JP2004006303A - 陰極線管用ガラスパネル及びその検査方法並びにその検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パネルのフェース部における内外表面と平行な面上の欠点の存在状況のみならず、該フェース部の厚み方向に対する内部欠点の存在状況をも正確且つ容易に検出可能とし、内部欠点の存在を三次元的に知得できないことによる欠点対策作業の繁雑化やパネル或いはバルブの不当な廃棄を回避する。
【解決手段】パネル1のフェース部2における内部欠点S大きさと深さとを、超音波を用いて検出する。好ましくは、前記フェース部2の外表面2a側から内表面2b側に向かって超音波を発振させ、且つ前記内表面2b側で反射した反射波を受振することにより、前記内部欠点Sの大きさと、該内部欠点Sの前記内表面2aからの距離とを検出する。
【選択図】 図2
【解決手段】パネル1のフェース部2における内部欠点S大きさと深さとを、超音波を用いて検出する。好ましくは、前記フェース部2の外表面2a側から内表面2b側に向かって超音波を発振させ、且つ前記内表面2b側で反射した反射波を受振することにより、前記内部欠点Sの大きさと、該内部欠点Sの前記内表面2aからの距離とを検出する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、陰極線管用ガラスパネル及びその検査方法並びにその検査装置に係り、特に陰極線管用ガラスパネルのフェース部に存在する内部欠点を検出するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、テレビ受像機等の構成要素である陰極線管としては、いわゆる直視型陰極線管と、投写型陰極線管とが公知となっている。これらの陰極線管は、画像が映し出される略矩形のフェース部を有するパネルと、略矩形の大開口部から略円形の小開口部に至る略漏斗状の側壁部を有するファンネルとを備え、該ファンネルの小開口部に、電子銃が挿入されるネック部を連設して構成される。そして、パネルとファンネルとは、雌型と雄型とからなる金型を用いて溶融ガラスをプレス成型することにより製造されるものである。
【0003】
前記直視型陰極線管は、パネルの内表面に形成された蛍光膜に例えば各色の光を配列させることにより画像を映し出す構成であるのに対して、前記投写型陰極線管は、パネルの内表面に形成された所定の光を発する蛍光膜に電子線を照射させ、この蛍光膜に焦点位置が存在する投写用レンズ系を介してスクリーンに拡大投影することにより画像を映し出す構成である。
【0004】
これらの陰極線管を構成しているパネルは、単体の状態で、或いはファンネルと封着されてガラスバルブとされた状態で、そのフェース部に気泡や異物(固体)の混入等による内部欠点が存在しているか否かの検査が行われる。これらの内部欠点は、主として、ガラス原料を溶融する工程から上述のプレス成型工程において生じるものであって、パネル単体での検査は、パネルの製造に関与する各処理を終えた後に行なわれ、ガラスバルブでの検査は、パネルとファンネルとを封着してその他の各部品を装着するなどした後に行われるのが通例である。
【0005】
この種のパネルの検査は、従来においては、作業者の目視により、またはCCDカメラ等の光学的カメラを使用することにより行われていた。そして、この検査において、不当に大きな欠点或いは不当に多数の欠点が検出された場合には、映し出される画像に顕著な悪影響を及ぼすことから、それらのパネルやガラスバルブは、廃棄処分とされているのが実情である。
【0006】
更に、近年においては、下記の特許文献1及び特許文献2に開示されているように、超音波を利用して被検査物(例えばパネル)の欠陥の有無を検出することが行なわれている。
【0007】
【特許文献1】
特開平06−018486号公報
【特許文献2】
特開平05―273180号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パネルの内部欠点の検査を、従来のように目視や光学的カメラにより行なう手法によれば、フェース部の内外表面と平行な面内における二次元的な内部欠点の存在状況を知得できるに過ぎないため、以下に示すような問題を招来していた。
【0009】
すなわち、このような検査手法では、フェース部の厚み方向(管軸と平行な方向)における内部欠点の存在状況を知得することができないため、例えば内部欠点がフェース部の外表面側に集中的に存在していたり、これとは逆に内表面側に集中的に存在していても、その差異を明確に把握することができない。
【0010】
詳述すると、図7(a)に示すようにパネル1’のフェース部2’における厚み方向の全領域に内部欠点S’が存在している状態と、図7(b)に示すようにフェース部2’の外表面2a’近傍にのみ内部欠点S’が存在している状態と、図7(c)に示すようにフェース部2’の内表面2b’近傍にのみ内部欠点S’が存在している状態とを、明確に区別して把握することができない。
【0011】
このため、仮にフェース部の厚み方向における内部欠点の集中的な存在箇所が判明したとすれば、そのような欠点が生じる原因、例えばガラス溶融条件の誤り、ガラス溶融窯の欠陥、及びガラス成分の認識ミス等を容易につきとめることができるにも拘わらず、その可能性が閉ざされてしまうことになる。
【0012】
したがって、ガラス溶融条件の誤り、ガラス溶融窯の欠陥、更にはガラス成分等に対して何ら対策を講じることなく、これらを放置した状態で試行錯誤等により内部欠点の発生を防止せねばならなくなり、欠点対策に面倒且つ繁雑な作業を強いられるばかりでなく、問題解決に遅れが生じるおそれをも招く。
【0013】
特に、投写型陰極線管に使用されるパネルでは、フェース部の内表面(蛍光膜)に、投写用レンズ系の焦点が存在しているため、その内表面近傍に内部欠点が存在していると、この欠点が拡大されて例えば黒色の異形態として画像に映し出される。これに対して、フェース部の厚み方向中央部や外表面近傍に内部欠点が存在していても、この内部欠点は、レンズ系の焦点から離隔していることによるレンズ効果によって、広領域にぼかされた状態となるため、内部欠点の存在を視認できなくなる傾向がある。
【0014】
したがって、フェース部の厚み方向における中央部付近や外表面、つまり内表面近傍を除く部位に、欠点が存在している場合には、そのパネルは使用可能であるにも拘わらず、上述のように平面的に欠点の存在状況を検出する手法では、そのパネルは不良品であると判断され、パネルあるいはガラスバルブが廃棄処分にされるという誤作業を招く。
【0015】
このような誤判断や誤作業は、パネルやガラスバルブの製造工程に無駄を生じさせる原因になると共に、製造コストをいたずらに上昇させる原因にもなり、製造作業の円滑化や工期の短縮を図る上で、大きな妨げとなる。
【0016】
そして、近年における走査線の倍増や高精細化に伴って、パネルのフェース部における内表面近傍に生じている内部欠点が画像に顕著な悪影響を与えるに至っているため、この内部欠点を如何に適切に検出するかという事項は、重要な問題となっている。
【0017】
なお、上記の特許文献1及び特許文献2に開示された装置によるにしても、超音波により欠陥の有無を検出できるに留まるため、実質的には上述の場合と同様に、平面的に欠陥の存在状況を把握できるに過ぎず、誤判断や誤作業に起因する既述の問題が依然として残存することになる。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パネルのフェース部における内外表面と平行な面上の欠点の存在状況のみならず、該フェース部の厚み方向に対する内部欠点の存在状況をも正確且つ容易に検出可能とし、内部欠点の存在を三次元的に知得できないことによる欠点対策作業の繁雑化やパネル或いはバルブの不当な廃棄を回避することを技術的課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る方法は、略矩形のフェース部と、該フェース部の周縁に略垂直に連なるスカート部とを備えた陰極線管構成要素であるガラスパネルを検査する方法において、前記フェース部の内部欠点の大きさと深さとを、超音波を用いて検出することを特徴とするものである。
【0020】
ここで、「内部欠点の深さ」とは、フェース部の厚み方向における内表面または外表面からの肉厚内部への深さを意味する。また、ガラスパネルの検査は、ガラスパネル単体の状態で行なってもよく、或いはガラスパネルとガラスファンネルとを封着してなるガラスバルブの状態で行なってもよい。
【0021】
このような構成によれば、超音波の反射波の特性ないしは反射波の強度特性に基づいて、フェース部の内外表面と略平行な面内における内部欠点の存在状況やその欠点の大きさのみならず、フェース部の厚み方向における内部欠点の存在位置つまり深さをも知得できることになる。これにより、内部欠点の存在状況を三次元で正確に把握することができ、従来のように内部欠点の存在が二次元で把握できるに留まっていた場合のような欠点対策の作業の繁雑化や作業時間の長期化が回避されると共に、内部欠点位置の誤判断や廃棄処分の誤作業が効果的に回避される。
【0022】
この場合、前記フェース部の外表面及び内表面の何れか一方の表面側から他方の表面側に向かって超音波を発振させ、且つ前記他方の表面側及び内部欠陥で反射した反射波を受振することにより、前記内部欠点の大きさと、該内部欠点の前記他方の表面からの距離とを検出することが好ましい。
【0023】
このようにすれば、一方の表面側からのフェース部への侵入部における超音波の反射波は、ノイズの発生が大きくなるため、この一方の表面近傍においては、内部欠点を精度良く検出できないのに対して、他方の表面側で反射した超音波の反射波は、ノイズの少ない鮮明な波形となるため、他方の表面近傍においては、内部欠点を精度良く検出できることになる。したがって、この反射波を有効利用すれば、前記他方の表面近傍における内部欠点の大きさと、他方の表面からの内部欠点の距離とを、正確に検出することが可能となる。詳述すると、超音波の発振源(受振部を含む。以下同様)をフェース部の一方の表面から離隔させた場合には、超音波が減衰して内部欠点の検出を良好に行なえなくなるため、超音波の発振源は前記一方の表面に近接させる必要がある。しかしながら、このように近接配置した場合には、前記一方の表面と発振源との間で超音波が往復伝播するために、ノイズが大きくなると共に、これに伴って内部欠点を検出できない領域が広くなる。そこで、ノイズが少ない前記反射波が発生する側において内部欠点を検出できる領域を広くしたい場合には、その反射波が発生する側の表面と反対側の表面から超音波を侵入させることが肝要である。
【0024】
また、場合によっては、前記フェース部の外表面側から内表面側に向かって超音波を発振させ、且つ前記内表面側及び内部欠点で反射した反射波を受振することにより、前記内部欠点の大きさと、該内部欠点の前記内表面からの距離とを検出することが好ましい。
【0025】
このようにすれば、上記のような超音波の反射波の特性から認識できるように、フェース部の内表面近傍に存在する内部欠点が、鮮明な反射波によって精度良く検出されることになるため、特にフェース部の内表面近傍の内部欠点が重要となる投写型陰極線管のパネルにおいては、好都合な内部欠点の検査が行なわれることになる。この場合、フェース部の内表面から5mm以内の領域で、直径または最大長さが0.15mm以上の内部欠点が検出された場合には、不良と判断して廃棄の対象とする。一方、これ以外の領域で、例えば直径または最大長さが0.5mm程度またはそれ以下の内部欠点が検出された場合には、良品と判断することが一例として挙げられる。
【0026】
上記構成の検査方法を確実化させるには、前記超音波を発振及び受振させる際における該超音波のフェース部外方での伝播を、非圧縮性流体を媒体として行なわせることが好ましい。
【0027】
すなわち、仮に超音波が発振源からフェース部内に侵入するまでの間に、該超音波が圧縮性流体を媒体として伝播するとしたならば、超音波の振動エネルギーが圧縮性流体の変形に利用されて減衰してしまうことになる。しかしながら、本発明によれば、フェース部の外方においては、超音波が非圧縮性流体を媒体として伝播することになるので、振動エネルギーの著しい低下やこれに伴なう超音波の減衰は生じ難くなる。
【0028】
この場合、前記非圧縮性流体は、前記超音波の発振及び受振の経路を覆い且つフェース部の内外表面よりも流路面積の小さな柱状の流通流体とすることができる。
【0029】
このようにすれば、超音波の発振及び受振の経路との関連において、柱状の流通流体の流路面積が不当に大きくならず、流通流体の無駄を生じることなく、超音波が非圧縮性流体中を伝播できることになる。なお、この場合には、超音波の発振及び受振の経路並びに柱状の流通流体を複数箇所に生成しておくことが必要となる。
【0030】
また、前記非圧縮性流体中に、前記超音波の発振及び受振を行なう超音波探傷器具及びガラスパネルを浸漬させるようにしてもよい。
【0031】
このようにすれば、非圧縮性流体として上述のように柱状の流通流体を複数箇所に生成する場合に生じる問題、つまり複数の流通流体が相互に干渉して泡を巻き込む等の問題を回避した上で、検査面積が大きいガラスパネルに対して、多数の超音波探傷器具を設置できることになり、したがって多数の超音波の発振及び受振の経路を密に生成することが可能となる。なお、この場合であっても、ガラスパネル及び超音波探傷器具を非圧縮性流体に浸漬させる際には、その浸入速度が高速であることや非圧縮性流体が攪拌されること等に起因して、泡を巻き込む可能性があり、したがって検査時間の短縮や装置の小型化を図るには自ずと制約が生じてくる。
【0032】
上記の構成において、超音波の発振及び受振を行なう超音波探傷器具は、ガラスパネルに対して相対移動するように構成されていることが好ましい。
【0033】
このように、超音波探傷器具がガラスパネルに対して相対移動するように構成すれば、必要最小限の個数の超音波探傷器具を配設するだけでフェース部の全領域について内部欠点の検出を行なうことが可能となる。この場合、超音波探傷器具の発振面は、相対移動方向と直交する方向に複数配設されることが好ましく、更に、この複数配設された発振面の群は、相対移動方向の複数箇所に各群が千鳥状となるように配設されることが好ましい。なお、この場合には、パネルのフェース部との関連において、相対移動方向に対して発振面の抜け(相対移動しても発振面が通過しない領域)が生じないように、各発振面を規則的に配設することが必要になる。
【0034】
上記の構成を備えたガラスパネルは、投写型陰極線管に用いられるガラスパネルであることが好適である。
【0035】
このようにすれば、ガラスパネルのフェース部の厚み方向についても、内部欠点の大きさ及び位置を把握できることから、特に内表面近傍の内部欠点の存在が重要となるこの種の投写型陰極線管においては、その内表面近傍の内部欠点の存在状況を正確に認識した上で、良否判断及び廃棄処分妥当性の判断を行なえることになり、この種の陰極線管の近年における高精細化等の要請に適切に対処することが可能となる。
【0036】
一方、上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る装置は、略矩形のフェース部と、該フェース部の周縁に略垂直に連なるスカート部とを備えた陰極線管構成要素であるガラスパネルを検査する装置において、前記フェース部の内部欠点の大きさと深さとを超音波を用いて検出する超音波探傷器具を備えていることを特徴とするものである。
【0037】
このような構成を備えた検査装置によっても、既に述べたように、超音波探傷器具により発振及び受振される超音波の作用によって、フェース部の内外表面に略平行な面内のみならず、厚み方向についても内部欠点の大きさ及び深さが検出されることになり、既述の場合と同様の利点を享受できる。
【0038】
この装置は、前記超音波探傷器具の超音波探傷子から超音波が発振及び受振している際に、該超音波探傷子からフェース部の外表面または内表面に柱状の非圧縮性流体を流下させるように構成することができる。ここで、「非圧縮性流体の流下」は、自重による自然落下であることが好ましい。
【0039】
このような構成によっても、超音波が非圧縮性流体を媒体として伝播することによる既述の利点を享受できることに加えて、非圧縮性流体を自然落下させるようにした場合には、例えばポンプにより強制流下させる場合のような流量の変動が生じず、したがって流量の変動に起因するノイズの発生を適正に防止することが可能となる。
【0040】
また、この装置は、前記超音波探傷器具の超音波探傷子及び検査されるガラスパネルを非圧縮性流体中に浸漬させるように構成することもできる。
【0041】
このようにすれば、超音波探傷子とガラスパネルとが非圧縮性流体中に存在することから、超音波の発振及び受振の経路に空気等の気体が介在する可能性がなくなる。これにより、非圧縮性流体として上述のように柱状の流通流体を流下させ且つガラスパネルの検査面積が大きいために柱状の流通流体を複数箇所で流下させる場合に生じる問題、つまり複数の流通流体が相互に干渉して泡を巻き込む等の問題が回避される。なお、超音波探傷子やガラスパネルは、大気(空気)の雰囲気中に晒されているのが通例であるため、これらが非圧縮性流体中に浸入していく過程においては、空気を同伴するという事態を招く。そして、これらの浸入速度が高速であることや非圧縮性流体が攪拌されること等に起因して、泡を巻き込む可能性があり、したがって検査時間の短縮や装置の小型化を図るには自ずと制約が生じてくる。
【0042】
また、上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る陰極線管用ガラスパネルは、略矩形のフェース部と、該フェース部の周縁に略垂直に連なるスカート部とを備えた構成において、前記フェース部の内表面から5mm以内の領域に、直径または最大長が0.15mm以上の欠点が存在しないことを特徴とするものである。
【0043】
すなわち、例えば投写型陰極線管に使用されるガラスパネルでは、フェース部の内表面(蛍光膜)に、投写用レンズ系の焦点が存在しているため、フェース部の内表面から5mm以内の領域に内部欠点が存在すると、この欠点が拡大されて、例えば黒色の異形態として画像に映し出されることになる。このため、フェース部の内表面から5mm以内(好ましくは3mm以内)の領域に存在する内部欠点は、直径または最大長で0.15mm未満(好ましくは0.1mm以下)であることが好ましい。
【0044】
これに対して、フェース部の厚み方向中央部や外表面近傍に存在する内部欠点は、レンズ系の焦点から離隔していることによるレンズ効果が原因となって、広領域にぼかされた状態となるため、内部欠点の存在を視認できなくなる傾向がある。但し、内部欠点が大き過ぎると、その内部欠点が画像に映し出されやすくなるため、フェース部の厚み方向中央部や外表面近傍に存在する内部欠点の大きさは、0.5mm以下であることが望ましい。
【0045】
このような構成によれば、フェース部の内表面から5mmを超える領域に内部欠点が存在しているものであっても、内表面から5mm以内の領域との関連においてその内部欠点が問題とならなければ製品として採用されるものであるため、無駄な廃棄処分が行なわれることなく、必要とされる条件及び品質を満たしたガラスパネル或いはガラスバルブが製品として市場に提供されることになる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る投写型陰極線管のガラスパネル(以下、単にパネルという)を示す斜視図、図2は、そのパネルの検査装置の要部を示す概略正面図、図3(a)は、その検査装置の全体を示す概略平面図、図3(b)は、その検査装置の全体を示す概略正面である。
【0047】
図1に示すように、パネル1は、画像を表示する有効画面を備えたフェース部2と、該フェース部2の周縁にブレンドR部3を介して該フェース部2を囲繞するように略直角に連なるスカート部4とを備える。そして、スカート部4は、四つの対角部4aで連なる各辺部4bを有し、この各辺部4bの先端における開口端には、ファンネルとの接合に供される封着端面5が形成されている。
【0048】
図2は、前記パネル1におけるフェース部2の内部欠点Sを検出する検査装置を例示するものである。同図に示すように、パネル1は、フェース部2の外表面2aが上側となるように載置されており、そのフェース部2の外表面2aから上方に3〜4mm離隔した位置に、超音波探傷器具10の超音波探傷子11が配設されている。この超音波探傷子11は、円柱体であると共に、その下端面には、直径が3mmの超音波発振部(受振部を兼ねる)が設けられている。
【0049】
この超音波探傷子11は、下端中央に超音波通過用の開口部12aを有し且つ上端中央に非圧縮性流体(以下、流体という)流入用の開口部12bを有する通路形成部材12により覆われており、上端の開口部12aを通過した流体(純水)は、超音波探傷子11と通路形成部材12との間に形成される流体流通空間SPを介して下端の開口部12aから流下するようになっている。
【0050】
前記通路形成部材12の上端の開口部12aと、その上方に配設されたタンクTの下端部とは、流体流下路13を介して連通されており、タンクT内の純水は、流体流下路13を通じて自然落下するように構成されている。したがって、通路形成部材12の下端の開口部12aからも純水が自然落下し、これにより該開口部12aとフェース部2の外表面2aとの間に、純水の水柱が生成される。なお、前記タンクTには、貯水槽14内の純水が供給路15を通じて送給されるように構成されており、この供給路15には、純水をタンクTまで圧送するためのポンプPが配設されると共に、その上流側には異物を捕集するフィルタFが配設されている。
【0051】
前記超音波探傷子11には、超音波を発振するための信号及び/又は受振した信号を増幅するためのアンプ18が接続されると共に、このアンプ18には、インターフェース回路19を介してマイクロコンピュータ(パーソナルコンピュータ)20が接続されている。そして、このマイクロコンピュータ20には、超音波探傷器具10によるパネル1の検査結果を表示するモニター21と、その検査結果が不良品であると判断した場合にそのパネルを自動廃棄するためのシーケンサ22とが接続されている。なお、超音波探傷器具10の超音波探傷子11は、後述するように複数設けられており、各超音波探傷子11にそれぞれアンプ18が接続されている。
【0052】
この場合、図3(a)、(b)に示すように、パネル1はフェース部2の外表面2aが上を向くように搬送コンベア25上に載置され、矢印A方向に搬送される。一方、超音波探傷器具10は、前記搬送方向と直交する方向に配列された複数(図例では四個)の超音波探傷子11を一の検出ユニット26として、この検出ユニット26が搬送方向の複数箇所(図例では四箇所)に配列されることにより構成され、保持部材27により定置保持されている。そして、各検出ユニット26は、各超音波探傷子11が千鳥状になるように配列され、且つ、各超音波探傷子11は、搬送方向に抜け部分がないように、換言すれば、搬送されるパネル1のフェース部2が全域に亘って洩れなく各超音波探傷子11による検査を受け得るように配列されている。
【0053】
図4は、超音波によってパネル1のフェース部2を厚み方向に沿って検出した場合における信号波形の一例を示すグラフである。すなわち、超音波探傷子11から発振され且つ純水でなる水柱を媒体として伝播した超音波は、フェース部2の外表面2aからその内部に侵入するが、その侵入部においては、これに近接して配置されている超音波探傷子11との間で超音波が往復伝播することにより、同図に符号Eで示すような大きなノイズが発生する。これに対して、フェース部2の内表面2b側に至って反射した反射波は、ノイズの少ない鮮明な波形となり、内表面2b近傍(内表面から2〜3mm以内の領域)に存する内部欠点からの反射波は、符号Fで示すように明確に現れる。この場合、同図に示す寸法t1は、その内部欠点からフェース部2の内表面2bまでの距離を示し、寸法t2は、その内部欠点の大きさ(直径または最大長さ)を示すものである。なお、同図に示す寸法Tは、フェース部2の肉厚を示すものである。
【0054】
ここで、上記構成からなる検査装置において、超音波波長が10MHz好ましくは20MHzであって且つ超音波発振部の径(スポット径)が10mm好ましくは3mmの超音波探傷子11を使用し、フェース部2の内表面2bから0.6〜5.5mmの領域に0.1〜0.3mmの内部欠点が存在するパネル1を10個用意して、その内部欠点の検査を行なった。この結果、全てのパネル1について、内部欠点の検出を行なうことができた。
【0055】
そして、以上のような検査を行って不良品を廃棄処分とすることにより、図5に示すようなパネル1が得られる。すなわち、このパネル1は、フェース部2の内表面2bから5mm以内の領域(同図に斜線で示す領域)Bに、例えば0.15mm以上の内部欠点が存在せず、しかもその他の領域Cには、例えば0.5mm程度を超える内部欠点が存在しないものとなる。
【0056】
この場合、図2に示す検査装置によれば、検査する面積が大きくなることにより超音波探傷子11の数が多くなると、流下する各柱状流体の相互間隔が狭くなることにより各柱状流体が相互に干渉し、柱状流体の周面に存在する気体(空気)を巻き込んで、泡の発生を招く可能性が高くなり、これに起因して受振信号の波形にノイズが発生するという問題が生じる。このような問題は、検査物品であるパネル1と超音波探傷子11とを流体中に浸漬させるという構成(例えば、後述する構成)を採用することによって有効に回避することができる。
【0057】
図6(a)、(b)は、本発明の他の実施形態に係る検査装置を示すものである。なお、以下の図6(a)、(b)に基づく説明において、上述の実施形態に係る検査装置と共通の構成要件につては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】
この検査装置は、水槽30の中に非圧縮性流体としての純水を貯留すると共に、矢印A方向に駆動される搬送コンベア25と、これに載置されるパネル1と、超音波探傷子11の下端部である超音波発振部(受振部を兼ねる)とを、純水の中に浸漬させた状態で、パネル1のフェース部2の内部欠点を検出するように構成したものである。この検査装置によれば、パネル1が搬送コンベア25により搬送されて純水中に浸漬されている間に、そのフェース部2の内部欠点の検出が行なわれる。
【0059】
このように、超音波探傷子11の発振部とパネル1のフェース部2とを純水中に浸漬させた状態でフェース部2の内部欠点の検出を行なう構成であれば、多数の超音波探傷子11を配設できるため、フェース部2の広範囲に亘る内部欠点の検出が可能になると共に、大型のパネル1であっても適切にフェース部2の内部欠点を検出できることになる。
【0060】
なお、この検査装置によれば、パネル1が搬送コンベア25により搬送されて純水中に浸入していく過程で、パネル1の周辺に泡が発生するおそれがあり、これが原因となって受振信号の波形にノイズが発生する可能性があるため、パネル1の搬送速度(移動速度)を泡の発生が生じない程度に遅くすることが必要になる。
【0061】
この検査装置を使用して、下記の表1に示すNo.1〜No.3のパネルについての内部欠点の検出を行ない、モニターの画像に内部欠点が映るか否かを確認した。その結果を、下記の表1に示す。なお、表1中におけるNo.1及びNo.2のパネルは、本発明の実施例を示し、No.3のパネルは、比較例を示している。
【0062】
【表1】
【0063】
上記の表1から明らかなように、本発明の実施例であるNo.1及びNo.2のパネルは、フェース部の内表面から5mm以内の領域に存在する欠点の大きさが0.1mm以下であり、また、その領域よりも外表面側に存在する欠点の大きさも0.25mm以下と小さいため、欠点がモニターの画像に映し出されなかった。これに対して、比較例であるNo.3のパネルは、フェース部の内表面から5mm以内の領域に存在する欠点の大きさが0.2mm以上と大きいため、欠点がモニターの画像に映し出された。なお、上記の表1中、異形態の有無については、パネルに光を照射し、フェース部の内表面(蛍光膜が形成される部分)に焦点位置が存在する投写用レンズ系を介してスクリーンに拡大投影した場合に、黒色の異形態を容易に確認できなかったものを「○」とし、黒色の異形態を確認できたものを「×」とした。
【0064】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、超音波の反射波の特性ないしは反射波の強度特性に基づいて、フェース部の内外表面と略平行な面内における内部欠点の存在状況やその欠点の大きさのみならず、フェース部の厚み方向における内部欠点の存在状況をも知得できることになる。これにより、内部欠点の存在状況を三次元で正確に把握することができ、従来のように内部欠点の存在が二次元で把握できるに留まっていた場合のような欠点対策の作業の繁雑化や作業時間の長期化が回避されると共に、内部欠点位置の誤判断や廃棄処分の誤作業が効果的に回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る陰極線管用ガラスパネルの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る陰極線管用ガラスパネルの検査装置を示す概略正面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施形態に係る陰極線管用ガラスパネルの検査装置を示す概略平面図、図3(b)は、その検査装置を示す概略正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る検査装置による測定結果を示す信号波形である。
【図5】本発明の実施形態に係る陰極線管用ガラスパネルを示す拡大縦断正面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の他の実施形態に係る陰極線管用ガラスパネルの検査装置を示す概略平面図、図6(b)は、その検査装置を示す概略正面図である。
【図7】図7(a),(b),(c)はそれぞれ、従来の問題点を説明するための陰極線管用ガラスパネルを示す拡大縦断正面図である。
【符号の説明】
1 パネル(投写型陰極線管用ガラスパネル)
2 フェース部
2a 外表面
2b 内表面
10 超音波探傷器具
11 超音波探傷子
S 内部欠点
【産業上の利用分野】
本発明は、陰極線管用ガラスパネル及びその検査方法並びにその検査装置に係り、特に陰極線管用ガラスパネルのフェース部に存在する内部欠点を検出するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、テレビ受像機等の構成要素である陰極線管としては、いわゆる直視型陰極線管と、投写型陰極線管とが公知となっている。これらの陰極線管は、画像が映し出される略矩形のフェース部を有するパネルと、略矩形の大開口部から略円形の小開口部に至る略漏斗状の側壁部を有するファンネルとを備え、該ファンネルの小開口部に、電子銃が挿入されるネック部を連設して構成される。そして、パネルとファンネルとは、雌型と雄型とからなる金型を用いて溶融ガラスをプレス成型することにより製造されるものである。
【0003】
前記直視型陰極線管は、パネルの内表面に形成された蛍光膜に例えば各色の光を配列させることにより画像を映し出す構成であるのに対して、前記投写型陰極線管は、パネルの内表面に形成された所定の光を発する蛍光膜に電子線を照射させ、この蛍光膜に焦点位置が存在する投写用レンズ系を介してスクリーンに拡大投影することにより画像を映し出す構成である。
【0004】
これらの陰極線管を構成しているパネルは、単体の状態で、或いはファンネルと封着されてガラスバルブとされた状態で、そのフェース部に気泡や異物(固体)の混入等による内部欠点が存在しているか否かの検査が行われる。これらの内部欠点は、主として、ガラス原料を溶融する工程から上述のプレス成型工程において生じるものであって、パネル単体での検査は、パネルの製造に関与する各処理を終えた後に行なわれ、ガラスバルブでの検査は、パネルとファンネルとを封着してその他の各部品を装着するなどした後に行われるのが通例である。
【0005】
この種のパネルの検査は、従来においては、作業者の目視により、またはCCDカメラ等の光学的カメラを使用することにより行われていた。そして、この検査において、不当に大きな欠点或いは不当に多数の欠点が検出された場合には、映し出される画像に顕著な悪影響を及ぼすことから、それらのパネルやガラスバルブは、廃棄処分とされているのが実情である。
【0006】
更に、近年においては、下記の特許文献1及び特許文献2に開示されているように、超音波を利用して被検査物(例えばパネル)の欠陥の有無を検出することが行なわれている。
【0007】
【特許文献1】
特開平06−018486号公報
【特許文献2】
特開平05―273180号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パネルの内部欠点の検査を、従来のように目視や光学的カメラにより行なう手法によれば、フェース部の内外表面と平行な面内における二次元的な内部欠点の存在状況を知得できるに過ぎないため、以下に示すような問題を招来していた。
【0009】
すなわち、このような検査手法では、フェース部の厚み方向(管軸と平行な方向)における内部欠点の存在状況を知得することができないため、例えば内部欠点がフェース部の外表面側に集中的に存在していたり、これとは逆に内表面側に集中的に存在していても、その差異を明確に把握することができない。
【0010】
詳述すると、図7(a)に示すようにパネル1’のフェース部2’における厚み方向の全領域に内部欠点S’が存在している状態と、図7(b)に示すようにフェース部2’の外表面2a’近傍にのみ内部欠点S’が存在している状態と、図7(c)に示すようにフェース部2’の内表面2b’近傍にのみ内部欠点S’が存在している状態とを、明確に区別して把握することができない。
【0011】
このため、仮にフェース部の厚み方向における内部欠点の集中的な存在箇所が判明したとすれば、そのような欠点が生じる原因、例えばガラス溶融条件の誤り、ガラス溶融窯の欠陥、及びガラス成分の認識ミス等を容易につきとめることができるにも拘わらず、その可能性が閉ざされてしまうことになる。
【0012】
したがって、ガラス溶融条件の誤り、ガラス溶融窯の欠陥、更にはガラス成分等に対して何ら対策を講じることなく、これらを放置した状態で試行錯誤等により内部欠点の発生を防止せねばならなくなり、欠点対策に面倒且つ繁雑な作業を強いられるばかりでなく、問題解決に遅れが生じるおそれをも招く。
【0013】
特に、投写型陰極線管に使用されるパネルでは、フェース部の内表面(蛍光膜)に、投写用レンズ系の焦点が存在しているため、その内表面近傍に内部欠点が存在していると、この欠点が拡大されて例えば黒色の異形態として画像に映し出される。これに対して、フェース部の厚み方向中央部や外表面近傍に内部欠点が存在していても、この内部欠点は、レンズ系の焦点から離隔していることによるレンズ効果によって、広領域にぼかされた状態となるため、内部欠点の存在を視認できなくなる傾向がある。
【0014】
したがって、フェース部の厚み方向における中央部付近や外表面、つまり内表面近傍を除く部位に、欠点が存在している場合には、そのパネルは使用可能であるにも拘わらず、上述のように平面的に欠点の存在状況を検出する手法では、そのパネルは不良品であると判断され、パネルあるいはガラスバルブが廃棄処分にされるという誤作業を招く。
【0015】
このような誤判断や誤作業は、パネルやガラスバルブの製造工程に無駄を生じさせる原因になると共に、製造コストをいたずらに上昇させる原因にもなり、製造作業の円滑化や工期の短縮を図る上で、大きな妨げとなる。
【0016】
そして、近年における走査線の倍増や高精細化に伴って、パネルのフェース部における内表面近傍に生じている内部欠点が画像に顕著な悪影響を与えるに至っているため、この内部欠点を如何に適切に検出するかという事項は、重要な問題となっている。
【0017】
なお、上記の特許文献1及び特許文献2に開示された装置によるにしても、超音波により欠陥の有無を検出できるに留まるため、実質的には上述の場合と同様に、平面的に欠陥の存在状況を把握できるに過ぎず、誤判断や誤作業に起因する既述の問題が依然として残存することになる。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パネルのフェース部における内外表面と平行な面上の欠点の存在状況のみならず、該フェース部の厚み方向に対する内部欠点の存在状況をも正確且つ容易に検出可能とし、内部欠点の存在を三次元的に知得できないことによる欠点対策作業の繁雑化やパネル或いはバルブの不当な廃棄を回避することを技術的課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る方法は、略矩形のフェース部と、該フェース部の周縁に略垂直に連なるスカート部とを備えた陰極線管構成要素であるガラスパネルを検査する方法において、前記フェース部の内部欠点の大きさと深さとを、超音波を用いて検出することを特徴とするものである。
【0020】
ここで、「内部欠点の深さ」とは、フェース部の厚み方向における内表面または外表面からの肉厚内部への深さを意味する。また、ガラスパネルの検査は、ガラスパネル単体の状態で行なってもよく、或いはガラスパネルとガラスファンネルとを封着してなるガラスバルブの状態で行なってもよい。
【0021】
このような構成によれば、超音波の反射波の特性ないしは反射波の強度特性に基づいて、フェース部の内外表面と略平行な面内における内部欠点の存在状況やその欠点の大きさのみならず、フェース部の厚み方向における内部欠点の存在位置つまり深さをも知得できることになる。これにより、内部欠点の存在状況を三次元で正確に把握することができ、従来のように内部欠点の存在が二次元で把握できるに留まっていた場合のような欠点対策の作業の繁雑化や作業時間の長期化が回避されると共に、内部欠点位置の誤判断や廃棄処分の誤作業が効果的に回避される。
【0022】
この場合、前記フェース部の外表面及び内表面の何れか一方の表面側から他方の表面側に向かって超音波を発振させ、且つ前記他方の表面側及び内部欠陥で反射した反射波を受振することにより、前記内部欠点の大きさと、該内部欠点の前記他方の表面からの距離とを検出することが好ましい。
【0023】
このようにすれば、一方の表面側からのフェース部への侵入部における超音波の反射波は、ノイズの発生が大きくなるため、この一方の表面近傍においては、内部欠点を精度良く検出できないのに対して、他方の表面側で反射した超音波の反射波は、ノイズの少ない鮮明な波形となるため、他方の表面近傍においては、内部欠点を精度良く検出できることになる。したがって、この反射波を有効利用すれば、前記他方の表面近傍における内部欠点の大きさと、他方の表面からの内部欠点の距離とを、正確に検出することが可能となる。詳述すると、超音波の発振源(受振部を含む。以下同様)をフェース部の一方の表面から離隔させた場合には、超音波が減衰して内部欠点の検出を良好に行なえなくなるため、超音波の発振源は前記一方の表面に近接させる必要がある。しかしながら、このように近接配置した場合には、前記一方の表面と発振源との間で超音波が往復伝播するために、ノイズが大きくなると共に、これに伴って内部欠点を検出できない領域が広くなる。そこで、ノイズが少ない前記反射波が発生する側において内部欠点を検出できる領域を広くしたい場合には、その反射波が発生する側の表面と反対側の表面から超音波を侵入させることが肝要である。
【0024】
また、場合によっては、前記フェース部の外表面側から内表面側に向かって超音波を発振させ、且つ前記内表面側及び内部欠点で反射した反射波を受振することにより、前記内部欠点の大きさと、該内部欠点の前記内表面からの距離とを検出することが好ましい。
【0025】
このようにすれば、上記のような超音波の反射波の特性から認識できるように、フェース部の内表面近傍に存在する内部欠点が、鮮明な反射波によって精度良く検出されることになるため、特にフェース部の内表面近傍の内部欠点が重要となる投写型陰極線管のパネルにおいては、好都合な内部欠点の検査が行なわれることになる。この場合、フェース部の内表面から5mm以内の領域で、直径または最大長さが0.15mm以上の内部欠点が検出された場合には、不良と判断して廃棄の対象とする。一方、これ以外の領域で、例えば直径または最大長さが0.5mm程度またはそれ以下の内部欠点が検出された場合には、良品と判断することが一例として挙げられる。
【0026】
上記構成の検査方法を確実化させるには、前記超音波を発振及び受振させる際における該超音波のフェース部外方での伝播を、非圧縮性流体を媒体として行なわせることが好ましい。
【0027】
すなわち、仮に超音波が発振源からフェース部内に侵入するまでの間に、該超音波が圧縮性流体を媒体として伝播するとしたならば、超音波の振動エネルギーが圧縮性流体の変形に利用されて減衰してしまうことになる。しかしながら、本発明によれば、フェース部の外方においては、超音波が非圧縮性流体を媒体として伝播することになるので、振動エネルギーの著しい低下やこれに伴なう超音波の減衰は生じ難くなる。
【0028】
この場合、前記非圧縮性流体は、前記超音波の発振及び受振の経路を覆い且つフェース部の内外表面よりも流路面積の小さな柱状の流通流体とすることができる。
【0029】
このようにすれば、超音波の発振及び受振の経路との関連において、柱状の流通流体の流路面積が不当に大きくならず、流通流体の無駄を生じることなく、超音波が非圧縮性流体中を伝播できることになる。なお、この場合には、超音波の発振及び受振の経路並びに柱状の流通流体を複数箇所に生成しておくことが必要となる。
【0030】
また、前記非圧縮性流体中に、前記超音波の発振及び受振を行なう超音波探傷器具及びガラスパネルを浸漬させるようにしてもよい。
【0031】
このようにすれば、非圧縮性流体として上述のように柱状の流通流体を複数箇所に生成する場合に生じる問題、つまり複数の流通流体が相互に干渉して泡を巻き込む等の問題を回避した上で、検査面積が大きいガラスパネルに対して、多数の超音波探傷器具を設置できることになり、したがって多数の超音波の発振及び受振の経路を密に生成することが可能となる。なお、この場合であっても、ガラスパネル及び超音波探傷器具を非圧縮性流体に浸漬させる際には、その浸入速度が高速であることや非圧縮性流体が攪拌されること等に起因して、泡を巻き込む可能性があり、したがって検査時間の短縮や装置の小型化を図るには自ずと制約が生じてくる。
【0032】
上記の構成において、超音波の発振及び受振を行なう超音波探傷器具は、ガラスパネルに対して相対移動するように構成されていることが好ましい。
【0033】
このように、超音波探傷器具がガラスパネルに対して相対移動するように構成すれば、必要最小限の個数の超音波探傷器具を配設するだけでフェース部の全領域について内部欠点の検出を行なうことが可能となる。この場合、超音波探傷器具の発振面は、相対移動方向と直交する方向に複数配設されることが好ましく、更に、この複数配設された発振面の群は、相対移動方向の複数箇所に各群が千鳥状となるように配設されることが好ましい。なお、この場合には、パネルのフェース部との関連において、相対移動方向に対して発振面の抜け(相対移動しても発振面が通過しない領域)が生じないように、各発振面を規則的に配設することが必要になる。
【0034】
上記の構成を備えたガラスパネルは、投写型陰極線管に用いられるガラスパネルであることが好適である。
【0035】
このようにすれば、ガラスパネルのフェース部の厚み方向についても、内部欠点の大きさ及び位置を把握できることから、特に内表面近傍の内部欠点の存在が重要となるこの種の投写型陰極線管においては、その内表面近傍の内部欠点の存在状況を正確に認識した上で、良否判断及び廃棄処分妥当性の判断を行なえることになり、この種の陰極線管の近年における高精細化等の要請に適切に対処することが可能となる。
【0036】
一方、上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る装置は、略矩形のフェース部と、該フェース部の周縁に略垂直に連なるスカート部とを備えた陰極線管構成要素であるガラスパネルを検査する装置において、前記フェース部の内部欠点の大きさと深さとを超音波を用いて検出する超音波探傷器具を備えていることを特徴とするものである。
【0037】
このような構成を備えた検査装置によっても、既に述べたように、超音波探傷器具により発振及び受振される超音波の作用によって、フェース部の内外表面に略平行な面内のみならず、厚み方向についても内部欠点の大きさ及び深さが検出されることになり、既述の場合と同様の利点を享受できる。
【0038】
この装置は、前記超音波探傷器具の超音波探傷子から超音波が発振及び受振している際に、該超音波探傷子からフェース部の外表面または内表面に柱状の非圧縮性流体を流下させるように構成することができる。ここで、「非圧縮性流体の流下」は、自重による自然落下であることが好ましい。
【0039】
このような構成によっても、超音波が非圧縮性流体を媒体として伝播することによる既述の利点を享受できることに加えて、非圧縮性流体を自然落下させるようにした場合には、例えばポンプにより強制流下させる場合のような流量の変動が生じず、したがって流量の変動に起因するノイズの発生を適正に防止することが可能となる。
【0040】
また、この装置は、前記超音波探傷器具の超音波探傷子及び検査されるガラスパネルを非圧縮性流体中に浸漬させるように構成することもできる。
【0041】
このようにすれば、超音波探傷子とガラスパネルとが非圧縮性流体中に存在することから、超音波の発振及び受振の経路に空気等の気体が介在する可能性がなくなる。これにより、非圧縮性流体として上述のように柱状の流通流体を流下させ且つガラスパネルの検査面積が大きいために柱状の流通流体を複数箇所で流下させる場合に生じる問題、つまり複数の流通流体が相互に干渉して泡を巻き込む等の問題が回避される。なお、超音波探傷子やガラスパネルは、大気(空気)の雰囲気中に晒されているのが通例であるため、これらが非圧縮性流体中に浸入していく過程においては、空気を同伴するという事態を招く。そして、これらの浸入速度が高速であることや非圧縮性流体が攪拌されること等に起因して、泡を巻き込む可能性があり、したがって検査時間の短縮や装置の小型化を図るには自ずと制約が生じてくる。
【0042】
また、上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る陰極線管用ガラスパネルは、略矩形のフェース部と、該フェース部の周縁に略垂直に連なるスカート部とを備えた構成において、前記フェース部の内表面から5mm以内の領域に、直径または最大長が0.15mm以上の欠点が存在しないことを特徴とするものである。
【0043】
すなわち、例えば投写型陰極線管に使用されるガラスパネルでは、フェース部の内表面(蛍光膜)に、投写用レンズ系の焦点が存在しているため、フェース部の内表面から5mm以内の領域に内部欠点が存在すると、この欠点が拡大されて、例えば黒色の異形態として画像に映し出されることになる。このため、フェース部の内表面から5mm以内(好ましくは3mm以内)の領域に存在する内部欠点は、直径または最大長で0.15mm未満(好ましくは0.1mm以下)であることが好ましい。
【0044】
これに対して、フェース部の厚み方向中央部や外表面近傍に存在する内部欠点は、レンズ系の焦点から離隔していることによるレンズ効果が原因となって、広領域にぼかされた状態となるため、内部欠点の存在を視認できなくなる傾向がある。但し、内部欠点が大き過ぎると、その内部欠点が画像に映し出されやすくなるため、フェース部の厚み方向中央部や外表面近傍に存在する内部欠点の大きさは、0.5mm以下であることが望ましい。
【0045】
このような構成によれば、フェース部の内表面から5mmを超える領域に内部欠点が存在しているものであっても、内表面から5mm以内の領域との関連においてその内部欠点が問題とならなければ製品として採用されるものであるため、無駄な廃棄処分が行なわれることなく、必要とされる条件及び品質を満たしたガラスパネル或いはガラスバルブが製品として市場に提供されることになる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る投写型陰極線管のガラスパネル(以下、単にパネルという)を示す斜視図、図2は、そのパネルの検査装置の要部を示す概略正面図、図3(a)は、その検査装置の全体を示す概略平面図、図3(b)は、その検査装置の全体を示す概略正面である。
【0047】
図1に示すように、パネル1は、画像を表示する有効画面を備えたフェース部2と、該フェース部2の周縁にブレンドR部3を介して該フェース部2を囲繞するように略直角に連なるスカート部4とを備える。そして、スカート部4は、四つの対角部4aで連なる各辺部4bを有し、この各辺部4bの先端における開口端には、ファンネルとの接合に供される封着端面5が形成されている。
【0048】
図2は、前記パネル1におけるフェース部2の内部欠点Sを検出する検査装置を例示するものである。同図に示すように、パネル1は、フェース部2の外表面2aが上側となるように載置されており、そのフェース部2の外表面2aから上方に3〜4mm離隔した位置に、超音波探傷器具10の超音波探傷子11が配設されている。この超音波探傷子11は、円柱体であると共に、その下端面には、直径が3mmの超音波発振部(受振部を兼ねる)が設けられている。
【0049】
この超音波探傷子11は、下端中央に超音波通過用の開口部12aを有し且つ上端中央に非圧縮性流体(以下、流体という)流入用の開口部12bを有する通路形成部材12により覆われており、上端の開口部12aを通過した流体(純水)は、超音波探傷子11と通路形成部材12との間に形成される流体流通空間SPを介して下端の開口部12aから流下するようになっている。
【0050】
前記通路形成部材12の上端の開口部12aと、その上方に配設されたタンクTの下端部とは、流体流下路13を介して連通されており、タンクT内の純水は、流体流下路13を通じて自然落下するように構成されている。したがって、通路形成部材12の下端の開口部12aからも純水が自然落下し、これにより該開口部12aとフェース部2の外表面2aとの間に、純水の水柱が生成される。なお、前記タンクTには、貯水槽14内の純水が供給路15を通じて送給されるように構成されており、この供給路15には、純水をタンクTまで圧送するためのポンプPが配設されると共に、その上流側には異物を捕集するフィルタFが配設されている。
【0051】
前記超音波探傷子11には、超音波を発振するための信号及び/又は受振した信号を増幅するためのアンプ18が接続されると共に、このアンプ18には、インターフェース回路19を介してマイクロコンピュータ(パーソナルコンピュータ)20が接続されている。そして、このマイクロコンピュータ20には、超音波探傷器具10によるパネル1の検査結果を表示するモニター21と、その検査結果が不良品であると判断した場合にそのパネルを自動廃棄するためのシーケンサ22とが接続されている。なお、超音波探傷器具10の超音波探傷子11は、後述するように複数設けられており、各超音波探傷子11にそれぞれアンプ18が接続されている。
【0052】
この場合、図3(a)、(b)に示すように、パネル1はフェース部2の外表面2aが上を向くように搬送コンベア25上に載置され、矢印A方向に搬送される。一方、超音波探傷器具10は、前記搬送方向と直交する方向に配列された複数(図例では四個)の超音波探傷子11を一の検出ユニット26として、この検出ユニット26が搬送方向の複数箇所(図例では四箇所)に配列されることにより構成され、保持部材27により定置保持されている。そして、各検出ユニット26は、各超音波探傷子11が千鳥状になるように配列され、且つ、各超音波探傷子11は、搬送方向に抜け部分がないように、換言すれば、搬送されるパネル1のフェース部2が全域に亘って洩れなく各超音波探傷子11による検査を受け得るように配列されている。
【0053】
図4は、超音波によってパネル1のフェース部2を厚み方向に沿って検出した場合における信号波形の一例を示すグラフである。すなわち、超音波探傷子11から発振され且つ純水でなる水柱を媒体として伝播した超音波は、フェース部2の外表面2aからその内部に侵入するが、その侵入部においては、これに近接して配置されている超音波探傷子11との間で超音波が往復伝播することにより、同図に符号Eで示すような大きなノイズが発生する。これに対して、フェース部2の内表面2b側に至って反射した反射波は、ノイズの少ない鮮明な波形となり、内表面2b近傍(内表面から2〜3mm以内の領域)に存する内部欠点からの反射波は、符号Fで示すように明確に現れる。この場合、同図に示す寸法t1は、その内部欠点からフェース部2の内表面2bまでの距離を示し、寸法t2は、その内部欠点の大きさ(直径または最大長さ)を示すものである。なお、同図に示す寸法Tは、フェース部2の肉厚を示すものである。
【0054】
ここで、上記構成からなる検査装置において、超音波波長が10MHz好ましくは20MHzであって且つ超音波発振部の径(スポット径)が10mm好ましくは3mmの超音波探傷子11を使用し、フェース部2の内表面2bから0.6〜5.5mmの領域に0.1〜0.3mmの内部欠点が存在するパネル1を10個用意して、その内部欠点の検査を行なった。この結果、全てのパネル1について、内部欠点の検出を行なうことができた。
【0055】
そして、以上のような検査を行って不良品を廃棄処分とすることにより、図5に示すようなパネル1が得られる。すなわち、このパネル1は、フェース部2の内表面2bから5mm以内の領域(同図に斜線で示す領域)Bに、例えば0.15mm以上の内部欠点が存在せず、しかもその他の領域Cには、例えば0.5mm程度を超える内部欠点が存在しないものとなる。
【0056】
この場合、図2に示す検査装置によれば、検査する面積が大きくなることにより超音波探傷子11の数が多くなると、流下する各柱状流体の相互間隔が狭くなることにより各柱状流体が相互に干渉し、柱状流体の周面に存在する気体(空気)を巻き込んで、泡の発生を招く可能性が高くなり、これに起因して受振信号の波形にノイズが発生するという問題が生じる。このような問題は、検査物品であるパネル1と超音波探傷子11とを流体中に浸漬させるという構成(例えば、後述する構成)を採用することによって有効に回避することができる。
【0057】
図6(a)、(b)は、本発明の他の実施形態に係る検査装置を示すものである。なお、以下の図6(a)、(b)に基づく説明において、上述の実施形態に係る検査装置と共通の構成要件につては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】
この検査装置は、水槽30の中に非圧縮性流体としての純水を貯留すると共に、矢印A方向に駆動される搬送コンベア25と、これに載置されるパネル1と、超音波探傷子11の下端部である超音波発振部(受振部を兼ねる)とを、純水の中に浸漬させた状態で、パネル1のフェース部2の内部欠点を検出するように構成したものである。この検査装置によれば、パネル1が搬送コンベア25により搬送されて純水中に浸漬されている間に、そのフェース部2の内部欠点の検出が行なわれる。
【0059】
このように、超音波探傷子11の発振部とパネル1のフェース部2とを純水中に浸漬させた状態でフェース部2の内部欠点の検出を行なう構成であれば、多数の超音波探傷子11を配設できるため、フェース部2の広範囲に亘る内部欠点の検出が可能になると共に、大型のパネル1であっても適切にフェース部2の内部欠点を検出できることになる。
【0060】
なお、この検査装置によれば、パネル1が搬送コンベア25により搬送されて純水中に浸入していく過程で、パネル1の周辺に泡が発生するおそれがあり、これが原因となって受振信号の波形にノイズが発生する可能性があるため、パネル1の搬送速度(移動速度)を泡の発生が生じない程度に遅くすることが必要になる。
【0061】
この検査装置を使用して、下記の表1に示すNo.1〜No.3のパネルについての内部欠点の検出を行ない、モニターの画像に内部欠点が映るか否かを確認した。その結果を、下記の表1に示す。なお、表1中におけるNo.1及びNo.2のパネルは、本発明の実施例を示し、No.3のパネルは、比較例を示している。
【0062】
【表1】
【0063】
上記の表1から明らかなように、本発明の実施例であるNo.1及びNo.2のパネルは、フェース部の内表面から5mm以内の領域に存在する欠点の大きさが0.1mm以下であり、また、その領域よりも外表面側に存在する欠点の大きさも0.25mm以下と小さいため、欠点がモニターの画像に映し出されなかった。これに対して、比較例であるNo.3のパネルは、フェース部の内表面から5mm以内の領域に存在する欠点の大きさが0.2mm以上と大きいため、欠点がモニターの画像に映し出された。なお、上記の表1中、異形態の有無については、パネルに光を照射し、フェース部の内表面(蛍光膜が形成される部分)に焦点位置が存在する投写用レンズ系を介してスクリーンに拡大投影した場合に、黒色の異形態を容易に確認できなかったものを「○」とし、黒色の異形態を確認できたものを「×」とした。
【0064】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、超音波の反射波の特性ないしは反射波の強度特性に基づいて、フェース部の内外表面と略平行な面内における内部欠点の存在状況やその欠点の大きさのみならず、フェース部の厚み方向における内部欠点の存在状況をも知得できることになる。これにより、内部欠点の存在状況を三次元で正確に把握することができ、従来のように内部欠点の存在が二次元で把握できるに留まっていた場合のような欠点対策の作業の繁雑化や作業時間の長期化が回避されると共に、内部欠点位置の誤判断や廃棄処分の誤作業が効果的に回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る陰極線管用ガラスパネルの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る陰極線管用ガラスパネルの検査装置を示す概略正面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施形態に係る陰極線管用ガラスパネルの検査装置を示す概略平面図、図3(b)は、その検査装置を示す概略正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る検査装置による測定結果を示す信号波形である。
【図5】本発明の実施形態に係る陰極線管用ガラスパネルを示す拡大縦断正面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の他の実施形態に係る陰極線管用ガラスパネルの検査装置を示す概略平面図、図6(b)は、その検査装置を示す概略正面図である。
【図7】図7(a),(b),(c)はそれぞれ、従来の問題点を説明するための陰極線管用ガラスパネルを示す拡大縦断正面図である。
【符号の説明】
1 パネル(投写型陰極線管用ガラスパネル)
2 フェース部
2a 外表面
2b 内表面
10 超音波探傷器具
11 超音波探傷子
S 内部欠点
Claims (12)
- 略矩形のフェース部と、該フェース部の周縁に略垂直に連なるスカート部とを備えた陰極線管構成要素であるガラスパネルを検査する方法において、
前記フェース部の内部欠点の大きさと深さとを、超音波を用いて検出することを特徴とする陰極線管用ガラスパネルの検査方法。 - 前記フェース部の外表面及び内表面の何れか一方の表面側から他方の表面側に向かって超音波を発振させ、且つ前記他方の表面側及び内部欠点で反射した反射波を受振することにより、前記内部欠点の大きさと、該内部欠点の前記他方の表面からの距離とを検出することを特徴とする請求項1に記載の陰極線管用ガラスパネルの検査方法。
- 前記フェース部の外表面側から内表面側に向かって超音波を発振させ、且つ前記内表面側及び内部欠点で反射した反射波を受振することにより、前記内部欠点の大きさと、該内部欠点の前記内表面からの距離とを検出することを特徴とする請求項1または2に記載の陰極線管用ガラスパネルの検査方法。
- 前記超音波を発振及び受振させる際における該超音波のフェース部外方での伝播を、非圧縮性流体を媒体として行なわせることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の陰極線管用ガラスパネルの検査方法。
- 前記非圧縮性流体が、前記超音波の発振及び受振の経路を覆い且つフェース部の内外表面よりも流路面積の小さな柱状の流通流体であることを特徴とする請求項4に記載の陰極線管用ガラスパネルの検査方法。
- 前記超音波の発振及び受振を行なう超音波探傷器具及びガラスパネルを、前記非圧縮性流体中に浸漬させることを特徴とする請求項4に記載の陰極線管用ガラスパネルの検査方法。
- 前記超音波の発振及び受振を行なう超音波探傷器具が、ガラスパネルに対して相対移動するように構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の陰極線管用ガラスパネルの検査方法。
- 前記ガラスパネルが、投写型陰極線管に用いられるガラスパネルであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の陰極線管用ガラスパネルの検査方法。
- 略矩形のフェース部と、該フェース部の周縁に略垂直に連なるスカート部とを備えた陰極線管構成要素であるガラスパネルを検査する装置において、
前記フェース部の内部欠点の大きさと深さとを超音波を用いて検出する超音波探傷器具を備えていることを特徴とする陰極線管用ガラスパネルの検査装置。 - 前記超音波探傷器具の超音波探傷子が超音波の発振及び受振を行っている際に、該超音波探傷子からフェース部の外表面または内表面に柱状の非圧縮性流体を流下させるように構成したことを特徴とする請求項9に記載の陰極線管用ガラスパネルの検査装置。
- 前記超音波探傷器具の超音波探傷子及び検査されるガラスパネルが非圧縮性流体中に浸漬していることを特徴とする請求項9に記載の陰極線管用ガラスパネルの検査装置。
- 略矩形のフェース部と、該フェース部の周縁に略垂直に連なるスカート部とを備えた陰極線管構成要素であるガラスパネルにおいて、
前記フェース部の内表面から5mm以内の領域に、直径または最大長が0.15mm以上の欠点が存在しないことを特徴とする陰極線管用ガラスパネル。
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