報のものでは、曇りを検知してから制御していることと、デフロスタを作動させているので、曇りやデフロスタ動作時の不快感を皆無にすることはできない上に、複雑で高価となる。
【0007】
本発明は、従来の高分子形結露センサを用いて、簡単な構成で快適性と省エネ効果が得られる車輌用窓ガラス曇り防止装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の車輌用窓ガラス曇り防止装置は、車輌のフロントウィンドウシールドの内面に配置された第1の高分子形結露センサと、車輌のリアウィンドウシールドの内面に配置された第2の高分子形結露センサと、車輌室内の湿度を制御するエアコンと、前記リアウィンドウシールドに配設されたデフォッガと、前記第1の高分子形結露センサにおける抵抗値が所定レベル以上のときエアコンをオンするとともに該所定レベル未満のときエアコンをオフし、前記第2の高分子形結露センサにおける抵抗値が所定レベル以上のときデフォッガをオンするとともに該所定レベル未満のときデフォッガをオフする制御手段と、を備え、前記抵抗値の所定レベルを前記第1及び第2の高分子形結露センサにおける低湿側の抵抗値に設定したことを特徴とする。
【0009】
上記のように構成された請求項1の車輌用窓ガラス曇り防止装置によれば、第1の高分子形結露センサにおける低湿側の抵抗値が所定レベル以上になると、エアコンで車輌室内を低湿度となるように制御するので、窓ガラスが曇る兆候を素早く検出して曇り防止を行うことができる。また、第2の高分子形結露センサにおける低湿側の抵抗値が所定レベル以上になると、デフォッガが駆動するので、窓ガラスが曇る兆候を素早く検出して曇り防止を行うことができる。そして、従来の高分子形結露センサを用いるとともにその抵抗値だけを検出すればよいので、簡単なスイッチ回路の構成となる。また、低湿側の抵抗値により結露の兆候を早めに検出して制御するので高分子形結露センサの低湿側の特性ばらつきを吸収でき、さらに、従来のように結露直前で制御するよりも時間遅れを吸収することができ、より確実な制御結果が得られる。さらに、車輌室内の湿度環境を低く抑えることができるので快適性が得られるとともに、デフロスタやデフォッガを駆動する頻度が少なくなり、省エネ効果も得られる。
【0010】
本発明の請求項2の車輌用窓ガラス曇り防止装置は、請求項1の構成を備え、前記第1の高分子形結露センサを、フロントウィンドウシールドのセンターピラーに近い下部でかつ外面がワイパーの操作範囲内である箇所に配置したことを特徴とする。
【0011】
上記のように構成された請求項2の車輌用窓ガラス曇り防止装置によれば、請求項1と同様な作用効果が得られるとともに、フロントウィンドウシールドの曇りやすい部分で検出するので制御が確実になる。
【0012】
本発明の請求項3の車輌用窓ガラス曇り防止装置は、請求項1の構成を備え、前記第2の高分子形結露センサを、リアウィンドウシールドの中央下部でかつデフォッガの熱線の中間部の箇所に配置したことを特徴とする。
【0013】
上記のように構成された請求項3の車輌用窓ガラス曇り防止装置によれば、請求項1と同様な作用効果が得られるとともに、リアウィンドウシールドの曇りやすい部分で検出するので制御が確実になる。
【0014】
本発明の請求項4の車輌用窓ガラス曇り防止装置は、請求項1または請求項2または請求項3の構成を備え、前記制御手段が、前記第1の高分子形結露センサにおける抵抗値の所定レベル以上/未満を検出する第1の検出手段と、前記第2の高分子形結露センサにおける抵抗値の所定レベル以上/未満を検出する第2の検出手段とで構成されていることを特徴とする。
【0015】
上記のように構成された請求項4の車輌用窓ガラス曇り防止装置によれば、請求項1または請求項2または請求項3と同様な作用効果が得られるとともに、制御手段において、第1及び第2の高分子形結露センサの抵抗値を第1及び第2の検出手段でそれぞれ独立に検出するので、簡単なスイッチ回路の構成となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による車輌用窓ガラス曇り防止装置の実施形態を図面を参照して説明する。図1は実施形態の車輌用ガラス曇り防止装置を示す要部ブロック図である。車輌のフロントウィンドウシールドW1の内面には、センターピラーに近い下部でかつ外面がワイパーの操作範囲内である箇所に第1の高分子形結露センサ1が配設されている。また、リアウィンドウシールドW2の内面には、その中央下部でかつデフォッガ3の熱線3aの中間部の箇所に第2の高分子形結露センサ2が配設されている。高分子形結露センサ1,2は、櫛形の電極を形成した基板に、吸湿性高分子に炭素粉末を混ぜた薄膜を形成した構成であり、水分の吸着により炭素粒子の間隔が拡大して抵抗値が増大するようになっている。なお、以下の説明では「高分子形結露センサ」を適宜「結露センサ」ともいう。
【0017】
制御手段としてのコントローラ4は第1のコンパレータ41と第2のコンパレータ42とを備えており、第1の結露センサ1の出力信号が第1のコンパレータ41に入力され、第2の結露センサ2の出力信号が第2のコンパレータ42に入力される。結露センサ1,2の出力信号は結露センサ1,2の各々の抵抗値を電気に交換した信号であり、各コンパレータ41,42は内部に設定された所定電圧と対応する結露センサ1,2の出力信号(電圧信号)とを比較し、各結露センサ1,2の出力信号の電圧が各々の所定電圧以上になるとオン信号を出力し、出力信号の電圧が所定電圧未満の場合にはオフ信号を出力する。なお、この結露センサ1,2の出力信号の電圧値と所定電圧とを比較判定することは、各結露センサ1,2における抵抗値と所定抵抗値とを比較判定することに相当することはいうまでもない。
【0018】
コンパレータ41,42の出力信号(オン信号/オフ信号)は、オートエアコン等のエアコン5と電源回路等のデフォッガ駆動回路6にそれぞれ入力される。エアコン5は、コンパレータ41からのオン信号の入力により駆動し、冷風と温風とを吹き出して車輌室内の湿度を低湿度となるように制御する。また、コンパレータ41からのオフ信号の入力によりエアコン5は駆動を停止する。デフォッガ駆動回路6は、コンパレータ42からのオン信号の入力によりデフォッガ3の熱線3aに通電し、コンパレータ42からのオフ信号の入力によりデフォッガ3の熱線3aへの通電を遮断する。
【0019】
すなわち、コントローラ4は、第1の高分子形結露センサ1における抵抗値の所定レベル以上/未満を検出する第1の検出手段としての第1のコンパレータ41と、第2の高分子形結露センサ2における抵抗値の所定レベル以上/未満を検出する第2の検出手段としての第1のコンパレータ42とを備えている。そして、コントローラ4は、第1の高分子形結露センサ1における抵抗値が所定レベル以上のときエアコン5をオンするとともに該所定レベル未満のときエアコン5をオフし、第2の高分子形結露センサ2における抵抗値が所定レベル以上のときデフォッガ3をオンするとともに該所定レベル未満のときデフォッガ3をオフする。
【0020】
図2は実施形態における高分子形結露センサ1,2の相対湿度−抵抗値特性の一例を示す図である。高分子形結露センサは、相対湿度−抵抗値特性をそろえるのが製造上困難であり、例えば図2に示すものが限界である。すなわち、製造上の偏差は、従来の使い勝手から高湿側が小さく絞られているので、低湿側は偏差が大きくなってしまう。例えば図2の例では、結露センサの出力抵抗値が略50kΩの点においては、センサ特性のばらつきによる測定値(相対湿度)の偏差は5%RHの幅で済むが、出力抵抗値が2.5kΩの点においては、測定値のばらつきは20%RHと大きな幅になる。この特徴が、結露直前の相対湿度値を動作点として、結露センサが高湿側のスイッチング素子として使われている理由である。
【0021】
これに対して、本発明においては結露センサにおける低湿側(例えば70%RH〜90%RH)の所定抵抗値に動作点を設定して、エアコンとデフォッガのオン/オフを制御する。すなわち、曇り検知素子として高分子形結露センサを用い、従来の使用方法である結露センサ本来の使用方法(高湿検出用のスイッチング)とは異なり、低湿領域(低湿レベル)での抵抗値変化を利用している。例えば、実施形態では、所定抵抗値を中央値における75%RH近辺の2.5kΩに設定した。この場合、結露センサ1,2の偏差が最大にばらついた場合を考えても、結露センサ1,2近辺の湿度環境は66〜86%RH(実際にはセンサの応答遅れがあるのでもっと高湿側になるが)に制御することができ、フロントウィンドウシールドW1もリアウィンドウシールドW2も曇ることがない。
【0022】
なお、実験例では、「降雨日、外気温度10℃、乗車人数1人、結露センサは一番曇りやすい場所に設置、結露センサが90%RH位から曇りはじめてあっという間にウィンドウシールドに曇りが広がる」という条件による実車試験を行った。この結果、結露センサからの信号が80〜90%RHになる値に設定すると、曇らない、湿気を感じない、蒸し暑さを感じないなど、効果が十分に得られるこをを確認した。また、試験中にリアウィンドウシールドのデフォッガがほとんど作動されないことが判明した。さらに、実車試験で、エアコンが働いている時間が従来の1/3〜1/4となり、省エネ効果が十分得られることも判明した。
【0023】
このように、エアコンで車輌室内全体を曇らない環境(低湿度)に制御するので、実質的にフロントウィンドウシールドの結露センサ1本で他のウィンドウシールドもかなりの確度で曇り防止することができ、不快感のない快適な環境にすることが可能となった。
【0024】
なお、実施形態では、検出手段としてコンパレータ41,42を用いた場合について説明したが、結露センサ1,2の出力信号を取り込んでコンピュータとソフトウエア(制御プログラム)に検出手段を構成してもよいことはいうまでもない。
【0025】
【発明の効果】
請求項1の車輌用窓ガラス曇り防止装置によれば、窓ガラスが曇る兆候を素早く検出して曇り防止を行うことができるとともに、簡単なスイッチ回路の構成となる。また、結露の兆候を早めに検出して制御するので高分子形結露センサの低湿側の特性ばらつきを吸収でき、さらに、従来のように結露直前で制御するよりも時間遅れを吸収することができ、より確実な制御結果が得られる。また、車輌室内の湿度環境を低く抑えることができるので快適性が得られるとともに、デフロスタやデフォッガを駆動する頻度が少なくなり、省エネ効果も得られる。
【0026】
請求項2の車輌用窓ガラス曇り防止装置によれば、請求項1と同様な効果が得られるとともに、フロントウィンドウシールドの曇りやすい部分で検出するので制御が確実になる。
【0027】
請求項3の車輌用窓ガラス曇り防止装置によれば、請求項1と同様な効果が得られるとともに、リアウィンドウシールドの曇りやすい部分で検出するので制御が確実になる。
【0028】
請求項4の車輌用窓ガラス曇り防止装置によれば、請求項1または請求項2または請求項3と同様な効果が得られるとともに、制御手段において、第1及び第2の高分子形結露センサの抵抗値を第1及び第2の検出手段でそれぞれ独立に検出するので、簡単なスイッチ回路の構成でさらに確実な曇り防止と省エネが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における車輌用ガラス曇り防止装置を示す要部ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における高分子形結露センサの相対湿度−抵抗値特性の一例を示す図である。
【符号の説明】
1  第1の高分子形結露センサ
2  第2の高分子形結露センサ
3  デフォッガ
4  コントローラ
5  エアコン
6  デフォッガ駆動回路
41 第1のコンパレータ
42 第2のコンパレータ
W1 フロントウィンドウシールド
W2 リアウィンドウシールド

Claims (4)

  1. 車輌のフロントウィンドウシールドの内面に配置された第1の高分子形結露センサと、
    車輌のリアウィンドウシールドの内面に配置された第2の高分子形結露センサと、
    車輌室内の湿度を制御するエアコンと、
    前記リアウィンドウシールドに配設されたデフォッガと、
    前記第1の高分子形結露センサにおける抵抗値が所定レベル以上のときエアコンをオンするとともに該所定レベル未満のときエアコンをオフし、前記第2の高分子形結露センサにおける抵抗値が所定レベル以上のときデフォッガをオンするとともに該所定レベル未満のときデフォッガをオフする制御手段と、
    を備え、
    前記抵抗値の所定レベルを前記第1及び第2の高分子形結露センサにおける低湿側の抵抗値に設定したことを特徴とする車輌用窓ガラス曇り防止装置。
  2. 前記第1の高分子形結露センサを、フロントウィンドウシールドのセンターピラーに近い下部でかつ外面がワイパーの操作範囲内である箇所に配置したことを特徴とする請求項1記載の車輌用窓ガラス曇り防止装置。
  3. 前記第2の高分子形結露センサを、リアウィンドウシールドの中央下部でかつデフォッガの熱線の中間部の箇所に配置したことを特徴とする請求項1記載の車輌用窓ガラス曇り防止装置。
  4. 前記制御手段が、前記第1の高分子形結露センサにおける抵抗値の前記所定レベル以上/未満を検出する第1の検出手段と、前記第2の高分子形結露センサにおける抵抗値の前記所定レベル以上/未満を検出する第2の検出手段とで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の車輌用窓ガラス曇り防止装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012101743A (ja) * 2010-11-12 2012-05-31 Toyota Motor Corp 車両用表示装置
JP2019001243A (ja) * 2017-06-13 2019-01-10 株式会社デンソー 車両用防曇装置

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