JP2004009535A - 記録装置および記録方法 - Google Patents

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河合 英夫
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Abstract

【課題】マルチパス記録を実行中に記録素子が動作不良となった場合においても、記録にかかる時間を長くすることのなしに、記録画像の品質を維持する。
【解決手段】複数の記録素子を有する少なくとも1つの記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査し、マルチパス記録によって記録媒体に画像を記録する記録装置において、各パスの記録データを各パスのマスクデータから生成し、複数の記録素子のうち動作不良となった記録素子を不吐出検出部406で検出し、マルチパスデータ処理部408で動作不良が検出された記録素子で記録すべきデータを、他のパスで同じライン上にあるデータを記録する他の記録素子で記録するように、記録データを変更して補完する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は記録装置および記録方法に関し、特に、複数の記録素子を有する少なくとも1つの記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査し、マルチパス記録によって記録媒体に画像を記録することができる記録装置および記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィスのOA化が進みパーソナルコンピュータなどの情報処理装置の普及に伴い、それらのデータや画像の出力装置としてインクジェット方式による記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェットプリンタが急速に普及している。
【0003】
このようなインクジェットプリンタにおいては、記録時間の短縮化や出力画像の高精細化のために、複数の記録素子と対応するインク吐出口(ノズル)やインク流路を高密度に集積配列した記録ヘッド(以下マルチヘッド)を使用するものが主流となっている。更に、記録画像のカラー化に対応させるため、上記マルチヘッドを使用するインク毎に複数備えたものが一般的になっている。
【0004】
しかしながら、このようなプリンタで多色インクを用いたカラー画像が一般的に出力されることにより、モノクロ記録に対する評価に加えて、発色性、再現性、階調性、一様性などの要素も画像品位に関わる重要な要素として記録画像に対する評価に用いられるようになってきている。
【0005】
特に、記録画像の一様性に関しては、マルチヘッドの製造工程において生じるノズル単位の製造上の僅かなばらつきが、各ノズルの記録精度に影響して記録の際のインクの吐出量や吐出方向にばらつきを生じさせることが知られている。従って、この製造工程におけるばらつきが、最終的に出力画像の濃度ムラとなり画像品位を劣化させる原因となる。
【0006】
このような不具合を解消するため、例えば、特開昭60−107975号公報には、記録ヘッドの異なる領域で記録媒体の同じ領域を複数回走査することでその領域に対する記録を完成させる、マルチパス記録方式が提案されている。
【0007】
この方式は、元々の画像データに所定のサイズのマスクパターンをかけて(アンド演算を施して)1回の走査で記録する画素数を間引き、各走査毎にインク吐出を行うノズルを異ならせ、記録媒体の搬送単位を記録ヘッドの記録幅より短くして記録を行うものであり、これにより、記録ヘッドのノズル間の吐出性能のばらつきが記録媒体の特定の場所に集中すること、あるいは、搬送精度の影響などに起因する濃度ムラやすじの発生が抑えられる。
【0008】
図12は、同一領域内を記録ヘッドによって2回走査することで画像記録を完成させる記録方式(2パス記録)に使用する8ドット×8ドットのマスクパターンの一例を示す図である。図中(a)は1回目(1パス)の走査に用いるマスクパターン(以下、“MASK1”という)を示し、(b)は2回目(2パス)の走査に用いるマスクパターン(以下、“MASK2”という)を示す。この図の例では、同じ4×4のパターン4つで8×8のパターンが形成されている。
【0009】
例えば、記録ヘッドのノズル数が“240”であるとし、そのノズルが記録媒体の搬送方向に1列に配列されているとすると、図12に示すようなマスクパターンを用いてマルチパス記録を行う場合、次のような記録制御がなされる。
【0010】
まず、1パス目の記録では、240ノズルに対応する原画像データとMASK1とのANDを演算し、その演算結果の内、上半分のデータを記録ヘッドの下半分の120ノズルに1パス目のデータとして出力する。その結果、記録ヘッドの240ノズル中の下半分120ノズルを使用して記録がなされる。
【0011】
次に、記録ヘッドのノズル数の半分の120ノズル分の記録幅に対する長さ分だけ記録用紙を搬送する。続いて、上記の240ノズルに対応する原画像データとMASK2とのANDを演算する。そして、その演算結果を2パス目のデータとして記録ヘッドに出力する。その結果、MASK2によってマスクされた画像データを用いて240ノズル分の記録幅での記録がなされる。これによって、その記録幅の上半分には1パス目の記録と2パス目の記録とが重畳される。
【0012】
さらに、記録ヘッドのノズル数の半分の120ノズル分の記録幅に対する長さ分だけ記録媒体を搬送する。そして、先程のMASK1と、下半分の120ノズル分のデータと次の240ノズル分に対応する原画像データの内、上120ノズル分に対応するデータとのAND演算の演算結果を記録ヘッドの240ノズルに3パス目のデータとして出力する。その結果、記録ヘッドの上半分120ノズルを使用してMASK1によってマスクされた画像と記録ヘッドの下半分120ノズルを使用してMASK1によってマスクされた次の240ノズル分の原画像データに対応した画像上半分の記録がなされる。これによって、記録ヘッドの記録幅の上半分には2パス目の記録と3パス目の記録とが重畳される。
【0013】
以上のようにして、記録ヘッドの240ノズルを記録幅とする画像の記録が完成する。
【0014】
ところで、図12に示すようなマスクパターンを用いた場合には、記録ヘッドの移動方向である主走査方向と記録媒体の搬送方向である副走査方向に対して4ドット周期で同じノズルが同じタイミングで使用されることになる。ここで、プリンタの解像度が300(主走査方向)×300(副走査方向)DPIで、記録媒体としてA4サイズの記録用紙を縦長に用いる場合には、主走査方向の記録ドット数は約2480ドットであるため、2480÷4=620回は、同一ノズルが同一タイミングで使用されることになる。従って、その周期で、各ノズル性能のばらつきが顕在化し、完全に濃度むらやスジを消すことが困難となる。また、マスクパターンが固定であるため、記録データがマスクパターンに同調した場合には、マルチパスの効果がなくなってしまう。
【0015】
従って、このような問題を解決するために、本願と同一出願人による特開平7−52390号公報には、所定のサイズ(例えば、2400×8ドット)の領域内でパターンの分布がランダムであるマスクパターンを使用する方法が提案されている。このようなマスク(ランダムマスク)は、ROM内に予め所定のビット数のランダムな値を格納し、記録パス数に応じてこれを読み出してRAM上にそのパターンが生成される。このようなランダムマスクを使用すると、主/副走査方向に対して、吐出周期が不規則となるので、濃度ムラやスジの発生が防止される。また、マスクパターンがランダムであるので、記録データがマスクパターンに同調する可能性を極めて低くすることが可能となる。
【0016】
なお、インクジェット記録装置の記録ヘッドにおいては、インク吐出を行わない状態で長時間放置された場合など、特に吐出口近傍のインク液路内においてインクが増粘し、正常な吐出が行われなくなることがある。また、記録ドットの比率が高い(記録デューティが高い)記録動作が連続する場合など、インク吐出に伴なって上記液路内のインク中に微細な気泡が生じて、これが成長し、この成長した気泡が液路内に残留して吐出に影響を及ぼし、同様に正常な吐出が行われなくなることがある。この気泡は、先に述べた吐出に伴なって発生するものの他に、インク供給路の接続部などのインク供給系においてインク中に混入するものもある。
【0017】
これらの原因による記録素子(ノズル)の吐出不良によって、記録装置の信頼性が下がるだけでなく、正常に吐出できない状態で記録を継続すると、正常な場合に比べて記録ヘッドがはるかに高い温度まで昇温してしまい、記録ヘッド自体にダメージが生じ、耐久性が損なわれる場合がある。
【0018】
このような吐出不良に対してインクジェット記録装置では、(1)吐出を行わない時に記録ヘッドの吐出口面を被覆してインクの増粘を防止するキャッピング処理、(2)キャッピング状態で吐出口からインクを吸引して増粘インクを強制排出させるインク吸引処理、(3)インク吸収体などで構成される所定のインク受けにインクを吐出して増粘インクを排出する予備吐出処理、などの回復処理が行われる。
【0019】
このような回復処理に関連して、記録装置の信頼性を向上させる目的で、インクの吐出不良を検出する手段を設けることが好ましい。この場合、記録ヘッドが有する複数の吐出口(ノズル)の各々に対して個別に吐出不良を検出できることが好ましい。検出方法としては、インク飛翔経路側方に配置した光センサを用いる方法や、空吐出により記録ヘッドに生じる温度上昇およびその後の温度の降下により判断する方法や、所定のテストパターンを記録して読み取ることにより検出する方法、などが多く用いられている。
【0020】
検出した不吐出ノズルに対してこれを補完する方法としては、あらかじめ通常の記録では使用しない不吐出補完用ノズルを備え、この不吐出補完用ノズルが不吐出ノズルに代わって補完記録するものが提案されている。しかしながら、記録ヘッドが余分なノズルを備えることは、記録ヘッドの小型化の妨げになるだけでなく、消耗品である記録ヘッドのコストを引き上げることになる。
【0021】
さらに別の手法としては、不吐出が検出されたノズルに対して、マルチパス記録において同一ラインを形成する他のノズルに不吐出ノズルが記録すべきドットを割り当てることで補完記録を実現する方式がある。また、記録処理の高速化の目的で複数組の記録ヘッドを備えたものが提案されており、このようなインクジェット記録装置においては、同一ラインを形成する他ヘッドのノズルに不吐出ノズルが記録すべきドットを割り当てて補完記録を実現することもできる。
【0022】
図3は、一般的なインクジェット記録方式による記録装置の概略制御構成を示すブロック図である。
【0023】
図中301はCPUであり、その内部バスにはROM302とRAM303が接続されている。CPU301はROM302からプログラムを読みだし、RAM303に対するリードライトを繰り返すことでプログラムを実行する。304は記録装置と図示しない外部のホスト装置との間のコマンド転送や画像データ転送を行うインタフェースであり、CPU301と後述するバンドメモリ306に接続されている。305は、本装置に対する各種キーの入力や本装置の動作状態を表示する操作・表示部であり、CPU301に接続されている。
【0024】
306は、バンドメモリであり、インタフェース304から記録のための画像データが転送され、CPU301の制御によって、1バンド分の画像データとして所定の幅に分割された領域の画像形成に必要な量の画像データがここにストアされる。バンドメモリ306の出力は、マルチパスデータ処理部307に入力される。マルチパスデータ処理部307は、CPU301の制御によって、分割された領域の画像形成を複数回のスキャンで画像形成が完成するようにデータの間引き処理を実行し、1スキャン分の画像データを生成し、ヘッドコントローラ308に出力する。
【0025】
308はヘッドコントローラであり、その出力はマルチヘッド309に接続されている。ヘッドコントローラ308は、CPU301の制御によって、キャリッジが1スキャンの動作を行う間に、所定の幅に分割された領域の画像形成がされるように、マルチヘッド309を駆動する。マルチヘッド309は、ヘッドコントローラ308から制御されることによって、ヘッド上に形成されている複数のインク吐出口からインクを飛翔させて、キャリッジ動作と同期を取りながら1スキャン分の画像形成を実行する。メカ制御部310は、CPU301のバスに接続され、CPU301の命令によってキャリッジ駆動制御や記録媒体の搬送制御を実行する。
【0026】
図14はマルチパスデータ処理部307の従来例を示すブロック図である。1201は第2のROMで、データ間引きのためのマスクデータが格納されており、その出力はテーブル生成部1202に接続されている。テーブル生成部1202は、CPU301の制御によって第2のROM1201からマスクデータを読み出し、マルチパス記録のためのランダムマスクテーブルを作成しテーブル格納部1203に出力する。1204は、マスク処理部で、前記テーブル格納部1203からランダムマスクテーブルのマスクデータを読み出し、前段のバンドメモリ306から出力された2値化画像データとマスクテーブルデータとのAND演算を行うことによってマルチパスデータに変換し、後段のヘッドコントローラ308に出力する。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例のようにデータ間引きにランダムマスクを用いるマルチパス記録を実行した場合でも、ページ記録動作中に不吐出ノズルが発生した場合には十分に対応することができない。例えば、マルチパス記録を実行している最中に、ヘッドの目詰まりを解消するためのヘッド吸引シーケンスなどのヘッド回復処理を実行するためには、ページ記録動作を一時中断する必要があり、ページ記録に要するトータル時間が長くなってしまう。
【0028】
また、記録途中でのヘッド回復処理を実行してしまうとページ記録動作が中断されてしまい、マルチパス記録が完成するまでの時間のずれに起因する濃度ムラ(時間差ムラ)を生じてしまい、記録画像の品位を著しく劣化させてしまうという問題があった。
【0029】
ここで、図8を用いて上記時間差ムラについて説明する。図8は、所定の記録領域の画像を2回のスキャンで完成させるマルチパス記録において、2回のスキャンの時間間隔が短い場合と長い場合とにおける、記録媒体に対するインクの浸透と定着の様子を時間に沿って模式的に表した図である。図中において、801はインク滴、802は記録媒体である。1回目のスキャンで記録媒体に浸透したインク滴801−1は、紙面に垂直な方向および紙面に平行な方向へ浸透し、インク成分である染料などの色素が記録媒体と物理的および化学的に結合する。
【0030】
図8(a)は、1パス目と2パス目との時間間隔が短い場合を示している。1パス目の記録後、2パス目のインク滴801−2も記録媒体に垂直な方向と、記録媒体表面に広がる方向に浸透するが、先に着弾した801−1が定着している領域にはあまり浸透・定着しない。その原因としては、先に着弾したインク滴801−1が未だ浸透しつつある状態であること、記録媒体とインク成分との化学的な結合が有限であることが考えられる。そのため、後から着弾したインク滴801−2は、先に着弾したインク滴801−1が浸透した領域の周囲およびその下の方へ浸透定着することになる。
【0031】
図8(b)は、2パス目までの時間間隔が長い場合を示している。後から着弾したインク滴801−2は、先に着弾して浸透定着している領域内に比較的多く浸透する。これは、先に着弾したインク滴801−1が十分浸透して広がり、あるいはその揮発成分が蒸発したため、単位体積あたりのインク滴801−1の量が減少し後から着弾したインク滴801−2が浸透できるようになった為であると考えられる。
【0032】
2パスまでの時間間隔が長い場合において2つのインク滴が浸透した領域では、記録媒体の表面付近に定着するインク量、つまり染料などの色素、つまり、染料などのインク成分が多く残る。また、その濃度は、記録媒体の表面付近に定着する色素の光の吸収に対応するので、時間間隔が長い方が記録濃度が濃くなってしまう。このように、マルチパス記録によって画像形成する際に、記録が中断されると、中断の前後で記録される画像の濃度と他の部分の濃度とが異なり、濃度ムラを生じてしまう。
【0033】
このように、ランダムマスクを使用してマルチパス記録を実行した場合であっても、複数のパスによる記録が完成される前にヘッド回復処理などを行って記録が中断されると、記録画像の品位が低下してしまうという問題がある。
【0034】
また、マスクテーブルを参照する方式のページ記録をマルチパス記録方式で実行中に不吐出ノズルが検出された場合、ページ記録を継続するためにはマスクテーブルを再構成する必要がある。この場合、ページ記録の途中でマスクテーブルの再構成を実行してしまうと、とくに、テーブルがランダムマスクパターンのテーブルである場合には、テーブル再構成のために記録動作が一時的に中断され、記録画像の品位が低下してしまうという問題が生じる。
【0035】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、マルチパス記録を実行中に記録素子が動作不良となった場合においても、記録にかかる時間を長くすることのなしに、記録画像の品質を維持することができる記録装置および記録方法を提供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、複数の記録素子を有する少なくとも1つの記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査し、マルチパス記録によって記録媒体に画像を記録することができる記録装置であって、
各パスの記録データを各パスのマスクデータから生成する記録データ生成手段と、
前記複数の記録素子のうち動作不良となった記録素子を検出する検出手段と、
動作不良が検出された記録素子で記録すべきデータを、他のパスで同じライン上にあるデータを記録する他の記録素子で記録するように、前記記録データを変更する補完手段とを備えている。
【0037】
また、上記目的を達成する本発明の記録方法は、複数の記録素子を有する少なくとも1つの記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査し、マルチパス記録によって記録媒体に画像を記録する記録方法であって、
各パスの記録データを各パスのマスクデータから生成する記録データ生成工程と、
前記複数の記録素子のうち動作不良となった記録素子を検出する検出工程と、
動作不良が検出された記録素子で記録すべきデータを、他のパスで同じライン上にあるデータを記録する他の記録素子で記録するように、前記記録データを変更する補完工程とを備えている。
【0038】
すなわち、複数の記録素子を有する少なくとも1つの記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査し、マルチパス記録によって記録媒体に画像を記録する記録装置において、各パスの記録データを各パスのマスクデータから生成し、複数の記録素子のうち動作不良となった記録素子を検出し、動作不良が検出された記録素子で記録すべきデータを、他のパスで同じライン上にあるデータを記録する他の記録素子で記録するように、記録データを変更して補完する。
【0039】
これにより、記録動作の途中で記録素子の不良が検出された場合においても、マスクデータを変更したり記録データの再生成を行ったりせずに、不良が発生した記録素子で記録すべきデータを他のパスで同じライン上にあるデータを記録する他の記録素子に割り当てる簡単な補完処理で、記録時間を長くせずに記録の抜けや画質の低下のない画像を記録することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0041】
なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げ説明する。
【0042】
本明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0043】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0044】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0045】
[第1の実施形態]
図15は、本発明の代表的な実施の形態であるインクジェットプリンタIJRAの構成の概要を示す外観斜視図である。図15において、駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5009〜5011を介して回転するリードスクリュー5005の螺旋溝5004に対して係合するキャリッジHCはピン(不図示)を有し、ガイドレール5003に支持されて矢印a,b方向を往復移動する。キャリッジHCには、記録ヘッドIJHとインクタンクITとを内蔵した一体型インクジェットカートリッジIJCが搭載されている。
【0046】
5002は紙押え板であり、キャリッジHCの移動方向に亙って記録用紙Pをプラテン5000に対して押圧する。5007,5008はフォトカプラで、キャリッジのレバー5006のこの域での存在を確認して、モータ5013の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知器である。
【0047】
5016は記録ヘッドIJHの前面をキャップするキャップ部材5022を支持する部材で、5015はこのキャップ内を吸引する吸引器で、キャップ内開口5023を介して記録ヘッドの吸引回復を行う。5017はクリーニングブレードで、5019はこのブレードを前後方向に移動可能にする部材であり、本体支持板5018にこれらが支持されている。ブレードは、この形態でなく周知のクリーニングブレードが本例に適用できることは言うまでもない。
【0048】
又、5021は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、キャリッジと係合するカム5020の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達機構で移動制御される。
【0049】
これらのキャッピング、クリーニング、吸引回復は、キャリッジがホームポジション側の領域に来た時にリードスクリュー5005の作用によってそれらの対応位置で所望の処理が行えるように構成されているが、周知のタイミングで所望の動作を行うようにすれば、本例にはいずれも適用できる。
【0050】
図4は、本実施形態の構成を示すブロック図である。図中401はCPUであり、その内部バスには第1のROM402とRAM403が接続されている。CPU401は第1のROM402からプログラムを読みだし、RAM403に対するリードライトを繰り返すことでプログラムを実行する。404は、本実施形態のプリンタと接続される図示しない外部のホスト装置との間のコマンドや画像データ転送を行うインタフェースであり、CPU401と後述するバンドメモリ407に接続されている。405は、プリンタに対する各種キーの入力や装置の動作状態を表示する操作・表示部であり、CPU401に接続されている。
【0051】
406は、吐出不良検出部であり、CPU401の制御によってマルチヘッド410の吐出不良ノズルを特定してこれをCPU401に通知する。407は、バンドメモリであり、インタフェース404から記録のための画像データが転送され、CPU401の制御によって、1バンド分の画像データとして所定の幅に分割された領域の画像形成に必要な量の画像データがここに格納される。バンドメモリ407の出力は、マルチパスデータ処理部408に入力される。
【0052】
マルチパスデータ処理部408は、CPU401の制御によって、分割された領域の画像を複数回のスキャンで形成するように、データの間引き処理を後述するマスクテーブルを用いてアンド処理を施すことによって実行し、スキャン実行時に記録する画像データを生成し、ヘッドコントローラ409に出力する。
【0053】
ヘッドコントローラ409は、CPU401の制御によって、キャリッジが1スキャンの動作を行う間に、所定の幅に分割された領域の画像が形成されるように、マルチヘッド410を駆動する。マルチヘッド410は、ヘッドコントローラ409から送信される信号に基づき、キャリッジの移動と同期を取りながらヘッド上に形成されている複数のインク吐出口からインク滴を飛翔させて、1スキャン分の画像を形成する。411はメカ制御部でありCPU401のバスに接続され、CPU401からの命令によってキャリッジの駆動制御や記録媒体の搬送制御を実行する。
【0054】
本実施形態におけるインクジェットプリンタでは、同一記録領域を複数回走査して画像を形成するマルチパス記録方式を採用している。先に述べたとおり、マルチパス記録は、一つのラインを複数のノズルを用いて画像を形成することにより、ノズル毎のインクの吐出量や吐出方向の微少な違いによる濃度ムラを抑えると共に、パス毎の記録デューティを低減してインク滲みなどによる画像品位の劣化を防ぐ記録方式である。
【0055】
ここで、マスクテーブルを使ったデータ間引き処理について説明する。本実施形態においては、マスクテーブルを用いて画像データをマスク処理することによって各パスのデータを生成する、テーブル間引き方式を採用する。ここでは、記録ヘッドが有するノズル数が240ノズルであり、4パス記録を行う場合を例に挙げて説明する。
【0056】
図2は、マルチパス記録を実現する各記録走査ごとの記録データであるパス・データを生成するマルチパスデータ処理部408のブロック図である。ここでは、説明を簡単とするために単一のインク色について説明する。
【0057】
201は第2のROMであり、展開されてマスクテーブルデータとして利用されるオリジナルマスクデータが格納されている。202は第3のROMであり、不吐出ノズルが検出された際の該当ラインについてマスクテーブルとして利用されるマスクデータが格納されている。203は不吐出補完制御部であり、不吐出検出部406からCPUに入力された検出結果に応じて、テーブル生成部204のテーブル生成処理の変更制御を行う。
【0058】
204はテーブル生成部であり、第2のROMに格納されたオリジナルマスクデータを基に、各マスクテーブルA,B,C,Dを生成してテーブル格納部205へ出力する。205はテーブル格納部であり、マスクテーブルA,B,C,Dを格納する。206はマスク処理部であり、テーブル格納部205のマスクテーブルを用いて画像データのマスク処理を行い、マルチパスデータの生成を行う。
【0059】
次に、マルチパスデータ処理ブロック408の基本的なパスデータ生成動作について、図2および図4を参照して説明する。
【0060】
ラスタ走査された2値画像が、前段である図4のバンドメモリ407に一時格納される。図4のCPU401の処理である記録エリア制御に基づき、各インク色に対応するノズル群の紙面上の位置に従って、各走査ごとにバンドメモリ407に格納された2値の画像データを順次読み出して出力する。ここで、一度のデータ転送はノズル数に相当する240画素データうぃ単位として行われる。図2のマスク処理部207においては、テーブル格納部205に格納されているマスクテーブルを用いて画像データのマスク処理(データの論理積演算)を実行し、マルチパスデータを生成して出力する。
【0061】
テーブル参照方式によるマルチパスデータ生成処理について図を参照しながら説明する。
【0062】
図5は、記録走査ごとのマスクテーブルの一例を示す図であり、A,B,C,Dはそれぞれ第1パス、第2パス、第3パス、第4パスにおいて使用する相補的なマスクテーブルである。マスクテーブルA〜Dは、それぞれ1024画素(主走査方向)×60画素(副走査方向)に対応したサイズのテーブルであり、これを各方向に展開してマスクデータとして使用する。マスクテーブルA〜Dは、各々25%デューティとした間引きのマスクパターンであり、4つのパターンで100%補完できるようになっており、この4つのマスクで1組となる。記録ヘッドが備えるノズル数は240であり、4パス記録における用紙搬送量に相当する画素数は240/4=60であり、これはマスクテーブルの副走査方向サイズと一致する。
【0063】
図6は、図5で示したマスクテーブルを用いた記録走査の様子を説明する図である。240のノズルに対応する240ラインの記録データに対して、60ライン分毎のパターンA,B,C,Dをマスクパターンとして交番で適用する。すべての画像領域に対して常にA,B,C,Dの順にマスク処理が施されて記録データが生成される。
【0064】
次に、本実施形態で行われるテーブル生成制御について簡単な例を挙げて説明する。
【0065】
始めに、基本的なテーブル生成方法について説明する。図2に示したように、テーブル生成部204では、第2のROM201に格納されているオリジナルテーブルデータを基に、各マスクテーブルA,B,C,Dを生成してテーブル格納部205に出力する。オリジナルテーブルデータは、パラメータ(a,b,c,d)が乱数的に配列された各8ビットデータであり、1024画素(主走査方向)×60画素(副走査方向)に相当するサイズを有する。
【0066】
上記サイズの中に配列されているパラメータ(a,b,c,d)の中から2つの位置を乱数的に選択して、二つのパラメータの位置を交換する。これを複数回行って各パラメータがランダムに配列されたマスクを生成する。この、位置の交換を行う回数を多くすることにより、マスクパターンのランダムさを増すことが可能となる。このようにして、第2のROM201に格納されているオリジナルテーブルデータが生成される。
【0067】
テーブル生成部204では、このオリジナルテーブルデータを基に、それぞれの間引きのマスクを作成する。例えば、パラメータ(a,b,c,d)は、それぞれマスクパターンA,B,C,Dに対応するようにしておき、対応するパラメータが存在している位置にだけビットを立ててマスクを作成する。元々、各パラメータの位置はランダムに配列されているので、作成されたマスクもランダムの配列を有するランダムマスクパターンとなる。さらに、それぞれを一つのマスクから作成するので、必ず100%補完の実現されたランダムマスクパターンとなる。この作業はテーブル生成部204で実行され、作成されたマスクパターンA,B,C,Dは、テーブル格納部205に記憶される。
【0068】
次に、不吐出ノズルが検出された場合のテーブル生成方法について説明する。基本的な生成手順は通常のテーブル生成と同様である。ここで、不吐出ノズルとは、インクがまったく吐出できなくなってしまったノズルのみではなく、インク滴の大きさやその飛翔方向が極めて不安定であったり正常吐出しなくなる場合がある、といった吐出不良現象が発生しているノズルのことをさす。
【0069】
4パス記録では、ある主走査方向のラインを4回の走査で、また、それぞれ異なる4つのノズルからインクを吐出させることによって画像形成を完成させている。すなわち、不吐出ノズルとして認定されたノズルが記録すべきラインは、別の3回の走査においては異なる3つのノズルで記録されることになる。これを利用して本実施形態では、これら3つのノズルの一つが、不吐出ノズルが記録すべきドットを形成することによって、正常な画像形成を実現するように制御する。
【0070】
図7は、マスクテーブルを変更することによって、不吐出ノズルを補う方法について説明する図である。ここでは、ノズル#64においてインクの不吐出が検出されたと仮定する。ノズル#64はテーブルBが適用されるノズル領域であり、テーブルBの5ライン目に相当する。ノズル#64が記録するドットと同一ラインのドットを形成する他の3つのノズルは、ノズル#4(テーブルA)、ノズル#124(テーブルC)、ノズル#184(テーブルD)である。
【0071】
そこで、ノズル#64が記録すべきドット形成をマスクテーブルを変更することにより、上記3つのノズルのいずれかに振り分けて記録することにより、不吐補完を実現することが可能になるのである。
【0072】
図1は、不吐記録を補完するためのマスクテーブルを変更する場合の、マルチパスデータ処理部でのマスクデータ生成動作を示すフローチャートである。以下、図1を参照してその動作を詳細に説明する。
【0073】
まず、マルチパスデータ処理部408において、通常のページ記録動作に用いるマスクテーブルを作成するために第2のROM201から標準マスクデータを読み出し、このデータを用いてデータ間引き処理を実行して各マスクテーブルを作成する(ステップS101)。
【0074】
ここで、不吐出補完制御部203は、CPU401を介して不吐出ノズルの発生と該当ノズルを特定するノズル番号の情報を得(ステップS102)、不吐出補完制御部203は、マスクテーブルの該当ラインについてのマスクデータ変更をテーブル生成部204に通知する(ステップS103)。また、ステップS102において不吐出ノズル発生に関する情報がない場合には、ステップS101で作成したマスクデータをページ記録を通して使用する。
【0075】
ステップS103において不吐出ノズル発生の通知を受けたテーブル生成部204では、まず、不吐出ノズルの保護のために、マスクデータの該不吐出ノズルに作用する該当ラインのデータを全て0クリアする(ステップS104)。次に、該不吐出ノズルが記録すべきデータを別のノズルに別スキャンでの記録に振り分けるように代替ノズル候補の該当ラインのデータを第3のROM202からロードする(ステップS105)。
【0076】
そして、マスク処理部206では、ステップS101で作成されていたマスクデータの不吐出該当ラインと代替該当ラインとについて変更されたマスクデータをテーブル格納部205に出力し、新たなマルチパスデータ間引き実行用のマスクデータとしてこれを利用する(ステップS106)。
【0077】
先に述べたように、4回のスキャンを実行することでマルチパス記録を完成させる4パス記録では、一つのノズルが不吐出ノズルとなった場合であっても、別の3つのノズルのいずれかにそのドット出力を振り分けることが可能である。
【0078】
図9は、第3のROM202に予め格納しておくマスクデータの例であり、1ラインのドット形成を他の3つの代替ノズルに均等に振り分けるパターンを示している。また、図10は、第3のROM202に予め格納しておくマスクデータの別の例であり、ドット形成を他の3つの代替ノズルにランダムに振り分けるパターンを示している。
【0079】
以上説明したように本実施形態により、ページ記録に際してノズルの不吐出が発見された場合であっても記録不能に陥ることがなくなり、また、ページ記録の途中で不吐出ノズルが検出された場合においても、ヘッド回復処理を実行して記録を中断することなく、不吐出ノズルを補完して記録を行うことができる。従って、記録途中で不吐出ノズルが生じた場合でも、ページ記録に要する時間を抑えると共に記録画像の品位を保つことができる。
【0080】
本実施形態においては、不吐出補完用のテーブルは1ラインを形成するノズル群に対応する1組のみを備えている。
【0081】
不吐出ノズルが形成するラインは他のラインと比べてパス毎の記録デューティが大きく異なる。たとえば4パス記録においては、正常なノズル群によって形成されるラインは全てパス毎におよそ25%デューティの画像形成がなされるのに対して、不吐出ノズルを含むノズル群が形成するラインは不吐出ノズルが0%、残りのパスではパス毎におよそ33%デューティの画像形成が行われる。不吐出発生時に置き換える補完用テーブルは、他と同調することのないランダムなライン形成を実現するテーブルとすることにより、不吐出ノズルの位置に関わらずあらかじめ用意されたただ一つの補完用テーブルと置き換えてもマルチパス記録におけるランダム性が大きく損なわれることはないため、ほとんど遜色ない高品位な画像を形成することができる。
【0082】
また、同時に隣接した複数ノズルで不吐出が発生すると同一パターンが使用されることから画像品位の劣化が懸念されるが、実際には不吐出は偶発的に発生するものであり、複数ノズルが同時に不吐出になることはまれである。更に隣接する複数ノズルが同時に不吐出になる可能性は極めて少ないので実用上問題とはならない。
【0083】
以上のように本実施形態は、1組あるいは数組の補完用テーブルをあらかじめ格納しておき、不吐出ノズル位置に関わらずこれに対応するテーブルの書き換え処理を実行することにより、ランダムマスクを用いたマルチパス記録効果を損なうことなく不吐出ノズルの補完制御を行うことが可能になり、1組あるいは数組の極めて小さい容量の補完テーブルを備えるだけで、画像品質を劣化させることなく高速な不吐出補完処理を実現するものである。
【0084】
[第2の実施形態]
上記の第1の実施形態においては、搭載する記録ヘッドが各色1つずつであったが、第2の実施形態は、搭載する記録ヘッドを各色2ヘッドとして左右対称に配置したものである。以下の説明では、第1の実施形態と同様な部分については説明を省略する。
【0085】
図13は、第2の実施形態の記録ヘッドの配置例を示す図である。図示した例では、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、イエロー(Ye)、ブラック(Bk)の4種類のインクに、淡シアン(C淡)と淡マゼンタ(M淡)の2つのフォトインクを加えた6種類のインク滴をそれぞれ吐出する記録ヘッドを2つ備えている。各記録ヘッド左から右へのノズル配置は、第1の記録ヘッドが、Bk、C淡、Cy、Mg、M淡、Yeであり、第2の記録ヘッドが、Ye、M淡、Mg、Cy、C淡、Bkであり、2つの記録ヘッドで対称的になっている。
【0086】
本実施形態の場合には、データ間引きにしようとするマスクテーブルがA〜Hの8種類となり、1つの不吐出ノズルに対して7つのノズルを不吐の補完候補ノズルとして採用することが可能になる。
【0087】
具体的に、第1の実施形態と同一のノズル(#64)において不吐出が検出された場合を想定すると、この場合ではまず第1の実施形態と同様に、不吐出ノズル保護のために、マスクBの該当ラインについてドット形成が行われないようにされる。そして、残りの7つの対応ノズルにデータ振り分けを実施することが可能になる。
【0088】
本実施形態の場合にも、第3のROM202には代替候補ラインについてのマスクデータを予め用意しておく。図11は第3のROM202に予め格納しておくマスクデータの例であり、1ラインのドット形成を他の7つの代替ノズルにランダムに振り分けるパターンを示している。
【0089】
以上説明したように本実施形態では、左右対称のダブルヘッド構成になったことによって、記録を振り分けられるべき候補ノズル数が多くなるので、よりランダムなビット配列を持ったマスクを再構成することが可能になる。
【0090】
[他の実施形態]
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0091】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。
【0092】
この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0093】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0094】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書に記載された構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0095】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0096】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0097】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0098】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0099】
以上説明した実施の形態においては、インクが液体であることを前提として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0100】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0101】
このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0102】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0103】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0104】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0105】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した(図1に示す)フローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、記録動作の途中で記録素子の不良が検出された場合においても、マスクデータを変更したり記録データの再生成を行ったりせずに、不良が発生した記録素子で記録すべきデータを他のパスで同じライン上にあるデータを記録する他の記録素子に割り当てる簡単な補完処理で、記録時間を長くせずに記録の抜けや画質の低下のない画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態で吐出不良発生時のマスクデータを再構成する動作を示すフローチャートである。
【図2】第1の実施形態のマルチパスデータ処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】従来のインクジェット記録装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態のインクジェット記録装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】4パス記録に用いるランダムマスクパターンの一例を示す図である。
【図6】ランダムマスクパターンを用いて4パス記録を行う様子を示す図である。
【図7】4パス記録で同じ不吐出ノズルを補完可能なノズルの配置例を示す図である。
【図8】近接して打ち込まれた2つのインク滴の浸透および定着の様子を示す説明図である
【図9】第1の実施形態での不吐出ノズルに対するマスクデータの例である。
【図10】第1の実施形態での不吐出ノズルに対するマスクデータの別の例である。
【図11】第2の実施形態での不吐出ノズルに対するマスクデータの例である。
【図12】2パス記録で使用するランダムマスクパターンの例である。
【図13】第2の実施形態の記録ヘッドの配置を示す図である。
【図14】従来のマルチパスデータ処理部の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の好適な実施形態としてのインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
201 第2のROM
202 第3のROM
203 不吐出補完制御部
204 テーブル生成部
205 テーブル格納部
206 マスク処理部
301 CPU
302 第1のROM
303 RAM
304 インタフェース
305 操作・表示部
306 バンドメモリ
307 マルチパスデータ処理部
308 ヘッドコントローラ
309 マルチヘッド
310 メカ制御部
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 インタフェース
405 操作および表示部
406 吐出不良検出部
407 バンドメモリ
408 マルチパスデータ処理部
409 ヘッドコントローラ
410 マルチヘッド
411 メカ制御部
801 インク滴
1201 第2のROM
1202 テーブル生成部
1203 テーブル格納部
1204 マスク処理部

Claims (12)

  1. 複数の記録素子を有する少なくとも1つの記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査し、マルチパス記録によって記録媒体に画像を記録することができる記録装置であって、
    各パスの記録データを各パスのマスクデータから生成する記録データ生成手段と、
    前記複数の記録素子のうち動作不良となった記録素子を検出する検出手段と、
    動作不良が検出された記録素子で記録すべきデータを、他のパスで同じライン上にあるデータを記録する他の記録素子で記録するように、前記記録データを変更する補完手段とを備えることを特徴とする記録装置。
  2. 前記補完手段は、当該パスで記録すべきデータを他のパスに割り当てる補助テーブルを各パス毎に備えていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記マスクデータおよび前記補助テーブルを記憶する記憶手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
  4. 前記補助テーブルは、当該パスで記録すべきデータを他のパスに均等に割り当てるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録装置。
  5. 前記補助テーブルは、当該パスで記録すべきデータを他のパスにランダムに割り当てるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録装置。
  6. 前記記録ヘッドは、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の記録装置。
  7. 前記記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに与える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えていることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  8. 複数の記録素子を有する少なくとも1つの記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査し、マルチパス記録によって記録媒体に画像を記録する記録方法であって、
    各パスの記録データを各パスのマスクデータから生成する記録データ生成工程と、
    前記複数の記録素子のうち動作不良となった記録素子を検出する検出工程と、
    動作不良が検出された記録素子で記録すべきデータを、他のパスで同じライン上にあるデータを記録する他の記録素子で記録するように、前記記録データを変更する補完工程とを備えることを特徴とする記録方法。
  9. 前記補完工程において、当該パスで記録すべきデータを他のパスに割り当てる補助テーブルを参照することを特徴とする請求項8に記載の記録方法。
  10. 前記マスクデータおよび前記補助テーブルを記憶する記憶工程を備えることを特徴とする請求項8または9に記載の記録方法。
  11. 前記補助テーブルは、当該パスで記録すべきデータを他のパスに均等に割り当てるように構成されていることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の記録方法。
  12. 前記補助テーブルは、当該パスで記録すべきデータを他のパスにランダムに割り当てるように構成されていることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の記録方法。
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JP2008183884A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Fujifilm Corp 画像形成装置及び印字データの転送方法

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