JP2004003698A - 加熱調理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱調理装置に、ユーザの希望に沿う自動調理を実行させる。
【解決手段】トーストコース処理では、加熱開始時に、加熱室内に設置され食品を載置するレンジ焼き皿の温度が検知され、当該検知温度に基づいてレンジ焼き皿の予熱時間Y:TMが決定される(S302)。また、加熱開始時に、加熱室内の温度に基づいて、マグネトロンを用いた加熱の時間(加熱時間M:TM)が決定される(S303)。そして、レンジ焼き皿の予熱およびマグネトロンを用いた加熱が終了すると、その時点での加熱室10内の温度に基づいて、ヒータによる加熱時間H:TMが決定される(S318)。
【選択図】 図6
【解決手段】トーストコース処理では、加熱開始時に、加熱室内に設置され食品を載置するレンジ焼き皿の温度が検知され、当該検知温度に基づいてレンジ焼き皿の予熱時間Y:TMが決定される(S302)。また、加熱開始時に、加熱室内の温度に基づいて、マグネトロンを用いた加熱の時間(加熱時間M:TM)が決定される(S303)。そして、レンジ焼き皿の予熱およびマグネトロンを用いた加熱が終了すると、その時点での加熱室10内の温度に基づいて、ヒータによる加熱時間H:TMが決定される(S318)。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱調理装置に関し、特に、自動調理が行なえる加熱調理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の加熱調理装置では、マグネトロン等の加熱部に、予め定められた態様で自動的に調理に適した加熱動作(自動調理)を実行させることのできるものがあった。また、従来の加熱調理装置では、赤外線センサやサーミスタ等の温度検出装置を備え、加熱室内の食品の温度または加熱室自体の温度を測定することにより、自動調理時の加熱時間等を調整しようとしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の自動調理では、特開平6−229557号公報等に開示されるように、加熱開始時などの加熱動作中の赤外線センサで加熱室内の温度分布等を検出し、その検出結果から推測される食品の温度等の状態に応じた加熱動作が行なわれていた。なお、このような場合に検出結果から推測される食品の状態は、必ずしも実際の加熱室内の食品の状態と一致するものではなかった。そして、このような場合に推測される食品の状態が実際の食品の状態から大きくかけ離れた場合、自動調理において食品の加熱に過不足が生じる場合があった。
【0004】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、ユーザの希望に沿う自動調理を実行できる加熱調理装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のある局面に従った加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内に高周波を供給するマグネトロンと、前記加熱室内に供給するための熱を発するヒータと、前記被加熱物を載置して前記加熱室内に収納されるとともに、高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を配置した加熱皿と、前記加熱皿の温度を検知する皿温度検知部と、前記加熱室の温度を検知する加熱室温度検知部と、前記マグネトロンに、前記加熱皿の予熱動作として予熱時間だけ高周波を供給させた後、第1の加熱動作として第1の加熱時間だけ高周波を供給させ、その後、前記ヒータに第2の加熱動作として第2の加熱時間だけ熱を発生させる、制御部と、前記予熱動作開始時に、前記皿温度検知部が検知した温度に基づいて前記予熱時間を算出する予熱時間算出部と、前記予熱動作開始時に、加熱開始時に前記加熱室温度検知部が検知した温度に基づいて、前記第1の加熱時間を算出する第1の加熱時間算出部と、前記第1の加熱動作の終了時に前記加熱室温度検知部が検知した温度に基づいて、前記第2の加熱時間を算出する第2の加熱時間算出部とを含むことを特徴とする。
【0006】
本発明のある局面に従うと、ユーザは、加熱調理装置を用いて、自動的に、被加熱物を、加熱皿によって加熱された後、ヒータにより加熱させることができる。なお、加熱皿の予熱時間は、予熱動作が開始される際の加熱皿の温度に基づいて、算出される。また、加熱皿による加熱時間(第1の加熱時間)は、予熱動作が開始される際の加熱室の温度、つまり、加熱皿による加熱が行なわれる際の加熱室内の温度の特徴(直前に加熱室が高温にされていた、等)を表すことのできる時点での温度に基づいて、算出される。さらに、ヒータによる加熱時間は、加熱皿による加熱が終わった後の、つまり、ヒータによる加熱が実行される直前の、加熱室内の温度に基づいて算出される。
【0007】
これにより、加熱調理装置では、自動調理において、加熱皿および加熱室の温度に応じた時間だけ加熱調理が実行できる。つまり、加熱調理装置が、被加熱物の置かれた状態に沿った自動調理を実行できるため、よりユーザの希望に沿う自動調理を実行できるようになる。
【0008】
また、本発明に従った加熱調理装置は、ユーザに情報を入力させるための情報入力部をさらに含み、前記第1の制御部は、前記第1の制御部が前記マグネトロンに前記予熱時間だけ高周波を発振させた後、前記情報入力部に加熱開始のための情報が入力されるのを待って、前記マグネトロンに前記第1の加熱動作を実行させることが好ましい。
【0009】
これにより、加熱調理装置は、予熱動作から加熱動作にその動作を移行する際に、確実に、ユーザが加熱室に被加熱物をセットしてから、加熱動作を開始できる。
【0010】
本発明の他の局面に従った加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、前記加熱部の加熱動作を制御する、加熱制御部とを含み、前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が予め定められた第1の温度よりも小さいときに、前記加熱部の加熱動作を停止させる特別制御を実行することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の局面に従うと、被加熱物の量が少なく温度検知部が当該被加熱物の温度を検知しにくい場合等、加熱を行なっても被加熱物の温度上昇が検知されにくい場合には、加熱動作が停止され、被加熱物が過剰に加熱される事態を回避できる。
【0012】
これにより、加熱調理装置では、自動調理における被加熱物の過剰な加熱が回避されるため、ユーザの希望に沿った自動調理が実行可能となる。
【0013】
本発明のさらに他の局面に従った加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、前記加熱部の加熱動作を制御する、加熱制御部とを含み、前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が予め定められた第1の温度よりも小さいときに、前記加熱部の加熱動作における出力を低下させる特別制御を実行することを特徴とする。
【0014】
本発明のさらに他の局面に従うと、被加熱物の量が少なく温度検知部が当該被加熱物の温度を検知しにくい場合等、加熱を行なっても被加熱物の温度上昇が検知されにくい場合には、加熱動作における出力が低下するため、被加熱物が過剰に加熱される事態を回避できる。
【0015】
これにより、加熱調理装置では、自動調理における被加熱物の過剰な加熱が回避されるため、ユーザの希望に沿った自動調理が実行可能となる。
【0016】
本発明の別の局面に従った加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、前記加熱部に前記温度検知部の検知温度が所定の温度に到達するまで加熱動作を実行させるよう制御する、加熱制御部とを含み、前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が予め定められた第1の温度よりも小さいときに、前記所定の温度を低下させる特別制御を実行することを特徴とする。
【0017】
本発明の別の局面に従うと、被加熱物の量が少なく温度検知部が当該被加熱物の温度を検知しにくい場合等、加熱を行なっても被加熱物の温度上昇が検知されにくい場合には、加熱の到達の目標とされる温度が低下するよう変更されるため、被加熱物が過剰に加熱される事態を回避できる。
【0018】
これにより、加熱調理装置では、自動調理における被加熱物の過剰な加熱が回避されるため、ユーザの希望に沿った自動調理が実行可能となる。
【0019】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱制御部は、前記加熱物に加熱動作を開始させてから予め定められた一定の時間が経過したときに、前記特別制御のために前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が前記第1の温度よりも小さいか否かを判断することが好ましい。
【0020】
これにより、加熱調理装置では、加熱開始後一定の時間後の加熱室内の温度が特別制御における判断の基準となるため、特別制御が実施される際の基準が一定となる。
【0021】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、第1の時間が経過してから第2の時間が経過するまでの、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差の最小値が前記第1の温度よりも小さいときに、前記特別制御を実行することが好ましい。
【0022】
これにより、加熱調理装置では、加熱開始後、第1の時間が経過してから第2の時間が経過するまでの加熱室内の温度の最小値が特別制御における判断の基準となるため、特別制御が実施される際の基準が一定となる。
【0023】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記第1の温度は、前記加熱部の加熱動作の開始時における前記温度検知部の検知温度に応じて変更されることが好ましい。
【0024】
これにより、加熱調理装置における制御を、当該加熱調理装置の置かれた状況に応じたものとすることができる。
【0025】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱制御部は、複数の調理メニューの各々に応じて前記加熱部に異なった態様で加熱動作を実行させ、前記第1の温度は、前記調理メニューによって変更されることが好ましい。
【0026】
これにより、加熱調理装置における制御を、当該加熱調理装置において調理されようとする被加熱物の種類に応じたものとすることができる。
【0027】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱制御部は、前記加熱部に、複数の調理メニューの各々に応じて異なった態様で加熱動作を実行させ、かつ、特定の調理メニューに応じた加熱動作を実行させている場合には前記特別制御を実行しないことが好ましい。
【0028】
これにより、加熱調理装置における制御を、当該加熱調理装置において調理されようとする被加熱物の種類に応じたものとすることができる。つまり、加熱調理装置において、たとえば、根菜等、もともと加熱されにくいものが被加熱物とされた場合には特別制御が実施されず、その一方で、加熱されやすい被加熱物の量が少ない場合には特別制御が実行される、ということが可能となる。
【0029】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱制御部は、前記加熱部の加熱動作の開始時において前記温度検知部が検知した前記複数の場所の温度の最高値が特定の温度以上である場合にのみ、前記特別制御を実行することが好ましい。
【0030】
これにより、被加熱物が少量であるにも拘わらず、加熱されやすい被加熱物が比較的多く加熱室内に収容されていると誤って考えられ易い場合のみが、特別制御を行なう対象となる。つまり、加熱調理装置において、効率良く、特別制御を行なうための判断がなされる。
【0031】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱室内で、前記加熱部による加熱開始後の予め定められた所定時間内において、所定値以上温度が変化した場所の数から、前記加熱部に収容されている被加熱物の量を決定する第1の量決定部をさらに含み、前記加熱制御部は、前記第1の量決定部によって決定された量が所定の量以上であったときにのみ、前記特別制御を実行することが好ましい。
【0032】
これにより、加熱されやすい被加熱物が比較的多く加熱室内に収容されていると考えられた場合のみが、特別制御を行なう対象となる。つまり、加熱調理装置において、効率良く、特別制御を行なうための判断がなされる。
【0033】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱部に加熱動作を実行させる時間を前記加熱調理装置の外部から入力するための加熱時間入力部と、前記加熱時間入力部に入力された時間だけ前記加熱制御部に前記加熱部に加熱動作を実行させる設定である手動制御設定を前記加熱調理装置の外部から行なうための、加熱動作設定部とをさらに含み、前記加熱制御部は、前記加熱動作設定部において前記手動制御設定が行なわれたときには、前記特別制御を実行しないことが好ましい。
【0034】
これにより、加熱調理装置において、特別制御が適切な場合にのみ実行される。手動制御設定が行なわれたとき、つまり、ユーザが自らの入力した加熱時間だけ加熱動作を実行させたいと考えている場合には、特別制御は必要がないと考えられるためである。
【0035】
本発明のさらに別の局面に従った加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、前記加熱室内での、前記加熱部による加熱開始後の所定時間内における前記複数の場所におけるそれぞれの温度変化量の中で、最も大きい温度変化量に応じて、前記加熱部による加熱を終了させるための条件となる前記温度検知部の検知温度である設定温度を決定する、設定温度決定部と、前記加熱部による加熱動作が開始されてから、前記加熱室内の複数の場所の中のいずれかの温度が前記設定温度に到達するまでに要する時間が、予め定められた特定時間を越えた場合には、前記設定温度を上昇させるよう補正する、設定温度補正部とを含むことを特徴とする。
【0036】
本発明のさらに別の局面に従うと、加熱室内の複数の場所の中のいずれかの温度が設定温度に到達するまでに特定時間より長い時間を要した場合、つまり、たとえば加熱室内の被加熱物の量が予想以上に多い場合等、被加熱物の温度上昇が比較的遅いと考えられる場合に、設定温度を上昇させることにより、そのような場合でも被加熱物を充分に加熱できる。なお、加熱室内の被加熱物の量が多くなると、被加熱物が加熱された際、加熱室内の温度の上昇量も多くなる。このことから、被加熱物の量が多い場合、少ない場合と同じ仕上がりにしようとする場合には、少ない場合よりも設定温度を上昇させられる必要がある。
【0037】
これにより、加熱調理装置が、ユーザの希望に沿う自動調理を実行できるようになる。
【0038】
また、本発明に従った加熱調理装置は、前記加熱調理装置の外部から、前記加熱部により被加熱物の加熱に対する仕上がりの強弱についての情報を入力するための情報入力部をさらに含み、前記設定温度補正部は、前記情報入力部に入力された仕上がりの強弱に応じて、前記特定時間の長さを補正することが好ましい。
【0039】
これにより、加熱調理装置における自動調理が、より、ユーザの希望に沿ったものになる。
【0040】
また、本発明に従った加熱調理装置は、前記温度検知部の周囲の温度を検知する周囲温度検知部をさらに含み、前記設定温度補正部は、前記加熱部の加熱開始時の前記周囲温度検知部の検知温度に基づいて、前記設定温度を補正することが好ましい。
【0041】
また、本発明に従った加熱調理装置は、前記温度検知部は、前記加熱室内で被加熱物の載置されにくい場所の温度を棚温度として検知でき、前記設定温度補正部は、前記周囲温度検知部の検知温度、および、前記棚温度に基づいて、前記設定温度を補正することが好ましい。
【0042】
これにより、自動調理において温度検知部の検知する温度に対する温度検知部の周囲の温度の影響や加熱室内での被加熱物の周囲の温度の影響を考慮することができるため、より、被加熱物に対して、当該被加熱物の状況に応じた自動調理を実行できる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態である電子レンジを、図面を参照しつつ説明する。図1は、電子レンジの斜視図である。また、図2は、図1のII−II線に沿う模式的な矢視断面図である。便宜上、図2では一部の部材を省略している。
【0044】
電子レンジ1は、主に、本体と本体前面のドア3とからなる。本体は、その外郭を外装部4に覆われ、箱型形状を有する脚部8に支持される。また、本体の前面には、ユーザが、電子レンジ1に各種の情報を入力するための操作パネル6が備えられている。操作パネル6には、調理時間等の種々の情報を表示する表示部60、調理時間や調理メニュー等の数値を入力するための調節つまみ6A、ならびに、調理の開始を指示するためのスタートキー6B、自動調理の際の加熱を強めに行なうことを指示するための強めキー6C、および、弱めに行なうことを指示するための弱めキー6D等、各種キーが備えられている。ドア3は、その下端部を軸として回動することにより、開閉される。ドア3の上端部には、把手3Aが設けられている。
【0045】
本体内のドア3の奥には、本体枠5が設置され、当該本体枠5の内部には、被加熱物である食品を収容する加熱室10が形成されている。加熱室10の右側面上方には、孔10Aが形成されている。また、孔10Aには、検知経路部材40が取付けられている。
【0046】
検知経路部材40の一端には、赤外線センサユニット7が取付けられている。赤外線センサユニット7に内包される赤外線センサ(後述する赤外線センサ70)は、孔10Aを介して、加熱室10内の赤外線をキャッチする。外装部4の内部には、加熱室10の右下に隣接するように、マグネトロン12が備えられている。また、加熱室10の下方には、マグネトロン12と本体枠5の下部を接続させる導波管19が備えられている。また、本体枠5の底部と底板9の間には、回転アンテナ21が備えられている。導波管19の下方には、アンテナモータ16が備えられている。回転アンテナ21は、軸15でアンテナモータ16と接続され、アンテナモータ16が駆動することにより回転する。
【0047】
加熱室10内では、底板9上に、または、レンジ焼き皿80上に、被加熱物である食品が載置される。レンジ焼き皿80は、レール上に外周部を支持された状態で、加熱室10内に収容される。
【0048】
マグネトロン12の発振する高周波は、導波管19を介し、回転アンテナ21によって攪拌されつつ、加熱室10内に、当該加熱室10の底面から、供給される。これにより、加熱室10内の食品が加熱される。
【0049】
加熱室10の上下には、ヒータ13,14が備えられている。加熱室10内の食品は、ヒータ13,14によっても、加熱される。
【0050】
ここで、レンジ焼き皿80の構造について説明する。図3(A)は、レンジ焼き皿80の斜視図であり、図3(B)は、レンジ焼き皿80の裏面図である。レンジ焼き皿80は、裏面に、高周波発熱体81が蒸着されている。高周波発熱体とは、高周波を吸収することにより発熱する物質であり、導電性材料、より具体的には、酸化スズにモリブデンを添加した導電性材料を挙げることができる。なお、蒸着膜の厚みとしては8×10−8m程度、抵抗率は2〜6(Ω/m)程度が好ましい。なお、図3(B)では、高周波発熱体81の表面が、ハッチングを施されて記載されている。
【0051】
再度図2を参照して、加熱室10内に供給された高周波の流れが、白抜きの矢印で示されている。なお、矢印の大きさは、高周波の電界強度を模式的に示している。加熱室10内に供給された高周波は、高周波発熱体81に吸収される。これにより、高周波発熱体81が加熱され、当該高周波発熱体81から熱を供給されて、レンジ焼き皿80上の食品が加熱される。
【0052】
また、加熱室10内に供給された高周波は、レンジ焼き皿80の外端縁部を透過して、または、レンジ焼き皿80と加熱室10の壁面との間を通って、当該レンジ焼き皿80の上方に到達する。これにより、レンジ焼き皿80上の食品は、直接高周波を供給されて加熱される。
【0053】
図4は、電子レンジ1の制御ブロック図である。電子レンジ1は、当該電子レンジ1の動作を全体的に制御する制御部50を備えている。制御部50は、マグネトロン12、アンテナモータ16、センサ駆動部72、ヒータ13,14、冷却ファン38、および、表示部60の動作を制御する。冷却ファン38は、マグネトロン12等を冷却するためのファンである。
【0054】
また、制御部50は、電子レンジ1と電源との接続を自動的に切断するオートパワーオフ機能を有しており、電子レンジ1には、当該オートパワーオフ機能に基づいて自動的に電源を接続する際に使用するオートオフタイマ52が備えられている。そして、制御部50は、オートオフタイマ52の計時する時間を参照したり、当該オートオフタイマ52のカウントをリセットすることができる。なお、オートパワーオフ機能については、既存の技術を利用できるため、本明細書では、詳細な説明は行なわない。
【0055】
赤外線センサユニット7には、赤外線量を検出する赤外線センサ70と、赤外線センサ70の雰囲気温度を検知する雰囲気温度センサ71とが含まれる。センサ駆動部72は、赤外線センサ70の視野を移動させるものである。
【0056】
また、制御部50は、操作パネル6に備えられた各種キー(操作部)に対してなされた各種の操作を検知し、赤外線センサ70の検知した赤外線量から当該赤外線センサ70の視野の温度を検知でき、さらに、雰囲気温度センサ71の検知した温度の入力を受付ける。
【0057】
また、図2では図示を省略したが、電子レンジ1には、加熱室10内の温度を検知するための、サーミスタからなる温度センサ48が備えられている。制御部50は、温度センサ48の検知した温度の入力を受付ける。
【0058】
以下に、制御部50の実行する処理を、図5〜図8を参照して、説明する。
図5は、制御部50のメインルーチンのフローチャートである。
【0059】
制御部50は、まず、S1で、操作パネル6に対してなんらかのキー入力があるまで待機し、キー入力があったと判断すると、S2で、入力されたキーの種類から、選択されたコースを判断する。電子レンジ1では、種々の調理メニューに従った処理が可能であり、図5には、パンを焼くのに適した調理メニューに従った処理であるトーストコース処理(S3)、加熱室10内に載置された食品の量等に応じて自動的に加熱時間を決定する調理メニューに従った処理であるおまかせコース処理(S4)、および、その他の調理メニューに従った処理(S5)が示されている。
【0060】
図6は、S3のトーストコース処理のサブルーチンのフローチャートである。トーストコース処理では、制御部50は、まず、S301で、スタートキー3Bの入力があったか否かを判断する。スタートキー3Bの入力があったと判断すると、S302で、赤外線センサ70を用いてその時点でのレンジ焼き皿80の温度を検知し、当該検知温度に基づいて、レンジ焼き皿80の予熱時間Y:TMを決定し、タイマとしてセットする。レンジ焼き皿80の予熱時間は、レンジ焼き皿80を予め定められた予熱温度にまで到達させるために要すると考えられる時間であり、レンジ焼き皿80の温度が低いほど長い時間とされる。
【0061】
次に、制御部50は、S303で、その時点での温度センサ48の検知温度(加熱室10内の温度)に基づいて、マグネトロン12を用いた加熱の時間(加熱時間M:TM)を決定し、タイマとしてセットする。加熱時間M:TMは、加熱室の温度が低いほど長い時間とされる。
【0062】
そして、制御部50は、S304で、アンテナモータ16をONし、S305で、マグネトロン12をONし、S306で、予熱時間のタイマY:TMのカウントダウンを開始する。S306でのタイマY:TMのカウントダウンは、S307で当該カウントダウンが終了したと判断されるまで、続けられる。
【0063】
そして、制御部50は、S307でカウントダウンが終了したと判断すると、S308で予熱を終了させ、S309でレンジ焼き皿80を予熱温度で保持する動作を行なう。つまり、マグネトロン12およびアンテナモータ16をOFFする。そして、S310で、予熱動作が終了した旨をブザー等で報知し、S311で、ドア3の開閉および再スタートを待つ待機状態に入る。S310までの処理では、加熱室10内のレンジ焼き皿80上には食品が載置されていないことが前提とされている。そして、S311では、ドア3が開けられ、レンジ焼き皿80の上に食品が載置されることを待つための処理がなされる。具体的には、マグネトロン12が適宜駆動されることによるレンジ焼き皿80の保温動作が行なわれる。
【0064】
そして、制御部50は、S312で、スタートキー6Bの入力があったと判断すると、S313で、アンテナモータ16をONし、S314で、マグネトロン12をONし、S315で、加熱時間のタイマM:TMのカウントダウンを開始する。S315でのタイマM:TMのカウントダウンは、S316で当該カウントダウンが終了したと判断されるまで、続けられる。
【0065】
そして、制御部50は、当該カウントダウンが終了したと判断すると、S317で、マグネトロン12およびアンテナモータ16をOFFする。
【0066】
次に、制御部50は、S318で、その時点での温度センサ48の検知出力(加熱室10内の温度)に基づいて、ヒータ13,14による加熱時間H:TMを決定する。ヒータ13,14による加熱時間H:TMは、その時点での加熱室10内の温度が低いほど、長い時間とされる。
【0067】
そして、制御部50は、S319で、ヒータ13,14をONし、S320で、加熱時間のタイマH:TMのカウントダウンを開始する。S320でのタイマH:TMのカウントダウンは、S321で当該カウントダウンが終了したと判断されるまで、続けられる。
【0068】
そして、制御部50は、当該カウントダウンが終了したと判断すると、S322で、ヒータ13,14をOFFし、S323で加熱が終了したことをブザー等で報知し、リターンする。
【0069】
次に、おまかせコース処理について説明する。図7は、S4のおまかせコース処理のサブルーチンのフローチャートである。
【0070】
おまかせコース処理では、電子レンジ1は、まず、S401で、スタートキー6Bの入力があったか否かを判断し、入力があったと判断すると、S402で、マグネトロン12をONする。
【0071】
次に、制御部50は、S403で、加熱室10内の食品の量を判断する。食品の量の判断は、具体的には、赤外線センサ70の検知出力に基づいて行なわれる。より具体的には、赤外線センサ70が加熱室10内の複数の位置の赤外線量を検知できるため、制御部50は、加熱室10内の複数の場所の温度を検知でき、そして、制御部50は、マグネトロン12による加熱開始から所定時間内における加熱室10内での温度変化のあった場所の数に基づいて、食品の量を決定する。なお、本実施の形態では、制御部50は、食品が多量であるか少量であるかの2段階で、食品の量を決定するが、本発明はこれに限定されず、3段階以上で食品の量を決定することも可能である。
【0072】
そして、S404で、制御部50は、食品の量に応じて、残りの加熱時間を決定する。この「残りの加熱時間」は、食品が多量である場合の方が、少量である場合よりも以上の長さとなるように決定される。そして、S404の処理が行なわれた際、決定された残り加熱時間は、カウントダウンされる。
【0073】
そして、S405では、制御部50は、現在、食品が多量であるとされているか否かを判断する。そして、少量とされていればS413に処理を移行し、多量とされていれば、S406に処理を進める。
【0074】
S406では、マグネトロン12による加熱が開始されてから所定時間tが経過しているか否かを判断する。そして、経過していないと判断するとS411に処理を移行し、経過していると判断するとS407に処理を進める。
【0075】
S407で、制御部50は、直前に行なわれた赤外線センサ70による加熱室10内の複数の場所に対する温度検知の結果から、最高検知温度Tmax、最低検知温度Tminを算出し、さらに、その差である「Tmax−Tmin」を算出する。
【0076】
そして、制御部50は、S408で、Tmaxが予め定められた温度aを越えているか否かを判断する。そして、越えている場合には、処理をS409に進め、超えていない場合には、処理をS411に進める。
【0077】
S409で、制御部50は、「Tmax−Tmin」が予め定められた温度b未満であるか否かを判断する。そして、b未満である場合には、処理をS410に進め、b以上である場合には、処理をS411に進める。
【0078】
S410で、制御部50は、食品の量を少量であると再決定し、処理をS411に進める。
【0079】
S411で、制御部50は、現在、食品の量が少量とされているか否かを判断し、少量とされている場合にはS412で、加熱動作を停止させた後処理をS413に進める。一方、少量とされていない場合、つまり、多量とされている場合には、そのままS413に処理を進める。
【0080】
S413で、制御部50は、残り加熱時間が0となったか否かを判断し、0となっていなければ、処理をS405に戻す。一方、0となっていれば、S414でマグネトロン12をOFFして、リターンする。
【0081】
以上説明したおまかせコース処理では、食品が多量と判断された場合でも、S409で、加熱室10内の最高温度と最低温度との差がbよりも小さいと判断されると、食品の量を少量とし、その時点で、S412の処理により、マグネトロン12による加熱が停止される。加熱室10内の最高温度と最低温度との差がbよりも小さい場合には、加熱が進行しても加熱室10内に大きく温度上昇している場所がないということが考えられる。なお、赤外線センサ70を用いた温度検知では、加熱室10内にセットされた食品の量が多く(食品が大きく)、赤外線センサ70の視野内での食品の占める割合が大きければ、当該視野の場所に対して決定される温度は食品の温度上昇を顕著に示すと考えられる。その一方で、食品の量が少なく(食品が小さく)、赤外線センサ70の視野内での食品の占める割合が小さければ、当該視野の場所に対して決定される温度は食品の温度上昇を顕著には示しにくいと考えられる。そして、S409では、最高温度と最低温度との差を判断対象とすることにより、S403で決定した食品の量が正しかったか判断し、その時点では少量であると判断されるのにS403で多量であると判断していた場合には、その時点で加熱を停止させ、多量に合うように加熱することにより食品を過剰に加熱することを回避しようとしている。
【0082】
また、以上説明した本実施の形態では、S406〜S412の処理は、S403において食品が多量であるとされたときにのみ実行される。なお、このような態様は、食品の量が他段階で判断される場合には、食品の量がある段階以上と判断されたときにS406〜S412の処理が実行されるように変更されてもよい。つまり、S406〜S412の処理は、食品の量がある程度多量であるとされた際に、当該量に応じて決定された加熱時間だけ加熱しても食品が加熱されすぎることがないかを確認するために行なわれる処理、と考えられる。
【0083】
また、以上説明したS412の処理では、加熱を停止させる処理を実行することにより食品が過剰に加熱されることを回避しているが、この処理は、マグネトロン12の出力を低下させる処理、または、設定温度を低下させる処理に置換されることもできる。設定温度とは、赤外線センサ70の検知出力に基づいて決定された食品の温度が当該設定温度に到達した際に、食品の加熱が完了したとして加熱を終了される温度である。
【0084】
S409における判断は、S406の処理により、加熱開始から所定時間tが経過してから実行される。所定時間tとは、たとえば、加熱開始後1分〜1分30秒とされるが、おまかせコース処理に対して、ユーザが、さらに、根菜を下茹でする調理、冷凍食品を解凍する調理、牛乳やお酒などの飲み物を温める調理、茶碗に入ったご飯を温める調理等、どんな調理に対するおまかせコースかを設定できる場合には、その調理ごとに、変更されてもよい。調理によって、加熱対象となる食品の温度の上昇のしやすさが異なる(たとえば、ジャガイモ等の根菜は、牛乳等液体と比較して温度上昇が遅い)ためである。また、同様に、調理ごとに、S409における判断対象となる温度bが変更されてもよい。
【0085】
また、上記したように、調理によって加熱対象となる食品の温度の上昇のしやすさが異なるため、調理によっては、S405〜S412の処理を行なわないようにしてもよい。
【0086】
また、以上説明したおまかせコース処理では、S407でその都度算出されたTmax、Tmin、および、「Tmax−Tmin」が、それ以降の処理の判断対象となっているが、所定時間tが経過してから特定の時間の間継続して複数回赤外線センサ70の検知出力に基づいて加熱室10内の複数の場所の温度が算出され、当該複数回算出されたすべての温度の中の最大値Tmaxをとし、最小値Tminをとして、それ以降の処理の判断対象とされてもよい。これにより、赤外線センサ70の検知出力における誤差が直接加熱制御に反映されることを極力回避できる。
【0087】
なお、S409における判断対象となる温度bは、加熱開始時の加熱室10内の複数の場所の温度の平均値等、加熱開始時の赤外線センサ70の検知出力に基づいた温度によって変更されることが好ましい。これにより、電子レンジ1の置かれている状況に応じた制御が可能になる。
【0088】
また、以上説明したおまかせコース処理では、S409での判断を、S408で、Tmaxがaを越えたときにのみ行なっている。これにより、加熱室10内に載置された食品は少量であるが、もともと加熱室10が部分的に高温であるような場合等、S412の処理が必要である場合にのみ、効果的に、S410の判断を行なうことができる。
【0089】
なお、以上説明したおまかせコースでは、説明を省略したが、マグネトロン12のON・OFFに応じて、適宜、アンテナモータ16がONされている。
【0090】
次に、おまかせコース処理の変形例について、図8を参照しつつ説明する。
制御部50は、まず、S450で、スタートキー6Bへの入力があったか否かを判断する。そして、入力があったと判断すると、S451でマグネトロン12をONする。
【0091】
電子レンジ1では、赤外線センサ70の視野は加熱室10の一部をカバーするものであり、移動されることにより、加熱室10内の全体での赤外線量の検知が行なえる。本明細書では、加熱室10内の全体の赤外線量の検知を一通り行なう際の移動を1回のサーチと言う。1サーチは、約3〜4秒の時間で行なわれる。赤外線センサ70の視野は、マグネトロン12による加熱が行なわれている際には、基本的に、定常的に移動し、赤外線センサ70は、その間に、予め定められた複数のポイントで、赤外線量の検知を行なっている。
【0092】
そして、制御部50は、S452で、加熱開始から赤外線センサ70の15サーチが終了したか否かを判断する。終了していれば、S453で、当該15サーチまでの検知出力から各ポイントの温度上昇量の最大値(Max△V)が10℃を越えているか否かを判断する。そして、越えていれば、S454に処理を進め、越えていなければ、S455に処理を進める。
【0093】
S454では、加熱開始から19サーチが終了したか否かを判断する。終了していれば、S457に処理を進める。
【0094】
一方、S455では、制御部50は、加熱開始から17サーチが終了したか否かを判断し、終了していれば、17サーチまでの検知出力から各ポイントの温度上昇量の最大値(Max△V)が15℃を越えているか否かを判断する。そして、越えていれば、S457に処理を進め、越えていなければ、S464に処理を進める。
【0095】
S457では、制御部50は、それまでの検知出力から各ポイントの温度上昇量の最大値(Max△V)が30℃を越えているか否かを判断する。そして、越えていれば、S458で加熱コースを「加熱コース3」に決定し、越えていなければ、S459で加熱コースを「加熱コース4」に決定し、共に、処理をS460に進める。
【0096】
図8に示すおまかせコース処理では、加熱コース1〜加熱コース4の4つの加熱コースが設定されている。加熱コースにより、設定温度SLが異なる。設定温度とは、赤外線センサ70の検知出力に基づいて決定された食品の温度が当該設定温度に到達した際に、食品の加熱が完了したとして加熱を終了される温度である。設定温度SLの設定例を、表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
表1に示すように、加熱コースごとに異なった設定温度が設けられている。さらに、各加熱コースでは、加熱開始の際に仕上がり調節として強めキー6Cまたは弱めキー6Dが入力されていた際には、それらによっても異なった設定温度が設けられている。なお、強めキー6Cおよび弱めキー6Dの入力がなかった場合には、表1中の「標準」の設定温度が採用される。
【0099】
S460では、その時点での赤外線センサ70の検知出力に基づいた加熱室10内の最高温度(S0)が設定温度SLに到達したか否かを判断する。そして、到達した場合には、S461で、加熱開始からS0がSLに到達するまでの時間が3分以内であったか否かを判断する。3分以内であれば、そのままS469でマグネトロン12をOFFして、リターンする。一方、3分を越えていた場合には、S462に処理を進める。
【0100】
S462で、制御部50は、SLを10℃上昇させるよう補正した後、S0が補正後のSLに到達したか否かを判断する。そして、到達したと判断すると、S469でマグネトロン12をOFFし、リターンする。
【0101】
一方、S464で、制御部50は、赤外線センサ70の21サーチが終了したか否かを判断し、終了したと判断すると、S465で、それまでの検知出力から各ポイントの温度上昇量の最大値(Max△V)が20℃を越えているか否かを判断する。そして、越えていれば、S466で加熱コースを「加熱コース2」に決定し、越えていなければ、S467で加熱コースを「加熱コース1」に決定し、共に、処理をS468に進める。
【0102】
そして、S468では、制御部50は、S0がSLに到達したか否かを判断する。到達したと判断すると、S469でマグネトロン12をOFFし、リターンする。
【0103】
以上、図8を用いて説明したおまかせコース処理では、4つの加熱コースの中で設定温度SLの比較的低い加熱コース3または加熱コース4が決定された場合、赤外線センサ70の検知出力に基づく検知温度が当該設定温度SLに到達するのに要する時間が特定時間(3分)を越えると、設定時間SLは上昇するように補正される。なお、設定温度SLの比較的低い加熱コースとは、たとえば、加熱対象となる食品の量が比較的少ない場合に適する加熱コースであると考えられる。そして、図8に示すおまかせコース処理では、食品の量が比較的少ないと判断されても、温度上昇の速度が予定したものより遅い場合には、実際には食品の量が判断したものより多かったと考えられ、設定温度SLを上昇させるよう補正される。食品の量が最初に判断したものより多かったと考えられる際に設定温度SLを上昇させるのは、食品の量が多いと、少ない場合よりも、食品の温度が同じでも加熱室10全体が蒸気等により温度上昇しやすいと考えられるためである。そして、強めキー6Cまたは弱めキー6Dが入力されている際には、表2に示すように温度の補正量が異なることが好ましい。
【0104】
【表2】
【0105】
強めキー6Cまたは弱めキー6Dが入力されることにより期待される効果を、加熱の仕上がりに充分に反映させるためである。
【0106】
また、表2に示したように、S461において判断対象となる時間(3分)も、強めキー6Cまたは弱めキー6Dが入力されている際には、変更されることがことが好ましい。
【0107】
また、赤外線センサ70は、底板9上の食品の載置されにくい位置の温度(棚温度)が検知できるように構成されている。そして、表2に示した補正値は、マグネトロン12による加熱動作が開始されるとき、マグネトロン12やヒータ13,14がONされていないとき、オートパワーオフ機能により電子レンジ1への電源の供給が停止されるとき、または、オートパワーオフによって電源の供給が停止された後電源の供給が再開されるとき等の、当該棚温度または雰囲気温度センサ71の検知温度に基づいて、変更されてもよい。赤外線センサ70の検知する温度域に応じて、赤外線センサ70の検知する赤外線量の領域が異なり、それにより、赤外線センサ70の検知誤差が当該検知出力から決定される検知温度に与える影響が異なるからである。
【0108】
今回開示された実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である電子レンジの斜視図である。
【図2】図1の電子レンジのII−II線に沿う模式的な矢視断面図である。
【図3】(A)は、図2のレンジ焼き皿の斜視図であり、(B)は、当該レンジ焼き皿の裏面図である。
【図4】図1の電子レンジの制御ブロック図である。
【図5】図1の電子レンジの制御部のメインルーチンのフローチャートである。
【図6】図5のトーストコース処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図7】図5のおまかせコース処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図8】図5のおまかせコース処理のサブルーチンの変形例のフローチャートである。
【符号の説明】
1 電子レンジ、5 本体枠、6 操作パネル、6B スタートキー、6C 強めキー、6D 弱めキー、7 赤外線センサユニット、9 底板、10 加熱室、12 マグネトロン、13,14 ヒータ、48 温度センサ、50 制御部、70 赤外線センサ、71 雰囲気温度センサ、72 センサ駆動部、80レンジ焼き皿、81 高周波発熱体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱調理装置に関し、特に、自動調理が行なえる加熱調理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の加熱調理装置では、マグネトロン等の加熱部に、予め定められた態様で自動的に調理に適した加熱動作(自動調理)を実行させることのできるものがあった。また、従来の加熱調理装置では、赤外線センサやサーミスタ等の温度検出装置を備え、加熱室内の食品の温度または加熱室自体の温度を測定することにより、自動調理時の加熱時間等を調整しようとしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の自動調理では、特開平6−229557号公報等に開示されるように、加熱開始時などの加熱動作中の赤外線センサで加熱室内の温度分布等を検出し、その検出結果から推測される食品の温度等の状態に応じた加熱動作が行なわれていた。なお、このような場合に検出結果から推測される食品の状態は、必ずしも実際の加熱室内の食品の状態と一致するものではなかった。そして、このような場合に推測される食品の状態が実際の食品の状態から大きくかけ離れた場合、自動調理において食品の加熱に過不足が生じる場合があった。
【0004】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、ユーザの希望に沿う自動調理を実行できる加熱調理装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のある局面に従った加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内に高周波を供給するマグネトロンと、前記加熱室内に供給するための熱を発するヒータと、前記被加熱物を載置して前記加熱室内に収納されるとともに、高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を配置した加熱皿と、前記加熱皿の温度を検知する皿温度検知部と、前記加熱室の温度を検知する加熱室温度検知部と、前記マグネトロンに、前記加熱皿の予熱動作として予熱時間だけ高周波を供給させた後、第1の加熱動作として第1の加熱時間だけ高周波を供給させ、その後、前記ヒータに第2の加熱動作として第2の加熱時間だけ熱を発生させる、制御部と、前記予熱動作開始時に、前記皿温度検知部が検知した温度に基づいて前記予熱時間を算出する予熱時間算出部と、前記予熱動作開始時に、加熱開始時に前記加熱室温度検知部が検知した温度に基づいて、前記第1の加熱時間を算出する第1の加熱時間算出部と、前記第1の加熱動作の終了時に前記加熱室温度検知部が検知した温度に基づいて、前記第2の加熱時間を算出する第2の加熱時間算出部とを含むことを特徴とする。
【0006】
本発明のある局面に従うと、ユーザは、加熱調理装置を用いて、自動的に、被加熱物を、加熱皿によって加熱された後、ヒータにより加熱させることができる。なお、加熱皿の予熱時間は、予熱動作が開始される際の加熱皿の温度に基づいて、算出される。また、加熱皿による加熱時間(第1の加熱時間)は、予熱動作が開始される際の加熱室の温度、つまり、加熱皿による加熱が行なわれる際の加熱室内の温度の特徴(直前に加熱室が高温にされていた、等)を表すことのできる時点での温度に基づいて、算出される。さらに、ヒータによる加熱時間は、加熱皿による加熱が終わった後の、つまり、ヒータによる加熱が実行される直前の、加熱室内の温度に基づいて算出される。
【0007】
これにより、加熱調理装置では、自動調理において、加熱皿および加熱室の温度に応じた時間だけ加熱調理が実行できる。つまり、加熱調理装置が、被加熱物の置かれた状態に沿った自動調理を実行できるため、よりユーザの希望に沿う自動調理を実行できるようになる。
【0008】
また、本発明に従った加熱調理装置は、ユーザに情報を入力させるための情報入力部をさらに含み、前記第1の制御部は、前記第1の制御部が前記マグネトロンに前記予熱時間だけ高周波を発振させた後、前記情報入力部に加熱開始のための情報が入力されるのを待って、前記マグネトロンに前記第1の加熱動作を実行させることが好ましい。
【0009】
これにより、加熱調理装置は、予熱動作から加熱動作にその動作を移行する際に、確実に、ユーザが加熱室に被加熱物をセットしてから、加熱動作を開始できる。
【0010】
本発明の他の局面に従った加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、前記加熱部の加熱動作を制御する、加熱制御部とを含み、前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が予め定められた第1の温度よりも小さいときに、前記加熱部の加熱動作を停止させる特別制御を実行することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の局面に従うと、被加熱物の量が少なく温度検知部が当該被加熱物の温度を検知しにくい場合等、加熱を行なっても被加熱物の温度上昇が検知されにくい場合には、加熱動作が停止され、被加熱物が過剰に加熱される事態を回避できる。
【0012】
これにより、加熱調理装置では、自動調理における被加熱物の過剰な加熱が回避されるため、ユーザの希望に沿った自動調理が実行可能となる。
【0013】
本発明のさらに他の局面に従った加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、前記加熱部の加熱動作を制御する、加熱制御部とを含み、前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が予め定められた第1の温度よりも小さいときに、前記加熱部の加熱動作における出力を低下させる特別制御を実行することを特徴とする。
【0014】
本発明のさらに他の局面に従うと、被加熱物の量が少なく温度検知部が当該被加熱物の温度を検知しにくい場合等、加熱を行なっても被加熱物の温度上昇が検知されにくい場合には、加熱動作における出力が低下するため、被加熱物が過剰に加熱される事態を回避できる。
【0015】
これにより、加熱調理装置では、自動調理における被加熱物の過剰な加熱が回避されるため、ユーザの希望に沿った自動調理が実行可能となる。
【0016】
本発明の別の局面に従った加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、前記加熱部に前記温度検知部の検知温度が所定の温度に到達するまで加熱動作を実行させるよう制御する、加熱制御部とを含み、前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が予め定められた第1の温度よりも小さいときに、前記所定の温度を低下させる特別制御を実行することを特徴とする。
【0017】
本発明の別の局面に従うと、被加熱物の量が少なく温度検知部が当該被加熱物の温度を検知しにくい場合等、加熱を行なっても被加熱物の温度上昇が検知されにくい場合には、加熱の到達の目標とされる温度が低下するよう変更されるため、被加熱物が過剰に加熱される事態を回避できる。
【0018】
これにより、加熱調理装置では、自動調理における被加熱物の過剰な加熱が回避されるため、ユーザの希望に沿った自動調理が実行可能となる。
【0019】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱制御部は、前記加熱物に加熱動作を開始させてから予め定められた一定の時間が経過したときに、前記特別制御のために前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が前記第1の温度よりも小さいか否かを判断することが好ましい。
【0020】
これにより、加熱調理装置では、加熱開始後一定の時間後の加熱室内の温度が特別制御における判断の基準となるため、特別制御が実施される際の基準が一定となる。
【0021】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、第1の時間が経過してから第2の時間が経過するまでの、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差の最小値が前記第1の温度よりも小さいときに、前記特別制御を実行することが好ましい。
【0022】
これにより、加熱調理装置では、加熱開始後、第1の時間が経過してから第2の時間が経過するまでの加熱室内の温度の最小値が特別制御における判断の基準となるため、特別制御が実施される際の基準が一定となる。
【0023】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記第1の温度は、前記加熱部の加熱動作の開始時における前記温度検知部の検知温度に応じて変更されることが好ましい。
【0024】
これにより、加熱調理装置における制御を、当該加熱調理装置の置かれた状況に応じたものとすることができる。
【0025】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱制御部は、複数の調理メニューの各々に応じて前記加熱部に異なった態様で加熱動作を実行させ、前記第1の温度は、前記調理メニューによって変更されることが好ましい。
【0026】
これにより、加熱調理装置における制御を、当該加熱調理装置において調理されようとする被加熱物の種類に応じたものとすることができる。
【0027】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱制御部は、前記加熱部に、複数の調理メニューの各々に応じて異なった態様で加熱動作を実行させ、かつ、特定の調理メニューに応じた加熱動作を実行させている場合には前記特別制御を実行しないことが好ましい。
【0028】
これにより、加熱調理装置における制御を、当該加熱調理装置において調理されようとする被加熱物の種類に応じたものとすることができる。つまり、加熱調理装置において、たとえば、根菜等、もともと加熱されにくいものが被加熱物とされた場合には特別制御が実施されず、その一方で、加熱されやすい被加熱物の量が少ない場合には特別制御が実行される、ということが可能となる。
【0029】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱制御部は、前記加熱部の加熱動作の開始時において前記温度検知部が検知した前記複数の場所の温度の最高値が特定の温度以上である場合にのみ、前記特別制御を実行することが好ましい。
【0030】
これにより、被加熱物が少量であるにも拘わらず、加熱されやすい被加熱物が比較的多く加熱室内に収容されていると誤って考えられ易い場合のみが、特別制御を行なう対象となる。つまり、加熱調理装置において、効率良く、特別制御を行なうための判断がなされる。
【0031】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱室内で、前記加熱部による加熱開始後の予め定められた所定時間内において、所定値以上温度が変化した場所の数から、前記加熱部に収容されている被加熱物の量を決定する第1の量決定部をさらに含み、前記加熱制御部は、前記第1の量決定部によって決定された量が所定の量以上であったときにのみ、前記特別制御を実行することが好ましい。
【0032】
これにより、加熱されやすい被加熱物が比較的多く加熱室内に収容されていると考えられた場合のみが、特別制御を行なう対象となる。つまり、加熱調理装置において、効率良く、特別制御を行なうための判断がなされる。
【0033】
また、本発明に従った加熱調理装置では、前記加熱部に加熱動作を実行させる時間を前記加熱調理装置の外部から入力するための加熱時間入力部と、前記加熱時間入力部に入力された時間だけ前記加熱制御部に前記加熱部に加熱動作を実行させる設定である手動制御設定を前記加熱調理装置の外部から行なうための、加熱動作設定部とをさらに含み、前記加熱制御部は、前記加熱動作設定部において前記手動制御設定が行なわれたときには、前記特別制御を実行しないことが好ましい。
【0034】
これにより、加熱調理装置において、特別制御が適切な場合にのみ実行される。手動制御設定が行なわれたとき、つまり、ユーザが自らの入力した加熱時間だけ加熱動作を実行させたいと考えている場合には、特別制御は必要がないと考えられるためである。
【0035】
本発明のさらに別の局面に従った加熱調理装置は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、前記加熱室内での、前記加熱部による加熱開始後の所定時間内における前記複数の場所におけるそれぞれの温度変化量の中で、最も大きい温度変化量に応じて、前記加熱部による加熱を終了させるための条件となる前記温度検知部の検知温度である設定温度を決定する、設定温度決定部と、前記加熱部による加熱動作が開始されてから、前記加熱室内の複数の場所の中のいずれかの温度が前記設定温度に到達するまでに要する時間が、予め定められた特定時間を越えた場合には、前記設定温度を上昇させるよう補正する、設定温度補正部とを含むことを特徴とする。
【0036】
本発明のさらに別の局面に従うと、加熱室内の複数の場所の中のいずれかの温度が設定温度に到達するまでに特定時間より長い時間を要した場合、つまり、たとえば加熱室内の被加熱物の量が予想以上に多い場合等、被加熱物の温度上昇が比較的遅いと考えられる場合に、設定温度を上昇させることにより、そのような場合でも被加熱物を充分に加熱できる。なお、加熱室内の被加熱物の量が多くなると、被加熱物が加熱された際、加熱室内の温度の上昇量も多くなる。このことから、被加熱物の量が多い場合、少ない場合と同じ仕上がりにしようとする場合には、少ない場合よりも設定温度を上昇させられる必要がある。
【0037】
これにより、加熱調理装置が、ユーザの希望に沿う自動調理を実行できるようになる。
【0038】
また、本発明に従った加熱調理装置は、前記加熱調理装置の外部から、前記加熱部により被加熱物の加熱に対する仕上がりの強弱についての情報を入力するための情報入力部をさらに含み、前記設定温度補正部は、前記情報入力部に入力された仕上がりの強弱に応じて、前記特定時間の長さを補正することが好ましい。
【0039】
これにより、加熱調理装置における自動調理が、より、ユーザの希望に沿ったものになる。
【0040】
また、本発明に従った加熱調理装置は、前記温度検知部の周囲の温度を検知する周囲温度検知部をさらに含み、前記設定温度補正部は、前記加熱部の加熱開始時の前記周囲温度検知部の検知温度に基づいて、前記設定温度を補正することが好ましい。
【0041】
また、本発明に従った加熱調理装置は、前記温度検知部は、前記加熱室内で被加熱物の載置されにくい場所の温度を棚温度として検知でき、前記設定温度補正部は、前記周囲温度検知部の検知温度、および、前記棚温度に基づいて、前記設定温度を補正することが好ましい。
【0042】
これにより、自動調理において温度検知部の検知する温度に対する温度検知部の周囲の温度の影響や加熱室内での被加熱物の周囲の温度の影響を考慮することができるため、より、被加熱物に対して、当該被加熱物の状況に応じた自動調理を実行できる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態である電子レンジを、図面を参照しつつ説明する。図1は、電子レンジの斜視図である。また、図2は、図1のII−II線に沿う模式的な矢視断面図である。便宜上、図2では一部の部材を省略している。
【0044】
電子レンジ1は、主に、本体と本体前面のドア3とからなる。本体は、その外郭を外装部4に覆われ、箱型形状を有する脚部8に支持される。また、本体の前面には、ユーザが、電子レンジ1に各種の情報を入力するための操作パネル6が備えられている。操作パネル6には、調理時間等の種々の情報を表示する表示部60、調理時間や調理メニュー等の数値を入力するための調節つまみ6A、ならびに、調理の開始を指示するためのスタートキー6B、自動調理の際の加熱を強めに行なうことを指示するための強めキー6C、および、弱めに行なうことを指示するための弱めキー6D等、各種キーが備えられている。ドア3は、その下端部を軸として回動することにより、開閉される。ドア3の上端部には、把手3Aが設けられている。
【0045】
本体内のドア3の奥には、本体枠5が設置され、当該本体枠5の内部には、被加熱物である食品を収容する加熱室10が形成されている。加熱室10の右側面上方には、孔10Aが形成されている。また、孔10Aには、検知経路部材40が取付けられている。
【0046】
検知経路部材40の一端には、赤外線センサユニット7が取付けられている。赤外線センサユニット7に内包される赤外線センサ(後述する赤外線センサ70)は、孔10Aを介して、加熱室10内の赤外線をキャッチする。外装部4の内部には、加熱室10の右下に隣接するように、マグネトロン12が備えられている。また、加熱室10の下方には、マグネトロン12と本体枠5の下部を接続させる導波管19が備えられている。また、本体枠5の底部と底板9の間には、回転アンテナ21が備えられている。導波管19の下方には、アンテナモータ16が備えられている。回転アンテナ21は、軸15でアンテナモータ16と接続され、アンテナモータ16が駆動することにより回転する。
【0047】
加熱室10内では、底板9上に、または、レンジ焼き皿80上に、被加熱物である食品が載置される。レンジ焼き皿80は、レール上に外周部を支持された状態で、加熱室10内に収容される。
【0048】
マグネトロン12の発振する高周波は、導波管19を介し、回転アンテナ21によって攪拌されつつ、加熱室10内に、当該加熱室10の底面から、供給される。これにより、加熱室10内の食品が加熱される。
【0049】
加熱室10の上下には、ヒータ13,14が備えられている。加熱室10内の食品は、ヒータ13,14によっても、加熱される。
【0050】
ここで、レンジ焼き皿80の構造について説明する。図3(A)は、レンジ焼き皿80の斜視図であり、図3(B)は、レンジ焼き皿80の裏面図である。レンジ焼き皿80は、裏面に、高周波発熱体81が蒸着されている。高周波発熱体とは、高周波を吸収することにより発熱する物質であり、導電性材料、より具体的には、酸化スズにモリブデンを添加した導電性材料を挙げることができる。なお、蒸着膜の厚みとしては8×10−8m程度、抵抗率は2〜6(Ω/m)程度が好ましい。なお、図3(B)では、高周波発熱体81の表面が、ハッチングを施されて記載されている。
【0051】
再度図2を参照して、加熱室10内に供給された高周波の流れが、白抜きの矢印で示されている。なお、矢印の大きさは、高周波の電界強度を模式的に示している。加熱室10内に供給された高周波は、高周波発熱体81に吸収される。これにより、高周波発熱体81が加熱され、当該高周波発熱体81から熱を供給されて、レンジ焼き皿80上の食品が加熱される。
【0052】
また、加熱室10内に供給された高周波は、レンジ焼き皿80の外端縁部を透過して、または、レンジ焼き皿80と加熱室10の壁面との間を通って、当該レンジ焼き皿80の上方に到達する。これにより、レンジ焼き皿80上の食品は、直接高周波を供給されて加熱される。
【0053】
図4は、電子レンジ1の制御ブロック図である。電子レンジ1は、当該電子レンジ1の動作を全体的に制御する制御部50を備えている。制御部50は、マグネトロン12、アンテナモータ16、センサ駆動部72、ヒータ13,14、冷却ファン38、および、表示部60の動作を制御する。冷却ファン38は、マグネトロン12等を冷却するためのファンである。
【0054】
また、制御部50は、電子レンジ1と電源との接続を自動的に切断するオートパワーオフ機能を有しており、電子レンジ1には、当該オートパワーオフ機能に基づいて自動的に電源を接続する際に使用するオートオフタイマ52が備えられている。そして、制御部50は、オートオフタイマ52の計時する時間を参照したり、当該オートオフタイマ52のカウントをリセットすることができる。なお、オートパワーオフ機能については、既存の技術を利用できるため、本明細書では、詳細な説明は行なわない。
【0055】
赤外線センサユニット7には、赤外線量を検出する赤外線センサ70と、赤外線センサ70の雰囲気温度を検知する雰囲気温度センサ71とが含まれる。センサ駆動部72は、赤外線センサ70の視野を移動させるものである。
【0056】
また、制御部50は、操作パネル6に備えられた各種キー(操作部)に対してなされた各種の操作を検知し、赤外線センサ70の検知した赤外線量から当該赤外線センサ70の視野の温度を検知でき、さらに、雰囲気温度センサ71の検知した温度の入力を受付ける。
【0057】
また、図2では図示を省略したが、電子レンジ1には、加熱室10内の温度を検知するための、サーミスタからなる温度センサ48が備えられている。制御部50は、温度センサ48の検知した温度の入力を受付ける。
【0058】
以下に、制御部50の実行する処理を、図5〜図8を参照して、説明する。
図5は、制御部50のメインルーチンのフローチャートである。
【0059】
制御部50は、まず、S1で、操作パネル6に対してなんらかのキー入力があるまで待機し、キー入力があったと判断すると、S2で、入力されたキーの種類から、選択されたコースを判断する。電子レンジ1では、種々の調理メニューに従った処理が可能であり、図5には、パンを焼くのに適した調理メニューに従った処理であるトーストコース処理(S3)、加熱室10内に載置された食品の量等に応じて自動的に加熱時間を決定する調理メニューに従った処理であるおまかせコース処理(S4)、および、その他の調理メニューに従った処理(S5)が示されている。
【0060】
図6は、S3のトーストコース処理のサブルーチンのフローチャートである。トーストコース処理では、制御部50は、まず、S301で、スタートキー3Bの入力があったか否かを判断する。スタートキー3Bの入力があったと判断すると、S302で、赤外線センサ70を用いてその時点でのレンジ焼き皿80の温度を検知し、当該検知温度に基づいて、レンジ焼き皿80の予熱時間Y:TMを決定し、タイマとしてセットする。レンジ焼き皿80の予熱時間は、レンジ焼き皿80を予め定められた予熱温度にまで到達させるために要すると考えられる時間であり、レンジ焼き皿80の温度が低いほど長い時間とされる。
【0061】
次に、制御部50は、S303で、その時点での温度センサ48の検知温度(加熱室10内の温度)に基づいて、マグネトロン12を用いた加熱の時間(加熱時間M:TM)を決定し、タイマとしてセットする。加熱時間M:TMは、加熱室の温度が低いほど長い時間とされる。
【0062】
そして、制御部50は、S304で、アンテナモータ16をONし、S305で、マグネトロン12をONし、S306で、予熱時間のタイマY:TMのカウントダウンを開始する。S306でのタイマY:TMのカウントダウンは、S307で当該カウントダウンが終了したと判断されるまで、続けられる。
【0063】
そして、制御部50は、S307でカウントダウンが終了したと判断すると、S308で予熱を終了させ、S309でレンジ焼き皿80を予熱温度で保持する動作を行なう。つまり、マグネトロン12およびアンテナモータ16をOFFする。そして、S310で、予熱動作が終了した旨をブザー等で報知し、S311で、ドア3の開閉および再スタートを待つ待機状態に入る。S310までの処理では、加熱室10内のレンジ焼き皿80上には食品が載置されていないことが前提とされている。そして、S311では、ドア3が開けられ、レンジ焼き皿80の上に食品が載置されることを待つための処理がなされる。具体的には、マグネトロン12が適宜駆動されることによるレンジ焼き皿80の保温動作が行なわれる。
【0064】
そして、制御部50は、S312で、スタートキー6Bの入力があったと判断すると、S313で、アンテナモータ16をONし、S314で、マグネトロン12をONし、S315で、加熱時間のタイマM:TMのカウントダウンを開始する。S315でのタイマM:TMのカウントダウンは、S316で当該カウントダウンが終了したと判断されるまで、続けられる。
【0065】
そして、制御部50は、当該カウントダウンが終了したと判断すると、S317で、マグネトロン12およびアンテナモータ16をOFFする。
【0066】
次に、制御部50は、S318で、その時点での温度センサ48の検知出力(加熱室10内の温度)に基づいて、ヒータ13,14による加熱時間H:TMを決定する。ヒータ13,14による加熱時間H:TMは、その時点での加熱室10内の温度が低いほど、長い時間とされる。
【0067】
そして、制御部50は、S319で、ヒータ13,14をONし、S320で、加熱時間のタイマH:TMのカウントダウンを開始する。S320でのタイマH:TMのカウントダウンは、S321で当該カウントダウンが終了したと判断されるまで、続けられる。
【0068】
そして、制御部50は、当該カウントダウンが終了したと判断すると、S322で、ヒータ13,14をOFFし、S323で加熱が終了したことをブザー等で報知し、リターンする。
【0069】
次に、おまかせコース処理について説明する。図7は、S4のおまかせコース処理のサブルーチンのフローチャートである。
【0070】
おまかせコース処理では、電子レンジ1は、まず、S401で、スタートキー6Bの入力があったか否かを判断し、入力があったと判断すると、S402で、マグネトロン12をONする。
【0071】
次に、制御部50は、S403で、加熱室10内の食品の量を判断する。食品の量の判断は、具体的には、赤外線センサ70の検知出力に基づいて行なわれる。より具体的には、赤外線センサ70が加熱室10内の複数の位置の赤外線量を検知できるため、制御部50は、加熱室10内の複数の場所の温度を検知でき、そして、制御部50は、マグネトロン12による加熱開始から所定時間内における加熱室10内での温度変化のあった場所の数に基づいて、食品の量を決定する。なお、本実施の形態では、制御部50は、食品が多量であるか少量であるかの2段階で、食品の量を決定するが、本発明はこれに限定されず、3段階以上で食品の量を決定することも可能である。
【0072】
そして、S404で、制御部50は、食品の量に応じて、残りの加熱時間を決定する。この「残りの加熱時間」は、食品が多量である場合の方が、少量である場合よりも以上の長さとなるように決定される。そして、S404の処理が行なわれた際、決定された残り加熱時間は、カウントダウンされる。
【0073】
そして、S405では、制御部50は、現在、食品が多量であるとされているか否かを判断する。そして、少量とされていればS413に処理を移行し、多量とされていれば、S406に処理を進める。
【0074】
S406では、マグネトロン12による加熱が開始されてから所定時間tが経過しているか否かを判断する。そして、経過していないと判断するとS411に処理を移行し、経過していると判断するとS407に処理を進める。
【0075】
S407で、制御部50は、直前に行なわれた赤外線センサ70による加熱室10内の複数の場所に対する温度検知の結果から、最高検知温度Tmax、最低検知温度Tminを算出し、さらに、その差である「Tmax−Tmin」を算出する。
【0076】
そして、制御部50は、S408で、Tmaxが予め定められた温度aを越えているか否かを判断する。そして、越えている場合には、処理をS409に進め、超えていない場合には、処理をS411に進める。
【0077】
S409で、制御部50は、「Tmax−Tmin」が予め定められた温度b未満であるか否かを判断する。そして、b未満である場合には、処理をS410に進め、b以上である場合には、処理をS411に進める。
【0078】
S410で、制御部50は、食品の量を少量であると再決定し、処理をS411に進める。
【0079】
S411で、制御部50は、現在、食品の量が少量とされているか否かを判断し、少量とされている場合にはS412で、加熱動作を停止させた後処理をS413に進める。一方、少量とされていない場合、つまり、多量とされている場合には、そのままS413に処理を進める。
【0080】
S413で、制御部50は、残り加熱時間が0となったか否かを判断し、0となっていなければ、処理をS405に戻す。一方、0となっていれば、S414でマグネトロン12をOFFして、リターンする。
【0081】
以上説明したおまかせコース処理では、食品が多量と判断された場合でも、S409で、加熱室10内の最高温度と最低温度との差がbよりも小さいと判断されると、食品の量を少量とし、その時点で、S412の処理により、マグネトロン12による加熱が停止される。加熱室10内の最高温度と最低温度との差がbよりも小さい場合には、加熱が進行しても加熱室10内に大きく温度上昇している場所がないということが考えられる。なお、赤外線センサ70を用いた温度検知では、加熱室10内にセットされた食品の量が多く(食品が大きく)、赤外線センサ70の視野内での食品の占める割合が大きければ、当該視野の場所に対して決定される温度は食品の温度上昇を顕著に示すと考えられる。その一方で、食品の量が少なく(食品が小さく)、赤外線センサ70の視野内での食品の占める割合が小さければ、当該視野の場所に対して決定される温度は食品の温度上昇を顕著には示しにくいと考えられる。そして、S409では、最高温度と最低温度との差を判断対象とすることにより、S403で決定した食品の量が正しかったか判断し、その時点では少量であると判断されるのにS403で多量であると判断していた場合には、その時点で加熱を停止させ、多量に合うように加熱することにより食品を過剰に加熱することを回避しようとしている。
【0082】
また、以上説明した本実施の形態では、S406〜S412の処理は、S403において食品が多量であるとされたときにのみ実行される。なお、このような態様は、食品の量が他段階で判断される場合には、食品の量がある段階以上と判断されたときにS406〜S412の処理が実行されるように変更されてもよい。つまり、S406〜S412の処理は、食品の量がある程度多量であるとされた際に、当該量に応じて決定された加熱時間だけ加熱しても食品が加熱されすぎることがないかを確認するために行なわれる処理、と考えられる。
【0083】
また、以上説明したS412の処理では、加熱を停止させる処理を実行することにより食品が過剰に加熱されることを回避しているが、この処理は、マグネトロン12の出力を低下させる処理、または、設定温度を低下させる処理に置換されることもできる。設定温度とは、赤外線センサ70の検知出力に基づいて決定された食品の温度が当該設定温度に到達した際に、食品の加熱が完了したとして加熱を終了される温度である。
【0084】
S409における判断は、S406の処理により、加熱開始から所定時間tが経過してから実行される。所定時間tとは、たとえば、加熱開始後1分〜1分30秒とされるが、おまかせコース処理に対して、ユーザが、さらに、根菜を下茹でする調理、冷凍食品を解凍する調理、牛乳やお酒などの飲み物を温める調理、茶碗に入ったご飯を温める調理等、どんな調理に対するおまかせコースかを設定できる場合には、その調理ごとに、変更されてもよい。調理によって、加熱対象となる食品の温度の上昇のしやすさが異なる(たとえば、ジャガイモ等の根菜は、牛乳等液体と比較して温度上昇が遅い)ためである。また、同様に、調理ごとに、S409における判断対象となる温度bが変更されてもよい。
【0085】
また、上記したように、調理によって加熱対象となる食品の温度の上昇のしやすさが異なるため、調理によっては、S405〜S412の処理を行なわないようにしてもよい。
【0086】
また、以上説明したおまかせコース処理では、S407でその都度算出されたTmax、Tmin、および、「Tmax−Tmin」が、それ以降の処理の判断対象となっているが、所定時間tが経過してから特定の時間の間継続して複数回赤外線センサ70の検知出力に基づいて加熱室10内の複数の場所の温度が算出され、当該複数回算出されたすべての温度の中の最大値Tmaxをとし、最小値Tminをとして、それ以降の処理の判断対象とされてもよい。これにより、赤外線センサ70の検知出力における誤差が直接加熱制御に反映されることを極力回避できる。
【0087】
なお、S409における判断対象となる温度bは、加熱開始時の加熱室10内の複数の場所の温度の平均値等、加熱開始時の赤外線センサ70の検知出力に基づいた温度によって変更されることが好ましい。これにより、電子レンジ1の置かれている状況に応じた制御が可能になる。
【0088】
また、以上説明したおまかせコース処理では、S409での判断を、S408で、Tmaxがaを越えたときにのみ行なっている。これにより、加熱室10内に載置された食品は少量であるが、もともと加熱室10が部分的に高温であるような場合等、S412の処理が必要である場合にのみ、効果的に、S410の判断を行なうことができる。
【0089】
なお、以上説明したおまかせコースでは、説明を省略したが、マグネトロン12のON・OFFに応じて、適宜、アンテナモータ16がONされている。
【0090】
次に、おまかせコース処理の変形例について、図8を参照しつつ説明する。
制御部50は、まず、S450で、スタートキー6Bへの入力があったか否かを判断する。そして、入力があったと判断すると、S451でマグネトロン12をONする。
【0091】
電子レンジ1では、赤外線センサ70の視野は加熱室10の一部をカバーするものであり、移動されることにより、加熱室10内の全体での赤外線量の検知が行なえる。本明細書では、加熱室10内の全体の赤外線量の検知を一通り行なう際の移動を1回のサーチと言う。1サーチは、約3〜4秒の時間で行なわれる。赤外線センサ70の視野は、マグネトロン12による加熱が行なわれている際には、基本的に、定常的に移動し、赤外線センサ70は、その間に、予め定められた複数のポイントで、赤外線量の検知を行なっている。
【0092】
そして、制御部50は、S452で、加熱開始から赤外線センサ70の15サーチが終了したか否かを判断する。終了していれば、S453で、当該15サーチまでの検知出力から各ポイントの温度上昇量の最大値(Max△V)が10℃を越えているか否かを判断する。そして、越えていれば、S454に処理を進め、越えていなければ、S455に処理を進める。
【0093】
S454では、加熱開始から19サーチが終了したか否かを判断する。終了していれば、S457に処理を進める。
【0094】
一方、S455では、制御部50は、加熱開始から17サーチが終了したか否かを判断し、終了していれば、17サーチまでの検知出力から各ポイントの温度上昇量の最大値(Max△V)が15℃を越えているか否かを判断する。そして、越えていれば、S457に処理を進め、越えていなければ、S464に処理を進める。
【0095】
S457では、制御部50は、それまでの検知出力から各ポイントの温度上昇量の最大値(Max△V)が30℃を越えているか否かを判断する。そして、越えていれば、S458で加熱コースを「加熱コース3」に決定し、越えていなければ、S459で加熱コースを「加熱コース4」に決定し、共に、処理をS460に進める。
【0096】
図8に示すおまかせコース処理では、加熱コース1〜加熱コース4の4つの加熱コースが設定されている。加熱コースにより、設定温度SLが異なる。設定温度とは、赤外線センサ70の検知出力に基づいて決定された食品の温度が当該設定温度に到達した際に、食品の加熱が完了したとして加熱を終了される温度である。設定温度SLの設定例を、表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
表1に示すように、加熱コースごとに異なった設定温度が設けられている。さらに、各加熱コースでは、加熱開始の際に仕上がり調節として強めキー6Cまたは弱めキー6Dが入力されていた際には、それらによっても異なった設定温度が設けられている。なお、強めキー6Cおよび弱めキー6Dの入力がなかった場合には、表1中の「標準」の設定温度が採用される。
【0099】
S460では、その時点での赤外線センサ70の検知出力に基づいた加熱室10内の最高温度(S0)が設定温度SLに到達したか否かを判断する。そして、到達した場合には、S461で、加熱開始からS0がSLに到達するまでの時間が3分以内であったか否かを判断する。3分以内であれば、そのままS469でマグネトロン12をOFFして、リターンする。一方、3分を越えていた場合には、S462に処理を進める。
【0100】
S462で、制御部50は、SLを10℃上昇させるよう補正した後、S0が補正後のSLに到達したか否かを判断する。そして、到達したと判断すると、S469でマグネトロン12をOFFし、リターンする。
【0101】
一方、S464で、制御部50は、赤外線センサ70の21サーチが終了したか否かを判断し、終了したと判断すると、S465で、それまでの検知出力から各ポイントの温度上昇量の最大値(Max△V)が20℃を越えているか否かを判断する。そして、越えていれば、S466で加熱コースを「加熱コース2」に決定し、越えていなければ、S467で加熱コースを「加熱コース1」に決定し、共に、処理をS468に進める。
【0102】
そして、S468では、制御部50は、S0がSLに到達したか否かを判断する。到達したと判断すると、S469でマグネトロン12をOFFし、リターンする。
【0103】
以上、図8を用いて説明したおまかせコース処理では、4つの加熱コースの中で設定温度SLの比較的低い加熱コース3または加熱コース4が決定された場合、赤外線センサ70の検知出力に基づく検知温度が当該設定温度SLに到達するのに要する時間が特定時間(3分)を越えると、設定時間SLは上昇するように補正される。なお、設定温度SLの比較的低い加熱コースとは、たとえば、加熱対象となる食品の量が比較的少ない場合に適する加熱コースであると考えられる。そして、図8に示すおまかせコース処理では、食品の量が比較的少ないと判断されても、温度上昇の速度が予定したものより遅い場合には、実際には食品の量が判断したものより多かったと考えられ、設定温度SLを上昇させるよう補正される。食品の量が最初に判断したものより多かったと考えられる際に設定温度SLを上昇させるのは、食品の量が多いと、少ない場合よりも、食品の温度が同じでも加熱室10全体が蒸気等により温度上昇しやすいと考えられるためである。そして、強めキー6Cまたは弱めキー6Dが入力されている際には、表2に示すように温度の補正量が異なることが好ましい。
【0104】
【表2】
【0105】
強めキー6Cまたは弱めキー6Dが入力されることにより期待される効果を、加熱の仕上がりに充分に反映させるためである。
【0106】
また、表2に示したように、S461において判断対象となる時間(3分)も、強めキー6Cまたは弱めキー6Dが入力されている際には、変更されることがことが好ましい。
【0107】
また、赤外線センサ70は、底板9上の食品の載置されにくい位置の温度(棚温度)が検知できるように構成されている。そして、表2に示した補正値は、マグネトロン12による加熱動作が開始されるとき、マグネトロン12やヒータ13,14がONされていないとき、オートパワーオフ機能により電子レンジ1への電源の供給が停止されるとき、または、オートパワーオフによって電源の供給が停止された後電源の供給が再開されるとき等の、当該棚温度または雰囲気温度センサ71の検知温度に基づいて、変更されてもよい。赤外線センサ70の検知する温度域に応じて、赤外線センサ70の検知する赤外線量の領域が異なり、それにより、赤外線センサ70の検知誤差が当該検知出力から決定される検知温度に与える影響が異なるからである。
【0108】
今回開示された実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である電子レンジの斜視図である。
【図2】図1の電子レンジのII−II線に沿う模式的な矢視断面図である。
【図3】(A)は、図2のレンジ焼き皿の斜視図であり、(B)は、当該レンジ焼き皿の裏面図である。
【図4】図1の電子レンジの制御ブロック図である。
【図5】図1の電子レンジの制御部のメインルーチンのフローチャートである。
【図6】図5のトーストコース処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図7】図5のおまかせコース処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図8】図5のおまかせコース処理のサブルーチンの変形例のフローチャートである。
【符号の説明】
1 電子レンジ、5 本体枠、6 操作パネル、6B スタートキー、6C 強めキー、6D 弱めキー、7 赤外線センサユニット、9 底板、10 加熱室、12 マグネトロン、13,14 ヒータ、48 温度センサ、50 制御部、70 赤外線センサ、71 雰囲気温度センサ、72 センサ駆動部、80レンジ焼き皿、81 高周波発熱体。
Claims (17)
- 被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室内に高周波を供給するマグネトロンと、
前記加熱室内に供給するための熱を発するヒータと、
前記被加熱物を載置して前記加熱室内に収納されるとともに、高周波を吸収して発熱する高周波発熱体を配置した加熱皿と、
前記加熱皿の温度を検知する皿温度検知部と、
前記加熱室の温度を検知する加熱室温度検知部と、
前記マグネトロンに、前記加熱皿の予熱動作として予熱時間だけ高周波を供給させた後、第1の加熱動作として第1の加熱時間だけ高周波を供給させ、その後、前記ヒータに第2の加熱動作として第2の加熱時間だけ熱を発生させる、制御部と、
前記予熱動作開始時に、前記皿温度検知部が検知した温度に基づいて前記予熱時間を算出する予熱時間算出部と、
前記予熱動作開始時に、加熱開始時に前記加熱室温度検知部が検知した温度に基づいて、前記第1の加熱時間を算出する第1の加熱時間算出部と、
前記第1の加熱動作の終了時に前記加熱室温度検知部が検知した温度に基づいて、前記第2の加熱時間を算出する第2の加熱時間算出部とを含む、加熱調理装置。 - ユーザに情報を入力させるための情報入力部をさらに含み、
前記制御部は、前記予熱動作の後、前記情報入力部に加熱開始のための情報が入力されるのを待って、前記マグネトロンに前記第1の加熱動作を実行させる、請求項1に記載の加熱調理装置。 - 被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、
前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、
前記加熱部の加熱動作を制御する、加熱制御部とを含み、
前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が予め定められた第1の温度よりも小さいときに、前記加熱部の加熱動作を停止させる特別制御を実行する、加熱調理装置。 - 被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、
前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、
前記加熱部の加熱動作を制御する、加熱制御部とを含み、
前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が予め定められた第1の温度よりも小さいときに、前記加熱部の加熱動作における出力を低下させる特別制御を実行する、加熱調理装置。 - 被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、
前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、
前記加熱部に前記温度検知部の検知温度が所定の温度に到達するまで加熱動作を実行させるよう制御する、加熱制御部とを含み、
前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が予め定められた第1の温度よりも小さいときに、前記所定の温度を低下させる特別制御を実行する、加熱調理装置。 - 前記加熱制御部は、前記加熱物に加熱動作を開始させてから予め定められた一定の時間が経過したときに、前記特別制御のために前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差が前記第1の温度よりも小さいか否かを判断する、請求項3〜請求項5のいずれかに記載の加熱調理装置。
- 前記加熱制御部は、前記加熱部に加熱動作を開始させた後、第1の時間が経過してから第2の時間が経過するまでの、前記加熱室内の複数の場所の温度の最高温度と最低温度の差の最小値が前記第1の温度よりも小さいときに、前記特別制御を実行する、請求項3〜請求項5のいずれかに記載の加熱調理装置。
- 前記第1の温度は、前記加熱部の加熱動作の開始時における前記温度検知部の検知温度に応じて変更される、請求項3〜請求項7のいずれかに記載の加熱調理装置。
- 前記加熱制御部は、複数の調理メニューの各々に応じて前記加熱部に異なった態様で加熱動作を実行させ、
前記第1の温度は、前記調理メニューによって変更される、請求項3〜請求項8のいずれかに記載の加熱調理装置。 - 前記加熱制御部は、前記加熱部に、複数の調理メニューの各々に応じて異なった態様で加熱動作を実行させ、かつ、特定の調理メニューに応じた加熱動作を実行させている場合には前記特別制御を実行しない、請求項3〜請求項9のいずれかに記載の加熱調理装置。
- 前記加熱制御部は、前記加熱部の加熱動作の開始時において前記温度検知部が検知した前記複数の場所の温度の最高値が特定の温度以上である場合にのみ、前記特別制御を実行する、請求項3〜請求項10のいずれかに記載の加熱調理装置。
- 前記加熱室内で、前記加熱部による加熱開始後の予め定められた所定時間内において、所定値以上温度が変化した場所の数から、前記加熱部に収容されている被加熱物の量を決定する第1の量決定部をさらに含み、
前記加熱制御部は、前記第1の量決定部によって決定された量が所定の量以上であったときにのみ、前記特別制御を実行する、請求項3〜請求項11のいずれかに記載の加熱調理装置。 - 前記加熱部に加熱動作を実行させる時間を前記加熱調理装置の外部から入力するための加熱時間入力部と、
前記加熱時間入力部に入力された時間だけ前記加熱制御部に前記加熱部に加熱動作を実行させる設定である手動制御設定を前記加熱調理装置の外部から行なうための、加熱動作設定部とをさらに含み、
前記加熱制御部は、前記加熱動作設定部において前記手動制御設定が行なわれたときには、前記特別制御を実行しない、請求項3〜請求項12のいずれかに記載の加熱調理装置。 - 被加熱物を収容する加熱室と、
前記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱部と、
前記加熱室内の複数の場所の温度を検知する温度検知部と、
前記加熱室内での、前記加熱部による加熱開始後の所定時間内における前記複数の場所におけるそれぞれの温度変化量の中で、最も大きい温度変化量に応じて、前記加熱部による加熱を終了させるための条件となる前記温度検知部の検知温度である設定温度を決定する、設定温度決定部と、
前記加熱部による加熱動作が開始されてから、前記加熱室内の複数の場所の中のいずれかの温度が前記設定温度に到達するまでに要する時間が、予め定められた特定時間を越えた場合には、前記設定温度を上昇させるよう補正する、設定温度補正部とを含む、加熱調理装置。 - 前記加熱調理装置の外部から、前記加熱部により被加熱物の加熱に対する仕上がりの強弱についての情報を入力するための情報入力部をさらに含み、
前記設定温度補正部は、前記情報入力部に入力された仕上がりの強弱に応じて、前記特定時間の長さを補正する、請求項14に記載の加熱調理装置。 - 前記温度検知部の周囲の温度を検知する周囲温度検知部をさらに含み、
前記設定温度補正部は、前記加熱部の加熱開始時の前記周囲温度検知部の検知温度に基づいて、前記設定温度を補正する、請求項14または請求項15に記載の加熱調理装置。 - 前記温度検知部は、前記加熱室内で被加熱物の載置されにくい場所の温度を棚温度として検知でき、
前記設定温度補正部は、前記周囲温度検知部の検知温度、および、前記棚温度に基づいて、前記設定温度を補正する、請求項16に記載の加熱調理装置。
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JP2002157662A JP2004003698A (ja) | 2002-05-30 | 2002-05-30 | 加熱調理装置 |
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JP2014070875A (ja) * | 2012-10-02 | 2014-04-21 | Panasonic Corp | 高周波加熱装置 |
JP2014074510A (ja) * | 2012-10-03 | 2014-04-24 | Panasonic Corp | 高周波加熱装置 |
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2002
- 2002-05-30 JP JP2002157662A patent/JP2004003698A/ja not_active Withdrawn
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