JP2004002644A - 重合用界面活性剤及びそれを含有する重合用界面活性剤組成物 - Google Patents

重合用界面活性剤及びそれを含有する重合用界面活性剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ノニルフェノール系界面活性剤を代替えしうる重合用界面活性剤として、環境生分解性が良好で、低起泡性、低流動点で作業性に優れ、かつ水への溶解性が良好な重合用界面活性剤及びそれを含有する重合用界面活性剤組成物を提供する。
【解決手段】a)ヤシ油、パームカーネル油、パーム油、オリーブ油、大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、米糠油、亜麻仁油等の植物系油脂、b)牛脂、豚脂、鶏脂、魚油等の動物系油脂、c)大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、オリーブ油、パーム油、米糠油等の使用済みの揚げ油、及びd)牛脂、豚脂等の使用済み揚げ油から選ばれる少なくとも1種の油脂原料から製造されるヨウ素価が40〜140の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物を含有する重合用界面活性剤及びこれを含有する重合用界面活性剤組成物。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境生分解性が良好で、低起泡性、低流動点で作業性に優れ、かつ水への溶解性が良好な重合用界面活性剤及びそれを含有する重合用界面活性剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、汎用界面活性剤として使用されてきたノニルフェノール・エチレンオキシド付加物は、繊維、鉄鋼、塗料、印刷、食品等の各種分野で多量に使われている物質であるが、その分解物であるノニルフェノールが内分泌攪乱物質の疑いのある化合物であることやノニル基が分岐型であるため生分解性が低く環境に対する負荷が大きいなどの欠点を有する。そのため、水生生物や人に対して安全で、内分泌攪乱物質作用がなく、自然環境条件下で生分解性のよい天然系の界面活性剤原料が強く要望されている。
【0003】
ノニルフェノール・エチレンオキシド付加物に代わる代替界面活性剤の探索が安全性、環境生分解性、物性、価格、供給等の観点から積極的になされている。例えば、分岐型ウンデシルアルコールを原料とした石油合成系の界面活性剤が使用され始めている。しかし、大量供給が可能で、ノニルフェノールに匹敵する安価な代替原料としては未だ満足できるレベルとは言えないのが現状である。
【0004】
また、重合反応、特に乳化重合に使用される界面活性剤としては、従来より、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸塩などの陰イオン界面活性剤、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ノニルフェノール・エチレンオキシド付加物)などの非イオン界面活性剤が使用されている。これらを重合反応に用いる場合、一般的に上記界面活性剤を重合媒体の水に溶解した後重合反応を開始する。ここで水に溶解する際に界面活性剤に要求される性能としては、作業性の面から、溶解性が良好であること、流動点が低いこと等であり、これらの性能が従来の界面活性剤より改善された界面活性剤が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、環境生分解性が良好で、低起泡性、低流動点で作業性に優れ、かつ水への溶解性が良好な重合用界面活性剤及びそれを含有する重合用界面活性剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ね、以下の知見を得た。
(1)ノニルフェノールのエチレンオキシド付加物の代替界面活性剤の探索過程でヨウ素価40〜140の動物系又は植物系不飽和アルコールを原料として製造されたアルキレンオキシド付加物はノニルフェノールのエチレンオキシド付加物と比較して低起泡性であり、作業性が良好な界面活性剤である。
【0007】
(2)ヨウ素価40〜140の動物系又は植物系不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物に多価アルコールのアルキレンオキシド付加物及び水を含有させることにより、さらに水への溶解性が良好となり、また、流動点が下がり作業性が良好となる。
【0008】
(3)ノニルフェノールのような石油系の安価な原料に価格的に対抗しうる原料ソースとして、植物系又は動物系の使用済みの揚げ油が利用できる。具体的には、このように粗悪な原料をリサイクルして、それを原料として得られる不飽和アルコールのエチレンオキシド付加物がノニルフェノール系界面活性剤の代替界面活性剤として有効に活用できる。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明は、以下の各項の発明を提供するものである。
【0010】
項1 ヨウ素価が40〜140の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物(A)を必須成分として含有することを特徴とする重合用界面活性剤。
【0011】
項2 上記項1に記載の重合用界面活性剤(A)、脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(B)及び水を含有することを特徴とする重合用界面活性剤組成物。
【0012】
項3 (B)成分が、一般式(1)
【化2】
Figure 2004002644
[式中、Rは炭素数2〜10の脂肪族多価アルコール残基を表し、Rは水素又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシド残基を表す。mは2〜6の整数、nはアルキレンオキシドの脂肪族多価アルコールに対する平均付加モル数を表し、10〜100の整数をそれぞれ表す。]で表される多価アルコールのアルキレンオキシド付加物から選ばれる少なくとも1種である上記項2に記載の重合用界面活性剤組成物。
【0013】
項4 脂肪族多価アルコールがグリセリンである請求項2又は3に記載の重合用界面活性剤組成物
【0014】
項5 不飽和アルコール原料が、ヤシ油、パームカーネル油、パーム油、オリーブ油、大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、米糠油及び亜麻仁油からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1に記載の重合用界面活性剤。
【0015】
項6 不飽和アルコール原料が、牛脂、豚脂、鶏脂及び魚油からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1に記載の重合用界面活性剤。
【0016】
項7 不飽和アルコール原料が使用済み揚げ油である上記項5又は6に記載の重合用界面活性剤。
【0017】
項8 使用済み揚げ油が、大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、オリーブ油、パーム油及び米糠油からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項7に記載の重合用界面活性剤。
【0018】
項9 使用済み揚げ油が牛脂及び/又は豚脂である上記項7に記載の重合用界面活性剤。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてに詳細に説明する。
還元反応原料
本発明に係る不飽和アルコールの還元反応原料としては、具体的には、以下の原料油脂から得られる不飽和脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルが使用することができる。
【0020】
原料油脂としては、植物系油脂は動物系油脂と比較して、消費者イメージが良く、特に、用途が、最近のBSE問題(狂牛病)やイスラム国家特有のKOSHA対応を問題にする場合は、植物系油脂を原料とした不飽和アルコールがより好ましい。
【0021】
原料油脂としては、具体的には、以下の(1)〜(4)の植物系又は動物系油脂及びそれらの使用済み揚げ油が例示される。
(1)新たに搾油したヤシ油、パームカーネル油、パーム油、オリーブ油、大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、米糠油、亜麻仁油等が例示される。
【0022】
これらのうち、特にヤシ油、パームカーネル油、パーム油は、東南アジアでプランテーションで年中生産されており、新鮮な原料種子から搾油する為、酸化劣化されていない原料脂肪酸を入手でき、色相の良好な不飽和アルコールが得られることから好ましい。また、特に大豆油や菜種油は、安価で大量に入手できる油脂であり、ヨウ素価の高い不飽和アルコールが得られることから好ましい。
【0023】
(2)牛脂、豚脂、鶏脂、魚油等である。
これらのうち、特に牛脂、豚脂及び鶏脂は、食肉用動物から食肉を得た後の産業廃棄物として安価であり、これらの獣脂から得た不飽和アルコールは低曇点であることから好ましい。
【0024】
(3)使用済み揚げ油として、大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、オリーブ油、パーム油、米糠油等が例示される。例えば、使用済み揚げ油としては、大豆油、菜種油、サフラワー油等がより安価であり、好ましい。
【0025】
上記使用済み揚げ油を加水分解、蒸留し、その後冷却固体分別操作により得られるヨウ素価110〜140の脂肪酸から得られる不飽和アルコールは、より凝固点が低く、好ましい。
【0026】
(4)使用済み揚げ油として牛脂及び/又は豚脂。
【0027】
通常、一定期間使用して廃棄される揚げ油は、回収業者によって回収され、通称、廃食用油と呼ばれる極めて安価なリサイクル油として取り引きされている。しかし、廃食用油は、酸化劣化物質や重合物質に加えて、野菜や魚肉、獣肉などの不特定な食材と高温で触れた結果、硫黄、塩素、燐、窒素などの種々の還元触媒毒と認められる元素が混入した極めて粗悪な油脂である。このため、還元反応原料油脂としては、これまで使用された報告例は認められない。
【0028】
尚、本明細書において揚げ油とは、菓子、麺、惣菜等に使われる植物系又は動物系揚げ油を指す。
【0029】
還元反応原料としては、上記油脂を加水分解して得られる不飽和脂肪酸、その不飽和脂肪酸と炭素数1〜4のアルコールとのアルキルエステル、又は、植物系油脂又は動物系油脂とアルコールとのエステル交換反応により得られる不飽和脂肪酸アルキルエステルが使用できる。アルコールは、炭素数1〜4のアルコール、特にメタノールが好ましい。
【0030】
還元反応原料として、上記不飽和脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルをそのままが使用できるが、蒸留することにより、特に油脂原料が使用済みの揚げ油の場合などは還元触媒毒、酸化劣化物質や重合物質等の着色成分を除去したものを用いることが好ましい。
【0031】
また、必要に応じて、冷却固体分別操作により、メチルエステルに換算したヨウ素価が40〜140程度の不飽和脂肪酸又はアルキルエステルが好ましい。
【0032】
また、後述する還元反応時や還元反応物を蒸留する際に生じた不飽和脂肪酸と不飽和アルコールの蝋エステルも反応原料として使用することができる。
【0033】
還元反応
本発明に係る不飽和アルコールは、植物系又は動物系不飽和脂肪酸及び/又はそのアルキルエステルを亜鉛系触媒存在下、高温、高圧で還元することにより得られる。
【0034】
亜鉛系触媒としては、特に限定されず、例えば、亜鉛−クロム酸化物、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−アルミニウム−クロム酸化物、亜鉛−クロム−マンガン酸化物、亜鉛−鉄酸化物、亜鉛−鉄−アルミ酸化物等の公知の触媒が使用できる。これらは、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用できる。
【0035】
反応温度としては、250〜350℃程度、特に250〜300℃程度が好ましい。反応圧力としては、5〜35MPa程度、特に15〜30MPa程度が好ましい。滞留時間(反応時間)は1〜20時間程度とすればよい。
【0036】
還元反応は、通常、連続反応で行うことが好ましい。連続反応は、反応塔に成形触媒を充填し、活性化後、原料と水素を流下併流もしくは上昇併流で行うことが好ましい。流下併流方式反応塔もしくは上昇併流方式反応塔を直列に接続して、併用することもできる。
【0037】
また、上記連続反応において、不飽和脂肪酸アルキルエステルとアルコール、例えば不飽和脂肪酸メチルエステルとメチルアルコールを同時に供給する方法も触媒の寿命延長や反応選択性の保持に有効である。
【0038】
エステル還元粗物の蒸留
上記エステル還元によって得られたエステル還元粗物は、1)特に原料油脂が廃食用油や獣脂等の場合、2)炭素数18成分を濃縮する場合、及び3)触媒夾雑物を除去する場合等、必要に応じて、蒸留を行うことが好ましい。蒸留は、通常、蒸留温度150〜250℃程度、圧力0.13〜133kPaの条件下で行うことが好ましい。
【0039】
また、蒸留時に、NaOH、KOH、チタンテトラブトキシドなどのエステル交換触媒を5〜300ppm添加後蒸留することにより、不飽和脂肪酸と不飽和アルコールから蝋エステルが生成する。この蝋エステルは還元反応原料として再使用することができる。
【0040】
本発明において、ヨウ素価が40〜140の不飽和アルコールを得る目的の蒸留工程は、以下のいずれかの段階の蒸留工程から適宜選択できる。
【0041】
(1)油脂の加水分解工程後の脂肪酸及び/又はそのメチルエステルの蒸留工程
(2)エステル還元工程後の還元粗物の蒸留工程
蒸留条件は、一般に選択される蒸留条件がそのまま採用できる。例えば、0.13〜133kPa、150〜250℃で蒸留する。得られる製品の組成に関して、特に、炭素数12〜15のアルコール成分の合計値を1%未満とすれば、日本のPRTR法の適用外の組成になり、好ましい。
【0042】
以上の操作により、ヨウ素価が40〜140の不飽和アルコールを得ることができる。さらに必要に応じて、慣用の方法に従って脱色及び/又は脱臭することもできる。
【0043】
不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物
上記不飽和脂肪酸又はそのアルキルエステルの還元反応により得られたヨウ素価が40〜140の不飽和アルコールは、常法により容易を不飽和アルコールの低級アルキレンオキシド付加物(A)とすることができる。
【0044】
(A)成分とは、不飽和アルコールと炭素数2〜4のエチレンオキシド、1−メチルエチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド等のアルキレンオキシドとの付加物である。なかでもエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加物が好ましい。アルキレンオキシドの付加モル数は、通常、平均値で1〜100程度、特に2〜50程度が好ましい。
【0045】
アルキレンオキシドの付加形態は、1種のアルキレンオキシドの単独付加又は2種以上のブロック、ランダム交互付加のいずれでもよい。
【0046】
重合用界面活性剤及びそれを含有する重合用界面活性剤組成物
本発明に係る界面活性剤は、上記不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物(A)か、又は(A)成分、多価アルコールの低級アルキレンオキシド付加物(B)および水を含有する界面活性剤組成物である。
【0047】
該界面活性剤組成物を用いることにより、上記(A)成分を単独で用いた場合と比較して、更なる水に対する溶解性向上効果及び流動点降下の効果を得ることができる。尚、上記(A)成分及び(B)成分を用いた場合は、水に対する溶解性向上効果は得られるが、十分な流動点降下の効果が得られにくい。
【0048】
(B)成分は、下記一般式(1)
【化3】
Figure 2004002644
[式中、Rは炭素数2〜10の脂肪族多価アルコール残基を表し、Rは水素又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシド残基を表す。mは2〜6の整数、nはアルキレンオキシドの脂肪族多価アルコールに対する平均付加モル数を表し、10〜100の整数をそれぞれ表す。]
で表される。ここでRで示される脂肪族多価アルコール残基とは、脂肪族多価アルコールからm個の水酸基を除いて得られる残基(m価の有機基)である。
【0049】
多価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、トリメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、エリトリトール、キシリトール、ソルビトール等が例示される。
【0050】
なかでも特に、地球環境保護、グリーンケミストリーの視点に立ち、自然環境下で生分解性のよい天然系の原料であるグリセリンが推奨される。
【0051】
低級アルキレンオキシド付加物としては、上記多価アルコールと炭素数2〜4のエチレンオキシド、1−メチルエチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド等のアルキレンオキシドとの付加物である。なかでも特に、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加物が好ましい。
【0052】
アルキレンオキシドの平均付加モル数は、多価アルコールに対して、通常、10〜100モル程度、好ましくは10〜50モル程度が推奨される。
【0053】
上記アルキレンオキシドの平均付加モル数が少ない場合、(A)成分と(B)成分の混合物を水と混合したとき、該混合物がゲル化し、流動点が高くなる傾向が見られ、一方、平均付加モル数が多い場合、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物自体の流動点が高くなるため該混合物の流動点も上昇する傾向が見られる。
【0054】
アルキレンオキシドの付加形態は、1種のアルキレンオキシドの単独付加又は2種以上のブロック、ランダム交互付加のいずれでもよい。
【0055】
(A)成分と(B)成分の配合割合は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されないが、重量比で、(A)/(B)=5/5〜8/2程度、より好ましくは6/4〜7/3程度の範囲である。
【0056】
(A)/(B)が8/2を越えると、(A)成分と(B)成分の混合物を水と混合したとき、該混合物はゲル化を起こし、流動点が高くなり、重合反応媒体の水に対する溶解性が悪くなる傾向が見られる。一方、(A)/(B)が5/5未満であると、該混合物は、水と混合しやすくなり、また、重合反応媒体の水に対する溶解性は良好になるが、必須成分(A)の含有量が減少し、重合反応に悪影響を及ぼし良好なエマルション又はサスペンションが得られにくくなる傾向が見られる。
【0057】
水の含有量は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されないが、少ない場合は界面活性剤組成物の十分な流動点低下の効果が得られにくく、また、多い場合は必須成分の(A)成分の含有量が減少することから重合反応に悪影響を及ぼし良好なエマルション又はサスペンションが得られにくくなる傾向が見られる。
【0058】
このため、水の含有量としては、界面活性剤組成物100重量部に対して、10〜50重量部程度、より好ましくは20〜30重量部程度の範囲が推奨される。
【0059】
本発明に係る界面活性剤は、ノニルフェノールのエチレンオキシド付加物が適用できる広範囲な分野で使用することができるが、特に乳化重合用又は懸濁重合用の界面活性剤として好適に用いられる。その使用量については、特に制限がなく、乳化重合用乳化剤又は懸濁重合用懸濁剤として有効量を用いればよい。また、ラジカル重合反応用界面活性剤としても好適である。例えば、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテルなどのビニル化合物、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル化合物、スチレン、メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセンなどのオレフィン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル及びビニリデン化合物、無水マレイン酸及びマレイン酸エステル類などのマレイン酸誘導体などの重合用界面活性剤に有効であり、特に、人体に接触したり、河川に流出するおそれのある重合物の界面活性剤として有用である。
【0060】
本発明に係る重合反応は、当該分野で一般的に知られている慣用の条件で行うことができ、使用する重合開始剤、反応条件などに特に制限はない。
【0061】
重合開始剤としては、乳化重合の場合は、過酸化水素などの過酸化物;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;アゾ化合物;過酸化物と還元剤とのレドックス開始剤などを用いることができる。開始剤の使用量としては、通常、原料モノマーに対して0.01〜20重量%程度、好ましくは、0.1〜10重量%程度である。懸濁重合の場合は、アゾビスイソブチルニトリルなどのアゾ化合物;ラウロイルパーオキシドなどのアルキルパーオキシド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのアルキルパーオキシエステル;ケトンパーオキシドなどを用いることができる。その使用量としては、通常、原料モノマーに対して、0.01〜20重量%程度、好ましくは、0.1〜10重量%程度である。本発明の界面活性剤は、その他公知の界面活性剤と併用してもよい。
【0062】
実施例
以下に参考例、実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
重合物乳化液の重合物平均粒径、起泡力及び重合凝集物(%)は以下の方法によって測定した。
【0063】
重合物平均粒径(平均径)
堀場製作所製 LA−910レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した。ノニルフェニルエトキシレート0.1%水溶液を用いて測定した。
【0064】
起泡力
固形分3%の水溶液15ミリリットルを50ミリリットルの栓付きメスシリンダーにとり、10回転倒後の泡量を測定した。
【0065】
重合凝集物(%)
調製した重合物乳化液を166メッシュ金網で濾過し、金網上に残留した凝集物の乾燥後の重量(W)を求め、その重量の重合物乳化液の固形分の重量(W2)に対する割合(W/W)を算出した。
【0066】
製造例1(新規搾油の例)
牛脂/豚脂=2/1(ヨウ素価56、glc組成C12:0.1%、C14:1.7%、C16F0:22.0%、C16F1:4.5%、C17:1.0%、C17F1:0.9%、C18F0:23.3%、C18F1:42.5%、C18F2:4.0%)10kgをメチルアルコール4kgと水酸化ナトリウム0.1kgでエステル交換したメチルエステルを、亜鉛−クロム触媒存在下、反応圧力20MPa、反応温度290℃、原料供給空塔速度0.3h−1で還元した。得られた還元粗物を蒸留して、下記の不飽和アルコールを得た。
ヨウ素価 53
曇点 35℃
組成
C12     0.1%
C14     1.6%
C16F0  23.1%
C16F1   4.3%
C17     1.0%
C17F1   0.8%
C18F0  23.4%
C18F1  42.2%
C18F2    1.5%
共役ジエン   2.0%
【0067】
得られた不飽和アルコールに、水酸化カリウム0.1重量%を加えて、エチレンオキシド20モルを170℃で付加して、不飽和アルコールのエチレンオキシド20モル付加物を得た。
【0068】
製造例2(使用済み揚げ油の例)
使用済み揚げ油を加水分解して得られた脂肪酸を蒸留し、冷却固体分別して得た不飽和脂肪酸(ヨウ素価132.9、glc組成C14:0.2%、C16:3.4%、C18F01.3%、C18F1:45.2%、C18F2:40.7%、C20F1:0.5%)10kgをメチルアルコール10kgとpートルエンスルホン酸0.1kgでエステル化したメチルエステルを、亜鉛−クロム触媒存在下、反応圧力20MPa、反応温度290℃、原料供給空塔速度0.3h−1で還元した。得られた還元粗物を蒸留して、下記の不飽和アルコールを得た。
Figure 2004002644
【0069】
得られた不飽和アルコールに、水酸化カリウム0.1重量%を加えて、エチレンオキシド20モルを170℃で付加して、不飽和アルコールのエチレンオキシド20モル付加物を得た。
【0070】
製造例3
グリセリンに水酸化カリウム0.1重量%を加えて、エチレンオキシド26モルを170℃で付加して、多価アルコールのエチレンオキシド26モル付加物を得た。次いで、得られたグリセリンのエチレンオキシド26モル付加物21g、製造例1で得られた不飽和アルコールのエチレンオキシド22モル付加物49g、及び水30gを加熱し、均一に溶解させて界面活性剤組成物を得た。
【0071】
実施例1
(ノニルフェノール代替アルコールとして不飽和アルコールの使用例)
メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸=49.5/49.5/1.0混合物125g、脱イオン水54g、製造例1で得られた不飽和アルコールのエチレンオキシド20モル付加物2.5g、ペルオキソ二硫酸カリウム0.25gをホモミキサーで5000rpm、10分間撹拌して、プレエマルジョンを調製した。このプレエマルジョン18gと脱イオン水69gとを混合し、窒素雰囲気下で80℃まで昇温し、30分間初期重合した。さらに、残りのプレエマルジョンを80℃で3時間かけて滴下しながら、重合を進行させ、さらに80℃で3時間撹拌して熟成を行った後、30℃以下まで冷却して、重合物乳化液を調製した。得られた重合物乳化液の重合物平均粒径、起泡力及び重合凝集物について測定した結果を表1に示す。
【0072】
実施例2
製造例2で得られた不飽和アルコールのエチレンオキシド20モル付加物を使用した他は実施例1と同様の操作を行い、重合物乳化液を調製した。得られた重合物乳化液の重合物平均粒径、起泡力及び重合凝集物について測定した結果を表1に示す。
【0073】
実施例3
製造例3で得られた界面活性剤組成物を使用した他は実施例1と同様の操作を行い、重合物乳化液を調製した。得られた重合物乳化液の重合物平均粒径、起泡力及び重合凝集物について測定した結果を表1に示す。
【0074】
比較例1及び2
市販のノニルフェノールのエチレンオキシド20モル付加物、ラウリルアルコールのエチレンオキシド20モル付加物を使用した他は、実施例1と同等の操作を行い、それぞれの重合物乳化液を調製した。得られた重合物乳化液の重合物平均粒径、起泡力及び重合凝集物について測定した結果を表1に示す。
【0075】
Figure 2004002644
【0076】
表1に示した結果から、製造例1及び2の不飽和アルコールのエチレンオキシド付加物、並びに製造例3の不飽和アルコールのエチレンオキシド付加物、脂肪族多価アルコールのエチレンオキシド付加物及び水を含有する組成物の乳化重合液が低起泡性であるために作業性がよく、重合凝集物量に変化はなく、界面活性剤として優れていることが明らかである。さらに、重合物の平均粒径は若干大きいが、直鎖飽和アルコール由来のラウリルアルコール誘導体に比較して、ノニルフェノール誘導体に近く、不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物、脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド付加物及び水を含有する組成物がノニルフェノールの代替界面活性剤原料として優れていることは明らかである。
【0077】
【発明の効果】
本発明のヨウ素価が40〜140の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物(A)、並びに(A)成分、多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(B)及び水を含有する界面活性剤組成物は、環境生分解性が良好で、低起泡性、低流動点および水への溶解性が良好な重合用界面活性剤として有用である。

Claims (9)

  1. ヨウ素価が40〜140の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物(A)を必須成分として含有することを特徴とする重合用界面活性剤。
  2. 請求項1に記載の重合用界面活性剤(A)、脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド付加物(B)及び水を含有することを特徴とする重合用界面活性剤組成物。
  3. (B)成分が、一般式(1)
    Figure 2004002644
    [式中、Rは炭素数2〜10の脂肪族多価アルコール残基を表し、Rは水素又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシド残基を表す。mは2〜6の整数、nはアルキレンオキシドの脂肪族多価アルコールに対する平均付加モル数を表し、10〜100の整数をそれぞれ表す。]で表される多価アルコールのアルキレンオキシド付加物から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の重合用界面活性剤組成物。
  4. 脂肪族多価アルコールがグリセリンである請求項2又は3に記載の重合用界面活性剤組成物
  5. 不飽和アルコール原料が、ヤシ油、パームカーネル油、パーム油、オリーブ油、大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、米糠油及び亜麻仁油からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の重合用界面活性剤。
  6. 不飽和アルコール原料が、牛脂、豚脂、鶏脂及び魚油からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の重合用界面活性剤。
  7. 不飽和アルコール原料が使用済み揚げ油である請求項5又は6に記載の重合用界面活性剤。
  8. 使用済み揚げ油が、大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、オリーブ油、パーム油及び米糠油からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の重合用界面活性剤。
  9. 使用済み揚げ油が牛脂及び/又は豚脂である請求項8に記載の重合用界面活性剤。
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