JP2004008946A - グラビア塗布方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布液量が少ない場合や塗布速度が遅い場合でも「泡ハジキ故障」や「スジ故障」を確実に防止でき、且つ可撓性支持体の厚み分布や可撓性支持体のテンション分布があっても可撓性支持体幅方向の塗布厚み分布を均一に塗布することができる。
【解決手段】ドクターブレードを使用せずに、連続走行するウエブ20をグラビアロール12に、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロール14で0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力で押し付けながら、グラビアロール12で掻き上げられる過剰量の塗布液16の全てをグラビアロール12とウエブ20とが接する塗布点Qに供給することにより、該塗布点Q直前に塗布液16の液溜まり38を形成しながら塗布する。
【選択図】 図1
【解決手段】ドクターブレードを使用せずに、連続走行するウエブ20をグラビアロール12に、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロール14で0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力で押し付けながら、グラビアロール12で掻き上げられる過剰量の塗布液16の全てをグラビアロール12とウエブ20とが接する塗布点Qに供給することにより、該塗布点Q直前に塗布液16の液溜まり38を形成しながら塗布する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラビア塗布方法及び装置に係り、特に、蒸発の速い有機溶剤を使用した塗布液を用いて、連続走行する可撓性支持体(以下「ウエブ」という)に、薄膜均一塗布する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続走行するウエブに塗布液を塗布する塗布装置の1つにグラビア塗布装置があり、図3はドクターブレードを使用した従来の一般的なグラビア塗布装置である。図3に示すように、グラビア塗布装置1は、液パン2の塗布液3中に下部が浸ったグラビアロール4を回転させて塗布液3を液パン2から掻き上げることによりグラビアロール4のロール面に形成されたセル内に所望の塗布量よりも過剰量の塗布液を保持する。そして、セルに塗布された過剰量の塗布液3を掻き揚げる途中でドクターブレード5で過剰の塗布液3をグラビアロール4から掻き落とすことによりウエブ6に塗布する塗布量をセル内に計量し、計量した塗布液3をバックアップロール7で支持されて連続走行するウエブ6に転写する。
【0003】
しかし、グラビアロール4で掻き揚げられた塗布液3の過剰分はドクターブレード5で掻き落とされた後のロール面には非常に薄い塗布液膜が形成され、表面張力によりセル内の塗布液表面は凹形状になる。更に、ドクターブレード5の位置からウエブ6とグラビアロール4とが接する接触点8までセル内の塗布液3が掻き揚げられる間に、塗布液中の溶剤が蒸発するので、凹形状は更に深くなる。このため、接触点8においてウエブと塗布液3との間にウエブに同伴される空気を巻き込んでしまい、この空気が塗布時に泡となってはじける。これにより、ウエブ6に塗布形成された塗布層面が悪くなる、いわゆる「泡ハジキ故障」が発生する。
【0004】
グラビア塗布において、「泡ハジキ故障」の一要因であるグラビアロール4で掻き上げられる途中での溶剤蒸発を抑制する従来技術としては、特開平10−230584号公報がある。この従来技術は、ドクターブレード5とバックアップロール7との間にカバー9を設けることにより、ドクターブレード5から接触点8まで搬送される塗布液3中の溶剤が蒸発するのを抑制することが開示されている。また、グラビア塗布において、ドクターブレード5を使用しない従来技術としては特開平10−204388号公報がある。この従来技術は、ドクターブレード5もバックアップロール7も使用しないで、グラビアロール4にラップして連続走行するウエブ6をグラビアロール4に押しつけることによりウエブ6とグラビアロール4との接触点直前に塗布液3の液溜まりAを形成しながら塗布することにより、離型剤等の各種塗布液が移行することがなく、アンカーに優れた片面粘着テープを製造することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平10−230584号公報は、カバー9とバックアップロール7との間に、ウエブ6が通過する隙間が必要になるので、ウエブ6に同伴される空気が接触点に到達することを完全には防止できない。また、隙間からカバー9内に新鮮空気が流入することからカバー9内に溶剤蒸気が充満しないので飽和状態にはならず、塗布液からの溶剤蒸発が発生し、「泡ハジキ故障」の原因になる。従って、特開平10−230584号公報の技術では、「泡ハジキ故障」を確実に防止できないという欠点がある。
【0006】
一方、特開平10−204388号公報は、ウエブ6の表面粗さ等によるウエブ幅方向の厚みムラや、ウエブ幅方向のテンション分布の影響を受け易く、塗布形成された塗布層幅方向の厚み分布が大きくなり易い。また厚み分布に起因する「スジ故障」が生じ易いといった新たな弊害が発生する。特に、この厚み分布は塗布量が少なくウエブ6に薄膜の塗布層を形成する場合に影響を受け易く、近年の塗布層の薄膜化には対応できない。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたもので、塗布量が少ない場合や塗布速度が遅い場合でも「泡ハジキ故障」や「スジ故障」を確実に防止でき、且つ可撓性支持体の厚み分布や可撓性支持体のテンション分布を強制して可撓性支持体幅方向の塗布厚みを均一に塗布することのできるグラビア塗布方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、前記目的を達成する為に、連続走行する可撓性支持体を、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロールを用いて、0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でグラビアロールに押し付けながら、前記グラビアロールで掻き揚げられる過剰量の塗布液の全てを前記グラビアロールと前記可撓性支持体とが接する接触点に供給することにより、該接触点直前に塗布液の液溜まりを形成して塗布することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記目的を達成する為に、塗布液を貯留する塗布液パンと、前記塗布液パンから過剰量の塗布液を掻き揚げるグラビアロールと、連続走行する可撓性支持体を支持すると共に、該可撓性支持体を前記グラビアロールに押し付けて前記可撓性支持体と前記グラビアロールとが接する接触点直前に前記塗布液の液溜まりを形成するビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロールと、前記バックアップロールが前記グラビアロールを押し付ける圧力を調整する押し付け圧力調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
ドクターブレードを使用した従来のグラビア塗布方法は、可撓性支持体に薄膜の塗布層を精度良く形成することができるが、蒸発の速い有機溶剤を使用した塗布液を用いる場合、ドクターブレードで塗布液の過剰分を掻き落とすと、ドクターブレードの位置からウエブとグラビアロールが接する接触点に進むまでにグラビアロールのセル内に凹形状が形成され、この凹部にウエブに同伴される空気が混入することで「泡ハジキ故障」が発生してしまう。また、ドクターブレードを使用しなければ、「泡ハジキ故障」を解消できるが、可撓性支持体の表面粗さ等によるウエブ幅方向の厚みムラや、ウエブ幅方向のテンション分布の影響を受け易く、塗布形成された塗布層幅方向の厚み分布が大きくなり易いために「スジ故障」が生じ易いといった新たな弊害が発生する。
【0011】
このことから、本発明者は、ドクターブレードを使用せずに「泡ハジキ故障」と「スジ故障」の両方を防止して、薄膜の塗布層を精度良く形成するグラビア塗布方法を鋭意研究したところ、所定の硬度を有するバックアップロールで可撓性支持体をグラビアロールに所定の圧力で押し付けて可撓性支持体とグラビアロールとの接触点直前に塗布液の液溜まりを形成することで「泡ハジキ故障」と「スジ故障」の両方を防止でき、薄膜均一塗布を達成できることが分かった。
【0012】
即ち、本発明によれば、連続走行する可撓性支持体を、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロールを用いて、0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でグラビアロールに押し付けながら、グラビアロールで掻き揚げられる過剰量塗布液の全てをグラビアロールと可撓性支持体とが接する接触点に供給することにより、該接触点直前に塗布液の液溜まりを形成しながら塗布するようにしたので、「泡ハジキ故障」と「スジ故障」の両方を確実に防止でき、しかも接触点において可撓性支持体に押し付け圧力をかけることで可撓性支持体に塗布形成された塗布層の可撓性支持体幅方向の厚み分布も均一化できる。この場合、可撓性支持体に塗布する塗布液の塗布量は、バックアップロールで可撓性支持体をグラビアロールに押し付ける圧力と、液溜まりを形成する液量とを調整することにより制御できる。
【0013】
本発明の態様としては、可撓性支持体に塗布される塗布層のウエット厚みが5μm以下、又は塗布速度が3〜30m/分の何れか1の条件を満足することが好ましい。これは、「泡ハジキ故障」は、可撓性支持体に塗布される塗布層がウエット厚みが5μm以下の薄膜である場合、又は塗布速度が3〜30m/分の低速である場合の何れか1の条件下において発生し易いとの知見に基づくものであり、この条件下で本発明を適用すれば、一層高い効果を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るグラビア塗布方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0015】
図1は本発明に係るグラビア塗布装置の全体構成の一実施の形態を説明する概念図である。
【0016】
図1に示すように、グラビア塗布装置10は、主として、グラビアロール12と、ゴム等の弾性体で形成されたバックアップロール14と、バックアップロール14の押し付け調整手段17とで構成される。
【0017】
グラビアロール12は、そのロール面12Aに、塗布液16を付着保持する凸凹の彫刻加工が施されたセルが形成されており、グラビアロール12が回転することにより塗布液16を貯留する塗布液パン18からロール面12Aに掻き揚げられた塗布液16が、連続走行するウエブ20に転写塗布される。塗布液16に使用される揮発性の溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物、及びこれらの混合液が挙げられる。
【0018】
バックアップロール14は、グラビアロール12の上側に隣接配置され、図1のA−B方向にスライド可能に設けられる。これにより、連続走行するウエブ20を支持すると共に、グラビアロール12とでウエブ20をニップする。かかるバックアップロール14のビィッカース硬度は40度以上、70度以下になるように形成されており、バックアップロール14でウエブ20をグラビアロール12を押し付ける圧力が0.2MPa以上、2.0MPa以下になるように押し付け調整手段17によって調整される。
【0019】
押し付け調整手段17は、図2に示すように、バックアップロール14両端の回転軸22が軸支される軸受24を、ナット部材26を介して支柱28上に添設されたレール30上にスライド自在に支持すると共に、ナット部材26を正逆回転可能なモータ32で回動する送りネジ34に螺合することにより構成される。これにより、バックアップロール14がB方向にスライドするように送りネジ34を回動すると、グラビアロール12に押し付けられるウエブ20の圧力が大きくなり、バックアップロール14がA方向にスライドするように送りネジ34を回動すると、グラビアロール12に押し付けられるウエブ20の圧力が小さくなる。尚、符号36は、バックアップロール14を回転するモータである。
【0020】
次に、上記の如く構成されたグラビア塗布装置10を用いたグラビア塗布方法について説明する。
【0021】
回転するグラビアロール12で塗布液パン18から掻き揚げられた所望塗布量よりも過剰な過剰量塗布液16の全てが、連続走行するウエブ20とグラビアロール12とが接する接触点Qに供給される。この接触点Qにおいて、押し付け調整手段17により、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロール14をB方向にスライドすることにより、ウエブ20をグラビアロール12に、0.2MPa以上、2.0MPaの圧力Pで押し付ける(図1参照)。接触点Qにおいて、ウエブ20がグラビアロール12に押し付けられた状態で過剰量の塗布液16の全てが接触点Qに供給されると、接触点Q直前に塗布液16の液溜まり38が生じ、液溜まり38を介して塗布液16がウエブ20に塗布される。
【0022】
ウエブ20に塗布される塗布量は、バックアップロール14でウエブ20をグラビアロール12に押し付ける圧力Pと、液溜まり38を形成する液量によって制御することができる。また、液溜まり38を形成する液量は、グラビアロール12に形成されたセルの深さ等のセル条件、ウエブ20の走行速度、及びグラビアロール12の周速度によって制御することができる。
【0023】
このように、連続走行するウエブ20を、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロール14を用いて、0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でグラビアロール12に押し付けながら、グラビアロール12で掻き揚げられる過剰量の塗布液の全てをグラビアロール12とウエブ20とが接する接触点Qに供給することで、該接触点直前に塗布液の液溜まりを形成して塗布するようにしたので、「泡ハジキ故障」と「スジ故障」の両方を効果的に防止することができ、且つ均一な薄膜の塗布層を形成することができる。即ち、ドクターブレードを使用せずに、グラビアロール12で掻き揚げられる過剰量の塗布液の全てを接触点Qに供給することで、グラビアロール12のロール面上に薄い液膜が形成されにくくなると共に、接触点Q直前に塗布液16の液溜まり38を形成することにより、グラビアロール12のロール面は液溜まり38を潜って接触点Qに達する。これにより、掻き上げられる途中で塗布液中の溶剤が蒸発しても、接触点Qにおいてグラビアロール12のセル内の塗布液表面に凹形状が形成されることはない。また、ウエブ20に同伴される空気は液溜まり38が空気遮断壁の役割をするので、接触点Qまで同伴されることはない。これにより、グラビアロール12のセル内の塗布液表面が凹形状になることはなく、ウエブ20に同伴される同伴空気もセル内に混入することがないので、「泡ハジキ故障」を確実に防止することができる。
【0024】
また。バックアップロール14として、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下の弾性を有するバックアップロールを用いて、ウエブ20を0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でグラビアロール12に押し付けるので、ウエブ20の表面粗さ等によるウエブ幅方向の厚みムラや、ウエブ幅方向のテンション分布の影響を吸収でき、塗布形成された塗布層幅方向の厚みを均一化することができるので、ドクターブレードを使用しなくても「スジ故障」を防止できる。特に、この厚み分布は塗布量が少なくウエブ20に薄膜の塗布層を形成する場合に影響を受け易いが、バックアップロール14として、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下の弾性を有するロールを使用することで、薄膜の塗布層を形成する場合にも影響を受けにくくすることができる。
【0025】
更に、本発明はドクターブレードを使用しないことから、ドクターブレードがグラビアロール12に接触することがなく、グラビアロール12が磨耗しないので、グラビアロール12の寿命を延ばすことができる。
【0026】
ところで、従来のドクターブレードを備えたグラビア塗布において、「泡ハジキ故障」が発生する条件を調べたところ、ウエブ20に塗布される塗布層のウエット厚みが5μm以下の薄膜である場合に発生し易いことが分かった。この理由は、塗布量が少ない場合には、グラビアロール12のセル内に形成される凹形状の体積が塗布量に対して相対的に大きく、塗布液16が短時間で乾燥し易くなるので、レベリング効果による膜面均一化がなされにくいためと考えられる。従って、ウエブ20に塗布される塗布層のウエット厚みが5μm以下の薄膜である場合に本発明のグラビア塗布方法を適用することが極めて有効である。
【0027】
また、「泡ハジキ故障」が発生する条件を調べたところ、塗布速度が3〜30m/分の低速の範囲において発生する頻度が高くなることが分かった。この理由は、塗布速度が30m/分を下回って遅くなると、ドクターブレードで塗布液16の過剰分の掻き落としてから接触点Qに進むまでに時間がかかり、その間に塗布液中の溶剤が蒸発するので、セル内の凹形状が大きくなるためと考えられる。また、塗布速度が3m/分を下回ると、生産性の点で問題である。従って、塗布速度が3〜30m/分の低速の場合に本発明のグラビア塗布方法を適用することが極めて有効である。
【0028】
【実施例】
ウエブとして厚み0.1mm、幅1000mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)を用い、表1の塗布条件にて図1で示した本発明のグラビア塗布装置(実施例)と、図3で示したドクターブレードを使用した従来の一般的なグラビア塗布装置(比較例1)、図5で示したカバーを備えた従来のグラビア塗布装置(比較例2)、及び図6で示したドクターブレードもバックアップロールを使用しない従来のグラビア塗布装置との塗布性能を評価した。実施例におけるバックアップロールはビィッカース硬度が50度のものを用い、このバックアップロールでウエブをグラビアロールに1.0MPaの圧力で押し付けた。
【0029】
試験は、ウエブに塗布する塗布長を100mとし、塗布末尾の10mをサンプリングして塗布層面に発生している「泡ハジキ故障」の個数をカウントすると共に、塗布層面に発生している「スジ故障」を○、△、×の3段階で評価した。○はスジ故障が全くなく良好、△はスジ故障あるが製品許容範囲内、×はスジ故障多く製品許容範囲外を示す。
【0030】
【表1】
試験結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
表2から分かるように、比較例1及び2はドクターブレードを使用することにより、「泡ハジキ故障」が多数発生しているが、液溜まりを形成して塗布する比較例1及び実施例では「泡ハジキ故障」は全く発生しなかった。
【0032】
しかし、比較例3は、ウエブの表面粗さが0.50μmRaになると、その厚み分布の影響で「スジ故障」が製品許容範囲外にまで悪化してしまうのに対し、本発明の実施例では製品許容範囲内に納まっている。
【0033】
このことから、塗布量が少ない場合や塗布速度が遅い場合でも「泡ハジキ故障」や「スジ故障」を確実に防止するためには、接触点直前に液溜まりを形成するだけでなく、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロールを用いて、0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でウエブをグラビアロールに押し付けて塗布することが重要であることが分かる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のグラビア塗布方法及び装置によれば、塗布量が少ない場合や塗布速度が遅い場合でも「泡ハジキ故障」や「スジ故障」を確実に防止でき、且つ可撓性支持体の厚み分布や可撓性支持体のテンション分布を強制して可撓性支持体幅方向の塗布厚みを均一に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のグラビア塗布装置の実施の形態を説明する概念図
【図2】図2は、押し付け調整手段を説明する説明図
【図3】図3は、ドクターブレードを使用した従来の一般的なグラビア塗布装置の概念図
【図4】グラビアロールのセル内に凹形状が形成されるメカニズムを説明する説明図
【図5】図5は、カバーを有する従来のグラビア塗布装置の概念図
【図6】図6は、ドクターブレードとバックアップロールを使用しない従来のグラビア塗布装置の概念図
【符号の説明】
10…グラビア塗布装置、12…グラビアロール、12A…ロール面、14…バックアップロール、16…塗布液、17…押し付け調整手段、18…塗布液パン、20…ウエブ、22…バックアップロールの回転軸、24…軸受、26…ナット部材、28…支柱、30…レール、32…モータ、34…送りネジ、36…モータ、38…液溜まり
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラビア塗布方法及び装置に係り、特に、蒸発の速い有機溶剤を使用した塗布液を用いて、連続走行する可撓性支持体(以下「ウエブ」という)に、薄膜均一塗布する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続走行するウエブに塗布液を塗布する塗布装置の1つにグラビア塗布装置があり、図3はドクターブレードを使用した従来の一般的なグラビア塗布装置である。図3に示すように、グラビア塗布装置1は、液パン2の塗布液3中に下部が浸ったグラビアロール4を回転させて塗布液3を液パン2から掻き上げることによりグラビアロール4のロール面に形成されたセル内に所望の塗布量よりも過剰量の塗布液を保持する。そして、セルに塗布された過剰量の塗布液3を掻き揚げる途中でドクターブレード5で過剰の塗布液3をグラビアロール4から掻き落とすことによりウエブ6に塗布する塗布量をセル内に計量し、計量した塗布液3をバックアップロール7で支持されて連続走行するウエブ6に転写する。
【0003】
しかし、グラビアロール4で掻き揚げられた塗布液3の過剰分はドクターブレード5で掻き落とされた後のロール面には非常に薄い塗布液膜が形成され、表面張力によりセル内の塗布液表面は凹形状になる。更に、ドクターブレード5の位置からウエブ6とグラビアロール4とが接する接触点8までセル内の塗布液3が掻き揚げられる間に、塗布液中の溶剤が蒸発するので、凹形状は更に深くなる。このため、接触点8においてウエブと塗布液3との間にウエブに同伴される空気を巻き込んでしまい、この空気が塗布時に泡となってはじける。これにより、ウエブ6に塗布形成された塗布層面が悪くなる、いわゆる「泡ハジキ故障」が発生する。
【0004】
グラビア塗布において、「泡ハジキ故障」の一要因であるグラビアロール4で掻き上げられる途中での溶剤蒸発を抑制する従来技術としては、特開平10−230584号公報がある。この従来技術は、ドクターブレード5とバックアップロール7との間にカバー9を設けることにより、ドクターブレード5から接触点8まで搬送される塗布液3中の溶剤が蒸発するのを抑制することが開示されている。また、グラビア塗布において、ドクターブレード5を使用しない従来技術としては特開平10−204388号公報がある。この従来技術は、ドクターブレード5もバックアップロール7も使用しないで、グラビアロール4にラップして連続走行するウエブ6をグラビアロール4に押しつけることによりウエブ6とグラビアロール4との接触点直前に塗布液3の液溜まりAを形成しながら塗布することにより、離型剤等の各種塗布液が移行することがなく、アンカーに優れた片面粘着テープを製造することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平10−230584号公報は、カバー9とバックアップロール7との間に、ウエブ6が通過する隙間が必要になるので、ウエブ6に同伴される空気が接触点に到達することを完全には防止できない。また、隙間からカバー9内に新鮮空気が流入することからカバー9内に溶剤蒸気が充満しないので飽和状態にはならず、塗布液からの溶剤蒸発が発生し、「泡ハジキ故障」の原因になる。従って、特開平10−230584号公報の技術では、「泡ハジキ故障」を確実に防止できないという欠点がある。
【0006】
一方、特開平10−204388号公報は、ウエブ6の表面粗さ等によるウエブ幅方向の厚みムラや、ウエブ幅方向のテンション分布の影響を受け易く、塗布形成された塗布層幅方向の厚み分布が大きくなり易い。また厚み分布に起因する「スジ故障」が生じ易いといった新たな弊害が発生する。特に、この厚み分布は塗布量が少なくウエブ6に薄膜の塗布層を形成する場合に影響を受け易く、近年の塗布層の薄膜化には対応できない。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたもので、塗布量が少ない場合や塗布速度が遅い場合でも「泡ハジキ故障」や「スジ故障」を確実に防止でき、且つ可撓性支持体の厚み分布や可撓性支持体のテンション分布を強制して可撓性支持体幅方向の塗布厚みを均一に塗布することのできるグラビア塗布方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、前記目的を達成する為に、連続走行する可撓性支持体を、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロールを用いて、0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でグラビアロールに押し付けながら、前記グラビアロールで掻き揚げられる過剰量の塗布液の全てを前記グラビアロールと前記可撓性支持体とが接する接触点に供給することにより、該接触点直前に塗布液の液溜まりを形成して塗布することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記目的を達成する為に、塗布液を貯留する塗布液パンと、前記塗布液パンから過剰量の塗布液を掻き揚げるグラビアロールと、連続走行する可撓性支持体を支持すると共に、該可撓性支持体を前記グラビアロールに押し付けて前記可撓性支持体と前記グラビアロールとが接する接触点直前に前記塗布液の液溜まりを形成するビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロールと、前記バックアップロールが前記グラビアロールを押し付ける圧力を調整する押し付け圧力調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
ドクターブレードを使用した従来のグラビア塗布方法は、可撓性支持体に薄膜の塗布層を精度良く形成することができるが、蒸発の速い有機溶剤を使用した塗布液を用いる場合、ドクターブレードで塗布液の過剰分を掻き落とすと、ドクターブレードの位置からウエブとグラビアロールが接する接触点に進むまでにグラビアロールのセル内に凹形状が形成され、この凹部にウエブに同伴される空気が混入することで「泡ハジキ故障」が発生してしまう。また、ドクターブレードを使用しなければ、「泡ハジキ故障」を解消できるが、可撓性支持体の表面粗さ等によるウエブ幅方向の厚みムラや、ウエブ幅方向のテンション分布の影響を受け易く、塗布形成された塗布層幅方向の厚み分布が大きくなり易いために「スジ故障」が生じ易いといった新たな弊害が発生する。
【0011】
このことから、本発明者は、ドクターブレードを使用せずに「泡ハジキ故障」と「スジ故障」の両方を防止して、薄膜の塗布層を精度良く形成するグラビア塗布方法を鋭意研究したところ、所定の硬度を有するバックアップロールで可撓性支持体をグラビアロールに所定の圧力で押し付けて可撓性支持体とグラビアロールとの接触点直前に塗布液の液溜まりを形成することで「泡ハジキ故障」と「スジ故障」の両方を防止でき、薄膜均一塗布を達成できることが分かった。
【0012】
即ち、本発明によれば、連続走行する可撓性支持体を、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロールを用いて、0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でグラビアロールに押し付けながら、グラビアロールで掻き揚げられる過剰量塗布液の全てをグラビアロールと可撓性支持体とが接する接触点に供給することにより、該接触点直前に塗布液の液溜まりを形成しながら塗布するようにしたので、「泡ハジキ故障」と「スジ故障」の両方を確実に防止でき、しかも接触点において可撓性支持体に押し付け圧力をかけることで可撓性支持体に塗布形成された塗布層の可撓性支持体幅方向の厚み分布も均一化できる。この場合、可撓性支持体に塗布する塗布液の塗布量は、バックアップロールで可撓性支持体をグラビアロールに押し付ける圧力と、液溜まりを形成する液量とを調整することにより制御できる。
【0013】
本発明の態様としては、可撓性支持体に塗布される塗布層のウエット厚みが5μm以下、又は塗布速度が3〜30m/分の何れか1の条件を満足することが好ましい。これは、「泡ハジキ故障」は、可撓性支持体に塗布される塗布層がウエット厚みが5μm以下の薄膜である場合、又は塗布速度が3〜30m/分の低速である場合の何れか1の条件下において発生し易いとの知見に基づくものであり、この条件下で本発明を適用すれば、一層高い効果を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るグラビア塗布方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0015】
図1は本発明に係るグラビア塗布装置の全体構成の一実施の形態を説明する概念図である。
【0016】
図1に示すように、グラビア塗布装置10は、主として、グラビアロール12と、ゴム等の弾性体で形成されたバックアップロール14と、バックアップロール14の押し付け調整手段17とで構成される。
【0017】
グラビアロール12は、そのロール面12Aに、塗布液16を付着保持する凸凹の彫刻加工が施されたセルが形成されており、グラビアロール12が回転することにより塗布液16を貯留する塗布液パン18からロール面12Aに掻き揚げられた塗布液16が、連続走行するウエブ20に転写塗布される。塗布液16に使用される揮発性の溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物、及びこれらの混合液が挙げられる。
【0018】
バックアップロール14は、グラビアロール12の上側に隣接配置され、図1のA−B方向にスライド可能に設けられる。これにより、連続走行するウエブ20を支持すると共に、グラビアロール12とでウエブ20をニップする。かかるバックアップロール14のビィッカース硬度は40度以上、70度以下になるように形成されており、バックアップロール14でウエブ20をグラビアロール12を押し付ける圧力が0.2MPa以上、2.0MPa以下になるように押し付け調整手段17によって調整される。
【0019】
押し付け調整手段17は、図2に示すように、バックアップロール14両端の回転軸22が軸支される軸受24を、ナット部材26を介して支柱28上に添設されたレール30上にスライド自在に支持すると共に、ナット部材26を正逆回転可能なモータ32で回動する送りネジ34に螺合することにより構成される。これにより、バックアップロール14がB方向にスライドするように送りネジ34を回動すると、グラビアロール12に押し付けられるウエブ20の圧力が大きくなり、バックアップロール14がA方向にスライドするように送りネジ34を回動すると、グラビアロール12に押し付けられるウエブ20の圧力が小さくなる。尚、符号36は、バックアップロール14を回転するモータである。
【0020】
次に、上記の如く構成されたグラビア塗布装置10を用いたグラビア塗布方法について説明する。
【0021】
回転するグラビアロール12で塗布液パン18から掻き揚げられた所望塗布量よりも過剰な過剰量塗布液16の全てが、連続走行するウエブ20とグラビアロール12とが接する接触点Qに供給される。この接触点Qにおいて、押し付け調整手段17により、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロール14をB方向にスライドすることにより、ウエブ20をグラビアロール12に、0.2MPa以上、2.0MPaの圧力Pで押し付ける(図1参照)。接触点Qにおいて、ウエブ20がグラビアロール12に押し付けられた状態で過剰量の塗布液16の全てが接触点Qに供給されると、接触点Q直前に塗布液16の液溜まり38が生じ、液溜まり38を介して塗布液16がウエブ20に塗布される。
【0022】
ウエブ20に塗布される塗布量は、バックアップロール14でウエブ20をグラビアロール12に押し付ける圧力Pと、液溜まり38を形成する液量によって制御することができる。また、液溜まり38を形成する液量は、グラビアロール12に形成されたセルの深さ等のセル条件、ウエブ20の走行速度、及びグラビアロール12の周速度によって制御することができる。
【0023】
このように、連続走行するウエブ20を、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロール14を用いて、0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でグラビアロール12に押し付けながら、グラビアロール12で掻き揚げられる過剰量の塗布液の全てをグラビアロール12とウエブ20とが接する接触点Qに供給することで、該接触点直前に塗布液の液溜まりを形成して塗布するようにしたので、「泡ハジキ故障」と「スジ故障」の両方を効果的に防止することができ、且つ均一な薄膜の塗布層を形成することができる。即ち、ドクターブレードを使用せずに、グラビアロール12で掻き揚げられる過剰量の塗布液の全てを接触点Qに供給することで、グラビアロール12のロール面上に薄い液膜が形成されにくくなると共に、接触点Q直前に塗布液16の液溜まり38を形成することにより、グラビアロール12のロール面は液溜まり38を潜って接触点Qに達する。これにより、掻き上げられる途中で塗布液中の溶剤が蒸発しても、接触点Qにおいてグラビアロール12のセル内の塗布液表面に凹形状が形成されることはない。また、ウエブ20に同伴される空気は液溜まり38が空気遮断壁の役割をするので、接触点Qまで同伴されることはない。これにより、グラビアロール12のセル内の塗布液表面が凹形状になることはなく、ウエブ20に同伴される同伴空気もセル内に混入することがないので、「泡ハジキ故障」を確実に防止することができる。
【0024】
また。バックアップロール14として、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下の弾性を有するバックアップロールを用いて、ウエブ20を0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でグラビアロール12に押し付けるので、ウエブ20の表面粗さ等によるウエブ幅方向の厚みムラや、ウエブ幅方向のテンション分布の影響を吸収でき、塗布形成された塗布層幅方向の厚みを均一化することができるので、ドクターブレードを使用しなくても「スジ故障」を防止できる。特に、この厚み分布は塗布量が少なくウエブ20に薄膜の塗布層を形成する場合に影響を受け易いが、バックアップロール14として、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下の弾性を有するロールを使用することで、薄膜の塗布層を形成する場合にも影響を受けにくくすることができる。
【0025】
更に、本発明はドクターブレードを使用しないことから、ドクターブレードがグラビアロール12に接触することがなく、グラビアロール12が磨耗しないので、グラビアロール12の寿命を延ばすことができる。
【0026】
ところで、従来のドクターブレードを備えたグラビア塗布において、「泡ハジキ故障」が発生する条件を調べたところ、ウエブ20に塗布される塗布層のウエット厚みが5μm以下の薄膜である場合に発生し易いことが分かった。この理由は、塗布量が少ない場合には、グラビアロール12のセル内に形成される凹形状の体積が塗布量に対して相対的に大きく、塗布液16が短時間で乾燥し易くなるので、レベリング効果による膜面均一化がなされにくいためと考えられる。従って、ウエブ20に塗布される塗布層のウエット厚みが5μm以下の薄膜である場合に本発明のグラビア塗布方法を適用することが極めて有効である。
【0027】
また、「泡ハジキ故障」が発生する条件を調べたところ、塗布速度が3〜30m/分の低速の範囲において発生する頻度が高くなることが分かった。この理由は、塗布速度が30m/分を下回って遅くなると、ドクターブレードで塗布液16の過剰分の掻き落としてから接触点Qに進むまでに時間がかかり、その間に塗布液中の溶剤が蒸発するので、セル内の凹形状が大きくなるためと考えられる。また、塗布速度が3m/分を下回ると、生産性の点で問題である。従って、塗布速度が3〜30m/分の低速の場合に本発明のグラビア塗布方法を適用することが極めて有効である。
【0028】
【実施例】
ウエブとして厚み0.1mm、幅1000mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)を用い、表1の塗布条件にて図1で示した本発明のグラビア塗布装置(実施例)と、図3で示したドクターブレードを使用した従来の一般的なグラビア塗布装置(比較例1)、図5で示したカバーを備えた従来のグラビア塗布装置(比較例2)、及び図6で示したドクターブレードもバックアップロールを使用しない従来のグラビア塗布装置との塗布性能を評価した。実施例におけるバックアップロールはビィッカース硬度が50度のものを用い、このバックアップロールでウエブをグラビアロールに1.0MPaの圧力で押し付けた。
【0029】
試験は、ウエブに塗布する塗布長を100mとし、塗布末尾の10mをサンプリングして塗布層面に発生している「泡ハジキ故障」の個数をカウントすると共に、塗布層面に発生している「スジ故障」を○、△、×の3段階で評価した。○はスジ故障が全くなく良好、△はスジ故障あるが製品許容範囲内、×はスジ故障多く製品許容範囲外を示す。
【0030】
【表1】
試験結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
表2から分かるように、比較例1及び2はドクターブレードを使用することにより、「泡ハジキ故障」が多数発生しているが、液溜まりを形成して塗布する比較例1及び実施例では「泡ハジキ故障」は全く発生しなかった。
【0032】
しかし、比較例3は、ウエブの表面粗さが0.50μmRaになると、その厚み分布の影響で「スジ故障」が製品許容範囲外にまで悪化してしまうのに対し、本発明の実施例では製品許容範囲内に納まっている。
【0033】
このことから、塗布量が少ない場合や塗布速度が遅い場合でも「泡ハジキ故障」や「スジ故障」を確実に防止するためには、接触点直前に液溜まりを形成するだけでなく、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロールを用いて、0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でウエブをグラビアロールに押し付けて塗布することが重要であることが分かる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のグラビア塗布方法及び装置によれば、塗布量が少ない場合や塗布速度が遅い場合でも「泡ハジキ故障」や「スジ故障」を確実に防止でき、且つ可撓性支持体の厚み分布や可撓性支持体のテンション分布を強制して可撓性支持体幅方向の塗布厚みを均一に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のグラビア塗布装置の実施の形態を説明する概念図
【図2】図2は、押し付け調整手段を説明する説明図
【図3】図3は、ドクターブレードを使用した従来の一般的なグラビア塗布装置の概念図
【図4】グラビアロールのセル内に凹形状が形成されるメカニズムを説明する説明図
【図5】図5は、カバーを有する従来のグラビア塗布装置の概念図
【図6】図6は、ドクターブレードとバックアップロールを使用しない従来のグラビア塗布装置の概念図
【符号の説明】
10…グラビア塗布装置、12…グラビアロール、12A…ロール面、14…バックアップロール、16…塗布液、17…押し付け調整手段、18…塗布液パン、20…ウエブ、22…バックアップロールの回転軸、24…軸受、26…ナット部材、28…支柱、30…レール、32…モータ、34…送りネジ、36…モータ、38…液溜まり
Claims (3)
- 連続走行する可撓性支持体を、ビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロールを用いて、0.2MPa以上、2.0MPa以下の圧力でグラビアロールに押し付けながら、前記グラビアロールで掻き揚げられる過剰量の塗布液の全てを前記グラビアロールと前記可撓性支持体とが接する接触点に供給することにより、該接触点直前に塗布液の液溜まりを形成して塗布することを特徴とするグラビア塗布方法。
- 前記可撓性支持体に塗布される塗布層のウエット厚みが5μm以下、又は塗布速度が3〜30m/分の何れか1の条件を満足することを特徴とする請求項1のグラビア塗布方法。
- 塗布液を貯留する塗布液パンと、
前記塗布液パンから過剰量の塗布液を掻き揚げるグラビアロールと、
連続走行する可撓性支持体を支持すると共に、該可撓性支持体を前記グラビアロールに押し付けて前記可撓性支持体と前記グラビアロールとが接する接触点直前に前記塗布液の液溜まりを形成するビィッカース硬度が40度以上、70度以下のバックアップロールと、
前記バックアップロールが前記グラビアロールを押し付ける圧力を調整する押し付け圧力調整手段と、
を備えたことを特徴とするグラビア塗布装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020190045A (ja) * | 2019-05-20 | 2020-11-26 | 花王株式会社 | 不織布の製造方法 |
JP2021504130A (ja) * | 2017-11-21 | 2021-02-15 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 緩いウェブをコーティングするための方法及び装置 |
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2002
- 2002-06-07 JP JP2002166832A patent/JP2004008946A/ja active Pending
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