JP2004003667A - 固着リング組付装置及びその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固着リングの簡単な組付け、分解を可能とする固着リング組付装置及びその方法を提供する。
【解決手段】固着リングは、互いに離間した一対のリング端11、12と、一定の横断面を有する少なくとも周面の150度にわたる領域Bと、各リング端11、12の領域で内周面側に開口している凹部13、14と、一定の横断面を有する領域Bの各終端部に隣接して外周面側に開口している凹部17、18とを有する。固着リングが静止状態のときに円形状であり、一対のリング端11、12を互いに近づけるとその円形状を実質的に維持しながら引き締まる。固着リング組付装置は、一対のリング端11、12をある程度加圧する、固着リング用の受容部30と、この受容部30から突起し、外周面側に開口している凹部17、18と係合する複数の突起部33、34とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】固着リングは、互いに離間した一対のリング端11、12と、一定の横断面を有する少なくとも周面の150度にわたる領域Bと、各リング端11、12の領域で内周面側に開口している凹部13、14と、一定の横断面を有する領域Bの各終端部に隣接して外周面側に開口している凹部17、18とを有する。固着リングが静止状態のときに円形状であり、一対のリング端11、12を互いに近づけるとその円形状を実質的に維持しながら引き締まる。固着リング組付装置は、一対のリング端11、12をある程度加圧する、固着リング用の受容部30と、この受容部30から突起し、外周面側に開口している凹部17、18と係合する複数の突起部33、34とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固着リングに関する。
【0002】
【従来の技術】
このような固着リングによって例えば段付軸を穴のなかで軸線方向で固定することができる。このために先行技術(例えば特許文献1)において線材止め輪が公知である。軸若しくは穴用の線材止め輪は、軸若しくは穴の受容溝のなかで、半径方向で圧縮され若しくは半径方向で拡張された緊張状態において、軸線方向での上面摺動若しくは押込みによって当該機械部分の組付けを可能とする。このような線材止め輪でもって、半径方向で弛緩されて機械部分の係止溝内に突出する状態においてこの機械部分は軸線方向で固定保持することができる。このために、これらの線材止め輪の末端は軸の場合内方に、若しくは穴の場合外方に、リング長の約10%が曲げられており、これらの末端は線材止め輪を実質的にその受容溝と同軸で保持しながら溝底で支えられる。
【0003】
また、例えば特許文献2により公知の止め輪はばね線材から作製されており、内方に曲折した末端を有する。このような止め輪は、その曲折端が止め円板の軸線方向切欠き内にくるように、開いた状態で滑動させることによって止め円板の溝に嵌め込まれる。止め円板と止め輪とからこのように予め組付けられた構造ユニットが組付けのために円筒形ハウジングに押し込まれ、曲折端に作用する締付工具によって、押込み操作の間に止め円板の溝のなかで完全に見えなくなる程度に、止め輪は半径方向で緊締される。予め組付けられたこの構造ユニットを軸線方向で位置決めした後、止め輪は半径方向で再び開かれて、一部は止め円板の溝のなかに、一部は円筒形ハウジングの周溝のなかにき、こうして止め円板を希望の如くに軸線方向で固定する。
【0004】
2つのハウジング部分の着脱可能な継手が、例えば特許文献3に記載されており、そこでは一方のハウジング部分の円筒形延長部の外周面が環状溝を有し、他方のハウジング部分の前記延長部を受容する円筒形凹部の壁は、半径方向でこの第1環状溝に続く環状溝を有する。両方の環状溝のなかにある卵形環状体は取外し位置のとき円形状であり、その直径は両方の環状溝の底の直径の間にある。取付位置のとき環状体は互いに180°ずれた2つのねじによって加圧されて卵形とされており、凹部の壁は、広い遊隙で延長部を包囲する拡張直径を外端に有する。着脱可能なこの継手は、確かに、比較的大きな軸線方向力を吸収することができる。但し、両方の締付ねじ用のねじ山を作製して、締付ねじをそれらのねじ山にねじ込まねばならないので、この継手は製造の点でも比較的支出を要する。
【0005】
軸線方向力の吸収と易組付け性とに厳しい条件が要求される場合、薄板から打ち抜いた軸用止め輪が利用され、これらの軸用止め輪は締付工具を受容するための穴を末端に有する。
【0006】
【特許文献1】
独国特許発明第2620142号明細書
【特許文献2】
独国特許出願公告第3635020号明細書
【特許文献3】
独国特許出願公告第1251091号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような軸用止め輪は、通常、軸用止め輪の周面に沿って変化する横断面を有する。末端の領域では横断面が中心領域とほぼ同じ大きさである。その結果、このような止め輪は圧縮状態のとき卵形となる。こうしてこれらのリングはきわめて窮屈な組付け事情のときには使用不能である。
【0008】
更に、段付軸と円筒穴との間の狭い隙間のなかでこのような軸用止め輪を組付け若しくは分解しなければならないとき、通常のプライヤが軸用止め輪の穴から容易に滑り落ちるので、困難が生じる。その他、曲折リング端を有する線材からなる軸用止め輪にも同じことが言える。軸用止め輪は、しばしば、段付軸と円筒穴との間の環状隙間内に数cm深く挿入されている。そのことから取扱いがかなり困難となる。最後に、周溝内に係止される軸用止め輪は、しばしば、工具を受容するための穴が、若しくは曲折端に形成される輪が、環状溝の側面によって部分的に覆われるほどに、穴の周溝内深くに係止されている。その結果、工具は軸用止め輪を把持することができず又は把持するのがきわめて困難になる。
【0009】
そこで本発明の課題は、固着リングの簡単な組付け、分解を可能とする固着リング組付装置及びその方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内周面および外周面を有する固着リングを組付けるための装置であって、固着リングは、互いに離間した一対のリング端(11、12)と、一定の横断面を有する少なくとも周面の150度にわたる領域(B)と、各リング端(11、12)の領域で内周面側に開口している凹部(13、14)と、一定の横断面を有する領域(B)の各終端部に隣接して外周面側に開口している凹部(17、18)とを有し、固着リングが静止状態のときに円形状であり、一対のリング端(11、12)を互いに近づけるとその円形状を実質的に維持しながら引き締まるものであり、一対のリング端(11、12)をある程度加圧する、固着リング用の受容手段(30)と、この受容手段(30)から突起し、外周面側に開口している凹部(17、18)と係合する複数の突起部(33、34)とを備えている。
【0011】
上述したように、静止状態のときほぼ円形状である固着リングは、互いに離間した2つのリング端と、少なくとも周面の150°にわたって実質的に一定した横断面と、各リング端の領域に、その内周面に向かって開口する凹部とを有することから、リング端の凹部のなかに締付工具を確実に係合させることが可能となる。締付工具が難なく導入可能となるまで、凹部は環状面内に達しさせることができる。横断面が固着リングの広い部分にわたって同一であることによって、締付工具をもはや凹部内に挿入させることができなくなるまで、リング端が環状溝内で沈むことは効果的に防止される。
この固着リングの特に意外な特性は、固着リングによって吸収可能な軸方向力が類似の軸用止め輪の場合よりも強いことにある。
他の予期せぬ効果として、この固着リングは両方のリング端を引き締めるときその円形状を−直径を小さくしながら−実質的に維持する。
この固着リングの好ましい1実施態様では、実質的に一定した横断面の領域は横断面が長方形、正方形、円形又は卵形であり、リング端を基準に対称である。
固着リングの好ましい1実施態様では、実質的に一定した横断面の領域が固着リング周面の250°未満にわたって、好ましくは約202°にわたって、延びている。こうして特に簡単な固着リングの組付け及び分解が可能である。
固着リングの1実施態様では、実質的に一定した横断面の領域の両端に、固着リングの外周面に向かって開口する各1つの凹部が隣接している。こうして固着リングは、締付工具によって圧縮位置にされた後、この位置で確実に保持することができる。
固着リングをできるだけ確実正確に各圧縮位置で保持するために、固着リングの外周面に向かって開口する各凹部が約5°〜30°の角度範囲を成すのが有利である。
固着リングの特に好ましい1実施態様では、固着リングの外周面に向かって開口する各凹部が、固着リングの包絡線に対して偏心で内方にずれた底を有し、この底が凸面形状、好ましくはほぼ半円形状を有する。固着リングの包絡線よりも小さな直径の円が固着リングの包絡線の直径の約1%〜10%だけ包絡線の中心から主に定横断面領域の方にずらされていると、底の偏心率は定義することができる。
組付け時に固着リングの膠着又は傾きを防止するために、固着リングの外周面に向かって開口する各凹部の底に、移行部を丸くされた凹部の側面がそれぞれ続いている。
圧縮位置において固着リングが確実に保持されるように、好ましくは、固着リングの外周面に向かって開口する各凹部の各リング端に近い方の側面が、各リング端から遠い方の側面よりも深い。
固着リングの外周面に向かって開口する各凹部は固着リングの横断面の約10%〜60%を占める。
固着リングをその組付け位置に容易に移すことができるように、リング末端を必要な限り圧縮することができるようにするために、リング端は固着リングの静止状態のとき好ましくは5°〜50°の開き角で相互に離間している。
窮屈な事情のもとで容易に分解するためにも締付工具の係合を容易とするために、内周面に向かって開口する凹部は、好ましくはほぼ半円形の凸面底とこれに続く直線状側面とを有する。
固着リングの圧縮又は引締めのために強い締付力もそのリング端に加えることができるように、内周面に向かって開口する凹部は、それぞれ、固着リングの中心から離れた中心軸線を有する。
好ましくは、固着リングの中心から離れた中心軸線が固着リングの対称軸線とで約5°〜25°の角度を成す。このことで強い締付力が可能となり、また同時に、窮屈な事情のもとでも掴み装置又は締付装置の確実な把持が可能となる。
【0012】
上述した固着リング組付装置は、そのリング端が少なくとも部分的に圧縮された固着リング用の受容部と、受容部から突出して、固着リングの外周面に向かって開口する凹部の各1つのなかに係合する2つの突起とを有するので、固着リングを簡単確実に、窮屈な環境のもとでも迅速に組付けることができる。
好ましくは、その一方の端面が固着リングの周面形状に近似しているスリーブによって受容部が形成されている。この端面に突起が配置されている。
この装置の1実施態様では、受容部が、円切片状又は扇状横断面の少なくとも1つの先細部を有し、この先細部に摺動機構が配置されている。この摺動機構によって、装置の箇所にある固着リングはその組付けられた端位置に移すことができる。
受容部は、好ましくは、リング端の領域で固着リングに作用する第1摺動機構と、直径上で第1摺動機構に向き合うように配置され且つ特にこれと一緒に操作可能な第2摺動機構とを有する。こうして、穴内深くに挿入されるべき固着リングも簡単迅速に(場合によってはこの装置を有する自動操作装置によっても)組付けることができる。
この装置によって固着リングを、穴内に設けられた環状溝のなかに又は段差の背後に移すために、各摺動機構はスリーブの長手方向で、受容部に対して後退した後退位置と、突起から突出することになる前進位置との間を摺動可能である。
この装置において、特に好ましい1実施態様によれば、スリーブは、固着リングで固着されるべき部材又は組立体を受容するように整えられている。スリーブが部材又は組立体を正確な嵌合いで受容するとき、公差が僅かな場合でも迅速確実な組付けを達成することができる。
【0013】
また、本発明は、内周面および外周面を有する固着リングを組付けるための方法であって、固着リングは、互いに離間した一対のリング端(11、12)と、一定の横断面を有する少なくとも周面の150度にわたる領域(B)と、各リング端(11、12)の領域で内周面側に開口している凹部(13、14)と、一定の横断面を有する領域(B)の各終端部に隣接して外周面側に開口している凹部(17、18)とを有し、固着リングが静止状態のときに円形状であり、一対のリング端(11、12)を互いに近づけるとその円形状を実質的に維持しながら引き締まるものであり、固着リング組付方法は、一対のリング端(11、12)を互いに近づけて固着リングを縮径させるステップ(a)と、固着リングの縮径状態を保持するステップ(b)と、組付け側の開口部の溝又は肩部まで固着リングを挿入するステップ(c)と、固着リングを拡径して溝に着座させ又は肩部に当接させるステップ(d)とを備えている。
縮径ステップ(a)は、内周面側に開口している凹部(13、14)を利用してなされる。
保持ステップ(b)は、固着リングの外周面側に開口している凹部(17、18)を、外周面側に開口している凹部(17、18)相互の距離よりも小さい距離を離間する一対の突起部(33、34)に係合させてなされるステップ(b1)である。この場合に、拡径ステップ(d)は、外周面側に開口している凹部(17、18)が突起部(33、34)から外れることによってなされるステップ(d1)であるようにするのが好ましい。また、拡径ステップは、好ましくは、凹部が突起から解放されるように固着リングが摺動することによって行われる。
【0014】
図面に基づいて本発明のその他の有利な構成、展開及び特徴を以下に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1の(a)は、冷間引抜ばね鋼から打ち抜いて乾燥リン酸亜鉛処理を施した固着リングであり、静止状態のときにはほぼ円形状である。固着リングは互いに離間した2つのリング端11、12を有し、約202°の領域Bにわたって実質的に一定した横断面を有する。この領域Bはリング端11、12に向かって対称的に配置されており、リング端11、12の間を延びる固着リングの対称軸線Sを基準に固着リングは対称である。
【0016】
固着リングの内周面に向かって開口する凹部13、14が、各リング端11、12の領域に設けられている。これらの凹部13、14は、リングの組付け前にこのリングを緊張させるのに役立つ。横断面の実質的に一定した領域Bの両端に、固着リングの外周面に向かって開口する各1つの凹部17、18が隣接している。これらの凹部17、18は約21°の開口角度aを成す。凹部17、18は固着リングの包絡線uに対して内方にずれた底21、22を有し、この底21、22は、包絡線uの中心からずれた点に中心を有して偏心しており、その断面形状は半円形凸面形状である。外向きに開口する凹部17、18の底21、22に、移行部17c、17d;18c、18dを伴うそれぞれ丸くされた側面17a、17b;18a、18bが続いている。内方にずらされた底21、22が、対称軸線Sに沿って領域Bの方向に区間Eだけ偏心していることによって、外向きに開口する各凹部17、18における各リング端11、12に近い方の側面17a、18aが、各リング端11、12から遠い方の側面17b、18bよりも深い。外向きに開口する凹部17、18は、各リング端11、12から離れた方の側面17b、18bの領域で約1/4だけ、また各リング端11、12に近い方の側面17a、18aの領域で約半分だけ、固着リングの横断面を低減する。
【0017】
リング端11、12は、静止状態のときに約30°の開き角bで相互に離間している。
【0018】
内周面に向かって開口する凹部13、14が半円形底23、25を有し、この底23、25に、両側で直線的に延びる平行な側面13a、13b;14a、14bが続いている。内向きに開口する凹部13、14が固着リングの横断面内に突出しており、リング端11、12の最も薄い箇所で横断面Dは約20%〜40%に低減している。内向きに開口する凹部13、14は、それらの中心軸線Mが固着リングの中心から離れるように整列している。凹部13、14の中心軸線Mは、図1の(b)に示すように固着リングの対称軸線Sに対して約15°の角度cを成す。
【0019】
以上述べた固着リングを組付けるための装置が図2〜図4に示されている。この装置は(図示しない)固着リングのために受容部30を有する。この受容部30は、管状スリーブ32の端面30aによって形成されており、スリーブ32の端面30aは、固着リングの周面形状に近似した形状を有し、実質的に円環状である。この端面30aに2つの突起部33、34が配置されており、リング端を圧縮すると、固着リングの外周面に向かって開口する凹部内に突起が形状嵌合式に係合するように、突起の形状が選定されている。管状スリーブ32の外面で突起部33、34はこのスリーブ32と同一平面上で成端している。
【0020】
受容部30、言い換えると円筒形スリーブ32は、直径上で向き合う2つの弦状先細り部36、37(図4参照)を有し、これらの先細り部36、37は、両方の突起部33、34の間を延びる対称軸Vに対して直角に配置されている。
【0021】
各弦状先細り部36、37の部分には第1摺動機構39および第2摺動機構38が配置されており、これらの摺動機構38、39は、スリーブ32の外接円を超えて突出しないようにその寸法が選定されている。第1摺動機構39は、突起33、34の間のリング端11、12の領域で、受容部30内にある固着リングに作用する。第2摺動機構38は固着リングの閉領域内に作用する。摺動機構38、39が受容部30若しくは端面30aに対して軸線方向で後退している後退位置と、摺動機構38、39が突起33、34よりも軸線方向で張り出すことになる前進位置との間で、両方の摺動機構38、39がスリーブ32の長手軸線W(図2参照)と平行に摺動可能となるように、両方の摺動機構38、39が操作機構(図示省略)によって一緒に操作可能である。
【0022】
スリーブ32は空洞42を有する。この空洞42は、固着リングで固着されるべき部材を正確な嵌合いで受容するように整えられている。
【0023】
以上述べた固着リングによって部材又は組立体を固着するための本発明による方法を図5を参考に以下説明する。
【0024】
図5は、本発明の固着リングを取り付ける機械的操作ユニットの一部を示している。その他の部分は、従来の構造例えばEP0403635B1に示されているような構造である。円筒50は、ばね54のためのばね保持器52を内包する。ばね保持器52およびばね54は部分的に図示されている。ばね54は、ばね保持器52を介して操作棒56に作用する。
【0025】
ばね保持器52とこれに付属した部材とを円筒50内に組付けるために、ばね保持器52は、他の部材と一緒に予め組付けて1つの組立体とされる。固着リング60のリング端11、12で内周面に向かって開口する凹部13、14内に掴み装置の掴み具を係合させ、該掴み装置によって固着リング60が引き締められた後に、固着リング60は受容部30の端面30aに載置される。その際、固着リング60の直径が縮小するが、しかしその円環形状を実質的に維持する。すなわち、縮径する前後および縮径している際にも、固着リング60は円環形状である。スリーブ32の端面30aに設けられた突起部33、34が外周面側に開口している凹部17、18に係合し、固着リング60をその縮小した直径で保持する。次に、ばね保持器52と一緒に予め組付けられた組立体がスリーブ32の空洞42に導入される。次に、円筒50の内壁に設けられた環状溝62に固着リング60が位置するまで、固着リング60と組立体とが円筒50内に導入される。次に、両方の摺動機構38、39をその後退位置から前進位置へと摺動させる。固着リング60が受容部30から進出し、固着リング60の外向き凹部17、18が突起部33、34から外れる。固着リング60は、円環形状のままで直径が拡大して、環状溝62内に係合される。ばね保持器52は、こうして離脱不可能に円筒50内で保持される。引き続いて、スリーブ32が円筒50内から引き出される。こうして組付け作業が終了する。
【0026】
分解のときには、固着リング60の内周面に向かって開口する凹部13、14内に掴み装置の掴み具が係合し、該掴み装置によって固着リング60が引き締められてその直径が縮小する。この状態において固着リング60を、環状溝62から円筒50の軸線方向に引き出すことができる。この状態では組立体が自由となって円筒50から取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は固着リングの概略平面図であり、(b)は(a)のA部を拡大した平面図である。
【図2】図1の固着リングを組付けるための装置を正面から見た概略断面図である。
【図3】図2の固着リング組付装置を側方から見た右側面図である。
【図4】図2の固着リング組付装置を上方から見た平面図である。
【図5】図2の固着リング組付装置を用いて図1の固着リングによって組立体を組付けた機械的操作機構を部分的に示す断面図である。
【符号の説明】
11、12 リング端
13、14 内周面側に開口している凹部
17、18 外周面側に開口している凹部
13a、13b、14a、14b、17a、17b、18a、18b 側面
17c、17d、18c、18d 移行部
21、22 底
23、25 半円形底
30 受容部(受容手段)
30a 端面
32 スリーブ
33、34 突起部
36、37 先細り部
38 第2摺動手段
39 第1摺動手段
42 空洞
50 円筒
52 ばね保持器
54 ばね
56 操作棒
60 固着リング
62 環状溝
a 開口角度
B 領域
b 開き角
c 中心軸線と対称軸線とのなす角度
D 横断面
E 区間
M 中心軸線
S 対称軸線
u 包絡線
V 対称軸
W 長手軸線
【発明の属する技術分野】
本発明は、固着リングに関する。
【0002】
【従来の技術】
このような固着リングによって例えば段付軸を穴のなかで軸線方向で固定することができる。このために先行技術(例えば特許文献1)において線材止め輪が公知である。軸若しくは穴用の線材止め輪は、軸若しくは穴の受容溝のなかで、半径方向で圧縮され若しくは半径方向で拡張された緊張状態において、軸線方向での上面摺動若しくは押込みによって当該機械部分の組付けを可能とする。このような線材止め輪でもって、半径方向で弛緩されて機械部分の係止溝内に突出する状態においてこの機械部分は軸線方向で固定保持することができる。このために、これらの線材止め輪の末端は軸の場合内方に、若しくは穴の場合外方に、リング長の約10%が曲げられており、これらの末端は線材止め輪を実質的にその受容溝と同軸で保持しながら溝底で支えられる。
【0003】
また、例えば特許文献2により公知の止め輪はばね線材から作製されており、内方に曲折した末端を有する。このような止め輪は、その曲折端が止め円板の軸線方向切欠き内にくるように、開いた状態で滑動させることによって止め円板の溝に嵌め込まれる。止め円板と止め輪とからこのように予め組付けられた構造ユニットが組付けのために円筒形ハウジングに押し込まれ、曲折端に作用する締付工具によって、押込み操作の間に止め円板の溝のなかで完全に見えなくなる程度に、止め輪は半径方向で緊締される。予め組付けられたこの構造ユニットを軸線方向で位置決めした後、止め輪は半径方向で再び開かれて、一部は止め円板の溝のなかに、一部は円筒形ハウジングの周溝のなかにき、こうして止め円板を希望の如くに軸線方向で固定する。
【0004】
2つのハウジング部分の着脱可能な継手が、例えば特許文献3に記載されており、そこでは一方のハウジング部分の円筒形延長部の外周面が環状溝を有し、他方のハウジング部分の前記延長部を受容する円筒形凹部の壁は、半径方向でこの第1環状溝に続く環状溝を有する。両方の環状溝のなかにある卵形環状体は取外し位置のとき円形状であり、その直径は両方の環状溝の底の直径の間にある。取付位置のとき環状体は互いに180°ずれた2つのねじによって加圧されて卵形とされており、凹部の壁は、広い遊隙で延長部を包囲する拡張直径を外端に有する。着脱可能なこの継手は、確かに、比較的大きな軸線方向力を吸収することができる。但し、両方の締付ねじ用のねじ山を作製して、締付ねじをそれらのねじ山にねじ込まねばならないので、この継手は製造の点でも比較的支出を要する。
【0005】
軸線方向力の吸収と易組付け性とに厳しい条件が要求される場合、薄板から打ち抜いた軸用止め輪が利用され、これらの軸用止め輪は締付工具を受容するための穴を末端に有する。
【0006】
【特許文献1】
独国特許発明第2620142号明細書
【特許文献2】
独国特許出願公告第3635020号明細書
【特許文献3】
独国特許出願公告第1251091号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような軸用止め輪は、通常、軸用止め輪の周面に沿って変化する横断面を有する。末端の領域では横断面が中心領域とほぼ同じ大きさである。その結果、このような止め輪は圧縮状態のとき卵形となる。こうしてこれらのリングはきわめて窮屈な組付け事情のときには使用不能である。
【0008】
更に、段付軸と円筒穴との間の狭い隙間のなかでこのような軸用止め輪を組付け若しくは分解しなければならないとき、通常のプライヤが軸用止め輪の穴から容易に滑り落ちるので、困難が生じる。その他、曲折リング端を有する線材からなる軸用止め輪にも同じことが言える。軸用止め輪は、しばしば、段付軸と円筒穴との間の環状隙間内に数cm深く挿入されている。そのことから取扱いがかなり困難となる。最後に、周溝内に係止される軸用止め輪は、しばしば、工具を受容するための穴が、若しくは曲折端に形成される輪が、環状溝の側面によって部分的に覆われるほどに、穴の周溝内深くに係止されている。その結果、工具は軸用止め輪を把持することができず又は把持するのがきわめて困難になる。
【0009】
そこで本発明の課題は、固着リングの簡単な組付け、分解を可能とする固着リング組付装置及びその方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内周面および外周面を有する固着リングを組付けるための装置であって、固着リングは、互いに離間した一対のリング端(11、12)と、一定の横断面を有する少なくとも周面の150度にわたる領域(B)と、各リング端(11、12)の領域で内周面側に開口している凹部(13、14)と、一定の横断面を有する領域(B)の各終端部に隣接して外周面側に開口している凹部(17、18)とを有し、固着リングが静止状態のときに円形状であり、一対のリング端(11、12)を互いに近づけるとその円形状を実質的に維持しながら引き締まるものであり、一対のリング端(11、12)をある程度加圧する、固着リング用の受容手段(30)と、この受容手段(30)から突起し、外周面側に開口している凹部(17、18)と係合する複数の突起部(33、34)とを備えている。
【0011】
上述したように、静止状態のときほぼ円形状である固着リングは、互いに離間した2つのリング端と、少なくとも周面の150°にわたって実質的に一定した横断面と、各リング端の領域に、その内周面に向かって開口する凹部とを有することから、リング端の凹部のなかに締付工具を確実に係合させることが可能となる。締付工具が難なく導入可能となるまで、凹部は環状面内に達しさせることができる。横断面が固着リングの広い部分にわたって同一であることによって、締付工具をもはや凹部内に挿入させることができなくなるまで、リング端が環状溝内で沈むことは効果的に防止される。
この固着リングの特に意外な特性は、固着リングによって吸収可能な軸方向力が類似の軸用止め輪の場合よりも強いことにある。
他の予期せぬ効果として、この固着リングは両方のリング端を引き締めるときその円形状を−直径を小さくしながら−実質的に維持する。
この固着リングの好ましい1実施態様では、実質的に一定した横断面の領域は横断面が長方形、正方形、円形又は卵形であり、リング端を基準に対称である。
固着リングの好ましい1実施態様では、実質的に一定した横断面の領域が固着リング周面の250°未満にわたって、好ましくは約202°にわたって、延びている。こうして特に簡単な固着リングの組付け及び分解が可能である。
固着リングの1実施態様では、実質的に一定した横断面の領域の両端に、固着リングの外周面に向かって開口する各1つの凹部が隣接している。こうして固着リングは、締付工具によって圧縮位置にされた後、この位置で確実に保持することができる。
固着リングをできるだけ確実正確に各圧縮位置で保持するために、固着リングの外周面に向かって開口する各凹部が約5°〜30°の角度範囲を成すのが有利である。
固着リングの特に好ましい1実施態様では、固着リングの外周面に向かって開口する各凹部が、固着リングの包絡線に対して偏心で内方にずれた底を有し、この底が凸面形状、好ましくはほぼ半円形状を有する。固着リングの包絡線よりも小さな直径の円が固着リングの包絡線の直径の約1%〜10%だけ包絡線の中心から主に定横断面領域の方にずらされていると、底の偏心率は定義することができる。
組付け時に固着リングの膠着又は傾きを防止するために、固着リングの外周面に向かって開口する各凹部の底に、移行部を丸くされた凹部の側面がそれぞれ続いている。
圧縮位置において固着リングが確実に保持されるように、好ましくは、固着リングの外周面に向かって開口する各凹部の各リング端に近い方の側面が、各リング端から遠い方の側面よりも深い。
固着リングの外周面に向かって開口する各凹部は固着リングの横断面の約10%〜60%を占める。
固着リングをその組付け位置に容易に移すことができるように、リング末端を必要な限り圧縮することができるようにするために、リング端は固着リングの静止状態のとき好ましくは5°〜50°の開き角で相互に離間している。
窮屈な事情のもとで容易に分解するためにも締付工具の係合を容易とするために、内周面に向かって開口する凹部は、好ましくはほぼ半円形の凸面底とこれに続く直線状側面とを有する。
固着リングの圧縮又は引締めのために強い締付力もそのリング端に加えることができるように、内周面に向かって開口する凹部は、それぞれ、固着リングの中心から離れた中心軸線を有する。
好ましくは、固着リングの中心から離れた中心軸線が固着リングの対称軸線とで約5°〜25°の角度を成す。このことで強い締付力が可能となり、また同時に、窮屈な事情のもとでも掴み装置又は締付装置の確実な把持が可能となる。
【0012】
上述した固着リング組付装置は、そのリング端が少なくとも部分的に圧縮された固着リング用の受容部と、受容部から突出して、固着リングの外周面に向かって開口する凹部の各1つのなかに係合する2つの突起とを有するので、固着リングを簡単確実に、窮屈な環境のもとでも迅速に組付けることができる。
好ましくは、その一方の端面が固着リングの周面形状に近似しているスリーブによって受容部が形成されている。この端面に突起が配置されている。
この装置の1実施態様では、受容部が、円切片状又は扇状横断面の少なくとも1つの先細部を有し、この先細部に摺動機構が配置されている。この摺動機構によって、装置の箇所にある固着リングはその組付けられた端位置に移すことができる。
受容部は、好ましくは、リング端の領域で固着リングに作用する第1摺動機構と、直径上で第1摺動機構に向き合うように配置され且つ特にこれと一緒に操作可能な第2摺動機構とを有する。こうして、穴内深くに挿入されるべき固着リングも簡単迅速に(場合によってはこの装置を有する自動操作装置によっても)組付けることができる。
この装置によって固着リングを、穴内に設けられた環状溝のなかに又は段差の背後に移すために、各摺動機構はスリーブの長手方向で、受容部に対して後退した後退位置と、突起から突出することになる前進位置との間を摺動可能である。
この装置において、特に好ましい1実施態様によれば、スリーブは、固着リングで固着されるべき部材又は組立体を受容するように整えられている。スリーブが部材又は組立体を正確な嵌合いで受容するとき、公差が僅かな場合でも迅速確実な組付けを達成することができる。
【0013】
また、本発明は、内周面および外周面を有する固着リングを組付けるための方法であって、固着リングは、互いに離間した一対のリング端(11、12)と、一定の横断面を有する少なくとも周面の150度にわたる領域(B)と、各リング端(11、12)の領域で内周面側に開口している凹部(13、14)と、一定の横断面を有する領域(B)の各終端部に隣接して外周面側に開口している凹部(17、18)とを有し、固着リングが静止状態のときに円形状であり、一対のリング端(11、12)を互いに近づけるとその円形状を実質的に維持しながら引き締まるものであり、固着リング組付方法は、一対のリング端(11、12)を互いに近づけて固着リングを縮径させるステップ(a)と、固着リングの縮径状態を保持するステップ(b)と、組付け側の開口部の溝又は肩部まで固着リングを挿入するステップ(c)と、固着リングを拡径して溝に着座させ又は肩部に当接させるステップ(d)とを備えている。
縮径ステップ(a)は、内周面側に開口している凹部(13、14)を利用してなされる。
保持ステップ(b)は、固着リングの外周面側に開口している凹部(17、18)を、外周面側に開口している凹部(17、18)相互の距離よりも小さい距離を離間する一対の突起部(33、34)に係合させてなされるステップ(b1)である。この場合に、拡径ステップ(d)は、外周面側に開口している凹部(17、18)が突起部(33、34)から外れることによってなされるステップ(d1)であるようにするのが好ましい。また、拡径ステップは、好ましくは、凹部が突起から解放されるように固着リングが摺動することによって行われる。
【0014】
図面に基づいて本発明のその他の有利な構成、展開及び特徴を以下に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1の(a)は、冷間引抜ばね鋼から打ち抜いて乾燥リン酸亜鉛処理を施した固着リングであり、静止状態のときにはほぼ円形状である。固着リングは互いに離間した2つのリング端11、12を有し、約202°の領域Bにわたって実質的に一定した横断面を有する。この領域Bはリング端11、12に向かって対称的に配置されており、リング端11、12の間を延びる固着リングの対称軸線Sを基準に固着リングは対称である。
【0016】
固着リングの内周面に向かって開口する凹部13、14が、各リング端11、12の領域に設けられている。これらの凹部13、14は、リングの組付け前にこのリングを緊張させるのに役立つ。横断面の実質的に一定した領域Bの両端に、固着リングの外周面に向かって開口する各1つの凹部17、18が隣接している。これらの凹部17、18は約21°の開口角度aを成す。凹部17、18は固着リングの包絡線uに対して内方にずれた底21、22を有し、この底21、22は、包絡線uの中心からずれた点に中心を有して偏心しており、その断面形状は半円形凸面形状である。外向きに開口する凹部17、18の底21、22に、移行部17c、17d;18c、18dを伴うそれぞれ丸くされた側面17a、17b;18a、18bが続いている。内方にずらされた底21、22が、対称軸線Sに沿って領域Bの方向に区間Eだけ偏心していることによって、外向きに開口する各凹部17、18における各リング端11、12に近い方の側面17a、18aが、各リング端11、12から遠い方の側面17b、18bよりも深い。外向きに開口する凹部17、18は、各リング端11、12から離れた方の側面17b、18bの領域で約1/4だけ、また各リング端11、12に近い方の側面17a、18aの領域で約半分だけ、固着リングの横断面を低減する。
【0017】
リング端11、12は、静止状態のときに約30°の開き角bで相互に離間している。
【0018】
内周面に向かって開口する凹部13、14が半円形底23、25を有し、この底23、25に、両側で直線的に延びる平行な側面13a、13b;14a、14bが続いている。内向きに開口する凹部13、14が固着リングの横断面内に突出しており、リング端11、12の最も薄い箇所で横断面Dは約20%〜40%に低減している。内向きに開口する凹部13、14は、それらの中心軸線Mが固着リングの中心から離れるように整列している。凹部13、14の中心軸線Mは、図1の(b)に示すように固着リングの対称軸線Sに対して約15°の角度cを成す。
【0019】
以上述べた固着リングを組付けるための装置が図2〜図4に示されている。この装置は(図示しない)固着リングのために受容部30を有する。この受容部30は、管状スリーブ32の端面30aによって形成されており、スリーブ32の端面30aは、固着リングの周面形状に近似した形状を有し、実質的に円環状である。この端面30aに2つの突起部33、34が配置されており、リング端を圧縮すると、固着リングの外周面に向かって開口する凹部内に突起が形状嵌合式に係合するように、突起の形状が選定されている。管状スリーブ32の外面で突起部33、34はこのスリーブ32と同一平面上で成端している。
【0020】
受容部30、言い換えると円筒形スリーブ32は、直径上で向き合う2つの弦状先細り部36、37(図4参照)を有し、これらの先細り部36、37は、両方の突起部33、34の間を延びる対称軸Vに対して直角に配置されている。
【0021】
各弦状先細り部36、37の部分には第1摺動機構39および第2摺動機構38が配置されており、これらの摺動機構38、39は、スリーブ32の外接円を超えて突出しないようにその寸法が選定されている。第1摺動機構39は、突起33、34の間のリング端11、12の領域で、受容部30内にある固着リングに作用する。第2摺動機構38は固着リングの閉領域内に作用する。摺動機構38、39が受容部30若しくは端面30aに対して軸線方向で後退している後退位置と、摺動機構38、39が突起33、34よりも軸線方向で張り出すことになる前進位置との間で、両方の摺動機構38、39がスリーブ32の長手軸線W(図2参照)と平行に摺動可能となるように、両方の摺動機構38、39が操作機構(図示省略)によって一緒に操作可能である。
【0022】
スリーブ32は空洞42を有する。この空洞42は、固着リングで固着されるべき部材を正確な嵌合いで受容するように整えられている。
【0023】
以上述べた固着リングによって部材又は組立体を固着するための本発明による方法を図5を参考に以下説明する。
【0024】
図5は、本発明の固着リングを取り付ける機械的操作ユニットの一部を示している。その他の部分は、従来の構造例えばEP0403635B1に示されているような構造である。円筒50は、ばね54のためのばね保持器52を内包する。ばね保持器52およびばね54は部分的に図示されている。ばね54は、ばね保持器52を介して操作棒56に作用する。
【0025】
ばね保持器52とこれに付属した部材とを円筒50内に組付けるために、ばね保持器52は、他の部材と一緒に予め組付けて1つの組立体とされる。固着リング60のリング端11、12で内周面に向かって開口する凹部13、14内に掴み装置の掴み具を係合させ、該掴み装置によって固着リング60が引き締められた後に、固着リング60は受容部30の端面30aに載置される。その際、固着リング60の直径が縮小するが、しかしその円環形状を実質的に維持する。すなわち、縮径する前後および縮径している際にも、固着リング60は円環形状である。スリーブ32の端面30aに設けられた突起部33、34が外周面側に開口している凹部17、18に係合し、固着リング60をその縮小した直径で保持する。次に、ばね保持器52と一緒に予め組付けられた組立体がスリーブ32の空洞42に導入される。次に、円筒50の内壁に設けられた環状溝62に固着リング60が位置するまで、固着リング60と組立体とが円筒50内に導入される。次に、両方の摺動機構38、39をその後退位置から前進位置へと摺動させる。固着リング60が受容部30から進出し、固着リング60の外向き凹部17、18が突起部33、34から外れる。固着リング60は、円環形状のままで直径が拡大して、環状溝62内に係合される。ばね保持器52は、こうして離脱不可能に円筒50内で保持される。引き続いて、スリーブ32が円筒50内から引き出される。こうして組付け作業が終了する。
【0026】
分解のときには、固着リング60の内周面に向かって開口する凹部13、14内に掴み装置の掴み具が係合し、該掴み装置によって固着リング60が引き締められてその直径が縮小する。この状態において固着リング60を、環状溝62から円筒50の軸線方向に引き出すことができる。この状態では組立体が自由となって円筒50から取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は固着リングの概略平面図であり、(b)は(a)のA部を拡大した平面図である。
【図2】図1の固着リングを組付けるための装置を正面から見た概略断面図である。
【図3】図2の固着リング組付装置を側方から見た右側面図である。
【図4】図2の固着リング組付装置を上方から見た平面図である。
【図5】図2の固着リング組付装置を用いて図1の固着リングによって組立体を組付けた機械的操作機構を部分的に示す断面図である。
【符号の説明】
11、12 リング端
13、14 内周面側に開口している凹部
17、18 外周面側に開口している凹部
13a、13b、14a、14b、17a、17b、18a、18b 側面
17c、17d、18c、18d 移行部
21、22 底
23、25 半円形底
30 受容部(受容手段)
30a 端面
32 スリーブ
33、34 突起部
36、37 先細り部
38 第2摺動手段
39 第1摺動手段
42 空洞
50 円筒
52 ばね保持器
54 ばね
56 操作棒
60 固着リング
62 環状溝
a 開口角度
B 領域
b 開き角
c 中心軸線と対称軸線とのなす角度
D 横断面
E 区間
M 中心軸線
S 対称軸線
u 包絡線
V 対称軸
W 長手軸線
Claims (22)
- 内周面および外周面を有する固着リングを組付けるための装置であって、
固着リングは、互いに離間した一対のリング端(11、12)と、一定の横断面を有する少なくとも周面の150度にわたる領域(B)と、各リング端(11、12)の領域で内周面側に開口している凹部(13、14)と、一定の横断面を有する領域(B)の各終端部に隣接して外周面側に開口している凹部(17、18)とを有し、固着リングが静止状態のときに円形状であり、一対のリング端(11、12)を互いに近づけるとその円形状を実質的に維持しながら引き締まるものであり、
一対のリング端(11、12)をある程度加圧する、固着リング用の受容手段(30)と、この受容手段(30)から突起し、外周面側に開口している凹部(17、18)と係合する複数の突起部(33、34)とを備えたことを特徴とする固着リング組付装置。 - 固着リングは、一対のリング端(11、12)の間を延びるとともに一対のリング端(11、12)が対称配置となる対称軸線を有し、一定の横断面を有する領域(B)が該対称軸線に関して対称形をなすことを特徴とする請求項1に記載の固着リング組付装置。
- 一定の横断面を有する領域(B)は、250度までの角度であることを特徴とする請求項1または2に記載の固着リング組付装置。
- 一定の横断面を有する領域(B)の角度が202度であることを特徴とする請求項3に記載の固着リング組付装置。
- 外周面側に開口している凹部(17、18)の開口角度(a)は、5度ないし30度の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の固着リング組付装置。
- 外周面側に開口している凹部(17、18)の開口角度(a)が21度であることを特徴とする請求項5に記載の固着リング組付装置。
- 固着リングは、外周面側に開口している各凹部(17、18)に、外周面における包絡線(u)に対して内方にずれて偏心している底(21、22)を有し、各底(21、22)が断面凸面形状であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の固着リング組付装置。
- 各底(21、22)の断面が半円形状であることを特徴とする請求項7に記載の固着リング組付装置。
- 外周面側に開口している各凹部(17、18)は、底(21、22)に隣接した複数の側面(17a、17b;18a、18b)をそれぞれ有し、各側面(17a、17b;18a、18b)が、丸みをつけた移行部(17c、17d;18c、18d)を有することを特徴とする請求項7または8に記載の固着リング組付装置。
- 底(21、22)に隣接した複数の側面のうちリング端(11、12)に近い方の側面(17a、18a)は、リング端(11、12)から遠い方の側面(17b、18b)よりも奥行きがあることを特徴とする請求項9に記載の固着リング組付装置。
- 外周面側に開口している各凹部(17、18)の横断面が、領域(B)における横断面の10%ないし60%の範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の固着リング組付装置。
- 一対のリング端(11、12)間の開き角(b)が、5度ないし50度の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の固着リング組付装置。
- 内周面側に開口している各凹部(13、14)は、半円形底(23、25)とこれに続く複数の直線状側面(13a、13b;14a、14b)とからなるU字形状であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の固着リング組付装置。
- 固着リングは、内周面側に開口している各凹部(13、14)の長手方向に延びる中心軸線(M)を有し、各中心軸線(M)は、固着リングの中心点から離れていることを特徴とする請求項13に記載の固着リング組付装置。
- 中心軸線(M)と対称軸線(S)とのなす角度(c)が、5度ないし25度の範囲にあることを特徴とする請求項14に記載の固着リング組付装置。
- 受容手段(30)が、固着リングの周面形状と近似する形状にしたスリーブ(32)であり、このスリーブ(32)の面(30a)に突起部(33、34)を設けたことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の固着リング組付装置。
- 受容手段(30)は、横断面が円弧形区域又は円弧形部分の先細り部(36、37)を少なくとも一つ有し、
固着リングと係合する端部の付近に設けられた第1の摺動手段(39)と、第1の摺動手段(39)と直径方向に対向し、かつ第1の摺動手段(39)と共に動くことができる第2の摺動手段(38)とが先細り部(36、37)に配置され、
第1および第2の摺動手段(39、38)は、受容手段(30)に対する後退位置と、突起部(33、34)を超えて突出した前進位置との間をスリーブ(32)の長手方向に動くことができることを特徴とする請求項16に記載の固着リング組付装置。 - スリーブ(32)が、固着リングを固定する部材又は組立体に挿入できるように構成されたことを特徴とする請求項16または17に記載の固着リング組付装置。
- 内周面および外周面を有する固着リングを組付けるための方法であって、
固着リングは、互いに離間した一対のリング端(11、12)と、一定の横断面を有する少なくとも周面の150度にわたる領域(B)と、各リング端(11、12)の領域で内周面側に開口している凹部(13、14)と、一定の横断面を有する領域(B)の各終端部に隣接して外周面側に開口している凹部(17、18)とを有し、固着リングが静止状態のときに円形状であり、一対のリング端(11、12)を互いに近づけるとその円形状を実質的に維持しながら引き締まるものであり、
固着リング組付方法は、一対のリング端(11、12)を互いに近づけて固着リングを縮径させるステップ(a)と、固着リングの縮径状態を保持するステップ(b)と、組付け側の開口部の溝又は肩部まで固着リングを挿入するステップ(c)と、固着リングを拡径して溝に着座させ又は肩部に当接させるステップ(d)とを備えたことを特徴とする固着リング組付方法。 - 縮径ステップ(a)は、内周面側に開口している凹部(13、14)を利用してなされることを特徴とする請求項19に記載の固着リング組付方法。
- 保持ステップ(b)は、固着リングの外周面側に開口している凹部(17、18)を、外周面側に開口している凹部(17、18)相互の距離よりも小さい距離を離間する一対の突起部(33、34)に係合させてなされるステップ(b1)であることを特徴とする請求項19に記載の固着リング組付方法。
- 拡径ステップ(d)は、外周面側に開口している凹部(17、18)が突起部(33、34)から外れることによってなされるステップ(d1)であることを特徴とする請求項21に記載の固着リング組付方法。
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