JP2004002111A - ディスプレイ窓材用光学薄膜の形成方法及び光学薄膜構造体 - Google Patents

ディスプレイ窓材用光学薄膜の形成方法及び光学薄膜構造体 Download PDF

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中山 高博
Osamu Miura
三浦 治
Hirohiko Murakami
村上  裕彦
Kanenori Matsuzaki
松崎  封徳
Toshiharu Kurauchi
倉内  利春
Shunji Misawa
三沢  俊司
Koichi Tamagawa
玉川 孝一
Kensuke Okasaka
岡坂 謙介
Kenji Fujii
藤井 健司
Takahide Sasaki
佐々木  貴英
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Abstract

【課題】高効率で発光を取り出すために多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜と透明導電膜とを有して光学薄膜を積層形成する際に、この透明導電膜に対する多孔質シリカ材料の付着強度を増大させることを可能とするディスプレイ窓材用光学薄膜の形成方法、及び、その方法を用いて形成した光学薄膜構造体を提供する。
【解決手段】ガラス基板1上に、SiO膜などの透明絶縁層から成る中間密着層4を介して、透明導電膜2と疎水性多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜3とを積層して光学薄膜構造体を形成する。このとき、疎水性多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜3は、0.3〜2.0μmの膜厚と、中心線平均粗さ表示で50nm以下の平坦度とを有し、透明絶縁膜から成る中間密着層4は、5〜300nmの膜厚と中心線平均粗さ表示で50nm以下の平坦度とを有することが望ましい。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部発光を高効率で取り出すことが要求されるディスプレイ窓材に用いられる光学薄膜の形成方法及びディスプレイ窓材用途に用い得る光学薄膜構造体に関する。このようなディスプレイ窓材は、外部からの入射光の反射防止が必要な太陽電池の受光部などにも転用可能である。
【0002】
【従来の技術】
内部の発光領域からの発光をガラスなどの透明基板を通して外部に取り出す窓材を用いるディスプレイ等において、ガラスの界面での反射や屈折のため発光の取り出しを効率良く行えない、光導波特性により発光の一部がガラス端面から散逸して、ディスプレイとしての発光輝度や視野角が減少する、また、このような輝度減少の補償のために消費電力が増大するという問題があった。
【0003】
この種の問題の対策として、従来、特開2001―202827号公報によるものが知られている。このものは、内部の発光を高効率で取り出すため、シリカエアロゲルから成る低屈折率(1.003〜1.300)の多孔質薄膜をガラス基板上に塗布し、その上に透明導電膜を成膜することにより、ガラス基板と透明導電膜との間に多孔質薄膜を挟んだものを有機EL素子等のディスプレイ用窓材として用いている。
【0004】
ところで、上記の低屈折率材料として用いるシリカエアロゲルは多孔質構造のため本来的に吸湿性を有しており、水分吸湿により材質が劣化して低屈折性を維持できなくなるおそれがある。このため、上記従来例では、シリカエアロゲルのゲル状前駆体化合物が有するシラノール基などの親水基を、シラン化合物などの疎水化処理剤の疎水基と置換して疎水化処理するものを態様の一つとして示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のように疎水化処理を経て形成される疎水性多孔質シリカ材料は、疎水基の影響により透明導電膜との付着強度に劣る。したがって、上記のように透明導電膜の下地膜として用いる場合に、透明導電膜との密着強度を充分に得ることができないことから、特に、フォトエッチング時の耐アルカリ性能において深刻な問題が生じる。例えば、疎水性多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜付きのインジウム・スズ酸化物(ITO膜)材質の透明導電膜を用いる場合、現像用の水酸化カリウムなどの無機アルカリ水溶液がITO膜表面の欠陥部分から侵入してシリカ材料を侵して所定の低屈折率の維持を困難にする。また、レジスト除去剤の水酸化ナトリウムによる除去工程時に多孔質シリカ材料が溶解してITO膜が剥離するなどの事態も想定される。さらに、レジスト除去用にアミン系などの有機アルカリ系除去剤を用いても疎水性多孔質シリカ材料層の変質やITOパターンエッジ部の剥離等、同様の問題が残る。
【0006】
即ち、疎水性多孔質シリカ材料による低屈折率膜付きの透明導電膜に対して通常のパターニング工程は不向きである。そして、この種の制約は、上記低屈折率膜付き透明導電膜を有機EL素子等のディスプレイ用途に対して実用化を進める際の重大な阻害要因となる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、高効率で発光を取り出すために多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜と透明導電膜とを有して光学薄膜を積層形成する際に、この透明導電膜に対する多孔質シリカ材料の付着強度を増大させることを可能とするディスプレイ窓材用光学薄膜の形成方法、及び、その方法を用いて形成した光学薄膜構造体を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、中間密着層を介して透明導電膜と疎水性多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜とを積層して、これをディスプレイ窓材用光学薄膜を構成するものとして用いる。
【0009】
これにより、透明導電膜と上記の低屈折率膜との密着強度が向上して積層構造が強固になる。したがって、これらにより作製したディスプレイ用窓材は、所期の高効率の発光取り出しが可能となる。
【0010】
この場合、疎水性多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜の膜厚は、0.3〜2.0μmの範囲内であり、その平坦度は、中心線平均粗さ表示で50nm以下であることが望ましい。0.3μm以下の膜厚では可視光の波長に到達せず光学薄膜構成上の要請が及ばず、また、2.0μm以上の膜厚では上記平坦度(中心線平均粗さとして50nm以下)を維持することが現実的でないためである。特に、中心線平均粗さとして50nm以下の平坦度を維持することは、製品ディスプレイの輝度ムラ発生を回避するうえで重要である。
【0011】
また、上記の中間密着層の材質は、透明絶縁膜を用いることが望ましい。中間密着層の介在によっても透明性や低比誘電率を維持するためである。このような透明絶縁膜としてはSiO膜が好適である。
【0012】
この場合、上記の透明絶縁膜から成る中間密着層の膜厚は、5〜300nmの範囲内であり、その平坦度は、中心線平均粗さ表示で50nm以下であることが望ましい。透明絶縁膜は、屈折率が比較的高いものを用いるのが一般的であり、これの介在により光学薄膜全体での屈折率が変動しないように上記した膜厚300nmの上限が必要となる。また、平坦度に関しては、低屈折率膜の場合と同様に、製品ディスプレイの輝度ムラ発生を回避するうえで重要である。
【0013】
そして、透明絶縁膜から成る中間密着層を介し、疎水性多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜と透明導電膜とを積層したものは、光学薄膜の構成膜として良好である。そして、このような構成膜を備える光学薄膜により作製されるディスプレイ窓材は、所期の高効率で発光を取り出すことが可能である。
【0014】
また、透明導電膜に発光層を積層して、低屈折率膜と中間密着層と透明導電膜と発光層とが四重構造に積層して成る光学薄膜構造体は、発光層からの内部発光を高効率で取り出すことが可能であるので、ディスプレイ用発光素子構造体として好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のディスプレイ窓材用光学薄膜の形成方法により形成した光学薄膜構造体の一例である。この光学薄膜構造体は、ガラス基板1と透明導電膜2とが低屈折率膜3を挟持する構成層において、透明電導膜2と低屈折率膜3との間に中間密着層4を介在させて構成している。なお、図中5は、有機EL素子や無機EL素子またはPL(フォトルミネッセンス)素子などの発光層である。
【0016】
透明導電膜2の材料としてインジウム・スズ酸化物(ITO膜)が用いられ、これにより発光素子構造の電極層が形成される。低屈折率膜3としては疎水化処理を行った多孔質シリカ材料が用いられ、透明導電膜2と積層することにより、所期の高効率で発光を取り出すことが可能となる。透明導電膜2と低屈折率膜3との密着強度を増大させる中間密着層4の材料は、SiO膜などの透明絶縁膜が用いられる。
【0017】
本発明の光学薄膜構造体を作製する際には、最初に、低屈折率多孔質シリカ材料膜3をガラス基板1などの透明絶縁性支持体上に形成する。即ち、低屈折率材料として、撥水性を有するヘキサメチルジシロキサンやヘキサメチルジシラザンを含有した低比誘電率物質の溶液(例えば株式会社アルバック製ISM−1.5)を、有機EL素子のガラス基板1上にスピンコートにより塗布して低屈折率膜3として成膜を行う。ここで用いる低比誘電率物質の溶液には、ヘキサメチルジシロキサンやヘキサメチルジシラザンのような撥水性の物質以外にも、必要に応じてアルコールや酢酸ブチルなどを添加物として加えても良い。また、この薄膜は、上記スピンコート時の回転数を変化させて300nm〜2.0μmの範囲で膜厚制御でき、さらに、このときの平坦性を表す中心線平均粗さとして50nm以下の平坦な膜表面を形成することができる。このような数値条件を満たしていれば取り出す可視光を屈折させることができ、また、輝度ムラを防止することができる。
【0018】
そして、焼成処理などにより、上記低比誘電率物質の溶液中の溶媒や水、酸またはアルカリ触媒や界面活性剤などを蒸発させながら多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜3を形成する。このときの焼成処理条件は、上記の溶媒や水、酸またはアンモニアなどを蒸発させることができ多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜を得ることができる条件であれば特に制限はない。
【0019】
次に、このように低屈折率膜3を形成し、これを洗浄した後に、低屈折率膜3上にRFスパッタ法によりSiO膜から成る透明絶縁膜で中間密着層4を形成する。このときの中間密着層4は、公知のスパッタ法の制御により、5〜300nmの範囲で膜厚制御でき、さらに、このときの平坦性を表す中心線平均粗さとして50nm以下の平坦な膜表面を形成することができる。このような数値条件を満たしていれば取り出す可視光を屈折若しくは反射させることなく、また輝度ムラ防止を維持できる。
【0020】
また、疎水性多孔質シリカ材料の密着性不良の要因は、シリカ材料中に存在するアルキル基であると推測される。これが撥水性と称される強力な疎水性を具備させて付着力の低下を招くと考えられるため、中間密着層4に用いられる材質はこの撥水性を緩和できるものであれば良い。本実施の形態においてはその材質としてSiO膜を用いたが、撥水性を緩和できる他の透明絶縁膜、例えば、SiO(1≦X<2)、Si、Alなどを用いても良い。また、中間密着層4の成膜方法も、電子ビーム蒸着や抵抗加熱法などの蒸着法や、化学気相成長法(CVD法)によるシリコンの熱酸化反応生成を用いても良い。
【0021】
その後、中間密着層4の上にDCスパッタ法により室温でインジウム・スズ酸化物(ITO膜)の成膜を行う。このようなITO膜は、例えば株式会社アルバック製スーパーITO膜Aとしても入手可能である。また、透明導電膜の材質としては、ITO膜に限定されることなく、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)や、これらを組み合わせた酸化カドミウム−酸化スズ(CdSnO)、酸化カドミウム−酸化亜鉛(CZT)、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)などの可視光透過率が80%以上の透明導電膜を用いることができる。
【0022】
このようにして、ガラス基板1と低屈折率膜3と中間密着層4と透明導電膜2とから構成される光学薄膜構造体、即ち、透明導電膜付きの高効率光取り出し窓材が作製される。この光学薄膜構造体は、下記実施例に示すようにディスプレイ用窓材の構成層として良好な特性を有している。
【0023】
なお、本実施の形態においては、本発明の光学薄膜構造体の好適例として、有機EL素子等のディスプレイ用窓材を挙げているが、本発明の適用はこの用途に制限されるものではなく、例えば、入射光の反射防止処理が必要な太陽電池の受光部などの用途にも適用できる。
【0024】
【実施例】
[実施例1]本発明の実施の形態で示した光学薄膜構造体の作製方法に基づき、ガラス基板1上に、多孔質シリカ材料から成る膜厚700nmの低屈折率膜3と、SiO膜から成る膜厚30nmの中間密着層4と、ITO膜から成る膜厚100nmの透明導電膜2(面抵抗:30Ω/□以下)とをこの順で形成し、透明導電膜付きの高効率光取り出し窓材を作製した。このとき、原子間力顕微鏡(AFM)により、低屈折率膜3、中間密着層4及び透明導電膜2の表面を観察したところ、中心線平均粗さ表示で、低屈折率膜3は5nm以下、中間密着層4は8nm以下、透明導電膜2は12nm以下であるような平坦性を有していた。
【0025】
このような窓材を用いると、発光素子による内部発光を所期の高効率で取り出すことが確認された。
【0026】
[実施例2]シリコン基板上に、[実施例1]と同様にして多孔質シリカ材料から成る膜厚700nmの低屈折率膜3と、SiO膜から成る膜厚30nmの中間密着層4とを積層して成膜を行い、その屈折率をエリプソメータで測定したところ1.3であった。
【0027】
[比較例1]SiO膜から成る膜厚30nmの中間密着層4を介在させず、[実施例2]の多孔質シリカ材料から成る膜厚700nmの低屈折率膜3単独で成膜を行い、その屈折率をエリプソメータで測定したところ1.2であった。
【0028】
[実施例2]と[比較例1]とから、SiO膜から成る膜厚30nmの中間密着層4の介在があっても屈折率の変動は小さいことが分る。
【0029】
[実施例3] [実施例2]と同様にして作製した、シリコン基板1と、多孔質シリカ材料から成る膜厚700nmの低屈折率膜3と、SiO膜から成る膜厚30nmの中間密着層4との積層構造の強度測定を行ったところ、ヤング率2.349GPa、硬度0.353GPaが得られ、本発明の光学薄膜構造が機械的強度に優れていることが分る。
【0030】
[実施例4] [実施例2]と同様にして作製した、シリコン基板1と、多孔質シリカ材料から成る膜厚700nmの低屈折率膜3と、SiO膜から成る膜厚30nmの中間密着層4との積層構造に対する水滴の接触角を測定したところ、中間密着層4上での接触角は、13〜16°と親水性を示した。
【0031】
[比較例2]SiO膜から成る膜厚30nmの中間密着層4を介在させず、[比較例1]の多孔質シリカ材料から成る膜厚700nmの低屈折率膜3単独で成膜を行い、水滴の接触角を測定したところ、107〜112°と疎水性を示した。
【0032】
[実施例4]と[比較例2]とから、SiO膜から成る膜厚30nmの中間密着層4の介在により親水性向となり、これが付着力向上の要因となっていることが推察される。
【0033】
[実施例5] [実施例1]と同様にして、ガラス基板1上に、多孔質シリカ材料から成る膜厚700nmの低屈折率膜3と、SiO膜から成る膜厚30nmの中間密着層4と、ITO膜から成る膜厚100nmの透明導電膜2(面抵抗:30Ω/□以下)とをこの順で形成して作成した基板のITO膜パターニングを行った。即ち、ITO膜上に、市販のポジ型フォトレジストを1200nmの膜厚にスピンコートして形成し、これを乾燥し、マスクを用いて露光した。マスクのパターン線幅は3mm、ライン間隔は2mmであった。
【0034】
そして、これを水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液などの有機アルカリ系現像液を用いて現像した。現像した基板をクリーンオーブン等でベーキングし、その後、市販の塩化鉄/塩酸系エッチング液を用いてエッチングを行った。この結果、所望の良好なパターン形状が得られた。
【0035】
さらに、アセトン等の有機系剥離液を用いて、上記のパターン形状と、低屈折率膜及び透明導電膜の特性とを損なうことなしに、室温下数十秒程度でレジストの除去を行った。
【0036】
このようにしてパターニングを行った基板について、ITO膜のパターンエッジを光学顕微鏡にて観測したところ、剥離のない良好なパターンを認めることができた(図2(a)の顕微鏡写真参照)。このような剥離の無い状態は、テープを用いた剥離試験にても認められ、強力な付着力があることが分る(図2(b)の顕微鏡写真参照)。
【0037】
[比較例3]中間密着層4を介在させず、これ以外の各層の形成条件を[実施例5]によるパターンエッジ(顕微鏡写真図2(a)参照)形成時と同様にしたときのITO膜パターンエッジの顕微鏡写真を図3に示す。
【0038】
即ち、図3に示すITO膜のパターンエッジから分るように、ITOパターン周辺部は、膜厚が非常に薄くなっていることが明らかである。図2(a)に示すものとの相違点は中間密着層4の有無であることから、図3に示すパターンエッジでは、ITO膜と多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜との間の密着性が不良で、パターンエッジ周辺部分から、ITO膜と低屈折率膜との界面を通じてITO膜のエッチング液がしみ込み、レジスト塗布面の反対側からITO膜のエッチングが進行したものと推定される。従って、ITO膜の良好なパターン制御ができない。
【0039】
[比較例4][実施例5]によるパターンエッジ(顕微鏡写真図2参照)及び[比較例3]によるパターンエッジ(顕微鏡写真図3参照)において、上記実施の形態に示すITO膜のスパッタ成膜を行った後の熱処理は、200℃のアニール処理だけである。
【0040】
ところで、一般的に、ITO膜形成前の下地層に紫外線(UV)照射を行うと密着性が改善されること、また、ITO膜の成膜前や成膜後に加熱処理を行うことによってもその密着性が向上することが知られている。そこで、[比較例3]におけるITO膜の成膜前にUV照射を行い、その後に280℃の加熱工程を経てITO膜を形成し、これにパターン加工を行った。これにより得られるパターンエッジの顕微鏡写真を図4(a)に示す。また、このパターンエッジの形成条件中、ITO膜の形成後に、さらに200℃の加熱工程を追加した後にパターン加工を行ったときに得られるパターンエッジの顕微鏡写真を図4(b)に示す。
【0041】
いずれの場合も、[比較例3]によるパターンエッジ(顕微鏡写真図3参照)と比べ、密着性が改善しているものの周辺部の線幅が一定せず、所望のシャープなパターンエッジが得られていないことが分る。
【0042】
即ち、本発明の中間密着層を介在させることは、UV照射や熱処理などの公知技術に比べて、所望のシャープなパターンエッジを得るために、効果的であることが分る。さらに、熱処理に伴う上記の高温(280℃)アニール工程が不要であり、ITO膜の成膜工程における熱負荷も軽減できる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1の中間密着層を介在させることにより低屈折率膜と透明導電膜とが良好な密着強度で積層するため、透明導電膜のパターニング制御が可能となる。従って、高効率で発光を取り出すことができる発光素子の作製が実現できる。
【0044】
また、請求項2のような可視光の波長程度乃至その数倍程度の膜厚で、表面粗さを小さく制御して成膜できることは、電界集中を防止するため高い平坦性が要求される有機EL素子にも適用可能となる。
【0045】
また、請求項3の中間密着層により、この中間密着層が介在しても低屈折率膜などの光学特性が維持される効果を奏する。
【0046】
そして、請求項4の中間密着層により、この中間密着層が介在しても高い平坦性が維持される効果を奏する。
【0047】
また、請求項5の中間密着層により、この中間密着層が介在しても低屈折率膜の撥水性が維持される効果を奏する。
【0048】
さらに、請求項6の四重の膜構造により、光学特性を劣化させることなく、低屈折率膜の撥水性と透明導電膜の平坦性と透明導電膜のパターニング特性とをすべて同時に満足させることが可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学薄膜構造体
【図2】[実施例5]に示すSiO中間密着層を介在させた低屈折率膜上のITOパターンの密着性を示す顕微鏡写真
(a)テープ剥離試験前   (b)テープ剥離試験後
【図3】[比較例3]に示す低屈折率膜上のITOパターンの密着性を示す顕微鏡写真
【図4】[比較例4]に示す低屈折率膜上のITOパターンの密着性を示す顕微鏡写真
(a)ITO成膜前UV処理及び成膜前加熱(280℃)の工程を経た場合
(b)ITO成膜前UV処理、成膜前加熱(280℃)及び成膜後加熱(200℃)の工程を経た場合
【符号の説明】
1 ガラス基板(またはシリコン基板)
2 透明導電膜
3 低屈折率膜
4 中間密着層
5 発光層

Claims (6)

  1. 中間密着層を介して透明導電膜と疎水性多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜とを積層することを特徴とするディスプレイ窓材用光学薄膜の形成方法。
  2. 前記疎水性多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜は、0.3〜2.0μmの膜厚と、中心線平均粗さ表示で50nm以下の平坦度とを有することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ窓材用光学薄膜の形成方法。
  3. 前記中間密着層として透明絶縁膜を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ窓材用光学薄膜の形成方法。
  4. 前記透明絶縁膜から成る中間密着層は、5〜300nmの膜厚と中心線平均粗さ表示で50nm以下の平坦度とを有することを特徴とする請求項3に記載のディスプレイ窓材用光学薄膜の形成方法。
  5. 前記透明絶縁膜から成る中間密着層を介し、前記疎水性多孔質シリカ材料から成る低屈折率膜と透明導電膜とが積層して成ることを特徴とする光学薄膜構造体。
  6. 前記透明導電膜に発光層を積層して、低屈折率膜と中間密着層と透明導電膜と発光層とが四重構造に積層して成ることを特徴とする請求項5に記載の光学薄膜構造体。
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