JP2004002506A - ポリエーテルの製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ルイス酸触媒の存在下で二重結合を有する活性水素含有化合物に環状エーテルを付加重合した粗製ポリエーテルに、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を加えて中和し、合成珪酸塩、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウムアルミニウム、活性白土、活性アルミナ、合成ゼオライト、イオン交換樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の吸着剤と水を加えて混合した後濾過することを特徴とするポリエーテルの製造法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエーテルの製造法に関する。特に反応触媒として使用したホウ素、アルミニウム等の特定の元素の含有量を制御し精製したポリエーテルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、二重結合を有する活性水素含有化合物に環状エーテルを開環付加重合して得られるポリエーテルは、弾性構造体、弾性接着剤、UVコーティング材、光硬化性樹脂、感光性フィルム等に用いられるアクリルウレタン樹脂、ポリエーテル変性シリコーン樹脂等の弾性樹脂の原料として多方面に使用されている。
通常、環状エーテルからポリエーテルを得るための重合触媒としては、三フッ化ホウ素、塩化スズ、発煙硫酸、フルオロ硫酸等の酸性触媒(カチオン触媒);水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、酸化カルシウム等の塩基性触媒(アニオン触媒);アルミニウムポルフィリン錯体、N−メチルポルフィリン亜鉛錯体、ジエチル亜鉛等の配位アニオン触媒が知られているが、二重結合を含む活性水素化合物に環状エーテルを開環付加重合する場合にはカチオン触媒が有用である。カチオン触媒として、発煙硫酸、フルオロ硫酸等鉱酸を用いた場合、アルデヒド等の副生成物、着色、二重結合に起因する副反応等の弊害があるため、一般には三フッ化ホウ素、塩化スズ、塩化亜鉛等のルイス酸性触媒が用いられている。
これらの酸性触媒は、開環付加重合の触媒として用いた後は、イオン交換樹脂、活性白土、合成珪酸塩、ハイドロタルサイト類、酸化マグネシウムアルミニウムなどの吸着剤を接触させることにより、概ね除去されることが知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、二重結合を有する重合性ポリエーテルとイソシアネート化合物とを反応させてウレタン樹脂を製造する際に、該重合性ポリエーテルとして、三フッ化ホウ素、塩化スズ、塩化亜鉛等のルイス酸触媒を用いたポリエーテルを使用すると、得られたウレタン樹脂の熱安定性が悪いという問題があった。ルイス酸触媒を使用して製造した二重結合を有する重合性ポリエーテルであって、安定したポリウレタン化反応ができるポリエーテルが望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、ルイス酸触媒(A)の存在下で二重結合を有する活性水素含有化合物(B)に環状エーテルを付加重合した粗製ポリエーテル(C)に、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物(D)を加えて中和し、合成珪酸塩、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウムアルミニウム、活性白土、活性アルミナ、合成ゼオライト、イオン交換樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の吸着剤(E)と水を加えて混合した後濾過することを特徴とするポリエーテルの製造法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明における粗製ポリエーテル(C)は、ルイス酸触媒(A)の存在下で二重結合を有する活性水素含有化合物(B)に環状エーテルを開環付加重合させて得られる。
ルイス酸触媒(A)としては環状エーテルを開環付加重合させる酸性触媒であれば特に限定はないが、好ましくは硼素、アルミニウム、錫、アンチモン、鉄、燐、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ベリリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素(a)を含む酸性触媒である。
元素(a)を含む酸性触媒としては、元素(a)のハロゲン化物、アルキル化合物等が挙げられる。具体的には下記のものが挙げられる。
(i)元素(a)のハロゲン化物
三フッ化硼素、三塩化硼素等の硼素化合物;塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のアルミニウム化合物;四フッ化錫、四塩化錫等の錫化合物;フッ化アンチモン、塩化アンチモン等のアンチモン化合物;塩化第二鉄等の鉄化合物;五フッ化燐等の燐化合物;塩化亜鉛等の亜鉛化合物;四塩化チタン等のチタン化合物;塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物;塩化ベリリウム等のベリリリウム化合物;等
(ii)元素(a)のアルキル化合物
トリフェニル硼素、トリ(t−ブチル)硼素、トリス(ペンタフルオロフェニル)硼素、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチル硼素、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化硼素、ジ(t−ブチル)フッ化硼素、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化硼素等の硼素化合物;トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニル−t−ブチルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルアルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化アルミニウム、ジ(t−ブチル)フッ化アルミニウム、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化アルミニウム、(t−ブチル)2フッ化アルミニウム等のアルミニウム化合物;ジエチル亜鉛等の亜鉛化合物;等
これらのうちでさらに好ましいものは元素(a)のハロゲン化物であり、特に好ましいものは、硼素のハロゲン化物、アルミニウムのハロゲン化物、及び錫のハロゲン化物であり、最も好ましいものは三フッ化硼素である。これらの2種以上を併用してもよい。
【0006】
また、これらのルイス酸は単独でも存在するが、種々の有機化合物との錯体も知られている。例えば、ジメチルエーテル錯体、ジエチルエーテル錯体、THF(テトラヒドロフラン)錯体等のエーテル錯体;酢酸錯体等のカルボン酸錯体;アルコール錯体;アミン錯体;フェノール錯体等が挙げられる。本発明においては、ルイス酸触媒としてそれらの錯体を用いても良い。これらの内で好ましくは、三フッ化硼素エーテル錯体、又は三フッ化硼素THF錯体である。
【0007】
本発明における二重結合を有する活性水素含有化合物(B)としては、少なくとも1個の水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、アミド基、アミノ基等の活性水素を有し、且つ二重結合を有するラジカル重合性単量体が挙げられ、具体的には下記のものが挙げられる。
(1)水酸基を有する重合性単量体
(i)モノエチレン性不飽和アルコール[例えば、(メタ)アリルアルコール等];
(ii)ポリオール(例えば、アルキレングリコール、グリセリン、ポリオキシアルキレングリコール等)のモノエチレン性不飽和エステル又はエーテル;
[例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(好ましくは重合度2〜200)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(好ましくは重合度2〜100)モノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン/オキシプロピレン(ランダム又はブロック)(好ましくは重合度2/2〜100/100)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル(末端の水酸基はエーテル化またはエステル化されていてもよい)等];
【0008】
(2)カルボキシル基を有する重合性単量体
(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル(炭素数1〜30)エステル、フマル酸、フマル酸モノアルキル(炭素数1〜30)エステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル(炭素数1〜30)エステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル(炭素数1〜30)エステル、桂皮酸等;
(3)スルホン酸基を有する重合性単量体
(i)脂肪族系ビニルスルホン酸;
ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸類(スルホプロプル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸等;
(ii)芳香族系ビニルスルホン酸;
スチレンスルホン酸等;
(4)燐酸基を有する重合性単量体
(i)(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)燐酸モノエステル;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等;
(ii)(メタ)アクリル酸アルキルホスホン酸類;
2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸(塩)等;
【0009】
(5)アミド基を有する重合性単量体
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミド、N−アルキル(炭素数1〜30)(メタ)アクリルアミド(例えば、N−メチルアクリルアミド等)、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド[例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等];N,N’−ジヒドロキシ(メタ)アクリルアミド[例えば、N,N’−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等]等;
(6)アミノ基を有する重合性単量体
モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基(1,2級)含有エステル、ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)アミノアルキル(炭素数2〜10)エステル等[例えば、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノ(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチルフマレート等]等;
及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、水酸基を有する重合性単量体であり、さらに好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートである。
【0010】
本発明に用いられる環状エーテル(以下AOと略称する)としては、炭素数2〜12の1,2−アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキサシド(以下EOと略称する)、プロピレンオキシド(以下POと略称する)、1,2−ブチレンオキシド(以下BOと略称する)、イソブチレンオキシド、シクロヘキシレンオキシド、シクロヘキシルエチレンオキシド、オキセタン、ジメチルオキセタン、テトラヒドロフラン(以下THFと略称する)、3―メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、スチレンオキシド、1,2−ヘキシレンオキシド、1,2−ドデセンオキシド、1,2−ラウリレンオキシド、及びこれらのハロ置換体(エピクロルヒドリン等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、EO、PO、BO及びTHFであり、特に好ましいものは、EO及びPOである。環状エーテルは1種のみを用いても良く、2種以上の環状エーテルを併用してもよい。
【0011】
AOの(B)の活性水素に対する当量比は好ましくは1〜200であり、さらに好ましくは3〜60である。
二重結合を有する活性水素含有化合物(B)に上記環状エーテルを開環付加重合させる際、開環触媒として用いるルイス酸触媒(A)の使用量は特に限定されないが、好ましくは(B)とAOの合計質量に対して0.005〜10質量%である。さらに好ましくは0.05〜1質量%である。0.005質量%以上の場合には反応速度が速いため生産性が良好であり、10質量%以下の場合には触媒コストが安い。
【0012】
開環付加重合させる際には、(A)、(B)、AOの全てを一括に仕込んで反応させても良く、(B)と(A)の混合物にAOを滴下若しくは分割投入して反応させても良く、あるいは(B)にAOと(A)とを滴下若しくは分割投入して反応させても良い。開環付加重合させる際の反応温度は、好ましくは−50℃〜200℃であり、さらに好ましくは−20℃〜150℃であり、特に好ましくは0〜80℃である。
反応時間は好ましくは2〜20時間であり、さらに好ましくは3〜10時間である。
【0013】
本発明における粗製ポリエーテル(C)、ひいては中和後のポリエーテル並びに精製後のポリエーテルの数平均分子量は好ましくは、116〜20,000、さらに好ましくは、200〜6,000、特に好ましくは300〜2,000のものである。平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)で測定することができる。数平均分子量が116以上の場合には得られるウレタン樹脂の柔軟性が良好となり、数平均分子量が10,000以下の場合には得られるプレポリマーの粘度が低く作業し易い。
【0014】
本発明のアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物(D)は、環状エーテルの付加重合後にルイス酸触媒を中和するものであり、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物であり、これらのうちで好ましいものはアルカリ金属水酸化物であり、さらに好ましいものは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムであり、特に好ましいものは水酸化カリウムである。
該(D)の使用量は特に限定されないが、好ましくは(B)とAOの合計質量に対して0.001〜10質量%で、且つ(A)の使用量に対して70〜150モル%である。さらに好ましくは(B)とAOの合計質量に対して0.01〜1質量%である。
【0015】
本発明における吸着剤(E)としては、合成珪酸塩、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウムアルミニウム、活性白土、活性アルミナ、合成ゼオライトおよびイオン交換樹脂が用いられる。
合成珪酸塩の具体例としては、キョーワード600(協和化学工業社製)、トミタAD600(富田製薬社製)等の合成珪酸マグネシウム;シリカアルミナ(触媒化成工業社製)、キョーワード700(協和化学工業社製)、トミタAD700(富田製薬社製)等の合成珪酸アルミニウムが挙げられる。ハイドロタルサイトの具体例としては、天然ハイドロタルサイト;キョーワード500、キョーワード1000(いずれも協和化学工業社製)等の合成ハイドロタルサイト等が挙げられる。酸化マグネシウムアルミニウムとしては例えば、キョーワード2000(協和化学工業社製)、活性白土としては例えばガレオンアース(水澤化学工業社製)、活性アルミナとしては例えば、ネオビード(水澤化学工業社製)、合成ゼオライトとしては例えば、ミズカシーブス(水澤化学工業社製)等が挙げられる。
該(E)としては、上記の1種の吸着剤を単独で使用しても良いが、2種以上の吸着剤を併用することが好ましく、合成珪酸塩とハイドロタルサイトを併用することが特に好ましい。またさらに他の吸着剤(例えば活性炭等)を併用しても良い。
該(E)の使用量は特に限定されないが、好ましくは粗製ポリエーテル(C)に対して0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.2〜2質量%である。
【0016】
本発明において、中和後のポリエーテル(C’)に吸着剤(E)を混合し接触させる際には、(C’)の水の含有量が1質量%以上であることが好ましい。水の含有量が1質量%以上であると後の工程である濾過により(A)が除去されやすく生産性が高い。水の含有量はカールフィッシャー法で測定できる。
さらに、水の含有量が1質量%以上の中和後のポリエーテル(C’)に吸着剤(E)を混合し接触させた後、減圧脱水(好ましくは圧力0〜5kPa且つ温度60〜140℃)、加熱脱水(好ましくは温度100〜140℃)、脱水剤(例えば塩化カルシウム、モレキュラーシーブス等)の投入等の方法で脱水することにより、水の含有量を0.5質量%以下として吸着剤(E)を混合し接触させることが、濾過後の精製したポリエーテルの色やpH等の品質を向上させる上で、より好ましい。(C’)の脱水は、吸着剤(E)を接触させたまま行っても良く、吸着剤(E)を濾過によって取り除いた後に行っても良い。吸着剤(E)を濾過によって取り除いた後に(C’)の脱水を行う場合、脱水後に再び吸着剤(E)を混合し接触させることがさらに好ましい。
【0017】
本発明における濾過後の精製ポリエーテル中の元素(a)の含有量は好ましくは300ppm以下である。元素(a)の含有量が300ppm以下の場合、後で該ポリエーテルとイソシアネート化合物(例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等)とを反応させたアクリルウレタン樹脂の熱安定性が良好となり、生産性が良く、保存条件の許容幅も広い。熱安定性をさらに高めるためには、200ppm以下が好ましく、150ppm以下がさらに好ましい。
触媒に由来する元素(a)がポリエーテルに多量に残存する場合、イソシアネート化合物と反応させてウレタン樹脂を製造する際、及び/又はその後の保存中に、二重結合が反応して硬化活性が損なわれたり、二重結合が重合してゲル化する等、熱安定性が劣る。
【0018】
本発明の製造法により得られる精製ポリエーテルをイソシアネート化合物と反応させて得られるウレタン樹脂は、熱安定性が高く、保存及び硬化条件の許容幅が広いという特徴を有する。そして、このウレタン樹脂の有する二重結合を重合若しくは他のアクリルモノマーと共重合させてえられるアクリルウレタン樹脂は、弾性構造体、弾性接着剤、UVコーティング材、光硬化性樹脂、感光性フィルム等に有用である。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、部及び%はそれぞれ質量部および質量%を示す。MDIは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートを示す。DMFはジメチルホルムアミドを示す。
【0020】
製造例1
撹拌装置、温度制御装置付きの容積20Lのステンレス製オートクレーブに、ヒドロキシプロピルメタクリレート 4,160g、メトキシハイドロキノン 16g、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体 38gを仕込み、プロピレンオキサイド 3,090gを、反応温度を40〜70℃を保持制御しながら、5時間かけて滴下した後、60℃で2時間熟成し、液状の粗製ポリエーテル 7,250gを得た。
【0021】
実施例1
製造例1で得られたポリエーテル 1,150gに水酸化ナトリウムの30質量%水溶液 2.8g、キョーワード600(協和化学社製;合成珪酸塩) 3.5g、キョーワード1000(協和化学社製;ハイドロタルサイト) 8.1g及び水 11.5gを加えて85〜95℃で1時間処理し、保留粒子径5ミクロンの濾紙で濾過して、液状のポリエーテル 1,100gを得た。硼素含有量は120ppmであった。
比較例1
製造例1で得られたポリエーテル 1,000gに、キョーワード1000(協和化学社製;ハイドロタルサイト) 5gを加えて85〜95℃で1時間処理し、保留粒子径5ミクロンの濾紙で濾過して、液状のポリエーテル 990gを得た。硼素含有量は380ppmであった。
【0022】
試験例1
撹拌装置、温度制御装置、ガラス製フタ付きの容積1Lのステンレス製反応容器に、実施例1で得られたポリエーテル 360g、MDI 125g及びトルエン 60gを仕込み、85〜95℃で6時間反応させ、NCO%が0.05%以下であることを確認した。得られた樹脂溶液 10gを容量50mlのガラス容器に入れ、120℃に保った乾燥機中に静置したところ、6時間以上経過してもゲル化せず、熱安定性は良好であった。
【0023】
比較試験例1
撹拌装置、温度制御装置、ガラス製フタ付きの容積1Lのステンレス製反応容器に、比較例1で得られたポリエーテル 360g、MDI 125g及びトルエン 60gを仕込み、85〜95℃で反応させ、NCO%が0.05%以下であることを確認した。得られた樹脂溶液 10gを容量50mlのガラス容器に入れ、120℃に保った乾燥機中に静置したところ、2時間後には底部にゲル状物を生じ、熱安定性は不良であった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の製造法により得られるポリエーテルは、副生物が少なく、また環状エーテルの付加重合用触媒として使用した特定の元素の含有量が少ないので、反応中間体として使用した場合に副反応が少なく熱安定性も高い。そのためイソシアネート化合物と反応させて得られるウレタン樹脂の熱安定性が高く、保存及び硬化条件の許容幅が広いという特徴を有する。
このウレタン樹脂はアクリルモノマーと共重合することによりアクリルウレタン樹脂となり、弾性構造体、弾性接着剤、UVコーティング材、光硬化性樹脂、感光性フィルム等の用途に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエーテルの製造法に関する。特に反応触媒として使用したホウ素、アルミニウム等の特定の元素の含有量を制御し精製したポリエーテルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、二重結合を有する活性水素含有化合物に環状エーテルを開環付加重合して得られるポリエーテルは、弾性構造体、弾性接着剤、UVコーティング材、光硬化性樹脂、感光性フィルム等に用いられるアクリルウレタン樹脂、ポリエーテル変性シリコーン樹脂等の弾性樹脂の原料として多方面に使用されている。
通常、環状エーテルからポリエーテルを得るための重合触媒としては、三フッ化ホウ素、塩化スズ、発煙硫酸、フルオロ硫酸等の酸性触媒(カチオン触媒);水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、酸化カルシウム等の塩基性触媒(アニオン触媒);アルミニウムポルフィリン錯体、N−メチルポルフィリン亜鉛錯体、ジエチル亜鉛等の配位アニオン触媒が知られているが、二重結合を含む活性水素化合物に環状エーテルを開環付加重合する場合にはカチオン触媒が有用である。カチオン触媒として、発煙硫酸、フルオロ硫酸等鉱酸を用いた場合、アルデヒド等の副生成物、着色、二重結合に起因する副反応等の弊害があるため、一般には三フッ化ホウ素、塩化スズ、塩化亜鉛等のルイス酸性触媒が用いられている。
これらの酸性触媒は、開環付加重合の触媒として用いた後は、イオン交換樹脂、活性白土、合成珪酸塩、ハイドロタルサイト類、酸化マグネシウムアルミニウムなどの吸着剤を接触させることにより、概ね除去されることが知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、二重結合を有する重合性ポリエーテルとイソシアネート化合物とを反応させてウレタン樹脂を製造する際に、該重合性ポリエーテルとして、三フッ化ホウ素、塩化スズ、塩化亜鉛等のルイス酸触媒を用いたポリエーテルを使用すると、得られたウレタン樹脂の熱安定性が悪いという問題があった。ルイス酸触媒を使用して製造した二重結合を有する重合性ポリエーテルであって、安定したポリウレタン化反応ができるポリエーテルが望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、ルイス酸触媒(A)の存在下で二重結合を有する活性水素含有化合物(B)に環状エーテルを付加重合した粗製ポリエーテル(C)に、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物(D)を加えて中和し、合成珪酸塩、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウムアルミニウム、活性白土、活性アルミナ、合成ゼオライト、イオン交換樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の吸着剤(E)と水を加えて混合した後濾過することを特徴とするポリエーテルの製造法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明における粗製ポリエーテル(C)は、ルイス酸触媒(A)の存在下で二重結合を有する活性水素含有化合物(B)に環状エーテルを開環付加重合させて得られる。
ルイス酸触媒(A)としては環状エーテルを開環付加重合させる酸性触媒であれば特に限定はないが、好ましくは硼素、アルミニウム、錫、アンチモン、鉄、燐、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ベリリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素(a)を含む酸性触媒である。
元素(a)を含む酸性触媒としては、元素(a)のハロゲン化物、アルキル化合物等が挙げられる。具体的には下記のものが挙げられる。
(i)元素(a)のハロゲン化物
三フッ化硼素、三塩化硼素等の硼素化合物;塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のアルミニウム化合物;四フッ化錫、四塩化錫等の錫化合物;フッ化アンチモン、塩化アンチモン等のアンチモン化合物;塩化第二鉄等の鉄化合物;五フッ化燐等の燐化合物;塩化亜鉛等の亜鉛化合物;四塩化チタン等のチタン化合物;塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物;塩化ベリリウム等のベリリリウム化合物;等
(ii)元素(a)のアルキル化合物
トリフェニル硼素、トリ(t−ブチル)硼素、トリス(ペンタフルオロフェニル)硼素、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチル硼素、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化硼素、ジ(t−ブチル)フッ化硼素、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化硼素等の硼素化合物;トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニル−t−ブチルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルアルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化アルミニウム、ジ(t−ブチル)フッ化アルミニウム、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化アルミニウム、(t−ブチル)2フッ化アルミニウム等のアルミニウム化合物;ジエチル亜鉛等の亜鉛化合物;等
これらのうちでさらに好ましいものは元素(a)のハロゲン化物であり、特に好ましいものは、硼素のハロゲン化物、アルミニウムのハロゲン化物、及び錫のハロゲン化物であり、最も好ましいものは三フッ化硼素である。これらの2種以上を併用してもよい。
【0006】
また、これらのルイス酸は単独でも存在するが、種々の有機化合物との錯体も知られている。例えば、ジメチルエーテル錯体、ジエチルエーテル錯体、THF(テトラヒドロフラン)錯体等のエーテル錯体;酢酸錯体等のカルボン酸錯体;アルコール錯体;アミン錯体;フェノール錯体等が挙げられる。本発明においては、ルイス酸触媒としてそれらの錯体を用いても良い。これらの内で好ましくは、三フッ化硼素エーテル錯体、又は三フッ化硼素THF錯体である。
【0007】
本発明における二重結合を有する活性水素含有化合物(B)としては、少なくとも1個の水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、アミド基、アミノ基等の活性水素を有し、且つ二重結合を有するラジカル重合性単量体が挙げられ、具体的には下記のものが挙げられる。
(1)水酸基を有する重合性単量体
(i)モノエチレン性不飽和アルコール[例えば、(メタ)アリルアルコール等];
(ii)ポリオール(例えば、アルキレングリコール、グリセリン、ポリオキシアルキレングリコール等)のモノエチレン性不飽和エステル又はエーテル;
[例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(好ましくは重合度2〜200)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(好ましくは重合度2〜100)モノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン/オキシプロピレン(ランダム又はブロック)(好ましくは重合度2/2〜100/100)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル(末端の水酸基はエーテル化またはエステル化されていてもよい)等];
【0008】
(2)カルボキシル基を有する重合性単量体
(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル(炭素数1〜30)エステル、フマル酸、フマル酸モノアルキル(炭素数1〜30)エステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル(炭素数1〜30)エステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル(炭素数1〜30)エステル、桂皮酸等;
(3)スルホン酸基を有する重合性単量体
(i)脂肪族系ビニルスルホン酸;
ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸類(スルホプロプル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸等;
(ii)芳香族系ビニルスルホン酸;
スチレンスルホン酸等;
(4)燐酸基を有する重合性単量体
(i)(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)燐酸モノエステル;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等;
(ii)(メタ)アクリル酸アルキルホスホン酸類;
2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸(塩)等;
【0009】
(5)アミド基を有する重合性単量体
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミド、N−アルキル(炭素数1〜30)(メタ)アクリルアミド(例えば、N−メチルアクリルアミド等)、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド[例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等];N,N’−ジヒドロキシ(メタ)アクリルアミド[例えば、N,N’−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等]等;
(6)アミノ基を有する重合性単量体
モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基(1,2級)含有エステル、ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)アミノアルキル(炭素数2〜10)エステル等[例えば、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノ(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチルフマレート等]等;
及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、水酸基を有する重合性単量体であり、さらに好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートである。
【0010】
本発明に用いられる環状エーテル(以下AOと略称する)としては、炭素数2〜12の1,2−アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキサシド(以下EOと略称する)、プロピレンオキシド(以下POと略称する)、1,2−ブチレンオキシド(以下BOと略称する)、イソブチレンオキシド、シクロヘキシレンオキシド、シクロヘキシルエチレンオキシド、オキセタン、ジメチルオキセタン、テトラヒドロフラン(以下THFと略称する)、3―メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、スチレンオキシド、1,2−ヘキシレンオキシド、1,2−ドデセンオキシド、1,2−ラウリレンオキシド、及びこれらのハロ置換体(エピクロルヒドリン等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、EO、PO、BO及びTHFであり、特に好ましいものは、EO及びPOである。環状エーテルは1種のみを用いても良く、2種以上の環状エーテルを併用してもよい。
【0011】
AOの(B)の活性水素に対する当量比は好ましくは1〜200であり、さらに好ましくは3〜60である。
二重結合を有する活性水素含有化合物(B)に上記環状エーテルを開環付加重合させる際、開環触媒として用いるルイス酸触媒(A)の使用量は特に限定されないが、好ましくは(B)とAOの合計質量に対して0.005〜10質量%である。さらに好ましくは0.05〜1質量%である。0.005質量%以上の場合には反応速度が速いため生産性が良好であり、10質量%以下の場合には触媒コストが安い。
【0012】
開環付加重合させる際には、(A)、(B)、AOの全てを一括に仕込んで反応させても良く、(B)と(A)の混合物にAOを滴下若しくは分割投入して反応させても良く、あるいは(B)にAOと(A)とを滴下若しくは分割投入して反応させても良い。開環付加重合させる際の反応温度は、好ましくは−50℃〜200℃であり、さらに好ましくは−20℃〜150℃であり、特に好ましくは0〜80℃である。
反応時間は好ましくは2〜20時間であり、さらに好ましくは3〜10時間である。
【0013】
本発明における粗製ポリエーテル(C)、ひいては中和後のポリエーテル並びに精製後のポリエーテルの数平均分子量は好ましくは、116〜20,000、さらに好ましくは、200〜6,000、特に好ましくは300〜2,000のものである。平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)で測定することができる。数平均分子量が116以上の場合には得られるウレタン樹脂の柔軟性が良好となり、数平均分子量が10,000以下の場合には得られるプレポリマーの粘度が低く作業し易い。
【0014】
本発明のアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物(D)は、環状エーテルの付加重合後にルイス酸触媒を中和するものであり、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物であり、これらのうちで好ましいものはアルカリ金属水酸化物であり、さらに好ましいものは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムであり、特に好ましいものは水酸化カリウムである。
該(D)の使用量は特に限定されないが、好ましくは(B)とAOの合計質量に対して0.001〜10質量%で、且つ(A)の使用量に対して70〜150モル%である。さらに好ましくは(B)とAOの合計質量に対して0.01〜1質量%である。
【0015】
本発明における吸着剤(E)としては、合成珪酸塩、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウムアルミニウム、活性白土、活性アルミナ、合成ゼオライトおよびイオン交換樹脂が用いられる。
合成珪酸塩の具体例としては、キョーワード600(協和化学工業社製)、トミタAD600(富田製薬社製)等の合成珪酸マグネシウム;シリカアルミナ(触媒化成工業社製)、キョーワード700(協和化学工業社製)、トミタAD700(富田製薬社製)等の合成珪酸アルミニウムが挙げられる。ハイドロタルサイトの具体例としては、天然ハイドロタルサイト;キョーワード500、キョーワード1000(いずれも協和化学工業社製)等の合成ハイドロタルサイト等が挙げられる。酸化マグネシウムアルミニウムとしては例えば、キョーワード2000(協和化学工業社製)、活性白土としては例えばガレオンアース(水澤化学工業社製)、活性アルミナとしては例えば、ネオビード(水澤化学工業社製)、合成ゼオライトとしては例えば、ミズカシーブス(水澤化学工業社製)等が挙げられる。
該(E)としては、上記の1種の吸着剤を単独で使用しても良いが、2種以上の吸着剤を併用することが好ましく、合成珪酸塩とハイドロタルサイトを併用することが特に好ましい。またさらに他の吸着剤(例えば活性炭等)を併用しても良い。
該(E)の使用量は特に限定されないが、好ましくは粗製ポリエーテル(C)に対して0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.2〜2質量%である。
【0016】
本発明において、中和後のポリエーテル(C’)に吸着剤(E)を混合し接触させる際には、(C’)の水の含有量が1質量%以上であることが好ましい。水の含有量が1質量%以上であると後の工程である濾過により(A)が除去されやすく生産性が高い。水の含有量はカールフィッシャー法で測定できる。
さらに、水の含有量が1質量%以上の中和後のポリエーテル(C’)に吸着剤(E)を混合し接触させた後、減圧脱水(好ましくは圧力0〜5kPa且つ温度60〜140℃)、加熱脱水(好ましくは温度100〜140℃)、脱水剤(例えば塩化カルシウム、モレキュラーシーブス等)の投入等の方法で脱水することにより、水の含有量を0.5質量%以下として吸着剤(E)を混合し接触させることが、濾過後の精製したポリエーテルの色やpH等の品質を向上させる上で、より好ましい。(C’)の脱水は、吸着剤(E)を接触させたまま行っても良く、吸着剤(E)を濾過によって取り除いた後に行っても良い。吸着剤(E)を濾過によって取り除いた後に(C’)の脱水を行う場合、脱水後に再び吸着剤(E)を混合し接触させることがさらに好ましい。
【0017】
本発明における濾過後の精製ポリエーテル中の元素(a)の含有量は好ましくは300ppm以下である。元素(a)の含有量が300ppm以下の場合、後で該ポリエーテルとイソシアネート化合物(例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等)とを反応させたアクリルウレタン樹脂の熱安定性が良好となり、生産性が良く、保存条件の許容幅も広い。熱安定性をさらに高めるためには、200ppm以下が好ましく、150ppm以下がさらに好ましい。
触媒に由来する元素(a)がポリエーテルに多量に残存する場合、イソシアネート化合物と反応させてウレタン樹脂を製造する際、及び/又はその後の保存中に、二重結合が反応して硬化活性が損なわれたり、二重結合が重合してゲル化する等、熱安定性が劣る。
【0018】
本発明の製造法により得られる精製ポリエーテルをイソシアネート化合物と反応させて得られるウレタン樹脂は、熱安定性が高く、保存及び硬化条件の許容幅が広いという特徴を有する。そして、このウレタン樹脂の有する二重結合を重合若しくは他のアクリルモノマーと共重合させてえられるアクリルウレタン樹脂は、弾性構造体、弾性接着剤、UVコーティング材、光硬化性樹脂、感光性フィルム等に有用である。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、部及び%はそれぞれ質量部および質量%を示す。MDIは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートを示す。DMFはジメチルホルムアミドを示す。
【0020】
製造例1
撹拌装置、温度制御装置付きの容積20Lのステンレス製オートクレーブに、ヒドロキシプロピルメタクリレート 4,160g、メトキシハイドロキノン 16g、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体 38gを仕込み、プロピレンオキサイド 3,090gを、反応温度を40〜70℃を保持制御しながら、5時間かけて滴下した後、60℃で2時間熟成し、液状の粗製ポリエーテル 7,250gを得た。
【0021】
実施例1
製造例1で得られたポリエーテル 1,150gに水酸化ナトリウムの30質量%水溶液 2.8g、キョーワード600(協和化学社製;合成珪酸塩) 3.5g、キョーワード1000(協和化学社製;ハイドロタルサイト) 8.1g及び水 11.5gを加えて85〜95℃で1時間処理し、保留粒子径5ミクロンの濾紙で濾過して、液状のポリエーテル 1,100gを得た。硼素含有量は120ppmであった。
比較例1
製造例1で得られたポリエーテル 1,000gに、キョーワード1000(協和化学社製;ハイドロタルサイト) 5gを加えて85〜95℃で1時間処理し、保留粒子径5ミクロンの濾紙で濾過して、液状のポリエーテル 990gを得た。硼素含有量は380ppmであった。
【0022】
試験例1
撹拌装置、温度制御装置、ガラス製フタ付きの容積1Lのステンレス製反応容器に、実施例1で得られたポリエーテル 360g、MDI 125g及びトルエン 60gを仕込み、85〜95℃で6時間反応させ、NCO%が0.05%以下であることを確認した。得られた樹脂溶液 10gを容量50mlのガラス容器に入れ、120℃に保った乾燥機中に静置したところ、6時間以上経過してもゲル化せず、熱安定性は良好であった。
【0023】
比較試験例1
撹拌装置、温度制御装置、ガラス製フタ付きの容積1Lのステンレス製反応容器に、比較例1で得られたポリエーテル 360g、MDI 125g及びトルエン 60gを仕込み、85〜95℃で反応させ、NCO%が0.05%以下であることを確認した。得られた樹脂溶液 10gを容量50mlのガラス容器に入れ、120℃に保った乾燥機中に静置したところ、2時間後には底部にゲル状物を生じ、熱安定性は不良であった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の製造法により得られるポリエーテルは、副生物が少なく、また環状エーテルの付加重合用触媒として使用した特定の元素の含有量が少ないので、反応中間体として使用した場合に副反応が少なく熱安定性も高い。そのためイソシアネート化合物と反応させて得られるウレタン樹脂の熱安定性が高く、保存及び硬化条件の許容幅が広いという特徴を有する。
このウレタン樹脂はアクリルモノマーと共重合することによりアクリルウレタン樹脂となり、弾性構造体、弾性接着剤、UVコーティング材、光硬化性樹脂、感光性フィルム等の用途に有用である。
Claims (7)
- ルイス酸触媒(A)の存在下で二重結合を有する活性水素含有化合物(B)に環状エーテルを付加重合した粗製ポリエーテル(C)に、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物(D)を加えて中和し、合成珪酸塩、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウムアルミニウム、活性白土、活性アルミナ、合成ゼオライト、イオン交換樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の吸着剤(E)と水を加えて混合した後濾過することを特徴とするポリエーテルの製造法。
- 前記(A)がホウ素、アルミニウム、スズ、アンチモン、鉄、リン、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ベリリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素(a)を含む酸性触媒である請求項1記載の製造法。
- 前記(B)が水酸基を有する重合性単量体である請求項1又は2記載の製造法。
- 前記水の含有量が(C)に対して1質量%以上である請求項1〜3の何れか記載の製造法。
- 前記水を(C)に対して1質量%以上加え前記(E)と共に混合した後、脱水により水の含有量を(C)に対して0.5質量%以下とする請求項1〜4の何れか記載の製造法。
- 前記(D)がアルカリ金属水酸化物である請求項1〜5の何れか記載の製造法。
- 前記(E)が合成珪酸塩及びハイドロタルサイトからなるものである請求項1〜6の何れか記載の製造法。
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