JP2004003915A - ガスセンサの熱処理方法、及びそれを用いたガスセンサの製造方法及び検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】化物半導体を検知素子として用いたガスセンサの検知素子の活性化を迅速に行なうことができ、ひいては実使用時における待ち時間の短縮、あるいは製造時における検査工程の短縮を図ることができるガスセンサの熱処理方法を提供する。
【解決手段】ガスセンサ4を測定対象となる雰囲気のガス検知に実使用する前に、被検知ガス成分を含有する熱処理用ガスMSG中にて検知素子5を熱処理する。これにより、検知素子5に強固に吸着しているガス分子の脱着を促進でき、実使用時あるいは検査時におけるガスセンサの活性化を迅速に行なうことができる。その結果、実使用時あるいは検査時において測定可能となるまでの待ち時間を短縮することができる。
【選択図】 図8
【解決手段】ガスセンサ4を測定対象となる雰囲気のガス検知に実使用する前に、被検知ガス成分を含有する熱処理用ガスMSG中にて検知素子5を熱処理する。これにより、検知素子5に強固に吸着しているガス分子の脱着を促進でき、実使用時あるいは検査時におけるガスセンサの活性化を迅速に行なうことができる。その結果、実使用時あるいは検査時において測定可能となるまでの待ち時間を短縮することができる。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガスセンサ制御装置、それを用いたガスセンサの検査方法及びガスセンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスセンサの検知素子には、酸化物半導体膜(抵抗感応膜)を検知素子として用いたものが知られている。このような検知素子は、室温よりも高温に最適動作点を有するものが多く、被測定ガスの温度が低い場合は、ヒータ加熱により検知素子の検知能を活性化して用いるようにしている。また、上記のような検知素子によるガス検出の基本原理には、検知体表面における被測定ガス成分の吸着が大きく関与している。例えば抵抗感応膜を用いるセンサの場合は、吸着ガス分子からの電子移動等により抵抗感応膜の電気抵抗率(内部抵抗)が変化することを利用してガス検出を行なう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなガスセンサは、検知素子が非加熱状態で大気中に放置された場合、水蒸気や他のガス分子などが検知素子の表面に吸着した状態になる。このような状態では、検知素子への被検出ガスの分子吸着が先に吸着している分子に妨げられて検知能が低下しているので、ヒータ加熱を行っても、直ちに測定に入ることはできない。しかし、ヒータ加熱を開始してしばらく時間が経過すれば、余分な吸着分子の脱着が促進され、測定可能な状態となる。
【0004】
ところで、工場で製造されるガスセンサのロットは、製造後検査に至るまでにかなりの日数保管される場合がある。また、検知素子に着目すれば、これがガスセンサに組み付けられるまでの間にも、さらに保管時間が生ずる。検知素子の保管時間が長くなったガスセンサは、検知素子に水蒸気や酸素等の分子が多量にかつ強固に吸着した状態になっているため、ヒータによる加熱を開始してから、良好に特定の被検出ガスに反応可能となるまでに(つまり、活性化に)相当の時間を要する。この問題は、出荷後のガスセンサを実使用する場合だけでなく、出荷前のガスセンサを工場内にて検査のためにテスト動作させる際にも生じる。この場合、検知素子の活性化に時間を要するため検査工程が長時間化し、ガスセンサの製造能率を低下させることにつながる。
【0005】
本発明の課題は、酸化物半導体を検知素子として用いたガスセンサの検知素子の活性化を迅速に行なうことができ、ひいては実使用時における待ち時間の短縮、あるいは製造時における検査工程の短縮を図ることができるガスセンサの熱処理方法と、それを用いたガスセンサの製造方法及び検査方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
本発明は、特定の被検知ガス成分の吸着に基づき電気抵抗率を変化させる酸化物半導体により検知素子が構成されたガスセンサの熱処理方法に係り、上記の課題を解決するために、ガスセンサを、測定対象となる雰囲気のガス検知に実使用する前に、所定濃度以上の被検知ガス成分を含有する熱処理用ガス中にて検知素子を熱処理することを特徴とする。
【0007】
上記本発明のガスセンサの熱処理方法によれば、ガスセンサの実使用する前に、被検知ガス成分を含有する熱処理用ガス中にて検知素子を熱処理することにより、検知素子に強固に吸着している水分やガス分子の脱着を促進でき、実使用時におけるガスセンサの活性化を迅速に行なうことができる。その結果、実使用時において測定可能となるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0008】
また、本発明は、特定の被検知ガス成分の吸着に基づき電気抵抗率を変化させる酸化物半導体により検知素子が構成されたガスセンサの製造方法であって、ガスセンサの出荷前に、検知素子を、上記本発明の熱処理方法により熱処理する熱処理工程を有するガスセンサの製造方法も提供する。該本発明の製造方法によると、ガスセンサの出荷前に上記本発明の方法による熱処理工程を実施することにより、実使用時の検知素子の活性化を迅速に行なうことができるガスセンサを得ることができる。
【0009】
上記本発明のガスセンサの製造方法は、熱処理工程が終了した後、検知素子を被検知ガス成分を含有する検査用ガスに暴露してセンサ出力を測定し、その測定結果に基づいてガスセンサの検査を行なう検査工程を有するものとすることができる。
【0010】
また、本発明は、特定の被検知ガス成分の吸着に基づき電気抵抗率を変化させる酸化物半導体により検知素子が構成されたガスセンサの検査方法であって、検知素子を、上記本発明の熱処理方法により熱処理する熱処理工程と、
該熱処理工程が終了した後、検知素子を被検知ガス成分を含有する検査用ガスに暴露してセンサ出力を測定し、その測定結果に基づいてガスセンサの検査を行なう検査工程とを有し、熱処理用ガスとして、検査用ガスよりも被検知ガス成分を高濃度に含有したものを用いることを特徴とするガスセンサの検査方法も提供する。
【0011】
検査工程に先立って、検査用ガスよりも被検知ガス成分を高濃度に含有した熱処理用ガスを用いて熱処理工程を実施することにより、検査処理時における検知素子の活性化を迅速に行なうことができ、検査工程に要する時間を短縮することができる。
【0012】
以下、本発明のガスセンサの熱処理方法のより望ましい態様につき、さらに詳しく説明する。前記熱処理の効果は、被検知ガス成分は還元性ガス成分である場合と、酸化性ガスである場合とのいずれにおいても発揮される。還元性ガス成分に対して選択性を有する酸化物は、例えばSnO2、InO2、ZnO、Fe2O3などのn型半導体系の酸化物を例示することができ、このうち特にSnO2は、検知対象として多く採用されるCO等への選択検知性に優れているので、本発明に好適に使用できる。他方、NOx(NOやNO2などの窒素酸化物の総称である)などの酸化性ガス成分に対して選択性を有する酸化物半導体としては、WO3やV2O5(Agをドープした形で使用されることが多い)、あるいはNiOやCoOなどのp型半導体系の酸化物を使用でき、特にWO3はNOxへの選択検知性に優れているので、本発明に好適に使用できる。
【0013】
なお、先に説明したSnO2は、含有させる材質を調整することにより酸化性ガス成分に対する選択検知性を得ることが可能であり、酸化性ガス成分用の検知素子としても好適に使用できる。また、SnO2については、含有させる材質を調整することで、1つの検知素子で還元性ガス成分と酸化性ガス成分との双方を検知することも可能である(例えばSnO2及びWO3にFe2O3、Al2O3等を含有した特許第3024217号公報に開示の検知素子などが挙げられる)。
【0014】
本発明の効果が特に顕著に発揮されるのは、n型半導体系の酸化物にて検知素子を構成した場合である。n型半導体系の酸化物は酸素欠損が形成されやすく、酸素欠損に残された電子が多数キャリアとなってn型導電性を示す。このような酸化物は、CO等の還元性ガス分子が吸着すると電気抵抗率が下がり、その低下の度合いを測定することにより、雰囲気中の還元性ガスの濃度を測定することができる。還元性ガス分子が吸着先となる酸化物の酸素を奪い取って吸着することにより欠損が増加し、多数キャリアである電子濃度が増大するためであると推測される。他方、水分子や酸素分子は、過度に吸着が生ずると、還元性ガスの吸着を妨げるので検知能が低下する。これは、分子中の酸素原子が酸素欠損を充填しながら化学的な吸着状態に移行することが原因として推測される。しかし、還元性ガス成分を含んだ雰囲気中で熱処理を行なえば、吸着分子の結合力を緩めることができ、さらに還元性ガス分子による酸素欠損形成効果が相乗的に作用する結果、水分子や酸素分子の脱着が促進され、検知素子の活性化促進効果が高められるものと考えられる。
【0015】
ガスセンサの実使用時においては、COあるいはNOx等の被検知ガス濃度は、突発的な要因により瞬間的に高濃度化することはあっても、高濃度状態が定常的に続くことは少ない。この場合、検知素子の熱処理を、実使用時に検知素子が曝される雰囲気の平均的な被検知ガス濃度よりも高濃度に被検知ガス濃度を含有する熱処理用ガス中で行なうことにより、実使用時において検知素子を早期に活性化することが可能となる。また、検査工程を実施する場合、熱処理工程は、前記熱処理用ガスとして、前記検査用ガスよりも被検知ガス成分を高濃度に含有したものを用いて行なうと、検査処理時において検知素子を早期に活性化でき、ひいては検査工程の能率化を図ることができる。
【0016】
本発明のガスセンサは、屋外大気を測定対象として用いられることが多いが、わが国環境庁が定めた環境基準によると、NO2は一時間値の一日平均値が0.04〜0.06ppmのゾーン内又はそれ以下となること、COは一時間値の一日平均値が10ppm以下であり、かつ、一時間値の8時間平均値が20ppm以下となることが定められている。従ってNO2とCOのいずれにおいても、上記基準値よりは高濃度にこれら成分を含有する熱処理用ガスを用いて検知素子の熱処理を行なうことが、検知素子の早期活性化を図るために効果的である。より望ましくは、CO検知に関しては、CO成分を50ppm以上(100%まで可能)含有する熱処理用ガスを用いるのがよく、NOx検知に関しては、NO2成分を1ppm以上(100%まで可能)含有する熱処理用ガスを用いるのがよい。
【0017】
また、ガスセンサの実使用は検知素子を設定温度に加熱して行われる。そして、前記の熱処理は、実使用時の設定温度よりも高温にて行なうことが望ましい。これにより、実使用時において検知素子を早期に活性化することが可能となる。例えばSnO2を検知素子として用いてCOを検知する場合、あるいはWO3を検知素子として用いてNOx(具体的にはNO2)を被検知ガス成分とする場合、検知素子の実使用時の加熱温度は250℃以上400℃以下に調整することが、検知能を高める上で望ましい。そして、熱処理温度は、上記実使用時の加熱温度よりも、30℃〜120℃が高くなるように設定することが、実使用時の検知素子の早期活性化を図る上で望ましい。
【0018】
ガスセンサは、検知素子を加熱するヒータを備えたものとすることができる。このヒータは実使用時に検知素子を動作温度に加熱するために使用されるが、実使用に先立つ検知素子の熱処理も該ヒータを用いて行なうことができる。このようにすると、熱処理用の炉等を用意する必要がなくなり、かつヒータにより検知素子が局所的に加熱されるため、基板に対しマイクロコンピュータ等とともにガスセンサを実装した後においても、該マイクロコンピュータを用いてヒータを専用のヒートパターンにより発熱させれば、熱処理を極めて簡単に行なうことができる。なお、実使用時において該ヒータを定常的に発熱させるための実使用設定電圧が定められている場合、熱処理は、該実使用設定電圧よりも高電圧にてヒータを通電発熱させることにより行なうとよい。これにより、実使用時の設定温度よりも高温にて熱処理を行なうことができ、実使用時において、あるいは検査処理時において、検知素子を早期に活性化することができる。
【0019】
なお、このように実用時の設定温度よりも高温にて熱処理を行なうにあたっては、ガスセンサを、検知素子及びヒータと電気的に接続されると共に、実使用時にヒータを通電発熱させるための実検知用ヒートパターンと、熱処理する際にヒータを通電発熱させるための熱処理用ヒートパターンとが記憶されたマイクロコンピュータを備えるように構成し、そのマイクロコンピュータが実検知用ヒートパターンまたは熱処理用ヒートパターンに対応した信号パターンを有する選択信号を外部から取得することで、その選択信号の信号パターンを識別して該実検知用ヒートパターンまたは該熱処理用ヒートパターンを選択し、前記ヒータを通電発熱させるようにするとよい。
【0020】
かかる構成では、ガスセンサが、検知素子及びヒータと電気的に接続されたマイクロコンピュータを備えているものとされている。そして、このガスセンサに備えられるマイクロコンピュータが、ヒータを発熱駆動するための実検知用ヒートパターンと熱処理用ヒートパターンとを、外部の選択信号に基づき適宜選択して実行できるように構成されている。従って、熱処理専用のヒートパターンを搭載した制御回路を別途用意する必要がなく、検知素子をその都度これに接続して熱処理を行なう必要がなくなる。このため、熱処理工程を含んだガスセンサの製造工程の能率化を図ることができる。また、熱処理専用のヒートパターンを別の制御回路にて用意する必要がなく、製造原価の低減を図ることに寄与する。さらに、電子部品等で構成した熱処理専用のヒートパターンを搭載した制御回路をマイクロコンピュータとは別に形成してガスセンサに内蔵させる必要がなく、ガスセンサの小型化にも寄与する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1(a)は、ガスセンサユニットの一例を示すものである。このガスセンサユニット1は自動車等の車両に取り付けて使用され、外気の排気ガス濃度変化をガスセンサ4により検知して、外気取入用ダクトと内気循環用ダクトとを自動切換えするために用いられるものである。
【0022】
ガスセンサ4は、被検知ガス取入口4dが形成されたケース4cの内部に、排気ガス分子の吸着により電気抵抗値を変化させる、金属酸化物半導体からなる検知素子5(図2)と、その検知素子5の検知能を活性化するためのヒータ51とを組み込んだものである。このガスセンサ4が、マイクロコンピュータ(以下、単にマイコンという)10と、コンデンサや抵抗器といった周辺回路部品7とからなる制御装置9とともに、基板3に一体的に組み付けられている。基板3は、プラスチック製のケース19,17内に封入され、ケース19にはコネクタ15と、ガスセンサ4を収容するとともに複数のガス導入孔18が設けられたセンサ収容部16とが形成されている。コネクタ15内には、ガスセンサユニット1を自動車あるいは後述する検査装置に電気的に接続するためのヒータ電源端子48a、センサ出力端子48b及び接地端子48cからなる端子群48が設けられている。端子部48は、基板3に設けられた端子穴3hに挿通され、この端子穴3hの周囲に形成された金属パッドを介して、基板3上の制御装置9の配線パターンに半田付け接続されている。
【0023】
図2は、制御装置9の電気的構成を示す回路図である。制御装置9の要部はCPU53、RAM54、ROM55及びデータ入出力インターフェース(以下、「I/O」と略記する)56を有するコンピュータ50によってマイコン10を構成している。主電源は自動車に搭載されたバッテリー75であり、このバッテリー電圧VBT(定格:+12V)を元に、電源回路80が、マイコン10等の駆動及び信号源に使用される電源電圧VCC(+5V)を生成・供給する。電源回路80は、三端子レギュレータ77を用いた周知の安定化電源回路として構成され、符号76はバッテリー電圧VBTのリップルを除去するための平滑化用コンデンサであり、符号78,79は三端子レギュレータ77の発振防止用のコンデンサである。
【0024】
ガスセンサ4の検知素子5は、CO、HCなどの還元性ガスを検知する第一種検知素子5aと、NOxなどの酸化性ガスを検知する第二種検知素子5bとを有する。前者は、還元性ガス分子吸着により電気抵抗率を減少させる酸化物薄膜(例えばSnO2)、後者は酸化性ガス分子吸着により電気抵抗率を増加させる酸化物薄膜(例えばWO3)により形成される。図1(b)に示すように、第一種検知素子5aと第二種検知素子5bとは、ヒータ51とともにセラミック基体5c上に一体的に組み付けられている。なお、本実施形態では、第一種検知素子5a及び第二種検知素子5bの各出力端子5t1,5t2と、両素子5a,5bの間で共用される接地端子5tgが設けられている。また、ヒータ用の入力端子は5t3であり、接地側の端子は素子5a,5bの接地端子5tgと共用化されている。
【0025】
図2に示すように、上記検知素子5a,5bは、分圧抵抗67あるいは分圧抵抗68にそれぞれ直列接続され、検知素子5a,5bの抵抗変化に応じた分圧比により、電源電圧VCCを分割する。なお、分圧抵抗67,68のそれぞれの一端が接地されるようにして、検知素子5a、5bはそれぞれの他端に直列に接続される。そして、それら分圧抵抗67,68との接続点に生ずる各分圧電圧がアナログセンサ出力VXg,VXdとして、I/O56のポートP1,P2にそれぞれ入力される。これらセンサ出力VXg,VXdは、CPU53がRAM54をワークエリアとして、ROM55に記憶された検知プログラム155をそれぞれ実行することによりガス濃度データとされ、I/O56のポートP5から、コネクタ15のセンサ出力端子48bからアナログのガス濃度信号FCSとして出力される。2つの検知素子5a,5bからのガス濃度信号FCSは、例えば検知プログラム155による時分割出力処理により、1つのセンサ出力端子48bを用いて出力できる。
【0026】
図3に示すように、このガス濃度信号FCSは、コネクタ15を介して接続されたフラップ制御装置100に入力される。フラップ制御装置100は、ガス濃度信号FCSをもとに、アクチュエータ103を動作させてフラップ105を開閉させる。そして、このフラップ105の位置により、車両内の内気を循環させるための内気循環用ダクト109と、外気を導入するための外気取入用ダクト107とのいずれかが、メインダクト101に切り替え可能に接続される。なお、メインダクト101内には、空気を圧送するファン111が設置されている。
【0027】
図2に戻り、バッテリー電圧VBTは、コネクタ15のヒータ電源端子48aから受電される。該バッテリー電圧VBTは、抵抗器69及び70により分圧された後、電圧監視信号RRTとして、I/O56のポートP3に入力される。一方、バッテリー電圧VBTはヒータ制御用トランジスタ74を介してヒータ51に供給される。本実施形態ではヒータ制御用トランジスタ74はpチャンネル型MOS−FETにより構成され、そのゲート入力(抵抗器71,72により分圧されたバッテリー電圧VBTである)が、バイポーラトランジスタからなるゲート駆動トランジスタ73によりスイッチング駆動される。
【0028】
ゲート駆動トランジスタ73のベースには、I/O56のポートP4から出力される設定電圧値に応じたデューティ比DRVを有するPWM信号が抵抗器73bを介して入力される。これにより、ヒータ制御用トランジスタ74が該ゲート駆動トランジスタ73を介してデューティ比DRVに基づきスイッチングされ、ヒータ51の出力(ヒータ51への供給電力)が、そのデューティ比DRVに対応した値に調整される。なお、抵抗器73aは、ゲート駆動トランジスタ73の残留電荷を引き抜いて、ゲート駆動トランジスタ73のONからOFFへのスイッチング速度を向上させる役割を果たす。
【0029】
なお、ポートP1、P2、P3は、コンピュータ50側にA/D変換機能が内蔵されており、アナログ信号を直接入力できる。また、ポートP4、P5は、PWM信号を出力するポートである。
【0030】
コンピュータ50のROM55には、製品出荷後のガスセンサ4(図1のガスセンサユニット1の状態である)を、自動車の外気取入用ダクト107(図3)に実装し、該ダクト107内の排気ガス検出に実使用する際に用いる実検知用ヒートパターン157と、製品出荷前に検知素子5を熱処理(エージング)するために用いる熱処理用ヒートパターン158とが記憶され、さらにガスセンサ4を検査するために用いる検査検知用ヒートパターン159とが記憶されている。これらのヒートパターン157〜159は、外部から取得する選択信号RSSに対応したものが選択され読み出される。CPU53は、当該選択されたヒートパターンを用いて、ROM55に記憶されたヒータ制御プログラム156により、ヒータ51を発熱駆動する。なお、選択信号RSSの検出は、後述するが、I/OのポートP3に入力される電圧監視信号RRTに基づき行なわれる。
【0031】
図1のガスセンサユニット1のコネクタ15は、実使用時には、図2に示す自動車側のコネクタ215に接続される。ヒータ電源端子48aは、バッテリー電圧VBTの供給端子215aに、センサ出力端子48bはフラップ制御装置100(図3)への信号供給端子215bに、接地端子48cは自動車側の接地端子215cにそれぞれ接続される。また、ガスセンサユニット1のコネクタ15は、後述する熱処理工程時及び検査工程時には、図4に示す検査装置365側のコネクタ215に接続される。ヒータ電源端子48aは、検査装置365の電源回路266からの電源供給端子215aに、センサ出力端子48bは検査用コンピュータへのセンサ出力入力端子215bに、接地端子48cは接地端子215cにそれぞれ接続される。後述する通り、ヒータ電源端子48aは選択信号RSSの入力端子も兼用する。
【0032】
図7は、メインルーチンであるヒータ制御プログラム156(図2)の処理の流れを示すものである。まず、S1(Sはステップの略記)では、処理に使用するRAM54の各種メモリエリアを初期化する。ついで、S2でI/O56のポートP3を通じて、電圧監視信号RRTを取得する。そして、S3において、ヒートパターンの選択信号RSSの検出処理を電圧監視信号RRTに基づいて行い、その選択信号の内容に応じてヒートパターンを選択する。このS3の選択信号検出処理は図12に示すものであるが、詳細は後述する。そして、S4においては、選択されたヒートパターンに応じたヒータ駆動処理を実行する。S4のヒータ駆動処理の詳細についても後述する。その後、電圧監視信号RRTの取得のためのサンプリングタイムである0.4秒の経過を待ち、S2に戻る。本実施形態においては、ROM55内に記憶された選択可能なヒートパターンとして、図5に示すヒートパターン157、158、159が用意されている。
【0033】
図5に示すように、実検知用ヒートパターン157と検査検知用ヒートパターン159とは、いずれも、検知素子5の温度を活性化状態に維持可能な一定の活性化維持電圧V3によりヒータを発熱駆動する活性化維持期間167を有する。また、実検知用ヒートパターン157については、検知素子5の活性化を促進するために、活性化維持期間167に先立ってヒータ51を活性化維持電圧V3よりも高い活性化促進電圧V1,V2にて発熱駆動する活性化促進期間165,166,168が設定されている。検査検知用ヒートパターン159についても、活性化維持期間167に先立ってヒータ51を活性化維持電圧V3よりも高い活性化促進電圧V1にて発熱駆動する活性化促進期間165を設定しているが、この活性化促進期間165は、実検知用ヒートパターン157の活性化促進期間165,166,168のトータルした期間よりも短く設定されている。このような活性化促進期間の短い検査検知用ヒートパターン159を用いれば、実検知用ヒートパターン157を流用する場合と比較して、活性化促進期間が短い分だけ検査処理(検査検知)を短時間で終わらせることができる。
【0034】
実検知用ヒートパターン157の活性化促進期間165,166,168には、活性化維持電圧V3よりも高い第一活性化促進電圧V1にて一定保持する第一活性化促進期間165と、該第一活性化促進電圧V1と活性化維持電圧V3との中間に設定された第二活性化促進電圧V2にて一定保持する第二活性化促進期間166とが設定されている。活性化促進期間の後半において、第二活性化維持電圧V2を、活性化維持電圧V3に近づくように連続的に減少させることにより、検知素子5の活性化を促進させ、ひいては、検知素子5をより早期に定常測定可能な状態とすることができる。本実施形態では、ヒータ温度を目標温度により早く近づけるため、第一活性化促進電圧V1から第二活性化促進電圧V2へ電圧を階段状に減少させた後、期間168において活性化維持電圧V3に向けて電圧を漸減させるようにしている。
【0035】
他方、検査検知用ヒートパターン159の活性化促進期間165には、第一活性化促進電圧V1による第一活性化促進期間165のみが、実検知用ヒートパターン157の活性化促進期間の全体165,166,168より短くなるように設定されている。これは、後述する熱処理後において、可及的速やかに検査処理に移行したとしても、検知素子5には多少の吸着が生ずるので、第一活性化促進期間165のみからなる短時間の活性化処理を行なうことにより、この吸着の影響を軽減することができる。また、第一活性化促進期間165を実検知用ヒートパターン157との間で共用化できるから、ROM55内に記憶するヒートパターンデータのサイズを少なくすることができる。
【0036】
次に、熱処理用ヒートパターン158は、検査検知に先立って検知素子5を熱処理するためのものであり、活性化維持電圧V3よりも高い活性化促進電圧V1,V2(V1>V2)にて、つまり、実検知(実使用)時よりも高温となるようにヒータ51を発熱駆動する。この熱処理用ヒートパターン158は、検知素子5を検査検知に先立つ別段取りにより熱処理し、吸着ガス分子を十分脱着するために使用される。
【0037】
この熱処理は、ガスセンサ4(ガスセンサユニット1)を、図8に示す雰囲気形成用チャンバ90内に配置し、このチャンバ90内に後述する検査用ガスTSGよりも高濃度に被検出ガス成分を含有する処理用ガスHSGを導入し、上記熱処理用ヒートパターン158に従ってヒータ51を発熱駆動することにより行われる。このような熱処理を、検査検知とは別段取りの形で複数のガスセンサユニット1に対し並列に行なうと、検査検知のタクトタイムを大幅に短縮することができる。また、処理用ガスHSG中で十分な熱処理を行なうことは、実使用時における検知素子5の活性化を促進することにも寄与する。
【0038】
図5に示すように、熱処理用ヒートパターン158には、第一活性化促進電圧V1にて保持される第一加熱期間265と、第二活性化促進電圧V2にて実検知用ヒートパターン157の第二活性化促進期間166よりも長時間保持される第二加熱期間266が設けられている。検査時の検知素子5に強固にガス吸着している場合でも、上記のような第二加熱期間266を設けることで、ガス分子の脱着を速やかに行なうことができ、検査検知時の検査用ガスに対する検知素子5の感度を高めることができる。なお、より高電圧の第一加熱期間265を設けるのは、ヒータ51の表面温度を、第二加熱期間266での目標定常温度に早期に到達させるためである。
【0039】
なお、実検知用ヒートパターン157及び検査検知用ヒートパターン159の各第一活性化促進期間165と、熱処理用ヒートパターン158の第一加熱期間265とは同一時間に設定されている。これにより、第一活性化促進期間165と第一加熱期間265とのヒートパターンデータを共用化でき、ROM55内のデータサイズ縮小効果をより高めることができる。
【0040】
次に、選択信号RSSとして、上記のヒートパターン157,158,159に一対一に対応した、図6に例示するような複数の信号データパターン161,162,163が定められている。選択信号RSSの各パターンは、コンピュータ50のデータ入出力インターフェース56のポートP3に電圧監視信号RRTに調整されて入力される。なお、コンピュータ50への入力電圧レベルを5V以下に調整するため、図2に示したように抵抗器69、70で選択信号RSSは、所定の割合(具体的には1/4)に分圧されて、電圧監視信号RRTとしてポートP3に入力される。そして、ヒートパターン選択手段として機能するCPU53は、当該ポートP3に入力された選択信号RSSの信号データパターンを読み取って識別し、対応するヒートパターンをROM55から読み出す。この方法によると、CPU53はポートP3を監視することにより、選択信号RSSの信号データパターンの識別を簡易な処理にて迅速に行なうことができる。
【0041】
本実施形態においては、ヒータ電源電圧VBTはバッテリー電圧であり、負荷変動やオルターネータからの交流重畳、さらにはバッテリーの劣化状況等により、9V〜16Vの比較的広い範囲で変動する。これをヒータ51の電源として用いる場合、DC−DCコンバータなどの電源を用いて安定化してから用いる方法もある。しかし、ヒータ51が比較的大きな電力を消費することもあって、電源回路の追加に相当のコストを要する問題がある。特に、小型のセンサユニットが求められる場合には、大型電源の搭載がスペース上不可能であることも多い。
【0042】
そこで、上記の実施形態にあっては、ヒータ制御部として機能するコンピュータ50は、電圧変動の見込まれるヒータ電源電圧VBTの電圧値RSSを電圧監視信号RRTとして測定し、実検知用ヒートパターン157が規定する目標設定値が得られるように、測定された電圧値に応じてデューティ比DRVを定める。そして、該デューティ比DRVによりヒータ電源電圧VBTを、トランジスタ73,74を用いてスイッチングすることにより、ヒータ51の出力を制御する。このようにすると、電源電圧VBTが変動しても、これをリアルタイムに測定し、その電源電圧VBTを用いたときに、要求されるヒータ出力を充足するデューティ比DRVをその都度算出して設定するので、高価な電源を用いずともヒータ出力を正確にコントロールすることが可能である。
【0043】
図11に、図7に示すメインルーチンのS4におけるヒータ駆動処理の流れを示す。なお、図11に処理を行なうにあたって、図7に示すS1の初期化処理において、電力指示値W(W1、W2、W3)が設定されている。ここで、電力指示値Wの初期値については、本実施形態では、7V相当の電圧をヒータ51に印加する際のデューティ比DRV(以下、第1デューティ比DRV1という)を算出するための初期値W1=49(=7Vの2乗)、6.3V相当の電圧をヒータ51に印加する際のデューティ比DRV(以下、第2デューティ比DRV2という)を算出するための初期値W2=40(=6.3Vの2乗)、5V相当の電圧をヒータ51に印加する際のデューティ比DRV(以下、第3デューティ比DRV3という)を算出するための初期値W3=25(=5Vの2乗)を設定している。電圧に対し電力は電圧の2乗の関係を有するからである。
【0044】
まず、S51にて、図7のメインルーチンの処理が開始されてから、タイマー値が10秒を経過したか否か判断する。経過前の場合にはS52に進み、経過した場合にはS54に進む。
【0045】
S52では、取得した電圧監視信号RRTの電圧値Vs(選択信号RSSの電圧値を1/4に分圧した値)を用いて、第1デューティ比DRV1を、DRV1=W1/(Vs/4)2(=W1/RSSの電圧値の2乗)によって算出する。その後、S53において、得られた第1デューティ比DRV1に従ってポートP4よりPWM出力し、ヒータ51を第1デューティ比DRV1でパルス駆動する。このようにして、ヒータ51には、7V相当の電圧を印加したのと同様の電力が投入される。
【0046】
一方、S51にて肯定判定されてS54に進むと、熱処理用ヒートパターンが選択されているか否かを判断する。熱処理用ヒートパターンが選択されている場合にはS57に進み、選択されていない場合にはS55に進む。
【0047】
S57では、取得した電圧監視信号RRTの電圧値Vs(選択信号RSSの電圧値を1/4に分圧した値)を用いて、第2デューティ比DRV2を、DRV2=W2/(Vs/4)2(=W2/RSSの電圧値の2乗)によって算出する。その後、S58において、得られた第2デューティ比DRV2に従ってポートP4よりPWM出力し、ヒータ51を第2デューティ比DRV2でパルス駆動する。このようにして、ヒータ51には、6.3V相当の電圧を印加したのと同様の電力が投入される。
【0048】
一方、S54で否定判定されると、S55にて検査検知用ヒートパターンが選択されているか否かを判断する。検査検知用ヒートパターンが選択されている場合にはS61に進み、選択されていない場合にはS56に進む。
【0049】
S61では、取得した電圧監視信号RRTの電圧値Vs(選択信号RSSの電圧値を1/4に分圧した値)を用いて、第3デューティ比DRV3を、DRV3=W3/(Vs/4)2(=W3/RSSの電圧値の2乗)によって算出する。その後、S62において、得られた第3デューティ比DRV3に従ってポートP4よりPWM出力し、ヒータ51を第3デューティ比DRV3でパルス駆動する。このようにして、ヒータ51には、5V相当の電圧を印加したのと同様の電力が投入される。
【0050】
S55にて否定判定されると、S56にて図7に示すメインルーチンの処理が開始されてからタイマー値が40秒を経過したか否か判断する。経過前の場合にはS57に進み、経過した場合にはS59に進む。なお、このS56に進んだ場合には、熱処理用ヒートパターン、検査検知用ヒートパターンのいずれも選択されなかったことになり、実検知用ヒートパターンが選択されたことになる。
【0051】
S56にて否定判定された場合のS57以降の処理は、上述した通りである。一方、S56にて肯定判定されてS59に進むと、S59では、初期値W2が初期値W3と比較され、W2>W3のときには、S60に進む。S60では、初期値W2が、W2=W2−Δの式によって漸減処理される。本実施形態では、Δ=0.2とした。従って、S60を75回通過すると、つまり30秒(=75×0.4)経過すると、S59でW2≦W3となり肯定判定され、S61に進む。S61以降の処理については、上述した通りである。
【0052】
なお、S60の漸減処理が行われてS57に進んだ場合の当該S57以降の処理は上述した通りである。但し、S60で初期値W2を漸減させているので、S57で算出される第2デューティ比DRV2は、S56で否定判定された場合にS57にて算出される第2デューティ比DRV2より次第に小さくなる。
【0053】
このようにして、図11に示すヒータ駆動処理では、図7のS3にて選択されるヒートパターンに応じて、実検知用ヒートパターン、熱処理用ヒートパターン、検査検知用ヒートパターンの3種を実行する。なお、実検知用ヒートパターン、熱処理用ヒートパターン、検査検知用ヒートパターンは、いずれが選択される場合にも図11に示すS51〜S53の処理は共通して実行される。これは、上述したように本実施形態では、7V相当の電圧を印加したのと同様の電力を投入する第1活性化促進期間165及び265を各ヒートパターンにおいても共通化させるようにして行っているからである。
【0054】
なお、図7のメインルーチンにS4として示すヒータ駆動処理を行なうにあたっては、図11に示したように演算式を用いてデューティ比DRVを算出する方法に限られず、マッピング処理によってデューティ比を算出するようにして行ってもよい。具体的には、図13に示すように、種々の電圧監視信号RRTの電圧値V1、V2、・・・・Vnにおいて目標電力値W1、W2、・・・・Wnを与えるデューティ比DRij(i=1、2、・・・・n、j=1、2、・・・・n)の二次元のデューティ比変換テーブル160(図2参照)を用意しておき、サンプリングされる電圧監視信号RRTの電圧値と目標電力値Wに対応するデューティ比DRijの値を各ヒートパターンに沿って読み取り、そのデューティ比DRij用いることもできる。なお、電圧監視信号RRTと目標電力値の組に直接対応するデューティDRijがテーブル160上に見出されなかった場合は、補間により算出することができる。
【0055】
本実施形態においては、実使用時のガスセンサ実装先、ここでは自動車のバッテリー75から供給されるヒータ電源電圧VBTを、実検知用ヒートパターン157の選択信号RSSとして流用する。他方、検査時にガスセンサ4が接続される検査装置365にて、バッテリー75とは別途の電源を用いて、選択信号RSSとして意味付けられた経時的な電圧変化パターンを伴う電圧信号162,163(図6)を生成し、該電圧信号を熱処理用ヒートパターン158、検査検知用ヒートパターン159の選択信号RSSとして用いる。
【0056】
この構成の利点は、以下の通りである。従来においても、自動車等の実装先にこの種のガスセンサを接続する場合は、図1のような3つの端子48a〜48cを有するコネクタ15が使用される。先にも記載したように、この3つの端子は、ヒータ電源端子48a、センサ出力端子48b及び接地端子48cである。しかし、本発明のように、熱処理用及び検査検知用のヒートパターンの選択信号RSSを制御装置9に入力できるようにする場合、選択信号RSSの入力系統を新たに設ける構成では、コネクタ15に新たに選択信号RSSの入力端子を増設するなどして、ハードウェア上の構成変更が必要となり無駄が多い。
【0057】
しかしながら、図6に示すように、1つの電源を用いて、選択信号として意味付けられた経時的な電圧変化パターンを伴う電圧信号162,163を生成し、これを選択信号RSSとして用いれば、電源電圧をI/O56のポートP3を介して監視することにより、特にハードウェア上の変更を伴うことなく、制御装置9は、選択信号RSSの信号データパターンを認識することが可能となる。そこで、図6に示すように、信号認識のために予め定められた期間(以下、信号識別期間という:0<T<T4)中、閾値Vbよりも低レベルに維持される電圧波形161を、実使用時であることを識別するための選択信号RSSとして用いることができる。また、熱処理用や検査用のヒートパターン158,159が、ノイズ等の影響により実使用時に誤動作する不具合を防止する観点から、これらヒートパターン158,159以外の波形が認識された場合は、一律に実使用時であると判定するようにしてもよい。
【0058】
選択信号RSSは、例えば、2つの異なる電圧レベルの変化エッジを含む信号とすることができる。この変化エッジの、信号識別期間内における有無あるいは数、変化エッジの時間的位置、あるいは変化エッジの向き(つまり、高レベル電圧から低レベル電圧への変化であるか、あるいはその逆であるか)の少なくともいずれかを検出することにより、選択信号RSSの信号データパターンを識別することができる。変化エッジを形成するための、2つの電圧レベルの差は、例えば1.5Vから5V程度に設定することが望ましい。
【0059】
電源電圧を信号形成用に変化させる方法は特に限定されないが、その一例を図4に示す。すなわち、図4の信号発生回路365は、電源回路266の出力電圧Vss(16V:第一電圧)を分岐して、安定化電源回路270及び271(例えば、DC−DCコンバータで構成できる)により、12.5V(第二電圧:第一電圧より低い)及び5V(第三電圧:第二電圧より低い)の定電圧を生成する。16V及び12.5Vの各電圧は、スイッチ素子(リレーあるいはトランジスタで構成される)268及び269により切り替え出力される。5Vの電圧はその切り替え制御に使用する。
【0060】
具体的には、該5V電圧は、最終的な信号波形に対応した周波数で発振する発振器272によりパルス化され、バイナリカウンタ276に入力される。バイナリカウンタ276はそのパルスを受けてカウントアップするとともに、各ビットの出力が、ANDゲートを組み合わせて構成されたマルチプレクサ273に入力される.マルチプレクサ273には、別途設定された回数設定信号が入力されており、カウント数が最終的な信号波形に必要な電圧切り替え回数に到達すると、該マルチプレクサ273は回数一致信号CSをアクティブ出力する。この回数一致信号CSは、その後、バイナリカウンタ276がさらにカウントアップしてもアクティブレベルを保持するように、D型フリップフロップ274を介して最終段のスイッチ駆動ゲート275の一方の端子に入力され、他方の端子には、発振器272からの出力が入力される。該スイッチ駆動ゲート275はOR回路であり、少なくとも一方の入力がアクティブとなったときに、出力がアクティブとなる。
【0061】
そして、その出力は、スイッチ268と269との一方にはそのままの形で、他方にはインバータ276により反転させた形で、それぞれ入力される。その結果、カウント数が設定回数に到達するまでは16Vと12.5Vとが交互に切り替わり、以降は12.5Vが保持される図6の信号163に示すような波形が得られる。
【0062】
なお、上記のようなハードウェアロジックを用いず、コンピュータ(例えば検査用コンピュータ167)によるソフトウェア制御により、16V電圧と12.5V電圧とを、図6に示す信号波形が得られるように切り替え制御するようにしてもよい。
【0063】
また、変化エッジの検出は、電源電圧をI/O56のポートP3を介して監視して、予め定められた閾値Vbよりも高レベルの電圧(VH)と、同じく低レベルの電圧(VL)との間で変化が起きたかどうかを調べることにより検出ができる。他方、先に測定した電圧レベルを記憶しておき、これを現在の電圧レベルと比較して、予め定められた幅(例えば3V)以上の電圧変化が現れた場合にエッジ検出とする方法も採用可能である。
【0064】
図12は、図7に示すメインルーチンのS3における選択信号検出処理、すなわち電源電圧に反映された選択信号RSSを検出する処理の流れを示すものである。この例では、閾値Vbとの大小関係を用いて電圧エッジ検出を行っている。まず、S101で、図7に示すS2にてI/O56のポートP3を通じて検出された電圧監視信号RRTの電圧値Vsをリードする。S102ではその値が閾値Vbより小さいかどうかを判定し、Vs>VbであればS103に進んで、エッジ検出フラグFLをリードする。このフラグは、先の測定でVs>Vbであったとき第一値(以下、「1」とする)、Vs<Vbであったとき第二値(以下、「0」とする)に設定されるものであり、初期値処理(図7に示すS1)にて本実施形態では「0」に設定される。もしその値が「0」(つまり、先の策定でVs≦Vb)であったなら、現在はVs>Vbであるから、VL→VHの電圧エッジが生じたことになる。
【0065】
本実施形態では、ノイズ等による誤検出を防止するために、S104〜S106において、エッジが出現すべきタイミングであるかどうかを確認する処理を行っている。図6に示すように、この例では、熱処理用ヒートパターンに対応する選択信号は、T=T1、T3にてVH→VLの電圧エッジを、T=T2にてVL→VHの電圧エッジをそれぞれ含み、検査検知用ヒートパターンに対応する選択信号はT=T1、T3にてVH→VLの電圧エッジ(以下、第一種エッジという)を、T=T2、T4にてVL→VHの電圧エッジ(以下、第二種エッジという)をそれぞれ含む。従って、第二種エッジ判定を行なうS104〜S106では、エッジ検出された時刻のタイマー値Tをリードし(S104)、それがT2、T4からそれぞれ時間αまでの範囲内に収まっているかどうかを判定する(S105、S106)。収まっていれば、S107で第二種エッジの検出数カウンタEiをインクリメントし、S108でエッジ検出フラグFLを「0」とする。
【0066】
他方、S102でVs≦VbであればS109に進み、エッジ検出フラグFLをリードする。もしその値が「1」(つまり、先の測定でVs>Vb)であったなら、現在はVs>Vbであるから、VH→VLの電圧エッジ、つまり第一種エッジが生じたことになる。S110〜S112は、エッジが出現すべきタイミングであるかどうかを確認する処理であり、S110ではエッジ検出された時刻のタイマー値Tをリードし、それがT1、T3からそれぞれ時間αまでの範囲内に収まっているかどうかを判定する(S111、S112)。収まっていれば、S113で第一種エッジの検出数カウンタEjをインクリメントし、S115でエッジ検出フラグFLを「1」とする。
【0067】
S115では再びタイマー値Tをリードし、信号識別期間の終了時刻T5(例えば、7.5秒)に到達したかどうかを確認する。到達していなければ本選択信号検出処理を抜けメインルーチン(図7)に戻る。他方、到達していれば(Ej、Ei)の値の組をリードし、この値が(2,2)であれば、図6の検査検知用ヒートパターン159に対応した選択信号が検出されたことを意味するから、S119に進んで検査検知用ヒートパターンの選択を行なう。また、(Ej、Ei)が(2,1)であれば、図6の熱処理用ヒートパターンの選択信号162が検出されたことを意味するから、S120に進んで熱処理用ヒートパターンの選択を行なう。そして、(Ej、Ei)がそれ以外の値であれば、実検知用ヒートパターンの選択信号161となり、本選択信号検出処理を抜けメインルーチン(図7)に戻る。
【0068】
なお、エッジ検出フラグFLを立てる代わりに、前回の電圧測定値Vaそのものを記憶し、現在の測定値Vbとの差ΔVs=Vb−Vaを算出して、その差ΔVsが+ΔVS0以上(Va>Vbなので第一種エッジ)、あるいは−ΔVS0以下(Va<Vbなので第二種エッジ)となっているかどうかを判定するようにしてもよい。
【0069】
検査工程を含めた上記ガスセンサユニット1の製造工程の概略は、例えば以下のように実施することができる。すなわち、図1のようなガスセンサユニット1を組み立てた後、図8の雰囲気形成チャンバ90内に配置し、さらに熱処理用制御装置に接続する。この熱処理用制御装置は熱処理用の選択信号(図6における符号162)を送信する機能を有していればよく、例えば単なる信号発生装置として構成しておくだけでもよいが、本実施形態では図4に示す検査装置365に兼用させている。次に、雰囲気形成チャンバ90内に処理用ガスを導入する。処理用ガスは、還元性ガス(例えばCO)に対する選択性を有した第一種検知素子5aの熱処理を行なう場合には、検査検知時よりも高濃度に還元性ガス成分を含有したものを使用する。また、酸化性ガス(例えばNO2)に対する選択性を有した第二種検知素子5bの熱処理を行なう場合には、検査検知時よりも高濃度に酸化性ガス成分を含有したものを使用する。もちろん、これら2つの検知素子5a,5bの熱処理は個別に行なうことができる。この状態で、熱処理用制御装置側から熱処理用の選択信号162をガスセンサユニット1の制御装置9に送信する。これを受けた制御装置9は、熱処理用ヒートパターン158(図5)を選択し、ヒータ51を該ヒートパターン158に従って発熱駆動することにより、熱処理を行なう。前記した通り、この熱処理温度は、検査検知時もしくは実検知時(実使用時)よりも高温に設定される。
【0070】
熱処理が終了したガスセンサユニット1は、図4に示すような検査装置365に引き続き接続しておく。検査装置365は、検査検知用の選択信号(図6における符号163)を制御装置9に送信する。該選択信号を受けたガスセンサユニット1の制御装置9は、検査検知用ヒートパターン159(図5)を選択し、ヒータ51を該ヒートパターン159に従って発熱駆動する。既に熱処理が終了しているので、第一活性化促進期間165のみ短縮された活性化処理がなされ、活性化維持期間167に移行後、ヒータ温度が安定化する一定時間が経過した後、検査処理が可能となる。
【0071】
検査処理は、図8を援用して示すが、検査用チャンバ(雰囲気形成用チャンバ90を用いてもよい)内にガスセンサ4(ガスセンサユニット1)を配置し、検査用ガスTSGをチャンバ内に供給して、ガス濃度信号FCSをモニタすることにより行なうことができる。図4において、コネクタ15のセンサ出力端子48からガス濃度信号FCSが検査用コンピュータ267に入力され、例えばガス濃度信号FCSがハイレベル出力を出力しているかどうかにより、良・不良の判定がなされる。
【0072】
つまり、ガス濃度信号FCSをハイレベル出力とさせるべき所定濃度の特定ガスを含んだ検査用ガスTSGを、チャンバ内に予め決められたタイミングで供給したときに、検知素子5a、5bの活性化が早期に進む場合には、検知素子5a、5bの検知能に優れる(換言すれば、特定ガスに対する検知素子5a、5bの抵抗変化Rg、Rdが大きく現れる)ことから、検査用ガスTSGの供給を受けてハイレベル出力を示す(良判定を示す)ことになるのである。なお、不良判定されたガスセンサユニットはロットから除外・選別され、良判定されたガスセンサユニット1のみが出荷される。
【0073】
出荷されたガスセンサユニット1は、図3に示すように自動車のフラップ制御装置100に接続される。バッテリーからの電源電圧を受電した制御装置9は、図6に示すほぼ一定の電源電圧を、実検知時における選択信号161として認識し、図5の実検知用ヒートパターン157を選択して、ヒータ51を通電発熱させ、フラップ制御用のガス検知を実行することになる。
【0074】
以下、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。図1に示すガスセンサ4の検知素子5として、SnO2薄膜及びWO3薄膜により第一種検知素子5a及び第二種検知素子5bを構成した市販品(フィガロ技研(株)製のTGS220)を用いた。このガスセンサ4と図2に示す制御装置9とを基板3上にアセンブリし、ケース17,19に収容してガスセンサユニット1とした。
【0075】
このガスセンサユニット1を、温度20℃、相対湿度70%RHの大気中にて90日間放置した。その後、ガスセンサユニット1を容積500mLのチャンバ内に配置し、チャンバ内温度を35℃に維持するとともに、相対湿度が50%RHの空気にCOガスを100ppm又は200ppm含有させた熱処理用ガスを導入した。そして、この状態で、ヒータ51を、駆動電圧5V(ヒータ表面温度:約280℃)又は6.3V(ヒータ表面温度:約400℃)にて5分又は10分間発熱させることにより、第一種検知素子5aの熱処理を行った。なお、比較のため、COガスを含有しない空気を導入して熱処理する実験も合わせて行った。なお、ヒータ表面温度は、サーモグラフィ(AVIO社製、コンパクトサーモTVS−2000MKII)を用いて測定した。
【0076】
上記熱処理が終了した後、ガスセンサ(ガスセンサユニット1)の検査工程として、ヒータ51を5Vにて定常的に駆動し、温度35℃、相対湿度50%RHの空気を15(l)/分の流量で流通しながら、第一種検知素子5aの電気抵抗値Rs(基準抵抗R0(100kΩ))に対する相対値にて測定)の経時変化を測定・記録した。また、途中、チャンバ内に、容積比にて100ppmとなるようにCOガスを注入し、電気抵抗値Rsの変化を記録した。熱処理による吸着分子の脱着が進み、検知能が活性化されると第一種検知素子5aは電気抵抗値Rsが減少する。図9にその結果を示している。
【0077】
この結果によると、電圧5Vの熱処理を10分行なう条件下において、空気中で熱処理する比較例(▲1▼)よりも、COガスを導入して熱処理する実施例(▲2▼〜▲5▼)のほうが、明らかに電気抵抗値Rsの減少が著しく、COガスを注入したときの電気抵抗値Rs変化の幅も大きい。すなわち、COに対する検知能の活性化が早く進んでいることがわかる。また、この活性化の度合いは、熱処理時のCOガス濃度が高いほど顕著であることもわかる。
【0078】
他方、COガス濃度を200ppmとし、熱処理を5分行なう条件下において、ヒータ電圧を6.3Vに設定した場合、つまり、検査検知時よりも高温とした場合の結果(▲4▼)は、同じく5Vに設定した場合、つまり、検査検知時と同じ温度設定にした場合の結果(▲3▼)よりも、検知能の活性化がより早く進んでいることがわかる。また、同じ5Vに設定した場合でも、熱処理時間の長いもの(▲5▼)は、短いもの(▲3▼)よりも検知能の活性化が進んでいることもわかる。
【0079】
次に、COガスに代えてNO2ガスを4ppm含有させた熱処理用ガス中を用い、ヒータ51を、駆動電圧5Vにて5分又は10分間発熱させることにより、第二種検知素子5bの熱処理を行った。なお、比較のため、NO2ガスを含有しない空気を導入して熱処理する実験も合わせて行った。熱処理が終了した後、ガスセンサ(ガスセンサユニット1)の検査工程として、ヒータ51を5Vにて定常的に駆動し、温度35℃、相対湿度50%RHの空気を15(l)/分の流量で流通しながら、第二種検知素子5bの電気抵抗値Rs(基準抵抗R0(1000kΩ))に対する相対値にて測定)の経時変化を測定・記録した。また、途中、チャンバ内に、容積比にて2ppmとなるようにNO2ガスを注入し、電気抵抗値Rsの変化を記録した。熱処理による吸着分子の脱着が進み、検知能が活性化されると第二種検知素子5bは電気抵抗値Rsが増加する。図10にその結果を示している。
【0080】
この結果によると、空気中で熱処理する比較例(▲6▼)よりも、NO2ガスを導入して熱処理する実施例(▲7▼)のほうが、明らかに電気抵抗値Rsの増加が著しく、NO2を注入したときの電気抵抗値Rs変化の幅も大きい。すなわち、NO2に対する検知能の活性化が早く進んでいることがわかる
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスセンサユニットの構成例を示す分解斜視図。
【図2】図1のガスセンサユニットの制御装置の、内部構成の一例を示す回路図。
【図3】図1のガスセンサユニットの実装先の一例として、車両用フラップ制御装置を模式的に示す図。
【図4】検査装置の構成例を示すブロック図。
【図5】ヒートパターンの設定例を示す図。
【図6】ヒートパターンの選択信号の例を示すタイミング図。
【図7】ヒータ制御プログラムの処理フロー(メインルーチン)の概略を示す図。
【図8】熱処理あるいは検査検知に使用する雰囲気勢チャンバの使用方法を示す模式図。
【図9】本発明の効果確認のために行なった実験結果を示すグラフ。
【図10】本発明の効果確認のために行った別の実験結果を示すグラフ。
【図11】ヒータ駆動処理フローの概略を示す図。
【図12】選択信号の検出プログラムにおける処理フローの概略を示す図。
【図13】デューティ比設定テーブルの概念図。
【符号の説明】
1 ガスセンサユニット
4 ガスセンサ
5 検知素子
9 制御装置
10 マイクロコンピュータ
51 ヒータ
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガスセンサ制御装置、それを用いたガスセンサの検査方法及びガスセンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスセンサの検知素子には、酸化物半導体膜(抵抗感応膜)を検知素子として用いたものが知られている。このような検知素子は、室温よりも高温に最適動作点を有するものが多く、被測定ガスの温度が低い場合は、ヒータ加熱により検知素子の検知能を活性化して用いるようにしている。また、上記のような検知素子によるガス検出の基本原理には、検知体表面における被測定ガス成分の吸着が大きく関与している。例えば抵抗感応膜を用いるセンサの場合は、吸着ガス分子からの電子移動等により抵抗感応膜の電気抵抗率(内部抵抗)が変化することを利用してガス検出を行なう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなガスセンサは、検知素子が非加熱状態で大気中に放置された場合、水蒸気や他のガス分子などが検知素子の表面に吸着した状態になる。このような状態では、検知素子への被検出ガスの分子吸着が先に吸着している分子に妨げられて検知能が低下しているので、ヒータ加熱を行っても、直ちに測定に入ることはできない。しかし、ヒータ加熱を開始してしばらく時間が経過すれば、余分な吸着分子の脱着が促進され、測定可能な状態となる。
【0004】
ところで、工場で製造されるガスセンサのロットは、製造後検査に至るまでにかなりの日数保管される場合がある。また、検知素子に着目すれば、これがガスセンサに組み付けられるまでの間にも、さらに保管時間が生ずる。検知素子の保管時間が長くなったガスセンサは、検知素子に水蒸気や酸素等の分子が多量にかつ強固に吸着した状態になっているため、ヒータによる加熱を開始してから、良好に特定の被検出ガスに反応可能となるまでに(つまり、活性化に)相当の時間を要する。この問題は、出荷後のガスセンサを実使用する場合だけでなく、出荷前のガスセンサを工場内にて検査のためにテスト動作させる際にも生じる。この場合、検知素子の活性化に時間を要するため検査工程が長時間化し、ガスセンサの製造能率を低下させることにつながる。
【0005】
本発明の課題は、酸化物半導体を検知素子として用いたガスセンサの検知素子の活性化を迅速に行なうことができ、ひいては実使用時における待ち時間の短縮、あるいは製造時における検査工程の短縮を図ることができるガスセンサの熱処理方法と、それを用いたガスセンサの製造方法及び検査方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
本発明は、特定の被検知ガス成分の吸着に基づき電気抵抗率を変化させる酸化物半導体により検知素子が構成されたガスセンサの熱処理方法に係り、上記の課題を解決するために、ガスセンサを、測定対象となる雰囲気のガス検知に実使用する前に、所定濃度以上の被検知ガス成分を含有する熱処理用ガス中にて検知素子を熱処理することを特徴とする。
【0007】
上記本発明のガスセンサの熱処理方法によれば、ガスセンサの実使用する前に、被検知ガス成分を含有する熱処理用ガス中にて検知素子を熱処理することにより、検知素子に強固に吸着している水分やガス分子の脱着を促進でき、実使用時におけるガスセンサの活性化を迅速に行なうことができる。その結果、実使用時において測定可能となるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0008】
また、本発明は、特定の被検知ガス成分の吸着に基づき電気抵抗率を変化させる酸化物半導体により検知素子が構成されたガスセンサの製造方法であって、ガスセンサの出荷前に、検知素子を、上記本発明の熱処理方法により熱処理する熱処理工程を有するガスセンサの製造方法も提供する。該本発明の製造方法によると、ガスセンサの出荷前に上記本発明の方法による熱処理工程を実施することにより、実使用時の検知素子の活性化を迅速に行なうことができるガスセンサを得ることができる。
【0009】
上記本発明のガスセンサの製造方法は、熱処理工程が終了した後、検知素子を被検知ガス成分を含有する検査用ガスに暴露してセンサ出力を測定し、その測定結果に基づいてガスセンサの検査を行なう検査工程を有するものとすることができる。
【0010】
また、本発明は、特定の被検知ガス成分の吸着に基づき電気抵抗率を変化させる酸化物半導体により検知素子が構成されたガスセンサの検査方法であって、検知素子を、上記本発明の熱処理方法により熱処理する熱処理工程と、
該熱処理工程が終了した後、検知素子を被検知ガス成分を含有する検査用ガスに暴露してセンサ出力を測定し、その測定結果に基づいてガスセンサの検査を行なう検査工程とを有し、熱処理用ガスとして、検査用ガスよりも被検知ガス成分を高濃度に含有したものを用いることを特徴とするガスセンサの検査方法も提供する。
【0011】
検査工程に先立って、検査用ガスよりも被検知ガス成分を高濃度に含有した熱処理用ガスを用いて熱処理工程を実施することにより、検査処理時における検知素子の活性化を迅速に行なうことができ、検査工程に要する時間を短縮することができる。
【0012】
以下、本発明のガスセンサの熱処理方法のより望ましい態様につき、さらに詳しく説明する。前記熱処理の効果は、被検知ガス成分は還元性ガス成分である場合と、酸化性ガスである場合とのいずれにおいても発揮される。還元性ガス成分に対して選択性を有する酸化物は、例えばSnO2、InO2、ZnO、Fe2O3などのn型半導体系の酸化物を例示することができ、このうち特にSnO2は、検知対象として多く採用されるCO等への選択検知性に優れているので、本発明に好適に使用できる。他方、NOx(NOやNO2などの窒素酸化物の総称である)などの酸化性ガス成分に対して選択性を有する酸化物半導体としては、WO3やV2O5(Agをドープした形で使用されることが多い)、あるいはNiOやCoOなどのp型半導体系の酸化物を使用でき、特にWO3はNOxへの選択検知性に優れているので、本発明に好適に使用できる。
【0013】
なお、先に説明したSnO2は、含有させる材質を調整することにより酸化性ガス成分に対する選択検知性を得ることが可能であり、酸化性ガス成分用の検知素子としても好適に使用できる。また、SnO2については、含有させる材質を調整することで、1つの検知素子で還元性ガス成分と酸化性ガス成分との双方を検知することも可能である(例えばSnO2及びWO3にFe2O3、Al2O3等を含有した特許第3024217号公報に開示の検知素子などが挙げられる)。
【0014】
本発明の効果が特に顕著に発揮されるのは、n型半導体系の酸化物にて検知素子を構成した場合である。n型半導体系の酸化物は酸素欠損が形成されやすく、酸素欠損に残された電子が多数キャリアとなってn型導電性を示す。このような酸化物は、CO等の還元性ガス分子が吸着すると電気抵抗率が下がり、その低下の度合いを測定することにより、雰囲気中の還元性ガスの濃度を測定することができる。還元性ガス分子が吸着先となる酸化物の酸素を奪い取って吸着することにより欠損が増加し、多数キャリアである電子濃度が増大するためであると推測される。他方、水分子や酸素分子は、過度に吸着が生ずると、還元性ガスの吸着を妨げるので検知能が低下する。これは、分子中の酸素原子が酸素欠損を充填しながら化学的な吸着状態に移行することが原因として推測される。しかし、還元性ガス成分を含んだ雰囲気中で熱処理を行なえば、吸着分子の結合力を緩めることができ、さらに還元性ガス分子による酸素欠損形成効果が相乗的に作用する結果、水分子や酸素分子の脱着が促進され、検知素子の活性化促進効果が高められるものと考えられる。
【0015】
ガスセンサの実使用時においては、COあるいはNOx等の被検知ガス濃度は、突発的な要因により瞬間的に高濃度化することはあっても、高濃度状態が定常的に続くことは少ない。この場合、検知素子の熱処理を、実使用時に検知素子が曝される雰囲気の平均的な被検知ガス濃度よりも高濃度に被検知ガス濃度を含有する熱処理用ガス中で行なうことにより、実使用時において検知素子を早期に活性化することが可能となる。また、検査工程を実施する場合、熱処理工程は、前記熱処理用ガスとして、前記検査用ガスよりも被検知ガス成分を高濃度に含有したものを用いて行なうと、検査処理時において検知素子を早期に活性化でき、ひいては検査工程の能率化を図ることができる。
【0016】
本発明のガスセンサは、屋外大気を測定対象として用いられることが多いが、わが国環境庁が定めた環境基準によると、NO2は一時間値の一日平均値が0.04〜0.06ppmのゾーン内又はそれ以下となること、COは一時間値の一日平均値が10ppm以下であり、かつ、一時間値の8時間平均値が20ppm以下となることが定められている。従ってNO2とCOのいずれにおいても、上記基準値よりは高濃度にこれら成分を含有する熱処理用ガスを用いて検知素子の熱処理を行なうことが、検知素子の早期活性化を図るために効果的である。より望ましくは、CO検知に関しては、CO成分を50ppm以上(100%まで可能)含有する熱処理用ガスを用いるのがよく、NOx検知に関しては、NO2成分を1ppm以上(100%まで可能)含有する熱処理用ガスを用いるのがよい。
【0017】
また、ガスセンサの実使用は検知素子を設定温度に加熱して行われる。そして、前記の熱処理は、実使用時の設定温度よりも高温にて行なうことが望ましい。これにより、実使用時において検知素子を早期に活性化することが可能となる。例えばSnO2を検知素子として用いてCOを検知する場合、あるいはWO3を検知素子として用いてNOx(具体的にはNO2)を被検知ガス成分とする場合、検知素子の実使用時の加熱温度は250℃以上400℃以下に調整することが、検知能を高める上で望ましい。そして、熱処理温度は、上記実使用時の加熱温度よりも、30℃〜120℃が高くなるように設定することが、実使用時の検知素子の早期活性化を図る上で望ましい。
【0018】
ガスセンサは、検知素子を加熱するヒータを備えたものとすることができる。このヒータは実使用時に検知素子を動作温度に加熱するために使用されるが、実使用に先立つ検知素子の熱処理も該ヒータを用いて行なうことができる。このようにすると、熱処理用の炉等を用意する必要がなくなり、かつヒータにより検知素子が局所的に加熱されるため、基板に対しマイクロコンピュータ等とともにガスセンサを実装した後においても、該マイクロコンピュータを用いてヒータを専用のヒートパターンにより発熱させれば、熱処理を極めて簡単に行なうことができる。なお、実使用時において該ヒータを定常的に発熱させるための実使用設定電圧が定められている場合、熱処理は、該実使用設定電圧よりも高電圧にてヒータを通電発熱させることにより行なうとよい。これにより、実使用時の設定温度よりも高温にて熱処理を行なうことができ、実使用時において、あるいは検査処理時において、検知素子を早期に活性化することができる。
【0019】
なお、このように実用時の設定温度よりも高温にて熱処理を行なうにあたっては、ガスセンサを、検知素子及びヒータと電気的に接続されると共に、実使用時にヒータを通電発熱させるための実検知用ヒートパターンと、熱処理する際にヒータを通電発熱させるための熱処理用ヒートパターンとが記憶されたマイクロコンピュータを備えるように構成し、そのマイクロコンピュータが実検知用ヒートパターンまたは熱処理用ヒートパターンに対応した信号パターンを有する選択信号を外部から取得することで、その選択信号の信号パターンを識別して該実検知用ヒートパターンまたは該熱処理用ヒートパターンを選択し、前記ヒータを通電発熱させるようにするとよい。
【0020】
かかる構成では、ガスセンサが、検知素子及びヒータと電気的に接続されたマイクロコンピュータを備えているものとされている。そして、このガスセンサに備えられるマイクロコンピュータが、ヒータを発熱駆動するための実検知用ヒートパターンと熱処理用ヒートパターンとを、外部の選択信号に基づき適宜選択して実行できるように構成されている。従って、熱処理専用のヒートパターンを搭載した制御回路を別途用意する必要がなく、検知素子をその都度これに接続して熱処理を行なう必要がなくなる。このため、熱処理工程を含んだガスセンサの製造工程の能率化を図ることができる。また、熱処理専用のヒートパターンを別の制御回路にて用意する必要がなく、製造原価の低減を図ることに寄与する。さらに、電子部品等で構成した熱処理専用のヒートパターンを搭載した制御回路をマイクロコンピュータとは別に形成してガスセンサに内蔵させる必要がなく、ガスセンサの小型化にも寄与する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1(a)は、ガスセンサユニットの一例を示すものである。このガスセンサユニット1は自動車等の車両に取り付けて使用され、外気の排気ガス濃度変化をガスセンサ4により検知して、外気取入用ダクトと内気循環用ダクトとを自動切換えするために用いられるものである。
【0022】
ガスセンサ4は、被検知ガス取入口4dが形成されたケース4cの内部に、排気ガス分子の吸着により電気抵抗値を変化させる、金属酸化物半導体からなる検知素子5(図2)と、その検知素子5の検知能を活性化するためのヒータ51とを組み込んだものである。このガスセンサ4が、マイクロコンピュータ(以下、単にマイコンという)10と、コンデンサや抵抗器といった周辺回路部品7とからなる制御装置9とともに、基板3に一体的に組み付けられている。基板3は、プラスチック製のケース19,17内に封入され、ケース19にはコネクタ15と、ガスセンサ4を収容するとともに複数のガス導入孔18が設けられたセンサ収容部16とが形成されている。コネクタ15内には、ガスセンサユニット1を自動車あるいは後述する検査装置に電気的に接続するためのヒータ電源端子48a、センサ出力端子48b及び接地端子48cからなる端子群48が設けられている。端子部48は、基板3に設けられた端子穴3hに挿通され、この端子穴3hの周囲に形成された金属パッドを介して、基板3上の制御装置9の配線パターンに半田付け接続されている。
【0023】
図2は、制御装置9の電気的構成を示す回路図である。制御装置9の要部はCPU53、RAM54、ROM55及びデータ入出力インターフェース(以下、「I/O」と略記する)56を有するコンピュータ50によってマイコン10を構成している。主電源は自動車に搭載されたバッテリー75であり、このバッテリー電圧VBT(定格:+12V)を元に、電源回路80が、マイコン10等の駆動及び信号源に使用される電源電圧VCC(+5V)を生成・供給する。電源回路80は、三端子レギュレータ77を用いた周知の安定化電源回路として構成され、符号76はバッテリー電圧VBTのリップルを除去するための平滑化用コンデンサであり、符号78,79は三端子レギュレータ77の発振防止用のコンデンサである。
【0024】
ガスセンサ4の検知素子5は、CO、HCなどの還元性ガスを検知する第一種検知素子5aと、NOxなどの酸化性ガスを検知する第二種検知素子5bとを有する。前者は、還元性ガス分子吸着により電気抵抗率を減少させる酸化物薄膜(例えばSnO2)、後者は酸化性ガス分子吸着により電気抵抗率を増加させる酸化物薄膜(例えばWO3)により形成される。図1(b)に示すように、第一種検知素子5aと第二種検知素子5bとは、ヒータ51とともにセラミック基体5c上に一体的に組み付けられている。なお、本実施形態では、第一種検知素子5a及び第二種検知素子5bの各出力端子5t1,5t2と、両素子5a,5bの間で共用される接地端子5tgが設けられている。また、ヒータ用の入力端子は5t3であり、接地側の端子は素子5a,5bの接地端子5tgと共用化されている。
【0025】
図2に示すように、上記検知素子5a,5bは、分圧抵抗67あるいは分圧抵抗68にそれぞれ直列接続され、検知素子5a,5bの抵抗変化に応じた分圧比により、電源電圧VCCを分割する。なお、分圧抵抗67,68のそれぞれの一端が接地されるようにして、検知素子5a、5bはそれぞれの他端に直列に接続される。そして、それら分圧抵抗67,68との接続点に生ずる各分圧電圧がアナログセンサ出力VXg,VXdとして、I/O56のポートP1,P2にそれぞれ入力される。これらセンサ出力VXg,VXdは、CPU53がRAM54をワークエリアとして、ROM55に記憶された検知プログラム155をそれぞれ実行することによりガス濃度データとされ、I/O56のポートP5から、コネクタ15のセンサ出力端子48bからアナログのガス濃度信号FCSとして出力される。2つの検知素子5a,5bからのガス濃度信号FCSは、例えば検知プログラム155による時分割出力処理により、1つのセンサ出力端子48bを用いて出力できる。
【0026】
図3に示すように、このガス濃度信号FCSは、コネクタ15を介して接続されたフラップ制御装置100に入力される。フラップ制御装置100は、ガス濃度信号FCSをもとに、アクチュエータ103を動作させてフラップ105を開閉させる。そして、このフラップ105の位置により、車両内の内気を循環させるための内気循環用ダクト109と、外気を導入するための外気取入用ダクト107とのいずれかが、メインダクト101に切り替え可能に接続される。なお、メインダクト101内には、空気を圧送するファン111が設置されている。
【0027】
図2に戻り、バッテリー電圧VBTは、コネクタ15のヒータ電源端子48aから受電される。該バッテリー電圧VBTは、抵抗器69及び70により分圧された後、電圧監視信号RRTとして、I/O56のポートP3に入力される。一方、バッテリー電圧VBTはヒータ制御用トランジスタ74を介してヒータ51に供給される。本実施形態ではヒータ制御用トランジスタ74はpチャンネル型MOS−FETにより構成され、そのゲート入力(抵抗器71,72により分圧されたバッテリー電圧VBTである)が、バイポーラトランジスタからなるゲート駆動トランジスタ73によりスイッチング駆動される。
【0028】
ゲート駆動トランジスタ73のベースには、I/O56のポートP4から出力される設定電圧値に応じたデューティ比DRVを有するPWM信号が抵抗器73bを介して入力される。これにより、ヒータ制御用トランジスタ74が該ゲート駆動トランジスタ73を介してデューティ比DRVに基づきスイッチングされ、ヒータ51の出力(ヒータ51への供給電力)が、そのデューティ比DRVに対応した値に調整される。なお、抵抗器73aは、ゲート駆動トランジスタ73の残留電荷を引き抜いて、ゲート駆動トランジスタ73のONからOFFへのスイッチング速度を向上させる役割を果たす。
【0029】
なお、ポートP1、P2、P3は、コンピュータ50側にA/D変換機能が内蔵されており、アナログ信号を直接入力できる。また、ポートP4、P5は、PWM信号を出力するポートである。
【0030】
コンピュータ50のROM55には、製品出荷後のガスセンサ4(図1のガスセンサユニット1の状態である)を、自動車の外気取入用ダクト107(図3)に実装し、該ダクト107内の排気ガス検出に実使用する際に用いる実検知用ヒートパターン157と、製品出荷前に検知素子5を熱処理(エージング)するために用いる熱処理用ヒートパターン158とが記憶され、さらにガスセンサ4を検査するために用いる検査検知用ヒートパターン159とが記憶されている。これらのヒートパターン157〜159は、外部から取得する選択信号RSSに対応したものが選択され読み出される。CPU53は、当該選択されたヒートパターンを用いて、ROM55に記憶されたヒータ制御プログラム156により、ヒータ51を発熱駆動する。なお、選択信号RSSの検出は、後述するが、I/OのポートP3に入力される電圧監視信号RRTに基づき行なわれる。
【0031】
図1のガスセンサユニット1のコネクタ15は、実使用時には、図2に示す自動車側のコネクタ215に接続される。ヒータ電源端子48aは、バッテリー電圧VBTの供給端子215aに、センサ出力端子48bはフラップ制御装置100(図3)への信号供給端子215bに、接地端子48cは自動車側の接地端子215cにそれぞれ接続される。また、ガスセンサユニット1のコネクタ15は、後述する熱処理工程時及び検査工程時には、図4に示す検査装置365側のコネクタ215に接続される。ヒータ電源端子48aは、検査装置365の電源回路266からの電源供給端子215aに、センサ出力端子48bは検査用コンピュータへのセンサ出力入力端子215bに、接地端子48cは接地端子215cにそれぞれ接続される。後述する通り、ヒータ電源端子48aは選択信号RSSの入力端子も兼用する。
【0032】
図7は、メインルーチンであるヒータ制御プログラム156(図2)の処理の流れを示すものである。まず、S1(Sはステップの略記)では、処理に使用するRAM54の各種メモリエリアを初期化する。ついで、S2でI/O56のポートP3を通じて、電圧監視信号RRTを取得する。そして、S3において、ヒートパターンの選択信号RSSの検出処理を電圧監視信号RRTに基づいて行い、その選択信号の内容に応じてヒートパターンを選択する。このS3の選択信号検出処理は図12に示すものであるが、詳細は後述する。そして、S4においては、選択されたヒートパターンに応じたヒータ駆動処理を実行する。S4のヒータ駆動処理の詳細についても後述する。その後、電圧監視信号RRTの取得のためのサンプリングタイムである0.4秒の経過を待ち、S2に戻る。本実施形態においては、ROM55内に記憶された選択可能なヒートパターンとして、図5に示すヒートパターン157、158、159が用意されている。
【0033】
図5に示すように、実検知用ヒートパターン157と検査検知用ヒートパターン159とは、いずれも、検知素子5の温度を活性化状態に維持可能な一定の活性化維持電圧V3によりヒータを発熱駆動する活性化維持期間167を有する。また、実検知用ヒートパターン157については、検知素子5の活性化を促進するために、活性化維持期間167に先立ってヒータ51を活性化維持電圧V3よりも高い活性化促進電圧V1,V2にて発熱駆動する活性化促進期間165,166,168が設定されている。検査検知用ヒートパターン159についても、活性化維持期間167に先立ってヒータ51を活性化維持電圧V3よりも高い活性化促進電圧V1にて発熱駆動する活性化促進期間165を設定しているが、この活性化促進期間165は、実検知用ヒートパターン157の活性化促進期間165,166,168のトータルした期間よりも短く設定されている。このような活性化促進期間の短い検査検知用ヒートパターン159を用いれば、実検知用ヒートパターン157を流用する場合と比較して、活性化促進期間が短い分だけ検査処理(検査検知)を短時間で終わらせることができる。
【0034】
実検知用ヒートパターン157の活性化促進期間165,166,168には、活性化維持電圧V3よりも高い第一活性化促進電圧V1にて一定保持する第一活性化促進期間165と、該第一活性化促進電圧V1と活性化維持電圧V3との中間に設定された第二活性化促進電圧V2にて一定保持する第二活性化促進期間166とが設定されている。活性化促進期間の後半において、第二活性化維持電圧V2を、活性化維持電圧V3に近づくように連続的に減少させることにより、検知素子5の活性化を促進させ、ひいては、検知素子5をより早期に定常測定可能な状態とすることができる。本実施形態では、ヒータ温度を目標温度により早く近づけるため、第一活性化促進電圧V1から第二活性化促進電圧V2へ電圧を階段状に減少させた後、期間168において活性化維持電圧V3に向けて電圧を漸減させるようにしている。
【0035】
他方、検査検知用ヒートパターン159の活性化促進期間165には、第一活性化促進電圧V1による第一活性化促進期間165のみが、実検知用ヒートパターン157の活性化促進期間の全体165,166,168より短くなるように設定されている。これは、後述する熱処理後において、可及的速やかに検査処理に移行したとしても、検知素子5には多少の吸着が生ずるので、第一活性化促進期間165のみからなる短時間の活性化処理を行なうことにより、この吸着の影響を軽減することができる。また、第一活性化促進期間165を実検知用ヒートパターン157との間で共用化できるから、ROM55内に記憶するヒートパターンデータのサイズを少なくすることができる。
【0036】
次に、熱処理用ヒートパターン158は、検査検知に先立って検知素子5を熱処理するためのものであり、活性化維持電圧V3よりも高い活性化促進電圧V1,V2(V1>V2)にて、つまり、実検知(実使用)時よりも高温となるようにヒータ51を発熱駆動する。この熱処理用ヒートパターン158は、検知素子5を検査検知に先立つ別段取りにより熱処理し、吸着ガス分子を十分脱着するために使用される。
【0037】
この熱処理は、ガスセンサ4(ガスセンサユニット1)を、図8に示す雰囲気形成用チャンバ90内に配置し、このチャンバ90内に後述する検査用ガスTSGよりも高濃度に被検出ガス成分を含有する処理用ガスHSGを導入し、上記熱処理用ヒートパターン158に従ってヒータ51を発熱駆動することにより行われる。このような熱処理を、検査検知とは別段取りの形で複数のガスセンサユニット1に対し並列に行なうと、検査検知のタクトタイムを大幅に短縮することができる。また、処理用ガスHSG中で十分な熱処理を行なうことは、実使用時における検知素子5の活性化を促進することにも寄与する。
【0038】
図5に示すように、熱処理用ヒートパターン158には、第一活性化促進電圧V1にて保持される第一加熱期間265と、第二活性化促進電圧V2にて実検知用ヒートパターン157の第二活性化促進期間166よりも長時間保持される第二加熱期間266が設けられている。検査時の検知素子5に強固にガス吸着している場合でも、上記のような第二加熱期間266を設けることで、ガス分子の脱着を速やかに行なうことができ、検査検知時の検査用ガスに対する検知素子5の感度を高めることができる。なお、より高電圧の第一加熱期間265を設けるのは、ヒータ51の表面温度を、第二加熱期間266での目標定常温度に早期に到達させるためである。
【0039】
なお、実検知用ヒートパターン157及び検査検知用ヒートパターン159の各第一活性化促進期間165と、熱処理用ヒートパターン158の第一加熱期間265とは同一時間に設定されている。これにより、第一活性化促進期間165と第一加熱期間265とのヒートパターンデータを共用化でき、ROM55内のデータサイズ縮小効果をより高めることができる。
【0040】
次に、選択信号RSSとして、上記のヒートパターン157,158,159に一対一に対応した、図6に例示するような複数の信号データパターン161,162,163が定められている。選択信号RSSの各パターンは、コンピュータ50のデータ入出力インターフェース56のポートP3に電圧監視信号RRTに調整されて入力される。なお、コンピュータ50への入力電圧レベルを5V以下に調整するため、図2に示したように抵抗器69、70で選択信号RSSは、所定の割合(具体的には1/4)に分圧されて、電圧監視信号RRTとしてポートP3に入力される。そして、ヒートパターン選択手段として機能するCPU53は、当該ポートP3に入力された選択信号RSSの信号データパターンを読み取って識別し、対応するヒートパターンをROM55から読み出す。この方法によると、CPU53はポートP3を監視することにより、選択信号RSSの信号データパターンの識別を簡易な処理にて迅速に行なうことができる。
【0041】
本実施形態においては、ヒータ電源電圧VBTはバッテリー電圧であり、負荷変動やオルターネータからの交流重畳、さらにはバッテリーの劣化状況等により、9V〜16Vの比較的広い範囲で変動する。これをヒータ51の電源として用いる場合、DC−DCコンバータなどの電源を用いて安定化してから用いる方法もある。しかし、ヒータ51が比較的大きな電力を消費することもあって、電源回路の追加に相当のコストを要する問題がある。特に、小型のセンサユニットが求められる場合には、大型電源の搭載がスペース上不可能であることも多い。
【0042】
そこで、上記の実施形態にあっては、ヒータ制御部として機能するコンピュータ50は、電圧変動の見込まれるヒータ電源電圧VBTの電圧値RSSを電圧監視信号RRTとして測定し、実検知用ヒートパターン157が規定する目標設定値が得られるように、測定された電圧値に応じてデューティ比DRVを定める。そして、該デューティ比DRVによりヒータ電源電圧VBTを、トランジスタ73,74を用いてスイッチングすることにより、ヒータ51の出力を制御する。このようにすると、電源電圧VBTが変動しても、これをリアルタイムに測定し、その電源電圧VBTを用いたときに、要求されるヒータ出力を充足するデューティ比DRVをその都度算出して設定するので、高価な電源を用いずともヒータ出力を正確にコントロールすることが可能である。
【0043】
図11に、図7に示すメインルーチンのS4におけるヒータ駆動処理の流れを示す。なお、図11に処理を行なうにあたって、図7に示すS1の初期化処理において、電力指示値W(W1、W2、W3)が設定されている。ここで、電力指示値Wの初期値については、本実施形態では、7V相当の電圧をヒータ51に印加する際のデューティ比DRV(以下、第1デューティ比DRV1という)を算出するための初期値W1=49(=7Vの2乗)、6.3V相当の電圧をヒータ51に印加する際のデューティ比DRV(以下、第2デューティ比DRV2という)を算出するための初期値W2=40(=6.3Vの2乗)、5V相当の電圧をヒータ51に印加する際のデューティ比DRV(以下、第3デューティ比DRV3という)を算出するための初期値W3=25(=5Vの2乗)を設定している。電圧に対し電力は電圧の2乗の関係を有するからである。
【0044】
まず、S51にて、図7のメインルーチンの処理が開始されてから、タイマー値が10秒を経過したか否か判断する。経過前の場合にはS52に進み、経過した場合にはS54に進む。
【0045】
S52では、取得した電圧監視信号RRTの電圧値Vs(選択信号RSSの電圧値を1/4に分圧した値)を用いて、第1デューティ比DRV1を、DRV1=W1/(Vs/4)2(=W1/RSSの電圧値の2乗)によって算出する。その後、S53において、得られた第1デューティ比DRV1に従ってポートP4よりPWM出力し、ヒータ51を第1デューティ比DRV1でパルス駆動する。このようにして、ヒータ51には、7V相当の電圧を印加したのと同様の電力が投入される。
【0046】
一方、S51にて肯定判定されてS54に進むと、熱処理用ヒートパターンが選択されているか否かを判断する。熱処理用ヒートパターンが選択されている場合にはS57に進み、選択されていない場合にはS55に進む。
【0047】
S57では、取得した電圧監視信号RRTの電圧値Vs(選択信号RSSの電圧値を1/4に分圧した値)を用いて、第2デューティ比DRV2を、DRV2=W2/(Vs/4)2(=W2/RSSの電圧値の2乗)によって算出する。その後、S58において、得られた第2デューティ比DRV2に従ってポートP4よりPWM出力し、ヒータ51を第2デューティ比DRV2でパルス駆動する。このようにして、ヒータ51には、6.3V相当の電圧を印加したのと同様の電力が投入される。
【0048】
一方、S54で否定判定されると、S55にて検査検知用ヒートパターンが選択されているか否かを判断する。検査検知用ヒートパターンが選択されている場合にはS61に進み、選択されていない場合にはS56に進む。
【0049】
S61では、取得した電圧監視信号RRTの電圧値Vs(選択信号RSSの電圧値を1/4に分圧した値)を用いて、第3デューティ比DRV3を、DRV3=W3/(Vs/4)2(=W3/RSSの電圧値の2乗)によって算出する。その後、S62において、得られた第3デューティ比DRV3に従ってポートP4よりPWM出力し、ヒータ51を第3デューティ比DRV3でパルス駆動する。このようにして、ヒータ51には、5V相当の電圧を印加したのと同様の電力が投入される。
【0050】
S55にて否定判定されると、S56にて図7に示すメインルーチンの処理が開始されてからタイマー値が40秒を経過したか否か判断する。経過前の場合にはS57に進み、経過した場合にはS59に進む。なお、このS56に進んだ場合には、熱処理用ヒートパターン、検査検知用ヒートパターンのいずれも選択されなかったことになり、実検知用ヒートパターンが選択されたことになる。
【0051】
S56にて否定判定された場合のS57以降の処理は、上述した通りである。一方、S56にて肯定判定されてS59に進むと、S59では、初期値W2が初期値W3と比較され、W2>W3のときには、S60に進む。S60では、初期値W2が、W2=W2−Δの式によって漸減処理される。本実施形態では、Δ=0.2とした。従って、S60を75回通過すると、つまり30秒(=75×0.4)経過すると、S59でW2≦W3となり肯定判定され、S61に進む。S61以降の処理については、上述した通りである。
【0052】
なお、S60の漸減処理が行われてS57に進んだ場合の当該S57以降の処理は上述した通りである。但し、S60で初期値W2を漸減させているので、S57で算出される第2デューティ比DRV2は、S56で否定判定された場合にS57にて算出される第2デューティ比DRV2より次第に小さくなる。
【0053】
このようにして、図11に示すヒータ駆動処理では、図7のS3にて選択されるヒートパターンに応じて、実検知用ヒートパターン、熱処理用ヒートパターン、検査検知用ヒートパターンの3種を実行する。なお、実検知用ヒートパターン、熱処理用ヒートパターン、検査検知用ヒートパターンは、いずれが選択される場合にも図11に示すS51〜S53の処理は共通して実行される。これは、上述したように本実施形態では、7V相当の電圧を印加したのと同様の電力を投入する第1活性化促進期間165及び265を各ヒートパターンにおいても共通化させるようにして行っているからである。
【0054】
なお、図7のメインルーチンにS4として示すヒータ駆動処理を行なうにあたっては、図11に示したように演算式を用いてデューティ比DRVを算出する方法に限られず、マッピング処理によってデューティ比を算出するようにして行ってもよい。具体的には、図13に示すように、種々の電圧監視信号RRTの電圧値V1、V2、・・・・Vnにおいて目標電力値W1、W2、・・・・Wnを与えるデューティ比DRij(i=1、2、・・・・n、j=1、2、・・・・n)の二次元のデューティ比変換テーブル160(図2参照)を用意しておき、サンプリングされる電圧監視信号RRTの電圧値と目標電力値Wに対応するデューティ比DRijの値を各ヒートパターンに沿って読み取り、そのデューティ比DRij用いることもできる。なお、電圧監視信号RRTと目標電力値の組に直接対応するデューティDRijがテーブル160上に見出されなかった場合は、補間により算出することができる。
【0055】
本実施形態においては、実使用時のガスセンサ実装先、ここでは自動車のバッテリー75から供給されるヒータ電源電圧VBTを、実検知用ヒートパターン157の選択信号RSSとして流用する。他方、検査時にガスセンサ4が接続される検査装置365にて、バッテリー75とは別途の電源を用いて、選択信号RSSとして意味付けられた経時的な電圧変化パターンを伴う電圧信号162,163(図6)を生成し、該電圧信号を熱処理用ヒートパターン158、検査検知用ヒートパターン159の選択信号RSSとして用いる。
【0056】
この構成の利点は、以下の通りである。従来においても、自動車等の実装先にこの種のガスセンサを接続する場合は、図1のような3つの端子48a〜48cを有するコネクタ15が使用される。先にも記載したように、この3つの端子は、ヒータ電源端子48a、センサ出力端子48b及び接地端子48cである。しかし、本発明のように、熱処理用及び検査検知用のヒートパターンの選択信号RSSを制御装置9に入力できるようにする場合、選択信号RSSの入力系統を新たに設ける構成では、コネクタ15に新たに選択信号RSSの入力端子を増設するなどして、ハードウェア上の構成変更が必要となり無駄が多い。
【0057】
しかしながら、図6に示すように、1つの電源を用いて、選択信号として意味付けられた経時的な電圧変化パターンを伴う電圧信号162,163を生成し、これを選択信号RSSとして用いれば、電源電圧をI/O56のポートP3を介して監視することにより、特にハードウェア上の変更を伴うことなく、制御装置9は、選択信号RSSの信号データパターンを認識することが可能となる。そこで、図6に示すように、信号認識のために予め定められた期間(以下、信号識別期間という:0<T<T4)中、閾値Vbよりも低レベルに維持される電圧波形161を、実使用時であることを識別するための選択信号RSSとして用いることができる。また、熱処理用や検査用のヒートパターン158,159が、ノイズ等の影響により実使用時に誤動作する不具合を防止する観点から、これらヒートパターン158,159以外の波形が認識された場合は、一律に実使用時であると判定するようにしてもよい。
【0058】
選択信号RSSは、例えば、2つの異なる電圧レベルの変化エッジを含む信号とすることができる。この変化エッジの、信号識別期間内における有無あるいは数、変化エッジの時間的位置、あるいは変化エッジの向き(つまり、高レベル電圧から低レベル電圧への変化であるか、あるいはその逆であるか)の少なくともいずれかを検出することにより、選択信号RSSの信号データパターンを識別することができる。変化エッジを形成するための、2つの電圧レベルの差は、例えば1.5Vから5V程度に設定することが望ましい。
【0059】
電源電圧を信号形成用に変化させる方法は特に限定されないが、その一例を図4に示す。すなわち、図4の信号発生回路365は、電源回路266の出力電圧Vss(16V:第一電圧)を分岐して、安定化電源回路270及び271(例えば、DC−DCコンバータで構成できる)により、12.5V(第二電圧:第一電圧より低い)及び5V(第三電圧:第二電圧より低い)の定電圧を生成する。16V及び12.5Vの各電圧は、スイッチ素子(リレーあるいはトランジスタで構成される)268及び269により切り替え出力される。5Vの電圧はその切り替え制御に使用する。
【0060】
具体的には、該5V電圧は、最終的な信号波形に対応した周波数で発振する発振器272によりパルス化され、バイナリカウンタ276に入力される。バイナリカウンタ276はそのパルスを受けてカウントアップするとともに、各ビットの出力が、ANDゲートを組み合わせて構成されたマルチプレクサ273に入力される.マルチプレクサ273には、別途設定された回数設定信号が入力されており、カウント数が最終的な信号波形に必要な電圧切り替え回数に到達すると、該マルチプレクサ273は回数一致信号CSをアクティブ出力する。この回数一致信号CSは、その後、バイナリカウンタ276がさらにカウントアップしてもアクティブレベルを保持するように、D型フリップフロップ274を介して最終段のスイッチ駆動ゲート275の一方の端子に入力され、他方の端子には、発振器272からの出力が入力される。該スイッチ駆動ゲート275はOR回路であり、少なくとも一方の入力がアクティブとなったときに、出力がアクティブとなる。
【0061】
そして、その出力は、スイッチ268と269との一方にはそのままの形で、他方にはインバータ276により反転させた形で、それぞれ入力される。その結果、カウント数が設定回数に到達するまでは16Vと12.5Vとが交互に切り替わり、以降は12.5Vが保持される図6の信号163に示すような波形が得られる。
【0062】
なお、上記のようなハードウェアロジックを用いず、コンピュータ(例えば検査用コンピュータ167)によるソフトウェア制御により、16V電圧と12.5V電圧とを、図6に示す信号波形が得られるように切り替え制御するようにしてもよい。
【0063】
また、変化エッジの検出は、電源電圧をI/O56のポートP3を介して監視して、予め定められた閾値Vbよりも高レベルの電圧(VH)と、同じく低レベルの電圧(VL)との間で変化が起きたかどうかを調べることにより検出ができる。他方、先に測定した電圧レベルを記憶しておき、これを現在の電圧レベルと比較して、予め定められた幅(例えば3V)以上の電圧変化が現れた場合にエッジ検出とする方法も採用可能である。
【0064】
図12は、図7に示すメインルーチンのS3における選択信号検出処理、すなわち電源電圧に反映された選択信号RSSを検出する処理の流れを示すものである。この例では、閾値Vbとの大小関係を用いて電圧エッジ検出を行っている。まず、S101で、図7に示すS2にてI/O56のポートP3を通じて検出された電圧監視信号RRTの電圧値Vsをリードする。S102ではその値が閾値Vbより小さいかどうかを判定し、Vs>VbであればS103に進んで、エッジ検出フラグFLをリードする。このフラグは、先の測定でVs>Vbであったとき第一値(以下、「1」とする)、Vs<Vbであったとき第二値(以下、「0」とする)に設定されるものであり、初期値処理(図7に示すS1)にて本実施形態では「0」に設定される。もしその値が「0」(つまり、先の策定でVs≦Vb)であったなら、現在はVs>Vbであるから、VL→VHの電圧エッジが生じたことになる。
【0065】
本実施形態では、ノイズ等による誤検出を防止するために、S104〜S106において、エッジが出現すべきタイミングであるかどうかを確認する処理を行っている。図6に示すように、この例では、熱処理用ヒートパターンに対応する選択信号は、T=T1、T3にてVH→VLの電圧エッジを、T=T2にてVL→VHの電圧エッジをそれぞれ含み、検査検知用ヒートパターンに対応する選択信号はT=T1、T3にてVH→VLの電圧エッジ(以下、第一種エッジという)を、T=T2、T4にてVL→VHの電圧エッジ(以下、第二種エッジという)をそれぞれ含む。従って、第二種エッジ判定を行なうS104〜S106では、エッジ検出された時刻のタイマー値Tをリードし(S104)、それがT2、T4からそれぞれ時間αまでの範囲内に収まっているかどうかを判定する(S105、S106)。収まっていれば、S107で第二種エッジの検出数カウンタEiをインクリメントし、S108でエッジ検出フラグFLを「0」とする。
【0066】
他方、S102でVs≦VbであればS109に進み、エッジ検出フラグFLをリードする。もしその値が「1」(つまり、先の測定でVs>Vb)であったなら、現在はVs>Vbであるから、VH→VLの電圧エッジ、つまり第一種エッジが生じたことになる。S110〜S112は、エッジが出現すべきタイミングであるかどうかを確認する処理であり、S110ではエッジ検出された時刻のタイマー値Tをリードし、それがT1、T3からそれぞれ時間αまでの範囲内に収まっているかどうかを判定する(S111、S112)。収まっていれば、S113で第一種エッジの検出数カウンタEjをインクリメントし、S115でエッジ検出フラグFLを「1」とする。
【0067】
S115では再びタイマー値Tをリードし、信号識別期間の終了時刻T5(例えば、7.5秒)に到達したかどうかを確認する。到達していなければ本選択信号検出処理を抜けメインルーチン(図7)に戻る。他方、到達していれば(Ej、Ei)の値の組をリードし、この値が(2,2)であれば、図6の検査検知用ヒートパターン159に対応した選択信号が検出されたことを意味するから、S119に進んで検査検知用ヒートパターンの選択を行なう。また、(Ej、Ei)が(2,1)であれば、図6の熱処理用ヒートパターンの選択信号162が検出されたことを意味するから、S120に進んで熱処理用ヒートパターンの選択を行なう。そして、(Ej、Ei)がそれ以外の値であれば、実検知用ヒートパターンの選択信号161となり、本選択信号検出処理を抜けメインルーチン(図7)に戻る。
【0068】
なお、エッジ検出フラグFLを立てる代わりに、前回の電圧測定値Vaそのものを記憶し、現在の測定値Vbとの差ΔVs=Vb−Vaを算出して、その差ΔVsが+ΔVS0以上(Va>Vbなので第一種エッジ)、あるいは−ΔVS0以下(Va<Vbなので第二種エッジ)となっているかどうかを判定するようにしてもよい。
【0069】
検査工程を含めた上記ガスセンサユニット1の製造工程の概略は、例えば以下のように実施することができる。すなわち、図1のようなガスセンサユニット1を組み立てた後、図8の雰囲気形成チャンバ90内に配置し、さらに熱処理用制御装置に接続する。この熱処理用制御装置は熱処理用の選択信号(図6における符号162)を送信する機能を有していればよく、例えば単なる信号発生装置として構成しておくだけでもよいが、本実施形態では図4に示す検査装置365に兼用させている。次に、雰囲気形成チャンバ90内に処理用ガスを導入する。処理用ガスは、還元性ガス(例えばCO)に対する選択性を有した第一種検知素子5aの熱処理を行なう場合には、検査検知時よりも高濃度に還元性ガス成分を含有したものを使用する。また、酸化性ガス(例えばNO2)に対する選択性を有した第二種検知素子5bの熱処理を行なう場合には、検査検知時よりも高濃度に酸化性ガス成分を含有したものを使用する。もちろん、これら2つの検知素子5a,5bの熱処理は個別に行なうことができる。この状態で、熱処理用制御装置側から熱処理用の選択信号162をガスセンサユニット1の制御装置9に送信する。これを受けた制御装置9は、熱処理用ヒートパターン158(図5)を選択し、ヒータ51を該ヒートパターン158に従って発熱駆動することにより、熱処理を行なう。前記した通り、この熱処理温度は、検査検知時もしくは実検知時(実使用時)よりも高温に設定される。
【0070】
熱処理が終了したガスセンサユニット1は、図4に示すような検査装置365に引き続き接続しておく。検査装置365は、検査検知用の選択信号(図6における符号163)を制御装置9に送信する。該選択信号を受けたガスセンサユニット1の制御装置9は、検査検知用ヒートパターン159(図5)を選択し、ヒータ51を該ヒートパターン159に従って発熱駆動する。既に熱処理が終了しているので、第一活性化促進期間165のみ短縮された活性化処理がなされ、活性化維持期間167に移行後、ヒータ温度が安定化する一定時間が経過した後、検査処理が可能となる。
【0071】
検査処理は、図8を援用して示すが、検査用チャンバ(雰囲気形成用チャンバ90を用いてもよい)内にガスセンサ4(ガスセンサユニット1)を配置し、検査用ガスTSGをチャンバ内に供給して、ガス濃度信号FCSをモニタすることにより行なうことができる。図4において、コネクタ15のセンサ出力端子48からガス濃度信号FCSが検査用コンピュータ267に入力され、例えばガス濃度信号FCSがハイレベル出力を出力しているかどうかにより、良・不良の判定がなされる。
【0072】
つまり、ガス濃度信号FCSをハイレベル出力とさせるべき所定濃度の特定ガスを含んだ検査用ガスTSGを、チャンバ内に予め決められたタイミングで供給したときに、検知素子5a、5bの活性化が早期に進む場合には、検知素子5a、5bの検知能に優れる(換言すれば、特定ガスに対する検知素子5a、5bの抵抗変化Rg、Rdが大きく現れる)ことから、検査用ガスTSGの供給を受けてハイレベル出力を示す(良判定を示す)ことになるのである。なお、不良判定されたガスセンサユニットはロットから除外・選別され、良判定されたガスセンサユニット1のみが出荷される。
【0073】
出荷されたガスセンサユニット1は、図3に示すように自動車のフラップ制御装置100に接続される。バッテリーからの電源電圧を受電した制御装置9は、図6に示すほぼ一定の電源電圧を、実検知時における選択信号161として認識し、図5の実検知用ヒートパターン157を選択して、ヒータ51を通電発熱させ、フラップ制御用のガス検知を実行することになる。
【0074】
以下、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。図1に示すガスセンサ4の検知素子5として、SnO2薄膜及びWO3薄膜により第一種検知素子5a及び第二種検知素子5bを構成した市販品(フィガロ技研(株)製のTGS220)を用いた。このガスセンサ4と図2に示す制御装置9とを基板3上にアセンブリし、ケース17,19に収容してガスセンサユニット1とした。
【0075】
このガスセンサユニット1を、温度20℃、相対湿度70%RHの大気中にて90日間放置した。その後、ガスセンサユニット1を容積500mLのチャンバ内に配置し、チャンバ内温度を35℃に維持するとともに、相対湿度が50%RHの空気にCOガスを100ppm又は200ppm含有させた熱処理用ガスを導入した。そして、この状態で、ヒータ51を、駆動電圧5V(ヒータ表面温度:約280℃)又は6.3V(ヒータ表面温度:約400℃)にて5分又は10分間発熱させることにより、第一種検知素子5aの熱処理を行った。なお、比較のため、COガスを含有しない空気を導入して熱処理する実験も合わせて行った。なお、ヒータ表面温度は、サーモグラフィ(AVIO社製、コンパクトサーモTVS−2000MKII)を用いて測定した。
【0076】
上記熱処理が終了した後、ガスセンサ(ガスセンサユニット1)の検査工程として、ヒータ51を5Vにて定常的に駆動し、温度35℃、相対湿度50%RHの空気を15(l)/分の流量で流通しながら、第一種検知素子5aの電気抵抗値Rs(基準抵抗R0(100kΩ))に対する相対値にて測定)の経時変化を測定・記録した。また、途中、チャンバ内に、容積比にて100ppmとなるようにCOガスを注入し、電気抵抗値Rsの変化を記録した。熱処理による吸着分子の脱着が進み、検知能が活性化されると第一種検知素子5aは電気抵抗値Rsが減少する。図9にその結果を示している。
【0077】
この結果によると、電圧5Vの熱処理を10分行なう条件下において、空気中で熱処理する比較例(▲1▼)よりも、COガスを導入して熱処理する実施例(▲2▼〜▲5▼)のほうが、明らかに電気抵抗値Rsの減少が著しく、COガスを注入したときの電気抵抗値Rs変化の幅も大きい。すなわち、COに対する検知能の活性化が早く進んでいることがわかる。また、この活性化の度合いは、熱処理時のCOガス濃度が高いほど顕著であることもわかる。
【0078】
他方、COガス濃度を200ppmとし、熱処理を5分行なう条件下において、ヒータ電圧を6.3Vに設定した場合、つまり、検査検知時よりも高温とした場合の結果(▲4▼)は、同じく5Vに設定した場合、つまり、検査検知時と同じ温度設定にした場合の結果(▲3▼)よりも、検知能の活性化がより早く進んでいることがわかる。また、同じ5Vに設定した場合でも、熱処理時間の長いもの(▲5▼)は、短いもの(▲3▼)よりも検知能の活性化が進んでいることもわかる。
【0079】
次に、COガスに代えてNO2ガスを4ppm含有させた熱処理用ガス中を用い、ヒータ51を、駆動電圧5Vにて5分又は10分間発熱させることにより、第二種検知素子5bの熱処理を行った。なお、比較のため、NO2ガスを含有しない空気を導入して熱処理する実験も合わせて行った。熱処理が終了した後、ガスセンサ(ガスセンサユニット1)の検査工程として、ヒータ51を5Vにて定常的に駆動し、温度35℃、相対湿度50%RHの空気を15(l)/分の流量で流通しながら、第二種検知素子5bの電気抵抗値Rs(基準抵抗R0(1000kΩ))に対する相対値にて測定)の経時変化を測定・記録した。また、途中、チャンバ内に、容積比にて2ppmとなるようにNO2ガスを注入し、電気抵抗値Rsの変化を記録した。熱処理による吸着分子の脱着が進み、検知能が活性化されると第二種検知素子5bは電気抵抗値Rsが増加する。図10にその結果を示している。
【0080】
この結果によると、空気中で熱処理する比較例(▲6▼)よりも、NO2ガスを導入して熱処理する実施例(▲7▼)のほうが、明らかに電気抵抗値Rsの増加が著しく、NO2を注入したときの電気抵抗値Rs変化の幅も大きい。すなわち、NO2に対する検知能の活性化が早く進んでいることがわかる
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスセンサユニットの構成例を示す分解斜視図。
【図2】図1のガスセンサユニットの制御装置の、内部構成の一例を示す回路図。
【図3】図1のガスセンサユニットの実装先の一例として、車両用フラップ制御装置を模式的に示す図。
【図4】検査装置の構成例を示すブロック図。
【図5】ヒートパターンの設定例を示す図。
【図6】ヒートパターンの選択信号の例を示すタイミング図。
【図7】ヒータ制御プログラムの処理フロー(メインルーチン)の概略を示す図。
【図8】熱処理あるいは検査検知に使用する雰囲気勢チャンバの使用方法を示す模式図。
【図9】本発明の効果確認のために行なった実験結果を示すグラフ。
【図10】本発明の効果確認のために行った別の実験結果を示すグラフ。
【図11】ヒータ駆動処理フローの概略を示す図。
【図12】選択信号の検出プログラムにおける処理フローの概略を示す図。
【図13】デューティ比設定テーブルの概念図。
【符号の説明】
1 ガスセンサユニット
4 ガスセンサ
5 検知素子
9 制御装置
10 マイクロコンピュータ
51 ヒータ
Claims (10)
- 特定の被検知ガス成分の吸着に基づき電気抵抗率を変化させる酸化物半導体により検知素子が構成されたガスセンサの熱処理方法であって、
前記ガスセンサを、測定対象となる雰囲気のガス検知に実使用する前に、所定濃度以上の前記被検知ガス成分を含有する熱処理用ガス中にて前記検知素子を熱処理することを特徴とするガスセンサの熱処理方法。 - 前記被検知ガス成分はCOであり、前記熱処理用ガスはCO成分を50ppm以上含有するものを使用する請求項1記載のガスセンサの熱処理方法。
- 前記被検知ガス成分はNOxであり、前記熱処理用ガスはNO2成分を1ppm以上含有するものを使用する請求項1記載のガスセンサの熱処理方法。
- 前記ガスセンサの前記実使用は前記検知素子を設定温度に加熱して行われるものであり、前記熱処理は、前記実使用時の前記設定温度よりも高温にて行われる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスセンサの熱処理方法。
- 前記ガスセンサは前記検知素子を加熱するヒータを備え、前記実使用時において、該ヒータを定常的に発熱させるための実使用設定電圧が定められ、前記熱処理は、該実使用設定電圧よりも高電圧にて前記ヒータを通電発熱させることによりなされる請求項4記載のガスセンサの熱処理方法。
- 前記ガスセンサは、前記検知素子及び前記ヒータと電気的に接続されると共に、前記実使用時に前記ヒータを通電発熱させるための実検知用ヒートパターンと、前記熱処理する際に該ヒータを通電発熱させるための熱処理用ヒートパターンとが記憶されたマイクロコンピュータを備え、該マイクロコンピュータは、前記実検知用ヒートパターンまたは前記熱処理用ヒートパターンに対応した信号パターンを有する選択信号を外部から取得することで、その選択信号の信号パターンを識別して該実検知用ヒートパターンまたは該熱処理用ヒートパターンを選択し、前記ヒータを通電発熱させる請求項5記載のガスセンサの熱処理方法。
- 特定の被検知ガス成分の吸着に基づき電気抵抗率を変化させる酸化物半導体により検知素子が構成されたガスセンサの製造方法であって、前記ガスセンサの出荷前に前記検知素子を、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱処理方法により熱処理する熱処理工程を有することを特徴とするガスセンサの製造方法。
- 前記熱処理工程が終了した後、前記検知素子を被検知ガス成分を含有する検査用ガスに暴露してセンサ出力を測定し、その測定結果に基づいてガスセンサの検査を行なう検査工程を有する請求項7記載のガスセンサの製造方法。
- 前記熱処理工程は、前記熱処理用ガスとして、前記検査用ガスよりも被検知ガス成分を高濃度に含有したものを用いて行われる請求項8記載のガスセンサの製造方法。
- 特定の被検知ガス成分の吸着に基づき電気抵抗率を変化させる酸化物半導体により検知素子が構成されたガスセンサの検査方法であって、前記検知素子を、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱処理方法により熱処理する熱処理工程と、
該熱処理工程が終了した後、前記検知素子を被検知ガス成分を含有する検査用ガスに暴露してセンサ出力を測定し、その測定結果に基づいてガスセンサの検査を行なう検査工程とを有し、前記熱処理用ガスとして、前記検査用ガスよりも被検知ガス成分を高濃度に含有したものを用いることを特徴とするガスセンサの検査方法。
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