JP2004003825A - ヒートポンプシステム、ヒートポンプ式給湯機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷媒を超臨界圧力まで圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出する冷媒と被加熱流体とを熱交換する放熱器と、冷媒を臨界圧以下に減圧する膨張弁と、蒸発器を接続して冷媒循環路を形成する冷媒回路と、前記放熱器に流入する被加熱流体を冷却する冷却器とを備え、前記冷却器で被加熱流体の冷却量を調整して放熱器からの冷媒の出口温度を所定温度以下に制御する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、二酸化炭素等の超臨界サイクルを形成する冷媒を用いたヒートポンプシステムおよびヒートポンプ式給湯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の超臨界サイクルを形成する蒸気圧縮式回路は、直列に連結した圧縮器と、放熱器と、膨張弁と、蒸発器と、アキュムレータを備え、圧縮機で超臨界圧力まで圧縮された冷媒による超臨界サイクル装置の能力調整は、放熱器出口の冷媒状態を変動させることで制御される。この超臨界サイクルにおいては、超臨界状態の冷媒は凝縮されず、放熱器にて温度が低下することが特徴的であり、放熱器出口の冷媒温度は、冷媒と空気又は水の流れが対向している場合、空気又は水温より数℃高くなり、この温度は高圧圧力レベルと無関係に一定となる。したがって、放熱器における加熱能力の調整は、放熱器出口の冷媒温度をほぼ一定の状態として、高圧圧力を変動することにより達成される。冷媒の臨界点付近での等温線カーブは、圧力によるエンタルピーの変動をもたらし、圧力を変動させるには、高圧における冷媒の質量を変動させることが必要であり、アキュムレータのような緩衝装置にて処理されなければならない。つまり、アキュムレータに貯留する冷媒量を制御することで加熱能力を制御できる(例えば、特許文献1参照)。また、超臨界サイクルでは最大エネルギ効率を得る高圧圧力が存在することが知られている。蒸気圧縮回路の最大エネルギ効率を維持するために、所定の高圧に調整する必要があるが、膨張装置を制御し、アキュムレータの冷媒量を制御することで高圧を制御できる。
【0003】
【特許文献1】
特公平7−18602号公報(第3−5頁、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような超臨界サイクルを形成する蒸気圧縮回路を熱源として用いた給湯機において、タンク下部の低温水を加熱し、タンク上部へ高温水を戻して沸き上げる積層沸き上げを行なった場合、貯湯タンク内は上部に高温水が、下部に低温水が貯留することになる。そして、高温水と低温水の間に温度勾配を持った混合層が生ずる。沸き上げ終了に近づくにつれて混合層が貯湯タンク下部より供給されるため、熱源機への供給水温が上昇する。よって放熱器で熱交換するために流入する被加熱流体の流入温度が上昇すると、冷媒と被加熱流体の流れが対向している場合、放熱器出口の被加熱流体の温度も上昇するため高圧側の冷媒量が減少する。したがって、供給水温が高温になると余剰冷媒が生じ、アキュムレータによる貯留が必要となる。ところが、アキュムレータは気体と液体を分離する機能を持っているため、その容積が大きくなり、装置が大きくなる問題点があった。
【0005】
また、被加熱流体である給湯用流体が高温になると、加熱能力が低下し、成績係数が低下する問題点もあった。冷凍能力の低下は、高圧圧力を上げて抑えることもできるが、その場合には装置の耐圧を上げる必要があり、装置が大型化する問題点もある。
【0006】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、アキュムレータのような余剰冷媒を調整する容器を不要とし、装置を小型化することを目的とする。また、放熱器に流入する被加熱流体である給湯用流体が高温になったとき、装置の耐圧を変えることなく、加熱能力の低下を抑えて、成績係数の低下を抑えることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るヒートポンプシステムは、冷媒を超臨界圧力まで圧縮する圧縮機、前記圧縮機から吐出した冷媒と被加熱流体とを熱交換する放熱器、冷媒を臨界圧力以下に減圧する膨張弁および蒸発器を順次接続して冷媒が環流する基本冷媒回路と、前記放熱器に流入する前記被加熱流体を冷却する冷却器とを備え、前記冷却器の熱交換量を調整するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるヒートポンプシステムの冷媒回路図を示すものであり、一例としてヒートポンプ式給湯機を取り上げ、冷媒系統および被加熱流体を水とする給湯水系統の回路図である。図において、冷媒系統は、圧縮機5、放熱器4、膨張弁(減圧手段)6および蒸発器7を順次配管で接続し、冷媒として二酸化炭素を用いた冷凍サイクルを形成する。また、給湯水系統は、貯湯タンク1の下部から低温水をポンプ2で搬送し、冷却器3から前記放熱器4を順次通過して高温の冷媒と熱交換して高温水となって貯湯タンク1の上部から戻る循環回路と、前記冷却器3へ第2のポンプ10により冷水槽9で冷却された冷却流体を循環させる回路から構成されている。なお、放熱器4では冷媒の流れと給湯水の流れが対向するように構成された、例えば二重管熱交換器を用いている。また、給湯水系統回路における放熱器4への被加熱流体の流入温度を検出するために放熱器4入口側配管に水温センサ11を設け、一方冷媒系統回路における放熱器4からの冷媒流出温度を検出するために放熱器4の出口側冷媒配管に冷媒温度センサ12を設けている。
【0009】
まず、貯湯タンク側の積層沸上げの動作について説明する。貯湯タンク1には低温水が充満しており、低温水をポンプ2で貯湯タンク1下方部から冷却器3へ導く。後述する動作により、放熱器4で所定温度に加熱された高温水は貯湯タンク1上方部から流入し、上部から徐々に蓄熱される。通常、貯湯タンク1上部の高温水と貯湯タンク1下部の低温水は温度差が大きいため、その密度差も大きく、成層化が保たれる。しかし、時間経過により、その境界層は水の熱伝導により熱が伝わり、混合層と呼ばれる温度勾配を生じる。
【0010】
次に、被加熱流体である供給水温が低い場合の冷凍サイクルの動作について説明する。圧縮機5で圧縮されて吐出した二酸化炭素冷媒は、臨界圧力を超えた超臨界状態の高温高圧となり、放熱器4に流入して被加熱流体、例えば水と熱交換して、冷媒は放熱し等圧冷却され依然として超臨界状態にあり、水は加熱される。放熱器4から流出した冷媒は膨張弁(減圧手段)6を通過して減圧され湿り蒸気の状態となり、その後蒸発器7でファン8によって送られる空気からの吸熱作用によって等圧加熱され蒸発して飽和蒸気となり、圧縮機5へと循環する冷凍サイクルを形成する。
【0011】
次に被加熱流体の供給水温が上昇した場合の冷凍サイクルの動作について説明する。通常時は、一定温度の低温水が放熱器4に供給され、安定した冷凍サイクルの運転状態が続くが、時間が経過し、貯湯タンク1が満蓄に近づくと、温度勾配を持った混合層の水が放熱器4に供給される。つまり、放熱器4には高温水が供給されることになる。
【0012】
ここで、放熱器4へ供給される水温が低温時と高温時の場合の冷媒状態について、図2を用いて説明する。図2は二酸化炭素のモリエル線図であり、縦軸は圧力、横軸はエンタルピーを示している。図2において、例えば、給湯水側の沸上げ温度90℃における、放熱器4から流出する冷媒が25℃の冷凍サイクル状態Xを図中の実線で示し、放熱器流出冷媒温度が50℃の冷凍サイクル状態Yを図中の点線で示す。放熱器4で冷凍サイクルの冷媒と給湯水系統の水が対向した流れで熱交換すると、放熱器4出口の冷媒温度は、放熱器4入口の水温よりやや高い温度となる。ここで、放熱器4から流出する出口冷媒温度と放熱器4へ流入する被加熱流体の流入水温の差が一定値、例えば10degになるように給湯水系統の流量を制御した場合、放熱器4に供給される水温が15℃の場合、放熱器4出口の冷媒温度は25℃となり、冷凍サイクル状態X(図中のA−B−C−D点)となる。一方、放熱器4に供給される水温が40℃の場合、放熱器4出口の冷媒温度は50℃となり、冷凍サイクル状態Y(図中のA−B−C’−D’点)となる。冷凍サイクル状態Yでは冷凍サイクル状態Xと比較して、放熱器4出口の冷媒状態は等圧のエンタルピーが高い方へ移動して冷媒密度が減少するため、放熱器4における冷媒量が減少する。したがって、放熱器4に供給される給湯水系統の水温が上昇することにより、冷凍サイクルにおける放熱器4からの流出冷媒が低密度状態となり、上記の冷凍サイクル状態Yでは冷媒が余ることとなる。なお、図2中のA,B,C,D点は、それぞれ図1の冷媒回路上に示したA,B,C,D点位置の冷媒状態に対応している。
【0013】
またさらに、放熱器4に供給される給湯水系統の水温が40℃、つまり放熱器4出口の冷媒温度が50℃で、かつ冷媒量が変わらない場合には、放熱器4出口の冷媒密度は、等密度線上を移動して冷凍サイクルの状態C点と同じ密度、つまり状態C’’点になる。したがって、冷凍サイクル状態Z(図中のA−B’’−C’’−D’’点を通る破線表示)となり高圧が上昇し、サイクル効率が低下することとなる。
【0014】
図3は、冷媒として二酸化炭素を用いた冷凍サイクルにおける放熱器4出口の冷媒温度が等圧変化したときの放熱器4における冷媒量を、放熱器4出口の冷媒温度が15℃時の冷媒量を基準にその冷媒量比を実線で示し、縦軸に放熱器冷媒量比、横軸に放熱器出口冷媒温度[℃]としている。この図の実線で示す特性値より、放熱器4出口冷媒温度が35℃付近で急激に冷媒量比が小さくなる特異温度点が存在することが分かる。したがって、二酸化炭素を冷媒として成績係数がほぼ所定値となる圧力においては、放熱器4出口の冷媒温度が35℃以下であれば、冷媒量比の低下が少ないため、大幅な余剰冷媒の発生を抑えることができる。
【0015】
以上のことから、冷水槽9から第2のポンプ10で冷却水を冷却器3に流入させて高温水を冷却し、放熱器4冷媒側出口の冷媒温度センサ12により検知される冷媒温度が35℃以下、例えば25℃となるよう制御することで、上記図2に示す冷凍サイクル状態Y(点線)を冷凍サイクル状態X(実線)に戻るように制御して、余剰冷媒の発生を抑えることができる。このため、アキュムレータのような余剰冷媒を調整する容器が不要となり、装置を小型化できる。
【0016】
また、図4は二酸化炭素を冷媒とした冷凍サイクルの高圧圧力における放熱器4出口の冷媒温度に対する加熱能力の特性を表し、実線が冷却器なしの場合、点線が冷却器ありの場合を示してあり、縦軸に加熱能力[kW]、横軸に放熱器出口冷媒温度[℃]をとっている。給湯水系統回路に被加熱流体を冷却する冷却器3がない場合、放熱器4に流入する水温が上昇すると、放熱器4出口の冷媒温度も上昇して加熱能力が低下する。一般的に空調や給湯で利用する場合、二酸化炭素を冷媒とした冷凍サイクルの高圧圧力は概ね10MPa程度であり、この圧力近傍で運転する時の放熱器4出口の冷媒温度が30℃以下では、温度変化に対するエンタルピー変化はほぼ比例関係にあるが、30〜50℃付近で温度変化に対するエンタルピー変化が大きくなる。つまり、加熱能力は、冷媒流量が一定であれば放熱器4のエンタルピー差に比例するため、放熱器4出口の冷媒温度が30℃以下では温度変化に対して比例減少し、水流量も一定となるが、30〜50℃付近では温度変化に対して急激に減少することになる。よって、図4に示すように、放熱器4出口の冷媒温度が30℃以上になると急激な加熱能力の低下を起し、それに伴い水流量が減少することとなる。
【0017】
次に被加熱流体を冷却する冷却器3がある場合の動作について説明する。前述のとおり、冷凍系統回路の放熱器4出口における冷媒温度と給湯水系統回路の放熱器4入口の被加熱流体の水温との差が一定値、例えば10degになるように第2のポンプ10の搬送量を制御した場合、放熱器4出口に設けた冷媒温度センサ12により検出する冷媒温度は、給湯水系統回路の放熱器4入口側配管に設けた水温センサ11により検出する水温より10deg高くなる。例えば、第2のポンプ10の搬出流量を調整して水温センサ11による検出水温が15℃となるように制御すると、放熱器4に流入する水温が15℃になるので、それに伴い放熱器4出口の冷媒温度は25℃になる。給湯水系統回路における放熱器4出口の水温を第1のポンプ2で所定値、例えば90℃に制御した場合、水流量が一定であれば放熱器4に流入する水温に比例して加熱能力が変化する。
【0018】
ここで、放熱器4に流入する水温が15℃から20℃に上がると、放熱器4出口の冷媒温度は25℃から30℃になる。そこで、第2のポンプ10による冷却水の搬送流量を多くなるように制御して水温センサ11で検知する水温が15℃となるように制御すると、冷却器3では水温を20℃から15℃に冷却し、それに対応して冷媒系統回路における放熱器4出口の冷媒温度は30℃から25℃になる。このとき、上記放熱器4では被加熱流体の水温を15℃から90℃に加熱するが、被加熱流体の水流量が一定であるため、冷却器3で20℃から15℃まで降温する冷却能力と、放熱器4で15℃から20℃まで昇温する加熱能力は等しく、したがって、冷却器3なしで20℃から90℃に昇温する加熱能力と等しくなる。つまり、加熱能力が放熱器4出口の冷媒温度に比例して変化する範囲(放熱器4出口の冷媒温度が30℃以下)では水流量が一定であり、実質の加熱能力は冷却器3の有無でほとんど変わらない。
【0019】
ところが、放熱器4に流入する水温が15℃から40℃に上がると、それに伴い放熱器4出口冷媒温度は25℃から50℃になる。そこで、第2のポンプ10の流量を制御して水温センサ11による検知水温が15℃となるように制御すると、冷却器3では水温を40℃から15℃に冷却し、放熱器4出口の冷媒温度は50℃から25℃になる。前述のとおり、放熱器4出口の冷媒温度が30℃以上では冷媒温度変化に対して加熱能力が激減し、水流量が減少する。したがって、水温が15℃から40℃に上がると水流量が減少するので、40℃から90℃まで昇温する加熱能力より、水温センサ11による検知水温が15℃となるように制御して水流量を減少させずに放熱器4で40℃から90℃まで昇温する加熱能力の方が大きくなる。つまり、冷却器3なしで放熱器4出口の冷媒温度が30℃以上となる場合には、冷却器3の作用によって加熱能力の低下が抑えられ、サイクルの成績係数が改善される。
【0020】
以上の説明では、放熱器4入口の水温センサ11による検知水温が所定値以下(ここでは15℃)となるように制御した場合の説明を行なったが、放熱器4出口の冷媒温度センサ12による検知冷媒温度が所定値以下(例えば上記の例では25℃)となるように制御しても同様の制御が可能であるのは明らかである。
【0021】
ここでは冷却器3で高温水を冷却するための冷熱源として冷水槽9を用いたが、当然これに限定したものではなく、氷蓄熱槽や水道水など、給湯水系統回路の被加熱流体の水より低温の熱源であればよい。また、例としてヒートポンプ給湯機を取り上げたがこれに限定されるものではなく、空気調和機でも良く同様の効果が得られる。さらには被加熱流体を水として説明したが、当然これに限定されるものではなく、ブラインやオイルを用いても同様の効果が得られる。
【0022】
また、この発明の別の例の冷凍サイクルを図5で説明する。図5は別のヒートポンプシステムの冷媒回路図であり、貯湯タンク1、ポンプ2、冷却器3、放熱器4を順次接続して被加熱流体(例えば、水)が循環する貯湯タンク側の積層沸上げの動作については前述と同様なので省略する。冷凍サイクルは、二酸化炭素を冷媒として、圧縮機5、放熱器4、膨張弁(減圧手段)6、蒸発器7を順次配管で接続した基本冷媒回路の冷凍サイクルに放熱器4と膨張弁6の間から分岐して圧縮機5の吸入側へ合流するバイパス回路に第2の膨張弁(減圧手段)13および冷媒と貯湯タンク側の水である被加熱流体の間で熱交換させる冷却器3を備えた冷凍サイクルから構成されている。また、貯湯タンク側の水回路における放熱器4への流入温度を検出するために放熱器4と冷却器3を接続する配管の放熱器7入口側に水温センサ11が設けられるとともに、冷凍サイクル側の放熱器4からの流出温度を検出するために放熱器4に接続した出口側冷媒配管に冷媒温度センサ12を備えている。
【0023】
次に、この冷凍サイクルの動作について説明する。圧縮機5から吐出した高温高圧の冷媒は、放熱器4で被加熱流体、例えば水と熱交換して、冷媒は放熱し、水は加熱される。さらに膨張弁(減圧手段)6で減圧された冷媒は蒸発器7へ、そして第2の膨張弁(減圧手段)13で減圧された冷媒は冷却器3へと適当な流量比で分配される。冷却器3に流入した冷媒は、冷却器3で水と熱交換して蒸発し、圧縮機5へと循環する。また、蒸発器7に流入した冷媒も、蒸発器7でファン8によって送られる空気によって蒸発し、圧縮機5へと循環して冷凍サイクルを形成する。このような構成においても第2の膨張弁13でバイパス回路を流通する冷媒の流量および温度を変化させて、水温センサ11により検知する被加熱流体の放熱器4への流入温度あるいは冷媒温度センサ12により検知する放熱器4から流出する出口冷媒温度が所定値以下となるように制御でき、図1の冷凍サイクルを用いた上述と同様の動作を行わせることができる。また、この図5に示す冷凍サイクルでは分流してバイパス回路へも冷媒を流すので蒸発器7に循環する冷媒量が減少し、外気から奪う熱量が少なくなるため、それに応じて外気を蒸発器7へ送風するファン8の回転数を低くして入力を低減することができ、成績係数が向上する効果もある。
【0024】
また、この発明のさらに別の冷凍サイクルを図6で説明する。図6はさらに別のヒートポンプシステムの冷媒回路図であり、貯湯タンク1、ポンプ2、冷却器3、放熱器4を順次接続して被加熱流体(例えば、水)が循環する貯湯タンク側の積層沸上げの動作については前述と同様なので省略する。冷凍サイクルは、二酸化炭素を冷媒として、圧縮機5、放熱器4、膨張弁(減圧手段)6、蒸発器7および流量調整手段14を順次配管接続した基本冷媒回路の冷凍サイクルに、前記流量調整手段14から冷媒を分流して被加熱流体と熱交換させる冷却器3を介して圧縮機5の吸入側へ合流するバイパス回路を備えた冷凍サイクルから構成されている。また、図5と同様に、貯湯タンク側の水(被加熱流体)回路の放熱器4入口側配管に水温センサ11を、そして放熱器4出口側冷媒配管に冷媒温度センサ12をそれぞれ備えている。
【0025】
次に、この冷凍サイクルの動作について説明する。圧縮機5から吐出した高温高圧冷媒は、放熱器4で被加熱流体、例えば水と熱交換して、冷媒は放熱し、水は加熱される。さらに膨張弁(減圧手段)6で減圧された冷媒は、蒸発器7でファン8によって送られる空気によって蒸発して蒸発器7から流出した後、流量調整手14へ流入する。この流量調整手段14において、冷却器3へ流入するバイパス回路と圧縮機5へ流入する流路に適当な流量比で分配される。流量調整手段14は、例えば流量調整可能な三方弁、あるいは分配されたいずれかの配管上に設けられた二方弁などである。そして流量調整手段14にて分流され冷却器3に流入した冷媒は、冷却器3で被加熱流体と熱交換して蒸発し、圧縮機5の吸入側へ合流して循環する冷凍サイクルを形成する。
【0026】
このような構成においても流量調整手段14での基本冷媒回路と冷却器3へ流れるバイパス回路との流量比を調整することで、水温センサ11により検知する被加熱流体の放熱器4への流入温度あるいは冷媒温度センサ12により検知する放熱器出口冷媒温度が所定値以下となるように制御でき、図1で説明した同様の動作を行わせることができる。また、冷却器3は蒸発器7の下流側に設置されているので、圧縮機5に流入する冷媒を過熱ガスにでき、液圧縮を避けられることから圧縮機の入力が下がり性能が向上する効果がある。さらには、蒸発器7に流入する冷媒の乾き度が小さくでき、液相の比率が増えて蒸発器7で複数の経路へ均一に分配できるため性能向上の効果もある。さらには、冷媒の二酸化炭素はドライアウトが早く、蒸発器7の伝熱性能がよくなるため性能が向上する効果もある。
【0027】
また、前記流量調整手段14の代わりに、図7に示すように、蒸発器7を流出した冷媒を分岐して冷却器3へ流れるバイパス回路の配管上に設けられた流量調整弁18を用いても良く、貯湯タンク側の動作及び冷凍サイクルの動作及び効果については前記と同様の効果が得られる。
【0028】
また、この発明のさらに別の冷凍サイクルを図8で説明する。図8はさらに別のヒートポンプシステムの冷媒回路図であり、貯湯タンク1、ポンプ2、冷却器3、放熱器4を順次接続して被加熱流体(例えば、水)が循環する貯湯タンク側の積層沸上げの動作については前記と同様なので省略する。冷凍サイクルは、圧縮機1、放熱器4、膨張弁(減圧手段)6、蒸発器7を順次配管接続した基本冷媒回路の冷凍サイクルに、膨張弁6と蒸発器7の間から冷媒を分岐して被加熱流体と熱交換させる冷却器3を介して蒸発器7の流入側配管に合流するバイパス回路を備えた冷凍サイクルに二酸化炭素を冷媒として循環させるように構成されている。また、図5と同様に、貯湯タンク側の水(被加熱流体)回路の放熱器4入口側配管に水温センサ11を、そして放熱器4出口側冷媒配管に冷媒温度センサ12をそれぞれ備えている。
【0029】
次に、上記冷凍サイクルの動作について説明する。圧縮機5から吐出した高温高圧の二酸化炭素の冷媒は、放熱器4で被加熱流体、例えば水と熱交換し、冷媒は放熱され、水は加熱される。さらに膨張弁(減圧手段)6で減圧された低温の冷媒は、その後流量調整手段14にて冷却器3へ流入するバイパス回路と直接蒸発器7へ流入する流路に適当な流量比で分配される。この流量調整手段14は、例えば流量調整可能な三方弁、あるいは分配されたいずれかの配管上に設けられた二方弁などである。上記流量調整手段14により分流されて冷却器3に流入した低温の冷媒は、この冷却器3で被加熱流体と熱交換して蒸発し、冷却器3を流出した後蒸発器7の入口側に合流して蒸発器7へと循環する冷凍サイクルを形成する。
【0030】
このような構成においても、流量調整手段14での基本冷媒回路とバイパス回路への冷媒の流量比を調整することで、水温センサ11により検知される被加熱流体の放熱器4への流入温度あるいは冷媒温度センサ12により検知される放熱器出口冷媒温度が所定値以下となるように制御でき、図1の冷凍サイクルを用いた上述と同様の動作を行わせることができる。
【0031】
また、前記流量調整手段14の代わりに、図9に示すように、膨張弁6で減圧された冷媒が分岐されて冷却器3へ流入するバイパス回路の配管上に設けられた流量調整弁18を用いても良く、貯湯タンク側の動作及び冷凍サイクルの動作及び効果については前記と同様の効果が得られる。
【0032】
実施の形態2.
この発明の別の実施の形態を図10から図12を用いて説明する。ここでは一例としてダクト空調を取り上げる。
図10は、ヒートポンプシステムを示す冷媒回路図および冷却水回路図であり、圧縮機5、放熱器4、膨張弁(減圧手段)6および蒸発器7を順次配管で接続して二酸化炭素を冷媒として循環させる基本冷媒回路と、蓄冷されて冷水が貯留した冷水槽9、第2のポンプ10、冷却器3を順次接続した冷却水回路と、下流側に冷却器3およびその送風用ファン8と上流側に前記放熱器4を内部に配置した送風用ダクト19から構成されている。また、放熱器4からの流出する冷媒の温度を検知するために放熱器出口側の冷媒配管に冷媒温度センサ12を備えるとともに、前記送風用ダクト内の放熱器4に流入する空気の温度を検出するために、放熱器4の空気上流側に空気温度センサ15を備えている。
【0033】
次に、上記冷媒回路における冷凍サイクルの動作について説明する。圧縮機5から吐出した高温高圧の冷媒は、放熱器4で被加熱流体、例えば空気と熱交換して、冷媒は放熱し、空気は加熱される。さらに膨張弁6で減圧された冷媒は、蒸発器7に流入しファン8によって送られる外気等の空気によって蒸発して、その後圧縮機5へ流入循環する冷凍サイクルを形成する。また、冷水槽9から第2のポンプ10で冷却水を冷却器3に流入させて送風用ダクト19への戻り空気を冷却する。そして、この冷却された空気が同じ送風用ダクト内の上流側に設けられた放熱器4を通過して高温の冷媒と熱交換し、冷媒を冷却させる。
【0034】
このような構成においても、冷却水回路の第2のポンプ10による冷水の吐出流量を調整して、空気温度センサ15により検知される放熱器4への流入空気温度あるいは冷媒温度センサ12により検知される放熱器出口冷媒温度が所定値以下となるように制御でき、図1の冷凍サイクルを用いた上述と同様の動作を行なわせることができる。
【0035】
また、この発明の別の例を図11で説明する。図11は別のヒートポンプシステムの冷媒回路図であり、二酸化炭素を冷媒として、圧縮機5、放熱器4、膨張弁(減圧手段)6、蒸発器7を順次配管で接続した基本冷媒回路に、放熱器4と膨張弁6の間から分岐して第2の膨張弁(減圧手段)13と冷却器3を順に配設したバイパス回路が圧縮機5の吸入側に合流接続する冷凍サイクルから構成されている。そして、下流側に前記冷却器3およびその送風用ファン8と上流側に前記放熱器4を内部に配置する形態の送風用ダクト19を備えている。また、放熱器4からの流出する冷媒の温度を検知するために放熱器出口側の冷媒配管に冷媒温度センサ12を備えるとともに、前記送風用ダクト内の放熱器4に流入する空気の温度を検出するために、放熱器4の空気上流側に空気温度センサ15を備えている。
【0036】
次に、冷凍サイクルの動作について説明する。圧縮機5から吐出した高温高圧の冷媒は、放熱器4で被加熱流体、例えば空気と熱交換して、冷媒は放熱し、空気は加熱される。さらに膨張弁(減圧手段)6で減圧された冷媒は蒸発器7へ、そして第2の膨張弁13で減圧された冷媒は冷却器3へと適当な流量比で分配される。第2の膨張弁(減圧手段)13を介して冷却器3に流入した冷媒は、冷却器3でファン16によって送られる空気によって蒸発し、蒸発した冷媒は再び圧縮機5へ戻り循環する。また、蒸発器7に流入した冷媒も、蒸発器7の近傍に設けられたファン8によって送られる空気によって蒸発し、圧縮機5へと循環する冷凍サイクルを形成する。冷却器3では第2の膨張弁13で減圧された低温の冷媒によりダクト戻り空気を冷却するが、この第2の膨張弁13における冷媒絞り量の変更で冷媒温度センサ12により検知される放熱器4出口冷媒温度あるいは空気温度センサ15により検知される放熱器流入空気温度が所定値以下となるように制御でき、同様の動作を行なわせることができる。また、ここでは放熱器4の出口側配管を分岐して蒸発器7と冷却器3へ分配しているが、前述の図6あるいは図8に示すように蒸発器7の上流側で膨張弁6との間もしくは蒸発器7の下流側に、流量調整手段14を配置して冷却器3へ冷媒を分岐流入させることもでき、同様の動作を行なわせることができる。
【0037】
また、この発明の別の例を図12で説明する。図12は別のヒートポンプシステムの冷媒回路図であり、二酸化炭素を冷媒として、圧縮機5、放熱器4、膨張弁(減圧手段)6、蒸発器7を順次配管で接続した冷凍サイクルに、下流側に前記冷却器3およびその送風用ファン8と上流側に前記放熱器4を内部に直列配置するとともに、前記冷却器7と放熱器4の間の風路に風量調整手段17を有した分岐風路、例えば室内空間との空気流通可能とされた風路ダクトが接続された形態の送風用ダクト19を備えている。また、放熱器4からの流出する冷媒の温度を検知するために放熱器出口側の冷媒配管に冷媒温度センサ12を備えるとともに、前記送風用ダクト内の放熱器4に流入する空気の温度を検出するために、放熱器4の空気上流側に空気温度センサ15を備えている。
【0038】
次に、冷凍サイクルの動作について説明する。圧縮機5から吐出した高温高圧の冷媒は、放熱器4で被加熱流体、例えば空気と熱交換して、冷媒は放熱し、空気は加熱される。さらに膨張弁6で減圧された冷媒は蒸発器7でファン8によって送られる空気によって蒸発し、圧縮機5へと循環する冷凍サイクルを形成する。ここでは、蒸発器7が上述図11での冷却器3の役割をも成し、また送風用ダクト19内に配設された風量調整手段17は蒸発器7を通過した空気を放熱器4と室内へバイパスする経路に分配、もしくは蒸発器7を通過した空気と室内から取り込んだ空気を放熱器4へと導くように作動する。この風量調整手段17は例えば、電動可変ダンパなどである。このような構成においても、風量調整手段17の風路流通開度を調整して、空気温度センサ15により検知される放熱器4流入空気温度あるいは冷媒温度センサ12により検知される放熱器出口冷媒温度が所定値以下となるように制御でき、同様の動作を行なわせることができる。
【0039】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、冷媒を超臨界圧力まで圧縮する圧縮機、前記圧縮機から吐出した冷媒と被加熱流体とを熱交換する放熱器、冷媒を臨界圧力以下に減圧する膨張弁および蒸発器を順次接続して冷媒が循環する基本冷媒回路と、前記放熱器に流入する前記被加熱流体を冷却する冷却器とを備え、前記冷却器の熱交換量を調整するので、冷却器の冷却量を制御することで放熱器出口冷媒温度を調整でき、冷却器の冷媒量をほぼ一定にすることができるため、アキュムレータのような余剰冷媒を調整する容器が不要となり、装置を小型化できる。また、加熱能力の低下を抑えることができ、成績係数をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるヒートポンプシステムを示す冷媒回路図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係りヒートポンプシステムの運転状態を示すモリエル線図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係り放熱器出口冷媒温度に対する放熱器の冷媒量変化を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係り放熱器出口冷媒温度に対する加熱能力変化を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るヒートポンプシステムを示す別の冷媒回路図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るヒートポンプシステムを示すさらに別の冷媒回路図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るヒートポンプシステムを示す別の冷媒回路図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係るヒートポンプシステムを示す別の冷媒回路図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るヒートポンプシステムを示す別の冷媒回路図である。
【図10】この発明の実施の形態2によるヒートポンプシステムを示す別の冷媒回路図である。
【図11】この発明の実施の形態2に係るヒートポンプシステムを示す別の冷媒回路図である。
【図12】この発明の実施の形態2に係るヒートポンプシステムを示すさらに別の冷媒回路図である。
【符号の説明】
1 貯湯タンク、 2 ポンプ、 3 冷却器、 4 放熱器、 5 圧縮機、 6 膨張弁、 7 蒸発器、 8 ファン、 9 冷水槽、 10 第2のポンプ、 11 水温センサ、 12 冷媒温度センサ、 13 第2の膨張弁、 14 流量調整手段、 15 空気温度センサ、 16 ファン、 17
風量調整手段、 18 流量調整弁、 19 送風用ダクト。
Claims (10)
- 冷媒を超臨界圧力まで圧縮する圧縮機、前記圧縮機から吐出した冷媒と被加熱流体とを熱交換する放熱器、冷媒を臨界圧力以下に減圧する膨張弁および蒸発器を順次接続して冷媒が循環する基本冷媒回路と、前記放熱器に流入する前記被加熱流体を冷却する冷却器とを備え、前記冷却器の熱交換量を調整することを特徴とするヒートポンプシステム。
- 前記基本冷媒回路の前記放熱器と前記膨張弁の間から分岐して前記圧縮機の吸入側へ合流するバイパス回路に第2膨張弁と前記被加熱流体を冷却する前記冷却器を備えたことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプシステム。
- 前記冷却器の熱交換量は、前記第2膨張弁の絞り量により制御することを特徴とする請求項2記載のヒートポンプシステム。
- 前記基本冷媒回路の前記蒸発器と前記圧縮機の間に設けた流量調整手段から分岐した冷媒配管が前記被加熱流体を冷却する前記冷却器を介して前記圧縮機の吸入側へ合流するバイパス回路を備えたことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプシステム。
- 前記基本冷媒回路の前記膨張弁と前記蒸発器の間に設けた流量調整手段から分岐した冷媒配管が前記被加熱流体を冷却する前記冷却器を介して前記圧縮機の吸入側へ合流するバイパス回路を備えたことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプシステム。
- 前記冷却器の熱交換量は、前記流量調整手段により制御することを特徴とする請求項4または請求項5記載のヒートポンプシステム。
- 前記放熱器の出口側冷媒配管に冷媒温度センサを設け、前記冷媒温度センサにより検出する冷媒温度を、冷媒の温度上昇にともない密度変化が急に減少する特異温度以下となるように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のヒートポンプシステム。
- 前記放熱器に流入する前記被加熱流体の温度を検出する被加熱流体温度センサを設け、前記放熱器から流出する冷媒温度が超臨界状態の冷媒の温度上昇に対して密度変化が急に減少する特異温度以下となるように前記被加熱流体温度センサにより検出する被加熱流体温度を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のヒートポンプシステム。
- 冷媒として二酸化炭素を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のヒートポンプシステム。
- 二酸化炭素の冷媒を超臨界圧力まで圧縮する圧縮機、前記圧縮機から吐出した冷媒と被加熱流体とを熱交換する放熱器、前記冷媒を臨界圧力以下に減圧する膨張弁および蒸発器を順次接続して冷媒が循環する基本冷媒回路と、前記被加熱流体を貯留する貯湯タンクの下方部、前記被加熱流体を搬送するポンプ、前記被加熱流体を冷却する冷却器、前記放熱器および前記貯湯タンクの上方部を順次接続して温水が循環する給湯水回路とを備え、前記冷却器の熱交換量を調整することを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
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