JP2004004634A - 焦点位置検出装置およびそれを備えた蛍光顕微鏡 - Google Patents

焦点位置検出装置およびそれを備えた蛍光顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】物体からの光量が少なくても良好に焦点検出を行える焦点位置検出装置およびそれを備えた蛍光顕微鏡を提供する。
【解決手段】物体25を斜光照明する照明手段(11〜18,26)と、照明手段により斜光照明された物体からの光を集光して、物体の像を形成する像形成手段(26〜27,19)と、物体の像形成手段による合焦位置と共役な面(例えば、受光視野絞り20の配置面)の後方に配された受光面を有し、像形成手段により受光面に形成される像に応じて受光面に入射する光量を検出する光量検出手段21とを備える。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焦点位置検出装置およびそれを備えた蛍光顕微鏡に関し、特に、光学機器のオートフォーカス機構に適用して好適な焦点位置検出装置およびそれを備えた蛍光顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、顕微鏡やカメラなどの光学機器には、所定の結像面(例えばイメージセンサの撮像面)に物体の鮮明な像を形成するため、オートフォーカス機構が設けられている。また、オートフォーカス機構の中で重要な部分は、光学系により結像される像と所定の結像面との位置ずれ(焦点ずれ)を検出するための焦点位置検出装置である。焦点位置検出装置としては、物体の像を画像として取り込み、その画像のコントラストに基づいて焦点検出を行う方式が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3239343号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の画像コントラスト方式は、物体から発生する光の光量の影響を受けやすい。このため、物体からの光量が少ないと、焦点検出に膨大な時間を要したり、焦点検出が困難になったりする。
【0005】
本発明の目的は、物体からの光量が少なくても良好に焦点検出を行える焦点位置検出装置およびそれを備えた蛍光顕微鏡を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の焦点位置検出装置は、物体を斜光照明する照明手段と、前記照明手段により斜光照明された前記物体からの光を集光して、前記物体の像を形成する像形成手段と、前記物体の前記像形成手段による合焦位置と共役な面の後方に配された受光面を有し、前記像形成手段により前記受光面に形成される前記像に応じて前記受光面に入射する光量を検出する光量検出手段とを備えたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の焦点位置検出装置において、前記光量検出手段で検出した光量に基づいて焦点位置を検出する焦点位置検出手段をさらに備え、前記像形成手段は、光軸方向に移動する移動手段を有し、前記光量検出手段は、前記像形成手段を光軸方向に移動して複数の位置で光量を検出し、前記焦点位置検出手段は、前記複数の位置で検出した光量のうち最大の光量を検出した位置を焦点位置とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の焦点位置検出装置において、前記合焦位置と共役な面に、受光視野絞りが配置され、前記光量検出手段が、前記受光視野絞りを介して前記受光面に形成される前記像に応じて、前記光量を検出するものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の焦点位置検出装置において、前記照明手段が、前記物体の照明範囲を規定する照明視野絞りを有し、前記照明視野絞りと前記受光視野絞りとを、相似形状としたものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の焦点位置検出装置において、前記照明手段と前記像形成手段とは、前記合焦位置と共役な面から前記物体までの間に配置された光学素子が共通であり、前記照明視野絞りは、前記受光視野絞りとしても機能するものである。
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の焦点位置検出装置において、前記照明視野絞りおよび前記受光視野絞りの大きさを調整する調整手段をさらに備えたものである。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6の何れか1項に記載した焦点位置検出装置において、前記合焦位置と共役な面の後方に配された補助用の受光面を有し、該補助用の受光面に入射する光量に応じて前記物体の位置ずれ方向を検出する方向検出手段をさらに備えたものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7の何れか1項に記載した焦点位置検出装置において、前記照明手段は、無限遠系の対物レンズを利用して前記物体を斜光照明する手段であり、前記対物レンズの瞳面と共役な開口絞りを有するものである。
【0011】
請求項9に記載の発明は、請求項3から請求項8に記載の焦点位置検出装置において、前記受光視野絞りの形状と該受光視野絞りの配置面に形成される前記像の形状とに応じた関数を用いて、前記光量検出手段による検出光量と前記物体の位置との関係を近似することにより、前記合焦位置を算出する算出手段をさらに備えたものである。
【0012】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の焦点位置検出装置において、前記算出手段は、前記合焦位置の前後の各々において前記検出光量と前記物体の位置との関係を直線で近似し、得られた2つの直線の交点に基づいて前記合焦位置を算出するものである。
請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項10の何れか1項に記載した焦点位置検出装置において、前記照明手段は、前記物体に含まれる蛍光物質を励起可能な波長域の光で、前記物体を斜光照明する手段であり、前記像形成手段は、前記物体からの蛍光を集光して、前記物体の蛍光像を形成する手段であり、前記光量検出手段は、前記受光面に形成される前記蛍光像に応じて前記受光面に入射する光量を検出するものである。
【0013】
請求項12に記載の発明は、蛍光物質で標識された物体の蛍光観察に用いられる蛍光顕微鏡において、無限遠系の対物レンズと、請求項11に記載の焦点位置検出装置とを備え、前記照明手段は、前記対物レンズを利用して前記物体を斜光照明し、前記像形成手段は、前記対物レンズを利用して前記物体の蛍光像を形成するものである。
【0014】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の蛍光顕微鏡において、前記物体の蛍光観察時に、前記蛍光物質を励起可能な波長の光で、前記対物レンズを利用して前記物体を照明する観察照明手段と、前記焦点位置検出装置の前記照明手段による照明タイミングと前記観察照明手段による照明タイミングとを切り換える切換制御手段とを備えたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、請求項1〜請求項4,請求項8,請求項11に対応する。ここでは、図1に示すように、標本25の蛍光像を形成する観察系(26〜28)に組み込まれた焦点位置検出装置10の例を説明する。標本25(物体)は、例えば、蛍光物質で標識された生物標本(DNAや蛋白質など)である。
【0016】
この標本25は、不図示のステージ上に載置され、観察系(26〜28)の光軸20aの方向に沿って移動可能である。光軸20aの方向を「z方向」とする。なお、図1には、標本25が観察系(26〜28)の焦点位置に一致した状態(合焦状態)を例示している。このときの標本25のZ位置を「合焦位置」という。
まず、焦点位置検出装置10の説明に先立って、観察系(26〜28)の構成を説明しておく。観察系(26〜28)は、無限遠系の対物レンズ26と、第2対物レンズとして機能する結像レンズ27と、これら対物レンズ26,結像レンズ27の間に配置された波長選択フィルタ28とで構成されている。波長選択フィルタ28は、標本25から発生した蛍光(例えば波長520nm〜600nmの光)を選択的に透過する特性を持つ。
【0017】
標本25の蛍光観察時、合焦状態の標本25から発生した蛍光は、対物レンズ26と結像レンズ27の作用によって、標本25の合焦位置と共役な所定の結像面29に集光される。このとき、所定の結像面29には、標本25の蛍光像が鮮明に形成される。
図示省略したが、所定の結像面29(または結像面29と共役な面)には、2次元撮像素子(例えばCCDイメージセンサ)が設置されている。そして、標本25が合焦状態にあるときには、標本25の鮮明な蛍光像を2次元撮像素子によって取り込むことができる。第1実施形態では、対物レンズ26と結像レンズ27とによる観察倍率を20倍、対物レンズ26の開口数を0.4とする。
【0018】
さて、第1実施形態の焦点位置検出装置10は、標本25が合焦状態にあるか否かを検出するための装置であり、照明系(11〜18)と受光系(19〜21)とを有している。さらに、上記の観察系(26〜28)は、焦点位置検出装置10としての機能も兼用している。このため、焦点位置検出装置10の構成要素としては、照明系(11〜18)と受光系(19〜21)だけでなく、観察系(26〜28)も含まれる。
【0019】
照明系(11〜18)の構成を具体的に説明する。照明系(11〜18)は、光軸10aに沿って、光源11と、レンズ12,13と、開口絞り14と、レンズ15と、照明視野絞り16と、レンズ17と、ダイクロイックミラー18とが順に配置された構成となっている。
また、照明系(11〜18)は、その光軸10aが上記した観察系(26〜28)の光軸20aに対して略直交する向きで、観察系(26〜28)の対物レンズ26と波長選択フィルタ28との間に組み込まれる。このとき、照明系(11〜18)のうち、ダイクロイックミラー18が光軸20a上に配置される。
【0020】
照明系(11〜18)の光源11は、例えば高圧水銀ランプであり、紫外線や可視光線などの励起光を発生する。励起光は、標本25に含まれる蛍光物質を励起可能な波長域(例えば505nm以下)の光である。光源11からの励起光は、レンズ12,13を介した後、開口絞り14に達する。
開口絞り14は、観察系(26〜28)の対物レンズ26の瞳面(像側焦点面)と共役な面に配置されている。また、開口絞り14には、照明系(11〜18)の光軸10aから外れた位置に円形状の開口14aが設けられている。開口絞り14の開口14aを通過した励起光は、レンズ15を介した後、照明視野絞り16に達する。
【0021】
照明視野絞り16は、標本25の合焦位置および結像面29と共役な面に配置されている。また、照明視野絞り16には、照明系(11〜18)の光軸10a上に細長いスリット形状の開口16aが設けられている。開口16aの長手方向は、紙面に垂直である。照明視野絞り16の開口16aを通過した励起光L1は、光軸10aに対して斜めの方向に進行し、レンズ17を介した後、ダイクロイックミラー18に達する。
【0022】
ダイクロイックミラー18は、例えば波長505nm以下の光を反射すると共に、波長505nm以上の光を透過する特性を持つ。このため、光源11からの励起光はダイクロイックミラー18で反射され、観察系(26〜28)の対物レンズ26を介した後、標本25に達する。なお、標本25からの蛍光(例えば波長520nm〜600nmの光)はダイクロイックミラー18を透過する。
【0023】
上記のように、照明系(11〜18)は、対物レンズ26を利用して標本25を照明する落射照明系である。また、この照明系(11〜18)では、開口絞り14の開口14aが光軸10aから外れているため、照明視野絞り16の開口16aを通過した後の励起光L1を光軸10aに対して斜めに進行させることができ、その結果、標本25を斜光照明することができる。
【0024】
斜光照明とは、観察系(26〜28)の光軸20aに対して斜めの方向から、励起光を標本25に照射する方式のことである。厳密にいえば、標本25に入射する励起光の主光線の方向が光軸20aに対して斜め方向となっている。
さらに、照明系(11〜18)では、開口絞り14が対物レンズ26の瞳面と共役な関係にあるため、標本25に入射する励起光の主光線の方向を互いに平行な状態に揃えることができる。これにより、第1実施形態の焦点位置検出装置10における焦点検出の精度が向上する。
【0025】
また、照明系(11〜18)では、開口絞り14が対物レンズ26の瞳面と共役で、かつ、照明視野絞り16が標本25の合焦位置および結像面29と共役な配置となっているため、いわゆるケーラー照明が実現する。
さらに、照明系(11〜18)では、照明視野絞り16の開口16aを細長いスリット形状としたため、標本25の照明範囲25aを細長いスリット形状に規定することができる。照明範囲25aの長手方向も、紙面に垂直である。照明範囲25aと照明視野絞り16の開口16aとは、相似形状である。第1実施形態では、照明範囲25aの幅を0.05mmとする。
【0026】
また、標本25の照明範囲25aの長手方向と、照明範囲25aに入射する励起光の主光線の方向とは、互いに直交する。すなわち、標本25は、照明範囲25aの幅方向から斜光照明されたことになる。これは、照明系(11〜18)において、開口絞り14の開口14aの軸外し方向と照明視野絞り16の開口16aの幅方向とを一致させたからである。
【0027】
なお、標本25の照明範囲25aには、観察系(26〜28)の光軸20aが含まれている。特に、標本25が合焦状態のとき、照明範囲25aの中心は、観察系(26〜28)の光軸20aに一致する。光軸20aは、標本25を蛍光観察する際の視野(観察視野)の中心に相当する。
このようにして、照明系(11〜18)と対物レンズ26とにより斜光照明された標本25は、照明範囲25a内で励起され、照明範囲25a内から蛍光を発生させる。この蛍光は、上記した蛍光観察時と同様に、対物レンズ26と結像レンズ27の作用によって集光され、受光系(19〜21)に導かれる。
【0028】
対物レンズ26と結像レンズ27との間には、上記したダイクロイックミラー18と波長選択フィルタ28とが配置されているため、標本25に対する励起光(例えば505nm以下)の反射光を遮断して、標本25で発生した蛍光(例えば波長520nm〜600nmの光)のみを受光系(19〜21)に導くことができる。
【0029】
標本25が例えば生物標本のとき、標本25からの蛍光は、一般に、標本25に対する励起光と比較して非常に暗い(100分の1以下)ので、これらのダイクロイックミラー18と波長選択フィルタ28の働きにより、標本25からの蛍光を効率良く捉えることができる。
【0030】
次に、受光系(19〜21)の構成を具体的に説明する。受光系(19〜21)は、光軸10bに沿って、ハーフミラー19と、受光視野絞り20と、光電検出器21とが順に配置された構成となっている。
また、受光系(19〜21)は、その光軸10bが上記した観察系(26〜28)の光軸20aに対して略直交する向きで、観察系(26〜28)の結像レンズ27と所定の結像面29との間に組み込まれる。このとき、受光系(19〜21)のうち、ハーフミラー19が光軸20a上に配置される。
【0031】
したがって、照明系(11〜18)と対物レンズ26により斜光照明された標本25の照明範囲25a内から発生し、その後、対物レンズ26と結像レンズ27により集光された蛍光(以下「焦点検出時の蛍光」という)は、ハーフミラー19で反射した後、受光視野絞り20に達する。
受光視野絞り20は、標本25の合焦位置および結像面29と共役な面に配置されている。また、受光視野絞り20には、受光系(19〜21)の光軸10b上に細長いスリット形状の開口20b(詳細は後述する)が設けられている。開口20bの長手方向は、紙面に垂直である。
【0032】
受光視野絞り20の配置面(標本25の合焦位置と共役な面)には、標本25が合焦状態にあるとき、この標本25の照明範囲25a内から発生した焦点検出時の蛍光が良好に集光される。つまり、標本25の照明範囲25aの鮮明な蛍光像が受光視野絞り20の配置面に形成される。
ここで、受光視野絞り20の開口20bについて具体的に説明する。受光視野絞り20の開口20bは、上記した照明視野絞り16の開口16aと相似形状である。このため、開口20bは、標本25の照明範囲25aと相似形状になり、標本25の照明範囲25aの蛍光像とも相似形状になる。
【0033】
そして、第1実施形態の焦点位置検出装置10では、照明範囲25aの蛍光像と大きさが合致するように、受光視野絞り20の開口20bの大きさを定めている。例えば、照明範囲25aの幅を0.05mm、対物レンズ26,結像レンズ27による観察倍率を20倍とすると、照明範囲25aの蛍光像の幅は1mmとなる。この場合には、受光視野絞り20の開口20bの幅も1mmに設定する。
【0034】
したがって、標本25が合焦状態にあるとき、受光視野絞り20の配置面に形成される照明範囲25aの蛍光像は、受光視野絞り20の開口20bと重なり、そのまま開口20bを通過する。受光視野絞り20の開口20bを通過した焦点検出時の蛍光は、光電検出器21に達する。
光電検出器21は、受光視野絞り20の配置面(標本25の合焦位置および結像面29と共役な面)の後方に配された受光面21bを有している。受光面21bの中心は、受光系(19〜21)の光軸10b上に位置する。この受光面21bには、受光視野絞り20の開口20bを通過した後の蛍光による像(ボケた蛍光像)が形成される。
【0035】
そして、光電検出器21は、受光面21bに形成されるボケた蛍光像に応じて受光面21bに入射する光量を一括で検出する。このような光電検出器21には、例えばフォトマルチプライヤなど、微弱光の検出に適したものを用いることが好ましい。
なお、上記のように構成された焦点位置検出装置10の照明系(11〜18)と対物レンズ26とは請求項の「照明手段」に対応する。観察系(26〜28)とハーフミラー19とは「像形成手段」に対応する。光電検出器21は「光量検出手段」に対応する。
【0036】
次に、第1実施形態記の焦点位置検出装置10における焦点検出の原理について、図2,図3を用いて説明する。
図2には、原理説明に必要な部分(標本25,対物レンズ26,結像レンズ27,受光視野絞り20,光電検出器21)のみを示している。また、図2(a)はいわゆる前ピン状態、図2(b)は合焦状態、図2(c)はいわゆる後ピン状態を示したものである。図3は、標本25と対物レンズ26との光軸方向の距離(Z位置)が変化したときに、光電検出器21によって検出される光量の変化を示したものである。
【0037】
図2(b)に示す合焦状態のとき、標本25の照明範囲25aの中心は、対物レンズ26,結像レンズ27の光軸20aに一致する。このため、標本25の照明範囲25aの蛍光像は、受光視野絞り20の開口20bと重なる位置に形成される。そして、蛍光像の形成に関わる全ての蛍光が、そのまま開口20bを通過する。このため、光電検出器21によって検出される光量は、最大となる。
【0038】
一方、図2(a)に示す前ピン状態のとき、標本25の照明範囲25aは、上記の光軸20aから外れ、図中左方に位置する。これは、標本25が図中左方から斜光照明されているからである。このとき、標本25の照明範囲25aの蛍光像は、受光視野絞り20の開口20bから外れ、図中右方に位置する。このため、蛍光像の形成に関わる蛍光は、開口20bを通過することができず、光電検出器21によって検出される光量は、ほぼ零となる。
【0039】
逆に、図2(c)に示す後ピン状態のとき、標本25の照明範囲25aは、上記の光軸20aから外れ、図中右方に位置する。これは、標本25が図中左方から斜光照明されているからである。このとき、標本25の照明範囲25aの蛍光像は、受光視野絞り20の開口20bから外れ、図中左方に位置する。このため、蛍光像の形成に関わる蛍光は、開口20bを通過することができず、光電検出器21によって検出される光量は、ほぼ零となる。
【0040】
このように、第1実施形態の焦点位置検出装置10では、標本25をZ方向に移動させると、標本25の照明範囲25aがその幅方向(図中左右方向)に移動し、照明範囲25aの蛍光像もその幅方向(図中左右方向)つまり受光視野絞り20の開口20bの幅方向に移動する。そして、蛍光像のうち開口20bとの重なり部分の面積が変化する。後段の光電検出器21に達するのは、重なり部分を通過した焦点検出時の蛍光であり、そこでの検出光量は重なり部分の面積に比例する。
【0041】
したがって、第1実施形態の焦点位置検出装置10では、標本25をZ方向に移動させながら、光電検出器21によって検出される光量を監視することにより、焦点検出を行うことができる。そして、光電検出器21による検出光量が最大となったところ(図3の位置Zb)が、標本25の合焦位置と判断される。
なお、上記した第1実施形態の焦点位置検出装置10では、対物レンズ26と結像レンズ27とによる観察倍率を20倍としたので、標本25の位置が光軸方向に0.01mmだけ移動すると、照明範囲25aの蛍光像の位置は、受光視野絞り20の配置面上で横方向に0.2mmずれることになる。
【0042】
また、受光視野絞り20の開口20bの幅は1mmであるため、照明範囲25aの蛍光像が開口20bの幅方向(横方向)に0.2mmずれると、光電検出器21による検出光量は20%ほど変化することになる。このため、標本15が例えば生物標本のように0.05mm程度の厚みを持つ場合でも、光電検出器21による検出光量を監視することで、必要上十分な焦点検出を行うことができる。
【0043】
上述したように、第1実施形態の焦点位置検出装置10によれば、標本25の蛍光像の光量変化を監視することにより焦点検出を行うため、標本25の蛍光観察時のように、標本25からの光量が微弱であっても、短時間で良好に焦点検出を行うことができる。
また、標本25をZ方向に移動させながら、光電検出器21による検出光量を監視して、この検出光量が最大となったか否かを判断するような制御装置との組み合わせにより、標本25からの光量が微弱であっても、極めて精度の高いオートフォーカスを実行することができる。
【0044】
さらに、上記した第1実施形態の焦点位置検出装置10では、標本25の照明範囲25aをスリット形状としたので、標本25に含まれる蛍光物質がまばらに分布している場合でも、光電検出器21による検出光量を確保することができ、短時間で良好に焦点検出を行うことができる。この場合には、標本25の照明範囲25a内で平均化された合焦位置が得られる。
【0045】
また、上記した第1実施形態の焦点位置検出装置10では、標本25の合焦位置と共役な面に受光視野絞り20を設けたので、観察系(26〜28)の対物レンズ26を交換して標本25の観察倍率を変えたときのように、受光視野絞り20の配置面における蛍光像(標本25の照明範囲25aに対応)の大きさが変化しても、これに応じて受光視野絞り20の開口20bの大きさを変えることができる。つまり、観察倍率を変更しても、蛍光像と開口20bの大きさを合致させることができ、上記と同様の焦点検出を短時間で良好に行うことができる。
【0046】
また、第1実施形態の焦点位置検出装置10では、受光視野絞り20の配置面における蛍光像と開口20bの大きさを合致させるため、合焦状態の近傍でも光電検出器21による検出光量の変化を容易に捉えることができ、効率良く焦点検出を行える。
さらに、照明視野絞り16と受光視野絞り20の開口16a,20bの幅を調整する手段を設けることにより、2つの開口16a,20bの相似形状を保ちながら、つまり、受光視野絞り20の配置面における蛍光像(標本25の照明範囲25aに対応)と開口20bの大きさを合致させたままで、2つの開口16a,20bの幅を調整することもできる(請求項5)。
【0047】
例えば、2つの開口16a,20bの幅を2段階で調整する場合、光電検出器21による検出光量の変化は、図4(a),(b)に示すようになる。図4(a)は、開口16a,20bの幅が広い状態に対応し、図4(b)は、開口16a,20bの幅が狭い状態に対応する。
図4(a),(b)の比較から分かるように、開口16a,20bの幅を広くした状態(a)での焦点検出範囲(ΔZ1)は、幅を狭くした状態(b)での焦点検出範囲(ΔZ2)より拡大する。また、焦点検出精度は、開口16a,20bの幅が広い状態(a)に比べて狭い状態(b)の方が向上する。
【0048】
したがって、まず、開口16a,20bの幅を広くしておき、広い焦点検出範囲(ΔZ1)内で粗く焦点検出を行い、その後で、開口16a,20bの幅を狭い状態に切り換えて、狭い焦点検出範囲(ΔZ2)内で精度良く焦点検出を行うことができる。
なお、上記した第1実施形態では、受光系(19〜20)を結像レンズ27と結像面29の間に配置したが、結像レンズ27と波長選択フィルタ28の間に配置しても良い。ただし、この場合には、受光系(19〜20)のハーフミラー19と受光視野絞り20との間に、結像レンズ27と同等の作用を持つ光学素子を設けることが必要となる。
【0049】
さらに、受光系(19〜20)を波長選択フィルタ28と対物レンズ26との間に配置しても良い。ただし、この場合には、受光系(19〜20)のハーフミラー19と受光視野絞り20との間に、結像レンズ27および波長選択フィルタ28と同等の作用を持つ光学素子を各々設けることが必要となる。
また、この場合には、受光系(19〜20,結像レンズ27および波長選択フィルタ28と同等の光学素子を含む)と照明系(11〜18)との一体化を図ることができるという利点がある。この一体化を図った構成例については、後述する第3実施形態の焦点位置検出装置40(図6)および第4実施形態の焦点位置検出装置60(図8)で説明する。
【0050】
さらに、上記した第1実施形態では、照明系(11〜18)において、光源11とレンズ12,13とで開口絞り14に励起光を導いたが、光源11,レンズ12,13に代えて、小型の半導体レーザーや発光ダイオードなどの光源を、開口絞り14の開口14aの近傍位置に設けても良い。
また、上記した第1実施形態では、照明系(11〜18)において、光源11とレンズ12,13と開口絞り14とレンズ15とで照明視野絞り16に励起光を導いたが、これらの光学素子(11〜15)に代えて、小型の半導体レーザーや発光ダイオードなどの光源を、照明視野絞り16の開口16aの近傍位置に設けても良い。この構成例については、後述する第3実施形態の焦点位置検出装置40(図6)で説明する。
【0051】
さらに、光学素子(11〜15)に代えて小型の半導体レーザーや発光ダイオードなどの光源を設け、かつ、照明開口絞り16と受光視野絞り20とを兼用にした構成例について、後述する第4実施形態の焦点位置検出装置60(図8)で説明する。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、請求項1〜請求項4,請求項7,請求項8,請求項11に対応する。
【0052】
第2実施形態の焦点位置検出装置は、図5に示すように、第1実施形態の焦点位置検出装置10(図1,図2)の受光視野絞り20に代えて受光視野絞り30を設け、光電検出器21に代えて光電検出器31を設けたものである。受光視野絞り30,光電検出器31の各々の配置は、上記した受光視野絞り20,光電検出器21と同じである。図5は、図2と同様に、原理説明に必要な部分(標本25,対物レンズ26,結像レンズ27,受光視野絞り30,光電検出器31)のみを示した図である。
【0053】
受光視野絞り30には、3つの開口30a,30b,30cが設けられている。開口30a〜30cは何れも細長いスリット形状であり、中央の開口30bが受光系(19,30,31)の光軸上に設けられている。開口30a〜30cの長手方向は、紙面に垂直である。
さらに、中央の開口30bの大きさは、上記の受光視野絞り20の開口20bと同様、受光視野絞り30の配置面における蛍光像(標本25の照明範囲25aに対応)と合致する大きさに設定されている。
【0054】
光電検出器31には、受光視野絞り30の開口30a〜30cに対応するように、3つの独立した受光面31a,31b,31cが設けられている。中央の受光面31bは、上記の光電検出器21の受光面21bと同様、受光系(19,30,31)の光軸上に位置する。
【0055】
このため、光電検出器31の中央の受光面31bには、受光視野絞り30の中央の開口30bを通過した後の蛍光による像(ボケた蛍光像)が形成される。また、両側の受光面31a,31cには、受光視野絞り30の両側の開口30a,31cを通過した後の蛍光像が形成される。
そして、光電検出器31は、中央の受光面31bに形成されるボケた蛍光像に応じて受光面31bに入射する光量を一括で検出する。また同様に、両側の受光面31a,31cの各々に形成される蛍光像に応じて受光面31a,31cに入射する光量も、各々一括で検出する。
【0056】
なお、光電検出器31の両側の受光面31a,31cは、請求項の「補助用の受光面」に対応する。光電検出器31のうち、両側の受光面31a,31cに関わる部分は「方向検出手段」に対応し、中央の受光面31bに関わる部分は「光量検出手段」に対応する。
第2実施形態の焦点位置検出装置では、受光視野絞り30と光電検出器31が上記のように構成されているため、次のようにして焦点検出が行われる。
【0057】
まず、図5(b)に示す合焦状態のとき、標本25の照明範囲25aの中心は対物レンズ26,結像レンズ27の光軸20aに一致し、標本25の照明範囲25aの蛍光像は、受光視野絞り30の中央の開口30bと重なる位置に形成される。そして、蛍光像の形成に関わる全ての蛍光が、そのまま開口30bを通過する。このため、光電検出器31の中央の受光面31bにて検出される光量は、最大となる(図3参照)。
【0058】
一方、図5(a)に示す前ピン状態のとき、標本25の照明範囲25aは、上記の光軸20aから外れ、図中左方に位置する。このとき、標本25の照明範囲25aの蛍光像は、受光視野絞り30の中央の開口30bから外れ、図中右方(例えば右側の開口30cと重なる位置)に形成される。
【0059】
このため、蛍光像の形成に関わる蛍光は、中央の開口30bを通過することができず、光電検出器31の中央の受光面31bにて検出される光量は、ほぼ零となる。しかし、この蛍光は、右側の開口30cを通過可能であり、光電検出器31の右側の受光面31cにて光量が検出される。そして、右側の受光面31cで光量が検出されたことに基づいて、標本25の位置ずれ方向が前ピン方向であると検出できる。
【0060】
逆に、図5(c)に示す後ピン状態のとき、標本25の照明範囲25aは、上記の光軸20aから外れ、図中右方に位置する。このとき、標本25の照明範囲25aの蛍光像は、受光視野絞り30の中央の開口30bから外れ、図中左方(例えば左側の開口30aと重なる位置)に形成される。
このため、蛍光像の形成に関わる蛍光は、中央の開口20bを通過することができず、光電検出器31の中央の受光面31bにて検出される光量は、ほぼ零となる。しかし、この蛍光は、左側の開口30aを通過可能であり、光電検出器31の左側の受光面31aにて光量が検出される。そして、左側の受光面31aで光量が検出されたことに基づいて、標本25の位置ずれ方向が後ピン方向であると検出できる。
【0061】
したがって、第2実施形態の焦点位置検出装置では、標本25をZ方向に移動させながら、光電検出器31の両側の受光面31a,31cによって各々検出される光量を監視することにより、標本25の位置ずれ方向を検出すると共に、光電検出器31の中央の受光面31bによって検出される光量を監視することにより、焦点検出を行うことができる。そして、光電検出器31の中央の受光面31bによる検出光量が最大となったところ(図3の位置Zb)が、標本25の合焦位置と判断される。
【0062】
上述したように、第2実施形態の焦点位置検出装置によれば、標本25の蛍光像の光量変化を監視することにより焦点検出を行うため、標本25の蛍光観察時のように、標本25からの光量が微弱であっても、短時間で良好に焦点検出を行うことができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、請求項1〜請求項4,請求項6,請求項11〜請求項13に対応する。
【0063】
第3実施形態では、図6に示すように、焦点位置検出装置40が組み込まれた蛍光顕微鏡50の例を説明する。蛍光顕微鏡50は、蛍光物質で標識された標本25の蛍光観察に用いられる顕微鏡であり、上述と同様の観察系(26〜28)と、後述する観察照明系(51〜58)とで構成されている。
蛍光顕微鏡50の観察照明系(51〜58)は、基本的な構成が、図1に示す焦点位置検出装置10の照明系(11〜18)と同じである。つまり、光軸50aに沿って、光源51と、レンズ52,53と、開口絞り54と、レンズ55と、照明視野絞り56と、レンズ57と、ダイクロイックミラー58とが順に配置された構成となっている。
【0064】
また、観察照明系(51〜58)は、その光軸50aが観察系(26〜28)の光軸20aに対して略直交する向きで、観察系(26〜28)の対物レンズ26と波長選択フィルタ28との間に組み込まれる。このとき、観察照明系(51〜58)のうち、ダイクロイックミラー58が光軸20a上に配置される。
観察照明系(51〜58)の中で図1の照明系(11〜18)と異なる点は、開口絞り54の開口54aの形状および大きさと、照明視野絞り56の開口56aの形状および大きさとである。このため、観察照明系(51〜58)に関わる他の説明を省略する。
【0065】
開口絞り54の開口54aは、径の大きな円形状であり、観察照明系(51〜58)の光軸50aに中心を揃えて設けられている。また、照明視野絞り56の開口56aも、径の大きな円形状であり、観察照明系(51〜58)の光軸50aに中心を揃えて設けられている。観察照明系(51〜58)は、請求項の「観察照明手段」に対応する。
【0066】
このように構成された観察照明系(51〜58)において、光源51からの励起光(標本25の蛍光物質を励起可能な光)は、レンズ52,53と、開口絞り54の開口54aと、レンズ55と、照明視野絞り56の開口56aと、レンズ57を通過し、ダイクロイックミラー58で反射して観察系(26〜28)に導かれ、対物レンズ26を介した後、標本25に達する(ケーラー照明)。
【0067】
観察照明系(51〜58)による標本25の照明範囲25bは、照明視野絞り56の開口56aと相似形状であり、観察系(26〜28)の光軸20aを中心とした径の大きな円形状となる。標本25は、この照明範囲25b内で励起され、照明範囲25b内から蛍光を発生させる。
標本25の蛍光観察時、合焦状態の標本25から発生した蛍光は、対物レンズ26と結像レンズ27の作用によって、標本25の合焦位置と共役な所定の結像面29に集光される。このとき、所定の結像面29には、標本25の蛍光像が鮮明に形成される。
【0068】
図示省略したが、所定の結像面29(または結像面29と共役な面)には、2次元撮像素子(例えばCCDイメージセンサ)が設置されている。そして、標本25が合焦状態にあるときには、標本25の鮮明な蛍光像を2次元撮像素子によって取り込むことができる。
次に、上記構成の蛍光顕微鏡50に組み込まれた焦点位置検出装置40について説明する。焦点位置検出装置40は、標本25が合焦状態にあるか否かを検出するための装置である。
【0069】
焦点位置検出装置40は、照明系(16,41,42)と受光系(20,21,43〜45)とを有する。さらに、蛍光顕微鏡50の対物レンズ26は、焦点位置検出装置40としての機能も兼用する。このため、焦点位置検出装置40の構成要素としては、照明系(16,41,42)と受光系(20,21,43〜45)だけでなく、対物レンズ26も含まれる。
【0070】
照明系(16,41,42)は、光軸40aに沿って、光源41と、照明視野絞り16と、ダイクロイックミラー42とが順に配置された構成となっている。また、受光系(20,21,43〜45)は、光軸40bに沿って、反射ミラー44と、結像レンズ43と、波長選択フィルタ45と、受光視野絞り20と、光電検出器21とが順に配置された構成となっている。
【0071】
そして、受光系(20,21,43〜45)は、その光軸40bが上記した観察系(26〜28)の光軸20aに対して略直交する向きで、観察系(26〜28)の対物レンズ26と観察照明系(51〜58)のダイクロイックミラー58との間に組み込まれる。このとき、受光系(20,21,43〜45)のうち、反射ミラー44が光軸20a上に配置される。
【0072】
さらに、照明系(16,41,42)は、その光軸40aが受光系(20,21,43〜45)の光軸40bに対して略直交する向きで、受光系(20,21,43〜45)の結像レンズ43と波長選択フィルタ45との間に組み込まれる。このとき、照明系(16,41,42)のうち、ダイクロイックミラー42が光軸40a上に配置される。
【0073】
このように構成された照明系(16,41,42)および受光系(20,21,43〜45)のうち、光源41は、図1の光源11,レンズ12,13,開口絞り14,レンズ15に代えて設けたものである。また、結像レンズ43は、図1のレンズ17と結像レンズ27の機能を兼ね備えたものである。ダイクロイックミラー42は、前述のダイクロイックミラー18と同様の機能を有し、波長選択フィルタ45は、前述の波長選択フィルタ28と同様の機能を有している。照明視野絞り16,受光視野絞り20,光電検出器21の配置や開口16a,20bの形状などは、基本的に前述の通りである。
【0074】
つまり、第3実施形態の焦点位置検出装置40において、図1の焦点位置検出装置10と異なる特徴的な部分は、光源41の配置と、反射ミラー44による照明タイミングの切り換え制御(図7)とである。これらの特徴的な部分について、次に説明する。
光源41は、小型の半導体レーザーや発光ダイオードなどであり、紫外線や可視光線などの励起光を射出する。この光源41は、照明視野絞り16の開口16aの近傍位置に、励起光の射出方向を光軸40aに対して斜めに向けて設置されている。
【0075】
このため、光源41からの励起光は、照明視野絞り16の開口16aを通過した後も(励起光L2)、光軸40aに対して斜めの方向に進行して、ダイクロイックミラー42に達する。そして、ダイクロイックミラー42で反射した励起光は、結像レンズ43を介した後、反射ミラー44で反射し、対物レンズ26を介して標本25に達する。すなわち、標本25を斜光照明する。
【0076】
また、標本25は、スリット形状の照明範囲25aの幅方向から斜光照明されたことになる。これは、照明系(16,41,42)において、光源41からの励起光の射出方向を照明視野絞り16の開口16aの幅方向に傾けたからである。
斜光照明された標本25は、照明範囲25a内で励起され、照明範囲25a内から蛍光を発生させる。この蛍光は、対物レンズ26を介した後、反射ミラー44で反射して、結像レンズ43に達する。そして、ダイクロイックミラー42を透過し、波長選択フィルタ45を透過して、受光視野絞り20に達する。
【0077】
この焦点位置検出装置40でも、対物レンズ26と受光視野絞り20との間には、ダイクロイックミラー42と波長選択フィルタ45とが配置されているため、標本25に対する励起光(例えば505nm以下)の反射光を遮断して、標本25で発生した蛍光(例えば波長520nm〜600nmの光)のみを光電検出器21に効率良く導くことができる。
【0078】
焦点位置検出装置40では、光源41から標本25へ導かれる励起光と、標本25から光電検出器21へ導かれる蛍光とが、共通の光学素子(26,43)を通過する。このため、照明視野絞り16の開口16aと受光視野絞り20の開口20bとが同じ大きさの場合に、受光視野絞り20の配置面における標本25の蛍光像を開口20bの大きさと合致させることができる。
【0079】
なお、上記の照明系(16,41,42)と結像レンズ43と反射ミラー44と対物レンズ26とは、請求項の「照明手段」に対応する。対物レンズ26と結像レンズ43と反射ミラー44と波長選択フィルタ45とダイクロイックミラー42とは、「像形成手段」に対応する。
第3実施形態の焦点位置検出装置40における焦点検出の原理は、前述した焦点位置検出装置10(図2,図3参照)と同じであり、標本25をZ方向に移動させながら、光電検出器21によって検出される光量を監視することにより、焦点検出を行うことができる。そして、光電検出器21による検出光量が最大となったところ(図3の位置Zb)が、標本25の合焦位置と判断される。
【0080】
このように、第3実施形態の焦点位置検出装置40でも、標本25の蛍光像の光量変化を監視することにより焦点検出を行うため、標本25の蛍光観察時のように、標本25からの光量が微弱であっても、短時間で良好に焦点検出を行うことができる。
次に、焦点位置検出装置40の反射ミラー44による照明タイミングの切り換え制御について、図7のフローチャートを用いて説明する。この切り換え制御は、蛍光顕微鏡50の全体的な制御を行う不図示の制御装置が実行する。制御装置は、請求項の「切換制御手段」に対応する。なお、焦点検出時に、照明視野絞り16と受光視野絞り20の開口16a,20bの幅の2段階調整も行われる。
【0081】
制御装置は、まず初めに、反射ミラー44を観察系(26〜28)の光軸20a中に配置して(ステップS1)、標本25を斜光照明する(ステップS2)。このとき、照明視野絞り16と受光視野絞り20の開口16a,20bの幅は、広い状態(図4(a))に設定される。
【0082】
このとき、標本25のスリット形状の照明範囲25aから蛍光が発生し、光電検出器21の受光面21bには、受光視野絞り20の開口20bを通過した蛍光による像が形成される。すなわち、光電検出器21によって蛍光の光量が検出される(ステップS3)。
制御装置は、光電検出器21による検出光量を監視しながら、標本25をZ方向に移動させて(ステップS4)、光電検出器21による検出光量が最大になると、そこで標本25を停止させる(ステップS5)。この段階で、図4(a)のように広い焦点検出範囲(ΔZ1)内での粗い焦点検出が終了する。
【0083】
次に、制御装置は、照明視野絞り16と受光視野絞り20の開口16a,20bの幅が充分に小さいか否かを判断し(ステップS6)、まだ小さくできる場合には、開口16a,20bの幅を狭める(ステップS7)。そして、ステップS2〜S6の処理を繰り返す。
つまり、開口16a,20bの幅を狭い状態(図4(b))に切り換えて、狭い焦点検出範囲(ΔZ2)内での焦点検出を行う。その結果、光電検出器21による検出光量が最大になり、標本25が合焦位置に停止されると(ステップS5)、高精度な焦点検出が終了したことになる。
【0084】
制御装置は、照明視野絞り16と受光視野絞り20の開口16a,20bの幅を充分小さくした状態での焦点検出が終了すると、次のステップS8に進み、反射ミラー44を観察系(26〜28)の光軸20a外に配置する。その結果、焦点位置検出装置40による標本25の斜光照明が終了する。
この状態で、制御装置は、観察照明系(51〜58)を用いて標本25の広い範囲(照明範囲25b)を照明する(ステップS9)。標本25は合焦状態にあるため、標本25の照明範囲25bから発生した蛍光は、対物レンズ26,結像レンズ27の作用により、標本25の合焦位置と共役な結像面29に集光される。このとき、結像面29には、標本25の蛍光像が鮮明に形成される。
【0085】
したがって、制御装置は、結像面29(または結像面29と共役な面)に設置された2次元撮像素子(例えばCCDイメージセンサ)によって、標本25の鮮明な蛍光像を取り込むことができる(ステップS10)。
このように、第3実施形態の蛍光顕微鏡50では、焦点位置検出装置40による斜光照明のタイミングと、観察照明系(51〜58)による照明のタイミングとを切り換え、標本25を順に照明するため、標本25から発生する蛍光の光量が微弱であっても、短時間で良好に焦点検出を行うことができ、標本25の蛍光観察を精度良く行うことができる。
【0086】
なお、上記した第3実施形態では、照明視野絞り16の開口16aの近傍に光源41のみを配置したが、ビームエキスパンダやコリメータレンズを介して光源41を配置しても良い。
また、上記した第3実施形態では、蛍光顕微鏡の観察照明系と焦点位置検出装置の照明系とを別々に設けると共に、反射ミラー44によって照明タイミングを切り換える制御の例を説明したが、本発明はこの構成に限定されない。
【0087】
例えば、蛍光顕微鏡に組み込む焦点位置検出装置の照明系を図1の照明系(11〜18)のように構成する場合には、この照明系を観察照明系と兼用させることができ、開口絞り14と照明視野絞り16の開口14a,16aの位置や形状を調整することにより、照明タイミングを切り換えることができる。
つまり、焦点検出時には図1の開口14a,16aのように設定し、蛍光観察時には図6の開口54a,56aのように設定すれば良い。開口14a,16aの位置や形状を調整する代わりに、開口絞り14や照明視野絞り16を交換してもよい。
【0088】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態は、請求項1〜請求項6,請求項11〜請求項13に対応する。
【0089】
第4実施形態では、図8に示すように、蛍光顕微鏡50に組み込まれた焦点位置検出装置60の例を説明する。蛍光顕微鏡50の構成については第3実施形態(図6)で説明したため、ここでの説明を省略する。なお、図8の蛍光顕微鏡50で図示した波長選択フィルタ59は、光源51からの励起光(例えば波長505nm以下の光)を選択的に透過する特性を持つ。蛍光顕微鏡50の対物レンズ26は、焦点位置検出装置60としての機能も兼用する。
【0090】
第4実施形態の焦点位置検出装置60には、対物レンズ26の他に、反射ミラー44と、結像レンズ43と、視野絞り61と、結像レンズ62と、ダイクロイックミラー63と、波長選択フィルタ64と、光電検出器21と、光源65とが設けられている。このうち反射ミラー44,結像レンズ43,光電検出器21の説明は既に行ったため、ここでの説明を省略する。ダイクロイックミラー63と波長選択フィルタ64の機能、および光源65の構成も、上記の光学素子(42,45,41)と同じであり、ここでの説明を省略する。
【0091】
焦点位置検出装置60の特徴は、標本25の合焦位置および結像面29と共役な面に、視野絞り61を設けた点にある。視野絞り61は、図6の照明視野絞り16と受光視野絞り20の機能を兼ね備えたものである。つまり、焦点位置検出装置60は、照明視野絞り16と受光視野絞り20とを共通の光学素子(視野絞り61)にて構成した点を特徴とする。視野絞り61には、光軸40b上に細長いスリット形状の開口61aが設けられている。開口61aの長手方向は、紙面に垂直である。
【0092】
また、このような視野絞り61の配置を実現するために、焦点位置検出装置60の照明手段(65,63〜61,43,44,26)と像形成手段(26,44,43,62〜64)とは、標本25の合焦位置および結像面29と共役な面から標本25までの間に配置された光学素子(43,44,26)が共通となっている。
【0093】
視野絞り61と光電検出器21との間で順に配置された光学素子(62〜64)は、光源65からの励起光を光軸40bに対して斜めの方向に進行させながら視野絞り61に導く(励起光L3参照)と共に、視野絞り61の開口61aを通過した焦点検出時の蛍光を効率良く光電検出器21に導くためのものである。
焦点位置検出装置60において、光源65は、励起光の射出方向が光軸40aに対して平行(つまり光軸40bに対して垂直)となるように設置されている。また、光源65は、偏心状態で設置されている。光源65の偏心量(つまり励起光と光軸40aとの間隔)を“α”とする。
【0094】
このため、ダイクロイックミラー63を光軸40bに対して45度に傾け、結像レンズ62と視野絞り61との間隔を結像レンズ62の焦点距離と等しくすることで、視野絞り61に入射する励起光L3を光軸40bに対して斜めに進行させることができる。
そして、視野絞り61の開口61aを通過した後の励起光も、光軸40bに対して斜めの方向に進行し、結像レンズ43を介した後、反射ミラー44で反射して、対物レンズ26を介して標本25に達する。すなわち、標本25を斜光照明する。
【0095】
また、標本25は、スリット形状の照明範囲25aの幅方向から斜光照明されたことになる。これは、光源65からダイクロイックミラー63と結像レンズ62を介して視野絞り61に入射する励起光L3の進行方向を、視野絞り61の開口61aの幅方向に傾けたからである。この場合、光源65の偏心方向は、視野絞り61の開口61aの幅方向と等価である。励起光L3の光軸40bに対する傾斜角度と、標本25を斜光照明する励起光の光軸20aに対する傾斜角度とは、光源65の偏心量αに応じて調整可能である。
【0096】
斜光照明された標本25は、照明範囲25a内から蛍光を発生させる。この蛍光は、対物レンズ26を介した後、反射ミラー44で反射し、結像レンズ43を介して視野絞り61に達する。視野絞り61の配置面には標本25の照明範囲25aの蛍光像が形成される。蛍光像の大きさは視野絞り61の開口61aの大きさに合致している。そして、視野絞り61の開口61aを通過した蛍光は、結像レンズ62とダイクロイックミラー63と波長選択フィルタ64を透過した後、光電変換器21に入射する。
【0097】
第4実施形態の焦点位置検出装置60における焦点位置検出の原理も、前述した焦点位置検出装置10,40と同様である(図2,図3参照)。標本25をZ方向に移動させると、標本25の照明範囲25aの蛍光像がその幅方向(つまり視野絞り61の開口61aの幅方向,紙面に対して上下方向)に移動する。そして、蛍光像のうち開口61aとの重なり部分の面積が変化する。後段の光電変換器21による検出光量は、重なり部分の面積に比例する。
【0098】
したがって、標本25をZ方向に移動させながら、光電検出器21によって検出される光量を監視することにより、焦点検出を行うことができる。そして、光電検出器21による検出光量が最大となったところ(図3の位置Zb)が、標本25の合焦位置と判断される。
このように、第4実施形態の焦点位置検出装置60でも、標本25の蛍光像の光量変化を監視することにより焦点検出を行うため、標本25の蛍光観察時のように、標本25からの光量が微弱であっても、短時間で良好に焦点検出を行うことができる。
【0099】
また、上述した図7のフローチャート(S1〜S10)にしたがって反射ミラー44による照明タイミングの切り替え制御を行い、焦点位置検出装置60による斜光照明のタイミングと、観察照明系(51〜58)による照明のタイミングとを切り替え、標本25を順に照明することにより、標本25の蛍光観察を精度良く行うことができる。
【0100】
さらに、焦点検出時(図7のS1〜S7)に、視野絞り61の開口61aの幅を2段階調整することで、図4(a)のように広い焦点検出範囲(ΔZ1)内での粗い検出と、図4(b)のように狭い焦点検出範囲(ΔZ2)内での高精度な検出とを順に実行することができる。
また、第4実施形態の焦点位置検出装置60では、視野絞り61が照明視野絞りと受光視野絞りの機能を兼ね備えるため、照明視野絞りと受光視野絞りの中心を一致させる調整作業が不要となる。その結果、装置の調整を簡略化できると共に、合焦精度の高い焦点検出を行うことができる。さらに、反射ミラー44が繰り返し移動によって位置ずれを起こした場合でも調整上の影響がない。
【0101】
なお、上記した第2〜第4実施形態では、焦点検出の範囲や精度を変える際に、照明視野絞り16,受光視野絞り20の開口16a,20bの幅、または視野絞り61の開口61aの幅を調整したが、調整する代わりに、照明視野絞り16,受光視野絞り20または視野絞り61を交換してもよい。
また、上記した第1,第3実施形態では、照明視野絞り16,受光視野絞り20の開口16a,20bをスリット形状としたが、図9(a),(b)に示すように、小さい円形状(スポット形状)の開口16c,20cを照明視野絞り16,受光視野絞り20に設けても良い。この場合、標本25の照明範囲も小さい円形状となる。その結果、標本25の合焦位置を絞り込むことができ、観察対象の位置を特定することができる。同様に、第2実施形態の受光視野絞り30の開口30bや、第4実施形態の視野絞り61の開口61aをスポット形状としても良い。
【0102】
さらに、上記した第1〜第3実施形態では、受光視野絞り20,30の配置面における蛍光像(標本25の照明範囲に対応)と開口20b,30bの大きさを合致させる例を説明したが、蛍光像と開口20b,30bの大きさが異なる場合にも本発明を適用できる。同様に、第4実施形態の視野絞り61の開口61aと蛍光像の大きさが異なる場合にも本発明を適用できる。
【0103】
また、上記した第1,第3実施形態では、焦点位置検出装置に受光視野絞り20を設けたが、観察系(26〜28)の対物レンズ26が固定されている場合には、受光視野絞り20を省略できる。
【0104】
さらに、上記した実施形態では、受光面に入射する蛍光の光量を一括で検出する光電検出器の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、蛍光の光量を分割して検出し、後段の信号処理系で総和を取る構成が考えられる。
また、上記した実施形態では、開口絞り14(図1)を対物レンズ26の瞳面に共役な位置に設けたが、この瞳面から外れた位置に開口絞りを設けた構成にも本発明を適用することができ、標本を斜光照明できる。
【0105】
さらに、第3実施形態の受光視野絞り20(図6)に代えて第2実施形態の受光視野絞り30(図5)を設けることもできる。第4実施形態の視野絞り61(図8)に代えて第2実施形態の受光視野絞り30(図5)と同様の視野絞りを設けることもできる。この場合、光電検出器21(図6,図8)は光電検出器31(図5)に置き換えることになる。
【0106】
また、上記した第1〜第4実施形態では、標本25をZ方向に移動させながら光電検出器21,31による検出光量を監視し(図3)、検出光量が最大となったところ(位置Zb)を標本25の合焦位置と判断する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
既に説明したように、標本25をZ方向に移動させると、その移動量に比例して標本25の照明範囲25aの蛍光像と開口20b,30b,61a(スリット形状)との重なり部分の面積が変化し、この面積に比例して光電検出器21,31による検出光量が変化する。つまり検出光量は、標本25の合焦位置より前ピン側と後ピン側との各々で、標本25の移動量に比例して一次関数的に増減する。最大の検出光量は、合焦位置のときである。
【0107】
このため、合焦位置より前ピン側の検出光量と標本25のZ位置との関係を直線で近似し、同様に、後ピン側の検出光量とZ位置との関係を直線で近似し、得られた2直線の交点を求めることにより、標本25の合焦位置を算出することができる。この例の具体的な説明を次の第5実施形態で行う。
【0108】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態は、請求項9,請求項10に対応する。
第5実施形態の焦点位置検出装置は、図1,図6,図8の光電検出器21の出力または図5の光電検出器31のうち中央の受光面31bの出力に接続された制御装置を有し、この制御装置で標本25の合焦位置を算出するように構成されている。合焦位置の算出手順は、図10のフローチャートに示す通りである。算出手順の説明に当たり、図11も参照する。図11の横軸は、標本25と対物レンズ26との光軸方向の距離(Z位置)を表す。縦軸は、例えば光電検出器21によって検出される光量を表す。
【0109】
制御装置は、図10のステップS11において、標本25をZ方向に移動させながら、図11に示す一定の間隔δ1ごとに、例えば光電検出器21による検出光量を取り込む(測定点A1〜A15)。このような取り込みは、標本25の合焦位置を含む所定の広い範囲δ2内で行われる。上記の間隔δ1は、広い範囲δ2内に測定点Aが所定数(例えば15個)含まれるように粗く設定されている。
【0110】
次いで、制御装置は、ステップS11で取り込んだ離散的な測定点A1〜A15のうち最大光量の測定点A8を選択する(ステップS12)。本実施形態では、粗い間隔δ1ごとに測定点Aを取り込むため、最大光量の測定点A8が標本25の合焦位置とは限らない。しかし、標本25の合焦位置が、最大光量の測定点A8に隣接する2つの測定点A7,A9の間にあることは分かる。
【0111】
制御装置は、標本25の合焦位置を算出するために、次のステップS13〜S16を実行する。まずステップS13では、全ての測定点A1〜A15から最大光量の測定点A8を除外し、残りを前ピン側(A1〜A7)と後ピン側(A9〜A15)とに分類する。この分類の理由は、前ピン側と後ピン側との各々で、検出光量と標本25のZ位置との関係を直線で近似するためである。最大光量の測定点A8を除外する理由は、この時点での所属が不明だからである。
【0112】
次のステップS14では、前ピン側の測定点A1〜A7のうち、直線近似に有効なもの(A3〜A7)を選択する。この選択は、最大光量の測定点A8に対応する位置Z8を基準にして、位置Z8から前ピン側に一定の間隔δ3だけ離れた位置Z(L)を求め、測定点A1〜A7に対応する位置Z1〜Z7の各々が位置Z(L)から位置Z8までの範囲に含まれるか否かにより行われる。もちろん、その範囲(Z(L)〜Z8)に含まれる測定点A3〜A7が有効なものとして選択される。
【0113】
間隔δ3は、受光視野絞り20のスリット形状の開口20b(または受光視野絞り30の開口30bまたは視野絞り61の開口61a)の幅W、対物レンズ26の倍率B、および標本25を斜光照明する励起光の光軸20aに対する傾斜角度θを変数とする関数F(例えば次式(1))によって表すことができる。なお、幅Wは、例えば受光視野絞り20の配置面における“標本25の照明範囲25aの蛍光像”の幅にも対応している。
【0114】
δ3=F(W,B,θ)=0.8×W/(B・tanθ) ……(1)
ステップS14における有効な測定点(A3〜A7)の選択に当たり、間隔δ3は、式(1)に基づいて予め計算した結果を変数W,B,θに対応づけて制御装置のメモリに記憶させておき、必要に応じて読み出すようにすればよい。また、必要に応じてその都度計算しても構わない。
【0115】
同様に、ステップS14では、後ピン側の測定点A9〜A15のうち、直線近似に有効なもの(A9〜A13)を選択する。この選択は、最大光量の測定点A8に対応する位置Z8を基準にして、位置Z8から後ピン側に一定の間隔δ3だけ離れた位置Z(U)を求め、測定点A9〜A15に対応する位置Z9〜Z15の各々が位置Z8から位置Z(U)までの範囲に含まれるか否かにより行われる。もちろん、その範囲(Z8〜Z(U))に含まれる測定点A9〜A13が有効なものとして選択される。
【0116】
そして次のステップS15において、制御装置は、前ピン側の有効な測定点A3〜A7の検出光量と標本25のZ位置との関係を直線で近似する。この場合、周知の最小自乗法を用いることが好ましい。つまり、各々の測定点A3〜A7の検出光量(K)とZ位置(Z)と誤差(G)を一次式(K=aZ+b+G)で表し、誤差Gの自乗和の平均が最小となるように係数a,bを求めればよい。前ピン側の測定点A3〜A7を近似する直線は、次の式(2)で表される。
【0117】
K=aZ+b ……(2)
同様に、制御装置は、後ピン側の有効な測定点A9〜A13の検出光量と標本25のZ位置との関係を直線で近似する。つまり、各々の測定点A9〜A13の検出光量(K)とZ位置(Z)と誤差(G)を一次式(K=cZ+d+G)で表し、誤差Gの自乗和の平均が最小となるように係数c,dを求める。後ピン側の測定点A9〜A13を近似する直線は、次の式(3)で表される。
【0118】
K=cZ+d ……(3)
このようにして2つの直線(式(2),(3))が得られると、制御装置は、最後のステップS16において、2つの直線の交点P(Kf,Zf)を求める。そして、交点P(Kf,Zf)の横軸の値“Zf”を標本25の合焦位置として決定する。
第5実施形態の焦点位置検出装置によれば、標本25から発生する蛍光がノイズに埋もれるような微弱な光量で、光電検出器21,31による検出光量の最大値を正確に見つけることが困難な場合であっても、最大検出光量の前後の測定点の情報を利用することにより、短時間で精度良く合焦位置を求めることができる。
【0119】
また、微弱な蛍光を少しでも多く光電検出器21,31に導くために、受光視野絞り20の開口20b(または受光視野絞り30の開口30bまたは視野絞り61の開口61a)の幅Wを広げると、検出光量と標本25のZ位置との関係がブロードになるため最大検出光量を正確に見つけ難いが、この場合でも第5実施形態によれば、短時間で精度良く合焦位置を求めることができる。
【0120】
さらに、上記した第5実施形態では、式(1)に基づいて計算した適切な間隔δ3を利用し、直線近似に有効な測定点A3〜A7,A9〜A13を選択したため、確実に精度良く合焦位置を求めることができる。また、直線近似により簡単に合焦位置を算出することができる。
なお、上記した第5実施形態では、図10のステップS15で5つの測定点A3〜A7と測定点A9〜A13をそれぞれ直線近似したが、直線近似の際の測定点の数は3点〜10点(好ましくは4点〜6点)あればよい。
【0121】
また、上記した第5実施形態では、受光視野絞り20の開口20b(または受光視野絞り30の開口30bまたは視野絞り61の開口61a)および照明範囲25aの蛍光像がスリット形状である例を説明したが、円形状の場合にも本発明を適用できる。この場合は、上記した一次式(例えばK=aZ+b+G)での直線近似に代えて、次の式(4)で表される関数を用いて近似すればよい。
【0122】
K=p[πr−2X√(r−X)−2rsin−1(X/r)]+q …(4)
ただし、X=(Z/2)・tanθ , r=R/B
式(4)のp,qは係数、Rは円形状の開口の半径、Bは対物レンズ26の倍率、θは標本25に対する斜光照明の角度である。半径Rは、例えば受光視野絞り20の配置面における“標本25の照明範囲25aの蛍光像”の半径にも対応している。Zは、標本25の合焦位置からの距離(0≦Z≦2R/(B・tanθ))である。
【0123】
さらに、式(4)を用いた近似に有効な測定点を選択する際の間隔δ3としては、上記した式(1)に代えて、次の式(5)で表される関数Gの間隔δ3を用いることが好ましい。
δ3=G(R,B,θ)=0.8×2R/(B・tanθ) …(5)
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、物体からの光量が少なくても良好に焦点検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の焦点位置検出装置10の全体構成図である。
【図2】焦点位置検出装置10における焦点検出の原理を説明する図である。
【図3】焦点位置検出装置10における焦点検出の原理を説明する図である。
【図4】焦点検出の範囲と精度を調整する場合の原理を説明する図である。
【図5】第2実施形態の焦点位置検出装置の主要構成部分を示す図である。
【図6】第3実施形態の蛍光顕微鏡50および焦点位置検出装置40の全体構成を示す図である。
【図7】蛍光顕微鏡50における照明タイミングの切り換え制御に関するフローチャートである。
【図8】第4実施形態の焦点位置検出装置60の全体構成を示す図である。
【図9】照明視野絞り16と受光視野絞り20の別の構成を示す図である。
【図10】第5実施形態の焦点位置検出装置における合焦位置の算出手順を示すフローチャートである。
【図11】第5実施形態の焦点位置検出装置において合焦位置を算出する手順の一例を説明する図である。
【符号の説明】
10,40,60 焦点位置検出装置
11,41,65 光源
12,13,15,17 レンズ
16 照明視野絞り
18,42,63 ダイクロイックミラー
19 ハーフミラー
20,30 受光視野絞り
21,31 光電検出器
25 標本
26 対物レンズ
27,43,62 結像レンズ
28,45,64 波長選択フィルタ
29 結像面
44 反射ミラー
61 視野絞り

Claims (13)

  1. 物体を斜光照明する照明手段と、
    前記照明手段により斜光照明された前記物体からの光を集光して、前記物体の像を形成する像形成手段と、
    前記物体の前記像形成手段による合焦位置と共役な面の後方に配された受光面を有し、前記像形成手段により前記受光面に形成される前記像に応じて前記受光面に入射する光量を検出する光量検出手段とを備えた
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  2. 請求項1に記載の焦点位置検出装置において、
    前記光量検出手段で検出した光量に基づいて焦点位置を検出する焦点位置検出手段をさらに備え、
    前記像形成手段は、光軸方向に移動する移動手段を有し、
    前記光量検出手段は、前記像形成手段を光軸方向に移動して複数の位置で光量を検出し、
    前記焦点位置検出手段は、前記複数の位置で検出した光量のうち最大の光量を検出した位置を焦点位置とする
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の焦点位置検出装置において、
    前記合焦位置と共役な面には、受光視野絞りが配置され、
    前記光量検出手段は、前記受光視野絞りを介して前記受光面に形成される前記像に応じて、前記光量を検出する
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  4. 請求項3に記載の焦点位置検出装置において、
    前記照明手段は、前記物体の照明範囲を規定する照明視野絞りを有し、
    前記照明視野絞りと前記受光視野絞りとは、相似形状である
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  5. 請求項4に記載の焦点位置検出装置において、
    前記照明手段と前記像形成手段とは、前記合焦位置と共役な面から前記物体までの間に配置された光学素子が共通であり、
    前記照明視野絞りは、前記受光視野絞りとしても機能する
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の焦点位置検出装置において、
    前記照明視野絞りおよび前記受光視野絞りの大きさを調整する調整手段をさらに備えた
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1項に記載した焦点位置検出装置において、
    前記合焦位置と共役な面の後方に配された補助用の受光面を有し、該補助用の受光面に入射する光量に応じて前記物体の位置ずれ方向を検出する方向検出手段をさらに備えた
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  8. 請求項1から請求項7の何れか1項に記載した焦点位置検出装置において、
    前記照明手段は、無限遠系の対物レンズを利用して前記物体を斜光照明する手段であり、前記対物レンズの瞳面と共役な開口絞りを有する
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  9. 請求項3から請求項8に記載の焦点位置検出装置において、
    前記受光視野絞りの形状と該受光視野絞りの配置面に形成される前記像の形状とに応じた関数を用いて、前記光量検出手段による検出光量と前記物体の位置との関係を近似することにより、前記合焦位置を算出する算出手段をさらに備えた
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  10. 請求項9に記載の焦点位置検出装置において、
    前記算出手段は、前記合焦位置の前後の各々において前記検出光量と前記物体の位置との関係を直線で近似し、得られた2つの直線の交点に基づいて前記合焦位置を算出する
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  11. 請求項1から請求項10の何れか1項に記載した焦点位置検出装置において、
    前記照明手段は、前記物体に含まれる蛍光物質を励起可能な波長域の光で、前記物体を斜光照明する手段であり、
    前記像形成手段は、前記物体からの蛍光を集光して、前記物体の蛍光像を形成する手段であり、
    前記光量検出手段は、前記受光面に形成される前記蛍光像に応じて前記受光面に入射する光量を検出する
    ことを特徴とする焦点位置検出装置。
  12. 蛍光物質で標識された物体の蛍光観察に用いられる蛍光顕微鏡において、
    無限遠系の対物レンズと、
    請求項11に記載の焦点位置検出装置とを備え、
    前記照明手段は、前記対物レンズを利用して前記物体を斜光照明し、
    前記像形成手段は、前記対物レンズを利用して前記物体の蛍光像を形成する
    ことを特徴とする蛍光顕微鏡。
  13. 請求項12に記載の蛍光顕微鏡において、
    前記物体の蛍光観察時に、前記蛍光物質を励起可能な波長の光で、前記対物レンズを利用して前記物体を照明する観察照明手段と、
    前記焦点位置検出装置の前記照明手段による照明タイミングと前記観察照明手段による照明タイミングとを切り換える切換制御手段とを備えた
    ことを特徴とする蛍光顕微鏡。
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