JP2004006446A - 半導体集積回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温度モニタ40によってパッケージの温度が基準値を越えたことが検出されると、割込信号EMGがマイクロプロセッサ10へ出力される。これにより、マイクロプロセッサ10からクロックギア機構30内の分周値レジスタ31の分周値Nを増加するような書き替えが行われる。分周回路32では、分周値レジスタ31に設定された分周値Nによって入力クロック信号MCKが1/Nに分周されてシステムクロック信号SCKが生成される。従って、分周値Nの増加によって、システムクロック信号SCKの周波数は低下する。このため、各機能モジュール20iの消費電力が低下してパッケージの温度上昇が抑制され熱暴走を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、半導体集積回路、特にその消費電力制御技術に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
【0004】
図2は、従来の半導体集積回路の一例を示す構成図である。
【0005】
この半導体集積回路は、マイクロプロセッサ(MPU)1、複数の機能モジュール2i(i=1,2,…,n)及びクロックギア機構3を有している。マイクロプロセッサ1は全体の制御を行うもので、各機能モジュール2iはそれぞれ通信制御や画像圧縮等の個々の処理を行うものである。クロックギア機構3は、入力クロック信号MCKの周波数をマイクロプロセッサ1からの制御に基づいて分周し、システムクロック信号SCKを生成するものである。
【0006】
マイクロプロセッサ1と機能モジュール2i及びクロックギア機構3の間は、システムバス4を介して接続されている。一方、クロックギア機構3で生成されたシステムクロック信号SCKは、クロック信号線5を介してマイクロプロセッサ1に与えられるようになっている。また、各機能モジュール2iには、それぞれレジスタ(REG)と論理積ゲート(AND)で構成されるディセーブル機構6iを介して、システムクロック信号SCKが与えられるようになっている。
【0007】
半導体集積回路の消費電力Pw は、一般に次式で表される。
Pw =Σαi・βi・f ・・・(1)
【0008】
ここで、αiは機能モジュール2iの素子が充放電したときの消費電流量、βiは単位時間における機能モジュール2iの素子のトグル率、fは動作周波数である。
【0009】
また、この半導体集積回路の最大消費電力Pwmaxは、パッケージの熱抵抗をRj 、トランジスタのジャンクション限界温度をTjmaxとした場合に、次式を満たすように設計する必要がある。
Pwmax≦Tjmax/Rj ・・・(2)
【0010】
このため、図2のすべての機能モジュール2iを動作させた状態で、その総消費電力がPwmaxを越えないようにシステムクロック信号SCKの周波数fを制限するように、クロックギア機構3の分周値を設定していた。
【0011】
また、各機能モジュール2iが同時動作を必要としない場合には、ディセーブル機構6iによって個別に機能モジュール2iの動作を制御し、必要のない機能モジュールに対してはシステムクロック信号SCKの供給を停止して消費電力を抑制し、その分だけシステムクロック信号SCKの周波数を上げるようにしていた。つまり、(1)式に代えて次式を用い、ある機能モジュール2iの動作周波数fiを下げる代わりに、他の機能モジュール2jの動作周波数fjを上げるなどの手法をとっていた。
Pw =Σαi・βi・fi ・・・(3)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の半導体集積回路では、次のような課題があった。
【0014】
マイクロプロセッサ1によって、式(1),(2)に基づく限界動作周波数fmax を設定したとしても、βiが1に限りなく近くなるためには、一定の時間が必要になる。つまり、βiが1に近付くということは全素子が充放電を繰り返すことであり、そのような動作状態になるには、ある程度の時間が必要になるからである。このため、この一定の時間は、クロック周波数を式(1),(2)に基づく限界動作周波数fmax 以上にしても、トランジスタの温度Tj は、Tj >Tjmaxとはならない。従って、一時的にクロック周波数を限界動作周波数fmax 以上に設定して、処理能力を上昇させることが可能であるにもかかわらず、図2の半導体集積回路では、実際の温度Tj を監視できないため、そのような制御が不可能であった。
【0015】
また、マイクロプロセッサ1のオペレーション・システムで機能モジュール2iの動作を制限していても、ユーザーアプリケーションでは必ずしもそれが守られているとは限らず、許容量を越える機能モジュールを動作させて、半導体集積回路が熱によって暴走するおそれがあった。
【0016】
本発明は、前記従来技術が持っていた課題を解決し、熱暴走を起こさない最適な速度で動作が可能な半導体集積回路を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本発明の内の第1の発明は、半導体集積回路において、それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、前記機能モジュールが形成された基板または該基板の所定領域の温度(以下、単に「基板の温度」という)を検出して基準値と比較し比較結果の検出信号を出力する温度検出手段と、分周値レジスタに設定された分周値に従って入力クロック信号を分周して前記機能モジュールに供給するクロック供給手段と、前記検出信号に基づいて前記分周値レジスタに設定する分周値を制御すると共に、前記複数の機能モジュールを含むシステム全体の制御を行うマイクロプロセッサとを備えている。
【0019】
第2の発明は、第1の発明におけるマイクロプロセッサを、検出信号によって基板の温度が基準値を越えたことが示されたときに、分周値を増加させるように制御するように構成している。
【0020】
第1及び第2の発明によれば、以上のように半導体集積回路を構成したので、次のような作用が行われる。
【0021】
温度検出手段によって基板の温度が基準値と比較され、その比較結果の検出信号が出力される。マイクロプロセッサによって、検出信号に基づいてクロック供給手段の分周値レジスタの分周値が制御される。クロック供給手段では、制御された分周値に従って入力信号が分周され、各機能モジュールに供給される。例えば、基板の温度が基準値を越えると分周値が増加され、機能モジュールに供給されるクロック信号の周波数は低下する。
【0022】
第3の発明は、半導体集積回路において、それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、基板の温度が基準値を越えたときに割込信号を出力する温度検出手段と、通常動作時の分周値が設定される分周値レジスタ及び非常時の分周値が予め設定された非常時分周値レジスタを有し、前記割込信号が与えられていないときは該分周値レジスタに基づき、該割込信号が与えられたときは該非常時分周値レジスタに基づいて、入力クロック信号を分周して前記機能モジュールに供給するクロック供給手段と、前記分周値レジスタに設定する分周値を制御すると共に、前記複数の機能モジュールを含むシステム全体の制御を行うマイクロプロセッサとを備えている。
【0023】
第3の発明によれば、次のような作用が行われる。
【0024】
基板の温度が基準値以下のときは割込信号が出力されず、クロック供給手段では、分周値レジスタに設定された分周値に基づいて入力クロック信号が分周され、各機能モジュール供給される。基板の温度が基準値を越えると割込信号が出力され、クロック供給手段では、非常時分周値レジスタに設定された非常時の分周値に基づいて入力クロック信号が分周され、各機能モジュール供給される。これにより、各機能モジュールに供給されるクロック信号の周波数が低下し、発熱量が低下して基板の温度上昇が抑えられる。
【0025】
第4の発明は、半導体集積回路において、それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、基板の温度が基準値を越えたときに割込信号を出力する温度検出手段と、前記割込信号が与えられたときに前記機能モジュールの動作を停止させる順序を登録したテーブルを有し、該割込信号が与えられているときに一定時間毎に該テーブルに基づいて該機能モジュールに対する動作制御信号を出力する動作制御手段と、前記動作制御信号に従って対応する前記機能モジュールへのクロック信号の出力を制御するクロック制御手段とを備えている。
【0026】
第4の発明によれば、次のような作用が行われる。
【0027】
基板の温度が基準値を越えると、温度検出手段から割込信号が出力され、動作制御手段からテーブルに基づいて機能モジュールに対する動作制御信号が出力される。これによって、クロック制御手段から各機能モジュールに対するクロック信号の出力が制御される。割込信号が連続して出力されると、一定時間毎にテーブルに基づいて動作制御信号が変更され、逐次機能モジュールの動作が停止される。
【0028】
第5の発明は、半導体集積回路において、それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、基板の温度が基準値を越えたときに割込信号を出力する温度検出手段と、前記機能モジュールの動作の優先順位が設定されたテーブルを有し、前記割込信号が与えられているときに第1の時間間隔で該テーブルに基づいて機能モジュールを順次停止させるための動作制御信号を出力し、該割込信号が与えられていないときには第2の時間間隔で該テーブルに基づいて機能モジュールを順次起動させるための動作制御信号を出力する動作制御手段と、前記動作制御信号に従って対応する前記機能モジュールへのクロック信号の出力を制御するクロック制御手段とを備えている。
【0029】
第6の発明は、第4または第5の発明の動作制御手段のテーブルに、機能モジュールの処理内容または消費電力に基づいて動作を停止させる順序を登録するように構成している。
【0030】
第7の発明は、第4または第5の発明の動作制御手段のテーブルに、機能モジュールの消費電力が大きいものから順番に動作を停止させように順序を登録するように構成している。
【0031】
第5〜第7の発明によれば、次のような作用が行われる。
【0032】
基板の温度が基準値を越えると、温度検出手段から割込信号が出力され、テーブルに設定された優先順位に従って、動作制御手段から各機能モジュールに対する動作制御信号が出力される。これによって、クロック制御手段から各機能モジュールに対するクロック信号の出力が制御される。割込信号が連続して与えられると、第1の時間間隔でテーブルに基づいて順次逐次機能モジュールが停止される。また、割込信号が与えられないと、停止されていた機能モジュールが、第2の時間間隔で順次起動される。
【0033】
第8の発明は、半導体集積回路において、それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、基板の温度を検出して基準値と比較し比較結果の検出信号を出力する温度検出手段と、前記検出信号に基づいて分周値を制御し、該制御された分周値に従って入力クロック信号を分周して前記機能モジュールに供給するクロック供給手段とを備えている。
【0034】
第9の発明は、第8の発明のクロック供給手段を、検出信号によって基板の温度が基準値を越えたことが示されたときに、一定の時間間隔で分周値をカウントアップするように制御するように構成している。
【0035】
第10の発明は、第8の発明の温度検出手段を、基板の温度が第1の基準値よりも高いときに第1の検出信号を出力し、該基板の温度がこの第1の基準値より低い第2の基準値よりも低いときに第2の検出信号を出力するように構成している。また、クロック供給手段を、第1の検出信号が与えられたときに一定の時間間隔で分周値をカウントアップし、第2の検出信号が与えられたときには一定の時間間隔で分周値をカウントダウンするように構成している。
【0036】
第8〜第10の発明によれば、次のような作用が行われる。
【0037】
温度検出手段によって基板の温度が検出され、基準値と比較した比較結果の検出信号が出力される。クロック供給手段では、検出信号に基づいて分周値が制御され、この制御された分周値に従って入力クロック信号が分周され、各機能モジュールに供給される。
【0038】
第11の発明は、半導体集積回路において、それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、基板の温度を検出して基準値と比較し比較結果の検出信号を出力する温度検出手段と、前記検出信号に基づいて分周値を増減し、該増減された分周値に従って入力クロック信号を分周して前記機能モジュールに供給するクロック信号を生成するクロック生成手段と、前記機能モジュールの優先順位を設定したテーブルを有し、前記検出信号に従って該テーブルに基づいて該機能モジュールに対する動作制御信号を出力する動作制御手段と、前記動作制御信号に従って前記機能モジュールに対する前記クロック信号の出力を制御するクロック制御手段とを備えている。
【0039】
第11の発明によれば、次のような作用が行われる。
【0040】
温度検出手段によって基板の温度が検出され、基準値と比較した比較結果の検出信号が出力される。クロック生成手段では、検出信号に基づいて分周値が増減され、この分周値に従って入力クロック信号が分周されて各機能モジュールに供給するクロック信号が生成される。一方、動作制御手段では、機能モジュールの優先順位を設定したテーブルに基づいて、各機能モジュールに対する動作制御信号が出力される。クロック制御手段では、動作制御信号に従って各機能モジュール対するクロック信号の出力が制御される。
【0041】
第12の発明では、第1〜第11の発明における基板の所定領域として、複数の機能モジュールの内の特定の機能モジュールまたはマイクロプロセッサを対象とし、その温度を検出するようにしている。
【0042】
【発明の実施の形態】
【0043】
(第1の実施形態)
【0044】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す半導体集積回路の構成図である。
【0045】
この半導体集積回路は、マイクロプロセッサ10、複数の機能モジュール20i(i=1,2,…,n)、クロック供給手段(例えば、クロックギア機構)30、及び温度検出手段(例えば、温度モニタ)40を有している。マイクロプロセッサ10は、複数の機能モジュール20iを含むシステム全体の制御を行うものである。また、各機能モジュール20iは、それぞれLAN等の通信制御や、MPEG方式の画像圧縮符号化等の個々の処理を実行するものである。
【0046】
クロックギア機構30は、入力クロック信号MCKを分周してシステムクロック信号SCKを生成するもので、マイクロプロセッサ10から与えられる分周値Nを記憶する分周値レジスタ31と、この分周値レジスタ31に記憶された分周値Nに基づいて入力クロック信号MCKを1/Nに分周する分周回路32で構成されている。
【0047】
マイクロプロセッサ10と、各機能モジュール20i、クロックギア機構30及び温度モニタ40との間は、システムバス50を介して接続されている。また、クロックギア機構30で生成されたシステムクロック信号SCKは、マイクロプロセッサ10、機能モジュール20i、及び温度モニタ40に与えられるようになっている。
【0048】
図3(a),(b)は、図1中の温度モニタ40の説明図であり、同図(a)はその構成図、及び同図(b)はその温度特性図である。
【0049】
この温度モニタ40は、基板やこの基板の所定領域の温度を検出するために設けられるもので、リング発振器41の発振周波数の温度特性を利用したものである。温度モニタ40は、図3(a)に示すように、リング発振器41とこのリング発振器41の発振信号をカウントするカウンタ42、このカウンタ42のカウント値を保持するデータラッチ43、更にこのデータラッチ43で保持されたカウント値を保持するデータラッチ44を有している。データラッチ43,44のクロック端子には、システムクロック信号SCKが共通に与えられるようになっている。
【0050】
データラッチ43,44の出力側は減算器45に接続され、この減算器45によって、データラッチ43に保持された値とデータラッチ44に保持された値の差分Stjが算出されるようになっている。減算器45の出力側は比較器(CMP)46の一方の入力側に接続され、この比較器46の他方の入力側には基準値Sref が与えられている。比較器47は、差分Stj>基準値Sref のときレベル“L”の信号を出力し、差分Stj≦基準値Sref のときレベル“H”の信号を出力するものである。比較器46の出力側は、割込要求レジスタ47のデータ端子に接続されている。
【0051】
割込要求レジスタ47のクロック端子には、システムクロック信号SCKが与えられ、この割込要求レジスタ47で保持されたデータが、割込信号EMGとしてマイクロプロセッサ10に出力されるようになっている。
【0052】
リング発振器41は奇数個の反転増幅回路をリング状に接続した発振器で、その発振周波数は、各反転増幅回路を構成するトランジスタの動作速度によって定まる。トランジスタの動作速度は、通常の動作温度範囲では接合面の温度Tj が低いほど速く、温度Tj が高くなるに従って遅くなるという特性がある。従って、リング発振器41の発振周波数、即ち減算器45から出力される差分Stjは、図3(b)に示すように、温度Tj の増加に従って低下するという特性を有している。これにより、トランジスタの最大許容温度Tjmaxよりも低い基準温度Tjrefに対応する周波数(差分Stj)を、基準値Sref として設定することにより、トランジスタの温度Tj が基準温度Tjref以上になったときに、マイクロプロセッサ10に割り込みをかけることができる。
【0053】
図4は、図1の動作を示す波形図である。以下、この図4を参照しつつ、図1の動作を説明する。
【0054】
時刻T0における動作開始時、システムクロック信号SCKの周波数fsck は低い周波数fl に設定され、システムの初期化処理等が行われる。
【0055】
時刻T1において、例えばLANを介して、コマンド待ち状態となるような比較的処理能力を必要しない通信タスクが起動されると、マイクロプロセッサ10から、分周値レジスタ31に所定の値が書き込まれる。これにより、システムクロック信号SCKの周波数fsck はfref1に設定され、低速動作モードとなる。システムクロック信号SCKの周波数fsck がfref1に設定されたことにより、消費電力が増加し、半導体集積回路のパッケージの温度Tj は徐々に上昇し、次式で計算される温度Tj1に収束する。
Tj1=Rj・α・T・fref1(但し、T=1)
【0056】
時刻T2において、例えば動画像のデコード等の高い処理速度が要求されるタスクが起動されると、マイクロプロセッサ10によって、分周値レジスタ31の値が書き替えられ、システムクロック信号SCKの周波数fsck は、更にfref3に設定される。これによって処理速度が上昇してトグル率が上がり、パッケージの温度Tj は、次式で計算される温度Tjmaxに近付くように上昇する。
Tjmax<Tj =Rj・α・T・fref3(但し、Tはほぼ1)
【0057】
時刻T3において、パッケージの温度Tj が基準温度Tjrefに達すると、温度モニタ40からマイクロプロセッサ10に対して割込信号EMGが出力される。
【0058】
時刻T4において、マイクロプロセッサ10は、割込信号EMGに基づいて分周値レジスタ31の値を書き換える。これにより、システムクロック信号SCKの周波数fsck はfmax (但し、fmax <fref3)に設定され、消費電力が所定の値に制限される。
【0059】
以上のように、この第1の実施形態の半導体集積回路は、実際にパッケージの温度Tj を監視し、この温度Tj が基準温度Tjrefに達したときに割込信号EMGを出力する温度モニタ40を有している。これにより、マイクロプロセッサ10ではクロックギア機構30に対してシステムクロック信号SCKの周波数fsclkを所定の値に制御することができる。従って、熱暴走を起こさない最大の速度で動作を行わせることができるという利点がある。
【0060】
(第2の実施形態)
【0061】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す半導体集積回路の構成図であり、図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0062】
この半導体集積回路は、図1の半導体集積回路におけるクロックギア機構30に代えて、構成の異なるクロックギア機構30Aを備えている。
【0063】
クロックギア機構30Aは、図1と同様の分周値レジスタ31及び分周回路32に加えて、非常時分周値レジスタ33とセレクタ(SEL)34を有している。非常時分周値レジスタ33は、パッケージの温度Tj が高温になったときに、即座に高温状態から抜けられるように、低いシステムクロック信号SCKの周波数fsck を設定するための固定の分周値を保持するレジスタである。
【0064】
セレクタ34は、温度モニタ40から出力される割込信号EMGが“L”のとき分周値レジスタ31を選択し、この割込信号EMGが“H”のとき非常時分周値レジスタ33を選択して、選択したレジスタの分周値を分周回路32に出力するものである。その他の構成は、図1と同様である。
【0065】
次に動作を説明する。
【0066】
パッケージの温度Tj が基準温度Tjrefに達しないとき、温度モニタ40から出力される割込信号EMGは“L”であり、クロックギア機構30Aのセレクタ34によって分周値レジスタ31が選択される。これにより、図1と同じ構成となり、第1の実施形態と同様の動作が行われる。
【0067】
パッケージの温度Tj が基準温度Tjrefに達すると、温度モニタ40から出力される割込信号EMGは“H”となり、クロックギア機構30Aのセレクタ34によって非常時分周値レジスタ33が選択される。これにより、分周回路32の分周値は、マイクロプロセッサ10の制御を介さずに、直ちに固定の分周値に変更され、システムクロック信号SCKの周波数fsck は、即座に高温状態から抜けられるような低い周波数に切り替えられる。
【0068】
以上のように、この第2の実施形態の半導体集積回路は、パッケージの温度Tj が基準温度Tjrefに達したときに出力される割込信号EMGによって、システムクロック信号SCKの周波数fsck を予め定めた低い周波数に切り替えることができるクロックギア機構30Aを有している。これにより、たとえ熱暴走によってマイクロプロセッサ10の制御が不能になった場合でも、システムクロック信号SCKの周波数fsck を下げることが可能であり、第1の実施形態の利点に加えて、システムの安全性を確保することができるという利点がある。
【0069】
(第3の実施形態)
【0070】
図6は、本発明の第3の実施形態を示す半導体集積回路の構成図であり、図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0071】
この半導体集積回路は、図1と同様のマイクロプロセッサ10、複数の機能モジュール20i、温度モニタ40及びシステムバス50に加えて、動作制御手段(例えば、クロック制御機構)60と、クロック制御手段(例えば、ディセーブル機構)70iを有している。
【0072】
クロック制御機構60は、各機能モジュール20iの優先順位に従ってその動作を制御するための信号を出力するものである。各機能モジュール20iのシステムに対する優先順位を予め定めた優先順位テーブル61と、一定時間をカウントするタイマ62と、クロック制御レジスタ63とで構成されている。
【0073】
優先順位テーブル61は、各機能モジュール20iのクロックイネーブル状態信号S71iに基づいて、現在動作中で且つ優先順位が最も低い機能モジュールをデコードして出力するものである。
【0074】
クロック制御レジスタ63は、温度モニタ40から出力される割込信号EMGが“H”のとき、その時点で優先順位が低い機能モジュールのクロック信号を停止させる信号S63iを出力するものである。その後は、タイマ62によって一定時間Ta毎に起動され、その時点での優先順位の低い機能モジュールのクロック信号を停止させる信号S63iを出力するようになっている。また、割込信号EMGが“L”のときには、現状を維持するような信号S63iを出力するようになっている。
【0075】
ディセーブル機構70iは、クロック制御機構60から与えられる各機能モジュール20iに対する動作の制御用の信号に基づいてクロック信号の供給を制御するものである。各ディセーブル機構70iは、それぞれレジスタ71iと論理積ゲート72iで構成されている。各レジスタ71iは、それぞれクロック信号CKiのタイミングに基づいて信号S63iを保持し、保持したデータを信号S71iとして出力するものである。また、各論理積ゲート72iは、クロック信号CKiと信号S71iの論理積をとって、対応する機能モジュール20iのクロック端子に与えるものである。
【0076】
図7(a),(b)は、図6の動作説明図であり、同図(a)は優先順位テーブル61の一例を示す図、及び同図(b)は動作波形図である。
【0077】
時刻T0における動作開始時、各機能モジュール20iは停止しており、パッケージの温度Tj は、基準温度Tjrefよりも低い温度で一定している。
【0078】
時刻T1において、マイクロプロセッサ10によってある動作モードへ移行し、複数の機能モジュール20iに対するクロックイネーブル信号が出力される。これによって複数の機能モジュール20iの動作が開始され、パッケージの温度Tj は上昇する。また、優先順位テーブル61では、動作中の機能モジュール20iの中で、最もシステムに影響されないものがデコードされる。
【0079】
各機能モジュール20iの処理に従って、更に多数の機能モジュールが動作を開始し、パッケージの温度Tj は更に上昇する。
【0080】
時刻T2において、パッケージの温度Tj が基準温度Tjrefを越えると、温度モニタ40から出力される割込信号EMGが“H”となる。これにより、クロック制御機構60のクロック制御レジスタ63から、i番目の機能モジュール20iのクロック信号CKiをディセーブル状態にするための信号S63iが出力される。こうして、機能モジュール20iへ供給されていたクロック信号CKiが停止させられ、この機能モジュール20iが停止することによって消費電力が減少する。
【0081】
このとき、優先順位テーブル61では、入力されるクロックイネーブル状態信号S71iがディセーブル状態となり、次に優先順位の低い動作をしている機能モジュールがデコードされる。この例では、次に優先順位が低いものはm番目の機能モジュール20mであるが、これは動作していない。このため、j番目の機能モジュール20jがデコードされる。これにより、機能モジュール20jの動作が停止される。
【0082】
時刻T2から一定時間Taが経過したT3において、タイマ62によってクロック制御レジスタ63が起動される。このとき、パッケージの温度Tj が基準温度Tjrefを越えていると、割込信号EMGは“H”となっている。これにより、次に優先度の低い動作をしている機能モジュール20jのクロック信号CKjをディセーブル状態にするための信号S63jが出力される。
【0083】
このような動作は、割込信号EMGが“L”となるまで、一定時間Ta毎に繰り返して行われ、機能モジュール20iのクロック信号CKiは優先度の低いものから順次ディセーブルされる。
【0084】
一方、マイクロプロセッサ10では、割込信号EMGが“H”になると、割込処理が行われ、このマイクロプロセッサ10のプログラムに従って適切な消費電力制御が実行される。
【0085】
以上のように、この第3の実施形態の半導体集積回路は、パッケージの温度Tj が基準温度Tjrefを越えたときに、予め定めた優先順位に従って機能モジュール20iに供給するクロック信号CKiを、一定時間Taの間隔で順次停止するクロック制御機構60とディセーブル機構70iを有している。これにより、パッケージの温度Tj が最大許容温度Tjmaxを越える前に、マイクロプロセッサ10を介さずに、適切な機能モジュール制御を行い、温度Tj の上昇を防止して最適な速度で動作を行うことができるという利点がある。
【0086】
(第4の実施形態)
【0087】
図8は、本発明の第4の実施形態を示す半導体集積回路の構成図であり、図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0088】
この半導体集積回路は、図6と同様のマイクロプロセッサ10、複数の機能モジュール20i、温度モニタ40、システムバス50及びディセーブル機構70iに加えて、図6中のクロック制御機構60とは若干構成の異なるクロック制御機構60Aを有している。
【0089】
クロック制御機構60Aは、優先順位テーブル64、タイマ65及びクロック制御デコーダ66で構成されている。優先順位テーブル64は、使用優先順位を保持するもので、その使用状況に応じて各機能モジュール20iの使用優先順位をマイクロプロセッサ10から設定を変更できるようになっている。タイマ65は、オフ監視時間Toff とオン監視時間Tonをカウントするもので、これらのオフ監視時間Toff とオン監視時間Tonは、マイクロプロセッサ10から設定できるようになっている。クロック制御デコーダ66は、優先順位テーブル64とタイマ65から与えられる情報に基づいて、各機能モジュール20iに対するクロック信号の供給制御を行うものである。その他の構成は、図6と同様である。
【0090】
次に動作を説明する。
【0091】
動作開始時、各機能モジュール20iは停止しており、パッケージの温度Tj は、基準温度Tjrefよりも低い温度で一定している。
【0092】
あるタイミングで、複数の機能モジュール20iの動作が開始されると、消費電力が増加してパッケージの温度Tj が上昇する。パッケージの温度Tj が基準温度Tjrefを越えると、温度モニタ40から出力される割込信号EMGが“H”となる。
【0093】
これにより、クロック制御機構60のクロック制御デコーダ66では、優先順位テーブル64の情報に従って、優先度が低くかつ動作中の機能モジュール20jが選択され、この機能モジュール20jに対するシステムクロック信号SCKをディセーブル状態にするための信号が出力される。これにより、機能モジュール20jの動作が停止される。
【0094】
更に、割込信号EMGが“H”になってから、タイマ65で計測されるオフ監視時間Toff が経過したときに、割込信号EMGが引き続いて“H”であると、クロック制御デコーダ66によって、次に優先度が低くかつ動作中の機能モジュール20kが選択され、この機能モジュール20kがディセーブル状態にされる。タイマ65によるオフ監視時間Toff 毎の制御は、割込信号EMGが“H”である間繰り返して行われ、優先度の低い機能モジュール20から順次ディセーブル状態にされる。
【0095】
逆に、オフ監視時間Toff の後に割込信号EMGが“L”になっていて、更にオン監視時間Tonが経過した時にも割込信号EMGが“L”であると、クロック制御デコーダ66によって最後にディセーブル状態にされた機能モジュール20kに対するシステムクロック信号SCKがイネーブル状態にされる。更に、オン監視時間Tonが経過した時にも割込信号EMGが“L”であると、次に優先順位の低い機能モジュール20jがイネーブル状態にされる。
【0096】
クロック制御デコーダ66では、マイクロプロセッサ10から指示があるまで、上記の制御が自動的に行われる。
【0097】
一方、マイクロプロセッサ10では、割込信号EMGが“H”になると、割込処理が行われ、このマイクロプロセッサ10のプログラムに従って適切な消費電力制御が実行される。
【0098】
以上のように、この第4の実施形態の半導体集積回路は、一定時間毎に温度モニタ40からの割込信号EMGに基づいて、機能モジュール20iに対するクロック信号CKiを、優先度に従って順次停止及び供給するクロック制御機構60Aを有している。これにより、一旦停止した機能モジュール20iを再度起動させることが可能になるので、第3の実施形態の利点に加えて、システムの復旧が速いという利点がある。
【0099】
(第5の実施形態)
【0100】
図9は、本発明の第5の実施形態を示す半導体集積回路の構成図である。
【0101】
この半導体集積回路は、クロックギア機構30Aと温度モニタ40Aを備え、このクロックギア機構30Aから複数の機能モジュール20iに対して、ディセーブル機構70iを介してシステムクロック信号SCKが供給されるようになっている。
【0102】
クロックギア機構30Aは、入力クロック信号MCKに対する分周値Nを保持する分周値レジスタ31Aと、この分周値Nに従って入力クロック信号MCKを1/Nに分周してシステムクロック信号SCKを生成する分周回路32で構成されている。分周値レジスタ31Aは、温度モニタ40Aから与えられる信号S46によって、分周値Nがカウントアップされるように構成されている。また、分周値レジスタ31Aの分周値Nは、図示しないマイクロプロセッサにより、任意の値に設定することができるようになっている。
【0103】
温度モニタ40Aは、温度検出部40aとこの温度検出部40aで検出されたパッケージの温度Tj を基準温度Tjrefと比較する比較器46で構成されている。そして、比較器46から出力される信号S46は、温度Tj <基準温度Tjrefのとき“L”となり、温度Tj ≧基準温度Tjrefのとき“H”となるように設定されている。なお、基準温度Tjrefは、最大許容温度Tjmaxよりもある程度のマージンを差し引いた値に設定されている。
【0104】
図10は、図9の動作波形図である。以下、この図10を参照しつつ、図9の動作を説明する。
【0105】
時刻T0における動作の開始時点では、分周値レジスタ31Aには十分大きな分周値Nが設定してあり、分周回路32で生成されるシステムクロック信号SCKの周波数fsck は低くなっており、各機能モジュール20iは低速動作モードで動作している。このため、消費電力は小さく、パッケージの温度Tj は常温に近い値となっている。
【0106】
時刻T1において、分周値レジスタ31Aに小さな分周値Nを設定し、システムクロック信号SCKの周波数fsck を上げて高速動作モードに切り替えると、消費電力が増加してパッケージの温度Tj が上昇する。
【0107】
時刻T2において、パッケージの温度Tj が基準温度Tjrefを越えると、温度モニタ40Aの比較器46から出力される信号S46が“H”となる。これにより、クロックギア機構30Aの分周値レジスタ31Aの分周値Nが逐次カウントアップされ、分周回路32で生成されるシステムクロック信号SCKの周波数fsck は徐々に低下する。
【0108】
時刻T3において、システムクロック信号SCKの周波数fsck の低下によって消費電力が低下し、パッケージの温度Tj が基準温度Tjrefよりも低くなると、比較器46から出力される信号S46は“L”となる。これにより、分周値レジスタ31Aの分周値Nはその値で固定され、周波数fsck も固定される。
【0109】
以上のように、この第5の実施形態の半導体集積回路は、パッケージの温度Tj を基準温度Tjrefと比較する温度モニタ40Aと、この温度Tj が基準温度Tjrefを越えたときに、分周値Nを逐次カウントアップしてシステムクロック信号SCKの周波数fsck を徐々に低下させるクロックギア機構30Aを有している。これにより、半導体集積回路が熱暴走を起こさない最大の速度で動作をさせることが可能になる。
【0110】
(第6の実施形態)
【0111】
図11は、本発明の第6の実施形態を示す半導体集積回路の構成図である。
【0112】
この半導体集積回路は、クロックギア機構30Bと温度モニタ40Bを備え、このクロックギア機構30Bから複数の機能モジュール20iに対して、ディセーブル機構70iを介してシステムクロック信号SCKが供給されるようになっている。
【0113】
クロックギア機構30Bは、入力クロック信号MCKに対する分周値Nを保持する分周値レジスタ31Bと、この分周値Nに従って入力クロック信号MCKを1/Nに分周してシステムクロック信号SCKを生成する分周回路32で構成されている。分周値レジスタ31Bは、温度モニタ40Bから与えられる信号UPによって分周値Nがカウントアップされ、信号DNによって分周値Nがカウントダウンされるように構成されている。また、分周値レジスタ31Bの分周値Nは、図示しないマイクロプロセッサにより、任意の値に設定することができるようになっている。
【0114】
温度モニタ40Bは、温度検出部40aと、この温度検出部40aで検出されたパッケージの温度Tj を基準温度Tjrfaと比較する比較器46aと、温度Tj を基準温度Tjrfbと比較する比較器46bとで構成されている。そして、比較器46aから出力される信号UPは、温度Tj <基準温度Tjrfaのとき“L”となり、温度Tj ≧基準温度Tjrfaのとき“H”となるように設定されている。また、比較器46bから出力される信号DNは、温度Tj >基準温度TjrfBのとき“L”となり、温度Tj ≦基準温度Tjrfbのとき“H”となるように設定されている。なお、基準温度Tjrfa,Tjrfb、及び最大許容温度Tjmaxは、次式の関係を有するように設定されている。
Tjrfb<Tjrfa<Tjmax
【0115】
図12は、図11の動作波形図である。以下、この図12を参照しつつ、図11の動作を説明する。
【0116】
時刻T0における動作の開始時点では、分周値レジスタ31Bには十分大きな分周値Nが設定してあり、分周回路32で生成されるシステムクロック信号SCKの周波数fsck は低くなっており、各機能モジュール20iは低速動作モードで動作している。このため、消費電力は小さく、パッケージの温度Tj は常温に近い値となっている。
【0117】
時刻T1において、分周値レジスタ31Bに小さな分周値Nを設定し、システムクロック信号SCKの周波数fsck を上げて高速動作モードに切り替えると、消費電力が増加してパッケージの温度Tj が上昇する。
【0118】
時刻T2において、パッケージの温度Tj が基準温度Tjrfaを越えると、温度モニタ40Bの比較器46aから出力される信号UPが“H”となる。これにより、クロックギア機構30Bの分周値レジスタ31Bの分周値Nが逐次カウントアップされ、分周回路32で生成されるシステムクロック信号SCKの周波数fsck は徐々に低下する。
【0119】
時刻T3において、システムクロック信号SCKの周波数fsck の低下によって消費電力が低下し、パッケージの温度Tj が基準温度Tjrfaよりも低くなると、比較器46aから出力される信号UPは“L”となる。これにより、分周値レジスタ31Bの分周値Nはその値で固定され、周波数fsck も固定される。
【0120】
時刻T4において、パッケージの温度Tj が更に低下して基準温度Tjrfbよりも低くなると比較器46bから出力される信号DNは“H”となる。これにより、分周値レジスタ31Bの分周値Nは逐次カウントダウンされ、分周回路32で生成されるシステムクロック信号SCKの周波数fsck は徐々に上昇する。
【0121】
そして、時刻T5において、システムクロック信号SCKの周波数fsck の上昇によって消費電力が増加し、パッケージの温度Tj が基準温度Tjrfbよりも高くなると、比較器46bから出力される信号DNは“L”となる。これにより、分周値レジスタ31Bの分周値Nはその値で固定され、周波数fsck も固定される。
【0122】
以上のような繰り返しにより、パッケージの温度Tj は、基準温度Tjrfbと基準温度Tjrfaのほぼ中間の値となるように制御される。
【0123】
以上のように、この第6の実施形態の半導体集積回路は、パッケージの温度Tj を基準温度Tjrfa,Tjrfbと比較する温度モニタ40Bと、この温度Tj が基準温度Tjrfa〜Tjrfbの範囲を越えたときに、分周値Nをカウントアップまたはカウントダウンさせ、温度Tj が基準温度Tjrfa〜Tjrfbの範囲に入るように、システムクロック信号SCKの周波数fsck を制御するクロックギア機構30Bを有している。これにより、温度上昇によって一旦低下したシステムクロック信号SCKの周波数fsck を、温度が低下したときに再び上昇させることができ、第5の実施形態の利点に加えて、システムの復旧が速いという利点がある。
【0124】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次のようなものがある。
【0125】
(a) 温度モニタ40等の構成は、図3(a)に例示したものに限定されず、パッケージや基板の温度が基準温度よりも高いか低いかを検出できるものであれば、どのような方式のものでも同様に適用可能である。
【0126】
(b) 図6中のクロック制御機構60の優先順位テーブル61、及び図8中のクロック制御機構60Aの優先順位テーブル64には、機能モジュール20iの機能内容に対する優先順位を設定するようにしているが、機能モジュール20iの消費電力の大きい順に停止させる順序を設定するようにしても良い。これにより、消費電力の大きい機能モジュール20iから順次動作が停止されるので、安全な温度に低下するまでの時間を短縮することができる。
【0127】
(c) 図6及び図8の半導体集積回路では、クロックギア機構を有していないが、温度モニタ40からの割込信号EMGに基づいてシステムクロック信号SCKの周波数を制御するクロックギア機構を設けても良い。これにより、システムの動作状態の応じて、更に適切なシステムクロック信号SCKの周波数を設定することが可能になり、熱暴走を起こさない範囲で更に動作速度を上昇させることができる。
【0128】
【発明の効果】
【0129】
以上詳細に説明したように、第1の発明によれば、機能モジュールが形成された基板の温度を検出して検出信号を出力する温度検出手段と、この温度検出信号に基づいてクロック供給手段の分周値の設定を制御するマイクロプロセッサを有している。これにより、適切なクロック信号の周波数を設定することができる。
【0130】
第2の発明によれば、第1の発明におけるマイクロプロセッサで検出信号に基づいて分周値を増加するように制御している。これにより、クロック信号の周波数は低下するだけで上昇することがないので、熱暴走を起こすおそれがない。
【0131】
第3の発明によれば、基板の温度が基準値を越えたときに割込信号を出力する温度検出手段と、この割込信号が与えられたときに非常時分周値に基づいて入力クロック信号を分周して機能モジュールに供給するクロック供給手段を有している。これにより、マイクロプロセッサの処理を介さずにクロック周波数を低減することができるので、処理の遅延等による熱暴走等のおそれがない。
【0132】
第4の発明によれば、基板の温度上昇によって割込信号が与えられたときに、登録された順序で機能モジュールへ出力するクロック信号を制御する動作制御手段とクロック制御手段を有している。これにより、優先順位に従って機能モジュールを停止させることにより、システム全体の熱暴走を防止することができる。
【0133】
第5の発明によれば、割込信号が与えられているときに、登録された順序で機能モジュールを順次停止し、割込信号が与えられていないときには、登録された順序で機能モジュールを順次起動する動作制御手段を有している。これにより、熱暴走を起こさない最適な状態でシステムを動作させることができる。
【0134】
第6の発明によれば、機能モジュールの処理内容または消費電力に基づいて動作を停止させる順序を登録したテーブルを用いている。これにより、最適な状態でシステムの動作をさせることができる。
【0135】
第7の発明によれば、機能モジュールの消費電力の大きいものから順番に動作を停止させる順序を登録したテーブルを用いている。これにより、温度上昇を速やかに終了させることができる。
【0136】
第8の発明によれば、温度検出手段から出力される検出信号に基づいて分周値を制御し、入力クロック信号を分周して各機能モジュールに供給するクロック供給手段を有している。これにより、熱暴走を起こさない最大の速度で動作が可能になる。
【0137】
第9の発明によれば、温度検出手段から出力される検出信号に基づいて分周値を一定の時間間隔でカウントアップし入力クロック信号を分周するクロック供給手段を有している。これにより、クロック信号の周波数は低下するだけで上昇することがないので、熱暴走を起こすおそれがない。
【0138】
第10の発明によれば、基板の温度が第1の基準値よりも高いときに分周値をカウントアップし、第2の基準値よりも低いときに分周値をカウントダウンするようにクロック供給手段を構成している。これにより、熱暴走を起こさない最大の速度で動作が可能になる。
【0139】
第11の発明によれば、温度検出手段から出力される検出信号に基づいて分周値を増減して入力クロック信号を分周するクロック供給手段と、機能モジュールの優先順位に従って各機能モジュールに与えるクロック信号を制御する動作制御手段及びクロック制御手段を有している。これにより、熱暴走を起こさない最適な状態でシステムを動作させることができる。
【0140】
第12の発明によれば、温度検出手段は、基板上の特定の機能ブロックやマイクロプロセッサの温度を検出するようにしている。従って、特に温度上昇の高い箇所の温度を検出することにより、安定した動作を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す半導体集積回路の構成図である。
【図2】従来の半導体集積回路の一例を示す構成図である。
【図3】図1中の温度モニタ40の説明図である。
【図4】図1の動作を示す波形図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す半導体集積回路の構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態を示す半導体集積回路の構成図である。
【図7】図6の動作説明図である。
【図8】本発明の第4の実施形態を示す半導体集積回路の構成図である。
【図9】本発明の第5の実施形態を示す半導体集積回路の構成図である。
【図10】図9の動作波形図である。
【図11】本発明の第6の実施形態を示す半導体集積回路の構成図である。
【図12】図11の動作波形図である。
【符号の説明】
10 マイクロプロセッサ
20 機能モジュール
30,30A,30B クロックギア機構
31,31A,31B 分周値レジスタ
32 分周回路
33 非常時分周値レジスタ
40,40A,40B 温度モニタ
60 クロック制御機構
61,64 優先順位テーブル
62,65 タイマ
63 クロック制御レジスタ
66 クロック制御デコーダ
70 ディセーブル機構
Claims (12)
- それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、
前記機能モジュールが形成された基板または該基板の所定領域の温度を検出して基準値と比較し比較結果の検出信号を出力する温度検出手段と、
分周値レジスタに設定された分周値に従って入力クロック信号を分周して前記機能モジュールに供給するクロック供給手段と、
前記検出信号に基づいて前記分周値レジスタに設定する分周値を制御すると共に、前記複数の機能モジュールを含むシステム全体の制御を行うマイクロプロセッサとを、
備えたことを特徴とする半導体集積回路。 - 前記マイクロプロセッサは、前記検出信号によって前記基板または該基板の所定領域の温度が前記基準値を越えたことが示されたときに、前記分周値を増加させるように制御することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
- それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、
前記機能モジュールが形成された基板または該基板の所定領域の温度が基準値を越えたときに割込信号を出力する温度検出手段と、
通常動作時の分周値が設定される分周値レジスタ及び非常時の分周値が予め設定された非常時分周値レジスタを有し、前記割込信号が与えられていないときは該分周値レジスタに基づき、該割込信号が与えられたときは該非常時分周値レジスタに基づいて、入力クロック信号を分周して前記機能モジュールに供給するクロック供給手段と、
前記分周値レジスタに設定する分周値を制御すると共に、前記複数の機能モジュールを含むシステム全体の制御を行うマイクロプロセッサとを、
備えたことを特徴とする半導体集積回路。 - それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、
前記機能モジュールが形成された基板または該基板の所定領域の温度が基準値を越えたときに割込信号を出力する温度検出手段と、
前記割込信号が与えられたときに前記機能モジュールの動作を停止させる順序を登録したテーブルを有し、該割込信号が与えられているときに一定時間毎に該テーブルに基づいて該機能モジュールに対する動作制御信号を出力する動作制御手段と、
前記動作制御信号に従って対応する前記機能モジュールへのクロック信号の出力を制御するクロック制御手段とを、
備えたことを特徴とする半導体集積回路。 - それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、
前記機能モジュールが形成された基板または該基板の所定領域の温度が基準値を越えたときに割込信号を出力する温度検出手段と、
前記機能モジュールの動作の優先順位が設定されたテーブルを有し、前記割込信号が与えられているときに第1の時間間隔で該テーブルに基づいて機能モジュールを順次停止させるための動作制御信号を出力し、該割込信号が与えられていないときには第2の時間間隔で該テーブルに基づいて機能モジュールを順次起動させるための動作制御信号を出力する動作制御手段と、
前記動作制御信号に従って対応する前記機能モジュールへのクロック信号の出力を制御するクロック制御手段とを、
備えたことを特徴とする半導体集積回路。 - 前記動作制御手段のテーブルは、前記機能モジュールの処理内容または消費電力に基づいて動作を停止させる順序を登録したことを特徴とする請求項4または5記載の半導体集積回路。
- 前記動作制御手段のテーブルは、前記機能モジュールの消費電力が大きいものから順番に動作を停止させように順序を登録したことを特徴とする請求項4または5記載の半導体集積回路。
- それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、
前記機能モジュールが形成された基板または該基板の所定領域の温度を検出して基準値と比較し比較結果の検出信号を出力する温度検出手段と、
前記検出信号に基づいて分周値を制御し、該制御された分周値に従って入力クロック信号を分周して前記機能モジュールに供給するクロック供給手段とを、
備えたことを特徴とする半導体集積回路。 - 前記クロック供給手段は、前記検出信号によって前記基板または該基板の所定領域の温度が前記基準値を越えたことが示されたときに、一定の時間間隔で前記分周値をカウントアップするように制御することを特徴とする請求項8記載の半導体集積回路。
- 前記温度検出手段は、前記基板または該基板の所定領域の温度が第1の基準値よりも高いときに第1の検出信号を出力し、該温度が前記第1の基準値より低い第2の基準値よりも低いときに第2の検出信号を出力するように構成し、
前記クロック供給手段は、前記第1の検出信号が与えられたときに一定の時間間隔で前記分周値をカウントアップし、前記第2の検出信号が与えられたときには該一定の時間間隔で該分周値をカウントダウンするように構成した、
ことを特徴とする請求項8記載の半導体集積回路。 - それぞれ異なる処理を実行する複数の機能モジュールと、前記機能モジュールが形成された基板または該基板の所定領域の温度を検出して基準値と比較し比較結果の検出信号を出力する温度検出手段と、
前記検出信号に基づいて分周値を増減し、該増減された分周値に従って入力クロック信号を分周して前記機能モジュールに供給するクロック信号を生成するクロック生成手段と、
前記機能モジュールの優先順位を設定したテーブルを有し、前記検出信号に従って該テーブルに基づいて該機能モジュールに対する動作制御信号を出力する動作制御手段と、
前記動作制御信号に従って前記機能モジュールに対する前記クロック信号の出力を制御するクロック制御手段とを、
備えたことを特徴とする半導体集積回路。 - 前記基板の所定領域は、前記複数の機能モジュールの内の特定の機能モジュールまたはマイクロプロセッサであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載した半導体集積回路。
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