JP2004002205A - ガラス基板の化学加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 板厚を薄くしつつ平坦性の高い各種FPD用ガラス基板を得ることができるガラス基板の化学加工方法を提供することを主たる目的とする。
【解決手段】 化学加工液中にガラス基板を浸漬し、このガラス基板の外表面を構成する片側の一部若しくは全部または両側の一部若しくは全部を0.5〜10μm/分の加工速度で加工する。
【選択図】 図1

Description

 本発明は、各種FPD(フラットパネルディスプレイ)用ガラス基板、例えばLCD(液晶ディスプレイ)用ガラス基板、PDP(プラズマディスプレイパネル)用ガラス基板、有機EL(エレクトロルミネッセンス)用ガラス基板等の1枚或いは一対の貼り合せ基板を加工するための化学加工方法に関する。
 従来のガラス基板の加工方法には物理的な方法と化学的な方法がある。物理的な方法には、機械を用いた加工やブラストによる加工があり、化学的な方法にはウェットエッチングによる加工がある。最近では、以下に示すような品質改善が要求される趨勢にある。
1)ガラス基板に元々存在する表面キズを無くす。
2)パターニングされた薄膜を剥離した基板に残っているパターン跡を無くす。
3)ガラス基板の外表面の片側の全部を薄くし、その平坦性を高める。
4)ガラス基板の外表面の両側の全部を薄くし、その平坦性を高める。
5)ガラス基板の外表面の片側の一部に凹み部を作製し、各部の寸法と各面の平坦性を高める。
6)ガラス基板の外表面の両側の一部に凹み部を作製し、各部の寸法と各面の平坦性を高める。
7)3)〜6)のガラス基板を2枚の貼り合わせ基板と読み替えて、同じ目的のことを行なう。
 前記品質改善項目のうち、例えば1)〜4)に対して、従来の機械を用いた加工、例えば機械研磨では、平坦性の不足、割れや表面キズの発生、研磨模様の残留、研磨能力の限界等、避けられない課題が残る。一方、従来のウェットエッチングによる加工では、ガラス基板に初めから存在する表面キズ及びパターン跡を無くすのは困難であり、板厚を薄くする場合でも下記の例に示すように種々の問題が発生し、素ガラスと同等以上の品質を確保するのは困難であった。以降、代表例として液晶ガラス基板を対象として記述を進めていく。
 例えば、特許第2722798号公報には、液晶表示素子複数個分の面積を有する一対のガラス基板を各素子区画の液晶封入領域をそれぞれ囲むシール材を介して接着して素子集合体を組み立て、この素子集合体をフッ酸をベースとするエッチング液に浸漬して液晶ガラス基板の外面をエッチングする方法が開示されているが、板厚を薄くすることはできても後述する欠陥が生じるという問題がある。
 また、特開2000-147474号公報には、フッ酸を含むエッチング溶液を貯溜するエッチング溶液槽の底部に気泡発生装置を備え、この気泡発生装置から発生した気泡によって前記エッチング溶液を攪拌して、エッチング溶液槽に入れたガラスの表面をエッチングする自動エッチング装置の発明が開示されているが、15〜17%のフッ酸を用いて液晶ガラス基板の外面を加工した場合、後述する欠陥が生じるという問題がある。
 この発明においては、窒素ガス上昇気泡により加工液を攪拌させることによりガラス表面の均一な加工を実現しようとしているが、上昇した気泡と加工液とが液表面に達した後に下降する流れが上昇流の均一性を阻害するので、表面が均一に加工されないという問題がある。
 上述の2つの例に示した従来のウェットエッチングにより、50〜300μm加工した場合の問題点を以下に示す。
1)蛍光灯下でも確認できる白濁が発生する。
2)最大0.2mm径のピットが発生する。図14は加工後の表面粗度計により測定した結果を示したグラフである。
3)ピットの直径は加工量の増大とともに大きくなる。図15はピットの直径と加工量との関係を示したグラフである。
4)最大50個/cm2のピットが発生する。図16は単位面積当りのピット数と加工量との関係を示したグラフである。図16より単位面積当りのピット数は加工量の増大とともに増加することが判る。
5)蛍光灯下で見えるウネリが発生する。図17は加工後の表面のウネリの状態を示したグラフである。
6)板厚の最大値と最小値との差が20〜100μmであり、不均一である。
7)加工前に人為的に付けた表面キズが加工により、幅も深さも大きくなる(図18及び19参照)。図18は加工前に意図的にキズを付けた表面の断面を示すグラフであり、図19は加工後の表面の断面を示すグラフである。
 また、例えば液晶ガラス基板にCrをスパッタリング後、カラーフィルター用画素をパターニングした場合、その基板が不良になったときには、通常、パターニングされたCrを剥離して機械研磨を行ない、パターン跡を消すことにより素ガラスとして再利用しているが、機械研磨に代えて従来のウェットエッチングを実施した場合はパターン跡が消えず、素ガラスとして再利用できないという問題があった。
 本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、板厚を薄くしつつ平坦性の高い各種FPD用ガラス基板を得ることができるガラス基板の化学加工方法を提供することを主たる目的とする。
 本発明のガラス基板の化学加工方法は、化学加工液中にガラス基板を浸漬して、このガラス基板の外表面を構成する片側の一部若しくは全部または両側の一部若しくは全部を0.5〜10μm/分の加工速度で加工することを特徴とする。
 また、上記の化学加工液としては、フッ酸、並びに塩酸、硫酸、リン酸、硝酸から選ばれる1種以上の無機酸を含有することが好ましい。また、他の好ましい化学加工液としては、フッ酸、並びに塩酸、硫酸、リン酸、硝酸から選ばれる1種以上の無機酸及び陰イオン系界面活性剤を含有するものを挙げることができる。
 上記に詳述したように、本発明にかかる化学加工方法によれば、ガラス基板を化学加工することにより、板厚を薄くしつつ平坦性の高い各種FPD用ガラス基板を製造することができる。
 本発明は、素ガラス若しくは一旦各種FPD用ガラス基板として製造されたガラス基板(以下、まとめて「ガラス基板」という。)を加工対象とするものである。そして、本発明はこのようなガラス基板を化学加工液に浸漬して、ガラス基板の外表面の少なくとも片側の一部を特定条件の下で加工することにより、板厚を薄くするとともに表面の平坦性に優れた各種FPD用ガラス基板を提供しようとするものである。
 本発明で用いる化学加工液は、ガラス基板の加工速度が0.5〜10μm/分の範囲にあることが好ましく、1.0〜5.0μm/分の範囲にあることが更に好ましい。本発明者の検討によれば、加工速度が10μm/分を上回ると平坦性に優れたガラス基板を製造することが困難となる。一方、加工速度が0.5μm/分を下回ると平坦性に優れたガラス基板を製造することはできるものの、製造速度が遅くなりすぎるため生産性の点から好ましくない。
 具体的には、加工速度が10μm/分を上回ると、加工後のガラス基板の表面にピット及びウネリが生じやすくなり、また板厚のバラツキが大きくなるのでガラス基板の平坦性が十分に確保できない。さらに、加工前から元々基板表面に存在したキズも残存してしまう。一方、加工速度が0.5〜10μm/分の範囲にある場合には、上記の問題点が解決されて平坦性に優れたガラス基板を製造することができる。
 上記のような加工速度を得ることができれば、化学加工液の含有成分は特に限定されるものではないが、本発明に好ましい成分としては、フッ酸、ならびにフッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムから選ばれるフッ化物、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸から選ばれる無機酸、酢酸、コハク酸から選ばれる有機酸、スルホン酸塩系界面活性剤等の陰イオン系界面活性剤、アミン系両性界面活性剤を挙げることができる。
 上記成分のうち、フッ酸、フッ化物、無機酸及び有機酸は、ガラス基板を化学的に加工し、かつフッ化物等の反応生成物がガラス基板の表面に再付着するのを防止するために添加するものであり、陰イオン系界面活性剤とアミン系両性界面活性剤は、フッ化物等の反応生成物がガラス基板の表面に再付着するのを防止するために添加するものである。
 本発明で用いる化学加工液は、フッ酸を必須成分とすること以外は任意の組み合わせが可能であり、使用するガラス基板の組成、必要とする加工速度、加工精度等に応じて各成分を適宜組み合わせることができる。本発明者の検討によれば、上記の各成分のうち、フッ酸と無機酸(特に塩酸と硝酸)の組み合わせ、フッ酸と陰イオン系界面活性剤の組み合わせ、フッ酸、有機酸(特に塩酸と硝酸)及び陰イオン系界面活性剤の組み合わせが特に好適に使用できることが確認されている。
 本発明では、上述した化学加工液中にガラス基板を浸漬することをその要旨とするものであるので、化学加工液を貯溜するための貯溜槽及びその周辺装置は特に限定されるものではない。例えば、化学加工液を貯溜した貯溜槽のみからなる化学加工装置を使用することもできる。この場合、ガラス基板の加工に際して、化学加工液中に珪フッ化物等の反応生成物が徐々に増加する結果、反応生成物がガラス基板の表面上に数多く付着してくるため、ガラス基板と化学加工液の固液反応速度がガラス基板上の各部分においてバラツキを生じやすくなり、ガラス基板の表面の平坦性を確保することが困難になることも想定される。しかし、事前の検討により化学加工液の品質が劣化する前に、化学加工液を新たなものと交換して使用することにより、本発明の主目的であるガラス基板表面の平坦性を十分確保することができる。
 また、他の好ましい化学加工装置の例としては、化学加工中に反応生成物を含む化学加工液を化学加工液の貯溜槽から連続して取り除くとともに、新しい化学加工液を連続して供給することができる化学加工装置を挙げることができる。このような化学加工装置を採用した場合、加工後に生じた反応生成物が貯溜槽の外(反応系外)に取り除かれるとともに、常に有効成分のみを含む新鮮な化学加工液が貯溜槽内(反応系内)に供給されるので、ガラス基板表面の均一な化学加工が可能となる。
 また、本発明では、化学加工液がガラス基板の加工面に対して実質的に平行に近い液流を生じさせながら化学加工することが、ガラス基板の平坦性を向上させる上で好ましい。このことは、特に加工前に基板表面に微細な凹凸が多数存在する平坦性の低いガラス基板を加工した場合においてその効果が顕著に表れる。
 上記の作用効果は次のように説明することができる。本発明における化学加工方法は、ガラス基板(固体)と加工液(液体)との固液反応であり、(1)ガラス基板表面の近傍部分を構成する拡散層内への加工液の拡散、(2)加工成分のガラス基板表面への吸着、(3)加工成分とガラスとの化学反応、(4)反応生成物のガラス基板からの脱離、(5)拡散層外への反応生成物の拡散、等の多段階反応からなる。上記各反応の中で(2)〜(4)の反応速度は(1)と(5)の反応速度よりも大きいので、この多段階反応の全体としての反応速度は(1)と(5)の反応速度で決まるものであり、拡散律速となるものと考えられる。
 ここで、基板表面に微細な凹凸部分が存在する平坦性の低いガラス基板を用いて、ガラス基板の加工面に対して実質的に平行に近い化学加工液の液流を生じさせた場合、基板表面の凸部の方が凹部よりも液流の影響を強く受ける。すなわち、凸部においては、液流による一種の攪拌作用を受ける結果、拡散層の厚みが薄くなるので加工液の拡散速度が大きくなり、全体としての反応速度(すなわち加工速度)が大きくなる。一方、凹部では液流の影響をほとんど受けず、凹部近くの液流はよどんだ状態にあるので凹部近傍の拡散層の厚みはほとんど変化せず、全体としての反応速度が凸部に比べて小さくなる。
 ここで、例えば攪拌機等で加工液全体を攪拌して、ガラス基板を垂直に近い状態で浸漬した場合には、上昇液流が効果的に生じないので、ガラス基板の加工面に対して化学加工液の液流を実質的に平行にすることが困難となる。上昇液流を効果的に生じさせるためには、化学加工液の貯溜槽の最上部まで化学加工液を満たした状態で、加工液の下部から窒素ガス等の微細気泡を連続して発生させる方法を挙げることができる。そして、かかる加工液中にガラス基板を垂直に近い状態で浸漬することにより、化学加工液の上昇液流に対してガラス基板の加工面を実質的に平行にすることができる。
 なお、本発明においてガラス基板の加工部分は、ガラス基板を構成する外表面のうち両側全部に限定されるものではなく、各種FPD用ガラス基板として要求される形態、例えば基板表面のパターニング形状等に応じて、必要とされる加工部分のみ適宜加工することができる。具体的には、例えば加工しない部分に耐酸性の保護膜を形成してマスキング処理を施し、加工後に保護膜を除去することにより、ガラス基板の片側面の一部若しくは全部またはガラス基板の両側の一部を化学加工することができる。
 以下では、上述した化学加工装置のうち後者の化学加工装置を用いてガラス基板を加工する実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。図1は、本発明の化学加工装置の一例を示す断面図である。化学加工装置1は化学加工液貯溜槽11を備えており、化学加工液貯溜槽11の底部には、ガスを導入して、多孔質からなる気泡吐出部12aから吐出すべくなしている気泡発生装置12が配置されており、気泡発生装置12の上側には、ガラス基板又は一対のガラス基板を貼り合わせたものを縦方向に挿入して保持するためのガラス基板収納治具18が配置されている。このガラス基板収納治具18は、ガラス基板収納治具用保持具17の中に配置されている。化学加工液貯溜槽11には、フッ酸を主成分とした化学加工液が投入される。
 化学加工液貯溜槽11の周縁部には、化学加工液貯溜槽11から溢出させた前記化学加工液を受ける溢出液受け槽13が設けられており、溢出液受け槽13には、加工により生じた反応生成物を除去するためのフィルター14、及びこのフィルター14により濾過された化学加工液を再度化学加工液貯溜槽11に送るためのポンプ15が連結されている。そして、気泡発生装置12の下側に配され、ポンプ15により送り出された化学加工液を化学加工液貯溜槽の底部に向けて吐出するための多数の孔を有する化学加工液吐出部16aを備えた化学加工液吐出装置16により、再度、化学加工液が化学加工液貯溜槽11に供給される。
 また、化学加工装置1には、超音波振動子又は揺動攪拌翼を備えてもよい(図示せず)。これは、化学加工液貯溜槽11の全体に渡って気泡を拡散させるために用いるものである。
 図2は、気泡発生装置12の一例を示す斜視図である。気泡発生装置12は、窒素ガス等のガスを導入するガス導入管12bと、ガス導入管12bに垂直に複数連結された、多孔質からなるパイプ状の気泡吐出部12a,12a,・・・とを備えている。また、図3は他の気泡発生装置12の気泡吐出部12aの一例を示す斜視図である。この気泡吐出部12aは多孔質からなり、板状を有している。図2及び図3ともに、気泡吐出部12aの孔径は10〜500μmにするのが好ましい。そして、これらの気泡発生装置12を液晶ガラス基板収納治具用保持具17の下側に配置して、微細気泡を上方に吐出させ、化学加工液を均一に上昇させる。この上昇液流により、ガラス基板の表面に常に新鮮な化学加工液を供給することができるとともに、フッ化物等の反応生成物がガラス基板の表面に再付着するのを防止することができる。
 微細気泡の上昇液流が化学加工液の表面に達した後は、化学加工液貯溜槽11の周縁部から溢出し、溢出液受け槽13で受けられ、フィルター14を通した後、再度、化学加工液貯溜槽11に供給される。化学加工液を溢出させない場合、上昇液流が下降液流に転じる部分の断面積が小さいと、下降液流が上昇液流と交錯して均一な上昇液流が確保できなくなる。図4は、化学加工液貯溜槽11及びガラス基板収納治具用保持具17の一例を示す平面図である。図4に示したように、ガラス基板収納治具用保持具17の外側部分に相当する下降液流の通過断面積が、ガラス基板収納治具用保持具17の内側部分に相当する上昇液流の通過断面積の1〜3倍である場合、均一な上昇液流が確保できることが確認されている。
 ガラス基板の成分と化学加工液とのフッ化物等の反応生成物は、微細気泡の上昇流によって上昇するが、これが化学加工液貯溜槽11内を循環して化学加工液貯溜槽11の底部に堆積すると、微細気泡の吐出に悪影響を及ぼすので、反応生成物の堆積を防止する必要がある。図5は、化学加工液吐出装置16の一例を示す斜視図である。この化学加工液吐出装置16には、多数の孔を有した化学加工液吐出部16aが複数、平行に設けられており、ポンプ15によって送り出された化学加工液を化学加工液吐出部16aから下向き又は斜め下向きに吐出させることにより、化学加工液の供給とともに、反応生成物の堆積を防止するように設計することが好ましい。
 本発明では、上述した化学加工装置1を用いてガラス基板の加工速度を制御する方法として、化学加工液の組成の変更、化学加工液の温度の変更がある。図6は、化学加工液の添加比率と加工速度との関係を示すグラフである。この化学加工液は、フッ酸20重量部、塩酸20重量部及び硝酸20重量部からなる加工成分の水に対する添加比率を適宜変更した水溶液である。図6から、添加比率が10%では1.1μm/分であるが、添加比率が増加するにしたがって加工速度が増加し、40%で最大値の3.7μm/分を示し、その後少し低下して添加比率90%まで概略3μm/分とほぼ一定あることが判る。添加比率が30%以下では加工速度が遅く、また70%以上ではガラス表面に白曇が発生したり、ガラス表面に反応生成物のスラッジが付着するので、加工速度を制御するためには、添加比率を30〜60%にするのが好ましい。また、かかる関係は上述した他の加工成分の組合せからなる化学加工液を用いた場合であっても同様であることが確認されている。
 図7は、化学加工装置1を用いて、フッ酸5%と塩酸10%からなる化学加工液の加工速度と温度の関係を示したグラフである。このグラフの横軸は基準温度(30℃)からの偏移量であり、縦軸は加工速度である。図7から、温度の上昇にしたがって全体として加工速度は増加する傾向を示すが、基準温度(30℃)の±5℃の範囲では0.5μm/分の差しか生じないことが判る。このように、本発明においては、加工速度がほとんど変化しない温度領域が存在する。したがって、化学加工に当たっては事前に加工速度と温度の関係を調べ、加工速度がほとんど変化しない温度領域の中間温度を基準温度として、この中間温度付近で化学加工を行なうことにより、ガラス基板の加工速度を制御することが好ましい。また、加工速度がほとんど変化しない温度領域を事前に調べることにより、要求される加工精度に応じて加工時間の条件も緩やかに設定することができる。例えば、図7のグラフが得られた場合において、加工量のバラツキを20μmの範囲内に収めるには、加工時間のバラツキとして最大40分まで許されることになる。
 以下に、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
[実施例1]上述した化学加工装置1を用いて、素ガラスの化学加工を行なった例を以下に示す。下記の素ガラスを所定の加工速度を有する化学加工液にそれぞれ浸漬し、同一の加工量を研磨した場合における加工速度とガラス基板の表面状態の関係を検討した。結果を表1に示す。
(1)素ガラスのサイズとそれぞれの目標の化学加工量
No.1;縦320mm×横400mm×厚み1.1mm。目標の化学加工量;0.3mm。
No.2;縦400mm×横500mm×厚み0.7mm。目標の化学加工量;0.2mm。
(2)化学加工液の組成
水を溶媒として、フッ酸、塩酸、硝酸を化学加工成分として、各成分の配合割合を適宜変更して加工速度が0.5、1.0、3.0、5.0、10.0、13.0、15.0(単位;μm/分)になる化学加工液を調製した。
Figure 2004002205
 表1において、ピット、ウネリ及び元キズの有無は、暗室のクリーンルーム内で蛍光灯下で目視により観察した結果を示したものである。また、図8は化学加工後におけるNo.2のガラス基板の板厚の測定位置を示したものである。表1に、図8に示した各位置において、超音波板厚計で板厚を測定し、バラツキとして最大値と最小値との差を求めた結果を示してある。ここで、小とは、バラツキが50μm以下、中とは、100〜200μm、大とは200μm以上であることをいう。表1の結果より、品質及び生産性の点から、加工速度は0.5〜10μm/分が好ましく、特に1.0〜5.0μm/分最適であることが判った。
 [実施例2]上述した化学加工装置1を用いて、素ガラスの化学加工を行なった例を以下に示す。
(1)素ガラスのサイズとそれぞれの目標の化学加工量
No.1;縦320mm×横400mm×厚み1.1mm。目標の化学加工量;0.3mm。
No.2;縦400mm×横500mm×厚み0.7mm。目標の化学加工量;0.2mm。
(2)化学加工液の組成
水を溶媒として、フッ酸5%、塩酸10%、硝酸5%を含有する化学加工液を使用した。
(3)素ガラスの受入検査と最終検査の方法
<板厚測定>
超音波式板厚計を用いて図8に示した測定位置の板厚を測定した。
<外観検査>
検査機器として蛍光灯(1500Lx以上)、集光灯(1万Lx以上)を使用し、検査機器の光源からガラス基板までの距離とガラス基板から測定者までの距離を共に300mmにして、ガラス基板に対する反射光と透過光を目視で確認した。
(4)実験結果
<加工速度>
素ガラスの片面に対して2.5μm/分であった。
<板厚>
表2に超音波板厚計によって測定した素ガラスの板厚を示した。
Figure 2004002205
<キズの有無>
図9に化学加工前後における素ガラスのキズの有無を検査した結果を示した。図9の結果より、化学加工前に存在したキズが化学加工により消失したことが判る。
<表面の平坦性>
No.2の素ガラスを化学加工した後の表面状態を測定した結果を図10に示した。表2及び図10より、素ガラスの各位置において、均一に目標量を加工することができ、素ガラスの表面が平坦化されたことが判る。
 [実施例3]化学加工装置1を用いて、2枚の貼り合わせ液晶ガラス基板の化学加工を行なった例を示す。
(1)貼り合わせ液晶ガラス基板のサイズとそれぞれの目標の化学加工量
No.3;400mm×500mm×1.4mm。目標の化学加工量;両面合わせて0.4mm。
(2)化学加工液の組成
実施例2と同じ。
(3)受入検査と最終検査の方法
<板厚測定>
2枚の貼り合わせ液晶ガラス基板の表側の測定位置を図12に、裏側の測定位置を図13に示した。
<外観検査>
実施例2と同様に行なった。
(4)実験結果
<加工速度>
貼り合わせ液晶ガラス基板の片面に対して2.5μm/分であった。
<板厚>
表3に超音波板厚計によって測定した結果を示した。
Figure 2004002205
<キズの有無>
化学加工前後におけるキズの有無を検査した結果を図11に示した。図11より、化学加工前に存在したキズが化学加工により消失したことが判る。
<表面の平坦性>
表3から、貼り合わせガラス基板の各位置において、均一に目標量を加工することができ、表面が平坦化されていることが判る。
 [実施例4]カラーフィルター用画素がCrでパターニングされた液晶ガラス基板が不良になったので、Crを剥離した後、パターン跡を無くすため化学加工装置1により化学加工を行なった。
(1)Cr剥離後のガラス基板のサイズとそれぞれの目標の化学加工量
No.4;縦400mm×横500mm×厚み0.7mm。目標の化学加工量;5μm。
(2)化学加工液の組成
実施例2と同様のものを用いた。
(3)受入検査と最終検査の方法
<板厚測定>
超音波式板厚計を用いて図8に示した測定位置の板厚を測定した。
<外観検査>
実施例2と同様に行なった。
(4)実験結果
<加工速度>
ガラス基板の片面に対して2.5μm/分であった。
<板厚>
表4に超音波板厚計によって測定した結果を示した。
Figure 2004002205
 <パターン跡の有無>
パターン跡は化学加工により全て消失していることが確認された。
<表面の平坦性>
表4とパターン跡の消失結果から、液晶ガラス基板を均一に目標量加工することができ、表面が平坦化されたことが判る。
 以上のように本発明の化学加工方法を実施することにより、液晶ガラス基板の板厚を薄くしつつ、表面を平坦化できることが確認された。また、液晶ガラス基板の表面に初めから存在していたキズを消失させることができるのいでガラスの再利用が可能となる。さらに、本発明の化学加工方法においては、ガラス基板の大きさに関係なく生産性高くガラス基板の加工を実施することができる。なお、本実施例で使用した化学加工装置1は前記実施の形態において説明したものに限定されるものではなく、本発明の目的を損なわない限り種々の設計変更が可能である。
化学加工装置の一例を示す断面図である。 気泡発生装置の第一実施例を示す斜視図である。 気泡発生装置の第二実施例を示す斜視図である。 化学加工液貯溜槽及びガラス基板収納治具用保持具の一例を示す平面図である。 化学加工液吐出装置の一例を示す斜視図である。 化学加工液の添加比率と加工速度の関係を示すグラフである。 加工速度と温度の関係を示すグラフである。 No.2のガラス基板の板厚の測定位置を示す平面図である。 化学加工の前後で表面キズの有無を調べた結果を示す平面図である。 表面粗度計によりNo.2のガラス基板の表面状態を調べた結果を示す平面図である。 化学加工の前後でキズの有無を調べた結果を示す平面図である。 No.2のガラス基板を2枚貼り合わせたものの外側表面の板厚の測定位置を示した平面図である。 No.2のガラス基板を2枚貼り合わせたものの外側裏面の板厚の測定位置を示した平面図である。 従来の化学加工方法により研磨した後の表面を測定した結果を示すグラフである。 ピットの直径と加工量との関係を示したグラフである。 単位面積当りのピット数と加工量との関係を示したグラフである。 加工後の表面のウネリの状態を示したグラフである。 加工前に意図的にキズを付けた表面の断面を示すグラフである。 加工後の表面の断面を示すグラフである。
符号の説明
1 化学加工装置
11 化学加工液貯溜槽
12 気泡発生装置
12a 気泡吐出部
13 溢出液受け槽
14 フィルター
15 ポンプ
16 化学加工液吐出装置
17 ガラス基板収納治具用保持具
18 ガラス基板収納治具

Claims (3)

  1. 化学加工液中にガラス基板を浸漬し、このガラス基板の外表面を構成する片側の一部若しくは全部または両側の一部若しくは全部を0.5〜10μm/分の加工速度で加工することを特徴とする化学加工方法。
  2. 化学加工液が、フッ酸、並びに塩酸、硫酸、リン酸、硝酸から選ばれる1種以上の無機酸を含有することを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の化学加工方法。
  3. 化学加工液が、フッ酸、並びに塩酸、硫酸、リン酸、硝酸から選ばれる1種以上の無機酸及び陰イオン系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の化学加工方法。
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