JP2004000460A - 医療器械 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、発熱機能に関する構成部品を簡単、確実に交換でき、常に安定した凝固、切開能を発揮することができるとともに、生体組織の圧排、剥離などを、従来の剥離鉗子等の器具と同じように行なうことができ、使いやすい医療器械を提供することを最も主要な特徴とする。
【解決手段】一対のジョー7,8間で挟持させた生体組織の加熱処置を行なう処置ユニット42を鉗子ユニット41に着脱可能に取付ける取付け手段46を設けたものである。
【選択図】 図2
【解決手段】一対のジョー7,8間で挟持させた生体組織の加熱処置を行なう処置ユニット42を鉗子ユニット41に着脱可能に取付ける取付け手段46を設けたものである。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対のジョー間で生体組織を把持した状態で生体組織を加熱し、生体組織の凝固およびこの凝固部位を切開するなどの加熱処置を行なう医療器械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、生体組織を把持する一対の把持部(ジョー)を備え、把持部の一方または両方に発熱体を設け、生体組織を把持した状態で発熱体を発熱させて生体組織の凝固や、凝固した生体組織の凝固部位を切開するなどの加熱処置を行なう医療器械が知られている。この医療器械は通常、生体組織に含まれる血管の止血や、生体組織の表層の病変部や出血部の焼灼、凝固そして避妊を目的とした卵管の閉塞等、多様な手術症例に用いられている。そして、この医療器械によって生体組織の凝固や、凝固した生体組織の切開などの加熱処置が行なわれる。
【0003】
また、生体組織の止血、焼灼、凝固、閉塞あるいは切開などの様々な処置を行なう場合には、それに先立って予め剥離鉗子等の手術器具により、目的組織および周辺組織を機械的に圧排し、把持し、剥離するなどの各作業を行ない、内視鏡の視野や、医療器械の作業領域を確保したりする操作が行われる。
【0004】
さらに、例えば、特許文献1や、特許文献2には、一対の把持部の少なくとも一方にセラミックヒーターなどの熱発生素子を設けた手術器械が開示されている。
【0005】
これらの器械では、少なくとも一方の把持部に生体組織と接触する発熱板(処置部)が設けられている。この発熱板には熱源部である熱発生素子が固定されている。そして、熱発生素子で発生した熱を発熱板に伝熱させ、この発熱板によって生体組織の加熱処置を行なうようになっている。
【0006】
また、特許文献3には血管を密封して止血するための双極(バイポーラ型)電気外科手術器具が開示されている。この手術器具では器具先端のジョーにソケットを設け、このソケットに電極板が着脱自在に取付けられる構造が示されている。これは、生体組織に直接電流を流して凝固効果を得るものである。
【0007】
そして、この特許文献3の手術器具では、電極板や、導電ワイヤの周囲の電気絶縁が破損すると、予期せぬ電流経路が生る。この場合には生体組織の凝固以外の影響が出るおそれがあるため、電極板および導電ワイヤをジョーから取り外し、電気絶縁が確実に保たれた新品に交換できるようになっている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−190562号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2001−198137号公報
【0010】
【特許文献3】
特表2001−522622A号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の手術器械ではこの手術器具の使用時に熱発生素子を発熱させて生体組織の凝固や、切開などの処置を繰り返した場合に、発熱時と常温時の大きな温度差による寸法変化(伸び縮み)による熱発生素子と発熱板との密着不良や、ジョーへの発熱板の取付け不良、更には、熱発生素子用の電気接点の劣化が生じるおそれがある。さらに、熱発生素子自身や、周辺部品の熱による劣化や破損が生じるおそれもある。
【0012】
また、特許文献3の手術器具では、電極板を各ジョーの対向面に取付け、両ジョー間に挟み込む構造であるため、組立後は、ジョーと電極板の合計の高さが高くなる。そのため、両ジョーを閉じた状態でも両ジョーの開閉方向の高さが全体的に高くなるので、生体組織の隙間にジョーを差し込む剥離操作や、血管、神経などの細い索状物をジョー先端で扱う操作などが行ない難くなる。
【0013】
さらに、ジョーの外表面で生体組織を擦って処置対象の生体組織の表面から邪魔な生体組織を除去したり、生体組織間の剥離を行なう等の操作中に、ジョーの側面に張り出した電極板が生体組織に引っ掛かるなど、手術操作が行い難いなどの問題がある。
【0014】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、発熱機能に関する構成部品を簡単、確実に交換でき、常に安定した凝固、切開能を発揮することができるとともに、生体組織の圧排、剥離などを、従来の剥離鉗子等の器具と同様に行なうことができ、使いやすい医療器械を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、生体組織の加熱処置を行なう医療器械であって、
一対のジョーを相対的に開閉可能な操作部と、
前記操作部の操作力を前記一対のジョーに伝達する動力伝達部材と、
前記一対のジョーに着脱自在な加熱部を有する処置ユニットと、
前記ジョーあるいは前記動力伝達部材あるいは前記操作部に前記処置ユニットを着脱自在に取付け可能な取付け手段とを具備したことを特徴とする医療器械である。
【0016】
請求項2の発明は、前記処置ユニットは、前記動力伝達部材に沿って装着される可撓性を備えた細長い連結アームと、この連結アームの先端部に配設され、前記ジョーに装着されて前記生体組織の加熱処置を行なう処置部と、前記操作部に装着されるコネクター部とを有し、
前記処置部は、前記生体組織の加熱治療用の熱源部と、この熱源部から伝達されて前記生体組織の加熱処置を行なう伝熱部とを有し、
前記連結アームは、前記コネクター部と前記熱源部との間を接続する配線部を有することを特徴とする請求項1に記載の医療器械である。
【0017】
請求項3の発明は、前記取付け手段は、前記ジョーに前記処置部を係脱可能に係合する第1の係合部と、前記動力伝達部材の一部に配設され、前記連結アームを係脱可能に係合する第2の係合部と、前記操作部に配設され、前記コネクター部を係脱可能に係合する第3の係合部とがそれそれ配設されていることを特徴とする請求項1に記載の医療器械である。
【0018】
請求項4の発明は、前記連結アームの前記第2の係合部に係脱可能に係合される係合部分に前記コネクター部に作用する力が前記処置部へ伝達されることを防止する力伝達防止部を有することを特徴とする請求項3に記載の医療器械である。
【0019】
請求項5の発明は、前記配線部は、前記コネクター部と前記発熱部との間を接続する配線が印刷されたフレキシブル基板を有することを特徴とする請求項2に記載の医療器械である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図11(A)〜(E)を参照して説明する。図1は本実施の形態の医療器械1のシステム全体の概略構成を示すものである。この医療器械1のシステムには鋏鉗子型の処置具2と電源装置3とが設けられている。
【0021】
また、処置具2には鉗子ユニット(処置具本体)41と、この鉗子ユニット41に着脱可能に取付けられる鉗子ユニット41とは別体の処置ユニット42とが設けられている。ここで、鉗子ユニット41には略直線状の2本の操作アーム4,5(第1操作アーム4および第2操作アーム5)が設けられている。これらの操作アーム4,5は中途部が共通の回転軸6を介して連結され、この回転軸6を中心に自由に回転できるようになっている。
【0022】
さらに、鉗子ユニット41には回転軸6よりも先端部側に開閉可能な一対の把持部(ジョー)7,8(第1把持部7および第2把持部8)が設けられている。ここで、第1操作アーム4の先端部側には第1把持部7が、また第2操作アーム5の先端部側には第2把持部8がそれぞれ形成されている。なお、第1把持部7および第2把持部8には図2(B)に示すように鉗子ユニット41をその開閉方向から見た場合に先端側が図2(B)中で、斜め下向き(軸方向に対して斜め横向き)に湾曲された湾曲部7a,8aがそれぞれ形成されている。
【0023】
第1把持部7及び第2把持部8の外側表面は、お互いに閉じた状態で生体組織を擦ったり、組織の間に差し込んだりして、組織を除去、組織間の剥離を行ったり、更に、先端で血管や神経なとの索状組織を扱うなどの手術操作を安全に、確実に行えるように、先端に向かって緩やかに細くなっており、且つ、細かな凹凸のない滑らかな形状となっている。
【0024】
また、第1操作アーム4および第2操作アーム5の後端には、夫々、術者が指を入れて操作するためのリング(操作部)9が設けられている。そして、第1操作アーム4および第2操作アーム5の各リング9に手指を差し込んだ状態で、第1操作アーム4および第2操作アーム5を回転軸6を中心に回動操作することにより、第1把持部7と第2把持部8との間を開閉操作するようになっている。
【0025】
また、処置ユニット42には図9(A),(B)に示すように可撓性を備えた細長い連結アーム43が設けられている。この連結アーム43は鉗子ユニット41の一方の操作アーム、本実施の形態では第1操作アーム4に沿って装着されるようになっている。
【0026】
連結アーム43の先端部には第1把持部7に装着されて生体組織の加熱処置を行なう処置部44が設けられている。さらに、この連結アーム43の基端部にはコネクター部45が配設されている。
【0027】
また、コネクター部45には図1に示すように電源装置3から伸びるケーブル11の先端部のコネクタ12が着脱可能に接続されるようになっている。なお、電源装置3には、この電源装置3のON−OFFや、出力設定の調整を行なうためのフットスイッチ13などが接続されている。
【0028】
また、処置部44には図4(A),(B)に示すように生体組織の加熱処置用の熱源部15と、この熱源部15から伝熱されて生体組織の加熱処置を行なう伝熱部16と、この伝熱部16の周囲に配設され、伝熱部16と熱源部15との接触部以外の方向への熱源部15からの熱伝達を遮断する断熱部17とが組み付けられている。
【0029】
断熱部17には、図5(A)〜(C)に示すように略U字状の断面形状の剛性のある断熱枠体18が設けられている。この断熱枠体18は、例えばフッ素樹脂や、シリコーンゴム、セラミックスなど熱を伝えにくい材料からなっている。この他、ガラス、木材、陶磁器、石綿、ゴム、テフロン(登録商標)など、熱を伝えにくい材料であれば、何でも断熱枠体18に使える。そして、この断熱枠体18によって伝熱部16を保持する保持枠19が形成されている。
【0030】
図5に示すように、第1把持部7と第2把持部8を閉じた時、保持粋19が第1把持部7と第2把持部8よりも外に飛び出さないように、保持枠19の幅は、第1把持部7と第2把持部8よりも小さく寸法設定されている。
【0031】
また、伝熱部16には、例えば銅、銅合金、アルミニウム合金、タングステンあるいはモリブデン等の熱を伝え易い材料からなる伝熱板20が設けられている。この伝熱板20の下端部には、先細状の刃部21が形成されている。さらに、この伝熱板20の刃部21の少なくとも刃先部には、生体組織や血液が付着するのを防ぐためにフッ素樹脂などの薄い皮膜21aが施されている。
【0032】
また、伝熱板20の上端部には、図4(A)に示すように保持枠19内に収容される部分に熱源部15の取付け部22が形成されている。ここで、熱源部15には、例えばニクロム線、シリコーン半導体や、モリブデン薄膜抵抗などの熱発生素子である複数、本実施の形態では3つの発熱手段23が設けられている。そして、伝熱板20の上端部には、3つの発熱手段23をそれぞれ収容する凹陥状の3つの熱源部取付け部22が並設されている。
【0033】
さらに、伝熱板20の上端部には、図4(B)に示すように3つの熱源部取付け部22の各前方の仕切り壁に各発熱手段23の先端部を差し込み状態で固定する固定溝24が形成されている。そして、各発熱手段23の先端部はこの伝熱板20の固定溝24に差し込まれた状態で例えば半田付けなどの手段で固定されている。
【0034】
また、各発熱手段23の後端部にはリード線25の一端部が例えば半田付けなどの手段で固定されている。さらに、各発熱手段23のリード線25はそれぞれ後方に向けて延出されている。ここで、各発熱手段23のリード線25は伝熱板20の後端部で1つに束ねられて、更に手元側に伸び、前述のコネクター部45に接続されている。
【0035】
また、連結アーム43の一側部には図8(B)に示すように略T字状の断面形状の溝部43aが形成されている。この溝部43aにはコネクター部45と各発熱手段23との間を接続するリード線25がプリントされたフレキシブル基板25Aと、この溝部43aを塞ぐゴム蓋43bとが圧入されて装着されている。
【0036】
なお、伝熱部16を保持する保持枠19は、伝熱板20に横方向から強い力が加わっても、曲りや変形などが生じないように、比較的、剛性の高い材料で、かつ、できるだけ高い剛性が得られるように比較的肉厚の剛性体によって形成されている。
【0037】
また、保持枠19の枠内には、図4(A)に示すように、伝熱板20の刃部21より上側の部分と、発熱手段23と、リード線25とを収容する溝状の収容空間19aが形成されている。そして、伝熱板20の刃部21より上側の部分と、発熱手段23と、リード線25とはこの保持枠19の枠内の収容空間19aに収容され、保持枠19の断熱枠体18で覆われるように取り囲まれている。
【0038】
さらに、伝熱板20の上部を覆う断熱枠体18の先端部位置は、図4(A)に示すように、伝熱板20の先端部位置と同じか、或いは伝熱板20の先端部位置よりも前方に突出する位置まで延設されている。同様に、断熱枠体18の後端部位置は、伝熱板20の後端位置より更に後方まで伸びて、伝熱板20の後端を覆っている。
【0039】
また、断熱枠体18の枠内の収容空間19aは、伝熱板20や、発熱手段23、リード線25との間に隙間26があくような大き目の寸法になっている。そして、この隙間26には、図5(B)に示すように曲りにくい硬い板状のスペーサー部材27や、絶縁性と耐熱性を兼ね備えた充填材28が充填されている。これにより、断熱部17は、断熱枠体18と熱源部15の発熱手段23との隙間26に断熱性の充填剤28が充填されている。
【0040】
さらに、保持枠19には、前後の両端部に伝熱板20の支持ピン29a,29bがそれぞれ取付けられている。ここで、伝熱板20の前端部には図5(A)に示すように保持枠19の前側の支持ピン29aが挿入される第1の挿入穴30が形成されている。さらに、伝熱板20の後端部には保持枠19の後ろ側の支持ピン29bが挿入される第2の挿入穴31が形成されている。そして、伝熱板20は断熱枠体18に前後の支持ピン29a,29bによって連結された状態で支持されている。
【0041】
また、図6に示すように伝熱板20の第2の挿入穴31はこの伝熱板20の前後方向に長い長穴によって形成されている。この第2の挿入穴31には支持ピン29bが前後方向に移動可能に緩く嵌まっている。そして、この第2の挿入穴31によって伝熱板20と保持枠19との熱膨張の差を吸収する長穴状の熱膨張吸収部が形成されている。
【0042】
また、鉗子ユニット41には処置ユニット42を着脱可能に取付ける取付け手段46が設けられている。この取付け手段46には複数箇所、本実施の形態では3箇所で処置ユニット42を係脱可能に係合する3つの係合部(第1〜第3の係合部47,48,49)がそれぞれ設けられている。ここで、第1の係合部47は第1操作アーム4の第1把持部7、第2の係合部48は第1操作アーム4における回転軸6の周囲部分、第3の係合部49は第1操作アーム4におけるリング9の周囲部分にそれぞれ配置されている。
【0043】
また、鉗子ユニット41の第1把持部7には処置ユニット42の処置部44と対応する形状の凹陥状の装着溝(凹部)32が形成されている。この装着溝32によって第1の係合部47が形成されている。さらに、この装着溝32の前端部には図4(A)に示すように処置部44の前端の肩部44aを係止する段差状の受部33が形成されている。そして、処置ユニット42の前端の肩部44aをこの受部33内に挿入させることにより、処置ユニット42の前端の肩部44aを第1把持部7の前端部に係脱可能に係止するようになっている。
【0044】
また、処置ユニット42の処置部44には図10(A)に示すように前後の両端部に外側に突出された抜け止め用の係合凸部(抜け止め部)50,51がそれぞれ設けられている。ここで、前側の抜け止め用の係合凸部50は図10(B)に示すように処置部44の両側面にそれぞれ前後方向に沿って延設されている。同様に、後ろ側の係合凸部51は図10(C)に示すように処置部44の両側面にそれぞれ前後方向に沿って延設されている。
【0045】
さらに、鉗子ユニット41の装着溝32には処置ユニット42の前側の抜け止め用の係合凸部50および後ろ側の係合凸部51とそれぞれ対応する位置にこれらとそれぞれ係合する係合溝部(抜け止め部)52,53が形成されている。そして、処置ユニット42の係合凸部50,51と鉗子ユニット41の係合溝部52,53との係合部によって鉗子ユニット41の装着溝32に係合された処置部41の抜けを防止するようになっている。
【0046】
また、処置ユニット42の連結アーム43には処置部44との連結部に鉗子ユニット41の第2の係合部48と係合する中間係合部54が配設されている。この中間係合部54には図11(C)〜(E)に示すように略U字状の断面形状の幅広部55が設けられている。
【0047】
図11(A),(B)に示すように幅広部55の先端部には処置部44側に延設される細幅の第1連結部56の基端部が連結されている。さらに、幅広部55の基端部には鉗子ユニット41における第1操作アーム4の外側に平行に配置される連結アーム43の細幅の第2連結部57の先端部が連結されている。
【0048】
また、処置ユニット42の幅広部55には図11(B)中で上下の両端部に図11(A)に示すように基端部側から先端部側に向けて延設された柔軟アーム58,59と、この幅広部55の基端部に配置された位置決めアーム60,61とが設けられている。各柔軟アーム58,59の先端部には内方向に突出された爪部58a,59aがそれぞれ設けられている。
【0049】
さらに、処置ユニット42の幅広部55には図11(A)に示すように第1連結部56との連結部に第1肩部62、第2連結部57との連結部に第2肩部63がそれぞれ設けられている。
【0050】
また、鉗子ユニット41の第2の係合部48には処置ユニット42の幅広部55が嵌合される嵌合凹部64が形成されている。この嵌合凹部64には図11(C)に示すように各柔軟アーム58,59の先端爪部58a,59aと幅広部55の本体との間の隙間に引っ掛かる引っ掛かり部65が突設されている。
【0051】
そして、鉗子ユニット41の第2の係合部48と処置ユニット42の中間係合部54との係合時には図11(C)に示すように各柔軟アーム58,59の先端爪部58a,59aと幅広部55の本体との間の隙間に引っ掛かり部65が引っ掛かるようになっている。さらに、処置ユニット42の幅広部55における第1肩部62および第2肩部63と鉗子ユニット41の第2の係合部48との係合部によって処置ユニット42の軸方向の動きが規制されている。そして、この移動規制部によってコネクター部45に作用する引張り力が処置部44側に伝達されることを防止する力伝達防止部66が形成されている。
【0052】
また、鉗子ユニット41の第1操作アーム4におけるリング9の周囲部分には図7に示すように略C字状のコネクター受部67が連結されている。このコネクター受部67には処置ユニット42のコネクター部45が係脱可能に係合されるようになっている。そして、このコネクター受部67によって処置ユニット42の取付け手段46における第3の係合部49が形成されている。
【0053】
また、図5(A)〜(C)に示すように第2把持部8には、第1把持部7との対向面に例えばフッ素樹脂やシリコーンなどの柔軟で、熱を伝えにくい材料からなる平板状の受け部36が設けられている。これにより、第1把持部7と第2把持部8とを閉じたとき、伝熱板20の刃部21全体がこの受け部36に接触する状態で受けるようになっている。そして、第1把持部7と第2把持部8とを閉じた状態で、第1把持部7と第2把持部8との間に生体組織を挟み込んで凝固や切開を行なうようになっている。
【0054】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の処置具2の使用時にはこの処置具2の第1操作アーム4および第2操作アーム5の手元側の各リング9に手指を差し込んだ状態で、第1操作アーム4および第2操作アーム5を回転軸6を中心に回動操作することにより、第1把持部7と第2把持部8との間が開閉操作される。そして、第1把持部7と第2把持部8との間を閉じて第1把持部7と第2把持部8との間に生体組織を挟み込んだ状態で、処置ユニット42の熱源部15が通電加熱される。
【0055】
このとき、熱源部15の3つの発熱手段23からの熱は伝熱板20に伝熱され、伝熱板20の先細状の刃部21が高温度に加熱される。そのため、第1把持部7と第2把持部8との間で伝熱板20の刃部21に圧接されている生体組織はこの刃部21の熱によって加熱され、生体組織の凝固や切開が効率良く行なわれる。
【0056】
また、本実施の形態の処置具2では生体組織の凝固や、切開などの処置を繰り返した際に、処置部44のいずれかの発熱手段23などが劣化したり、破損した場合には鉗子ユニット41から処置ユニット42を取外し、新しい処置ユニット42に交換する作業が行なわれる。この処置ユニット42の交換作業時には最初に、鉗子ユニット41のコネクター受部67から処置ユニット42のコネクター部45が取外される。
【0057】
続いて、図8(A)に示すように鉗子ユニット41の第2の係合部48から処置ユニット42の中間係合部54が取外される。そして、最後に、鉗子ユニット41の第1の係合部47から処置ユニット42の処置部44が取外される。これにより、鉗子ユニット41の第1操作アーム4から故障した処置ユニット42を取外す作業が終了する。
【0058】
その後、鉗子ユニット41の第1操作アーム4に新しい処置ユニット42を取付ける作業が行なわれる。この新しい処置ユニット42の取付け作業時には最初に鉗子ユニット41の第1の係合部47に処置ユニット42の処置部44が係合された後、鉗子ユニット41の第2の係合部48に処置ユニット42の中間係合部54が係合され、最後に鉗子ユニット41のコネクター受部67に処置ユニット42のコネクター部45が係合される。これにより、鉗子ユニット41の第1操作アーム4に新しい処置ユニット42を取付ける作業が終了する。
【0059】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の処置具2では一対のジョー7,8間で挟持させた生体組織の加熱処置を行なう処置ユニット42を鉗子ユニット41とは別体に設け、鉗子ユニット41に処置ユニット42を着脱可能に取付ける取付け手段46を設けている。そのため、処置具2で生体組織の凝固や、切開などの処置を繰り返した際に、処置部44のいずれかの発熱手段23などが劣化したり、破損した場合には鉗子ユニット41から処置ユニット42を取外し、新しい処置ユニット42に交換する作業を簡単、確実に行なうことができ、常に安定した凝固、切開能を発揮することができる。
【0060】
さらに、本実施の形態では鉗子ユニット41の第1把持部7に処置ユニット42の処置部44と対応する形状の凹陥状の装着溝32を形成し、この装着溝32に処置ユニット42の処置部44を挿入させて係脱可能に係合させるようにしている。そのため、第1把持部7と第2把持部8との間を閉じた際に処置具2の先端部全体の高さ寸法を比較的低くすることができるので、生体組織の圧排、剥離などを、従来の剥離鉗子等の器具と同じように行なうことができ、使いやすい医療器械1を提供することができる。
【0061】
また、本実施の形態では処置ユニット42の処置部44における前後の両端部に抜け止め用の係合凸部50,51を設け、鉗子ユニット41の装着溝32に処置ユニット42の前側の抜け止め用の係合凸部50および後ろ側の係合凸部51とそれぞれ対応する位置にこれらとそれぞれ係合する係合溝部52,53を形成している。そして、処置ユニット42の係合凸部50,51と鉗子ユニット41の係合溝部52,53との係合部によって鉗子ユニット41の装着溝32に係合された処置部41の抜けを防止するようにしている。そのため、第1把持部7と第2把持部8との間を閉じて第1把持部7と第2把持部8との間に生体組織を挟み込んだ状態で、生体組織の凝固や切開などの熱処置を行う際に生体組織が処置部41の刃部21との圧接部に貼り付き、第1把持部7と第2把持部8との間を開いた際に鉗子ユニット41の装着溝32から処置部41が抜け落ちることを防止することができる。
【0062】
さらに、本実施の形態では処置ユニット42に中間係合部54を配設し、鉗子ユニット41の第2の係合部48と処置ユニット42の中間係合部54との係合時に処置ユニット42の幅広部55における第1肩部62および第2肩部63と鉗子ユニット41の第2の係合部48との係合部によって処置ユニット42の軸方向の動きを規制している。そして、この移動規制部によってコネクター部45に作用する引張り力が処置部44側に伝達されることを防止する力伝達防止部66を形成したので、コネクター部45に接続されたケーブル11側からの引張り力が処置部44側に直接伝達されることを防止することができる。そのため、処置部44の各発熱手段23とリード線25との接続不良などの故障が発生することを防止することができる。
【0063】
また、本実施の形態の処置ユニット42の処置部44では略U字型の断熱枠体18により伝熱板20の刃部21より上側の部分と発熱手段23を覆っている。そのため、医療器械1の使用時に発熱手段23の熱が発熱手段23と伝熱板20との接触部以外の方向、例えば伝熱板20の左右方向や上方へ逃げることを防ぐことができるので、熱源部15である熱発生素子などの発熱手段23の熱を伝熱部16の伝熱板20側に集中的に効率よく伝達することができる。その結果、熱源部15の熱が鉗子ユニット41の第1把持部7側に伝熱されることを防ぐことができるので、生体組織に接触する伝熱板20の温度が迅速に上昇しなかったり、温度ムラが生じ、医療器械1による凝固能や、切開能の劣化が生じることを防止することができる。
【0064】
また、本実施の形態では伝熱板20の上端部に凹陥状の3つの熱源部取付け部22を並設し、3つの発熱手段23をそれぞれ収容するとともに、熱源部取付け部22の各前方の仕切り壁の固定溝24に各発熱手段23の先端部を差し込み状態で半田付けなどの手段で固定している。そして、保持枠19の枠内の収容空間19aに伝熱板20の刃部21より上側の部分と、発熱手段23と、リード線25とを収容させ、その周囲を取り囲むように保持枠19の断熱枠体18を設けている。ここで、伝熱部16を保持する保持枠19の断熱枠体18が比較的、剛性の高い材料で、かつ、一定の剛性を有する肉厚であり、更に、この保持枠19の枠内の伝熱板20や熱源部15である熱発生素子などの発熱手段23との間の隙間26が大きいので、第1把持部7や伝熱板20に横方向から強い力が加わっても、隙間26の中の充填材28によってその力を緩和させることができる。そのため、発熱手段23が発熱を繰り返した場合であっても第1把持部7への熱源部15である熱発生素子などの発熱手段23の取付けが不完全となったり、把持部7から応力を受けて熱源部15である熱発生素子などの発熱手段23自体が破損することを防止することがでる。
【0065】
さらに、伝熱板20の第2の挿入穴31を伝熱板20の前後方向に長い長穴によって形成し、この第2の挿入穴31に保持枠19側の支持ピン29bを前後方向に移動可能に緩く嵌めている。そのため、発熱手段23の熱発生素子が使用時(高温)と非使用時(常温)とで大きく温度変化した場合の伝熱板20と保持枠19の伸び量の違いによる支持ピン29bの穴位置のずれを吸収することができる。その結果、この第2の挿入穴31の長穴と保持枠19側の支持ピン29bとの係合部によって発熱手段23の発熱時に伝熱板20と保持枠19との熱膨張の差を吸収することができるので、熱発生素子が破損するような応力が発熱手段23に加わらないように安全で確実に固定できる。
【0066】
また、図12(A)〜(C)および図13(A),(B)は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図11(A)〜(E)参照)の鋏鉗子型の処置具2の構成の一部を次の通り変更したものである。なお、本実施の形態はこの変更部分以外の主要部分は第1の実施の形態の処置具2の構成と同様であるので、ここでは第1の実施の形態の処置具2と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0067】
すなわち、本実施の形態では図12(A),(B)に示すように処置ユニット42における保持枠19の先端部に前方に突出する先端凸部71が突設されている。さらに、鉗子ユニット41の装着溝32には、最先端部の内壁面に受溝部72が形成されている。そして、鉗子ユニット41に処置ユニット42を装着する際に、処置ユニット42の先端凸部71が鉗子ユニット41の受溝部72に係脱可能に嵌合することにより、処置ユニット42の先端部が正規の固定位置から浮き上がることを防止するようになっている。
【0068】
また、処置ユニット42の処置部44と鉗子ユニット41の装着溝32との嵌合部には図12(A)に示すように、処置ユニット42における保持枠19の上面と、鉗子ユニット41における第1把持部7との間に空間部73が形成されている。この空間部73は処置ユニット42における処置部44の先端位置と後端位置との間に延設されている。
【0069】
さらに、本実施の形態では鉗子ユニット41の先端部の第1把持部7および第2把持部8には図13(A)に示すように略直線状の2本の操作アーム4,5の軸方向に対して斜め横向き(図13(A)中で斜め下向き)に屈曲された屈曲部74が形成されている。この屈曲部74は図13(B)に示すように先細り形状に成形されている。さらに、この先細りの屈曲部74の最先端部には、この屈曲部74の軸方向に対してさらに斜めに屈曲させた先端屈曲部75が形成されている。
【0070】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では処置ユニット42の先端部に先端凸部71を設け、鉗子ユニット41の装着溝32における最先端部の内壁面に受溝部72を形成している。そして、鉗子ユニット41に処置ユニット42を装着する際に、処置ユニット42の先端凸部71が鉗子ユニット41の受溝部72に係脱可能に嵌合するようにしている。そのため、処置ユニット42の先端凸部71と鉗子ユニット41の受溝部72との嵌合部によって処置ユニット42の先端部を鉗子ユニット41の装着溝32における最先端部の正規の固定位置に正しく固定することができる。その結果、鉗子ユニット41に処置ユニット42を装着する際に、処置ユニット42の先端部が正規の固定位置から浮き上がることを防止することができるので、処置ユニット42の後方の中間係合部54およびコネクター部45が鉗子ユニット41に装着しやすくなる効果がある。したがって、本実施の形態では処置ユニット42を術中に外れないように確実に鉗子ユニット41に固定することができ、なおかつ、処置ユニット42を鉗子ユニット41に装着する作業を容易に行うことができる。
【0071】
また、処置ユニット42の先端部が鉗子ユニット41の装着溝32における最先端部の正規の固定位置に正しく固定されていない場合には、第1操作アーム4と第2操作アーム5との間を閉じる際に、処置ユニット42に加わる操作力が処置部44以外の部位に分散してしまうおそれがある。そのため、第1操作アーム4と第2操作アーム5との間を閉じる操作時に処置ユニット42に加えられた操作力が第1把持部7と第2把持部8との把持力として十分に伝わらず、確実な凝固切開ができなくなる。これに対し、本実施の形態では処置ユニット42の先端凸部71と鉗子ユニット41の受溝部72との嵌合部によって処置ユニット42の先端部を鉗子ユニット41の装着溝32における最先端部の正規の固定位置に正しく固定することができるので、第1操作アーム4と第2操作アーム5との間を閉じる際に、処置ユニット42に加わる操作力を処置部44の第1把持部7と第2把持部8との把持力として確実に伝達することができ、確実な凝固切開が可能となる。
【0072】
さらに、本実施の形態では図12(A)に示すように処置ユニット42の処置部44と鉗子ユニット41の装着溝32との嵌合部に空間部73が存在する。この空間部73は処置ユニット42における処置部44の先端位置と後端位置との間に延設されているので、第1把持部7と第2把持部8との間を閉じたとき、伝熱板20の刃部21と受け部36との間の接触圧力により、処置ユニット42の処置部44全体を空間部73の範囲内で弾性変形させることができる。そのため、第1把持部7と第2把持部8との間を閉じる際に、処置ユニット42における処置部44の先端位置と後端位置との間の各場所における接触圧力の差を空間部73で吸収することができるので、伝熱板20の刃部21と受け部36とを略均一に接触させ、生体組織に把持力を均等に伝えることができる。
【0073】
また、本実施の形態では鉗子ユニット41の先端部の第1把持部7および第2把持部8に先細り形状の屈曲部74を形成し、さらに、この先細りの屈曲部74の最先端部に先端屈曲部75を形成したので、生体組織を剥離するなどの作業を行なう操作が一層、円滑となる効果がある。
【0074】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 生体組織の凝固、切開などの処置を行なう医療器械において、お互いに開閉する一対のジョーと、ジョーを開閉するための操作部と、処置ユニットを取付ける受け取り手段と、から成る鉗子ユニットと、発熱部と、組織に接触する刃部と、発熱部にエネルギーを供給する手段と鉗子ユニットに着脱可能に取付けるための手段と、から成る処置ユニットと、から構成されることを特徴とする医療器械。
【0075】
(付記項2) 生体組織の凝固、切開などの処置を行なう医療器械において、お互いに開閉する一対のジョーと、ジョーを開閉するための操作部と、処置ユニットを取付ける凹部と、から成る鉗子ユニットと、発熱部と、組織に接触する刃部と、発熱部の周囲に設けられた断熱手段と、発熱部にエネルギーを供給する手段と、断熱手段に設けられ鉗子ユニットの受け取り凹部に装着可能な取付け部分と、から成る処置ユニットと、から構成されることを特徴とする医療器械。
【0076】
(付記項3) 生体組織の凝固、切開などの処置を行なう医療器械において、お互いに開閉する一対のジョーと、ジョーを開閉するための操作部と、処置ユニットの配線部を取付ける受け取り手段と、から成る鉗子ユニットと、発熱部と、組織に接触する刃部と、発熱部にエネルギーを送る配線部と、配線部を鉗子ユニットに着脱自在に取付けるための取付け手段と、から成る処置ユニットと、から構成されることを特徴とする医療器械。
【0077】
(付記項4) 生体組織の凝固、切開などの処置を行なう医療器械において、お互いに開閉する一対のジョーと、ジョーを開閉するための操作部と、処置ユニットを取付ける受け取り手段と、から成る鉗子ユニットと、発熱部と、組織に接触する刃部と、発熱部にエネルギーを送る配線部と、鉗子ユニットの受け取り手段に対して長手軸方向の位置合わせをするためのガイド手段と、から成る処置ユニットと、から構成されることを特徴とする医療器械。
【0078】
(付記項5) 生体組織の凝固、切開などの処置を行なう医療器械において、お互いに開閉する一対のジョーと、ジョーを開閉するための操作部と、処置ユニットを取付ける受け取り手段と、から成る鉗子ユニットと、発熱部と、組織に接触する刃部と、発熱部にエネルギーを送るための弾性のある配線部とから成る処置ユニットと、から構成されることを特徴とする医療器械。
【0079】
(付記項6) 付記項5の医療器械において、配線部の中に発熱部にエネルギーを送るためのフレキシブル基板を配置したことを特徴とする医療器械。
【0080】
(付記項1〜6の従来技術) 一般に、生体組織を把持する一対の把持部の少なくとも一方に発熱体を設け、生体組織を把持した状態で発熱体を発熱させ生体組織を凝固および凝固部位を切開するための手術器械が知られている。これらの手術器械は通常、生体組織に含まれる血管の止血、生体組織の表層の病変部や出血部の焼灼、凝固そして避妊を目的とした卵管の閉塞等、多様な手術症例に用いられ、生体組織の凝固や凝固した生体組織の切開ができる。
【0081】
また、これらの様々な組織の止血、焼灼、凝固、閉塞あるいは切開などの手術操作を行なう時は、それに先立って剥離鉗子等の手術器具により、目的組織および周辺組織を機械的に圧排、把持、剥離などを行ない、視野や作業領域を確保したりする操作を行なう。
【0082】
例えば、特開2001−190562や特開2001−198137では、一対の把持部の少なくとも一方にセラミックヒーターなどの熱発生素子を設けた手術器械が開示されている。
【0083】
これらは少なくとも一方の把持部に熱発生素子を設け、生体組織と接触する部分の面積を小さくした発熱板により熱発生素子の熱を収束して効率良く組織の凝固や切開を行なうため、発熱素子に発熱板を密着固定したものである。
【0084】
しかし、熱発生素子を発熱させて凝固、切開を繰り返すと、発熱素子自身や周辺部品の熱による劣化や破損が生じたり、発熱時と常温時の大きな温度差による寸法変化(伸び縮み)による発熱素子と発熱板との密着不良や把持部への取付け不良、更には、素子の電気接点の劣化が生じるなどの不具合が予想される。
【0085】
また、特表2001−522622Aには血管を密封して止血するための双極(バイポーラ型)電気外科手術器具において器具先端のジョーに設けたソケットに電極板を着脱自在に取付けられる構造が開示されている。
【0086】
これは、組織に直接電流を流して凝固効果を得るものだか、電極板や導電ワイヤの周囲の電気絶縁が破損すると、予期せぬ電流経路が生じ組織凝固以外の悪い影響が出るため、電極板および導電ワイヤをジョーから取り外し、電気絶縁が確実に保たれた新品に交換できるようになっている。
【0087】
(付記項1〜6が解決しようとする課題) しかし、両ジョーで挟み込むように電極板を各ジョーの対向面に取付ける構造であるため、組立後は、ジョーと電極板の合計の高さが高くなり、両ジョーを閉じても全体的に背が高くなり、組織の隙間にジョーを差し込む操作や、血管、神経などの細い索状物をジョー先端で扱う操作などがやり辛くなる。さらに、ジョーの外表面で組織を擦って組織表面から邪魔な組織を除去したり、組織間の剥離を行なう等の操作中に、ジョーの側面に張り出した電極板が組織に引っ掛かるなど、手術操作がやり難いなどの問題があった。
【0088】
(付記項1〜6の目的) 本発明は、発熱素子の発熱機能に関する部品が劣化した場合に新しい素子が組み込まれたユニットをユーザーが簡単、確実に交換できるようにして、常に安定した凝固、切開能を発揮することのできる、手術器械を提供することを目的としている。
【0089】
また、ジョーの外表面での機械的な組織の圧排、剥離などを、従来の剥離鉗子等の手術器具と同じように行なうことのできる、使いやすい手術器械を提供することを目的としている。
【0090】
(付記項7) 一対のジョーを相対的に開閉する操作部を備え、前記一対のジョー間で生体組織を挟持させた状態で、前記生体組織の加熱処置を行う処置具を備えており、前記一対のジョー間で挟持させた前記生体組織の加熱処置を行う処置ユニットを前記処置具の本体とは別体に設けるとともに、前記処置具本体に前記処置ユニットを着脱可能に取り付ける取付け手段を設けた手術器械において、処置ユニットの先端部に突起部を設け、前記処置具本体の溝部に前記突起部が嵌合する取り付け手段を設けたことを特徴とする、医療器械。
【0091】
(付記項7が解決しようとする課題) 処置ユニットを処置具本体に取り付ける際に処置ユニットの先端がしっかりと固定されていないと、力が発熱部以外の部位に分散してしまい、加えた把持力量が組織に伝わらない。また、先端が最初に固定されないと、他の固定部位が固定しづらく、結果的に装着がしづらくなってしまう。
【0092】
(付記項7の目的) 本願は前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、処置ユニットを術中に外れないように確実に固定し、なおかつ、装着を容易に行える手術器械を提供することにある。
【0093】
(付記項7の課題を解決するための手段) この発明は前記目的を達成するために、処置ユニットの先端部に突起部を設け、前記処置具本体の溝部に前記突起部が嵌合する取り付け手段を設けたことを特徴とする、医療器械。
【0094】
【発明の効果】
本発明によれば、熱発生素子の発熱機能に関する構成部品が劣化した場合にこの劣化した部品を簡単、確実に交換でき、常に安定した凝固、切開能を発揮することができるうえ、生体組織の圧排、剥離などを、従来の剥離鉗子等の器具と同じように行なうことができ、使いやすい手術器械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の医療器械のシステム全体の概略構成図。
【図2】(A)は第1の実施の形態の処置具が閉じた状態を示す側面図、(B)は(A)の平面図。
【図3】第1の実施の形態の処置具が開いた状態を示す側面図。
【図4】(A)は第1の実施の形態の処置具の先端部を示す縦断面図、(B)は(A)のIVB−IVB線断面図。
【図5】(A)は図4(A)のVA−VA線断面図、(B)は図4(A)のVB−VB線断面図、(C)は図4(A)のVC−VC線断面図。
【図6】第1の実施の形態の処置具における断熱部の保持枠の支持ピンと処置部の熱膨張吸収用の長穴部との連結部を示す要部の側面図。
【図7】第1の実施の形態の処置具におけるコネクター受けの取付け状態を一部を断面にして示す側面図。
【図8】(A)は第1の実施の形態の処置具における鉗子ユニットに処置ユニットを取付ける作業を説明するための側面図、(B)は(A)のVIIIB−VIIIB線断面図。
【図9】(A)は第1の実施の形態の処置具における処置ユニットの側面図、(B)は同平面図。
【図10】(A)は第1の実施の形態の処置具における処置ユニットの側面図、(B)は(A)のXB−XB線断面図、(C)は(A)のXC−XC線断面図。
【図11】(A)は第1の実施の形態の処置具における処置ユニットの第2の係合部の側面図、(B)は処置ユニットの第2の係合部の平面図、(C)は(B)のXIC−XIC線断面図、(D)は(B)のXID−XID線断面図、(E)は(B)のXIE−XIE線断面図。
【図12】本発明の第2の実施の形態を示すもので、(A)は処置具の先端部を示す縦断面図、(B)は処置ユニットの先端凸部と処置具本体側の受溝部との嵌合部を示す要部の縦断面図、(C)は(B)のXIIC−XIIC線断面図。
【図13】第2の実施の形態の処置具を示すもので、(A)は処置具が閉じた状態を示す平面図、(B)は(A)の処置具の先端部分を拡大して示す要部の平面図。
【符号の説明】
2 挿入部
3 操作部
7 第1把持部(ジョー)
8 第2把持部(ジョー)
9 リング(操作部)
15 熱源部
16 処置部
17 断熱部
41 鉗子ユニット
42 処置ユニット
46 取付け手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対のジョー間で生体組織を把持した状態で生体組織を加熱し、生体組織の凝固およびこの凝固部位を切開するなどの加熱処置を行なう医療器械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、生体組織を把持する一対の把持部(ジョー)を備え、把持部の一方または両方に発熱体を設け、生体組織を把持した状態で発熱体を発熱させて生体組織の凝固や、凝固した生体組織の凝固部位を切開するなどの加熱処置を行なう医療器械が知られている。この医療器械は通常、生体組織に含まれる血管の止血や、生体組織の表層の病変部や出血部の焼灼、凝固そして避妊を目的とした卵管の閉塞等、多様な手術症例に用いられている。そして、この医療器械によって生体組織の凝固や、凝固した生体組織の切開などの加熱処置が行なわれる。
【0003】
また、生体組織の止血、焼灼、凝固、閉塞あるいは切開などの様々な処置を行なう場合には、それに先立って予め剥離鉗子等の手術器具により、目的組織および周辺組織を機械的に圧排し、把持し、剥離するなどの各作業を行ない、内視鏡の視野や、医療器械の作業領域を確保したりする操作が行われる。
【0004】
さらに、例えば、特許文献1や、特許文献2には、一対の把持部の少なくとも一方にセラミックヒーターなどの熱発生素子を設けた手術器械が開示されている。
【0005】
これらの器械では、少なくとも一方の把持部に生体組織と接触する発熱板(処置部)が設けられている。この発熱板には熱源部である熱発生素子が固定されている。そして、熱発生素子で発生した熱を発熱板に伝熱させ、この発熱板によって生体組織の加熱処置を行なうようになっている。
【0006】
また、特許文献3には血管を密封して止血するための双極(バイポーラ型)電気外科手術器具が開示されている。この手術器具では器具先端のジョーにソケットを設け、このソケットに電極板が着脱自在に取付けられる構造が示されている。これは、生体組織に直接電流を流して凝固効果を得るものである。
【0007】
そして、この特許文献3の手術器具では、電極板や、導電ワイヤの周囲の電気絶縁が破損すると、予期せぬ電流経路が生る。この場合には生体組織の凝固以外の影響が出るおそれがあるため、電極板および導電ワイヤをジョーから取り外し、電気絶縁が確実に保たれた新品に交換できるようになっている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−190562号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2001−198137号公報
【0010】
【特許文献3】
特表2001−522622A号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の手術器械ではこの手術器具の使用時に熱発生素子を発熱させて生体組織の凝固や、切開などの処置を繰り返した場合に、発熱時と常温時の大きな温度差による寸法変化(伸び縮み)による熱発生素子と発熱板との密着不良や、ジョーへの発熱板の取付け不良、更には、熱発生素子用の電気接点の劣化が生じるおそれがある。さらに、熱発生素子自身や、周辺部品の熱による劣化や破損が生じるおそれもある。
【0012】
また、特許文献3の手術器具では、電極板を各ジョーの対向面に取付け、両ジョー間に挟み込む構造であるため、組立後は、ジョーと電極板の合計の高さが高くなる。そのため、両ジョーを閉じた状態でも両ジョーの開閉方向の高さが全体的に高くなるので、生体組織の隙間にジョーを差し込む剥離操作や、血管、神経などの細い索状物をジョー先端で扱う操作などが行ない難くなる。
【0013】
さらに、ジョーの外表面で生体組織を擦って処置対象の生体組織の表面から邪魔な生体組織を除去したり、生体組織間の剥離を行なう等の操作中に、ジョーの側面に張り出した電極板が生体組織に引っ掛かるなど、手術操作が行い難いなどの問題がある。
【0014】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、発熱機能に関する構成部品を簡単、確実に交換でき、常に安定した凝固、切開能を発揮することができるとともに、生体組織の圧排、剥離などを、従来の剥離鉗子等の器具と同様に行なうことができ、使いやすい医療器械を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、生体組織の加熱処置を行なう医療器械であって、
一対のジョーを相対的に開閉可能な操作部と、
前記操作部の操作力を前記一対のジョーに伝達する動力伝達部材と、
前記一対のジョーに着脱自在な加熱部を有する処置ユニットと、
前記ジョーあるいは前記動力伝達部材あるいは前記操作部に前記処置ユニットを着脱自在に取付け可能な取付け手段とを具備したことを特徴とする医療器械である。
【0016】
請求項2の発明は、前記処置ユニットは、前記動力伝達部材に沿って装着される可撓性を備えた細長い連結アームと、この連結アームの先端部に配設され、前記ジョーに装着されて前記生体組織の加熱処置を行なう処置部と、前記操作部に装着されるコネクター部とを有し、
前記処置部は、前記生体組織の加熱治療用の熱源部と、この熱源部から伝達されて前記生体組織の加熱処置を行なう伝熱部とを有し、
前記連結アームは、前記コネクター部と前記熱源部との間を接続する配線部を有することを特徴とする請求項1に記載の医療器械である。
【0017】
請求項3の発明は、前記取付け手段は、前記ジョーに前記処置部を係脱可能に係合する第1の係合部と、前記動力伝達部材の一部に配設され、前記連結アームを係脱可能に係合する第2の係合部と、前記操作部に配設され、前記コネクター部を係脱可能に係合する第3の係合部とがそれそれ配設されていることを特徴とする請求項1に記載の医療器械である。
【0018】
請求項4の発明は、前記連結アームの前記第2の係合部に係脱可能に係合される係合部分に前記コネクター部に作用する力が前記処置部へ伝達されることを防止する力伝達防止部を有することを特徴とする請求項3に記載の医療器械である。
【0019】
請求項5の発明は、前記配線部は、前記コネクター部と前記発熱部との間を接続する配線が印刷されたフレキシブル基板を有することを特徴とする請求項2に記載の医療器械である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図11(A)〜(E)を参照して説明する。図1は本実施の形態の医療器械1のシステム全体の概略構成を示すものである。この医療器械1のシステムには鋏鉗子型の処置具2と電源装置3とが設けられている。
【0021】
また、処置具2には鉗子ユニット(処置具本体)41と、この鉗子ユニット41に着脱可能に取付けられる鉗子ユニット41とは別体の処置ユニット42とが設けられている。ここで、鉗子ユニット41には略直線状の2本の操作アーム4,5(第1操作アーム4および第2操作アーム5)が設けられている。これらの操作アーム4,5は中途部が共通の回転軸6を介して連結され、この回転軸6を中心に自由に回転できるようになっている。
【0022】
さらに、鉗子ユニット41には回転軸6よりも先端部側に開閉可能な一対の把持部(ジョー)7,8(第1把持部7および第2把持部8)が設けられている。ここで、第1操作アーム4の先端部側には第1把持部7が、また第2操作アーム5の先端部側には第2把持部8がそれぞれ形成されている。なお、第1把持部7および第2把持部8には図2(B)に示すように鉗子ユニット41をその開閉方向から見た場合に先端側が図2(B)中で、斜め下向き(軸方向に対して斜め横向き)に湾曲された湾曲部7a,8aがそれぞれ形成されている。
【0023】
第1把持部7及び第2把持部8の外側表面は、お互いに閉じた状態で生体組織を擦ったり、組織の間に差し込んだりして、組織を除去、組織間の剥離を行ったり、更に、先端で血管や神経なとの索状組織を扱うなどの手術操作を安全に、確実に行えるように、先端に向かって緩やかに細くなっており、且つ、細かな凹凸のない滑らかな形状となっている。
【0024】
また、第1操作アーム4および第2操作アーム5の後端には、夫々、術者が指を入れて操作するためのリング(操作部)9が設けられている。そして、第1操作アーム4および第2操作アーム5の各リング9に手指を差し込んだ状態で、第1操作アーム4および第2操作アーム5を回転軸6を中心に回動操作することにより、第1把持部7と第2把持部8との間を開閉操作するようになっている。
【0025】
また、処置ユニット42には図9(A),(B)に示すように可撓性を備えた細長い連結アーム43が設けられている。この連結アーム43は鉗子ユニット41の一方の操作アーム、本実施の形態では第1操作アーム4に沿って装着されるようになっている。
【0026】
連結アーム43の先端部には第1把持部7に装着されて生体組織の加熱処置を行なう処置部44が設けられている。さらに、この連結アーム43の基端部にはコネクター部45が配設されている。
【0027】
また、コネクター部45には図1に示すように電源装置3から伸びるケーブル11の先端部のコネクタ12が着脱可能に接続されるようになっている。なお、電源装置3には、この電源装置3のON−OFFや、出力設定の調整を行なうためのフットスイッチ13などが接続されている。
【0028】
また、処置部44には図4(A),(B)に示すように生体組織の加熱処置用の熱源部15と、この熱源部15から伝熱されて生体組織の加熱処置を行なう伝熱部16と、この伝熱部16の周囲に配設され、伝熱部16と熱源部15との接触部以外の方向への熱源部15からの熱伝達を遮断する断熱部17とが組み付けられている。
【0029】
断熱部17には、図5(A)〜(C)に示すように略U字状の断面形状の剛性のある断熱枠体18が設けられている。この断熱枠体18は、例えばフッ素樹脂や、シリコーンゴム、セラミックスなど熱を伝えにくい材料からなっている。この他、ガラス、木材、陶磁器、石綿、ゴム、テフロン(登録商標)など、熱を伝えにくい材料であれば、何でも断熱枠体18に使える。そして、この断熱枠体18によって伝熱部16を保持する保持枠19が形成されている。
【0030】
図5に示すように、第1把持部7と第2把持部8を閉じた時、保持粋19が第1把持部7と第2把持部8よりも外に飛び出さないように、保持枠19の幅は、第1把持部7と第2把持部8よりも小さく寸法設定されている。
【0031】
また、伝熱部16には、例えば銅、銅合金、アルミニウム合金、タングステンあるいはモリブデン等の熱を伝え易い材料からなる伝熱板20が設けられている。この伝熱板20の下端部には、先細状の刃部21が形成されている。さらに、この伝熱板20の刃部21の少なくとも刃先部には、生体組織や血液が付着するのを防ぐためにフッ素樹脂などの薄い皮膜21aが施されている。
【0032】
また、伝熱板20の上端部には、図4(A)に示すように保持枠19内に収容される部分に熱源部15の取付け部22が形成されている。ここで、熱源部15には、例えばニクロム線、シリコーン半導体や、モリブデン薄膜抵抗などの熱発生素子である複数、本実施の形態では3つの発熱手段23が設けられている。そして、伝熱板20の上端部には、3つの発熱手段23をそれぞれ収容する凹陥状の3つの熱源部取付け部22が並設されている。
【0033】
さらに、伝熱板20の上端部には、図4(B)に示すように3つの熱源部取付け部22の各前方の仕切り壁に各発熱手段23の先端部を差し込み状態で固定する固定溝24が形成されている。そして、各発熱手段23の先端部はこの伝熱板20の固定溝24に差し込まれた状態で例えば半田付けなどの手段で固定されている。
【0034】
また、各発熱手段23の後端部にはリード線25の一端部が例えば半田付けなどの手段で固定されている。さらに、各発熱手段23のリード線25はそれぞれ後方に向けて延出されている。ここで、各発熱手段23のリード線25は伝熱板20の後端部で1つに束ねられて、更に手元側に伸び、前述のコネクター部45に接続されている。
【0035】
また、連結アーム43の一側部には図8(B)に示すように略T字状の断面形状の溝部43aが形成されている。この溝部43aにはコネクター部45と各発熱手段23との間を接続するリード線25がプリントされたフレキシブル基板25Aと、この溝部43aを塞ぐゴム蓋43bとが圧入されて装着されている。
【0036】
なお、伝熱部16を保持する保持枠19は、伝熱板20に横方向から強い力が加わっても、曲りや変形などが生じないように、比較的、剛性の高い材料で、かつ、できるだけ高い剛性が得られるように比較的肉厚の剛性体によって形成されている。
【0037】
また、保持枠19の枠内には、図4(A)に示すように、伝熱板20の刃部21より上側の部分と、発熱手段23と、リード線25とを収容する溝状の収容空間19aが形成されている。そして、伝熱板20の刃部21より上側の部分と、発熱手段23と、リード線25とはこの保持枠19の枠内の収容空間19aに収容され、保持枠19の断熱枠体18で覆われるように取り囲まれている。
【0038】
さらに、伝熱板20の上部を覆う断熱枠体18の先端部位置は、図4(A)に示すように、伝熱板20の先端部位置と同じか、或いは伝熱板20の先端部位置よりも前方に突出する位置まで延設されている。同様に、断熱枠体18の後端部位置は、伝熱板20の後端位置より更に後方まで伸びて、伝熱板20の後端を覆っている。
【0039】
また、断熱枠体18の枠内の収容空間19aは、伝熱板20や、発熱手段23、リード線25との間に隙間26があくような大き目の寸法になっている。そして、この隙間26には、図5(B)に示すように曲りにくい硬い板状のスペーサー部材27や、絶縁性と耐熱性を兼ね備えた充填材28が充填されている。これにより、断熱部17は、断熱枠体18と熱源部15の発熱手段23との隙間26に断熱性の充填剤28が充填されている。
【0040】
さらに、保持枠19には、前後の両端部に伝熱板20の支持ピン29a,29bがそれぞれ取付けられている。ここで、伝熱板20の前端部には図5(A)に示すように保持枠19の前側の支持ピン29aが挿入される第1の挿入穴30が形成されている。さらに、伝熱板20の後端部には保持枠19の後ろ側の支持ピン29bが挿入される第2の挿入穴31が形成されている。そして、伝熱板20は断熱枠体18に前後の支持ピン29a,29bによって連結された状態で支持されている。
【0041】
また、図6に示すように伝熱板20の第2の挿入穴31はこの伝熱板20の前後方向に長い長穴によって形成されている。この第2の挿入穴31には支持ピン29bが前後方向に移動可能に緩く嵌まっている。そして、この第2の挿入穴31によって伝熱板20と保持枠19との熱膨張の差を吸収する長穴状の熱膨張吸収部が形成されている。
【0042】
また、鉗子ユニット41には処置ユニット42を着脱可能に取付ける取付け手段46が設けられている。この取付け手段46には複数箇所、本実施の形態では3箇所で処置ユニット42を係脱可能に係合する3つの係合部(第1〜第3の係合部47,48,49)がそれぞれ設けられている。ここで、第1の係合部47は第1操作アーム4の第1把持部7、第2の係合部48は第1操作アーム4における回転軸6の周囲部分、第3の係合部49は第1操作アーム4におけるリング9の周囲部分にそれぞれ配置されている。
【0043】
また、鉗子ユニット41の第1把持部7には処置ユニット42の処置部44と対応する形状の凹陥状の装着溝(凹部)32が形成されている。この装着溝32によって第1の係合部47が形成されている。さらに、この装着溝32の前端部には図4(A)に示すように処置部44の前端の肩部44aを係止する段差状の受部33が形成されている。そして、処置ユニット42の前端の肩部44aをこの受部33内に挿入させることにより、処置ユニット42の前端の肩部44aを第1把持部7の前端部に係脱可能に係止するようになっている。
【0044】
また、処置ユニット42の処置部44には図10(A)に示すように前後の両端部に外側に突出された抜け止め用の係合凸部(抜け止め部)50,51がそれぞれ設けられている。ここで、前側の抜け止め用の係合凸部50は図10(B)に示すように処置部44の両側面にそれぞれ前後方向に沿って延設されている。同様に、後ろ側の係合凸部51は図10(C)に示すように処置部44の両側面にそれぞれ前後方向に沿って延設されている。
【0045】
さらに、鉗子ユニット41の装着溝32には処置ユニット42の前側の抜け止め用の係合凸部50および後ろ側の係合凸部51とそれぞれ対応する位置にこれらとそれぞれ係合する係合溝部(抜け止め部)52,53が形成されている。そして、処置ユニット42の係合凸部50,51と鉗子ユニット41の係合溝部52,53との係合部によって鉗子ユニット41の装着溝32に係合された処置部41の抜けを防止するようになっている。
【0046】
また、処置ユニット42の連結アーム43には処置部44との連結部に鉗子ユニット41の第2の係合部48と係合する中間係合部54が配設されている。この中間係合部54には図11(C)〜(E)に示すように略U字状の断面形状の幅広部55が設けられている。
【0047】
図11(A),(B)に示すように幅広部55の先端部には処置部44側に延設される細幅の第1連結部56の基端部が連結されている。さらに、幅広部55の基端部には鉗子ユニット41における第1操作アーム4の外側に平行に配置される連結アーム43の細幅の第2連結部57の先端部が連結されている。
【0048】
また、処置ユニット42の幅広部55には図11(B)中で上下の両端部に図11(A)に示すように基端部側から先端部側に向けて延設された柔軟アーム58,59と、この幅広部55の基端部に配置された位置決めアーム60,61とが設けられている。各柔軟アーム58,59の先端部には内方向に突出された爪部58a,59aがそれぞれ設けられている。
【0049】
さらに、処置ユニット42の幅広部55には図11(A)に示すように第1連結部56との連結部に第1肩部62、第2連結部57との連結部に第2肩部63がそれぞれ設けられている。
【0050】
また、鉗子ユニット41の第2の係合部48には処置ユニット42の幅広部55が嵌合される嵌合凹部64が形成されている。この嵌合凹部64には図11(C)に示すように各柔軟アーム58,59の先端爪部58a,59aと幅広部55の本体との間の隙間に引っ掛かる引っ掛かり部65が突設されている。
【0051】
そして、鉗子ユニット41の第2の係合部48と処置ユニット42の中間係合部54との係合時には図11(C)に示すように各柔軟アーム58,59の先端爪部58a,59aと幅広部55の本体との間の隙間に引っ掛かり部65が引っ掛かるようになっている。さらに、処置ユニット42の幅広部55における第1肩部62および第2肩部63と鉗子ユニット41の第2の係合部48との係合部によって処置ユニット42の軸方向の動きが規制されている。そして、この移動規制部によってコネクター部45に作用する引張り力が処置部44側に伝達されることを防止する力伝達防止部66が形成されている。
【0052】
また、鉗子ユニット41の第1操作アーム4におけるリング9の周囲部分には図7に示すように略C字状のコネクター受部67が連結されている。このコネクター受部67には処置ユニット42のコネクター部45が係脱可能に係合されるようになっている。そして、このコネクター受部67によって処置ユニット42の取付け手段46における第3の係合部49が形成されている。
【0053】
また、図5(A)〜(C)に示すように第2把持部8には、第1把持部7との対向面に例えばフッ素樹脂やシリコーンなどの柔軟で、熱を伝えにくい材料からなる平板状の受け部36が設けられている。これにより、第1把持部7と第2把持部8とを閉じたとき、伝熱板20の刃部21全体がこの受け部36に接触する状態で受けるようになっている。そして、第1把持部7と第2把持部8とを閉じた状態で、第1把持部7と第2把持部8との間に生体組織を挟み込んで凝固や切開を行なうようになっている。
【0054】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の処置具2の使用時にはこの処置具2の第1操作アーム4および第2操作アーム5の手元側の各リング9に手指を差し込んだ状態で、第1操作アーム4および第2操作アーム5を回転軸6を中心に回動操作することにより、第1把持部7と第2把持部8との間が開閉操作される。そして、第1把持部7と第2把持部8との間を閉じて第1把持部7と第2把持部8との間に生体組織を挟み込んだ状態で、処置ユニット42の熱源部15が通電加熱される。
【0055】
このとき、熱源部15の3つの発熱手段23からの熱は伝熱板20に伝熱され、伝熱板20の先細状の刃部21が高温度に加熱される。そのため、第1把持部7と第2把持部8との間で伝熱板20の刃部21に圧接されている生体組織はこの刃部21の熱によって加熱され、生体組織の凝固や切開が効率良く行なわれる。
【0056】
また、本実施の形態の処置具2では生体組織の凝固や、切開などの処置を繰り返した際に、処置部44のいずれかの発熱手段23などが劣化したり、破損した場合には鉗子ユニット41から処置ユニット42を取外し、新しい処置ユニット42に交換する作業が行なわれる。この処置ユニット42の交換作業時には最初に、鉗子ユニット41のコネクター受部67から処置ユニット42のコネクター部45が取外される。
【0057】
続いて、図8(A)に示すように鉗子ユニット41の第2の係合部48から処置ユニット42の中間係合部54が取外される。そして、最後に、鉗子ユニット41の第1の係合部47から処置ユニット42の処置部44が取外される。これにより、鉗子ユニット41の第1操作アーム4から故障した処置ユニット42を取外す作業が終了する。
【0058】
その後、鉗子ユニット41の第1操作アーム4に新しい処置ユニット42を取付ける作業が行なわれる。この新しい処置ユニット42の取付け作業時には最初に鉗子ユニット41の第1の係合部47に処置ユニット42の処置部44が係合された後、鉗子ユニット41の第2の係合部48に処置ユニット42の中間係合部54が係合され、最後に鉗子ユニット41のコネクター受部67に処置ユニット42のコネクター部45が係合される。これにより、鉗子ユニット41の第1操作アーム4に新しい処置ユニット42を取付ける作業が終了する。
【0059】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の処置具2では一対のジョー7,8間で挟持させた生体組織の加熱処置を行なう処置ユニット42を鉗子ユニット41とは別体に設け、鉗子ユニット41に処置ユニット42を着脱可能に取付ける取付け手段46を設けている。そのため、処置具2で生体組織の凝固や、切開などの処置を繰り返した際に、処置部44のいずれかの発熱手段23などが劣化したり、破損した場合には鉗子ユニット41から処置ユニット42を取外し、新しい処置ユニット42に交換する作業を簡単、確実に行なうことができ、常に安定した凝固、切開能を発揮することができる。
【0060】
さらに、本実施の形態では鉗子ユニット41の第1把持部7に処置ユニット42の処置部44と対応する形状の凹陥状の装着溝32を形成し、この装着溝32に処置ユニット42の処置部44を挿入させて係脱可能に係合させるようにしている。そのため、第1把持部7と第2把持部8との間を閉じた際に処置具2の先端部全体の高さ寸法を比較的低くすることができるので、生体組織の圧排、剥離などを、従来の剥離鉗子等の器具と同じように行なうことができ、使いやすい医療器械1を提供することができる。
【0061】
また、本実施の形態では処置ユニット42の処置部44における前後の両端部に抜け止め用の係合凸部50,51を設け、鉗子ユニット41の装着溝32に処置ユニット42の前側の抜け止め用の係合凸部50および後ろ側の係合凸部51とそれぞれ対応する位置にこれらとそれぞれ係合する係合溝部52,53を形成している。そして、処置ユニット42の係合凸部50,51と鉗子ユニット41の係合溝部52,53との係合部によって鉗子ユニット41の装着溝32に係合された処置部41の抜けを防止するようにしている。そのため、第1把持部7と第2把持部8との間を閉じて第1把持部7と第2把持部8との間に生体組織を挟み込んだ状態で、生体組織の凝固や切開などの熱処置を行う際に生体組織が処置部41の刃部21との圧接部に貼り付き、第1把持部7と第2把持部8との間を開いた際に鉗子ユニット41の装着溝32から処置部41が抜け落ちることを防止することができる。
【0062】
さらに、本実施の形態では処置ユニット42に中間係合部54を配設し、鉗子ユニット41の第2の係合部48と処置ユニット42の中間係合部54との係合時に処置ユニット42の幅広部55における第1肩部62および第2肩部63と鉗子ユニット41の第2の係合部48との係合部によって処置ユニット42の軸方向の動きを規制している。そして、この移動規制部によってコネクター部45に作用する引張り力が処置部44側に伝達されることを防止する力伝達防止部66を形成したので、コネクター部45に接続されたケーブル11側からの引張り力が処置部44側に直接伝達されることを防止することができる。そのため、処置部44の各発熱手段23とリード線25との接続不良などの故障が発生することを防止することができる。
【0063】
また、本実施の形態の処置ユニット42の処置部44では略U字型の断熱枠体18により伝熱板20の刃部21より上側の部分と発熱手段23を覆っている。そのため、医療器械1の使用時に発熱手段23の熱が発熱手段23と伝熱板20との接触部以外の方向、例えば伝熱板20の左右方向や上方へ逃げることを防ぐことができるので、熱源部15である熱発生素子などの発熱手段23の熱を伝熱部16の伝熱板20側に集中的に効率よく伝達することができる。その結果、熱源部15の熱が鉗子ユニット41の第1把持部7側に伝熱されることを防ぐことができるので、生体組織に接触する伝熱板20の温度が迅速に上昇しなかったり、温度ムラが生じ、医療器械1による凝固能や、切開能の劣化が生じることを防止することができる。
【0064】
また、本実施の形態では伝熱板20の上端部に凹陥状の3つの熱源部取付け部22を並設し、3つの発熱手段23をそれぞれ収容するとともに、熱源部取付け部22の各前方の仕切り壁の固定溝24に各発熱手段23の先端部を差し込み状態で半田付けなどの手段で固定している。そして、保持枠19の枠内の収容空間19aに伝熱板20の刃部21より上側の部分と、発熱手段23と、リード線25とを収容させ、その周囲を取り囲むように保持枠19の断熱枠体18を設けている。ここで、伝熱部16を保持する保持枠19の断熱枠体18が比較的、剛性の高い材料で、かつ、一定の剛性を有する肉厚であり、更に、この保持枠19の枠内の伝熱板20や熱源部15である熱発生素子などの発熱手段23との間の隙間26が大きいので、第1把持部7や伝熱板20に横方向から強い力が加わっても、隙間26の中の充填材28によってその力を緩和させることができる。そのため、発熱手段23が発熱を繰り返した場合であっても第1把持部7への熱源部15である熱発生素子などの発熱手段23の取付けが不完全となったり、把持部7から応力を受けて熱源部15である熱発生素子などの発熱手段23自体が破損することを防止することがでる。
【0065】
さらに、伝熱板20の第2の挿入穴31を伝熱板20の前後方向に長い長穴によって形成し、この第2の挿入穴31に保持枠19側の支持ピン29bを前後方向に移動可能に緩く嵌めている。そのため、発熱手段23の熱発生素子が使用時(高温)と非使用時(常温)とで大きく温度変化した場合の伝熱板20と保持枠19の伸び量の違いによる支持ピン29bの穴位置のずれを吸収することができる。その結果、この第2の挿入穴31の長穴と保持枠19側の支持ピン29bとの係合部によって発熱手段23の発熱時に伝熱板20と保持枠19との熱膨張の差を吸収することができるので、熱発生素子が破損するような応力が発熱手段23に加わらないように安全で確実に固定できる。
【0066】
また、図12(A)〜(C)および図13(A),(B)は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図11(A)〜(E)参照)の鋏鉗子型の処置具2の構成の一部を次の通り変更したものである。なお、本実施の形態はこの変更部分以外の主要部分は第1の実施の形態の処置具2の構成と同様であるので、ここでは第1の実施の形態の処置具2と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0067】
すなわち、本実施の形態では図12(A),(B)に示すように処置ユニット42における保持枠19の先端部に前方に突出する先端凸部71が突設されている。さらに、鉗子ユニット41の装着溝32には、最先端部の内壁面に受溝部72が形成されている。そして、鉗子ユニット41に処置ユニット42を装着する際に、処置ユニット42の先端凸部71が鉗子ユニット41の受溝部72に係脱可能に嵌合することにより、処置ユニット42の先端部が正規の固定位置から浮き上がることを防止するようになっている。
【0068】
また、処置ユニット42の処置部44と鉗子ユニット41の装着溝32との嵌合部には図12(A)に示すように、処置ユニット42における保持枠19の上面と、鉗子ユニット41における第1把持部7との間に空間部73が形成されている。この空間部73は処置ユニット42における処置部44の先端位置と後端位置との間に延設されている。
【0069】
さらに、本実施の形態では鉗子ユニット41の先端部の第1把持部7および第2把持部8には図13(A)に示すように略直線状の2本の操作アーム4,5の軸方向に対して斜め横向き(図13(A)中で斜め下向き)に屈曲された屈曲部74が形成されている。この屈曲部74は図13(B)に示すように先細り形状に成形されている。さらに、この先細りの屈曲部74の最先端部には、この屈曲部74の軸方向に対してさらに斜めに屈曲させた先端屈曲部75が形成されている。
【0070】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では処置ユニット42の先端部に先端凸部71を設け、鉗子ユニット41の装着溝32における最先端部の内壁面に受溝部72を形成している。そして、鉗子ユニット41に処置ユニット42を装着する際に、処置ユニット42の先端凸部71が鉗子ユニット41の受溝部72に係脱可能に嵌合するようにしている。そのため、処置ユニット42の先端凸部71と鉗子ユニット41の受溝部72との嵌合部によって処置ユニット42の先端部を鉗子ユニット41の装着溝32における最先端部の正規の固定位置に正しく固定することができる。その結果、鉗子ユニット41に処置ユニット42を装着する際に、処置ユニット42の先端部が正規の固定位置から浮き上がることを防止することができるので、処置ユニット42の後方の中間係合部54およびコネクター部45が鉗子ユニット41に装着しやすくなる効果がある。したがって、本実施の形態では処置ユニット42を術中に外れないように確実に鉗子ユニット41に固定することができ、なおかつ、処置ユニット42を鉗子ユニット41に装着する作業を容易に行うことができる。
【0071】
また、処置ユニット42の先端部が鉗子ユニット41の装着溝32における最先端部の正規の固定位置に正しく固定されていない場合には、第1操作アーム4と第2操作アーム5との間を閉じる際に、処置ユニット42に加わる操作力が処置部44以外の部位に分散してしまうおそれがある。そのため、第1操作アーム4と第2操作アーム5との間を閉じる操作時に処置ユニット42に加えられた操作力が第1把持部7と第2把持部8との把持力として十分に伝わらず、確実な凝固切開ができなくなる。これに対し、本実施の形態では処置ユニット42の先端凸部71と鉗子ユニット41の受溝部72との嵌合部によって処置ユニット42の先端部を鉗子ユニット41の装着溝32における最先端部の正規の固定位置に正しく固定することができるので、第1操作アーム4と第2操作アーム5との間を閉じる際に、処置ユニット42に加わる操作力を処置部44の第1把持部7と第2把持部8との把持力として確実に伝達することができ、確実な凝固切開が可能となる。
【0072】
さらに、本実施の形態では図12(A)に示すように処置ユニット42の処置部44と鉗子ユニット41の装着溝32との嵌合部に空間部73が存在する。この空間部73は処置ユニット42における処置部44の先端位置と後端位置との間に延設されているので、第1把持部7と第2把持部8との間を閉じたとき、伝熱板20の刃部21と受け部36との間の接触圧力により、処置ユニット42の処置部44全体を空間部73の範囲内で弾性変形させることができる。そのため、第1把持部7と第2把持部8との間を閉じる際に、処置ユニット42における処置部44の先端位置と後端位置との間の各場所における接触圧力の差を空間部73で吸収することができるので、伝熱板20の刃部21と受け部36とを略均一に接触させ、生体組織に把持力を均等に伝えることができる。
【0073】
また、本実施の形態では鉗子ユニット41の先端部の第1把持部7および第2把持部8に先細り形状の屈曲部74を形成し、さらに、この先細りの屈曲部74の最先端部に先端屈曲部75を形成したので、生体組織を剥離するなどの作業を行なう操作が一層、円滑となる効果がある。
【0074】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 生体組織の凝固、切開などの処置を行なう医療器械において、お互いに開閉する一対のジョーと、ジョーを開閉するための操作部と、処置ユニットを取付ける受け取り手段と、から成る鉗子ユニットと、発熱部と、組織に接触する刃部と、発熱部にエネルギーを供給する手段と鉗子ユニットに着脱可能に取付けるための手段と、から成る処置ユニットと、から構成されることを特徴とする医療器械。
【0075】
(付記項2) 生体組織の凝固、切開などの処置を行なう医療器械において、お互いに開閉する一対のジョーと、ジョーを開閉するための操作部と、処置ユニットを取付ける凹部と、から成る鉗子ユニットと、発熱部と、組織に接触する刃部と、発熱部の周囲に設けられた断熱手段と、発熱部にエネルギーを供給する手段と、断熱手段に設けられ鉗子ユニットの受け取り凹部に装着可能な取付け部分と、から成る処置ユニットと、から構成されることを特徴とする医療器械。
【0076】
(付記項3) 生体組織の凝固、切開などの処置を行なう医療器械において、お互いに開閉する一対のジョーと、ジョーを開閉するための操作部と、処置ユニットの配線部を取付ける受け取り手段と、から成る鉗子ユニットと、発熱部と、組織に接触する刃部と、発熱部にエネルギーを送る配線部と、配線部を鉗子ユニットに着脱自在に取付けるための取付け手段と、から成る処置ユニットと、から構成されることを特徴とする医療器械。
【0077】
(付記項4) 生体組織の凝固、切開などの処置を行なう医療器械において、お互いに開閉する一対のジョーと、ジョーを開閉するための操作部と、処置ユニットを取付ける受け取り手段と、から成る鉗子ユニットと、発熱部と、組織に接触する刃部と、発熱部にエネルギーを送る配線部と、鉗子ユニットの受け取り手段に対して長手軸方向の位置合わせをするためのガイド手段と、から成る処置ユニットと、から構成されることを特徴とする医療器械。
【0078】
(付記項5) 生体組織の凝固、切開などの処置を行なう医療器械において、お互いに開閉する一対のジョーと、ジョーを開閉するための操作部と、処置ユニットを取付ける受け取り手段と、から成る鉗子ユニットと、発熱部と、組織に接触する刃部と、発熱部にエネルギーを送るための弾性のある配線部とから成る処置ユニットと、から構成されることを特徴とする医療器械。
【0079】
(付記項6) 付記項5の医療器械において、配線部の中に発熱部にエネルギーを送るためのフレキシブル基板を配置したことを特徴とする医療器械。
【0080】
(付記項1〜6の従来技術) 一般に、生体組織を把持する一対の把持部の少なくとも一方に発熱体を設け、生体組織を把持した状態で発熱体を発熱させ生体組織を凝固および凝固部位を切開するための手術器械が知られている。これらの手術器械は通常、生体組織に含まれる血管の止血、生体組織の表層の病変部や出血部の焼灼、凝固そして避妊を目的とした卵管の閉塞等、多様な手術症例に用いられ、生体組織の凝固や凝固した生体組織の切開ができる。
【0081】
また、これらの様々な組織の止血、焼灼、凝固、閉塞あるいは切開などの手術操作を行なう時は、それに先立って剥離鉗子等の手術器具により、目的組織および周辺組織を機械的に圧排、把持、剥離などを行ない、視野や作業領域を確保したりする操作を行なう。
【0082】
例えば、特開2001−190562や特開2001−198137では、一対の把持部の少なくとも一方にセラミックヒーターなどの熱発生素子を設けた手術器械が開示されている。
【0083】
これらは少なくとも一方の把持部に熱発生素子を設け、生体組織と接触する部分の面積を小さくした発熱板により熱発生素子の熱を収束して効率良く組織の凝固や切開を行なうため、発熱素子に発熱板を密着固定したものである。
【0084】
しかし、熱発生素子を発熱させて凝固、切開を繰り返すと、発熱素子自身や周辺部品の熱による劣化や破損が生じたり、発熱時と常温時の大きな温度差による寸法変化(伸び縮み)による発熱素子と発熱板との密着不良や把持部への取付け不良、更には、素子の電気接点の劣化が生じるなどの不具合が予想される。
【0085】
また、特表2001−522622Aには血管を密封して止血するための双極(バイポーラ型)電気外科手術器具において器具先端のジョーに設けたソケットに電極板を着脱自在に取付けられる構造が開示されている。
【0086】
これは、組織に直接電流を流して凝固効果を得るものだか、電極板や導電ワイヤの周囲の電気絶縁が破損すると、予期せぬ電流経路が生じ組織凝固以外の悪い影響が出るため、電極板および導電ワイヤをジョーから取り外し、電気絶縁が確実に保たれた新品に交換できるようになっている。
【0087】
(付記項1〜6が解決しようとする課題) しかし、両ジョーで挟み込むように電極板を各ジョーの対向面に取付ける構造であるため、組立後は、ジョーと電極板の合計の高さが高くなり、両ジョーを閉じても全体的に背が高くなり、組織の隙間にジョーを差し込む操作や、血管、神経などの細い索状物をジョー先端で扱う操作などがやり辛くなる。さらに、ジョーの外表面で組織を擦って組織表面から邪魔な組織を除去したり、組織間の剥離を行なう等の操作中に、ジョーの側面に張り出した電極板が組織に引っ掛かるなど、手術操作がやり難いなどの問題があった。
【0088】
(付記項1〜6の目的) 本発明は、発熱素子の発熱機能に関する部品が劣化した場合に新しい素子が組み込まれたユニットをユーザーが簡単、確実に交換できるようにして、常に安定した凝固、切開能を発揮することのできる、手術器械を提供することを目的としている。
【0089】
また、ジョーの外表面での機械的な組織の圧排、剥離などを、従来の剥離鉗子等の手術器具と同じように行なうことのできる、使いやすい手術器械を提供することを目的としている。
【0090】
(付記項7) 一対のジョーを相対的に開閉する操作部を備え、前記一対のジョー間で生体組織を挟持させた状態で、前記生体組織の加熱処置を行う処置具を備えており、前記一対のジョー間で挟持させた前記生体組織の加熱処置を行う処置ユニットを前記処置具の本体とは別体に設けるとともに、前記処置具本体に前記処置ユニットを着脱可能に取り付ける取付け手段を設けた手術器械において、処置ユニットの先端部に突起部を設け、前記処置具本体の溝部に前記突起部が嵌合する取り付け手段を設けたことを特徴とする、医療器械。
【0091】
(付記項7が解決しようとする課題) 処置ユニットを処置具本体に取り付ける際に処置ユニットの先端がしっかりと固定されていないと、力が発熱部以外の部位に分散してしまい、加えた把持力量が組織に伝わらない。また、先端が最初に固定されないと、他の固定部位が固定しづらく、結果的に装着がしづらくなってしまう。
【0092】
(付記項7の目的) 本願は前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、処置ユニットを術中に外れないように確実に固定し、なおかつ、装着を容易に行える手術器械を提供することにある。
【0093】
(付記項7の課題を解決するための手段) この発明は前記目的を達成するために、処置ユニットの先端部に突起部を設け、前記処置具本体の溝部に前記突起部が嵌合する取り付け手段を設けたことを特徴とする、医療器械。
【0094】
【発明の効果】
本発明によれば、熱発生素子の発熱機能に関する構成部品が劣化した場合にこの劣化した部品を簡単、確実に交換でき、常に安定した凝固、切開能を発揮することができるうえ、生体組織の圧排、剥離などを、従来の剥離鉗子等の器具と同じように行なうことができ、使いやすい手術器械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の医療器械のシステム全体の概略構成図。
【図2】(A)は第1の実施の形態の処置具が閉じた状態を示す側面図、(B)は(A)の平面図。
【図3】第1の実施の形態の処置具が開いた状態を示す側面図。
【図4】(A)は第1の実施の形態の処置具の先端部を示す縦断面図、(B)は(A)のIVB−IVB線断面図。
【図5】(A)は図4(A)のVA−VA線断面図、(B)は図4(A)のVB−VB線断面図、(C)は図4(A)のVC−VC線断面図。
【図6】第1の実施の形態の処置具における断熱部の保持枠の支持ピンと処置部の熱膨張吸収用の長穴部との連結部を示す要部の側面図。
【図7】第1の実施の形態の処置具におけるコネクター受けの取付け状態を一部を断面にして示す側面図。
【図8】(A)は第1の実施の形態の処置具における鉗子ユニットに処置ユニットを取付ける作業を説明するための側面図、(B)は(A)のVIIIB−VIIIB線断面図。
【図9】(A)は第1の実施の形態の処置具における処置ユニットの側面図、(B)は同平面図。
【図10】(A)は第1の実施の形態の処置具における処置ユニットの側面図、(B)は(A)のXB−XB線断面図、(C)は(A)のXC−XC線断面図。
【図11】(A)は第1の実施の形態の処置具における処置ユニットの第2の係合部の側面図、(B)は処置ユニットの第2の係合部の平面図、(C)は(B)のXIC−XIC線断面図、(D)は(B)のXID−XID線断面図、(E)は(B)のXIE−XIE線断面図。
【図12】本発明の第2の実施の形態を示すもので、(A)は処置具の先端部を示す縦断面図、(B)は処置ユニットの先端凸部と処置具本体側の受溝部との嵌合部を示す要部の縦断面図、(C)は(B)のXIIC−XIIC線断面図。
【図13】第2の実施の形態の処置具を示すもので、(A)は処置具が閉じた状態を示す平面図、(B)は(A)の処置具の先端部分を拡大して示す要部の平面図。
【符号の説明】
2 挿入部
3 操作部
7 第1把持部(ジョー)
8 第2把持部(ジョー)
9 リング(操作部)
15 熱源部
16 処置部
17 断熱部
41 鉗子ユニット
42 処置ユニット
46 取付け手段
Claims (5)
- 生体組織の加熱処置を行なう医療器械であって、
一対のジョーを相対的に開閉可能な操作部と、
前記操作部の操作力を前記一対のジョーに伝達する動力伝達部材と、
前記一対のジョーに着脱自在な加熱部を有する処置ユニットと、
前記ジョーあるいは前記動力伝達部材あるいは前記操作部に前記処置ユニットを着脱自在に取付け可能な取付け手段とを具備したことを特徴とする医療器械。 - 前記処置ユニットは、前記動力伝達部材に沿って装着される可撓性を備えた細長い連結アームと、この連結アームの先端部に配設され、前記ジョーに装着されて前記生体組織の加熱処置を行なう処置部と、前記操作部に装着されるコネクター部とを有し、
前記処置部は、前記生体組織の加熱治療用の熱源部と、この熱源部から伝達されて前記生体組織の加熱処置を行なう伝熱部とを有し、
前記連結アームは、前記コネクター部と前記熱源部との間を接続する配線部を有することを特徴とする請求項1に記載の医療器械。 - 前記取付け手段は、前記ジョーに前記処置部を係脱可能に係合する第1の係合部と、前記動力伝達部材の一部に配設され、前記連結アームを係脱可能に係合する第2の係合部と、前記操作部に配設され、前記コネクター部を係脱可能に係合する第3の係合部とがそれそれ配設されていることを特徴とする請求項1に記載の医療器械。
- 前記連結アームの前記第2の係合部に係脱可能に係合される係合部分に前記コネクター部に作用する力が前記処置部へ伝達されることを防止する力伝達防止部を有することを特徴とする請求項3に記載の医療器械。
- 前記配線部は、前記コネクター部と前記発熱部との間を接続する配線が印刷されたフレキシブル基板を有することを特徴とする請求項2に記載の医療器械。
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-
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- 2002-12-25 JP JP2002374936A patent/JP2004000460A/ja active Pending
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A02 | Decision of refusal |
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