JP2004002749A - 乳化重合樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】同一粒子内に水酸基及び水酸基と反応し得る官能基を有し、重量平均分子量が1万以上、50万以下である乳化重合樹脂組成物、及び、該乳化重合樹脂組成物と架橋剤とを含む硬化性組成物であって、該架橋剤は(ブロック)ポリイソシアネート化合物及び/又はアミノプラスト樹脂である硬化性組成物、及び、該硬化性組成物を塗装し、熱硬化することにより形成される硬化塗膜。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳化重合樹脂組成物、及び、該乳化重合樹脂組成物と架橋剤とを含む硬化性組成物、及び、該硬化性組成物により形成される硬化塗膜に関する。より詳しくは、高外観で優れた塗膜物性が要求される水性塗料等に好適に用いられる乳化重合樹脂組成物、及び、該乳化重合樹脂組成物と架橋剤とを含む硬化性組成物、及び、該硬化性組成物により形成される硬化塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
水系樹脂組成物は、エマルション組成物等の形態により供給され、水性塗料等を構成して様々な用途に用いられているが、例えば、自動車用水性クリヤー塗料組成物に適用する場合には、高外観であると共に、優れた塗膜物性を発揮することや、低コスト化を実現することが要求されることになる。なお、このような水系樹脂組成物は、低VOC(Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物))化の観点から好ましいものである。
【0003】
従来の水性樹脂組成物としては、次のようなものが開示されている。
ビニル単量体をα−メチルスチレン及び/又はその二量体の存在下で懸濁重合させるビニル系重合物の製造法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、懸濁重合組成物からなる水性塗料は、経時で粒子の沈降が生じることから、貯蔵安定性の改良に工夫の余地があった。
【0004】
共役ジエン系単量体、エチレン系不飽和単量体及びエチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む単量体を、α−メチルスチレンダイマーの存在下において、乳化重合する共重合体ラテックスの製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この製造方法により得られる共重合体ラテックスは、架橋により塗膜を形成することができるものではないことから、自動車用水性クリヤー塗料組成物等に要求されるような優れた塗膜物性を発揮することができるようにする工夫の余地があった。
【0005】
(A)イオン樹脂、(B)ブロックトポイソシアネート及び(C)遊離基重合によってできる少なくとも1種類のエチレン性不飽和モノマーより成るポリマーを含有する合成樹脂水性分散物が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この合成樹脂水性分散物においては、イオン樹脂としてアミノ−エポキシ樹脂が例示され、電着塗装材料に用いられているが、電着塗装材料は自動車用塗料における下塗りであることから、上塗りである水性塗料組成物等に要求されるような優れた外観と塗膜物性とを発揮することができるようにする工夫の余地があった。
【0006】
アクリル系共重合体を含むアクリル系共重合体エマルションと、水溶性高分子、多価アルコール及び多価金属化合物を特定量含む水分散体組成物が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。また、酸基含有ポリマーA、及び、エチレン性不飽和化合物をポリマーAの存在下に乳化重合することによって製造できるラテックス粒子の状態の水不溶性ポリマーBを含有する水中で泡立ちが低減されたアニオン系ポリマー混合物が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、これらは水性印刷インキ用バインダーを形成したり、水性プリントコーティングのためのバインダーとして使用される酸基含有ポリマー混合物を形成したりするものであり、架橋により塗膜を形成することができるものではないことから、水性塗料等としたときに優れた外観と塗膜物性とを発揮することができるようにする工夫の余地があった。
【0007】
(i)ヒドロキシル基とカルボキシル基とを有し、2000〜50000の重量平均分子量、30℃以上のガラス転移温度であるポリエステル、ポリアクリレート及びポリエステルポリアクリレートからなる群より選択される1員からなるポリオール成分と、(ii)封鎖イソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネートからなる群より選択される1員からなるポリイソシアネート成分とを含む水性被覆組成物が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら、この水性被覆組成物においては、溶剤中で重合し、転相して脱溶剤することにより調製されているために工程が多くなり、低コスト化に工夫の余地があった。
【0008】
酸性基含有重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー、スチレン系モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを有機溶剤溶液重合させてなるアクリル樹脂の水分散液と、モノマーを有機溶剤重合させることにより調製し、ついでこれを水溶液に変換して得られるアクリル樹脂の水溶液と、架橋剤からなる熱硬化性樹脂組成物を主成分とする水性塗料組成物に関し、架橋剤として、メラミン及びブロックイソシアネートが開示されている(例えば、特許文献7参照。)。しかしながら、アクリル樹脂を水分散液として得る場合には、水性塗料組成物を自動車用クリヤー塗料組成物に好適なものとなるように塗膜物性をより向上するための工夫の余地があった。また、アクリル樹脂を水溶液として得る場合には、その製造方法は水溶液に変換する工程を含むことから、このような製造の工程数を減らして製造コストを抑制したり、製造工程において低VOC化したりするための工夫の余地があった。
【0009】
ポリエステル、ポリアクリレートおよびポリエステルポリアクリレートポリオールよりなる群から選択される1員からなるポリオール成分と、脂肪族イソシアネート及び脂環式イソシアネートよりなる群から選択される1員からなるポリイソシアネート成分とを含む水性被覆組成物及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献8参照。)。更に、塗膜形成成分中に、ブロック化したイソシアネート基を1分子中に少なくとも2個以上有するイソシアネート化合物及びメチロール基又はメチロールエーテル基を含有するアミノプラスト架橋剤を含有し、懸濁安定剤を用いて塗膜形成成分を水中に分散させることを特徴とする水性塗料組成物に関し、アミノプラスト樹脂としては、N−ブトキシアクリルアミド含有樹脂も含むものであること、及び、懸濁安定剤としては高酸価、水酸基含有樹脂が挙げられることが開示されている(例えば、特許文献9参照。)。しかしながら、これらの製造方法は、水溶液に変換する工程を含み、又は、水性塗料組成物の生成後に溶媒を除去する工程を必要とすることから、このような製造の工程数を減らして製造コストを抑制したり、製造工程において低VOC化したりするための工夫の余地があった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭50−158682号公報(第455、457頁)
【特許文献2】
特開平3−109451号公報(第421頁)
【特許文献3】
特開平7−70431号公報(第1−2頁)
【特許文献4】
特開平8−59932号公報(第1−2頁)
【特許文献5】
特開平8−259613号公報(第1−3頁)
【特許文献6】
特開平11−131017号公報(第2、12頁)
【特許文献7】
特開平7−102206号公報(第2、6−8頁)
【特許文献8】
特開平11−131017号公報(第2頁)
【特許文献9】
特開2002−105396号公報(第2、5−6頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、光沢、鮮映性、肉持ち性等に優れて高外観を与えることができ、硬化性及び貯蔵安定性に優れ、低コスト化を図ることが可能であり、しかも硬度、耐衝撃性、耐擦り傷性、耐酸性雨性、耐候性等に優れた塗膜物性を発揮して低VOC化することができる乳化重合樹脂組成物、及び、該乳化重合樹脂組成物と架橋剤とを含む硬化性組成物、及び、該硬化性組成物により形成される硬化塗膜を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、乳化重合樹脂組成物について種々検討した結果、同一粒子内に水酸基及び水酸基と反応し得る官能基を有し、重量平均分子量が1万以上、50万以下である乳化重合樹脂組成物とすると、低分子量化することによる、レべリング性の向上等に起因して光沢、鮮映性、肉持ち性等が向上し、高外観を与えることができることを見いだすとともに、低分子量化した場合においても、粒子内で架橋構造を形成することで、自動車用水性クリヤー塗料組成物等に要求されるような優れた塗膜物性を低分子量化により損ねることなく発揮することを見いだした。また、乳化重合反応は水溶液中で行うものであることから、相転換や重合組成物生成後の溶媒除去が不要で製造工程を少なくし、製造コストを低くすることができることができることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、重合体を重合する際の単量体成分として水酸基と反応する官能基を有する重合性不飽和単量体を用い、その水酸基と反応する官能基を有する重合性不飽和単量体を特定すると、本発明の作用効果がより充分に発揮されること、及び、乳化重合樹脂組成物と架橋剤とを含む硬化性組成物とし、架橋剤を特定すると、粒子間架橋構造が形成されることに起因して本発明の作用効果がより充分に発揮されることも見いだし、本発明に到達したものである。
【0013】
すなわち本発明は、同一粒子内に水酸基及び水酸基と反応し得る官能基を有し、重量平均分子量が1万以上、50万以下である乳化重合樹脂組成物である。
本発明はまた、上記乳化重合樹脂組成物と架橋剤とを含む硬化性組成物であって、上記架橋剤は(ブロック)ポリイソシアネート化合物及び/又はアミノプラスト樹脂である硬化性組成物でもある。
本発明は更に、上記硬化性組成物を塗装し、熱硬化することにより形成される硬化塗膜でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0014】
本発明における乳化重合樹脂組成物は、同一粒子内に水酸基及び水酸基と反応し得る官能基を有してなる。このような乳化重合樹脂組成物においては、硬化するときに、乳化重合により生成したエマルション粒子の内部で重合体が有する水酸基及び水酸基と反応し得る官能基とが重合体間で、及び/又は、重合体内で結合し、架橋構造が形成されることになる。これにより、本発明の乳化重合樹脂組成物は、塗料組成物等に使用した場合に優れた塗膜物性を発揮するものとなる。
【0015】
上記乳化重合樹脂組成物は、加熱硬化時に水酸基と反応して架橋構造を形成し得る、水酸基以外の架橋性官能基を有することが好ましい。本発明の好ましい形態としては、水酸基を有する重合性不飽和単量体と、水酸基と反応する官能基を有する重合性不飽和単量体とを必須成分とする重合性不飽和単量体組成物を重合することで乳化重合樹脂組成物における同一粒子内に水酸基及び水酸基と反応し得る官能基を導入することである。なお、反応性官能基を有する単量体を単量体成分として重合することにより重合体を形成し、その反応性官能基に他の物質を作用させることで乳化重合樹脂組成物に水酸基及び水酸基と反応し得る官能基を導入してもよい。重合性不飽和単量体組成物における水酸基を有する重合性不飽和単量体と、水酸基と反応する官能基を有する重合性不飽和単量体の官能基の当量比としては、100/5〜100/100が好ましい。より好ましくは100/8〜100/50である。更に好ましくは100/10〜100/40である。
【0016】
上記水酸基と反応し得る官能基としては、加熱硬化時に水酸基と反応して架橋構造を形成し得る、水酸基以外の架橋性官能基が好ましいが、更に好ましくは、アルコキシアルキルアミド基及び/又はブロック化されたイソシアネート基である。すなわち、本発明における乳化重合樹脂組成物は、水酸基を有する重合性不飽和単量体と、アルコキシアルキルアミド基及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する重合性不飽和単量体で構成されることが好ましい。より好ましくは水酸基を有する重合性不飽和単量体及びアルコキシアルキルアミド基を有する重合性不飽和単量体を必須とすることである。
【0017】
上記水酸基を有する重合性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート(商品名:4HBA、三菱化学社製)、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、α−ヒドロキシメチルエチルアクリレート、α−ヒドロキシメチルメチルアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(商品名:プラクセルFシリーズ、ダイセル化学工業社製)、4−メチロールシクロヘキシルメチルアクリレート(商品名:CHDMMA、日本化成社製)等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、2級の水酸基を有する重合性不飽和単量体が好ましく、更に好ましくは、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである。2級の水酸基を有する重合性不飽和単量体を用いることで塗膜外観、塗膜硬度、耐溶剤性がより良好となる。
【0018】
上記アルコキシアルキルアミド基を有する重合性不飽和単量体としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の架橋性(メタ)アクリルアミド類等が好適である。
【0019】
上記ブロック化されたイソシアネート基を有する重合性不飽和単量体としては、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:カレンズMOI、昭和電工社製)、メタクロイルイソシアネート(商品名:MAI、日本ペイント社製)、m−イソプロペニル−α,αジメチルベンジルイソシアネート(商品名:m−TMI、武田薬品工業社製)等にブロック化剤を反応させたものが好適である。
ブロック化剤としては、マロン酸ジエチルエステル、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタム、ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾール若しくはイミダゾールのような公知の1官能性封鎖剤が封鎖剤として使用される。160℃まで、より好ましくは150℃までの温度範囲で開裂する封鎖剤が好適に使用される。ブタノンオキシム、シクロへキサノンオキシム及び3,5−ジメチルピラゾールが好適であり、ブタノンオキシムが特に好適である。
【0020】
上記重合性不飽和単量体組成物としては、連鎖移動剤を含有することが好ましく、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロブロモエタン、ブロモホルム等のハロゲン化合物;ジスルフィド、Dimethylxanthogen disulfide、第2級アルコール、イソプロピルアルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルベンゾール、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノール等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
上記連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンを必須成分とすることが好ましく、α−メチルスチレンを主成分とすることがより好ましい。すなわち、本発明における乳化重合樹脂組成物が、α−メチルスチレンを必須成分とする重合性不飽和単量体組成物を重合してなることが好ましい。α−メチルスチレンを主成分とするとは、連鎖移動剤中に50質量%以上含有することを意味し、好ましくは80質量%以上含有することを意味する。また、α−メチルスチレンと他の連鎖移動剤を併用してもよい。α−メチルスチレンを主成分とすることで、メルカプタン類を併用した場合に生じる臭気を軽減することができる利点を有する。
【0022】
上記α−メチルスチレンの含有量としては、重合性不飽和単量体組成物100質量%中に1質量%以上であることが好ましく、また、50質量%以下であることが好ましい。1質量%未満であると、重合体の分子量が高くなり、塗膜の外観特性が低下するおそれがあり、50質量%を超えると、重合速度が非常に遅くなり、重合を完結できないおそれがある。より好ましくは、5質量%以上であり、また、30質量%以下である。また、α−メチルスチレンと併用する他の連鎖移動剤の含有量は重合性不飽和単量体組成物100質量%に対し、2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。
【0023】
上記重合性不飽和単量体組成物としては、上述したような架橋性官能基を有する重合性不飽和単量体以外のその他の単量体を含有していてもよい。
上記その他の単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、カルボキシル基末端カプロラクトン変性アクリレート(商品名:プラクセルFAシリーズ、ダイセル化学工業社製)、カルボキシル基末端カプロラクトン変性メタクリレート(商品名:プラクセルFMAシリーズ、ダイセル化学工業社製)、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボン酸を有する重合性不飽和単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジルアクリレート、グリシジルアリルエーテル、オキソシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(商品名:CYCLOMER A200、ダイセル化学工業社製)、α−メチルグリシジルメタクリレート(商品名:M−GMA、ダイセル化学工業社製)、3,4−エポキシシクロへキシルメチルメタクリレート(商品名:CYCLOMER M100、ダイセル化学工業社製)等のエポキシ基を有する重合性不飽和単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族不飽和単量体;N,N′−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール等の窒素含有不飽和単量体;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフッ素原子含有不飽和単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート等の多官能性不飽和単量体;[2′−ヒドロキシ−5′−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、市販のRUVA−93(大塚化学社製)等の反応性ベンゾトリアゾール型紫外線吸収性単量体(特開平8−151415号公報等に開示);2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ)プロポキシベンゾフェノン等の反応性ベンゾフェノン型紫外線吸収性単量体;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、市販のアデカスタブLA−82やLA−87(旭電化工業社製)、市販のFA−711MMやFA−712HM(日立化成工業社製)等の反応性紫外線安定性単量体(特開平1−261409号公報等に開示)等が好適である。
【0024】
本発明における乳化重合樹脂組成物を構成する重合体の重量平均分子量は、1万以上50万以下であることが好ましい。1万未満であると、耐水性や耐溶剤性が悪くなり、50万を超えると、レベリング性が悪くなり、外観が悪くなる。より好ましくは、2万以上であり、また、40万以下であり、より更に好ましくは、3万以上であり、また、30万以下である。特に好ましくは、20万以下である。なお、本明細書中、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算での重量平均分子量を意味する。
【0025】
上記乳化重合樹脂組成物としては、(1)重合体全体としてのガラス転移温度(Tg)、(2)平均粒子径、(3)酸価、(4)水酸基価、及び、(5)カルボキシル基及びヒドロキシル基以外の官能基数を好適な範囲に設定してなる形態であることが好ましい。これらのうち1つ以上を好適な範囲に設定すると、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
【0026】
上記(1)重合体全体としてのガラス転移温度(Tg)としては、−20℃以上であり、また、100℃以下であることが好ましい。本発明を自動車用クリヤートップとして用いる場合、好ましくは、−10℃以上であり、また、80℃以下がである。より好ましくは、50℃以下である。更に好ましくは、25℃以下である。
上記重合体全体としてのガラス転移温度(Tg)は、下記のFoxの式により求めることが好ましい。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn)/100
ここで、Wnは重合性不飽和単量体組成物100質量%中に存在する重合性不飽和単量体nの質量%、Tgnは重合性不飽和単量体nからなるホモポリマーのTg(絶対温度)を示す。
【0027】
上記(2)平均粒子径としては、30nm以上であることが好ましく、また、500nm以下であることが好ましい。30nm未満であると、重合時に、凝集物が発生しやすくなるおそれがあり、500nmを超えると、得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。より好ましくは、50nm以上であり、また、300nm以下である。
上記(3)酸価としては、50mgKOH/g以下であることが好ましい。50mgKOH/g未満であると、乳化重合が困難となり、乳化重合樹脂組成物が実用的な濃度で得られない場合がある。より好ましくは、30mgKOH/g以下である。
【0028】
上記(4)水酸基価としては、20mgKOH/g以上であることが好ましく、また、180mgKOH/g以下であることが好ましい。20mgKOH/g未満であると、塗膜形成における架橋度が不足し、所望の塗膜性能が得られない場合があり、180mgKOH/gを超えると、乳化重合が困難となり、乳化重合樹脂組成物が実用的な濃度で得られない場合がある。より好ましくは、40mgKOH/g以上であり、また、150mgKOH/g以下である。
上記(5)カルボキシル基及びヒドロキシル基以外の官能基数において、カルボキシル基及びヒドロキシル基以外の官能基を有する重合性不飽和単量体が、全重合性不飽和単量体成分100質量%に対して30質量%以下であることが好ましい。
【0029】
本発明の乳化重合組成物は乳化重合反応により得られるものであるが、乳化重合反応は水溶液中で行うものであることから、相転換や重合組成物生成後の溶媒除去が不要であり、製造工程を少なくすることができ、製造コストを低くすることができる利点を有する。
本発明の乳化重合樹脂組成物を生成する乳化重合としては、乳化剤の存在下で重合を行う従来公知の種々の乳化重合方法を採用することができる。例えば、重合開始剤、水性媒体、乳化剤を一括添加して重合する方法や、いわゆるモノマー滴下法、プレエマルション法等の重合方法が挙げられる。また、シード重合、コア・シェル重合、パワーフィード重合等の多段重合を行うことで、得られる架橋性官能基を有する重合体が異相構造を有するようにしてもよい。
【0030】
上記乳化重合としては、水性媒体、乳化剤、好ましくは連鎖移動剤を含有する上述した重合性不飽和単量体組成物、重合開始剤等を用いて、40〜100℃で1〜20時間反応させる方法が好適である。また、重合体全体としてのTgが−10℃以上の場合には、Tg差をつけた多段重合を行うことが好ましい。これにより、塗膜外観をより優れたものとすることが可能となる。このとき、多段重合における多段組成(各段階の重合反応で形成される重合体)中、最低Tg成分のTgが70℃以下の重合体を形成し、最高Tg成分のTgが0℃以上の重合体を形成することが好ましい。この場合、低Tg成分によって本発明を適用した塗膜に優れたレベリング性が与えられることになり、高Tg成分によって本発明を適用した塗膜に硬度が与えられることになる。高Tg成分と低Tg成分との質量比(高Tg成分/低Tg成分)としては、10/90〜40/60が好ましく、20/80〜35/65がより好ましい。また、多段重合して得られる重合体は、その一部が架橋していてもよい。
【0031】
上記重合開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;過酸化水素、過酢酸、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、重合開始剤の使用量は、重合性不飽和単量体組成物の総重量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。また、重合速度を促進させる場合、又は、低温で重合する場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット、二酸化チオ尿素(商品名:テックライト、旭電化工業社製)等の還元剤を用いてもよい。
【0032】
上記水性媒体としては、通常、水が使用され、必要に応じて低級アルコールやケトン等の親水性溶媒が併用できる。水性媒体の使用量としては、得られる硬化性組成物中の固形分が所望の含有量となるように適宜設定すればよい。
【0033】
上記乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、分子中に1個以上の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する重合性界面活性剤等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
上記アニオン性界面活性剤としては、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート類;アンモニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキルサルフェート類;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート、ナトリウムスルホシノエート、スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩類;スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート類;ナトリウムラウリレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩類、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート類;高級アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が好適である。
【0035】
上記ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド類、ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体、エチレンオキサイドと脂肪酸アミン、アミド又は酸との縮合生成物等が好適である。
上記カチオン性界面活性剤としては、アルキルピリジニルクロライド、アルキルアンモニウムクロライド等が好適である。
【0036】
上記両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が好適である。
上記高分子界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、これらの重合体の構成単位である重合性単量体の2種以上の共重合体又は他の単量体との共重合体、クラウンエーテル類の相関移動触媒等が好適である。
【0037】
上記重合性界面活性剤としては、プロペニル−2−エチルヘキシルベンゼンスルホコハク酸エステルナトリウム、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステルのリン酸エステル等のアニオン性重合性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルベンゼンエーテル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(メタ)アクリル酸エステル等のノニオン性重合性界面活性剤等が好適である。
上記乳化剤の使用量(合計使用量)は、使用する重合性不飽和単量体組成物の総質量に対して、0.5〜10質量%であることが好ましい。
【0038】
上記乳化重合においては、重合体を中和剤で中和してもよく、中和剤としては、従来公知の、酸性基を中和する際に用いる中和剤であればよく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物類;水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物類;アンモニア;ジメチルエタノールアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の有機アミン類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂中に開始剤や乳化剤に由来するスルホン基や硫酸及びエチレンオキサイド鎖が存在する時は、アルカリ金属化合物類、アルカリ土類金属化合物類を熱黄変を防止するために使用することが望ましい。その使用量は樹脂中に存在するスルホン基や硫酸の総量に対し、0.5当量〜4当量が望ましい。0.5当量以下であると、熱黄変防止に効果がなく、4当量以上であると耐水性が低下する。更に、これらと併用する中和剤は、耐水性低下抑制の観点から低沸点のアンモニアやトリエチルアミンが好ましい。
【0039】
上記中和剤の添加量としては、アクリルエマルションがpH3〜10となるような量であることが好ましい。pH3未満であると、アクリルエマルションの安定性、機械的安定性が低下するおそれがあり、pH10を超えると、耐水性の低下や臭気の発生等の実用性に問題が生じるおそれがある。より好ましくは、pH4〜9.5である。
【0040】
本発明の硬化性組成物は、乳化重合樹脂組成物と架橋剤とを含むものであるが、架橋剤としては、常温で架橋反応を開始するものでも、熱により架橋反応を開始するものでもよく、水分散型(ブロック)ポリイソシアネート、アミノプラスト樹脂が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水分散型(ブロック)ポリイソシアネートが好ましい。水分散型とは、水に分散可能な形態であり、(ブロック)ポリイソシアネートがO/W型となるように水に分散された状態をいい、水に(ブロック)ポリイソシアネートを添加し、棒やハンドミキサー等を用いて機械的に攪拌して作製されるものである。(ブロック)ポリイソシアネートとは、ポリイソシアネート及び/又はブロックポリイソシアネートを意味する。更に、系中のカルボキシル基と反応させ耐水性や耐スリ傷性を向上させる目的でオキサゾリン系樹脂を併用させても良い。
【0041】
上記水分散型ポリイソシアネートとしては、ポリエチレンオキシド鎖によって水溶性を付与された水に分散可能なポリイソシアネートを、アニオン性あるいはノニオン性の分散剤で分散させたもの、更に、水に分散しないポリイソシアネートを併用することで、耐水性を向上することが可能である。
また、ポリイソシアネートとしては、塗膜の黄変を防止するために、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性ポリイソシアネート化合物が好ましい。上記無黄変性ポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート;これらのジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ビュウレット体、イソシアヌレート体等のアダクトポリイソシアネート等のポリイソシアネートの誘導体(変性物)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
上記水分散型ポリイソシアネートとして、具体的には、アクアネート100、アクアネート110、アクアネート200及びアクアネート210(いずれも商品名、日本ポリウレタン工業社製);バイヒジュールTPLS−2032及びSUB−イソシアネートL801(いずれも商品名、住化バイエルウレタン社製);タケネートWD−720、タケネートWD−725及びタケネートWD−220(いずれも商品名、三井武田ケミカル社製);レザミンD−56(商品名、大日精化工業社製)等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記水分散型ポリイソシアネートと混合する水に分散しないポリイソシアネートとしては、通常溶剤系においてハイソリッドタイプとして使用されるものが好ましく、具体的にはデスモジュールN3400、デスモジュールN3600、デスモジュールVPLS2294(いずれも商品名、住化バイエルウレタン社製)、タケネートD−170HN(商品名、三井武田ケミカル社製)等が好適である。これらは単独で水分散型ポリイソシアネートと混合して用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
水分散型ポリイソシアネートと水に分散しないポリイソシアネートとの具体的な配合例としては、水分散型ポリイソシアネートとしてタケネートWD−725(商品名、三井武田ケミカル社製)と水に分散しないポリイソシアネートとしてデスモジュールVPLS2294(商品名、住化バイエルウレタン社製)を4:1(重量比)に配合したものが挙げられる。
【0045】
上記水分散型ブロックポリイソシアネートとは、硬化性組成物を加熱乾燥するときに架橋させ、かつ、常温での貯蔵安定性を向上させるために、通常、水分散型ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化剤でブロックしたものである。
上記ブロック化剤としては、マロン酸ジエチルエステル、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタム、ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾール若しくはイミダゾールのような公知の1官能性封鎖剤が封鎖剤として使用される。160℃まで、より好ましくは150℃までの温度範囲で開裂する封鎖剤が好適に使用される。ブタノンオキシム、シクロへキサノンオキシム及び3,5−ジメチルピラゾールが好適であり、ブタノンオキシムが特に好適である。
【0046】
上記水分散型ブロックポリイソシアネートとしては、タケネートWB−720、タケネートWB−730、タケネートWB−920(いずれも商品名、三井武田ケミカル社製);バイヒジュールBL116、バイヒジュールBL5140、バイヒジュールBL5235、バイヒジュールTPLS2186、デスモジュールVPLS2310(いずれも商品名、住化バイエルウレタン社製)等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記水分散型(ブロック)ポリイソシアネートは、有機溶剤を添加して使用することもできる。
【0047】
上記水分散型(ブロック)ポリイソシアネートを架橋剤として用いた場合、本発明の硬化性組成物を硬化させると、重合性不飽和単量体の有するヒドロキシル基とイソシアネート基とが反応してウレタン架橋により粒子間架橋構造を形成することになる。本発明の硬化性組成物においては、粒子間架橋構造の他に粒子内架橋構造としてウレタン架橋及び/又はアマイド架橋による硬化を用いることとなる。この粒子内架橋構造を有することで、耐溶剤、耐水性の向上といった優れた特性を有することになる。アマイド架橋とは、アルコキシアルキルアミド基と水酸基との脱アルコール反応とアルコキシアルキルアミド基同士の自己縮合反応によって形成される架橋構造のことである。
【0048】
上記アルコキシアルキルアミド基は強酸性下、水酸基と反応する。重合中に反応が起こると架橋が進行してしまい、それに伴う分子量の増加により、外観等に悪影響を与えてしまうため、アルコキシアルキルアミド基を重合させる時は中和剤の使用により、pHを4以上に調整し、分子量の増加を防ぐことが望ましい。
また、オキサゾリン系樹脂としては、水溶性タイプでは、エポクロスWS−500、WS−700、エマルションタイプでは、エポクロスK−2010、K−2020、K−2030(日本触媒社製)等が挙げられる。特に、主剤との反応性の高い水溶性タイプが好ましい。
【0049】
本発明の硬化性組成物における乳化重合樹脂組成物に含まれる官能基に対する架橋剤に含まれる官能基の当量比としては、0.5〜2.5であることが好ましい。より好ましくは、0.8〜2である。更に好ましくは、1〜1.8である。
【0050】
本発明の硬化性組成物は、上述した構成成分を混合して得られるものであるが、架橋剤としてポリイソシアネートが用いられている場合には、本発明の構成成分である重合体等と架橋剤の架橋反応が常温で進行するため、本発明の硬化性組成物は、使用する直前に架橋性官能基を有する重合体等を含有する本剤と架橋剤とを混合して得られることが好ましく、架橋剤としてブロックポリイソシアネートが含有されている場合は、焼き付け処理等の高温処理を行うことにより架橋反応が開始するので、どの時点で構成成分が混合されてもよいが、製品製造時に架橋性官能基を有する重合体等を含有する本剤と架橋剤とが混合されて得られることが好ましい。焼き付け処理によって架橋構造が形成されることにより、耐溶剤性、耐水性が向上して優れた塗膜物性を発揮することとなる。
【0051】
本発明の硬化性組成物としては、固形分濃度が20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは、30質量%以上である。
【0052】
上記硬化性組成物は、必要に応じて顔料、添加剤、溶剤等を含有していてもよい。添加剤としては、レベリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、重合禁止剤、充填剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌剤、金属不活性化剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防曇剤、防食剤、顔料分散剤、流動調整剤、過酸化物分解剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、防藻剤、防カビ剤、難燃剤、スリップ剤、金属キレート剤、アンチブロッキング剤、耐熱安定剤、加工安定剤、着色剤等が挙げられる。
【0053】
上記溶剤としては、成膜性等を向上させるために、本発明の効果を損なわない限りにおいて有機溶剤を用いることができる。なお、本発明においては成膜性に優れるものであるので、通常用いられる量よりも少ない量の有機溶剤で足りるため、低VOC化を図ることができることになる。
【0054】
本発明の硬化塗膜は、上記硬化性組成物を基材に塗装して硬化させることにより形成することができるものである。
上記基材としては、ガラス、スレート、コンクリート、モルタル、セラミック、石材等の無機質基材;アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、銅、チタン、ステンレス、ブリキ、トタン等からなる金属板、表面に亜鉛、銅、クロム等をメッキした金属、表面をクロム酸、リン酸等で処理した金属等の金属基材;ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、FRP(織維強化プラスチック)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂等のプラスチック基材;合成皮革;ヒノキ、スギ、マツ、合板等の木材;繊維、紙等の有機素材等が挙げられる。また、これらの基材は、硬化性組成物が塗装される前に、通常用いられるプライマーや、下塗り、中塗り、メタリックベース等の上塗り等塗装用塗料が塗装されていてもよい。
【0055】
上記硬化性組成物から塗膜を形成する際の塗装方法、及び、塗膜の硬化方法としては、硬化性組成物が用いられる用途により適宜設定すればよく、塗装方法としては、浸漬塗り、刷毛塗り、ロール刷毛塗り、スプレーコート、ロールコート、スピンコート、ディップコート、バーコート、フローコート、静電塗装、ダイコート等による塗装法等が好適である。
【0056】
上記硬化方法としては、常温硬化、加熱硬化等により行うことができ、本発明の硬化性組成物が用いられる用途により、硬化条件等を適宜設定すればよく、上記硬化性組成物から形成される塗膜の膜厚としては、硬化性組成物が用いられる用途により適宜設定すればよく、また、塗膜の硬度としては、塗膜の用途により要求される硬度が異なるため、その用途に適した硬度を与えるように、構成成分の配合量、反応条件等を適宜設定すればよいが、例えば、自動車用クリヤー塗料として用いる場合には、加熱温度を100℃以上、180℃以下、塗膜の膜厚を20μm以上、100μm以下、塗膜の硬度をF以上とすることが好ましい。更に好ましくは、加熱温度を120℃以上、160℃以下、塗膜の膜厚を25μm以上、60μm以下とすることである。
【0057】
本発明の硬化性組成物は、プラスチック成形品用、家電製品用、鋼製品、大型構造物、車両用(例えば、自動車補修用のソリッドカラー用やメタリックベース用、クリヤートップ用)、航空機用、建材用、建築用、瓦用、木工用等の各種下塗り、中塗りに利用でき、特に、自動車用クリヤー塗料として好適に用いることができるものであり、これらの塗料は、加熱処理等することで、架橋反応により硬化し、光沢、鮮映性、肉持ち性等に優れて高外観を与えることができ、硬度、耐衝撃性、耐擦り傷性、耐酸性雨性、耐候性等に優れた塗膜物性を発揮する塗膜を形成することになる。
【0058】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0059】
1.樹脂組成物の作成方法
実施例1(樹脂組成物(1))
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水212.6gを仕込んだ。
滴下ロートに乳化剤「アクアロンBC−20」(第一工業製薬社製;以下「アクアロンBC−20」と称す)の20%水溶液31.6g、脱イオン水58.4g、t−ブチルメタクリレート50.4g、2−エチルヘキシルアクリレート53.3g、スチレン21.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート58.4g、メタクリル酸4.8g、α−メチルスチレン21.0g、メルカプトプロピオン酸1.0gからなる1段目のプレエマルションを調製し、そのプレエマルションの9%にあたる27.0gをフラスコに添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下85℃まで昇温した。昇温後、3%の過硫酸カリウム水溶液を10.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を90℃まで30分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
【0060】
初期重合終了後、反応系内を90℃に維持したまま、調製した1段目用のプレエマルションの残部及び3%の過硫酸カリウム水溶液61.6gを125分かけて均一滴下した。滴下後、脱イオン水5.3gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加し、1段目の重合を終了し、組成物(1A)を得た。
【0061】
次に、組成物(1A)に10%水酸化ナトリウム水溶液を8.9g及びトリエチルアミンを1.1g添加し、同温度で30分間攪拌した。
引き続いてアクアロンBC−20の20%水溶液13.6g、脱イオン水25.0g、t−ブチルメタクリレート33.9g、2−エチルヘキシルアクリレート0.5g、スチレン9.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート25.0g、メタクリル酸2.1g、α−メチルスチレン18.0g、N−ブトキシメチルアクリルアミド10.1g、メルカプトプロピオン酸0.5gからなる2段目のプレエマルション及び3%の過硫酸カリウム水溶液28.4gを55分かけて均一滴下した。滴下後、脱イオン水3.6gで滴下ロートを洗浄し、2段目の重合を終了し、組成物(1B)を得た。
【0062】
2段目重合終了後45分後に、組成物(1B)に2.5%過硫酸水素ナトリウム水溶液18.0gを添加し、2時間維持し重合を終了し、組成物(1C)を得た。
得られた組成物(1C)である反応液を室温まで冷却後、100メッシュの金網でろ過して水性樹脂分散体である樹脂組成物(1)を得た。重合に用いた成分等を表1に示す。
上記樹脂組成物(1)について、不揮発分、重量平均分子量(Mw)、平均粒子径を測定し、並びに、樹脂組成物(1)全体の酸価、水酸基価及びTgを計算した。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
以下に表1について説明する。また、以下に示す表4、表5及び表6においても同様である。
Total Tgとは、樹脂組成物全体におけるTg(ガラス転移温度)であり、1段目Tgとは、1段目を構成する重合性不飽和単量体組成物のTgであり、2段目Tgとは、2段目を構成する重合性不飽和単量体組成物のTgである。
MAAはメタクリル酸であり、HEMAはヒドロキシエチルメタクリレートであり、HPMAはヒドロキシプロピルメタクリレートであり、CHMAはシクロヘキシルメタクリレートであり、t−BMAはt−ブチルメタクリレートであり、Stはスチレンであり、2EHAは2−エチルへキシルアクリレートであり、CHAはシクロヘキシルアクリレートであり、NBMAmはN−ブトキシメチルアクリルアミドであり、カレンズMOI−BMは2−イソシアネートエチルメタクリレートにブタノンオキシムを反応させたもの(昭和電工社製)であり、TDMはt−ドデシルメルカプタンであり、3%KPSは3%過硫酸カリウム水溶液であり、6.9%PBHは6.9%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液であり、3%RGTは3%ロンガリット水溶液であり、10%NaOHは10%水酸化ナトリウム水溶液であり、TEAはトリエチルアミンであり、25%NH3は25%アンモニウム水溶液である。
【0065】
上記樹脂組成物(1)の不揮発分、重量平均分子量(Mw)、平均粒子径、並びに、樹脂組成物(1)全体のTgの計算は、下記のように行った。
また、酸価は、全重合性不飽和単量体中に含まれる、酸含有不飽和単量体の量より求めた理論値である。同様にして水酸基価も求めた。
〈不揮発分〉
得られた樹脂組成物(1)の約1gを秤量し、熱風乾燥機により105℃で1時間乾燥後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
〈重量平均分子量(Mw)〉
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)[東ソー社製、商品名「HLC−8120GPC」]を用いて測定した。なお、分子量測定カラムとして、TSK−GEL GMHXL−LとTSK−GEL G5000HXL(いずれも東ソー社製)を直列に接続して用いた。また、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、ポリスチレンを標準物質として用いた。
【0066】
〈平均粒子径〉
動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製、「NICOMP Model 380」)を用い、体積平均粒子径を測定した。
【0067】
〈ガラス転移温度(Tg)〉
下記のFoxの式より計算によりTgを求めた。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn)/100
ここで、Wnは樹脂組成物(1)100質量%中に存在する重合性単量体nの質量%、Tgnは重合性単量体nからなるホモポリマーのTg(絶対温度)を示す。なお、下記のようにしてα−メチルスチレンのホモポリマーのTgnは129℃、N−ブトキシメチルアクリルアミドのホモポリマーのTgnは163℃とした。
【0068】
[α−メチルスチレンのホモポリマーのTgn]
α−メチルスチレンのホモポリマーのTgnは、Cerius2(アクセルリス社製)の中にある物性推算モジュールSYNTHIAを用いた計算結果と、実測Tgnがわかっている構造が類似したスチレンとの比較により求めた。各物質の計算Tgn、実測Tgn及び使用Tgnを表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
1)比率で計算
373×(410.7/381.7)=401.3(K)(=128.3℃)
2)加減で計算
373+(410.7−381.7)=402(K)(=129℃)
1)、2)いずれで計算しても、ほぼ同じ値となり、このことからα−メチルスチレンの設定Tgnは129℃(402K)とした。
【0071】
[N−ブトキシメチルアクリルアミドのホモポリマーのTgn]
N−ブトキシメチルアクリルアミドのホモポリマーのTgnについてもα−メチルスチレンと同様、SYNTHIAを用いて計算を行い、SYNTHIAを用いた計算結果と、実測Tgnがわかっている構造が類似したアクリルアミドとの比較によりTgnを求めた。各物質の計算Tgn、実測Tgn及び使用Tgnを表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
1)比率で計算
376×(426/366)=437.6(K)(=164.6℃)
2)加減で計算
426+(376−366)=436(K)(=163℃)
1)、2)いずれで計算しても、ほぼ同じ値となり、このことからN−ブトキシメチルアクリルアミドの設定Tgnは163℃(436K)とした。
【0074】
実施例2〜6(樹脂組成物(2)〜(6))、比較例1〜2(樹脂組成物(1)〜(2))
表1に示す配合比等に従って、実施例1と同様にして、水性樹脂分散体である樹脂組成物(2)〜(6)、比較樹脂組成物(1)、(2)を得た。
上記樹脂組成物(2)〜(6)、比較樹脂組成物(1)、(2)について、実施例1と同様に、不揮発分、重量平均分子量(Mw)、平均粒子径を測定し、並びに、樹脂組成物(2)〜(6)及び比較樹脂組成物(1)、(2)全体の酸価、水酸基価及びTgを計算した。結果を表1及び表4に示す。
【0075】
【表4】
【0076】
実施例7(樹脂組成物(7))
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水205.2gを仕込んだ。
滴下ロートに乳化剤アクアロンBC−20の20%水溶液42.0g、脱イオン水58.4g、t−ブチルメタクリレート27.2g、2−エチルヘキシルアクリレート73.7g、スチレン21.0g、ヒドロキシプロピルメタクリレート64.7g、メタクリル酸2.4g、α−メチルスチレン21.0g、t−ドデシルメルカプタン1.0gからなるプレエマルションを調製し、そのプレエマルションの1%にあたる6.9gをフラスコに添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下85℃まで昇温した。昇温後、3%の過硫酸カリウム水溶液を5.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を90℃まで30分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
【0077】
初期重合終了後、反応系内を90℃に維持したまま、調製したプレエマルションの残部及び3%の過硫酸カリウム水溶液67.1gを125分かけて均一滴下した。滴下後、脱イオン水8.4gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加して重合を終了し、樹脂組成物(7A)を得た。
【0078】
次に、組成物(7A)に10%水酸化ナトリウム水溶液を8.9g及びトリエチルアミンを1.1g添加し、同温度で30分間撹拌した。
引き続いてアクアロンBC−20の20%水溶液18.0g、脱イオン水18.0g、t−ブチルメタクリレート28.9g、2−エチルヘキシルアクリレート3.8g、スチレン9.0g、ヒドロキシプロピルメタクリレート27.7g、メタクリル酸1.1g、α−メチルスチレン9.0gからなる2段目のプレエマルション及び3%の過硫酸カリウム水溶液30.9gを55分かけて均一滴下した。滴下後、脱イオン水3.6gで滴下ロートを洗浄し、2段目の重合を終了し、樹脂組成物(7B)を得た。
【0079】
2段目重合終了後45分後に、樹脂組成物(7B)に2.5%過硫酸水素ナトリウム水溶液18.0gを添加し、2時間維持し重合を終了し、樹脂組成物(7C)を得た。
得られた樹脂組成物(7C)である反応液を室温まで冷却し、その後100メッシュの金網でろ過して水性樹脂分散体である樹脂組成物(7)を得た。重合に用いた成分等を表5に示す。
上記樹脂組成物(7)について、実施例1と同様に、不揮発分、重量平均分子量(Mw)及び平均粒子径を測定し、並びに、樹脂組成物(7)全体の酸価、水酸基価及びTgを計算した。結果を表5に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
実施例8〜12(樹脂組成物(8)〜(12))
表5に示す配合比等に従って、実施例1と同様にして、水性樹脂分散体である樹脂組成物(8)〜(12)を得た。
【0082】
実施例13(樹脂組成物(13))
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水234.6gを仕込んだ。
滴下ロートに、下記のように調製したアクアロンBC−20の20%水溶液31.6g、脱イオン水58.5g、シクロヘキシルアクリレート32.4g、2−エチルヘキシルアクリレート72.4g、ヒドロキシエチルメタクリレート58.4g、メタクリル酸4.8g、α−メチルスチレン42.0gからなる1段目のプレエマルションを調製し、そのプレエマルションの9%にあたる27.0gをフラスコに添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下85℃まで昇温した。昇温後、6.9%t−ブチルハイドロパーオキサイド(商品名:パーブチルH、日本油脂社製)水溶液を4.4g、3%ロンガリット水溶液を5.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を90℃まで30分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
【0083】
初期重合終了後、反応系内を90℃に維持したまま、調製した1段目用のプレエマルションの残部及び6.9%パーブチルH水溶液を26.8g、3%ロンガリット水溶液30.8gを125分かけて均一滴下した。滴下後、脱イオン水8.4gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加し、1段目の重合を終了し、組成物(13A)を得た。
【0084】
次に、組成物(13A)に10%水酸化ナトリウム水溶液を11.7g添加し、同温度で30分間攪拌した。
引き続いてアクアロンBC−20の20%水溶液13.6g、脱イオン水25.1g、シクロヘキシルメタクリレート17.5g、シクロヘキシルアクリレート17.3g、ヒドロキシエチルメタクリレート25.0g、メタクリル酸2.1g、α−メチルスチレン18.0g、N−ブトキシメチルアクリルアミド10.1gからなる2段目のプレエマルション及び6.9%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液12.4g、3%ロンガリット水溶液14.2gを55分かけて均一滴下した。滴下後、脱イオン水3.6gで滴下ロートを洗浄し、2段目の重合を終了し、組成物(13B)を得た。
【0085】
2段目重合終了後45分後に、組成物(13B)に41.4%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液1.4g、5%ロンガリット水溶液12.0gを添加し、2時間維持し重合を終了し、室温まで冷却後、25%アンモニア水溶液を5.4g添加し、15分撹拌後、100メッシュの金網でろ過して水性樹脂分散体である樹脂組成物(13)を得た。重合に用いた成分等を表6に示す。
上記樹脂組成物(13)について、実施例1と同様に、不揮発分、重量平均分子量(Mw)、平均粒子径を測定し、並びに、樹脂組成物(13)全体の酸価、水酸基価及びTgを計算した。結果を表6に示す。
【0086】
【表6】
【0087】
実施例14(樹脂組成物(14))
表6に示す配合比、及び、実施例13に示す配合量、反応温度以外の重合方法について従い、初期重合開始温度を75℃、初期重合終了温度を80℃、反応温度を80℃として、水性樹脂分散体である樹脂組成物(14)を得た。
【0088】
2.塗膜物性
▲1▼−1 塗膜作成
樹脂組成物(1)〜(14)及び比較樹脂組成物(1)〜(2)をそれぞれ100gに、タケネートWD−725(水分散型ポリイソシアネート、イソシアネート基含有率16.5%、三井武田ケミカル社製)とデスモジュールVPLS2294(溶剤型ポリイソシアネート、イソシアネート基含有率23%、住化バイエルウレタン社製)を4対1で混合した水分散型ポリイソシアネートを水酸基/イソシアネート基=1/1.5(当量比)となるように加え、更に、レベリング剤としてエフカ3580(エフカアディティブズ社製)を2g、ダイアセトンアルコールを10g加えて塗料用組成物を作製した。次に脱イオン水を加えて塗料粘度岩田カップで10秒になるように調整を行った。2液型ポリウレタン樹脂系の黒塗料をりん酸亜鉛処理鋼板に塗布して得られた黒板上に、スプレー塗装を乾燥膜厚が30μmになるように行い、室温で15分セッティング後、60℃×15分フラッシュオフし、続いて160℃×30分焼き付けを行い、試験片を作製した。
【0089】
▲1▼−2 塗膜作成
オキサゾリン系樹脂を併用した場合(実施例15)
樹脂組成物(5)を100gに、上記▲1▼−1で作成したポリイソシアネート20.2g(水酸基/イソシアネート基=1/1.5(当量比))、WS−700(オキサゾリン系樹脂、日本触媒社製)14.8g、エフカ3580を2g、ダイアセトンアルコールを10g加えて塗料用組成物を作成した。次に脱イオン水を加えて塗料粘度が岩田カップで10秒になるように調整を行なった。2液型ポリウレタン樹脂系の黒塗料をりん酸亜鉛処理鋼板に塗布して得られた黒板上に、スプレー塗装を乾燥膜厚が30μmになるように行い、室温で15分セッティング後、60℃×15分フラッシュオフし、続いて160℃×30分焼き付けを行い、試験片を作製した。
【0090】
▲2▼物性評価
作製した試験片について、下記に示すように物性測定及び評価試験を行った。結果をそれぞれ表1、表4、表5及び表6に示す。
〈外観〉
目視で塗膜の状態(凝集物の有無、表面の凹凸、光沢)を評価した。
◎:優、○:良、×:不可
〈光沢値〉
JIS K 5400に準拠して、VZ−2000(商品名、日本電色社製)を用いて、光源の入射角を20°として光沢値を測定した。
〈鉛筆硬度〉
JIS K 5400 8.4.1(試験機法)に準拠して、鉛筆引っかき試験を行い、塗膜に傷が付いたときの鉛筆硬度を硬度とした。
〈耐衝撃性〉
JIS K 5400 8.3.2(デュポン式)に準拠して試験を行い、500gの重りを用いて塗膜に欠損の生じる落下距離で評価した。
【0091】
〈エリクセン値〉
JIS K 5400に準拠して、破断距離法で評価した。
〈耐溶剤性〉
メチルエチルケトンをしみ込ませた脱脂綿で、塗膜を50回ラビングした後の表面状態を目視観察により以下の基準で評価した。
○:変化無し、×:キズ
〈耐水性〉
塗膜片を40℃温水に10日間浸漬し、目視で塗膜の状悪の変化を評価した。
〇:変化無し、×:艶引け、白化、膨れ、剥がれ等あり
【0092】
【発明の効果】
本発明は、上述のような構成からなるので、光沢、鮮映性、肉持ち性等に優れて高外観を与えることができ、硬化性及び貯蔵安定性に優れ、低コスト化を図ることが可能であり、しかも硬度、耐衝撃性、耐擦り傷性、耐酸性雨性、耐候性等に優れた塗膜物性を発揮して低VOC化することができる硬化性組成物に好適に用いられる乳化重合樹脂組成物を提供することができる。
Claims (4)
- 同一粒子内に水酸基及び水酸基と反応し得る官能基を有し、重量平均分子量が1万以上、50万以下である
ことを特徴とする乳化重合樹脂組成物。 - 前記乳化重合樹脂組成物は、水酸基を有する重合性不飽和単量体と、水酸基と反応する官能基としてアルコキシアルキルアミド基及び/又はブロック化されたイソシアネート基を有する重合性不飽和単量体を必須成分とする重合性不飽和単量体組成物を重合してなる
ことを特徴とする請求項1記載の乳化重合樹脂組成物。 - 請求項1又は2記載の乳化重合樹脂組成物と架橋剤とを含む硬化性組成物であって、該架橋剤は(ブロック)ポリイソシアネート化合物及び/又はアミノプラスト樹脂である
ことを特徴とする硬化性組成物。 - 請求項3記載の硬化性組成物を塗装し、熱硬化することにより形成される硬化塗膜。
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