JP2004002903A - エチレン系共重合体およびそれから得られた成形品 - Google Patents

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JP2004002903A JP2003338156A JP2003338156A JP2004002903A JP 2004002903 A JP2004002903 A JP 2004002903A JP 2003338156 A JP2003338156 A JP 2003338156A JP 2003338156 A JP2003338156 A JP 2003338156A JP 2004002903 A JP2004002903 A JP 2004002903A
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藤 堂   昭
Mamoru Takahashi
高 橋   守
Seiichi Ikeyama
池 山  清 一
Toshiyuki Tsutsui
筒 井  俊 之
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Abstract

  【解決手段】 本発明のエチレン系共重合体は、密度、メルトフローレートが一定の範囲にあり、かつ示差走査型熱量計により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度と密度、室温におけるデカン可溶成分量率と密度、流動性インデックスとメルトフローレート、溶融張力とメルトフローレートが、それぞれ一定の関係を満たす。
  【効果】 溶融張力および流動性に優れ、かつ組成分布が狭く、さらに熱安定性に優れ、しかも透明性、機械的強度に優れたフィルムが得られる。
  【選択図】 なし

Description

 本発明は、新規なエチレン系共重合体に関し、さらに詳しくは、従来公知のエチレン系共重合体と比較して組成分布が狭く、流動性に優れ、溶融張力が高く、かつ熱安定性に優れたエチレン系共重合体に関するものである。
 エチレン系共重合体は、種々の成形方法により成形され、多方面の用途に供されている。これらエチレン系共重合体は、成形方法や用途に応じて要求される特性も異なってくる。例えばインフレーションフィルムを高速で成形しようとする場合、バブルのゆれ、あるいはちぎれがなく、安定して高速成形を行うために、エチレン系共重合体として分子量の割には溶融張力の大きいものを選択しなければならない。同様の特性が中空成形におけるたれ下り又はちぎれを防止するために、あるいはTダイ成形における幅落ちを最小限に押えるために必要である。加えてこのような押出成形では、押出時における高剪断力下での流動性が良いことが成形物の品質や成形時の消費電力低減等の面から重要である。
 ところで高圧法低密度ポリエチレンは、チーグラー型触媒を用いて製造したエチレン系共重合体と比較して、溶融張力が大きくフィルムや中空容器などの用途に供せられている。しかし高圧法低密度ポリエチレンは、引張強度、引裂強度あるいは耐衝撃強度などの機械的強度に劣り、しかも耐熱性、耐ストレスクラック性なども劣っている。
 一方、チーグラー型触媒のうち、クロム系触媒を用いて得られるエチレン系重合体は、比較的溶融張力には優れるが、熱安定性が劣るという短所がある。これは、この方法で製造されるエチレン系重合体の鎖末端が不飽和結合になりやすいためと考えられる。
 また、チーグラー型触媒系のうち、チタン系触媒を用いて得られるエチレン系重合体では、末端不飽和結合ができにくく、熱安定性に優れているものの、溶融張力が小さいという欠点がある。そこで、その溶融張力や膨比(ダイスウエル比)を向上させて成形性の向上を図る方法が、特許文献1(特開昭56-90810号公報)あるいは特許文献2(特
開昭60-106806号公報)などに提案されている。しかしながら、一般にチタン系
触媒で得られるエチレン系重合体、特に低密度エチレン系共重合体では、組成分布が広く、フィルムなどの成形体はベタつきがあるなどの問題点があった。
 メタロセン触媒系を用いて得られるエチレン系重合体では、組成分布が狭くフィルムなどの成形体はベタつきが少ないなどの長所があることが知られている。しかしながら、例えば特許文献3(特開昭60−35007号公報)では、シクロペンタジエニル誘導体からなるジルコノセン化合物を触媒として用いて得られるエチレン系重合体は、1分子当り1個の末端不飽和結合を含むという記載があり、上記クロム系触媒を用いて得られるエチレン系重合体同様、熱安定性が悪いことが予想される。また、分子量分布も狭いことから、押出成形時の流動性が悪いことも懸念される。このためもし溶融張力に優れ、流動性が高く、かつ組成分布が狭く、さらに熱安定性に優れたエチレン系重合体が出現すれば、その工業的価値は極めて大きい。
 本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意研究した結果、密度、メルトフローレート(MFR)が一定の範囲にあり、かつ示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と密度(d)、室温におけるデカン可溶成分量率(W)と密度(d)、流動性インデックス(FI(1/秒))とメルトフローレート(MFR)、溶融張力(MT)とメルトフローレート(MFR)が、それぞれ一定の関
係を満たすエチレン系共重合体は、溶融張力、流動性に優れ、かつ組成分布が狭く、さらに熱安定性に優れることを見出して、本発明を完成するに至った。
特開昭56-90810号公報 特開昭60-106806号公報 特開昭60−35007号公報
 本発明は、成形性に優れ、透明性、機械的強度に優れたフィルムを製造し得るようなエチレン系共重合体を提供することを目的としている。
 本発明に係るエチレン系共重合体は、エチレンと、炭素数3〜20のα-オレフィンと
の共重合体であって、
(i)密度(d)が0.880〜0.950g/cm3 の範囲にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10分の範囲にあり、
(iii)示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の
温度(Tm(℃))と、密度(d)とが
   Tm<400d−250
で示される関係を満たし、
(iv)室温におけるデカン可溶成分量率(W)と、密度(d)とが、
 MFR≦10g/10分のとき:
  W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1
 MFR>10g/10分のとき:
  W<80×(MFR−9)0.35×exp(−100(d−0.88))+0.1
で示される関係を満たし、
(v)溶融重合体の190℃におけるずり応力が2.4×106 dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義される流動性インデックス(FI(1/秒))と、メルトフローレート(MFR)とが
  FI>75×MFR
で示される関係を満たし、
(vi)190℃における溶融張力(MT)と、メルトフローレート(MFR)とが
 MT>2×MFR-0.65
で示される関係を満たすことを特徴としている。
 このような本発明のエチレン系共重合体は、
(a)下記一般式[I]または[II]で表わされる遷移金属化合物、
(b)有機アルミニウムオキシ化合物、
(c)担体、
必要に応じて
(d)有機アルミニウム化合物
から形成されるオレフィン重合触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることによって得られたことが好ましい。;
  MKL1 X-2 … [I]
(式中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子を示し、KおよびL1は遷移金
属原子に配位する配位子を示す。配位子Kは同一または異なったインデニル基、置換インデニル基またはその部分水添加物が低級アルキレン基を介して結合した2座配位子であり、配位子L1は、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲ
ン原子、トリアルキルシリル基または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示
す。)
  ML2 X … [II]
(式中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属を示し、L2は遷移金属原子に配位
する配位子を示し、これらのうち少なくとも2個の配位子L2は、メチル基およびエチル
基から選ばれる置換基のみを2〜5個有する置換シクロペンタジエニル基であり、置換シクロペンタジエニル基以外の配位子L2は、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基
、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示す。)。
 本発明のフィルムは、上記本発明のエチレン系共重合体から得られたことを特徴としている。
 本発明のフィルムは、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、
(i)密度が0.880〜0.950g/cm3 の範囲にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10分の範囲にあり、
(iii)190℃における溶融張力(MT)と、メルトフローレート(MFR)とが
  MT>2×MFR-0.65
で示される関係を満たすエチレン系共重合体から得られ、
 ASTM D1003−61に準拠して測定したヘイズが6.8〜10.0%の範囲に
あり、
 JIS Z8741に準拠して測定したグロスが44〜68%の範囲にあり、
 振子式フィルム衝撃試験機により測定したフィルムインパクト強度が1,790〜5,830kg・cm/cmの範囲にあり、
 10×20cmの大きさのフィルムをタイプ紙に挟み、さらにガラス板で挟んで50℃エアバス中において10kg荷重を24時間かけた後、該フィルムを開口性治具に取り付け200mm/分でフィルムを引き離し、このときの荷重から求めたブロッキング力が0〜0.78g/cmの範囲にある
ことを特徴としている。
 また、本発明のフィルムは、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、
(i)密度が0.880〜0.950g/cm3 の範囲にあり、
(ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10分の範囲にあり、
(iii)190℃における溶融張力(MT)と、メルトフローレート(MFR)とが
  MT>2×MFR-0.65
で示される関係を満たすエチレン系共重合体から得られ、
 ASTM D1003−61に準拠して測定したヘイズが7.4〜10.0%の範囲に
あり、
 JIS Z8741に準拠して測定したグロスが44〜68%の範囲にあり、
 振子式フィルム衝撃試験機により測定したフィルムインパクト強度が2,210〜5,830kg・cm/cmの範囲にあり、
 10×20cmの大きさのフィルムをタイプ紙に挟み、さらにガラス板で挟んで50℃エアバス中において10kg荷重を24時間かけた後、該フィルムを開口性治具に取り付け200mm/分でフィルムを引き離し、このときの荷重から求めたブロッキング力が0〜0.27g/cmの範囲にある
ことを特徴としている。
 これらの本発明のフィルムは、農業用フィルムであることも好ましい。
 本発明のブロー成形容器、チューブ、パイプまたは射出成形品は、上記本発明のエチレン系共重合体から得られたことを特徴としている。
 本発明のエチレン系共重合体は、溶融張力、流動性に優れ、かつ組成分布が狭く、さらに熱安定性に優れている。また溶融張力と流動性とのバランスが優れているので、加工性に優れている。
 以下、本発明に係るエチレン系共重合体およびそれから得られる成形品について具体的に説明する。
 本発明に係るエチレン系共重合体は、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンとの
ランダム共重合体である。このエチレン系共重合体において、密度(d)は、0.880
〜0.950g/cm3、好ましくは0.885〜0.940g/cm3、より好ましくは0.890〜0.935g/cm3の範囲である。
 このようなエチレン系共重合体では、エチレンから導かれる構成単位は、65〜99重量%、好ましくは70〜98重量%、より好ましくは75〜96重量%の量で存在し、炭素数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位は、1〜35重量%、好ましくは2
〜30重量%、より好ましくは4〜25重量%の量で存在することが望ましい。
 本発明で用いられる炭素数3〜20のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン
、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン
、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
 また、本発明に係るエチレン系共重合体は、メルトフローレート(MFR)が、0.0
1〜200g/10分、好ましくは0.03〜100g/10分、より好ましくは0.05〜50g/10分の範囲にあることが望ましい。
 本発明に係るエチレン系共重合体は、その極限粘度([η])が0.5〜4.5dl/g、好ましくは0.6〜4.0dl/g、より好ましくは0.7〜3.5dl/gの範囲にあることが望ましい。
 さらに本発明に係るエチレン系共重合体は、極限粘度([η])とメルトフローレート(MFR)との関係を[η]=K×MFRC (ただし、K、Cは定数)で表したときに、C値が−0.140〜−0.180の範囲にあり、従来のチタン系触媒で重合された同様の分子量分布のエチレン系共重合体と比較して、Cの値が高いという特徴がある。本発明のエチレン系共重合体では、K=1.6、C=−0.156であるのに対し、チタン系触媒で重合された同様の分子量分布を有するエチレン系共重合体の上記定数の代表的な値は、K=1.84、C=−0.194である。
 本発明に係るエチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で定義される分子量分布(Mw/Mn)の値は、通常2.0〜6.0である。
 また、本発明に係るエチレン系共重合体の分子中に存在する不飽和結合の数は、炭素数1000個あたり0.5個以下であり、かつ、重合体1分子当り1個未満である。
 本発明に係るエチレン系共重合体は、重合体中に存在する不飽和結合の数が少ないので、加熱溶融したときに架橋などの反応がおこりにくく、熱安定性に優れている。
 本発明に係るエチレン系共重合体は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と密度(d)とが、
         Tm<400×d−250
 好ましくは   Tm<450×d−297
 より好ましくは Tm<500×d−344
 特に好ましくは Tm<550×d−391
で示される関係を満たしている。
 このようなエチレン系共重合体は、従来のチタン系触媒で重合されたエチレン系共重合体に比べて、密度に対して上記Tmが低いため、同一密度で比較すると、ヒートシール性に優れている。
 本発明に係るエチレン系共重合体は、室温におけるn-デカン可溶成分量分率(W(重量%))と密度(d)とが、
 MFR≦10g/10分のとき:
         W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1
 好ましくは   W<60×exp(−100(d−0.88))+0.1
 より好ましくは W<40×exp(−100(d−0.88))+0.1
 MFR>10g/10分のとき:
 W<80×(MFR−9)0.35×exp(−100(d−0.88))+0.1
で示される関係を満たしている。
 このような本発明のエチレン系共重合体は組成分布が狭いと言える。
 また、本発明に係るエチレン系共重合体は、溶融重合体の190℃における応力が2.
4×106 dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義される流動インデックス(FI(
1/秒))とメルトフローレート(MFR)とが、
         FI>75×MFR
 好ましくは   FI>80×MFR
 より好ましくは FI>85×MFR
で示される関係を満たしていることが望ましい。
 従来技術で組成分布の狭いエチレン系共重合体を製造しようとすると、一般に分子量分布も同時に狭くなるため流動性も悪くなり、FIが小さくなる。本発明のエチレン系共重合体は、FIとMFRとが上記のような関係を満たしているため、高ずり速度まで低い応力が保たれ、成形性が良好である。
さらに、本発明に係るエチレン系共重合体は、190℃における溶融張力(MT(g))とメルトフローレート(MFR)とが、
         MT>2.0×MFR-0.65
 好ましくは   MT>2.2×MFR-0.65
 より好ましくは MT>2.5×MFR-0.65
で示される関係を満たしている。
 このような本発明に係るエチレン系共重合体は、従来のエチレン系共重合体に比べて溶融張力(MT)が高く、成形性が良好である。
 さらに本発明に係るエチレン系共重合体の13C−NMRのスペクトル中には、共重合主
鎖中の隣接した2個の3級炭素原子間のメチレン連鎖に基づくαβおよびβγのシグナルが観測されない。この結果の物理的な意味の詳細は、例えば特開昭62−121709号公報で示されているが、本発明のエチレン系共重合体は、エチレンと共重合しうるα-オ
レフィンの結合方向が規則的であることを示している。
 このような本発明に係るエチレン系共重合体は、例えば、
(a)特定のインデニル基またはその置換体から選ばれた2個の基が低級アルキレン基を介して結合した二座配位子を有する周期律表第IVB族の遷移金属の化合物または特定の置換シクロペンタジエニル基を配位子とした周期律表第IVB族の遷移金属の化合物、
(b)有機アルミニウムオキシ化合物、
(c)担体、
 必要に応じて
(d)有機アルミニウム化合物
から形成されるオレフィン重合触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフ
ィンとを、得られる重合体の密度が0.880〜0.950g/cm3 となるように共重合させることによって製造することができる。
 以下にこのようなオレフィン重合触媒および各触媒成分について説明する。
 (a)特定のインデニル基またはその置換体から選ばれた2個の基が低級アルキレン基を介して結合した二座配位子を有する周期律表第IVB族の遷移金属の化合物または特定の置換シクロペンタジエニル基を配位子とした周期律表第IVB族の遷移金属の化合物(以下「成分(a)」と記載することがある。)は、具体的には下記式[I]または[II]で表わされる遷移金属化合物である。
  MKL1 X-2 … [I]
(式中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子を示し、KおよびL1は遷移金
属原子に配位する配位子を示す。配位子Kは同一または異なったインデニル基、置換インデニル基またはその部分水添加物が低級アルキレン基を介して結合した2座配位子であり、配位子L1は、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲ
ン原子、トリアルキルシリル基または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示す。)
  ML2 X … [II]
(式中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属を示し、L2は遷移金属原子に配位
する配位子を示し、これらのうち少なくとも2個の配位子L2は、メチル基およびエチル
基から選ばれる置換基のみを2〜5個有する置換シクロペンタジエニル基であり、置換シクロペンタジエニル基以外の配位子L2は、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基
、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示す。)
 上記一般式[I]において、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子を示し、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
 Kは、遷移金属原子に配位する配位子を示し、同一または異なったインデニル基、置換インデニル基、またはインデニル基、置換インデニル基の部分水添加物が低級アルキレン基を介して結合した2座配位子である。
 具体的には、エチレンビスインデニル基、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-イ
ンデニル)基、エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)基、エチレンビス(5-メチル-1-インデニル)基、エチレンビス(6-メチル-1-インデニル)基、エチレンビス(7-メチル-
1-インデニル)基を例示することができる。
 L1は、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子
、トリアルキルシリル基または水素原子を示す。
 炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などを例示することができ、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基を例示することができる。
 アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクトキシ基などを例示することができる。
 アリーロキシ基としては、フェノキシ基などを例示することができる。
 ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。
 トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基などを例示することができる。
 このような一般式[I]で表わされる遷移金属化合物としては、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(5-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(6-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(7-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジブロミド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムブトキシクロリド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムメトキシド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムメチルクロリド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジメチル、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムベンジルクロリド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジベンジル、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムフェニルクロリド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムハイドライドクロリド
などが挙げられる。本発明では、上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム金属置き換えた遷移金属化合物を用いることができる。
 これらの、一般式[I]で表わされる遷移金属化合物のうちでは、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドが特に好
ましい。
 上記一般式[II]においてMは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子を示し、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
 L2は遷移金属原子Mに配位した配位子を示し、これらのうち少なくとも2個の配位子
2は、メチル基およびエチル基から選ばれる置換基のみを2〜5個有する置換シクロペ
ンタジエニル基であり、各配位子は同一でも異なっていてもよい。この置換シクロペンタジエニル基は、置換基を2個以上有する置換シクロペンタジエニル基であり、置換基を2〜3個有するシクロペンタジエニル基であることが好ましく、二置換シクロペンタジエニル基であることがより好ましく、1 ,3-置換シクロペンタジエニル基であることが特に好
ましい。なお、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
 また上記式[II]において、遷移金属原子Mに配位する置換シクロペンタジエニル基以外の配位子L2は、上記一般式[I]中のL1と同様の炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子である。
 このような一般式[II]で表わされる遷移金属化合物としては、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
ビス(ジメチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムブトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジエトキシド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムベンジルクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムハイドライドクロリド
などが挙げられる。なお、上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2-および1,3-置換体を含み、三置換体は1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。本発明では、上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることができる。
 これらの、一般式[II]で表わされる遷移金属化合物のうちでは、
ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1,3-ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
が特に好ましい。
 次に、有機アルミニウムオキシ化合物(b)について説明する。
 本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(b)(以下「成分(b)」と記載することがある。)は、従来公知のベンゼン可溶性のアルミノオキサンであってもよく、また特開平2−276807号公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミ
ニウムオキシ化合物であってもよい。
 上記のようなアルミノオキサンは、例えば下記のような方法によって調製することができる。
 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させて炭化水素の溶液として回収する方法。
 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を作用させて炭化水素の溶液として回収する方法。
 (3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
 なお、このアルミノオキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノオキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解してもよい。
 アルミノオキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert- ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
 トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
 ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
 ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
 ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
 ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げられる。
 これらのうち、トリアルキルアルミニウムおよびトリアルキルアルミニウムが特に好ましい。
 また、この有機アルミニウム化合物として、一般式
 (i-C49xAly(C510z
(x、y、zは正の数であり、z≧2xである)
で表わされるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
 上記のような有機アルミニウム化合物は、単独であるいは組合せて用いられる。
 アルミノオキサンの調製の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素が好ましい。
 また前記ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性あるいは難溶性である。
 このような有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼンに対する溶解性は、100ミリグラム原子のAlに相当する該有機アルミニウムオキシ化合物を100mlのベンゼンに懸濁した後、攪拌下60℃で6時間混合した後、ジャケット付G−5ガラス製フィルターを用い、60℃で熱時濾過を行ない、フィルター上に分離された固体部を60℃のベンゼン50mlを用いて4回洗浄した後の全濾液中に存在するAl原子の存在量(xミリモル)を測定することにより求められる(x%)。
 本発明で用いられる担体(c)は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。このうち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al23
MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれら
の混合物、例えばSiO2-MgO、SiO2- Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V2
5、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgO等を例示することができる。これらの
中でSiO2およびAl23からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とす
るものが好ましい。
 なお、上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差しつかえない。
 このような担体(c)はその種類および製法により性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm2/gであることが望ましい。該担体は、必要に
応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
 さらに、本発明に用いることのできる担体としては、粒径が10〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。これら有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素数2〜14のα-オレフィンを主成分とする(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分とする重合体もしくは共重合体を例示することができる。
本発明に係るエチレン系共重合体の製造に用いられるオレフィン重合触媒は、上記成分(a)、成分(b)および(c)担体から形成されるが、必要に応じて(d)有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
 必要に応じて用いられる(d)有機アルミニウム化合物(以下「成分(d)」と記載することがある。)としては、例えば下記一般式[III]で表される有機アルミニウム化合
物を例示することができる。
 R1 nAlX3-n  … [III]
(式中、R1 は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3である。)
 上記一般式[III]において、R1 は炭素数1〜12の炭化水素基、例えばアルキル基
、シクロアルキル基またはアリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
 このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
 トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
 イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
 ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
 メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
 メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
 ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
 また有機アルミニウム化合物(d)として、下記一般式[IV]で表される化合物を用いることもできる。
 R1 nAlY3-n  … [IV]
(式中、R1 は上記一般式[III]中のR1 と同様の炭化水素を示し、Yは−OR2基、−OSiR3 3基、−OAlR4 2基、−NR5 2基、−SiR6 3基または−N(R7)AlR8 2基を示し、nは1〜2であり、R2、R3、R4およびR8はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R5は水素原子、メチル基
、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R6 およびR7 はメチル基、エチル基などである。)
 このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が用いられる。
 (1)R1 nAl(OR2)3-n で表される化合物、例えば
 ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど、
 (2)R1 nAl(OSiR3 3)3-n で表される化合物、例えば
 Et2Al(OSi Me3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiEt3
など;
 (3)R1 nAl(OAlR4 2)3-n で表される化合物、例えば
Et2AlOAlEt2 、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2 など;
 (4) R1 nAl(NR5 2)3-n で表される化合物、例えば
 Me2AlNEt2 、Et2AlNHMe 、Me2AlNHEt 、Et2AlN(SiMe3)2、(iso-
Bu)2AlN(SiMe3)2 など;
 (5)R1 nAl(SiR6 3)3-n で表される化合物、例えば
 (iso-Bu)2AlSi Me3 など;
 (6)R1 nAl(N(R7)AlR8 2)3-n で表される化合物、例えば
 Et2AlN(Me)AlEt2
 (iso-Bu)2AlN(Et)Al(iso-Bu)2  など。
 上記一般式[III]および[IV]で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式
1 3Al、R1 nAl(OR2)3-n 、R1 nAl(OAlR4 2)3-n で表わされる化合物が好ましく
、特にRがイソアルキル基であり、n=2である化合物が好ましい。
 本発明に係るエチレン系共重合体を製造するに際して、上記のような成分(a)、成分(b)および担体(c)、必要に応じて成分(d)を接触させることにより調製される触媒が用いられる。この際の各成分の接触順序は、任意に選ばれるが、好ましくは担体(c)と成分(b)とを混合接触させ、次いで成分(a)を混合接触させ、さらに必要に応じて成分(d)を混合接触させる。
 上記各成分の接触は、不活性炭化水素溶媒中で行うことができ、触媒の調製に用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
 成分(a)、成分(b)、担体(c)および必要に応じて成分(d)を混合接触するに際して、成分(a)は担体(c)1g当り、通常5×10-6〜5×10-4モル、好ましくは10-5〜2×10-4モルの量で用いられ、成分(a)の濃度は、約10-4〜2×10-2モル/リットル、好ましくは2×10-4〜10-2モル/リットルの範囲である。成分(b)のアルミニウムと成分(a)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好ましくは20〜200である。必要に応じて用いられる成分(d)のアルミニウム原子(Al-d)と成分(b)のアルミニウム原子(Al-b)の原子比(Al-d/Al-b)は、通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。成分(a)、成分(
b)、担体(c)および必要に応じて成分(d)を混合接触する際の混合温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1分〜50時間、好ましくは10分〜25時間である。
 上記のようにして得られたオレフィン重合触媒は、担体(c)1g当り成分(a)に由来する遷移金属原子が5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、また担体(c)1g当り成分(b)および成分(d)に由来するアルミニウム原子が10-3〜5×10-2グラム原子、好ましくは2×10-3〜2×10-2グラム原子の量で担持されていることが望ましい。
 エチレン系共重合体の製造に用いられる触媒は、上記のような成分(a)、成分(b)、担体(c)および必要に応じて成分(d)の存在下にオレフィンを予備重合させて得られる予備重合触媒であってもよい。予備重合は、上記のような成分(a)、成分(b)、担体(c)および必要に応じて成分(d)の存在下、不活性炭化水素溶媒中にオレフィンを導入することにより行うことができる。
 予備重合の際に用いられるオレフィンとしては、エチレンおよび炭素数が3〜20のα-オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセンなどを例示することができる。これらの中では、重合の際に用いられるエチレンあるいはエチレンとα-オレフィンと
の組合せが特に好ましい。
 予備重合する際には、上記成分(a)は、通常10-6〜2×10-2モル/リットル、好ましくは5×10-5〜10-2モル/リットルの量で用いられ、成分(a)は担体(c)1g当り、通常5×10-6〜5×10-4モル、好ましくは10-5〜2×10-4モルの量で用いらる。成分(b)のアルミニウムと成分(a)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好ましくは20〜200である。必要に応じて用いられる成分(d)のアルミニウム原子(A l-d)と成分(b)のアルミニウム原子(Al-b)の原
子比(Al-d/Al-b)は、通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。
予備重合温度は−20〜80℃、好ましくは0〜60℃であり、また予備重合時間は0.
5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度である。
 予備重合触媒は、例えば下記のようにして調製される。すなわち、担体(c)を不活性炭化水素で懸濁状にする。次いで、この懸濁液に有機アルミニウムオキシ化合物(成分(b))を加え、所定の時間反応させる。その後上澄液を除去し、得られた固体成分を不活性炭化水素で再懸濁化する。この系内へ遷移金属化合物(成分(a))を加え、所定時間反応させた後、上澄液を除去し固体触媒成分を得る。続いて有機アルミニウム化合物(成分(d))を含有する不活性炭化水素中に、上記で得られた固体触媒成分を加え、そこへオレフィンを導入することにより、予備重合触媒を得る。
 予備重合で生成するオレフィン重合体は、担体(c)1g当り0.1〜500g、好ま
しくは0.2〜300g、より好ましくは0.5〜200gの量であることが望ましい。また、予備重合触媒には、担体(c)1g当り成分(a)は遷移金属原子として約5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、成分(b)および成分(d)に由来するアルミニウム原子(Al)は、成分(a)に由来する遷移金属原子(M)に対するモル比(Al/M)で、5〜200、好ましくは10〜150の範囲の量で担持されていることが望ましい。
 予備重合は、回分式あるいは連続式のいずれでも行うことができ、また減圧、常圧あるいは加圧下のいずれでも行うことができる。予備重合においては、水素を共存させて、少なくとも135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.2〜7dl/gの範囲、
好ましくは0.5〜5dl/gであるような予備重合体を製造することが望ましい。
 本発明で用いられるエチレン系共重合体は、前記のようなオレフィン重合触媒または予備重合触媒の存在下に、エチレンと、炭素数が3〜20のα-オレフィン、例えばプロピ
レン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセ
ン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンとを共重合することによって得られる。
 本発明では、エチレンとα-オレフィンとの共重合は、気相であるいはスラリー状の液
相で行われる。スラリー重合においては、不活性炭化水素を溶媒としてもよいし、オレフィン自体を溶媒とすることもできる。
 スラリー重合において用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族系炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、
シクロオクタンなどの脂環族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分などが挙げられる。これら不活性炭化水素媒体のうち脂肪族系炭化水素、脂環族系炭化水素、石油留分などが好ましい。
 スラリー重合法または気相重合法で実施する際には、上記のようなオレフィン重合触媒または予備重合触媒は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度として、通常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いられることが望ましい。
 また、本重合に際して成分(b)と同様の有機アルミニウムオキシ化合物および/または有機アルミニウム化合物(d)を添加してもよい。この際、有機アルミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物に由来するアルミニウム原子(Al)と、遷移金属化合物(a)に由来する遷移金属原子(M)との原子比(Al/M)は、5〜300、好ましくは10〜200、より好ましくは15〜150の範囲である。
 スラリー重合法を実施する際には、重合温度は、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲にあり、気相重合法を実施する際には、重合温度は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。
 重合圧力は、通常常圧ないし100kg/cm2、好ましくは2〜50kg/cm2の加圧条件下であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式においても行うことができる。
 さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
 本発明のエチレン系共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。また、本発明の趣旨を逸脱しない限り他の高分子化合物を少量ブレンドすることができる。
 本発明のエチレン系共重合体は、押出成形によるフィルム、押出成形によるパイプ・チューブ類、繊維、ブロー成形による容器類、射出成形による日用雑貨品、キャップ類、回転成形による大型成形品などの用途に使用できる。
 本発明のエチレン系共重合体は、押出成形では、従来の中低圧法エチレン系共重合体と比較して、溶融張力と流動性とのバランスが優れており、大幅に加工性が改良される。また、押出成形品は、従来のエチレン系共重合体と比べて、透明性、衝撃強度、ヒートシール性、耐ブロッキング性などに優れる。射出成形品では、強度特性、たとえば衝撃強度、耐環境応力抵抗などが優れる。また、低温特性にも優れる。
 本発明のエチレン系共重合体は、押出フィルム成形、すなわちインフレーション成形、およびT−ダイ成形により得られるフィルム用途に好適である。また、押出フィルム成形の中では、特にインフレーション成形フィルム用樹脂として好適に用いられる。
 このようなインフレーション成形フィルムは、規格袋、重袋、ラップフィルム、ラミ原反、砂糖袋、油物包装袋、水物包装袋、食品包装用等の各種包装用フィルム、農業用資材、輸液バッグ等に使用される。また、ナイロン、ポリエステル等の基材と貼り合わせて、多層フィルムとして用いることもできる。
 次に本発明で使用する物性値の定義、測定法、成形法を示す。
(1)エチレン系共重合体の造粒
 気相重合で得られたパウダー状のエチレン系共重合体100重量部に対して、二次抗酸化剤としてのトリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートを0.05重量部、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4'ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピネ
ートを0.1重量%、塩酸吸収剤としてのステアリン酸カルシウムを0.05重量部配合する。しかる後にハーケ社製コニカルテーパー状2軸押出機を用い、設定温度180℃で溶融押し出して、造粒ペレットを調製する。
(2)密度
 190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得られ
るストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定する。
(3)共重合体の組成
 13C−NMRにより決定した。すなわち、10mmφの試料管中で約200mgの共重合体パウダーを1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRRスペクトルを、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz 、スペクトル幅150
0Hz 、パルス繰返し時間4.2sec 、パルス幅6μsec の測定条件下で測定することに
より決定される。
(4)メルトフローレート(MFR)
 共重合体の造粒ペレットを使用して、ASTM D1238−65Tに従い190℃、2.16kg荷重の条件下に測定される。
(5)極限粘度([η])
 デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち、造粒ペレット約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求める。
 [η]=lim (ηsp/C) (C→0)
(6)分子量分布(Mw/Mn)
 ウオーターズ社GPCモデルALC−GPC−150Cにより測定した。測定条件は、カラムとして東洋曹達(株)製PSK−GMH−HTを用い、オルソジクロルベンゼン(ODCB)溶媒、140℃である。
(7)不飽和結合の定量
 不飽和結合の定量は、13C−NMRを用いて、二重結合以外に帰属されるシグナル即ち10〜50ppmの範囲のシグナル、および二重結合に帰属されるシグナル即ち105〜150ppmの範囲のシグナルの面積強度を積分曲線から求め、その比から決定される。(8)DSCによる最大ピーク温度(Tm)
 パーキンエルマー社製DSC−7型装置を用いて行なった。吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm)は、試料約5mgをアルミパンに詰め10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持したのち、20℃/分で室温まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求める。
(9)n-デカン可溶成分量率(W)
 共重合体のn-デカン可溶成分量の測定は、共重合体約3gをn-デカン450mlに加え、145℃で溶解後23℃まで冷却し、濾過によりn-デカン不溶部を除き、濾液よりn-デカン可溶部を回収することにより行う。
 W=n-デカン可溶部の重量/(n-デカン不溶部および可溶部の重量)×100%で定義される。
 可溶成分量の少ないもの程組成分布が狭いことを意味する。
(10)溶融張力(MT)
 溶融させたポリマーを一定速度で延伸した時の応力を測定することにより決定される。すなわち、共重合体の造粒ペレットを測定試料とし、東洋精機製作所製、MT測定機を用い、樹脂温度190℃、押し出し速度15mm/分、巻取り速度10〜20m/分、ノズル径2.09mmφ、ノズル長さ8mmの条件で行われる。
(11)流動性インデックス(FI)
 流動インデックス(FI)は、190℃におけるずり応力が2.4×106 dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義される。流動インデックス(FI)は、ずり速度を変えながら樹脂をキャピラリーから押し出し、その時の応力を測定することにより決定した。すなわち、MT測定と同様の試料を用い、東洋精機製作所製、毛細式流れ特性試験機を用い、樹脂温度190℃、ずり応力の範囲が5×104〜3×106dyne/cm2程度で測定さ
れる。
 なお測定する樹脂のMFR(g/10分)によって、ノズル(キャピラリー)の直径を次のように変更して測定する。
     MFR>20 のとき0.5mm
  20≧MFR>3 のとき1.0mm
   3≧MFR>0.8 のとき2.0mm
 0.8≧MFR    のとき3.0mm
(12)フィルム加工法
 共重合体の造粒ペレットを試料とし、20mmφ・L/D=28の単軸押出機、25mmφのダイ、リップ幅0.7mm、一重スリットエアリングを用いエア流量=90リット
ル/min.、押出量=9g/min.、ブロー比=1.8、引き取り速度=2.4m/min.、加工温度=200℃条件下で厚み=30μmのフィルムを押出成形した。
(13)フィルム物性評価法
 (a)Haze(曇度):ASTM-D-1003-61に従って測定した。
 (b)Gloss(光沢):JIS Z8741に従って測定した。
 (c)フィルムインパクト強度:東洋精機製作所製振子式フィルム衝撃試験機(フィルムインパクトテスター)により測定した。
 (d)ブロッキング力:10×20cmの大きさに切り出したインフレフィルムをタイプ紙にはさみ、更にガラス板ではさんで50℃エアバス中において10kg荷重を24時間かける。開口性治具に取り付け200mm/分でフィルムを引き離し、この時の荷重をAgとし、ブロッキング力F(g/cm)をF=A/試験片幅で表わした。
  実施例
 以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
 以下本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
 [触媒成分の調製]
 250℃で10時間乾燥したシリカ7.9kgを121リットルのトルエンで懸濁状に
した後、0℃まで冷却した。その後、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.
47mol/リットル)41リットルを1時間で適下した。この際、系内の温度を0℃に保った。引続き0℃で30分間反応させ、次いで1.5時間かけて95℃まで昇温し、そ
の温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し上澄液をデカンテーション法により除去した。このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン125リットルで再懸濁化した。この系内へビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr=28.4mmol/リットル)20リットル
を30℃で30分間かけて適下し、更に30℃で2時間反応させた。その後、上澄液を除去しヘキサンで2回洗浄することにより、1g当り4.6mgのジルコニウムを含有する
固体触媒を得た。
 [予備重合触媒の調製]
 16molのトリイソブチルアルミニウムを含有する160リットルのヘキサンに、上記で得られた固体触媒4.3kgを加え35℃で3.5時間エチレンの予備重合を行うことにより、固体触媒1g当り3gのエチレン重合体が予備重合された予備重合触媒を得た。このエチレン重合体の極限粘度[η]は、1.27dl/gであった。
 [重合]
 連続式流動床気相重合装置を用い、全圧20kg/cm2−G、重合温度80℃でエチ
レンと1-ヘキセンとの共重合を行った。上記で調製した予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.05mmol/hr、トリイソブチルアルミニウムを10mmol/hrの割
合で連続的に供給し重合の間一定のガス組成を維持するためにエチレン、1-ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成;1-ヘキセン/エチレン=0.018、水素/エ
チレン=0.0012、エチレン濃度=25%)。ポリマー収量は、5.2kg/hrであった。
 得られたポリマーの解析結果の詳細を表1に示すが、密度は0.927g/cm3 であ
り、MFRは1.0g/10min.であり、不飽和結合の数が炭素数1000個当り0.
062個で、かつ重合体1分子当り0.11個であり、DSCで測定した吸熱曲線の最大
ピーク温度(Tm)が117.8℃であり、室温におけるデカン可溶部が0.22重量%であった。
 実施例2〜6
 実施例1で調製した予備重合触媒を使用して、表1に示す各種α-オレフィンをコモノ
マーに使用して、実施例1と同様の重合を行った。
 得られたエチレン系共重合体の分析結果を表1に示し、インフレーションフィルムの評価結果を表2に示した。
 比較例1
 MgCl2 担持型Ti触媒を用いて、シクロヘキサン溶媒中でエチレンと4-メチル-1-
ペンテンの共重合体を製造した。
 得られたエチレン系共重合体の分析結果を表1に示し、インフレーションフィルムの評価結果を表2に示した。
 同じ4-メチル-1-ペンテンをコモノマーに用いて、MFR、密度ともほぼ同じ実施例4
の結果と比較して、n-デカン可溶部が多く、Tmが高いこと、またFIとMTのバランスが悪いことが分かる。またフィルム評価結果では、ヘイズ、インパクト強度、耐ブロッキング性いずれの物性も劣ることが分かる。
 比較例2
 MgCl2 担持型Ti触媒を用いて、気相中でエチレンとヘキセン-1の共重合体を製造した。
 得られたエチレン系共重合体の分析結果を表1に示し、インフレーションフィルムの評価結果を表2に示した。
 同じ1-ヘキセンをコモノマーに用いて製造した、MFR、密度ともほぼ同じ実施例2の結果と比較して、n-デカン可溶部が多く、Tmが高いこと、またFIとMTのバランスが悪いことが分かる。またフィルム評価結果では、ヘイズ、インパクト強度、耐ブロッキング性いずれの物性も劣ることが分かる。
 比較例3
 実施例1において、触媒成分を調製する際に、ジルコニウム化合物としてビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの代わりにビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを使用して、実施例1と同様の反応を行い、エチレン系共重合体を製造した。
 得られたエチレン系共重合体の分析結果を表1に示し、インフレーションフィルムの評価結果を表2に示した。
 MFR、密度ともほぼ同じ実施例6の結果と比較して、成形性(FI、MT)が悪いことが分かる。
 図1に上記エチレン系共重合体のフィルム衝撃強度とブロッキング力との関係を示した。なお、図中の丸で囲んだ数字は実施例の番号を、またひし形で囲んだ数字は比較例の番号を示している。
 図1から明らかなように、本発明のエチレン系共重合体は、比較例と比べて(比較例3を除く)、フィルムインパクト強度とブロッキング力のバランスが非常に良いことがわかる。なお、比較例3は、このバランスは良好であるが、MT、FIが低くインフレーション成形性が非常に悪いという欠点がある。
Figure 2004002903
Figure 2004002903
Figure 2004002903
エチレン系共重合体のフィルム衝撃強度とブロッキング力との関係を示す図である。なお、図中の丸で囲んだ数字は実施例の番号を、またひし形で囲んだ数字は比較例の番号を示している。

Claims (7)

  1.  エチレンと、炭素数3〜20のα-オレフィンとの共重合体であって、
    (i)密度(d)が0.880〜0.950g/cm3 の範囲にあり、
    (ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10分の範囲にあり、
    (iii)示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の
    温度(Tm(℃))と、密度(d)とが
       Tm<400d−250
    で示される関係を満たし、
    (iv)室温におけるデカン可溶成分量率(W)と、密度(d)とが、
     MFR≦10g/10分のとき:
      W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1
     MFR>10g/10分のとき:
      W<80×(MFR−9)0.35×exp(−100(d−0.88))+0.1
    で示される関係を満たし、
    (v)溶融重合体の190℃におけるずり応力が2.4×106 dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義される流動性インデックス(FI(1/秒))と、メルトフローレート(MFR)とが
      FI>75×MFR
    で示される関係を満たし、
    (vi)190℃における溶融張力(MT)と、メルトフローレート(MFR)とが
     MT>2×MFR-0.65
    で示される関係を満たすことを特徴とするエチレン系共重合体。
  2. (a)下記一般式[I]または[II]で表わされる遷移金属化合物、
    (b)有機アルミニウムオキシ化合物、
    (c)担体、
    必要に応じて
    (d)有機アルミニウム化合物
    から形成されるオレフィン重合触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることによって得られたことを特徴とする請求項1に記載のエチレン系共重合体;
      MKL1 X-2 … [I]
    (式中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子を示し、KおよびL1は遷移金
    属原子に配位する配位子を示す。配位子Kは同一または異なったインデニル基、置換インデニル基またはその部分水添加物が低級アルキレン基を介して結合した2座配位子であり、配位子L1は、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲ
    ン原子、トリアルキルシリル基または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示す。)
      ML2 X … [II]
    (式中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属を示し、L2は遷移金属原子に配位
    する配位子を示し、これらのうち少なくとも2個の配位子L2は、メチル基およびエチル
    基から選ばれる置換基のみを2〜5個有する置換シクロペンタジエニル基であり、置換シクロペンタジエニル基以外の配位子L2は、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基
    、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子であり、Xは遷移金属原子Mの原子価を示す。)。
  3.  請求項1または2に記載のエチレン系共重合体から得られたことを特徴とするフィルム
  4.  エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、
    (i)密度が0.880〜0.950g/cm3 の範囲にあり、
    (ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10分の範囲にあり、
    (iii)190℃における溶融張力(MT)と、メルトフローレート(MFR)とが
      MT>2×MFR-0.65
    で示される関係を満たすエチレン系共重合体から得られ、
     ASTM D1003−61に準拠して測定したヘイズが6.8〜10.0%の範囲に
    あり、
     JIS Z8741に準拠して測定したグロスが44〜68%の範囲にあり、
     振子式フィルム衝撃試験機により測定したフィルムインパクト強度が1,790〜5,830kg・cm/cmの範囲にあり、
     10×20cmの大きさのフィルムをタイプ紙に挟み、さらにガラス板で挟んで50℃エアバス中において10kg荷重を24時間かけた後、該フィルムを開口性治具に取り付け200mm/分でフィルムを引き離し、このときの荷重から求めたブロッキング力が0〜0.78g/cmの範囲にある
    ことを特徴とするフィルム。
  5.  エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、
    (i)密度が0.880〜0.950g/cm3 の範囲にあり、
    (ii)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10分の範囲にあり、
    (iii)190℃における溶融張力(MT)と、メルトフローレート(MFR)とが
      MT>2×MFR-0.65
    で示される関係を満たすエチレン系共重合体から得られ、
     ASTM D1003−61に準拠して測定したヘイズが7.4〜10.0%の範囲に
    あり、
     JIS Z8741に準拠して測定したグロスが44〜68%の範囲にあり、
     振子式フィルム衝撃試験機により測定したフィルムインパクト強度が2,210〜5,830kg・cm/cmの範囲にあり、
     10×20cmの大きさのフィルムをタイプ紙に挟み、さらにガラス板で挟んで50℃エアバス中において10kg荷重を24時間かけた後、該フィルムを開口性治具に取り付け200mm/分でフィルムを引き離し、このときの荷重から求めたブロッキング力が0〜0.27g/cmの範囲にある
    ことを特徴とするフィルム。
  6.  農業用フィルムであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7.  請求項1または2に記載のエチレン系共重合体から得られたことを特徴とするブロー成形容器、チューブ、パイプまたは射出成形品。
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