JP2004008945A - 有害物の不溶化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有害物質を良好に封じ込めることができるようにする。
【解決手段】有害物を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉のうち少なくとも一種に対して5〜30重量%のセメントを添加し、攪拌造粒機7のチョッパー10や攪拌羽根9の回転数を変えることによって、内部または/および表面に未水和セメント粒子を含有または付着させた造粒物前駆体を作製し、さらに前記攪拌造粒機7により造粒物前駆体表面に有害物を不溶化する物質を含有するコーティング材で被覆することによって、0.3〜2mmの粒群量が75重量%以上である造粒物を作製し、養生させて固化し、有害物質を封じ込める。
【選択図】 図3
【解決手段】有害物を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉のうち少なくとも一種に対して5〜30重量%のセメントを添加し、攪拌造粒機7のチョッパー10や攪拌羽根9の回転数を変えることによって、内部または/および表面に未水和セメント粒子を含有または付着させた造粒物前駆体を作製し、さらに前記攪拌造粒機7により造粒物前駆体表面に有害物を不溶化する物質を含有するコーティング材で被覆することによって、0.3〜2mmの粒群量が75重量%以上である造粒物を作製し、養生させて固化し、有害物質を封じ込める。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重金属類、揮発性有機化合物、ダイオキシン類、油類などの有害物質を含有またはこれらの有害物質が付着した焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉から有害物が溶出しないように封じ込める有害物の不溶化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の廃棄物の処理方法としては、従来、次のようなものが知られている。A.第1従来例(特開平11−333423号公報)
粉状体、又は泥状体からなる産業廃棄物の原料にセメントと水ガラス溶液とを添加し、攪拌することによって泥状の混合体となし、混合体を丸めて多数の粒状体を形成し、更に、その粒状体に水ガラス溶液を噴霧して、粒状体の表面をコーティングした後に、乾燥して硬化し、有害物質が溶出しないようにしている。
【0003】
B.第2従来例(特開平8−57443号公報)
産業廃棄物をアルカリ金属塩のアルカリ性水溶液とコバルトアミン錯体の酸性ないし中性溶液との組み合わせからなる処理剤により処理し、その産業廃棄物をセメントと水の存在下で0.5〜20mmの範囲内の粒径のものに造粒し、その造粒物をモルタルにより被覆し、有害重金属の溶出を抑制できるようにしている。
【0004】
C.第3従来例(特開2001−97750号公報)
石膏系廃材を粉砕して得た粒子を適当な粒径(粗骨材の場合であれば、粒径25mm以下)に造粒した後、その表面を、セメント原料および水からなるセメント系原料で被覆し、加熱加圧下で炭酸ガスに晒して炭酸化処理し、硫酸カルシウム成分の溶出を抑制した硬質な被覆膜が形成された廃石膏利用骨材を得るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来例の場合、いずれにおいてもセメントあるいは水ガラスで粒状体を形成した後、セメントまたは水ガラスで被覆、あるいは加熱加圧下で炭酸化するものであり、重金属の溶出抑制は物理的な封じ込めによってなされるもので、その効果は未だ不十分であった。
また、作製された造粒物の粒度分布が広く、特に粗大粒子や微粒子において重金属等を封じ込める上で信頼性が低くなる欠点があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、有害物質を良好に封じ込めることができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の有害物の不溶化処理方法は、上述のような目的を達成するために、
有害物質を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉のうちの少なくとも一種に対してセメント5〜30重量%添加し、攪拌造粒機により、内部または/および表面に未水和セメント粒子を含有または付着させた造粒物前駆体を作製し、さらに前記攪拌造粒機により造粒物前駆体表面に有害物質を不溶化する物質を含有するコーティング材で被覆することによって、0.3〜2mmの粒群が75重量%以上の造粒物を作製し、養生することを特徴としている。
【0008】
ここで、再生粉とは、コンクリート構造物の解体時に回収した砂とセメントとの混合物のことをいう。
有害物質を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉のうち少なくとも一種に対してセメントを5〜30重量%添加する。セメント添加量が5重量%未満では、固化が不充分となり、その後のコーティング材による被覆を含めて不溶化処理性能が低下し、一方、30重量%を越えると、有害物質を含む処理対象物の処理量が少なくなり、実用的でない。
なお、本発明の不溶化処理方法においては、解砕、造粒あるいはコーティング工程において適量の水分が必要となる。これが処理対象物からの持込みのみでは不足する場合は補充・調整するが、必要以上の水分が持ち込まれると、多量のセメントが必要となり処理コストが高くなるほか、造粒物前駆体やコーティングの形成がうまくいかず、所期の封じ込めが達成できない。このため、予め、土木脱水、沈降分離、機械脱水(高圧フィルタープレス等)による脱水により水分量を低減し、寧ろ、不溶化処理過程では適宜加圧する方が良い結果が得られることが多い。
【0009】
セメントとしては、ポルトランドセメント、混合セメント(高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、シリカセメント)、アルミナセメント、セメント系固化材(一般軟弱土用、高有機質土用、六価クロム対策固化材、発塵抑制固化材など)などが挙げられる。それらに、補助材として、石炭灰、高炉スラグ、石膏(半水、二水、無水)、生石灰、消石灰、シリカフューム、石灰石などを添加しても良い。
【0010】
解砕処理としては、攪拌混合用の攪拌羽根と破砕用のチョッパーを設けた攪拌造粒機によって粒径2mm以下に解砕処理する。2mmを越えると、セメントとの分散性が低下するからである。
【0011】
更に、この攪拌造粒機により造粒処理を行う。造粒処理としては、別途、回転式の造粒機で球状の造粒物を作製するものでも良い。造粒物前駆体は、内部または/および表面に未水和セメントを含む。有害物質を含む処理対象物中の構成粒子が攪拌造粒機によって解砕された造粒物前駆体では表面および内部に、解砕されない堅牢な粒子を含む造粒物前駆体では主としてその表面に水和セメントが付着されることとなる。
【0012】
有害物質を不溶化する物質としては、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫化ナトリウム、硫黄、燐酸、燐酸ナトリウム、水酸化アパタイト、フッ素アパタイト、キレート剤、次亜塩素酸のうちの少なくとも一種を含むものであれば良い(請求項2)。
【0013】
すなわち、有害物質が砒素の場合であれば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄が選ばれる。総水銀や鉛の場合であれば、硫化ナトリウム、キレート剤が選ばれる。六価クロムやカドミウムの場合であれば、硫化ナトリウムが選ばれる。セレンの場合であれば、硫化ナトリウム、硫酸第一鉄が選ばれる。全シアンの場合であれば、次亜塩素酸が選ばれる。このように、焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉中の不溶化しようとする有害物質に応じて適宜選択すれば良い。
【0014】
コーティング材としては、前述したセメントおよび補助材のほかに、水ガラス、火山灰、珪酸白土などの各種の無機物や、EVA(エチレンビニルアセテート)、アクリル、アクリル―スチレン、ウレタン、シリコーンなどの高分子化合物など各種の材料が適用可能である。
【0015】
有害物質を不溶化する物質を含んだコーティング材を造粒物に散布して造粒物の表面にコーティング材を付着させるための処理としては、有害物質を不溶化する物質をコーティング材に混合して散布し、造粒物の表面に付着させるものでも良い。また、有害物質を不溶化する物質を100〜1000倍に希釈した水溶液を造粒物の表面に散布し、その表面にセメントなどのコーティング材を散布するようにしても良く、更には、上述有害物質を不溶化する物質の水溶液とセメントなどのコーティング材とを別途混合しておき、その混合物を造粒物の表面に散布するようにしても良い。
【0016】
このようにして作製した造粒物の模式図を図1に示す。この模式図は、有害物質を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉中の構成粒子が解砕された後の造粒過程において、造粒物前駆体中の粒子間接着が余り起こらない場合であり、例えば、含水率が少ない場合に見られる現象である。これに対して、含水率が多くなると、造粒物前駆体中のセメントが分散した解砕粒子の破壊・接着が繰返され一体化する。実際には、これらの中間、すなわち、解砕粒子の形骸が存在する場合と存在しない場合とが混在する造粒物前駆体になるケースも多い。造粒物前駆体作製後、コーティング処理を施した造粒物の粒度は0.3〜2mmの粒群が75重量%以上含まれるのが好ましい。造粒物の粒度がこの範囲を逸脱すると、造粒物からの重金属類、揮発性有機化合物、ダイオキシン類、油類などの有害物質の封じ込めが不充分となり好ましくない。さらに、作製された造粒物は、屋外または屋内において所定期間養生する。養生期間は、造粒物の性状、未水和セメント量、養生条件(温度、湿度、降雨量等)や利用目的によって異なるが、1日間以上、通常3日〜1週間程度である。
【0017】
(作用・効果)
本発明者らは、鋭意研究の結果、先ず、有害物質を含む焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉を攪拌造粒機で解砕し、セメントの添加・混合、更には必要に応じて水を補給調整することによってセメントが充分分散された造粒物前駆体が得られ、また、解砕された構成粒子の表面あるいはその内部に未水和セメントが存在する形態が、重金属類、揮発性有機化合物、ダイオキシン類、油類などの一次的な溶出抑制に極めて優れた効果を発揮する。このように、少なくとも表面に未水和セメントを含む造粒物前駆体は、その後のコーティング材による被覆をより効果的に行うことができる。造粒物前駆体表面へのコーティング材による被覆は、造粒物前駆体から二次的に溶出した有害物質を物理的および化学的に、さらにはこれらの相乗効果によって封じ込めることができることを見出した。
【0018】
上記結果に基づいてなされた請求項1に係る発明の有害物の不溶化処理方法の構成によれば、有害物質を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉を解砕し、造粒物前駆体を経由し、さらにコーティング材によって被覆された造粒物の粒径が0.3〜2mmの粒群量として75重量%以上であることが好ましい実施形態である。このように、微粉粒群が少ないことは、最終処分場などに埋め戻す場合、造粒物間に隙間が多く透水しやすくなり、例えば、造粒物から重金属等が二次的に溶出したとしても、長期間にわたって蓄積され、高濃度化することが避けられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図2は、本発明の有害物の不溶化処理方法に係る実施例を示す全体概略構成図であり、有害物質を含有した汚染土壌をベルトコンベア1により土壌水洗機2に搬送して水洗処理し、その有害物質を含んだ洗浄排水を原水槽3に供給する。洗浄処理によって有害物質を洗浄除去して無害化処理した土壌は、再利用や埋め戻し用などとして回収する。
【0020】
原水槽3に貯められた排水を薬剤凝集槽4に供給し、凝集剤を注入して凝集させてから、固液分離槽5に供給する。固液分離槽5において、汚泥を沈降分離させ、上澄み液は処理水槽6に回収する。その回収された処理水は、土壌洗浄用の界面活性剤を添加混合して土壌水洗機2に供給し、再利用する。
【0021】
上述のようにして沈降分離された汚泥ケーキはベルトコンベア(図示せず)などで取り出し、図2に示すように、攪拌造粒機7に供給する。
攪拌造粒機7は、図3の縦断面図、および、図4の平面図に示すように、容器本体8内の底部に攪拌羽根(アジテータ)9が駆動回転可能に設けられ、容器本体8内の周部の一箇所にチョッパー10を設けて構成されている。
【0022】
チョッパー10は、6枚の細長い楕円状の小径刃体11と大径刃体12とを交互に十字状になるように所定間隔を隔てて回転軸13に取り付けて構成されている。
上記構成により、攪拌羽根9の回転数を高速回転状態から低速回転状態に3段階に切り換えて解砕処理を行い、その後に、この攪拌造粒機7を用いて造粒処理を行うようになっている。
【0023】
上述のような攪拌造粒機7に汚泥ケーキ100重量部に対してセメント10重量部を投入し、チョッパー10の回転数を 3000rpmとし、攪拌羽根9の回転数を200rpmとして1分間駆動して予備解砕処理を行う。
【0024】
予備解砕処理の後に同条件で5分間駆動して停止し、一次解砕処理を行う。
次いで、同条件で更に1分間駆動して二次解砕処理を行い、内部または/および表面に未水和のセメントを含有または付着させる。
【0025】
その後に、チョッパー10の回転数を 2000rpmとし、攪拌羽根9の回転数を200rpmとして1分間駆動することにより攪拌混合処理して、粒径が実質的に2mm以下である造粒物前駆体を作製する。
【0026】
その造粒物前駆体100重量部に、有害物質を不溶化する物質としての硫化ナトリウム5重量%と高炉セメント95重量%からなるコーティング材10重量部を散布し、チョッパー10の回転数を200rpmとし、攪拌羽根9の回転数を100rpmとして1分間駆動し、造粒物の表面にコーティング材を付着させる。
しかる後に7日程度養生させて固化する。
【0027】
(実施例)
環境庁告示46号による溶出量が、カドミウム、総水銀、砒素および鉛がそれぞれ5.3、1.8、8.9および71.4mg/Lである汚染汚泥(シルト、含水比42%)を処理対象物とした。汚泥ケーキに代えてこの汚染汚泥を、また造粒物前駆体作製用セメントとして高炉セメントを用いた場合について、前述段落番号(0023)から(0026)に記載の方法により、不溶化処理を行って、養生し、造粒物を得た。この造粒物の0.3〜2mmの粒群量は84重量%であった。また、比較のため、コーティングを施さない造粒物を作製した。これらの造粒物について環境庁告示46号による重金属類の溶出量を測定した。この結果を表1に示す。
【表1】
本発明の方法によって得られた造粒物は、いずれの有害重金属類の溶出量も大幅に低減しており、優れた不溶化処理方法であることがわかる。これに対して、コーティングを施さない場合には、総水銀、砒素や鉛に対する封じ込め効果が小さかった。
【0028】
次に、造粒物前駆体を形成するための高炉セメントの添加量を、汚染汚泥100重量部に対して1〜30重量部に変えたほかは、上記実施例No.1と同じ条件下で不溶化処理し、環境庁告示46号により鉛の溶出量を測定した。この結果を表2に示す。
【表2】
この表2から、造粒物前駆体を形成させるための高炉セメントの汚染汚泥に対する添加量が増加するとともに鉛の溶出量が減少すること、および、セメントを多量添加することによる不溶化効果に期待するほどの改善がみられないことが判る。
【0029】
さらに、実施例No.1の不溶化処理方法において、攪拌造粒機のチョッパーおよび攪拌羽根の回転数を変えて、粒度(0.3〜2mmの粒群量)の異なる造粒物を作製し、環境庁告示46号による鉛の溶出量を測定した。この結果を表3に示した。
【表3】
0.3〜2mmの粒群量が75重量%以上になると、鉛の溶出量がかなり減少した。
【0030】
以上の構成により、図5の模式図に示すように、造粒物Aの表面全面をコーティング材Bで被覆して有害物質を封じ込めることができる。
【0031】
上述のようにして得られた不溶化処理物は、造粒物が破壊されにくくて強度が高く有害物質を溶出させずに良好に封じ込めることができるものであり、これに対して、造粒処理しただけのものでは、造粒物の表面が若干剥離し、有害物質が溶出する虞のあるものであった。
【0032】
本発明の有害物の不溶化処理方法は、コンクリート用骨材や軽量骨材の製造時における大きさを均一化するための研磨洗浄時とか採石場での採石物洗浄時に発生する、有害物質が付着した石粉を含んだ泥水などを原水として処理された汚泥ケーキにも適用でき、そのような汚泥ケーキの回収例について説明しておく。
【0033】
すなわち、図6の別の処理対象について説明する全体概略構成図に示すように、原水を沈澱槽21に供給するとともに高分子凝集剤を注入する。
【0034】
沈澱槽21内で、第1の攪拌装置22により緩速で回転攪拌し、汚泥を沈降分離させ、上澄み液は清水タンク23に回収し、沈降分離された汚泥はスラリーポンプ24により濃縮タンク25に供給する。図面上、濃縮タンク25は沈澱槽21と同じような大きさに記載しているが、例えば、沈澱槽21が直径30mで高さ6mであるのに対して濃縮タンク25が直径5mで高さ6mといったように、容量的には、沈澱槽21よりも大幅に小さいものである。
【0035】
濃縮タンク25内で、第2の攪拌装置26により回転攪拌し、汚泥を濃縮処理する。濃縮処理された汚泥を高圧スラリーポンプ27によりフィルタープレス型脱水機28に供給し、含水比30重量%以下になるようにより一層濃縮処理する。
【0036】
フィルタープレス型脱水機28には、機体本体の水平方向の一端側に、油圧シリンダ29によって水平方向に移動可能に可動プレート30が設けられ、他端側に、固定プレート31が設けられるとともにその固定プレート31に汚泥供給管32が接続されている。可動プレート30と固定プレート31との間に、明示しないが、両側に水切りネットと濾布とを設けた濾板と、濾枠とが交互に並ぶ状態で設けられている。
【0037】
これにより、可動プレート30により押し込んだ状態で、濾布によって形成される処理空間内に汚泥供給管32を通じて濃縮タンク25からの濃縮汚泥を供給し、濾過した水を樋33に受け止めて回収し、その回収後に、所定の位置に退避して汚泥ケーキ(フィルタープレス型脱水機28によって濃縮処理された後の汚泥のことを称する)を落下して回収できるように構成されている。
【0038】
図中34は、濾過時間調整装置を示している。この濾過時間調整装置34には、図示しないが、樋33からの濾過水の一部を流入するセンサー用タンクが設けられるとともにそのセンサー用タンク内にフローティングスイッチが設けられ、濾過処理の終了を検出するようになっている。
【0039】
すなわち、センサー用タンクの下部に排水口が設けられ、濾過処理状態では、センサー用タンク内への濾過水の流入量が排水口からの排水量よりも多くてオーバーフローし、フローティングスイッチが浮上状態に維持される。そして、汚泥供給管32からの濃縮汚泥の供給が停止されて濾過水の流入量が排水口からの排水量よりも少なくなるに伴い、濾過水がオーバーフローせず、センサー用タンク内での液面が低下してフローティングスイッチが下降し、これにより濾過処理の終了を検出するようになっている。
【0040】
上述のようにして濃縮処理された汚泥ケーキはベルトコンベア(図示せず)などで取り出し、図2に示すように、前述した攪拌造粒機7に供給し、同様にして不溶化処理する。
【0041】
不溶化処理された処理物としては、封じ込めた有害物質の種類によっては、細骨材として利用しても良い。
【0042】
本発明の方法の実施において、造粒物前駆体の作製の際に、不溶化物質を含んだコーティング材を混合するようにしても良い。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の有害物の不溶化処理方法によれば、処理対象物の解砕処理と、セメント添加による造粒物前駆体の作製、および、不溶化物質を含んだコーティング材による被覆と、養生固化という一連の処理により、有害物質を良好に封じ込めることができ、しかも、強固な造粒物を得ることができるとともに造粒物間に隙間を十分確保でき、埋め立て状態での透水性に優れ、地下水汚染などの二次汚染をも回避でき、地球環境の保全に多大に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】造粒物の模式図である。
【図2】本発明の有害物の不溶化処理方法に係る実施例を示す全体概略構成図である。
【図3】攪拌造粒機の縦断面図である。
【図4】攪拌造粒機の平面図である。
【図5】不溶化処理した状態を示す模式図である。
【図6】本発明の有害物の不溶化処理方法を適用する別の処理対象について説明する全体概略構成図である。
【符号の説明】
A…造粒物
B…コーティング材
【発明の属する技術分野】
本発明は、重金属類、揮発性有機化合物、ダイオキシン類、油類などの有害物質を含有またはこれらの有害物質が付着した焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉から有害物が溶出しないように封じ込める有害物の不溶化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の廃棄物の処理方法としては、従来、次のようなものが知られている。A.第1従来例(特開平11−333423号公報)
粉状体、又は泥状体からなる産業廃棄物の原料にセメントと水ガラス溶液とを添加し、攪拌することによって泥状の混合体となし、混合体を丸めて多数の粒状体を形成し、更に、その粒状体に水ガラス溶液を噴霧して、粒状体の表面をコーティングした後に、乾燥して硬化し、有害物質が溶出しないようにしている。
【0003】
B.第2従来例(特開平8−57443号公報)
産業廃棄物をアルカリ金属塩のアルカリ性水溶液とコバルトアミン錯体の酸性ないし中性溶液との組み合わせからなる処理剤により処理し、その産業廃棄物をセメントと水の存在下で0.5〜20mmの範囲内の粒径のものに造粒し、その造粒物をモルタルにより被覆し、有害重金属の溶出を抑制できるようにしている。
【0004】
C.第3従来例(特開2001−97750号公報)
石膏系廃材を粉砕して得た粒子を適当な粒径(粗骨材の場合であれば、粒径25mm以下)に造粒した後、その表面を、セメント原料および水からなるセメント系原料で被覆し、加熱加圧下で炭酸ガスに晒して炭酸化処理し、硫酸カルシウム成分の溶出を抑制した硬質な被覆膜が形成された廃石膏利用骨材を得るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来例の場合、いずれにおいてもセメントあるいは水ガラスで粒状体を形成した後、セメントまたは水ガラスで被覆、あるいは加熱加圧下で炭酸化するものであり、重金属の溶出抑制は物理的な封じ込めによってなされるもので、その効果は未だ不十分であった。
また、作製された造粒物の粒度分布が広く、特に粗大粒子や微粒子において重金属等を封じ込める上で信頼性が低くなる欠点があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、有害物質を良好に封じ込めることができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の有害物の不溶化処理方法は、上述のような目的を達成するために、
有害物質を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉のうちの少なくとも一種に対してセメント5〜30重量%添加し、攪拌造粒機により、内部または/および表面に未水和セメント粒子を含有または付着させた造粒物前駆体を作製し、さらに前記攪拌造粒機により造粒物前駆体表面に有害物質を不溶化する物質を含有するコーティング材で被覆することによって、0.3〜2mmの粒群が75重量%以上の造粒物を作製し、養生することを特徴としている。
【0008】
ここで、再生粉とは、コンクリート構造物の解体時に回収した砂とセメントとの混合物のことをいう。
有害物質を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉のうち少なくとも一種に対してセメントを5〜30重量%添加する。セメント添加量が5重量%未満では、固化が不充分となり、その後のコーティング材による被覆を含めて不溶化処理性能が低下し、一方、30重量%を越えると、有害物質を含む処理対象物の処理量が少なくなり、実用的でない。
なお、本発明の不溶化処理方法においては、解砕、造粒あるいはコーティング工程において適量の水分が必要となる。これが処理対象物からの持込みのみでは不足する場合は補充・調整するが、必要以上の水分が持ち込まれると、多量のセメントが必要となり処理コストが高くなるほか、造粒物前駆体やコーティングの形成がうまくいかず、所期の封じ込めが達成できない。このため、予め、土木脱水、沈降分離、機械脱水(高圧フィルタープレス等)による脱水により水分量を低減し、寧ろ、不溶化処理過程では適宜加圧する方が良い結果が得られることが多い。
【0009】
セメントとしては、ポルトランドセメント、混合セメント(高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、シリカセメント)、アルミナセメント、セメント系固化材(一般軟弱土用、高有機質土用、六価クロム対策固化材、発塵抑制固化材など)などが挙げられる。それらに、補助材として、石炭灰、高炉スラグ、石膏(半水、二水、無水)、生石灰、消石灰、シリカフューム、石灰石などを添加しても良い。
【0010】
解砕処理としては、攪拌混合用の攪拌羽根と破砕用のチョッパーを設けた攪拌造粒機によって粒径2mm以下に解砕処理する。2mmを越えると、セメントとの分散性が低下するからである。
【0011】
更に、この攪拌造粒機により造粒処理を行う。造粒処理としては、別途、回転式の造粒機で球状の造粒物を作製するものでも良い。造粒物前駆体は、内部または/および表面に未水和セメントを含む。有害物質を含む処理対象物中の構成粒子が攪拌造粒機によって解砕された造粒物前駆体では表面および内部に、解砕されない堅牢な粒子を含む造粒物前駆体では主としてその表面に水和セメントが付着されることとなる。
【0012】
有害物質を不溶化する物質としては、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫化ナトリウム、硫黄、燐酸、燐酸ナトリウム、水酸化アパタイト、フッ素アパタイト、キレート剤、次亜塩素酸のうちの少なくとも一種を含むものであれば良い(請求項2)。
【0013】
すなわち、有害物質が砒素の場合であれば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄が選ばれる。総水銀や鉛の場合であれば、硫化ナトリウム、キレート剤が選ばれる。六価クロムやカドミウムの場合であれば、硫化ナトリウムが選ばれる。セレンの場合であれば、硫化ナトリウム、硫酸第一鉄が選ばれる。全シアンの場合であれば、次亜塩素酸が選ばれる。このように、焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉中の不溶化しようとする有害物質に応じて適宜選択すれば良い。
【0014】
コーティング材としては、前述したセメントおよび補助材のほかに、水ガラス、火山灰、珪酸白土などの各種の無機物や、EVA(エチレンビニルアセテート)、アクリル、アクリル―スチレン、ウレタン、シリコーンなどの高分子化合物など各種の材料が適用可能である。
【0015】
有害物質を不溶化する物質を含んだコーティング材を造粒物に散布して造粒物の表面にコーティング材を付着させるための処理としては、有害物質を不溶化する物質をコーティング材に混合して散布し、造粒物の表面に付着させるものでも良い。また、有害物質を不溶化する物質を100〜1000倍に希釈した水溶液を造粒物の表面に散布し、その表面にセメントなどのコーティング材を散布するようにしても良く、更には、上述有害物質を不溶化する物質の水溶液とセメントなどのコーティング材とを別途混合しておき、その混合物を造粒物の表面に散布するようにしても良い。
【0016】
このようにして作製した造粒物の模式図を図1に示す。この模式図は、有害物質を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉中の構成粒子が解砕された後の造粒過程において、造粒物前駆体中の粒子間接着が余り起こらない場合であり、例えば、含水率が少ない場合に見られる現象である。これに対して、含水率が多くなると、造粒物前駆体中のセメントが分散した解砕粒子の破壊・接着が繰返され一体化する。実際には、これらの中間、すなわち、解砕粒子の形骸が存在する場合と存在しない場合とが混在する造粒物前駆体になるケースも多い。造粒物前駆体作製後、コーティング処理を施した造粒物の粒度は0.3〜2mmの粒群が75重量%以上含まれるのが好ましい。造粒物の粒度がこの範囲を逸脱すると、造粒物からの重金属類、揮発性有機化合物、ダイオキシン類、油類などの有害物質の封じ込めが不充分となり好ましくない。さらに、作製された造粒物は、屋外または屋内において所定期間養生する。養生期間は、造粒物の性状、未水和セメント量、養生条件(温度、湿度、降雨量等)や利用目的によって異なるが、1日間以上、通常3日〜1週間程度である。
【0017】
(作用・効果)
本発明者らは、鋭意研究の結果、先ず、有害物質を含む焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉を攪拌造粒機で解砕し、セメントの添加・混合、更には必要に応じて水を補給調整することによってセメントが充分分散された造粒物前駆体が得られ、また、解砕された構成粒子の表面あるいはその内部に未水和セメントが存在する形態が、重金属類、揮発性有機化合物、ダイオキシン類、油類などの一次的な溶出抑制に極めて優れた効果を発揮する。このように、少なくとも表面に未水和セメントを含む造粒物前駆体は、その後のコーティング材による被覆をより効果的に行うことができる。造粒物前駆体表面へのコーティング材による被覆は、造粒物前駆体から二次的に溶出した有害物質を物理的および化学的に、さらにはこれらの相乗効果によって封じ込めることができることを見出した。
【0018】
上記結果に基づいてなされた請求項1に係る発明の有害物の不溶化処理方法の構成によれば、有害物質を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉を解砕し、造粒物前駆体を経由し、さらにコーティング材によって被覆された造粒物の粒径が0.3〜2mmの粒群量として75重量%以上であることが好ましい実施形態である。このように、微粉粒群が少ないことは、最終処分場などに埋め戻す場合、造粒物間に隙間が多く透水しやすくなり、例えば、造粒物から重金属等が二次的に溶出したとしても、長期間にわたって蓄積され、高濃度化することが避けられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図2は、本発明の有害物の不溶化処理方法に係る実施例を示す全体概略構成図であり、有害物質を含有した汚染土壌をベルトコンベア1により土壌水洗機2に搬送して水洗処理し、その有害物質を含んだ洗浄排水を原水槽3に供給する。洗浄処理によって有害物質を洗浄除去して無害化処理した土壌は、再利用や埋め戻し用などとして回収する。
【0020】
原水槽3に貯められた排水を薬剤凝集槽4に供給し、凝集剤を注入して凝集させてから、固液分離槽5に供給する。固液分離槽5において、汚泥を沈降分離させ、上澄み液は処理水槽6に回収する。その回収された処理水は、土壌洗浄用の界面活性剤を添加混合して土壌水洗機2に供給し、再利用する。
【0021】
上述のようにして沈降分離された汚泥ケーキはベルトコンベア(図示せず)などで取り出し、図2に示すように、攪拌造粒機7に供給する。
攪拌造粒機7は、図3の縦断面図、および、図4の平面図に示すように、容器本体8内の底部に攪拌羽根(アジテータ)9が駆動回転可能に設けられ、容器本体8内の周部の一箇所にチョッパー10を設けて構成されている。
【0022】
チョッパー10は、6枚の細長い楕円状の小径刃体11と大径刃体12とを交互に十字状になるように所定間隔を隔てて回転軸13に取り付けて構成されている。
上記構成により、攪拌羽根9の回転数を高速回転状態から低速回転状態に3段階に切り換えて解砕処理を行い、その後に、この攪拌造粒機7を用いて造粒処理を行うようになっている。
【0023】
上述のような攪拌造粒機7に汚泥ケーキ100重量部に対してセメント10重量部を投入し、チョッパー10の回転数を 3000rpmとし、攪拌羽根9の回転数を200rpmとして1分間駆動して予備解砕処理を行う。
【0024】
予備解砕処理の後に同条件で5分間駆動して停止し、一次解砕処理を行う。
次いで、同条件で更に1分間駆動して二次解砕処理を行い、内部または/および表面に未水和のセメントを含有または付着させる。
【0025】
その後に、チョッパー10の回転数を 2000rpmとし、攪拌羽根9の回転数を200rpmとして1分間駆動することにより攪拌混合処理して、粒径が実質的に2mm以下である造粒物前駆体を作製する。
【0026】
その造粒物前駆体100重量部に、有害物質を不溶化する物質としての硫化ナトリウム5重量%と高炉セメント95重量%からなるコーティング材10重量部を散布し、チョッパー10の回転数を200rpmとし、攪拌羽根9の回転数を100rpmとして1分間駆動し、造粒物の表面にコーティング材を付着させる。
しかる後に7日程度養生させて固化する。
【0027】
(実施例)
環境庁告示46号による溶出量が、カドミウム、総水銀、砒素および鉛がそれぞれ5.3、1.8、8.9および71.4mg/Lである汚染汚泥(シルト、含水比42%)を処理対象物とした。汚泥ケーキに代えてこの汚染汚泥を、また造粒物前駆体作製用セメントとして高炉セメントを用いた場合について、前述段落番号(0023)から(0026)に記載の方法により、不溶化処理を行って、養生し、造粒物を得た。この造粒物の0.3〜2mmの粒群量は84重量%であった。また、比較のため、コーティングを施さない造粒物を作製した。これらの造粒物について環境庁告示46号による重金属類の溶出量を測定した。この結果を表1に示す。
【表1】
本発明の方法によって得られた造粒物は、いずれの有害重金属類の溶出量も大幅に低減しており、優れた不溶化処理方法であることがわかる。これに対して、コーティングを施さない場合には、総水銀、砒素や鉛に対する封じ込め効果が小さかった。
【0028】
次に、造粒物前駆体を形成するための高炉セメントの添加量を、汚染汚泥100重量部に対して1〜30重量部に変えたほかは、上記実施例No.1と同じ条件下で不溶化処理し、環境庁告示46号により鉛の溶出量を測定した。この結果を表2に示す。
【表2】
この表2から、造粒物前駆体を形成させるための高炉セメントの汚染汚泥に対する添加量が増加するとともに鉛の溶出量が減少すること、および、セメントを多量添加することによる不溶化効果に期待するほどの改善がみられないことが判る。
【0029】
さらに、実施例No.1の不溶化処理方法において、攪拌造粒機のチョッパーおよび攪拌羽根の回転数を変えて、粒度(0.3〜2mmの粒群量)の異なる造粒物を作製し、環境庁告示46号による鉛の溶出量を測定した。この結果を表3に示した。
【表3】
0.3〜2mmの粒群量が75重量%以上になると、鉛の溶出量がかなり減少した。
【0030】
以上の構成により、図5の模式図に示すように、造粒物Aの表面全面をコーティング材Bで被覆して有害物質を封じ込めることができる。
【0031】
上述のようにして得られた不溶化処理物は、造粒物が破壊されにくくて強度が高く有害物質を溶出させずに良好に封じ込めることができるものであり、これに対して、造粒処理しただけのものでは、造粒物の表面が若干剥離し、有害物質が溶出する虞のあるものであった。
【0032】
本発明の有害物の不溶化処理方法は、コンクリート用骨材や軽量骨材の製造時における大きさを均一化するための研磨洗浄時とか採石場での採石物洗浄時に発生する、有害物質が付着した石粉を含んだ泥水などを原水として処理された汚泥ケーキにも適用でき、そのような汚泥ケーキの回収例について説明しておく。
【0033】
すなわち、図6の別の処理対象について説明する全体概略構成図に示すように、原水を沈澱槽21に供給するとともに高分子凝集剤を注入する。
【0034】
沈澱槽21内で、第1の攪拌装置22により緩速で回転攪拌し、汚泥を沈降分離させ、上澄み液は清水タンク23に回収し、沈降分離された汚泥はスラリーポンプ24により濃縮タンク25に供給する。図面上、濃縮タンク25は沈澱槽21と同じような大きさに記載しているが、例えば、沈澱槽21が直径30mで高さ6mであるのに対して濃縮タンク25が直径5mで高さ6mといったように、容量的には、沈澱槽21よりも大幅に小さいものである。
【0035】
濃縮タンク25内で、第2の攪拌装置26により回転攪拌し、汚泥を濃縮処理する。濃縮処理された汚泥を高圧スラリーポンプ27によりフィルタープレス型脱水機28に供給し、含水比30重量%以下になるようにより一層濃縮処理する。
【0036】
フィルタープレス型脱水機28には、機体本体の水平方向の一端側に、油圧シリンダ29によって水平方向に移動可能に可動プレート30が設けられ、他端側に、固定プレート31が設けられるとともにその固定プレート31に汚泥供給管32が接続されている。可動プレート30と固定プレート31との間に、明示しないが、両側に水切りネットと濾布とを設けた濾板と、濾枠とが交互に並ぶ状態で設けられている。
【0037】
これにより、可動プレート30により押し込んだ状態で、濾布によって形成される処理空間内に汚泥供給管32を通じて濃縮タンク25からの濃縮汚泥を供給し、濾過した水を樋33に受け止めて回収し、その回収後に、所定の位置に退避して汚泥ケーキ(フィルタープレス型脱水機28によって濃縮処理された後の汚泥のことを称する)を落下して回収できるように構成されている。
【0038】
図中34は、濾過時間調整装置を示している。この濾過時間調整装置34には、図示しないが、樋33からの濾過水の一部を流入するセンサー用タンクが設けられるとともにそのセンサー用タンク内にフローティングスイッチが設けられ、濾過処理の終了を検出するようになっている。
【0039】
すなわち、センサー用タンクの下部に排水口が設けられ、濾過処理状態では、センサー用タンク内への濾過水の流入量が排水口からの排水量よりも多くてオーバーフローし、フローティングスイッチが浮上状態に維持される。そして、汚泥供給管32からの濃縮汚泥の供給が停止されて濾過水の流入量が排水口からの排水量よりも少なくなるに伴い、濾過水がオーバーフローせず、センサー用タンク内での液面が低下してフローティングスイッチが下降し、これにより濾過処理の終了を検出するようになっている。
【0040】
上述のようにして濃縮処理された汚泥ケーキはベルトコンベア(図示せず)などで取り出し、図2に示すように、前述した攪拌造粒機7に供給し、同様にして不溶化処理する。
【0041】
不溶化処理された処理物としては、封じ込めた有害物質の種類によっては、細骨材として利用しても良い。
【0042】
本発明の方法の実施において、造粒物前駆体の作製の際に、不溶化物質を含んだコーティング材を混合するようにしても良い。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の有害物の不溶化処理方法によれば、処理対象物の解砕処理と、セメント添加による造粒物前駆体の作製、および、不溶化物質を含んだコーティング材による被覆と、養生固化という一連の処理により、有害物質を良好に封じ込めることができ、しかも、強固な造粒物を得ることができるとともに造粒物間に隙間を十分確保でき、埋め立て状態での透水性に優れ、地下水汚染などの二次汚染をも回避でき、地球環境の保全に多大に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】造粒物の模式図である。
【図2】本発明の有害物の不溶化処理方法に係る実施例を示す全体概略構成図である。
【図3】攪拌造粒機の縦断面図である。
【図4】攪拌造粒機の平面図である。
【図5】不溶化処理した状態を示す模式図である。
【図6】本発明の有害物の不溶化処理方法を適用する別の処理対象について説明する全体概略構成図である。
【符号の説明】
A…造粒物
B…コーティング材
Claims (2)
- 有害物質を含有する焼却灰、汚泥、土壌、底質、石粉、再生粉のうちの少なくとも一種に対してセメント5〜30重量%添加し、攪拌造粒機により、内部または/および表面に未水和セメント粒子を含有または付着させた造粒物前駆体を作製し、さらに前記攪拌造粒機により造粒物前駆体表面に有害物質を不溶化する物質を含有するコーティング材で被覆することによって、0.3〜2mmの粒群が75重量%以上の造粒物を作製し、養生することを特徴とする有害物の不溶化処理方法。
- 請求項1に記載の有害物の不溶化処理方法において、
有害物質を不溶化する物質が、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫化ナトリウム、硫黄、燐酸、燐酸ナトリウム、水酸化アパタイト、フッ素アパタイト、キレート剤、次亜塩素酸の少なくとも一種を含むものである有害物の不溶化処理方法。
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