JP2004008521A - ゴルフクラブシャフトの設計方法およびゴルフクラブシャフトの製造方法 - Google Patents

ゴルフクラブシャフトの設計方法およびゴルフクラブシャフトの製造方法 Download PDF

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Nobuo Suzuki
鈴木 亘男
Kazuyuki Kabe
加部 和幸
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Abstract

【課題】ゴルフクラブシャフトが所望の条件を満たすように設計パラメータにおける最適値を効率よく見出して、ゴルフクラブシャフトを最適化するゴルフクラブシャフトの設計方法を提供する。
【解決手段】最適化のためにゴルフクラブシャフトにおいて変更すべき設計パラメータを設定し、この設計パラメータを変数としてゴルフクラブシャフトを再現したゴルフクラブモデルを生成し、変更すべき設計パラメータの値の許容範囲内でゴルフクラブモデルに与える設計パラメータの値を繰り返し変更し、変更の度に固有値解析およびスウィング解析を行って評価値を求め、複数の評価値に基づいて、最適条件を満たす設計パラメータの最適解を求める。
【選択図】図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブシャフト、特に、炭素繊維やガラス繊維等の補強繊維と合成樹脂とによって構成される補強層をマンドレルに巻き付けて形成されるゴルフクラブシャフトの設計方法およびゴルフクラブシャフトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、ゴルフクラブにおけるゴルフクラブシャフトは、スチール製シャフトの他に、炭素繊維やガラス繊維等の補強繊維をマトリクス層に配した補強層をマンドレルに巻き付けた繊維強化プラスチック製(FRP)シャフトが利用されている。
FRPシャフトに用いられるこの補強層は、ゴルフクラブシャフトを部分的に補強することができるため、ゴルフクラブシャフトの剛性分布を自由に変えることが可能である。例えば、先調子や元調子等キックポイントの位置を変えたものを自由に設計でき、特性の異なるゴルフクラブシャフトを種々設計することができる。
【0003】
ところで、補強層をマンドレルに巻き付けたゴルフクラブシャフトを設計するには、補強層を巻き付けるマンドレルの材料、マンドレルの形状、補強層をマンドレルに巻き付ける巻き付け位置、巻き付け枚数、補強層の補強繊維の配向角度または補強層における補強繊維やマトリクス層の種類を定める必要がある。これらは、ゴルフクラブシャフトの設計パラメータとして自由に変更することができる。
【0004】
このようなゴルフクラブシャフトを効率よく設計するために、特開2001−104522号公報では、ゴルフクラブシャフトの設計支援装置を開示している。
同公報では、マンドレルの形状、補強層である面状部材の種類、補強層の巻き付け位置および補強層の繊維方向角等の設計パラメータを入力することで、ゴルフクラブシャフトの曲げ剛性、ねじれ剛性、固有振動数等がゴルフクラブシャフトの特性値として算出され、誰でも簡単にFRPゴルフクラブシャフトの設計、または製造に必要な情報を得ることができるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の公報の開示する設計支援装置では、ゴルフクラブシャフトの曲げ剛性、ねじれ剛性、固有振動数等は静的な特性値であるため、設計されたゴルフクラブシャフトが、実際にゴルフスウィングを行った際にどのような動的な挙動を呈するかまでは明確に予測することができない。そのため、従来からいわれているゴルフクラブシャフトの望ましい静的な特性値を設計目標とするにとどまっていた。
また、上記特性値の算出には、各種設計パラメータをマニュアル入力して設計目標とする特性値を探索して適切なゴルフクラブシャフトの設計パラメータを設定せざるを得ず、目標とする特性値を持つゴルフクラブシャフトの仕様を抽出するには多大の試行錯誤を必要としていた。
【0006】
このように、今日、FRPゴルフクラブシャフトにおいて、所望のゴルフクラブシャフトの特性値を得るために、マンドレルの形状、補強層における補強繊維やマトリクス層の種類、補強層の巻き付け位置および補強層の繊維方向角等の設計パラメータをどのように設定すればよいか、効率よく見出すことができないのが現状である。
一方、ゴルファの行うゴルフスウィングはゴルファ各人で異なるため、自分のゴルフスウィングに最適なゴルフクラブ、特にゴルフクラブシャフトを見出すことは難しい。
【0007】
そこで、上記問題を解決するために、本発明は、ゴルフクラブシャフトが所望の条件を満たすように、ゴルフクラブシャフトにおける各種設計パラメータの最適値を効率よく見出して、ゴルフクラブシャフトを最適化するゴルフクラブシャフトの設計方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を解決するために、所定のゴルフクラブシャフトを基準にしてゴルフクラブシャフトを最適化するゴルフクラブシャフトの設計方法であって、
最適化のために前記所定のゴルフクラブシャフトにおける変更すべき設計パラメータを設定し、この設計パラメータを変数としてゴルフクラブシャフトを再現したゴルフクラブシャフトモデルを備えたゴルフクラブモデルを生成するモデル生成ステップと、
ゴルフクラブシャフトの最適化のための前記設計パラメータの値の許容範囲と、この最適化のための評価関数と、この最適化のための最適条件とを少なくとも設定する条件設定ステップと、
前記設計パラメータの値を与えて生成されるゴルフクラブモデルに、所定の境界条件を与えたときの前記ゴルフクラブモデルの挙動を算出し、この算出結果から前記評価関数を用いて評価値を求める演算・評価ステップと、
前記ゴルフクラブモデルに与える前記設計パラメータの値を前記許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成されるゴルフクラブモデルについて前記演算・評価ステップを実行する繰り返しステップと、
この繰り返しステップによって求められた複数の評価値に基づいて、前記評価関数の値が前記最適条件を満たすときの前記設計パラメータの値を求める最適化ステップと、を有するゴルフクラブシャフトの設計方法を提供する。
【0009】
ここで、前記ゴルフクラブシャフトモデルは、有限要素で離散化された有限要素モデルである。
前記有限要素とは、梁要素、シェル要素および固体要素等の有限要素法で用いる各種要素である。例えば、前記有限要素は、曲げ剛性を有する梁要素が例示される。
この場合、前記ゴルフクラブシャフトモデルは、前記梁要素毎に曲げ剛性が設定されて、ゴルフシャフトクラブモデルの長さ方向に曲げ剛性の分布を有するのが好ましい。
【0010】
また、前記演算・評価ステップにおいて、ゴルフクラブを把持してゴルファによりゴルフスウィングが行われた時の、ゴルフクラブのグリップ部の位置および向きを表した3次元時系列データを、前記境界条件として前記ゴルフクラブシャフトモデルに与えるのが好ましい。
さらに、前記演算・評価ステップにおいて、前記境界条件として、前記ゴルフクラブシャフトモデルの一端を固定して前記ゴルフクラブシャフトの変形による固有振動数を算出し、前記最適化ステップにおいて、前記固有振動数の制約条件下、前記最適条件を満たすときの前記設計パラメータの値を求めるのが好ましい。
【0011】
ここで、前記評価関数は、例えば、前記ゴルフクラブモデルにおける前記ゴルフクラブヘッドモデルのヘッドスピードであり、前記最適条件は、変更すべき前記設計パラメータの値の前記許容範囲内で、例えば、前記ヘッドスピードを最大とすること、あるいは、所定値以上とすることである。
【0012】
また、本発明は、前記ゴルフクラブシャフトの設計方法を用いてゴルフクラブシャフトを製造することを特徴とするゴルフクラブシャフトの製造方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のゴルフクラブシャフトの設計方法を、添付の図面に示される好適実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のゴルフクラブシャフトの設計方法を実施するゴルフクラブ設計装置(以降、装置という)10の構成を示した図である。
【0014】
装置10は、ゴルフクラブシャフトモデルにゴルフクラブヘッドモデルを付加して生成されたゴルフクラブモデルにおける固有振動数、およびこのゴルフクラブモデルにゴルフスウィングを再現するための境界条件を与えた時のゴルフクラブモデルの挙動を算出し、この算出結果を用いて所望の最適条件を満たすゴルフクラブシャフトの最適設計案を自動的に出力する装置である。
【0015】
装置10は、最適化制御部12、モデル生成部14、固有値演算部16、スウィング解析演算部18および評価部20を有し、この他に、上記各部位の演算を一括管理して制御するCPU22および各部位で算出された結果を記憶保持するメモリ24を有する。また、装置10にはモニタ26が接続されている。
なお、装置10は、プログラムを実行することで各部位が機能するコンピュータによって構成されてもよいし、各部位が専用回路で構成された専用装置であってもよい。
【0016】
最適化制御部12は、キーボードやマウス等の図示されない操作系を用いて入力された条件に基づいて、ゴルフクラブの基準案、変更すべき設計パラメータ、変更すべき設計パラメータの値の許容範囲、制約条件、最適条件および評価関数を設定するとともに、後述するように、設定された設計パラメータを変数とするゴルフクラブシャフトモデルに対して設計パラメータの値を種々に割り付けし、この設計パラメータの割り付け値によって生成された種々のゴルフクラブモデルにおける評価値を評価部20から受けて、この評価値に基づいて評価関数の値が最適条件を満たすときの設計パラメータの値を求めることによって、ゴルフクラブシャフトの最適設計案を出力する部位である。最適化制御部12の作用については、後述する。
【0017】
なお、制約条件、評価関数、最適条件は特に制限されないが、制約条件としては、例えば、後述するゴルフクラブモデル40の1次固有振動数の範囲が設定され、評価関数としては、例えば、ゴルフクラブモデル40におけるヘッドスピードが設定される。また、最適条件としては、評価関数がゴルフクラブモデル40におけるヘッドスピードヘッドの場合、このヘッドスピードにおける最適とする範囲、例えば下限値が設定され、この下限値以上のヘッドスピードを持つものを最適条件を満たす最適解とする。また、最適条件は、このヘッドスピードが最大となること、最小となること、所定値以下となること、あるいは、所定の範囲にあることとしてもよい。
【0018】
モデル生成部14は、最適化制御部12において設定された変更すべき設計パラメータを変数としたゴルフクラブシャフトモデルを生成し、このゴルフクラブシャフトモデルの先端にゴルフクラブヘッドモデルを付加することによってゴルフクラブモデルを生成する部位である。さらに、最適化制御部12から指示された設計パラメータの割り付け値に応じて解析可能とするゴルフクラブモデルを生成する。
すなわち、ゴルフクラブモデルは設定された設計パラメータを変数とし、最適化制御部12で割り付けられた設計パラメータの割り付け値を上記変数に代入することで、この割り付け値に応じた解析可能なゴルフクモデルが生成される。
【0019】
図2(a)および(b)には、ゴルフクラブシャフト32の先端側(チップ側)にゴルフクラブヘッド34が、後端側(バッド側)にグリップ部36が設けられた最適化のための基準案となるゴルフクラブ30と、この基準案となるゴルフクラブ30のゴルフクラブシャフト32を有限要素モデルでモデル化して再現したゴルフクラブモデルの一例であるゴルフクラブモデル40の一例が示されている。
図2(b)に示す例では、ゴルフクラブモデル40は、各要素が梁要素のモデルで離散化された有限要素モデルであって、各要素の梁要素のモデルは断面積が一定の真直梁モデルである。ゴルフクラブシャフト32に対応するゴルフクラブシャフトモデル42は、要素1〜12からなる真直梁モデルでモデル化され、チップ側の先端には、ゴルフクラブヘッド34の質量をゴルフクラブヘッド34の重心位置に対応する重心位置Gに集中質量を与えた質点モデル44が付加され、さらに、バッド側には、剛体要素である要素13からなるグリップモデル46が設けられている。質点モデル44における重心位置Gおよび集中質量は、例えば、基準案におけるゴルフクラブヘッド34の重心位置および質量が用いられる。
【0020】
なお、ゴルフクラブシャフトモデル42における要素分割数は12分割に限られず、8〜100分割であればよいが、後述する固有値解析およびスウィング解析において計算の効率化と計算精度の向上を同時に満足させる点から、10〜15分割が好ましく、より好ましくは12分割であるのがよい。分割数が多いと設計パラメータとしての変数が多くなり、計算を効率的に行うことはできない一方、分割数が少ないと後述するヘッドスピードや振動数を精度良く再現することができない。
【0021】
ここで、各要素1〜12の材料定数は、各要素における真直梁モデルにおける曲げ剛性である。
例えば、図3に示すように、補強層をマンドレルに巻き付けたゴルフクラブシャフトの積層構造について、構造力学および公知の古典積層理論が適用されて、最適化制御部12から供給される設計パラメータの割り付け値や基準案の設計パラメータの値から、ヤング率および断面2次モーメントを算出して曲げ剛性EI(ヤング率E×断面2次モーメントI)を中間パラメータとして算出する。より具体的には、補強層における補強繊維やマトリクス層の各種力学物性値(ヤング率、剪断弾性係数、ポアソン比)、補強層における補強繊維の配向角度、巻き付け位置、巻き付け枚数、マンドレルの内径および外径等の設計パラメータの値から、ヤング率および断面2次モーメントを算出し、真直梁モデルにおける曲げ剛性EIを中間パラメータとして算出する。なお、構造力学および古典積層理論に基づく曲げ剛性EIの算出は、モデル生成部14において行われる。
【0022】
なお、ゴルフクラブモデル40におけるグリップモデル46は、図2(b)に示すような単一の要素13からなるものに制限されず、複数の要素に分割した弾性体要素で構成してもよい。例えば、図2(c)に示すように、各要素が梁要素で構成された要素13、14、15からなるものであってもよい。
【0023】
固有値演算部16は、図2(b)に示すようなゴルフクラブモデル40を用いて、バッド側のグリップモデル46を固定端とした境界条件の下、ゴルフクラブシャフト42の振動による固有振動数を算出する固有値解析を行う部位であり、例えば、公知の有限要素ソルバーによるサブルーチンを実行することで機能する。例えば、ゴルフクラブシャフトモデル42が支配的に変形する1次、2次、・・・等の固有振動数が算出される。
なお、固有振動数のうち1次固有振動数は、ゴルフクラブシャフトの硬さを表す指標であり、硬さが適切であるとゴルファが感じる範囲、例えば、3.66Hz〜4.66Hzといった1次固有振動数の範囲が存在する。このような範囲は、後述するように最適設計案を抽出する際の制約条件として最適化制御部12にて設定される。
【0024】
スウィング解析演算部18は、ゴルフスウィングを再現するための境界条件をグリップモデル46に与えたときのゴルフクラブモデル40の挙動を算出する部位であり、例えば、公知の有限要素ソルバーによるサブルーチンを実行することで機能する。
ここで、ゴルフスウィングを再現するための境界条件は、予めメモリ24に種々のゴルフスウィングの時系列データのファイルが記録されており、図示されない操作系によってゴルフスウィングの時系列データのファイルが呼び出されてゴルフクラブモデル40の挙動が算出される。
【0025】
ゴルフスウィングの時系列データは、例えば、図4に示すような測定装置52を用いて、実際にゴルファGがゴルフクラブ30を把持してゴルフスウィングした時のグリップ部36の位置とゴルフクラブシャフト32の向き(グリップ部36の向き)を示した3次元の時系列データである。
【0026】
具体的には、図4に示す測定装置52は、ゴルフスウィング中のゴルフクラブ30のグリップ部36の位置とこの位置に対応した、ゴルフクラブのゴルフクラブシャフト32の向き(グリップ部36の向き)を測定する装置である。
測定装置52は、ゴルフクラブ30のクリップ部36を把持して行うゴルフスウィング中のグリップ部36の移動範囲内に、強さと方向が既知の分布を持つ磁場を形成するトランスミッタ52aと、グリップ部36の端部に固定され、磁場を感知することにより、基準位置に対する3次元位置とオイラー角の情報を含んだ信号を出力するレシーバ(磁気センサ)52bと、この信号に基づいてグリップ部36の3次元位置の時系列データとグリップ部のオイラー角の時系列データとを生成するコントローラ52cとを有する。
【0027】
すなわち、測定装置52は、図4に示すように、ゴルフスウィングするゴルファGの背後に配置固定したトランスミッタ52aから3種類の所定の磁場を次々に発生させ、一方、移動および回転するグリップ部36に固定されたレシーバ52bが、トランスミッタ52aによって作られる3種類の磁場内の位置および向きに対応して磁気を感知して合計9つの出力電圧を出力し、この出力電圧からコントローラ52cにおいてデータ処理がなされてレシーバ52bの3次元位置と向き(オイラー角)のデータを得ることができる装置である。
【0028】
コントローラ52cにおいて得られたグリップ部36の3次元位置座標とオイラー角の時系列データは、コンピュータ54に送られて、基準位置、例えばトランスミッタ52aの中心位置およびトランスミッタ52aにおいて定められた所定の基準方向を基準として、グリップ部36の3次元位置とグリップ部36の3次元方向の向きについての時系列データを演算により求める部位である。例えば、3次元位置座標と、所定の座標系における方位角と仰角の時系列データを求める。この時系列データは、モニタ56による画面表示に用いられるとともに、図1に示すメモリ24に供給されて記録保持される。モニタ56による画面表示では、例えば、図5に示されるように、トップの状態からダウンスウィング、インパクトおよびフォロスルーにかけてのグリップ部36の挙動が、位置と向きが変化する複数の線分を用いて表示される。ここで、線分の端点Pはグリップ部36の位置を、線分の向きはグリップ部36の向きを表す。
【0029】
このようなグリップ部36の位置と向きの時系列データが、種々のゴルファのゴルフスウィングについて計測され、メモリ24に記録保持されている。
この時系列データの内、所望の時系列データが呼び出されて、スウィング解析演算部18において、クリップモデル46に付与する境界条件として用いられる。
【0030】
評価部20は、設定された評価関数を用いて評価値を求める部位である、例えば、固有値演算部16で得られた固有振動数から、ゴルフクラブシャフトモデル42が支配的に変形して振動する1次固有振動数を抽出するとともに、スウィング解析演算部18で算出されたゴルクラブモデル40の挙動の内、ゴルフクラブヘッド34のインパクト時のヘッドスピードに対応する質点モデル44のインパクト時のスウィング速度(ヘッドスピード)を算出する。すなわち、この場合、質点モデル44のインパクト時のスウィング速度が、評価関数として、上述した最適化制御部12において設定される。
このような1次固有振動数と質点モデル44のインパクト時のスウィング速度は、最適化制御部12に供給される。
【0031】
最適化制御部12は、最適化制御部12において設定された、種々の設計パラメータの割り付け値に応じて生成されたゴルフクラブモデルの1次固有振動数と質点モデル44のインパクト時のスウィング速度を得る。
また、最適化制御部12において設定された1次固有振動数の制約条件を満たす質点モデル44のインパクト時のスウィング速度を取り出し、このインパクト時のスウィング速度が最適条件を満たす設計パラメータの割り付け値を求める。こうして得られたインパクト時のスウィング速度が最適条件を満たす設計パラメータの割り付け値を採用した最適設計案を出力する。
【0032】
上記例のゴルフクラブシャフトモデル42は、各要素が梁要素で離散化された有限要素モデルであるが、本発明においては、各要素を、有限要素法で用いる梁要素、シェル要素および固体要素の各種要素で離散化することができる。
より具体的には、例えば、梁要素では、2節点要素、3節点要素等の梁要素、シェル要素では、3節点要素、4節点要素、6節点要素または8節点要素等のシェル要素、固体要素では、4節点要素、6節点要素、8節点要素、10節点要素、15節点要素、20節点要素等の固体要素を用いて離散化することができる。
【0033】
このような装置10を用いて行われるゴルフクラブシャフトの設計方法を以下詳細に説明する。
図6は、本発明のゴルフクラブシャフトの設計方法の流れを示すフローチャートである。
【0034】
まず、装置10において、図示されない操作系から、基準案となる、補強層をマンドレルに巻き付けたゴルフクラブシャフトの仕様が入力され、さらに、変更すべき設計パラメータが設定される(ステップ100)。
具体的には、マンドレルの長さ、内径、外径、ゴルフクラブシャフトの長さ方向にマンドレルの断面形状が変化している場合にはこの内径および外径の分布、マンドレルの力学物性値(ヤング率、剪断弾性率、ポアソン比)、さらに、補強層における補強繊維およびマトリクス層の力学物性値(ヤング率、剪断弾性率、、ポアソン比)、補強繊維の体積占有率、補強繊維の配向角度、さらに、補強層のマンドレルへの巻き付け位置、巻き付け枚数等の設計パラメータの値を基準案の仕様として設定する。
また、上記設計パラメータの値の中から、ゴルフクラブシャフトを最適化するために変更すべき設計パラメータを設定する。
これらの設定は、装置10に付随して接続されているマウスやキーボード等の操作系を用いた入力に基づいて設定される。
【0035】
次に、基準案の仕様と変更すべき設計パラメータの情報から、モデル生成部14において、変更すべき設計パラメータを変数とした、ゴルフクラブシャフトを再現したゴルフクラブシャフトモデル42が生成され、このゴルフクラブシャフトモデル42のチップ側の先端にゴルフクラブヘッド34に対応した質点モデル44が付加され、バッド側の先端にグリップモデル46が設けられ、ゴルフクラブモデル40が生成される(ステップ102)。
【0036】
生成されるゴルフクラブモデル40は、変更すべき設計パラメータの値が変数となっており、後述するように変更すべき設計パラメータの割り付け値を定めることによって、ゴルフクラブモデル40は解析可能なモデルとして完成する。
例えば、変更すべき設計パラメータとして材料定数に関するパラメータが設定されている場合、上記ゴルフクラブシャフトモデル42のモデル形状は定まっている。このゴルフクラブシャフトモデル42に、材料定数に関する設計パラメータが割り付け値によって割り付けられることにより、ゴルフクラブモデル40は解析可能なモデルとして完成する。
【0037】
一方、ゴルフクラブシャフト42の長さ等の形状に関するパラメータが変更すべき設計パラメータとして設定されている場合、ゴルフクラブシャフトモデル42における材料定数はすでに定まっている。このゴルフクラブシャフトモデル42に、形状に関する設計パラメータが割り付け値によって割り付けられることより、ゴルフクラブシャフトモデル42のモデル形状が定まり、ゴルフクラブモデル40は解析可能なモデルとして完成する。
この場合、変更すべき設計パラメータとして、材料定数に関するパラメータおよび形状に関するパラメータが同時に設定されてもよい。
なお、ゴルフクラブシャフトモデル42は各要素内で断面積が一定の真直梁モデルで構成される。要素間では断面積異なってもよい。
モデルが生成され完成するとは、ゴルフクラブシャフトモデル42の要素1〜12の形状を規定する座標値と、グリップモデル46の要素13の形状を規定する座標値と、これらの要素の材料定数と、質点モデル44の質量と重心位置Gの位置情報が1つのファイルに書き込まれてファイルが生成されることをいう。
【0038】
次に、ゴルフクラブモデル40のゴルフスウィングの挙動を算出するためにグリップモデル46に付与する境界条件が設定される(ステップ104)。
具体的には、メモリ24には、図4に示す方法によって得られたグリップ部36の3次元位置座標とグリップ部36の向きの時系列データが複数種類ファイル別に記録保持されているので、この中から所望の時系列データのファイルが呼び出される。
なお、時系列データは、初級者、中級者および上級者等のゴルファの種類別のデータ、ヘッドスピードの高低別のデータ、コックを主に利用したゴルフスウィングあるいはボディターンを主に利用したゴルフスウィング等のタイプ別のデータが記録保持されている。あるいは、図4に示す測定装置52でゴルファGのゴルフスウィングを計測することによって得られたゴルファG自身のデータであってもよい。
【0039】
次に、ゴルフクラブシャフトを最適化するための最適化条件の設定が行われる(ステップ106)。最適化条件は、マウスやキーボード等の操作系を用いてなされた入力に応じて設定される。
具体的には、変更すべき設計パラメータの値の許容範囲が設定され、後述するステップ108〜ステップ114を繰り返し行う繰り返し回数が設定される。例えば、変更すべき設計パラメータが補強層の補強繊維の配向角度の場合、この配向角度の許容される範囲が設定される。
さらに、変更すべき設計パラメータの値の許容範囲内の割り付けが行われる。割り付けとは、ゴルフクラブモデル40を変更して最適なゴルフクラブの設計案を見いだすために、変更すべき設計パラメータの値を予め定められた方法によって種々設定することをいう。
【0040】
変更すべき設計パラメータの設定によっては、例えば、補強層における補強繊維の配向角度が変更すべき設計パラメータとして設定された場合、補強繊維の配向角度をゴルフクラブシャフトの長さ方向に分布を持たせることができ、ゴルフクラブシャフト42の要素1〜12で上記配向角度を変えることができる。この場合、上述したように、図3に示したように、古典積層理論を用いてゴルフクラブシャフトのヤング率および断面2次モーメントを算出することができ、ゴルフクラブシャフトモデル42の各要素の真直梁モデルの材料定数を、曲げ剛性EIによって等価的に置き換えることができる。
図7は、ゴルフクラブシャフトモデル42に対応する各要素の位置をx方向にとり、変更すべき設計パラメータの許容範囲の値を等価的に置き換えた曲げ剛性EIの値をy方向にとり、各要素における曲げ剛性EIの値を割り付けた組を、n組(ケース1〜n:nは自然数)生成することを示している。
曲げ剛性EIの値の割り付けは、例えば実験計画法に基づく割り付け方法や直交表に基づく割り付け方法やラテンハイパーキューブ法等のランダムな割り付け方法等によって行われ、割り付け方法は特に制限されない。
【0041】
さらに、制約条件、評価関数の設定および最適条件の設定が行われる。
制約条件は、最適設計案を見いだす際に、満足すべき条件をいう。ゴルフクラブシャフトの場合、硬さが適切であるとゴルファが感ずる硬さの範囲が存在し、この硬さを最も良く代表するゴルフクラブシャフト32の1次固有振動数、より正確には、グリップ部36を固定端とした時のゴルフクラブシャフト32の1次固有振動数が所定の範囲に含まれるように、ゴルフクラブシャフトモデル42に制約条件を課する。
評価関数については、スウィング解析で算出されたインパクト時の質点モデル44のスウィング速度を算出する関数を設定する。最適条件としては、評価関数の値が最大となること、最小となること、所定値以上となること、所定値以下となること、あるいは、所定の範囲にあることである。例えば、ヘッドスピードが所定値以上となることを最適条件とする。
【0042】
次に、設計パラメータの割り付け値に基づいて、解析可能とするゴルフクラブモデル40が生成され、固有値解析およびスウィング解析が実行される(ステップ108)。
すなわち、固有値演算部16において固有値解析が行われ、ゴルフクラブモデル40のグリップモデル46を固定した時の固有振動数が算出される。
図8には、ゴルフクラブモデル40のグリップモデル46を固定したときの1次固有振動数における変形形態の一例を示している。
一方、スウィング解析演算部18においてステップ104で設定された境界条件がゴルフクラブモデル40に付与されてスウィング解析が行われ、ゴルフクラブモデル40の挙動が算出される。図9には、スウィング解析の結果である、ゴルフスウィング時のゴルフクラブモデル40の変形挙動の一例を示している。図9に示すように、ゴルフスウィング時におけるダウンスウィングからインパクトにかけて、ゴルフクラブシャフトモデル42は変形する。従って、ゴルフクラブヘッド34に対応する質点モデル44のインパクト時におけるスウィング速度(ヘッドスピード)もゴルフクラブシャフトモデル42の変形の程度や変形の仕方に従って変わる。
これより、インパクト時のヘッドスピードを可能な限り高くするようなゴルフクラブは最適なゴルフクラブの一例といえる。
【0043】
このような解析結果から、1次固有振動数およびヘッドスピードが算出される(ステップ110)。
次に、上述の割り付け値に基づいて設定されたすべてのケースについて固有値解析およびスウィング解析が行われ、1次固有振動数およびヘッドスピードが算出されたか判別される(ステップ112)。すなわち、ケース1〜nについて、ステップ108およびステップ110が実行されたか判別される。この判別において否定された場合、ケース番号が変更されて(ステップ114)、実行されていないケースの固有値解析およびスウィング解析が実行される。
このようにして、ステップ106で設定されたすべてのケースについて固有値解析とスウィング解析が行われる。
【0044】
次に、算出された1次固有振動数およびヘッドスピードが、ヘッドスピードの大きい順番にモニタ26に出力され、最適化の結果が出力される(ステップ116)。
その際、算出された1次固有振動数およびヘッドスピードの算出値から、変更すべき設計パラメータを変数とするヘッドスピードおよび1次固有振動数の応答曲面が求められ、この応答曲面から1次固有振動数の制約条件を満足しつつヘッドスピードが最適条件を満たす設計パラメータの値を求めることによって、最適解が算出されてもよい。なお、応答曲面の替わりに、ヘッドスピードに対する変更すべき設計パラメータの値の寄与度や感度が求められ、この寄与度や感度を用いて、最適解が算出されてもよい。
【0045】
次に、1次固有振動数が制約条件を満足しつつ、ヘッドスピードが最適条件を満たすものが存在するか判別される(ステップ118)。
最適条件を満たすものが存在しない場合、ステップ106に戻り、変更すべき設計パラメータの割り付けが再度行われ、ステップ106〜ステップ114が繰り返し行われる。
最適条件を満たすものが存在すると判別されると、最適設計案が求められ、出力される(ステップ120)。
最適条件を満たす設計パラメータの値は、上述したように、ゴルフクラブシャフトの曲げ剛性EIを表したものであるため、図3に示すように、古典積層理論を解して、補強繊維の配向角度等の変更すべき設計パラメータの値に戻すことができる。
こうして、変更すべき設計パラメータに戻された最適条件を満たす値とそれ以外の基準案の設計パラメータの値とがまとめられて、最適設計案の仕様として出力される。出力された最適設計案は、ゴルフクラブシャフトの仕様として設計され、実際に製造される。
【0046】
なお、本発明においては、変更すべき設計パラメータは1つに限られず、複数の設計パラメータを変更すべき設計パラメータとして同時に取り扱ってもよい。
また、変更すべき設計パラメータの割り付けは、上記実験計画法や品質工学手法に基づく割り付け方法や直交表に基づく割り付け方法やランダムな割り付け方法を用いて、制約条件を満足しつつヘッドスピードが最適条件を満たす設計パラメータの値を求める方法の他に、遺伝的アルゴリズム(GA)の手法や焼きなまし法(SA)法を用いた割り付けを行ってもよく、最適化のための割り付け方法には特に限定されない。
さらに、上記例では、曲げ剛性EIを中間パラメータとし、ヘッドスピードを評価関数、1次固有振動数を制約条件として最適解を算出するものであったが、本発明ではこれに限定されない。例えば、ゴルフボールを打撃した時のゴルフクラブの打撃振動のピーク値や打撃力等を評価関数とし、ゴルフクラブシャフトのねじり剛性を中間パラメータとして用いてもよい。曲げ剛性EIおよびねじり剛性の双方を中間パラメータとして用いてもよい。
【0047】
図10(a)および(b)は、図2(b)に示すゴルフクラブモデル40を作成して、図6に示すステップ110で得られた1次固有振動数とヘッドスピードを算出したときのケース毎の変動の一例を示すグラフである。このグラフは、モニタ26に表示され、ステップ108〜ステップ114を繰り返し行った時の1次固有振動数およびヘッドスピードの算出結果がケース番号に従ってグラフに逐次プロットされる。
この例では、基準案における変更すべき設計パラメータの値から定まる曲げ剛性EIのゴルフクラブシャフトの長さ方向の分布に対して、曲げ剛性EIの分布を500ケースに割り付けながら、1次固有振動数の下限を3.66Hz、上限を4.66Hzとする制約条件を設定し、スウィングスピードの遅いゴルファによるゴルフスウィング(低速スウィング)の時系列データをグリップモデル46における境界条件としてゴルフクラブモデル40に与えたものである。
評価関数は、質点モデル44における重心位置Gにおけるインパクト時のスウィング速度(ヘッドスピード)とし、最適条件は、このヘッドスピードが40m/秒以上であることとした。
図10(b)によると、多数のケースで最適条件を満たしている。
【0048】
図11(a)、(b)は、最適条件を満たす最適解を2つ(ケースkおよびケースk(k,kは1以上n以下の自然数))取り出し、このときの曲げ剛性EIの分布をそれぞれ、基準案の曲げ剛性EIの分布と対比して表示している。なお、ケースkは、500ケースのうち、ヘッドスピードが最大となるものである。
このように低速スウィングにおける時系列データをグリップモデル46における境界条件としてゴルフクラブモデル40に与えたときのゴルフクラブシャフトの最適な曲げ剛性の分布を定めることができる。
図12には、1次固有振動数と低速スウィングにおけるヘッドスピードの値がプロットされている。図12から判るように、基準案に対してケースkおよびケースkの最適解はともに1次固有振動数が制約条件を満たしつつ、ヘッドスピードが40(m/秒)以上となり、基準案におけるヘッドスピード38(m/秒)に対して2〜4(m/秒)上昇していることがわかる。
このようにして求められた曲げ剛性EIの分布は、古典積層理論を用いて、最適解における変更すべき設計パラメータの値を算出し最適設計案を出力することができる。
【0049】
このようにして出力された最適設計案に基づいて、実際にゴルフクラブを設計し作製した。
ケースk、kの最適解から定められた低速スウィングでの最適設計案に基づいて作製されたゴルフクラブは、基準案のゴルフクラブに対して高いヘッドスピードを実現した。
【0050】
また、図12は、また、スウィング解析における境界条件として、ヘッドスピードが速いゴルファによるゴルフスウィング(高速スウィング)の時系列データをゴルフクラブモデル40に与えたときの最適解のヘッドスピードを示している。これによると基準案に対してヘッドスピードが1〜2(m/秒)上昇することがわかる。このときの曲げ剛性EIの分布は、図11(c)に示す分布を示し、図11(a)に示す低速スウィングにおける最適解(ケースk)の曲げ剛性EIの分布および図11(b)に示す最適解(ケースk)の曲げ剛性EIの分布のいずれとも異なることがわかる。
一方、高速スウィングの最適設計案に基づいてゴルフクラブを作製し、このゴルフクラブを実際にスウィングしてヘッドスピードを計測した。計測の結果、作製されたゴルフクラブは基準案のゴルフクラブに対して高いヘッドスピードを実現した。
【0051】
このような最適解における曲げ剛性EIの分布は、グリップ部36の3次元位置座標とグリップ部36の向きの時系列データを設定してグリップモデル46に境界条件として与えて求めることができるので、ヘッドスピードの高低別の時系列データの他、初級者、中級者および上級者等のゴルファの種類別の時系列データや、コックを主に利用したゴルフスウィングあるいはボディターンを主に利用したゴルフスウィング等のタイプ別の時系列データを境界条件とする場合でも、それぞれにおいて最適解を求めることができる。
また、ゴルファGのゴルフスウィングを測定装置52により計測して得られたグリップ部36の位置と向きの時系列データを用いて、このゴルファGのゴルフスウィングに最適なゴルフクラブシャフトの仕様を算出することもできる。
【0052】
本発明では、変更すべき設計パラメータの値の許容範囲内でゴルフクラブモデルに与える変更すべき設計パラメータの値を繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成されるゴルフクラブモデルについてスウィング解析を自動的に実行するので、最適化のための条件を設定するだけで、変更すべき設計パラメータの値の許容範囲内でゴルフクラブモデルにおける最適解を見いだして、ゴルフクラブシャフトの最適設計案を算出することができる。従って、従来、解析の度にゴルフクラブモデルを修正していた手間を軽減することができ、迅速に最適設計案を算出することができる。
また、最適化のために、実験計画法や品質工学手法に基づく割り付け方法や直交表に基づく割り付け方法やランダムな割り付け方法を用いて、また、遺伝的アルゴリズム(GA)の手法や焼きなまし法(SA)を用いて割り付けを行うので、また、これらの手法を複数組み合わせるので、最適解の探索状況を視覚的にあるいは数値的に確認することができる。
【0053】
以上、本発明のゴルフクラブシャフト設計方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0054】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、変更すべき設計パラメータの値の許容範囲内でゴルフクラブモデルに与える変更すべき設計パラメータの値を変更し、変更の度にこの変更によって生成されるゴルフクラブモデルについてスウィング解析を自動的に実行するので、ゴルフクラブシャフトにおける変更すべき設計パラメータの最適値を効率よく見出して、ゴルフクラブシャフトを設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴルフクラブシャフトの設計方法を実施するゴルフクラブ設計装置の構成を示した概略構成図である。
【図2】(a)は、ゴルフクラブを示す図であり、(b)および(c)は、本発明におけるゴルフクラブモデルの一例を示す図である。
【図3】本発明における設計パラメータと中間パラメータとの関係を説明する図である。
【図4】本発明におけるゴルフクラブモデルに付与する時系列データの取得方法を説明する図である。
【図5】本発明におけるゴルフクラブモデルに付与する時系列データの一例を説明する図である。
【図6】本発明のゴルフクラブシャフトの設計方法の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明において行われる設計パラメータの値の割り付けを説明する図である。
【図8】本発明において行われる固有値解析における結果の一例を説明する図である。
【図9】本発明において行われるスウィング解析における結果の一例を説明する図である。
【図10】(a)および(b)は、本発明において得られる解析結果の例を示す図である。
【図11】(a)〜(c)は、本発明において得られる最適解の例における曲げ剛性の分布の相違を示す図である。
【図12】本発明において得られる最適解を説明する図である。
【符号の説明】
10 ゴルフクラブ設計装置
12 最適化制御部
14 モデル生成部
16 固有値演算部
18 スウィング解析演算部
20 評価部
22 CPU
24 メモリ
26 モニタ
30 ゴルフクラブ
32 ゴルフクラブシャフト
34 ゴルフクラブヘッド
36 グリップ部
40 ゴルフクラブモデル
42 ゴルフクラブシャフトモデル
44 質点モデル
46 グリップモデル

Claims (7)

  1. 所定のゴルフクラブシャフトを基準にしてゴルフクラブシャフトを最適化するゴルフクラブシャフトの設計方法であって、
    最適化のために前記所定のゴルフクラブシャフトにおける変更すべき設計パラメータを設定し、この設計パラメータを変数としてゴルフクラブシャフトを再現したゴルフクラブシャフトモデルを備えたゴルフクラブモデルを生成するモデル生成ステップと、
    ゴルフクラブシャフトの最適化のための前記設計パラメータの値の許容範囲と、この最適化のための評価関数と、この最適化のための最適条件とを少なくとも設定する条件設定ステップと、
    前記設計パラメータの値を与えて生成されるゴルフクラブモデルに所定の境界条件を与えたときの前記ゴルフクラブモデルの挙動を算出し、この算出結果から前記評価関数を用いて評価値を求める演算・評価ステップと、
    前記ゴルフクラブモデルに与える前記設計パラメータの値を前記許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成されるゴルフクラブモデルについて前記演算・評価ステップを実行する繰り返しステップと、
    この繰り返しステップによって求められた複数の評価値に基づいて、前記評価関数の値が前記最適条件を満たすときの前記設計パラメータの値を求める最適化ステップと、を有するゴルフクラブシャフトの設計方法。
  2. 前記ゴルフクラブシャフトモデルは、有限要素で離散化された有限要素モデルである請求項1に記載のゴルフクラブシャフトの設計方法。
  3. 前記有限要素は、曲げ剛性を有する梁要素であって、
    前記ゴルフクラブシャフトモデルは、前記梁要素毎に曲げ剛性が設定されて、ゴルフシャフトクラブモデルの長さ方向に曲げ剛性の分布を有する請求項2に記載のゴルフクラブシャフトの設計方法。
  4. 前記演算・評価ステップにおいて、ゴルフクラブを把持してゴルファによりゴルフスウィングが行われた時の、ゴルフクラブのグリップ部の位置および向きを表した3次元時系列データを、前記境界条件として前記ゴルフクラブシャフトモデルに与える請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフトの設計方法。
  5. 前記演算・評価ステップにおいて、さらに、前記境界条件として、前記ゴルフクラブシャフトモデルの一端を固定して前記ゴルフクラブシャフトの変形による固有振動数を算出し、
    前記最適化ステップにおいて、前記固有振動数の制約条件下、前記最適条件を満たすときの前記設計パラメータの値を求める請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフトの設計方法。
  6. 前記評価関数は、前記ゴルフクラブモデルにおける前記ゴルフクラブヘッドモデルのヘッドスピードであり、
    前記最適条件は、変更すべき前記設計パラメータの値の前記許容範囲内で、前記ヘッドスピードを最大とすることあるいは所定値以上とすることである請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフトの設計方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフトの設計方法を用いてゴルフクラブシャフトを製造することを特徴とするゴルフクラブシャフトの製造方法。
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