JP2004003930A - 光学的形状測定装置及び光学的形状測定方法 - Google Patents

光学的形状測定装置及び光学的形状測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測定対象物の形状を高精度に測定することができる光学的形状測定装置及び光学的形状測定方法を提供する。
【解決手段】遅延積分型カメラ30は、周期的に変調された線状レーザ光が測定対象物に照射されたときに、その反射光を撮像して光切断画像を出力する。各光切断画像から縞画像が得られる。縦方向の各位置でのスライス縞画像データは、直交正弦波発生部53からの基準正弦波データと乗算され、次に、ローパスフィルタ部54a,54bで、縞周波数成分及びその高調波成分が除去される。その除去結果データに基づいて、位相算出部55は各スライス縞画像データの位相のずれを算出し、振幅算出部56が各スライス縞画像データの振幅を算出する。位相連続化処理部58は、振幅画像に基づいて欠損領域を特定し、その欠損領域に対応する領域がマスクされた位相画像に基づいて位相のずれを連続化する。
【選択図】    図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば鋼板等の測定対象物の形状を光学的に測定する光学的形状測定装置及び光学的形状測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光切断方式の光学的形状測定方法がさまざまな分野で利用されている。この光切断方式の光学的形状測定方法は、測定対象物の表面にスリット状の光線を照射し、その測定対象物からの反射光をカメラで検出することにより、測定対象物についての縞画像を取得し、その縞画像に基づいて測定対象物の形状を測定する方法である。
【0003】
かかる光学的形状測定方法に関して、例えば、測定対象物からの反射光を検出するカメラとして遅延積分型カメラを用いた技術がある(例えば、特許文献1参照。)。この技術は、二次元縞投影パターンを使用することなく、線状レーザ光のみで密な縞画像を得られるという利点を有する。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−348211号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
また、従来、縞画像に施す画像処理の方法としては、例えば、縞画像を二値化し、その二値画像において各縞の変位を計算することにより、測定対象物の形状を測定する方法が用いられている。しかしながら、この方法では、変位計測単位が画素単位に限られてしまうという問題がある。さらには、測定対象物の表面性状に応じた適切なしきい値の設定が難しく、また、背景光の影響を受けやすいという問題もある。このため、従来、縞画像に基づいて測定対象物の形状を高精度に測定することは困難であった。
【0006】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、測定対象物の形状を高精度に測定することができる光学的形状測定装置及び光学的形状測定方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明に係る光学的形状測定装置は、周期的に変調された線状レーザ光を測定対象物の表面に照射する照射手段と、前記測定対象物に対する前記線状レーザ光の照射位置を連続的にずらしながら、前記線状レーザ光が前記測定対象物に照射されたときに、前記測定対象物からの反射光を撮像して光切断画像を出力する遅延積分型の撮像手段と、前記各光切断画像から構成される縞画像を記憶する記憶手段と、互いに直交する二つの基準正弦波データを発生し、前記各基準正弦波データを、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての前記縞画像の濃度分布を表すスライス縞画像データに乗算する直交正弦波発生手段と、前記直交正弦波発生手段で得られた二つの乗算結果データの各々から、縞に直交する方向に沿っての縞周波数成分及びその高調波成分を除去する除去手段と、前記除去手段で得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における基準正弦波に対する縞の位相のずれを算出する位相算出手段と、前記位相算出手段で得られた位相のずれを表す位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、その検出した位置における位相のずれを滑らかに繋ぐことにより位相のずれを連続化する位相連続化処理手段と、前記位相連続化処理手段で連続化された後の位相のずれを表す画像を出力する出力手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学的形状測定装置において、前記除去手段で得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における縞の振幅を算出する振幅算出手段と、前記振幅算出手段で得られた振幅を表す振幅画像に基づいて振幅が所定のしきい値以下である領域を欠損領域として特定する欠損領域特定手段とを備え、前記位相連続化処理手段は、前記位相算出手段で得られた位相のずれを表す位相画像において前記欠損領域に対応する領域をマスクした後、前記位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、位相のずれを連続化することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の光学的形状測定装置において、前記連続化された後の位相のずれを表す画像に基づいて、横又は縦方向の各位置において縦又は横方向に沿っての位相のずれの分布曲線を作成し、前記各分布曲線について当該分布曲線に対する近似曲線を算出した後に当該分布曲線から当該近似曲線を差し引くことにより、欠陥を表す部分における位相のずれを抽出して、欠陥の検出処理を行う欠陥検出処理手段を備えることを特徴とするものである。
【0010】
また、上記の目的を達成するための請求項4記載の発明は、周期的に変調された線状レーザ光が、測定対象物に対する前記線状レーザ光の照射位置を連続的にずらしながら、前記測定対象物に照射されたときに、前記測定対象物からの反射光を撮像して光切断画像を出力する遅延積分型の撮像手段を有し、前記各光切断画像から構成される縞画像に基づいて前記測定対象物の形状を測定する光学的形状測定方法において、互いに直交する二つの基準正弦波データを発生し、前記各基準正弦波データを、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての前記縞画像の濃度分布を表すスライス縞画像データに乗算する第一ステップと、前記第一ステップで得られた二つの乗算結果データの各々から、縞に直交する方向に沿っての縞周波数成分及びその高調波成分を除去する第二ステップと、前記第二ステップで得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における基準正弦波に対する縞の位相のずれを算出する第三ステップと、前記第三ステップで得られた位相のずれを表す位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、その検出した位置における位相のずれを滑らかに繋ぐことにより位相のずれを連続化する第四ステップと、前記第四ステップで連続化された後の位相のずれを表す画像を出力する第五ステップと、を具備することを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の光学的形状測定方法において、前記第二ステップで得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における縞の振幅を算出する第六ステップと、前記第六ステップで得られた振幅を表す振幅画像に基づいて振幅が所定のしきい値以下である領域を欠損領域として特定する第七ステップとを備え、前記第四ステップでは、前記第三ステップで得られた位相のずれを表す位相画像において前記欠損領域に対応する領域をマスクした後、前記位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、位相のずれを連続化することを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の光学的形状測定方法において、前記連続化された後の位相のずれを表す画像に基づいて、横又は縦方向の各位置において縦又は横方向に沿っての位相のずれの分布曲線を作成し、前記各分布曲線について当該分布曲線に対する近似曲線を算出した後に当該分布曲線から当該近似曲線を差し引くことにより、欠陥を表す部分における位相のずれを抽出して、欠陥の検出処理を行う第八ステップを備えることを特徴とするものである。
【0013】
上記の目的を達成するための請求項7記載の発明に係る光学的形状測定装置は、周期的な信号に、当該周期よりも長い周期をもつ擬似ランダム信号を重畳した重畳信号を生成する重畳信号生成手段と、前記重畳信号により発振強度が変調された線状レーザ光を測定対象物の表面に照射する照射手段と、前記線状レーザ光が前記測定対象物に照射されたときに、前記測定対象物からの反射光を撮像して光切断画像を出力する遅延積分型の撮像手段と、前記各光切断画像から構成される縞画像を記憶する記憶手段と、互いに直交する二つの基準正弦波データを発生し、前記各基準正弦波データを、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての前記縞画像の濃度分布を表すスライス縞画像データに乗算する直交正弦波発生手段と、前記直交正弦波発生手段で得られた二つの乗算結果データの各々から、縞に直交する方向に沿っての縞周波数成分及びその高調波成分を除去する除去手段と、前記除去手段で得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における基準正弦波に対する縞の位相のずれを算出する位相算出手段と、前記位相算出手段で得られた位相のずれを表す位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、その検出した位置における位相のずれを滑らかに繋ぐことにより位相のずれを連続化し、その連続化された後の位相のずれに基づいて、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての深さ分布データを求める位相連続化処理手段と、縞に平行な方向の各位置における前記スライス縞画像データと前記擬似ランダム信号との相関値を算出して、その相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量を求め、その求めた相関ピーク位置のずれ量に基づいて縞に平行な方向の各位置における第一の平均の深さを算出する相関算出手段と、前記位相連続化処理手段で得られた縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データに基づいて、縞に平行な方向の各位置における第二の平均の深さを求め、縞に平行な方向の各位置毎に前記第二の平均の深さが前記相関算出手段で得られた前記第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求め、前記位相連続化処理手段で得られた縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データに当該位置における前記オフセット値を加算する形状算出手段と、前記形状算出手段で加算処理が施された後の縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データを用いて作成された深さ画像を出力する出力手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の光学的形状測定装置において、前記縞画像を、縞に直交する方向に沿って前記擬似ランダム信号の1周期に相当する長さで複数の単位縞画像に分割し、前記単位縞画像毎に処理を行うことを特徴とするものである。
【0015】
また、上記の目的を達成するための請求項9記載の発明に係る光学的形状測定方法は、周期的な信号に、当該周期よりも長い周期をもつ擬似ランダム信号を重畳した重畳信号により発振強度が変調された線状レーザ光を、測定対象物に対する前記線状レーザ光の照射位置を連続的にずらしながら、前記測定対象物に照射する第一ステップと、遅延積分型の撮像手段を用いて前記測定対象物からの反射光を撮像することにより光切断画像を取得し、前記各光切断画像から構成される縞画像を得る第二ステップと、互いに直交する二つの基準正弦波データを発生し、前記各基準正弦波データを、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての前記縞画像の濃度分布を表すスライス縞画像データに乗算する第三ステップと、前記第三ステップで得られた二つの乗算結果データの各々から、縞に直交する方向に沿っての縞周波数成分及びその高調波成分を除去する第四ステップと、前記第四ステップで得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における基準正弦波に対する縞の位相のずれを算出する第五ステップと、前記第五ステップで得られた位相のずれを表す位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、その検出した位置における位相のずれを滑らかに繋ぐことにより位相のずれを連続化し、その連続化された後の位相のずれに基づいて、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての深さ分布データを求める第六ステップと、縞に平行な方向の各位置における前記スライス縞画像データと前記擬似ランダム信号との相関値を算出して、その相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量を求め、その求めた相関ピーク位置のずれ量に基づいて縞に平行な方向の各位置における第一の平均の深さを算出する第七ステップと、前記第六ステップで得られた縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データに基づいて、縞に平行な方向の各位置における第二の平均の深さを求め、縞に平行な方向の各位置毎に前記第二の平均の深さが前記第七ステップで得られた前記第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求め、前記第六ステップで得られた縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データに当該位置における前記オフセット値を加算する第八ステップと、前記第八ステップで加算処理が施された後の縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データを用いて深さ画像を作成して出力する第九ステップと、を具備することを特徴とするものである。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の光学的形状測定方法において、前記縞画像を、縞に直交する方向に沿って前記擬似ランダム信号の1周期に相当する長さで複数の単位縞画像に分割し、前記単位縞画像毎に処理を行うことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第一実施形態である光学的形状測定装置の概略構成図である。
【0018】
第一実施形態の光学的形状測定装置は、図1に示すように、レーザ装置10と、ロッドレンズ20と、遅延積分型カメラ30と、タイミング信号発生部40と、画像処理装置50と、表示装置60とを備えるものである。
【0019】
かかる光学的形状測定装置は、測定対象物2の形状を光学的に測定するものである。ここで、測定対象物2としては、例えば、製鉄所において製造される鋼板を想定している。かかる測定対象物2はその長手方向(図1の左右方向)に一定の速さで搬送されており、第一実施形態の光学的形状測定装置は、測定対象物2の搬送中にその形状を測定し、測定対象物2の表面の凹みや疵等の欠陥を検出する。
【0020】
レーザ装置10は、連続発振のレーザ光を発生するものである。ロッドレンズ20は、レーザ装置10から発せられたレーザ光を、測定対象物2の幅方向(図1の紙面に垂直な方向)に沿って扇状に広げるものである。これにより、レーザ装置10が発したレーザ光は、線状レーザ光として測定対象物2に照射される。このとき、線状レーザ光は測定対象物2の表面に対して斜めに入射する。こうして線状レーザ光が照射された測定対象物2の表面には、測定対象物2の幅方向に沿って線状の明るい部位が形成される。また、測定対象物2は長手方向に移動しているため、測定対象物2からみると、線状の明るい部位も測定対象物2の長手方向に沿って移動する。かかる線状の明るい部分からの反射光(線状反射像)は、遅延積分型カメラ30により撮像される。
【0021】
タイミング信号発生部40は、所定の周波数ωをもつ正弦波形の信号を発生し、その正弦波形の信号をレーザ装置10に送出するものである。レーザ装置10は、外部信号によりその発振強度を連続的に変化させられるものであり、タイミング信号発生部40から送出される正弦波形の信号を受けると、正弦波形で出力が変化するレーザ光を発生する。すなわち、第一実施形態では、レーザ装置10が発するレーザ光を周期的に変調させている。また、タイミング信号発生部40は、上記周波数ωのM倍の周波数をもつカメラシフトパルス信号を発生し、そのカメラシフトパルス信号を遅延積分型カメラ30に送出する。
【0022】
遅延積分型カメラ(TDIカメラ)30は、移動する測定対象物2の線状反射像を撮像するものである。図2はTDIカメラの構造と動作を説明するための図である。このTDIカメラ30では、図2(a)に示すように、多数の光電変換素子35がマトリクス状に配置されている。ここでは、例えば、これらの光電変換素子35を、行方向に1024個、列方向に96個配置したものとする。そして、各行については、最上行を第1行として、上から順に番号付けをし、各列については、最左列を第1列として、左から順に番号付けをしている。
【0023】
光電変換素子35は、受光した光の強度に対応する電荷を蓄積する。第一実施形態では、測定対象物2の線状反射像が、TDIカメラ30のレンズ31を介して、1列分の幅で光電変換素子35に入射するものとする。このTDIカメラ30では、各光電変換素子35は、その蓄積した電荷を、当該光電変換素子35と同じ行に位置し且つ一つ後の列に位置する光電変換素子に転送する。この転送のタイミングは、すべての光電変換素子35で同一であり、タイミング信号発生部40から送出されるカメラシフトパルス信号によって制御される。すなわち、カメラシフトパルス信号が入力する度に、各光電変換素子35は電荷を転送する。第一実施形態では、かかるカメラシフトパルス信号の周波数(カメラシフト周波数)はMωである。そして、第96列に位置する光電変換素子35は、カメラシフトパルス信号が入力すると、その蓄積している電荷を読出しレジスタに送る。これにより、線状反射像に対応する1024bitの光切断画像が出力される。
【0024】
尚、一般に、TDIカメラ30では、図2(b)に示すように、電荷が転送される途中で、各光電変換素子35に光が入射すると、その入射した光の強度に対応する電荷が上乗せされる。しかし、第一実施形態では、上述したように、光電変換素子35に1列分の幅の線状反射像が入射するように構成している。このため、電荷の転送途中で、各光電変換素子35において電荷が上乗せされることはほとんどない。
【0025】
測定対象物2はその長手方向に沿って移動しているので、レーザ装置10からレーザ光を測定対象物2に照射し、TDIカメラ30を用いて測定対象物2の線状反射像を一定時間撮像すると、測定対象物2の長手方向の各位置における光切断画像を順次得ることができる。したがって、こうして得られた各光切断画像を縦にした状態で横方向に順に配列することにより、測定対象物2全体を表す画像が得られる。
【0026】
また、第一実施形態では、線状レーザ光を周期的に変調させており、その線状レーザ光の強度が時間的に変化するので、各行において列方向の各光電変換素子に蓄積される電荷量(受光強度)の分布も周期的に変化する。このため、TDIカメラ30から出力される各光切断画像を縦にした状態で横方向に順に配列することにより得られる画像は、その横方向に沿って、各光切断画像の濃度(強度)が周期的に変化する縞画像となる。図3に縞画像の一例を示す。ここで、濃度変化の一周期分に相当する光切断画像のことを「縞」と称することにする。かかる縞画像では、縦方向、すなわち縞に平行な方向が測定対象物2の幅方向に対応し、横方向、すなわち縞に直交する方向が測定対象物2の長手方向に対応する。TDIカメラ30のカメラシフト周波数とレーザ光の変調周波数との比を、M:1とすると、M個の光切断画像、すなわち横方向のM画素分が、一本の縞を構成する。図3の例では、カメラシフト周波数とレーザ変調周波数との比は16:1であり、縞は横方向の16画素毎に一本となる。
【0027】
ところで、レーザ光は測定対象物2の表面に斜めから入射するので、例えば測定対象物2に凹んでいる部分があると、図1においてレーザ光の反射点は右側にずれる。したがって、光電変換素子35上での光切断画像の位置も右側、すなわち図2(a)において列方向にずれることになる。このため、縞画像において、当該凹んでいる部分で反射したレーザ光に対応する光切断画像は、当該凹んでいない部分で反射したレーザ光に対応する光切断画像よりも時間的に早く出力されることになる。したがって、TDIカメラ30から出力される画像を縦にした状態で横方向に順に配列することにより得られる画像において、凹んでいる部分は、縞のずれとして明白に認識することができる。例えば、図3において、縞の曲がっている部分は、凹みにより縞のずれが生じていることを示している。
【0028】
この縞のずれについてもう少し詳しく説明する。図4(a)はある縞画像の概略拡大図である。図4(a)では、各縞毎に最大濃度を与える位置を実線で結んで示している。例えば、この縞画像では、縦方向の位置Aにおいて最大濃度位置を横方向に沿って調べると、最大濃度位置は等間隔に位置しており、縞のずれは生じていない。すなわち、当該測定対象物2は、縦方向の位置Aでは横方向に沿って平坦な形状をしている。この場合、縦方向の位置Aにおいて横方向に沿っての縞画像の濃度分布(スライス縞画像データ)は、図4(b)に示すように、きれいな正弦波形状をしている。
【0029】
一方、図4(a)に示す縦方向の位置Bにおいて最大濃度位置を横方向に沿って調べると、最大濃度位置の間隔は左から右に向かって徐々に広がっており、縞のずれが生じている。すなわち、当該測定対象物2には、縦方向の位置Bで横方向に沿って凹みが生じている。この場合、縦方向の位置Bにおいて横方向に沿っての縞画像の濃度分布(スライス縞画像データ)は、図4(c)に示すように、図4(b)に示す正弦波と比べて位相がずれている。このように、測定対象物2の凹みによる縞のずれは、スライス縞画像データにおける位相のずれとして現れてくる。実際、後述するように、かかる位相のずれと測定対象物2の凹み(深さ)とは比例関係にある。深さが深くなるほど、スライス縞画像データにおける位相のずれが大きくなる。第一実施形態の光学的形状測定装置では、縞画像に基づいて位相のずれに関する情報を算出し、その位相のずれに関する情報に基づいて測定対象物2の形状を測定することにしている。
【0030】
次に、スライス縞画像データにおける位相のずれと測定対象物2の深さとの関係について説明する。図5はスライス縞画像データにおける位相のずれと測定対象物2の深さとの関係を説明するための図である。
【0031】
いま、図5に示すように、線状レーザ光が測定対象物2の表面に入射する入射角度をθとする。また、測定対象物2に凹部があり、線状レーザ光はその凹部に入ったときに測定対象物2の表面から深さdのところで反射して、TDIカメラ30に入射したとする。このとき、深さdで反射した線状レーザ光は、測定対象物2の平坦な表面で反射した線状レーザ光に比べて、測定対象物2の長手方向(右方向)に距離hだけ反射点がずれる。ここで、h=d・tanθである。かかる線状レーザ光の反射点が長手方向に距離hだけずれた結果として、スライス縞画像データにおいて位相のずれが生ずるが、この位相のずれをφとする。
【0032】
TDIカメラ30における光電変換素子35の列方向の撮影分解能をs(mm/画素)とすると、線状レーザ光の反射点が長手方向にずれた距離hは、縞画像においてh/s画素に相当する。また、TDIカメラ30のカメラシフト周波数とレーザ光の変調周波数との比がM:1のとき、縞画像において横方向のM画素分が一本の縞を構成する。すなわち、縞がM画素分だけずれたときに、位相のずれは2πとなる。したがって、線状レーザ光の反射点が長手方向に距離hずれたときのスライス縞画像データにおける位相のずれφは、
M/2π=(h/s)/φ
より、
d={M・s/(2π・tanθ)}φ
となる。これより、スライス縞画像データにおける位相のずれφと測定対象物2の深さdとは比例関係にあることが分かる。
【0033】
厳密には、通常のレンズを用いた場合、撮影分解能sは深さdに応じて変化するため、補正する必要があるが、鋼板の凹みを測定する場合のように、レンズ作動距離に対して深さ変化が微小な場合は、かかる撮影分解能sの変化を実用上無視することができる。また、テレセントリックレンズを使えば、撮影分解能sを深さdによらず、一定とすることができる。
【0034】
画像処理装置50は、TDIカメラ30から出力された各光切断画像に基づいて測定対象物2の形状を表す画像を生成する処理と、その画像に基づいて欠陥を検出する処理とを行うものである。図6に画像処理装置の概略ブロック図を示す。かかる画像処理装置50は、図6に示すように、A/D変換部51と、プレフィルタ部52と、直交正弦波発生部53と、ローパスフィルタ部54a,54bと、位相算出部55と、振幅算出部56と、縞欠損判定部57と、位相連続化処理部58と、欠陥検出処理部59とを有する。画像処理装置50の各部で処理された結果は、表示装置60の画面上に表示される。
【0035】
A/D変換部51は、TDIカメラ30から出力された各光切断画像をA/D変換し、ディジタル多値画像データとして出力するものである。かかるディジタル多値画像データは、図示しない画像メモリに記憶される。これらのディジタル多値画像データを順に配置することにより、縞画像が形成される。
【0036】
かかる縞画像(又はディジタル多値画像データ)からは、縦方向の各位置において横方向に沿っての縞画像の濃度分布を表すデータが生成される。かかる横方向に沿っての縞画像の濃度分布を表すデータが「スライス縞画像データ」である。縦方向の各位置におけるスライス縞画像データは画像メモリから順次出力される。プレフィルタ部52は、各スライス縞画像データに所定のフィルタ処理を施すことにより、ノイズを除去し、縞の状態を鮮明にするものである。尚、プレフィルタ部52によるフィルタ処理は必ずしも行う必要はない。例えば、縞画像に細かいノイズが多数生じているようば場合にのみ行うようにすればよい。
【0037】
プレフィルタ部52からは、縦方向の各位置j(j=0,1,2,・・・ )におけるスライス縞画像データI(k)が二つ出力される。k(k=0,1,2,・・・ )は横方向の位置である。このとき、縦方向の位置jにおけるスライス縞画像データI(k)は正弦波的に変化すると仮定する。すなわち、
(k)=A(j,k){ cos((2πk/M)+φ(j,k))+1}
である。ここで、A(j,k)は画素位置(j,k)におけるスライス縞画像データの振幅、φ(j,k)は画素位置(j,k)におけるスライス縞画像データの位相のずれである。測定対象物2の凹みによって縞画像に発生する縞のずれの影響は、位相のずれφとして現れる。また、線状レーザ光の振幅は一定であるので、通常、上記振幅Aは一定である。しかし、後述するように、測定対象物2の表面が汚れているような場合には、かかる汚れ位置に対応する画素位置において振幅Aは急激に減少することがある。このため、上式では、振幅Aを画素位置(j,k)に依存する形で書いている。
【0038】
尚、cosの項の次に「1」を加えているのは、スライス縞画像データ(濃度値)I(k)はマイナスにならないので、このことを保証するためである。したがって、スライス縞画像データI(k)は0から2Aの間で変化する。
【0039】
直交正弦波発生部53は、ROM等のメモリ上に予め作成しておいた、直交する二つの基準正弦波データ sin(2πk/M),cos(2πk/M)を発生するものである。特に、前者を基準 sinデータ、後者を基準 cosデータとも称する。これらの二つの基準正弦波データはそれぞれ、プレフィルタ部52から出力されたスライス縞画像データI(k)と乗算される。この乗算処理により、二つの出力Ia(k),Ib(k)が得られる。すなわち、
Figure 2004003930
である。
【0040】
ローパスフィルタ部54a,54bはそれぞれ、上記の乗算処理で得られた出力Ia(k),Ib(k)について、所定のフィルタ処理を施すことにより、縞周波数成分及びその高調波成分を除去する、すなわち位相のずれφのみを含む成分を抽出するものである。ローパスフィルタ部54aからの出力をLPF(Ia(k))、ローパスフィルタ部54bからの出力をLPF(Ib(k))とすると、
LPF(Ia(k))=(A cosφ)/2
LPF(Ib(k))=−(A sinφ)/2
である。
【0041】
位相算出部55は、二つのローパスフィルタ部54a,54bから出力された結果に基づいて、各画素位置(j,k)における位相のずれφ(j,k)を算出するものである。位相のずれφ(j,k)は、
Figure 2004003930
より求めることができる。上式では、arctanの値域を−π/2〜+π/2とすると共に、LPF(Ia(k)),LPF(Ib(k))の符号についての情報を利用して、位相のずれφを−π〜+πの範囲で求めている。ここで、この範囲で求めた位相のずれを改めてφ′と記すことにする。この場合、上式で求めた位相のずれφ′は、図7(a)に示すように、測定対象物2の深さと周期的な関係があり、位相のずれφ′のある値をとるような深さは複数ある。したがって、かかる位相のずれφ′を用いたのでは、測定対象物2の形状について正確な情報は得られない。このため、この位相のずれφ′から、図7(b)に示すように測定対象物2の深さと比例関係にあるような位相のずれφを求める必要がある。深さと比例関係にある位相のずれφを得る処理は、位相連続化処理部58によって行われる。
【0042】
また、振幅算出部56は、二つのローパスフィルタ部54a,54bから出力された結果に基づいて、各画素位置(j,k)における振幅A(j,k)を算出するものである。振幅A(j,k)は、
A(j,k)=2[{LPF(Ib(k))}
+{LPF(Ia(k))}1/2
より求めることができる。
【0043】
図8に、鋼板の先端を切り取って作製したサンプルについての画像の例を示す。図8(a)は位相のずれφ′に基づいて作成した位相画像であり、例えば位相のずれφ′が+πのときに画像が白くなり、−πのときに画像が黒くなるような濃淡画像で表現している。図8(b)は振幅Aに基づいて作成した振幅画像であり、例えば振幅が小さいほど画像が黒くなるような濃淡画像で表現している。
【0044】
ところで、測定対象物2の表面が油で汚れているような場合には、その汚れている領域に対応する縞画像の領域は黒くつぶれてしまうことがある。このような領域では振幅Aがとても小さく、隣り合う画素位置間で位相のずれφ′が急激に変化する。すなわち、そのような領域内では、そもそも縞画像を正確に取得することはできないのであり、そこで求めた位相のずれφ′は当然、信頼できるものではない。例えば、図8(a)の位相画像では、その中心付近領域が汚れている領域である。この汚れている領域では多数のノイズが発生し、画像がザラついている。したがって、このような位相画像の信頼できない領域については、欠陥の検出対象から外しておくことが望ましい。また、かかる領域では、後述する位相飛び補正をうまく行うこともできない。
【0045】
このような位相画像の信頼できない領域は、振幅画像から求めることができる。すなわち、振幅が極端に小さい領域を特定することにより、信頼できない位相領域を求めることができる。例えば、図8(b)に示すように、振幅画像では、位相画像の信頼できない領域に対応する領域は、他の領域に比べて黒くなっている。第一実施形態では、振幅画像を、形状の測定対象から外すべき領域を特定するために使用することにしている。この意味では、振幅画像は補助的なものである。
【0046】
縞欠損判定部57は、振幅画像に基づいて、位相画像の信頼できない領域を判定するものである。具体的には、縞欠損判定部57は、所定のしきい値を用いて振幅画像を二値化する。このしきい値としては、表面の汚れに応じた小さな値が設定される。また、必要に応じて、二値画像に対して収縮処理等が行われる。そして、縞欠損判定部57は、こうして得られた二値画像に基づいて当該しきい値よりも小さな領域を判定し、その領域を位相画像の信頼できない領域(欠損領域)として抽出する。図8(c)は縞欠損判定部57で作成された二値画像の例である。この図では、黒い領域が欠損領域である。
【0047】
位相連続化処理部58は、位相算出部55で得られた位相画像に基づいて、位相のずれφ′の不連続点を検出し、位相のずれφ′が滑らかに繋がるように位相のずれφ′を補正するものである。上述したように、位相算出部55で算出した位相のずれφ′の値域は、−π〜+πであるので、位相のずれφ′は−π及び+πで不連続となる。例えば、図8(a)に示す位相画像において、白(又は黒)から黒(又は白)に変化している部分が位相のずれφ′の不連続点に対応する。かかる位相画像をそのまま用いたのでは、測定対象物2の形状を認識することは困難である。したがって、位相のずれφ′の不連続点において位相のずれφ′が滑らかに繋がるように位相のずれφ′を補正する必要がある。かかる補正(位相飛び補正)は、2πの範囲で定義された位相のずれφ′から測定対象物2の深さに比例する一義的な位相のずれφを求める処理である。
【0048】
具体的には、位相連続化処理部58は、まず、位相算出部55で得られた位相画像において、縞欠損判定部57で得られた欠損領域に対応する領域をマスクする。これにより、このマスクした領域以外が位相飛び補正の対象となる。
【0049】
次に、位相連続化処理部58は、位相のずれφ′の不連続点を検出すると共に、その不連続点において位相のずれφ′を補正する。位相のずれφ′が不連続であるかどうかは、一つの画素だけを見ても分からない。隣り合う画素同士を見て判断する必要がある。まず、位相連続化処理部58は、位相画像の縦方向の各位置において位相画像を横方向に沿って調べ、隣り合う画素での位相のずれφ′を比較する。その隣り合う画素において位相のずれφ′が大きく異なる場合には、当該画素間で位相のずれφ′が不連続であると判断し、これらの位相のずれφ′を補正する。実際、鋼板等の測定対象物2の表面における深さは、急激に変化しない。このため、位相のずれφ′が大きく異なるのは、位相のずれφ′が±2πだけ変化しているために生じたと考えられる。したがって、位相のずれφ′がその隣接する画素での位相のずれφ′と大きく異なっている画素を調べて、それらの位相のずれφ′を滑らかに繋げていくようにすればよい。
【0050】
例えば、ある画素位置では、位相のずれφ′が+πに近い値であり、その右隣りの画素位置では、位相のずれφ′が−πに近い値である場合には、当該右隣りの画素位置では位相のずれφ′が+2πだけ変化していると認識する。そして、当該右隣りの画素位置における位相のずれφ′に+2πを加算することにより、位相のずれφ′を補正する。また、ある画素位置では、位相のずれφ′が−πに近い値であり、その右隣りの画素位置では、位相のずれφ′が+πに近い値である場合には、当該右隣りの画素位置では位相のずれφ′が−2πだけ変化していると認識する。そして、当該右隣りの画素位置における位相のずれφ′に−2πを加算することにより、位相のずれφ′を補正する。
【0051】
こうして、縦方向の各位置において横方向に沿って隣り合う画素を調べて、位相のずれφ′を補正した後、位相連続化処理部58は、今度は、横方向の各位置において縦方向に沿って隣り合う画素を調べ、同様にして、位相のずれφ′を補正する。かかる補正後の各画素位置における位相のずれは、測定対象物2の深さに比例する一義的な位相のずれφである。
【0052】
次に、位相連続化処理部58は、かかる補正後の位相のずれφに基づいて新たに位相画像を作成する。この新たな位相画像は測定対象物2の形状を正確に表している。この新たな位相画像のことを形状画像と称することにする。図8(d)は位相連続化処理部58で作成された形状画像の例である。かかる形状画像を見れば、測定対象物2の形状を正確且つ容易に理解することができる。
【0053】
このように、形状画像から測定対象物2の表面全体の凹凸状態を容易に知ることができるが、例えば、測定対象物2の傾きを無視して凹み等の欠陥だけを知りたいという場合もある。欠陥検出処理部59は、位相連続化処理部58で得られた形状画像に基づいて、測定対象物2の表面に生じた凹み等の欠陥を検出するものである。具体的には、欠陥検出処理部59は、まず、図9(a)に示すように、位相画像から、横方向の各位置において縦方向に沿った位相のずれφの分布を抽出する。そして、その位相のずれφの分布に対して例えば最小二乗近似を行い、当該縦方向に沿った位相のずれφの分布に対する近似曲線を求める。その後、図9(b)に示すように、当該縦方向に沿った位相のずれφの分布曲線から、当該近似曲線を減算する。この減算した結果には欠陥に関する情報だけが含まれる。かかる処理は、横方向のすべての位置において行われる。こうして得られた結果を画像として表すことにより、形状画像から測定対象物2の形状の影響を取り除いて欠陥だけが抽出された欠陥画像を得ることができる。その後、欠陥検出処理部59は、かかる欠陥画像に対して二値化やラベリングなどの手段を講じて、欠陥を検出する。
【0054】
尚、ここでは、欠陥検出処理部59による欠陥画像を得る際に、横方向の各位置において縦方向に沿った位相のずれφの分布に対して減算処理を行う場合について説明したが、その代わりに、縦方向の各位置において横方向に沿った位相のずれφに対して減算処理を行うようにしてもよい。
【0055】
次に、第一実施形態の光学的形状測定装置において測定対象物2の形状を測定する処理手順について説明する。図10は図3に示す縞画像のうち凹み部を含む領域についての処理を説明するための図、図11は図3に示す縞画像のうち汚れ部を含む領域についての処理を説明するための図である。
【0056】
まず、オペレータは、レーザ装置10の方向を調整して、線状レーザ光が測定対象物2の表面に入射する入射角度θを設定する。線状レーザ光の入射角度θを大きくすると、測定対象物2の同じ深さ変化に対して線状レーザ光の反射点変化量は大きくなるので、測定の感度が向上する。しかし、測定レンジは狭くなってしまう。このため、測定の感度とレンジとを考慮して、線状レーザ光の入射角度θを決定する必要がある。
【0057】
こうして測定準備が整うと、オペレータは、第一実施形態の光学的形状測定装置のスイッチをオンして、測定対象物2の形状測定を開始する。光学的形状測定装置の動作が開始すると、タイミング信号発生器40は、所定の周波数ωをもつ正弦波形状の信号をレーザ装置10に送出すると共に、周波数Mωのカメラシフトパルス信号をTDIカメラ30に送出する。レーザ装置10は、かかる正弦波形の信号を受けると、同じく正弦波形で強度変調されたレーザ光を発生する。そのレーザ光はロッドレンズ20で扇状に広げられ、線状レーザ光として、移動している測定対象物2に照射される。そして、測定対象物2で反射された線状反射像はTDIカメラ30により撮像される。TDIカメラ30の各光電変換素子35は線状反射像に対応する電荷を蓄積し、タイミング信号発生器40からのカメラシフトパルス信号に受ける度にその電荷を隣りの光電変換素子に転送する。かかる転送動作を繰り返すことにより、各線状反射像に対応する光切断画像がTDIカメラ30から順次出力される。
【0058】
TDIカメラ30から出力された光切断画像は、画像処理装置50のA/D変換部51に入力する。各光切断画像は、A/D変換部51でディジタル多値画像データに変換され、かかるディジタル多値画像データは画像メモリに記憶される。これらのディジタル多値画像データから、縞画像が得られる。
【0059】
例えば、図3に示す縞画像では、その左側に、縞の曲がっている部分がある。この縞の曲がった部分は、測定対象物2の凹部に対応している。図10(a)に、この凹部を含む小部分だけを切り抜いた縞画像を示す。また、図3に示す縞画像の中央やや右下には、縞が欠けて黒くなった部分がある。この縞の欠けた部分は、測定対象物2の汚れ部に対応している。図11(a)に、この汚れ部を含む小部分だけを切り抜いた縞画像を示す。
【0060】
画像メモリからは、縦方向の各位置におけるスライス縞画像データが順次出力される。図10(b)に、同図(a)において凹部に対応する一の縦方向の位置でのスライス縞画像データを示す。また、図11(b)に、同図(a)において汚れ部に対応する一の縦方向の位置でのスライス縞画像データを示す。ここで、図10(b)、図11(b)の各グラフにおいて、縦軸は当該縞画像の濃度値I(k)であり、横軸は横方向の画素位置kである。尚、図10(b)〜(h)、図11(b)〜(h)の各グラフにおいても、横軸は横方向の画素位置である。
【0061】
図10(b)、図11(b)のスライス縞画像データでは、ピークを示す位置がそれぞれ、図10(a)、図11(a)における白い部分の位置に対応する。特に、図10(b)のスライス縞画像データにおいては、凹部に対応する範囲で、各ピーク間の間隔が変化している。一方、図11(b)のスライス縞画像データにおいては、汚れ部に対応する範囲で、濃度値が極端に低くなっている。
【0062】
縦方向の各位置におけるスライス縞画像データは、プレフィルタ部52でノイズを除去された後、二つの出力とされる。そして、これら二つのスライス縞画像データはそれぞれ、直交正弦波発生部53で発生された基準正弦波データである基準 cosデータ、基準 sinデータと乗算される。図10(c)及び図11(c)に基準 cosデータを示し、図10(d)及び図11(d)に基準 sinデータを示す。また、図10(e)に、図10(b)のスライス縞画像データと図10(c)の基準 cosデータとを乗算した結果Ia(k)を示す。そして、図10(f)に、図10(b)のスライス縞画像データと図10(d)の基準 sinデータとを乗算した結果Ib(k)を示す。同様に、図11(e)には図11(b)のスライス縞画像データと図11(c)の基準 cosデータとを乗算した結果Ia(k)を、図11(f)には図11(b)のスライス縞画像データと図11(d)の基準 sinデータとを乗算した結果Ib(k)を示す。図10(e),(f)及び図11(e),(f)から分かるように、縞の曲がっている部分や縞の欠けた部分に対応する位置では、当該乗算された結果のデータIa(k),Ib(k)は大きく変化している。
【0063】
こうして乗算された結果のデータIa(k),Ib(k)には、ローパスフィルタ部54a,54bで所定のフィルタ処理が施され、位相のずれφ′のみを含むデータLPF(Ia(k)),LPF(Ib(k))が抽出される。図10(e),(f)及び図11(e),(f)において、破線で描いたのが、ローパスフィルタ部54a,54bから出力される、位相のずれφ′のみを含むデータLPF(Ia(k)),LPF(Ib(k))である。
【0064】
次に、位相算出部55は、二つのローパスフィルタ部54a,54bから出力されるデータLPF(Ia(k)),LPF(Ib(k))に基づいて、各画素位置での位相のずれφ′を算出する。図10(g)には図10(e),(f)の各データに基づいて算出された位相のずれφ′を示し、図11(g)には図11(e),(f)の各データに基づいて算出された位相のずれφ′を示す。図10(g)の例では、位相のずれφ′は画素位置「95」、「160」において不連続になっている。また、図11(g)の例では、縞の欠けた部分に対応する範囲で、位相のずれφ′が異常な変化をしている。その後、位相算出部55は、その算出した位相のずれφ′に基づいて位相画像を生成する。
【0065】
一方、振幅算出部56は、二つのローパスフィルタ部54a,54bから出力されるデータLPF(Ia(k)),LPF(Ib(k))に基づいて、各画素位置での振幅Aを算出する。図10(h)には図10(g),(f)の各データに基づいて算出された振幅Aを示し、図11(h)には図11(g),(h)の各データに基づいて算出された振幅Aを示す。図10(h)の例では、振幅Aはどこでも略一定値、0.5となっている。また、図11(h)の例では、振幅Aは、縞の欠けた部分に対応する範囲で、極端に低下している。その後、振幅算出部56は、その算出した振幅Aに基づいて振幅画像を生成する。
【0066】
尚、通常、位相のずれφ′、振幅Aは隣り合う画素において滑らかに変化する。このため、すべての画素位置において位相のずれφ′、振幅Aを計算する代わりに、各縞毎に、一の画素位置において、すなわちM画素おきに位相のずれφ′、振幅Aを計算するようにしてもよい。これにより、処理を迅速に行うことができる。
【0067】
その後、縞欠損判定部57は、振幅画像を所定のしきい値を用いて二値化することにより、当該しきい値よりも小さい振幅をもつ領域を、欠損領域として抽出する。例えば、図10(h)の振幅Aを示すグラフには欠損領域は存在しない。これに対し、図11(h)の振幅Aを示すグラフには、矢印で示すように、振幅Aが極端に低下している範囲があり、この矢印で示した範囲が欠損領域と判定される。
【0068】
次に、位相連続化処理部58は、位相画像において、縞欠損判定部57で抽出された欠損領域に対応する領域をマスクし、そのマスクした領域以外に対して位相飛び補正を行う。例えば、図11(g)において、その矢印で示す範囲は、図11(h)の欠損領域に対応する範囲である。この図11(g)の矢印で示す範囲では位相のずれφ′が異常な変化をしているが、当該範囲は位相飛び補正の対象外となる。また、図10(g)の例において、位相飛び補正を行うと、位相のずれφ′の値が+π付近の値を取る中央領域においては、その位相のずれφ′の値が−2πだけ減算される。これにより、同図(g)の中央下側に示すように、位相のずれが連続的に繋がる。
【0069】
こうして位相飛び補正が終了すると、位相連続化処理部58は、その補正後の位相のずれφに基づいて形状画像を作成する。かかる形状画像は表示装置60の画面上に表示される。その後、欠陥検出処理部59は、かかる形状画像に基づいて、測定対象物2の表面に生じた凹み等の欠陥を検出する。かかる検出結果も表示装置60の画面上に表示される。
【0070】
第一実施形態の光学的形状測定装置では、TDIカメラを用いて得られた縞画像に基づいて、各スライス縞画像データについて縞の位相のずれと振幅を算出することにより、位相画像及び振幅画像を作成する。次に、振幅画像に基づいて欠損領域を特定し、位相画像においてその欠損領域に対応する領域をマスクした後、そのマスクした位相画像に基づいて位相のずれを連続化する処理を行う。そして、その連続化された後の位相のずれを表す形状画像を表示装置の画面上に表示する。したがって、第一実施形態の光学的形状測定装置では、従来のように縞画像を二値化して、その二値画像に基づいて測定対象物の形状を測定するものではないので、測定対象物の形状を高精度かつ高速に測定することができる。
【0071】
次に、本発明の第二実施形態について図面を参照して説明する。図12は本発明の第二実施形態である光学的形状測定装置の概略構成図、図13はその光学的形状測定装置の変調器が出力する重畳信号を説明するための図である。尚、第二実施形態において、第一実施形態のものと同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0072】
上記第一実施形態の光学的形状測定装置では、測定対象物2の形状を測定し、その表面の凹みや疵等の欠陥を検出する場合を考えた。このとき、測定対象物2の表面における深さは急激に変化せず、位相のずれφ′が大きく異なるときには位相のずれφ′が±2πだけ変化していると仮定していた。このため、第一実施形態の光学的形状測定装置では、正弦波の1波長以上の不連続な段差が測定対象物2の表面にある場合、その段差において位相のずれφ′をうまく補正することができず、したがって、不連続な深い段差を有する測定対象物2の形状を測定することは困難である。第二実施形態の光学的形状測定装置は、不連続な深い段差を有する測定対象物2の形状をも測定できるように、第一実施形態の光学的形状測定装置を改良したものである。
【0073】
第二実施形態の光学的形状測定装置は、図12に示すように、レーザ装置10と、ロッドレンズ20と、遅延積分型カメラ(TDIカメラ)30と、タイミング信号発生部140と、変調器(重畳信号生成手段)170と、画像処理装置150と、表示装置60とを備えるものである。
【0074】
タイミング信号発生部140は、所定周波数ωのM倍の周波数をもつパルス信号を発生し、そのパルス信号をTDIカメラ30と変調器170とに送出するものである。TDIカメラ30では、測定対象物2の線状反射像が1列分の幅で光電変換素子35に入射する。そして、各光電変換素子35が電荷を転送するタイミングは、タイミング信号発生部140から送出されるパルス信号によって制御される。
【0075】
変調器170は、図13に示すように、正弦波形の信号と長い周期をもつ擬似ランダム信号とを発生し、それらの信号を重畳した重畳信号を出力するものである。具体的には、変調器170は、タイミング信号発生部140からパルス信号を受ける度に、正弦波形の信号の位相を一定量2π/Mだけ進める。この正弦波形の信号は、パルス信号がM回入力すると波形が元の状態に戻るので、その周波数はωである。また、変調器170は、タイミング信号発生部140からパルス信号を受ける度に、擬似ランダム信号を1チップだけ発生する。この擬似ランダム信号としては、その周期が上記の正弦波形の信号の周期よりも長く、且つその振幅が上記の正弦波形の信号の振幅の10%〜20%であるものが用いられる。そして、変調器170は、タイミング信号発生部140からパルス信号を受けたときに、位相を一定量2π/Mだけ進めた正弦波形の信号と1チップ分の擬似ランダム信号とを重畳し、その重畳信号をレーザ装置10に送出する。
【0076】
レーザ装置10は、外部信号によりその発振強度を連続的に変化させられるものであり、変調器170から送出される重畳信号を受けると、その重畳信号の波形で出力が変化するレーザ光を発生する。すなわち、第二実施形態では、レーザ装置10が発するレーザ光を、重畳信号により変調させている。
【0077】
ここで、擬似ランダム信号について説明する。第二実施形態では、擬似ランダム信号として、例えばM系列信号を用いる。このM系列信号は、二値の信号であり、複数のシフトレジスタを有する回路により生成される。M系列信号の周期は、タイミング信号発生器140から送出されるパルス信号の周期Tを単位として2−1で与えられる。nはシフトレジスタの数である。第二実施形態では、擬似ランダム信号の周期を、例えば255Tとする。この周期255Tは、正弦波形の信号の周期MTよりも大きいと仮定する。また、擬似ランダム信号には、擬似ランダム信号の波形が一致するときにのみ自己相関値が大きなピークをとり、擬似ランダム信号の波形が一致しないときには自己相関値がほとんどゼロになるという性質がある。
【0078】
画像処理装置150は、TDIカメラ30から出力された各光切断画像に基づいて測定対象物2の形状を表す画像を生成する処理を行うものである。図14は画像処理装置150の概略ブロック図、図15はその画像処理装置150における相関算出部の構成を説明するための図、図16はその相関算出部で求められる相関ピーク位置のずれ量を説明するための図、図17はその画像処理装置150において形状算出部が行う処理を説明するための図である。
【0079】
かかる画像処理装置150は、図14に示すように、A/D変換部51と、プレフィルタ部52と、直交正弦波発生部53と、ローパスフィルタ部54a,54bと、位相算出部55と、振幅算出部56と、縞欠損判定部57と、位相連続化処理部58と、相関算出部151と、形状算出部152とを有する。画像処理装置150の各部で処理された結果は、表示装置60の画面上に表示される。
【0080】
TDIカメラ30から出力された各光切断画像は、第一実施形態と同様に、A/D変換部51でA/D変換され、ディジタル多値画像データとして画像メモリ(不図示)に記憶される。これらのディジタル多値画像データを縦にした状態で横方向に順に配置することにより、縞画像が形成される。第二実施形態では、縞画像を、横方向に沿って所定の長さで複数の単位縞画像に分割する。そして、画像処理装置150の各部は、単位縞画像毎に所定の処理を施すことにする。ここでは、図15に示すように、各単位縞画像の横方向の長さを、例えば、擬似ランダム信号の1周期に相当する長さ(255画素)とする。また、各単位縞画像の縦方向の長さは1024画素である。
【0081】
かかる各単位縞画像からは、縦方向の各位置におけるスライス縞画像データが生成され、プレフィルタ部52と相関算出部151とに出力される。プレフィルタ部52は、各スライス縞画像データに所定のフィルタ処理を施すことにより、ノイズや擬似ランダム信号を除去する。したがって、プレフィルタ部52から出力されるスライス縞画像データからは、擬似ランダム信号の影響が排除されている。尚、プレフィルタ部52によるフィルタ処理は必ずしも行う必要はない。擬似ランダム信号のスペクトルは広く、且つ擬似ランダム信号の振幅は正弦波形の信号の振幅よりも小さいので、プレフィルタ部52によるフィルタ処理を行わなくとも、擬似ランダム信号が位相のずれの算出処理に及ぼす影響はほとんど無視することができるからである。
【0082】
直交正弦波発生部53、ローパスフィルタ部54a,54b、位相算出部55、振幅算出部56、縞欠損判定部57及び位相連続化処理部58ではそれぞれ、上記の第一実施形態と同様の処理が行われる。これにより、位相連続化処理部58では、測定対象物2の深さに比例する位相のずれφに基づいて作成された位相画像が得られる。特に、第二実施形態では、位相連続化処理部58は、その位相画像に基づいて、位相のずれφを深さに換算することにより、縦方向の各位置において横方向に沿っての深さ分布データを求める。その求めた縦方向の各位置における深さ分布データは、形状算出部152に出力される。
【0083】
相関算出部151は、図15に示すように、1024個の回路群C(m=1,2,・・・ ,1024)からなる。これらの回路群Cは、単位縞画像の縦方向の画素数と同じ数だけ設けられており、各回路群Cにはそれぞれ、縦方向の対応する位置におけるスライス縞画像データが入力する。各回路群Cは、図15に示すように、直流成分除去部151aと、ノッチフィルタ部151bと、相関器151cとを有する。
【0084】
直流成分除去部151aは、スライス縞画像データの平均の濃度値を算出し、スライス縞画像データからその平均の濃度値を差し引くことにより、スライス縞画像データから直流成分を除去する。TDIカメラ30から出力される光切断画像には必ず直流成分が付加されている。かかる直流成分を除去することにより、平均の濃度値がゼロになるようなスライス縞画像データが得られる。
【0085】
ノッチフィルタ部151bは、直流成分除去部151aから出力されたスライス縞画像データから、正弦波形の信号成分を除去するものである。これにより、擬似ランダム信号成分だけを含む受信信号u′(i)が得られる。i(i=1,2,3,・・・ ,255)は横方向の画素位置である。尚、このノッチフィルタ部151bによる処理は必要な場合にのみ行えばよい。擬似ランダム信号は、その周期が正弦波の周期より十分長ければ、正弦波形の信号や縞画像に含まれる雑音との相関が低くなり、後述する相関器151cにおいて相関ピーク位置のずれ量を確実に検出できるからである。
【0086】
相関器151cは、ノッチフィルタ部151bから出力された受信信号u′(i)と基準の擬似ランダム信号u(i)との相関値を算出し、その相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量を求めるものである。ここで、基準の擬似ランダム信号u(i)は、変調器170が発生する擬似ランダム信号の複製信号であり、相関器151c内に予め記憶されている。受信信号u′(i)には、変調器170で実際に発生された擬似ランダム信号が含まれるが、その擬似ランダム信号の波形は、基準の擬似ランダム信号u(i)の波形に比べて測定対象物2の表面の深さに応じた所定量だけずれている。
【0087】
基準の擬似ランダム信号u(i)と受信信号u′(i)との相関値Corr(p)は、基準の擬似ランダム信号u(i)と受信信号u′(i−p)とを乗算し、u(i)・u′(i−p)をすべてのiについて加算することにより求められる。この相関値Corr(p)は擬似ランダム信号の自己相関値であり、両信号の波形が一致するときにのみ大きなピークをとり、両信号の波形が一致しないときにはほとんどゼロである。相関器151cは、pの値を0から254まで1画素ずつずらしながら、相関値Corr(p)を算出し、相関値Corr(p)がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量p=Pを求める。すなわち、相関器151cは、横方向の1画素毎に相関値Corr(p)を算出するので、相関ピーク位置のずれ量Pを横方向の1画素単位で求めることができる。また、一の単位縞画像の各スライス縞画像データについて、相関ピーク位置のずれ量Pは一つしか出力されない。画像処理装置150では、単位縞画像毎に処理を施すと共に、単位縞画像の横方向の幅を擬似ランダム信号の1周期に相当する画素数としているからである。これにより、相関器151cでの処理はとても簡易なものとなる。
【0088】
ところで、図16に示すように、測定対象物2の表面に不連続な深い段差があると、その段差の部分Bで反射したレーザ光の像は、第一実施形態において説明した理由と同様の理由により、段差になっていない部分Aで反射したレーザ光の像よりも時間的に早くTDIカメラ30から出力される。このため、段差の部分Bにおけるスライス縞画像データに含まれる擬似ランダム信号の波形と、段差になっていない部分Aにおけるスライス縞画像データに含まれる擬似ランダム信号の波形とはずれている。これにより、段差の部分Bにおけるスライス縞画像データに基づいて得られた相関ピーク位置のずれ量Pと、段差になっていない部分Aにおけるスライス縞画像データに基づいて得られた相関ピーク位置のずれ量Pとは異なっている。このように、測定対象物2の深さは、相関ピーク位置のずれ量Pとして現れてくる。実際、相関ピーク位置のずれ量Pと測定対象物2の深さとは比例関係にあり、深さが深くなるほど、相関ピーク位置のずれ量Pが大きくなる。
【0089】
この相関ピーク位置のずれ量Pと測定対象物2の深さとの関係について説明する。図5に示すように、線状レーザ光が測定対象物2の表面に入射する入射角度をθとすると、深さdで反射した線状レーザ光は、測定対象物2の平坦な表面で反射した線状レーザ光に比べて、測定対象物2の長手方向に距離h=d・tanθだけ反射点がずれる。TDIカメラ30における光電変換素子35の列方向の撮影分解能をs(mm/画素)とすると、線状レーザ光の反射点が長手方向にずれた距離hは、縞画像においてh/s画素に相当する。そして、このh/sが相関ピーク位置のずれ量P(画素)となる。すなわち、P=h/sである。したがって、測定対象物2の深さdと、その深さdにより生じた相関ピーク位置のずれ量Pとの間には、
d=(s/tanθ)P
という比例関係がある。
【0090】
相関器151cは、上記の比例関係を用いて、相関ピーク位置のずれ量Pを測定対象物2の深さdに換算する。こうして得られる深さdは、縦方向の当該位置において、横方向に沿って擬似ランダム信号の1周期に相当する画素数分の長さにおける平均の深さ(第一の平均の深さ)である。このように、各相関器151cは縦方向の各位置における第一の平均の深さdを算出し、各第一の平均の深さdは形状算出部152に出力される。図17(a)に相関算出部151で得られた縦方向の各位置における第一の平均の深さの一例を示す。ここで、図17(a)において、縦軸は縦方向の位置、横軸は各相関器151cからの出力(第一の平均の深さ)である。第二実施形態では、擬似ランダム信号として正弦波形の信号に比べて長い周期をもつものを用いているので、正弦波形の信号の1波長以上の不連続な段差が測定対象物2にある場合、その段差については平均の深さを正確に求めることができる。
【0091】
形状算出部152は、位相連続化処理部58で得られた縦方向の各位置における深さ分布データと相関算出部151で得られた縦方向の各位置における第一の平均の深さとに基づいて、測定対象物2の表面の形状を表す深さ画像を作成するものである。具体的には、形状算出部152は、まず、位相連続化処理部58で得られた縦方向の各位置における深さ分布データに基づいて、縦方向の各位置における平均の深さ(第二の平均の深さ)を求める。次に、形状算出部152は、縦方向の各位置毎に、第二の平均の深さが相関算出部151で得られた第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求める。このオフセット値は、第一の平均の深さから第二の平均の深さを減算することこによって得ることができる。そして、図17(b)に示すように、位相連続化処理部58で得られた縦方向の各位置における深さ分布データに、当該位置におけるオフセット値を加算する。その後、形状算出部152は、かかる加算処理が行われた後の縦方向の各位置における深さ分布データに基づいて深さ画像を作成する。この深さ画像は、測定対象物2の表面に不連続な深い段差がある場合でも、測定対象物2の形状を正確に表している。したがって、かかる形状画像を見れば、測定対象物2の形状を正確且つ容易に理解することができる。
【0092】
一般に、長い周期をもつ信号を利用すれば深い段差を検出することが可能である。例えば、長い周期をもつ正弦波形の信号を利用することにより、その周期に対応した深い段差を検出することができる。しかし、長い周期をもつ正弦波形の信号だけを用いたのでは、同じ凹み量に対する位相のずれ量が小さくなるため、位相測定のSN比が低下し、微小な凹みを精度よく検出できなくなってしまう。一方、擬似ランダム信号だけを用いても、測定対象物2の凹みを測定することができる。しかし、この場合、擬似ランダム信号の1周期に相当する長さにおける平均の深さしか求めることができないので、測定対象物2の、長さが擬似ランダム信号の一周期以下の小さな凹みについてはその深さを正確に検出することは困難である。これらの点を考慮して、第二実施形態では、正弦波形の信号とその周期よりも長い周期をもつ擬似ランダム信号とを重畳した重畳信号を用いてレーザ光を変調することにより、測定対象物2の、長さが擬似ランダム信号の周期以下の凹凸については正弦波形の信号を利用して検出し、測定対象物2の不連続な長く深い段差については擬似ランダム信号を利用して検出することにしている。
【0093】
次に、第二実施形態の光学的形状測定装置において測定対象物2の形状を測定する処理手順について説明する。
【0094】
光学的形状測定装置の動作が開始すると、タイミング信号発生器140は、所定の周波数Mωをもつパルス信号を変調器170とTDIカメラ30とに送出する。変調器170は、かかるパルス信号を受ける度に、正弦波形の信号の位相を2π/Mだけ進めるとともに、擬似ランダム信号を1チップだけ発生する。そして、正弦波形の信号と擬似ランダム信号とを重畳した重畳信号をレーザ装置10に送出する。レーザ装置10は、かかる重畳信号を受けると、その重畳信号の波形で強度変調されたレーザ光を発生する。そのレーザ光はロッドレンズ20で扇状に広げられ、線状レーザ光として、移動している測定対象物2に照射される。そして、測定対象物2で反射された線状反射像はTDIカメラ30により撮像される。TDIカメラ30の各光電変換素子35は線状反射像に対応する電荷を蓄積し、タイミング信号発生器140からのパルス信号を受ける度にその電荷を隣りの光電変換素子35に転送する。かかる転送動作を繰り返すことにより、各線状反射像に対応する光切断画像がTDIカメラ30から順次出力される。
【0095】
TDIカメラ30から出力された光切断画像は、画像処理装置150のA/D変換部51に入力する。各光切断画像は、A/D変換部51でディジタル多値画像データに変換され、かかるディジタル多値画像データは画像メモリに記憶される。これらのディジタル多値画像データから、縞画像が得られる。
【0096】
画像メモリからは、単位縞画像毎に、縦方向の各位置におけるスライス縞画像データがプレフィルタ部52及び相関算出部151に出力される。プレフィルタ部52に出力されたスライス縞画像データには、直交正弦波発生部53、ローパスフィルタ部54a,54b、位相算出部55、振幅算出部56、縞欠損判定部57及び位相連続化処理部58において上記第一実施形態と同様の処理が施される。そして、位相連続化処理部53からは、縦方向の各位置における深さ分布データが形状算出部152に出力される。
【0097】
一方、相関算出部151に出力された縦方向の各位置におけるスライス縞画像データはそれぞれ、所定の回路群C(m=1,2,・・・ ,1024)における直流成分除去部151aに入力する。直流成分除去部151aはスライス縞画像データの直流成分を除去し、その後、ノッチフィルタ部151bがそのスライス縞画像データにおける正弦波形の信号成分を除去する。これにより、擬似ランダム信号成分だけを含む受信信号が得られる。次に、相関器151cは、その受信信号と基準の擬似ランダム信号との相関値を算出し、その相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量を求める。そして、その求めた相関ピーク位置のずれ量に基づいて第一の平均の深さを算出する。各相関器151cで得られた縦方向の各位置における第一の平均の深さは、形状算出部152に出力される。
【0098】
次に、形状算出部152は、位相連続化処理部58で得られた縦方向の各位置における深さ分布データに基づいて、縦方向の各位置における第二の平均の深さを求める。そして、縦方向の各位置毎に第二の平均の深さ変動量が第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求め、位相連続化処理部58で得られた縦方向の各位置における深さ分布データに当該位置におけるオフセット値を加算する。その後、形状算出部152は、かかるオフセット値が加算された後の縦方向の各位置における深さ分布データを用いて測定対象物2の形状を表す深さ画像を作成する。この深さ画像は表示装置60の画面上に表示される。
【0099】
第二実施形態の光学的形状測定装置では、正弦波形の信号とその周期よりも長い周期をもつ擬似ランダム信号とを重畳した重畳信号により変調されたレーザ光を測定対象物に照射し、TDIカメラを用いて縞画像を取得する。次に、その縞画像に上記の第一実施形態と同様の処理を施すことにより、縦方向の各位置における深さ分布データを求める。一方、各スライス縞画像データと擬似ランダム信号との相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量に基づいて縦方向の各位置における第一の平均の深さを算出する。そして、縦方向の各位置毎に、深さ分布データに基づいて求めた第二の平均の深さが第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求め、縦方向の各位置における深さ分布データに当該位置におけるオフセット値を加算する。その後、その加算処理が施された後の各深さ分布データを用いて深さ画像を作成し、表示装置の画面上に表示する。したがって、第二実施形態の光学的形状測定装置では、測定対象物の表面に不連続な深い段差がある場合でも、測定対象物の微小かつ短い凹凸については正弦波の信号を利用して検出し、測定対象物の長く深い段差については擬似ランダム信号を利用して検出することができるので、測定対象物の形状を正確に測定することができる。
【0100】
尚、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明に係る光学的形状測定装置によれば、遅延積分型の撮像手段を用いて得られた縞画像に基づいて、各スライス縞画像データについて縞の位相のずれを算出することにより、その位相のずれを表す位相画像を作成する。次に、位相画像に基づいて位相のずれを連続化する処理を行い、その連続化された後の位相のずれを表す画像を出力手段に出力する。したがって、本発明では、従来のように縞画像を二値化して、その二値画像に基づいて測定対象物の形状を測定するものではないので、測定対象物の形状を高精度かつ高速に測定することができる。
【0102】
また、縞画像に基づいて、各スライス縞画像データについて縞の振幅を算出することにより、その算出した振幅を表す振幅画像を作成する。そして、振幅画像に基づいて欠損領域を特定し、位相画像においてその欠損領域に対応する領域をマスクした後、そのマスクした位相画像に基づいて位相のずれを連続化する処理を行う。これにより、位相画像の信頼できない領域を測定対象から外して、測定対象物の形状を測定することができる。
【0103】
請求項4記載の発明に係る光学的形状測定方法によれば、上記の請求項1記載の発明と同様に、測定対象物の形状を高精度かつ高速に測定することができる。
【0104】
請求項7記載の発明に係る光学的形状測定装置によれば、周期的な信号とその周期よりも長い周期をもつ擬似ランダム信号とを重畳した重畳信号により変調されたレーザ光を測定対象物に照射し、遅延積分型の撮像手段を用いて縞画像を取得する。次に、その縞画像に基づいて、縞に平行な方向の各位置における深さ分布データを求める。一方、各スライス縞画像データと擬似ランダム信号との相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量に基づいて、縞に平行な方向の各位置における第一の平均の深さを算出する。そして、縞に平行な方向の各位置毎に、深さ分布データに基づいて求めた第二の平均の深さが第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求め、縞に平行な方向の各位置における深さ分布データに当該位置におけるオフセット値を加算する。その後、その加算処理が施された後の各深さ分布データを用いて作成した深さ画像を出力手段に出力する。したがって、本発明では、測定対象物の表面に不連続な深い段差がある場合でも、測定対象物の微小かつ短い凹凸については周期的な信号を利用して検出し、測定対象物の長く深い段差については擬似ランダム信号を利用して検出することができるので、測定対象物の形状を正確に測定することができる。
【0105】
請求項9記載の発明に係る光学的形状測定方法によれば、上記の請求項7記載の発明と同様に、測定対象物の表面に不連続な深い段差がある場合でも、測定対象物の微小かつ短い凹凸については周期的な信号を利用して検出し、測定対象物の長く深い段差については擬似ランダム信号を利用して検出することができるので、測定対象物の形状を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態である光学的形状測定装置の概略構成図である。
【図2】その光学的形状測定装置のおける遅延積分型カメラの構造と動作を説明するための図である。
【図3】縞画像の一例を示す図である。
【図4】縞画像における縞のずれを説明するための図である。
【図5】スライス縞画像データにおける位相のずれと測定対象物の深さとの関係を説明するための図である。
【図6】第一実施形態の光学的形状測定装置における画像処理装置の概略ブロック図である。
【図7】その画像処理装置の位相算出部で算出される位相のずれを説明するための図である。
【図8】鋼板の先端を切り取って作製したサンプルについての画像の例を示す図である。
【図9】欠陥検出処理部の処理内容を説明するための図である。
【図10】図3に示す縞画像のうち凹部を含む領域についての処理を説明するための図である。
【図11】図3に示す縞画像のうち汚れ部を含む領域についての処理を説明するための図である。
【図12】本発明の第二実施形態である光学的形状測定装置の概略構成図である。
【図13】その光学的形状測定装置の変調器が出力する重畳信号を説明するための図である。
【図14】第二実施形態の光学的形状測定装置における画像処理装置の概略ブロック図である。
【図15】その画像処理装置における相関算出部の構成を説明するための図である。
【図16】その相関算出部で求められる相関ピーク位置のずれ量を説明するための図である。
【図17】その画像処理装置において形状算出部が行う処理を説明するための図である。
【符号の説明】
2  測定対象物
10  レーザ装置
20  ロッドレンズ
30  遅延積分型カメラ
31  レンズ
35  光電変換素子
40,140  タイミング信号発生部
50,150  画像処理装置
51  A/D変換部
52  プレフィルタ部
53  直交正弦波発生部
54a,54b  ローパスフィルタ部
55  位相算出部
56  振幅算出部
57  縞欠損判定部
58  位相連続化処理部
59  欠陥検出処理部
60  表示装置
151  相関算出部
151a  直流成分除去部
151b  ノッチフィルタ部
151c  相関器
152  形状算出部
170  変調器

Claims (10)

  1. 周期的に変調された線状レーザ光を測定対象物の表面に照射する照射手段と、
    前記測定対象物に対する前記線状レーザ光の照射位置を連続的にずらしながら、前記線状レーザ光が前記測定対象物に照射されたときに、前記測定対象物からの反射光を撮像して光切断画像を出力する遅延積分型の撮像手段と、
    前記各光切断画像から構成される縞画像を記憶する記憶手段と、
    互いに直交する二つの基準正弦波データを発生し、前記各基準正弦波データを、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての前記縞画像の濃度分布を表すスライス縞画像データに乗算する直交正弦波発生手段と、
    前記直交正弦波発生手段で得られた二つの乗算結果データの各々から、縞に直交する方向に沿っての縞周波数成分及びその高調波成分を除去する除去手段と、
    前記除去手段で得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における基準正弦波に対する縞の位相のずれを算出する位相算出手段と、
    前記位相算出手段で得られた位相のずれを表す位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、その検出した位置における位相のずれを滑らかに繋ぐことにより位相のずれを連続化する位相連続化処理手段と、
    前記位相連続化処理手段で連続化された後の位相のずれを表す画像を出力する出力手段と、
    を具備することを特徴とする光学的形状測定装置。
  2. 前記除去手段で得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における縞の振幅を算出する振幅算出手段と、前記振幅算出手段で得られた振幅を表す振幅画像に基づいて振幅が所定のしきい値以下である領域を欠損領域として特定する欠損領域特定手段とを備え、前記位相連続化処理手段は、前記位相算出手段で得られた位相のずれを表す位相画像において前記欠損領域に対応する領域をマスクした後、前記位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、位相のずれを連続化することを特徴とする請求項1記載の光学的形状測定装置。
  3. 前記連続化された後の位相のずれを表す画像に基づいて、横又は縦方向の各位置において縦又は横方向に沿っての位相のずれの分布曲線を作成し、前記各分布曲線について当該分布曲線に対する近似曲線を算出した後に当該分布曲線から当該近似曲線を差し引くことにより、欠陥を表す部分における位相のずれを抽出して、欠陥の検出処理を行う欠陥検出処理手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の光学的形状測定装置。
  4. 周期的に変調された線状レーザ光が、測定対象物に対する前記線状レーザ光の照射位置を連続的にずらしながら、前記測定対象物に照射されたときに、前記測定対象物からの反射光を撮像して光切断画像を出力する遅延積分型の撮像手段を有し、前記各光切断画像から構成される縞画像に基づいて前記測定対象物の形状を測定する光学的形状測定方法において、
    互いに直交する二つの基準正弦波データを発生し、前記各基準正弦波データを、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての前記縞画像の濃度分布を表すスライス縞画像データに乗算する第一ステップと、
    前記第一ステップで得られた二つの乗算結果データの各々から、縞に直交する方向に沿っての縞周波数成分及びその高調波成分を除去する第二ステップと、
    前記第二ステップで得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における基準正弦波に対する縞の位相のずれを算出する第三ステップと、
    前記第三ステップで得られた位相のずれを表す位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、その検出した位置における位相のずれを滑らかに繋ぐことにより位相のずれを連続化する第四ステップと、
    前記第四ステップで連続化された後の位相のずれを表す画像を出力する第五ステップと、
    を具備することを特徴とする光学的形状測定方法。
  5. 前記第二ステップで得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における縞の振幅を算出する第六ステップと、前記第六ステップで得られた振幅を表す振幅画像に基づいて振幅が所定のしきい値以下である領域を欠損領域として特定する第七ステップとを備え、前記第四ステップでは、前記第三ステップで得られた位相のずれを表す位相画像において前記欠損領域に対応する領域をマスクした後、前記位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、位相のずれを連続化することを特徴とする請求項4記載の光学的形状測定方法。
  6. 前記連続化された後の位相のずれを表す画像に基づいて、横又は縦方向の各位置において縦又は横方向に沿っての位相のずれの分布曲線を作成し、前記各分布曲線について当該分布曲線に対する近似曲線を算出した後に当該分布曲線から当該近似曲線を差し引くことにより、欠陥を表す部分における位相のずれを抽出して、欠陥の検出処理を行う第八ステップを備えることを特徴とする請求項4又は5記載の光学的形状測定方法。
  7. 周期的な信号に、当該周期よりも長い周期をもつ擬似ランダム信号を重畳した重畳信号を生成する重畳信号生成手段と、
    前記重畳信号により発振強度が変調された線状レーザ光を測定対象物の表面に照射する照射手段と、
    前記線状レーザ光が前記測定対象物に照射されたときに、前記測定対象物からの反射光を撮像して光切断画像を出力する遅延積分型の撮像手段と、
    前記各光切断画像から構成される縞画像を記憶する記憶手段と、
    互いに直交する二つの基準正弦波データを発生し、前記各基準正弦波データを、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての前記縞画像の濃度分布を表すスライス縞画像データに乗算する直交正弦波発生手段と、
    前記直交正弦波発生手段で得られた二つの乗算結果データの各々から、縞に直交する方向に沿っての縞周波数成分及びその高調波成分を除去する除去手段と、前記除去手段で得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における基準正弦波に対する縞の位相のずれを算出する位相算出手段と、
    前記位相算出手段で得られた位相のずれを表す位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、その検出した位置における位相のずれを滑らかに繋ぐことにより位相のずれを連続化し、その連続化された後の位相のずれに基づいて、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての深さ分布データを求める位相連続化処理手段と、
    縞に平行な方向の各位置における前記スライス縞画像データと前記擬似ランダム信号との相関値を算出して、その相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量を求め、その求めた相関ピーク位置のずれ量に基づいて縞に平行な方向の各位置における第一の平均の深さを算出する相関算出手段と、
    前記位相連続化処理手段で得られた縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データに基づいて、縞に平行な方向の各位置における第二の平均の深さを求め、縞に平行な方向の各位置毎に前記第二の平均の深さが前記相関算出手段で得られた前記第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求め、前記位相連続化処理手段で得られた縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データに当該位置における前記オフセット値を加算する形状算出手段と、
    前記形状算出手段で加算処理が施された後の縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データを用いて作成された深さ画像を出力する出力手段と、
    を具備することを特徴とする光学的形状測定装置。
  8. 前記縞画像を、縞に直交する方向に沿って前記擬似ランダム信号の1周期に相当する長さで複数の単位縞画像に分割し、前記単位縞画像毎に処理を行うことを特徴とする請求項7記載の光学的形状測定装置。
  9. 周期的な信号に、当該周期よりも長い周期をもつ擬似ランダム信号を重畳した重畳信号により発振強度が変調された線状レーザ光を、測定対象物に対する前記線状レーザ光の照射位置を連続的にずらしながら、前記測定対象物に照射する第一ステップと、
    遅延積分型の撮像手段を用いて前記測定対象物からの反射光を撮像することにより光切断画像を取得し、前記各光切断画像から構成される縞画像を得る第二ステップと、
    互いに直交する二つの基準正弦波データを発生し、前記各基準正弦波データを、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての前記縞画像の濃度分布を表すスライス縞画像データに乗算する第三ステップと、
    前記第三ステップで得られた二つの乗算結果データの各々から、縞に直交する方向に沿っての縞周波数成分及びその高調波成分を除去する第四ステップと、
    前記第四ステップで得られた二つの除去結果データに基づいて前記各スライス縞画像データについて各位置における基準正弦波に対する縞の位相のずれを算出する第五ステップと、
    前記第五ステップで得られた位相のずれを表す位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、その検出した位置における位相のずれを滑らかに繋ぐことにより位相のずれを連続化し、その連続化された後の位相のずれに基づいて、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての深さ分布データを求める第六ステップと、
    縞に平行な方向の各位置における前記スライス縞画像データと前記擬似ランダム信号との相関値を算出して、その相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量を求め、その求めた相関ピーク位置のずれ量に基づいて縞に平行な方向の各位置における第一の平均の深さを算出する第七ステップと、
    前記第六ステップで得られた縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データに基づいて、縞に平行な方向の各位置における第二の平均の深さを求め、縞に平行な方向の各位置毎に前記第二の平均の深さが前記第七ステップで得られた前記第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求め、前記第六ステップで得られた縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データに当該位置における前記オフセット値を加算する第八ステップと、
    前記第八ステップで加算処理が施された後の縞に平行な方向の各位置における前記深さ分布データを用いて深さ画像を作成して出力する第九ステップと、
    を具備することを特徴とする光学的形状測定方法。
  10. 前記縞画像を、縞に直交する方向に沿って前記擬似ランダム信号の1周期に相当する長さで複数の単位縞画像に分割し、前記単位縞画像毎に処理を行うことを特徴とする請求項9記載の光学的形状測定方法。
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