JP2004008094A - 核酸抽出法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】核酸を抽出すべき生物材料を、キレート試薬を含む溶液中で微粒子と攪拌することにより核酸を抽出する方法。例えば、前記キレート試薬としては、EDTA又はEDTAに類似の試薬から選ばれる。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸を用いて各種の操作を行う場合の試料となる核酸を得るための核酸抽出法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウィルス、細菌、真菌、原虫、植物、動物などの生物材料から核酸を抽出する一般的な方法として、リゾチームなどの酵素により細胞壁を分解し、溶液中に抽出する方法や、プロテネースなどの酵素によりタンパク質を分解し細胞を破壊し、溶液中に抽出する方法などが用いられている。溶液中に抽出された核酸はフェノール・クロロホルムによる夾雑物の変性と除去、及びエタノール沈殿法などによる濃縮精製がなされる。
【0003】
しかし、上記の酵素処理による核酸抽出は、熟練した技術が要求されるものであり、また、時間もかかるため処理効率が悪いという問題がある。特に、この方法を、マイコバクテリウム属の細菌や真菌類であるカビの胞子などの細胞壁が堅いものに適用した場合は、菌体が壊れないために、核酸の抽出効率が極端に悪い。たとえば、菌体の破壊が難しいマイコバクテリウム属の細菌から核酸を抽出するために、Varyらの論文(J. Clin. Microbiol., 28(5), 933−937, (1990))に記載された方法では、3種類の酵素で計48時間におよぶ処理を行っている。
【0004】
そこで、細胞壁が堅く、菌体破壊が難しいという問題を克服するために、フェノールと微粒子を用いて激しく撹拌する方法が知られている。例えば、Giessenらの論文(J. Med. Microbiol., 36(1992), 255−263)では、マイコバクテリウム属の細菌を含む検体を、TE Buffer(10mM Tris−HCl、1mM EDTA)及びフェノール中で酸化ジルコニウムの微粒子と共に激しく攪拌することで菌体を破壊するという工夫をしている。また、アメリカ特許4,918,178号明細書にも同様の記載がある。
【0005】
しかし、この方法では核酸抽出の効率は良くなる反面、フェノールという非常に有害性の高い試薬を用いることや、攪拌操作中にフェノールが実験室環境を汚染するという問題などがあり、実用性は低い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、核酸を抽出すべき生物材料から簡単かつ効率よく、しかも有害性の高い試薬を用いずに核酸を抽出することができる方法を提供することにある。とくに本発明の目的は、細胞を破壊することが難しく、従来核酸を抽出するために特別の操作が必要となっていた生物材料、特にマイコバクテリウム属の細菌から、簡単かつ効率よく、しかも有害性の高い試薬を用いずに核酸を抽出することができる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、生物材料をキレート試薬を含む溶液中で微粒子と激しく攪拌することで、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、核酸を抽出すべき生物材料を、微粒子の存在下、キレート試薬を含む溶液中で攪拌することを特徴とする核酸抽出法である。
【0009】
本発明は、前記キレート試薬は、ポリアミノカルボン酸及びその塩からなる群から選ばれる、前記の核酸抽出法である。
【0010】
本発明は、前記キレート試薬は、EDTA又はEDTAに類似の試薬からなる群から選ばれる、前記の核酸抽出法である。
【0011】
本発明は、前記キレート試薬は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、O,O’−ビス(2−アミノフェニルエチレングリコール)エチレンジアミン四酢酸(BAPTA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、トランスー1,2−ジアミノシクロヘキサン−エチレンジアミン四酢酸(CyDTA)、1,3−ジアミノー2−ヒドロキシプロパン−エチレンジアミン四酢酸(DPTA−OH)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二プロパン酸塩酸塩(EDDP)、エチレンジアミン二メチレンホスホン酸1水和物(EDDPO)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸(EDTPO)、O,O’−ビス(2−アミノエチル)エチレングリコール四酢酸(EGTA)、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸(HBED)、1,6−ヘキサメチレンジアミン四酢酸(HDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、イミノ二酢酸(IDA)、1,2−ジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ニトリロ三プロパン酸(NTP)、ニトリロ三メチレンホスホン酸三ナトリウム塩(NTPO)、エチレンジアミン四(2−ピリジルメチル)(TPEN)及びトリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)からなる群から選ばれる、前記の核酸抽出法である。
【0012】
本発明は、前記溶液中における前記キレート試薬の濃度が5mM〜500mM、好ましくは10mM〜250mMであることを特徴とする、前記の核酸抽出法である。
【0013】
本発明は、フェノールを用いないことを特徴とする、前記の核酸抽出法である。
【0014】
本発明は、前記生物材料がウイルス、細菌、真菌、原虫、植物又は動物である、前記の核酸抽出法である。
本発明は、細菌がマイコバクテリウム属に属するものである、前記の核酸抽出法である。
本発明は、マイコバクテリウム属の細菌が、結核菌、非定型抗酸菌、癩菌、ヨーネ病菌、クローン病菌である、前記の核酸抽出法である。
【0015】
本発明は、前記生物材料が、生物の組織、体液、分泌物、排泄物などの生物試料、又は土、水、空気などの環境試料に含まれる、前記の核酸抽出法である。
本発明は、生物試料が動物の糞、痰又は血液である、前記の核酸抽出法である。
【0016】
本発明において核酸とは、DNA、RNAの両方を意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明においては、生物材料を、微粒子の存在下、キレート試薬を含む溶液中で激しく撹拌することにより、溶液中に核酸を抽出する。
【0018】
本発明において使用する生物材料は、ウイルス、細菌、真菌、原虫、植物、動物などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明は、特に細胞の破壊が難しい真菌、マイコバクテリウム属の細菌などの生物材料に有用である。マイコバクテリウム属の細菌としては、結核菌、非定型抗酸菌、癩菌、ヨーネ菌(Micobacterium paratuberculosis)、クローン菌などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
これらの生物材料を含む試料としては、例えば、動物及び植物の生体組織、家畜や人などに由来する糞、痰、血液などの生物試料、土、水、空気などの環境試料などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本発明において用いるキレート試薬は、EDTA又はEDTAに類似したポリアミノカルボン酸を用いると良い。具体的には、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediamnie−N,N,N’,N’−tetraacetic acid;EDTA)、O,O’−ビス(2−アミノフェニルエチレングリコール)エチレンジアミン四酢酸(O,O’−Bis(2−aminophenyl)ethyleneglycol−N,N,N’,N’−tetraacetic acid;BAPTA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(N,N−Bis(2−hydroxyethyl)glycine;Bicine)、トランスー1,2−ジアミノシクロヘキサン−エチレンジアミン四酢酸(trans−1,2−Diaminocyclohexane−N,N,N’,N’−tetraacetic acid;CyDTA)、1,3−ジアミノー2−ヒドロキシプロパン−エチレンジアミン四酢酸(1,3−Diamino−2−hydroxypropane−N,N,N’,N’−tetraacetic acid;DPTA−OH)、ジエチレントリアミン五酢酸(Diethylenetriamine−N,N,N’,N”,N”−pentaacetic acid;DTPA)、エチレンジアミン二プロパン酸塩酸塩(Ethylenediamine−N,N’−dipropionic acid,dihydrochloride;EDDP)、エチレンジアミン二メチレンホスホン酸1水和物(Ethylenediamine−N,N’−bis(methylenephosphonic acid),hemihydrate;EDDPO)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(N−(2−Hydroxyethyl)ethylenediamine−N,N’,N’’−triacetic acid;EDTA−OH)、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸(Ethylenediamine−N,N,N’,N’−tetrakis(methylenephosphonic acid);EDTPO)、O,O’−ビス(2−アミノエチル)エチレングリコール四酢酸(O,O’−Bis(2−aminoethyl)ethyleneglycol−N,N,N’,N’−tetraacetic acid;EGTA)、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸(N,N’−Bis(2−hydroxybenzyl)ethylenediamine−N,N’−diacetic acid;HBED)、1,6−ヘキサメチレンジアミン四酢酸(1,6−Hexamethylenediamine−N,N,N’,N’−tetraacetic acid;HDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(N−(2−Hydroxyethyl)iminodiacetic acid;HIDA)、イミノ二酢酸(Iminodiacetic acid;IDA)、1,2−ジアミノプロパン四酢酸(1,2−Diaminopropane−N,N,N’,N’−tetraacetic acid;Methyl−EDTA)、ニトリロ三酢酸(Nitrilotriacetic acid;NTA)、ニトリロ三プロパン酸(Nitrilotripropionic acid;NTP)、ニトリロ三メチレンホスホン酸三ナトリウム塩(Nitrilotris(methylenephosphonic acid),trisodium salt;NTPO)、エチレンジアミン四(2−ピリジルメチル)(N,N,N’,N’−Tetrakis(2−pyridylmethyl)ethylenediamine;TPEN)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(Triethylenetetramine−N,N,N’,N”,N”,N”−hexaacetic acid;TTHA)などが挙げられる。これらのキレート試薬は、単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0021】
細胞壁がその構造を維持する要因のひとつとして、カルシウムイオンの存在がある。これらキレート試薬はカルシウムイオンに配位しやすいものである。これらキレート試薬は、細胞壁のカルシウムイオンに配位し、細胞壁の構造を変成させることによりその構造を維持できない状態にし、細胞壁を破壊しやすくすると考えられる。
【0022】
本発明において溶液中のキレート試薬は、例えば5mM〜250mM、好ましくは10mM〜250mMの濃度で用いると良い。キレート試薬の濃度が5mM未満では細胞の破壊効率が低くなる傾向にあり、500mMより濃度が高いと、細胞破壊後の核酸精製や脱塩処理の過程で付加的な処理が必要になる場合がある。
【0023】
本発明は、キレート試薬を用いて、細胞を破壊するために従来のフェノールなどの他の変成剤を用いなくとも良いのが特徴であり、このことがより簡便で安全な核酸抽出を可能としている。
【0024】
また本発明では、細胞の破壊効率を上げるため、微粒子を加えて激しく攪拌する。この時に用いる微粒子は、通常、細胞懸濁液に対し生物学的に関与しないガラスビーズや酸化ジルコニウムの微粒子などが用いられる。通常、微粒子としては比重が2.0以上、例えば2.3〜6.3で、直径が0.01mm〜0.9mmのものが用いられるが、これに限定されない。直径1mm以上だと、細胞の破壊効率が悪くなる傾向にある。
【0025】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0026】
[実験例1]
生物材料として、マイコバクテリア属の菌であり、ヨーネ病の原因菌であるMicobacterium paratuberculosis(以下ヨーネ菌と略す)を含むヨーネ病に感染した牛に由来する糞便を用いた。
まず、ヨーネ菌感染牛に由来の糞便1gを蒸留水10mLに懸濁し、5分放置した後、上清5mLを回収し遠心してヨーネ菌を含む糞便ペレットを得た。糞便ペレットを得るための一連の操作を、4回繰り返して4つの糞便ペレットを得た。
【0027】
次に、得られた各糞便ペレットに、以下に示す核酸抽出溶液を加え、更に直径0.1mmのガラスビーズ(比重:2.5)800mgを加え、BIOSPEC社のMINI−BEADBEATERを用いて攪拌(5,000rpm、3min)した。MINI−BEADBEATERによる攪拌の後、遠心して上清500μLを回収し、一般的な精製及び脱塩濃縮法であるフェノール・クロロホルム処理及びエタノール沈殿を行って、核酸ペレットを得た。
【0028】
(核酸抽出溶液)
[実験例A] TE buffer(10mM Tris−HCl、1mM EDTA)750μL、フェノール
[実験例B] TE buffer(10mM Tris−HCl、1mM EDTA)750μL
[実験例C] Tris buffer(10mM Tris−HCl)750μL、フェノール 750μL
[実験例D] Tris buffer(10mM Tris−HCl)750μL
【0029】
上記実験例A〜Dで得られた各核酸ペレットを蒸留水50μLに溶解し、更に蒸留水を用いてペレット溶解液の2倍段階稀釈系列を調製した。得られた核酸の稀釈系列それぞれに、ヨーネ菌に特異的な遺伝子であるIS900の一部の領域を増幅するためのプライマー[塩基配列がGATCGGAACGTCGGCTGGTCAGGのもの(配列番号1)及びACGACGACGCGCAGCGATTGCTCTのもの(配列番号2)]、Taqポリメラーゼ酵素、dNTP及び緩衝溶液を添加し、97℃−30秒、65℃−30秒、72℃−30秒、40サイクルの温度条件でPCR反応を行った。
【0030】
PCR反応の後、アガロースゲル電気泳動、エチジウム染色、トランスイルミネータによる写真撮影の手順で反応産物を検出し、上記実験例A〜Dの抽出効率の違いを検討した。
【0031】
上記実験例A〜Dによる反応産物の検出結果をそれぞれ図1〜図4に示した。この実験で使用したPCRプライマーでは、IS900遺伝子が存在すれば362塩基対(bp)の反応産物が得られる。レーン1(左端)は核酸ペレット溶解液50μLの内の25μLを、レーン2は12.5μL、レーン3は6.3μL、レーン4は3.1μL、レーン5は1.6μL、レーン6は0.8μL、レーン7は0.4μL、レーン8は0.2μL含んでいる。なお、レーンMは分子量マーカーでΦx174 DNAを制限酵素HincIIを用いて消化したものである。より少量の試料しか含まない右側のレーンまで反応産物が検出されている場合ほど抽出効率が良い。
【0032】
実験例A及び実験例Cにおいては有害なフェノールを用いたため、それぞれレーン5まで(図1)、レーン6まで(図3)反応産物が検出されており、抽出効率が良かった。実験例Bにおいては、用いたEDTAの濃度が1mMと低いため核酸抽出にEDTAの効果はなく、レーン1に微弱なバンドが検出されたのみであった(図2)。実験例Dにおいては、フェノールもEDTAも用いなかったため、レーン2に微弱なバンドが検出されたのみであり、抽出効率は悪かった(図4)。
【0033】
[実験例2]
まず、実験例1の場合と同様の操作で、3つのヨーネ菌を含む糞便ペレットを得た。次に、得られた各糞便ペレットに、以下に示す核酸抽出溶液を加え、更に直径0.1mmのガラスビーズ(比重:2.5)800mgを加え、BIOSPEC社のMINI−BEADBEATERを用いて攪拌(5,000rpm、3min)した。実験例2においてはフェノールなどの変成剤はいっさい用いなかった。MINI−BEADBEATERによる攪拌の後、遠心して上清500μLを回収し、一般的な精製及び脱塩濃縮法であるフェノール・クロロホルム処理及びエタノール沈殿を行って、核酸ペレットを得た。
【0034】
(核酸抽出溶液)
[実験例E] 溶液E(10mM Tris−HCl、5mM EDTA)750μL
[実施例F] 溶液F(10mM Tris−HCl、10mM EDTA)750μL
[実施例G] 溶液G(10mM Tris−HCl、100mM EDTA)750μL
【0035】
得られた核酸ペレットを実験例1の場合と同様の方法で段階希釈、PCR反応、アガロースゲル電気泳動、エチジウム染色、トランスイルミネータによる写真撮影の手順で処理し、E〜Gの場合の抽出効率の違いを検討した。
【0036】
E〜Gの場合の反応産物の検出結果をそれぞれ図5〜図7に示した。抽出時の溶液にEDTAを5mM用いた実験例Eにおいてはレーン5まで(図5)、EDTAを10mM用いた実験例Fはレーン6まで(図6)、EDTAを100mM用いた実験例Gにおいてはレーン8まで(図7)反応産物が検出されており、EDTAの濃度が高くなるほど抽出効率が高いという結果が得られた。
【0037】
[実験例3]
まず、実験例1の場合と同様の操作で、2つのヨーネ菌を含む糞便ペレットを得た。次に、得られた各糞便ペレットに、以下に示す核酸抽出溶液を加え、更に直径0.1mmのガラスビーズ(比重:2.5)800mgを加え、BIOSPEC社のMINI−BEADBEATERを用いて攪拌(5,000rpm、3min)した。実験例3においてもフェノールなどの変成剤はいっさい用いなかった。MINI−BEADBEATERによる攪拌の後、遠心して上清500μLを回収し、一般的な精製及び脱塩濃縮法であるフェノール・クロロホルム処理及びエタノール沈殿を行って、核酸ペレットを得た。
【0038】
(核酸抽出溶液)
[実施例H] 溶液H(10mM Tris−HCl、100mM CyDTA)750μL
[実施例I] 溶液I(10mM Tris−HCl、100mM EGTA)750μL
【0039】
得られた核酸ペレットを実験例1の場合と同様の方法で段階希釈、PCR反応、アガロースゲル電気泳動、エチジウム染色、トランスイルミネータによる写真撮影の手順で処理し、H及びIの場合の抽出効率の違いを検討した。
【0040】
H及びIの場合の反応産物の検出結果をそれぞれ図8及び図9に示した。抽出時の溶液にCyDTAを用いた実施例Hにおいてはレーン7まで(図8)、EGTAを用いた実施例Iにおいてはレーン5まで(図9)反応産物が検出されており、これらEDTAに類似のポリアミノカルボン酸もEDTAと同様の高い抽出効率を示した。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、核酸を抽出すべき生物材料から、有害な試薬を用いずとも効率よく核酸を抽出することができる。特に、マイコバクテリウム属の細菌などの、細胞を破壊することが難しく、核酸を抽出するために特別の操作が必要であった生物材料から、有害な試薬を用いずとも効率よく核酸を抽出することができる。
【配列表】
<110>shimadzu corp.
<120>method for extracting nucleic acids
<130>K1020283
<160>2
<210>1
<211>23
<212>DNA
<213>Artificial Sequence
<400>1
gatcggaacgtcggctggtcagg
<210>2
<211>24
<212>DNA
<213>Artificial Sequence
<400>2
acgacgacgcgcagcgattgctct
【図面の簡単な説明】
【図1】核酸抽出溶液としてTE bufferとフェノールとを用いた場合のPCR反応産物の、アガロースゲル電気泳動による検出結果である。
【図2】核酸抽出溶液としてTE bufferを用いた場合のPCR反応産物の、アガロースゲル電気泳動による検出結果である。
【図3】核酸抽出溶液としてTris bufferとフェノールとを用いた場合のPCR反応産物の、アガロースゲル電気泳動による検出結果である。
【図4】核酸抽出溶液としてTris bufferを用いた場合のPCR反応産物の、アガロースゲル電気泳動による検出結果である。
【図5】核酸抽出溶液として溶液E(10mM Tris−HCl、5mMEDTA)を用いた場合のPCR反応産物の、アガロースゲル電気泳動による検出結果である。
【図6】核酸抽出溶液として溶液F(10mM Tris−HCl、10mM EDTA)を用いた場合のPCR反応産物の、アガロースゲル電気泳動による検出結果である。
【図7】核酸抽出溶液として溶液G(10mM Tris−HCl、100mM EDTA)を用いた場合のPCR反応産物の、アガロースゲル電気泳動による検出結果である。
【図8】核酸抽出溶液として溶液H(10mM Tris−HCl、100mM CyDTA)を用いた場合のPCR反応産物の、アガロースゲル電気泳動による検出結果である。
【図9】核酸抽出溶液として溶液I(10mM Tris−HCl、100mM EGTA)を用いた場合のPCR反応産物の、アガロースゲル電気泳動による検出結果である。
Claims (11)
- 核酸を抽出すべき生物材料を、微粒子の存在下、キレート試薬を含む溶液中で攪拌することを特徴とする核酸抽出法。
- 前記キレート試薬は、ポリアミノカルボン酸及びその塩からなる群から選ばれる、請求項1に記載の核酸抽出法。
- 前記キレート試薬は、EDTA及びEDTAに類似の試薬からなる群から選ばれる、請求項1に記載の核酸抽出法。
- 前記キレート試薬は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、O,O’−ビス(2−アミノフェニルエチレングリコール)エチレンジアミン四酢酸(BAPTA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、トランスー1,2−ジアミノシクロヘキサン−エチレンジアミン四酢酸(CyDTA)、1,3−ジアミノー2−ヒドロキシプロパン−エチレンジアミン四酢酸(DPTA−OH)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二プロパン酸塩酸塩(EDDP)、エチレンジアミン二メチレンホスホン酸1水和物(EDDPO)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸(EDTPO)、O,O’−ビス(2−アミノエチル)エチレングリコール四酢酸(EGTA)、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸(HBED)、1,6−ヘキサメチレンジアミン四酢酸(HDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、イミノ二酢酸(IDA)、1,2−ジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ニトリロ三プロパン酸(NTP)、ニトリロ三メチレンホスホン酸三ナトリウム塩(NTPO)、エチレンジアミン四(2−ピリジルメチル)(TPEN)及びトリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)からなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸抽出法。
- 前記溶液中におけるキレート試薬の濃度が5mM〜500mMである、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の核酸抽出法。
- フェノールを用いないことを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の核酸抽出法。
- 前記生物材料がウイルス、細菌、真菌、原虫、植物又は動物である、請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の核酸抽出法。
- 前記細菌がマイコバクテリウム属に属するものである、請求項7に記載の核酸抽出法。
- 前記マイコバクテリウム属の細菌が、結核菌、非定型抗酸菌、癩菌、ヨーネ病菌又はクローン病菌である、請求項8に記載の核酸抽出法。
- 前記生物材料は、生物の組織、体液、分泌物、排泄物などの生物試料、又は土、水、空気などの環境試料に含まれる、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の核酸抽出法。
- 前記生物試料が動物の糞、痰又は血液である、請求項10に記載の核酸抽出法。
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